説明

蛍光X線水質計、および水質管理システム

【課題】
多元素同時分析を可能とし、運転に必要とされる洗浄作業や消耗品交換の保守作業を低減し、測定データをオンライン伝送する水質管理システムにも好適な蛍光X線水質計を提供する。
【解決手段】
測定試料の一部は脱泡槽14の下部からノズル13に導かれ、大気中に噴出することでセル等を用いずに流束を形成し、X線発生素子5からX線を投影する。陰極電圧可変用電源装置6はX線発生素子5が発生するX線のエネルギーが測定目的の元素に固有の蛍光X線エネルギーより大きくなるように調整され、流束から放射される固有の蛍光X線を半導体X線検出素子7で検出し、信号処理装置9で処理することで測定試料中に含まれる複数の元素を同時に測定し、その測定データを管理センターに伝送することで水質管理システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光X線水質計、更にはこの蛍光X線水質計を用いた上水道等の水質管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光X線による元素分析は固体表面に対して適用される事例が殆どであり、その装置も検出器の冷却に液体窒素を必要とするため、液体窒素を定期的に補給し続けなければならない事例や、保守及び操作等の必要性から設置場所が限られ、設置や運用に係わるコストが削減できない事例が多く、その応用には多くの困難があった。
【0003】
また、従来のオンライン水質計は、測定に必要な試薬の補給や測定試料が流れる流路の汚れを除去する等の保守作業も必要である。
【0004】
このような背景にあって、例えば特許文献1には、配水施設に好適な水質計、およびその水質計を組合わせた水質管理システムが提案されている。この水質監視システムにおいては、事業者側配管網の系統毎に水質計を設置して、系統毎の水質を連続的もしくは一定周期で測定してデータ伝送する構成としているが、監視項目を増やすためには目的とする元素に対応したオンライン用水質計を組合わせなければならない。
【0005】
一方、需要家における配水の水質測定手段としては、手分析による水質測定またはポータブル水質計でのオフライン計測も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-61447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術では、分析装置の大きさによる設置条件の制約や、保守や操作に関わる作業量削減に限界があり、このような分析装置の限界はオンライン監視の用途に適用する上でも制約となり、その普及を図るにはコスト面での改善も望まれている。
【0008】
本発明の目的は、蛍光X線分析による多元素同時分析を上水や環境水に対して実施可能とし、運転に必要とされる洗浄作業や消耗品交換の保守作業を低減し、測定データをオンライン伝送するにも好適な蛍光X線水質計を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、複数の異なる測定場所の水質を連続的もしくは周期的に測定し、目的の成分とされる元素の濃度等を集中管理するに好適な水質管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明の主な特徴は、気体もしくは液体の相に測定試料を噴出して液体の流束を形成するノズルと、この液体の流束に向けてX線を放射するX線発生素子と、前記流束からの蛍光X線を検出する半導体X線検出器とを設けることにより、前記測定試料の流束を形成するためのセルを不要とし、かつ、前記半導体X線検出器からの信号をデジタル化して演算処理する信号処理装置とを備えることにより、前記測定試料中に含まれる複数の元素を同時に測定可能にしたことにある。
【0011】
本発明の前記他の目的を達成するための特徴は、配水施設を介して配水される各所の水質を監理するする水質管理システムにおいて、前記主な特徴を成す蛍光X線水質計を前記各所に配置し、当該各所に配置された蛍光X線水質計の処理信号を公衆回線もしくは無線回線を介して管理センターに送信する送信手段を備えることにより、本発明における蛍光X線水質計の特徴を生かした水質の集中管理を可能にしたことにある。
【0012】
本発明の更なる具体的な目的および特徴については、以下述べる実施の形態で明らかにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上水や環境水に対する多元素同時分析が可能となり、このための運転に必要とされる洗浄作業や消耗品交換の保守作業等をも低減しすることが出来、このような蛍光X線水質計を用いて水質管理システムを構成することにより、多数の測定場所の水質を連続的もしくは周期的に測定し、目的の成分とされる元素の濃度等を容易に集中管理することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る蛍光X線水質計の基本構成図。
【図2】本発明の一実施例に係る蛍光X線水質計の流路部の詳細図。
