説明

血液の抽出のために皮膚をランス処理する改善された方法

本発明は血液の一定のサンプルを得るために皮膚における一定の外表面部を通してその皮膚をランス処理する方法に関連しており、この方法は一定の鋭利化された端部および当該鋭利化された端部から一定のランス用の器具の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の通路を有するランス用の器具を供給する工程、上記鋭利化された先端部分を上記外表面部の下方における第1の所定の深さまで上記皮膚の中に押し入れる工程を含み、この場合に、その鋭利化された先端部分が上記皮膚の表面に一定の切開部分を形成し、その後に、上記鋭利化された先端部分を上記切開部分から完全に後退させる工程、上記鋭利化された先端部分を第2の所定の深さまで上記切開部分の中に押し戻す工程を含み、この場合に、その第2の所定の深さが上記第1の所定の深さほど深くはなく、さらに、上記通路を通して上記センサーまで血液を吸引する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の内容の開示】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、皮膚をランス処理する一定の改善された方法に関連しており、特に、一定の切開部分の形成後にランス用の要素が除去されてから一定の比較的に浅い侵入の深さでその切開部分の中に再び挿入される一定の改善された方法に関連している。
【0002】
発明の背景
血糖値の原位置での試験において、一定のグルコース計器が皮膚に当てて配置されて、血液が採取されてその計器を移動することなく測定される。原位置での試験の一例の方法において、一定のグルコース・センサー片がその先端部において配置される一定のランス用の要素と組み合わされ、その後、このグルコース・センサー片はこのセンサー片およびランス用の要素の組み合わせ体を皮膚に向けて送り出すことに適合している一定の計器の中に配置されて、この場合に、そのランス用の要素が一定の切開部分を形成する。その後、血液または、例えば、間質液等のような別の種々の体液をその切開部分から抽出して上記のグルコース・センサー片に移動することが可能になり、このセンサー片において、その血液または体液が、例えば、一定の電気化学的な処理により測定可能になる。
【0003】
一定の原位置用の試験片を用いて皮膚をランス処理する場合に、可能な限り少量の血液を用いて、その血液を切開部分から試験片に効率良く移すことを確実に行なうことが望ましい。この血液の切開部分からの効率の良い移送は分析物(例えば、グルコース)の種々の値について試験するためにその血液の比較的に多くの量を実際に使用して、必要とされる全体の血液を減少し、それゆえ、その試験のために必要とされる切開部分の大きさを減少することを意味する。さらに、比較的に小さな切開部分は、一般に、その使用者により経験される痛みを減少することが望ましいと言う理由から、特に望ましい。加えて、比較的に小さな切開部分は一般に比較的に速く治癒し、その治癒した部分が再び開く可能性が低い。
【0004】
従って、一定の原位置における試験を採用する場合に、一定の切開部分により生じる血液の量を最大にする一方で、極めて小さな切開部分を形成することが望ましい。一方、特定の切開部分により生じる血液の量に対して多数の要因が影響を及ぼす。これらの要因の多くは制御または調整することが不可能である。このような特定の切開部分において利用可能な血液の量を減少する要因の一例は上記ランス用の要素を除去した後に閉じて再び封じられると言うその切開部分傾向である。また、特定の切開部分において利用可能な血液の量を減少する別の要因はランス用の要素がその傷の中に残されている場合にそのランス用の要素の周囲を封じると言うその傷の傾向である。
【0005】
それゆえ、特定の切開部位において試験するために利用可能な血液の量を増大する一定のランス処理の方法を開発することが有利であると考えられる。さらに、試験処理中に傷が再び封じられることを防ぐことによりランス処理において利用可能な血液の量を増大する一定のランス処理の方法を開発することが有利であると考えられる。加えて、試験処理中に傷がランス用の要素の周囲を封じることを防ぐことによりランス処理において利用可能な血液の量を増大する一定のランス処理の方法を開発することが有利であると考えられる。
【0006】
発明の概要
本発明による一定の方法において、一定のランス用の先端部分が最初に挿入された後にそのランス処理の傷の部位から完全に撤退する。その後、このランス用の先端部分はその元の侵入の深さよりも浅い一定の深さまで上記と同一の傷の中に再び挿入される。このようなランス処理の方法は血液の出現および一定のランス装置と一体化している一定の試験片の中への血液の連続的な移送を容易にしている。
