説明

血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼ

【課題】 新規なFVII活性化プロテアーゼの発見とその応用。
【解決手段】 a)アプロチニンの存在によって阻害され、b)カルシウムイオンおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン類縁物質によってその活性が上昇し、またc)SDS−PAGEにおいて、以後の非還元状態での染色では分子量 50〜75kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示し、還元状態では分子量10〜35kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示す、血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼならびにそのプロ酵素は、血漿またはプロトロンビン複合体(PPSB)濃縮物から予め陰イオン交換クロマトグラフィーに付したのち、ヘパリンもしくはヘパリン類縁物質またはデキストラン硫酸を用いる親和性クロマトグラフィーによって得られる。
本発明は、上記プロテアーゼまたはそのプロ酵素の定性的および定量的検出、ならびにその診断的応用のための試験システムおよびフィブリン含有血栓の溶解に適当な量の血液凝固第VII因子を活性化する上記プロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素を含有する医薬製剤が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液凝固第VII因子の活性化のためのプロテアーゼ、それを単離、検出および不活性化する方法ならびにこのプロテアーゼからなる医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固系は、血漿中に存在する血液凝固因子を活性化する2つの異なるカスケード様経路から構成される。その誘導機構によって、内因系または外因系経路が血液凝固の開始に優先的に使用される。
【0003】
組織が傷害された場合、トロンボプラスチン(組織因子、TFとリン脂質)が外因性凝血経路のスターターとして冒された細胞により暴露される。膜局在性のトロンボプラスチンは、血液凝固第VII因子(FVII)および循環する、活性化FVII(FVIIa)の両者を結合することができる。カルシウムイオンおよび脂質の存在下に、このTF−FVIIa複合体はFXの結合を招き、これは限定された蛋白分解によってその活性化型(FXa)に変換される。続いてFXaはプロトロンビンを活性化してトロンビンを形成させることにより、フィブリンの形成を招来し、それによって最終的に創傷の閉鎖が起こる。
【0004】
トロンボプラスチン結合FVIIの更なる活性化は最初は自触反応によって起こるが、特に、凝血カスケードの開始後には、それはFXaおよびトロンビンによって支持され、特に反応カスケードの著しい強化を招くことになる。
【0005】
FVIIaまたはFVIIa含有濃縮物の投与はある種の臨床状態に適用されている。たとえば、血友病Aに冒されFVIII投与の結果としてFVIIIに対する抗体が発生している患者では、FVIIaのいわゆるFVIII副経路活性(FEIBA)が用いられる。現時点で分かっている所見によれば、FVIIaはこの関係で十分な耐容性を有し、それは血栓傾向を生じることはなく、限られているが適切な程度の凝血が起こることを保証するのに適している。組換えFVIIaは既に治療的におよび予防的に使用されている。血漿から単離されたFVIIはまた、活性化されてから用いることもできる。トロンビンのようなプロテアーゼをこの活性化に使用できるが、しかしながら、これらのプロテアーゼは、それら自体凝血を強力に活性化することが可能で、血栓の危険を招くことがある。この理由から、以後のトロンビンの除去または不活性化が必要であり、損失を生じることになる。それに伴う血栓の危険の結果として、多くの場合、FXaもしくはFIIa(トロンビン)の使用は禁忌とされ、緊急時、たとえば血液の著しい喪失および止血不能の出血の関連でのみ適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FVIIaは、健康人の血漿中にはきわめて低濃度でしか見出されない。血液中を循環するFVIIaの形成および起源についてはこれまでほとんど知られていない。細胞の破壊に伴って発現または放出された痕跡のトロンボプラスチンはこの関連である役割を果たしている可能性がある。第XIIa因子は、たとえばある種の条件下にFVIIの活性化を生じることが知られているが、この反応の生理学的な関連はまだ明らかにされていない。
【0007】
驚くべきことに今回、従来知られているすべてのプロテアーゼとは異なるFVII活性化プロテアーゼが、ヒト血漿およびある種のプロトロンビン複合体濃縮物の分画に関連し発見された。このプロテアーゼの検討から、それは ChromogenixAB,Swedenからのペプチド基質S2288(HD−イソロイシル−L−プロリル−L−アルギニン−pNA)に対して特に高いアミド分解活性を示すことが示された。このプロテアーゼの特殊な性質は、そのアミド分解活性がアプロチニンによって効果的に阻害されることである。他のインヒビター、たとえばアンチトロンビンIII/ヘパリン複合体もその阻害に適している。他方、その活性はヘパリンおよびヘパリン関連物質たとえばヘパリン硫酸またはデキストラン硫酸およびカルシウムイオンにより上昇する。最後に、このプロテアーゼは、時間およびその濃度に依存する様式でFVIIをFVIIaに変換できることが見出された。この反応もアプロチニンによって阻害される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の主題の一部は、
a)アプロチニンの存在によって阻害され、
b)その活性はカルシウムイオンおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン関連物質によって上昇し、そして
c)SDS−PAGEにおいて、以後の非還元状態での染色では分子量50〜75kDaの範囲に1個もしくは2個以上のバンドを示し、還元状態では分子量40〜55kDaに1個のバンドならびに分子量10〜35kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示す、
血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プロテアーゼとFVIIIを一定時間インキュベートした場合のプロテアーゼ濃度とFVIIIの不活性化を示す。
【図2】プロテアーゼ濃度を一定とし、FVIIIを様々な時間インキュベートした場合のFVIIIの不活性化を示す。
【図3】プロテアーゼとFVIIIを混合物中におけるカルシウム濃度を変動させインキュベートした場合のFVIIIの不活性化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の明細書においては、そのプロテアーゼの活性化型を「プロテアーゼ」と呼び、非活性化型を「プロ酵素」と呼ぶ。
【0011】
このプロテアーゼについてさらに検討し、濃縮または単離後には急速な活性の喪失を受け、それは20mM tris、0.15M NaClを含有するpH7.5の溶液中で観察された。濃度0.1%のアルブミンの添加も、このプロテアーゼの活性が室温で1時間後に50%まで低下するのを防止することはできなかった。他方、50mMのクエン酸ナトリウムによりpH6.5に緩衝化した溶液中では、このプロテアーゼのきわめて良好な安定化が観察された。溶液をpH4〜7.2好ましくはpH5.0〜7.0に調整すると、プロテアーゼ溶液に特に安定剤を加えなくても活性の喪失は全くまたはきわめてわずかしか認められなかった。しかしながら、溶液には安定化剤を添加することが得策であり、適当な安定剤としてはクエン酸塩のほかに、特にグルタメート、アミノ酸たとえばアルギニン、グリシンまたはリジン、カルシウムイオンおよび糖たとえばグルコース、アラビノースまたはマンノースの1〜200mmol/L好ましくは5〜100mmol/L量を挙げることができる。有効な安定化は、グリコールたとえばエチレングリコールまたはグリセロール5〜80重量%の添加によっても達成され、好ましくは10〜60重量%が使用される。その場合、安定化された溶液のpH値は4〜9でなければならない。
【0012】
新規なプロテアーゼ、および同じくそのプロ酵素は、組換えDNA法、またはたとえば適当なトランスジェニック動物の乳汁中における産生によって得られ、特に血漿もしくはプロトロンビン複合体(PPSB)濃縮物の分画化によって得ることができる。出発原料をついで最初に陰イオン交換クロマトグラフィーに付し、続いて、溶出液の親和性クロマトグラフィーを行う。親和性クロマトグラフィーにはマトリックス上に固定化されたヘパリンまたはヘパリン関連物質たとえばヘパリン硫酸またはデキストラン硫酸が特に適している。このようなクロマトグラフィー法を用いた場合、新規なプロテアーゼおよび/またはプロ酵素は選択的に結合され、ついで既知の方法を用いて再び溶出することができる。マトルックスにリガンドをカップリングするためには、スペーサーの使用を推薦できる。新規プロテアーゼの単離にはヘパリン−リジンマトリックスが特に適していることが見出されている。
【0013】