【図3】本発明の一実施例に係る蛍光X線水質計の信号処理部のブロック図。
【図4】本発明の一実施例に係る蛍光X線水質計の信号処理及び表示画面の説明図。
【図5】本発明の一実施例に係る水質監視システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図示する一実施例を用いて説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例に係る蛍光X線水質計の基本的な構成を示す図である。
測定試料は上水管路1から分岐した枝管から採取され閉止弁2を経て水質計に導入される。通常測定時は測定試料が切替弁3によりイオン交換樹脂4を通過せずに脱泡槽14に導かれるが、この時測定試料に含まれる気泡は脱泡槽14の上部に浮上して大気開放されて除去される。
【0017】
測定試料の一部は脱泡槽14の下部から重力の向きに対して下向きに配置されたノズル13に導かれ、大気中に噴出して流束を形成する。流束の形状はノズル13から離れるに従い乱れるが、X線が投影されるのに十分となる一定の形状を保持するように調整される。測定に供した後の流束は外部に排水される。上水管路1の圧力変化により流束が乱れることを防ぐため、脱泡槽14の上部から測定試料の一部をオーバーフローさせて水面の高さを一定とし、ノズル13との落差が一定になるように配置する。励起を目的とするX線は陰極電圧可変用電源装置6によって駆動されるX線発生素子5により測定試料に投影される。
【0018】
X線発生素子5が小型陰極管の場合、測定の目的とする元素の蛍光X線のエネルギーに応じて陽極の材料を選ぶ必要があり、鉄(FeKab=7.111keV)を測定する場合は、ジルコニウム(ZrKα=15.730keV)またはゲルマニウム(GeKα= 9.870keV)(Kα1とKα2エネルギーの平均)を使用する。X線発生素子として焦電性結晶で構成されることを特徴とするX線発生素子を用いる場合もある。
【0019】
陰極電圧可変用電源装置6はX線発生素子5が発生するX線のエネルギーが測定試料に含まれて、測定の目的とする元素に固有の蛍光X線のエネルギーより大きくなるように調整される。測定の目的とする元素にX線が投影されると元素は励起され固有の蛍光X線を放射するため、これを半導体X線検出素子7で電気信号に変換することにより検出する。
【0020】
半導体X線検出素子7はバイアス可変用電源装置8により高電圧が印加してされていて蛍光X線が入射するとパルス状の電気信号を生じるため、信号処理装置9において演算処理し、表示器10に演算結果を表示するとともに出力装置11からデジタル信号および電流信号に変換して出力される。商用電源を供給元とする電源は電源部8から蛍光X線水質計を構成する夫々の電子装置に供給されるが、供給元がバッテリ等の2次電池による場合もある。
【0021】
図2は本発明の一実施例として、励起を目的とするX線が測定試料に投影されるように保持する流路部の構造を示す図である。
【0022】
前記脱泡槽14から導かれた測定試料は、供給口31から給水流路34を経て重力の向きに対して下向きになるように方向を変えてノズル13から大気中に噴出して流束を形成する。これにより、半導体X線検出素子7と測定試料の流束との間に測定セルや透過膜を設ける必要がなくなるため、蛍光X線の減衰を最小にすることができる。
【0023】
また、同時に測定試料に混入している汚れの付着や測定セルや透過膜の劣化による測定への影響がないため、洗浄や部品交換の保守作業等を大幅に低減することができる。
【0024】
大気中の気体が影響する場合はX線に対して透明と見なせる気体を充満させる場合もある。流束の形状はノズル13から離れるに従い乱れるが、X線発生素子5と半導体X線検出素子7は、X線が測定試料に投影される十分な距離を保持し、なおかつ蛍光X線の減衰が最小となる位置を保持するように給水流路34に固定されている。
【0025】
また、参照板36は成分元素が既知の材料で、励起を目的とするX線が投影されると、その成分元素に固有の蛍光X線を放射し、半導体X線検出器7に入射するように配置される。測定に供した後の測定試料の流束は排水流路35で回収され排水口33から外部に排水される。排水流路35の口径はノズル13および測定試料の流束の口径より1.5倍以上大きくなるようにする。
【0026】
図3は本発明の一実施例として、半導体X線検出素子7で蛍光X線を電気信号に変換して検出した信号を処理する信号処理装置のブロック図を示す。電気信号は結合コンデンサ52により直流成分を除いたパルス成分を微分して前段増幅器54に入力し、振幅を増幅する。増幅されたパルス成分は波形成形アンプ55によりパルス幅を調整される。
【0027】
マルチチャンネルアナライザ56はパルスの波高(後述のスペクトルのピークと区別するため、電気信号のピークを波高とする)を検出し、その波高値に応じて弁別してカウント信号を発生させ、積算することにより、各波高値に対応する単位時間当たりのカウント数を出力する。
【0028】