【0007】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上記ランス用の要素は血液の一定のサンプルを得るために皮膚の一定の外表面部を通して挿入される。本発明の一例の実施形態において、上記の方法は一定のランス用の器具を使用する工程を含み、この器具は一定の鋭利化された端部および当該鋭利化された端部からそのランス用の器具の一定の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の流体通路を有しており、さらに上記方法は上記ランス用の要素の鋭利化された先端部分を第1の所定の深さまで皮膚の中に押し入れる工程を含み、この場合に、上記の鋭利化された先端部分は上記皮膚の表面部分における一定の切開部分およびその皮膚の下方における一定の傷を形成し、さらに上記方法は上記の鋭利化された先端部分を含むランス用の要素を完全に後退させる工程を含む。さらに、上記の鋭利化された先端部分を上記の切開部分から完全に後退させた後に、その鋭利化された先端部分は第2の所定の深さまでその切開部分の中に押し戻され、この場合に、その第2の所定の深さは上記第1の所定の深さほど深くない。さらに、上記の鋭利化された先端部分が上記第2の所定の深さに位置決めされた後に、血液が上記通路の中を通して上記センサーに引き込まれる。
【0008】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上述したように、この方法はさらに上記通路の一定の先端部が皮膚の表面部分の下方に配置されることを確実にするために上記第2の所定の深さが十分であることを確実にする工程を含むことができる。例えば、本発明の一例の実施形態において、上記方法は上記第1の所定の深さを約0.25乃至1.5mmの範囲内に設定する工程を含むことができる。さらに、本発明の一例の実施形態において、上記方法は上記第2の所定の深さを約0.05乃至0.25mmの範囲内に設定する工程を含むことができる。
【0009】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上記ランス用の要素は血液の一定のサンプルを得るために皮膚の一定の外表面部を通して挿入される。本発明の一例の実施形態において、上記方法は一定の切開部位(すなわち、切開を行なう予定の部位)の周囲における一定の領域内の皮膚に圧力を加える工程を含む。その後、一定の鋭利化された先端部分および当該鋭利化された先端部分から一定のランス用の器具の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の流体通路を有するランス用の器具を用いて、そのランス用の要素における鋭利化された先端部分を皮膚の中に第1の所定の深さまで押し入れ、この場合に、その鋭利化された先端部分がその皮膚の表面部分における一定の切開部分およびその皮膚の表面部分の下方における一定の傷を形成し、さらに上記の鋭利化された先端部分を含むランス用の要素を完全に後退させる。その後、上記の鋭利化された先端部分を上記の切開部分から完全に後退させた後に、その鋭利化された先端部分がその切開部分の中に第2の所定の深さまで押し戻され、この場合に、その第2の所定の深さは上記第1の所定の深さほど深くない。このようにして上記の鋭利化された先端部分が上記第2の所定の深さに配置されると、血液が上記通路の中を通して上記センサーに引き込まれる。
【0010】
本発明による一定の方法において、一定のランス用の先端部分が、例えば、一定の原位置用の計器等のような、一定のランス用の装置の先端部における一定の開口部よりも先に延出する。このランス用の先端部分は上記開口部よりも先の第1の延出の長さまで延出して一定の傷を形成した後にその開口部を通して後退する。その後、このランス用の先端部分は第2の延出の長さまで上記開口部を通して再び延出し、その第2の延出の長さは上記第1の延出の長さよりも短く、血液が上記ランス用の要素を通して上記の傷から一定のランス装置に対して一体化されている試験片の中に引き上げられる。
【0011】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上記ランス用の要素は血液の一定のサンプルを得るために一定の開口部を通して皮膚の一定の外表面部の中に第1の距離だけ延出する。また、本発明の一例の実施形態において、上記方法は一定の鋭利化された先端部分および当該鋭利化された先端部分から一定のランス用の器具の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の流体通路を有するランス用の器具を用いる工程、上記の鋭利化された先端部分を一定の開口部から先に第1の延出の長さだけ延出させる工程、上記ランス用の要素における鋭利化された先端部分を皮膚の中に押し入れる工程を含み、この場合に、上記の鋭利化された先端部分は皮膚の表面部分における一定の切開部分およびその皮膚の表面部分の下方における一定の傷を形成し、さらに、上記方法は上記ランス用の要素を上記開口部の中に後退させる工程および上記の鋭利化された先端部分を上記開口部から先に第2の延出の長さだけ延出させる工程を含み、この場合に、その第2の延出の深さは上記第1の延出の深さよりも短い。このように上記の鋭利化された先端部分が上記第2の延出の深さに配置されると、血液が上記通路を通して上記センサーに引き込まれる。
