説明

融雪サービス提供のための情報処理方法及び装置

【課題】融雪設備を用いて融雪サービスを提供する。
【解決手段】融雪サービスを受ける建物の住所、融雪サービスの対象面積及び第1の降雪状況データを含む申込データを取得する工程と、融雪サービスを受ける建物の住所を含む区域の第2の降雪状況データを取得する工程と、第1及び第2の降雪状況データを用いて、融雪すべき降雪量を推定する工程と、降雪量と融雪サービスの対象面積とに基づき、設置すべき融雪設備の仕様を推定する工程と、融雪設備の仕様に基づき、設置すべき電力設備の仕様及び電力使用量を推定する工程と、少なくとも融雪設備の仕様に基づき推定工事費のデータを取得する工程と、電力使用量に応じた電気代と推定工事費とに基づき、サービス申込者に対するサービス料金を算出する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪サービス提供のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003−306917号公報には、積雪地域における雪の処理のための融雪槽やロードヒーティングで、その融雪に使用する熱源をコジェネレーションシステムの廃熱を利用した融雪技術が開示されている。具体的には、コジェネレーションシステムの電気出力を電力負荷に連結し、コジェネレーションシステムの冷却水を受雪盤(融雪部)に循環させて融雪の熱源としたものである。このように、除雪に関する技術は、特別な装置に関するものが多く、サービスに着目した技術はほとんどない。
【特許文献1】特開2003−306917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
降雪量の多い地域では、屋根の雪については、住民が雪下ろしを行っており、道路上の降雪については、路肩に積み上げた後、トラックなどで一括して処分場へ運搬して処理している。また、高齢化した住民の地域では、除排雪の負担が大きいため、自治体などが業者に依頼して、人手による除排雪サービスを行っているが、雪下ろしに要する人手確保に苦労しているのが現状である。しかし、このように、雪下ろしした雪や、路肩に積み上げた雪を、処分することは行われているが、屋根や路肩等の積雪ないし雪を積み上げる箇所に、予め、融雪設備を布設しておいて融雪サービスを行うことは、検討されていない。
【0004】
そこで、本発明の目的は、融雪設備を用いて融雪サービスを提供するための情報処理技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理方法は、記憶部にアクセス可能で処理部を有しているコンピュータにより実行される、融雪サービス提供のための情報処理方法であって、(A)処理部により、融雪サービスを受ける建物の住所、融雪サービスの対象面積及び第1の降雪状況データを含む申込データを取得し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(B)処理部により、融雪サービスを受ける建物の住所を含む区域の第2の降雪状況データを取得し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(C)処理部により、記憶部に格納されている第1及び第2の降雪状況データを用いて、融雪すべき降雪量を推定し、当該降雪量をサービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(D)処理部により、記憶部に格納されている降雪量と融雪サービスの対象面積とに基づき、設置すべき融雪設備の仕様を推定し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(E)処理部により、記憶部に格納されている融雪設備の仕様に基づき、設置すべき電力設備の仕様及び電力使用量を推定し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(F)処理部により、記憶装置に格納されている少なくとも融雪設備の仕様に基づき推定工事費のデータを取得し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納するステップと、(G)処理部により、記憶装置に格納されている電力使用量に応じた電気代と記憶装置に格納されている推定工事費とに基づき、サービス申込者に対するサービス料金を算出し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納する算出ステップとを含む。
【0006】
このように融雪設備などを適切に見積もってサービス料金を自動算出できれば、サービス申込者は、本融雪サービスを利用すべきか否かについて合理的な判断を行うことができる。
【0007】
