説明

血流脈波検査装置

【課題】本発明は被験者の血流を手軽に計測することを課題とする。
【解決手段】血流脈波検査装置10は、被験者Xの手首、足首に取付けられる血流計測部20(20A〜20D)と、コントローラ30とを有する。血流計測部20(20A〜20D)は、少なくとも無線通信装置40と、光センサ部50と、計測制御部60と、充電式電池70を有する。コントローラ30は、携帯可能なコンパクトに構成されており、少なくとも無線通信装置80と、制御部90と、記憶部100と、充電式電池110とを有する。血流計測部20(20A〜20D)は、計測された血流の計測データを無線通信装置40を介してコントローラ30に送信する。コントローラ30は、記憶部100に格納された各計測データを比較してABI制御処理、PWV制御処理を実行し、検査結果を記憶部100に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血流脈波検査装置に係り、特に被験者の血流を計測する血流脈波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、動脈血管壁にコレストロール(脂質)が沈着し、血管が硬化すると共に、血管の内腔が狭くなることで動脈硬化が生じた場合、血圧と脈波を検査する検査装置により動脈硬化の進行を数値化する検査方法がある。
【0003】
このような検査装置では、被験者の手首及び足首の血圧を計測するためのカフを巻き付け、カフを空気により加圧した状態から減圧することで血圧を計測することになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、手首の血圧と足首の血圧との比(足関節/上腕血圧比)からABI(Ankle Brachial Pressure Index)の数値を求め、当該ABIの値が評価基準のどのレベル(数値範囲)に含まれるのかによって動脈硬化の進行具合を判定することが可能になる。一般に、ABI検査の検査結果が、0.9<ABIの値<1.3の場合は、正常と判定され、ABIの値≦0.8の場合は、動脈閉塞の可能性が高いと判定され、ABIの値≧1.3の場合は、動脈が石灰化していると判定される。
【0005】
また、上記検査装置では、心臓の拍動(脈波)が動脈を介して手や足まで届く速度(脈波伝播速度)を検査するPWV(Pulse Wave Velocity)検査も行える。脈波の伝播速度は、動脈硬化によって速度が高くなり、正常な血管の場合には弾力性によって速度が低くなる傾向にある。そのため、PWV検査の検査結果から当該被験者の動脈硬化の進行を判定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3140007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された検査装置では、被験者の手首及び足首にカフを巻き付けて加圧、減圧する圧力調整のための機構を有する構成であるので、装置全体が大掛かりになっており、且つ被験者の手足を拘束した状態で検査することになるので、被験者の負担が大きいという問題があった。
【0008】
さらに、被験者は検査装置が設置された病院等でしか検査を受けることができない。そのため、従来の装置では、病院以外の場所(例えば、自宅など)でABI検査、PWV検査を手軽に行なうことができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した血流脈波検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、被験者の手首の血流を計測する第1血流計測手段と、
被験者の足首の血流を計測する第2血流計測手段と、
前記第1血流計測手段により計測された第1血流計測信号と前記第2血流計測手段により計測された第2血流計測信号とに基づく検査結果を演算する制御手段と、
該制御手段の演算結果を記憶する記憶手段と、を備え、
前記第1、第2血流計測手段は、
被計測領域に光を照射する発光部と前記被計測領域を伝搬した光を受光する受光部とを有する光センサ部と、
前記受光部から出力された信号に基づいて被計測領域の血流状態に応じた血流信号を無線信号で出力する無線通信手段とを有することを特徴とする。
(2)本発明の前記制御手段は、前記第1血流計測信号と第2血流計測信号との比からABIの値を演算することを特徴とする。
(3)本発明の前記制御手段は、前記第1血流計測信号と前記第2血流計測信号との時間差からPWVの値を演算することを特徴とする。
(4)本発明は、被験者の首の血流を計測する第3血流計測手段を有し、
前記制御手段は、前記第3血流計測手段により計測された第3血流計測信号と前記第1血流計測手段により計測された第1血流計測信号との比と、前記第3血流計測手段により計測された第3血流計測信号と前記第2血流計測手段により計測された第2血流計測信号との比とを演算することを特徴とする。
(5)本発明の前記第1〜第3血流計測手段は、被験者の所定部位に吸着される吸着部を有することを特徴とする。
(6)本発明の前記発光部は、血液中の酸素飽和度によって光学特性に影響を受けにくい波長を有する第1の光と、血液の酸素飽和度によって光学特性に影響を受ける波長を有する第2の光とを出射することを特徴とする。
