説明

血圧降下用組成物

ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含むことを特徴とする血圧降下用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含む血圧降下用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚肉乾製品、例えば鰹節は、伝統食品として、その削った物(削り節)を食品にかけて食されたり、または出し汁用として料理に用いられている。
【0003】
このように、鰹節は、古くから料理に用いられてきたが、近年、鰹節を酵素処理して得られるオリゴペプチド類が血圧降下作用を有することが報告されている。すなわち、鰹節のアルカリプロテアーゼまたは中性プロテアーゼ分解物(特許文献1)、中性プロテアーゼまたは酸性プロテアーゼ分解物(特許文献2)、プロテアーゼ分解物(特許文献3)、サーモライシン分解物であってPro−Arg−His−Gln−Gly骨格をもつ5〜9個のアミノ酸残基からなるペプチド、(特許文献4)および熱水可溶性成分のPro−Ala−Gln−Lys骨格をもつペプチド(特許文献5)などのオリゴペプチド類が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性に基づく血圧降下作用を示すことが報告されている。
【0004】
また、鰹節のサーモライシン分解物中に含まれる2〜9個のアミノ酸からなるペプチドがACE阻害作用を有し、血圧降下作用を示すことが報告されている(非特許文献1および2)。
さらに、鰯のすり身をペプシンまたはアルカリプロテアーゼで処理して得られたイワシペプチドに含まれるVal−Tyrが、ACE阻害活性を有しており、実際に、自然発症高血圧ラット(SHR)を用いた実験で血圧降下作用を有することが報告されている(非特許文献3)。
しかしながら、上記の血圧降下作用を有する物質は、何れもアミノ酸が2個以上結合した、オリゴペプチドである。
【0005】
一方、アミノ酸の1つである、アルギニンが、収縮期および拡張期において血圧降下作用を有することも報告されているが(非特許文献4)、アルギニンは、血圧降下作用を示すと共に、心拍数の増加も示している。
また、チロシンまたはL−トリプトファンが、ラットの腹腔内投与でそれぞれ血圧降下作用を示すことも報告されている(非特許文献5および6)。
【0006】
しかしながら、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩、あるいはこれらの含有物が経口摂取で血圧降下作用を示すことは知られていない。
【0007】
【特許文献1】特許第3193085号公報
【特許文献2】特許第3110075号公報
【特許文献3】特許第3093378号公報
【特許文献4】特許第3012291号公報
【特許文献5】特許第2922247号公報
【0008】
【非特許文献1】食品と開発 1992年、第27巻、第12号、第43−45頁
【非特許文献2】Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology,(1995),Suppl.1,S304−S305
【非特許文献3】日本栄養・食量学会誌、2000年、第53巻、第2号、第77−75頁
【非特許文献4】K.Hishikawら、「Role of L−arginine−nitric oxide pathway in hypertension」、J.Hypertension 11、639、1993
【非特許文献5】Alan F.Svedら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.76,No.7,pp3511−3514,July 1979
【非特許文献6】Alan F.Svedら、J.Pharmacol.Exp.Ther.221:329−333,1982
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、古来、食品として広く用いられてきた魚肉乾製品としての鰹節、更に鰹節風味の調味料の製造過程で排出される鰹節の水性溶媒抽出残渣に含有されるアミノ酸の新規利用を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鰹節成分の新規用途の開発の過程で、鰹節、とりわけ鰹節の抽出物および抽出残渣中に含まれるアミノ酸の新規用途の開発を目的として鋭意研究した結果、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンおよびフェニルアラニン、それらの塩ならびに天然物由来のこれらの含有物が血圧降下作用を有することを見出した。
【0011】
したがって、本発明によれば、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含むことを特徴とする血圧降下用組成物ならびに該組成物を含む食品が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による血圧降下用組成物は、アミノ酸の一つであるヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩、あるいは天然物由来のこれらの含有物を主たる有効成分としているため、安全に使用することができる。
その上、鰹節風味の調味料の製造過程で大量に排出される鰹節の水性溶媒抽出残渣を上記のアミノ酸の含有物として有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の血圧降下用組成物は、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニン(以下、本発明においてアミノ酸と略する)またはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含む。
【0014】
有効成分としてのアミノ酸は、合成または発酵法により得られたものであっても、天然物由来のものであってもよい。
【0015】