また、上で述べた算出ステップにおいて、融雪サービスを受ける建物の住所を含む地域の自治体からの補助金又は助成金にさらに基づき、サービス料金を算出するようにしてもよい。自治体からの補助金又は助成金を得られる場合には、これを考慮してサービス料金を低下させることができるようになる。
【0008】
また、上で述べた算出ステップにおいて、複数のサービス種別に応じて複数のサービス料金を算出するようにしてもよい。設置する融雪設備の規模を変えたり、予算規模を下げるなどサービス申込者に選択肢を提示するためである。
【0009】
さらに、本発明において、(H)処理部により、サービス申込者の端末に、サービス料金を含む、サービスの内容のデータを送信するステップと、(G)サービス申込者の端末から、サービスの内容を受諾する旨のメッセージを受信した場合、処理部により、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部にサービス提供確定を表すデータを格納するステップとをさらに含むようにしてもよい。このようにしてオンラインで発注自体も行うことができるようになる。
【0010】
なお、本方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することができ、このプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークなどを介してデジタル信号として配信される場合もある。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、融雪設備を用いて融雪サービスを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず本発明の実施の形態に係る融雪ビジネスについて概略を図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る融雪ビジネスには、融雪サービスを提供する融雪サービス提供会社101と、融雪サービスを利用するサービス申込者102と、融雪設備に必要となる電力を供給する電力会社104と、サービス申込者102宅に融雪設備及び当該融雪設備に必要となる電力設備を施設し且つこれらの設備のメンテナンスを実施する工事会社103と、除雪に対して補助金を交付する自治体105とが登場する。電力設備の施設は、融雪サービス提供会社101により実施される場合もある。
【0013】
具体的なスキームは次のとおりである。融雪サービス提供会社101は、サービス申込者102からの申し込みに応じて、サービス申込者102宅に必要な融雪設備及び電力設備をシミュレーションしてサービス料金を含むサービスメニューを作成し、サービス申込者102に対して提示する。サービスメニューの作成においては、工事会社103に対して工事費用の見積りを依頼して受け取ったり、自治体105から補助金制度についてのデータを取得するなどの処理を実施する。サービス申込者102が、サービスメニューの中から適当と思われるメニューを選択して融雪サービス提供会社101に対して申し込みを行うと、融雪サービス提供会社101は、工事会社103に対して、申し込みに係る融雪設備及び電力設備を、サービス申込者102宅に設置するように依頼する。なお、融雪設備及び電力設備については、融雪サービス提供会社101が所有するか、またはリース会社の保有としてリース代金をリース会社に支払うものとする。工事会社103は、工事完了後については、融雪設備及び電力設備のメンテナンスも実施する。また、融雪サービス提供会社101は、自治体105に対しても、融雪設備に応じた補助金の申請を行い、自治体105から補助金を取得する。さらに、融雪サービス提供会社101は、電力会社104に対して新設した電力設備に対する電力供給を依頼し、電力会社104は新設された電力設備に対して電力供給を実施する。
【0014】
そして、融雪サービス提供会社101は、サービス申込者102から、自治体から取得した補助金、工事費用及びメンテナンス費用、並びに電気料金をベースに決定されるサービス料金を、サービス申込者102から受け取る。なお、補助金の額によっては、サービス申込者102の費用負担が存在しない場合もある。融雪サービス提供会社101は、電気料金を電力会社に支払い、工事会社103に工事代金及びメンテナンス料金を支払う。
【0015】
このような新しい融雪サービスによって、融雪サービス提供会社101は、新たなサービスに対する売り上げを得ることができ、電力会社104も電力使用量が増加して稼働率を向上させ、電気料金をより多く得ることができるようになる。また、工事会社103も、融雪設備及び電力設備の工事費用及びメンテナンス料を受け取ることができ、冬季の雇用を新規に創出することができるようになる。当然ながら、サービス申込者102は、補助金の額にもよるが、定額の料金にて除雪の負担から解放される。さらに、自治体105にとっても、住民サービスに1つのメニューが増えることとなり、サービス向上となる。