演算装置57は弁別した各波高値に対応する単位時間当たりのカウント数、および測定が行われた日付時刻をカレンダ装置58から読出して付加し、保存記録装置59に記録保存する。パルスの波高はX線のエネルギーに応じる性質から、各波高値に対する単位時間当たりのカウント数をヒストグラムとして表すことにより、横軸をエネルギーとするスペクトルを得ることができる。測定時には演算装置57において測定の目的とする元素の濃度が演算処理され、表示器10に演算結果を表示するとともに出力装置11からデジタル信号および電流信号に変換して出力される。
【0029】
ある波高に弁別されるパルスが単位時間当たりに検出される回数を計数し、横軸を波高、すなわちX線のエネルギーにとったヒストグラムに表わして得られたスペクトルには、元素に対応するエネルギーの位置にピークが現れるので、ピークが現れたエネルギーの位置から含まれている元素を判断することができる。また、ピークの高さもしくは面積は含まれる元素の濃度に比例するため、あらかじめ元素の種類と濃度が既知の比較参照のピークを記録しておき、その比較参照のピークの波形の高さもしくは面積を解析することにより測定試料に含まれる元素の種類を判別し、なおかつ測定試料に含まれる元素の濃度を計算することができる。
【0030】
このときの蛍光X線の強度は各種外乱要因で一定ではなく、更に目的とする元素以外の元素から放射される特性X線が含まれるため、スペクトルはこれらのピークを合成したスペクトルになる。そのため、そのままでは目的とする元素のピークの高さや面積を求めることができない。解決する手段として、目的とする元素から放射される複数の特性X線はそれぞれエネルギーが異なるが含まれる比率が決まっている性質を用いて補正処理する。
【0031】
図4は本発明の一実施例として、測定試料のスペクトルと比較参照のスペクトルとから補正を行う処理を説明し、なおかつ表示器10に表示される表示画面を説明する図である。補正処理は図3の保存記録装置59に保存された測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41と、測定対象の元素の濃度が未知の測定試料のスペクトル42とを演算装置57に読出して行なう。
【0032】
測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41は、あらかじめ測定の目的とする元素が含まれる濃度が既知の基準試料を本発明による蛍光X線水質計に供給してスペクトルを得て、図3の保存記録装置59に保存した1点以上の検量線データである。測定時に得られる測定対象の元素の濃度が未知の測定試料のスペクトル42は、各種外乱要因の影響を受けて測定対象の元素に由来するエネルギー45のピークと、測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41の測定対象の元素に由来するエネルギー45のピークとをそのまま比較することができない。
【0033】
解決する手段として、測定対象の元素の濃度が未知の測定試料のスペクトル42および測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41にそれぞれ含まれる参照板の材質の元素に由来するエネルギー44のピークの高さと面積が一致するように、測定対象の元素の濃度が未知の測定試料のスペクトル42に含まれる全てのピークの高さと面積を補正すると、測定対象の元素の濃度が未知の測定試料の補正後のスペクトル43を得るので図3の保存記録装置59に記録保存する。
【0034】
測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41、および測定対象の元素の濃度が未知の測定試料の補正後のスペクトル43には、参照板の材質の元素に由来するエネルギー44のピークが残っている。そのため、あらかじめ図1の切替弁3を操作してイオン交換樹脂4を通過させて測定の目的とする元素を含まない純水を測定試料として本発明による蛍光X線水質計に供給してスペクトルを得て、図3の保存記録装置59に保存しておき、このバックグランド(ゼロ基準試料)のスペクトルにも含まれる参照板の材質の元素に由来するエネルギー44のピークで補正を行い、測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル41、および測定対象の元素の濃度が未知の測定試料の補正後のスペクトル43からバックグランドのスペクトルを差引いて取除く。
【0035】
補正処理されたスペクトルのピークの高さもしくは面積と、あらかじめ記録されたスペクトルのピークの高さもしくは面積と、を比較処理して目的とする元素の濃度を演算出力する。演算出力にはカレンダ装置58の日付時刻を付加して保存記録装置59に保存し、演算装置57に接続された表示器10に演算出力を表示するように構成し、測定の目的とする測定試料に含まれる元素の種類と濃度を知ることができるようにする。
【0036】
また、演算出力は演算装置57に接続された出力装置11から電流変換されて伝送される。出力装置11において変換されて伝送される電気信号は電圧変換された信号である場合もある。また、出力装置11において変換されて伝送される信号はデジタル信号である場合もある。伝送された信号電流は浄水場の制御装置で受信されて監視される。
