説明

融着エポキシ発泡体用のイソシアネート改質エポキシ樹脂

エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを含んでなり且つ粉体コーティングプロセスにおいて基材に適用した場合に発泡体を形成できる熱硬化性粉体コーティング組成物並びにそのような組成物の製造方法及び使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、融着エポキシ発泡体用のイソシアネート改質エポキシ樹脂及びそのような樹脂を含む粉体コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管及び油管コーティング工業では、150℃超の使用温度において操作される鋼パイプラインの腐蝕保護のための融着エポキシ(FBE)コーティング上に適用できる断熱材が必要とされている。150℃未満の軟化点を有するポリプロピレン又はポリウレタン発泡体のような現在利用可能な断熱材は、この目的には適さない。イソシアヌレート及びオキサゾリジノン発泡体はこれらの高い使用温度には適するが、その適用には、最初にFBE被覆を基材(substrate)(例えばパイプ)上に適用し、数時間後に発泡体被覆用の組成物をFBE被覆基材上に噴霧する不連続法を必要とするという不利点が伴う。しかし、管コーティング機では、多層系に現在使用されているのと同様な連続法の使用が好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、高い使用温度に耐え得ると同時に連続法で適用できる発泡体を形成するコーティング系が入手できれば有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを含み、粉体コーティング条件下で基材に適用する場合に硬化発泡体被覆を形成できる、熱硬化性粉体コーティング組成物を提供する。
【0005】
粉体コーティング組成物の一面において、エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーは1種又はそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテルと1種又はそれ以上の芳香族ジイソシアネートとの反応生成物、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルとトルエンジイソシアネート(TDI)との反応生成物を含むことができる。例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、約160〜約250、例えば約170〜約210のエポキシ当量(EEW)を有することができ、且つ/又は1種若しくはそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテル及び1種又はそれ以上の芳香族ジイソシアネートは、エポキシ基対イソシアネート基の比を約1.7:1〜約2.7:1、例えば約1.8:1〜約2.2:1とする量で使用できる。
【0006】
別の面において、反応生成物は約230〜約500、例えば約320〜約450のEEWを有することができ、且つ/又は反応生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比が約100:0〜約10:90、例えば約80:20〜約20:80であることができる。
【0007】
更に別の面において、組成物は、組成物総重量に基づき、約65〜約99重量%のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを含むことができる。
【0008】
更に別の面において、本発明の組成物は1種又はそれ以上の硬化剤を含むことができる。
【0009】
本発明は、また、前述の本発明の粉体コーティング組成物(その種々の面を含む)を用いる粉体コーティング法に基材を供して基材上に発泡体被覆を形成することを含んでなる、基材(例えば金属基材)への被覆形成方法を提供する。この方法によって形成された発泡体コーティング基材も本発明によって提供される。
【0010】
本発明は、更に、前述の本発明の粉体コーティング組成物(その種々の面を含む)から形成された発泡体被覆を含む基材(例えば鋼管のような金属基材)及び前記粉体コーティング組成物から生成された発泡体を提供する。
【0011】
本発明は、更に、未硬化及び硬化の両状態の熱硬化性のエポキシ末端(epoxy-terminated)オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを提供する。粉体コーティング組成物の形態で粉体コーティング法において基材に適用する場合に微孔質発泡体を形成できるこのポリマーは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む1種又はそれ以上のジエポキシ化合物とトルエンジイソシアネート(TDI)を含む1種又はそれ以上のジイソシアネートとの反応生成物を含む。1種又はそれ以上のジエポキシ化合物及び1種又はそれ以上のジイソシアネートは、エポキシ基対イソシアネート基の比を約1.7:1〜約2.7:1、例えば約1.8:1〜約2.2:1とする量で使用する。
【0012】
一面において、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとTDIは、使用する全ジエポキシ化合物及び全ジイソシアネートの総重量の少なくとも約75%を占めることができる。
【0013】
別の面において、生成物は約230〜約500、例えば約320〜約450のエポキシ当量を有することができ、且つ/又は生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比は約100:0〜約10:90、例えば約80:20〜約20:80であることができる。
【0014】
更に別の面において、生成物は少なくとも約35℃のガラス転移温度を有することができ、且つ/又は硬化状態で少なくとも約160℃のガラス転移温度を有することができる。
【0015】
