説明

融雪装置の運転制御装置

【課題】融雪のための散水量の適正化、使用するポンプ容量(定格動力)に合わせて起動頻度を調整し、ポンプを劣化させることなく、同じ運転制御装置で複数種類のポンプに対応でき、且つ既設の融雪装置にも適用できる融雪装置の運転制御装置を提供する。
【解決手段】道路40に埋設された散水配管41、ポンプ26を備え、ポンプ26で水源400から揚水した水を散水配管41に送り、降雪面に散水して融雪する融雪装置の運転制御装置であって、降雪強度を検知する降雪強度センサ200と、時計機能と、降雪強度センサ200で検知した降雪強度に応じてポンプの時間当たりの駆動電力であるポンプ運転強度を制御すると共に、降雪強度が同じでも時計機能に基づく時間帯によりポンプ運転強度を増減させる運転制御手段100とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深井戸等の水源から揚水した水を散水配管に送り、該散水配管から道路や駐車場等の降雪面に散水し、降り積もる雪を融解する融雪装置の運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場に降り積もる雪を溶かす融雪装置として、従来から道路面下や駐車場面下に散水配管を埋設しておき、ポンプにより深井戸等の水源より揚水し、該揚水した水を散水配管に送り、該散水配管に設けた多数の散水ノズルから、道路面や駐車場面に散水して、降り積もる雪を溶かす融雪装置が採用されている。このような融雪装置では、降雪を検知する降雪センサとコントローラを備え、コントローラで降雪の開始と終了時期を判断し、降雪期間ポンプを連続運転し、汲み上げた地下水で降雪面に降り積もる雪を融雪している。
【0003】
近年、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下が問題となっており、必要以上に地下水を汲み上げずに済む融雪装置が求められている。また、省エネの観点から融雪装置の省電力化、ひいてはポンプの運転動力の低減が求められている。これに対処するものとして例えば特許文献1及び特許文献2に示すように、節水型の融雪装置も提案されている。特許文献1に開示されている融雪装置は、可変速ポンプ装置と、降雪強度を検知する降雪強度センサを備え、該降雪強度センサで検知した降雪強度に応じて可変速ポンプ装置の回転速度を制御して、地下水の汲み上げ量を節約している。
【0004】
また、特許文献2に開示されている消雪設備運転制御方法では、捕捉した雪をヒータにより溶かし、この水を導水管に導き、この導水管内の水を一定の大きさの水滴として落下させカウントすることで降雪強度の測定を行なっている。また、測定した降雪強度からポンプの間欠運転パターンを選択する場合、降雪強度値に外気温に依拠した降雪の含水率を加味した係数を乗算して、降雪強度値を融雪強度値に補正し、この融雪強度値に基いてポンプを運転制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−92206号公報
【特許文献2】特開平9−143947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に開示されたものでは、いずれも降雪強度センサは捕捉した雪を溶かして、その液滴を検出することによって降雪強度を検知している。ところが降雪時に風があると捕捉した雪片が融雪する前に吹き飛ばされてしまったり、雪片をうまく捕捉できなくなり、正確な降雪強度を検知できない場合があった。また、特許文献2のように融雪した水を導水管に導き、この導水管内の水を一定の大きさの水滴として落下させカウントする方法は、導水管にごみがつまって正確な降雪強度を検出できない場合がある。
【0007】
また、融雪に必要な散水水量は、降雪強度や外気温によって変化するが、融雪装置が道路に使用されている場合は、道路の交通量によっても融雪に必要な水量は変化する。しかしながら、従来の融雪装置には道路の交通量のような要因は考慮されておらず、交通量に応じてポンプを運転制御するものがなかった。従って、時間帯によっては融雪に必要な散水量以上の水を散水していた。
【0008】
