説明

血小板機能アッセイに使用するアラキドン酸の安定化方法および装置

【課題】室温で保存し得る単回使用アラキドン酸系アッセイ装置による、アスピリン使用による全血中の血小板抑制レベルを迅速に測定する方法および装置を提供する。
【解決手段】血小板を最大に活性化させるに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬を使用する。同じ凍結乾燥アッセイ試薬中の酸化防止剤は、アラキドン酸の酸化速度を低下させるが、血小板機能を干渉しない。単回使用アッセイ装置パッケージ内の酸素吸収剤は、パッケージを密閉した後、不活性雰囲気を短時間で発生させる。該アッセイ装置は、複数のチャンネルおよび該複数のチャンネルの各々のチャンネルと連結した共通の血液サンプル導入ポートを有するハウジングを有する。また、該アッセイ装置は、血小板を最大に活性化させるに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラキドン酸(AA)の安定化方法および装置、より詳細には、単回使用血小板機能アッセイにおけるAAの安定化方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類生理機能における血小板の役割は極めて多様であるが、血小板の基本的役割は、ホメオスタシスを促進することにある。多くの状況において、血液が凝固する能力、即ち、血小板が粘着および/または凝集する能力によって頻繁に制御されるパラメーターを評価することが望まれる。従って、興味あるのは、血小板の粘着機能の評価である。例えば、興味ある問題としては、血栓形成を阻止するまたは促進する薬物を投与するかどうか、或いは血小板機能の欠如を外科手術の前に検出するかどうかがある。また、新たな薬物として試験すること或いは患者の承認臨床治療として使用されている血小板インヒビターの有効性を評価することも興味がある。
血小板凝集は、血栓症および急性冠動脈疾患の病因において重要な役割を果たす。証拠により、有意の血小板機能変動要因が各種の抗血小板薬に応答して存在することが示唆されている。とりわけ、アスピリンは、急性冠症候群(ACS)患者におけるその抗血小板効果故に広く使用される。ACSにおけるアスピリンの臨床上の利点は、一部には、血小板凝集を生じることが知られるトロンボキサンA2 (TXA2)を、シクロ-オキシゲナーゼ1 (COX-1)酵素の不可逆的アセチル化によって抑制するその能力に基づく。
【0003】
血小板凝集は、血小板が互いに結合することを説明するのに使用する用語である。生体外血小板凝集測定法は、凝集物を形成して原発性止血血栓(hemostatic plug)をもたらす血小板の生体内能力を評価するのに使用する実験室方法である。この方法においては、抗凝固処理全血サンプルを複数条件下に遠心分離して、多血小板血漿(PRP)および乏血小板血漿(PPP)サンプルの双方を生じさせる。その後、凝集剤をPRPに添加し、血小板の凝集を光学的にモニターすると共に、これと並行して、別の光学的測定を、PPPサンプルを使用して行う。その後、凝集パーセントを、PPPチャンネルを100%凝集参照値として使用してPRPチャンネルと比較することによって決定する。
実験室使用のための血小板凝集測定装置の製造業者であるHelena Laboratories (テキサス州ボーモント)は、試験の目的に応じた適切な凝集剤を示唆する指導文書を提供している。血小板機能に対するアスピリンの効果の評価について、Helena Laboratoriesは、“アラキドン酸血小板凝集アッセイは、現在、卒中および心臓発作を防止するのに広く使用されるアスピリン療法の効果をモニターする唯一の実践的方法である”と説明している。Helena Laboratories, Evaluation of Platelet Function Wall Chart 586-25。アラキドン酸は、ヒト血小板の顆粒および膜中に存在する脂肪酸である。Marcus AJ: Platelet lipids;Coleman RW, Hirsh J, Marder VJ, Salzman EW: Hemostasis and thrombosis: Basic principles and clinical practice, pg 472. JB Lippencott Company, Philadelphia 1982における。アラキドン酸は、リン脂質から遊離し、酵素のシクロオキシゲナーゼ1(COX-1)の存在下に、酸素を取込んでエンドペルオキシドプロスタグランジンG2 (PGG2)を形成する。その後、PGG2は、プロスタグラジンH2 (PGH2)に急速に形質転換し、引き続き、血小板凝集の強力な誘発因子であるトロンボキサンA2に転換する。アスピリンまたはアスピリン含有化合物の服用は、COX-1介在酸素消費を抑制し、それによって血小板凝集に至るその後の全ての事象を排除する(Bye A, Lewis Y, O'Grady J: Effect of a single oral dose of aspirin on the platelet aggregation response to arachidonic acid. Br J Clin Pharmac 7:283, 1979)。
【0004】
アラキドン酸の正常な多血小板血漿への生体外添加は、酸素消費の激増、トロンボキサン形成および血小板凝集をもたらす。Moncada S, Vane JR: Arachidonic acid metabolites and the interactions between platelets and blood vessel walls. N Eng J Med 300:1142, 1979。しかしながら、アスピリンまたはアスピリン含有化合物の存在下では、これらの反応は発生しない。Ingerman CM, Smith JB, Shipiro S, Sedar A, Silver A, Silver MJ: Hereditarv abnormality of platelet aggregation attributable to nucleotide storage pool deficiency. Blood 52:332, 1978。