本発明の他の構成及び利点は、以下の発明の説明に記載され、一部は説明から明らかになり、或いは本発明の実施によって知ることができる。本発明は、明細書及び特許請求の範囲に特に記載された組成物、生成物及び方法によって実現及び達成されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例9に記載した操作に従って形成した発泡体被覆の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、更に、以下の詳細な説明において図面に関連して本発明の典型的な態様の非限定的な例によって説明する。図は、以下の実施例9に記載した操作に従って形成した発泡体被覆の写真を示す図1のみである。
【0018】
特に断らない限り、化合物又は成分への言及は、その化合物又は成分を単独で、そして化合物の混合物のように他の化合物又は成分との組合せで含む。
【0019】
本明細書中で使用する単数形(a,an,the)の表現は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0020】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、あらゆる場合において用語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書及び添付した特許請求の範囲中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質によって異なり得る近似値である。最低限でも、請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとする意図と見なされないように、各数値パラメーターは、有効数字の数及び通常の丸めを考慮して解釈しなければならない。
【0021】
更に、本明細書内における数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数値及び範囲を開示するものと見なす。例えば、範囲が約1〜約50であるならば、例えば1、7、34、46.1、23.7又はその範囲内の任意の他の値若しくは範囲を含むと見なす。
【0022】
以下の詳細は、例証として、本発明の態様の事例的解説のみを目的として記載し、本発明の原則及び概念的態様の最も有用で理解し易い説明と考えられるものを提供するために示す。これに関して、本発明の基本的理解に必要とされるより詳しく本発明の態様を示すことはしないが、以下の説明から、本発明のいくつかの形態を実際に具体化できる方法が当業者に明らかになる。
【0023】
本発明の熱硬化性粉体コーティング組成物は、粉体コーティング条件下で(例えば連続コーティング法で)基材に適用した場合に硬化発泡体(例えば微孔質発泡体)被覆を形成できる。組成物の一成分は、エポキシ、オキサゾリジノン及び/又はイソシアヌレート基含有ポリマーのための硬化触媒の存在下で高温で硬化させることができるエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーである。
【0024】
エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーは、好ましくは1種又はそれ以上の芳香族ジイソシアネートと1種又はそれ以上の芳香族(少なくとも部分的芳香族)ジエポキシ化合物、例えば1種又はそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテル、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応生成物を含む。このような反応生成物の具体例はビスフェノールAのジグリシジルエーテルとトルエンジイソシアネート(TDI)との反応生成物である。
【0025】
ジエポキシ化合物とジイソシアネートとの反応(高温で適当な触媒の存在下に実施)は以下のように図示できる:
【0026】
【化1】

【0027】
前記反応式において、R1は芳香族ジイソシアネートの二価残基(例えばTDIの場合にはCH3−C63)を表し、R2はジエポキシドの二価残基(例えばモノマーであるビスフェノールAのジグリシジルエーテルの場合にはO−C64−C(CH32−C64−O)を表し、xは0又は1若しくはそれ以上の整数であることができる。
【0028】
本発明によれば、反応体は1種若しくはそれ以上のジエポキシ化合物及び1種若しくはそれ以上のジイソシアネートのみであること、並びにポリオール、ポリエポキシド、ポリイソシアネート等のような追加反応体が組成物中に存在しないのが好ましい。1種又はそれ以上のこうした追加反応体が存在する場合には、それらは、好ましくは本発明のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造に使用される全反応体の総重量の約2重量%以下、例えば約1%以下若しくは約0.5重量%以下を占める。
【0029】
ビスフェノール(例えばビスフェノールA)のジグリシジルエーテルは、通常、[本明細書中で(平均)分子量と定義される(平均)エポキシ当量(EEW)]÷[分子当たりのエポキシ基の数]、が少なくとも約160、例えば少なくとも約170又は少なくとも約180であって、通常は約250以下、例えば約230以下、約210以下又は約190以下であろう。2種又はそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテル(ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含んでも含まなくてもよい)を使用する場合には、同じことが平均EEWに適用される。
【0030】
TDIは、通常、2,4−異性体と2,6−異性体の混合物として使用する。市販TDIは、通常、これらの異性体を約80:20(2,4−異性体;2,6−異性体)の比で含む。
【0031】