【0037】
図5は本発明の一実施例として、以上述べた蛍光X線水質計を用いた水質監視システムの構成図である。
【0038】
河川、湖沼、井戸等の原水は浄水施設61により飲用に適した水質に浄化され、配水施設62に送られる。配水施設62は配水本管64、配水系統配管65、を経て水道事業所側配水管66、需要家側配水管67を通り、本発明による蛍光X線水質計68に入る。
【0039】
蛍光X線水質計68の出力は無線、有線、衛星等のメディアを通じて管理センタ63に送られ、そこで必要なデータ処理を行うことによって水質に突発的な汚染や異物が混入していないことを監視する。異常が発生した場合は取水停止や管路遮断等の処置を施すことが可能となり、浄水施設61や配水系統配管65を経由して需要者に健康被害等が波及することを防止する。
【0040】
また、管理センタ63では蛍光X線水質計68が設置された複数箇所の濃度の変化を時間変化で監視することにより、濃度変化が発生した場所(合流箇所や汚染源等)を探索することが容易となる。また、蛍光X線水質計68を複数箇所に設置することにより、濃度の変化を空間的位置関係で監視することにより、濃度変化が発生した場所を探索することが容易となり、異物混入や重金属汚染などの突発的事故の検出が可能となる効果がある。
【0041】
更に、管理センタ63では受信した元素濃度と測定した日付時刻とを設置箇所毎に記録保存すると共に、この記録保存された情報を時系列的にグラフ表示することで、管理下にある配水施設の水質を常に視覚的に監視することもできる。
【0042】
以上述べた本発明の実施例によれば、以下の効果が期待できる。
(1)小形で安価な多項目オンラインの蛍光X線水質計の供給。
(2)装置が小型であることにより、軽量化が可能となり、本体コスト、工事費も安くなるため大幅なコストダウンが可能となる。
(3)装置が小型になることにより、省電力化が可能となり遠隔山間地でも敷設可能な商用電灯電源で使用することが可能である。
(4)冷却材の液体窒素が不要のため保守工数の削減が可能となる。
(5)測定用試薬を使用しないため、排水には試薬成分を含まず、特殊な排水処理が不要となり、環境負荷低減および運転コストの削減が可能となる。
(6)測定試料が流れる流路に付着する細菌やバクテリア等の微生物による汚れの心配がなく、保守工数の削減が可能となる。
(7)スペクトル波形処理技術によりX線発生素子や検出器のドリフトを補正して測定するため、複数元素を長期間安定して同時測定することができる。
(8)リアルタイムで遠隔監視を可能とする蛍光X線水質計を実現することが可能となる。
(9)流体の蛍光X線分析の小型化が可能となり、流体の多項目連続測定が可能となる。
【0043】
更に具体的には、従来に比較して体積で約20分の1程度の小型化となるため、省電力および少水量で、測定試薬を含む排水を出さない水質計を実現することができる。従って、設置場所の制約が軽減され特別な配線や配管、排水処理は不要となり、工事費を大幅に削減できる。従って、水質監視システムの構築が非常に容易となり、その普及を促進することが期待できる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・上水管路
2・・・閉止弁
3・・・切替弁
4・・・イオン交換樹脂
5・・・X線発生素子
6・・・陰極電圧可変用電源装置
7・・・半導体X線検出素子
8・・・バイアス可変用電源装置
9・・・信号処理装置
10・・・表示器
11・・・出力装置
12・・・検出部
13・・・ノズル
14・・・脱泡槽
15・・・体積流量計
16・・・測定セル
17・・・ベリリウム窓
18・・・電源部
31・・・供給口
33・・・排水口
34・・・給水流路
35・・・排水流路
36・・・参照板
37・・・前段増幅器
38・・・バイアス可変用電源装置
41・・・測定対象の元素の濃度が既知の基準試料のスペクトル
42・・・測定対象の元素の濃度が未知の測定試料の補正前のスペクトル
43・・・定対象の元素の濃度が未知の測定試料の補正後のスペクトル
44・・・参照板の材質の元素に由来するエネルギー
45・・・測定対象の元素に由来するエネルギー
52・・・結合コンデンサ
53・・・バイアス可変用電源装置
54・・・前段増幅器
55・・・波形成形アンプ(SHAPING AMP)
56・・・マルチチャンネルアナライザ(MCA)
57・・・演算装置
58・・・カレンダ装置
59・・・保存記録装置
61・・・浄水施設
62・・・配水施設
63・・・管理センタ
64・・・配水本管
65・・・配水系統配管
66・・・水道事業者側配水管
67・・・需要家側配水管
68・・・蛍光X線水質計
69・・・アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体もしくは液体の相に測定試料を噴出して液体の流束を形成するノズルと、前記液体の流束に向けてX線を放射するX線発生素子と、前記流束からの蛍光X線を検出する半導体X線検出器と、前記半導体X線検出器からの信号をデジタル化して演算処理する信号処理装置とを備えることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項2】