(7)本発明の前記制御手段は、前記受光部が前記第1の光を受光したときの第1の透過光量と、前記第2の光を受光したときの第2の透過光量とを比較して前記被計測領域の血流状態に応じた信号を出力することを特徴とする。
(8)本発明の前記制御手段は、少なくとも前記2つの受光部から出力された前記第1、第2の光の透過光量に応じた計測データに基づいて前記被計測領域の血流状態を計測することを特徴とする。
(9)本発明の前記光センサ部は、
前記発光部から前記被計測領域に進む光に対する屈折率と、前記被計測領域から前記受光部に進む光の屈折率とが異なるように構成された光路分離部材を有し、
前記発光部と前記受光部とが前記光路分離部材を介して光の発光、受光を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1、第2血流計測手段が被計測領域に光を照射する発光部と被計測領域を伝搬した光を受光する受光部とを有し、受光部から出力された信号に基づいて被計測領域の血流状態に応じた血流信号を無線信号で出力するため、被験者の手足を拘束することなく手軽に被験者の手首、足首の血流を計測し、当該被験者の検査結果を記憶手段に記憶させることが可能になり、被験者が病院以外の場所でも血流の計測が可能であるので、被験者の日常生活におけるABI検査、PWV検査を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による血流脈波検査装置の一実施例の装着状態を示す図である。
【図2A】血流計測部の構成を示す斜視図である。
【図2B】血流計測部の装着状態を示す断面図である。
【図3】血流脈波検査システムの構成を示すシステム系統図である。
【図4】光センサ部の構成を拡大して示す縦断面図である。
【図5】血流計測方法の原理を説明するための図である。
【図6】レーザ光の波長と、血液の酸素飽和度を変えた場合の光の吸収状態の関係を示すグラフである。
【図7】光センサユニットで検出される検出信号の波形図である。
【図8】各光センサユニットからの検出信号に基づくABI制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】各光センサユニットからの検出信号に基づくPWV制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】血流脈波検査装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
〔血流脈波検査装置の構成〕
図1は本発明による血流脈波検査装置の一実施例の装着状態を示す図である。図1に示されるように、血流脈波検査装置10は、被験者Xの手首、足首に取付けられる血流計測部20と、コントローラ30とを有する。血流計測部20は、少なくとも無線通信装置(無線通信手段)40と、光センサ部50と、計測制御部60と、充電式電池70とを有する。コントローラ30は、携帯可能なコンパクトに構成されており、少なくとも無線通信装置(無線通信手段)80と、制御部90と、記憶部(記憶手段)100と、充電式電池110とを有する。
【0015】
血流計測部20は、被験者Xの左右の手首に取り付けられる第1血流計測部(第1血流計測手段)20A、20Cと、被験者Xの左右の足首に取り付けられる第2血流計測部(第2血流計測手段)20B、20Dとを有する。血流脈波検査装置10は、第1血流計測部20A、20Cにより計測された第1血流計測信号と、第2血流計測部20B、20Dにより計測された第2血流計測信号とを計測データとして記憶部100に記憶させる。記憶部100では、各血流計測部20A〜20D毎の計測データを計測された日付、時間の順に整理して時系列的に記憶する。
【0016】
血流計測部20(20A〜20D)は、連続して各計測領域の血流を計測する連続計測モードと、予め設定された任意の所定時間(例えば、5分間)継続して各計測領域の血流を計測し、その後所定時間(例えば、15分間)計測を行なわない間欠計測モードとを適宜選択することができる。また、間欠計測モードを選択する場合には、計測時間と非計測時間とを任意の時間に設定することにより、充電式電池70の消耗を抑制して計測可能時間を延長することが可能になる。
【0017】
尚、本実施例では、血流計測部20(20A〜20D)が被験者Xの両手首、両足首に取り付けられる場合を一例として示すが、これに限らず、例えば、左側または右側の手首、足首に一組の血流計測部20を取付けても良い。
【0018】
コントローラ30の制御部90は、設定された計測モードに応じて無線通信装置80を介して血流計測部20(20A〜20D)に血流計測の開始を指示する計測開始信号を出力し、予め設定された計測時間に達した時点で計測停止信号を出力する。
【0019】
血流計測部20(20A〜20D)は、コントローラ30からの計測開始信号を受信すると共に、光センサ部50による血流計測を開始し、計測された血流の計測データを無線通信装置40を介してコントローラ30に送信する。コントローラ30は、無線通信装置80で受信した各計測データを記憶部100に時系列的に記憶させる。また、コントローラ30は、図3に示されるように、データベース230に格納された各計測データを比較して後述するABI制御処理、PWV制御処理を実行し、血流検査結果を記憶部100に記憶させる。
【0020】