1種又はそれ以上のジエポキシ化合物及び1種又はそれ以上のジイソシアネートは、通常、エポキシ基(例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルの)対イソシアネート基(例えばTDIの)を約1.7:1以上、例えば約1.8:1以上又は約1.9:1以上であって、通常約2.7:1以下、例えば約2.5:1以下、約2.2:1以下又は約2:1以下とするような相対量で使用する。
【0032】
エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造に1種より多いジエポキシ化合物及び/又は1種より多いジイソシアネートを使用する場合には、1種又はそれ以上のビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びTDIは、通常、使用する全ジエポキシ化合物及び全ジイソシアネートの総重量の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、例えば少なくとも約90%又は少なくとも約95%を占める。
【0033】
本発明のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造に使用できる(通常は使用するジエポキシ化合物の総量の約40重量%以下、例えば約30重量%以下、約20重量%以下又は約10重量%以下の量で)、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルと異なるジエポキシ化合物の非限定的例としては、例えば臭素化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK(4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン)、ヒドロキノン、レソルシノール、1,1−シクロヘキサンビスフェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのようなジオールのジグリシジルエーテル;例えばシクロオクテンジエポキシド、ジビニルベンゼンジエポキシド、1,7−オクタジエンジエポキシド、1,3−ブタジエンジエポキシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド及び4−シクロヘキセンカルボキシレート4−シクロヘキセニルメチルエステルのジエポキシドのようなジエポキシ化合物;並びにフェノールノボラック、クレゾールノボラック及びビスフェノールAノボラックのようなノボラックのグリシジルエーテル誘導体が挙げられる。これらの化合物は、また、本発明の粉体コーティング組成物のためのエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造にビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いない場合に単独で又はそれらの2種若しくはそれ以上の組合せとして使用できるジエポキシ化合物の非限定的例である。
【0034】
本発明のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造に使用できる(通常は使用するジイソシアネート化合物の総量の約40重量%以下、例えば約30重量%以下、約20重量%以下又は約10重量%以下の量で)、TDIと異なるジイソシアネート化合物の非限定的例としては、メタンジイソシアネート、メチレンビス(4−ベンゼンイソシアネート)ベンゼン(MDI)、ポリマーMDI、ブタンジイソシアネート(例えばブタン−1,1−ジイソシアネート)、エチレン−1,2−ジイソシアネート、trans−ビニレンジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、2−ブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート、ベンゼン−1,3−ビス(メチレンイソシアネート)、ベンゼン−1,4−ビス(メチレンイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチレンイソシアネート)、キシレンジイソシアネートの異性体、ビス(4−ベンゼンイソシアネート)エーテル、ビス(4−ベンゼンイソシアネート)スルフィド及びビス(4−ベンゼンイソシアネート)スルホンが挙げられる。これらの化合物は、また、本発明の粉体コーティング組成物のためのエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーの製造にTDIを用いない場合に単独で又はそれらの2種若しくはそれ以上の組合せとして使用できるジイソシアネートの非限定的例である。
【0035】
得られる反応生成物は、通常、約230以上、例えば約260以上、約290以上又は約320以上であって、通常は約500以下、例えば約470以下又は約450以下の(平均)EEWを有する。
【0036】
反応生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比は、通常、ほぼ約100:0(即ち反応生成物中にイソシアヌレート環がほとんど存在しない)〜約10:90の範囲である。好ましくは、この比は約15:85以上、例えば約20:80以上、又は約30:70以上である。
【0037】
反応生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比は、反応温度、触媒の量及び型、ジエポキシ化合物とジイソシアネート化合物の相対比及びジイソシアネート化合物の添加速度のような種々のパラメーターによって影響される可能性がある。これに関しては、例えば米国特許第5,112,932号(その全開示を引用することによって本明細書中に組み入れる)を参照する。以下の実施例において、反応生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比が影響を受ける可能性がある項目のいくつかを説明する。
【0038】
