説明

蛍光X線分析装置

【課題】合金化溶融亜鉛めっき鋼板における組成が深さ方向に不均一なめっき被膜の付着量および組成を十分正確に分析できる蛍光X線分析装置を提供する。
【解決手段】所定の入射角φで試料1に1次X線6を照射するX線源7と、所定の取り出し角α,βで試料1から発生する蛍光X線8の強度を測定する検出手段9とを備え、前記入射角φと取り出し角α,βの組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せで蛍光X線8の強度を測定し、蛍光X線8の強度が測定対象膜の付着量を増大させたときの上限値の99%となる付着量で示される測定深さについて、前記2つの組合せでの測定深さがいずれも前記めっき被膜3の付着量よりも大きくなるように、各組合せにおける入射角φおよび取り出し角α,βが設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板におけるめっき被膜の付着量および組成を分析する蛍光X線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光X線分析で亜鉛めっき鋼板におけるめっき被膜の付着量および組成を分析する技術がある(特許文献1〜5参照)。これらの従来技術では、以下に述べるような考えに基づいて、1次X線の入射角と蛍光X線の取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せで蛍光X線の強度を測定している。
【0003】
一般に、測定対象膜の付着量を増大させると、得られる蛍光X線の強度も増すが、上限値が存在し、無限厚強度と呼ばれている。ある組成の測定対象膜に対し、1次X線が所定の波長分布をもつX線源および所定の波長の蛍光X線を検出する検出手段からなる測定系において、1次X線の入射角および蛍光X線の取り出し角が設定されると、その測定系によって測定対象膜を測定できる深さが決まる。この測定深さは、蛍光X線の強度が前記上限値つまり無限厚強度の99%となる付着量で示される。
【0004】
そこで、測定深さの相異なる2つの測定系によりめっき被膜における異なる深さから異なる情報(蛍光X線強度)を得て、めっき被膜の付着量および組成を分析するのであるが、従来技術では、測定深さの浅い方の測定系について、測定深さがめっき被膜の付着量よりも小さくなるように入射角および取り出し角を設定することにより、下地鋼板からの情報を除外し、測定深さの浅い方の測定系で得られた蛍光X線強度のみに基づいて、めっき被膜の組成を決定している。
【特許文献1】特開昭58−223047号公報
【特許文献2】特開昭55−24680号公報
【特許文献3】特開昭60−236052号公報
【特許文献4】特開平2−257045号公報
【特許文献5】特開平4−232448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、測定系が得る蛍光X線の強度は、蛍光X線の発生位置が深いほど小さくなる、つまり、測定系の測定感度は、対象部位が深いほど低くなることから、従来技術における測定深さの浅い方の測定系では、表面から起算して付着量が測定深さになる位置から下のめっき被膜および下地鋼板に対して測定感度はなく、めっき被膜の浅い(表面に近い)部位に対する測定感度とめっき被膜の深い(下地鋼板に近い)部位に対する測定感度との差が大きい。このような従来技術では、めっき被膜の浅い部位からの蛍光X線強度のみにほとんど基づいて、めっき被膜の組成を決定することになるため、組成が深さ方向に均一なめっき被膜を有する鉄と亜鉛の電気合金めっき鋼板などについては正確な分析ができるが、組成が深さ方向に不均一なめっき被膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板については十分正確な分析ができない。
【0006】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、合金化溶融亜鉛めっき鋼板における組成が深さ方向に不均一なめっき被膜の付着量および組成を十分正確に分析できる蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、組成が深さ方向に不均一なめっき被膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を試料とし、前記めっき被膜の付着量および深さ方向についての平均的な組成を分析する蛍光X線分析装置であって、所定の入射角で試料に1次X線を照射するX線源と、所定の取り出し角で試料から発生する蛍光X線の強度を測定する検出手段とを備えている。そして、前記入射角と取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せで蛍光X線の強度を測定する。ここで、蛍光X線の強度が測定対象膜の付着量を増大させたときの上限値の99%となる付着量で示される測定深さについて、前記2つの組合せでの測定深さがいずれも前記めっき被膜の付着量よりも大きくなるように、各組合せにおける入射角および取り出し角が設定されている。
