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血小板凝集抑制剤
説明

血小板凝集抑制剤

【課題】血小板凝集による様々な症状を軽減し、もしくは予防することができる、新規な血小板凝集抑制剤を提供すること、特により簡便に入手できると共に、大量生産が容易に実現可能な血小板凝集抑制剤の提供。
【解決手段】式(1)


で示される化合物を有効成分として含有する血小板凝集抑制剤によって前記課題は解決される。さらに、上記の血小板凝集抑制剤を有効成分とする、血流改善剤および抗血栓剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板凝集抑制剤に関するものである。さらには、本発明は、血小板の凝集を抑制することによる血流改善剤および抗血栓剤などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種プロスタグランジン類やトロンボキサンなどは、アラキドン酸を出発物質として生合成されることが知られている。これらのアラキドン酸代謝産物は、生体内の各種調節機構に関与していることが知られている一方、炎症や血栓の生成にも深く関与していることも知られている。
【0003】
特に、近年、一般に血液の流動性の改善などに対する関心が高まっており、このアラキドン酸の代謝経路を制御することによって、様々な症状を緩和する方法が注目されている。たとえば、辛夷の成分を有効成分とする血小板凝集抑制剤および血栓治療剤(特許文献1参照。)、シイタケ抽出物を有効成分とする血栓予防または改善剤(特許文献2参照。)、キノリルメトキシフェニル酢酸やその誘導体によるアラキドン酸代謝の抑制(特許文献3参照。)、桑白皮や甘草の抽出物またはその成分によるアラキドン酸代謝異常の治療(特許文献4参照。)、モルギンまたはその誘導体によるアラキドン酸代謝を阻害する方法(特許文献5参照。)、カンキツ果皮抽出物によりアラキドン酸代謝酵素を阻害する方法(特許文献6参照。)、およびオイゲノール誘導体を有効成分とする血小板凝集抑制剤(特許文献7参照。)などが提案されている。
【0004】
また、カプサイシンやトウガラシ抽出物が血流促進効果を有することが知られているが、これらは刺激が強いため投与方法や投与量に制限があるなど使用方法や用途が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−368334号公報
【特許文献2】再公表公報WO2005/034974
【特許文献3】特開平06−157463号公報
【特許文献4】特開平07−017859号公報
【特許文献5】特開平08−113536号公報
【特許文献6】特開平08−245412号公報
【特許文献7】特開平04−178324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、血小板の凝集が原因で引き起こされる様々な生体への悪影響の症状を軽減し、もしくは予防することができる、新規な血小板凝集抑制剤を提供することであり、特に、より簡便に入手できるとともに、大量生産が容易に実現可能な血小板凝集抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の血小板凝集抑制剤は、下記式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1は炭素数1から10の直鎖のアルキリデン基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数1から3の直鎖のアルキル基を表す。)で示される化合物を有効成分として含有する血小板凝集抑制剤である。
【0010】
また、本発明の血小板凝集抑制剤は、3,4−ジメチル−5−ペンチリデン−5H−フラン−2−オン(以下、ボボリッドという。)を有効成分として含有する血小板凝集抑制剤である。
【0011】
また、本発明においてはさらに、前記の血小板凝集抑制剤を用い、血小板凝集抑制剤を有効成分とする血流改善剤または抗血栓剤などとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の血小板凝集抑制剤によれば、血小板の凝集を抑制し、血流の促進、血栓の予防および緩和の効果を得ることができる。
【0013】
本発明の血小板凝集抑制剤は、香料として使用実績がある化合物であり、刺激性などは極めて小さく、飲食品や香粧品類など幅広く添加することができる。また、本発明の化合物群は容易に合成ができるため、大量生産が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の、下記式(1)
