説明

血リンパ産生細胞集団のラジオアブレーション

血リンパ産生キメラ状態を達成する方法を開示する。本法は、受容者に骨検知追尾性放射性医薬を投与し;骨髄由来細胞を受容者に移植し;次に血リンパ産生キメラ状態を誘発するためリンパ球の応答を一時的に抑制するステップを含む。本法は、移植された器官、組織又は細胞に対する拒絶反応を減らしかつ自己免疫疾患を治療するのに有用である。本発明は、外部放射線又は過酷な細胞毒性医薬を必要とせずに血リンパ産生キメラ状態を誘発するという利点を有する。本発明はさらに、器官、細胞又は組織の移植物に対する寛容性を延長するという利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨薬剤の放射性医薬品の使用に関し、より詳しくは、骨を標的として骨髄及び骨髄由来の細胞に放射線を送達して血リンパ産生キメラ状態(hemolymphopoietic chimerism)の誘発を助けることができる放射性医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの免疫系を操作することによって、難治の自己免疫疾患の治療法を提供したり器官、組織及び細胞の移植体に対する寛容性を提供するという課題が医学界に提供されている。自己免疫疾患は、ヒトの免疫系が、そのヒト自身の身体の細胞、組織及び器官を間違って攻撃する疾患である。難治の自己免疫疾患を治療することは依然として困難な目標である。骨髄移植法は、悪性疾患を含む血液障害を治療するため一般に利用されている方法であり、そして最近は難治の自己免疫疾患の治療の一選択肢として提案されている(例えば、以下の文献を参照。Saba N.ら「Bone marrow transplantation for nonmalignant di -seases」,Journal of Hematother Stem Cell Research 2002(2):377-387;Furst D.「Stem cell transplantation for autoimmune disease:progress and pro -blems」,Curr Opin Rheumatol.2002;14(3):220-224;Oyama Y,Papadopoulos EB,Miranda M,Traynor AE,Burt RK,「Allogeneic stem cll transplantation for Evans syndrome」,Bone Marrow Transplant.2001;28(9):903-905;Pratt G,Kinsey SE,「Remission of severe,intractable autoimmune haemolytic anaemia following matched unrelated donor transplantation」,Bone Marrow Transplant.2001;28(8):791-793; Berdeja JG,Flinn IW,「New approaches to blood and marrow transplantation for patients with low-grade lymphomas」,Curr Opin Oncol.2001;13(5):335-341;Chilton PM,Huang Y,Ildstad ST,「Bone Marrow cell graft engineering:from bench to beside」,Leuk Lymphoma.2001; 41(1-2):19-34;Burt RK,Slavin S,Burns WH,Marmont AM,「Induction of tole-rance in autoimmune diseases by hematopoietic stem cell transplantation: getting closer to a cure?」,Blood.2002;99(3):768-784)。
【0003】
移植物なしの場合に完全に免疫応答性である宿主が、長期間の免疫抑制を必要とせずに、移植片又は器官、組織もしくは細胞の移植体を完全に許容することと定義される移植寛容性も困難な目標である。現在、慢性と急性の移植片拒絶反応は、主として、腫瘍や器官毒性の発生を含む重篤な合併症を併発することが多い非特異的な免疫抑制治療法を利用して軽減されている。
【0004】
骨髄又は骨髄由来細胞の移植を利用したモデルで強力な寛容性が達成されている。骨髄又は骨髄由来の細胞の移植後に達成される安定な多系譜キメラ状態は、ドナー特異的寛容性を誘発させることが予め必要と考えられることが多い。キメラ状態とは、異なる遺伝体質の組織2種以上が共存していることを意味すると定義されている。血リンパ産生キメラ状態の場合、宿主とドナーの血液成分(リンパ球、血小板、赤血球及び残りの白血球)が共存している。しかし、長期間のキメラ状態を誘発するため一般に利用される致死又は亜致死の放射線順化法(radiation conditioning strategy)は、毒性が非常に激しいので、悪性疾患などの命に関わる疾患以外の最も臨床的な症状にこれらの方法を利用することは不可能である(例えば、Inverardi L.ら,「Tolerance and pancreatic islet transplantation」,Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci,2001 ;356(1409):759- 765;Waldmann H.,「Therapeutic approaches for Transplantation」,Curr Opin Immunol.2001;13(5);606-610;Sykes M.ら,「Mixed chimerism」, Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci,2001;356(1409):707‐726参照)。
【0005】
さらに、血リンパ産生キメラ状態を誘発するための多くのプロトコルは、強力な細胞整復(致死又は亜致死)順化プロトコルで受容者を治療した後にドナーの骨髄を注入することに基づいており、この方法の利用は臨床ではなくて実験に限定され、このことは以下の諸文献:Mayumi H,Good RA.,「Induction of tolerance across major barriers using a two-step method with genetic analysis of tolerance induction」,Immunobiology.1989;179(1):86-108 ;Ildstad ST,Sachs DH.,「Reconstitution with syngeneic plus allogeneic or xenogeneic bone marrow leads to specific acceptance of allograft or xeno -grafts」,Nature.1984;307(5947):168-170;Sharabi Y,Sachs DH.,「Mixed Chimerism and permanent specific transplantation tolerance induced by a nonlethal preparative regimen」,J Exp Med.1989;169(2):493-502;及びColson YL,Li H,Boggs SS,Patrene KD,Johnson PC,Ildstad ST.,「Durable mixed allogeneic chimerism and tolerance by a nonlethal radiation -based Cytoreductive approach」,J Immunol,1996;157(7):2820-2829に記載されている。
【0006】