【0008】
本発明によれば、1次X線の入射角と蛍光X線の取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せ、つまり2つの測定系において、測定深さがいずれもめっき被膜の付着量よりも大きくなるように、入射角および取り出し角が設定されているので、測定深さの浅い方の測定系でも、めっき被膜の深い部位に対して測定感度があり、めっき被膜の浅い部位に対する測定感度とめっき被膜の深い部位に対する測定感度との差が従来よりも小さい。したがって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板における組成が深さ方向に不均一なめっき被膜の付着量および組成を十分正確に分析できる。
【0009】
本発明においては、前記2つの組合せの一方での測定深さが前記めっき被膜の付着量の1.5倍以上であり、他方での測定深さが前記一方での測定深さの2倍以上であることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記めっき被膜の上に単数または複数のコーティング膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を試料とし、前記コーティング膜に含まれる元素から発生する蛍光X線の強度を測定する検出手段を備え、前記めっき被膜の付着量および深さ方向についての平均的な組成と同時に前記コーティング膜の付着量および/または組成を分析することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態の蛍光X線分析装置について、図にしたがって説明する。図1に示すように、この装置は、下地鋼板2上に組成が深さ方向に不均一なめっき被膜3を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板1が試料として試料台5に載置され、前記めっき被膜3の付着量および深さ方向についての平均的な組成を分析する蛍光X線分析装置であって、所定の入射角φ、ここでは90度で試料1に1次X線6を照射するRh ターゲットのX線管などのX線源7と、所定の取り出し角α、βで試料1から発生する蛍光X線8の強度を測定する複数の検出手段9と、検出手段9からの出力を受けてめっき被膜3の付着量および組成を算出するコンピューターなどの算出手段12とを備えている。
【0012】
検出手段9は、それぞれ所定の波長の蛍光X線8を検出するように分光素子10、検出器11および図示しない波高分析器で構成され、前述したRh ターゲットのX線管で1次X線6が所定の波長分布をもつX線源7とともに、測定系13を構成する。なお、分光素子10および検出器11は、1組ずついわゆる固定ゴニオメータに設置されている。
【0013】
本発明では、まず前述した従来技術と同様に、めっき被膜3の付着量および組成の分析のために前記入射角と取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せで蛍光X線8の強度を測定するが、これに対応すべく、この実施形態の装置では、めっき被膜3の付着量および組成の分析のために4つの測定系13A,13B,13C,13Dを備えており、X線源7および1次X線6の入射角φ(90度)は共通である。
【0014】
そして、Fe に関し測定深さの浅い方の測定系13Aでは、蛍光X線8Aの取り出し角α1が設定され、Fe に関し測定深さの深い方の測定系13Bでは、蛍光X線8Bの取り出し角α2が設定されている。同様に、Zn に関し測定深さの浅い方の測定系13Cでは、蛍光X線8Cの取り出し角β1が設定され、Zn に関し測定深さの深い方の測定系13Dでは、蛍光X線8Dの取り出し角β2が設定されている。測定する蛍光X線8の線種や取り出し角α、βの数値については後述する。なお、本発明では、測定元素ごとに、1次X線の入射角と蛍光X線の取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せ、つまり2つの測定系を設けるにあたり、入射角と取り出し角の両方が相異なるようにしてもよいし、入射角と取り出し角のいずれか一方が相異なるようにしてもよい。