【0012】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上述したように、この方法はさらに上記通路の一定の先端部が皮膚の表面部分の下方に配置されることを確実にするために上記の延出の深さが十分であることを確実にする工程を含むことができる。例えば、本発明の一例の実施形態において、上記方法は上記第1の延出の長さを約0.25乃至1.5mmの範囲内に設定する工程を含むことができる。さらに、本発明の一例の実施形態において、上記方法は上記第2の延出の長さを約0.05乃至0.25mmの範囲内に設定する工程を含むことができる。
【0013】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上記ランス用の要素は血液の一定のサンプルを得るために皮膚の一定の外表面部を通して挿入される。本発明の一例の実施形態において、上記方法は一定の切開部位(すなわち、切開を行なう予定の部位)の周囲における一定の領域内の皮膚に圧力を加える工程を含む。その後、一定の鋭利化された先端部分および当該鋭利化された先端部分から一定のランス用の器具の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の流体通路を有するランス用の器具を用いて、そのランス用の要素における鋭利化された先端部分を一定の開口部を通して皮膚の中にその開口部から先に第1の延出の長さまで押し入れ、この場合に、その鋭利化された先端部分がその皮膚の表面部分における一定の切開部分およびその皮膚の表面部分の下方における一定の傷を形成し、さらに上記開口部の中への鋭利化された先端部分を含むランス用の要素を完全に後退させる。その後、上記開口部の中に鋭利化された先端部分を完全に後退させた後に、その鋭利化された先端部分がその開口部を通して上記切開部分の中にその開口部から先に第2の延出の長さまで延出し、この場合に、その第2の延出の長さは上記第1の延出の長さほど長くない。このようにして上記の鋭利化された先端部分が上記第2の延出の長さに配置されると、血液が上記通路の中を通して上記センサーに引き込まれる。
【0014】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上述したように、この方法はさらに一定の搾乳用のリングを供給する工程を含むことができ、この場合に、上記切開部位の周囲の領域内における圧力がその搾乳用のリングにより加えられる。この搾乳用のリングは上記の鋭利化された先端部分を皮膚の中に押し入れる工程の前にその皮膚に配置されて、その処置の残りの全体を通して保持できる。本発明のこのような実施形態において、上記搾乳用のリングは上記ランス用の先端部分の傷の中への再挿入の後に上記通路の中への種々の体液の流れを容易にするために十分な一定の圧力を供給する。本発明の一例の実施形態において、上記搾乳用のリングは約0.5乃至1.5ポンドの一定範囲内の圧力を供給する。本発明のさらに別の実施形態において、上記方法は上記ランス用の要素を送り出す前に所定期間の時間にわたり皮膚に対して上記搾乳用のリングを位置決めする工程を含むことができる。本発明のさらに別の実施形態において、上記所定期間の時間は3秒またはそれ以上にすることができる。
【0015】
本発明の新規な特徴は特に添付の特許請求の範囲において述べられている。本発明のこれらの特徴および利点の一定の比較的に良好な理解が以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより得ることができ、この詳細な説明は例示的な種々の実施形態を説明しており、これらの実施形態において本発明の原理が利用されている。
【0016】
本発明の例示的な実施形態の詳細な説明
図1は本発明による一定の方法において使用するための一定のランス用の要素および試験片の斜視図である。図1において、ランス用の要素15はセンサー片100に接続している。このセンサー片100は、例えば、一定のグルコース・センサー片とすることができ、このセンサー片は、例えば、血液または間質液等のような、一定の体液中のグルコースの量を測定するための電気化学的な手段を用いている。図1において、ランス用の要素はさらにランス用の先端部分22を有している。一方、センサー100はさらに第1の電極接触部材10、接着層11、導電性の支持体12、換気穴13、分析物感知層14、第2の電極接触部材17、絶縁性の支持体18、絶縁層20、整合穴23および作用電極36を有している。
【0017】
図2は本発明による一定の方法において使用するための一定のランス用の要素および試験片の上部層の斜視図である。この図2において、上部層は導電性の支持体12により形成されている。図2において示されている実施形態において、導電性の支持体12は換気穴13および整合穴23を有している。さらに、図2において、ランス用の要素はランス用の先端部分22、通路の先端部分24および充填通路21を有している。