SDS−PAGEとそれに続く染色では、この方法によって単離されたプロテアーゼは、非還元状態において、分子量55〜75kDaの範囲の互いに接近した存在する1個から数個のバンドを示す。還元後には、分子量15〜35kDaの範囲に1個から数個のバンドが観察され、1個のバンドが40〜55kDaに観察された。60〜65kDaのさらに1個のバンドは、走査および定量的評価後、総タンパク質の5〜10%を構成し、非活性化プロ酵素も存在することが示された。この結果は、このプロテアーゼに対するモノクローナル抗体を使用する適当な検討によって支持された。したがって、このプロテアーゼのプロ酵素もまた、本発明の方法により調製し、滅菌し、使用することができると結論された。本発明の主題の一部は、したがって、血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼのプロ酵素である。プロ酵素の比率は60〜65kDaのバンドにより指示される。プロ酵素の適当な生理学的アクティベーターの例は、それらの基質特異性に応じて、プロ酵素、トロンビン、カリクレインまたはFVIIaの活性化領域を構成するアミノ酸配列に相当する。
【0014】
上述した新規なプロテアーゼの性質の一部、すなわちそれが血漿または血漿に由来するプロトロンビン複合体(PPSB)濃縮物から単離できるという事実、そのアミド分解活性のアプロチニンによる阻害ならびに還元および非還元状態の両者でのSDS−PAGEにおける上述の泳動挙動は、Hunfeldら(Ann.Hematol.1997,74:A87,113;Ann.Hematol.1998,76:A101,P294 および Etscheidら,Ann.Hematol.1999,78:A42)によって詳細は定義されていないPPSB濃縮物から単離されたプロテアーゼを想起させる。その場合は、調製は主としてアプロチニンマトリックスを用いて達成された。ある種のペプチド基質のアミド分解による切断の結果として、活性はトロンビン様活性と記述されている。Hunfeld らは包括的な血液凝固パラメーターたとえばプロトロンビン時間、クウイックまたは血小板凝集に対する影響は全く見出していない。
【0015】
Hunfeldらにより記載されたプロテアーゼのN末端配列決定は、そのcDNAがChoi−Miuraら(J.Biochem.119:1157−1165,1996)により報告されたタンパク質の場合と一致を示す。その一次構造では、相当するタンパク質が肝細胞増殖因子活性化酵素(HGFA)と命名されている酵素とホモロジーを示す。
【0016】
SDS−PAGEから還元条件下に単離された2つのバンドをN末端配列決定に付し、以下の一致が確立された。
バンドの分子量範囲 アミノ酸配列 報告者
10〜35kDa IYGGFKSTAGK 本発明
30kDa IYGGFKSTAG Hunfeldら
17kDa IYGGFKSTAGKH Choi−Miuraら
40〜55kDa LLESLDP 本発明
50kDa SLDP Hunfeldら
57kDa SLLESLDPWTPD Choi−Miuraら
一致は他の試験結果たとえば基質特異性および阻害される活性の能力にも見出される。
それにもかかわらず、現時点ではこれらのタンパク質が同一であるとの推定はなお不可能である。いずれにしても、以前に研究された上述のタンパク質にはFVIIaまたは他の因子の活性化の性質をもつことは報告されていない(下記参照)。
【0017】
その上述の性質に基づいて、その新規なプロテアーゼは診断的におよび治療的に使用することができる。
【0018】
1.新規なプロテアーゼを用いる試験システム
新規なプロテアーゼは試験試薬中に診断的に使用することができる。すなわち第VII因子の存在は新規なプロテアーゼの添加により血液凝固試験において定性的および定量的に決定することができる。
【0019】
それとは逆に、FVIIの活性化を測定するために開発されたこの試験システムはプロテアーゼの検出および定量にも使用することができる。このためには、プロテアーゼを含有する溶液をFVII含有溶液と混合し、適当なインキュベーション時間後に生成したFVIIaの両を定量する。これは、たとえば Staclot(R)FVIIa−rTFテスト(Stago/Boehringer Mannheim)を用いて実施できる。好ましい操作を用いた場合は、この試験は供給されるFVIIの濃度には限定されない。総タンパク質の比率の型でのプロテアーゼ量を知る場合には、その比率は:
−純粋なプロテアーゼプレパレーション中、キエルダール法または本技術分野の熟練者には周知の他のタンパク質のアッセイ法により、または
−たとえば特異的な抗体に基づく抗原試験および適当な免疫化学的測定方法たとえばELISAを用いて決定することが可能であり、ついでプロテアーゼプレパレーションの比活性を相当する様式で測定することができる。
【0020】
驚くべきことに、プロテアーゼの特性の更なる解明に伴い、付加的な測定を可能にする性質が新たに見出された。上記プロテアーゼと血液凝固VIII/VIIIaおよびV/Va因子のインキュベーション、それに続く定量に関連して、上記血液凝固因子はプロテアーゼ濃度およびインキュベーションの長さには無関係な様式で不活性化されることが明らかにされた。
【0021】
本発明の主題の他の一部は、したがって、血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼを定性的および定量的に検出する新規な試験システムであり、このシステムにおいては、プロテアーゼは血液凝固第VIII/VIIIaまたはV/Va因子を不活性化するその活性によって定量することができる。この試験システムは、プロテアーゼを含有する溶液を第VIII/VIIIaまたはV/Va因子とインキュベートして、残留した第VIII/VIIIa因子の量または残留した第V/Va因子の量を慣用の活性試験によって測定し、ついでこれからプロテアーゼの量を標準曲線との比較により決定する操作に基づくものである。この試験の実施に際し、プロテアーゼ活性のインキュベーションを予め定められた時間、限られた量のアプロチニンの添加によって阻害すると、これらの濃度では試験システムの以後の測定に影響しないという利点がある。その後、血液凝固因子の残留活性を本技術分野の熟練者に周知の試験方法で測定する。このためには、主として第IXおよびX因子を含有し、得られたFXaの量をトロンビンインヒビターの存在下に色素原基質の変換により定量するいわゆる Coamatic(R)第VIII因子テスト(Chromogenix AB)を使用可能にする点で(〔0007〕の記述参照)、特に試験システムの価値が証明されている。一方、この量は、FVIIまたはFVIIaの量に比例する。ついで、残留するFVIII活性を決定すれば、存在するプロテアーゼの濃度を帰納することが可能になる。
【0022】
蛋白分解作用によるFVIII/FVIIIaまたはFV/FVa因子の分解は、SDS−PAGEによって明瞭に証明できる。プロテアーゼをたとえばFVIII濃縮物とインキュベートした時間に依存して、FVIIIに典型的なバンドは消失し、一方、他の新しいバンドが発生し、または弱いバンドの強度が増大する。したがって、プロテアーゼの活性はまた、バンドの減弱または増強を定量することにより関連づけることが可能で、その結果、たとえばプロテアーゼ標品を用いて定量的に測定することができる。SDS−PAGE電気泳動図におけるバンドの強度、または他の電気泳動法によるバンドの強度の変化を、本技術分野の熟練者には周知のたとえばスキャナーおよび適当なプログラムを用いて定量することができる。これに加えて、上記血液凝固因子に対する抗体はウエスタンブロットに使用可能であり、また上述の方法における評価に採用することができる。減弱したバンドまたは、特に発生したバンドを特異的に検出する抗体が特に適している。これに関連して、これらの抗体は他の免疫化学的試験、たとえばELISAの確立にも使用することができる。
【0023】
FVIII/FVIIIaの場合に記載された蛋白分解的不活性化はまた、FVIIIとある程度の構造的ホモロジーを示す第V/Va因子とプロテアーゼをインキュベートした場合にも観察される。分解は適当な活性試験システムおよびSDS−PAGE/ウエスタンブロッティングにおいてモニターできる。
【0024】
FVおよびFVIIIの不活性化にもかかわらず、今回、血液、血小板濃縮血漿または血漿へのプロテアーゼの添加は血液凝固時間を短縮すること、すなわち各種のいわゆる「包括的血液凝固試験」において卓越したプロコアギュラント活性を示すことが見出された。これらの試験システムは、たとえば、非活性化部分トロンボプラスチン時間(NAPTT)、プロトロンビン時間(PT)およびカルシウム再沈着時間であると理解される。たとえばいわゆる血液凝固計において、血栓弾性記録計により、またはほかに色素原試験で測定されるこれらの時間の短縮化は、血液凝固促進物質の濃度と相関するので、サンプル中のその物質の濃度は、血液凝固時間の検量曲線を使用して逆に推論することができる。「FVIIアクティベーター」の濃度は同様、選択された包括的血液凝固試験を用いて決定することができる。
【0025】
「FVIIアクティベーター」は同様に、単一鎖ウロキナーゼ(scuPA、単一鎖ウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター)、および単一鎖tPA(sctPA、単一鎖組織プラスミノーゲンアクティベーター)の効果的なアクティベーターをもたらすことができること、すなわちプラスミノーゲンアクティベーターアクティベーター(PAA)として作用できることがまた驚くべきことに見出された。活性化PAの活性はたとえば、色素原物質を用いて測定できる。すなわちこの性質は、したがって、「FVIIアクティベーター」の検出および定量化に使用することができる。プラスミノーゲンアクティベーターの活性化はまた、プラスミノーゲンの存在下、プラスミンそれ自身の形成によりまたはプラスミンによってもたらされるフィブリン凝血の溶解により、カップリング反応で決定することができる。
【0026】