従って、血流脈波検査装置10によれば、被験者Xの手足を拘束することなく手軽に被験者Xの手首、足首の血流を計測し、当該被験者Xの血流検査結果(各計測データ、及びABI検査結果、PWV検査結果を含む)を記憶部100に記憶させることが可能になり、被験者Xが病院以外の場所でも血流の計測が可能であるので、被験者Xの日常生活におけるABI検査、PWV検査を行なうことが可能になる。
〔血流計測部の構成〕
図2Aは血流計測部20(20A〜20D)の構成を示す斜視図である。図2Aに示されるように、血流計測部20(20A〜20D)は、薄い樹脂製のベルト170にフレキシブル基板120が保持されており、フレキシブル基板120上には、通信用アンテナ130と、光センサ部50と、計測制御部60と、充電式電池70とが実装されている。また、ベルト170の両端部付近には、被装着部のサイズに応じて巻き付け長さを調整して締結される締結部172が設けられている。尚、締結部172は、ベルト170と重ね合わせることで簡易的に締結されるように構成されている。
【0021】
図2Bは血流計測部20(20A〜20D)の装着状態を示す断面図である。図2Bに示されるように、ベルト170の内側には、被験者Xの手首、足首に密着した状態を保持する吸着部材140が設けられている。吸着部材140は、吸盤のように被検査領域の皮膚に吸着するように弾性を有するラバーによって環状に形成されている。光センサ部50は、ベルト170の外側に保持されており、光センサの発光面及び受光面が吸着部材140の中空部分を介して被検査領域の皮膚に近接するように取り付けられる。
〔血流脈波検査システム構成〕
図3は血流脈波検査システムの構成を示すシステム系統図である。図3に示されるように、血流脈波検査システム200は、上記血流計測部20(20A〜20D)と、コントローラ30と、計測データ表示装置210とを有する。計測データ表示装置210は、例えば、病院等の医療機関に設置されており、データ読み取り器220と、データベース230と、計測データ判定制御装置240と、ディスプレイ装置250とを有する。
【0022】
また、コントローラ30は、タッチパネル方式の入力部160を有し、入力部160からの入力操作によって計測モード(連続計測モードまたは間欠計測モード)、計測時間の設定や、記憶部100に格納された計測データ及び検査結果をデータベース230に転送させる転送指示信号などの入力が行える。尚、コントローラ30の記憶部100に記憶された血流計測部20(20A〜20D)の計測データは、例えば、1週間分をまとめて計測データ表示装置210のデータベース230に転送されて格納される。
【0023】
データ読み取り器220は、コントローラ30の出力部150に接続され、コントローラ30の記憶部100に記憶されたABI検査結果、PWV検査結果、及び計測データ(例えば、血流計測部20(20A〜20D)により計測された1週間分のデータ)を読み取る。
【0024】
また、計測データ判定制御装置240は、データベース230に格納された各計測データ、及び後述するABI制御処理、PWV制御処理の演算結果(検査結果)を読み込み、検査結果に基づいて判定した動脈硬化の進行度を判定してディスプレイ装置250に表示させる。これにより、医療機関の医師は、計測データ表示装置210のディスプレイ装置250に表示された計測データ、検査結果をみて被験者Xの容体を診察することが可能になる。
〔光センサ部50の構成〕
ここで、光センサ部50の構成について説明する。図4は光センサ部50の取付構造を拡大して示す縦断面図である。
【0025】
図4に示されるように、光センサ部50は、ドーム状に形成されたフレキシブル配線板122の内側に3個の光センサユニット50A〜50Cが1列に並設されている。
【0026】
各光センサユニット50A,50B,50Cは、ベルト170が被験者Xの被計測領域(手首、足首)に締結されると、先端部分の発光面、受光面が被験者Xの皮膚表面300に近接(または接触)するように保持される。各光センサユニット50A,50B,50Cは、夫々が同一構成であり、同一箇所に同一符号を付す。
【0027】
光センサユニット50Aは、発光部320と、受光部330と、光路分離部材340とを有する。発光部320は、皮膚表面300にレーザ光(出射光)Aを照射するレーザダイオードからなる。受光部330は、受光した透過光量に応じた電気信号を出力する受光素子からなる。光路分離部材340は、例えば、ホログラムを利用したホログラフィック光学素子(HOE:Holographic Optical Element)からなり、発光部320から被計測領域に向けて照射されたレーザ光Aに対する屈折率と、被計測領域を通過して入射され受光部330に進む入射光B、Cの屈折率とが異なるように構成されている。
【0028】
また、光路分離部材340の外周には、円筒形状に形成されたハウジング350が嵌合している。発光部320及び受光部330は、上面側がフレキシブル配線板122の下面側に実装されている。フレキシブル配線板122には、計測制御部60に接続される配線パターンが形成されており、配線パターンには各光センサユニット50A〜50Cに対応する位置に発光部320及び受光部330の接続端子が半田付けなどによって電気的に接続されている。フレキシブル配線板122は、光センサユニット50A〜50Cの先端が被計測領域に接触した際の皮膚表面300の形状に応じて撓むように構成されている。
