説明

融合性2成分スパンデックス

ポリウレタン尿素およびポリウレタン組成物を含有するようにスパンデックス繊維を溶液紡糸、例えば乾式紡糸または湿式紡糸などで加工することで生じさせた多成分弾性繊維を包含する。この繊維は限定可能な境界を有する少なくとも2つの個別の領域を含む横断面を有していて、その横断面の境界によって限定される少なくとも1つの領域にポリウレタン尿素またはポリウレタン組成物が含まれている。この繊維の1つの領域にこれ自身または基質との接着力を向上させる融合性向上用添加剤を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリウレタン尿素およびポリウレタン組成物を含有するように溶液紡糸方法、例えばスパンデックス紡糸などで生じさせた多成分弾性繊維を包含するが、この繊維は、限定可能な境界を有する個別の領域を少なくとも2つ含む横断面を有していて前記横断面の前記境界によって限定されている少なくとも1つの領域にポリウレタン尿素またはポリウレタン組成物が含まれている。この繊維の1つの領域に、これ自身または基質との接着力を向上させる融合性向上用添加剤を含有させる。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素(PUまたはPUU)弾性ヤーンは大きな伸び、引張りからの良好な回復を示しかつこれらから作られた製品、例えば横編、縦編、織布、不織物および他の繊維製品などに良好な適合性を与え得る。しかしながら、PUまたはPUU弾性ヤーンを含有させた製品では、繰り返される引き伸ばし、引っ掻き傷または裁断によってしばしば伝線、ほころびおよび巻き上がりの問題が引き起こされる。そのような問題には伝線様亀裂が含まれ、隙間が生じる可能性があり、弾性ヤーンが裁断縁の所で滑り出し、剥き出し、ほつれを起こす可能性があることで結果として布の巻き上がりが起こる可能性があり、それによって、製品の均一性および外観が悪化してしまう。裁断および縫製過程中にPUまたはPUU弾性ヤーンが繰り返される引き伸ばしの下で縫い目から引き離される現象が容易に起こり、それによって、布の伸縮性が失われ、これがいわゆる「スリップイン」または縫い目の滑りである。そのような影響はPUまたはPUUヤーン以外の弾性ヤーンにも起こるが、それは特にPUまたはPUU弾性ヤーンにとって重要である、と言うのは、それらは大きな伸縮能力を有するからである。その上、ある種の製品、特に靴下用途では蒸気もしくは熱による高い変形効率が必要とされる。
【0003】
熱で融合しかつ蒸気で変形し得るPUもしくはPUU弾性ヤーンを開発する努力がかなり払われてきている。ある種の高融合性のポリウレタン弾性フィラメントが特許文献1および2に開示されており、それは、ポリオールとジイソシアネートの反応で生じさせたイソシアネート末端プレポリマーをポリオールとジイソシアネートと低分子量ジオールの反応で生じさせたヒドロキシル末端プレポリマーと反応させることで合成した重合体を溶融紡糸することで作られたものである。その融合性PUフィラメントが示す融点は180℃以下である。そのPUフィラメントに150℃の乾式熱処理を100%引き伸ばした状態で45秒間受けさせることでそれらを重なり合う地点で互いにか或は他の弾性もしくは非弾性フィラメントと融合させることができた。しかしながら、そのようなPUフィラメントは融点が低いことから通常の消費者用途の下ではクリープに対して満足される耐熱性をもたらさず、それによって衣類が袋のように垂れてしまう。
【0004】
衣類製造中に融合し、蒸気で変形する能力を有しかつ現在入手可能な繊維が有する欠点の中の1つ以上を克服するように優れた引き伸ばし回復力を示す改良されたスパンデックスヤーンが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開番号2006/0030229A1
【特許文献2】米国特許出願公開番号2008/0032580A1
【発明の概要】
【0006】
本発明は、向上した機能性を有する多成分スパンデックス繊維の製品および製造方法に
関する。2成分紡糸工程で製造可能でありかつより大きな伸び/回復性能および熱回復力を示す溶媒紡糸ポリウレタンもしくはポリウレタン尿素を包含し、これに融合性が優れた添加剤を含有させることで、結果として融合用途で用いるに適する、例えば伝線およびヤーンの滑りが防止されることおよび接着力が高いことなどを示す融合性ヤーンを生じさせる。
【0007】
いくつかの態様における繊維は、横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物が含まれておりかつ弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物および少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸繊維である。
【0008】
この繊維は1本以上のフィラメント、例えば単一のモノフィラメント、二重(2本のフィラメント)、3本のフィラメントなどを有していてもよい。繊維が有するフィラメントが2本以上の場合、各フィラメントは領域が2つ以上存在する多成分横断面を含んでいてもよい。
【0009】
別の態様における布は、横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に少なくとも1種の弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素組成物またはこれらの混合物が含まれておりかつ少なくとも1種の弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素組成物またはこれらの混合物および少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸繊維を含有する布である。
【0010】
また、融合性の弾性多成分溶液紡糸繊維の製造方法も包含し、この方法は、
(a)1番目と2番目の重合体溶液を準備し、
(b)前記溶液を分配板およびオリフィスに通して一緒にすることで横断面を有するフィラメントを生じさせ、
(c)前記フィラメントを共通の毛細管に通して押出し、そして
(d)前記フィラメントから溶媒を除去する、
ことを包含し、ここで、
前記横断面は前記重合体溶液間の境界を含み、
前記1番目および2番目の重合体溶液の各々に独立して弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素またはこれらの混合物が入っており、そして
前記2番目の重合体溶液に融合性向上用添加剤が入っており、かつ
前記融合性の弾性多成分溶液紡糸繊維は領域が複数存在する横断面を含み、前記1番目の重合体溶液が前記横断面の1番目の領域に相当しそして前記2番目の重合体溶液が前記横断面の2番目の領域に相当する。
【0011】
さらなる態様における繊維は、横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物が含まれておりかつ弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物および融点が約100℃から約180℃の少なくとも1種の低温溶融ポリウレタンを含有して成る少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含みかつ前記1番目の領域に約190℃から約250℃の高い融点を示す弾性ポリウレタンが含まれている弾性多成分溶液紡糸繊維を含有する繊維である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1に、いくつかの態様で達成可能な繊維横断面の例を示す。