【0018】
本発明による一定の方法において使用するために適している一定のランス用の要素およびセンサー片の一例の実施形態は上記の図1および図2に基づいて説明できる。これらの図1および図2において示されている実施形態において、センサー片100は第1の電極接触部材10を有しており、この場合に、この第1の電極接触部材は一定の絶縁性の支持体18の上に印刷されているスクリーンとすることができ、さらに上記センサー片100は第2の電極接触部材17を有しており、この場合に、この第2の電極接触部材は上部基準電極19およびランス用の要素15に隣接している導電性の支持体12の一部分を構成している。
【0019】
図1および図2において示されているランス用の要素およびセンサーの実施形態において、上記第1の電極接触部材10および第2の電極接触部材17の配向は一定の分析物測定用の計器、例えば、一定のグルコース計器(図示されていない)がセンサー片100に対して電気的な接触を確立できるように配列されている。図示の実施形態において、これらの電極はこれら両方の電極のセンサー片100の基端部における接触を容易にするために絶縁性の支持体18の同じ側に配列されている。
【0020】
上記センサー片100は導電性の支持体12に対して絶縁性の支持体18を取り付けるために接着層11を用いて製造されている。この接着層11は感圧材料、熱活性化型材料、またはUV硬化型の両面接着剤の使用を含む多数の方法で実施できる。導電性の支持体12は、例えば、金またはめっき処理したステンレス・スチール等のような電気的に伝導性の材料の一定のシートである一定の導電性の支持体とすることができる。さらに、この導電性の支持体12の形状は、例えば、型押処理または光エッチング等により形成できる。また、図1および図2において示されている実施形態において、ランス用の要素15は導電性の支持体12の一定の一体型の部分として製造できる。換気穴13は、例えば、導電性の層12を穿孔することにより形成できる。この換気穴13はランス用の要素15から上方に分析物感知層14の周辺まで体液を輸送することを容易にするために用いられる。また、整合穴23は導電性の支持体12を作成する型押処理の間に形成できる。
【0021】
本発明の一例の実施形態において、分析物感知層14は、例えば、一定の酵素、一定の緩衝液、および一定のレドックス(酸化還元)媒体を含む、一定のグルコース感知用の層とすることができる。この分析物感知層14は好ましくは作用電極36の上部に付着可能である。この分析物感知層14が一定の体液中のグルコースの存在および濃度を検出するために使用される場合に、このグルコース感知層14の少なくとも一部分はその体液中に溶解してそのグルコース濃度をそのサンプル中におけるグルコース濃度に対して比例する一定の電気的に測定されるパラメータに変換するために用いられる。
【0022】
図1および図2において示されている実施形態において、ランス用の要素15は一定の基端部および先端部を有しており、この基端部は上部基準電極19に対して一体であり、先端部は一定のランス用の先端部分22および通路の先端部分24に対して一体である。さらに、このランス用の先端部分は一定の導電材料のシートを型押または光エッチングしてその処理物を図2において示されている形状に屈曲させる方法により形成されている。一例の実施形態において、上記のランス用の先端部分22および通路の先端部分24は約0.005乃至0.020インチだけわずかにずれており、このようなランス用の要素15の設計は皮膚の分離の改善を補助することに適合している。図1および図2において示されている形状はこの形状が一定の皮膚の傷を広げて開口状に保つことに役立つことにより流体が外に出ることを助長できる。さらに、図1および図2において示されている実施形態において、ランス用の要素15は上部基準電極19および電極接触部材17に対して隣接している。
【0023】
図2において示されている本発明の実施形態において、ランス用の要素15は充填通路21を有しており、この場合に、毛細管状の充填通路21は一定の傷から分析物感知層14に到る体液の流れを容易にする。すなわち、この充填通路21は、例えば、吸引または毛細管の作用により種々の体液の流れを容易にできる。また、図1および図2において示されている実施形態において、充填通路21は一定の開口状の形状を有しており、この形状は粘性の種々のサンプルを吸引することを容易にして閉鎖状の毛細管の通路に比べた場合に比較的に簡単な製造技法を提供している。
【0024】
図1において示されているセンサー片100の実施形態において、絶縁性の支持体18はポリエステルまたはセラミック等のような材料により構成されており、この支持体18の上にスクリーン印刷、スパッターリング、または無電解蒸着等により一定の導電性の材料をその絶縁層の上に印刷することができる。この絶縁性の支持体18の上に付着している導電性の材料は第1の電極接触部材10および作用電極36を形成している。また、絶縁層20は、例えば、電極接触部材10および下部作用電極に対する一定の境界部分を形成するためにスクリーン印刷することができる。
