説明

血栓性疾患を発症する素因の診断方法およびその使用

本発明は血栓性疾患を発症する素因の診断方法、血栓性疾患を発症する素因の診断のための試験系およびその使用、P2X1プロモーター変異体およびそれらの抗血栓剤のスクリーニングのための使用、ならびに、抗血栓剤を用いて予防的もしくは治療的に処置できる個体を同定するため、または抗血栓剤の治療的もしくは予防的な用量を適合させるための方法に関している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血栓性疾患を発症する素因の診断方法、血栓性疾患を発症する素因の診断のための試験系およびそれらの使用、P2X1プロモーター変異体および抗血栓剤のスクリーニングのためのそれらの使用、ならびに、抗血栓剤を用いて予防的もしくは治療的に処置できる個体を同定するため、または抗血栓剤の治療的もしくは予防的用量を適合させるための方法に関している。
【背景技術】
【0002】
血栓性疾患、例えば、末梢血管性疾患(PVD)、脳卒中、および心筋梗塞は、動脈硬化性プラークまたは血小板凝集により引き起こされる。血栓性疾患を発症する個体の危険性は、少なくとも部分的には、遺伝性素因により影響を受けているようにみえる。しかしながら、その基になる遺伝性因子は未だ完全には知られていない(Arterioscler Thromb Vasc Biol 24:1-14, 2004)。
【0003】
現在、ごく少数の診断試験が、血栓性疾患の個体の素因を決定するために利用されているにすぎない。(Saffroy R, Lemoine A, Haas p, Tindiliere F, Marion S, Debuire B. Rapid automated simultaneous screening of (G1691A) Factor V, (G20210A) prothrombin, and (C677T) methylenetetrahydrofolate reductase variants by multiplex PCR using fluorescence scanning technology. Genet Test. 2002 Fall; 6(3):233-6)。
【0004】
しかしながら、公知の試験はいずれも個体の血栓性疾患の危険性を確実に決定できないという問題をかかえている。したがって、血栓性疾患の個体の素因、特にPVD、脳卒中または心筋梗塞の危険性を確実に決定できるようにする、新しい試験系が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血栓性疾患を発症する個体の素因の、より信頼できる診断方法を提供することが本発明の課題である。特に、適切な診断方法の使いやすい操作のための試験系を提供し、新規な抗血栓剤のスクリーニングのための試験系および方法を提供し、血栓性疾患を発症する素因を有する個体の予防または治療処置のための抗血栓剤の同定方法を提供し、ならびに、抗血栓剤の治療的または予防的な用量を適合させる方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の最初の局面によれば、この課題は血栓性疾患を発症する素因の診断方法を提供することによって解決し、ここでこの方法は:(a)配列番号1の位置304、764、838、または1002の少なくとも1つにおける、P2X1プロモーターの少なくとも1個の対立遺伝子の配列を決定すること、および/または(b)個体から得られた組織検体中のP2X1タンパク質の量を測定すること、を含んでいる。
【0007】
本発明において、驚くべきことに、P2X1プロモーターが、さまざまな型の血栓性疾患を発症するそれらの保因者の素因に密接に関連する、上記の位置での配列の変異を含むP2X1プロモーター変異体の形態で、ヒトにおいて存在することが見出された。本発明は1400人の患者において実施された研究に基づいており、この多数の患者数によって、非常に有意義なものになっている。したがって、本発明は、血栓性疾患を発症する素因の信頼できる診断方法を、初めて提供する。本発明の診断方法の好ましい実施態様は、特定のP2X1プロモーター変異体の存在に関連した、血栓性疾患の特定の型の診断に関する。
【0008】
本発明でクレームされたP2X1プロモーターにおける個々のヌクレオチドの変異は、所与の集団において、特に>1%の頻度という高い頻度で存在し、そのためにいわゆる単一ヌクレオチド多形(SNPs)として分類できる。したがって、これらは血栓性疾患を発症する個体の素因の診断マーカーとして非常に適している。
【0009】
このP2X1プロモーターにおける単一ヌクレオチド多形(SNPs)は、それぞれの個体において産生されるP2X1タンパク質の量に影響を与える。したがって、本発明によれば、組織検体中のP2X1タンパク質の量の変化は、血栓性疾患を発症する素因の信頼できるマーカーである。
【0010】
P2X1受容体は、いわゆるATPゲート型イオンチャネルのP2X受容体ファミリーの1つのメンバーである。これは、多数のヒト組織および細胞、例えば、神経細胞、平滑筋細胞および血小板において発見されている(Gene 2001, Vol 269:167-175; Thromb Haemost 1998, Vol 103:858-866)。P2X1受容体のアミノ酸配列は、NCBIタンパク質データベースから受託番号S71927として入手可能である。
【0011】
血小板において、P2X1はカルシウムイオンの流動と血小板の凝縮の開始に関与している(J Biol Chem 1998, Vol 273:2024-2029)。時には、P2X1受容体遺伝子における突然変異は、その保因者に異常なほど大量の出血をもたらすことが記載されている(J Biol Chem 2002, Vol 275:22611-22614)。平滑筋細胞において、P2X1受容体は血管収縮に関与している。内皮細胞におけるATPによるP2X1の活性化はプロスタサイクリンおよび一酸化窒素(NO)の放出をもたらし、それにより平滑筋細胞における血管拡張作用および抗増殖作用が発現する(TIPS 1998, Vol 19:99-107)。
【0012】
最近、P2X1遺伝子のプロモーターの配列およびその欠失型突然変異体が発表されている(Gene 2001, Vol 269:167-175; 受託番号AF177472, NCBIヌクレオチドデータベース)。このプロモーターの特定領域が、P2X1mRNAの転写に極めて重要な作用を及ぼすことがわかってきた。さらに、P2X1タンパク質が血栓の過程に関与することが知られている(J Exp Med 198(4):661-7, 2003)。
【0013】
本発明において、P2X1プロモーターのヌクレオチド配列中の位置の参照は、NCBIヌクレオチドデータベースにおいて受託番号AF177472として入手可能な配列に対応する、配列番号1に参照させることによって行う。好ましくは、P2X1タンパク質は、NCBIタンパク質データベースにおいて受託番号S71927として入手可能な、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本発明において、P2X1プロモーター中の個別のヌクレオチドのこれまで知られていなかった変異が発見され、これらは血栓性疾患を発症する個体の素因に相関している。これらの変異には、配列番号1の、位置304でのCからTへの、位置764でのGからCへの、位置838でのTからGへの、または位置1002でのTからCへの変異が含まれている。個々のヌクレオチドの参照の順番、例えば「位置304でのCからTへ」は、所与の位置でより高い頻度で生じている塩基から、その同じ位置でより少なくしか観察されない塩基への変異を示している。
【0015】
本発明によれば、個体は、P2X1 プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子において、配列番号1のP2X1 プロモーター中の位置304、764、838もしくは1002での変異の1、2、3もしくは4個を含むか、配列番号1の位置304、764、838もしくは1002での変異を含まないか、または配列番号1の位置304でのCもしくはT、位置764でのGもしくはC、位置838でのTもしくはG、もしくは位置1002でのTもしくはCの塩基のあらゆる組合せを含むことができる。