合成または発酵法により得られるアミノ酸またはそれらの塩を用いる場合には、市場で入手できる食品添加物グレードのヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩、あるいはこれらの日本薬局方収載品を用いるのが好ましい。
【0016】
また、天然物由来のアミノ酸またはその含有物を用いる場合には、魚肉乾製品、例えば鰹節を水性溶媒で抽出し、その残渣をタンパク質分解酵素で分解処理したものが挙げられるが、この水性溶媒抽出残渣を用いる方法は、該抽出残渣を有効に活用できる点から、特に好ましい。
【0017】
抽出方法は特に限定されないが、通常、抽出材料に対して、1〜50倍量(容量)程度、好ましくは2〜20倍量程度の抽出溶媒を用いて行われる。抽出温度は、室温〜抽出溶媒の沸点程度の間で任意に設定できるが、例えば室温〜抽出溶媒の沸点程度の温度で、振盪下または還流下に行うのが好ましい。あるいは抽出材料と抽出溶媒からなる混合物を煮沸してもよい。抽出時間は、抽出を溶媒の沸点程度の温度で行う場合、5分〜数時間、好ましくは20分〜2時間程度が適当である。このような抽出操作は、1回だけ行ってもよく、複数回繰り返し行ってもよい。
【0018】
抽出溶媒としては、水性溶媒、すなわち水または水性エタノールのような水性アルコールが挙げられる。
水性溶媒として水を用いる場合は、熱時抽出、すなわち50℃〜100℃の間の温度で行うのが、抽出効率がよい。
また、水性溶媒として20〜60%水性エタノールを用い、60℃以下、好ましくは、20〜50℃で抽出すると、風味を損なわないので好ましい。
抽出溶媒として、水性アルコールを用いる場合は、抽出エキスの例えば限外ろ過法などの通常の方法による分子量1500〜2000を境とする低分子画分、または高分子画分のタンパク質分解酵素分解物を用いてもよい。
【0019】
なお、抽出材料としては、上記の鰹節をそのまま用いることもできるが、粉砕したものか、削り節を用いるのが抽出効率の点で好ましい。
上記の水性溶媒での抽出後に、分離した抽出残渣を、タンパク質分解酵素での分解処理に付すことができる。
その際の抽出残渣としては、鰹節風味の調味料の製造過程で大量に排出される残渣をそのまま、あるいは乾燥して用いることができる。
【0020】
該残渣からアミノ酸またはその含有物を得るのに用いられるタンパク質分解酵素としては、例えばペプシン、トリプシンまたはキモトリプシンなどの通常のタンパク質分解酵素、バチルスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来のプロテアーゼS、ペニシリウムシトリナム(Penicillium citrinum)由来のプロテアーゼB、リゾプスオリーゼ(Rhizopus oryzae)由来のペプチダーゼRまたはアルカリペプチダーゼ等が挙げられる。
【0021】
水性溶媒抽出残渣をタンパク質分解酵素で分解してアミノ酸を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、タンパク質分解酵素としてペプシンを用いる場合は、鰹節の水性溶媒抽出残渣に対して4倍量の水を加えて充分ホモジナイズし、塩酸を加えて強酸性、例えばpH1.6付近に調整し、ペプシンを全重量の1/100量を加えて37℃で5時間、ゆっくり撹拌して酵素分解に付すことができる。次いで、酵素分解後に100℃で10分間煮沸し、酵素を失活させて反応を終了させ、吸引ろ過によりアミノ酸に富むろ液を得ることができる。このようにして得られたろ液に、必要に応じて、例えば水酸化ナトリウムを加えてそれらの塩にすることができる。
【0022】
上記のアミノ酸に富むろ液から、公知の技術に従って、各アミノ酸またはそれらの塩を単離することもできる。
本発明におけるアミノ酸の塩とは、医薬的に許容な塩を意味する。例えば、塩酸塩のような酸との付加塩、またはナトリウム塩もしくはカリウム塩のようなアルカリ金属原子などとの塩が挙げられる。
【0023】
上記のペプシンに替えて、タンパク質分解酵素としてトリプシンやキモトリプシンまたはアルカリペプチダーゼを用いる場合は、pHを各タンパク質分解酵素の至適pHに調整して酵素反応を行う以外は、ペプシンの場合に準じて行うことができる。
【0024】
さらに、複数のタンパク質分解酵素を組合せる場合は、上記のペプシンによる分解を最初に行った後、先ず、この分解液に水酸化ナトリウムを加えて中性、例えばpH7.0付近に調整する。次いで、トリプシンもしくはキモトリプシン、あるいは両酵素を同時に加えて酵素反応を行う以外は、上記のペプシンの場合に準じて行うことにより、アミノ酸に富む溶液を効率良く得ることができる。
【0025】
また、上記のペプシンに替えて、タンパク質分解酵素として、プロテアーゼB、ペプチダーゼRまたはプロテアーゼSを用い、pH3.0〜7.8で酵素反応を行う以外は、ペプシンの場合に準じて行うことができる。
さらに、プロテアーゼB、ペプチダーゼRまたはプロテアーゼSによる酵素反応を組み合わせて、順次、酵素反応を行うことにより、アミノ酸に富む溶液を効率良く得ることもできる。
上記のアミノ酸に富む溶液はそのまま用いてもよく、濃縮して用いてもよい。
さらに、上記の濃縮液を凍結乾燥または噴霧乾燥して固形化したものを組成物として用いてもよい。
【0026】
本発明における魚肉乾製品としては、鰹節以外に、宗田鰹、トビウオ、鰯、鮪および鯖などの魚肉の加工で得られる乾製品が代表的なものとして挙げられる。
しかしながら、天然物由来のアミノ酸またはそれらの含有物は上記のものに限定されず、該アミノ酸を含有するものであれば、本発明の有効成分として用いることができる。例えば、当該アミノ酸の含有量が特に高い大豆および緑豆なども、本発明の有効成分として用いることができるし、当該アミノ酸またはそれらの塩の含有物を得るための原料としても用いることができる。
【0027】
また、本発明において血圧効果用組成物の有効成分として用いることができる天然物由来のアミノ酸含有物としては、前記の魚肉乾製品の水性溶媒抽出物のタンパク質分解酵素での分解処理物以外に、魚肉乾製品を製造する際に得られる水性溶媒抽出物、魚肉乾製品の抽出物またはこれらのタンパク質分解酵素での分解処理物が挙げられる。
【0028】