臨床領域におけるアラキドン酸の使用による課題は、該化合物の比較的不安定な性質である。酸素に晒されると、アラキドン酸は、自己酸化と称するプロセスを受ける。自己酸化は、一般に、周囲温度において大気酸素と有機化合物との間で通常生じる化学反応として定義される。自己酸化現象の一般的な例としては、果実の褐変、金属の錆付きおよびゴム製品の変性がある。自己酸化は、アラキドン酸を黄変させ急速に劣化させる。典型的な実験室使用においては、アラキドン酸を、-20℃で密閉不活性アンプル内に保存し、一旦解凍すると、24時間以内で使用することが推奨されている。Sigma-Aldrich Data Sheets A9673およびA8798。また、数社の製造業者は、アラキドン酸の塩系種を凍結乾燥させているが、この場合も、該物質を、密閉不活性アンプル内で-20℃で保存し、開封後、直ちに使用しなければならない。臨床領域においては、多くの場合、特定の試験を行う必要性のちょっとした事前通告を要し、解凍する物質量を管理する必要性およびその後のタイムリーな上記物質の使用は、共に面倒で且つ時間消費性である。
【0005】
アラキドン酸の、とりわけその血小板アクチベーターとしての使用に関連しての自己酸化のもう1つの局面は、アラキドン酸の生体外自己酸化が、必ずしも、生体内酸化におけると同じ副生成物を生成せず、ある場合には、TXA2を擬態する安定な副生成物を生成させ得ることである。この形で分解しているアラキドン酸をアスピリンの効果を評価するアッセイにおいて使用することは、アスピリンが血小板凝集に対して効果を有さないと誤って示すことになるであろう。
自己酸化現象は、酸素または他の酸化性物質の完全排除することによって阻止することができるが、この方法は、一般的に実用的ではない。代りに、より典型的に行う方法は、反応速度を低下させる或いは誘導期間を延長させるインヒビター類を使用することである。しかしながら、自己酸化を完全に阻止することはあり得ない。自己酸化を抑制し得る物質は、インヒビターまたは酸化防止剤と称する。予防的インヒビターは、自己酸化速度を、初期反応の速度を抑制することによって低下させる。真の意味での酸化防止剤は、伝播段階を抑制することのできる物質である;即ち、酸化防止剤は、その電子を放出した後も依然として安定な構造にあるので、自己酸化連鎖反応を妨害する。酸化防止剤は、食品保存において一般的に使用されて、食品を悪臭発生、褐変または黒色斑の発生から守っている。また、酸化防止剤は、数種の必須アミノ酸に対する劣化および数種のビタミン類の損減を最小限にする。食品において使用する2つの一般的タイプの酸化防止剤は、酸類とフェノール系化合物である。酸の酸化防止剤の例は、アスコルビン酸とクエン酸であり、一方、フェノール系酸化防止剤化合物としては、BHA、BHT、TBHQ、トコフェロール類、レシチン、THBP、ガムおよびグリシンがある。
【0006】
保存および取扱いに伴う困難性故に、現在、アラキドン酸を使用してアスピリンに対する血小板応答を測定する臨床血小板機能分析器はない。代りに、Dade Behring PFA-100RまたはPlateletworksRのような装置は、アデノシン二リン酸(ADP)、コラーゲンおよびエピレフリンのような血小板アクチベーターの組合せを使用している。しかしながら、これらの装置は、それらの活性化作用薬がアスピリンの標的とする経路に対して特異性ではないので、アスピリン阻害血小板機能の検出に対して貧弱な感度および特異性しか示していない。初期のAccumetrics社のVerifyNowTM アスピリンアッセイは、血小板作用薬として、カチオン性没食子酸プロピル(cPG)を使用していた。cPGは、血小板を、リン脂質層からの血小板結合アラキドン酸の放出を起させることによって活性化し、アスピリンの標的とする経路に沿う血小板の感受性のある特異的な活性化をもたらすことが証明されている。Steiskal, et al, Application of Cationic Propyl Gallate as Inducer of Thrombocyte Aggregation For Evaluation of Effectiveness of Antiaggregation Therapy。しかしながら、cPGの制約は、全血対PRPにおいて使用した場合、血小板の活性化が、おそらくはカチオン電荷に対する赤血球の作用に基づき、あまり一貫性がないことである。
迅速血小板機能アッセイは、最近開発され、米国特許第5,763,199号に記載されている。該アッセイ法は、無希釈全血における糖タンパク質(GP)IIb/IIIaレセプター遮断を判定している。フィブリノゲンのようなGPIIb/IIIaリガンドでコーティングした小高分子ビーズの凝集は、該ビーズを、ブロックしていない活性化GPIIb/IIIaレセプターを含む血小板含有全血と接触させるときに生じる。凝集できないことは、GPIIb/IIIaレセプターが活性化されなかったことおよび/またはGPIIb/IIIaレセプターの遮断のいずれかを指標する。好ましい実施態様においては、アラキドン酸のような血小板アクチベーターの添加は、臨床で実施するのに十分に迅速で便利であり、且つ、活性化レセプターをブロックしない場合、好都合な既知の時間内で上記小高分子ビーズの凝集を生じるアッセイをもたらす。該アッセイ法は、試験すべき血液を、収集容器からアッセイ装置へ、収集容器を開封することなく移送する能力を含む。
アスピリン使用に基づく、室温で何ヶ月も保存し得る単回使用アラキドン酸系アッセイ装置による全血中の血小板抑制量の迅速な測定方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、アスピリンの使用に基づく、室温で何か月も保存し得る単回使用アラキドン酸系アッセイ装置による全血中の血小板抑制量の迅速な測定方法および装置を提供することである。
