説明

血液サンプル中の異なる種類の血液細胞の同時計数のための溶解試薬

血小板、白血球及び白血球亜集団のような種々の血液細胞の計数又は分析と、同時のヘモグロビンの分析のための組み合わせた希釈及び溶解試薬。該試薬は、イミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘモグロビン安定化/メトヘモグロビンリガンド化合物、少なくとも2種の第四級アンモニウム塩、1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩、並びに有機緩衝剤を含む。よって、該試薬は、血液サンプルを本発明による試薬と混合すること、コールター原理を用いて血液サンプルの内容を分析すること、及び所望によりヘモグロビン含量の分光光度分析を含む、血液サンプル中の血液細胞の含量を測定する方法において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、血液中の異なる種類の血液細胞、例えば白血球、血小板などの例えばコールター計数(Coulter counting)による同時自動電子計数及び容積測定弁別(volumetric discrimination)用の試薬に関する。さらに、本発明は、前記試薬を含むコールター(インピーダンス)計数装置、例えば液体中に懸濁された細胞の特徴づけのための使い捨てカートリッジ、特に単回使用分析用、例えば少量の全血の単回使用分析用の内蔵使い捨てカートリッジを用いるコールター計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
白血球、それらの亜集団(subpopulations)及び血小板の含量(content)の情報は、種々の疾患を診断し、治療を監視するために、医師にとって重要な道具である。さらに、血液サンプル中の赤血球の数に直接関係するヘモグロビンの濃度も、非常に重要である。
よって、自動血液細胞計数システムの開発のために、多くの努力が長年にわたってなされてきた。自動血液細胞計数システムは、2つの主要な群:インピーダンス細胞サイジング原理(コールター原理に等しい)によるもの、及びフローサイトメトリー原理によるものに分けることができる。このような自動システムの例は、インピーダンス細胞サイジングに基づくCoulter AcT Diff、及びフローサイトメトリーに基づくBayer ADVIA 120である。これらの原理はどちらも、血液中のさらなる成分、例えばヘモグロビンの分析のための分光光度技術と組み合わせることができる。
【0003】
米国特許第4,962,038号は、従来のヘモグラム値のルーチンの計数及び白血球の測定のための血液希釈剤と溶解剤とを含む試薬システムを開示している。血液希釈剤は、塩酸プロカイン、ADA、クロルヘキシジン二酢酸、1-ヒドロキシピリジン-2-チオン及びジメチロールウレアを含み、溶解剤は、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩及びアルカリ金属シアン化物を含む。
【0004】
米国特許第4,745,071号は、リンパ球、好中球及び白血球の判別及び計数のための希釈剤、溶解剤及び洗浄剤を開示している。血液希釈剤は、1,3-ジメチルウレア、1-ヒドロキシピリジン-2-チオン及びADAを含み、溶解剤は1種の第四級アンモニウム塩及びシアン化カリウムを含み、洗浄剤は、希釈剤の成分に加えて湿潤剤であるジアゾポン(diazopon)を含む。
【0005】
米国特許第5,227,304号は、血液細胞のルーチンの計数のための洗浄剤溶液と組み合わせた希釈剤溶液を開示し、血液サンプルは、赤血球及び血小板の計数用の赤血球アリコートと、白血球及びヘモグロビンの計数用の白血球アリコートとに分割される。記載された溶液の他に、溶解溶液(米国特許第4745071号に記載されるような、上記)が白血球アリコートの計数のために必要である。希釈溶液は、イミダゾール、ジメチルウレア、EDTA、オマジンナトリウム(sodium omadine)、トリアジン-10及びトリアジン-3を含み、洗浄剤溶液は、トリアジン-10、オマジンナトリウム及びBrij 35を含む。
【0006】
米国特許第5,958,781号は、EDTA、イミダゾール及びヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジンと2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウムとの混合物を含む希釈剤と、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩及びヒドロキシルアミン塩を含む溶解試薬とを用いるヘモグロビン及び白血球の測定方法を開示している。
【0007】
従来、赤血球及び血小板は、希釈剤溶液を加えた後に血液サンプル中で定量されるが、溶解剤をその同じ血液サンプル又は分けておいた血液サンプルに加えることは、ヘモグロビンを赤血球から放出させ、ヘモグロビンの分析と共に白血球の定量を可能にする。よって、赤血球、血小板、白血球及びヘモグロビンの両方の完全な分析は、いくつかの工程を必要とする。
よって、希釈剤と溶解剤の機能を組み合わせ、種々の血液細胞、例えば血小板及び白血球の手動又は自動の計数を、ヘモグロビンの分析と共に同時に可能にする試薬の開発が必要とされている。
【0008】
1つの組み合わせ試薬のみを用いる白血球及び血小板の同時の同定及び定量は、溶解剤が、血小板に大きく影響せずに赤血球を溶解できることが必要である。典型的には、既知の溶解剤は血小板の大きさを非常に減少させるので、定量の関係において、血小板の残り(remains)により発せられるシグナルは、粒子バックグラウンドノイズレベルと重なる。さらに、バックグラウンドノイズは大部分が、赤血球膜から生じる破片(debris)により生じると考えられている。バックグラウンドノイズレベルを低減させるほど、より正確に血小板の粒子を同定して定量することができる。