したがって、要約すれば、プロテアーゼはそれをFVIIIまたはFVIIIaを含有する溶液とインキュベートし、ついでFVIII/FVIIIaの残留量を適当な活性試験により検出および定量の両者が可能であるということができる。同じ方法でFVまたはFVaをプロテアーゼとインキュベートし、FV/FVaの残留量をついで定量することができる。未知のプロテアーゼ濃度は試験に包含されるプロテアーゼの量の上昇を標準曲線と比較して定量的に決定することができる。様々な包括的血液凝固試験が同様に定量化に適当であり、プロテアーゼ濃度は凝固時間の短縮に基づいて検量曲線から読み取られる。プロテアーゼのPAA活性も定量の目的に使用することができる。
【0027】
これらの試験の特徴は、FVおよびFVIII不活性化ならびにPAA活性が適当な高濃度のカルシウム、好ましくは>0.001mM、特に好ましくは>0.005mMをCaCl2の形で存在させると、特に良好に発揮されることである。上述のように、ヘパリンおよびヘパリン様物質の両者およびカルシウムもプロテアーゼ活性を上昇させる直接的な色素原アッセイの場合とは対照的に、FV/FVIIIの不活性化はヘパリンによっては促進されないか、または有意ではない促進が認められるにすぎない。これに反し、PAA活性はいずれの物質の存在でも、すなわちカルシウムおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン様物質によって刺激される。
【0028】
プロテアーゼ誘導反応は、プロテアーゼをインヒビター特にヘパリンまたはヘパリン様物質の存在下(好ましくはヘパリンの存在下)アンチトロンビンIII、C1−エステラーゼインヒビター、α2−アンチプラスミン、インターα−トリプシンインヒビターまたは既知の低分子量プロテアーゼインヒビターたとえば商品名FOY(R)として入手できるグアニジノカプロン酸−p−エトキシカルボニルフェニルエステルとインキュベートすることによってきわめて効率的に減弱または防止することができる。これらの物質は、したがって、たとえばインキュベーション時間を正確に決定するため、または試験の特異性をさらに上昇させる目的で、反応を停止させるために使用することができる。混合物中の遊離のカルシウムイオンをたとえばキレート剤で減少させると、この目的に使用することもできる。
【0029】
2.第Vおよび第VIII因子の安定化されたプレパレーション
血液凝固第Vおよび第VIII因子に対する新規プロテアーゼの蛋白分解活性に関する上述の観察からプロテアーゼ活性の阻害またはその活性の減弱の課題が、生成の喪失および、多分妨害性タンパク質のフラグメントと考えられる断片の形成を回避するために生じる。これはすべて、FVおよびFVIIIが血漿より得られた寒冷沈殿物からカルシウムイオンの存在下に通常調製され、後者はタンパク質のコンフォーメーションの維持に要求されることから、益々重要である。
【0030】
本発明の主題の他の部分は、したがって、血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼが阻害されるとい事実の結果としての蛋白分解により形成された第Vおよび第VIII因子フラグメントを含まないFVまたはFVIIIの安定化されたプレパレーションである。さらに詳細な検討によって、上記プロテアーゼによる第Vおよび第VIII因子の不活性化は特に0.5mM以上の濃度のカルシウムイオンの存在下において効率的に起こることが示されたことから、血液凝固第VII因子を活性化するプロテアーゼの阻害のために第Vまたは第VIII因子プレパレーション中のカルシウムイオンの濃度を1.0mM未満、好ましくは0.5mM未満に調整すると第Vおよび第VIII因子のプレパレーションを効率的に安定化することができる。プロテアーゼの第Vおよび第VIII因子不活性化作用はこれらの濃度で著しく低下するが、カルシウムイオンの量はFVおよびFVIII分子のコンフォーメーションを安定化するのになお十分である。上述のカルシウムイオン量は、単に最終製品においてのみではなく、寒冷沈殿物自体および以後の精製工程でも過剰になってはならない。
【0031】
プロテアーゼまたはプロ酵素のヘパリンおよびヘパリン様物質に対する上述の親和性により、プロテアーゼ/プロ酵素はFVIIIまたはFV含有溶液から、固定化ヘパリンまたは他の免疫性もしくは親和性吸着物質とインキュベートすることによって除去できる。免疫性吸着物質の調製に有用なポリクローナルまたはモノクローナル抗体、それぞれの抗体フラグメントは本技術分野において既知の技術により、プロテアーゼまたはプロ酵素の全体または部分を抗原として用い、容易に入手することができる。
【0032】
しかしながら、FVまたはFVIIIの蛋白分解を防止するためには、カルシウムイオン量の低下に加え適宜、天然または合成プロテアーゼインヒビターを使用することもできる。アプロチニン、α2−アンチプラスミン、C1−エステラーゼインヒビターまたはインタートリプシンインヒビターのような蛋白質もインヒビターとして使用できる。本技術分野の熟練者には合成セリンプロテアーゼインヒビターとして知られている低分子量物質もこれに関連して使用することができる。阻害強度がヘパリンまたはヘパリノイドによって上昇するアンチトロンビンIIIのようなインヒビターも同様に添加できる。すなわち、ヘパリンはそれ自身、小色素原物質に対するプロテアーゼのアミド分解活性を増大できるが、それはFV/FVIIIの不活性化を支持しないことが驚くべきことに見出された。
【0033】
3.新規プロテアーゼからなる医薬
新規なプロテアーゼおよび/またはプロ酵素は治療的に用いることができる。
それらはそれら単独、またはプロテアーゼの活性を増大させる物質、たとえばヘパリンまたはヘパリン関連物質、たとえばヘパリン硫酸、および/またはカルシウムイオンとともに使用することができる。この薬剤にはさらに、第VII因子を同様に添加することも可能である。そのFVIII副経路活性(FEIBA)を利用するこのような薬剤の使用は、たとえば、FVIIIおよび/またはFIXおよび/またはFXIおよび/または接触相タンパク質たとえばFXIIに対してたとえば抗体の存在のために耐容性が存在する場合、または他のタイプの欠損状態が存在する場合に適用することができる。この関連で、FVIIはインビトロ、血漿中、濃縮分画中のいずれかまたは精製FVII上に対する作用により活性化することができる。また、新規な血液凝固剤は、全身性の出血の予防のためまたは出血を停止させるためにエキソビボで使用することも可能である。
【0034】
他方、アプロチニンまたは上述のインヒビターによる新規プロテアーゼの観察された阻害は、プロテアーゼインヒビターからなり血液を凝固させる能力が減弱した薬剤の開発に使用できる。これに加えて、新規なプロテアーゼはまた、それらのプロテアーゼ阻害作用によって血液凝固を損なう生理学的および非生理学的因子たとえば合成ペプチドを同定するためにも使用できる。特に効率的にトランスフォームされる色素原基質、たとえばS2288(詳細は上記参照)のペプチド配列はこのための構造的基盤として使用することができる。これらのプレパレーションが蛋白分解活性を含まない場合には、凝血プレパレーションに対する適当なインヒビターの添加が、それらの調製時にも必要なことがある。
【0035】
プロテアーゼの特性がさらに解明されるに伴い、いわゆる「第VII因子アクティベーター」プロテアーゼとしての付加的用途の可能性を開く性質が発見された。一本鎖プラスミノーゲンアクティベーター、たとえば、プロウロキナーゼ(一本鎖ウロキナーゼ、sucPA、一本鎖ウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター)または sctPA(一本鎖組織プラスミノーゲンアクティベーター)をインキュベートすると、「第VII因子アクティベーター」がこれらのプラスミノーゲンアクティベーター(PA)の活性化をもたらす。これに関連して、一本鎖PAの蛋白分解には限界があり、二重鎖プロテアーゼの形成を生じ、これは特にプラスミノーゲンの活性化に適している。生成したプラスミンはフィブリン溶解のエフェクター、すなわち血栓の溶解に関与する生理学的システムである。プロウロキナーゼまたはtPAのようなPAは、必要に応じて放出され、また既知のようにプラスミンまたはカリクレイン(scuPA)によって活性化される内因性タンパク質である。健康状態においてscuPAが活性化される機構は、まだ完全には解明されていない。
【0036】
プラスミノーゲンアクティベーターは,血栓性疾患または併発症たとえば大腿静脈血栓症、心筋梗塞または卒中に関連した医薬製剤中において、単離もしくは組換えによって調製されたタンパク質として治療的に使用することができる。
【0037】
今回発見された「第VII因子アクティベーター」の性質により、後者はプラスミノーゲンアクティベーターたとえばウロキナーゼまたはsctPAのインビボまたはエキソビボ活性化に使用することができる。この活性はまたこのプロテアーゼを、特に一本鎖または二本鎖プラスミノーゲンアクティベーターまたは抗凝固剤と組合わせて同様に、血栓塞栓性疾患の予防または治療のための使用に適用できる。この使用の可能性は、プロテアーゼがまたプロコアグラント様式で作用できる事実と矛盾しない。2つの反応のどちらが優先するかの問題は生理学的物質の利用性によって多分解決される。現時点での知識によれば、第VII因子は血漿中で中程度に活性化されて、突然の血管障害に直ちに対処できるようにある濃度に絶えず維持されている。他方、組織プラスミノーゲンアクティベーターならびにウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーターは血漿1ml中にわずかナノグラム単位の量で存在するのみである。その濃度がプラスミノーゲンアクティベーターの分泌または合成によって上昇するのはフィブリンの沈着または血栓が起こった場合のみで、それらはついで、局所的に特にそれらが血栓に結合した場合に活性化されたのち、プラスミノーゲンを活性化して、それらの血栓溶解作用を発揮する。一本鎖PAが存在する場合、特に局所的に限定された様式ではそれらの活性化がFVIIの活性化を上回り、それにより生理学的状態への調整が可能になる。したがって、このプロテアーゼはまた止血を調整し、それによって先天的または後天的欠損状態の症例におけるプロテアーゼおよび/またはプロ酵素による置換に適用される可能性がある。