多くの戦略が、細胞傷害性薬物の使用のみならず致死及び亜致死の全身に対する放射線照射、胸腺及び/又はリンパ系への放射線照射の使用を含む受容者を予め順化する方法として使用されているが、これらの方法はすべて、一時的な免疫抑制を誘発するためのみならず、ドナー由来要素を移植する「スペースをつくる」ために受容者の血リンパ産生細胞を減らすことを目的としている。以下の文献類:Stewart FM,Crittenden RB,Lowry PA,Pearson -White S,Quesen-berry PJ,「Long -term engraftment of normal and post-5-fluorouracil murine marrow into normal nonmyeloablated mice」,Blood.1993;81(10):2566-2571及びRao SS,Peter SO,Crittenden RB,Stewart FM,Ramshaw HS,Quesenbery PJ,「Stem cell Transplantation in the normal nonmyeloablated host:relation-ship between cell dose,schedule,and engraftment」,Exp Hematol.1997;25(2):114-121(引用文の形態)に報告されているように、骨髄は、サイトカイン類及び増殖因子類の複雑なネットワークによって血リンパ産生幹細胞を保持する「ニッチ」を有し、そして予め順化することによって、ドナー由来の血リンパ産生幹細胞を移植するために必要な「スペース」がつくり出される。
【0007】
しかしながら、過去数年間に、全身への放射線照射を利用することによって「スペースをつくりだす」という概念が試みられている。より詳しく述べると、多量のドナー骨髄を共刺激遮断剤(co-stimulatory blockade)(抗-CD154, B7, CT LA ‐4Ig)とともに一回又は複数回注入する方法又は抗-CD4抗体及び抗-CD8抗体を局所胸腺放射線照射とともに利用する方法が提案されている(例えば以下の諸文献を参照。Durham MM,Bingaman AW,Adams AB,Ha J,Waitze SY,Pearson TC,Larsen CP,「Cutting edge :administration of anti-CD40 ligand and donor bone marrow leads to hemopoietic chimerism and donor-specific tolerance without cytoreductive conditioning」,J Immunol,2000;165(1):1-4;Pearson TC,Alexander DZ,Hendrix R,Elwood ET,Linsley PS,Winn KJ,Larsen CP,「CTLA4-Ig plus bone marrow induces long-term allograft survival and donor specific unresponsiveness in the murine model.Evidence for hemato- poietic chimerism」,Transplantation,1996;61(7):997-1004;Seung E,Iwakoshi N,Woda BA,Markees TG,Mordes JP,Rossini AA,Greiner DL「Allgenetic hematopoietic chimerism in mice treated with sublethal myeloablation and anti-CD154 antibody:absence of graft-versus-host disease,induction of skin allograft tolerance,and prevention of recurrent autoimmunity in islet- allograft ed NOD/Lt mice」,Blood,2000;95(6):2175-2182;Wekerle T,Kurtz J,Ito H,Ronquillo JV,Dong V,Zhao G,Shaffer J,Sayegh MH,Sykes M「Allogeneic bone marrow transplantation with co-simulatory blockade induces macro-chimerism and tolerance without cytoreductive host treatment」,Nat Med, 2000;6(4):464-469;Wekerle T,Sayegh MH,Ito H,Hill J,Chandraker A,Pear- son DA,Swenson Kg,Zhag G,Sykes M「Anti-CD154 or CTLA4Ig obviates the need for thymic irradiation in a non-myeloablative conditioning regimen for the induction of mixed hematopoietic chimerarism and tolerance」,Transplantation,1999;68(9):1348-1355;Sharabi Y,Abraham VS,Sykes M,Sachs DH「Mixed allogeneic chimeras prepared by a non-myeloablative regimen:requirement for chimerism to maintain tolerance」,Bone Marrow Transplant.1992;9(3):191-197(引用文献の形態))。これらの方法は、非常に有望であるが、多量のドナー骨髄細胞又はある種の外部放射線に依然として依存しているので、臨床条件で実施することが困難な方法である。米国特許第5,273,738号は、特定のサブセットの細胞ではなくて骨髄に使用するため、血リンパ産生組織を標的として放射線を照射する際に、放射能の標識を付けた抗体を利用する方法を開示している。この特許は、寛容性を誘発する際のキメラ状態の重要性を認識していない。
【0008】
米国特許第5,514,364号、同第5,635,156号および同第5,876,692号は、細胞のサブセットに局在している抗原に対する細胞型の特異的抗体を、全身に対する放射線照射と組み合わせて使って、キメラ状態を高めかつドナーの骨髄を移植した後の寛容性の誘発を高めることを開示している。これらの特許は、血リンパ産生キメラ状態を誘発するために、ホスホネート化合物のような非免疫学的放射能標識化化合物を使用することを述べていない。
【0009】
米国特許第5,902,825号(以後’825特許と呼ぶ)は、非放射性金属イオン(ランタノイドでよい)と有機ホスホン酸のリガンドで形成された活性剤複合体を含有する治療用組成物を開示している。’825特許は、かような組成物が骨の疾患の治療と骨の痛みを軽減する方法に使えることを教示しているが、骨髄移植に関連する問題について述べていない。特に、骨髄又は骨髄由来細胞を治療のため標的にして、移植片に関連する抗原に対する寛容性を誘発するために骨髄又は骨髄由来細胞の移植によってキメラ状態を達成することは全く示唆されていない。
【0010】
米国特許第5,679,902号(以後’902特許と呼ぶ)は、患者の骨髄細胞を破壊したのち正常な骨髄細胞を再移植する際に使用する治療用組成物とその使用法を開示している。その開示された方法は、骨髄細胞に結合しているか又は骨髄細胞が産生するマーカーに対して特異的でかつ細胞毒性剤に接合されている、細胞毒性量の抗体又は抗体フラグメントで患者を治療することを含んでいる。’902特許には、適切な抗体は、始原細胞型などの骨髄細胞と反応するNP-2、MN3などの抗体であると記載されている。接合された抗体とともに治療に使うのに好ましい放射性元素としては153Smが含まれている。この特許は、自己由来の骨髄を注入するプロトコルを開示しているが、移植の寛容性の誘発に成功して骨髄移植で血リンパ産生キメラ状態を達成するという問題については述べていない。
【0011】
米国特許第6,241,961号(以後’961号特許と呼ぶ) には、ヒトの治療に使う治療用の放射性免疫接合体とその製造方法が開示されている。'961特許の放射性免疫接合体は、放射線同位元素に接合された、CD19、CD20、CD22、HLL2、HLA DR10β及びCD66に対して結合特異性を有するモクローナル抗体からなっており、血リンパ産生疾患を治療するのに有用である。しかし’961特許は、アロ抗原に対する寛容性を得るために、骨髄又は骨髄由来細胞の移植によってキメラ状態を誘発するため骨髄細胞を非抗原性標的にすることを示唆していない。
【0012】