また、特許文献2に開示する消雪設備運転制御方法のように、ポンプを間欠運転する場合は、ポンプの起動停止が頻繁になるが、過度の起動停止はポンプの寿命を縮めてしまう。また、ポンプの劣化は効率の低下にも結びつき、また、通常用いられる深井戸水中ポンプの取り替えにはかなりの費用がかかってしまう。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、正確な降雪強度が検出でき、融雪のための散水量の適正化を図ることができる融雪装置の運転制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、交通量等を考慮して時間帯を設定し、該時間帯における融雪のための散水量の適正化を図れる融雪装置の運転制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、使用するポンプ容量(定格動力)に合わせて起動頻度を調整し、ポンプを無駄に劣化させることなく、同じ運転制御装置で複数種類のポンプに対応でき、既設の融雪装置にも簡単に適用できる融雪装置の運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明は、道路に埋設された散水配管、ポンプを備え、ポンプで水源から揚水した水を散水配管に送り、降雪面に散水して融雪する融雪装置の運転制御装置であって、降雪強度を検知する降雪強度センサと、時計機能と、降雪強度センサで検知した降雪強度に応じてポンプの時間当たりの駆動電力であるポンプ運転強度を制御すると共に、降雪強度が同じでも時計機能に基づく時間帯によりポンプ運転強度を増減させる運転制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記のように降雪強度に応じてポンプ運転強度を制御すると共に、降雪強度が同じでも時計機能に基づく時間帯によりポンプ運転強度を増減させる運転制御手段を備えることにより、例えば交通量の多い時間帯は散水量を減らしても融雪ができるから、その分散水量を節約できる。
【0014】
また、本発明は上記融雪装置の運転制御装置において、時間帯は、散水配管が埋設された道路の交通量を考慮して設定されることを特徴とする。
【0015】
上記のように時間帯を道路の交通量を考慮して設定するので、交通量の多いときは散水量を少なく、交通量の少ないときは多い散水量とするポンプの運転制御が可能となる。
【0016】
また、本発明は上記融雪装置の運転制御装置において、外気温度を検知する外気温センサと、時間帯毎に降雪強度及び外気温に対するポンプ運転強度のテーブルとを備え、運転制御手段は、時計機能の時刻に基いてテーブルを切替え、ポンプ運転強度を制御することを特徴とする。
【0017】
上記のように運転制御手段は、時計機能の時刻に基いてテーブルを切替え、ポンプ運転強度を制御するので、時間帯毎に最適なポンプ運転強度でポンプを運転できる。
【0018】
本発明は、散水配管、ポンプを備え、ポンプで水源から揚水した水を散水配管に送り、降雪面に散水して融雪する融雪装置の運転制御装置であって、降雪強度を検知する降雪強度センサと、制御するポンプの定格動力を設定するポンプ動力設定手段と、降雪強度センサで検知した降雪強度に基いてポンプを間欠運転すると共に、ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いてポンプの起動頻度を変化させる運転制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記のように降雪強度センサで検知した降雪強度に基いてポンプを間欠運転すると共に、ポンプの定格動力に基いてポンプの起動頻度を変化させる運転制御手段とを備えたので、ポンプが過度な起動頻度で運転されることがなく、ポンプの寿命を縮めることがない。
【0020】
また、本発明は上記融雪装置の運転制御装置において、運転制御手段は、ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いて、ポンプを間欠運転させる際の起動時間間隔を決定し、ポンプの起動時間間隔毎に起動させて間欠運転を行うことを特徴とする。
【0021】
上記のようにポンプの定格動力に基いてポンプを間欠運転させる際の起動時間間隔を決定するので、ポンプの定格動力に応じた適正な頻度でポンプの起動停止を行なうことができ、ポンプの寿命を縮めることなく、融雪のための散水量を節約できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