【0038】
したがって本発明の主題の他の部分は、血液凝固第VII因子活性化プロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素型の、フィブリン含有血栓を溶解するのに十分な量からなる医薬製剤である。この製剤はさらに、一本鎖プラスミノーゲンアクティベーター(PA)および/または抗凝固剤を含有させることもできる。プロ酵素が存在する場合には、上述の医薬製剤内にまたはそれとともに、適当な活性化剤を使用することも有利である。
【0039】
「FVIIアクティベーター」のプラスミノーゲンアクティベーター増強作用は、特にカルシウムおよび/またはヘパリンおよびヘパリン様物質たとえばデキストラン硫酸によって促進されることが見出されたことから、さらに可溶性カルシウム塩および/またはヘパリンもしくはヘパリン様物質を含有する医薬製剤は、フィブリン含有血栓を本発明によって溶解するために有利に使用できる。これに関連して、プロテアーゼ/プロ酵素はその単独または一本鎖または二本鎖プラスミノーゲンアクティベーターと組合わせ、所望によりプロテアーゼに対して特定の親和性を発揮し、それによって血漿中半減期を延長する担体物質としてまたは表面へのメディエーターとしてその活性を増大させる物質とともに使用することができる。
【0040】
血液凝固第VII因子活性化プロテアーゼからなる医薬製剤は、その特異的なフィブリン溶解作用により、フィブリン含有血栓によって引き起こされる疾患の処置に使用することができる。フィブリン溶解過程はまた創傷治癒過程に関与する。この関連で、上記プロテアーゼおよび/またはプロ酵素は、静脈内もしくは局部的、皮下、皮内または筋肉内あるいは傷害もしくは創傷の場合は局所的にまたは適当な担体マトリックスに結合させて投与することができる。体液たとえば血液または血漿から単離されたプロテアーゼ/プロ酵素および組換えまたは遺伝子導入により調製されたプロテアーゼ/プロ酵素はいずれもこの関連で使用できる。プロテアーゼ/プロ酵素はまた、いわゆるフィブリン接着剤の成分としても適当で、これにはアプロチニンのようなプロテアーゼ/プロ酵素を阻害する物質を含有してはならない。この場合、プロテアーゼの凝血短縮作用が利用される。
【0041】
上記プロテアーゼ/プロ酵素は、先天性または後天性止血欠損、(汎発性)出血の発生、各種血栓関連併発症に使用することができる。出血の処置に使用する場合は、プロテアーゼ/プロ酵素をFVIIIとともに、所望により、さらに他の凝血因子を付加することが有利である。
【0042】
4.FVII活性化プロテアーゼを滅菌する方法
ヒト血漿から単離されたタンパク質であるから、新規なプロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素は、予めウイルスを不活性化する処理に付した場合にのみ、医薬製剤として使用することができる。滅菌過程が特にウイルスの不活性化に最も重要な過程として認識されている。しかしながら、処理すべきタンパク質には約60℃で10時間までの過熱に適当な安定性が要求される。各タンパク質について至適な安定剤を別個に決定し、それらの濃度を至適化しなければならない。
新規なプロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素の場合、滅菌は行わない溶液中のタンパク質を安定化する条件は既に上述した。この場合わずかに酸性のpHが特に有利なことが証明されている。しかしながら、これらの条件下に滅菌を行うと、新規なプロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素では通常、元の活性の50%以上が失われる。
【0043】
新規なプロテアーゼおよび/またはそのプロ酵素からなる医薬製剤の滅菌は、プレパレーションを
a)pH範囲3.5〜8.0、好ましくはpH範囲4.0〜6.8;
b)添加した1種または2種以上のアミノ酸0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上の存在下;および/または
c)添加した1種の糖または異なる糖の組合わせ、総濃度0.05g/ml以上、好ましくは0.2g/ml以上の存在下;および/または
d)添加したカルシウムイオンと錯体を形成できる物質たとえばクエン酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸等1種または2種以上の存在下
に調製されると、至適な安定化結果が保証される。
【0044】
添加物たとえばアルブミン、Haemaccel(R)、ヘパリンおよびヘパリノイド、グリセロール、グリコールおよびポリエチレングリコールを別個にまたは一緒に混合して使用することができる。滅菌が完了したのち、安定剤として添加した糖、アミノ酸および他の添加物は、本技術分野の熟練者には周知の方法を用いてプレパレーションから減量または完全に除去することができる。滅菌過程の結果は実施例12および13に示す。
【実施例】
【0045】
実施例1
調製されたプロテアーゼによるFVIIの活性化を、Staclot(R)FVIIa−rTFテストシステム(Stago/Boehringer Mannheim)を用いて証明した。この検出システムは、予め形成された活性化FVII(FVIIa)を外因系凝固経路の阻害にのみ使用できる特定の性質の(組換え)可溶性組織因子(rTF)に基づくものである。これは、完全な組織因子を用いた場合とは異なり、FVIIaの実際の含有量を正確に決定することを可能にする。
【0046】
単離されたFVII(Enzyme Research Labs)を用いて活性化実験を行った。このFVII自体はヒト血漿から単離されたために痕跡のFVIIaを含んでいる。緩衝液で希釈して濃度をFVII 0.05IU/mlに調整した。FVIIを試験物質と室温で10分間インキュベートし、ついで真のFVIIa含量を試験した。FVIIa含量は平行して構築した標準曲線を用いて定量した。
【0047】
本明細書には記載していない予備実験で、用いた濃度ではアプロチニンは調製されたプロテアーゼの活性を完全に阻害したが、FVIIaに直接の作用をもたず、FVIIa−rTFテストシステムに有意な影響を示さないことが確認された。
以下に掲げる結果は、各場合、三重の測定に関する。すなわち、以下の実験は次のようにセットアップされた。
【0048】
1.FVII:
対照アッセイとしては非活性化FVIIを使用した。これは、既に痕跡のFVIIaを(上記参照)をFVIIa 10mIU/mlのオーダーで含有している。
【0049】
2.FVII+アプロチニン:
このアッセイでは、FVIIはアプロチニンの存在下にインキュベートし、FVIIa自体は阻害されないことまたテストは用いたアプロチニンによって影響されないことを証明するために、FVIIa−rTFアッセイを使用した。これは確認された(アッセイ1との比較で)。
【0050】
3.プロテアーゼ+FVII(インキュベート)ついでアプロチニンの添加:
結果:FVIIa 18mIU/ml
この場合、プロテアーゼにはFVIIaを活性化する時間を与えた。アプロチニンはプロテアーゼをそがいするために単に添加し、10分間のインキュベーション後に行われた。得られたFVIIaをFVIIa−rTFアッセイで定量した。すなわち、FVIIaの基底値(アッセイ1)を差し引くと、選択された条件下でのプロテアーゼの活性によってFVIIa 8mIU/mlが形成された。
【0051】
4.プロテアーゼ+アプロチニン、ついでFVIIの添加:
結果:FVIIa 11mIU/ml
このアッセイでは、プロテアーゼをFVIIと接触させる前にアプロチニンで阻害した。以後のFVIIとのインキュベーションでもまた続くFVIIaの定量でも、有意なFVIIa含量の上昇は生じなかった(アッセイにおける変動の範囲、すなわち、アッセイ1における11と10mIU/mlは有意とはみなされない)。
【0052】
5.プロテアーゼ:
結果:FVIIa 0mIU/ml
このアッセイでは、選択された濃度においてプロテアーゼはそれ自体FVIIa−rTFテストシステムに何ら影響を与えないことが証明された。
要約すれば、以上から
−記述したプロテアーゼはFVIIを活性化する;
−プロテアーゼによるFVIIの活性化は「直接」、すなわち、rTFの存在とは独立に起こる;
−FVIIの活性化はアプロチニンによって阻害される;アプロチニンそれ自体はテストシステムに何ら有意な影響は与えない;
と結論される。
【0053】
実施例2
この実施例はプロテアーゼの濃度およびプロテアーゼがFVIIとインキュベートされた時間とは独立の反応において、FVIIがいかにして活性化されるかを説明する。テストシステムおよび試薬は実施例1の記載に相当するように選択された。最初のシリーズの実験では、最初に導入されたFVIIは様々な希釈度(1:5、1:10および1:20)のプロテアーゼ含有溶液とプレインキュベートし(室温5分)、ついでアプロチニン(プロテアーゼを阻害する)で処理し、続いて、そのFVIIa含量をFVIIa−rTFアッセイにおいて試験した。この場合も、プロテアーゼをFVIIと接触させる前にアプロチニンによって阻害したアッセイを平行して行い、対照とした。
【0054】
結果は活性化係数として与える。すなわち、上述の対照アッセイで測定された値のx倍に相当する。
アッセイ:プロテアーゼ+FVII、インキュベーション、+アプロチニン
対照:プロテアーゼ+アプロチニン、インキュベーション+FVII
【表1】