米国特許第4,898,724号(以後’724特許と呼ぶ)は、石灰化腫瘍を治療するのに153Smをアミノホスホン酸のキレート化剤とともに使用することを教示している。153Sm-EDTMPなどのキレートを投与して、骨髄にβ放射線の線量を送達する。骨の放射能濃度のため、骨髄に対する線量が一時的な骨髄の抑制を起こす。しかし、’727特許は、かようなキレートをキメラ状態誘発のために使うことを教示も示唆もしていない。
【0013】
米国特許第4,882,142号(以後’142特許と呼ぶ)は、アミノホスホン酸と153Smや166Hoなどの放射性希土類金属のイオンとの複合体を使って骨髄を抑制することを教示している。好ましい実施態様は、大環状のアミノホスホン酸DOTMPと放射性金属166Hoとで形成された複合体である。これらのキレートをI.V.注射すると、骨髄を抑制するか又はアブレート(ablate)する作用で骨の中に放射能が蓄積する。しかし、'142特許はキメラ状態の誘発を教示も示唆もしていない。
【0014】
国際特許願公開第WO 0076556 A2号に、Fritzbergらは、骨髄のアブレーション、石灰化腫瘍の治療および自己免疫疾患の治療などを行うための放射性骨薬剤の各種使用法を述べている。しかし、この文献は、キメラ状態の誘発を教示していない。というより、Fritzbergは、骨髄の回復を速めその結果キメラ状態の誘発させない成長刺激ホルモンを使用することを提案している。
【0015】
したがって、骨髄又は骨髄由来細胞の受容者に、過酷な前順化法を実行することなくかつ不要な副作用をもたらすこと無しに、寛容性を臨床的に誘発させるため、ドナーの骨髄又は骨髄由来細胞の接種物の少量〜中量の投与量を利用可能で、いかなる形態の外部放射線又は末梢免疫系の枯渇(depletion)にも依存しない適切なプロトコルを開発する必要がある。
【発明の開示】
【0016】
第一の側面で、本発明は、受容者に骨を検知追尾する放射性医薬を投与し、骨髄又は骨髄由来細胞を受容者に移植し、次いでリンパ球の応答を一時的に抑制して血リンパ産生キメラ状態を誘発することからなる血リンパ産生キメラ状態を達成する方法である。
【0017】
第二の側面で、本発明は、受容者に骨検知追尾放射性医薬を投与し、骨髄又は骨髄由来細胞を受容者に移植し、リンパ球の応答を一時的に抑制し、次いで一種又は二種以上の器官、組織又は細胞を移植することからなる移植された器官、組織又は細胞の拒絶反応を減らす方法である。
【0018】
第三の側面で、本発明は、受容者に骨検知追尾放射性医薬を投与し、骨髄又は骨髄由来細胞を受容者に移植し、次いでリンパ球の応答を一時的に抑制することからなる自己免疫疾患の治療方法である。
【0019】
本発明は、上記従来技術に述べられているいくつかの方法に使用されているような致死又は亜致死の順化法を必要とせずに、血リンパ産生キメラ状態を誘発するという利点を有している。骨検知追尾放射性化合物を使うことは、外部放射線又は過酷な細胞毒性薬剤を必要とせずに、ドナーの幹細胞の移植と血リンパ産生キメラ状態を達成すために必要な「スペース」をつくる実行可能な方法である。また本発明の方法は、キメラ状態を適正な程度まで誘発できる環境を提供しない従来技術のいくつかの方法とは対照的に、血リンパ産生キメラ状態をより確実に提供するものである。そして、本発明の方法を使用して、器官、細胞又は組織の移植物に寛容性を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明をさらに図面によって説明する。
【0021】
本発明は、多系譜キメラ状態を達成するため、受容者の骨髄を選択的に標的にすることによって強力であるが一時的な骨髄抑制(myelodepression)を達成する新規な方法に関する。一実施態様で、本発明は、多系譜血リンパ産生キメラ状態を達成するために利用できる。用語「多系譜」は、本願で使用する場合、骨髄が含有する前駆体由来の二種以上の細胞系譜が受容者に検出できることを意味すると定義する。本発明は、受容者に、器官、組織又は細胞の移植物の移植寛容性を誘発しかつ自己免疫疾患を治療するのに特に有用である。
【0022】
一実施態様で、アロ抗原、自己抗原及び異種抗原からなる群の少なくとも一つのメンバーに、免疫寛容性を付与するため、血リンパ産生キメラ状態が誘発される。アロ抗原は、同じ種の異なる個体の細胞、組織又は器官に発現されて、免疫系が認識する抗原である。自己抗原は、個体の組織、細胞又は器官によって発現されて、自己免疫応答を起こすか又は自己免疫疾患の標的になる抗原である。異種抗原は、異なる種の個体の細胞、組織又は器官に発現されて、免疫系が認識する抗原である。
【0023】
本発明の方法は、骨検知追尾放射性医薬を受容者に投与するステップを含んでいる。本願では、骨検知追尾放射性医薬は、放射性核種と軟組織以外の骨を標的とするリガンドとの複合体を意味すると定義される。好ましくは、前記放射性医薬はアミノホスホン酸と複合された希土類の放射性核種で構成されている。好ましい放射性核種としては、153Sm、166Ho,159Gd、177Lu、165Dy、90Y、155mIn、186Re、188Re、117mSn、140La、131I、67Cu、225Ac、212Bi、213Bi、211At、223Ra、149Pm、105Rh、198Au、199Au、166Dy、47Sc、175Yb、32P、89Sr、192Ir、149Tb及び224Raがある。
【0024】
好ましいリガンドとしてはアミノホスホン酸類と低級カルボン酸類がある。より好ましくは、リガンドは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリメチレンホスホン酸(HEEDTMP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、トリス(2-アミノエチル)アミンヘキサメチレンホスホン酸(TTHMP)、1-カルボキシエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(CEDTMP)とビス(アミノエチルピペラジン)テトラメチレンホスホン酸(AEPTMP)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、メチレンジホスホン酸(MDP)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)及びニトリロトリ酢酸(NTA)がある。好ましくは、骨検知追尾放射性医薬の複合体は、153Sm-EDTMP、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP、159Gd-DOTMP、165Dy-EDTMP、165Dy-DOTMP、186Re-HEDP、188Re-HEDP及び117mSn-DTPAからなる群から選択される。
【0025】
本発明の方法に使える特定の骨検知追尾放射性医薬はキレート化剤を使う必要がない。例えば、32Pは、骨検知追尾放射性医薬として、単独でリガンド無しで使用できる。また89Srは、Robinson RG,Spicer JA,Preston DFら、「Treat- ment of Matastatic Bone Pain With Strontium-89」,Nucl.Med.Biol.14:219-222(1987)に示されているように塩化物として使用できる。本発明で使用する好ましい放射性医薬としては、 153Sm-EDTMP、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP及び159Gd-DOTMPがある。これら複合体の例は、米国特許第4,976,950号、同第4,882,142号、同第5,059,412号、同第5,066,478号、同第5,064,633号、同第4,897,254号、同第4,898,724号及び同第5,300,279号に記載されている。本発明に使用するより好ましい放射性医薬に、153Sm-EDTMPは含まれていないが、153SmとEDTMP以外のリガンドとの複合体及びEDTMPと153Sm以外の放射性核種との複合体が含まれている。最も好ましい放射性医薬としては、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、 166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP及び159Dd-DOTMPがある。
【0026】
