説明

血液分析装置用溶液容器

【課題】医療用として用いられ、血液中に存在する電解質、ガス種及び代謝物質濃度または赤血球容積率などを測定して分析する血液分析装置に使用される溶液を保管する溶液容器を提供する。
【解決手段】本発明の血液分析装置用溶液容器は、溶液が収容される収納部と、前記収納部に結合され、その内部に長手方向に貫通孔が形成されるバルブ体と、前記バルブ体の貫通孔に配置されるバルブスプールと、前記バルブスプールに設けられる溶液漏れ防止部と、を備え、前記バルブ体は、所定距離に離れた流路及び溶液排出管路を備え、前記バルブスプールに設けられる前記溶液漏れ防止部は、溶液の外部への漏れを遮断する第1遮断部材と、前記第1遮断部材と所定距離に離れて配置され、前記流路及び前記溶液排出管路を遮断または連結する第2遮断部材とを備える 。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液分析装置用溶液容器に係り、さらに詳細には、医療用として用いられ、血液中に存在する電解質(Na、K、Clなど)、ガス種(PO、PCO)及び代謝物質(グルコース、乳酸塩、尿素)の濃度または赤血球容積率などを測定して分析する血液分析装置に使用される溶液を保管する溶液容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、血液中の電解質、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などは人体内で恒常性を維持しており、濃度の不均衡現象が発生する場合に、その濃度の過多あるいは欠乏症状と共に各種の疾病を引き起こす。したがって、血液中の電解質、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などの迅速な測定は、医療陣が生体の不均衡現象から人体の機能異常及び疾病の進行状況を迅速に予測するのに役立つ。このように、血液中に含まれている電解質のイオン、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などを測定する装備は、血液を供給する血液供給部、センサーを備えるセンシング部、センサーに試薬を供給する試薬供給部、データ処理部及び複数の駆動原などを備えることができる。センシング部は、基準になる溶液のデータ値を測定し、血液に含まれている電解質、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などを測定する。さらに、コントローラーは、溶液から得たデータ値に基づき、血液に含まれている電解質の濃度、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などのデータ値を補正して測定の信頼度を高める。溶液は、溶液容器に保管された状態でカートリッジに収容されることができる。溶液を収容する溶液容器は、使用の直前に開放して初めて外部の汚染物質により汚染されることが防止されて、測定されたデータの信頼度を高めることができる。従来のカートリッジの溶液容器は、ユーザーが予め容器を開放して測定装置に挿入する構造を有するため、このような点に十分に対応することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,066,243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、溶液容器が収容されたカートリッジを血液分析装置の本体に固定するとき、溶液容器を開放して外部の汚染物質によって溶液が汚染されることを予め遮断することにより、測定されたデータの信頼度を高めることができる血液分析装置用溶液容器を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、溶液が収容される収納部と、前記収納部に結合され、その内部に長手方向に貫通孔が形成されるバルブ体と、前記バルブ体の貫通孔に配置されるバルブスプールと、前記バルブスプールに設けられる溶液漏れ防止部と、を備え、前記バルブ体は、所定距離に離れた流路及び溶液排出管路を備え、前記バルブスプールに設けられる前記溶液漏れ防止部は、溶液の外部への漏れを遮断する第1遮断部材と、前記第1遮断部材と所定距離に離れて配置され、前記流路及び前記溶液排出管路を遮断または連結する第2遮断部材とを備える血液分析装置用溶液容器を提供する。
バルブスプールは、前記収納部の反対側が突出する突出部を備えることが好ましい。バルブ体は、カートリッジケースに固定される係止部が設けられることが好ましい。 溶液排出管路は円周方向に突出することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、血液分析装置の本体にカートリッジが結合されるとき、溶液容器が開放される構造を有するバルブを備えて、外部の汚染物質によって溶液が汚染されることを防止することによって測定されたデータの信頼度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による血液分析装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態による血液分析装置本体に結合されるカートリッジの外観図である。
【図3】本発明の実施形態による血液分析装置の要部の詳細図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】図3のV−V線による断面図である。
【図6】図5に対応する図面であって、バルブが開放された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明すれば次の通りである。
【0009】
図1は、本発明の実施形態による携帯用血液分析装置の斜視図である。携帯用血液分析装置は、血液分析装置本体100及びカートリッジ300(図2を参照)を備える。血液分析装置本体100は、その外部にディスプレイ部101、サンプル血液を供給する血液供給部103などを備えることができる。また、血液分析装置本体100は、その内部に空間を有して、カートリッジ300が収納されることができる。また、血液分析装置本体100には、カートリッジ300が収納された後、外部から隔離させるためのカートリッジドア105を備えることができる。
【0010】
カートリッジ300は、血液分析装置本体100の内部に結合されて、血液の電解質、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などを測定するとき、サンプル血液及び溶液で測定値をセンシングし、測定されたデータ値を血液分析装置本体100に設けられたコントローラー(図示せず)に伝送することができる。このようなカートリッジ300は、サンプル血液及び溶液で必要なデータを測定するセンサーカード(図示せず)、溶液を収容する溶液容器301などを備える。溶液は、センサーカードに伝達されて、血液中に含まれた電解質、ガス種及び代謝物質の濃度または赤血球容積率などを測定したものを補正する基準値として使用されることができる。
【0011】