これから、FVIIはプロテアーゼにより、プロテアーゼの濃度に依存する様式で活性化されると結論される。
【0055】
共反応物質の濃度を一定に保持した場合、FVIIはインキュベーションの長さとは独立の様式で、プロテアーゼによって活性化されることも同様に証明された。FVII 0.2IU/mlおよび1:10−希釈プロテアーゼ溶液を含有する溶液の等容量を一緒にインキュベートした場合には、相当時間のインキュベーション後にアプロチニンを添加して(活性化を停止させるため)、以下のFVIIa含量が得られた。
【表2】

これから、FVIIは、プロテアーゼによって時間依存性の様式で活性化されると結論される。
【0056】
実施例3
この実施例を用い、FVIIのプロテアーゼによる活性化はカルシウムイオンおよびヘパリンの存在によって増大することを証明することとする。
25μlのプロテアーゼ含有溶液を、50μlの
−緩衝液(対照)
−15mM CaCl2
−ヘパリン 50USP単位/ml
−Pathromtin(脂質混合物、アリコートを製造業者の指示書に従って溶解)
と室温で5分間混合し、ついで150μlのtris/NaCl緩衝液(pH8.2)および25μlの色素原基質S2288(3mM)で処理し、ついで405nmにおける吸光度の経時的変化を測定した(37℃)。緩衝液対照に対する活性化係数(x倍)は下表に示す。
【表3】