本発明のこれらおよび他の目的は、血小板機能を測定するための単回使用アッセイ装置を製造する方法において達成される。血小板を最大に活性化するに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬を使用する。同じ凍結乾燥アッセイ試薬中の酸化防止剤は、アラキドン酸の酸化速度を低下させるが、血小板機能を干渉しない。上記単回使用アッセイ装置パッケージ内で十分な容量を有する酸素吸収剤は、パッケージを密封した後、不活性雰囲気を短時間で発生させる。
本発明のもう1つの実施態様においては、血小板機能を測定するアッセイ装置は、複数のチャンネルおよびこれら複数のチャンネルの各々のチャンネルに連結した共通の血液サンプル導入ポートを有するハウジングを有する。複数の試薬を含ませる。試薬の各々は、個別のチャンネルに位置させる。上記複数の試薬は、血小板を最大に活性化させるに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬、およびアラキドン酸の酸化速度を低下させ且つ血小板機能を干渉しない同じ凍結乾燥アッセイ試薬内の酸化防止剤を含有する。
本発明のもう1つの実施態様においては、血小板機能を測定するアッセイ装置が提供され、血小板機能を最大に活性化するに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬を含む。同じ凍結乾燥アッセイ試薬中の酸化防止剤は、アラキドン酸の酸化速度を低下させ、血小板機能を干渉しない。アッセイ装置パッケージ内には十分な容量を有する酸素吸収剤を使用する。パッケージは、上記アッセイ装置の短時間内での不活性環境を発生させる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の各実施態様においては、アラキドン酸の組成物を、全血サンプル中の、限定するものではないがアスピリンのようなシクロオキシゲナーゼ-1 (COX-1)拮抗薬による血小板凝集の抑制を測定するに当ってのアクチベーターとして使用する。従って、上記の組成物は、アスピリンによる患者の治療に関連する抗血小板療法の有効性を判定するのに使用し得る。上記組成物は、GPIIb/IIIaレセプターリガンドでコーティングした粒子とCOX-1インヒビターの有効性についてのアッセイを行うのに必要なアスピリンのような任意の他の試薬と一緒に使用し得る。
上記アクチベーター組成物と粒子を含む凍結乾燥試薬組成物を使用し得る。1つの実施態様においては、例えば、全血のような測定すべきサンプルの計量した容量を、上記凍結乾燥試薬と機械的に混合する。光透過率の変化をモニターし、血小板活性の指数を算出する。1つの実施態様においては、全血サンプルを、キュベットまたはユニット化カートリッジ内で、上記凍結乾燥試薬と混合する。装置を使用してアッセイを実施し得る。装置はサンプル受入れ用のウェルを含み得、該ウェルは、上記凍結乾燥試薬およびアッセイを実施するための他の試薬を含有する。さらなる試薬は、各種緩衝剤および/または凍結乾燥安定剤等であり得る。
1つの実施態様においては、サンプルは、アラキドン酸(AA)拮抗薬によって影響を受けている。例えば、サンプルは、アスピリンによる治療を受けている患者に由来し得る。本発明の1つの実施態様においては、サンプルおよび限定するものではないがアスコルビン酸等のような酸化防止剤安定剤を含むAA組成物とからなる混合物をアッセイ媒質中で調製する。AAの最終濃度は、0.5〜10mM、好ましくは0.75〜2mMであり得、アスコルビン酸の最終濃度は、1〜30mM、好ましくは5〜15mMであり得る。
【0009】
特異的血小板凝集、即ち、血小板上のレセプターと粒子上の化合物間の特異的相互作用による血小板凝集をもたらし得る化合物でコーティングした粒子を含む試薬を使用し得る。適切な化合物としては、例えば、限定するものではないが、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体類があり、これらの抗体は、血小板表面上のGPIIb/IIIaレセプターとの複合体に結合するか或いはこれらレセプターと相互作用する小有機分子、ポリペプチド、タンパク質、モノクローナル抗体または核酸であり得る。上記粒子の血小板介在凝集は、血小板表面上のGPIIb/IIIaレセプターが粒子上のGPIIb/IIIaレセプターリガンドとの複合体に結合するか或いはこれらリガンドと相互作用するときに生じる。適切なGPIIb/IIIaリガンドとしては、フィブリノゲン、モノクロナール抗体10E5 (Coller, et al., J. Clin. Invest. 72:325 (1983))、モノクロナール抗体c7E3 (The EPIC Investigators, N. E. Journal of Med., 330:956 (1994))、フォン・ヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、およびアルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有する他のリガンド類またはこの配列を擬態する他のペプチドもしくはペプチド擬態物(Cook, et ai. Drugs of the Future 19:135 (1994))がある。興味ある他の化合物としては、トロンビンインヒビター、低分子量ヘパリン等がある。