【0016】
本発明において、血栓性疾患を発症する素因の診断は、個体の血栓性疾患を発症する危険性の測定、および/または急性もしくは慢性血栓性疾患の診断を含む。血栓性疾患はあらゆる型の血栓症、特に生体内の動脈内または静脈内血栓形成の全ての型、およびヒトまたは動物の身体のあらゆる部分、特に全ての器官または構成組織での全ての関連する臨床症状を含んでいる。血栓は、特に血小板の凝集および/または動脈硬化性プラークに由来するプラーク物質を含んでいる。血栓性疾患は、好ましくは末梢血管性疾患(PVD)、心筋梗塞、好ましくは早発性(early)心筋梗塞、および脳卒中、特に一時的な虚血性発作(TIA)および/または長期の可逆性虚血性神経障害(PRIND)を含んでいる。PVDは特に広くみられる循環系の障害であり、そこでは血液を脚または腕に運ぶ動脈が狭くなるかまたは詰まり、そしてこれは時には末梢性動脈疾患(PAD)と呼ばれる。多くの人々はこの症状を「動脈の硬化」とも呼ぶ。早発性心筋梗塞は、特に、老年期前のあらゆる年齢層の人々または動物で発症するあらゆる形態の心筋梗塞を意味する。
【0017】
本発明の診断方法は好ましくはインビトロの診断方法を意味し、そこでは本発明の診断方法を実施する前に、個体の身体から採取した組織検体が使用される。さらなる好ましい本発明の実施態様は、インビボの診断方法を意味し、そこでは好ましくは個体の身体中の組織検体がインシツ(in-situ)の診断方法で用いられる。
【0018】
本発明において、組織検体は、好ましくは細胞、例えば、血液細胞、特に血小板、赤血球および/または白血球、平滑筋細胞、横紋筋細胞、あらゆる上皮組織の上皮細胞、あらゆる結合組織の結合組織細胞、神経細胞、皮膚の組織検体、粘膜組織検体、あらゆる器官の組織検体、およびあらゆる体液、特に全血、またはあらゆる血液画分、体液(liquor)、リンパ液、尿、唾液および精液を含んでいる。
【0019】
本発明において、個体は、あらゆる年齢または性別のあらゆる脊椎動物、好ましくはあらゆる哺乳動物、好ましくはヒト、特に新生児、子供、青年、成人、または老年期のヒトまたは動物、あらゆるヒトまたは動物の生殖系列細胞、ヒトまたは動物の卵母細胞または精母細胞、ヒトまたは動物の受精卵、あらゆるヒトまたは動物の出産前胎児、特にあらゆるヒトまたは動物の胚または胎児を含んでいる。
【0020】
血栓性疾患を発症する素因の診断方法の好ましい実施態様において、個体からの組織検体中の配列番号1の位置304でのCからTへの変異を含むP2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子の存在は、末梢血管性疾患(PVD)の増大する危険性の指標となる。好ましくは、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子上の位置304でのCからTへの変異の存在は、PVDのさらに増大する危険性の指標となる。
【0021】
さらなる好ましい実施態様において、組織検体における配列番号1の位置764でのGからCへの変異を含むP2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子の存在は、PVDの増大する危険性の指標となる。好ましくは、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子上の位置764でのGからCへの変異の存在は、PVDのさらに増大する危険性の指標となる。
【0022】
さらなる好ましい実施態様において、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子における配列番号1の位置304でのCからTへの変異の存在、または、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子における位置764でのGからCへの変異の存在は、脳卒中の危険性の減少、特に一時性虚血性発作(TIA)または長期の可逆性虚血性神経障害(PRIND)の危険性の減少の指標となる。
【0023】
さらなる好ましい実施態様において、P2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子における配列番号1の位置304でのTの代わりのCの存在、または、P2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子における配列番号1の位置764でのCの代わりのGの存在は、脳卒中の増大する危険性の指標となる。
【0024】
さらなる好ましい実施態様において、組織検体における配列番号1の位置838でのTからGへの変異を含むP2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子の存在は、早発性心筋梗塞の危険性の減少の指標となる。さらに、組織検体における配列番号1の位置838でのTを含むP2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子の存在は、早期(premature)心筋梗塞の増大する危険性の指標となる。好ましくは、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子における位置838でのTからGへの変異の存在は、早発性心筋梗塞のさらなる危険性の減少の指標となる。
【0025】
本発明において、早発性心筋梗塞の危険性とは、特に、55歳未満の女性または60歳未満の男性の心筋梗塞を発症する危険性である。
【0026】
さらなる好ましい実施態様において、組織検体における配列番号1の位置1002でのTからCへの変異を含むP2X1プロモーターの少なくとも一つの対立遺伝子の存在は、PVDの増大する危険性の指標となる。好ましくは、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子における位置1002でのTからCへの変異の存在は、PVDのさらなる増大する危険性の指標となる。
【0027】
さらなる好ましい実施態様において、P2X1プロモーターの配列が、配列番号1の位置304、764、838、または1002の1つより多くの位置、好ましくは2つ、3つまたは全ての位置において決定される。好ましくは、P2X1プロモーターの両方の対立遺伝子の配列が、配列番号1の位置304、764、838、または1002の1つ、2つ、3つまたは全ての位置において決定される。
【0028】
好ましくは、配列番号1の位置304、764、838、または1002の少なくとも1つを含むP2X1プロモーターまたはその断片の配列が、あらゆる核酸の配列分析方法、特にサンガー(Sanger)のDNA配列決定プロトコールに基づくあらゆるDNA配列決定プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology、Fred M. Ausubel, Roger Brent, Robert E. Kingston, David D. Moore, J.G. Seidman, John A. Smith, Kevin Struhl編;ルーズリーフ: 0-471-650338-X; CD-ROM: 0-471-30661-4)を用いて、特に放射能標識ヌクレオチドを用いて、または蛍光色素で標識したヌクレオチドを用いて、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、または化学的配列決定方法により(Pyrosequencing: an accurate detection platform for single nucleotide polymorphisms, Hum Mutat. 