説明

血液分析装置

【課題】混合容器から廃液を排出する排出管で詰まりが発生した場合に迅速に対応することが可能な血液分析装置を提供する。
【解決手段】この血液分析装置1(血液分析装置)は、血液検体と試薬とを混合するための反応チャンバ12と、規定量を超えて貯留された反応チャンバ12内の液体を反応チャンバ12の外部に送液する送液管15aおよび15bと、反応チャンバ12から送液管15aおよび15bを通じて液体が送液されたか否かを検知する電極33aおよび33bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液分析装置に関し、特に、血液検体と試薬とを混合して測定試料を調製し、調製された測定試料を測定する血液分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液検体と試薬とを混合容器で混合して測定試料を調製し、測定する血液分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、全血試料と試薬とを混合するアリコートチャンバを備え、アリコートチャンバで調製された測定試料を測定する血液分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−508514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のような血液分析装置では、アリコートチャンバから廃液を排出する排出管で血液が固まり、排出管が詰まることがある。排出管の詰まりが発生すると、混合容器内に測定試料が残留し、残留した測定試料が次の測定に影響を及ぼすため、排出管の詰まりが発生した場合には詰まりを除去する作業を迅速に行う必要がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、混合容器から廃液を排出する排出管で詰まりが発生した場合に迅速に対応することが可能な血液分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における血液分析装置は、血液検体と試薬とを混合して測定試料を調製し、調製された測定試料を測定する血液分析装置であって、血液検体と試薬とを混合するための混合容器と、規定量を超えて貯留された混合容器内の液体を混合容器の外部に送液する送液管と、混合容器から送液管を通じて液体が送液されたか否かを検知する液体検知部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による血液分析装置では、上記のように、規定量を超えて貯留された混合容器内の液体を送液する送液管を備えている。排出管の詰まりが発生して正常に液体を排出できなくなると、その後に供給される液体によって混合容器内の液体が規定量を超え、液体が送液管によって送液され、液体検知部によって検知される。したがって、本構成によれば、排出管の詰まりが発生したことが迅速に検知され、詰まりの除去を迅速に行うことができる。
【0009】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、混合容器は、第1混合容器と第2混合容器とを含み、送液管は、規定量を超えて貯留された第1混合容器内の液体を第1混合容器の外部に送液する第1送液管と、規定量を超えて貯留された第2混合容器内の液体を第2混合容器の外部に送液する第2送液管とを含み、液体検知部は、第1混合容器から第1送液管を通じて液体が送液されたか否かを検知するとともに、第2混合容器から第2送液管を通じて液体が送液されたか否かをも検知するように構成されている。このように構成すれば、複数の混合容器における排出管の詰まりを共通の液体検知部によって検知することができ、部品点数の削減とコスト低減を実現することができる。
【0010】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、送液管を通じて送液された液体を貯留する貯留容器をさらに備え、液体検知部は、貯留容器内に設けられている。このように構成すれば、送液管を通じて送液された液体が装置外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、貯留容器は、送液管から滴下した液体を受ける凹部を含み、液体検知部は、凹部から外れた位置に設けられている。一度でも送液管の中を液体が通ると、送液管の内部に僅かな液滴が残留することが考えられる。このため、上記のように、送液管から滴下した液体を受ける凹部から外れた位置に液体検知部を設けることにより、残留液滴を誤検知してしまうのを回避することができる。
【0012】
上記貯留容器を備える構成において、好ましくは、貯留容器は樹脂からなる。このように構成すれば、液体検知後、貯留容器の液体を除去した後に、貯留容器に僅かに残留する残留物による腐食などの発生を防止することができる。
【0013】
上記貯留容器を備える構成において、好ましくは、混合容器から漏れ出た液体を受ける受け皿をさらに備え、貯留容器は、受け皿の上方に設けられ、液体検知部は、貯留容器を上下に貫通して設けられており、受け皿に貯留された液体をも検知するように構成されている。このように構成すれば、送液管を通じて送液された液体以外の液体、例えば流路の接続不良によって漏れた液体も、受け皿に貯留して、液体検知部で検知することができる。これにより、少ない部品点数でより多くの異常を検知することができるようになる。
【0014】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、規定量は、1回の検体測定に用いられる検体及び試薬の総量であり、送液管は、混合容器に規定量の液体が供給されたときの液面高さよりも上方で、かつ、混合容器に規定量の2倍の液体が供給されたときの液面高さよりも下方の位置において混合容器と接続されている。このように構成すれば、流路の詰まりによって混合容器内の液体排出ができなくなった場合に、次の測定のときには混合容器内の液面高さが送液管の接続位置を超えることになるので、送液管の接続位置を超える分の液体が水頭差により送液管を通じて送液される。したがって、流路の詰まりが発生してから遅くとも次の測定時にはオーバフローを検知することができ、原因を除去するための対策を迅速にとることができる。