上記の乾製品を製造する際に得られる水性溶媒抽出物を有効成分として用いる場合には、該抽出液を濾過し、濾液を濃縮したものを用いるのが好ましい。
魚肉乾製品の水性溶媒抽出物は、抽出したろ液をそのまま用いてもよく、濃縮して用いてもよい。
さらに上記の濃縮液を凍結乾燥または噴霧乾燥して固形化したものを組成物として用いてもよい。
【0029】
本発明者らは、インビトロでは、ACE阻害活性が弱いヒスチジン(0.9mg/mlで阻害50%)、ロイシン(16mg/ml以上で阻害50%)、イソロイシン(29mg/mlで阻害50%)、グルタミン酸(5.0mg/ml以上で阻害50%)、セリン(16.4mg/mlで阻害50%)もしくはフェニルアラニン(20mg/ml以上で阻害50%)が、自然発症高血圧ラット(SHR)に対する経口投与実験において、SHRラットの心拍数に影響を与えることなく、該ラットの収縮期および拡張期における血圧を有意に低下することを見出した。
【0030】
したがって、本発明の別の観点によれば、高血圧症の患者または高血圧症になり易い人に、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含む血圧降下用組成物を治療または予防の有効量を投与することからなる高血圧症の治療または予防方法が提供される。
【0031】
本発明による血圧降下用組成物は、上記のアミノ酸またはそれを含有する天然物由来の含有物に、適当な賦形剤または希釈剤を添加し、医薬品の分野において用いられる通常の製剤に公知の方法で製剤化して使用できる。
製剤の例としては、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤、または懸濁剤、溶液、シロップなどの液体製剤が挙げられる。
【0032】
固体製剤において、賦形剤または添加剤としては、乳糖、ショ糖、澱粉、タルク、セルロース、デキストリン、ソルビトール、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
固体製剤の場合、他の添加物を含んでもよい。例えば、結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントまたはポリビニルピロリドン)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉)、湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などが挙げられる。
錠剤またはカプセル剤のとき、通常の有効成分の即時放出用に、例えば糖衣錠のように、公知の方法で製剤化できる。また、有効成分の遅延または持続放出用の徐放製剤として、当業者において公知の方法に従ってポリマーで被覆してもよい。
【0033】
液体製剤においては、希釈剤として、通常、水が使用される。その他、他の添加剤として甘味剤(例えばショ糖またはソルビトール)や、保存剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸)、着色剤または香料などを含んでもよい。
液体製剤は、例えば水性の懸濁液、溶液、シロップ以外に、使用前に水に室温で、または加温下に用時溶解される凍結乾燥製品であってもよい。
【0034】
本発明の血圧降下用組成物を含む食品は、主に高血圧の予防用に健康食品として使用される。その種類は、特に限定されず、例えばクッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ、パンおよびうどん等の麺類等の通常の食品、および健康食品が挙げられる。健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康の維持・増進等を目的とした食品を意味し、例えば液体または半固形もしくは固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態が挙げられる。
【0035】
本発明の血圧降下用組成物を含む通常の食品は、上記のような食品の製造工程において、あるいは最終製品に、本発明の組成物を混合または塗布、噴霧などにより添加して製造することができる。
【0036】
本発明の血圧降下用組成物の医薬としての使用量は、患者の体重または症状などによって適宜増減されるが、成人に対する1日投与量は例えばヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンまたはフェニルアラニンとしてそれぞれ0.1〜10g程度が挙げられる。
【0037】
また、本発明の血圧降下用組成物を食品に用いるときは、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば対象となる食品1kgに対して、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンまたはフェニルアラニンとして1.5〜100g程度の範囲で用いるのが適当である。
【0038】
しかしながら、上記のアミノ酸の量に限定されることなく、適宜増減して使用できる。
さらに、本発明の組成物を食品の調理時に用いる場合には、1回分の使用量を入れたスティック状もしくは小袋状の包装形態、またはふりかけ容器に入れられた顆粒の形態で用いるのが適当である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の血圧降下用組成物およびそれらの作用を、実施例、製造例および試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例および製造例により制限されるものではない。
なお、実施例、製造例および試験例では、特に記載がない限り、以下の試薬、材料および動物を用いた。
【0040】
ろ紙:アドバンテック社、タイプ5C
マイクロフィルター:ミリポア社、Millex−LH(商標)
ペプシン:シグマ社、豚の胃粘膜由来
キモトリプシン:シグマ社、牛の膵臓由来
プロテアーゼS:天野エンザイム、Bacillus stearothermophilus由来
プロテアーゼB:天野エンザイム、Penicillium citrinum由来
ペプチダーゼR:天野エンザイム、Rhizopus oryzae由来
【0041】