2002 May; 19(5):479-85)、特にパイロシーケンシング法(pyrosequencing)により(Pyrosequencing for SNP genotyping, Methods Mol Biol. 2003; 212:189-95; Comparison of GenFlex Tag array and Pyrosequencing in SNP genotyping, J Mol Diagn. 2003 Nov; 5(4):243-9; Microarrays and genetic epidemiology: a multipurpose tool for a multifaceted field. Genet Epidemiol. 2002 Jun; 23(1):4-20、総説)、または核酸配列分析のための質量分析法を用いて(A novel MALDI-TOF based methodology for genotyping single nucleotide polymorphisms, Nucleic Acids Res. 2003 Dec 15; 31(24):e155; Digital genotyping using molecular affinity and mass spectrometry, Nat Rev Genet. 2003 Dec; 4(12):1001-8)、決定される。
【0029】
さらに、配列番号1の位置304、764、838、または1002の少なくとも1つを含むP2X1プロモーターまたはその断片の配列は、単一ヌクレオチド変異を検出できるあらゆる配列特異的核酸検出方法、特に相補的な塩基対合に関わるあらゆるそうした方法を用いて、決定できる。例えば、本発明のP2X1プロモーター変異体は、配列番号1の位置304でのCまたはTのいずれかの存在、位置764でのGまたはCのいずれかの存在、位置838でのTまたはGのいずれかの存在、および/または、位置1002でのTまたはCのいずれかの存在がある場合にのみP2X1プロモーター断片の増幅を可能にするオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において検出できる。PCRを実施する方法は当該分野で知られている(Current Protocols in Molecular biology; Fred M. Ausubel 等編集、前出)。さらに、いわゆるTaqMan分析が、本発明のP2X1プロモーター変異体の検出に使用できる(PNAS USA, 88: 7276-7280; Nucl Acid Res, 21: 3761-3766)。さらにP2X1プロモーター断片の検出を、配列番号1の位置304でのCまたはTのいずれかの存在、位置764でのGまたはCのいずれかの存在、位置838でのTまたはGのいずれかの存在、および/または、位置1002でのTまたはCのいずれかの存在がある場合にのみ可能にするDNAマイクロアレイ方法も使用でき、これらは当業者が容易に提供できる(Microarrays and genetic epidemiology: a multipurpose tool for a multifaceted field, Genet Epidemiol. 2002 Jun; 23(1):4-20; High-density genechip oligonucleotide probe arrays, Adv Biochem Eng Biotechnol. 2002; 77:21-42)。さらに、本発明のP2X1プロモーター変異体の単一ヌクレオチド多形の検出を可能にする核酸プローブを用いた、サザンハイブリダイゼーションアッセイ法も使用できる。
【0030】
好ましくは、P2X1プロモーターの配列はDNA配列決定プロトコールまたはポリメラーゼ連鎖反応を用いる方法、好ましくはTaqMan PCR分析により、P2X1プロモーターの配列番号1の位置304の配列を決定するための配列番号3または配列番号4を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いて、P2X1プロモーターの配列番号1の位置764の配列を決定するための配列番号5または配列番号6を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いて、P2X1プロモーターの配列番号1の位置838の配列を決定するための配列番号7または配列番号8を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いて、および/または、P2X1プロモーターの配列番号1の位置1002の配列を決定するための配列番号9または配列番号10を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いて、決定される。
【0031】
配列番号3は、NCBI 配列AC005940.3の位置62490-62507に対応する。
配列番号4は、配列番号1の位置472-289のアンチセンス鎖である。
配列番号5は、配列番号1の位置618-635に対応する。
配列番号6は、配列番号1の位置775-784のアンチセンス鎖である。
配列番号7は、配列番号1の位置818-837に対応する。
配列番号8は、配列番号1の位置1003-1022のアンチセンス鎖である。
配列番号9は、配列番号1の位置818-837に対応する。
配列番号10は、配列番号1の位置1003-1022のアンチセンス鎖である。
【0032】
血栓性疾患を発症する素因の診断の本発明の方法のさらなる好ましい実施態様において、組織検体中のP2X1タンパク質の量の変化は、血栓性疾患を発症する素因の指標となる。
【0033】
本発明において、組織検体中のP2X1タンパク質の量の測定は、好ましくは、組織検体中のその量の測定またはその存在の測定を含む。好ましくは、組織検体中のP2X1タンパク質の量の測定は、個々のタンパク質を検出するあらゆる方法、例えば、抗P2X1抗血清または抗P2X1抗体、特にモノクローナル抗P2X1抗体または抗P2X1抗体断片を用いた、ウエスタン分析またはELISAアッセイ法、特に単鎖抗体または酵素的もしくは組換え法により製造された抗体断片を用いた組織検体中のP2X1タンパク質の測定方法を含む(Current Protocols in Immunology; John E. Coligan, Ada M. Kruisbeek, David H. Margulies, Ethan M. Shevach, Waren Strober編;ルーズリーフ:0-471-52276-7; CD-ROM: 0371-30660-6)。本発明は全ての抗P2X1抗血清または抗P2X1抗体、特に全てのモノクローナル抗P2X1抗体または抗P2X1抗体断片、特に全ての単鎖抗体または酵素的もしくは組換え法により製造された抗体断片の、本発明の方法および試験系での使用を包含する。
【0034】
好ましい実施態様において、P2X1 mRNAの量がP2X1タンパク質の量の指標となる。好ましくは、P2X1タンパク質の量は、P2X1 mRNAの量を測定することにより測定される。好ましくは、P2X1 mRNAの存在はP2X1タンパク質の存在の指標となる。好ましくは、本願で用いられるセンスのP2X1 mRNAは、P2X1 プロモーターの少なくとも一部分に相補的な配列を含み、および/または、P2X1 遺伝子のコーディング領域の少なくとも一部分を包含する。好ましくは、前駆体mRNAまたは成熟mRNAまたはその断片の量が測定される。好ましくは、mRNAの量または存在は、ノザン分析(Current Protocols in Molecular Biology; Fred
M. Ausubel 等編、前記)、RNA分子の逆転写の最初の工程を含むPCR分析、ディファレンシャル・ディスプレイ分析(differential display analysis)(比較遺伝子発現分析;Trends Biotechnol. 1999 Feb; 17(2):73-8)、またはレプリゼンテーショナル・ディファレンス分析(representational difference analysis)(比較遺伝子発現分析;Trends Biotechnol. 1999、前記)で測定される。