・時間帯毎に融雪に適切な水量を散水するので、散水量の節約が可能となる。
・使用するポンプに合わせて起動頻度を調整することができるため、ポンプを無駄に劣化させることなく、且つ散水量を節約できる。また、同じ運転制御装置で複数の種類のポンプに対応することができ、また、既設の融雪装置に本発明に係る運転制御装置を適用することも簡単にできる。また、本融雪装置の運転制御装置は、多数の製造が期待できるので、コスト的も安価とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る運転制御装置を使用する融雪装置の全体概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る融雪装置の運転制御装置の降雪強度レベルと散水量の関係を示す図である。
【図3】本発明に係る融雪装置の運転制御装置のブロック構成を示す図である。
【図4】本発明に係る融雪装置の運転制御装置の降雪センサ部の概略構成を示す図である。
【図5】本発明に係る融雪装置の運転制御装置の降雪強度と外気温度と融雪条件選択のテーブルを示す図である。
【図6】本発明に係る融雪装置の運転制御装置のポンプ運転頻度とポンプ運転パターンを示す図である。
【図7】本発明に係る融雪装置の運転制御装置の降雪センサ部の外観構成を示す図である。
【図8】本発明に係る融雪装置の運転制御装置のコントロール部の外観構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る運転制御装置を使用する融雪装置の全体概略構成を示すブロック図である。図示するように、本融雪装置は、ポンプ制御盤100と、降雪センサ部200と、散水部300と、水源部400とを備えている。ポンプ制御盤100はポンプ運転制御回路部101とコントロール部102とからなる。ポンプ制御盤100には警報等の信号を外部に出力する外部出力部60が設けられている。
【0025】
運転制御回路部101はAC電源(商用電源)から漏電ブレーカ(ELB)10を通して電源が供給されており、該運転制御回路部101の電磁開閉器11を介して、深井戸水中ポンプ51のモータMに駆動電流が供給できるようになっている。該モータMに供給される駆動電流は電流センサ12で検出されるようになっている。また、モータMに過電流が流れないように、3Eリレーを備えた過電流保護器14を備えている。
【0026】
ポンプ制御盤100は、降雪判断部21、表示部22、警報部23、残雪防止制御部24、モード選択部25、ポンプ部26、制御選択部27を備えている。散水部300は、図示するように、例えば路面40の下に埋設した散水配管41を備え、該散水配管41に多数の散水ノズル42が設けられ、該散水ノズル42の水を噴出する開口は路面40に露出して配置されている。
【0027】
水源部400は深井戸50内にポンプPとモータMを備えた深井戸水中ポンプ51が設置されている。該深井戸水中ポンプ51の吐出口には吐出管52が接続され、該吐出管52は逆止弁53及び開閉弁54を介して上記散水配管41に接続され、深井戸水中ポンプ51から散水配管41に水を供給することにより、多数の散水ノズル42から路面40に水Wを噴出するようになっている。深井戸水中ポンプ51のモータMには上記のようにAC電源から、運転制御回路部101に設けられた漏電ブレーカ(ELB)10、電磁開閉器11を通して電源が供給されるようになっている。また、深井戸50内には、渇水水位を検出する渇水レベルセンサ55、自動復帰レベルセンサ56が配置されている。なお、L1は深井戸50の運転水位を示す。
【0028】
光学センサ(後に詳述)を備えた降雪センサ部200の検出信号は降雪判断部21に入力され、後述するように雪片のカウント数が入力される。また、降雪センサ部200は外気温度を検知する温度センサも備えており、外気温検知信号も降雪判断部21に入力される。降雪判断部21では降雪センサ部200からの上記信号に基き、降雪検知、外気温度、降雪強度の検出を行ない、その検出信号をモード選択部25に出力する。
【0029】