【0029】
血流計測を行なう際、計測制御部60は、光センサユニット50Aの発光部320からレーザ光Aを発光させる。このとき、発光部320から出射されるレーザ光は、酸素飽和度の影響を受けない波長λ(λ≒805nm)で出力される。
【0030】
また、各光センサユニット50A〜50Cは、先端(光路分離部材340の端面)が皮膚表面300の被計測領域に当接した状態に保持されている。発光部320から出射されるレーザ光Aは、光路分離部材340を透過して皮膚表面300に対して垂直方向から入射される。皮膚表面300の内部(体内)においては、レーザ光Aが中心部に向けて進行すると共に、レーザ光Aが入射位置を基点として皮膚表面300に沿うように周辺に向けて伝搬する。このレーザ光Aの光伝搬経路370は、側方からみると円弧状に形成され、血管380を通過して皮膚表面300に戻る。
【0031】
このように光伝搬経路370を通過した光は、血管380を流れる血液に含まれる赤血球の量または密度に応じた透過光量に変化しながら受光側の光センサユニット50B,50Cに到達する。また、レーザ光Aは、脳内部を伝搬する過程で透過光量が徐々に低下するため、レーザ光Aが入射位置を基点から離れる程、距離に比例して受光部330の受光レベルが低下する。従って、レーザ光Aの入射位置からの離間距離によっても受光される透過光量が変化する。
【0032】
図4において、左端に位置する光センサユニット50Aを発光側基点とすると、その光センサユニット50A自身と、その右隣りの光センサユニット50Bと、さらに右隣りの光センサユニット50Cとは、受光側基点(計測ポイント)となる。
【0033】
光路分離部材340は、例えば、透明なアクリル樹脂の密度分布を変化させることで、レーザ光Aを直進させ、入射光B、Cを受光部330に導くように形成されている。また、光路分離部材340は、発光部320から出射されたレーザ光Aを基端側(図4では上面側)から先端側(図4では下面側)に透過させる出射側透過領域342と、体内を伝搬した光を先端側(図4では下面側)から基端側(図4では上面側)に透過させる入射側透過領域344と、出射側透過領域342と入射側透過領域344との間に形成された屈折領域346とを有する。この屈折領域346は、レーザ光Aを透過させるが、血流を通過した光(入射光B、C)を反射させる性質を有する。屈折領域346は、例えば、アクリル樹脂の密度を変化させたり、この領域に金属薄膜を設けたり、金属の微粒子を分散させることにより形成される。これにより、光路分離部材340の先端から入射された光は全て受光部330に集光される。
〔血流計測方法の原理〕
図5は血流計測方法の原理を説明するための図である。図5に示されるように、外部から血管380内の血液に対しレーザ光Aを照射すると、血液層390に入射したレーザ光Aは、通常の赤血球392による反射散乱光成分、及び付着血栓による反射散乱光成分の両成分の光として、血液中を透過して進行する。
【0034】
光が血液層を透過する過程において受ける影響は、血液の状態によって刻々と変化するため、透過光量(反射光量としてもよい)を連続的に計測し、その光量変化を観測することによりさまざまな血液の性質の変化を観察することが可能となる。
【0035】
被験者Xの活動が活発になると、体内での酸素消費量が増加するため、酸素を運搬する赤血球のヘマトクリット及び血液の酸素飽和度に起因する血流の状態が光量の変化となって現れる。
【0036】
ここで、ヘマトクリット(Hct:単位体積当たりの赤血球の体積比、即ち、単位体積当たりの赤血球の体積濃度を示す。Htとも表記する。)等の変化も同様にヘモグロビン密度の変化に関係する要因であり、光量変化に影響を及ぼす。本実施例における基本的な原理は、このようにレーザ光Aを用いた、血流による光路・透過光量の変化で血流の状態を計測する点である。
【0037】
さらに、その原理的な構成について説明する。血液の光学的特性は、血球成分(特に赤血球の細胞内部のヘモグロビン)によって決定される。また、赤血球は、ヘモグロビンが酸素と結合しやすい性質を有しているので、酸素を運搬する役目も果たしている。そして、血液の酸素飽和度は、血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを表す数値である。また、酸素飽和度は動脈血液中の酸素分圧(PaO2)と相関があり、呼吸機能(ガス交換)の重要な指標である。
【0038】
酸素分圧が高ければ酸素飽和度も高くなることが分かっており、酸素飽和度が変動すると、血液を透過した光の透過光量も変動する。そのため、血流の計測を行なう際は、酸素飽和度の影響を除くことでより正確な計測が可能になる。
【0039】
また、酸素分圧(PaO2)に影響を与えている因子としては、肺胞換気量があり、さらには大気圧や吸入酸素濃度(FiO2)などの環境、換気/血流比やガス拡散能、短絡率などの肺胞でのガス交換がある。
【0040】
コントローラ30は、上記光センサユニット50A〜50Cの受光部330によって生成された透過光量(光強度)に応じた計測データに基づき、後述するABI制御処理、PWV制御処理を実行して血流状態を検出する。
【0041】