ヒスチジン:和光純薬工業株式会社、特級
経口投与用水:注射用水(大塚蒸留水、(株)大塚製薬工場製、ロット番号:2G90P)
HPLC用カラム:ファルマシア社、Superdex peptide 10/300GL
SHRラット:日本エスエルシー(株)社から購入した9〜11週齢のIzm雄性ラット
また、濾過は、特に断りのない限り、上記のろ紙を用いて吸引ろ過した。
【0042】
実施例1
鰹節の熱水抽出
焙強荒本雄節(焙乾強化鰹荒本雄節)を2〜3mm以下に粉砕した粗砕品1kgを、14.5Lの熱水(97℃以上)中で30分間抽出し、抽出混合物をろ布でろ過して抽出液12kgと抽出残渣1.7kgを得た。
【0043】
試料(1)の調製
上記の抽出残渣を熱風乾燥機中70℃で2時間乾燥し、放冷後微粉砕し、60メッシュのふるいにかけて試料(1)を得た。
試料(2)の調製
上記の試料1(16.8g、タンパク質:89.31%)を純水168mlに懸濁した。この懸濁液を20%HClでpH2.0に調整し、ペプシン339mgを加え、37℃で12時間撹拌した。引き続き20%NaOH溶液でpH7.8に調整し、トリプシンおよびキモトリプシン各169.5mgを加え、37℃で12時間撹拌した。反応終了後、90℃で15分間加熱して酵素を失活させ、室温まで放冷し、吸引ろ過し、ろ液をさらにマイクロフィルターでろ過した。このろ液を凍結乾燥して試料(2)(10g)を得た。
【0044】
試料(3)の調製
前記の鰹節の熱水抽出で得られた抽出液1kgに、珪藻土6gを加え、撹拌し、吸引ろ過し、ろ液をさらにマイクロフィルターでろ過した。このろ液を凍結乾燥して試料(3)(30g)を得た。
試料(4)の調製
水400mlに前記の抽出残渣200gおよびプロテアーゼS0.4gを加え、60℃で18時間撹拌した。酵素分解混合物を吸引ろ過し、ろ液をさらにマイクロフィルターでろ過した。このろ液を凍結乾燥して試料(4)(9g)を得た。
【0045】
試料(5)の調製
プロテアーゼBを用い、45℃で酵素反応に付した以外は、上記の試料4の場合と全く同様にして、試料(5)(7.5g)を得た。
試料(6)の調製
ペプチダーゼRを用い、45℃で酵素反応に付した以外は、上記の試料4の場合と全く同様にして、試料(6)(8g)を得た。
【0046】
試料(7)の調製
水400mlに前記の抽出残渣200gおよびプロテアーゼS0.4gを加え、60℃で12時間撹拌した。次いで、この反応液にプロテアーゼB0.4gを加え、さらに45℃で12時間撹拌した。酵素分解混合物を吸引ろ過し、ろ液をさらにマイクロフィルターでろ過した。このろ液を凍結乾燥して試料(7)(10g)を得た。
試料(8)の調製
焙強荒本雄節(焙乾強化鰹荒本雄節)を2〜3mm以下に粉砕した粗砕品を、70℃で2時間熱風乾燥し、放冷後微粉砕し、60メッシュのふるいにかけて試料(8)を得た。
【0047】
試料(9)の調製
頭および内臓を除いた生鰹200kgに水400kgを加え、97℃以上で60〜90分間熱水抽出した。次いで、抽出液と魚肉を分別し、抽出液をろ布でろ過して、ろ液を約40%の容量になるまで加熱濃縮して、生鰹の抽出エキスとして試料(9)を得た。
試料(10)の調製
鯖節粗砕品(マルハチ村松社、鯖節粗砕品HF)105gを、1.5Lの熱水(97℃以上)中で30分間抽出し、抽出混合物をろ布でろ過した。抽出残渣を熱風乾燥機中70℃で2時間乾燥し、放冷後微粉砕し、60メッシュのふるいにかけて試料(10)を得た。
【0048】
試料(11)および試料(12)の調製
鮪節の粗砕品105gを、1.5Lの熱水(97℃以上)中で30分間抽出し、抽出混合物をろ布でろ過した。抽出残渣を熱風乾燥機中70℃で2時間乾燥し、放冷後微粉砕し、60メッシュのふるいにかけて試料(11)(70g)を得た。
一方、ろ液を上記の試料(3)の場合と同様の操作に付して試料(12)(30g)を得た。
実施例2
【0049】
前記の焙強荒本雄節の粗砕品100kgに40%の含水エタノール200kgを加え、30℃で2時間撹拌抽出した。抽出混合物をフィルタープレス法により分離し、含水エタノール抽出液130kgおよび抽出残渣150kgを得た。この抽出残渣150kgを水700kgに懸濁させ、プロテアーゼB550gを加え、50℃で2時間撹拌した。次いで、懸濁液を90℃で10分間加熱して酵素を失活させ、フィルタープレス法によりろ液690kgを得た。このろ液を減圧下に濃縮して、抽出エキス370kgを得、先に得られた含水アルコール抽出液130kgと混合し、セライトろ過して鰹節エキス490kgを得た。
【0050】
試料(13)および試料(14)の調製
上記の鰹節エキスを、エキス1g当たり30%含水アセトニトリル10mlに溶解し、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む30%含水アセトニトリルを移動相とするHPLCに付し、分子量2000以上の画分および分子量1500以下の画分に分画し、凍結乾燥して、試料(13)および試料(14)を得た。
試料(15)の調製
先の工程で得られた試料(13)(0.03g)を用い、実施例1の試料(2)の場合と同様にして、試料(15)(0.03g)を得た。
【0051】
試験例1
鰹節製造過程における生鰹抽出エキスおよび鰹節抽出エキス含有アミノ酸の分析
実施例1の鰹節の熱水抽出で得られた抽出液および抽出に用いた鰹節の粗砕品を、アクダック(株)製のケルテック分解装置およびケルテックオート蒸留装置を用いたケルダール法により分析したところ、鰹節中の窒素成分の約17%が抽出液に移行していることが判った。さらに抽出液を、日本ウォーターズ(株)製のアライアンスUVシステムを用いるピコタグアミノ酸分析法により分析したところ、抽出液中の全窒素成分中の約45%が遊離アミノ酸由来であり、ペプチドとして存在する結合アミノ酸由来が約20%であり、残りはクレアチン、クレアチニンおよび核酸由来であることが判明した。鰹節抽出エキス中の遊離アミノ酸組成を以下の表1に示す。
【0052】
また、実施例1の試料(9)の調製の際に得られた抽出エキス中の遊離アミノ酸の分析を上記と同様にして行った。その結果を表1に併せて示す。
【0053】
表1:鰹節抽出エキスおよび生鰹抽出エキス中の遊離アミノ酸組成
【表1】