【図2】図2は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図3】図3は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図4】図4は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図5】図5は、実施例1の繊維が示した示差走査熱量測定結果を示す図である。走査を10℃/分で−100℃から350℃に至るまで実施した。
【図6】図6は、いくつかの態様の融合ヤーンを撮ったSEM顕微鏡写真である。
【0013】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で用いる如き用語「多成分繊維」は、組成が異なることに加えて識別できる境界を有する少なくとも2つの個別の区別できる領域、即ち繊維の長さ方向に沿って連続的に存在する組成が異なる領域を2つ以上有する繊維を意味する。このことは、繊維の長さ方向に沿って区別できる連続した境界を持たない繊維が生じるように2種以上の組成物を一緒にしたポリウレタンもしくはポリウレタン尿素混合物とは対照的である。用語「多数成分繊維」および「多成分繊維」は同義語であり、本明細書では互換的に用いる。
【0014】
用語「組成が異なる」は、異なる重合体、共重合体または混合物を含有する2種以上の組成物または1種以上の異なる添加剤が入っている2種以上の組成物であると定義し、これらの組成物に含まれている重合体は同じまたは異なってもよい。2種類の匹敵する組成物に異なる重合体および異なる添加剤が含まれている場合、それらもまた「組成が異なる」。
【0015】
用語「境界」、「境界2種以上」および「境界領域」は、多成分繊維横断面の異なる領域の間の接触点を記述する目的で用いる用語である。その接触点は、その2つの領域の組成が重なり合っていないか或は重なり合っている度合が最小限であるように「良好に限定されている」。重なり合いが2つの領域の間に存在する場合、その境界領域にはその2つの領域の混合物が含まれているであろう。そのような混合領域は、その混ざり合った境界領域と他の2つの領域の各々の間に個別の境界を伴う均一に混ざり合った個別の部分であり得る。別法として、そのような境界領域には、1番目の領域に隣接して存在する1番目の領域の組成の高濃度部分から2番目の領域に隣接して存在する2番目の領域の組成の高濃度部分に至る勾配が含まれている可能性がある。
【0016】
本明細書で用いる如き「溶媒」は、有機溶媒、例えばジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびN−メチルピロリドンなどを指す。
【0017】
本明細書で用いる如き用語「溶液紡糸」には、溶液から湿式紡糸または乾式紡糸工程のいずれかで繊維を生じさせることが含まれ、そのような工程は両方ともが繊維製造に一般的な技術である。
【0018】
良好な蒸気による変形能力および優れた接着特性を示す低融点のポリウレタン(PU)組成物(T<180C)は典型的に劣った耐クリープ性、低い強度および劣った引き伸ばし回復力をもたらす。その上、そのように低融点のPU組成物は繊維成形工程および高温繊維製品加工要求にはあまり適さない。本発明では、溶液紡糸ポリウレタン/ポリウレタン尿素組成物が基になった優れた引き伸ばしおよび回復力と低融点接着剤配合物を多成分繊維構造物、例えば2成分繊維構造物の中で組み合わせる。
【0019】
ポリウレタンブロック共重合体の特性は、ハードウレタンドメインがソフトセグメントマトリクスの中で架橋として働くようなウレタンセグメントとポリオールセグメントの相分離に依存する。そのウレタンドメインは選択する鎖延長剤の含有量および性質の両方に支配される。商業的に重要なジオール系鎖延長剤には、これらに限定するものでないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール(PDO)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDOまたはBDO)および1,6−ヘキサンジオール(HDO)が含まれる。そのようなジオール系鎖延長剤の全部が良好に相分離して良好に限定されたハードセグメントドメインを形成するポリウレタンをもたらし、エチレングリコールを除く全部が熱可塑性ポリウレタンで用いるに適する。その後、その生じたウレタンはハードセグメントの濃度が高いと好ましくない劣化を起こす。表1に、いくつかの一般的鎖延長剤から生じさせたポリウレタンが示す典型的なハードセグメントの溶融範囲を挙げる。加工温度を200℃より高くすることは加工中に熱劣化が起こることに付随して特性が失われることから一般的なTPU組成物には好ましくない。加うるに、ハードセグメントの溶融温度が高い組成物から生じさせたPUは伝統的に向上した弾性および熱回復力をもたらすことから、繊維製品加工にとってより好ましい。そのようにハードセグメントの融点が高いポリウレタン繊維が製造可能なのは伝統的な溶液紡糸工程によってのみであり、それによって優れた引き伸ばし/回復特性がもたらされ得る。
【0020】
【表1】

【0021】
本発明では、多種多様なポリウレタンもしくはポリウレタン尿素組成物が1番目および2番目の領域のいずれかまたは両方で用いるに有用である。また、追加的領域を含めることも可能である。有用なポリウレタン/ポリウレタン尿素組成物を以下に詳述する。
【0022】
1つの態様では、溶液紡糸(乾式紡糸または湿式紡糸)による熱融合性で蒸気で変形し得るスパンデックス弾性ヤーンを提供する。そのような繊維にはモノフィラメント構造物または多フィラメント構造物が含まれる。そのような繊維の各フィラメント(またはモノフィラメント用繊維自身)は繊維の横断面に沿って識別できる領域、例えば芯鞘形態または並列形態などを有する2成分繊維である。芯が1番目の領域でありそして鞘が2番目の領域である。異なる横断面、例えば芯鞘と組み合わされた並列形態または追加的鞘領域を伴う芯鞘などがもたらされるように追加的領域を含めることも可能である。
【0023】
融合性繊維の2番目の領域(これは鞘であってもよい)に特に有用な組成物には下記が含まれ得る:
A. 1番目の成分が高融点の少なくとも1種のポリウレタン、例えば融点が約190℃から約250℃のポリウレタンなどばかりでなく融点が約200℃以上のポリウレタンおよび融合性向上用添加剤、例えば低温溶融ポリウレタンなどを含有する重合体混合物[有用な低融点ポリウレタンには、融点が約50℃から約150℃のポリウレタン、特に融点が120℃未満のポリウレタンが含まれる]、または
B. 1番目の成分が高融点の少なくとも1種のポリウレタン、例えば融点が約190℃
から約250℃のポリウレタンなどばかりでなく融点が約200℃以上のポリウレタンおよび後で基質を接着させるための少なくとも1種の接着性材料または融合性向上用添加剤[前記接着性材料は融合性向上用添加剤である]を含有する混合物、または
