説明

血小板新生を誘導するための方法

本発明は、a)有効量のエリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストを、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)に投与する段階を含む、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる、巨核球前駆体細胞への、任意でさらに巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞の分化を誘導するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月25日に出願された米国仮出願US60/897,232の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、生物学、より正確には、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる、巨核球前駆細胞への、任意でさらに巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化を誘導するための方法に関する。本発明はまた、治療および細胞生物学におけるそのような方法の適用にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
巨核球形成の制御の研究は、巨核球(MK)系列にとって、赤血球系列に対するエリスロポエチン(Epo)に相当するものであると考えられる、トロンボポエチン(TPO)と呼ばれる液性因子による液性制御という概念によって、主に支配されている。TPOの単離およびそのcDNA基部のクローニングにおける飛躍的な前進は、マウス骨髄増殖性白血病ウイルス(v-mpl)の単離である。このウイルスは、オーファンサイトカイン受容体の切断型(v-mpl癌遺伝子)、(c-mpl)を含む。次に、MPLがMK/血小板系列において本質的に発現し、そしてそのインビトロノックダウンが巨核球コロニー刺激因子中で濃縮された血漿の存在下で巨核球コロニー形成障害を引き起こすことが示された。MPL-リガンドは、その後同定され、そのタンパク質は血小板産生の生理的液性レギュレーターの全ての特徴を有しており、よってトロンボポエチン(TPO)と呼ばれた。インビトロではTPOは、MK前駆体の増幅、成熟および血小板産生の強力な刺激因子である。しかしながらその効果は、サイトカインの組み合わせにより置換され得る。インビボでの研究は、TPOの連日投与または遺伝子導入によるTPOの過剰発現が正常数の10倍に達する顕著な血小板増加を誘発するという、他のサイトカインでは得られていない結果を示している。しかしながら、TPO-/-およびc-mpl-/-マウスは、約1/5から1/10の正常な血小板数を伴う、顕著だが非致死性の血小板減少症を示す。TPO非存在下でのこの残存血小板レベルは、TPOが血小板産生に関与すべき唯一のレギュレーターではないことを示す。このことは、TPOより他の巨核球形成の生理的レギュレーターが存在することの証拠となる。この点において、この分野における一般の意見は、血小板分化残因子が存在し、TPOが活性でない時には重要な役割を果たすというものであった。しかしながら科学者らは、多大な努力にもかかわらず、この推定上の残因子を未だ明白に同定できていない。
【0004】
「エリスロポエチン」(EPO)は、糖タンパク質ホルモンであって、ヒトでは約30〜34kDaの分子量を有する。成熟タンパク質は約166アミノ酸を有し、オリゴ糖残基は分子の重量の約40%を構成する。
【0005】
長年、エリスロポエチンの唯一の明らかな生理学的役割は、赤血球の産生のその制御(赤血球形成)であった。近年、いくつかの証拠は、サイトカインスーパーファミリーのメンバーとしてのエリスロポエチンが、エリスロポエチン受容体(エリスロポエチン-R)との相互作用を介して媒介される他の重要な生理的機能を実行していることを示唆する。これらの作用は、有糸分裂誘発、平滑筋細胞および神経細胞内へのカルシウム流入の調節、赤血球の産生、血小板の活性化過剰、血小板の産生、および中間代謝への効果を含む。エリスロポエチンは、低酸素細胞微環境を改善し、さらに代謝ストレスにより引き起こされるプログラム細胞死を調節するよう機能する代償反応を提供すると考えられている。
【0006】
何人かの著者らは、EPOが巨核球形成にも関与する可能性を示唆している。しかしながら、巨核球分化でのEPOの役割は常に、論議の対象となっている。当初、ヒトおよびマウス両方でEPOがMKコロニーを生じることができると示された。しかしながらこの結果は、他のチームでは確認されなかった。その後の研究は、インビトロでEPOがMK成熟および前血小板(proplatelet)形成を促進する可能性があることを示唆している。それにもかかわらず、これらの結果は異なる結果によって依然として議論の対象であり、いくつかの報告ではEPOが巨核球成熟を妨げることを示してさえいた(MC DONALD et al., Large, Chronic Doses of Erythropoietin cause Thrombocytopenia in mouse, BLOOD, Vol 80, no 2 (July 15), 1992: pp 352-358(非特許文献1); HOMONCIK, Erythropoietin treatment is associated with more severe thrombocytopenia in patients with chronic hepatitis C undergoing antiviral therapy, Am J Gastroenterol. 2006 Oct; 101(10):2275-82(非特許文献2))。インビボでEPOは、貧血の治療で広く用いられている。全体的にみて、中等度のEPO刺激は一過性の血小板産生の増加を誘導するように見える。これに対し、高度の刺激は血小板産生を妨げることにより血小板減少を誘発する。これは、巨核球系列で赤血球系の特異化を支持することによる、造血幹細胞への効果によるものであったことが示唆されている。
【0007】
EPO-/-モデルが生存可能ではないため、EPOがその受容体を介して巨核球形成に実際に関与していることを、誰も立証できていない。初めて、発明人らは、巨核球形成におけるEPOの役割の実証を可能にするTPO-/-モデルでの内在性EPOの機能的不活性化を誘導することに成功した。
【0008】
最後に、(i)EPOは血小板分化に関与する調節因子であって、TPOに対して二者択一的にまたは補完的である、および(ii)このEPO機能はエリスロポエチン受容体との相互作用により媒介されるという事実が、発明者らによりここで初めて示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】MC DONALD et al., Large, Chronic Doses of Erythropoietin cause Thrombocytopenia in mouse, BLOOD, Vol 80, no 2 (July 15), 1992: pp 352-358
【非特許文献2】HOMONCIK, Erythropoietin treatment is associated with more severe thrombocytopenia in patients with chronic hepatitis C undergoing antiviral therapy, Am J Gastroenterol. 2006 Oct; 101(10):2275-82
【発明の概要】
【0010】
本発明は、エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を、多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に投与する段階を含む、血小板新生を誘導するための方法に関する。
【0011】