【0016】
次に、図1に示したようなスキームを実施するためのコンピュータ・システムの概要を図2に示す。本実施の形態に係るコンピュータ・システムにおいては、サービス申込者102によって操作されるサービス申込者端末3と、工事会社103の担当者によって操作される工事会社端末7と、自治体105によって設置された自治体サーバ9と、電力会社104によって設置された電力会社サーバ11と、融雪サービス提供会社101によって設置され且つ本実施の形態において主要な処理を実施する融雪サービス提供サーバ5と、気象データを蓄積しており、要求に応じて当該気象データを提供する気象データ提供サーバ14とが、ネットワーク1に接続されており、相互に通信可能となっている。また、融雪サービス提供サーバ5には、融雪サービス提供会社101内のLAN(Local Area Network)12を介して融雪サービス提供会社端末13が接続されている。
【0017】
さらに、融雪サービス提供サーバ5は、サービス申込者端末3とのデータのやりとりを行う申込処理部51と、サービス申込者102からの気象データ(例えば降雪量など)及び例えば気象データ提供サーバ14からの気象データからサービス申込者102宅の気象状態を推定する気象状態判定部52と、気象状態判定部52によって推定された気象状態に基づき必要となる融雪設備のシミュレーションを実施する融雪設備シミュレーション部53と、融雪設備シミュレーション部53によって推定された融雪設備に必要となる電力設備をシミュレーションする電力設備シミュレーション部54と、工事会社103の工事会社端末7とデータのやりとりを行う工事見積取得部55と、例えば自治体サーバ9からサービス申込者102居住地等における補助金の制度についてのデータを収集する補助金データ収集部56と、ユーザに提示するサービスメニューを生成するサービスメニュー生成部57と、サービス申込者102によって行われたサービスの申し込みに関する申込データを格納する申込データ格納部58と、各地の工事会社についてのデータを保持する工事会社DB59とを有する。
【0018】
なお、電力会社サーバ11は、例えば電力供給管理DB111を管理している。また、自治体サーバ9は、例えば自治体毎に設けられる。但し、自治体毎でなくとも良い。また、融雪サービス提供会社端末13は、ネットワーク1に接続するようにしても良い。
【0019】
次に、図3乃至図5を用いて図1を用いて説明したスキームの詳細及び図2に示したコンピュータ・システムの動作の詳細について説明する。まず、図3に示すように、サービスメニュー提示までの処理を実施する(ステップS1)。その後、サービスメニュー提示後の処理を実施する(ステップS3)。以下、2つの処理について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。
【0020】
まず図4を用いてサービスメニュー提示までの処理について説明する。最初に、サービス申込者102は、サービス申込者端末3を操作して、サービス申込者端末3に融雪サービス提供サーバ5へアクセスさせる。融雪サービス提供サーバ5の申込処理部51は、サービス申込者端末3からのアクセスに応じて、申込データ入力ページ・データをサービス申込者端末3に送信する。サービス申込者端末3は、申込データ入力ページ・データを受信し、表示装置に表示する。申込データ入力ページには、サービス申込者の氏名、住所、連絡先、メールアドレスなどの個人情報、除雪対象場所(例えば屋根や道路)の面積、例年の降雪量などの除雪情報などの第1の降雪状況データ入力欄が設けられている。サービス申込者102は、サービス申込者端末3の表示装置に表示されている各入力欄に、データを入力して、入力データを融雪サービス提供サーバ5に送信させる。融雪サービス提供サーバ5の申込処理部51は、サービス申込者端末3から、個人情報及び除雪情報などを受信し、申込データ格納部58に登録する(ステップS11)。
【0021】
次に、融雪サービス提供サーバ5の気象状態判定部52は、気象データ提供サーバ14からサービス申込者102の住所(すなわち融雪設備設置場所)付近における降雪量関連の第2の降雪状況データを取得し、当該降雪量関連のデータと申込データ格納部58に登録された申込内容とに基づき、融雪設備設置場所における冬季の各月の平均降雪量を推定する気象状態推定処理を実施し、推定結果を申込データ格納部58に登録する(ステップS13)。例えば、気象データ提供サーバ14のデータを、申込内容に含まれる降雪情報に応じて調整するような処理を実施する。なお、各月の平均降雪量だけではなく、最も多い場合及び最も少ない場合などについても算出しても良い。
