説明

蛍光管投入ホッパー

【課題】蛍光管の品種に応じた調節を行う必要のない蛍光管投入ホッパーを提供する。
【解決手段】複数の蛍光管1を積み重ねた状態で支持する支持部材21の底部に傾斜を設けるとともに、傾斜の最下部に蛍光管が1本ずつ入る幅の縦溝25を設ける。この構成により、品種が異なる蛍光管が混入しても縦溝25の最下部に位置する取出口27から蛍光管を1本ずつ取り出せるようにする。縦溝25は、その幅を蛍光管の最大外径よりも大きく、その幅の1/2を蛍光管の最小外径よりも小さく設定する。縦溝25の取出口27には、引張ばね23a,23bによりストッパー24a,24bを回動可能に固定し、縦溝25の最下部に位置する蛍光管に下方への引張力がかかったときにその引張力によってストッパー24a,24bが回動して取出口27が開くようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光管の廃棄処理装置に対して、廃棄用の複数の蛍光管を1本ずつ投入できるようにした蛍光管投入ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光管の廃棄処理においては、まず蛍光管の両端を切断して電極部分を切り離し、蛍光管の一方の切り口からエアー噴出装置のノズルを蛍光管内部に挿入し、エアー噴出により蛍光管の内壁面に塗布されている蛍光体被膜および内部に封入されている水銀を除去する工程を行うようになっている。大型蛍光管、小型蛍光管のいずれにおいてもこの工程を半自動で行うことのできる廃棄処理装置が提案されている。そして、複数の蛍光管を1本ずつ廃棄処理装置へ投入するために蛍光管投入ホッパーが用いられている。
【0003】
図8の側面図、図9の正面図に示すように、従来の蛍光管投入ホッパーは、同一品種の複数の蛍光管31を鉛直斜め方向に一列に並べるとともに、その方向に蛍光管31が移動可能となるように、各蛍光管31の両端をサイドストッパー32a,32bで保持する。
【0004】
最下端に位置する蛍光管31aは、蛍光管投入ホッパーの下部に設けられた一対のストッパー33a,33bによって落下しないように支えられる。この蛍光管31aを落下させるときには、ストッパー33a,33bが移動して支えを外すようになっている。また、最下部から2番目の蛍光管31bは、その下部が蛍光管31とほぼ同程度の全長を持つセパレータ34によって支えられており、蛍光管31aが落下するときでも、蛍光管31bから上にある蛍光管31は落下しないようになっている。
【0005】
セパレータ34は、蛍光管31aの落下後、ストッパー33a,33bが蛍光管を支持可能な元の位置に戻ったところで,水平方向に移動して蛍光管31bの支えを解除して蛍光管31bから上にある蛍光管をストッパー33a,33bの位置まで自然落下させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蛍光管は、その種類に応じて全長や管径が異なっている。このため、上述した構成の蛍光管投入ホッパーでは、投入しようとする蛍光管の種類によって、サイドストッパー32aと32bとの距離や、セパレータ34とストッパー33a,33bとの距離の調節を手動で行う必要がある。
【0007】
大型蛍光管については、そのほとんどが家庭照明用であるためサイズがほぼ規格化されており種類が少ないので、従来の蛍光管投入ホッパーであっても上記の各距離の調節を頻繁に行うことはなく、十分に実用に耐え得る。
【0008】
ところが、小型蛍光管は、主に液晶表示装置のバックライトに使用されるように作られており品種が多彩である。このため、従来の蛍光管投入ホッパーでは、小型蛍光管の品種を切り替える度に上記各距離の調節を行う必要があり、かなりの手間がかかることになる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蛍光管の品種に応じた調節を行う必要のない蛍光管投入ホッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蛍光管投入ホッパーは、複数の蛍光管を積み重ねた状態で支持する支持部材と、前記支持部材の底部に設けられた傾斜と、前記傾斜の最下部に蛍光管が1本ずつ入る幅で設けられた縦溝と、前記縦溝の下部に位置する蛍光管の取出口を開閉可能に設けられたストッパーと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、複数の蛍光管を積み重ねた状態で支持する支持部材の底部に傾斜を設けるとともに、傾斜の最下部に蛍光管が1本ずつ入る幅の縦溝を設けたことで、品種が異なる蛍光管であっても1本ずつ縦溝の取出口から取り出せるようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蛍光管投入ホッパーによれば、蛍光管の品種に応じた何らかの調節を不要にすることができる。