【0025】
図3Aは皮膚の表面の侵入の直前における一定のランス用の要素の斜視図である。特に、図3Aはランス用の先端部分22が皮膚表面30に侵入する前のランス装置15の斜視図である。図3Bは図3Aにおいて示されているランス用の要素の側面図である。特に、図3Bはランス用の先端部22が皮膚表面30に侵入する前のランス用の要素15の側面図である。これらの図3Aおよび図3Bにおいて、搾乳用のリング31が皮膚表面30に当接して配置されているために、皮膚表面30がこの搾乳用のリング31の中に隆起している。開口部32はまた一定のランス用の装置の先端部における開口部であるとも考えられ、例えば、一定の原位置用の計器において、上記のランス用の要素15が皮膚に孔あけするためにこの開口部32を貫通する。上記搾乳用のリング32は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等とすることのできる、例えば、一定の穴をドリルにより設けている一定の支持体とすることができる。この搾乳用のリングの開口部32の直径は、例えば、3.5乃至12mmの範囲内にできる。動作中に、この搾乳用のリング31は皮膚表面30が当該搾乳用のリング31の中において一定の隆起した部分を形成するように一定の指先、前腕部、またはその他の適当な部位に軽い圧力を伴って適用できる。本発明による方法の一例の実施形態において、上記搾乳用のリング31は約0.5乃至1.5ポンドの供給圧力の一定の圧力を伴って皮膚表面30に適用される。また、本発明による方法の一例の実施形態において、一定の搾乳用のリングの使用は傷の部位から流体を出現させるための一定の駆動力を供給するために切開部位の周囲に一定の圧力を加えることにより種々の体液の収集を容易にすることを目的としている。
【0026】
図3Cは一定のランス用の要素の先端部分が皮膚の表面に侵入し始めている状態のランス用の要素の斜視図である。ランス用の先端部分22が皮膚の表面30の中に入る時に、その皮膚の表面30に孔が開くまでランス用の先端部分22から皮膚の表面部分30が離れるように変形し、一定の切開部分37が皮膚の表面部分30の中に形成されて、ランス用の要素15が皮下の領域33の中に入ることが可能になる。図3Dは上記のランス用の要素の先端部分が皮膚の表面に侵入し始めている状態のランス用の要素の側面図である。特に、図3Dはランス用の先端部分22が皮膚表面30内の切開部分37の中に入っている状態のランス用の要素15の側面図である。
【0027】
図3Eはランス用の要素が皮膚の表面部分の下方においてその完全な侵入の深さに到達している状態のランス用の要素の斜視図である。本発明の一例の実施形態において、この侵入の深さは開口部32から先の第1の延出の長さまでランス用の先端部分22が延出することにより到達できる。特に、図3Eはランス用の先端部分22が皮下領域33の中に到るその完全な侵入の深さに到達した後のランス用の要素15の斜視図である。また、図3Fはランス用の要素15が皮膚の表面部分の下方においてその完全な侵入の深さに到達している状態のランス用の要素15の側面図である。特に、図3Fはランス用の先端部分22が皮下領域33の中に到るその完全な侵入の深さに到達した後のランス用の要素15の側面図である。この完全な侵入の状態において、ランス用の先端部分22は一定の深さD1に到達する。このような特定の用途におけるD1の実際の値は抽出する体液を含む多数の要因により決まる。例えば、上記の抽出する体液が血液である場合に、上記の深さD1はその抽出する体液が間質液(すなわち、ISF)である場合よりも大きくなる。本発明の一例の実施形態において、上記の侵入の深さD1は、例えば、0.25乃至1.5mmの深さの範囲内にすることができる。また、本発明のさらに別の実施形態において、上記D1はランス用の先端部分22から開口部32までにおいて測定される第1の延出の長さを表すことができる。
【0028】
本発明による一定の方法において、皮膚表面30の中へのランス用の要素15の挿入により一定の切開部分37が形成されると共に皮下の組織および毛細管が切断されて、充填通路21が血液か間質液のいずれかの採取する体液に接触する。この結果、図3Eおよび図3Fにおいて示されているように位置決めされているランス用の要素15により、体液が充填通路21の中に流れてセンサー片100の中に到る。しかしながら、ランス用の要素15を図3Eおよび図3Fにおいて示されているように位置決めされた状態に留めておくと、充填通路21の中における体液の一定の最適な流れが生じない。このような制限された流れの理由は、例えば、ランス用の要素15の位置によるランス処理された毛細管の遮断を含むことができ、このような遮断は、例えば、種々の毛細管または間質液が自由に流れてランス用の要素15により形成された傷の中に溜まることを妨げる可能性がある。
【0029】