表示部22には、深井戸50の水位が低下して渇水状態となった場合にそれを表示する井戸渇水表示部、運転・故障の表示を行なう運転・故障表示部、ポンプの積算運転時間の表示を行なう積算運転時間表示部が設けられている。警報部23には深井戸50の渇水レベルセンサ55が渇水を検出した場合に渇水を警報する井戸渇水警報部、ポンプ(深井戸水中ポンプ51)が故障した場合にポンプ故障を警報するポンプ故障警報部が設けられている。モード選択部25には節水制御(後述する「強」、「中」、「弱」)モード、連続制御モード(降雪強度によらず、降雪があれば常にポンプを連続運転するモード)が設けられ、降雪判断部21からの信号により節水制御モード又は連続制御モードが選択される。ポンプ部26には残雪防止制御部24、モード選択部25からの信号を受けてポンプの運転を行うポンプ運転部、警報部23からの信号を受けてポンプを停止するポンプ停止部が設けられている。制御選択部27は選択手段28の選択により自動運転又は手動運転を選択できるようになっている。
【0030】
図2は本発明に係る運転制御装置の降雪強度レベルと散水量の関係を示す図で、ここでは、降雪強度レベルを「弱」、「中」、「強」に区分し、それに応じて散水量をステップ1(小)、ステップ2(中)、ステップ3(大)して散水する。即ち、降雪強度が「強」の場合は散水量をステップ3(大)としてポンプ(深井戸水中ポンプ51)を連続運転し、降雪強度「中」の場合は散水量はステップ2(中)としてポンプを間欠運転(ON時間>OFF時間)し、降雪強度「弱」の場合は散水量はステップ1(小)の間欠運転(ON時間<OFF時間)している。このように制御することにより、ポンプの散水量(ポンプ運転時間)を制御して、常に連続運転する場合に比べて、地下水の汲み上げ量を抑制することができる。
【0031】
図3は本発明に係る運転制御装置のブロック構成を示す図であり、図示するように、ポンプ制御盤100のコントロール部102に降雪センサ部200で検出された雪片カウント値や検出外気温度値が入力され、降雪検知、外気温度、降雪強度を検出し、モード選択部25(図1参照)に出力する。モード選択部25ではこの降雪検知、外気温度、降雪強度から図2に示すように、該降雪強度レベルに対する散水量を決定し、ポンプのON/OFF信号S1をポンプ運転制御回路部101に出力し、ポンプ運転制御回路部101では、このポンプのON/OFF信号を受けて電磁開閉器11をON/OFFしてポンプ深井戸水中ポンプ51の運転停止を行なう。
【0032】
図4は降雪センサ部200が備える降雪センサ部の概略構成を示す図、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。降雪センサは光学センサ63を具備している。該光学センサ63は水平面状に赤外線検知領域64を照射する赤外線照射部(図示せず)を具備し、該水平面状の赤外線検知領域64を通過する雪片により反射する赤外線を検出し、雪片の数をカウントする。この雪片のカウント値信号をコントロール部102に出力する。このように広い水平面を通過する雪片をカウントすることができるため、雪片のカウント数を多くでき、降雪強度を正確に把握することができる。降雪センサ部200は図示は省略するが外気温を検出する外気温度センサを備え、外気温度検出値もコントロール部102に出力する。
【0033】
コントロール部102は外気温度T(℃)と光学センサ63からの雪片のカウント値(降雪強度)PLから、図5に示すように、ポンプ動力を「強」、「中」、「弱」に区分し、この3段階でポンプ動力を制御する。ポンプ(深井戸水中ポンプ51)を「強」で連続運転し、「中」で運転時間割合2/3の間欠運転、「弱」で運転時間割合1/3の間欠運転としている。なお、ここではポンプ動力を「強」、「中」、「弱」の3段階としたが、「強」、「弱」の2段階でもよく、4段階以上の多段としてもよい。
【0034】
図5の降雪強度判断であるPL1〜PL3は、PL1<PL2<PL3の数値で、ポンプ制御盤100のコントロール部102の設定手段により設定可能である。降雪強度(降雪パルス数:PL)は、降雪センサ部200が備える光学センサ63によってカウントされた雪片のカウント数のことである。また、図5の外気温度:Tは、設定手段により予め設定された基準温度Tsとの差に基いて条件分けされている。
【0035】
ここでは、降雪強度PLを、PL1≦PL<PL2、PL2≦PL<PL3、PL3≦PLの3段階に区分している。また、外気温度TをTs=3.0℃に設定し、Ts−0.5<T≦Ts、Ts−1.0<T≦Ts−0.5、Ts−1.5<T≦Ts−1.0、Ts−2.0<T≦Ts−1.5、Ts−2.5<T≦Ts−2.0、Ts−3.0<T≦Ts−2.5、Ts−3.5<T≦Ts−3.0、Ts−4.0<T≦Ts−3.5、T≦Ts−4.0の9段階に区分している。