上記化合物に結合させる粒子は、少なくとも約0.1μmであり約20μmを越えない。1つの実施態様においては、上記粒子は、約0.1μm〜約10μmである。もう1つの実施態様においては、上記粒子は、少なくとも約1μm、約8μm未満である。上記粒子は、実際上任意の形状であり得るが、一般的には、均一な直径を有する球形である。上記粒子は、任意の密度を、1つの実施態様においては、一般に約0.7〜約1.5g/mlの水に近似する密度を有し得る。上記粒子は、表面上に、正または負のいずれか、好ましくは負の電荷を有していても或いは有していなくても良い。上記粒子は、その表面でそのようなメンバーに直接的または間接的に共有結合または付着するように官能化されているか或いはそのように官能化可能である。
【0010】
上記粒子は、固体(例えば、有機および無機ポリマーまたはラテックスからなる)、油滴(例えば、炭化水素、フルオロカーボン、シリコン液)または小胞(例えば、リン脂質のような合成物、または細胞およびオルガネラのような天然物)であり得る。上記固体粒子は、通常、液体媒質中に容易に分散し得るポリマー類、付加または縮合ポリマーのいずれかである。懸濁可能な粒子の例としては、限定するものではないが、ラテックスのような高分子物質、脂質二分子層、油滴、細胞およびヒドロゲルがある。他の粒子組成物としては、限定するものではないが、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ(酪酸ビニル)のようなポリマー、デキストランおよび変性デキストランのような多糖類等があり、それら自体で或いは他の材料と組合せて使用する。固体粒子は、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、アクリレートおよびメタクリレートの誘導体の、とりわけエステルおよびアミドのホモポリマーおよびコポリマー、シリコーン等であり得る。
上記化合物は、上記粒子上に、多くの場合上記粒子への共有結合によってコーティングさせる。そのような共有結合は、文献において一般的に利用し得る周知の方法によって達成し得る。例えば、“Immobilized Enzymes," Ichiro Chibata, Halsted Press, New York (1978)およびCuatrecasas, J. Biol. Chem., 245:3059 (1970) を参照されたい。要するに、上述したように、上記粒子表面は、多官能性であり得るか或いは多官能化することができる。広範囲の官能基が利用可能であり或いは取込ませ得る。官能基としては、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基等がある。広範囲の化合物を表面に結合させる方法は、周知であり、文献において十分に例示されている(上記参照)。側鎖メンバーの結合は、結合による直接或いは連結基の仲介による間接であり得る。連結基の長さは、側鎖メンバーおよび粒子の性質によって広く変動し得る。
【0011】
化合物分子対粒子の比率は、化合物分子の粒子への結合において調整する。1つの実施態様においては、上記粒子表面上の官能化部位の数を、上記粒子表面上に導入したそのような部位の数を調整することによって調整する。別法として或いは上記と組合せて、化合物分子対粒子の比率は、結合用の反応媒質中の化合物濃度を調整することによって調整する。
本発明において使用する粒子試薬は、粒子上の吸着領域を遮断するに十分な物質量で処理し得る。これらの物質は、上記粒子の機能性に影響を与えない。遮断用物質としては、限定するものではないが、ウシ血清アルブミン、ウシガンマグロビン等のようなタンパク質;デキストラン等のような多糖類がある。上記と組合せて使用し得るもう1つの実施態様においては、粒子を、結合用の官能化部位の数によって粒子表面上の吸着領域を実質的に減じるように使用する。
上記粒子は、粒子に結合させたまたは粒子に取込ませたかのいずれかのラベルを含み得る。ラベルは、検出目的において使用し得る任意の成分であり得る。ラベルは、多くの場合、シグナル発生系のメンバーである。ラベルは、直接的または間接的に検出することができる。ラベルは、同位体または非同位体、通常は非同位体であり得、さらに、染料、蛍光分子、化学発光分子、酵素のような触媒、触媒をコードするポリヌクレオチド、プロモーター、コエンザイム、酵素基質、放射性基、小有機分子、増幅可能なポリヌクレオチド配列等であり得る。
【0012】
本発明の1つの特定の実施態様においては、上記粒子は、赤外線において吸光する1種以上の染料を含有する。そのような染料としては、バクテリオクロリン、バクテリオクロロフィチン、メロポリメチン染料、ベンゾアンヌレン、ビニル質ポルホリン、ポリメチン染料、シアニンおよびメロシアニン等がある。特定の染料としては、銅(II)-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニンおよびバナジル-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニンがある。選択する特定の染料は、便宜性、入手性、安定性、粒子との適合性等を有する染料である。これらの染料は、上記粒子中に、それ自体で、重合または受動吸着により直接取込ませ得る。染料は、個々に(即ち、順次に)または組合せて(即ち、同時に)取込ませ得る。また、染料は、連結成分と一緒に上記ビーズに結合させて、染料が表面から浸出しないようにし得る。使用する取込み方法にかかわりなく、条件は、粒子表面が適切な状況下で凝集する能力に関して影響を受けないことある。
染料は、光を約750nm〜900nmの範囲、とりわけ約750〜850nmの範囲において吸収し得る。高レベルの赤血球を含むサンプルにおいては、光は、酸素ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビンにおける等吸収点である約800nm±10nmにおいてである。上記粒子と一緒に使用する染料の量は、興味ある光範囲における染料の減衰係数、アッセイの必要とする感度、上記粒子の粒度、染料の粒子への結合様式、染料の粒子マトリックスとの適合性等によって変動する。取込ませる染料の量は、約1〜20質量%、より一般的には5〜15質量%であり得る。適切な染料としては、限定するものではないが、フタロシアニン等がある。無金属フタロシアニンは、およそ700nmで吸光する(e=162,000)。金属複合体は吸光を短めまたは長めの波長のいずれかにシフトさせ、殆どの金属が吸光をはるかに短い波長にシフトさせるが、鉛のような数種は、吸光を無金属フタロシアニンよりもはるかに長い波長において吸光する。