発光部320のレーザ光Aは、所定時間間隔(例えば、10Hz〜1MHz)で間欠的に照射されるパルス光又は連続光として照射する。この場合、パルス光を用いる場合には、パルス光の点減する周波数である点減周波数を、血液流速に応じて決定し、連続的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周波数で計測する。また、連続光を用いる場合には、計測サンプリング周波数を、血液流速に応じて決定して計測する。
【0042】
血液中のヘモグロビン(Hb)は、呼吸をすることにより肺で酸素と化学反応を生じてHbO2となり血液中に酸素を取り込むこととなるが、呼吸の状態等により、血液に酸素を取り込んだ度合(酸素飽和度)が微妙に異なる。すなわち、本実施例では、血液に光を照射すると、この酸素飽和度によって光の吸収率が変化するという現象を発見し、この現象は上記レーザ光Aによる血流の計測において外乱要素となるため、酸素飽和度による影響を除去することが可能になる。
【0043】
図6はレーザ光の波長と、血液の酸素飽和度を変えた場合の光の吸収状態の関係を示すグラフである。体内では赤血球に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合した酸化ヘモグロビン(HbO2:グラフII(破線で示す))と酸化されていないヘモグロビン(Hb:グラフI(実線で示す))に分けられる。この2つの状態では、光に対する光吸収率が大きく異なる。例えば、酸素をたっぷりと含んだ血液は鮮血として色鮮やかである。一方、静脈血は酸素を手放しているのでどんよりと黒ずんでいる。これらの光吸収率の状態は、図6のグラフI,IIに示すように広い光の波長領域で変化している。
【0044】
この図6のグラフI,IIから特定の波長を選択することにより、生体内の酸素代謝などにより赤血球中のヘモグロビンの酸素飽和度が大きく変動しても、光吸収率が影響を受けないで血液に光を照射して血流を計測できることが分かる。
【0045】
赤血球中のヘモグロビンの酸素飽和度によらず、ある波長領域では光吸収率が小さくなっている。これにより、光が波長λによって血液層を通過しやすいか否かが決まることになる。従って、所定の波長領域(例えば、λ=800nm近辺から1300nm近辺)の光を用いれば、酸素飽和度の影響を小さく抑制して血流を計測することが可能となる。
【0046】
よって、レーザ光Aの波長領域は、ほぼ600nm近辺から1500nmを利用し、これにより、ヘモグロビン(Hb)の光吸収率が実用上十分低くかつ、この領域に等吸収点Zを含むため、2波長以上の計測点を活用し、計算上、等吸収点とみなせる。つまり、酸素飽和度の影響を受けない仕様とすることが可能となる。
【0047】
尚、それ以外の波長領域、例えば、λ=600nm未満では、光吸収率が高くなりS/Nが低下し、λ=1500nmをこえた波長では、受光部330の受光感度が十分でなく血液中の他の成分等の外乱が影響し精度のよい計測ができなくなる。
【0048】
このため、本実施例では、発光部320に波長可変半導体レーザからなる発光素子を用い、発光部120から発光されるレーザ光Aの波長を、グラフI,IIで等吸収点Zとなるλ1=805nm(第1の光)と、グラフIにおいて光吸収率が最も低い波長λ2=680nm(第2の光)の2種類に設定する。
【0049】
ここで、レーザ光Aが光伝搬経路370(図4参照)を介して伝搬した光を受光する場合の透過光量に基づく赤血球濃度R,Rp,Rpwの検出方法について説明する。
【0050】
従来の計測方法で行なわれた1点1波長方式を用いた場合の赤血球濃度Rの演算式(1)は、次式のように表せる。
R=log10(Iin/Iout)=f(Iin,L,Ht)…(1)
この(1)式の方法では、赤血球濃度が発光部320から出射されたレーザ光Aの入射透過光量Iinと、発光部320と受光部330との距離(光路長)Lと、前述したヘマトクリット(Ht)との関数になる。そのため、(1)式の方法で赤血球濃度を求める際は、3つの因子によって赤血球濃度が変動するため、赤血球濃度を正確に計測することが難しい。
【0051】
本実施例による2点1波長方式を用いた場合の赤血球濃度Rpの演算式(2)は、次式のように表せる。
Rp=log10{Iout/(Iout−ΔIout)}=Φ(ΔL,Ht)…(2)
この(2)式の方法では、図4に示すようにレーザ光Aから距離の異なる2点(光センサユニット50B,50Cの受光部130)で受光するため、赤血球濃度は2つの受光部330間距離ΔLと、前述したヘマトクリット(Ht)との関数になる。そのため、(2)式の方法で赤血球濃度を求める際は、2つの因子のうち受光部330間距離ΔLが予め分かっているので、赤血球濃度がヘマトクリット(Ht)を係数とした値として計測される。よって、この演算方法では、赤血球濃度をヘマトクリット(Ht)に応じた計測値として正確に計測することが可能になる。
【0052】
さらに、本実施例の変形例による2点2波長方式を用いた場合の赤血球濃度Rpwの演算式(3)は、次式のように表せる。
Rpw
=[log10{Iout/(Iout−ΔIout)}λ1]/[log10{Iout/(Iout−ΔIout)}λ2]
=ξ(Ht)・・・(3)
この(3)式の方法では、発光部320から出射されるレーザ光Aの波長を異なるλ1,λ2(本実施例では、λ1=805nm、λ2=680nmに設定する)とすることで赤血球濃度をヘマトクリット(Ht)のみの関数として計測される。よって、この演算方法によれば、赤血球濃度をヘマトクリット(Ht)に応じた計測値として正確に計測することが可能になる。