未硬化の状態の本発明のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーは、好ましくは粉体の焼結を回避するために、前記ポリマー又は前記ポリマーを含む粉体コーティング組成物それぞれの輸送及び貯蔵中に通常遭遇する温度より高いガラス転移温度を有する。従って、未硬化ポリマーのガラス転移温度は少なくとも約35℃、例えば少なくとも約40℃、又は少なくとも約42℃であるのが好ましい。更に、硬化状態のポリマーは、好ましくは少なくとも約160℃、例えば少なくとも約165℃、少なくとも約168℃、又は少なくとも約170℃のガラス転移温度を有する。
【0039】
本発明のポリマーは、任意の方法で製造でき、その例は当業者によく知られている。これに関しては、例えば米国特許第5,112,932号及びヨーロッパ特許第0 113 575 A1号(これらをその全体を引用することによって本明細書中に組み入れる)を参照することができる。
【0040】
反応(オキサゾリジノン環及びイソシアヌレート環の形成)に適当な触媒の非限定的例としては、求核性アミン及びホスフィンが挙げられる。これらの具体例としては、例えばアルキル化イミダゾール類(例えば2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール及び4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)のような窒素複素環;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロオクテン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、ピペリジンのような他の複素環;トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミンのようなトリアルキルアミン;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン及びトリエチルホスフィンのようなホスフィン;塩化トリエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、酢酸トリフェニルホスホニウム、ヨウ化トリフェニルホスホニウム、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム及び臭化ベンジルトリフェニルホスホニウムのような第4級塩が挙げられる。カルボン酸亜鉛、有機亜鉛キレート化合物、オクタン酸第一錫及びトリアルキルアルミニウム化合物は、本発明のポリマーの製造に使用できる触媒の更なる非限定的例である(言うまでもなく、1種より多い触媒も使用できる)。好ましい触媒はイミダゾール化合物である。特に好ましい触媒は2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)である。
【0041】
触媒又は触媒混合物は、一般に、使用する1種又はそれ以上のジエポキシ化合物及び1種又はそれ以上のジイソシアネート化合物の総合重量の約0.01重量%〜約2重量%、例えば約0.02重量%〜約1重量%又は約0.02重量%〜約0.1重量%の量で使用する。
【0042】
反応は、通常、溶媒を実質的に使用せずに実施する。反応温度は、通常約110℃〜約200℃の範囲である。好ましくは、反応は約120℃〜約180℃の温度で実施する。最も好ましくは、反応は約130℃〜約160℃の温度で実施する。
【0043】
本発明の粉体コーティング組成物は、エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを、組成物の総重量に基づき、通常少なくとも約65重量%、例えば少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%又は少なくとも約80重量%であって、通常約99重量%以下、例えば約95重量%以下又は約90重量%以下含む。組成物の更なる成分としては、硬化剤及び硬化促進剤、顔料、流れ調整剤(flow control agent)、充填剤並びに1種又はそれ以上の他のポリマー、特に1種又はそれ以上の他のエポキシ樹脂から選ばれる添加剤が挙げられる(これらに限定するものではない)が、他のポリマーは好ましくは多量に存在しないのが好ましい(例えば、好ましくは組成物の総重量に基づき、合計で約5重量%以下、例えば約2重量%以下又は1重量%以下である)。これらの添加剤の具体例は当業者にはよく知られている。また、粉体の形態で存在する場合には、本発明の組成物は好ましくは、室温で液体であるいかなる成分(特に発泡剤)も実質的に含まない。
【0044】
本発明のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーに適当な硬化剤及び硬化促進剤の非限定的例としては、アミン硬化剤、例えばジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルホン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリフェノール、ポリマーチオール、ポリカルボン酸及び無水物、例えば無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、メチルナディック酸無水物(nadic methyl anhydride)(NMA)、ポリアセライン酸ポリ無水物(polyazealic polyanhydride)、無水コハク酸、無水マレイン酸及びスチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリオール、置換された又はエポキシで改質されたイミダゾール類、例えば2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール、フェノール系硬化剤、例えばフェノールノボラック樹脂、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミン、ホスホニウム塩、例えば塩化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム及び酢酸エチルトリフェニルホスホニウム、並びにアンモニウム塩、例えば塩化ベンジルトリメチルアンモニウム及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム;更にそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。硬化剤及び促進剤は好ましくは、粉体コーティング組成物の総重量に基づき、約0.5重量%〜約20重量%の総量で使用する。