【0022】
そして、融雪サービス提供サーバ5の融雪設備シミュレーション部53は、申込データ格納部58に格納されている気象状態のデータ(各月の平均降雪量)及び設置場所の面積に基づき、必要とされる融雪設備のシミュレーションを行うことによって、必要となる融雪設備の仕様を推定し、融雪設備の仕様データを申込データ格納部58に格納する(ステップS15)。融雪設備の仕様については、1種類だけではなく複数種類推定するようにしてもよい。
【0023】
さらに、融雪サービス提供サーバ5の電力設備シミュレーション部54は、申込データ格納部58に格納されている融雪設備の仕様データに基づき、当該融雪設備に必要となる電力設備のシミュレーションを行うことによって、必要となる電力設備の仕様を推定し、電力設備の仕様データを申込データ格納部58に格納する(ステップS17)。なお、電力設備の仕様データから、電気料金の推定も行う。また、融雪サービス提供会社101が、電力設備を設置する場合などにおいては、電力設備設置工事費についても、本ステップで推定するようにしても良い。
【0024】
また、融雪サービス提供サーバ5の工事見積取得部55は、申込データ格納部58に格納されている融雪設備の仕様データ及び電力設備の仕様データに基づく工事費用見積り依頼を、工事会社DB59に格納されている、例えばサービス申込者102の住所付近を施工可能な複数の工事会社103のメールアドレスに、メールなどで送付する(ステップS19)。メールに、融雪設備の仕様データ及び電力設備の仕様データそのものを含むようにするのではなく、例えば、融雪設備の仕様データ及び電力設備の仕様データを提示するためのウェブ(Web)ページへのリンクを添付するようにしても良い。なお、融雪サービス提供会社101が、電力設備の設置を行う場合には、工事会社には融雪設備の仕様データのみが送信される。工事費用見積依頼には、設備リース代又は設備代、設置費用、保守費用、撤去費用などの見積依頼が含まれる。但し、全費用をリース対象とする場合もある。
【0025】
工事会社103の担当者は、メールなどを参照して、融雪設備及び電力設備についての見積もりを実施し、例えば工事会社端末7を操作して融雪サービス提供サーバ5の見積入力ページにアクセスし、見積もりの結果を入力する。融雪サービス提供サーバ5の工事見積取得部55は、工事会社端末7から見積データを受信し、申込データ格納部58に格納する(ステップS21)。工事見積取得部55は、複数の工事会社103から見積データを受信した場合には、最も低い金額を送信してきた工事会社103を選択し、施工会社として申込データ格納部58に登録する。
【0026】
次に、融雪サービス提供サーバ5の補助金データ収集部56は、申込データ格納部58に格納されているサービス申込者102の住所の自治体が設置している自治体サーバ9にアクセスして、除雪にかかる補助金のデータをダウンロードするか、自治体宛に補助金の算出依頼をメールなどにて送信し、当該メールなどに対する応答をメールやWebページにて受信し、申込データ格納部58に格納する(ステップS23)。
【0027】
そして、融雪サービス提供サーバ5のサービスメニュー生成部57は、申込データ格納部58に格納されているデータを用いて、サービス料金を算出すると共にサービスメニューを複数生成する(ステップS25)。例えば、補助金、工事費用及び保守費用(リースの場合にはリース料)、電気代などを考慮して、サービス料金がいくらくらいになるのかを決定する。そして、「自治体から得られる補助金50万円を用いて、融雪サービス費用40万円を支払う」「自治体から得られる補助金50万円を用いて、融雪サービス費用60万円を支払い、不足分をサービス利用者が支払う」「自治体から得られる補助金50万円を用いて、融雪サービス費用60万円の一部を賄い、残余の分はサービスの量などを減らして自ら除雪する」「自治体から得られる補助金50万円と同額となるようにサービスのグレードを下げる」などのメニューを生成する。予めメニューの雛形を用意しておき、コメントなどを埋め込むようにする。なお、本ステップについては、融雪サービス提供会社101の担当者が、融雪サービス提供会社端末13を操作して、融雪サービス提供サーバ5の申込データ格納部58に登録されているデータを読み出し、サービスメニューを作成し、サービスメニュー生成部57に対して入力するような構成であっても良い。
【0028】
例えば、申込処理部51は、生成されたサービスメニューのデータを、申込データ格納部58に登録されているサービス申込者102のメールアドレスに送信することによって、サービス申込者102に対してサービスメニューの提示を実施する(ステップS27)。なお、サービスメニューのWebページのURL(Uniform Resource Locator)を添付したメールをサービス申込者102宛てに送信するようにしても良い。このようにすれば、サービス申込者102は、どのようなメニューでサービスを受けることができるのか判断することができるようになる。