【0054】
上記の表1から明らかなように、鰹節抽出エキスおよび生鰹抽出エキスのどちらにおいてもヒスチジンが遊離アミノ酸の大半を占めることが判明した。そこで、上記の試料(1)〜(15)と同様に、ヒスチジンそのものも、以下の血圧降下試験に用いた。
なお、以下の投与実験における試料の投与量は、全てタンパク質量に換算した量を意味する。
【0055】
試験例2
SHRラットを用いた血圧降下作用の試験
9週齢の雄性ラットを、温度22±3℃、湿度50±20%、照明12時間(8:00〜20:00)および換気回数13〜17回/時間の環境下で、1週間予備飼育した。
小動物無加温型非観血式血圧計(MK−2000、室町機械(株)製)を用いて、各試料の投与前および投与後のSHRラットの血圧および心拍数を測定した。
10週齢のSHRラットを、収縮期血圧がほぼ同一になるように、5匹ずつの群に分け、以下の試験に用いた。
【0056】
上記の実施例で得られた各試料の所定量を、注射用水溶液に用時溶解し、1試料当たり5匹の一夜絶食したSHRラットに4ml/kgの割合で経口投与し、投与後24時間の収縮期および拡張期の血圧ならびに心拍数を測定した。なお、対照群には注射用蒸留水を4ml/kgの割合で経口投与した。
【0057】
以下、試験例を説明するが、心拍数はいずれの試験においても、対照群および試料投与群の間で有意差は認められなかった(データ非表示)。
なお、試料の投与試験で得られた数値は、各群での平均値および標準誤差を算出した。各群間の有意差は、バートレット(Brtlett)法(有意水準5%)により等分散性の検定を行い、等分散であったため、さらに一元配置分散分析を行い、有意な場合タキー(Tukey)法により平均値の比較を行った。有意水準は危険率5%および1%とした。
【0058】
試料(1)、(13)、(14)および(15)のラットに対する血圧降下作用の測定
ラットの体重当たり、試料(1)を1000mg/kg、試料(13)、(14)および(15)をそれぞれ100mg/kgとなるように、各試料につき5匹のラットに投与した。上記のようにして、投与後24時間の収縮期および拡張期血圧の変化を測定した。収縮期血圧の測定結果を表2に、拡張期血圧の測定結果を表3にそれぞれ示す。
【0059】
表2:試料(1)、(13)、(14)および(15)のラットの収縮期における血圧降下作用
【表2】