【0009】
既知の溶解剤は、典型的には、シアン化物塩を含有し、シアン化水素の毒性のために、そのような溶解剤はアルカリ性のpHを有することが必要である。pHが8を超えると、例えば血小板の大きさは劇的に変化する。上記の血液細胞全ての正確で精密な同時分析をヘモグロビンの分析と共に行うためには、組み合わせ試薬システムのpHの値は中性近く、すなわち8よりも充分に低くなければならない。血小板計数用の媒体は、血小板の細胞容積を保つために、適切な浸透圧を有することに加えて、6.5〜7.6の範囲のpHを有さなければならないことが以前に記載されている(米国特許第5,935,857号、米国特許第4,745,071号、米国特許第4,185,964号)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明は、イミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘモグロビン安定化/メトヘモグロビンリガンド化合物と、少なくとも2種の第四級アンモニウム塩と、1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩と、有機緩衝剤とを含む試薬に関する。この試薬は、種々の血液細胞の計数又は分析とヘモグロビンの分析とを同時に可能にする組み合わせの希釈及び溶解剤として有用である。
【0011】
よって、本発明は、血液サンプルを本発明による試薬と混合する工程と、コールター原理を用いて血液サンプルの内容(content)を分析する工程とを含む、血液サンプル中の血液細胞の含量を測定する方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、以下の記載から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、希釈剤と溶解剤の機能を組み合わせた、種々の血液細胞の手動又は自動の計数又は分析とヘモグロビンの分析とを同時に可能にする試薬を提供することを目的とする。これにより、血液サンプルの希釈と溶解とを1つの単独工程に統合することができる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、血小板の容積を保ち、かつ赤血球からの望ましくない細胞破片の分解を改善することにより、バックグラウンドノイズを低減し、そしてその他の血液細胞と同時に、改善されたより精密な血小板の分析又は計数を促進する試薬を提供することである。
【0014】
本発明による試薬は、水性媒体を含有する。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、好ましくは以下に記載するその他の化合物に加えて、イミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘモグロビン安定化/メトヘモグロビンリガンド化合物と、少なくとも2種の第四級アンモニウム塩と、1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩と、有機緩衝剤とを含む試薬により、上記のそしてその他の目的が達成されることを見出した。
【0016】
本発明の重要な利点は、試薬は種々の血液細胞に影響し、例えば赤血球は実質的に除去され、白血球は容積が減少しかつ血小板も容積が減少するが、本発明による溶解試薬の組成が、血小板の容積の減少が、血小板がコールターカウンターで計数される能力に対して重要でないように正確に制御されていることである。血小板の残りの同定された部分が、比較の方法による血液サンプル中の血小板の元来の含量と関係付けられたことが確認されている。このことは、以下の実施例1でさらに記載する。
【0017】
血液サンプル中のヘモグロビンの含量を正確かつ簡便に定量するために、この分析物は、赤血球から放出され(溶解)、かつ好ましくは適切な複合体に変換されなければならない。この複合体は、分光光度の観点から適切でなければならない。血液中に存在する主要なヘモグロビン種は、2工程で、対応する複合体化メトヘモグロビンに変換される。最初の酸化工程は、本発明において、第四級アンモニウム塩及び酸素の作用によるジオキシヘモグロビン及びオキシヘモグロビンの酸化により達成される。酸化されたヘモグロビン種、すなわちメトヘモグロビンは、本発明による第2工程で、イミダゾールと複合体を形成してメトヘモグロビン−イミダゾール複合体になり、これは安定でよく規定された分光光度の特性を有する。この複合体は、特定の波長、例えば545及び880 nmを用いて分光光度により定量できる。前者の波長は複合体を定量化し、後者の波長は、ヘモグロビン含量に関係がない血液サンプル中の濁度及びその他の吸光度の影響を補償する。
【0018】
よって、第四級アンモニウム塩の作用は、二重、すなわち赤血球を溶解し、ヘモグロビンの酸化を可能にする。第四級アンモニウム塩を用いることの問題点は、白血球及び血小板に対する同時の溶解作用である。この作用は、本発明において1,3-ジメチルウレアの存在により補償される。1,3-ジメチルウレアは、特に、白血球及び血小板の保存、並びに3種のサブ細胞種のリンパ球、単球及び顆粒球の同定を助ける。よって、本発明による試薬は、例えば血小板の溶解をより低い度合にすることにより(図1を参照)、血小板の容積を保持して、それにより血小板を計数する能力を改善する。
【0019】