【0036】
ポンプ動力の制御には、外気温度Tと降雪強度PLのほか、融雪条件選択がある。図5では、A、B、Cのテーブルがあり、それぞれに対応する時間区分が設定されている。テーブルA、B、Cは、設定手段で予め設定された、交通量を考慮して決められた時間区分によって、交通量の「多い」、「やや多い」、「少ない」に対応している。自動モードでは、ポンプ制御盤100のコントロール部102に備えられた時計機能により、A、B、Cいずれかのテーブルが選択される。車の通行によって路面の積雪は散水と攪拌され融けやすくなるため、交通量が多いほど散水量は少なくて済む。手動モードではA、B、Cの任意のテーブルを選択することもできる。
【0037】
図5では交通量の多い時間帯を8:00〜12:00、12:00〜18:00、やや多い時間帯を6:00〜8:00、18:00〜21:00、少ない時間帯を21:00〜00:00、00:00〜6:00と設定しているが、地域の特性や、実際に装置を設置する道路の特性に合わせて設定することが望ましい。また、コントロール部102にカレンダー機能を設けて、融雪条件選択の条件となる時間区分を曜日や祝日によって変化させるようにしてもよい。
【0038】
・同じ外気温度T、降雪強度PLであれば、条件Aより条件B、条件Bより条件Cの方が運転強度が大きくなるように設定されている。
・図5のテーブルは、複数の条件範囲の組み合わせにより制御対象への出力を決定するのであって、一種のファジー制御を形成している。
・ポンプは、一般に、その動力の大きさに応じて起動頻度の上限が定められている。設定手段により使用するポンプの定格動力が設定され、それに基いて、適切な起動頻度が設定される。
【0039】
ポンプのステップ制御での間欠運転時間の間隔は、ポンプの許容する起動頻度の起動条件により、図6に示す3パターンから決定する。ここではポンプの定格動力と起動頻度の関係を7.5kW以下では起動頻度8回、11〜22kWでは起動頻度4回、26〜55kWでは起動頻度2回とし、それぞれステップ1(ON時間<OFF時間の間欠運転)、ステップ2(ON時間>OFF時間の間欠運転)、ステップ3(連続運転)の運転を行うようしている。図6の例では、定格動力により起動頻度を3つに分類し、間欠運転の際のポンプの起動間隔が決定され、間欠運転の際、ポンプはこの間隔で必ず起動される。ポンプの寿命を考慮すると起動頻度は小さいほうが良いが、融雪面の状況を一定に保つためにはできるだけこまめに起動・停止したほうが良いため、ポンプの寿命に影響のない範囲で起動頻度をできるだけ高く設定することが望ましい。
【0040】
図5に基づく降雪強度レベルの判断は所定時間ごとに行われるが、本実施形態では、この所定時間は図6に示すステップ1でのポンプの運転時間に設定される。つまり、起動頻度が8回であれば、2.5分ごと、起動頻度が4回であれば、5分ごとに降雪強度レベルが判断され、それに基づきステップ1〜3が選択される。ここで、ステップ1若しくは2の状態からステップ3になった場合、ポンプは連続運転となるため、間欠運転中のポンプが停止している状態からでもポンプが起動することになる。このような動作により、間欠運転時間の間隔として設定される起動頻度以上にポンプが起動停止を繰り返すことになる可能性が生じる。このため、過去1時間のポンプ起動回数をカウントしておき、その回数が所定値(起動頻度8回であれば、8、若しくは10程度)を超えると強制的に連続運転に移行するよう制御を行う。なお、過去1時間のポンプ起動回数が所定値以下になると、強制的な連続運転を解除し、降雪強度レベルに応じた制御に戻る。
【0041】
ポンプの定格が違っても同一の降雪センサ部200、コントロール部102を使用できる。図7は降雪センサ部200の外観を示す図で、図8はコントロール部102の外観を示す図である。図7(a)は正面図、図7(b)は側面図、図7(c)は底面図である。図8(a)は正面図、図8(b)(c)は側面図、図8(d)は端子台の拡大図である。降雪センサ部200には雪片をカウントする光学センサ63(図4参照)他、外気温度を検知する外気温度センサ65、信号出力、電源入力のためのコネクタ66を備えている。支柱67で降雪検出や外気温度に適する場所に設置することができるようになっている。