【0045】
本発明の粉体コーティング組成物は、組成物の成分を実質的に均一にブレンドする任意の方法によって調製できる。例えばドライブレンド、セミドライブレンド又は溶融ブレンド操作を使用できる。次に、ブレンドを微粉砕して粉体コーティング組成物を形成することができる。粉体コーティング組成物の粒子は好ましくは約300ミクロン以下の粒度を有する。
【0046】
本発明の粉体コーティング組成物は、任意の望ましい粉体コーティング法、例えば流動層焼結(FBS)法、静電粉体コーティング(EPC)法及び静電流動層(FEB)法によって基材に適用できる。流動層焼結(FBS)法においては、予熱した基材(例えば金属管)を、空気流によって浮遊状態に保たれた粉体コーティング組成物中に浸漬する。被覆する基材は、例えば少なくとも約200℃、例えば少なくとも約230℃であって通常は約350℃以下、例えば約300℃以下の温度に予熱し、流動層と接触させる(例えば流動層に浸漬する)。基材の浸漬時間はとりわけ、望ましい(微孔質)発泡体被覆の厚さによって決まる。
【0047】
静電粉体コーティング(EPC)法においては、粉体コーティング組成物は圧縮空気によってアプリケーター中に吹き込み、アプリケーター中で粉体コーティング組成物に通常、高圧直流によって約30〜100kVの電圧を帯電させ、粉体コーティング組成物を、コーティングする基材の表面に噴霧する。次いで、それを適当なオーブン中で焼き付けする。粉体は帯電によって冷たい基材に付着する。別法として、静電的に帯電した粉体を、管のような加熱基材に噴霧し、基材の余熱によって又は外部熱の助けを借りて硬化させることができる。
【0048】
静電流動層(EFB)法においては、例えば50〜100kVの静電荷を生じるように粉体を含む流動層上に環状又は部分的に環状の電極を取り付けることによって、前記操作を組合せる。粉体の焼結温度より高温に加熱された基材を粉体クラウド中に浸漬して、後焼結は行わないか、又は冷たい若しくは予熱された基材に静電法によって粉体コーティングを施し、コーティングを、その粉体に特有の温度において後焼結によって融着させる。
【0049】
本発明の粉体コーティング組成物は多数の基材に(発泡体)被覆できる。図1は、鋼棒基材12を被覆する発泡体被覆11を含む、数字10で一般に示される発泡体被覆基材を示している。本発明において有用な好ましい基材は金属(例えば鉄、鋼、銅)、特に金属管である。本発明の粉体コーティング組成物を被覆できる他の材料の例には、セラミック及びガラス材料がある。本発明の粉体コーティング組成物から形成された発泡体被覆は、例えば高い使用温度(例えば150℃又はそれ以上)において操作されるパイプラインの断熱材料として利用できる。粉体コーティング組成物は、多層系に現在使用されるものと同様な連続法を用いて適用できる。従って、鋼管のような基材にポリイソシアヌレート配合系を数時間噴霧したり注いだりする必要がなく、断熱系の適用前に基材を冷却する必要もない。正しく配合された組成物から形成される場合には、得られるFBE被覆は、規則的な気泡構造、少なくとも約170℃のガラス転移温度、低い脆弱性、基材(例えば鋼基材)上のFBEプライマーへの良好な付着性及び最大約300℃の熱安定性を示すことができる。
【0050】
本発明のポリマー及び組成物の他の用途には、熱可塑性ポリマー用の難燃剤がある。
【実施例】
【0051】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に説明する。これらの実施例において、全ての反応は乾燥条件下で窒素の動的パージを絶えず行いながら実施した。以下に報告した温度は、約±2℃の精度で示してある。反応温度は2つのランプによって調節した。ランプの一方は温度調節器(DigiSense,ID#1603ECTC-3)に接続してある。IR分析は、Nexus 670 FT-IRスペクトロメーターで、イソシアネート(−N=C=O)領域(2400〜1500cm-1)に特別の注意を払って実施した。エポキシ当量(EEW)値は、Mettler DL55 Auto-Titratorを用いてEEW滴定によって得た。
【0052】
実施例1
反応器に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標);エポキシ当量(EEW)約180g/eq)716gを装入した。130℃に加熱後、2−フェニルイミダゾール(Aldrich,>98%)350mgを添加した。合計179gのTDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)を4つの部分に分けて、別々に添加した:
部分I、42.1gは137〜138℃において19分間にわたって添加。
部分II、48.7gは138〜140℃において13分間にわたって添加後、この温度で15分間温浸。
部分III、48.4gは145〜147℃において34分間にわたって添加後、この温度で20分間温浸。
部分IV、40gは154〜155℃において19分間にわたって添加後、158〜160℃で30分間温浸。
【0053】
その後、温度を5分間にわたって168〜170℃に上昇させ、30分間保持した後、反応器の内容物を室温まで冷却させた。この間に、残留イソシアネート含量をFT−IRによって測定した(2275cm-1に鋭いイソシアネートピーク)。−N=C=Oピークの消失後、反応混合物を更に20分加熱し(総温浸時間50分)、次いでアルミ箔上に注いだ。得られた生成物のEEWは363g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比は>98:2であり(イソシアヌレート及びオキサゾリジノンそれぞれの1710及び1750cm-1のFT−IRピーク高さによって測定)、樹脂のガラス転移温度(Tg)は64℃であった(DSCによって測定)。