溶液容器301は、溶液が収容される溶液収容部303と、溶液収容部303に収容された溶液を外部に排出するバルブ305とを備える。溶液収容部303は、合成樹脂材またはアルミニウムからなるバック(bag)からなることが好ましい。
【0012】
前記バルブ305は、バルブ体307及びバルブスプール309を備える。バルブ体307は、中央部に長手方向に貫通した孔307aが形成される。また、バルブ体307は、前記孔307aに沿って所定の区間Aに溶液が移動する流路307bを備える。流路307bは、溶液収容部303が設けられている部分から区間Aにわたって配置されることが好ましい。バルブ体307は、流路307bから区間Bだけ離れた位置に設けられた溶液排出管路307cを備える。溶液排出管路307cは、バルブ体307の外周面側に向かう方向に配置される。この溶液排出管路307cには、溶液をセンサーカードなどに伝達するように合成樹脂材ホース(図示せず)などが結合されることができる。バルブ体307には、その先端部にカートリッジケースに固定されうる係止部307dが設けられる。係止部307dは、通常のホック状になっており、カートリッジケースに結合されることができる。
【0013】
バルブスプール309は、バルブ体307の孔307aに摺動可能に嵌合される。バルブスプール309は、区間Cに設けられた溝部309aを備える。バルブスプール309の溝部309aは、溶液が移動する通路である。バルブスプール309は、溝部309aを基準に両側に溶液漏れ防止部としてOリング311が配置される。すなわち、溶液漏れ防止部は、バルブスプール309を基準に両側に第1遮断部材311a及び第2遮断部材311bを備える。このような溶液漏れ防止部は、溶液の外部への漏れを防止すると共に、必要な場合、溶液収容部303と溶液排出管路307cとを連結して溶液を排出させる役割を行う。すなわち、第1遮断部材311aは、常に区間Bから離れるように位置し、第2遮断部材311bは、区間Bに位置し、カートリッジが装着されて使用される場合には区間Aに移動して流路307bと溶液排出管路307cとを連結させる役割を行う。また、バルブスプール309は、溶液収容部303の反対側の先端部が突出して延びる突出部309bを備える。
【0014】
一方、バルブスプール309の突出部309bが配置される部分と対向する血液分析装置本体100には、バルブスプール309の突出部309bを押し出しうる突出したブロックB(図6を参照)が設けられる。このような構造は、溶液容器301が収容されたカートリッジ300が血液分析装置本体100に結合される瞬間にバルブスプール309が移動して、溶液を使用できるようになる。
【0015】
本発明の実施形態による血液分析装置用溶液容器の作動過程をさらに詳細に説明すれば次の通りである。図5は、血液分析装置本体100にカートリッジ300が結合される前の状態を示すバルブ305の断面図であり、図6は、血液分析装置本体100にカートリッジ300が結合された状態を示すバルブ305の断面図である。
【0016】
血液分析装置本体100にカートリッジ300が結合される前に、溶液容器301のバルブ305は、図5に示すように、バルブスプール309に結合された第2遮断部材311bが区間Bに位置する。このとき、第2遮断部材311bが区間Bに位置して、流路307bや溶液排出管路307cに溶液が移動することが遮断される。この状態で、カートリッジ300を血液分析装置本体100に装着する。このとき、カートリッジ300は、血液分析装置本体100側に移動しつつ(図6で矢印で表示する) 、ブロックBによってバルブスプール309の突出部309bが矢印の方向の逆方向に移動する。したがって、バルブスプール309が移動しつつ、第2遮断部材311bが区間Aの中間部に位置する。第2遮断部材311bが区間Aの中間部に位置することによって、流路307bと溶液排出管路307cとは互いに連通して溶液を排出させることができる。このとき、第1リング311aは依然として溶液の外部への流出を防止するようにシーリングの役割を行う。
【0017】
このように、本発明の実施形態は、使い捨てとして使用されるカートリッジ300を血液分析装置本体100に収納するときにのみ溶液を移動させるバルブ305を開放させて、使用の前に外部の汚染物質によって溶液が汚染されることを防止することによってデータ測定の精密度を高めることができる。
【符号の説明】
【0018】
100…血液分析装置本体
105…カートリッジドア
300…カートリッジ
301…溶液容器
303…溶液収容部
305…バルブ
307…バルブ体
309…バルブスプール
307b…流路
307c…溶液排出管路
311a、311b…遮断部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液が収容される収納部と、
前記収納部に結合され、その内部に長手方向に貫通孔が形成されるバルブ体と、
前記バルブ体の貫通孔に配置されるバルブスプールと、
前記バルブスプールに設けられる溶液漏れ防止部と、を備え、
前記バルブ体は、所定距離に離れた流路及び溶液排出管路を備え、
前記バルブスプールに設けられる前記溶液漏れ防止部は、溶液の外部への漏れを遮断する第1遮断部材と、前記第1遮断部材と所定距離に離れて配置され、前記流路及び前記溶液排出管路を遮断または連結する第2遮断部材とを備える血液分析装置用溶液容器。
【請求項2】
前記バルブスプールは、前記収納部の反対側が突出する突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置用溶液容器。
【請求項3】
前記バルブ体は、カートリッジケースに固定される係止部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置用溶液容器。
【請求項4】
前記溶液排出管路は円周方向に突出することを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置用溶液容器。
【請求項5】
前記バルブスプールは、前記第1遮断部材と第2遮断部材との間に溶液が移動するための溝部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置用溶液容器。
【請求項6】
前記第1遮断部材と前記第2遮断部材はそれぞれOリングからなることを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置用溶液容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−504583(P2011−504583A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531966(P2010−531966)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006431
【国際公開番号】WO2009/057970
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510115030)アイセンス,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】