【0053】
光の伝搬は、レーザ光Aが照射された基点から半径方向に離間するほど光伝搬経路が長くなって光透過率が低下するため、発光側の光センサユニット50Aに所定距離離間して隣接された光センサユニット50Bの受光レベル(透過光量)は強く、その次はその隣りに所定距離離間して設けられた光センサユニット50Cの受光レベル(透過光量)が光センサユニット50Bの受光レベルより弱く検出される。また、発光側の光センサユニット50Aの受光部330でも、皮膚表面300からの光を受光する。コントローラ30では、これらの複数の光センサユニット50A〜50Cで受光された光強度に応じた検出信号を記憶部100に時系列的に記憶させる。
【0054】
また、各光センサユニット50A〜50Cから出力された検出信号(受光した透過光量に応じた信号)を前述した(2)式または(3)式のIoutとすることで赤血球濃度をヘマトクリット(Ht)に応じた計測値(酸素飽和度に影響されない値)として正確に計測することが可能になる。
【0055】
図7は各光センサユニット50A〜50Cの検出信号の波形を示す波形図である。図7に示されるように、発光部320から出射されるレーザ光Aの出射時Tsを基点として受光部検出信号波形(A)〜(C)を比較することで、出射時Tsと受光部検出信号(A)〜(C)の最低値との位相差T1〜T3が求まる。
【0056】
位相差T1〜T3は、T1<T2<T3の関係にあり、脈波伝搬速度に応じて変化する。各光センサユニット50A〜50Cの検出信号の位相差、T2−T1=Δt1、T3−T1=Δt2によってPWVの近似値Δt1、Δt2が求まる。
【0057】
また、各光センサユニット50A〜50Cの検出信号の最大出力X1〜X3は、X1>X2>X3の関係にあり、体内(血液中)を伝播した際の光強度に応じて変化し、光強度は伝搬系路の血流の増減に応じて変化する。各光センサユニット50A〜50Cの検出信号の波形の出力比X1/X2、X1/X3を演算してABIの近似値が求まる。
〔計測データ判定制御装置240による制御処理〕
ここで、上記原理に基づき計測データ判定制御装置240が実行するABI制御処理、PWV制御処理について説明する。
【0058】
図8は各光センサユニットからの検出信号に基づくABI制御処理を説明するためのフローチャートである。図8に示されるように、計測データ判定制御装置240は、S11でデータベース230に格納された各計測データ(血流に応じた透過光量による計測データ)を読み込む。続いて、S12に進み、各計測データと前述した演算式(2)または(3)を用いて赤血球濃度RpまたはRpwを演算する。
【0059】
次のS13では、各計測位置毎の赤血球濃度の変化から血流による血管および血管周辺の組織の変位状態の変化を求め、当該血管および血管周辺の組織の変位状態に基づいて各計測位置毎の血流速度を導出する。
【0060】
続いて、S14に進み、各光センサユニット50A〜50Cから出力された検出信号波形(または血流変化に対応する内壁変位データの波形)を比較する。
【0061】
次のS15では、図7に示されるように、検出信号(A)〜(C)の波形の出力比X1/X2、X1/X3を演算してABIの近似値を求める。
【0062】
続いて、S16では、ABIの近似値に基づく動脈硬化度をデータベース230に格納すると共に、今回得られたABIの近似値及びABIの近似値に基づく動脈硬化度に対応した血管特性の計測結果をディスプレイ装置250に表示する。尚、被験者Xの両手首、両足首に4個の血流計測部20(20A〜20D)が取り付けられている場合は、左側同士、右側同士で計測データを比較し、比較した平均値を演算結果として記憶する。
【0063】
続いて、S17に進み、各光センサユニット50A〜50Cの全計測データ(例えば、1週間分の全データ)についてのABIの演算、及び血管特性の検出が完了したか否かをチェックする。S17において、全計測データについてのABIの演算、及び血管特性の検出が完了していないときは、上記S11に戻り、S11以降の処理を繰り返す。
【0064】
また、S17において、全計測データについてのABIの演算、及び血管特性の検出が完了したときは、S18に進み、コントローラ30から入力された全計測データのABI計測結果、及び血管特性をモニタ290に表示する。これにより、被験者Xが所定期間(例えば、1週間)の生活の中で計測された全計測データに基づく、ABI計測結果、及び血管特性を確認することが可能になる。
【0065】
図9は各光センサユニットからの検出信号に基づくPWV制御処理を説明するためのフローチャートである。図9において、S21〜S24の処理は、前述したS11〜S14の処理と同じなので、説明を省略する。
【0066】
S25では、図7に示されるように、検出信号(A)〜(C)の検出信号の波形の位相差、T2−T1=Δt1、T3−T1=Δt2によってPWVの値Δt1、Δt2を演算する。さらに、PWVの値に基づく脈波伝搬速度を演算し、当該脈波伝搬速度に対応する被測定領域の血管特性(血管の弾性の割合、血管内のプラーク量、動脈硬化の割合)をデータベース230から導出して当該被測定領域における血管の動脈硬化度を導出する。続いて、S26では、PWVの値に基づく脈波伝搬速度及び血管の動脈硬化度をデータベース230に格納すると共に、PWVの値に基づく脈波伝搬速度及び血管の動脈硬化度をディスプレイ装置250に表示する。尚、被験者Xの両手首、両足首に4個の血流計測部20(20A〜20D)が取り付けられている場合は、左側同士、右側同士で計測データの位相差を求め、左右両側の各位相差の平均値を演算結果として記憶する。