より具体的には、本発明は、エリスロポエチンまたは誘導体の有効量を多系列骨髄系前駆細胞に投与する段階を含む、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の巨核球前駆細胞への分化を誘導するための方法に関する。
【0012】
有利なことに、本発明の方法は、巨核球前駆細胞の巨核球への分化をさらに誘導し、そしてSTAT5のリン酸化を介してそれらを活性化し、インビトロおよびインビボの両方で血小板を産生することが可能である。1
【0013】
よって、本発明の方法は、巨核球から血小板をさらに産生することも可能である。
【0014】
好ましい態様において、発明の方法はさらに、多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に、トロンボポエチンまたは誘導体の有効量を投与する段階を含む。
【0015】
特に好ましい態様において、発明の方法はさらに、多系列骨髄系前駆細胞にトロンボポエチンまたは誘導体の有効量を投与する段階を含む。
【0016】
別の好ましい態様において、発明の方法はインビトロの方法である。
【0017】
さらに別の好ましい態様において、発明の方法は、対象における血小板減少症を治療するおよび/または予防するためのインビボの方法である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ラットEPO前駆体の免疫原性プロファイルを示す。
【図2】対照およびAd-EPOMutラットで得られた、顆粒球マクロファージ(CFU-GM)、赤血球前駆細胞(CFU-E)、および巨核球前駆体(Progs-MK)のコロニー数を示す。
【図3】ヒトCD34+細胞に由来する巨核球上のSTAT5(STAT5全体)およびリン酸化STAT5(P-STAT5)に対して作られた抗体を用いて得られたウエスタンブロットを示す。これらの細胞をトロンボポエチン(TPO)の存在下で10日間培養した。一晩サイトカインを取り除き、その後、 刺激しない(対照)か、または10 UI/mlエリスロポエチン(EPO)もしくは100 ng/mlトロンボポエチン(TPO)により10分間から1時間刺激した。
【図4】異なるサイトカインによる前血小板形成巨核球のパーセンテージを示す。巨核球はCD34+細胞に由来し、TPOの存在下で10日間培養した。巨核球をCD41抗原およびCD42抗原の共発現でソートし、サイトカインの非存在下(rien)、またはTPO単独(TPO)、TPOプラスEPO、EPO単独(1U/ml)、EPO単独(10U/ml)、SCF単独、およびIL3単独での存在下のいずれかで48時間培養した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
発明者らは今回、内在性エリスロポエチンの機能的不活性化が巨核球前駆体の劇的な減少を誘導することと、巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化において、エリスロポエチンが重要な役割を果たすことを発見した。発明者らはさらに、このEPO作用がエリスロポエチン受容体(EPO-R)活性化により媒介されることを発見した。TPO非存在下におけるEPO補充後のSTAT5リン酸化は、この作用機序の重要なサインである。インビトロおよびインビボでの血小板産生がさらに、このような活性化が野生型動物での血小板産生およびTPO-/-マウスでの回復の原因であることを実証した。
【0020】
したがって本発明は、エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を、多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に投与する段階a)を含む、血小板新生を誘導するための方法に関する。
【0021】
特に本発明は、エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を、多系列骨髄系前駆細胞に投与する段階a)を含む、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の巨核球前駆細胞への分化を誘導するための方法に関する。
【0022】
本明細書では、「血小板新生」は、CFU-GEMMから血小板への分化の代謝経路を指す。したがって本明細書では、血小板新生は、次に巨核球に分化してさらに血小板を産生する巨核球前駆細胞へのCFU-GEMMの分化を含む、代謝経路の全ての段階または少なくとも1つの段階を含む。
【0023】
本明細書では、「多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)」は、顆粒球/赤血球/マクロファージ/巨核球コロニー形成単位を指し、当業者に周知である。一例として、そのような細胞は、実施例またはTIANGら(Stem Cells, vol. 16, p:193-9, 1998)に記載されている条件など当業者に周知の培養条件下で、臍帯血または骨髄由来のCD34+細胞を培養することにより得られうる。
【0024】
本明細書では、「巨核球前駆細胞」は、巨核球コロニー形成単位(CFU-MK)を指し、当業者に周知である。そのような巨核球前駆細胞(CFU-MK)は、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化により得られ、分化後に巨核球(MK)を生じる。
【0025】
有利には、本発明の方法により、巨核球前駆細胞の巨核球への分化をさらに誘導することが可能である。
【0026】
有利には、本発明の方法により、巨核球細胞から血小板の産生をさらに誘導することが可能である。
【0027】
エリスロポエチンは当業者に周知である。一例として、ヒトエリスロポエチンの配列は、配列SEQ ID NO:1を有する。
【0028】
本明細書では、「エリスロポエチン誘導体」は、エリスロポエチンまたはその断片と、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、一例として少なくとも85%、およびより好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドを指す。
【0029】
エリスロポエチン誘導体は、少なくとも1つのエリスロポエチンの細胞受容体を占め、かつ巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビトロおよびインビボの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化に対して、エリスロポエチンと同様の効果を有し得る。
【0030】
本明細書では、「断片」は、少なくとも25アミノ酸、好ましくは少なくとも50アミノ酸、およびより好ましくは少なくとも100アミノ酸の長さを有するポリペプチドを指す。
【0031】
本明細書では、2つのアミノ酸配列間の「同一性のパーセンテージ」は、該配列の最良のアライメントを用いて得られた、比較される2つの配列間の同一のアミノ酸のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは純粋に統計的であり、かつこれら2つの配列間の相違はアミノ酸配列に無作為に分散している。本明細書では、「最良のアライメント」または「至適なアライメント」は、決定された同一性のパーセンテージ(下記参照)が最も高いアライメントを意味する。2つのアミノ酸配列間の配列比較は通常、最良のアライメントにしたがって前もって整列したこれらの配列を比較することにより実現され、この比較は、類似の局所領域を同定および比較するためには、比較のセグメントに対して実現される。比較を行うための最良の配列アライメントは、手動の方法の他にも、SMITHおよびWATERMANにより開発されたグローバルホモロジーアルゴリズム(Ad. App. Math., vol.2, p:482, 1981)を用いて、NEDDLEMANおよびWUNSCHにより開発されたローカルホモロジーアルゴリズム(J. Mol. Biol., vol.48, p:443, 1970)を用いて、PEARSONおよびLIPMANにより開発された類似度の方法(Proc. Natl. Acd. Sci. USA, vol.85, p:2444,1988)を用いて、アルゴリズムを用いるコンピュータソフトウエア(GAP, BESTFIT, BLAST P, BLAST N, FASTA, TFASTA in the Wisconsin Genetics software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI USA)を用いて、MUSCLEマルチプルアライメントアルゴリズム(Edgar, Robert C., Nucleic Acids Research, vol. 32, p:1792, 2004)を用いて実現されうる。