この実施例で用いた条件下には、プロテアーゼ活性の著しい上昇をカルシウムイオンおよび/またはヘパリンの存在下に観察することができる。
【0057】
実施例4
いずれの場合も、プロテアーゼ10、1または0.1μg/mlを含有する溶液を、25μlのFVII(2IU/ml)と混合したのち、25μlのCaCl2(25mM)および25μlのPathromtin(R)(Dade Behring GmbH)を加えた。37℃において0、3、10および20分間インキュベートしたのち、400μlのアプロチニン(500KIU/mg)を添加して反応を停止させた。アプロチニンを最初に添加したサンプルを対照として用いた。
【0058】
各サンプルをtris緩衝液/BSAに希釈した。各場合、この溶液50μlを因子試薬[主としてFIXa、FXおよびトロンビンインヒビターからなり、Cosmatic(R)FVIIIテスト、Chromogenix AB に従って改変]50μlと混合し、37℃において10分間インキュベートした。50μlの基質(たとえばS2765、N−a−Cbo−D−Arg−Gly−Arg−pNA)を加えてたのち、既定時間のインキュベーション後に50μlの酢酸(50%)を添加して反応を停止させ、ついでOD405nmを測定した。FVIIIの標準曲線を用いてサンプル中の濃度を決定した。
【0059】
結果:
最初のアッセイでは、プロテアーゼをFVIII(2IU/ml)とインキュベートする時間を一定(10分)に保持したが、プロテアーゼの濃度は変動させた(0.1、1および10μg/ml)。反応を停止させ、活性なFVIIIの残留濃度を測定した。プロテアーゼ濃度が上昇すると、それに対応してFVIIIは不活性化された(図1)。
サンプルのプロテアーゼ含量は適当な標準曲線を用いて定量化できる。
第二のアッセイではプロテアーゼの濃度を一定に保持して(10μg/ml)、FVIII(2IU/ml)とインキュベーション時間を変動させた。活性なFVIIIの残留濃度の著しい低下がインキュベーション時間の延長とともに認められた(図2)。
【0060】
実施例5
第V因子の活性に対する「FVIIアクティベーター」の影響を検討した。
25μlのプロテアーゼ含有溶液(0〜100μg/ml)を50μlのFV(5IU/ml)および25μlのCaCl2 とインキュベートし(0〜20分)、ついで100KIU/mlのアプロチニンを含む緩衝液400μlを加えた。
いずれの場合も、各100μlのインキュベーションアッセイをついで100μlのFV欠乏血漿と37℃で1分間インキュベートし、次に200μlのThromborelS(R)を加えて混合し、Schnitger & Gross 血液凝固計で血液凝固時間を測定した。FVの残留活性を決定した。
結果:
【表4】

この実施例では、FVがプロテアーゼによって経時的に不活性化されたことが証明される。
【0061】
実施例6
「FVIIアクティベーター」のいわゆる包括的試験における血液凝固時間に対する影響を、Schnitger & Gross 血液凝固計を用いて検討した。掲げた差の値は、すべてこの量で短縮された血液凝固時間に相当する。
【0062】
NAPTT(非活性化部分トロンボプラスチン時間)
プロテアーゼ含有溶液を緩衝液で100、30、10および3μg/mlに希釈した。これらの溶液それぞれ100μlを、100μlの加クエン酸血漿(標準血漿プールまたは個々のドナーから)および100μlのPathromtin(R)と37℃で2分間インキュベートし、ついで100μlの25mM CaCl2を加え、ついで血液凝固時間を測定した。これらの測定値とプロテアーゼに代えて緩衝液を用いて得られた相当する血液凝固時間の間の差を求めた。
【表5】

FVIIアクティベーターの添加はNAPTTの濃度依存性の短縮を生じた。
【0063】
血漿カルシウム再沈殿時間
プロテアーゼ含有溶液を緩衝液で100、30、10および3μg/mlに希釈した。これらの溶液それぞれ100μlを、100μlの加クエン酸血漿(標準血漿プールまたは個々のドナーから)と37℃で1分間インキュベートし、ついで100μlの25mM CaCl2を加え、ついで血液凝固時間を測定した。これらの測定値とプロテアーゼに代えて緩衝液を用いて得られた相当する血液凝固時間の間の差を求めた。
【表6】