【0015】
さらに、この実施形態の装置では、前記めっき被膜3の上にクロメート処理によるコーティング膜4を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板をも試料1とすべく、前記コーティング膜4に含まれる元素つまりCr から発生する蛍光X線8Eの強度を測定する検出手段9Eを備えているので、めっき被膜3の付着量および深さ方向についての平均的な組成と同時にコーティング膜4の付着量を分析することもできる。このようなコーティング膜4としては、他に燐酸処理によるものが挙げられる。
【0016】
コーティング膜4の付着量の分析のための1つの検出手段9Eも、所定の波長の蛍光X線8Eを検出するように分光素子10E、検出器11Eおよび図示しない波高分析器で構成され、前述したRh ターゲットのX線管で1次X線6が所定の波長分布をもつX線源7とともに、1つの測定系13Eを構成する。なお、この装置では、コーティング膜の組成が既知で付着量のみ分析するが、2元素で構成されるコーティング膜の付着量および組成を分析する場合には、測定系は、それぞれ所定の波長の蛍光X線を検出するように2つ必要になる。その際、2組の分光素子および検出器は、1組ずついわゆる固定ゴニオメータに設置してもよいし、1組の分光素子と検出器が連動されるように走査型のゴニオメータに設置してもよい。また、重ねて設けられた複数種のコーティング膜を分析する場合には、測定対象の元素の数に応じて測定系を増設する。
【0017】
さて、めっき被膜3の付着量および組成の分析に関し、測定する蛍光X線8の線種や取り出し角α、βの数値について以下に詳細に検討する。図2(a)に示すように、試料である合金化溶融亜鉛めっき鋼板1は、下地鋼板2上に組成が深さ方向に不均一なめっき被膜3を有している。めっき被膜3は、下側からΓ相3a、δ1相3b、ζ相3cの3つの相に分かれ、各相の組成は相異なっている。めっき被膜3から発生する蛍光X線について、めっき被膜3の深さ方向に対する測定元素の単位重量あたりの感度は、深くなるにつれて指数関数的に低くなる。
【0018】
その様子を示した概念図が図2(b)であり、曲線(1)は測定深さがめっき被膜の付着量と同じ場合について、曲線(2)は測定深さがめっき被膜の付着量よりも大きい場合について、深さと測定感度の関係を示している。ただし、Zn を測定する場合には、曲線(2)の場合でもZn を含まない下地鋼板2からは測定されない。
【0019】
曲線(1)の場合、Γ相3aの単位重量から発生した蛍光X線に対する測定感度は、δ1相3bやζ相3cの単位重量から発生した蛍光X線に対する測定感度よりもはるかに低い。これに対し、曲線(2)の場合は、Γ相3aに対する測定感度は、やはりδ1相3bやζ相3cに対する測定感度よりも低いものの、曲線(1)の場合ほど両測定感度の差は大きくない。つまり、組成が深さ方向に不均一なめっき被膜3における浅い側のδ1相3bやζ相3cからの蛍光X線強度のみにほとんど基づいて、めっき被膜3の組成を決定してしまわないように、測定深さは深い方が望ましい。
【0020】
そこで、本発明では、測定元素ごとに、1次X線の入射角と蛍光X線の取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せ、つまり2つの測定系において、測定深さがいずれもめっき被膜の付着量よりも大きくなるように、したがって測定深さの浅い方の測定系でも測定深さがめっき被膜の付着量よりも大きくなるように、入射角および取り出し角が設定される。
【0021】
この実施形態の装置では、図1に示したように、めっき被膜3の付着量および組成の分析のために4つの測定系13A,13B,13C,13Dを備えているが、X線源7および1次X線6の入射角φ(90度)は共通であるので、Fe に関し測定深さの浅い方の測定系13Aでの取り出し角α1、Fe に関し測定深さの深い方の測定系13Bでの取り出し角α2、Zn に関し測定深さの浅い方の測定系13Cでの取り出し角β1、Zn に関し測定深さの深い方の測定系13Dでの取り出し角β2の設定が問題となる。
【0022】
そこで、以下のような条件で測定強度を理論計算し、分析誤差を評価すべく表1、表2にまとめた。表1、表2の基準の条件として、めっき被膜の付着量:46.8g/m、めっき被膜のFe 含有率:11.4%、Γ相の付着量:7.4g/mおよびFe 含有率:24.0%、δ1相の付着量:37.7g/mおよびFe 含有率:9.2%、ζ相の付着量:1.7g/mおよびFe 含有率:5.8%、α2=β2=40度、α1,β1=5,10,20度、Fe の測定線:Fe −Kα、Zn の測定線(測定深さの深い方の測定系13D):Zn −Kβ、Zn の測定線(測定深さの浅い方の測定系13C):Zn −Kα。