【0035】
さらなる好ましい実施態様において、組織検体中のP2X1 タンパク質の活性がその量を示唆する。好ましくは、P2X1 タンパク質の活性はP2X1活性アッセイ法で測定される(原稿番号M308964200として発行する前にJournal Biol. Chemistry、2003年12月29日に発行)。好ましくは、P2X1 タンパク質の活性が、ヒトまたは動物細胞において測定される。
【0036】
さらなる本発明の局面によれば、本発明のP2X1プロモーターの変異は、血栓性疾患を発症する素因の便利な測定のための試験系の提供を可能にする。したがって、さらなる本発明の局面は、個体から得られた組織検体中の、配列番号1の、位置304のP2X1プロモーターの配列を決定するための、好ましくは位置304でのCもしくはTのいずれかの検出のための、位置764のP2X1プロモーターの配列を決定するための、好ましくは位置764でのGもしくはCのいずれかの検出のための、位置838のP2X1プロモーターの配列を決定するための、好ましくは位置838でのTもしくはGのいずれかの検出のための、または、位置1002でのP2X1プロモーターの配列を決定するための、好ましくは位置1002のTもしくはCのいずれかの検出のための、少なくとも1つの核酸プローブまたはオリゴヌクレオチドを含む試験系に関する。
【0037】
好ましくは、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つのPCRプライマー、好ましくは一組のPCRプライマーが提供され、それにより、配列番号1の、位置304がCまたはTのいずれか、位置764がGまたはCのいずれか、位置838がTまたはGのいずれか、および/または位置1002がTまたはCのいずれかである場合にのみ、P2X1プロモーター断片の増幅を可能にする。当業者は容易にそうしたオリゴヌクレオチドまたは一組のPCRプライマーを提供する(Current Protocols in Molecular Biology; Fred M. Ausubel 等編、前記)。
【0038】
好ましい実施態様において、試験系は、P2X1プロモーターの配列番号1の位置304の配列を決定するための配列番号3または配列番号4を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、P2X1プロモーターの配列番号1の位置764の配列を決定するための配列番号5または配列番号6を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、P2X1プロモーターの配列番号1の位置838の配列を決定するための配列番号7または配列番号8を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、および/または、P2X1プロモーターの配列番号1の位置1002の配列を決定するための配列番号9または配列番号10を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、を含む。
【0039】
さらなる好ましい実施態様において、試験系はDNAマイクロアレイを含み、これは好ましくは、配列番号1の、位置304でCが存在する場合のみ、位置304でTが存在する場合のみ、位置764でGが存在する場合のみ、位置764でCが存在する場合のみ、位置838でTが存在する場合のみ、位置838でGが存在する場合のみ、位置1002でTが存在する場合のみ、および/または、位置1002でCが存在する場合のみ、P2X1プロモーター断片の検出を可能にし、これを当業者は容易に提供する(Microarrays and genetic epidemiology: a multipurpose tool for a multifaceted field, Genet Epidemiol. 2002 Jun; 23(1):4-20; High-density genechip oligonucleotide probe arrays, Adv Biochem Eng Biotechnol. 2002; 77:21-24)。
【0040】
さらなる好ましい実施態様において、試験系はサザンハイブリダイゼーションアッセイ方法で使用できる標識化核酸プローブを含み、このことは、配列番号1の、位置304でCが存在する場合のみ、位置304でTが存在する場合のみ、位置764でGが存在する場合のみ、位置764でCが存在する場合のみ、位置838でTが存在する場合のみ、位置838でGが存在する場合のみ、位置1002でTが存在する場合のみ、および/または、位置1002でCが存在する場合のみ、P2X1プロモーター断片の検出を可能にする。当業者はそうした実験を行うことができる(Current Protocols in Molecular Biology; Fred M. Ausubel 等編、前記)。
【0041】
好ましくは、核酸プローブは放射能標識されているか、蛍光標識されているか、または、免疫学的に検出可能であり、特にジゴキシゲニンで標識されている(ロシュ・ダイアグノステックGmbH、マンハイム)。
【0042】
なおさらなる本発明の局面は、血栓性疾患を発症する素因の診断のための少なくとも1つの核酸プローブまたはオリゴヌクレオチドを含む、上記の試験系の使用に関する。この試験系の使用に関して、血栓性疾患を発症する素因の診断の本発明の方法のための上記で定義された実施態様もまた適用される。
【0043】
さらなる本発明の局面は、少なくとも1つの抗P2X1抗血清、抗P2X1抗体、または抗P2X1抗体断片を含む、個体から得られた組織検体中のP2X1 タンパク質の存在、好ましくはその量を測定するための、試験系に関する。
【0044】
好ましくは、この試験系は、少なくとも1つのモノクローナル抗P2X1抗体または抗P2X1抗体断片、特に単鎖抗体または抗体断片、好ましくは酵素的もしくは組換え法により製造された単鎖抗体または抗体断片を含んでいる(参照)。好ましくは、本発明の試験系は、あらゆる抗P2X1抗血清または抗P2X1抗体、特にあらゆるモノクローナル抗P2X1抗体または抗P2X1抗体断片、好ましくは酵素的もしくは組換え法により製造された単鎖抗体または抗体断片を包含する。
【0045】
本発明において、P2X1タンパク質は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、これはNCBIタンパク質データベースにおいて、受入番号 S71927で入手可能である。
【0046】
好ましくは、組織検体中のP2X1タンパク質の量は、個々のタンパク質の存在を検出するか、またはその量を測定するあらゆる方法、例えば、ウエスタン分析またはELISAアッセイ法を用いて測定される。
【0047】
本発明のさらなる局面は、少なくとも1つの抗P2X1抗血清、抗P2X1抗体、または抗P2X1抗体断片を含む、血栓性疾患を発症する素因の診断のための試験系の使用に関する。
【0048】
さらなる本発明の局面は、本発明のP2X1プロモーター変異体の助けを借りた、血栓性疾患の新規な予防用および治療用化合物の検出に関する。
【0049】
さらなる本発明の局面は、配列番号1の位置304、764、838、および/または1002の少なくとも1つを含むDNA断片を含むP2X1プロモーター変異体に関する。好ましくは、このP2X1プロモーター変異体は、配列番号1の、位置304にTまたはC、位置764にCまたはG、位置838にT、および/または位置1002にCを含んでいる。好ましくは、このP2X1プロモーター変異体は、P2X1プロモーター領域を含み、これはP2X1mRNAの転写に働くことが示されている(Gene 2001, Vol 269:167-175)。
【0050】
さらなる本発明の局面は、 本発明のP2X1プロモーター変異体を含む試験系に関し、このプロモーター変異体は検出可能な生成物の合成を指示する。
【0051】
さらなる本発明の局面は、本発明のP2X1プロモーター変異体を含む試験系の、抗血栓剤のスクリーニングのための使用に関する。好ましくは、抗血栓剤は、野生型のP2X1プロモーターに比較して、所与のP2X1プロモーター変異体の作用に対抗する能力により同定される。