最良の局所アライメントを得るために、BLOSUM 62マトリクスまたはPAM 30マトリクスを伴うBLASTソフトウエアを好ましくは用いることができる。アミノ酸の2つの配列間の同一性のパーセンテージは、至適に整列させたこれら2つの配列を比較することにより決定され、アミノ酸配列は、これら2つの配列間の至適なアライメントを得るために、参照配列に対して付加または欠失を含み得る。同一性のパーセンテージは、これら2つの配列間の同一部位の数を決定し、この数を比較した部位の合計数で割り、得られた結果に100を掛け、これら2つの配列間の同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。
【0032】
本明細書では、至適アライメント後に少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、一例として少なくとも85%、および最も好ましくは少なくとも95%の同一性のパーセンテージを有するアミノ酸配列は、特許出願EP 1737888およびEP 1736481に記載されている置換、特許出願US2006/270831に記載されている断片のような欠失、特許出願US2006/287224、US2006/276634、およびEP106495に記載されているような抱合体などの修飾を参照配列に対して有するアミノ酸配列を意味する。
【0033】
本明細書では、用語「EPOアゴニスト」は、少なくとも1つのエリスロポエチンの細胞受容体を占めることができ、かつ巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化に対して、エリスロポエチンと同様の効果を有する化合物を指す。さらに、用語「EPOアゴニスト」は、「EPOミメティクス」、またはBLOOD (FRANKLIN BUNN, New agents that stimulate erythropoeisis, BLOOD, 2007; 1009:868-873)に記載されているような血漿生存を延長する全長rhEpoの修飾体も包含すると理解されるべきである。
【0034】
そのような可能性のあるアゴニストの一例として、米国特許第5,767,078号および米国特許第5,835,382号に記載されたアゴニストを引用することができる。
【0035】
本発明が、天然のエリスロポエチン受容体EPO-Rを刺激することにより、血小板分化を誘導するための方法を提供するということを理解することは不可欠である。実際、この受容体が血小板分化に関与することが本明細書において初めて明確に示される。結果として、発明の方法では、標的細胞分化の誘導は、天然のEPO、または、およびより重要には、EPO-Rに結合し刺激することのできる任意のEPO誘導体、ミメティクス、もしくはアゴニストのいずれかを用いることにより実行されうる。
【0036】
本発明によるEPO誘導体またはアゴニストは、少なくとも1つのエリスロポエチンの受容体を占め、かつ血小板新生に対して、具体的には、巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化に対して、エリスロポエチンと同様の効果を有する。言い換えれば、EPO誘導体またはアゴニストの機能は、EPO受容体との相互作用により媒介される。
【0037】
実例として、本発明の目的のために用いられうるEPO誘導体が、BLOOD(FRANKLIN BUNN, New agents that stimulate erythropoeisis, BLOOD, 2007; 1009:868-873)に記載されている。CERA(Continuous Erythropoeitin Receptor Activator)と名付けられたこのEPO誘導体は、EPOより緩徐にEPO受容体に結合できる60kDa分子であり、より速い解離速度を有する。したがって、CERAは、内部移行することなくEPO伝達カスケードを誘発することができ、かつより持続性の生物活性を有する。CERAはしたがって、本発明による方法のためのよい候補である。
【0038】
EPO-Rアゴニストは、エポエチンアルファ、カッパ、ベータ、デルタ、またはオメガの中から選択されうる。
【0039】
Epoポリペプチド内に追加のN結合型糖鎖付加部位を伴うEpoのように、血漿生存を延長する他のEpo-Rアゴニストも用いることができ、一例としてダルベポエチンアルファを引用でき、他の修飾体は、このタンパク質に2部位で付着する負の電荷を持った非炭水化物精密長分岐ポリマーを伴う合成赤血球形成タンパク質(SEP);可動性のペプチド架橋を介して連結する組換え二量体Epo;遊離のスルフヒドリル基を介して化学的に架橋され二量体および三量体を生じるrhEpo;効率的な経口投与を可能にする修飾rhEpo;徐放性製剤によるrhEpo;部位特異的ペグ化または免疫融合(immunofusion)タンパク質により修飾されたrhEpo;Fc受容体に結合するエリスロポエチン-ハイブリッドFc融合タンパク質または他の改変リガンド;rhEpoと融合するカルボキシル末端ペプチド(CTP)アミノ酸配列; 高分子キャリアまたはバイオキャリア、例えばアルブミンタンパク質と共役したrhEpoまたはEpo-ミメティクス;非ペプチジルポリマー連結を用いて活性ペプチド/タンパク質薬物との部位特異的抱合体を形成するバイオキャリアとrhEpoの融合体;ダルベポエチン-αの高グリコシル化アナログ; エリスロポエチン受容体アゴニストとして作用する抗体または抗体融合タンパク質;Epo糖鎖へのポリエチレングリコール(PEG)の付加により修飾されたrhEpo;シアル酸含有糖鎖の付加により修飾されたrhEpoを含みうるが、それらに限定されない。
【0040】
Epo-R活性化はまた、Epo-RアゴニストまたはEpo-Rを刺激することができる遺伝子活性化エリスロポエチンをコードするベクターを用いる遺伝子治療によっても行われうる。
【0041】
本発明の目的のために用いられうる誘導体およびアゴニストの他の例は、BLOOD (FRANKLIN BUNN, New agents that stimulate erythropoeisis, BLOOD, 2007; 1009:868-873)に見うけられる。
【0042】
好ましい態様において、本発明の方法は、多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に、トロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を投与する段階b)をさらに含む。
【0043】
具体的には、本発明の方法は、多系列骨髄系前駆細胞に、トロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を投与する段階b)をさらに含む。
【0044】
投与段階b)は、投与段階a)の前に、同時に、または後に行いうる。
【0045】
トロンボポエチンもまた、当業者に周知であり、一例としてヒトトロンボポエチンの配列は、配列SEQ ID NO:2を有する。
【0046】
本明細書では、「トロンボポエチン誘導体」は、トロンボポエチンまたはその断片と少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、一例として少なくとも85%、およびより好ましくは少なくとも95%の同一性のパーセンテージを有するポリペプチドを指す。
【0047】
トロンボポエチン誘導体は、少なくとも1つのトロンボポエチンの細胞受容体を占めることができ、巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化に対して、トロンボポエチンと同様の効果を有する。