【0064】
PT(プロトロンビン時間)
プロテアーゼ含有溶液を緩衝液で100、30、10および3μg/mlに希釈した。これらの溶液それぞれ100μlを、100μlの加クエン酸血漿(標準血漿プールまたは個々のドナーから)と37℃で1分間インキュベートし、ついで200μlのThromborelS(R)(Dade Behring GmbH)を加え、ついで血液凝固時間を測定した。
これらの測定値とプロテアーゼに代えて緩衝液を用いて得られた相当する血液凝固時間の間の差を求めた。
【表7】

【0065】
実施例7
「FVIIアクティベーター」のプラスミノーゲンアクティベーター活性化作用を一本鎖ウロキナーゼ(scuPA)および一本鎖tPA(sctPA)を使用して検討した。
アッセイ:
0.1ml PA溶液(20μg/mlのscuPAまたは100μg/mlのsctPA)
+0.1ml 試験緩衝液または
試験緩衝液中100U/mlのヘパリンまたは
試験緩衝液中20mM CaCl2
+0.5ml 試験緩衝液
+0.1ml プロテアーゼ/サンプル(濃度上昇;2〜10μg/mlのscuPAまた
は50〜200μg/mlのsctPA)
37℃でインキュベーション
+0.1ml 試験緩衝液中100KIU/mlのアプロチニン
37℃で2分間インキュベーション
+0.1ml 基質S−2444(3mM)
対照としては、最初のインキュベーションの前に、プラスミノーゲンアクティベーター(PA)に代えてアプロチニンを最初に導入し、以下、各場合を通して同様に実施する。一方、PAは、以後アプロチニンの代わりに添加するまで加えなかった。
測定値の差(Δ)ΔOD405nmを光学的に測定した。得られた対照値をサンプル/プロテアーゼ値から差し引き、この方法で、PAA活性によって生じたPA活性を測定した(mIU/分)。
【0066】
結果:
scuPAの活性化(20μg/mlのscuPA、2〜10μg/mlの「FVIIアクティベーター」)
【表8】

表は、scuPAが「FVIIアクティベーター」の濃度およびインキュベーションの長さに依存する様式で活性化される事実を例示する。同時に、ヘパリンおよびカルシウムの両者がプロテアーゼによってもたらされたPAの活性化に刺激作用を示した。
【0067】
scuPAの活性化(100μg/mlのsctPA、50〜200μg/mlの「FVIIアクティベーター」

活性化tPAの代謝回転速度はtPAプロ酵素に比較して係数3〜4まで上昇するにすぎない(uPAの場合は係数1000〜1500上昇する)ので、分析可能な測定シグナルを得るために、2種の共反応物質の高い濃度を選択しなければならなかった。
【表9】

表は sctPAもプロテアーゼの濃度およびインキュベーション時間に依存する様式で活性化されたことを証明する。ヘパリンおよびカルシウムイオンの両者が「FVIIアクティベーター」のPAの活性化能力に対して刺激作用を示した。
【0068】
実施例8
2種のFVIII含有溶液、一方はフォン・ヴィルブラント因子を本質的に含まず、他方はvWFを含有する溶液を上述のプロテアーゼとカルシウムの存在下にインキュベートした。予め定められた時間後に、色素原試験によって残留FVIII活性を測定し、プロテアーゼを含まない対照アッセイと関連させた。
【0069】
このためには、0.1IU/mlのFVIIIを含有する溶液25μlを同容量のプロテアーゼ溶液(μg/ml)で処理し、全体を25μlのCaCl2(25mM)と混合した。0、5、10および20分間37℃でインキュベートしたのち、プロテアーゼの蛋白分解活性を停止させるために各場合、200KIU/mlのアプロチニンを含有する溶液400μlで処理した。
予備実験では、アプロチニンのこの濃度はいかに記述するFVIII活性試験(アッセイ1+3)に有意な干渉作用をもたないことが示された。アッセイ2においては、プロテアーゼをFVIIIと接触させる前にアプロチニンとインキュベートし、ついで上述のように操作した。
【0070】
いずれの場合も、50μlの停止したサンプル(またはさらに希釈後)をついで主としてFIX、FXおよびトロンビンインヒビターからなる、いわゆる因子試薬で処理し、37℃において10分間インキュベートした。活性化FXによって切断される色素原基質50μlの添加に続いて5分間インキュベートしたのち50μlの酢酸(50%)を添加して反応を停止させ、ついでΔOD405nmを測定した。FVIII活性(mIU)は、FVIII濃縮物から調製し、テストに包含された希釈系列を用いて構築した標準曲線を利用して確認した。
【0071】
FVIII活性はプロテアーゼを添加しなかった対照に対する百分率で示す。
結果:
【表10】

CaCl2(この場合は6.25mM)の存在下には、FVIIIはプロテアーゼにより、インキュベーションの長さに依存した様式で不活性化された。vWFは、プロテアーゼによる不活性化からFVIIIを保護しなかった。FVIIIと接触させる前にアプロチニンでプロテアーゼを阻害すると、前者の不活性化は防止された。
【0072】
実施例9
このシリーズの実験では、実施例1/アッセイ1を実施したが、この場合は、プロテアーゼとFVIIIの混合物中のカルシウム濃度を変動させた。このためには、CaCl2をカルシウム保存溶液から図3に示す最終濃度まで添加した。
結果:
アッセイ中のカルシウム濃度を1mM未満に低下させると、これらの条件下に約50%のFVIIIが残留する。0.5mM未満のカルシウムでは残留百分率は60%以上である(図1)。
【0073】
実施例10
「FVIIアクティベーター」のいわゆる包括的試験における血液凝固時間に対する影響を血栓弾性記録法によって検討した。
関連血餅の剪断弾性または強度の変化を、Hilgard TEGメーター(Helligeより)を用いて連続的に記録した。いわゆるrおよびk値、それぞれ血液の停止の開始からおよび血液凝固反応の開始からの時間であり、加クエン酸血漿の場合にはTEG曲線までの再カルシウム沈殿の時間は1mmまで広がり、r値の終点から曲線までの時間は20mmに広がった(血餅形成時間)。
【0074】
このためには、5例のドナーからの血液または血漿の150μlのアリコートを各場合、測定キューベット中37℃で2分間インキュベートし、ついで50μlのサンプル(プロテアーゼ)を加え混合した。100μlの25mM CaCl2を加え、反応を開始させた。アッセイ中「FVIIアクティベーター」の終濃度は15μg/mlであった。r時間の短縮をサンプルに代えて緩衝液を含有するアッセイに関して測定した。
結果:
【表11】

【0075】
この実施例は、ほとんどすべての場合、プロテアーゼの添加は血液凝固時間の著しい短縮を起こすことを明らかにするものである。ここに示した例では「FVIIアクティベーター」のフィブリン溶解作用はバックグランド中に隠れてしまっていた。この理由は「正常対象」では血漿中のプラスミノーゲンアクティベーターの濃度がナノグラムの領域にあり、インビトロでの血液凝固試験には全く影響しないからである。
【0076】
実施例11
プロテアーゼのFVIII副経路活性は以下の実験的アッセイによって証明された。すなわち、測定技術として血栓弾性記録法を用いた。r時間を評価した(実施例10参照)。全血サンプルを、天然のFVIIIインヒビターの存在を刺激するために、そのFVIII活性阻害作用が分かっているモノクローナル抗体(FVIIIに対する抗体)とインキュベートした。サンプルを全血サンプル対照(Mabに代えて緩衝液)と比較した。プロテアーゼのFEIB活性を、Mabによって阻害された全血サンプルにプロテアーゼ(終濃度17μg/ml)を加えて試験した。さらにサンプルにプロテアーゼを加え、プロテアーゼ自体のr時間に対する影響を測定した。
【0077】
結果:
【表12】