遷移金属とフタロシアニン間で形成された複合体(金属フタロシアニンおよび金属ナフタロシアニン)は、光および熱に対して化学的に極めて安定である。これらの複合体は、オプタロジニトリル(opthalodinitriles)の適切な金属の存在下での縮合によって形成される。金属フタロシアニンの形成において使用する銅(Cu)およびバナジウム(V)以外の幾つかの金属は、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)およびコバルト(Co)である。
本発明の1つの特定の実施態様においては、フラットな吸収極大を有するカルボキシル化マイクロ粒子を使用する。これらのマイクロ粒子は、805nmに近い明確な吸収極大を有する複数の染料を取込ませることによって調製する。これによって、780〜820nmの広範囲の波長に亘ってのフラットな最大吸収スペクトルを生じさせる。
【0013】
サンプルは、分析すべき合成または天然の任意の溶液であり得る(サンプルは、COX-1拮抗薬、とりわけアスピリンからの作用に供している)。サンプルなる用語は、宿主由来の体液等のような生物学的組織を包含する。サンプルは、直接試験してもよく或いは予備処理してもよい。本発明は、体液、例えば、全血、血漿のような血小板含有血液画分等のような血小板を含有するサンプルに対する特定の用途を有する。1つの実施態様においては、本発明は、全血サンプルに対する特定の用途を有する。サンプル量は、サンプルの性質に依存する。抗凝固処理全血のような液体サンプルにおいては、サンプル量は、通常約30μl〜5000μl、好ましくは約100〜約300μlである。用語“サンプル”は、患者に直接由来する未処理サンプル、または予備処理され、任意の好都合な液媒、通常は水性媒質(例えば、クエン酸ナトリウム)中で調製されているサンプルを包含する。
好ましくは、本発明に従うアッセイを実施する媒質は、水性媒質である。また、他の極性共溶媒、通常、アルコール類、エーテル類等のような1〜6個、より一般的には1〜4個の炭素原子を有する酸素化有機溶媒も、上記媒質中で使用し得る。通常、そのような共溶媒は、約70質量%未満で、より一般的には約30質量%未満で存在する。さらに、各種の補助物質も、多くの場合、本発明従う方法において使用する。例えば、緩衝剤;さらにまた、アッセイ媒質およびアッセイ成分用の安定剤;界面活性剤、とりわけ非イオン界面活性剤;結合増強剤、例えば、ポリアルキレングリコール等も、通常、アッセイ媒質中に存在する。
媒質のpHは、約2〜約11、好ましくは約4〜約9の範囲内であり得る。各種の緩衝剤を使用して、所望のpHを達成し且つ上記方法中のpHを維持し得る。具体的な緩衝剤としては、HEPES、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、Tris、バルビタール等がある。使用する特定の緩衝剤が上記方法にとって決定的であることはないが、1つの緩衝液が、ある種の状況においては他の緩衝剤よりも好ましくあり得る。ある状況においては、HEPESが好ましく、約0.05M〜約0.001M濃度、一般的には約0.01Mの濃度で存在する。
【0014】
アッセイ媒質の容量は、約25〜約500μl、通常は約75〜約250μlであり得る。上記アッセイは、任意の適切な容器内で実施し得る。好都合には、容器は、上記アッセイを実施しアッセイ結果を判定する機器と一緒に使用されるキュベットまたはカートリッジである。反応容器は、通常、乾燥凍結乾燥剤形の本発明に従う活性化開始剤を、上記粒子試薬等、安定剤等のような他の試薬と一緒に含有する。
【0015】
サンプルおよび粒子試薬の上記組合せ物を、上記粒子を凝集する条件下にインキュベートする。適度の温度を通常使用して、上記方法を実施する。温度は、一定であり得或いは変動し得る。通常、一定温度を反応工程においては使用する。使用する温度は、約10〜約80℃、より一般的には約15〜約45℃であり、好ましくは、温度は、少なくとも25℃、より好ましくは約30〜約40℃の範囲、通常は約37℃であり得る。
上記粒子の凝集度合を判定し、サンプル中の上記メンバーの存在および/または量に関連付けする。凝集の存在は、凝集を指標する粒子の集塊化を観察することによって目視検定し得る。好ましくは、上述したように、上記粒子を着色して、マトリックスの凝集または集塊を可視化するのを助長し得る。凝集度は、分光光度測定法、濁度測定法、比濁法等により、さらに、媒質の光学密度の変化速度を観察すること等により測定し得る。
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてアッセイは、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルに対して実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、フィブリノゲンコーティング粒子、さらに、AA組成物およびアスコルビン酸と混合して、アッセイ媒質を調製する。粒子試薬の粒子は、粒子中に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供する。その後、媒質を赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
凝集媒質は、およそ800nmにおいて高吸収を有するように選定する。凝集媒質吸収係数と全血吸収係数間の比率は、好ましくは、800nmにおいて約4:1よりも高くなければならない。特定のアッセイにおける吸収比は、凝集媒質の吸収係数とアッセイサンプル中の凝集媒質の濃度双方の関数である。