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R1は炭素数1から10の直鎖のアルキリデン基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数1から3の直鎖のアルキル基を表す。)で示される化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0017】
上記式(1)の化合物としては、ボボリッドが公知の方法で簡便に製造することができるため好ましく用いられる。上記式(1)の化合物の製造方法としては、具体的には、ドイツ特許1072629号公報および米国特許3251366号明細書に記載の方法や、J.Am.Chem.Soc. 1986,108,520−522に記載の方法が挙げられる。
【0018】
本発明の血小板凝集抑制剤は、用途に応じて、エタノール、水、プロピレングリコール、グリセリン、食用油脂またはそれらの混合溶液などの溶剤、医薬や食品に適用可能な塩類、糖、糖アルコール、賦形剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、抗酸化剤、色素および香料などを適宜配合することができる。
【0019】
本発明の血小板凝集抑制剤において、前記の式(1)の化合物群の含有量は、単独の化合物もしくは複数化合物を組み合わせた組成物で、0.0001〜100質量%であることが好ましい。
【0020】
本発明の血小板凝集抑制剤の形態は、特に限定されない。例えば、液状のままでもよく、公知の方法によって乳化、分散および粉末化するなど、形態は用途に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明の血小板凝集抑制剤は、ビタミン、ミネラルおよびアミノ酸などの栄養強化剤、抗酸化剤、抗菌剤およびその他の薬剤などと配合して使用することができる。また、本発明の血小板凝集抑制剤は、他の血小板凝集抑制剤と併用してもよい。
【0022】
本発明の血小板凝集抑制剤を、医薬品もしくは医薬部外品として製剤化する場合は、必要に応じて安定化剤、着色剤、嬌味剤、香料、賦形剤、溶剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤、溶解補助剤、等張化剤、緩衝剤、保湿剤、結合剤、被覆剤、潤沢剤、崩壊剤および経皮吸収剤などを加え、液剤、粉剤、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、懸濁剤、座剤、浴剤、軟膏、クリーム、ゲル、貼付剤、注射液および点眼剤など任意の剤形を選択することができるが、本発明の血小板凝集抑制剤は、その緩和な作用から健康補助の目的に特に適していることから、特に経口摂取に適した剤形が好ましい。
【0023】
本発明の血小板凝集抑制剤に用いられる有効成分は、その多くが従来から主に香料として使用されている化合物であるため、飲食品や香粧品などに添加することができる。例えば、乳飲料、清涼飲料、嗜好飲料、アルコール飲料などの飲料、チョコレート、キャンディ、錠菓、ガム、スナック菓子、クッキー、ケーキ、その他焼き菓子などの菓子類、氷菓、アイスクリームなどの冷菓類、即席麺類、レトルト食品、冷凍食品などの調理食品、調味料、栄養補助食品および介護職などの食品類に添加することにより、血流促進や血栓予防など健康維持の機能を付加することができる。
【0024】
本発明の血小板凝集抑制剤を飲食品に添加する場合、添加量は、0.001〜5質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明の血小板凝集抑制剤を飲食品に添加する方法は、必要に応じて、乳化剤、分散剤および安定化剤などを加えることもできる。
【0026】
本発明の血小板凝集抑制剤を飲食品に添加する場合は、ビタミン、ミネラルおよびアミノ酸などの栄養強化剤、抗酸化剤、抗菌剤、食物繊維、血小板凝集抑制以外による血流促進剤および抗血栓剤など他の機能性成分を、本発明の血小板凝集抑制剤の機能を阻害しない範囲で併用することもできる。
【0027】
本発明の血小板凝集抑制剤は、香水、化粧水、ファンデーション、口紅、クリーム、ローション、乳液、ジェル、パック、日焼け止めおよびサンオイルなどの化粧品類、石鹸、ボディーシャンプー、洗顔料などの身体洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント剤、整髪料、染毛剤、パーマネント剤、養毛剤などの毛髪化粧料、シェービングフォーム、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、歯磨き、洗口剤、粉末洗剤、液体洗剤、漂白剤、柔軟剤、浴剤、衛生用品および避妊具などの香粧品類に添加することができる。
【0028】
本発明の血小板凝集抑制剤を香粧品類に添加する場合、添加量は、0.001〜15質量%であることが好ましい。
【0029】