【0048】
本明細書では、「断片」は、少なくとも25アミノ酸、好ましくは少なくとも50アミノ酸、およびより好ましくは少なくとも100アミノ酸の長さを有するポリペプチドを指す。
【0049】
本明細書では、至適アライメント後に少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、一例として少なくとも85%、および最も好ましくは少なくとも95%の同一性のパーセンテージを有するアミノ酸配列は、特許出願US2006/160995に記載されているような置換、特許出願JP2006232697に記載されている断片のような欠失、国際特許出願PCT WO 00/00612に記載されているような抱合体などの修飾を参照配列に対して有するアミノ酸配列を意味する。
【0050】
本明細書では、用語「TPOアゴニスト」は、少なくとも1つのトロンボポエチンの細胞受容体を占めることができ、巨核球前駆細胞への、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化に対して、トロンボポエチンと同様の効果を有する。
【0051】
そのような可能性のあるアゴニストの一例として、国際特許出願PCT WO 01/07423および特許US 6,887,890に記載のアゴニストを引用することができる。
【0052】
別の好ましい態様によれば、本発明の方法は、インビトロの方法である。
【0053】
したがって本発明の方法は、臍帯血、骨髄、およびサイタフェレーシス(cytapheresis)に対するCD34+もしくはCD34-(未成熟前駆細胞)細胞分離により、または胚細胞(ES細胞)、羊膜細胞、もしくは脱分化した線維芽細胞などの特定の細胞株の培養および分化により得られる多系列骨髄系前駆細胞に対して実現されうる。
【0054】
当業者は、多系列骨髄系前駆細胞を、巨核球前駆細胞へ、任意でさらに、インビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球へ分化させるための、EPO、その誘導体またはアゴニストの有効量を、最終的にはTPO、その誘導体またはアゴニストと組み合わせて、簡単に決定できる。
【0055】
一例として、巨核球前駆細胞への、任意でさらにインビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への多系列骨髄系前駆細胞の分化を誘導するために有効なエリスロポエチンの量は、0.1 U/mから100 U/mlの間、好ましくは0.5 U/mから50 U/mlの間、およびより好ましくは1 U/mlから10 U/mlの間で構成される。
【0056】
別の例として、巨核球前駆細胞への、任意でさらにインビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への多系列骨髄系前駆細胞の分化を誘導するために有効なトロンボポエチンの量は、10 U/mlから10,000 U/mlの間、好ましくは15 U/mlから5,000 U/mlの間、およびより好ましくは5 U/mlから2,000 U/mlの間で構成される。
【0057】
さらに別の好ましい態様によれば、本発明の方法は、対象において血小板減少症を治療するおよび/または予防するための方法である。
【0058】
本明細書では、用語「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを指す。
【0059】
本明細書では、「血小板減少症」は、「血小板減少(thrombopenia)」とも呼ばれ、血小板数の減少に関連する疾患を指す。血小板減少症は、ビタミンB12もしくは葉酸の欠乏、白血病もしくは骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、硬変、種々の癌、肝不全、HIVなどのウイルス感染の結果起こりうるか、または抗癌剤、キニーネ、もしくはアブシキシマブのような薬剤によって誘発されうる。
【0060】
好ましくは、血小板減少症は、一系統血球減少および二系統血球減少の中から選択される。
【0061】
本明細書では、「一系統血球減少」は、単一の(isolated)血球減少症を指す。
【0062】
本明細書では、「二系統血球減少」は、白血球、血小板、および赤血球の中から選択される2または3つの細胞系列の減少を指す。
【0063】
好ましくは、二系統血球減少は、血小板および赤血球の減少を指す。
【0064】
巨核球前駆細胞ならびに任意でさらにインビボおよびインビトロの両方で血小板を産生できる巨核球への多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化を誘導するために必要とされる「エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量」は、当業者による日常的な実験によって決定できる。
【0065】
発明者らは驚くべきことに、前記有効量が、赤血球分化を誘導するために必要とされるエリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量よりはるかに少ないということを立証している。
【0066】
一例として、そのようなEPO、その誘導体またはアゴニストの有効量は、1ヶ月当たり2,000ユニットから20,000ユニットの間、好ましくは1ヶ月当たり4,000ユニットから10,000ユニットの間で構成される。
【0067】
エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの投与、および最終的にトロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの投与は、静脈内注入、膣内注入、直腸内注入、筋肉内注入、皮下、皮内注入、経口、または経鼻送達からなる群より選択される技術を介して実行される。好ましくは、投与は、皮下注入、皮内注入、または筋肉内注入を介して行われる。同じ部位または異なる部位で単回注入または複数回注入が行われうる。
【0068】
エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニスト、および最終的にはトロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストは、短期送達または長期送達用に製剤化される。例えば、製剤は、活性成分の徐放または即時放出を可能にする。
【0069】
発明の別の局面は、対象における血小板減少症を治療または予防するための薬剤の調製のための、エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの使用に関し、任意でトロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの使用と組み合わせる。
【0070】
さらに別の局面において、本発明は、巨核球前駆細胞および任意でさらに血小板を産生できる巨核球への多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化を誘導するためのインビトロ作用物質としてのエリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの使用に関する。
【0071】
有利には、巨核球前駆細胞および任意でさらに血小板を産生できる巨核球への多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の分化を誘導するためのインビトロ作用物質は、トロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストをさらに含む。
【0072】