C. 少なくとも1種のポリウレタンと少なくとも1種の接着性融合性向上用添加剤の混合物。
【0024】
また、A、BおよびCの組み合わせおよび置換も意図する。また、追加的添加剤を含有させることも可能である。
【0025】
融合性繊維の1番目の領域(これは芯であってもよい)に特に有用組成物には下記が含まれ得る:
1) 高融点の少なくとも1種のポリウレタン、例えば融点が約190℃から約250℃のポリウレタンばかりでなく融点が約200℃以上のポリウレタンなど、または
2) 200℃から250℃の範囲の高融点のポリウレタンと180℃未満の低融点のポリウレタンの混合物、または
3) 少なくとも1種のポリウレタンと少なくとも1種のポリウレタン尿素の混合物、または
4) 融点が240℃より高いポリウレタン尿素を包含するポリウレタン尿素。
【0026】
いくつかの態様の2成分繊維は1番目の領域と2番目の領域を幅広い範囲の比率で含有し得る。2番目の領域(これはまた芯鞘形態における鞘であってもよい)を繊維の重量を基準にして約1%から約60%の量で存在させてもよく、それには繊維の約1から約50重量%、繊維の約10から約35重量%および繊維の約5から約30重量%が含まれる。
【0027】
いくつかの態様の融合性繊維が示す蒸気による変形効率は50%以上であり得る。その繊維はまた0.15cN/デシテックスより高い融合強度も示し得る。
【0028】
いくつかの態様は、ポリウレタン、ポリウレタン尿素またはこれらの混合物を含有する溶液紡糸重合体組成物を含有させた多成分もしくは2成分繊維である。その多成分繊維に持たせる様々な領域の組成には、当該重合体が異なるか、添加剤が異なるか或は重合体と添加剤の両方が異なる点で異なる重合体組成が含まれる。また、溶液紡糸部分と溶融紡糸部分を有する多成分繊維も含める。
【0029】
ポリウレタン尿素およびポリウレタン組成物
繊維または長鎖合成重合体の製造で用いるに有用なポリウレタン尿素組成物はセグメント化ポリウレタンを少なくとも85重量%含有する。それらには、典型的に、ジイソシアネートと反応してNCO末端プレポリマー(「キャップドグリコール」)を生じる高分子量のグリコールが含まれ、次に、そのプレポリマーを適切な溶媒、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンなどに溶解させそして2番目に二官能の鎖延長剤と反応させる。そのような鎖延長剤がジオールの場合には2番目の段階でポリウレタンが生じる(そしてこれの調製は無溶媒で実施可能である)。その鎖延長剤がジアミンの場合にはポリウレタンのサブクラスであるポリウレタン尿素が生じる。スパンデックスに紡糸可能なポリウレタン尿素重合体の製造では、グリコールのヒドロキシ末端基を逐次的にジイソシアネートそして1種以上のジアミンと反応させることで、そのグリコールに延長を受けさせる。各場合とも、そのグリコールに鎖延長を受けさせることで必要な特性(粘度を包含)を有する重合体を生じさせる必要がある。必要ならば、そのキャッピング段階を補助する目的でジブチル錫ジラウレート、オクタン酸第一錫、鉱酸、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジンなどおよび他の公知の触媒を用いることも可能である。
【0030】
適切な高分子量グリコール成分には、数平均分子量が約600から約3,500のポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリエステルグリコールが含まれる。2種以上の高分子量グリコールの混合物もしくは共重合体も含まれ得る。
【0031】
使用可能なポリエーテルグリコールの例には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの開環重合および/または共重合または各分子中の炭素原子数が12より少ない多価アルコール、例えばジオールもしくはジオール混合物、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなどの縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のグリコールが含まれる。線状の二官能ポリエーテルポリオールが好適であり、分子量が約1,700から約2,100のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、例えば官能性が2のTerathane(商標)1800(INVISTA(Wichita、KS))などが特定の適したグリコールの一例である。共重合体にはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが含まれ得る。
【0032】
使用可能なポリエステルポリオールの例には、脂肪族ポリカルボン酸と各分子中の炭素原子数が12より多くない低分子量のポリオールもしくはこれらの混合物の縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のエステルグリコールが含まれる。適切なポリカルボン酸の例は、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリエステルポリオールが特定のポリエステルポリオールの例である。
【0033】
使用可能なポリカーボネートポリオールの例には、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートと各分子中の炭素原子数が12より多くない低分子量の脂肪族ポリオールもしくはこれらの混合物の縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のカーボネートグリコールが含まれる。ポリカーボネートポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリカーボネートポリオールが特定のポリカーボネートポリオールの例である。
【0034】
ジイソシアネート成分にはまた単一のジイソシアネートまたはいろいろなジイソシアネートの混合物も含まれ得、それには4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)と2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物が含まれる。適切な芳香族もしくは脂肪族ジイソシアネートのいずれも含まれ得る。使用可能なジイソシアネートの例には、これらに限定するものでないが、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシ
アネート)、1,3−ジイソシアナト−4−メチル−ベンゼン、2,2’−トルエンジイソシアネート、2,4’−トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物が含まれる。特定のポリイソシアネート成分の例には、Mondur(商標)ML(Bayer)、Lupranate(商標)MI(BASF)およびIsonate(商標)50 O,P’(Dow Chemical)およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