【0052】
本発明のP2X1プロモーター変異体が有利に使用される、血栓性疾患の新規な予防用および治療用化合物の検出に関する本発明のさらなる局面から、抗血栓剤のスクリーニング方法が提供される。
【0053】
さらなる本発明の局面は、抗血栓剤のスクリーニング方法に関し、この方法は、(a)本発明のP2X1プロモーター変異体、好ましくは配列番号1の、位置304にTもしくはC、位置764にCもしくはG、位置838にT、または位置1002にCを含んでいるP2X1プロモーター変異体を提供する、(b)このP2X1プロモーター変異体を被験化合物と接触させ、そして(c)このP2X1プロモーター変異体の活性を測定する、各工程を含んでいる。
【0054】
好ましくは、抗血栓剤とは、血栓性疾患、好ましくはPVD、脳卒中、好ましくはTIA、PRIND、および/または心筋梗塞、特に早発性心筋梗塞の予防または治療のための活性薬剤である。
【0055】
さらなる好ましい実施態様において、このスクリーニング方法は被験化合物のハイスループット・スクリーニングに適合する。
【0056】
好ましくは、この方法は、被験化合物の存在下でのP2X1プロモーター変異体の活性を測定し、そして、それを被験化合物の不在下でのP2X1プロモーター変異体の活性と比較することを含んでいる。好ましくは、この方法は、本願に記載されたような、抗血栓剤のスクリーニングのための、本発明の試験系の使用を含んでいる。
【0057】
被験化合物は、好ましくは、細胞の転写装置の構成成分の活性を高めるかまたは阻害するエフェクター分子の候補である小分子であり、そして特に、基礎的な転写装置の構成成分と相互作用する、特に、DNAと結合しそして転写を開始する機構に関与する、一般的または基礎的な転写因子と相互作用をする、小分子エフェクターの候補化合物である。好ましくは、被験化合物とは、あらゆる化学的化合物、例えば、天然由来化合物、または、天然由来化合物と同一もしくは類似した化学的合成化合物、または、天然には存在しないあらゆる化学的合成化合物である。
【0058】
天然由来化合物は、好ましくは、多細胞もしくは単細胞生物、特に動物、植物、真菌、酵母、細菌もしくは他のあらゆる細胞含有生物、またはウイルスから検出されるかまたは単離できる化合物である。天然には存在しない化学的合成化合物は、好ましくは、コンビナトリアル・ケミストリーにより合成される。好ましくは、この化合物は、天然由来化合物に由来する、好ましくは細胞の転写因子または基礎的な転写装置の構成成分に結合できるエフェクター分子の候補化合物に由来する、リード構造を含んでいる。
【0059】
好ましくは、この被験化合物は、生化学的または化学的試験化合物、例えば、化学的化合物ライブラリーの形態である。本発明によれば、「化学的化合物ライブラリー」という表現は、化学的合成分子および天然物質を含むあらゆる複数の出所から集積したか、またはコンビナトリアル・ケミストリー技術により生成された、多数の化学的化合物を意味する。好ましくは、この被験化合物はあらゆる低分子量化合物である。
【0060】
好ましくは、化学的化合物ライブラリーは特にハイスループット・スクリーニングに適している。これは、特定の構造の化学的化合物または植物のような特定の生物の化合物を含んでいてもいい。
【0061】
好ましい実施態様において、配列番号1の位置304にTを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にTが含まれている細胞において、測定され、そして位置304にCを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置304のTの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、末梢血管性疾患(PVD)の予防または治療のために使用することができる。
【0062】
さらなる好ましい実施態様において、配列番号1の位置304にCを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にCが含まれている細胞において、測定され、そして位置304にTを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置304のCの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、脳卒中、好ましくはTIAまたはPRINDの予防または治療のために使用することができる。
【0063】
さらなる好ましい実施態様において、配列番号1の位置764にCを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にCが含まれている細胞において、測定され、そして位置764にGを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置764のCの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、PVDの予防または治療のために使用することができる。
【0064】
さらなる好ましい実施態様において、配列番号1の位置764にGを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にGが含まれている細胞において、測定され、そして位置764にCを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置764のGの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、脳卒中、好ましくはTIAまたはPRINDの予防または治療のために使用することができる。
【0065】
さらなる好ましい実施態様において、配列番号1の位置838にTを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にTが含まれている細胞において、測定され、そして位置838にGを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置838のTの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、心筋梗塞、好ましくは早発性心筋梗塞の予防または治療のために使用することができる。
【0066】
好ましい実施態様において、配列番号1の位置1002にCを含むP2X1プロモーターの活性が、特にP2X1プロモーターの1つまたは両方の対立遺伝子上にCが含まれている細胞において、測定され、そして位置1002にTを含むP2X1プロモーターの活性と比較され、ついで、P2X1プロモーターの活性に対する位置1002でのCの作用を逆転させる被験化合物として、抗血栓剤が同定される。好ましくは、このようにして同定された抗血栓剤は、PVDの予防または治療のために使用することができる。
【0067】
さらなる本発明の局面は、血栓性疾患、好ましくはPVD、脳卒中、特にTIAまたはPRIND、および/または心筋梗塞、特に早発性心筋梗塞の予防または治療のための少なくとも1つの抗血栓剤を含む医薬の製造方法に関し、ここでこの抗血栓剤は、本発明のP2X1プロモーター変異体を用いて検出され、好ましくはこの抗血栓剤は、抗血栓剤をスクリーニングするための本発明の方法により検出される。
【0068】
さらなる本発明の局面は、血栓性疾患を発症する素因を有する個体の予防的または治療的処置のために用いることのできる、抗血栓剤の同定方法に関しており、 この方法は:(a)血栓性疾患を発症する素因を有する個体の同定のための本発明の方法を用いて、血栓性疾患を発症する素因を有する個体を同定する工程、そして(b)抗血栓剤のスクリーニングのための本発明の方法を用いて、該個体の処置のための抗血栓剤を同定する工程、を含んでいる。
【0069】