図3Gはランス用の要素が皮膚から完全に後退した後のランス用の要素の斜視図である。特に、図3Gはランス用の先端部分22が切開部分37から完全に後退した後のランス用の要素15の斜視図である。図3Hはランス用の要素15が皮膚表面30から完全に後退した後のランス用の要素15の側面図である。本発明のさらに別の実施形態において、ランス用の先端部分22は開口部32を通過して完全に後退する。本発明による一定の方法において、ランス用の要素15を切開部分37から完全に後退させることにより、一定の開口状態の傷38が切開部分37の下方に形成されて、体液の傷38内への出現が容易になる。このような本発明の方法による傷からのランス用の要素15の完全な除去により、種々の体液が比較的に容易に傷38の中に流れ込む。一方、ランス用の要素15が傷38から完全に除去されない場合には、血液および/または間質液の流れが妨げられる可能性がある。このような制限された血液の流れに対する一例の可能な説明は部分的に後退したランス用の要素15が皮膚の弾力のために切断された毛細管を依然として有効に遮断する可能性があると考えられることである。すなわち、侵入状態の間における初期的な皮膚の伸びの後に、その皮膚がランス用の要素15の周囲においてその初期的な位置に戻ろうとすると考えられる。この結果、本発明による方法においては、ランス用の要素15がその初期的な侵入の後に傷38から完全に除去されて体液が傷38の中に溜まることを可能にしていることが重要である。
【0030】
図3Iはランス用の要素が最初に侵入している間に形成された切開部分を通してその皮膚の表面部分の中に再び侵入している状態のランス用の要素の斜視図である。特に、図3Iはランス用の先端部分22が切開部分37を通して傷38の中に再び挿入された後のランス用の要素15の斜視図である。また、図3Jはランス用の要素が最初に侵入している間に形成された切開部分を通してその皮膚の表面部分の中に再び侵入している状態のランス用の要素の側面図である。特に、図3Jは通路の先端部分24が皮膚表面30の下方になるように傷38の中に位置決めされているランス用の要素15の側面図である。図3Jにおいて示されている、本発明による一定の方法において、ランス用の先端部分22は上記D1よりも小さい一定の深さD2まで再挿入されている。本発明のさらに別の実施形態において、このD2は第2の延出の長さを表すことができ、この場合に、ランス用の先端部分22は開口部32を通過して第2の延出の長さD2まで延出し、このような本発明の実施形態において、この第2の延出の長さD2は上記第1の延出の長さD1よりも小さい。このように本発明による一定の方法に従って部分的に挿入することにより、種々の体液の流体通路21の中への流れが容易になる。本発明の一例の実施形態において、ランス用の先端部分22が侵入する上記の距離D2はそのランス用の先端部分22から通路の先端部分24までの距離により定められる。本発明の一例の実施形態において、ランス用の先端部分22は約0.05乃至0.25mmの深さの一定の深さD2まで再挿入可能であり、この場合に、上記D2は皮膚34の一定の表面部分からランス用の先端部分22までの距離として定められる。
【0031】
図3Kは一定の前腕部から血液を吸引するために用いられているランス用の要素を示している斜視図である。特に、図3Kは一定の人間の前腕部40から種々の体液を吸引するために本発明による一定の方法において用いられている一定のランス用の装置15の斜視図である。
【0032】
本発明による皮膚をランス処理する一定の方法において、上述したように、この方法はさらに一定の搾乳用のリング31により加えられる切開部分37の周囲の領域内に圧力を加えるための搾乳用のリング31を使用する工程を含むことができる。この搾乳用のリング31は皮膚の中にランス用の先端部分22を押し込む工程の前に皮膚の上に位置決めして、その処置の残りの部分の全体を通して保持できる。本発明のこのような実施形態において、搾乳用のリング31はランス用の先端部分22の傷38の中への再挿入の後における種々の体液の充填通路21の中への流れを容易にするために十分な一定の圧力を生じる。本発明の一例の実施形態において、搾乳用のリング31は約0.5乃至約1.5ポンドの一定範囲内の圧力を生じる。本発明のさらに別の実施形態において、上記方法は上記ランス用の要素を送り出す前に所定期間の時間にわたり皮膚に当接して搾乳用のリング31を位置決めする工程を含むことができる。本発明のさらに別の実施形態において、上記所定期間の時間は3秒またはそれ以上にすることができる。
【0033】