これら骨検知追尾放射性医薬は、ヒト骨髄受容者に、1mCi/Kg〜50mCi/Kgの範囲内の投与量で導入される。骨検知追尾放射性医薬の線量は、放射性核種の核特性、放射性医薬の骨内の局在性と他の組織内の局在性によって決まる。例えば、半減期が長くかつエネルギー放出量が高い同位元素は、半減期が短くかつエネルギー放出量が低い同位元素より大きい線量を送達する。さらに、放射性医薬のより低い診断線量を使って、骨検知追尾放射性医薬の生体分布(biodistribution)を測定し、より高い線量を投与する前の線量を推定できる。153Sm-EDTMPの場合、3miCi/Kg(111MBq/kg)〜20mCi/Kg(740MBQ)の線量が好ましい。6mCi/Kg(222MBq/kg)〜10mCi/Kg(370MBq/kg)体重の線量の方がより好ましい。各放射性核種とそれが投与される形態によって、与えられる線量が異なる。この線量はその放射性核種の減衰特性と生体分布によって決まる。赤色骨髄に対する好ましい線量は、800ラド(8グレイ)〜5,000ラド(50グレイ)である。より好ましくは、1600ラド(16グレイ)〜3000ラド(30グレイ)である。
【0027】
放射性複合体を一回投与すれば、骨髄又は骨髄由来細胞の移植に続いてキメラ状態を誘発するのに充分のはずであるが、必要な場合、複数回投与してもよい。放射能は、受容者の骨の中に留まり、その同位元素の寿命の期間中、骨の中の骨髄又は骨髄由来細胞に作用する。したがって、153Sm、166Ho及び159Gdが好ましいが、比較的短いが臨床的に適当な半減期を有する他の放射性同位元素も本発明に有用な複合体に採用できる。適切な複合体は、複合体を形成する薬剤を任意に利用する任意のプロトコルに従って製造できるか又は商業的供給源から入手できる。
【0028】
放射性医薬は、液剤、乳剤及び懸濁剤を含む医薬として許容可能な剤形に製剤できる。注射用溶液剤が特に好ましい。また本発明に従って使用する複合体の医薬組成物は適切な賦形剤、添加剤、緩衝剤、安定剤及び担体を含有している。滅菌水又は生理食塩水が特に好ましい。本発明の方法の別のステップは、骨髄由来細胞を受容者に移植するステップを含んでいる。用語「骨髄由来細胞」は、本願で使用する場合、骨髄細胞、幹細胞及び前駆細胞;骨髄から得て生体外で選択又は処理(例えば培養、強化など)される細胞;並びに他の解剖ソース(動員後の末梢血、臍帯血など)から得た幹細胞/前駆細胞の特性を有する細胞を意味すると定義される。骨髄由来細胞は、当業者に知られているプロトコルによって受容者に移植される。
【0029】
本発明の方法は、さらに、リンパ球の応答を一時的に抑制するステップを含んでいる。リンパ球の応答の一時的抑制は、その治療が、慢性的治療ではなくて一時的であるか又は比較的短期間であることを意味すると定義される。このような慢性的なリンパ球応答の抑制は、これに伴う副作用を最小限にするため、本発明を利用して回避される。
【0030】
リンパ球応答を一時的に抑制するステップにとして、生物学的調節剤が宿主に投与される。適切な生物学的調節剤としては、抗体類、サイトカイン類、免疫抑制剤、ペプチド類、タンパク質類、核酸類又はこれらの混合物がある。骨髄由来細胞は、CD4、CD8、CD3、CD5、CD55、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、CD28及びLFA-1からなる群から選択される抗原に対する抗体の少なくとも一種とともに移植することが最も好ましい。
【0031】
前記生物学的調節剤の適切な投与量と投与期間は、当業者が決定することができ、組織適合性の整合、移植細胞の量、患者の年齢などの要因によって決まる。
【0032】
一実施態様で、本発明の方法は、移植された器官、組織又は細胞の拒絶反応を低下させるのに有用である。その器官、組織又は細胞は、当業者に知られている方法を使って移植できる。移植の寛容性を本発明で高めることができる器官、組織又は細胞としては、肝臓、心臓、肺臓、腎臓、腸、膵臓、喉頭、血管リム、内分泌臓器、皮膚、膵島細胞、角膜、神経、筋肉、ケラチノサイトとケラチノサイト前駆体、軟骨細胞と軟骨細胞前駆体、肝細胞と肝細胞前駆体、心筋細胞と心筋芽細胞を含む筋細胞と筋芽細胞、神経細胞と神経細胞前駆体、内皮細胞、内分泌細胞と内分泌細胞前駆体、幹細胞及び幹細胞由来の異なる系譜の細胞がある。別の実施態様で、本発明の方法を使って自己免疫疾患を治療できる。この実施態様では、骨髄由来細胞移植ステップ中に移植される骨髄由来細胞は、自己細胞又は異種細胞でよい。また、この骨髄由来細胞は、移植する前、操作しない(unmanipurate)か又は成熟Tリンパ球を枯渇させることができる。
【0033】
自己免疫疾患は、一般に、神経系、心臓系、眼、呼吸器系、泌尿生殖器系、胃腸器系、血液、血管、内分泌腺、皮膚及び筋骨格系を冒し、結合組織の疾患を含んでいる。本発明の方法を使用して治療できる自己免疫疾患としては、リウマチ様関節炎、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、グッドパスチャー症候群、ヴェーゲナー肉芽症、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、自己免疫心筋炎と自己免疫心膜炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫胃炎、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、糖尿病、自己免疫甲状腺疾患、グレーヴス病、橋本甲状腺腫、アジソン病、ipoparathyroidism、自己免疫下垂体炎、卵巣炎、重症筋無力症、全身性円形脱毛症、白斑、乾癬天疱瘡p、p強皮症、ヘノッホ-シェーライン紫斑病や自己免疫溶血性貧血などのような血液の自己免疫疾患、及び抗原が自己抗原である場合に免疫複合体が存在していることが原因の他の疾患がある。
【0034】
移植する前に骨髄を減らす従来の治療法を超える本発明のプロトコルの利点は、放射性同位元素を抗体に接合するため必要な煩雑なステップがないことである。したがって、本発明の特定の好ましい実施態様の寛容性の誘発又は免疫抑制は、当該技術分野でまだ認識されていない有効な方式で実施して成功できる。標的の骨に対して骨検知追尾放射性医薬を使う本発明の方法の生体内試験は、高度に選択的な方法で骨髄抑制を誘発し図面と下記実施例に記載されているように骨髄由来の異物移植によってキメラ状態を達成して予想外の成功を収めた。
【0035】
本発明をさらに以下の実施例で説明するが、本発明はこの実施例で限定されない。
【実施例】
【0036】
方法
実験動物。実験動物の処置はすべて、マイアミ大学のInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)の監督と認可に基づいて実施した。マウス(7-8週齢のBalb/c(H-2d),C57BL/6(B6;H-2b)及びC3H/HeJ(C3H;H-2k))をJackson Laboratories(米国メーン州バーハーバー所在)から購入した。9-10週齢のC57BL/6マウスを受容者として使用した。動物はすべて、病原体なしの部屋の中の、オートクレーブで処理された試料とオートクレーブで処理された酸性水付き滅菌マイクロアイソレーターケージ内に収容した。
【0037】
骨髄由来細胞の移植。8-9週齢のBalb/cマウスをドナーとして使用し、移植を行う日に殺した。骨髄細胞(BMC)を、すでに公表されている方式に従って調整した。簡単に述べると、大腿骨と脛骨を取り出し次いでこれらの骨から筋組織と軟骨を除いた後、BMCを、23G針を使って、0.8mg/mlのゲンタマイシン(米国メリ−ランド州ゲイザズバーグ所在のGibco)を補充した滅菌RPMI-1640(米国バージニア州ハーンダン所在のMediatech,Inc.)で流出させた。BMCを滅菌ナイロン製メッシュで濾過し計数した。完全にMCHミスマッチの9-10週齢C57BL/6受容者に、0.5mlと1.0mlのHBSS(ハンクの平衡塩類溶液)(Mediatech)それぞれに再懸濁させた20x106又は100x106の未処置BMCを7日目又は14日目に静脈注射した。寛容性誘発のプロトコルは、150又は500μCiの153Sm-EDTMP(米国ニュージャーシー州ウエイン所在のBerlex Laboratories)を7日目にI.V.注射し、Taconic(米国ニューヨーク州ジャーマンタウン所在)から購入したハムスター抗マウスCD154mAb(MR-1)0.5mgを0,1,7,14,21及び28日目に腹腔内(I.P.)投与することからなっている。