【0016】
サンプルを上記試薬と混合した後、サンプルは、室温よりも高いがアッセイを干渉する温度よりも低い温度に加熱して、確実に、温度をアッセイ結果に悪影響を与えることがないように制御し得る。望ましくは、温度は、少なくとも25℃、好ましくは30〜40℃の範囲内、より好ましくは約37℃であり得る。反応媒質は、通常、上記試薬とサンプルの混合時および反応期間中は穏やかに撹拌する。撹拌により、アッセイサンプル中の均質性を十分に達成し、維持する。ゼロ時間(混合時)からの読取りの総時間は、約10秒〜10分、より一般的には約30秒〜8分、好ましくは約30秒〜3分の範囲であり得る。データは、任意の好都合の手段により、とりわけ、データをカリブレータおよび/または対照に関連して操作し得るアルゴリズムを使用して分析し得る。
凝集量は、試験したサンプルの血小板機能活性の指標である。凝集量は、標準の既知の血小板機能活性と比較し得る。通常、結果を、同時に実施し得或いは前以って実施している或いは標準曲線として提示し得るカリブレータと比較する。
本発明の方法は、1998年10月23日に出願された米国特許出願第09/177,884号(884号出願)において記載されているアッセイのような血小板計数アッセイと一緒に使用し得る:該出願の関連内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0017】
上記アッセイは、好ましくは、本発明に従う反応が生じるのを可能とし且つその結果を判定する装置内で実施し得る。該装置により、活性化血小板がフィブリノゲンと結合する能力に基づく血小板機能を評価し得る。活性化血小板は結合して、フィブリノゲンコーティング粒子を凝集させるので、光線透過率は上昇する。一般に、上記アッセイの結果を測定する装置は、凝集を測定することのできる装置である。好ましくは、該装置は、凝集に基づく光シグナルの変化を測定する。適切な装置としては、例えば、限定するものではないが、動的分光光度計、即ち、Ultegra SystemR装置(カルフォルニア州サンディエゴのAccumetrics社から商業的に入手し得、正常サンプルに関しての迅速血小板機能活性測定に使用される)等がある。
UltegraR System装置は、濁度系光学検知システムであり、血小板誘発凝集を光透過率の上昇として測定する。上記システムは、分析器、単回使用可能なカートリッジおよび制御機器からなる。そのカートリッジは、マイクロ粒子凝集技術に基づく試薬を含有する。その品質管理システムは、電子制御、2つのレベルのアッセイ“湿潤”管理(WQC)、カートリッジ内湿度センサー、パッケージ内温度指示器および2つのアッセイチャンネルの一致のための試験を含む。上記分析器は、アッセイ順序を制御し、アッセイ温度を確立し、所定時間での試薬-サンプル混合を制御し、血小板機能度合を判定し、結果を表示し、自己診断を行う。本発明方法において使用するには、上記装置の試験カートリッジは、共有結合させたGPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む粒子、AAの組成物およびアスコルビン酸を含む凍結乾燥調製物、および緩衝剤を含有する。患者サンプルは、通常、クエン酸処理全血であり、採血チューブからカートリッジへ分析器により自動的に分配され、使用者に求められる血液取扱いはない。相互作用を、上記粒子の赤外線吸光度特性によってモニターする。上記粒子は血小板と相互作用するので、上記粒子の凝集を、UltegraTM分析器の光学システムによって測定する。凝集は、サンプルを通過する赤外線の透過率の上昇として検出する。反応速度を分析し、“アスピリン応答単位”、即ち、ARUへ翻訳する。
【0018】
本発明のもう1つの実施態様においては、包装組合せにおいて、共有結合させたフィブリノゲンを含む粒子、AAの組成物およびアスコルビン酸を含む凍結乾燥調製物、および緩衝剤を含むキットを提供する。上記凍結乾燥調製物は、分析装置において使用するカートリッジのような反応容器内に存在し得る。上記UltegraRSystemにおいては、上記凍結乾燥調製物を、該分析器において使用する4ウェルカートリッジの外側のウェルに入れ得る。また、上記キットは、サンプル採集容器および/または本方法を実施するための装置も含み得る。各試薬の相対的量は、広範囲に変化させて、測定感度を実質的に最適にする試薬の溶液中濃度を得るようにすることができる。
必要に応じて、各試薬は、気密パッケージ内に入れて、いずれの試薬の活性も維持するようにし得る。パッケージは、例えば、湿分に対して実質的に非透過性である材料から形成されたバッグ、小袋等であり得る。 そのような材料としては、例えば、限定するものではないが、プラスチック、アルミニウムホイル等がある。さらにまた、パッケージは、乾燥剤小袋および酸素吸収剤を含んで、乾燥無酸素環境を維持し得る。酸素吸収剤は、MGC社からのPharmakeep KC-20または類似物のようなものであり得る。酸素吸収剤は、1〜50ml、理想的には20〜30mlの範囲の吸収能力を有するべきである。また、血液サンプルのためには、上記キットは、人の皮膚に穿刺するための用品、殺菌剤または滅菌パッド等も含み得る。また、上記キットは、カリブレータおよび標準も含み得る。
【0019】
上記キットは、本発明のアッセイを実施するのに必要な試薬を含み得る。1つの実施態様においては、上記キットは、血液バイアル、評価する血液サンプルのpHおよび塩濃度を血小板GPIIb/IIIaレセプターリガンドでコーティングした固形表面および小高分子ビーズの血小板介在凝集に適する範囲内に維持する緩衝液を含む。緩衝剤は、溶液中に存在し得るか或いは既知量の水を添加して所望の緩衝溶液を得る緩衝用組成物および塩から単になり得る。また、必要に応じて、上記キットは、抗凝血剤も含み得る。1つの実施態様においては、緩衝剤はHEPESであり;上記抗凝血剤はクエン酸塩であり;GPIIb/IIIaレセプターリガンドはフィブリノゲンであり;小高分子ビーズはポリアクリロニトリルまたはカルボキシル化ポリスチレンであり、ビーズ表面には、フィブリノゲンのようなペプチドGPIIb/IIIaレセプターリガンドを、該ペプチドのN末端とビーズ表面上のN-ヒドロキシスクシンイミドまたはカルボン酸基との共有結合によって共有結合させている。さらなる実施態様においては、上記キットは、AAのような血小板アクチベーターをさらに含む。