ポリウレタン尿素用の鎖延長剤は水またはジアミン系鎖延長剤のいずれかであり得る。当該ポリウレタン尿素および結果として生じさせる繊維の所望特性に応じていろいろな鎖延長剤の組み合わせを含めることも可能である。適切なジアミン系鎖延長剤の例には、ヒドラジン、1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−ブタンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、N−メチルアミノ−ビス(3−プロピルアミン)、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メタ−テトラメチルキシレンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン−ジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン(1,3−ジアミノペンタン)、m−キシリレンジアミンおよびJeffamine(商標)(Texaco)が含まれる。
【0036】
ポリウレタンが望まれる場合の鎖延長剤はジオールである。使用可能なそのようなジオールの例には、これらに限定するものでないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよび1,4−ブタンジオールおよびこれらの混合物が含まれる。
【0037】
場合により、当該重合体の分子量を調節する目的で単官能アルコールまたは第一級/第二級単官能アミンを含めることも可能である。また、1種以上の単官能アルコールと1種以上の単官能アミンの混合物を含めることも可能である。
【0038】
本発明で用いるに有用な単官能アルコールの例には、炭素数が1から18の脂肪族および脂環式第一および第二アルコール、フェノール、置換フェノール、分子量が約750未満(分子量が500未満を包含)のエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている複素環式化合物およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一員が含まれ、それにはフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−(2−ヒドロキシエチル)スクシニミド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノエタノールおよび4−ピペリジンエタノールおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
適切な単官能ジアルキルアミンであるブロッキング剤の例には、N,N−ジエチルアミ
ン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−メチルアミン、N−t−ブチル−N−ベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−エチル−N−イソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−イソプロピルアミン、N−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミン、N−エチル−N−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエタノールアミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが含まれる。
【0040】
他の重合体
本発明の多成分および/または2成分繊維で用いるに有用な他の重合体には、可溶であるか或は限られた溶解性を示すか或は粒子形態(例えば微粒子)で含有させることが可能な他の重合体が含まれる。そのような重合体を当該ポリウレタンまたはポリウレタン尿素溶液に分散または溶解させてもよいか或は溶液紡糸ポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物と一緒に共押出し加工してもよい。そのような共押出し加工の結果として並列、同心芯鞘または偏心芯鞘の横断面を有する2成分もしくは多成分繊維が生じ得、その中の1成分はポリウレタン尿素溶体でありそしてもう一方の成分は別の重合体を含有する。他の重合体の例には、とりわけ低融点のポリウレタン(上述した如き)、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリアラミドおよびポリオレフィンが含まれる。いくつかの態様における非ポリウレタン重合体は融合性向上用添加剤になり得、特にその重合体の溶融温度が約150℃未満の時になり得る。
【0041】
多成分繊維に含有させることが可能な他の重合体には、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン6/10およびナイロン6/12が含まれる。ポリオレフィンには、CからC20単量体から生じたポリオレフィンが含まれる。それには共重合体および三元重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。有用なポリオレフィン共重合体の例がDatta他の米国特許第6,867,260号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0042】
繊維の横断面形態
いくつかの態様の発明に関して、多種多様な横断面が有用である。それらには、2成分もしくは多成分の同心もしくは偏心芯鞘および2成分もしくは多成分並列が含まれる。その横断面に含まれる個別の領域が少なくとも2つである限り特殊な横断面も考えられる。代替の横断面は、パイ−スライス(pie−slice)形態または鞘が芯を単に部分的に取り巻いている偏心芯鞘類似形を持ち得る。言い換えれば、その横断面の2番目の領域は1番目の領域を部分的または完全に取り巻いていてもよい。いろいろな適切な横断面の例を図1に示す。
【0043】
融合性重合体が所望の融点を示す場合には個別の融合性向上用添加剤を用いないで融合性重合体を鞘もしくは並列形態または代替形態の主要成分または単独成分として含有させてもよい。
【0044】
図1に示す繊維横断面は全部が組成が異なる1番目の領域と2番目の領域を有する。44デシテックス/3フィラメントのヤーンを図1Aおよび1Bに示す一方、44デシテックス/4フィラメントのヤーンを図1Cおよび1Dに示す。各々の中の1番目の領域に顔料を含有させそして2番目の領域には含有させない。図1Aおよび1Bに50/50の芯鞘横断面を含め、図1Cに17/83の鞘芯横断面を含め、そして図1Dに50/50の並列横断面を含める。
【0045】
そのような芯鞘および並列横断面の各々が組成が異なる少なくとも2種類のポリウレタン尿素組成物の間に境界領域を含有する。そのような領域は本図の各々の中で良好に限定された境界を持つように見えるが、その境界には混ざり合った領域が含まれている可能性
がある。その境界が混ざり合った領域を含有する場合、その境界自身は1番目と2番目(または3番目、4番目など)の領域の組成物の混合物である区別できる領域である。そのような混合物は均一な混合物であり得るか或は1番目の領域から2番目の領域に向かう濃度勾配を含んでいる可能性がある。