【0042】
コントロール部102は端子台70を備えており、該端子台70に電源入力端子71、降雪センサ部200からの信号線を接続する信号入力端子72の他、ポンプを運転制御するためのON/OFF信号が出力される運転出力端子73等を備えている。更に、本実施形態の間欠運転制御では未使用だが、降雪強度に応じた電流を出力する電流出力端子74を備えている。また、7セグメントの表示装置75、3つのボタンによりなる設定手段76を備えている。また、運転状況などの表示も可能となっている。なお、コントロール部102は、そのケーシングに複数個(図では4隅に4個)の取付け穴77が設けられ、運転制御装置の任意の位置、例えばポンプ制御盤100の任意の位置に設置できるようになっている。
【0043】
図7に示す降雪センサ部200とコントロール部102の組み合わせだけで、降雪強度、外気温度、時間帯を考慮して深井戸水中ポンプ51を起動・停止するためのON/OFF信号を出力できるため、既設の融雪装置に、この降雪センサ部200とコントロール部102を追加して組み込むことで、本実施形態と同様の制御を行うことができる。また、コントロール部102は電流出力端子74を備え、その出力は降雪強度、外気温度、時間帯を考慮してそれらに対応する強度の信号であるため、この信号を深井戸水中ポンプ51を駆動するモータMに駆動電力を供給するインバータへの速度指令信号として利用することもできる。そのため既設の融雪装置がポンプをインバータで駆動するインバータ駆動であった場合、特別な困難なしに降雪センサ部200とコントロール部102を組み込むことができる。
【0044】
交通事情等の時間帯の要素を考慮して節水制御を行うためには、降雪センサは図4に示すように、光学センサ63を備え、水平面状の赤外線検知領域64を通過する雪片をカウントする構成のものが望ましいが、従来から用いられている降雪センサでも構わなく、降雪強度を捉えれるものであればよい。ポンプの定格に合わせて間欠運転を行うためには、降雪センサ等は必ずしも本実施形態のようなものを使用する必要はなく、間欠運転を行うポンプ一般の制御装置として、降雪強度センサで検知した降雪強度に基いてポンプを間欠運転すると共に、ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いてポンプの起動頻度を変化させることができる。また、ポンプの定格動力に基いて、ポンプを間欠運転させる際の起動時間間隔を決定し、ポンプの起動時間間隔毎に起動させて間欠運転を行うことができる。
【0045】
また、残雪防止制御は、ポンプで運転されている状態から降雪センサで降雪が検出されなくなった際に、すぐにポンプを停止することにより路面に雪が残ってしまわないように、降雪が検出されなくなってからも所定時間の間ポンプを運転させる制御であるが、この残雪防止のためのポンプ運転時間を、直前の降雪強度レベルに基づいて変化させることもできる。例えば、直前の降雪強度レベルが「強」であれば、予め定められた所定時間(例えば5分間)の間ポンプを運転し、「中」であれば、その所定時間の80%に相当する時間(例えば4分間)の間ポンプを運転し、「弱」であれば、その所定時間の50%に相当する時間(例えば2.5分間)の間ポンプを運転するという制御を行う。なお、残雪防止制御におけるポンプの運転時間は、節水制御モードに限らず、連続運転モードにおいても、同様に制御することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、降雪強度を検知する降雪強度センサと、時計機能と、降雪強度センサで検知した降雪強度に応じてポンプの時間当たりの駆動電力であるポンプ運転強度を制御すると共に、降雪強度が同じでも時計機能に基づく時間帯によりポンプ運転強度を増減させる運転制御手段とを備えて、融雪装置の運転制御装置を構成するので、降雪強度に応じてポンプ運転強度を制御すると共に、降雪強度が同じでも時計機能に基づく時間帯によりポンプ運転強度を増減することが可能となり、例えば交通量の多い時間帯は散水量を減らして融雪できるから、その分散水量を節約できる融雪装置として利用できる。
【0048】