本発明の他の局面は、抗血栓剤の治療用または予防用の用量を適合させる方法に関し、この方法は:(a)血栓性疾患を発症する素因を有する個体の同定のための本発明の方法を用いて、血栓性疾患を発症する素因を有する個体を同定する工程、(b)抗血栓剤のスクリーニングのための本発明の方法を用いて、該個体の処置のための抗血栓剤を同定する工程、そして(c)該個体のための該抗血栓剤の治療用または予防用の有効量を選択する工程を含んでいる。
【0070】
さらに、本発明は、本発明のP2X1プロモーター変異体の全てのさらなる使用に関し、ここで血栓性疾患またはそれらの素因が診断されるか、または処置が提供される。
【0071】
さらなる本発明の局面は、血栓性疾患を発症する素因の診断のための方法もしくは試験系のための使用、抗血栓剤のスクリーニングのための方法もしくは試験系、抗血栓剤で処置できる個体を同定するための方法もしくは試験系、または抗血栓剤の治療用もしくは予防用の用量を適合させるための方法もしくは試験系を開発するための本発明のP2X1プロモーター変異体の使用に関している。
【0072】
以下において、本発明は、アミノ酸配列、核酸配列および実施例を参照して、より詳細に記載される。なお、この実施例の詳細により本発明を制限することは意図されていない。むしろ、本発明は、あらゆる実施態様に関し、本願実施例において明示的に述べられていない詳細を含むが、それらは当業者が過度の努力なしに見出せるものである。
【0073】
配列の説明
配列番号1:NCBIヌクレオチドデータベースから受託番号AF177472で入手可能なP2X1プロモーターのDNA配列を含む。
配列番号2:NCBIタンパク質データベースから受託番号S71927で入手可能なP2X1タンパク質のアミノ酸配列を含む。
配列番号3:配列番号1の位置304のP2X1プロモーターの配列を決定するための第一のオリゴヌクレオチドの配列を含む。配列番号3はNCBI 配列AC005940.3の位置62490-62507に対応する。
配列番号4:配列番号1の位置304のP2X1プロモーターの配列を決定するための第二のオリゴヌクレオチドの配列を含み、相補鎖上の配列番号3に対して3'−方向に位置している。配列番号4は、配列番号1の位置472-289のアンチセンス鎖である。
配列番号5:配列番号1の位置764のP2X1プロモーターの配列を決定するための第一のオリゴヌクレオチドの配列を含む。配列番号5は配列番号1の位置618-635に対応している。
配列番号6:配列番号1の位置764のP2X1プロモーターの配列を決定するための第二のオリゴヌクレオチドの配列を含み、相補鎖上の配列番号5に対して3'−方向に位置している。配列番号6は、配列番号1の位置775-784のアンチセンス鎖である。
配列番号7:配列番号1の位置838のP2X1プロモーターの配列を決定するための第一のオリゴヌクレオチドの配列を含む。配列番号7は配列番号1の位置818-837に対応している。
配列番号8:配列番号1の位置838のP2X1プロモーターの配列を決定するための第二のオリゴヌクレオチドの配列を含み、相補鎖上の配列番号7に対して3'−方向に位置している。配列番号8は、配列番号1の位置1003-1022のアンチセンス鎖である。
配列番号9:配列番号1の位置1002のP2X1プロモーターの配列を決定するための第一のオリゴヌクレオチドの配列を含む。配列番号9は配列番号1の位置818-837に対応している。
配列番号10:配列番号1の位置1002のP2X1プロモーターの配列を決定するための第二のオリゴヌクレオチドの配列を含み、相補鎖上の配列番号9に対して3'−方向に位置している。配列番号10は、配列番号1の位置1003-1022のアンチセンス鎖である。
【0074】
〔実施例〕
実施例の説明
P2X1プロモーター変異体のために使用された略語
以下の略語が使用され、ここで指示された位置は配列番号1のヌクレオチドの位置を意味する:
− P2X1 C304Cは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置304においてシチジン(C)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 C304Tは、P2X1遺伝子の一方の対立遺伝子上の位置304においてシチジン(C)を有し、他方の対立遺伝子上の位置304においてチミジン(T)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して異型接合的である。
− P2X1 T304Tは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置304においてチミジン(T)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 G764Gは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置764においてグアノシン(G)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 C764Gは、P2X1遺伝子の一方の対立遺伝子上の位置764においてシチジン(C)を有し、他方の対立遺伝子上の位置764においてグアノシン(G)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して異型接合的である。
− P2X1 C764Cは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置764においてシチジン(C)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 T838Tは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置838においてチミジン(T)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 T838Gは、P2X1遺伝子の一方の対立遺伝子上の位置838においてチミジン(T)を有し、他方の対立遺伝子上の位置838においてグアノシン(G)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して異型接合的である。
− P2X1 G838Gは、 P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置838においてグアノシン(G)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 T1002Tは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置1002においてチミジン(T)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
− P2X1 T1002Cは、P2X1遺伝子の一方の対立遺伝子上の位置1002においてチミジン(T)を有し、他方の対立遺伝子上の位置1002においてシチジン(C)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して異型接合的である。
− P2X1 C1002Cは、P2X1遺伝子の両方の対立遺伝子上の位置1002においてシチジン(C)を有している人々の群を意味する。これらの人々はこのP2X1変異体に関して同型接合的である。
【0075】
1404人の患者グループで、それらの遺伝的変異とそれらの患者の臨床症状との関連性を決定するために、P2X1プロモーター領域で同定された4個の単一ヌクレオチド多形(SNPs)を調べた。
【0076】
DNA配列分析による単一ヌクレオチド多形(SNPs)の検出
P2X1遺伝子のプロモーター内の遺伝子領域を以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した:
1.P2X1プロモーター配列中の位置304でのCからTへのヌクレオチド変異の検出のために、配列AC005940.3から由来する、以下のプライマーを用いた:
AC005940.3 は、ゲノムクローンのNCBIデータベースに寄託された配列の番号であり、P2X1プロモーターの上流の配列を含んでいる。この番号を基にして、位置304でのP2X1プロモーター変異体の同定を可能にする、この領域を増幅するために使用できるオリゴヌクレオチドを設計することが可能である。これに対して、AF177472.1はNCBIデータベースに寄託されたP2X1遺伝子の配列の番号であり、プロモーター領域およびコーディング領域の部分を含んでいる。
5'-GAAAAGCCCATGACACCC-3'
5'-CAACACGGGACAGAGAAC-3'
2.P2X1プロモーター配列中の位置764でのGからCへのヌクレオチド変異の検出のために、配列番号1から由来する、以下のプライマーを用いた:
5'-GATGTGGTGCTGGTCTTG-3'
5'-GCTGGCATCTCTATCCCCCA-3'
3.P2X1プロモーター配列中の位置838でのTからGへのヌクレオチド変異の検出のために、配列番号1から由来する、以下のプライマーを用いた:
5'-GGAACTCAGAGCCTCCTTCC-3'
5'-GGCAAGATGGAGCTCTGGCC-3'
4.P2X1プロモーター配列中の位置1002でのTからCへのヌクレオチド変異の検出のために、配列番号1から由来する、以下のプライマーを用いた:
5'-GGAACTCAGAGCCTCCTTCC-3'
5'-GGCAAGATGGAGCTCTGGCC-3'
【0077】
上記で特定されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、下記のPCRプロトコールにより、ゲノム領域を増幅した。
【0078】
用いた試薬はアプライド・バイオシステムス社(フォースターシテイ、米国)から入手した:
20ng ゲノムDNA;1ユニット TaqGold DNA ポリメラーゼ;1×Taq ポリメラーゼ緩衝液;500μM dNTPs;2.5mM MgCl2;200nM の各増幅プライマー対(1.および2.の配列);水を加えて5μl。
【0079】
遺伝子型決定のためのPCR増幅プログラム
95℃で10分間:を1サイクル;
続いて、95℃で30秒間、続いて70℃で30秒間:を2サイクル;
続いて、95℃で30秒間、続いて65℃で30秒間:を2サイクル;
続いて、95℃で30秒間、続いて60℃で30秒間:を2サイクル;
続いて、95℃で30秒間、続いて56℃で30秒間、続いて72℃で30秒間:を40サイクル;
続いて72℃で10分間、続いて4℃で30秒間:を1サイクル。
【0080】
配列決定のためのPCR増幅プログラム
96℃で2分間:を1サイクル;
続いて、96℃で10秒間、続いて55℃で10秒間、続いて65℃で4分間:を30サイクル;
続いて72℃で7分間、続いて4℃で30秒間:を1サイクル。
【0081】
配列決定産物の解析
配列は最初に、粗いデータを得るために、配列解析ソフトウエア(アプライド・バイオシステム社、フォースターシテイ、米国)を用いて解析した。この粗いデータは、Phred、Phrap、PolyphredおよびConsedを用いて加工した。Phred、Phrap、PolyphredおよびConsedは、ワシントン大学のPhil Greenにより書かれたソフトウエアである。
(http://www.genome.washington.edu)
【0082】
実施例:1404人のグループを用いて得られた結果
表1は、P2X1のプロモーター領域で配列番号1の位置304、764、838および1002での遺伝的変異体が解析された患者のグループの特性を示している。
【表1】

【0083】
表2は、P2X1プロモーター領域の配列番号1に従って示した位置に関する患者の解析グループでのP2X1変異体の分布を示している。
【表2】

【0084】
表3は、患者の解析グループでの臨床的エンドポイントと、配列番号1に従って示したP2X1変異体との関連性を示している。示された臨床的エンドポイントが観察された患者の数を%で記載している。
【表3】

【0085】
患者の解析グループにおいて、P2X1遺伝子のプロモーターにおける、位置304にTを含む対立遺伝子の存在および数、または位置764にCを含む対立遺伝子の存在および数、それぞれに依存して、PVDの危険性の増大が観察された。さらに、脳卒中/PRIND/TIAの危険性の減少がP2X1 T304TまたはP2X1 C764Cを有する患者で観察された。早発性心筋梗塞(<55歳の女性および<60歳の男性の心筋梗塞と定義された)の発症の危険性の増大は、P2X1遺伝子のプロモーターにおける、位置838にTを含む対立遺伝子の存在および数に依存した。さらに、PVDの発症の危険性の増大は、P2X1遺伝子のプロモーターにおける、位置1002にCを含む対立遺伝子の存在および数に依存した。これらの相関性解析を基にして、P2X1遺伝子のプロモーター領域における遺伝的変異が、心血管系および血栓性疾患の発症および頻度に重要な影響を与えていると結論づけることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓性疾患を発症する素因の診断方法であって、
(a)配列番号1の位置304、764、838または1002の少なくとも1つにおけるP2X1プロモーターの少なくとも1つの対立遺伝子の配列を決定すること、および/または
(b)個体からの組織検体中のP2X1タンパク質の量を測定すること、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置304におけるTが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置764におけるCが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
両方の対立遺伝子の位置304におけるT、または両方の対立遺伝子の位置764におけるCが、脳卒中、特に一時的な虚血性発作(TIA)または長期の可逆性虚血性神経障害(PRIND)の危険性の減少の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
位置304におけるC、または位置764におけるGが脳卒中の危険性の増大の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置838におけるTが、早発性心筋梗塞の危険性の増大の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置1002におけるCが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
P2X1プロモーターの配列が、位置304、764、838または1002の2つ、3つまたは全てにおいて決定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
配列が、位置304、764、838または1002の少なくとも1つを含むP2X1プロモーター断片のサンガーによるDNA配列決定法、および/またはPCR増幅法、特にTaqMan PCR分析により決定される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
配列番号3または配列番号4を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがP2X1プロモーターの配列番号1の位置304の配列を決定するために用いられ、配列番号5または配列番号6を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがP2X1プロモーターの配列番号1の位置764の配列を決定するために用いられ、配列番号7または配列番号8を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがP2X1プロモーターの配列番号1の位置838の配列を決定するために用いられ、および/または、配列番号9または配列番号10を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがP2X1プロモーターの配列番号1の位置1002の配列を決定するために用いられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