また、異品種の蛍光管をホッパー内に混入させたとしても1本ずつ取り出すことができ、蛍光管の投入工程の自動化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、蛍光管の廃棄処理の工程を示す図であり、図2は、そのタイムスケジュールを示す図である。蛍光管1は、管状のガラスバルブ2の内壁面に蛍光体被膜が形成され、ガラスバルブ2の内部に水銀および希ガスが封入されている。このガラスバルブ2の両端内部には一対の電極3a,3bが配置され、各電極3a,3bには外部電源から電源が供給されるリード線4a,4bがそれぞれ接続されている。リード線4a,4bはガラスバルブ2の両端に封着されている。
【0015】
工程1では、蛍光管1の両端部を切断し、電極3a,3bを蛍光管本体から分離する。工程2−1では、蛍光管1の一方の切り口にエアー噴出装置のノズルを挿入し、このノズルからエアーを噴出するとともに、蛍光管1の他方の切り口にバキュームなどの吸引器を配置してエアーを吸引することで、蛍光管1内部の蛍光体被膜および水銀を除去する。工程2−2では、工程2−1から一定時間経過後に、工程2−1と同じ処理を行う。工程3では、蛍光管1の粉砕を行う。
【0016】
図3は、本実施の形態における蛍光管投入ホッパー11を適用した廃棄処理装置の構成を示す正面図である。この廃棄処理装置では、廃棄対象の複数の蛍光管1が蛍光管投入ホッパー11の蛍光管投入口から1本ずつ投入される。各蛍光管1は、品種が複数あり、管径や全長が異なっている。電極切断部12により蛍光管1の両端の電極部を切断し、活性炭式の水銀吸着装置13により蛍光管内部の水銀を吸着する。エアー噴出・吸引装置14でエアー噴出と吸引により蛍光管内部の水銀と蛍光体被膜の除去を行い、活性炭式の水銀吸着装置15により内部の水銀を吸着する。粉砕機16で蛍光管1を粉砕し、粉砕後のガラスを粉砕ガラス入れ17に入れる。これらの処理においては、蛍光管1は、水銀の飛散を防止するために負圧状態となっている筐体18の内部を移動する。
【0017】
図4は、蛍光管投入ホッパー11の構成を示す平面図、図5はその側面図、図6はその正面図である。図4および図5に示すように、蛍光管投入ホッパー11は、支持部材21により複数の蛍光管1を積み重ねた状態で支持する。この支持部材21は、板状であり、蛍光管1を軸方向の少なくとも2箇所で支持する。
【0018】
図6に示すように、蛍光管1は、支持部材21の両側壁の間に無造作に積み重ねられる。支持部材21の底部には逆ハの字型の傾斜が設けられており、傾斜の最下部には蛍光管1が1本ずつ入る幅の縦溝25が設けられている。支持部材21の正面壁には、縦溝25の最下部に位置する蛍光管の取出口27を開閉可能にするための一対のストッパー24a,24bが逆ハの字型に設けられている。
【0019】
ストッパー24a,24bは、それぞれ支点26a,26bを中心に回動可能に引張ばね23a,23bによって固定される。通常は、引張ばね23a,23bが縮まる方向に働く弱めの力によってストッパー24a,24bのそれぞれの一方の端部が引っ張られ、ストッパー24a,24bのそれぞれの他方の端部が縦溝25の取出口27を閉じることで、蛍光管1が落下しないようになっている。そして、蛍光管1を廃棄処理装置へ投入するときには、縦溝25の最下部に位置する蛍光管1をチャック等の保持具で下方へ引っ張るようにする。この引張力によって、引張ばね23a,23bを引き伸ばす方向へ力がかかり、ストッパー24a,24bが支点26a,26bを中心に回動して取出口27が開き、蛍光管1が取り出される。その後、ストッパー24a,24bは引張ばね23a,23bの引張力によって元の位置に引き戻される。縦溝25の下2番目から上に位置する蛍光管は、自然落下してストッパー24a,24bに支持される。
【0020】
図7の拡大正面図に示すように、縦溝25は、その幅aが、蛍光管投入ホッパー11に積み重ねられた複数品種の蛍光管1の最大外径よりも大きく、その幅の1/2が複数の蛍光管の最小外径よりも小さくなるように設定される。一例として、蛍光管1の外径を1.8〜3.0mmとし、縦溝25の幅aを3.0mmよりも若干広い幅とする。縦溝25の幅aが複数品種の蛍光管の最大外径よりも大きいことから、全ての品種の蛍光管が縦溝25に入ることになる。また、縦溝25の幅aの1/2が蛍光管の最小外径よりも小さいことから、蛍光管が縦溝25の中で真横に2本並ぶことはあり得ず、縦溝25の最下部には蛍光管が必ず1本だけストッパー24a,24bで支えられることになる。