【0029】
このようにしてサービスメニュー提示までの処理は終了する。サービスメニュー提示までの処理においては、図2に示したコンピュータ・システムが主体となって処理を行い、サービス申込者102に対して適切なサービスメニューを提示することができるようになるが、一部の処理については融雪サービス提供会社101の担当者が、実施するようにしても良い。例えば工事会社103に対して電話やFAXで見積り依頼を出して、同じく見積書をFAXなどで受信するような場合もある。このような場合においても、融雪サービス提供会社101の担当者が、見積データを工事見積取得部55に対して入力を行い、申込データ格納部58に登録する。また、融雪サービス提供会社101の担当者が、自治体に補助金について交付額を問い合わせて、融雪サービス提供会社端末13によって補助金データ収集部56に対して入力を行うようにしても良い。同様に、サービス申込者102の申し込みも書類によってなされる場合があり、そのような場合も融雪サービス提供会社101の担当者が、融雪サービス提供会社端末13によって申込データを申込処理部51に対して入力するようにしても良い。
【0030】
次に図5を用いてサービスメニュー提示後の処理について説明する。なお、図5においては、主に人手で行われる処理については、点線ブロックで表している。サービス申込者102は、提示されたサービスメニューのうち最も好ましいサービスメニューを選択し、サービス申込者端末3を操作して、融雪サービス提供サーバ5にアクセスさせ、サービスメニューの選択ページにて選択に従った入力を行う。申込処理部51は、サービス申込者端末3から、選択されたサービスメニューの識別データを含む申し込みを受け付け、申込データ格納部58において、当該サービス申込者102についてのデータのうち選択されたサービスメニューについて確定申し込みが行われたことを表すデータを登録する(ステップS31)。但し、書類にて確定申し込みを行って、融雪サービス提供会社の担当者が、融雪サービス提供会社端末13によって、申込処理部51に対して登録を行うようにしても良い。
【0031】
そうすると、申込処理部51は、融雪サービス提供会社の担当者宛にメールなどによって確定申し込みが行われた旨の通知を行う。融雪サービス提供会社101の担当者は、融雪サービス提供会社端末13を操作して、申込データ格納部58に格納されている、確定申し込みに係るサービスメニューのデータなどを参照して、補助金申請をサービス申込者102の代わりに該当する自治体に対して実施する(ステップS33)。例えば、申請書類を作成して、該当する自治体に対して提出する。また、融雪サービス提供会社101の担当者は、電力会社104に対して、サービス申込者102宅への電力供給の申し込みを行う(ステップS35)。例えば、電力会社サーバ11にアクセスして、電力供給管理DB111に、選択されたサービスメニューにおいて必要となる電力供給がなされるように登録を行う。
【0032】
さらに、融雪サービス提供会社101の担当者は、融雪設備及び電力設備の工事を、最低額を提示した工事会社103に対して発注する(ステップS37)。発注は、書面で行っても良いし、FAXなどを利用しても良いし、場合によってはメールなどで行う場合もある。なお、融雪サービス提供会社101が電力設備の工事を行う場合には、工事会社103に対する発注は融雪設備だけになる。発注を受けた工事会社103は、融雪設備及び電力設備の工事を施工し、施工完了後はメンテナンスを実施する(ステップS39)。さらに、電力会社104は、工事完了後に、電力供給管理DB111のデータに基づき、サービス申込者102宅への電力供給を開始する(ステップS41)。
【0033】
また、工事会社103は、工事完了に応じて工事代金等を融雪サービス提供会社101に請求し、これに対して融雪サービス提供会社101は工事代金等の支払いを行う(ステップS43)。なお、リース会社を用いる場合には、リース会社に対して工事代金を請求して、リース会社が工事代金の支払いを行う。
【0034】
さらに、融雪サービス提供会社101は、サービス申込者102に対する補助金を自治体から受け取る(ステップS45)。そして、電力会社104は、融雪設備によって使用した電力についての電気料金を、融雪サービス提供会社101に請求し、融雪サービス提供会社101は、電気料金を支払う(ステップS47)。そして、融雪サービス提供会社101は、工事代金等、電気料金、補助金から決定されるサービス料金をサービス申込者102に請求する(ステップS49)。但し、サービス料金が0の場合もあるし、補助金の額が大きい場合にはサービス申込者102に返金する場合もある。