【0046】
添加剤
場合によりポリウレタン尿素組成物に含有させてもよい種類の添加剤を以下に示す。非限定リストの例を以下に含める。しかしながら、追加的添加剤は当該技術分野で良く知られている。例には、抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質(パラフィンワックス)、抗菌剤、鉱物(即ち銅)、ミクロカプセル封じされた添加剤(即ち、アロエ、ビタミンEゲル、アロエ、昆布、ニコチン、カフェイン、香水または芳香剤)、ナノ粒子(即ちシリカまたは炭素)、炭酸カルシウム、難燃剤、抗粘着添加剤、塩素による劣化に抵抗する添加剤、ビタミン、薬品、香料、導電性添加剤、染色および/または染色補助剤(例えば第四級アンモニウム塩)が含まれる。本ポリウレタン尿素組成物に添加可能な他の添加剤には、接着促進剤および融合性向上用添加剤、帯電防止剤、抗クリープ剤、光学的光沢剤、合体剤、導電性添加剤、発光添加剤、滑剤、有機および無機充填剤、防腐剤、テクスチャリング剤、サーモクロミック添加剤、昆虫忌避剤および湿潤剤、安定剤(ヒンダードフェノール、酸化亜鉛、ヒンダードアミン)、スリップ剤(シリコーンオイル)およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
そのような添加剤は1つ以上の有益な特性を与える可能性があり、そのような特性には下記が含まれる:染色性、疎水性[即ちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)]、親水性(即ちセルロース)、摩擦制御、耐塩素性、耐劣化性(即ち抗酸化剤)、接着性および/または融合性(即ち接着剤および接着促進剤)、難燃性、抗菌性(銀、銅、アンモニウム塩)、バリヤー、導電性(カーボンブラック)、引張り特性、色、発光、再利用性、生分解性、芳香、粘着制御(即ち金属のステアリン酸塩)、触知特性、変形能力、熱調節(即ち相変化物質)、栄養補給、艶消し剤、例えば二酸化チタンなど、安定剤、例えばヒドロタルサイト、ハント石と水苦土石の混合物など、紫外線遮蔽剤およびこれらの組み合わせ。
【0048】
添加剤を所望効果の達成に適切ないずれかの量で含有させてもよい。
【0049】
数種の添加剤は、いくつかの態様に含有させる低溶融温度の融合性向上用添加剤として用いるに有用である。それらには、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリカプロラクトンが基になった水分で変形して熱で接着する反応性ホットメルトグレードの線状芳香族熱可塑性ポリウレタンまたはこれらの混合物が含まれる。具体的な市販製品の例には、とりわけMor−Melt(R−5022)(Rohm and Haas)、Pellathane(商標)2103C(Dow)、Desmopan(商標)5377、Desmopan 9375A、Texin DP7−1197(Bayer
Material Science)、Pearlbond 104、106、122、123(Merquinsa Mercados Quimicos,S.L.)およびTPUA−252A(TPUCO、台湾)が含まれる。そのような融合性向上用添加剤を当該繊維の所望融合性を達成するに適切ないずれかの量で含有させてもよい。その融合性向上用添加剤を当該繊維の鞘または2番目の領域に鞘もしくは2番目の領域の約10から約90重量%の量で含有させてもよく、それには鞘もしくは2番目の領域の約30から約60重量%が含まれる。当該多成分もしくは2成分繊維の総重量を基準にした融合性向上用添加剤の重量パーセントは当該繊維の鞘もしくは2番目の領域に対する芯もしくは1番目の領域の重量比に依存するであろう。ある場合には、その2番目の鞘領域自身が追加的融合性向上用添加剤の有り無しで融合性を示す重合体であるようにしてもよい。
【0050】
装置
2成分繊維の製造は典型的に溶融紡糸工程で実施されている。その工程で用いられる装置を溶液紡糸工程で用いるに適するようにすることができる。乾式紡糸および湿式紡糸は良く知られた溶液紡糸工程である。
【0051】
繊維およびフィラメント(人工2成分繊維のそれらが含まれる)に関する便利な引用文献(引用することによって本明細書に組み入れられる)は例えば下記である:
a.Fundamentals of Fibre Formation−The Science of Fibre Spinning and Drawing,Adrezij Ziabicki,John Wiley and Sons,London/New York,1976;
b.Bicomponent Fibres,R Jeffries,Merrow Publishing Co.Ltd,1971;
c.Handbook of Fiber Science and Technology,T.F.Cooke,CRC Press,1993;
【0052】
同様な引用文献には、2成分繊維の製造方法および装置が記述されている米国特許第5,162,074号および5,256,050号(引用することによって本明細書に組み入れられる)が含まれる。
【0053】
重合体をダイスに通して押出すことで繊維を生じさせる押出し加工を通常の装置、例えば押出し加工機、ギアポンプなどを用いて行う。当該重合体溶液をダイスに供給する時に個別のギアポンプを用いるのが好適である。機能性用添加剤を混合する場合、好適には、当該成分のより均一な分散を得る目的で、例えばギアポンプの上流に位置させた固定式混合装置などを用いて重合体混合物の混合を行う。押出し加工の準備として、紡糸収率を向上させる目的で、各スパンデックス溶液を個別に温度制御ジャケット付き容器で加熱した後に濾過を行ってもよい。
【0054】
本発明の例示態様では、異なる2種類の重合体溶液をセグメント化ジャケット付き熱交換器に導入するが、その熱交換器を40−90℃で機能させる。その押出し加工のダイスおよび板を所望繊維形態に応じて配列するが、それらを芯鞘に関しては図2に示し、偏心芯鞘に関しては図3に示しそして並列に関しては図4に示す。如何なる場合でも、成分の流れを毛細管の直ぐ上で一緒にする。前以て加熱しておいた溶液を供給口(2)および(5)からスクリーン(7)に通して分配板(4)そして紡糸口金(9)[これをシム(8)で位置させかつナット(6)で支える]に向かわせる。
【0055】
図2、3および4に記述した押出し加工用ダイスおよび板を通常のスパンデックス紡糸セル、例えば米国特許第6,248,273号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されているそれと一緒に用いる。
【0056】
そのような2成分スパンデックス繊維の製造をまた個別の毛細管を用いて個別のフィラメントを生じさせた後に融合させて単一の繊維を生じさせることで実施することも可能である。
【0057】
本発明の特徴および利点を以下の実施例でより詳細に示すが、本実施例は例示の目的で示すものであり、決して本発明を限定するとして解釈されるべきでない。
【0058】
繊維製造方法
いくつかの態様の繊維の製造をポリウレタンまたはポリウレタン尿素重合体の溶液紡糸(湿式紡糸または乾式紡糸のいずれか)で行うが、この製造では通常のウレタン重合体用