【0038】
皮膚の移植。ドナー(Balb/c)と第三者(C3H/HeJ)の全層皮膚移植片を、先に述べた方法を利用して、BMC-Txを行った翌日又はMR-1mAbの最後の投与を行ってから4週間目に、受容者の外側胸部に移植した。簡単に述べると、正方形の全層皮膚移植片(1cm2)をドナーの尾の皮膚から調製した。グラフトベッドは、受容者マウスの右(ドナー特異的)と左(第三者)の外側胸部壁上に設けた。移植片は、その隅を5.0絹の4本の縫合糸で前記ベッドに固定し次いで石油ゼリーでコートしたガーゼとギブス包帯でカバーした。移植片は最初、移植してから8日目に検査し、その後は3日毎に検査した。移植片拒絶反応は、生存可能な移植組織が視覚検査で検出されなかった場合、完了したとみなした。受容者のマウスは、ドナーの特定の皮膚移植片が完全な状態で少なくとも150日間生存したとき寛容性であるとみなした。
【0039】
キメラのイムノヘモタイピング(immunohemotyping)。ドナー由来のBMCの移植は、受容者の末梢血の単核細胞(PBMC)、脾細胞、胸腺細胞及び骨髄細胞を、殺したときのみならず実験中の複数の時点で、PharMingen(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在)から購入したFITC接合抗マウスH-2Kb又はH-2Kd及びCy-Chrome接合CD3モノクローナル抗体(mAbs)で染色した後、フローサイトメーター分析(FCM)で確認した。また、細胞を、Igイソタイプのコントロール(FITC接合マウスIgG2a及びCy-Chrome接合ラットIgG2b)を使って非特異的染色を行い測定し、次いでこのAbで染色された細胞の百分率を前記特異的Abで染色して得た価から差し引いて陽性の細胞の相対数を測定した。各種細胞系譜の再構成を、B細胞中のFITC接合抗マウスH-2Kb又はH-2Kd及びPE-接合抗マウスCD19/CD22、顆粒球中のPE接合抗マウスLy-6G及びマクロファージコンパートメント中のPE接合抗マウスMac-3を使って評価した。受容者の動物は、最初、BMC-Txを行ってから1週間後に検査し、6週間までは2週間毎に検査しその後は4週間毎に検査した。精製した抗マウスCD16/CD32(FcγIII /II)を使って、Fc受容体に対する非特異的結合を遮断した。FCM分析を、Becton Dickinson & Co.(米国カリフォルニア州マウンテンビュー所在)から購入したFACScan サイトメーターのCellQuestソフトウェアを使用して実施した。
【0040】
各種T細胞受容体のファミリーの分析。脾細胞を使って、殺した時点でのキメラ中のVb3+、Vb5+、Vb11+及びVb14+のファミリーの発現を分析した。二色分析を行うため、細胞を、精製抗マウスCD16/CD32(FcγIII /II)(PharMingen)でブロックし、次いでFITC接合H-2KdとPE接合の抗- Vb3+、Vb5+、Vb11+又はVb14+(PharMingen)とともに氷上で30分間インキュベートした。FITC接合マウスIgG2a、PE接合アルメニアンハムスターIgG,グループ2、マウスIgG1、ラットIgG2b及びラットIgM抗体(PharMingen)を負の対照として使用した。
【0041】
混合リンパ球反応。赤血球を枯渇させた脾細胞を、10%の熱で不活性化されたFCS、2mMのL-グルタミン(Mediatech)、25mMのHEPES(Mediatech)及び0.05mMのβ-メルカプトエタノールを含有するIscoveの組織培養培地(米国メリーランド州ゲイザズバーグ所在のGibco)中で、マイトマイシンC(米国ミズーリ州セントルイス所在のSigma)で処理した2x105のレスポンダーと2x105のスティミュレーターが入っている一組5個のウエル中で5パーセントのCO2内で37℃にて3日間インキュベートした。キメラマウス由来のレスポンダー細胞とスティミュレーターの脾細胞、BMC及び角化細胞を、96丸底組織培養プレートで3日間培養し、次いで1μCi[3H]チミジンでパルスし、[3H]チミジンの取込みを8時間後に測定した。1分当たりの平均カウント数(c.p.m.)をレスポンスアゲンストセルフ(response against self)で割算して計算した。
【0042】
抗ドナー抗体の存在に関する染色。ナイーブBalb/cドナーから単離した1x106個の脾細胞を、キメラ受容者由来の血漿で各種の希釈(1:3、1:10、1:30、1:100)を行って、4℃にて60分間インキュベートした。細胞を、1パーセントのBSA、0.02%のアジ化ナトリウムを補充したPBSで洗浄し,次いでFITC接合ヤギ抗マウスIgG(H+L)(米国ペンシルベニア州ウエストグローブ所在のJackson ImmunoResearch Laboratories)及びPE接合抗マウスCD22とともに氷上で30分間インキュベートした。次にその細胞をPBSで洗浄しBecton Dickinson FACScanで分析した。ナイーブBalb/cドナー由来の脾細胞とともにインキュベートしたナイーブC57BL/6由来の血漿をベースラインとして使用した。
【0043】
試験結果
受容者の動物(C57BL/6,H-2b)に、150μCi又は500μCiの153Sm-EDTMPを一回IV投与し、次に20x106又は100x106個の同種ドナーの骨髄細胞(BMC)(BALB/c,H-2d)も一回IV投与して処置した。153Smを投与してから7日又は14日後に、1、0、7、14、21及び28日目にMR-1(ハムスター抗マウスCD154mAb)0.5mgIPによる一時的Tリンパ球共刺激遮断(transient T lymphocyte co-stimulatory blockade)の存在下、BMCの移植(BMC-Tx)を行った。153Smの低い方の線量150μCiが、高い方の線量500μCiと同等に有効であることが分かった。153Sm-EDTMPで処置した結果、図1に示すように、その化合物を投与してから1週間後に一時的骨髄抑制が起こりそして投与後4-6週間までに自然に解消した。150μCiと500μCiの線量の153Sm-EDTMPは、血リンパ産生要素に対し同様な効果を有している。153Sm-EDTMPを投与すると、減少した白血球のカウント(WBC)で測定したとき著しい骨髄抑制があるが、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Hb)及び血小板(PLT)に対して有意な作用は無い。153Sm-EDTMPで処置し同種BMCを移植しなかった動物に同様なデータが得られた(図示せず)。このように、153Sm-EDTMPはWBCコンパートメントの一時的骨髄抑制をもたらし、その一時的骨髄抑制は同種BMC-Txの存在下又は不在下で自然に可逆的である。RBC、PLT又はHbのカウントの劇的な変化は全く無かった。
【0044】
BMCの一回の投与で、BMがすべての被検受容者動物に移植された。図2は、100x106のBMC及び抗CD154mAb、並びに以下の4調整方法:153Sm-EDTMP 150μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 500μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 150μCiと続いて14日目のBMCの投与;及び153Sm-EDTMP 500μCiと続いて14日目のBMCの投与のうちの一つの方法で処置した受容者のドナー由来細胞の百分率を示す。ドナー由来BM同種細胞による再構成(reconstitution)を行ってから2週間後に始まり、再構成後6週間までは2週間毎にそしてその後は4週間毎に受容者動物から得られるPBLのタイピングを、抗ClassIH-2b-FITCとH-2d-FITCを使って実施した。リンパ球ゲートについて分析して得た価を100%に正規化した。ドナー起源のCD3+Tリンパ球も存在していたが、これはそのリンパ球の系譜の混合キメラ状態も示唆している。
【0045】