【0035】
以上のようにサービスメニュー提示後の処理は、主に実際の設備施工及び運営、並びに金銭のやりとりを含む。
【0036】
このようなスキームを実施することによって、上で述べたような各種効果を得ることができるようになる。特に、降雪量の多い地域における高齢者の住宅の除排雪を、自治体等が業者に依頼して人手で行うのではなく、融雪設備を用いて、融雪サービス提供会社、自治体、電力会社、電力設備の設置・メンテナンスを行う工事会社等の有する情報処理力を有機的に結合させることにより、より効率の良い融雪サービスを提供することができるようになる。
【0037】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図2に示した融雪サービス提供サーバ5の機能ブロック構成は一例であって、必ずしも実際のプログラム構成と同じではない。さらに、処理フローについては、順番が前後しても結果が変わらない部分については、並行実施したり、順番を入れ替えても良い。
【0038】
さらに、図1では、電力会社104と融雪サービス提供会社101とが別の実施の形態を示しているが、電力会社104と融雪サービス提供会社101とが一致する場合もある。同様に、融雪サービス提供会社101が工事会社103と一致する場合もある。さらに、自治体からの補助金などが存在しない場合もある。この場合には、サービス申込者102の負担は大きくなるが、スキーム自体はほぼ一致する。
【0039】
また、図2で示したサーバは、複数台のコンピュータにて実施される場合もある。また、工事会社103を1社だけ採用するのではなく、例えば融雪設備のみをA工事会社に発注し、電力設備のみをB工事会社に発注するような工夫を行うようにしても良い。また、歩道や路肩等の自治体等が管理している場所では、予め、コインパーキングのように融雪設備を布設しておき、自治体からの依頼を受けた融雪サービス提供会社が融雪装置を駆動させることにより、積み上がった雪を運搬することなく、融雪させることができる。融雪設備の駆動は、Suica(商標)のように、ICカードを融雪サービス提供会社の社員がかざすだけで行うことも可能であるため、ICカードの配布、電気使用量の集計、精算等は、自治体に代わって融雪サービス提供会社が行うことができる。
【0040】
なお、融雪サービス提供サーバ5、自治体サーバ9、電力会社サーバ11、サービス申込者端末3、工事会社端末7、気象データ提供サーバ14は、コンピュータ装置であって、図6に示すように当該コンピュータ装置においては、メモリ2501(記憶部)とCPU2503(処理部)とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS)及びWebブラウザを含むアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。このようなコンピュータは、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係るビジネススキームを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシステム構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメインの処理フローを示す。
【図4】本発明の実施の形態におけるサービスメニュー提示までの処理の処理フローを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるサービスメニュー提示後の処理の処理フローを示す図である。
【図6】コンピュータの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ネットワーク 3 サービス申込者端末 5 融雪サービス提供サーバ
7 工事会社端末 9 自治体サーバ 11 電力会社サーバ
12 LAN 13 融雪サービス提供会社端末
111 電力供給管理DB
51 申込処理部 52 気象状態判定部 53 融雪設備シミュレーション部
54 電力設備シミュレーション部 55 工事見積取得部
56 補助金データ収集部 57 サービスメニュー生成部
58 申込データ格納部 59 工事会社DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部にアクセス可能で処理部を有しているコンピュータにより実行される、融雪サービス提供のための情報処理方法であって、