発明の実施は、他の別の方法が指示されない限り、当業者の常識の範囲内である通常の技術、すなわち、タンパク質化学、分子ウイルス学、微生物学、組換えDNA技術、および薬理学を用いる。そのような技術は、文献中に十分に説明されている。(AUSUBEL et al., Current Protocols in Molecular Biology, Eds., John Wiley & Sons, Inc. New York, 1995; Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1985;およびSAMBROOK et al., Molecular cloning: A laboratory manual 2nd edition_ Cold Spring Harbor Laboratory Press-Cold Spring Harbor, NY, USA, 1989を参照)。
【0073】
特に定義されていない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する分野の当業者により通常理解されている意味と同じ意味を有する。
【0074】
発明の具体例として提供される以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。発明の好ましい態様をより十分に例示する目的で、以下の実施例を提示する。しかしながら、広範におよぶ発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0075】
実施例
1)EPO変異体の設計
成熟エリスロポエチンは、3つのオリゴ糖鎖を伴う166アミノ酸残基からなる。タンパク質自体は18 KDaの質量を有するが、ヒト糖化タンパク質は30 KDaの質量を有する。この成熟エリスロポエチンは、赤血球分化および循環赤血球量の生理的レベルの維持に関与する4ヘリックスサイトカインドメインである1つの主要ドメインEPO(26-192)およびペプチド-シグナルドメイン(1-26)から構成されるEPO前駆体より得られる。
【0076】
本発明者らは、WELLINGら(FEBS, vol.188 (2), page 215 - 218, 1985)により記載された抗原性予測を用いて、ラットEPO前駆体の免疫原性の解析を行った。免疫原性解析から、抗原性が高い110から185の間の広い領域、とても低い抗原価を示す45から65の間の領域、およびこれらの抗体価の間の2つの領域を有する、いくつかの免疫原性の選択肢を伴う平均的な免疫原性タンパク質であることが明らかになった。
【0077】
内在性EPOを標的とする交差反応性抗体反応を生じることができる新たな抗原性領域を作るために修飾を導入して、エリスロポエチン誘導体を作製した。この誘導体とラットEPOの免疫原性プロファイルの比較から、いくつかの領域における強力な免疫原性の増加が判明した。
【0078】
次に本発明者らは、設計したエリスロポエチン誘導体をコードするアデノウイルス(Ad-EPOMut)を構築した。
【0079】
2)組換えE1-E3欠失アデノウイルスベクターの構築
EPOmut、EPOmut1をコードするヌクレオチドの断片を、相同EPO配列がCAGプロモーター(すなわち、ニワトリベータ-アクチンプロモーターおよびサイトメガロウイルス最初期エンハンサーの組み合わせ)ならびにSV40ポリアデニル化シグナルの制御下にあるアデノウイルスシャトルベクターCAG pShuttle(ADDGENE)中にクローン化し、CAG pShuttle.EPOhomプラスミドまたはCAG pShuttle.EPOhom1プラスミドを得た。
【0080】
次に組換えアデノウイルスAd-EPOMut、Ad-EPOMut1の作製のために、CAG pShuttle.EPOhomプラスミドまたはCAG pShuttle.EPOhom1プラスミドをPme I(BIOLABS)で消化し、pAdEasy-1アデノウイルス主鎖(backbone)プラスミド(STRATAGENE)による相同組換えを大腸菌中で行った。pAdEasy-1とpShuttle.RSVまたはpShuttle.CAGとの間の組換えにより生じたAd.RSV.nullまたはAd.CAGnullを対照として用いた。
【0081】
3)変異体EPOによるワクチン接種後のラットにおける内在性EPOタンパク質の機能的不活性化の誘導
8週齢の雌性OFAラット(Sprague Dawley)20匹を、Charles River、Franceから入手し、CERFE動物施設(Genopole, Evry, France)に収容した。全ての試験を当局の倫理方針および科学方針に従って行った。
【0082】
ダウングレーディング(downgrading)が確認される(動物血液中に感染粒子が存在しない)まで、全ての動物を閉鎖された室内に配置されている陰圧隔離飼育器内で飼育し、次に手順の開始前に10日間順化させた。
【0083】
ラットをこの試験のために個別に標識し、アデノウイルス粒子存在下での全ての操作をフランスのGMO規制に従って閉鎖された室内で行った。
【0084】
10週齢の動物を以下の3群に細分した:PBS、AdNull(導入遺伝子をコードする配列を持たない対照組換えアデノウイルス)、およびAd-EPOMut処置群(EPO誘導体をコードする組換えアデノウイルス)。
【0085】
イソフルランで麻酔した動物に、18Gゲージ針を用いて1.109個のAd-EPOMutの感染粒子を含む100μlのPBS(Gibco, Invitrogen)、AdNullを含む100μlのPBS、またはPBS単独を皮下注入した。
【0086】
動物を週毎に観察し、続いて月毎に血液細胞の数値化を行った。血液試料をパスツールピペットを用いる後眼窩洞の穿刺により得た。月に1回、1匹のラット当たり1 mlの血液を収集した。
【0087】
末梢血の血液学的測定のために、集めた血液1 mlのうち300μlを、血液学的測定用の3μlのEDTA 0.5M(Gibco)を含む1.5 mlポリプロピレンチューブ中に直ちに滴下した。測定を、血液穿刺後30分から4時間の間にMS9動物血液カウンター(MELET SCHLOESING)を用いて行った。
【0088】
残りの血液を、1.5 mlポリプロピレンチューブ内21℃で穿刺後30分から1時間の間に12分間2000 rpmで遠心した。血清をp200チップで慎重に収集し、1.5mlプロピレンチューブ中にストックし、直ちに-20℃で保存した。白血球(WBC)および赤血球(RBC)の数、ヘマトクリット(HCT)の値ならびに血小板(PLT)の数を各血液サンプルについて決定した。表1に示す結果は、応答性のラットにおける、赤血球の急速な減少を伴うラット中の完全なEPOタンパク質の中和を実証する。PBSまたはAdNullを注入した動物は正常な血液学的数を有した。3匹のうち2匹のEPO-KOラットは血小板数の減少も有した。これらの結果は、図2に示す巨核球前駆体の激減と相関する。
【0089】
(表1)Ad-EPOMut、AdNull、またはPBSで3ヶ月間処置したラットの血液細胞の数値化

【0090】
4)内在性EPOに対する液性応答の存在
96ウェルプレート(NUNC MAXISORB)を、コーティングバッファー(0.1M炭酸塩/重炭酸塩バッファー、pH 9.6)で10μg/mlに希釈した50μlの組換えラットEPO(SIGMA-ALDRICH)で一晩4℃でコーティングした。
【0091】
プレートを、ウェル当たり300μlの0.05%Tween(登録商標)20(SIGMA-ALDRICH)を含むPBSで3回洗浄し、次に3%BSA(SIGMA-ALDRICH)を含むPBSで90分間室温で飽和させた。
【0092】
ウェルの内容物をはじき飛ばし、そして3回洗浄後、KO EPOラット(Ad-EPOMut処置ラット)および陰性対照ラット(AdNull処置ラット)由来の血清の段階希釈液を100μl添加し、1時間室温でおよび1時間37℃でインキュベートした。血清をPBS/1.5%BSAで1/50から1/800まで希釈した。
【0093】
ウェルを4回洗浄し、PBS/BSA1.5%で1/10000に希釈した100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ラットヤギIgGおよびIgM(JACKSON IMMUNORESEARCH LABORATORIES)とともに1時間室温でインキュベーションした。5回洗浄の後、100μlのTMB(BD BIOSCIENCE)を各ウェルに20分間暗中で添加し、反応を50μlのHCl 1Mを用いて停止した。吸光度を反応停止後30分、570 nmでの参照ブランクに対して450 nmで測定した(μQUANT spectrophotometer, BIO-TEK INSTRUMENTS)。