種々の等価な構造が本明細書において図示および説明されている構造に対して置き換えることが可能であること、および本発明の説明されている実施形態が特許請求の範囲において記載されている本発明を実施するために採用できる唯一の構造ではないことが認識されると考える。本発明を実施するために使用できる一定の等価な構造の一例として、一定の通路の先端部分を含まない一定のランス用の要素が使用可能であり、この通路はそのランス用の要素の先端部から作用電極まで延在している。本発明の好ましいと考えられる種々の実施形態が本明細書において図示および説明されているが、これらの実施形態が例示のみを目的として記載されていることが当該技術分野における熟練者において明らかになる。すなわち、多数の変更、変形および置換がこの段階において当該技術分野における熟練者において本発明から逸脱することなく考え出せるようになる。従って、本明細書において説明されている本発明の種々の実施形態に対する多様な変更例が本発明を実施することにおいて採用可能になることが当然に理解されるべきである。さらに、以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定めていること、およびこれらの特許請求の範囲の中に含まれる種々の方法および構造およびこれらの等価物がこれらの特許請求の範囲により言及されていることが考慮されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による一定の方法において使用するための一定のランス用の要素および試験片の斜視図である。
【図2】本発明による一定の方法において使用するための一定のランス用の要素および試験片の上部層の斜視図である。
【図3A】皮膚の表面部分への侵入の直前における一定のランス用の要素の斜視図である。
【図3B】図3Aにおいて示されているランス用の要素の側面図である。
【図3C】一定のランス用の要素の先端部分が皮膚の表面部分に侵入し始めている状態のランス用の要素の斜視図である。
【図3D】一定のランス用の要素の先端部分が皮膚の表面部分に侵入し始めている状態のランス用の要素の側面図である。
【図3E】一定のランス用の要素が皮膚の表面部分の下方におけるその完全な侵入の深さに到達している状態のランス用の要素の斜視図である。
【図3F】一定のランス用の要素が皮膚の表面部分の下方におけるその完全な侵入の深さに到達している状態のランス用の要素の側面図である。
【図3G】一定のランス用の要素が皮膚から完全に後退した後のランス用の要素の斜視図である。
【図3H】一定のランス用の要素が皮膚から完全に後退した後のランス用の要素の側面図である。
【図3I】一定のランス用の要素が最初の侵入時に形成した切開部分を通して皮膚の表面部分に再び侵入している状態のランス用の要素の斜視図である。
【図3J】一定のランス用の要素が最初の侵入時に形成した切開部分を通して皮膚の表面部分に再び侵入している状態のランス用の要素の側面図である。
【図3K】一定の前腕部から血液を抜き取るために用いられているランス用の要素を示している斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 第1の電極接触部材
11 接着層
12 導電性の支持体
13 換気穴
14 分析物感知層
15 ランス用の要素
17 第2の電極接触部材
18 絶縁性の支持体
19 基準電極
20 絶縁層
21 充填用通路
22 ランス用の先端部分
23 整合穴
24 通路の先端部分
30 皮膚表面部分
31 搾乳用のリング
32 開口部
36 作用電極
37 切開部分
38 傷
100 センサー片
D1 第1の延出の長さ
D2 第2の延出の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の一定のサンプルを得るために皮膚における一定の外表面部を通してその皮膚をランス処理する方法において、
一定の鋭利化された先端部分および当該鋭利化された先端部分の近くから一定のランス用の器具の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の通路を有するランス用の器具を供給する工程、
前記鋭利化された先端部分を前記外表面部の下方における第1の所定の深さまで前記皮膚の中に押し入れる工程を含み、この場合に、その鋭利化された先端部分が前記皮膚の表面に一定の切開部分を形成し、さらに
前記鋭利化された先端部分を前記切開部分から完全に後退させる工程、
前記鋭利化された先端部分を第2の所定の深さまで前記切開部分の中に押し戻す工程を含み、この場合に、その第2の所定の深さが前記第1の所定の深さほど深くはなく、さらに
前記通路を通して前記センサーまで血液を吸引する工程を含む方法。
【請求項2】
前記第2の所定の深さが前記通路の一定の先端部が前記皮膚の表面の下方に位置決めされることを確実に行なうために十分である請求項1に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項3】
前記第1の所定の深さが約0.25乃至1.5mmの範囲内である請求項1に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項4】
前記第2の所定の深さが約0.05乃至0.25mmの範囲内である請求項3に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項5】
さらに、前記切開部分の周囲の一定の領域内における前記皮膚に圧力を供給する工程を含む請求項1に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項6】