溶媒(例えばDMAc)と一緒にして生じさせた溶液を用いる。そのポリウレタンもしくはポリウレタン尿素重合体溶液に上述した組成物または添加剤のいずれかを入れてもよい。ポリウレタン尿素の製造では、有機ジイソシアネートと適切なグリコールをグリコールに対するジイソシアネートのモル比が1.6から2.3、好適には1.8から2.0の範囲内になるように反応させて「キャップドグリコール」を生じさせることを通して製造を実施する。次に、そのキャップドグリコールをジアミン系鎖延長剤の混合物と反応させる。その結果として生じる重合体の中のソフトセグメントは重合体鎖のポリエーテル/ウレタン部分である。そのようなソフトセグメントが示す溶融温度は60℃未満である。ハードセグメントは重合体鎖のポリウレタン/尿素部分であり、それらが示す溶融温度は200℃より高い。ハードセグメントの量を重合体総重量の5.5から12%、好適には6から10%にする。ポリウレタン重合体の製造では、有機ジイソシアネートと適切なグリコールをグリコールに対するジイソシアネートのモル比が2.2から3.3、好適には2.5から2.95の範囲内になるように反応させて「キャップドグリコール」を生じさせることを通して製造を実施する。次に、そのキャップドグリコールをジオール系鎖延長剤の混合物と反応させる。ハードセグメントは重合体鎖のポリウレタンセグメントであり、それらが示す溶融温度は150−240℃の範囲である。ハードセグメントが当該重合体の総重量の10から20%、好適には13から7.5%を構成するようにしてもよい。
【0059】
繊維製造の1つの態様では、重合体固体含有量が30−40%の重合体溶液を分配板とオリフィスの所望配置に通して計量することを通してフィラメントを生じさせる。重合体の流れが同心芯鞘、偏心芯鞘および並列配置の中の1つの状態で一緒になった後に共通の毛細管を通して押出されるように分配板を配置させる。押出されたフィラメントの乾燥を300℃−400℃の熱不活性ガスをガス:重合体の質量比が少なくとも10:1になるように導入することで起こさせかつ延伸を1分当たり少なくとも400メートル(好適には少なくとも600m/分)の速度で起こさせた後、1分当たり少なくとも500メートル(好適には少なくとも750m/分)の速度で巻き取る。以下に示す実施例の全部を80℃の押出し加工温度を用いて熱不活性ガス雰囲気の中に762m/分の巻き取り速度で入らせることで実施した。標準的工程条件は当該技術分野で良く知られている。
【0060】
本発明に従って製造した弾性繊維を用いて生じさせたヤーンが示す破壊時引張り強さは一般に少なくとも0.6cN/デシテックスであり、破壊時伸びは少なくとも400%であり、300%伸び時の無負荷引張り応力は少なくとも27mg/デシテックスである。
【0061】
本明細書に記述する弾性多成分繊維を用いて通常手段のいずれかでヤーンおよび布を製造することができる。そのような弾性ヤーンを2番目のヤーン、例えばハードヤーンなどで被覆することができる。適切なハードヤーンには、とりわけナイロン、アクリル樹脂、綿、ポリエステルおよびこれらの混合物が含まれる。被覆ヤーンには、単被覆、二重被覆、空気被覆、コアスパン(corespun)ヤーンおよびコアツイステッド(core
twisted)ヤーンが含まれ得る。
【0062】
いくつかの態様の弾性ヤーンを多様な構造物、例えば編物(縦および横)、織物および不織物などに含有させることができる。それらは靴下、レッグウエア、シャツ地、女性用下着、水着、下半身に着る服および衛生用不織構造物で用いるに有用である。
【0063】
ヤーンを融合または接着させる必要がある場合、これは当該融合性向上用添加剤の組成に応じてそれらに熱およびまたは3.5バール以下の静的圧力をかけることで達成可能である。熱を蒸気または乾熱として加えてもよい。靴下に適切な融合条件には、蒸気の熱を用いる時に約105℃から約135℃の温度を約3秒間から約60秒間かけること、および乾熱を用いる時に165℃から約195℃の温度を約3秒間から約60秒間かけることが含まれ得る。適切な融合条件は数多くの要因に応じて多様であり得、そのような要因に
は、とりわけ選択した融合性向上用添加剤、重合体の化学的性質、ヤーンの線形密度および布の構造(即ち編み、織りなど)が含まれる。
【0064】
靴下の場合には布に多様な工程条件を受けさせるが、それには熱および/または圧力をかけることが含まれる。従って、個別の熱による変形/融合工程は必要でない、と言うのは、布を熱で変形させるとまた結果として融合性向上用添加剤または他の接着剤を含有するヤーンの融合も起こるからである。
【0065】
スパンデックス繊維が示す強度および弾性特性の測定を本実施例ではASTM D 2731−72の一般的方法に従って実施した。測定の各々でゲージ長が2インチ(5cm)のフィラメントを3本用いそして0−300%の伸びサイクルを用いた。サンプルを1分当たり50センチメートルの一定伸び速度で伸ばすことを5回繰り返した。スパンデックスを最初に引き伸ばしている時にそれにかかる応力である負荷力(M200)を1番目のサイクルの時に200%引き伸ばした状態で測定して、所定デニール当たりのグラム力として報告する。無負荷力(U200)は、5番目の無負荷サイクルの時に200%引き伸ばした状態の応力であり、それもまたグラム力で報告する。破壊時伸びパーセントおよび引張り強さの測定を6番目の引張りサイクルの時に実施した。また、セットパーセントもサンプルに0−300%伸び/弛緩サイクルを5回受けさせた後に測定した。次に、セットパーセント(%S)を下記の如く計算した:
%S=100(Lf−Lo)/Lo
ここで、LoおよびLfは、それぞれ、5回の伸び/弛緩サイクルの前および後に張力無しに真っすぐに保持した時のフィラメント(ヤーン)の長さである。
【0066】
蒸気によるセット[これは靴下の加工およびボーディング(boarding)操作を模擬するものである]の測定では、張力がかかっていない真っすぐな状態で選択した長さYo(便利には10cm)のサンプルを元々の長さの3倍に約2分間引き伸ばした後、弛緩させる。これは、スパンデックスを通常のヤーンで被覆しながらそれをドラフトさせる被覆操作を模擬するものであった。次に、そのようにして引き伸ばした後に弛緩させたスパンデックス試験サンプルを沸騰水浴の中に30分間入れた。そのような沸騰水への接触は染色操作を模擬するものであった。次に、前記サンプルを前記浴から取り出し、乾燥させた後、浴に入れた後に弛緩させた長さの2倍に引き伸ばした。この引き伸ばした状態のサンプルを121℃の蒸気雰囲気に30秒間さらした。この蒸気処理は靴下のボーディングを模擬するものである。そのサンプルを蒸気雰囲気から取り出した後、乾燥させ、そして張力がかかっていない真っすぐな状態の長さYfを測定した。次に、蒸気による変形(SS、%)を下記の式に従って計算した:
%SS=100(Yf−Yo)/Yo
ヤーンが示す融合性の測定では、長さが15cmのサンプルを調整可能な三角形枠(頂点が枠の中心に位置しそして2つの等しい辺の長さが7.5cmである)の上に置くことを通して測定を行った。長さが同じ2番目のフィラメントを前記枠の上に反対側からその2本のヤーンが単一の接触点で交わって交差するように置く。
【0067】
繊維を5cmになるように弛緩させた後、洗い流し用浴液に1時間接触させ、濯ぎ、空気で乾燥させた後、染色用浴に30分間接触させ、濯いだ後、空気で乾燥させる。