【0094】
結果アッセイは、内在性ラットEPOに対して反応する抗体を含むAd-EPOMut由来の血清とは対照的に、AdNull由来の血清が内在性ラットEPOに対して反応する抗体を含んでいないことを示している。
【0095】
最終的には、特異的ELISAにより得られた本発明者らの結果はさらに、観察される前駆体巨核球細胞の減少がEPOと特異的に関係することを明らかにし、内在性ラットEPOに対して反応する抗体が内在性TPOと交差反応しないということを示している。
【0096】
5)ラット血清中のエリスロポエチン用量
KO-EPOラット血清中のEPO(エリスロポエチン)レベル定量化を、製造者の説明書にしたがって「Quantikineマウス/ラットEPOイムノアッセイ」(R&D system, ref. MEP00)を用いて、ELISAにより行った。マウス/ラットEPOに特異的なモノクローナル抗体でコーティングされたポリスチレンマイクロタイタープレートを、標準、陽性対照、および試料とともに2時間室温で200 rpmにセットされた水平軌道マイクロプレート振とう機でインキュベートした。5回洗浄した後、マウス/ラットEPOに特異的なHRP結合モノクローナル抗体をウェルに2時間添加する。洗浄に続いて、基質溶液をウェルに30分間添加し、酵素反応を停止液で停止した。光学濃度を450 nmで評価し、波長を補正するために測定を570 nmで行った。次に血清EPOレベルを、検量線を用いてOD値を比較することにより決定した。
【0097】
結果を表2に示す。
【0098】
(表2)KO-EPOラット血清中のEPOサイトカイン検出。450 nmでのELISAおよび検量線によるEPO濃度の決定により得た値(ng/ml)

【0099】
通常、血清EPOレベルの指数関数的増加は、ヘマトクリットが減少し、低酸素症が増大するので、非常に重要である。結果は、種の分化の完全な中和および血液細胞の欠如による低酸素症にかかわらず、PBSラットまたはAdNullラットのみならず、KO-EPOラットについても検出可能なEPOレベルが観察されず、表2に示すようにほとんどの値が0.05 ng/mlの最小検出用量より少なかったことを示す。
【0100】
一方、一過性かつ穏やかに中和された表現型を示す、Ad-EPOMut群の他の2匹のラット(no16および17、表1)は、それぞれ0.515 ng/mlおよび0.719 ng/mlのEPO濃度を意味する0.801および1.139の450 nmでのODを示している。
【0101】
血清中の抗ラットEPO抗体の存在のために、ヘマトクリット、低酸素、およびEPOレベル間の関係が複雑になっている可能性がある。
【0102】
最終的には、血清中の抗ラットEPO抗体が機能的に活性であり、内在性EPOおよびその機能性の遮断をもたらすという結果が確かめられている。このような貧血がKO-EPOラットでEPOの産生を誘導する場合でも、中和抗体はこのEPOがEPO受容体と相互作用する前に直ちにこのEPOを遮断する。さらに、EPOが赤血球産生と同じように血小板産生に関わっており、この関わりは独立しているようであるという結果が確かめられている。
【0103】
6)Ad-EPOMut注入の巨核球前駆細胞に対する影響
CFU-GM(顆粒球/巨核球前駆体)、CFU-MK(巨核球前駆体)、およびCFU-E(赤血球前駆体)由来のコロニーの数を、注入後2ヶ月の3匹の貧血ラット(no13、14、15)および2匹の陰性対照ラット(no7および11)で解析した。
【0104】
結果は、3匹のAdCAG-EPOMut処置ラットが対照動物と比べて有意に大規模な赤血球前駆体の減少(p=0.02)を有することを示す(図2)。驚くべきことに、結果はさらに、AdCAG-EPOMut処置ラットが対照動物と比較して類似の有意な巨核球前駆体の減少(p=0.0005)を有することを示す(図2)。
【0105】
一方、CFU-GMに由来するコロニーの数は、両群で同等であり、CFU-GMの有意でない減少の低下(p=0.3)を伴った(図2)。
【0106】
最終的に結果は、多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の赤血球前駆細胞への分化に対するEPOの重要な役割を確認し、さらに多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の巨核球前駆細胞(CFU-MK)への独立的な分化にEPOが重要であることも初めて同定する。
【0107】
7)巨核球前駆体形成におけるエリスロポエチンの関わり
Ad-NullおよびAd-EPOMutを注入したラットの骨髄由来の5.105細胞/mlを、グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン、アルファ-チオグリセロール(2 mM/ml、100 U/ml、100μg/ml、76μM)、1.5%炭酸(carbonated)BSA(500μlの炭酸ナトリウムで調製した20 ml BSA)、5%SVF、10μl/mlのインスリン-トランスフェリン-セレン(INVITROGEN)、20μl/mlリポソーム、および10 ng/ml hTPO(ABCYS)が追加されたIMDM培地(GIBCO, INVITROGEN)を1ウェル当たり1 mlと共に12ウェルプレート中で培養した。次いで細胞を9日間37℃、5%CO2、95%湿度でインキュベートした。
【0108】
次に細胞を顕微鏡により観察し、分化状態を確かめ、計数した。Ad-NullおよびAd-EPOMutを注入したラットの培養9日後の巨核球系細胞の数を表3に要約する。
【0109】
(表3)

【0110】
結果は、KOラット(Ad-EPOMut注入ラット)が、Ad-Null処置ラット(表3参照)の3分の1の巨核球系細胞を示し、巨核球形成におけるEPOの関わりが確認された。
【0111】
得られた巨核球系細胞の顕微鏡解析は、Ad-Null注入ラット由来の巨核球系細胞が成熟巨核球へ分化し、その一部が前血小板を形成する巨核球へと分化することを示す。驚くべきことに、培養培地中のトロンボポエチンの存在にもかかわらず、Ad-EPOMut注入ラット由来の巨核球系細胞は分化しないか、または完全には分化せず、大部分の細胞が巨核球系前駆細胞であり、一部は未成熟な巨核球であった。
【0112】
最終的にこれらの結果から、前に同定した(4および5を参照)TPOに関連する巨核球形成におけるEPOの重要な役割が確認され、EPOが全ての分化段階、CFU-GEMMからCFU-MKへ、さらにはCFU-MKから巨核球へ、最終的には血小板産生への分化に重要であることが立証された。
【0113】
8)低用量のエリスロポエチンで巨核球前駆体形成には十分である
本発明者らは、エリスロポエチン受容体(EPOR)の発現が、巨核球形成分化マーカーに相当する巨核球倍数性に応じて増加することを立証している。
【0114】
巨核球の形成におけるEPORの機能性を同定する目的で、ボランティアから得たヒト骨髄CD34+細胞を用いてインビトロ実験を開始している。
【0115】
本発明者らは、EPOまたはTPOによる細胞の刺激後(刺激後10分、30分、1時間、および2時間)のEPOおよびTPOシグナル経路に関与するSTAT5のリン酸化プロファイルを立証した。
【0116】
結果は、EPO刺激がTPOにより得られるものより弱くても、EPOによる刺激後、リン酸化STAT5の出現を伴うSTAT5の明らかな活性化(図3のウエスタンブロットを参照)を立証した。
【0117】
したがって、これらの結果は、EPO刺激後のSTAT5の活性化による巨核球系細胞におけるEPORの機能的活性化を確かめた。
【0118】
血小板生成におけるEPORの潜在的な役割をよりよく同定する目的で、骨髄細胞を既に記載されたようにTPOと共に9日間培養し、次いで液体培地をTPOを取り除くよう交換し、異なるサイトカイン条件について培養14日目まで試している(すなわち、EPO(1 U/mL)、EPO(10 U/mL)、EPO(1 U/mL)およびTPO(10 ng/ml)、TPO(10 ng/mL)、SCF(25 ng/mL)、IL-3(100 U/mL)、ならびに対照(Mock))。最終的に、血小板新生の成熟に関与する巨核球のパーセンテージを、異なるサイトカイン条件について培養のJ14で評価した。