前記処理部により、融雪サービスを受ける建物の住所、融雪サービスの対象面積及び第1の降雪状況データを含む申込データを取得し、サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記融雪サービスを受ける建物の住所を含む区域の第2の降雪状況データを取得し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記記憶部に格納されている前記第1及び第2の降雪状況データを用いて、融雪すべき降雪量を推定し、当該降雪量を前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記記憶部に格納されている前記降雪量と前記融雪サービスの対象面積とに基づき、設置すべき融雪設備の仕様を推定し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記記憶部に格納されている前記融雪設備の仕様に基づき、設置すべき電力設備の仕様及び電力使用量を推定し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記記憶装置に格納されている少なくとも前記融雪設備の仕様に基づき推定工事費のデータを取得し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納するステップと、
前記処理部により、前記記憶装置に格納されている前記電力使用量に応じた電気代と前記記憶装置に格納されている前記推定工事費とに基づき、前記サービス申込者に対するサービス料金を算出し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する算出ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記算出ステップにおいて、前記融雪サービスを受ける建物の住所を含む地域の自治体からの補助金又は助成金にさらに基づき、前記サービス料金を算出する
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記算出ステップにおいて、複数のサービス種別に応じて複数のサービス料金を算出する
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記処理部により、前記サービス申込者の端末に、前記サービス料金を含む、サービスの内容のデータを送信するステップと、
前記サービス申込者の端末から、前記サービスの内容を受諾する旨のメッセージを受信した場合、前記処理部により、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部にサービス提供確定を表すデータを格納するステップと、
をさらに含む請求項1記載の情報処理方法。
【請求項5】
融雪サービス提供のための情報処理装置であって、
融雪サービスを受ける建物の住所、融雪サービスの対象面積及び第1の降雪状況データを含む申込データを取得し、サービス申込者の識別情報に対応付けて記憶部に格納する手段と、
前記融雪サービスを受ける建物の住所を含む区域の第2の降雪状況データを取得し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する手段と、
前記記憶部に格納されている前記第1及び第2の降雪状況データを用いて、融雪すべき降雪量を推定し、当該降雪量を前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する手段と、
前記記憶部に格納されている前記降雪量と前記融雪サービスの対象面積とに基づき、設置すべき融雪設備の仕様を推定し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する手段と、
前記記憶部に格納されている前記融雪設備の仕様に基づき、設置すべき電力設備の仕様及び電力使用量を推定し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する手段と、
前記記憶装置に格納されている少なくとも前記融雪設備の仕様に基づき推定工事費のデータを取得し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する手段と、
前記記憶装置に格納されている前記電力使用量に応じた電気代と前記記憶装置に格納されている前記推定工事費とに基づき、前記サービス申込者に対するサービス料金を算出し、前記サービス申込者の識別情報に対応付けて前記記憶部に格納する算出手段と、
を有する情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−269254(P2008−269254A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110877(P2007−110877)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)