【0067】
続いて、S27に進み、各光センサユニット50A〜50Cの全計測データ(例えば、1週間分の全データ)についてのPWVの演算、及び脈波伝搬速度の検出が完了したか否かをチェックする。S27において、全計測データについてのPWVの演算、及び脈波伝搬速度の検出が完了していないときは、上記S21に戻り、S21以降の処理を繰り返す。
【0068】
また、S27において、全計測データについてのPWVの演算、及び脈波伝搬速度の検出が完了したときは、S28に進み、コントローラ30から入力された全計測データのPWV計測結果、及び脈波伝搬速度をモニタ290に表示する。これにより、被験者Xが所定期間(例えば、1週間)の生活の中で計測された全計測データに基づく、PWV計測結果、及び脈波伝搬速度を確認することが可能になる。
〔変形例〕
図10は血流脈波検査装置の変形例を示す斜視図である。図10に示されるように、変形例の血流脈波検査装置400は、被験者Xが座る椅子410に血流計測部20(20A〜20D)が取り付けられている。被験者Xの手首の血流を計測する血流計測部20A、20Cは、肘掛け412,414に設けられている。また、被験者Xの足首の血流を計測する血流計測部20B、20Dは、足掛け凹部416,418に設けられている。
【0069】
また、椅子410の背もたれ上部420の左側面には、水平方向に回動可能な回動アーム450が支持されており、回動アーム450の先端には、第3血流計測部(第3血流計測手段)20Eが設けられている。当該血流計測部20Eは、被験者Xの首の血流を正面から計測するように移動可能に取り付けられている。尚、血流計測部20Eは、被験者Xの首を圧迫しないように回動アーム450及び血流計測部20Eの重量が首に作用しないように安定的に支持されている。
【0070】
また、血流計測部20Eは、比較的心臓に近い首の頸動脈の血流を計測することが可能である。そのため、血流計測部20Eにより計測された血流の計測データを基点として手首、足首に取り付けられた血流計測部20A〜20Dの計測データとの比較によってもABI検査、PWV検査を行なうことが可能になる。
【0071】
すなわち、計測データ判定制御装置240は、第3血流計測部20Eにより計測された第3血流計測信号と第1血流計測部20A、20Cにより計測された第1血流計測信号との比と、第3血流計測部により計測された第3血流計測信号と第2血流計測部20B、20Dにより計測された第2血流計測信号との比とを演算することでABIの値を算出することが可能になる。また、計測データ判定制御装置240は、第3血流計測部20Eにより計測された第3血流計測信号と第1血流計測部20A、20Cにより計測された第1血流計測信号との時間差と、第3血流計測部により計測された第3血流計測信号と第2血流計測部20B、20Dにより計測された第2血流計測信号との時間とを演算することでPWVの値を算出することが可能になる。
【0072】
また、椅子410の右側面には、コントローラ30Aが設置されている。さらに、椅子410の左側の肘掛け414には、タッチパネル方式の液晶パネルからなる入力部160Aが設けられている。被験者Xは、椅子410に座った状態で入力部160を操作して各設定条件を入力することができると共に、各血流計測部20A〜20Eからの計測データを液晶パネルの表示で確認することもできる。
【0073】
コントローラ30Aは、各血流計測部20A〜20Eからの計測データを記憶するメモリカード(記憶手段)430が挿入されるメモリカードリーダ/ライタ440を有する。被験者Xは、メモリカード430をメモリカードリーダ/ライタ440から取り出して医療機関に持って行く。そして、医療機関のオペレータは、メモリカード430に記憶された計測データ、検査結果を医療機関の計測データ表示装置210に読み込ませてデータベース230にメモリカード430の計測データを転送させる。
【0074】
これにより、医療機関の医師は、計測データ表示装置210のディスプレイ装置250に表示された計測データ、検査結果をみて被験者Xの容体を診察することが可能になる。
【0075】
尚、メモリカード430に記憶された計測データの転送方法としては、パーソナルコンピュータのカードリーダ/ライタにメモリカード430を挿入し、インターネットを介して医療機関の計測データ表示装置210に送信する方法でも良い。
【0076】
被験者Xは、例えば、自宅に血流脈波検査装置400を設置することにより、自宅の椅子410に座る度に各血流計測部20A〜20Eが血流を計測し、各血流計測部20A〜20Eから出力された計測データがメモリカード430に記憶される。そのため、被験者Xは、医療機関に行かなくても自宅で血流の計測データを記録することが可能になる。
【0077】