赤血球の細胞膜は、溶解試薬の作用の間に完全に崩壊する。赤血球はいずれの細胞内小器官も含まないので、小さい細胞膜破片は、この血液細胞種の残りだけである。この破片は、インピーダンス細胞サイジングに基づく自動血液細胞計数システムのバックグランドノイズの発生に大きく寄与する。
【0020】
本発明の重要な利点は、試薬が赤血球からの望ましくない細胞破片の分解を改善し、それによりバックグラウンドノイズを低減し、かつ改善されたより精密な血小板の分析又は計数を促進することである。
【0021】
試薬中のヘモグロビン安定化化合物は、イミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、約10 mmol/L〜約100 mmol/L、例えば約25 mmol/L〜約75 mmol/L、約40 mmol/L〜約60 mmol/Lの範囲、好ましくは約50 mmol/Lの濃度であり得る。ヘモグロビン安定化化合物は、好ましくは、約50 mmol/Lの濃度でのイミダゾールである。
【0022】
血液サンプル中の血液細胞は、少なくとも2種の第四級アンモニウム塩により溶解される。本発明における使用に適切な第四級アンモニウム塩は、式:
【化1】

(式中、R1は、10〜18炭素原子の長鎖のアルキル、アルケニル又はアルキニル基であり、R2、R3及びR4は、1〜6炭素原子の短鎖のアルキル、アルケニル又はアルキニル基であるか、或いは単に水素であり、X-は、Cl-、Br-、I-、PO43-、CH3SO4-のような塩形成性イオンである)
を有する。
【0023】
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドとヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドとの組み合わせが好ましいが、その他の第四級アンモニウム塩は、例えばテトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はヘキサデシルジメチルエチルアンモニウムブロミドであり得る。
【0024】
試薬中の少なくとも2種の第四級アンモニウム塩の合計濃度は、約1.0 mmol/L〜約10 mmol/L、例えば約3.0 mmol/L〜約9.0 mmol/L、約4.5 mmol/L〜約8.5 mmol/Lの範囲、好ましくは約6.5 mmol/Lであり得る。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも2種の第四級アンモニウム塩は、それぞれ約5.6 mmol/L及び約0.9 mmol/Lの濃度でのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドの組み合わせである。
【0026】
上記のように、1,3-ジメチルウレアは、細胞安定化及び抗菌剤として実質的に作用する。本発明による試薬中の1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩の濃度は、約10 mmol/L〜約25 mmol/L、例えば約12 mmol/L〜約23 mmol/L、約14 mmol/L〜約20 mmol/L、約16 mmol/L〜約18 mmol/L /Lの範囲、好ましくは約17 mmol/Lであり得る。本発明の好ましい実施形態において、1,3-ジメチルウレアは約17 mmol/Lの濃度である。
【0027】
本発明による試薬は、有機緩衝剤をさらに含み、この有機緩衝剤は、ADA (N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸)、HEPES (2-(4(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン)エタンスルホン酸)、MOPS (3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)及びPIPES (ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸)又はこれらの組み合わせのような化合物及び/又はその他の有機緩衝剤である。試薬中のADA、HEPES、MOPS及びPIPES又はそれらの組み合わせの適切な濃度は、約2 mmol/L〜約8 mmol/L、例えば約4 mmol/L〜約6 mmol/L、約5 mmol/L〜約5.6 mmol/Lの範囲、好ましくは約5.3 mmol/Lであり得る。本発明の好ましい実施形態において、有機緩衝剤は、約2 mmol/L〜約8 mmol/L、例えば好ましくは約4 mmol/L〜約6 mmol/L、より好ましくは約5 mmol/L〜約5.6 mmol/L、さらに好ましくは約5.3 mmol/Lの範囲の濃度でのADAである。
【0028】
その緩衝効果に加えて、ADAは、その金属イオンキレート化特性により、細菌の増殖を最小限にすることに寄与する。最後に、ADAは、上記のようにバックグラウンドノイズに近い血小板粒子の定量への干渉を最小限にする大きさに赤血球の破片を減少させることについて第四級アンモニウム塩をさらに補助する。
【0029】
上記のように、第四級アンモニウム塩の血小板及び白血球への作用を補償する必要がある。結論として、1,3-ジメチルウレアの存在は、血小板及び白血球亜集団の保存に寄与する。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明による試薬は、プロカイン、塩酸プロカイン又はプロカインのその他の塩をさらに含み得る。塩酸プロカインは、細胞安定化剤として実質的に作用し、試薬中の塩酸プロカイン及び/又はその塩の濃度は、約0.2 mmol/L〜約1.6 mmol/L、例えば約0.4 mmol/L〜約1.4 mmol/L、約0.6 mmol/L〜約1.2 mmol/L、約0.8 mmol/L〜約1.0 mmol/Lの範囲、好ましくは約0.9 mmol/Lである。