【0068】
前記枠の長さをそれに繊維が付いている状態で5cmから30cmに調整し、121℃の蒸気に30秒間接触させ、3分間冷却した後、弛緩させる。ヤーンを前記枠から取り外した後、引張り試験機に移して、各ヤーンの一方の末端部をクランプで接触点がクランプとクランプの間に残るように留めた。ヤーンを100%/分で引き伸ばしそして接触点が破壊される時の力(グラム力)を融合強度として記録する。
【0069】
本発明の特徴および利点を以下の実施例でより詳細に示すが、本実施例は例示の目的で示すものであり、決して本発明を限定するとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0070】
以下の実施例1−3では、繊維の製造を高融点のポリウレタン弾性重合体をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)CAS番号127−19−50に入れることで生じさせた溶液の乾式紡糸を行うことで実施した。最終的繊維が適切な安定性を示すようにする目的で、高融点のポリウレタン重合体を下記のようにして調製した後に芯および鞘組成物の基礎として用いた。キャッピング比が2.70のポリウレタンプレポリマーの製造をMDI((ベンゼン,1,1−メチレンビス[イソシアナト−]CAS番号[26447−40−5])と数平均分子量が2000のPTMEG(ポリ(オキシ−1,4−ブタンジイル),α−ヒドロ−ω−ヒドロキシ、CAS番号25190−06−1)の混合物を75℃に2時間加熱することで実施した。次に、そのプレポリマーをDMAcに固体濃度が約39%になるように溶解させた。そのプレポリマー溶液にエチレングリコール(CAS番号107−21−1)を40℃落球溶液粘度が4000ポイズに上昇するに充分な量で加えることで前記溶液に延伸を75℃で受けさせた。その溶液が目標の粘度に到達した後に単官能アルコール(1−ブタノール(CAS番号71−36−3))を添加して重合を停止させた。
【0071】
重合体固体含有量が35−40%の重合体溶液を分配板とオリフィスの所望配列に通して計量することでフィラメントを生じさせた。重合体の流れが同心芯鞘配列に組み合わされた後に共通の毛細管に通して押出されるように分配板を配置した。押出されたフィラメントに320−440Cの熱不活性ガスをガス:重合体の質量比が少なくとも10:1になるように導入することで乾燥を受けさせそして延伸を1分当たり少なくとも400メートル(好適には少なくとも600m/分)の速度で受けさせた後、巻き取りを1分当たり少なくとも500メートル(好適には少なくとも750m/分)の速度で実施した。前記弾性繊維から生じさせたヤーンは一般に少なくとも1cN/デシテックスの破壊時引張り強さ、少なくとも400%の破壊時伸び、少なくとも0.2cN/デシテックスのM200を示す。
【実施例1】
【0072】
ポリカプロラクトンが基になった線状のポリウレタン[Merquinsa Mercados Quimicos,SLが供給しているPearlbond 122]を前記調製した高融点のPU重合体(上述した)と一緒に重量比が30%になるように溶解させて混合することで35%のDMAc溶液を生じさせた後、鞘成分として押出し加工した。芯溶液をDMAc中の高温PU重合体で構成させ、前記鞘溶液と4:1の比率で一緒にすることで、22デシテックスの2本フィラメントヤーンを生じさせた。生成物を700m/分で取り出しそしてシリコーンオイルで被覆した後にパッケージに850m/分で巻き取った。融合性、蒸気によるセット効率および引張り特性を包含する生成物特性を表2に示す。示差走査熱量測定軌跡(図5)は、融合性添加剤が理由で融解転移が低く、約56℃であることを示している。
【実施例2】
【0073】
熱可塑性ポリウレタン弾性重合体(エステル/エーテル)[Bayer Material Science(米国)が供給しているDesmopan 5377A]を前記調製した高温PU重合体(上述した)と一緒に重量比が60%になるように溶解させて混合することで36%のDMAc溶液を生じさせた後、鞘成分として押出し加工した。芯溶液をDMAc中の高融点PU重合体で構成させ、前記鞘溶液と4:1の比率で一緒にすることで、22デシテックスの2本フィラメントヤーンを生じさせた。生成物を700m/分で引き出しそしてシリコーンオイルで被覆した後にパッケージに850m/分で巻き取っ
た。融合性、蒸気によるセット効率および引張り特性を包含する生成物特性を表2に示す。
【実施例3】
【0074】
(比較)
前記調製した高温PU重合体(上述した)を39%のDMAc溶液として用いて押出し加工を修飾無しに鞘と芯の成分が4:1の比率になるように実施することで、22デシテックスの2本フィラメントヤーンを生じさせた。生成物を700m/分で引き出しそしてシリコーンが基になった仕上げ用油で被覆した後にパッケージに850m/分で巻き取った。融合性、蒸気によるセット効率および引張り特性を包含する生成物特性を表2に示す。
【0075】
本実施例のヤーン(実施例1−3の)に平らな11デシテックス/7フィラメントの平ポリアミド66ヤーンによる被覆を商業的MenegattoまたはICBT被覆機を用いて受けさせた。弾性ヤーンのドラフト比を2.8xにしそして被覆率を1500tpmにした。靴下サンプルを商業的編み機、例えばLonati 400円形靴下編み機などで編んだ。前記被覆を受けさせたヤーンを全ての方向がトリコット構造になるように編んだが、このような構造はその編んだ構造物の各接触点の所で弾性ヤーンが融合することを可能にするものである。また、その融合性ヤーンを交互方向に含めた場合にも適切な融合を達成することができるであろう。
【0076】
衣類にオートクレーブ処理および組み立ての標準的操作を受けさせた後、それにセットを標準的ボーディング装置を用いて110℃および130℃の蒸気室中で10−60秒間受けさせる。衣類を開放ボードの上に置くことを通して融合性が適切であるか否かを試験するが、その試験では結果として着用中に典型的な張力がもたらされるであろう。ナイフまたはハサミを用いて弾性ヤーンに裂け目を生じさせることで穴を作り出す。その構造物にかかる張力によって引き起こされる弾性ヤーンの力の方が弾性ヤーンの融合によって作り出される力よりも低いと、その穴のサイズは大きくならないであろう。前記弾性ヤーンの力の方が高いと、融合点は無傷のままではなく、その編まれた構造物がほどけるであろう(いわゆるほころびまたは伝線)。衣類が示す伝線性能を目で観察して表2に示した。前記編んだ靴下(実施例1)が示す接着部形成および融合品質のSEM分析結果を図6に示し、この図中の2本フィラメント成分である22デシテックスのヤーン10は融合点11を有しかつより小さなフィラメントであるナイロン製の被覆用ヤーン12で取り巻かれている。
【0077】
【表2】

【実施例4】
【0078】
融合性鞘
結晶性熱可塑性ポリウレタン系ホットメルト接着剤(Merquinsa Mercados QuimicosのPearlbond 122)を通常のセグメント化ポリウレタン尿素(DMAC中35%の溶液として)と一緒に50/50の混合物として調製しそしてそれを鞘としてセグメント化ポリウレタン尿素である通常のスパンデックス芯と一緒に紡糸することで44デシテックス/3フィラメントのヤーンを生じさせた。鞘全体の含有量を繊維重量を基準にして20%にすることで、80℃以上に加熱された時に融合し得るヤーンを生じさせた。