【0054】
実施例2
機械的撹拌機、添加用漏斗、冷却凝縮器、N2供給口、温度計及び加熱マントルを装着した1リットルの5口ガラス反応器に120℃においてビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq、密度1.20g/mL)640g及び2−フェニルイミダゾール300mgを装入した。合計160gのTDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)を3つの部分に分けて、別々に反応器に添加した。具体的には、130℃に加熱後、TDIの50gの部分を130〜135℃において、10分以内で添加した後、15分間保持した。次に、TDIの第2の58gの部分を140〜142℃において20分間にわたって添加した後、更に15分間保持した。次に、TDIの最後の52gの部分を155〜157℃において30分間にわたって添加した後、5分間保持した。次いで、温度を5分間にわたって150〜155℃に上昇させ、30分間保持した。その後に、温度を5分間にわたって165℃に上昇させ、30分保持した後、フラスコの内容物を室温まで冷却させた。この間に、残留イソシアネート含量をFT−IRによって測定した(2275cm-1に鋭いイソシアネートピーク)。得られた生成物のEEWは334g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は66/34であり(イソシアヌレート及びオキサゾリジノンのそれぞれの1710及び1750cm-1のFT−IRピーク高さによって測定)、純粋な樹脂のTgは42℃であった(DSCによって測定)。
【0055】
実施例3
機械的撹拌機、添加用漏斗、冷却凝縮器、N2供給口、温度計及び加熱マントルを装着した1リットルの5口ガラス反応器に120℃においてビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq、密度1.20g/mL)624g及び2−フェニルイミダゾール310mgを装入した。合計176gのTDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)を3つの部分に分けて、別々に添加した。具体的には、130℃に加熱後、TDIの55.8gの部分を130〜135℃において、<15分間にわたって添加した後、15分間保持した。次に、TDIの第2の56.4gの部分を143〜145℃において12分間にわたって添加した後、更に15分間保持した。次に、TDIの残りの63.9gの部分を145〜150℃において22分間にわたって添加した後、5分間保持した。次いで、温度を5分間にわたって150〜155℃に上昇させ、30分間保持した。その後、温度を5分間にわたって165℃に上昇させ、30分間保持した後、フラスコの内容物を室温まで冷却させた。この間に、残留イソシアネート含量をFT−IRによって測定した(2275cm-1に鋭いイソシアネートピーク)。得られた生成物のEEWは338g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は52/48であり(イソシアヌレート及びオキサゾリジノンのそれぞれの1710及び1750cm-1のFT−IRピーク高さによって測定)、純粋な樹脂のTgは43℃であった(DSCによって測定)。
【0056】
実施例4
機械的撹拌機、添加用漏斗、冷却凝縮器、N2供給口、温度計及び加熱マントルを装着した1リットルの5口ガラス反応器に120℃においてビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq、密度1.20g/mL)170g及び2−フェニルイミダゾール60mgを装入した。130℃に加熱後、TDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)の10gの部分を130〜135℃において10分以内で添加した後、10分間保持した。次に、TDIの第2の10gの部分を9分間にわたって添加した後、更に10分間保持した。次に、TDIの最後の10gの部分を7分間にわたって添加した後、5分間保持した。次いで、温度を5分間にわたって140〜145℃に上昇させ、30分保持した。最後に温度を5分にわたって150〜155℃まで上昇させ、30分保持してから、フラスコの内容物を冷却させた。この間に、残留イソシアネート含量をFT−IRによって測定した(2275cm-1に鋭いイソシアネートピーク)。得られた生成物のEEWは244g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は20/80であり(イソシアヌレート及びオキサゾリジノンのそれぞれの1710及び1750cm-1のFT−IRピーク高さによって測定)、150℃における樹脂の粘度は8.4ポアズであった(コーンプレート粘度計を用いて測定)。
【0057】
実施例5
実施例2に記載した装置に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq)187g及び2−フェニルイミダゾール66mgを装入した。130℃に加熱後、TDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)の10gの部分を130〜135℃において6分以内で添加した後、7分間保持した。次に、TDIの第2の10gの部分を10分間にわたって添加した後、更に8分間保持した。次に、TDIの最後の10gの部分を8分間にわたって添加した後、8分間保持した。次いで、温度を5分間にわたって140〜145℃に上昇させ、30分保持し、次に温度を5分にわたって150〜155℃まで上昇させ、30分保持した。得られた生成物のEEWは238g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は15/85であり(FT−IRピーク高さによって測定)、150℃における粘度は6.0ポアズであった(コーンプレート粘度計を用いて測定)。