【0031】
さらに、血小板を正確に計数するために、細胞容積を保たなければならない。高いpH値では、血小板の残りの大きさはさらに減少し、それにより血小板は、バックグラウンドノイズシグナルと一部分重なるシグナルを発して、それらの定量をより不正確にする。本発明による試薬のpHは、よって、硫酸又はその他の適切な酸、例えば塩酸及びリン酸で約6〜約8の範囲、例えば好ましくは約6.5〜約7.5の範囲、より好ましくは約7.1の適切な値に調整することができる。当業者は、試薬中の物質の特定の組み合わせが、所望のpH値よりも低いpH値を与える場合、アルカリ性物質、例えば無機塩基、例えば水酸化ナトリウムを代わりに用いてpH値を調整できることを認識する。
【0032】
浸透圧は、無機塩、例えば塩化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムで約200ミリオスモル/L〜約400ミリオスモル/L、例えば好ましくは約250ミリオスモル/L〜約380ミリオスモル/L、より好ましくは約300ミリオスモル/L〜約350ミリオスモル/L、さらにより好ましくは約330ミリオスモル/Lに調整できる。本発明の好ましい実施形態において、試薬の浸透圧は、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムで調整する。
【0033】
血液サンプルは、血液サンプルの凝固を防ぐために、EDTA (エチレンジアミン四酢酸)、その塩又はいずれのその他の適切な抗凝固化合物、例えばヘパリンを含み得る。
【0034】
本発明の特定の実施形態において、本発明による試薬は、約50 mmol/Lの濃度でのイミダゾール、約5.6 mmol/Lの濃度でのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド;約0.9 mmol/Lの濃度でのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;約17 mmol/Lの濃度での1,3-ジメチルウレア;5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸);及び脱イオン水を含み、pHは希硫酸で7.1に調整され、浸透圧は塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムで調整される。
【0035】
本発明の別の特定の実施形態において、本発明による試薬は、約50 mmol/Lの濃度でのイミダゾール;約5.6 mmol/Lの濃度でのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド;約0.9 mmol/Lの濃度でのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;約17 mmol/Lの濃度での1,3-ジメチルウレア;5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸);0.9 mmol/Lの濃度での塩酸プロカイン;及び脱イオン水を含み、pHは希硫酸で7.1に調整され、浸透圧は塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムで調整される。
【0036】
本発明の別の態様は、血液サンプル、例えばエクスビボ血液サンプル中の血液細胞、例えば血小板、白血球、白血球の亜集団、すなわちリンパ球、単球、顆粒球、及びヘモグロビンの含量を測定する方法に関し、該方法は:
i) 血液サンプル、例えばエクスビボ血液サンプルを、本発明による試薬と混合する工程と、
ii) コールター原理を用いて血液サンプルの内容を分析する、例えば白血球、リンパ球、単球、顆粒球及び血小板を計数する工程と
を含む。
【0037】
ある特定の実施形態において、本発明は、血小板、白血球及び/又は1若しくは複数の白血球亜集団、例えばリンパ球、単球及び/又は顆粒球の含量を測定する方法に関する。種々の種類の細胞の分析は、同時に行うことができることに注目することが重要である。
【0038】
本発明による方法は、iii) ヘモグロビン含量の分光光度定量により血液サンプルの内容を分析する工程をさらに含み得る。
【0039】
さらに、本発明による方法において、血液と試薬の容量比は、約1:10000〜約1:200、例えば約1:1000〜約1:300、約1:600〜約1:400、約1:550〜約1:450の範囲、好ましくは約1:500であり得る。選択される比は、試薬中の化合物の濃度、血液細胞の濃度及び分析の所望の性能特性に依存する。
【0040】
例えば、本発明による試薬は、血液サンプル、例えばエクスビボ血液サンプル中の細胞の計数用装置に用いられるカートリッジに含まれることができ、該カートリッジは、混合チャンバと回収チャンバとの間の細胞の通過のためのオリフィスを有する壁により分けられた混合チャンバ及び回収チャンバを有するハウジングを有する。細胞特徴づけ手段は、オリフィスを通過する細胞の特徴づけのために提供される。上記の装置は、カートリッジを除去可能に受容するドッキングステーションを有し、該ドッキングステーションは、カートリッジがドッキングステーションに受容されたときに細胞特徴づけ手段と操作可能に連結するためのコネクタ、例えば電気的コネクタ及び/又は流体(fluid)コネクタを有する。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による方法の工程i)は、血液サンプル中の細胞の計数用装置での使用に適するカートリッジ内で行われ、該カートリッジにおいて、該試薬は、該試薬を血液サンプルと混合する混合チャンバと連結されている保持チャンバに存在する;そして、工程ii)は、細胞を含む血液サンプルが、混合チャンバと回収チャンバとの間に位置するオリフィスをその後通過することにより行われ、それにより血液の内容が、細胞特徴づけ手段によるコールター原理を用いることにより分析される。