前記圧力が前記鋭利化された先端部分を前記皮膚の中に押し入れる工程の前にその皮膚に位置決めされた一定の搾乳用のリングにより加えられる請求項5に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項7】
前記搾乳用のリングが種々の体液の前記通路内への流れを容易にするために十分な一定の圧力を供給する請求項6に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項8】
前記搾乳用のリングが約0.5乃至1.5ポンドの一定の範囲内における一定の圧力を供給する請求項7に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項9】
前記第2の所定の深さが前記通路の一定の先端部が前記皮膚の表面の近くに位置決めされることを確実に行なうために十分である請求項1に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項10】
前記圧力が前記皮膚をランス処理する前に所定時間の期間にわたり供給され、この所定時間の期間が約3秒またはそれ以上である請求項5に記載の方法。
【請求項11】
血液の一定のサンプルを得るために皮膚における一定の外表面部を通してその皮膚をランス処理する方法において、
一定の開口部、および一定の鋭利化された先端部分および当該鋭利化された先端部分の近くから一定のランス用の要素の基端部に取り付けられている一定のセンサーまで延在している一定の通路を有するランス用の要素を有する一定のランス用の器具を供給する工程、
前記鋭利化された先端部分を前記開口部から先の第1の延出の長さまで延出させることによりその鋭利化された先端部分を前記皮膚の中に押し入れる工程を含み、この場合に、その鋭利化された先端部分が前記皮膚の表面に一定の切開部分を形成し、さらに、
前記鋭利化された先端部分を前記切開部分から完全に後退させる工程、
前記鋭利化された先端部分を前記開口部から先の第2の延出の長さまで前記切開部分の中に押し戻す工程を含み、この場合に、その第2の延出の長さが前記第1の延出の長さよりも小さく、さらに
前記通路を通して前記センサーまで血液を吸引する工程を含む方法。
【請求項12】
前記第2の延出の長さが前記通路の一定の先端部が前記皮膚の表面の下方に位置決めされることを確実に行なうために十分である請求項11に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項13】
前記第1の延出の長さが約0.25乃至1.5mmの範囲内である請求項11に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項14】
前記第2の延出の長さが約0.05乃至0.25mmの範囲内である請求項13に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項15】
さらに、前記切開部分の周囲の一定の領域内における前記皮膚に圧力を供給する工程を含む請求項11に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項16】
前記圧力が前記鋭利化された先端部分を前記皮膚の中に押し入れる工程の前にその皮膚に位置決めされた一定の搾乳用のリングにより加えられる請求項15に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項17】
前記搾乳用のリングが種々の体液の前記通路内への流れを容易にするために十分な一定の圧力を供給する請求項16に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項18】
前記搾乳用のリングが約0.5乃至1.5ポンドの一定の範囲内における一定の圧力を供給する請求項17に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項19】
前記第2の所定の深さが前記通路の一定の先端部が前記皮膚の表面の近くに位置決めされることを確実に行なうために十分である請求項11に記載の皮膚をランス処理する方法。
【請求項20】
前記圧力が前記皮膚をランス処理する前に所定時間の期間にわたり供給され、この所定時間の期間が約3秒またはそれ以上である請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−512110(P2006−512110A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550238(P2004−550238)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034455
【国際公開番号】WO2004/041087
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】