【0058】
実施例6
実施例2に記載した装置に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq)170g及び2−フェニルイミダゾール60mgを装入した。130℃に加熱後、TDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)の10gの部分を130〜135℃において10分以内で添加した後、11分間保持した。その後、反応混合物を140〜145℃に加熱し、次にTDIの第2の10gの部分を13分間にわたって添加した後、更に9分間保持した。次に、TDIの最後の10gの部分を10分間にわたって添加した後、5分間保持した。次いで、温度を5分間にわたって150〜155℃に上昇させ、30分保持した。得られた生成物のEEWは264g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は55/45であり(FT−IRピーク高さによって測定)、150℃における粘度は5.6ポアズであった(コーンプレート粘度計を用いて測定)。
【0059】
実施例7
実施例2に記載した装置に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Company製のD.E.R.383(登録商標)、エポキシ当量(EEW)約180g/eq)170g及び2−フェニルイミダゾール100mgを装入した。フラスコの内容物を165〜175℃に加熱後、30gのTDI(2,4−異性体/2,6−異性体比=約80/20)を45分にわたって添加した。30分間加熱を続けた後、フラスコの内容物を室温まで冷却させた。得られた生成物のEEWは349g/eqであり、生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環のモル比は100/0であり(FT−IRピーク高さによって測定)、150℃における粘度は9.6ポアズであった(コーンプレート粘度計を用いて測定)。
【0060】
以下の表は実施例1〜7の要約であり、前記操作と同様にして得られた3種の追加の樹脂X〜Zの結果及び性質を記載している。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例8
融着エポキシコーティング粉体配合物を、実施例1の生成物(イソシアネート改質エポキシ樹脂)486.7g、Amicure CG1200(Air Productsから入手可能なジシアンジアミド粉末)13.4g、Epicure P 101(Shell Chemicalから入手可能なビスフェノールAエポキシ樹脂との2−メチルイミダゾール付加物)9.7g、Curezol 2PHZ−PW(Shikokuから入手可能なイミダゾールエポキシ硬化剤)7.3g、Modaflow Powder III(ミズーリ州セントルイスのUCB Surface Specialties製の流れ調整剤であるシリカ担体中アクリル酸エチル/アクリル酸2−エチルヘキシルコポリマー)4.9g、Minspar 7(長石充填剤)128.0g及びCab−O−Sil M5(Cabot Corp.から入手可能なコロイド状シリカ)3.0gを混合することによって調製した。242℃において加熱した鋼棒を粉体中に浸漬して、169℃のガラス転移温度及び鋼基材への良好な付着性を示す融着エポキシ発泡体被覆を形成した。
【0063】
実施例9
融着エポキシコーティング粉体配合物を、実施例2の生成物(イソシアネート改質エポキシ樹脂)537.6g、Amicure CG1200 20.2g、Epicure P 101 10.8g、Curezol 2PHZ−PW 8.1g、Modaflow Powder III 5.4g、Minspar 7 143.0g及びCab−O−Sil M5 3.6gを混合することによって調製した。242℃において加熱した鋼棒を粉体中に浸漬して、165℃のガラス転移温度を示す融着エポキシ微孔質発泡体被覆(図1参照)を形成した。
【0064】
実施例10
融着エポキシコーティング粉体配合物を、実施例3の生成物(イソシアネート改質エポキシ樹脂)537.8g、Amicure CG1200 19.9g、Epicure P 101 10.8g、Curezol 2PHZ−PW 8.1g、Modaflow Powder III 5.4g、Minspar 7 143.0g及びCab−O−Sil M5 3.6gを混合することによって調製した。242℃において加熱した鋼棒を粉体中に浸漬して、173℃のガラス転移温度を示す融着エポキシ発泡体被覆を形成した。
【0065】
前記実施例は、説明のみを目的として記載したのであって、本発明を限定するものと解してはならないことに注意する。本発明を典型的な態様に関して記載したが、本明細書中に用いた文言は限定文言ではなく、記載文言及び説明文言であることがわかる。添付した「特許請求の範囲」(現在の記載及び補正を含む)の範囲内で、その態様において本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更を行うことができる。本発明を本明細書中において特定の手段、材料及び態様に関して記載したが、本発明は明細書中に開示した個々の項目に限定するものではなく、本発明は、添付した「特許請求の範囲」の範囲内であるような全ての機能的に均等な構造、方法及び使用法にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを含んでなり且つ、粉体コーティングプロセスにおいて基材に適用した場合に、発泡体を形成できる熱硬化性粉体コーティング組成物。
【請求項2】
前記エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーが1種又はそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテルと1種又はそれ以上の芳香族ジイソシアネートとの反応生成物を含む請求項1に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項3】