【0042】
さらに、好ましい実施形態において、本発明による方法の工程iii)は、回収チャンバに連結され、分光光度定量に適合された容量測定チャンバ内で行われる。
【0043】
さらに、本発明による試薬は、血液サンプル、例えばエクスビボ血液サンプル中の血液細胞及びヘモグロビンの含量の計数及び測定用の従来の装置内で用いることができる。
【0044】
上記の試薬は、チューブ又はチューブ様デバイスの毛管効果を促進するコーティングとしてさらに用いることができる。本発明による試薬を含むコーティングは、疎水性のチューブ又はチューブ様デバイスの毛管効果を促進することが示されている。試薬は、被覆される表面上での試薬の蒸発により、表面上を被覆する。よって、本発明のさらなる態様は、本発明による試薬を含むコーティングである。
【0045】
本発明のさらなる態様は、血液サンプル中の1又は複数の細胞種の含量を測定するための、上記の試薬の使用である。特定の実施形態において、本発明は、同じ血液サンプル中の血小板、白血球及び/又は1若しくは複数の白血球亜集団、例えばリンパ球、単球及び/又は顆粒球の測定のための使用に関する。細胞の多様な種類の測定を同時に行うことができることに注目することが重要である。上記のように、本発明の特定の実施形態は、上記の全ての細胞種及び亜集団の測定のための上記の試薬の使用に関する。さらに、その他の利点は、同じ試薬が、該血液サンプル中のヘモグロビン含量の測定における使用に適することであり、すなわち、1つの単独の試薬のみの使用により、血液の内容の適切な情報が得られることである。
【0046】
この関係において、用語「同時測定」は、1つの同じ血液サンプル中の1回の分析での同時測定のことをいう。よって、血液サンプルは、本発明による試薬と混合され、種々の血液細胞集団が、1回の分析で同時に測定できる。
【0047】
図面の簡単な説明
図1は、本発明による試薬と別の単独試薬システムとを、血小板を計数するそれらの能力について比較したヒストグラムである。
図2は、血液サンプルの分析のための本発明による試薬を収容するカートリッジの模式図である。
【0048】
図3は、本発明の試薬を収容するカートリッジを用いる、血液サンプルの内容の分析のための装置を示す。
図4は、表2に示す試薬を用いて得られた、白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す。
図5は、表4に示す試薬を用いて得られた、血小板を計数するための好ましいヒストグラムを示す。
図6は、表4に記載の試薬を用いて得られた、白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す。このヒストグラムは図5と同じであるが、Y軸が異なる。
【実施例】
【0049】
実施例
本発明の試薬の、現在最も好ましい実施形態の組成を、表1に列挙する。
【表1】

【0050】
実施例1
本発明による試薬を用いた試験結果と、比較方法を用いた試験結果との相関関係
表2の組成により1リットルの試薬を調製した。調製した試薬の最終浸透圧は、330ミリオスモル/Lであった。
【表2】

【0051】
表2に記載する本発明による試薬を用いた試験結果は、比較システムであるBeckman Coulter AcT Diffシステムを用いた試験結果と相関させた。試験結果は、白血球(3つの亜集団であるリンパ球、単球及び顆粒球を含む)、血小板及びヘモグロビンの定量を含む。全部で53のヒト全血サンプルを分析し、3μLの血液を1.5 mLの試薬と混合し、これは血液:試薬の容量比が1:500に相当した。試験は、Beckman Coulter AcT Diffシステムで行った試験と比較した。得られた相関関係を、血液サンプル中の白血球(3つの亜集団であるリンパ球、単球及び顆粒球を含む)、血小板及びヘモグロビンの含量の種々の濃度範囲について表3に列挙する。この表からわかるように、これらは良好な相関関係を示す。
【0052】
【表3】

【0053】
図1は、2つの同じ血液のサンプル中で計数された粒子の数を比較するヒストグラムを示す。血液サンプルは、本発明による試薬、並びに既知の単独試薬システム(360 mlのDiluide III Diff.(J.T. Baker prod.no. 3963)に溶解した0.704グラムのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、0.150グラムのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド及び1.796グラムの1,2,4-トリアゾール)及び116 mlの脱イオン水をそれぞれ用いて調製した。2つの調製された血液サンプルは、以下に記載するカートリッジを用いて分析した。特別の電子機器を用いて、大きい数の間隔で細胞の大きさを記録した。
【0054】
図1において、グラフAは、既知の試薬を用いて血液サンプルから得られた試験結果を示し、Bは、本発明による試薬を用いて血液サンプルから得られた試験結果を示す。Pは、血小板の大きさの範囲を示し、これは約1.5μm〜約4μmの範囲である。Nは、バックグラウンドノイズを示す。本発明による試薬を用いて計数された血小板の数は、既知の試薬を用いて計数された血小板の数より大きく、これは本発明による試薬による血小板の調製がより穏やかであることによると考えられる。よって、血小板の保存が改善され、よって血液サンプルのより正確で精密な分析ができる。