抗−FVIII mAbによって引き起こされるr時間の延長はこの場合もプロテアーゼの存在により正常化され、これはプロテアーゼのFEIB活性を例示するものである。既に上に証明したように、プロテアーゼそれ自体は血液凝固時間を短縮した。
【0078】
実施例12
50μg/mlのFVII活性化プロテアーゼを含有する溶液に、以下の物質を相当する終濃度になるように加えた。
25mM クエン酸ナトリウム
25mM HEPES
100mM アルギニン
0.75g/ml スクロース
この溶液を部分に分割し、各場合、アリコートを5.0〜8.6の様々なpH値に調製し、ついで60℃に10時間加熱した。
加熱したプロテアーゼ溶液の活性は色素原試験により測定し色素原基質S2288(H−D−Ile−Pro−Arg−pHA×2HCl、Chromogenix AB,Sweden)の経時的なアミド分解を記録した。この活性は加熱しないで平行して測定されたアリコートの百分率として表示した。
【0079】
結果:
【表13】

この一連の実験は、特に酸性のpH範囲における安定化はプロテアーゼの不活性化を著しく低下させた。pH5.5におけるわずかな「ブレークスルー」はこの範囲にプロテアーゼの等電点があるという事実によって説明できる。クエン酸ナトリウムは好ましいpH範囲で起こる>50%の活性の喪失を防止する。
【0080】
実施例13
pH6.1におけるアッセイ(実施例1)はプロテアーゼの最良の安定化を示した。したがって、様々な活性を実施例1に記載のようにpH6.0で試験して評価した。
以下の終濃度をセットし、プロテアーゼの濃度は50μg/mlとした。
50mM クエン酸ナトリウム/50mM NaCl、pH6.0
0.75g/mlのスクロース
100mMのグリシン
100mMのアルギニン
【0081】
結果:
【表14】

スクロースおよび各場合1種のアミノ酸の添加によってプロテアーゼの著しい安定化が証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アプロチニンの存在によって阻害され、
b)カルシウムイオンおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン硫酸によりその活性は上昇し、
c)SDS−PAGEにおいて、それに続く非還元状態での染色により分子量50〜75kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示し、還元状態では分子量40〜55kDaに1個のバンドおよび分子量10〜35kDaの範囲に1個または2個以上のバンドを示し、そして
d)SDS−PAGEにおいて還元状態で分子量40〜55kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:LLESLDPを有し、分子量10〜35kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:IYGGFKSTAGKを有するプロテアーゼ、および/または
SDS−PAGEにおいて還元状態で得られるバンドは60〜65kDaの範囲の分子量を有し、アミノ酸配列:LLESLDPおよびIYGGFKSTAGKを含有する前記プロテアーゼのプロ酵素の定性的および定量的検出のための試験システムにおいて、そのプロテアーゼ活性は、
a)血液凝固第VIII/VIIIa因子もしくは第V/Va因子を不活性化するその活性または
b)包括的血液凝固試験における血液凝固時間を低下させるその活性または
c)プラスミノーゲンアクティベーターを活性化するその活性または
d)FVIIを活性化するその活性
によって測定する試験システム。
【請求項2】
請求項1に記載の試験システムにおいて、血液凝固時間を低下させる活性は、
a)非活性化部分トロンボプラスチン時間(NAPTT)または
b)プロトロンビン時間(PT)または
c)血漿カルシウム再沈着時間または
d)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
によって測定する試験システム。
【請求項3】
請求項1および2に記載の試験システムにおいて、プラスミノーゲンアクティベーターを活性化および/または増強する活性は、
a)一本鎖ウロキナーゼPA(scuPA、一本鎖ウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター)または
b)一本鎖 tPA(sctPA、一本鎖組織プラスミノーゲンアクティベーター)の活性化により測定する試験システム。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の試験システムにおいてカルシウムイオン0.001mM以上の量を含む試験システム。
【請求項5】
a)アプロチニンの存在によって阻害され、
b)カルシウムイオンおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン硫酸によりその活性は上昇し、
c)SDS−PAGEにおいて、それに続く非還元状態での染色により分子量50〜75kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示し、還元状態では分子量40〜55kDaに1個のバンドおよび分子量10〜35kDaの範囲の1個または2個以上のバンドを示し、そして
d)SDS−PAGEにおいて還元状態で分子量40〜55kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:LLESLDPを有し、分子量10〜35kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:IYGGFKSTAGKを有するプロテアーゼ、および/または
SDS−PAGEにおいて還元状態で得られるバンドは60〜65kDaの範囲の分子量を有し、アミノ酸配列:LLESLDPおよびIYGGFKSTAGKを含有する前記プロテアーゼのプロ酵素と適当なプロ酵素アクティベーターの混合物をプロトロンビン時間置換組織因子/トロンボプラスチンの試験に使用するアッセイシステム。
【請求項6】
a)アプロチニンの存在によって阻害され、
b)カルシウムイオンおよび/またはヘパリンもしくはヘパリン硫酸によりその活性は上昇し、
c)SDS−PAGEにおいて、それに続く非還元状態での染色により分子量50〜75kDaの範囲の1個もしくは2個以上のバンドを示し、還元状態では分子量40〜55kDaに1個のバンドおよび分子量10〜35kDaの範囲の1個または2個以上のバンドを示し、そして
d)SDS−PAGEにおいて還元状態で分子量40〜55kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:LLESLDPを有し、分子量10〜35kDaの範囲に得られるバンドはアミノ酸配列:IYGGFKSTAGKを有するプロテアーゼ、および/または
SDS−PAGEにおいて還元状態で得られるバンドは60〜65kDaの範囲の分子量を有し、アミノ酸配列:LLESLDPおよびIYGGFKSTAGKを含有する前記プロテアーゼのプロ酵素と適当なプロ酵素アクティベーターの混合物を、プラスミノーゲンアクティベーターの機能性の試験ならびに一本鎖プラスミノーゲンアクティベーター型の定量に使用するアッセイシステム。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の試験システムにおいて、プラスミノーゲンアクティベーターを増強する活性は、
a)色素原試験を用いて測定するかまたは
b)プラスミノーゲンの存在下におけるカップリング反応でプラスミン自体の形成もしくはプラスミンによってもたらされるフィブリン凝血の溶解で測定する試験システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−131273(P2009−131273A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57232(P2009−57232)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【分割の表示】特願平11−116411の分割
【原出願日】平成11年4月23日(1999.4.23)
【出願人】(597070264)ツェー・エス・エル・ベーリング・ゲー・エム・ベー・ハー (32)
【Fターム(参考)】