図3は、20x106のBMC及び抗CD154mAb、並びに以下の4調整方法:153Sm-EDTMP 150μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 500μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 150μCiと続いて14日目のBMCの投与;及び153Sm-EDTMP 500μCiと続いて14日目のBMCの投与のうちの一つの方法で処置した受容者のドナー由来細胞の百分率を示す。ドナー由来BMC同種細胞による再構成を行ってから2週間後に始まり、再構成後6週間までは2週間毎にそしてその後は4週間毎に受容者動物から得たPBLのタイピングを、抗ClassIH-2b-FITCとH-2d-FITCを使って実施した。リンパ球ゲートについて分析して得た価を100%に正規化した。ドナー起源のCD3+Tリンパ球も存在していたが、これはそのリンパ球の系譜の混合キメラ状態も示唆している。
【0046】
したがって153Sm-EDTMPを、共刺激遮断の存在下で投与すると、同種BMCの受容者に長期間続く血リンパ産生キメラ状態をもたらす。153Sm-EDTMPの線量( 150μCi vs. 500μCi)とBMC-Txの153Sm-EDTMP投与に対するタイミングは、試験結果に大きくは影響しない。一方、BMCの線量は、達成されるキメラ状態のレベルに直接関連している。
【0047】
100x106のBMC及び前記四つの調整法のうちの一つで処置した対照動物のドナー由来細胞の百分率を測定して図4に示した。その調整法は、153Sm-EDTMP 150μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 500μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 150μCiと続いて14日目のBMCの投与;及び153Sm-EDTMP 500μCiと続いて14日目のBMCの投与である。この第4の方法は、共刺激遮断を誘発するための抗CD154mAbを使用しないので、先に述べた方法と異なっている。ドナー由来BMC同種細胞による再構成を行ってから2週間後に始まり、再構成後6週間までは2週間毎にそしてその後は4週間毎に受容者動物から得たPBLのタイピングを、抗ClassIH-2b-FITCとH-2d-FITCを使って実施した。リンパ球ゲートについて分析して得た価を100%に正規化した。
【0048】
図5は、20x106のBMC、並びに以下の4調整方法:153Sm-EDTMP 150μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 500μCiと続いて7日目のBMCの投与;153Sm-EDTMP 150μCiと続いて14日目のBMCの投与;及び153Sm-EDTMP 500μCiと続いて14日目のBMCの投与のうちの一つの方法で処置した対照動物のドナー由来細胞の百分率を示す(この方法は、共刺激遮断を誘発するための抗CD154mAbを使用しないので、先に述べた方法と異なっている)。ドナー由来BMC同種細胞による再構成を行ってから2週間後に始まり、再構成後6週間までは2週間毎にそしてその後は4週間毎に受容者動物から得たPBLのタイピングを、抗ClassIH-2b-FITCとH-2d-FITCを使って実施した。リンパ球ゲートについて分析して得た価を100%に正規化した。
【0049】
したがって、図4-5のデータは、共刺激遮断が存在しない場合、153Sm-EDTMPの投与とこれに続くBMC-Txだけが、BMCの投与量(20x106又は100x106)に関わらず、一時的キメラ状態をもたらす。
【0050】
抗CD154mAbとともに20x106のBMC又は100x106のBMCで(153Sm-EDTMPによる処置無し)処置した対照動物のドナー由来細胞の百分率を図6に示す。ドナー由来BMC同種細胞による再構成を行ってから2週間後に始まり、再構成後6週間までは2週間毎にそしてその後は4週間毎に受容者動物から得たPBLのタイピングを、抗ClassIH-2b-FITCとH-2d-FITCを使って実施した。リンパ球ゲートについて分析して得た価を100%に正規化した。試験結果は、153Sm-EDTMPの投与無しで行うBMC-Txと共刺激遮断による処置が、少量(20x106)のBMCを投与して低いレベルにすると一時的キメラ状態をもたらしそして100x106のBMCを投与すると安定なキメラ状態が得られる。
【0051】
図7は、20x106のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbの非致死調整法(上のパネル)並びに20x106のBMC及び抗CD154mAbの非致死調整法(下のパネル)を使って調製した代表的な混合キメラのドナー由来のリンパ球(B細胞)系譜、NK系譜及び骨髄(顆粒球)系譜の比率の二色フローサイトメーター分析結果を示す。分析は、ClassIH-2d-FITC及びCD22(B細胞)、NK又はGRAN1(顆粒球)、全PEを使って実施した。分析はリンパ球ゲートについて実施し、その価を100%に正規化した。
【0052】
図8に、100x106のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbの非致死調整法(上のパネル)並びに100x106のBMC及び抗CD154mAbの非致死調整法(下のパネル)を使って調製した代表的な混合キメラのドナー由来のリンパ球(B細胞)系譜、NK系譜及び骨髄(顆粒球)系譜の比率の二色フローサイトメーター分析結果を示す。分析は、ClassIH-2d-FITC及びCD22(B細胞)、NK又はGRAN1(顆粒球)、全PEを使って実施した。分析はリンパ球ゲートについて実施し、その価を100%に正規化した。
【0053】
図7と8に示したデータから明らかなように、長期間安定な多系譜キメラ状態が、BMC-Tx、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbの組合わせで処理した群で達成される。
【0054】
20x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbで処置した受容者又は指定対照群に配置した全層の尾由来皮膚移植片の生存状態を図9にグラフで示してある。移植片は、前記処置を行った動物に抗CD154mAbを最後に投与してから30日後に調製した。2種のドナー系統の組合わせのBALB/c(H-2d)とC3H/J(H-2k)を使用した。各受容者は両方の系統:ドナータイプのBALB/c(H-2d)及び第三者のC3H/J(H-2k)から皮膚移植片を受け取った。第三者の移植片は、ナイーブ受容者に配置されたドナー特異的移植片と同じ時間枠内で拒絶された。移植片は、最小限128日間追跡して、生存可能な組織が移植部位にもはや検出されなかったとき拒絶されたとみなした。したがって、ドナー特異的皮膚移植片に対する寛容性は、153Sm-EDTMPが前記処置の一部でありそして共刺激だけが(BMCとともに)同じ結果を得るのに不十分である場合のみ、動物が少量のBMC(20x106)を受け取ったときに得られる。
【0055】
100x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbで処置した受容者又は指定対照群に配置した全層の尾由来皮膚移植片の生存状態を図10にグラフで示してある。移植片は、前記処置を行った動物に抗CD154mAbを最後に投与してから30日目に調製した。2種のドナー系統の組合わせのBALB/c(H-2d)とC3H/J(H-2k)を使用した。各受容者は両方の系統:ドナータイプのBALB/c(H-2d)及び第三者のC3H/J(H-2k)から皮膚移植片を受け取った。第三者の移植片は、ナイーブ受容者に配置されたドナー特異的移植片と同じ時間枠内で拒絶された。移植片は、最小限128日間追跡して、生存可能な組織が移植部位にもはや検出されなかったとき拒絶されたとみなした。したがって、多量のBMC(100x106)が投与されると、153Sm-EDTMP投与の促進効果は、やはりキメラ状態のレベルに対して高い再現性で見られるが、共刺激遮断だけ(+BMC-Tx)が同様に有効のようであるから移植片の生存に対しては失われる。
【0056】
上記試験で得たデータは、153Sm-EDTMPなどの骨検知追尾放射性化合物を一回投与した後に同種骨髄由来細胞を注入することによって、完全な同種バリアーを横切って高レベルの安定な長期のキメラ状態を達成できる本発明の一側面を証明している。例えば、同種骨髄由来細胞は、抗CD154モノクローナル抗体(mAb)を投与することによって得られる一時的T細胞共刺激遮断の存在下で注入してもよい。骨髄を移植した後31週間まで追跡した被検動物のうち多数がドナー特異的寛容性を発生した。というのは、これらの動物が150日間を超えてドナー由来の皮膚移植片を保持したからである。皮膚移植片の場合、その移植片を少なくとも60日間維持することが好ましく、100日間維持することがより好ましい。