【0060】
表3:試料(1)、(13)、(14)および(15)のラットの拡張期における血圧降下作用
【表3】

【0061】
試験例3
試料(1)、(3)、(9)、(10)およびヒスチジンのラットに対する血圧降下作用の測定
ラットの体重当たり、試料(1)を500mg/kgおよび100mg/kg、試料(3)を1000mg/kgおよび200mg/kg、試料(9)および(10)をそれぞれ500mg/kgならびにヒスチジンを100mg/kgとなるように、ラットに対して上記のように投与し、投与後24時間の収縮期および拡張期血圧の変化を測定した。収縮期血圧の測定結果を表4に、拡張期血圧の測定結果を表5にそれぞれ示す。
【0062】
表4:試料(1)、(3)、(9)、(10)およびヒスチジンのラットの収縮期における血圧降下作用
【表4】

【0063】
表5:試料(1)、(3)、(9)、(10)およびヒスチジンのラットの拡張期における血圧降下作用
【表5】

【0064】
試験例4
試料(7)のラットに対する血圧降下作用の測定
ラットの体重当たり、試料(7)を100mg/kgとなるように、ラットに対して上記のように投与し、投与後4時間の収縮期および拡張期血圧の変化を測定した。収縮期および拡張期の血圧の測定結果を表7にそれぞれ示す。
【0065】
表6:試料(7)のラットの収縮期および拡張期における血圧降下作用
【表6】

【0066】
試験例5
試料(2)、(3)、(5)、(8)、(9)、(11)、(12)およびヒスチジンのラットに対する血圧降下作用の測定
ラットの体重当たり、試料(2)、(5)および(9)をそれぞれ100mg/kg、試料(3)を100mg/kgおよび500mg/kg、試料(8)、(11)および(12)をそれぞれ500mg/kgならびにヒスチジンを50mg/kgおよび10mg/kgとなるように、ラットに対して上記のように投与し、投与後24時間の収縮期および拡張期血圧の変化を測定した。収縮期血圧の測定結果を表7に、拡張期血圧の測定結果を表8にそれぞれ示す。
【0067】
表7:試料(2)、(3)、(5)、(8)、(9)、(11)、(12)およびヒスチジンのラットの収縮期における血圧降下作用
【表7】