パイロシーケンシング、質量分析法を利用したDNA配列決定、DNAマイクロアレイハイブリダイゼーションまたはサザン分析を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
P2X1タンパク質の量の変化が血栓性疾患を発症する素因の指標となる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
抗P2X1抗血清、抗P2X1抗体、または抗P2X1抗体断片を、P2X1タンパク質の量の測定のために、特に、ウエスタン分析またはELISAアッセイ法において用いる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
P2X1 mRNAの量が測定され、そしてこれはP2X1 タンパク質の量の指標となる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
mRNA分子の量が、ノザン分析、mRNA分子の逆転写の最初の工程を含むPCR分析、ディファレンシャル・ディスプレイ分析、またはレプリゼンテーショナル・ディファレンス分析により測定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
P2X1タンパク質の活性が測定され、そしてこれはP2X1タンパク質の量の指標となる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
P2X1タンパク質の活性がヒトまたは動物の細胞において測定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
個体から得られた組織検体中の、P2X1プロモーターの、配列番号1の位置304の配列、位置764の配列、位置838の配列、または位置1002の配列を決定することを可能にする、少なくとも1つの核酸プローブまたはオリゴヌクレオチドを含む試験系。
【請求項19】
P2X1プロモーターの配列番号1の位置304の配列を決定するための配列番号3または配列番号4を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、P2X1プロモーターの配列番号1の位置764の配列を決定するための配列番号5または配列番号6を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、P2X1プロモーターの配列番号1の位置838の配列を決定するための配列番号7または配列番号8を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、および/または、P2X1プロモーターの配列番号1の位置1002の配列を決定するための配列番号9または配列番号10を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項18に記載の試験系。
【請求項20】
血栓性疾患を発症する素因の診断のための、請求項18または19に記載の試験系の使用。
【請求項21】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置304におけるTが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置764におけるCが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
両方の対立遺伝子の位置304におけるT、または両方の対立遺伝子の位置764におけるCが、脳卒中、特に一時的な虚血性発作(TIA)または長期の可逆性虚血性神経障害(PRIND)の危険性の減少の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
位置304におけるC、または位置764におけるGが脳卒中の危険性の増大の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置838におけるTが、早発性心筋梗塞の危険性の増大の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項26】
少なくとも1つの対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子の位置1002におけるCが、末梢血管性疾患(PVD)の危険性の増大の指標となる、請求項20に記載の使用。
【請求項27】
個体から得られた組織検体におけるP2X1タンパク質の量の測定のための、少なくとも1つの抗P2X1抗血清、抗P2X1抗体、または抗P2X1抗体断片を含む試験系。
【請求項28】
血栓性疾患を発症する素因の診断のための請求項27に記載の試験系の使用。
【請求項29】
P2X1タンパク質の量の変化が、抗血栓剤により予防的または治療的処置ができる個体の指標となる、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
配列番号1の位置304におけるTまたはC、位置764におけるCまたはG、位置838におけるT、および/または位置1002におけるCの少なくとも1つを含む、P2X1プロモーター変異体。
【請求項31】
請求項30のP2X1プロモーター変異体を含み、このプロモーター変異体が検出可能な生成物の合成を指示している、試験系。
【請求項32】
抗血栓剤のスクリーニングのための、請求項31に記載の試験系の使用。
【請求項33】
抗血栓剤のスクリーニングのための方法であって、
(a)請求項30のP2X1プロモーター変異体を用意し、
(b)P2X1プロモーター変異体を被験化合物と接触させ、そして
(c)P2X1プロモーター変異体の活性を測定する、
工程を含む方法。
【請求項34】
被験化合物のハイスループット・スクリーニングに適合する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
血栓性疾患を発症する素因を有する個体の予防的または治療的処置のために使用できる抗血栓剤を同定する方法であって、
(a)請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法を用いて、血栓性疾患を発症する素因を有する個体を同定し、そして
(b)請求項33または34に記載の方法を用いて、該個体の処置のための抗血栓剤を同定する、
工程を含む方法。
【請求項36】
抗血栓剤の治療用または予防用の用量を適合させる方法であって、
(a)請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法を用いて、血栓性疾患を発症する素因を有する個体を同定し、
(b)請求項33または34に記載の方法を用いて、該個体の処置のための抗血栓剤を同定し、そして、
(c)該個体のための該抗血栓剤の治療用または予防用の有効量を選択する、
工程を含む方法。
【請求項37】
血栓性疾患を発症する素因の診断のための方法もしくは試験系、抗血栓剤のスクリーニングのための方法もしくは試験系、抗血栓剤で処置できる個体を同定するための方法もしくは試験系、または抗血栓剤の治療用もしくは予防用の用量を適合させるための方法もしくは試験系の開発のための請求項30に記載のP2X1プロモーター変異体の使用。

【公表番号】特表2007−530059(P2007−530059A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505423(P2007−505423)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002761
【国際公開番号】WO2005/095642
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】