前記エポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーがビスフェノールAのジグリシジルエーテルとトルエンジイソシアネート(TDI)との反応生成物を含む請求項1及び2のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項4】
前記ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが約160〜約250のエポキシ当量(EEW)を有する請求項3に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項5】
前記EEWが約170〜約210である請求項4に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項6】
前記の1種又はそれ以上のビスフェノールジグリシジルエーテル及び前記の1種又はそれ以上の芳香族ジイソシアネートを、エポキシ基対イソシアネート基の比を約1.7:1〜約2.7:1とする量で使用する請求項2〜5のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項7】
前記比が約1.8:1〜約2.2:1である請求項6に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項8】
前記反応生成物が約230〜約500のエポキシ当量(EEW)を有する請求項2〜7のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項9】
前記EEWが約320〜約450である請求項8に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項10】
前記反応生成物中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比が約100:0〜約10:90である請求項2〜9のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項11】
前記比が約80:20〜約20:80である請求項10に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項12】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づき、約65重量%〜約99重量%のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーを含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物を用いる粉体コーティングプロセスに基材を供して、前記基材上に発泡体被覆を形成することを含んでなる基材への被覆形成方法。
【請求項14】
前記基材が金属基材を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物を、前記組成物が発泡体被覆を形成できる温度である基材に、適用することを含む請求項13及び14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の粉体コーティング組成物から形成された発泡体。
【請求項17】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法によって製造された被覆された基材。
【請求項18】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む1種又はそれ以上のジエポキシ化合物とトルエンジイソシアネート(TDI)を含む1種又はそれ以上のジイソシアネートとの反応生成物を含んでなる熱硬化性のエポキシ末端オキサゾリジノン−イソシアヌレートポリマーであって、前記の1種又はそれ以上のジエポキシ化合物及び前記の1種又はそれ以上のジイソシアネートがエポキシ基対イソシアネート基の比を約1.7:1〜約2.7:1とする量で使用され且つ前記ポリマーが粉体コーティング条件下で発泡体を形成できるポリマー。
【請求項19】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びTDIが、前記ポリマーの製造に使用される全ジエポキシ化合物及び全ジイソシアネートの総重量の少なくとも約75%を占める請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
前記ポリマーが約230〜約500のエポキシ当量を有する請求項18及び19のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項21】
前記ポリマー中のオキサゾリジノン環対イソシアヌレート環の比が約100:0〜約10:90である請求項18〜20のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項22】
前記未硬化ポリマーが少なくとも約35℃のガラス転移温度を有する請求項18〜21のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項23】
硬化状態の前記ポリマーが少なくとも約160℃のガラス転移温度を有する請求項18〜22のいずれか1項に記載のポリマー。

【図1】
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【公表番号】特表2010−539287(P2010−539287A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524911(P2010−524911)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/074604
【国際公開番号】WO2009/035860
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】