従って、血流脈波検査装置400によれば、被験者Xの手足を拘束することなく手軽に被験者Xの手首、足首の血流を計測し、当該被験者Xの検査結果を記憶部100に記憶させることが可能になり、被験者Xが病院以外の場所でも血流の計測が可能であるので、被験者Xの日常生活におけるABI検査、PWV検査を行なうことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
尚、上記実施例では、光センサ部50が3個の光センサユニット50A〜50Cを有する構成を例示したが、これに限らず、少なくとも発光部と2個の受光部とを互いに所定距離離間させた構成のものでも良い。
【符号の説明】
【0079】
10、400 血流脈波検査装置
20(20A〜20D)、20E 血流計測部
30、30A コントローラ
40、80 無線通信装置
50 光センサ部
60 計測制御部
70、110 充電式電池
90 制御部
100 記憶部
120 フレキシブル基板
122 フレキシブル配線板
130 通信用アンテナ
140 吸着部材
150 出力部
160 入力部
170 ベルト
200 血流脈波検査システム
210 計測データ表示装置
220 データ読み取り器
230 データベース
240 計測データ判定制御装置
250 ディスプレイ装置
300 皮膚表面
320 発光部
330 受光部
340 光路分離部材
342 出射側透過領域
344 入射側透過領域
346 屈折領域
350 ハウジング
370 光伝搬経路
380 血管
410 椅子
412,414 肘掛け
416,418 足掛け凹部
430 メモリカード
440 メモリカードリーダ/ライタ
450 回動アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の手首の血流を計測する第1血流計測手段と、
被験者の足首の血流を計測する第2血流計測手段と、
前記第1血流計測手段により計測された第1血流計測信号と前記第2血流計測手段により計測された第2血流計測信号とに基づく検査結果を演算する制御手段と、
該制御手段の演算結果を記憶する記憶手段と、を備え、
前記第1、第2血流計測手段は、
被計測領域に光を照射する発光部と前記被計測領域を伝搬した光を受光する受光部とを有する光センサ部と、
前記受光部から出力された信号に基づいて被計測領域の血流状態に応じた血流信号を無線信号で出力する無線通信手段とを有することを特徴とする血流脈波検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1血流計測信号と第2血流計測信号との比からABIの値を演算することを特徴とする請求項1に記載の血流脈波検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1血流計測信号と前記第2血流計測信号との時間差からPWVの値を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の血流脈波検査装置。
【請求項4】
被験者の首の血流を計測する第3血流計測手段を有し、
前記制御手段は、前記第3血流計測手段により計測された第3血流計測信号と前記第1血流計測手段により計測された第1血流計測信号との比と、前記第3血流計測手段により計測された第3血流計測信号と前記第2血流計測手段により計測された第2血流計測信号との比とを演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の血流脈波検査装置。
【請求項5】
前記第1〜第3血流計測手段は、被験者の所定部位に吸着される吸着部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の血流脈波検査装置。
【請求項6】
前記発光部は、血液中の酸素飽和度によって光学特性に影響を受けにくい波長を有する第1の光と、血液の酸素飽和度によって光学特性に影響を受ける波長を有する第2の光とを出射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の血流脈波検査装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記受光部が前記第1の光を受光したときの第1の透過光量と、前記第2の光を受光したときの第2の透過光量とを比較して前記被計測領域の血流状態に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の血流脈波検査装置。
【請求項8】
前記制御手段は、少なくとも前記2つの受光部から出力された前記第1、第2の光の透過光量に応じた計測データに基づいて前記被計測領域の血流状態を計測することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の血流脈波検査装置。
【請求項9】
前記光センサ部は、
前記発光部から前記被計測領域に進む光に対する屈折率と、前記被計測領域から前記受光部に進む光の屈折率とが異なるように構成された光路分離部材を有し、
前記発光部と前記受光部とが前記光路分離部材を介して光の発光、受光を行なうことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の血流脈波検査装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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