本発明の1つの実施態様においては、3ヶ月以上室温で保存することのできるAAを含有する単回使用アッセイ試薬を提供する。
【実施例】
【0020】
実施例1
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。上記粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供する。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0021】
実施例2
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、フィブリノゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォン・ヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、およびこの配列を擬態する他のペプチドまたはペプチド擬態物から選定する血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。上記粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供する。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0022】
実施例3
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。分析するサンプル量は、約30μl〜5000μl〜300μlである。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。上記粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供する。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0023】
実施例4
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。上記粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。緩衝剤を使用し、pHは約2〜約11である。混合物を凝集条件に供する。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0024】
実施例5
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。粒子試薬の粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。アッセイ媒質量は、約25〜約500μlである。混合物を凝集条件に供する。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0025】
実施例6
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。粒子試薬の粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供し、少なくとも25℃の温度でインキュベートする。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。
【0026】
実施例7
本発明の特定の実施態様においては、血小板機能活性についてのアッセイを、アスピリンによる処理を受けている患者からの全血サンプルにおいて実施する。サンプルを、適切な容器、例えば、反応キュベット内で、血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬と混合してアッセイ媒質を調製する。上記化合物は、血小板レセプターおよびGPIIb/IIIaレセプターリガンドに対する抗体である。粒子試薬の粒子は、粒子に取込ませた1種以上の赤外線染料を含む。混合物を凝集条件に供し、少なくとも25℃の温度でインキュベートする。媒質を、UltegraR Systemを使用して、赤外線領域内の光で照射する。アッセイ混合物からの赤外線の透過率を測定し、透過量を血小板機能活性と関連付けする。粒子の凝集を、サンプルを通る赤外線透過率の上昇として検出する。
【0027】
本発明の各実施態様の上記説明は、例示および説明目的のために提示している。本発明を網羅するつもりも、或いは本発明を開示した正確な態様に限定するつもりもない。明らかに、多くの修正および変形が、当業者にとっては明白であろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって定められるものとする。
【0028】
次に、本発明の態様を示す。
1. 血小板を活性化するに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬を調製すること;
同じ凍結乾燥アッセイ試薬内で、アラキドン酸の酸化速度を低下させ且つ血小板機能を干渉しない酸化防止剤を使用すること;
十分な容量を有する酸素吸収剤を単回使用アッセイ装置パッケージ内で使用すること;および、
不活性雰囲気を、単回使用アッセイ装置の包装後に短時間で発生させること
を含む、血小板機能の測定方法。
2. 前記凍結乾燥アッセイ試薬を、GPIIb/IIIaレセプターリガンドでコーティングした粒子と一緒に使用する、上記1記載の方法。