【0119】
結果は、EPO単独(EPO 1 U/mlおよびEPO 10 U/ml)が培養中の巨核球のパーセンテージについてTPOと同様の刺激の役割を有していることを示す(図4)。さらに、これらEPO濃度は、赤血球分化に必要とされる濃度(30 U/mlから50 U/mlの間)より少ない。EPOおよびTPOの組み合わせが前記刺激に対して累積効果を有さないことから、EPOおよびTPOは同じシグナル経路により巨核球形成に関係する可能性がある。
【0120】
最終的にこれらの結果は、Ad-EPOMut注入ラットを用いて得られた結果を確認し、血小板生成におけるEPOの関わり、より正確には巨核球形成におけるEPOの関わりを立証する。
【0121】
9)マウスにおける内在性EPOタンパク質の機能的不活性化
9.1 変異EPOによるワクチン接種後のマウスにおける内在性EPOタンパク質の機能的不活性化の誘導
一般化する目的で、他の種への変異EPOによるワクチン接種後の内在性EPOタンパク質の機能的不活性化の誘導について、実験をマウス系統に対して行った。
【0122】
29匹のC57BL6/J TPO-/-マウス、12〜14週齢をDr. Michele Souyri(Hospital Paul Brousse - Paris, France)より入手した。全ての実験を当局の倫理方針および科学方針にしたがって行った。
【0123】
ダウングレーディングが確認される(動物の血液中に感染粒子が存在しない)まで、全ての動物を閉鎖された室内に配置されている陰圧隔離飼育器内で飼育し、次に手順の開始前に10日間順化させた。
【0124】
この試験のためにマウスを個別に標識した。
【0125】
アデノウイルス粒子存在下での全ての操作を、フランスのGMO規制に従い閉鎖された室内で行った。
【0126】
遺伝的に修飾された動物および野生型の動物を2群に細分した:Ad-Null(E1およびE3が欠失されているが導入遺伝子配列を含まない組換えアデノウイルス)条件およびAd-EPOmix条件。
【0127】
混合(mix)は、1:1の比率のAd-EPOmut1およびAd-EPOmutからなり、C57BL6/JマウスまたはC57BL6/J TPO-/-に注入される。対照として、マウスに同じ用量のAd-Nullを注入した。
【0128】
イソフルランで麻酔した動物に25Gゲージ針を用いて、Ad-EPOMixもしくはAd-Nullの2.108または5.108の感染粒子を含む100μlのPBS(Gibco, Invitrogen)を注入した。
【0129】
注入は、0日目(t=0)に初回抗原刺激注入として皮下経路により、1.2ヶ月目に追加免疫注入として同じ用量を用いて筋肉内経路により行った。
【0130】
動物を毎週臨床的に観察し、続いて月に1回または2回血液細胞の数値化を行った。血液試料はパスツールピペットを用いて後眼窩洞の穿刺により得た。
【0131】
末梢血血液学的測定のために、50μlの収集した血液を、血液学的測定用の1μlのEDTA 0.5M (Gibco)を含む1.5 mlポリプロピレンチューブ中に直ちに滴下した。穿刺後30分から4時間の間にMS9動物血液カウンター(MELET SCHLOESING)を用いて測定を行った。
【0132】
残りの血液(l00μl)を1.5 mlポリプロピレンチューブ内21℃で穿刺後30分から1時間の間で遠心した。次に血清収集のために、血液を12分間2000 rpmで遠心し、血清をp200チップで慎重に回収し、1.5 mlプロピレンチューブ中にストックし、-20℃で直ちに保存した。
【0133】
白血球(WBC)および赤血球(RBC)の数、ヘマトクリット値(HCT)、ならびに血小板(PLA)の数を各血液試料について決定している。結果を表4に示す。
【0134】
(表4)Ad-NullまたはAd-EPOmixで処置したTPO-/-c587Bl6/jの1ヶ月後の血液の数値化

【0135】
表4で得られる結果によれば、C57BL6/J TPO-/-マウスの血小板の正常な値は、191.33(±10.78).103血小板/mm3である。本発明者らは、300.103血小板/mm3より高い値を増加値と見なした。
【0136】
この系統を用いて3ヶ月間に得られた結果でAd-EPOmixによるワクチン接種後にEPO-KO表現型の発生が確認された。
【0137】
Ad-EPOMixを注入されたC57Bl6/J TPO-/-マウス(TPO-/-)は、最初の1ヶ月の間にヘマトクリット(HCT)の一過性の上昇を示した。この高いヘマトクリットの上昇に続いて、続く月において深刻な貧血が生じた。白血球数は、両方の処置群で正常のままである。
【0138】
初回抗原刺激注入後の最初の1ヶ月、HCTは、何匹かのマウスでは初期減少を、他のマウスでは増加または正常なHCT値を示すという結果を伴って変化する(表4参照)。2匹のマウスが、13.4%および28.3%HCTレベルを伴う初期貧血を示した。
【0139】
表4に見られるように、Ad-Null注入は血小板変動に対し何ら影響を及ぼさない。Ad-EPOmix群では、21匹中17匹(80.95%)が300.103 PLA/mm3より高い血小板レベルを示し、21匹中9匹(42.85%)が400.103 PLA/mm3より多い(平均463.33.103 PLA/mm3)血小板を有し、3匹のマウスが500.103 PLA/mm3より高い血小板値を示した。この群は、Ad-Null処置群と比較して2.4倍増加していた。
【0140】
表5は、1ヶ月後に正常なヘマトクリットを有するマウスから得られた結果を示す。同じHCTを示すAd-Null処置群とAd-EPOmix処置群とを比較すると、Ad-EPOmixで処置したC57Bl6/J TPO-/-マウスでは11匹中9匹(81.8%)が300.108/mm3より多い血小板値を有することが観察された。
【0141】
(表5)注入後最初の1ヶ月以内のAd-EPOmixまたはAd-Nullで処置したTPO-/-マウスにおける血液の数値化。この表中の選択したマウスは正常なHCTを有した。

【0142】
表5に見ることができるように、血小板レベルは、HCTが最初の1ヶ月に増加しなかった場合でも、Ad-EPO送達後に有意に増加した。
【0143】
この結果は、抗EPO抗体の産生の直前、注入後最初の1ヶ月の間に血中に組換えエリスロポエチンが存在することにより説明され得る。最初の1ヶ月間組換えEPOは、変異型をコードする組換えアデノウイルスの注入に続いて産生されるが、マウスではまだ機能を有する。この送達されたEPOは、巨核球形成を活性化し、血小板分化を誘導するには十分である。CFU-MK上のEPO受容体への組換えエリスロポエチンの結合は、血小板の産生を誘導した。この結果で、本発明者らのインビトロでの観察が確認された。
【0144】
赤血球産生は、血小板産生(表5中の血小板値)ではなくHCT値で見られるように特別には優先されていなかった。さらに、表4では、HCTが高いレベルであり続ける場合、血小板は有意に高いレベルのままであることが観察できる。高いレベルのEPO産生が維持されると、わずかであるが有意な血小板増加が観察される。
【0145】
10%を下回るヘマトクリット値を伴う全てのTPO-/-マウスが、基本の(basal)血小板値(正常な血小板範囲をAd-Null注入TPO-/-マウスで計算した191.33(±10.78).103 PLA/mm3)より低い血小板レベルを提示することが、表6に示されている。この場合、9匹中8匹のマウスで30%から50%の間で血小板レベルが減少し、そのうち9匹中5匹では基本の血小板値の約50%であった。
【0146】
(表6)2ヶ月目(2ヶ月目から3ヶ月目を測定)から10%より少ないHCTを有するTPO-/-マウスの血液の数値化
血小板低下は、表6で得られる血小板をAd-Null処置TPO-/-マウスと比較して有意(p=0.0006 t検定)である。

【0147】