本発明の血小板凝集抑制剤を香粧品に添加する方法は特に限定されないが、必要に応じて乳化剤、分散剤、安定化剤および賦形剤などを加えることもできる。
【0030】
本発明の血小板凝集抑制剤を香粧品に添加する場合は、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、保湿剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、抗かび剤、メラニン生成抑制剤、養毛剤、冷感剤、温感剤、吸収促進剤、血小板凝集抑制以外による血流促進剤および抗血栓剤など他の機能性物質を、本発明の血小板凝集抑制剤の機能を阻害しない範囲で併用することもできる。
【実施例1】
【0031】
(試験方法)
人の血液に10%濃度になるように3.8%クエン酸ナトリウム液を加え、この血液を1000rpmで10分間遠心分離し、上層部を採取して、これを多血小板血漿(PRP)とした。さらに、下層部を3000rpmで15分間遠心分離し、上層部から乏血小板血漿(PPP)を採取して、これを血小板凝集能測定時におけるコントロールとした。
【0032】
測定装置として、興和株式会社製の血小板凝集能測定装置(コーワPA−20)を使用し、被験物質を加えず、凝集惹起剤のみを加えた対象凝集曲線に対する最大凝集率を100%としたときの各試料濃度段階の最大凝集率を求めた。
【0033】
被験物質を測定容器に入れ、さらにPRP270μlを加えたものを測定装置に設置し、37℃の温度で撹拌しながら30秒間インキュベートした。続いて、30秒以内に凝集惹起剤として0.2Mに調整したアラキドン酸のメタノール溶液を2μl加え、測定容器設置から7分後までの凝集率を測定した。
【0034】
血小板凝集阻害活性は、次の計算方法により血小板凝集阻害率を求めることで評価した。
【0035】
(血小板凝集阻害率計算法)
・PRP+アラキドン酸のみを加えたときの最大凝集率をAとする。
・被験物質+PRP+アラキドン酸を加えたときの最大凝集率をBとする。
・凝集阻害率(%)をCとすると
C=100−B/A×100
(試験結果)
前記の試験方法において、被験物質の濃度が1mMとなる量を添加した条件下で血小板凝集阻害活性を測定した。その試験結果を、表1にアラキドン酸惹起における血小板凝集阻害率(%)で示す。また、表1中に比較例として、従来血小板凝集阻害活性が知られている市販のトウガラシチンキと、血流改善効果が知られている松樹皮抽出物の試験結果を収載した。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示すように本発明の化合物には、トウガラシチンキや松樹皮抽出物と比較して、同等またはそれ以上に強力な阻害活性が確認された。
【実施例2】
【0038】
(試験方法)
人の血液に10%濃度になるように3.8%クエン酸ナトリウム液を加え、この血液を1000rpmで10分間遠心分離し、上層部を採取して、これを多血小板血漿(PRP)とした。さらに、下層部を3000rpmで15分間遠心分離し、上層部から乏血小板血漿(PPP)を採取して、これを血小板凝集能測定時におけるコントロールとした。
【0039】
測定装置として、興和株式会社製の血小板凝集能測定装置(コーワPA−20)を使用し、被験物質を加えず、凝集惹起剤のみを加えた対象凝集曲線に対する最大凝集率を100%としたときの各試料濃度段階の最大凝集率を求めた。
【0040】
被験物質を測定容器に入れ、さらにPRP270μlを加えたものを測定装置に設置し、37℃の温度で撹拌しながら30秒間インキュベートした。続いて、30秒以内に凝集惹起剤として上記PRP中の濃度が15μMになるよう調整したカルシウムイオノフォア(A23187)のメタノール溶液を加え、測定容器設置から7分後までの凝集率を測定した。試験試料が1mMで50%以上の阻害活性を示した場合は、順次濃度を半分に落として活性を測定した。
【0041】
カルシウムイオノフォア(A23187)による血小板凝集阻害活性は、次の計算方法により血小板凝集阻害率を求めることで評価した。
【0042】
(血小板凝集阻害率計算法)
・PRP+A23187のみを加えたときの最大凝集率をAとする。
・被験物質+PRP+A23187を加えたときの最大凝集率をBとする。
・凝集阻害率(%)をCとすると
C=100−B/A×100
(試験結果)
前記試験方法において、被験物質の濃度が1mMから開始して、順次、阻害活性が消失するまで試料を1/2希釈して添加し、血小板凝集阻害活性を測定した。カルシウムイオノフォア(A23187)惹起時の血小板凝集阻害率(%)を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
表2に示すように本発明の化合物には、30μM以下の低濃度においても強い阻害活性が確認された。
【実施例3】
【0045】
以下に、本発明の血小板凝集抑制剤の製剤例について、一例を示す。
【0046】