3. 血小板の特異的凝集をもたらす化合物でコーティングした粒子を含む試薬を使用することをさらに含む、上記1記載の方法。
4. 前記化合物を、血小板レセプターに対する抗体およびGPIIb/IIIaレセプターリガンドから選択する、上記3記載の方法。
5. 前記GPIIb/IIIaレセプターリガンドを、フィブリノゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォン・ヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、およびこの配列を擬態する他のペプチド類またはペプチド擬態物から選択する、上記4記載の方法。
6. 前記粒子を、約0.1μm〜約20μmの粒度にする、上記3記載の方法。
7. 前記粒子を、約0.1μm〜約10μmの粒度にする、上記3記載の方法。
8. 前記粒子を、約1μmから8μmを超えない粒度にする、上記3記載の方法。
9. 前記粒子が、約0.7〜約1.5g/mlの密度を有する、上記3記載の方法。
10. 前記粒子が、共有結合するように官能化されているかまたは官能化可能である、上記3記載の方法。
11. 前記化合物を、前記粒子上にコーティングする、上記3記載の方法。
12. 前記化合物を、前記粒子上に共有結合によってコーティングする、上記11記載の方法。
13. 化合物分子対粒子の比率を、化合物分子の粒子への結合において調整する、上記3記載の方法。
14. 前記粒子が、吸着の遮断された領域を有する、上記3記載の方法。
15. 前記粒子が、ラベルを含む、上記3記載の方法。
16. 前記ラベルが、検出目的で使用する成分である、上記15記載の方法。
17. 前記粒子が、赤外線内で吸光する少なくとも1種の染料を含む、上記3記載の方法。
18. サンプルが、少なくとも部分的に溶液である、上記1記載の方法。
19. 前記サンプルが、血小板を含む体液である、上記1記載の方法。
20. 分析するサンプルの量が、約30μl乃至5000μl乃至300μlである、上記19記載の方法。
21. 前記サンプルを、媒質によって処理する、上記19記載の方法。
22. 前記媒質が、水性媒質である、上記21記載の方法。
23. 極性共溶媒を、前記水性媒質と一緒に使用する、上記22記載の方法。
24. 前記媒質が、少なくとも1種の緩衝剤を含む、上記21記載の方法。
25. 前記媒質のpHが、約2〜約11である、上記24記載の方法。
26. 前記媒質のpHが、約4〜約9である、上記24記載の方法。
27. 前記媒質の容量が、約25〜約500μlである、上記21記載の方法。
28. 前記媒質の容量が、約75〜約250μlである、上記21記載の方法。
29. 前記サンプルと媒質をインキュベートして、前記粒子を凝集させることをさらに含む、上記21記載の方法。
30. 前記粒子の凝集を測定して血小板機能活性を判定することをさらに含む、上記29記載の方法。
31. 前記サンプルと媒質を、少なくとも25℃の温度でインキュベートする、上記29記載の方法。
32. 前記サンプルと媒質を、約30〜40℃の温度でインキュベートする、上記29記載の方法。
33. 測定した粒子の凝集を標準の既知の血小板機能活性と比較することをさらに含む、上記30記載の方法。
34. 前記粒子の凝集を、サンプルを通る赤外光の透過率の増大として検出する、上記30記載の方法。
35. 下記を含む、血小板機能測定用のアッセイ装置:
複数のチャンネルおよびこれら複数のチャンネルの各々のチャンネルに連結した共通の血液サンプル導入ポートを有するハウジング;並びに、
各々の試薬を別個のチャンネルに位置させた複数の試薬、ここで、前記複数の試薬は、血小板を最大に活性化させるに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬、および、同じ凍結乾燥アッセイ試薬内のアラキドン酸の酸化速度を低下させ且つ血小板機能を干渉しない酸化防止剤を含む。
36. 前記アッセイ装置が、単回使用である、上記35記載の分析装置。
37. 下記を含む、血小板機能測定用のアッセイ装置:
血小板を最大に活性化させるに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬;
同じ凍結乾燥アッセイ試薬内のアラキドン酸の酸化速度を低下させ且つ血小板機能を干渉しない酸化防止剤;
アッセイ装置パッケージ内で十分な容量を有する酸素吸収剤;および、
前記アッセイ装置の不活性環境を発生させるパッケージ。
38. 前記アッセイ装置が、単回使用である、上記37記載の装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板を活性化するに十分な濃度でアラキドン酸を含有する凍結乾燥アッセイ試薬を調製すること;
同じ凍結乾燥アッセイ試薬内で、アラキドン酸の酸化速度を低下させ且つ血小板機能を干渉しない酸化防止剤を使用すること;
十分な容量を有する酸素吸収剤を単回使用アッセイ装置パッケージ内で使用すること;および、
不活性雰囲気を、単回使用アッセイ装置の包装後に短時間で発生させること
を含む、血小板機能の測定方法。

【公開番号】特開2012−181212(P2012−181212A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142879(P2012−142879)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願2008−508905(P2008−508905)の分割
【原出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(507354611)アキュメトリックス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】