第1項記載の蛍光X線水質計において、前記X線発生素子は光源が焦電性結晶で構成されることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項3】
第1項記載の蛍光X線水質計において、前記X線発生素子の陰極電圧を可変する電源装置を備え、当該陰極電圧を前記信号処理装置から制御することにより、特性X線の強度比を変えることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項4】
第1項記載の蛍光X線水質計において、前記半導体X線検出器のバイアス電圧を可変する電源装置を備え、当該バイアス電圧を前記信号処理装置から制御することにより、入射したX線に対する電気信号の感度を変えることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項5】
第1項記載の蛍光X線水質計において、前記X線発生素子から放射されたX線が前記流束を透過する位置に参照板を設けることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項6】
第1項記載の蛍光X線水質計において、前記信号処理装置は、前記半導体X線検出器からの信号を強度に応じて弁別してスペクトルを得る手段を有することを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項7】
請求項6記載の蛍光X線水質計において、前記スペクトルは、目的とする元素の濃度が既知の標準試料に由来する波形と前記参照板に由来する波形を含み、あらかじめ目的とする元素に対する比較参照に供することを目的とするスペクトルであることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項8】
請求項6記載の蛍光X線水質計において、前記スペクトルは、測定試料に由来する波形と前記参照板に由来する波形を含み、測定試料に含まれる元素を定量することを目的とするスペクトルであることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項9】
請求項6記載の蛍光X線水質計において、前記X線発生素子から放射されたX線が前記流束を透過する位置に参照板を設け、前記スペクトルは、参照板に由来する波形を含み、測定試料に含まれるバックグランドを補正することを目的とするスペクトルであることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項10】
請求項9記載の蛍光X線水質計において、前記各々のスペクトルを記録保存する記録装置を備え、記録保持されたスペクトルに含まれる前記参照板の特性X線のピークを比較処理することにより、目的とする元素に対応する特性X線のピークを補正する手段を有することを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項11】
請求項10記載の蛍光X線水質計において、前記記録保存されたスペクトルを比較処理することにより、目的とする元素に対応する特性X線のピークと比較参照のピークとを比較処理し、目的とする元素の濃度を計算する手段を有することを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項12】
第11項記載の蛍光X線水質計において、前記目的とする元素の濃度を、測定した日付時刻を付加して記録保存される手段と、前記目的とする元素の濃度、測定日付時刻を表示する表示手段とを備えることを特徴とする蛍光X線水質計。
【請求項13】
浄水施設で浄化された上水を配水施設を介して各所に配水するものであって、前記各所における水質を管理するする水質管理システムにおいて、請求項1記載の蛍光X線水質計を前記各所に配置し、当該各所に配置された蛍光X線水質計の処理信号を公衆回線もしくは無線回線を介して管理センターに送信する送信手段と、前記各所の蛍光X線水質計からの処理信号を集中管理する管理センターとを備えることを特徴とする水質管理システム。
【請求項14】
第13項記載の水質管理システムにおいて、前記管理センターは、前記各所の蛍光X線水質計からの処理信号受信し、受信した元素濃度と測定した日付時刻とを設置箇所毎に記録保存すると共に、当該記録保存された情報を時系列的にグラフ表示する上位監視装置を備えることを特徴とする水質管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−93151(P2012−93151A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239215(P2010−239215)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】