【0021】
したがって、本実施の形態によれば、複数の蛍光管を積み重ねた状態で支持する支持部材21の底部に傾斜を設けるとともに、傾斜の最下部に蛍光管が1本ずつ入る幅の縦溝25を設けたことで、品種が異なる蛍光管であっても縦溝25の最下部に位置する取出口27から1本ずつ取り出せるので、蛍光管の品種に応じた何らかの調節を不要にすることができる。これによって、蛍光管投入の工程を完全に自動化を図ることができ、もって蛍光管投入から廃棄処理までの工程を自動化することができる。
【0022】
本実施の形態によれば、縦溝25の幅を蛍光管の最大外径よりも大きく、その幅の1/2を蛍光管の最小外径よりも小さくしたことで、異品種の蛍光管を混入させたとしても縦溝25の中で蛍光管が真横に2本並ぶことはないので、蛍光管を取出口27から1本ずつ確実に取り出すことができる。
【0023】
本実施の形態によれば、引張ばね23a,23bによりストッパー24a,24bを回動可能に固定し、縦溝25の最下部に位置する蛍光管に下方への引張力が働いたときにその引張力によって蛍光管の取出口27が開くようにしたことで、ストッパー24a,24bを駆動する何らかの動力が不要となるので、蛍光管投入ホッパーを小型化することができる。
【0024】
本実施の形態によれば、支持部材21の傾斜の形状を逆ハの字型にしたことで、積み重ねられた蛍光管が縦溝25に順次入っていくようにすることができる。
【0025】
本実施の形態によれば、板状の支持部材21により蛍光管を軸方向の最低2箇所で支持することで、蛍光管投入ホッパーを従来のものと比較して小型にでき、もって省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施の形態における蛍光管の廃棄処理の工程を示す図である。
【図2】上記廃棄処理工程のタイムスケジュールを示す図である。
【図3】上記実施の形態における蛍光管の廃棄処理装置の概略的な構成を示す正面図である。
【図4】上記廃棄処理装置に適用された蛍光管投入ホッパーの構成を示す平面図である。
【図5】上記蛍光管投入ホッパーの構成を示す側面図である。
【図6】上記蛍光管投入ホッパーの構成を示す正面図である。
【図7】上記蛍光管投入ホッパーにおける縦溝の構成を示す拡大正面図である。
【図8】従来の蛍光管投入ホッパーの構成を示す側面図である。
【図9】従来の蛍光管投入ホッパーの構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…蛍光管
2…ガラスバルブ
3a,3b…電極
4a,4b…リード線
11…蛍光管投入ホッパー
12…電極切断部
13,15…水銀吸着装置
14…吸引装置
16…粉砕機
21…支持部材
23a,23b…引張ばね
24a,24b…ストッパー
25…縦溝
27…取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蛍光管を積み重ねた状態で支持する支持部材と、
前記支持部材の底部に設けられた傾斜と、
前記傾斜の最下部に蛍光管が1本ずつ入る幅で設けられた縦溝と、
前記縦溝の下部に位置する蛍光管の取出口を開閉可能に設けられたストッパーと、
を有することを特徴とする蛍光管投入ホッパー。
【請求項2】
前記縦溝は、その幅が蛍光管の最大外径よりも大きく、その幅の1/2が蛍光管の最小外径よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の蛍光管投入ホッパー。
【請求項3】
前記ストッパーは、縦溝の最下部に位置する蛍光管に下方への引張力が働いたときにその引張力により回動して取出口を開くことを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光管投入ホッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−168984(P2006−168984A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367965(P2004−367965)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】