加えて、表7に示すように、血小板レベルが100.103 PLA/mm3を下回った場合、全てのマウスが、非常に低いヘマトクリットレベル、または急速なEPO中和表現型(1.9分の1から3.7分の1の範囲で血小板レベルが減少)を有した。11匹中6匹のマウスが10%HCTを下回り、2匹が10%〜20%の間で、3匹が20%〜30%の間である。この結果は、C57BL6/J TPO-/-マウスにおけるEPO残存レベルと残留血小板との間の直接的な相関関係を確認する。
【0148】
(表7)100.103PLA/mm3より低い血小板レベルを伴う(2ヶ月目から3ヶ月目まで測定)TPO-/-マウスの血液の数値化、t検定p<0.0001

【0149】
9.2 造血性前駆細胞アッセイ
分化因子としてEPOを用いるCFU-MKの分化および増殖の違いを観察するために、Ad-EPOmixまたはAd-Nullで処置していない異なる成体マウス系統(CD1、Balbc/J、C57Bl6/J)由来の骨髄前駆細胞を培養した。
【0150】
脛骨および大腿骨由来の骨髄を、23G針を有するシリンジを用いてDMEM完全培地(FCS10%、ペニシリン/ストレプトマイシン1%、グルタミン1%)中に収集した。赤血球を塩化アンモニウムを用いて溶解し、前駆体細胞を計数した。
【0151】
500μlのこれらの前駆細胞を、105細胞/mlの最終濃度となるように、2 mlのメチルセルロースを基礎とする培地(Methocult培地、Methycellulsose Stemcell #3234 80ml、製造者のプロトコールに記載された通りに調製および保存)に添加した。メチセルロース(Methycellulose)は、サイトカインのカクテル:最終濃度でmIL3 10 ng/ml (Abcys) mIL6 10 ng/ml (Abcys) mSCF 50 ng/ml (Abcys) hTPO 10 ng/ml (Abcys) rhEPO 3 U/ml (EPREX)で補完された。
【0152】
細胞調製物で補完されたこの培地を、ペトリ皿35 mm(GREINER BIO-ONE 627102)当たり1 ml分配した。細胞を、37℃、5%CO2、および95%湿度で6〜8日間培養した。EPOの巨核球形成に対する影響を試験する目的で、50 ng/mlのマウス組換えEPOおよびマウス組換えSCFを添加した。
【0153】
表7および表8で得られる異なる条件に見られるように、BFU-E数は増加するが(C57Bl6/Jで3倍増加)、CFU-MK、特にC57Bl6/J系統では、EPO添加なしで3.5コロニーを数え、EPOを添加した場合は8コロニーを数えた。
【0154】
(表8)Methocult培地中の前駆体数の決定。条件は二つ組で行った。値は2つの同一培養間の平均である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板新生を誘導するための方法であって、a)エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を、多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に投与する段階を含む、方法。
【請求項2】
多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の巨核球前駆細胞への分化を誘導するための方法であって、a)エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を多系列骨髄系前駆細胞に投与する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
誘導体またはアゴニストが、少なくとも1つのエリスロポエチンの受容体を占めることができ、血小板新生、特に多系列骨髄系前駆細胞(CFU-GEMM)の巨核球前駆細胞への分化に対してエリスロポエチンと同じ効果を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
誘導体またはアゴニストの機能が、EPO受容体との相互作用により媒介される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
巨核球前駆細胞の巨核球への分化をさらに誘導する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
巨核球細胞からの血小板の産生を誘導する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
b)多系列骨髄系前駆細胞、巨核球前駆体、および巨核球からなる群より選択される細胞型に、トロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を投与する段階をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
段階b)が、多系列骨髄系前駆細胞に、トロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストの有効量を投与する段階で構成される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
投与段階b)が、投与段階a)の前に、同時に、または後に行われうる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
インビトロの方法である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
対象における血小板減少症を治療または予防するための方法である、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
対象が、脊椎動物、好ましくは哺乳動物である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
対象がヒトである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
血小板減少症が、ビタミンB12または葉酸欠乏症、白血病または骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、硬変、種々の癌、肝不全、HIVなどのウイルス感染、および抗癌剤、キニーネ、またはアブシキシマブのような薬剤による薬剤誘発性の血小板減少症を含む群より選択される疾患である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
血小板減少症が二系統血球減少症である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
血小板減少症が一系統血小板減少症である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
EPO、その誘導体またはアゴニストの有効量が、1ヶ月当たり2,000ユニットから20,000ユニットの間で構成される、請求項11記載の方法。
【請求項18】
EPO、その誘導体またはアゴニストの有効量が、1ヶ月当たり4,000ユニットから10,000ユニットの間で構成される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
EPO、その誘導体またはアゴニストが、静脈内注入、膣内注入、直腸内注入、筋肉内注入、皮下、皮内注入、経口、および経鼻送達からなる群より選択される技術を介して投与される、請求項11記載の方法。
【請求項20】
エリスロポエチン、その誘導体またはアゴニスト、および最終的にはトロンボポエチン、その誘導体またはアゴニストが、短期送達または長期送達用に製剤化される、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−516745(P2010−516745A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546771(P2009−546771)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050902
【国際公開番号】WO2008/090224
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509209373)
【Fターム(参考)】