【0057】
上記データは、ドナー特異的低応答性(donor-specific hyporesponsiveness)が過酷な細胞毒性前調整法無しで得られるので、臨床の段階で骨髄移植を使用する可能性が拡大されることを示している。さらに、キメラ状態のレベルを高めるのに有効であることが証明された骨検知追尾放射性化合物を使用することは、血リンパ産生キメラ状態を達成して血液の悪性疾患と障害及び自己免疫疾患を治療するための戦略を最適化するのに重要であることが分かる。
【0058】
本発明を上記好ましい実施態様で詳解してきたが、本発明は、本明細書に全体が述べられさらに本明細書の特許請求の範囲に記載されている本発明の本質と範囲を逸脱することなく、当業者にとって明らかな各種の変形を採用して実施できると解される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】150μCi又は500μCi の153Sm-EDTMPを一回静脈投与(IV)した後,20x106又は100x106個の同種ドナー骨髄由来細胞(BMC)を一回静脈投与してマウスを処置した結果を示すグラフである。
【図2】BMCを一回投与した結果、すべての被検受容者に骨髄が移植されたことを示すグラフである。
【図3】20x106個のBMC、抗CD154mAb及び前記四つの調整法のうち一つで処置した受容者のドナー由来細胞の百分率を示すグラフである。
【図4】100x106個のBMC及び前記四つの調整法のうち一つで処置した対照動物のドナー由来細胞の百分率を示すグラフである。
【図5】20x106個のBMC及び前記四つの調整法のうち一つで処置した対照動物のドナー由来細胞の百分率を示すグラフである。
【図6】抗CD154mAbとともに20x106個のBMC又は100x106個のBMCで処置した(153Sm-EDTMPによる処置無し) 対照動物のドナー由来細胞の百分率を示すグラフである。
【図7】20x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAb(上のパネル)並びに20x106個のBMC及び抗CD154mAb(下のパネル)の非致死調整法を使って調製した代表的な混合キメラにおけるドナー由来のリンパ球(B細胞)系譜、NK系譜及び骨髄(顆粒球)系譜の比率の二色フローサイトメーターの分析結果を示す。
【図8】100x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAb(上のパネル)並びに100x106個のBMC及び抗CD154mAb(下のパネル)の非致死調整法を使って調製した代表的な混合キメラにおけるドナー由来のリンパ球(B細胞)系譜、NK系譜及び骨髄(顆粒球)系譜の比率の二色フローサイトメーターの分析結果を示す。
【図9】20x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbで処置された受容者又は指定対照群に配置された全層の尾由来皮膚移植片の生存を示すグラフである。
【図10】100x106個のBMC、153Sm-EDTMP及び抗CD154mAbで処置された受容者又は指定対照群に配置された全層の尾由来皮膚移植片の生存を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容者に骨検知追尾放射性医薬を投与し、
骨髄由来細胞を受容者に移植し、次いで
血リンパ産生キメラ状態を誘発するためリンパ球の応答を一時的に抑制する、
ステップを含む血リンパ産生キメラ状態を達成する方法。
【請求項2】
免疫学的寛容性を提供するため前記キメラ状態を誘発する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫学的寛容性が、アロ抗原、自己抗原及び異種抗原からなる群の少なくとも一つのメンバーに対する寛容性を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記骨検知追尾放射性医薬が、放射性核種とリガンドを含む複合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記放射性核種が、153Sm、166Ho,159Gd、177Lu、165Dy、90Y、155mIn、186Re、188Re、117mSn、140La、131I、67Cu、225Ac、212Bi、213Bi、211At、223Ra、149Pm、105Rh、198Au、199Au、166Dy、47Sc、175Yb、32P、89Sr、192Ir、149Tb及び224Raからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記リガンドが、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリメチレンホスホン酸(HEEDTMP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、トリス(2-アミノエチル)アミンヘキサメチレンホスホン酸(TTHMP)、1-カルボキシエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(CEDTMP)とビス(アミノエチルピペラジン)テトラメチレンホスホン酸(AEPTMP)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、メチレンジホスホン酸(MDP)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)及びニトリロトリ酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複合体が、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP、159Gd-DOTMP、165Dy-EDTMP、165Dy-DOTMP、186Re-HEDP、188Re-HEDP及び117mSn-DTPAからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記リンパ球の応答を抑制する方法が少なくとも一種の生物学的調節剤を投与するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的調節剤が、抗体、サイトカイン、免疫抑制医薬、ペプチド、タンパク質、核酸又はこれらの組合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的調節剤が、CD154、CD4、CD8、CD3、CD5、CD55、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、CD28及びLFA-1からなる群から選択される抗原を認識する少なくとも一種の抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
受容者に骨検知追尾放射性医薬を投与し、
骨髄由来細胞を受容者に移植し、
リンパ球の応答を一時的に抑制し、次いで
1又は2種以上の器官、組織又は細胞を移植する、
ステップを含む、移植された器官、組織又は細胞の拒絶反応を低下させる方法。
【請求項12】