【0079】
優れた融合特性を示すことに加えて優れた引き伸ばし/回復性能を示す繊維は有利である。蒸気によるセットおよび融合強度を包含する物性試験の結果を表3に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
現在のところ本発明の好適な態様であると考えている事項を記述してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することのないそれの変形および修飾形を成すことができることを理解すると思われ、本発明に本発明の真の範囲内に入る如きそのような変形および修飾形の全部を包含させることを意図する。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物が含まれておりかつ弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物および少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸繊維を含有して成る繊維。
【請求項2】
モノフィラメント構造または多フィラメント構造を含む請求項1記載の繊維。
【請求項3】
前記融合性向上用添加剤が融点が180℃未満の少なくとも1種の低温溶融ポリウレタンを含有する請求項1記載の繊維。
【請求項4】
前記低温溶融ポリウレタンが示す融点が約50℃から約150℃である請求項3記載の繊維。
【請求項5】
前記低温溶融ポリウレタンが示す融点が約120℃未満である請求項4記載の繊維。
【請求項6】
前記2番目の領域が前記1番目の領域に隣接して位置するか或は少なくともそれをある程度取り巻いている請求項1記載の繊維。
【請求項7】
前記1番目の領域に約190℃から約250℃の高い融点を示す弾性ポリウレタンが含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項8】
前記1番目の領域に約240℃より高い融点を示すポリウレタン尿素が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項9】
前記2番目の領域が繊維の約11から約60重量%を構成している請求項6記載の繊維。
【請求項10】
前記2番目の領域が繊維の約5から約30重量%を構成している請求項6記載の繊維。
【請求項11】
前記1番目の領域が芯でありそして前記2番目の領域が鞘である請求項1記載の繊維。
【請求項12】
前記弾性多成分溶液紡糸繊維が示す蒸気によるセット効率が50%以上である請求項1記載の繊維。
【請求項13】
前記弾性多成分溶液紡糸繊維が示す融合強度が0.15cN/デシテックスより高い請求項1記載の繊維。
【請求項14】
横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に少なくとも1種の弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素組成物またはこれらの混合物が含まれておりかつ少なくとも1種の弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素組成物またはこれらの混合物および少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸繊維を含有して成る布。
【請求項15】
前記融合性向上用添加剤が少なくとも1種の低温溶融ポリウレタンを含有する請求項14記載の布。
【請求項16】
前記低温溶融ポリウレタンである融合性向上用添加剤が示す融点が約50℃から約150℃である請求項15記載の布。
【請求項17】
前記低温溶融ポリウレタンである融合性向上用添加剤が示す融点が約120℃未満である請求項16記載の布。
【請求項18】
前記2番目の領域が前記1番目の領域に隣接して位置するか或は少なくともそれをある程度取り巻いているか或は前記1番目の領域が芯でありそして前記2番目の領域が鞘である請求項14記載の布。
【請求項19】
前記1番目の領域と前記2番目の領域が各フィラメントの中に並列で存在する請求項14記載の布。
【請求項20】
前記1番目の領域に(a)約190℃から約250℃の高い融点を示す弾性ポリウレタン、(b)約240℃より高い融点を示すポリウレタン尿素およびこれらの混合物から選択された重合体が含まれている請求項14記載の布。
【請求項21】
前記弾性多成分溶液紡糸繊維が被覆されている請求項14記載の布。
【請求項22】
前記弾性多成分溶液紡糸繊維がポリアミド(ナイロン)、綿、ポリエステルまたはこれらの組み合わせで被覆されている請求項21記載の布。
【請求項23】
前記弾性多成分溶液紡糸繊維が融合性である請求項14記載の布。
【請求項24】
編、織または不織構造を含む請求項14記載の布。
【請求項25】
靴下、レッグウエア、シャツ地、女性用下着、水着、下半身に着る服および衛生用不織構造物を構成している請求項14記載の布。
【請求項26】
融合性の弾性多成分溶液紡糸繊維の製造方法であって、
(a)1番目と2番目の重合体溶液を準備し、
(b)前記溶液を分配板およびオリフィスに通して一緒にすることで横断面を有するフィラメントを生じさせ、
(c)前記フィラメントを共通の毛細管に通して押出し、そして
(d)前記フィラメントから溶媒を除去する、
ことを含んで成っていて、
前記横断面が前記重合体溶液間の境界を含み、
前記1番目および2番目の重合体溶液の各々に独立して弾性ポリウレタン、ポリウレタン尿素またはこれらの混合物が入っており、そして
前記2番目の重合体溶液に融合性向上用添加剤が入っており、かつ
前記融合性の弾性多成分溶液紡糸繊維が領域が複数存在する横断面を含んでいて前記1番目の重合体溶液が前記横断面の1番目の領域に相当しそして前記2番目の重合体溶液が前記横断面の2番目の領域に相当する、
方法。
【請求項27】
横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域に弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物が含まれておりかつ弾性ポリウレタンまたはポリウレタン尿素またはこれらの混合物および融点が約50℃から約150℃の少なくとも1種の低温溶融ポリウレタンを含有して成る少なくとも1種の融合性向上用添加剤が含まれている2番目の領域も含みかつ前記1番目の領域に約190℃から約250℃の高い融点を示す弾性ポリウレタンが含まれている弾性多成分溶液紡糸繊維を含有して成る繊維。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−520397(P2012−520397A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532167(P2011−532167)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/060370
【国際公開番号】WO2010/104531
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】