【0023】
なお、測定強度から付着量および組成を求めるFP法においては、下記の強度比I,Iを用いている。ここで、例えば、添字Zn −Kβ(H) は、測定深さの深い方、つまり高角度(High)側の測定系でのZn −Kβの強度であることを示し、添字Zn −Kα(L) は、測定深さの浅い方、つまり低角度(Low)側の測定系でのZn −Kαの強度であることを示している。
【0024】
=IZn −Kβ(H) /IFe −Kα(H)
【0025】
=IZn −Kα(L) /IFe −Kα(L)
【0026】
表1の条件としては、Γ相の付着量:7.4g/m(標準量)およびFe 含有率:24.0%(標準量)、δ1相の付着量:39.4g/m(ζ相を減じた分だけ標準量から増加)およびFe 含有率:9.05%、ζ相の付着量:0g/m。表2の条件としては、Γ相の付着量:3.7g/m(標準量の半分)およびFe 含有率:24.0%(標準量)、δ1相の付着量:41.4g/m(Γ相を減じた分だけ標準量から増加)およびFe 含有率:10.5%、ζ相の付着量:1.7g/m(標準量)およびFe 含有率:5.8%(標準量)。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
Γ相、δ1相、ζ相の付着量(厚さ)の比率に関し、表1、表2のいずれの場合でも、測定深さの浅い方、つまり低角度側の測定系13A,13Cでの取り出し角α1,β1が、5度、10度、20度と大きくなるほど分析誤差が小さいことが分かる。
【0030】
なお、Zn に関し測定深さの深い方、つまり高角度側の測定系13Dで、Zn −Kαに代えてZn −Kβを測定線としたのは、測定深さをより深くするためである。また、強度比I,Iを用いたのは、高角度側と低角度側との測定深さの差が実質的により大きくなる効果があり、オンライン測定などにおいて試料表面が上下し、測定系との距離が変化する場合に、その影響が低減されるからである。ただし、そのような効果を求めないのであれば、強度比I,Iの代わりに、強度IZn −Kβ(H) ,IZn −Kα(L) そのものを用いて、FP法で付着量および組成を求めることもできる。
【0031】
次に、測定線Zn −Kβ,Zn −Kαの測定深さについて検討する。めっき被膜の組成(Fe 含有率:11.0%)が深さ方向に均一とし、高角度側取り出し角β2=40度、低角度側取り出し角β1=5,10,20度として、めっき被膜から発生する蛍光X線の理論強度を計算して測定深さを求め、表3、表4にまとめた。
【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
前述したように、この装置では、測定深さの浅い方、つまり低角度側の測定系でも測定深さがめっき被膜の付着量よりも大きくなるように取り出し角を設定する。通常の合金化溶融亜鉛めっき被膜の付着量は、30〜90g/mであるから、表3の高角度側の40度は問題なく、表4の低角度側では20度のみがこの条件を満たし、測定深さがめっき被膜の付着量の少なくとも1.7倍になる(159÷90≒1.77)。
【0035】
一方、高角度側の取り出し角と低角度側の取り出し角とが接近し過ぎると、両測定系での吸収特性の差が小さくなり過ぎて、わずかの強度変化でも分析値が大きく変化し、分析誤差が大きくなって実際の測定では測定精度として現れる。この観点からは、高角度側の取り出し角と低角度側の取り出し角との差は大きい方がよい。表3の高角度側の40度での測定深さは、表4の低角度側の20度での測定深さの2倍になっている(325÷159≒2.04)。この取り出し角の組合せで、以下のような十分に高い測定精度が得られた。めっき被膜の付着量(Zn −Fe 付着量):50g/mについて測定精度:0.05g/m。めっき被膜の組成(Fe 含有率):11.0%について測定精度:0.03%。
【0036】
測定線Fe −Kαについては、下地鋼板から発生したものも測定されるので、上述したZn −Kβ,Zn −Kαと同様の手法で測定深さを求めることはできないが、同じ取り出し角ならZn −Kαとほぼ同じ測定深さとなることから、Zn の測定系と同じ取り出し角に設定して問題ない。
【0037】