前記骨検知追尾放射性医薬が放射性核種とリガンドを含む複合体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射性核種が、153Sm、166Ho,159Gd、177Lu、165Dy、90Y、155mIn、186Re、188Re、117mSn、140La、131I、67Cu、225Ac、212Bi、213Bi、211At、223Ra、149Pm、105Rh、198Au、199Au、166Dy、47Sc、175Yb、32P、89Sr、192Ir、149Tb及び224Raからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記リガンドが、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリメチレンホスホン酸(HEEDTMP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、トリス(2-アミノエチル)アミンヘキサメチレンホスホン酸(TTHMP)、1-カルボキシエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(CEDTMP)とビス(アミノエチルピペラジン)テトラメチレンホスホン酸(AEPTMP)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、メチレンジホスホン酸(MDP)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)及びニトリロトリ酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複合体が、153Sm-EDTMP、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP、159Gd-DOTMP、165Dy-EDTMP、165Dy-DOTMP、186Re-HEDP、188Re-HEDP及び117mSn-DTPAからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記リンパ球の応答を抑制する方法が少なくとも一種の生物学的調節剤を投与するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的調節剤が、抗体、サイトカイン、免疫抑制医薬、ペプチド、タンパク質、核酸又はこれらの組合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生物学的調節剤が、CD154、CD4、CD8、CD3、CD5、CD55、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、CD28及びLFA-1からなる群から選択される抗原を認識する少なくとも一種の抗体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
移植される器官、組織又は細胞として、肝臓、心臓、肺臓、腎臓、腸、膵臓、喉頭、血管リム、内分泌臓器、皮膚、膵島細胞、角膜、神経、筋肉、ケラチノサイトとケラチノサイト前駆体、軟骨細胞と軟骨細胞前駆体、肝細胞と肝細胞前駆体、心筋細胞と心筋芽細胞を含む筋細胞と筋芽細胞、神経細胞と神経細胞前駆体、内皮細胞、内分泌細胞と内分泌細胞前駆体、幹細胞及び幹細胞由来の異なる系譜の細胞が含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記移植される細胞が膵島細胞である、請求項19の方法を含む糖尿病治療方法。
【請求項21】
受容者に骨検知追尾放射性医薬を投与し、
骨髄由来細胞を受容者に移植し、次いで
リンパ球の応答を一時的に抑制する、
ステップを含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項22】
前記移植される骨髄由来細胞が、自己由来の細胞であり、かつ移植される前に操作されていないか又は成熟Tリンパ球が枯渇している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記骨検知追尾放射性医薬が、放射性核種とリガンドを含む複合体である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記放射性核種が、153Sm、166Ho,159Gd、177Lu、165Dy、90Y、155mIn、186Re、188Re、117mSn、140La、131I、67Cu、225Ac、212Bi、213Bi、211At、223Ra、149Pm、105Rh、198Au、199Au、166Dy、47Sc、175Yb、32P、89Sr、192Ir、149Tb及び224Raからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記リガンドが、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリメチレンホスホン酸(HEEDTMP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、トリス(2-アミノエチル)アミンヘキサメチレンホスホン酸(TTHMP)、1-カルボキシエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(CEDTMP)とビス(アミノエチルピペラジン)テトラメチレンホスホン酸(AEPTMP)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラメチレンホスホン酸(DOTMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、メチレンジホスホン酸(MDP)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)及びニトリロトリ酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記複合体が、153Sm-EDTMP、153Sm-DOTMP、166Ho-EDTMP、166Ho-DOTMP、159Gd-EDTMP、159Gd-DOTMP、165Dy-EDTMP、165Dy-DOTMP、186Re-HEDP、188Re-HEDP及び117mSn-DTPAからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記リンパ球の応答を抑制する方法が少なくとも一種の生物学的調節剤を投与するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
生物学的調節剤が、抗体、サイトカイン、免疫抑制医薬、ペプチド、タンパク質、核酸又はこれらの組合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記生物学的調節剤が、CD154、CD4、CD8、CD3、CD5、CD55、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、CD28及びLFA-1からなる群から選択される抗原を認識する少なくとも一種の抗体である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記自己免疫疾患が、神経系、眼、心臓系、呼吸器系、泌尿生殖器系、胃腸器系、血液、血管、内分泌腺、皮膚及び筋骨格系の疾患から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記自己免疫疾患が、リウマチ様関節炎、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、グッドパスチャー症候群、ヴェーゲナー肉芽症、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、自己免疫心筋炎と自己免疫心膜炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫胃炎、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、糖尿病、自己免疫甲状腺疾患、グレーヴス病、橋本甲状腺腫、アジソン病、ipoparathyroidism、自己免疫下垂体炎、卵巣炎、重症筋無力症、全身性円形脱毛症、白斑、乾癬天疱瘡p、p強皮症及び血液の自己免疫疾患から選択される、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−514020(P2006−514020A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559005(P2004−559005)
【出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2002/039595
【国際公開番号】WO2004/052408
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(502228100)ユニバーシティー オブ マイアミ (1)
【Fターム(参考)】