【0068】
表8:試料(2)、(3)、(5)、(8)、(9)、(11)、(12)およびヒスチジンのラットの拡張期における血圧降下作用
【表8】

【0069】
次いで、ヒスチジンに加え、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グルタミン酸などについても血圧降下作用を測定した。すなわち、次の被験物質を前記の注射用蒸留水に溶解し、以下の表9および10に記載の投与量でラットにそれぞれ投与した。
試料番号:
16. 対照:注射用蒸留水
17. BSA(対照、牛血清アルブミン);和光純薬工業(株)
18. カプトプリル;シグマアルドリッチ社
19. カプトプリル;シグマアルドリッチ社
20. イソロイシン;和光純薬工業(株)
21. ロイシン;和光純薬工業(株)
22. アルギニン;和光純薬工業(株)
【0070】
23. ヒスチジン;和光純薬工業(株)
24. 3−メチル−1−ヒスチジン;シグマアルドリッチ社
25. グルタミン酸ナトリウム;和光純薬工業(株)
26. カルノシン;和光純薬工業(株)
27. アンセリン;シグマアルドリッチ社
28. タウリン;和光純薬工業(株)
29. イノシン酸モノリン酸塩;協和発酵工業(株)
【0071】
製造例1
鰹節の粉砕物200gを40%含水エタノール400gに加え、撹拌下に、35℃で2時間抽出し、固液分離して、抽出液と抽出残渣を得た。この抽出残渣を、予め45℃に加温した水1500gに加え、撹拌下に、プロテアーゼB1.2gを加え、同温度で2時間撹拌を継続した。次いで、固液分離して、得られた溶液を90℃で15分間加熱して、酵素を失活させて、減圧下に約半分量まで濃縮した。この濃縮液を、上記の抽出液と合わせて、セライトろ過して鰹節エキスを得た。このエキスを常法に従って、凍結乾燥に付して、40gの乾燥物を得、これを試料(30)とした。
【0072】
試験例6
SHRラットを用いた血圧降下作用の試験
10週齢の雄性ラットを、温度22±3℃、湿度50±20%、照明12時間(8:00〜20:00)および換気回数13〜17回/時間の環境下で、1週間予備飼育した。
小動物無加温型非観血式血圧計(MK−2000、室町機械(株)製)を用いて、各試料の投与前および投与後のSHRラットの血圧および心拍数を測定した。
11週齢のSHRラットを、収縮期血圧がほぼ同一になるように、5匹ずつの群に分け、以下の試験に用いた。
【0073】
上記の各試料を、注射用水溶液に用時溶解し、1試料当たり5匹の一夜絶食したSHRラットに経口投与し、投与後12時間の収縮期および拡張期の血圧ならびに心拍数を測定した。なお、対照群には注射用蒸留水を4ml/kgの割合で経口投与した。
以下、試験例を説明するが、心拍数はいずれの試験においても、対照群および試料投与群の間で有意差は認められなかった(データ非表示)。
【0074】
なお、試料の投与試験で得られた数値は、各群での平均値および標準誤差を算出した値である。各群間の有意差は、バートレット(Brtlett)法(有意水準5%)により等分散性の検定を行い、等分散であったため、さらに一元配置分散分析を行い、有意な場合タキー(Tukey)法により平均値の比較を行った。有意水準は危険率5%および1%とした。
【0075】
試料(16)〜(30)のラットに対する血圧降下作用の測定
試料(16)〜(30)を表9および10に記載の割合で、各試料につき5匹のラットに投与して、投与後12時間の収縮期および拡張期における血圧の変化を測定した。収縮期血圧の測定結果を表9に、拡張期血圧の測定結果を表10にそれぞれ示す。
【0076】
表9:試料(16)〜(30)のラットの収縮期における血圧降下作用
【表9】

【0077】
表10:試料(16)〜(30)のラットの拡張期における血圧降下作用
【表10】

【0078】
次いで、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシンおよびグルタミン酸に加え、セリン、フェニルアラニンおよびチロシンについても血圧降下作用を測定した。すなわち、次の被験物質を前記の注射用蒸留水に溶解し、以下の表11および12に記載の投与量でラットにそれぞれ投与した。
試料番号:
31. 対照:注射用蒸留水
32. ヒスチジン;和光純薬工業(株)
33. イソロイシン;和光純薬工業(株)
34. ロイシン;和光純薬工業(株)
35. グルタミン酸ナトリウム;和光純薬工業(株)
36. セリン;和光純薬工業(株)
37. フェニルアラニン;和光純薬工業(株)
38. チロシン;和光純薬工業(株)
【0079】
前記試験例6とまったく同様にして上記の試料(31)〜(38)を表11および12に記載の割合で、各試料ににつき、5匹のラットに経口投与して、投与後12時間の収縮期および拡張期における血圧の変化を測定した。収縮期血圧の測定結果を表11に、拡張期血圧測定結果を表12にそれぞれ示す。
【0080】
表11:試料(31)〜(38)のラットの収縮期における血圧降下作用
【表11】