【0055】
図2は、本発明による試薬を保持する使い捨てカートリッジ1を模式的に記載する。該カートリッジは、ドッキングステーション及びリーダーを含む、血液サンプルの内容の分析用装置において用いられる。カートリッジは、混合チャンバと回収チャンバの間の細胞の通過のためのオリフィス6を有する壁により分けられた混合チャンバ2及び回収チャンバ4を有するハウジングを含む。試薬は保持チャンバ8に収容され、細胞特徴づけ手段10は、オリフィスを通過する細胞を特徴付けるために提供される。さらに、カートリッジは、回収チャンバに連結された容量測定チャンバ12を含む。カートリッジの一部分、例えば混合チャンバ2、回収チャンバ4及び/又は容量測定チャンバ12は、ヘモグロビン含量の分光光度定量のために適合されていてよい。ここに示す実施形態において、容量測定チャンバ12は、血液中のヘモグロビン含量の分光光度定量のために適合される。
【0056】
血液サンプルの内容の分析用装置は、図3に図示し、これは、カートリッジを除去可能に受容するドッキングステーション及びリーダーを備え、該ドッキングステーションは、該ドッキングステーションにカートリッジが受容されたときに細胞特徴づけ手段と操作可能に連結するためのコネクタ(図示せず)、例えば電気的コネクタ及び/又は流体コネクタを備える。
【0057】
図4は、表2に記載される試薬を用いて得られた、血小板、白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す。Aは、白血球に対応するヒストグラムの一部分を示し、B、C及びDは、それぞれリンパ球、単球及び顆粒球に対応する。
【0058】
実施例2
本発明による試薬
試薬を、表4による組成で調製した。調製した試薬の最終浸透圧は、330ミリオスモル/Lであった。
【0059】
【表4】

【0060】
表4に示すような種々の血液細胞の含量を測定する本発明の試薬を用いて得られた試験結果は、血小板を計数するための好ましいヒストグラムを示す図5、並びに白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す図6に見ることができる。図5及び図6は、1つの同じヒストグラムであり、Y軸のみが異なり、異なる細胞の亜集団をより明確に示す。
【0061】
実施例3
本発明の試薬をコーティングとして用いることによる毛管効果の増強
驚くべきことに、本発明による試薬を含むコーティングは、疎水性チューブ又はチューブ様デバイスの毛管効果を増強することが示されている。試薬は、コーティングされる表面上での試薬の蒸発により、表面上を被覆する。効果は、試薬成分の両親媒性の性質を考慮に入れて説明できる。これらの分子の疎水性部分は、チューブの疎水性表面に接着し、試薬成分の分子の親水性部分がチューブ表面から出て(out)配向することになる。その後、親水性サンプル、例えば血液サンプルの注入は、配向された試薬成分の分子の親水性部分との相互作用により促進される。毛管効果の増強、すなわち例えば血液サンプルの注入の速度の増大は、主に、試薬による毛管内の疎水性表面の親水化による。
【0062】
本発明による試薬を用いた増強された毛管効果は、標準的なガラス毛管(マイクロキャップ)での血液サンプルの注入速度を比較することにより観察された。実施例1による試薬で処理した毛管及び比較の毛管は、親水性を増強する公知の非常に効果的な化合物である3% (重量/容量)のBrij 35の脱イオン水溶液を用いた同様の処理により作製された。
【0063】
A) 容量20μL、長さ64 mmの10個のガラスマイクロキャップ(Drummond Inc. prod.no 1-000-0200)を、試薬(実施例1で記載するような)で満たし;そして
B) 別の10個のガラスマイクロキャップを、Briij 35 (3%重量/容量、Sigma prod.no. 228340050)の脱イオン水溶液で満たした。
【0064】
その後、全ての20個のマイクロキャップを、それらをティッシュペーパーに接触させることにより空にし、周囲温度にて一晩乾燥させた。
次の日、処理していないマイクロキャップの注入速度を、A)及びB)でそれぞれ処理したマイクロキャップの注入速度と比較した。表5を参照。
注入の速度は、各種のマイクロキャップの末端を静脈(EDTA)血液サンプルに入れ、3秒後の各マイクロキャップ中の血液の高さを測定することにより測定した。
【0065】
【表5】

【0066】
結論:
実施例1の試薬で処理したマイクロキャップには、Brij 35を満たしたものと同じオーダーの速度で血液が満たされた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による試薬と別の単独試薬システムとを、血小板を計数するそれらの能力について比較したヒストグラムである。
【図2】血液サンプルの分析のための本発明による試薬を収容するカートリッジの模式図である。
【図3】本発明の試薬を収容するカートリッジを用いる、血液サンプルの内容の分析のための装置を示す。
【図4】表2に示す試薬を用いて得られた、白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す。
【図5】表4に示す試薬を用いて得られた、血小板を計数するための好ましいヒストグラムを示す。
【図6】表4に記載の試薬を用いて得られた、白血球及び白血球亜集団を計数するための好ましいヒストグラムを示す。
【符号の説明】