また、本発明は、降雪強度を検知する降雪強度センサと、制御するポンプの定格動力を設定するポンプ動力設定手段と、降雪強度センサで検知した降雪強度に基いてポンプを間欠運転すると共に、ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いてポンプの起動頻度を変化させる運転制御手段とを備えて、融雪装置の運転制御装置を構成するので、ポンプが過度な起動頻度で運転されることがなく、ポンプの寿命を縮めることがない融雪装置として利用できる。
【符号の説明】
【0049】
10 漏電ブレーカ(ELB)
11 電磁開閉器
12 電流センサ
14 過電流保護器
21 降雪判断部
22 表示部
23 警報部
24 残雪防止制御部
25 モード選択部
26 ポンプ部
27 制御選択部
28 選択手段
40 路面
41 散水配管
42 散水ノズル
50 深井戸
51 深井戸水中ポンプ
52 吐出管
53 逆止弁
54 開閉弁
63 光学センサ
64 赤外線検知領域
65 外気温度センサ
66 コネクタ
67 支柱
70 端子台
71 電源入力端子
72 信号入力端子
73 運転出力端子
74 電流出力端子
75 表示装置
76 設定手段
77 取付け穴
100 ポンプ制御盤
101 ポンプ運転制御回路部
102 コントロール部
200 降雪センサ部
300 散水部
400 水源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設された散水配管、ポンプを備え、前記ポンプで水源から揚水した水を前記散水配管に送り、降雪面に散水して融雪する融雪装置の運転制御装置であって、
降雪強度を検知する降雪強度センサと、
時計機能と、
前記降雪強度センサで検知した降雪強度に応じて前記ポンプの時間当たりの駆動電力であるポンプ運転強度を制御すると共に、前記降雪強度が同じでも前記時計機能に基づく時間帯により前記ポンプ運転強度を増減させる運転制御手段とを備えたことを特徴とする融雪装置の運転制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の融雪装置の運転制御装置において、
前記時間帯は、前記散水配管が埋設された道路の交通量を考慮して設定されることを特徴とする融雪装置の運転制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の融雪装置の運転制御装置において、
外気温度を検知する外気温センサと、
前記時間帯毎に前記降雪強度及び外気温に対するポンプ運転強度のテーブルとを備え、
前記運転制御手段は、前記時計機能の時刻に基いて前記テーブルを切替え、前記ポンプ運転強度を制御することを特徴とする融雪装置の運転制御装置。
【請求項4】
散水配管、ポンプを備え、前記ポンプで水源から揚水した水を前記散水配管に送り、降雪面に散水して融雪する融雪装置の運転制御装置であって、
降雪強度を検知する降雪強度センサと、
制御するポンプの定格動力を設定するポンプ動力設定手段と、
前記降雪強度センサで検知した降雪強度に基いて前記ポンプを間欠運転すると共に、前記ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いて前記ポンプの起動頻度を変化させる運転制御手段とを備えたことを特徴とする融雪装置の運転制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の融雪装置の運転制御装置において、
前記運転制御手段は、前記ポンプ動力設定手段で設定されたポンプの定格動力に基いて、前記ポンプを間欠運転させる際の起動時間間隔を決定し、前記ポンプの前記起動時間間隔毎に起動させて間欠運転を行うことを特徴とする融雪装置の運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15010(P2013−15010A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186314(P2012−186314)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2007−267033(P2007−267033)の分割
【原出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(591061699)新潟電機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】