【0081】
表12:試料(31)〜(38)のラットの拡張期における血圧降下作用
【表12】

【0082】
実施例3
実施例1の試料(13)および試料(14)の調製で得た試料(13)を、1包当たり0.7g含むスティック状の包装品を製造した。
【0083】
実施例4
実施例1の試料(13)および試料(14)の調製で得た試料(13)1重量部を、ラクトース1重量部と混合し、1包当たり試料(13)を2g含むスティック状の包装品を製造した。
【0084】
実施例5
実施例1の試料(13)および試料(14)の調製で得た試料(14)を、1包当たり0.7g含むスティック状の包装品を製造した。
【0085】
実施例6
実施例1の試料(13)および試料(14)の調製で得た試料(14)1重量部を、ラクトース1重量部と混合し、1包当たり試料(14)を2g含むスティック状の包装品を製造した。
【0086】
実施例7
製造例1で得た試料(30)を、1包当たり1g含むスティック状の包装品を製造した。
【0087】
実施例8
製造例1で得た試料(30)1重量部を、ラクトース1重量部と混合し、1包当たり試料(30)を4g含むスティック状の包装品を製造した。
【0088】
実施例9
ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンおよびフェニルアラニンをそれぞれ1部ずつ混合し、アミノ酸の混合物を得た。
【0089】
実施例10
実施例9で得た混合物を1包当たり0.7g含むスティック状の包装品を製造した。
【0090】
実施例11
以下の成分を常法により混合して、1包当たり実施例9のアミノ酸混合物を1g含むスティック状の包装品を製造した。
実施例9のアミノ酸混合物 1重量部
ラクトース 9重量部
【0091】
実施例12
以下の成分を常法により混合して、1包当たり実施例9のアミノ酸混合物を5g含むスティック状の包装品を製造した。
実施例9のアミノ酸混合物 1重量部
ラクトース 1重量部
【0092】
実施例13
米粉50重量部、砂糖5重量部、全卵10重量部、製造例1で得た試料(30)1重量部を秤量した。
全卵に砂糖を混合した後、予め篩に通した米粉を加え、軽く混ぜ合わせて生地を作り、これを適当な形に成形し、オーブンで焼き上げて、せんべいを作った。
【0093】
実施例14
米粉50重量部、砂糖5重量部、全卵10重量部、実施例9のアミノ酸混合物0.5重量部を秤量した。
全卵に砂糖を混合した後、予め篩に通した米粉を加え、軽く混ぜ合わせて生地を作り、これを適当な形に成形し、オーブンで焼き上げて、せんべいを作った。
【0094】
実施例15
実施例14において、実施例9のアミノ酸混合物の量0.5重量部に替えて、2重量部を用い、同様にして、せんべいを作った。
【0095】
実施例16
実施例14において、実施例9のアミノ酸混合物の量0.5重量部に替えて、5重量部を用い、同様にして、せんべいを作った。
【0096】
実施例17
小麦粉100重量部、塩4重量部、製造例1の試料(30)5重量部および水45重量部を秤量し、常法に従ってこれらをよく混合して、うどんを製造した。
【0097】
実施例18
実施例17において、製造例1の試料(30)に替えて、実施例9のアミノ酸混合物2重量部を用い、同様にして、うどんを製造した。
【0098】
実施例19
実施例17において、製造例1の試料(30)に替えて、実施例2で得た鰹節エキス5重量部および水45重量部に替えて、水40重量部を用い、全く同様にして、うどんを製造した。
【0099】
実施例20
製造例1で得た試料(30)10重量部をラクトース25重量部と混合し、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に試料(30)が500mg含有されるゼラチンカプセル剤を得た。
【0100】
実施例21
実施例9で得たアミノ酸混合物10重量部をラクトース15重量部と混合し、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に該アミノ酸混合物が1g含有されるゼラチンカプセル剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、アミノ酸またはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいはそれらの含有物を安全な血圧降下用組成物の有効成分として、医薬または食品に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン酸、セリンもしくはフェニルアラニンまたはそれらの塩の少なくとも一つ、あるいは天然物由来のこれらの含有物を有効成分として含むことを特徴とする血圧降下用組成物。
【請求項2】
天然物由来の含有物が、魚肉乾製品を水性溶媒で抽出し、その残渣をタンパク質分解酵素で分解処理したものである請求項1に記載の血圧効果用組成物。
【請求項3】
前記魚肉乾製品が、鰹、宗田鰹、鮪または鯖由来の乾製品である請求項1または2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項4】
水性溶媒での抽出が、水性エタノールで50℃以下で行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項5】
水性溶媒での抽出が、水で熱時行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項6】
タンパク質分解酵素での分解処理が、ペプシンによりpH1.6付近で行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項7】
タンパク質分解酵素での分解処理が、トリプシンまたはキモトリプシンによりpH7.0付近で行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項8】
タンパク質分解酵素での分解処理が、ペプシンによる酵素処理をpH1.6付近で行った後に、トリプシンもしくはキモトリプシンまたはこれら酵素の混合物によりpH7.0付近で行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項9】
タンパク質分解酵素での分解処理が、プロテアーゼB、プロテアーゼRもしくはプロテアーゼSまたはこれらの酵素の組み合わせによりpH3.0〜7.8で行われる請求項2に記載の血圧降下用組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の血圧降下用組成物を含む食品。

【国際公開番号】WO2005/063245
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516656(P2005−516656)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019397
【国際出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(391022887)株式会社シマヤ (2)
【Fターム(参考)】