【0068】
2 混合チャンバ
4 回収チャンバ
6 オリフィス
8 保持チャンバ
10 細胞特徴づけ手段
12 容量測定チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− イミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘモグロビン安定化化合物と、
− 少なくとも2種の第四級アンモニウム塩と、
− 1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩と、
− 有機緩衝剤と
を含む試薬。
【請求項2】
試薬中のイミダゾール、イミダゾール誘導体及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘモグロビン安定化化合物の濃度が、約10 mmol/L〜約100 mmol/L、例えば約25 mmol/L〜約75 mmol/L、約40 mmol/L〜約60 mmol/Lの範囲、好ましくは約50 mmol/Lである請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
前記ヘモグロビン安定化化合物が、約50 mmol/Lの濃度でのイミダゾールである請求項1又は2に記載の試薬。
【請求項4】
前記少なくとも2種の第四級アンモニウム塩が、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドの組み合わせを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項5】
試薬中の前記少なくとも2種の第四級アンモニウム塩の合計濃度が、約1.0 mmol/L〜約10 mmol/L、例えば約3.0 mmol/L〜約9.0 mmol/L、約4.5 mmol/L〜約8.5 mmol/Lの範囲、好ましくは約6.5 mmol/Lである請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項6】
前記少なくとも2種の第四級アンモニウム塩が、それぞれ約5.6 mmol/L及び約0.9 mmol/Lの濃度でのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドの組み合わせである請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項7】
試薬中の前記1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩の濃度が、約10 mmol/L〜約25 mmol/L、例えば約12 mmol/L〜約23 mmol/L、約14 mmol/L〜約20 mmol/L、約16 mmol/L〜約18 mmol/Lの範囲、好ましくは約17 mmol/Lである請求項1〜6のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項8】
前記1,3-ジメチルウレア及び/又はその塩が、約17 mmol/Lの濃度での1,3-ジメチルウレアである請求項1〜7のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項9】
プロカイン、塩酸プロカイン又はプロカインのその他の塩をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項10】
試薬中の塩酸プロカインの濃度が、約0.2 mmol/L〜約1.6 mmol/L、例えば約0.4 mmol/L〜約1.4 mmol/L、約0.6 mmol/L〜約1.2 mmol/L、約0.8 mmol/L〜約1.0 mmol/Lの範囲、好ましくは約0.9 mmol/Lである請求項9に記載の試薬。
【請求項11】
前記有機緩衝剤が、約2 mmol/L〜約8 mmol/L、例えば約4 mmol/L〜約6 mmol/L、約5 mmol/L〜約5.6 mmol/Lの範囲、好ましくは約5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸)、HEPES (2-(4(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン)エタンスルホン酸)、MOPS (3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、PIPES (ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸)又はそれらの組み合わせのような化合物である請求項1〜10のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項12】
前記有機緩衝剤が、約2 mmol/L〜約8 mmol/L、例えば約4 mmol/L〜約6 mmol/L、約5.0 mmol/L〜約5.6 mmol/Lの範囲、好ましくは約5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸)である請求項1〜11のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項13】
前記有機緩衝剤が、約5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸)である請求項1〜12のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項14】