・錠剤配合例(配合割合は質量比である。)
──────────────────────
本発明の血小板凝集抑制剤 5.0
6%HPC乳糖 80.0
ステアリン酸マグネシウム 4.0
バレイショデンプン 6.0
──────────────────────

・軟膏剤配合例(配合割合は質量比である。)
─────────────────────────
白色ワセリン 20.0
ステアリルアルコール 22.0
プロピレングリコール 12.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
パラベン 0.2
本発明の血小板凝集抑制剤 5.0
精製水 39.3
─────────────────────────

・入浴剤配合例(配合割合は質量比である。)
――――――――――――――――――――――─
炭酸水素ナトリウム 50.0
硫酸ナトリウム 45.0
本発明の血小板凝集抑制剤 1.3
香料 0.7
色素 3.0
───────────────────────

以下に、本発明の血小板凝集抑制剤の食品への配合例について一例を示す。
【0047】

・アイスクリーム配合例(配合割合は質量比である。)
────────────────────────
全脂練乳 10.0
生クリーム 9.4
無塩バター 2.0
脱脂粉乳 3.4
砂糖 12.0
安定剤 0.3
乳化剤 0.2
pH調整剤 0.1
カラメル色素 0.1
本発明の血小板凝集抑制剤 0.01
香料 0.01
水 49.0
────────────────────────

・クッキー生地配合例(配合割合は質量比である。)
────────────────────────
薄力粉 62.5
全粒粉 37.5
ショートニング 30.0
全卵 30.0
砂糖 20.0
水飴 1.0
脱脂粉乳 5.0
食塩 1.2
食用油脂 30.0
重炭酸ソーダ 1.0
重炭酸アンモニウム 1.0
本発明の血小板凝集抑制剤 0.1
香料 0.3
水 11.0
────────────────────────

・チョコレート配合例(配合割合は質量比である。)
─────────────────────────
カカオ液 12.0
カカオバター 24.0
ショ糖 33.0
フルクリームミルクパウダー 19.0
スキムミルクパウダー 11.4
レシチン 0.5
本発明の血小板凝集抑制剤 0.01
香料 0.1
─────────────────────────

・ノンオイルドレッシング配合例(配合割合は質量比である。)
─────────────────────────
濃口醤油 10.0
醸造酢 6.0
リンゴ酢 5.0
レモン果汁 4.0
液糖 7.0
食塩 2.0
調味料 7.0
香料 0.2
本発明の血小板凝集抑制剤 0.01
水 50.0
─────────────────────────

・飲料配合例(配合割合は質量比である。)
――――――――――――――――――――――───
果糖ぶどう糖液糖 60.0
アップル透明果汁 4.3
クエン酸 2.3
クエン酸三ナトリウム 0.8
アスコルビン酸 0.2
スクラロース 0.03
アセスルファムカリウム 0.02
香料 0.99
本発明の血小板凝集抑制剤 0.1
水 31.0
――――――――――――――――――――――───

・チューインガム配合例(配合割合は質量比である。)
――――――――――――――――――――――─
ガムベース 20.0
砂糖 60.0
ブドウ糖 10.0
水飴 8.0
グリセリン 5.0
香料 0.9
本発明の血小板凝集抑制剤 0.1
───────────────────────

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の血小板凝集抑制剤は、香料として使用実績がある化合物であり、刺激性などは極めて小さく、飲食品や香粧品類など幅広く添加することができる。また、本発明の化合物群は容易に合成ができるため、大量生産が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素数1から10の直鎖のアルキリデン基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数1から3の直鎖のアルキル基を表す。)で示される化合物を有効成分として含有する血小板凝集抑制剤。
【請求項2】
3,4−ジメチル−5−ペンチリデン−5H−フラン−2−オンを有効成分として含有する請求項1に記載の血小板凝集抑制剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の血小板凝集抑制剤を有効成分とする血流改善剤。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の血小板凝集抑制剤を有効成分とする抗血栓剤。

【公開番号】特開2013−82740(P2013−82740A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−5464(P2013−5464)
【出願日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【分割の表示】特願2007−260672(P2007−260672)の分割
【原出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000201733)曽田香料株式会社 (56)
【Fターム(参考)】