以上まとめると、本発明においては、測定元素ごとについて、1次X線の入射角と蛍光X線の取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せ、つまり2つの測定系において、一方での測定深さがめっき被膜の付着量の1.5倍以上であり、他方での測定深さが前記一方での測定深さの2倍以上であることが好ましい。この実施形態の装置では、例えば測定元素Zn について、図1の2つの測定系13C,13Dにおいて、一方13Cでの測定深さがめっき被膜3の付着量の少なくとも1.7倍であり、他方13Dでの測定深さが前記一方13Cでの測定深さの2倍である。
【0038】
さて、前述したように、この実施形態の装置では、めっき被膜3の上にクロメート処理によるコーティング膜4を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板をも試料1として、コーティング膜4の付着量を分析するために、コーティング膜4に含まれる元素つまりCr から発生する蛍光X線8Eの強度を測定する1つの検出手段9Eを備えており、X線源7とともに1つの測定系13Eを構成している。
【0039】
この測定系13Eにおける取り出し角γ1であるが、めっき被膜3上に施されるコーティング膜4は、めっき被膜3に比べて薄く、また測定元素がFe ,Zn 以外であるので、取り出し角γ1の制限は少なく、一般的な取り出し角(20〜45度程度)でよい。めっき被膜3からのFe ,Zn のK線は、コーティング膜4ではほとんど吸収されないから、めっき被膜3の付着量および深さ方向についての平均的な組成と同時にコーティング膜4の付着量を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図2】(a)は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の詳細な構造図、(b)は、めっき被膜の深さ方向に対して測定感度が変化する様子を示した概念図である。
【符号の説明】
【0041】
1 試料(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)
3 めっき被膜
4 コーティング膜
6 1次X線
7 X線源
8 蛍光X線
9 検出手段
α,β 取り出し角
φ 入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成が深さ方向に不均一なめっき被膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を試料とし、前記めっき被膜の付着量および深さ方向についての平均的な組成を分析する蛍光X線分析装置であって、
所定の入射角で試料に1次X線を照射するX線源と、
所定の取り出し角で試料から発生する蛍光X線の強度を測定する検出手段とを備え、
前記入射角と取り出し角の組合せにおいて少なくとも一方が相異なる2つの組合せで蛍光X線の強度を測定し、
蛍光X線の強度が測定対象膜の付着量を増大させたときの上限値の99%となる付着量で示される測定深さについて、前記2つの組合せでの測定深さがいずれも前記めっき被膜の付着量よりも大きくなるように、各組合せにおける入射角および取り出し角が設定されている蛍光X線分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記2つの組合せの一方での測定深さが前記めっき被膜の付着量の1.5倍以上であり、他方での測定深さが前記一方での測定深さの2倍以上である蛍光X線分析装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記めっき被膜の上に単数または複数のコーティング膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を試料とし、
前記コーティング膜に含まれる元素から発生する蛍光X線の強度を測定する検出手段を備え、
前記めっき被膜の付着量および深さ方向についての平均的な組成と同時に前記コーティング膜の付着量および/または組成を分析する蛍光X線分析装置

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−108165(P2007−108165A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217163(P2006−217163)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000250351)理学電機工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】