浸透圧が、少なくとも1種の無機塩、例えば塩化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムで調整されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項15】
浸透圧が、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムで調整されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項16】
浸透圧が、約200ミリオスモル/L〜約400ミリオスモル/L、例えば約250ミリオスモル/L〜約380ミリオスモル/L、約300ミリオスモル/L〜約350ミリオスモル/Lの範囲、好ましくは約330ミリオスモル/Lである請求項14又は15に記載の試薬。
【請求項17】
pHが酸で調整され、かつpHが約6〜約8、例えば約6.5〜約7.5の範囲、好ましくは約7.1である請求項1〜16のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項18】
約50 mmol/Lの濃度でのイミダゾール;約5.6 mmol/Lの濃度でのドデシルトリメチルアンモニウムクロリド;約0.9 mmol/Lの濃度でのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;約17 mmol/Lの濃度での1,3-ジメチルウレア;5.3 mmol/Lの濃度でのADA (N-2-(アセトアミド)イミノ二酢酸);0.9 mmol/Lの濃度での塩酸プロカイン;及び脱イオン水を含み、
pHが希硫酸で7.1に調整され、かつ浸透圧が塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムで調整されている
請求項1〜17のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項で定義される試薬を含むコーティング。
【請求項20】
i) 血液サンプルを請求項1〜18のいずれか1項で定義される試薬と混合する工程、及び
ii) コールター原理を用いて前記血液サンプルの内容を分析する工程
を含む、血液サンプル中の血液細胞の含量を測定する方法。
【請求項21】
血小板の含量が工程ii)により測定される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
白血球の含量が工程ii)により測定される請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
1又は複数の白血球亜集団、例えばリンパ球、単球及び/又は顆粒球が工程ii)により測定される請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
iii) ヘモグロビン含量の分光光度定量により血液サンプルの内容を分析すること
をさらに含む請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
血液:試薬の容量比が、約1:10000〜約1:200、例えば約1:1000〜約1:300、約1:600〜約1:400、約1:550〜約1:450の範囲、好ましくは約1:500である請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記工程i)が、血液サンプル中の細胞の計数用装置での使用に適するカートリッジ内で行われ、前記カートリッジ内で前記試薬は、前記試薬を前記血液サンプルと混合する混合チャンバと連結されている保持チャンバ内に存在し;かつ
前記工程ii)が、細胞を含む血液サンプルが前記混合チャンバと回収チャンバとの間に位置するオリフィスをその後通過することにより行われ、それにより、血液の内容が、細胞特徴づけ手段によりコールター原理を用いることによって分析される
請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記工程iii)が、前記回収チャンバに連結されかつ分光光度定量に適合された容量測定チャンバ内で行われる請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれか1項で定義される試薬の、血液サンプル中の血小板の含量を測定するための使用。
【請求項29】
同じ血液サンプル中の白血球の含量の同時測定のための請求項28に記載の使用。
【請求項30】
同じ血液サンプル中の1又は複数の白血球亜集団の同時測定のための請求項28又は29に記載の使用。
【請求項31】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球及び/又は顆粒球を含む請求項30に記載の使用。
【請求項32】
同じ血液サンプル中のヘモグロビン含量の測定のための請求項27〜29のいずれか1項に記載の使用。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−517286(P2008−517286A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537118(P2007−537118)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000681
【国際公開番号】WO2006/042555
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504453122)
【氏名又は名称原語表記】CHEMPAQ A/S
【住所又は居所原語表記】Hirsemarken 1B,DK−3520 Farum,Denmark
【Fターム(参考)】