【0015】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、液体検知部は、複数の電極を備え、電極間の電気特性の変化に基づいて液体を検知するように構成されている。このように構成すれば、混合容器における排出管の詰まりを容易に検知することができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、液体検知部は、複数の電極の少なくとも一つに電圧を印加する電線を含み、この電線の断線をも検知するように構成されている。このように構成すれば、混合容器から送液された液体の検知だけでなく、液体検知部の断線をも検知することができるので、装置の信頼性を向上させることができる。
【0017】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、液体検知部によって液体が検知された場合に、警告を出力する出力部を備える。このように構成すれば、混合容器の排出管の詰まりが発生した場合に、排出管の詰まりの発生をユーザに警告することができる。
【0018】
上記一の局面による血液分析装置において、好ましくは、混合容器へ液体を供給する液体供給手段をさらに備え、液体供給手段は、液体検知部によって液体が検知されると、液体の供給を停止するように構成されている。このように構成すれば、混合容器の排出管における詰まりが発生した場合に、送液が停止されるので、無駄になる液体の消費を最小限におさえることができるとともに、メンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による血液分析装置の平面的な概略図である。
【図3】図1に示した一実施形態による血液分析装置の測定ユニットの流体回路を示す模式図である。
【図4】図3に示した反応チャンバを模式的に示した断面図である。
【図5】図3に示した測定ユニットのオーバーフロー検知部を示す平面図である。
【図6】図5に示したオーバーフロー検知部の電極部分周辺の構造を説明するための部分断面図である。
【図7】図3に示した測定ユニットの検出回路を説明するための等価回路図である。
【図8】オーバーフロー検知時に表示部に表示するメッセージの一例を示す図である。
【図9】断線検知時に表示部に表示するメッセージの一例を示す図である。
【図10】図1に示した一実施形態による血液分析装置のオーバーフロー検知部の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
まず、図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による血液分析装置1の全体構成について説明する。
【0022】
本実施形態による血液分析装置1は、図1に示すように、測定ユニット3と、測定ユニット3の前面側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、測定ユニット3および検体搬送装置4に電気的に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)からなる制御装置5とを備えている。
【0023】
測定ユニット3は、検体である血液の測定を行う。具体的には、測定ユニット3は、サンプル容器(真空採血管)100から血液を吸引して、吸引した血液から検出用試料を調製する。そして、測定ユニット3は、調製された検出用試料から血液の血球を検出する。測定ユニット3は、血球を検出して得られた信号を測定データとして制御装置5に送信する。図2に示すように、測定ユニット3は、サンプル容器100から検体を吸引して測定ユニット3の各部へと送液する流体回路10と、検出用試料から血球を検出する検出部20と、オーバーフロー検知部30と、オーバーフローを検出するための検出回路40とを備えている。なお、本明細書においてオーバーフローとは、装置内の各容器に接続された送液管15a、15b、15c(図3参照)から規定量を超える量の液体が溢れ出ることを意味するものとし、オーバーフロー液とは、オーバーフローによって溢れ出た液体を意味する。また、本明細書において漏液とは、オーバーフロー以外の理由により流路から液体が漏れ出ることを意味するものとする。
【0024】
検体搬送装置4は、測定前の検体を収容するサンプル容器100を保持したラック101が配置される測定前ラック保持部4aと、測定済みの検体を収容するサンプル容器100を保持したラック101が配置される測定後ラック保持部4bと、測定前ラック保持部4aから測定後ラック保持部4bにラック101を搬送する横送り部4cとを含む。検体搬送装置4は、測定前ラック保持部4aから測定前のラック101を矢印X1方向に横送りして、所定の検体セット位置Pにサンプル容器100を配置させる。また、検体セット位置Pで測定ユニット3による検体の吸引が行われた後、検体搬送装置4は、検体吸引済みのサンプル容器100を保持するラック101を、矢印X1方向に横送りして測定後ラック保持部4bへと搬送する。
【0025】
制御装置5は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部51(図2参照)と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。制御装置5は、測定ユニット3から送信された測定データを分析して赤血球数、白血球数、ヘモグロビン濃度を含む分析結果を生成する。また、表示部52は、制御装置5によって得られた分析結果や、測定ユニット3のオーバーフロー検知時のエラー画面などを表示する機能を有する。
【0026】
次に、測定ユニット3の構成について詳細に説明する。
【0027】
図2に示すように、測定ユニット3は、ユニットカバー3aの内部に流体回路10、検出部20、オーバーフロー検知部30および検出回路40を収容している。また、測定ユニット3は、測定ユニット3の底部を覆う平板状の底板3b(図3参照)を有する。
【0028】
図3に示すように、流体回路10は、検体の吸引を行う吸引管11と、4つの反応チャンバ12と、流路13a〜13eと、廃液チャンバ14とを含んでいる。流路13aは、吸引管11と各反応チャンバ12とを接続している。流路13bは、各反応チャンバ12と検出部20とを接続している。流路13cは、検出部20と廃液チャンバ14とを接続している。また、流路13dは、各反応チャンバ12の各々から液体を廃液チャンバ14に排出するための排出管である。また、流路13eは、廃液チャンバ14に溜められた排液を装置外部の排液タンク(図示せず)に排出するための排出管である。そして、本実施形態では、測定ユニット3の下部(矢印Z2方向側)には、流体回路10のオーバーフローを検知するオーバーフロー検知部30が配置されている。なお、流体回路10には、各流路13a〜13eを介して液体を各部へ送液するためのポンプや流路切替を行うためのバルブ類が設けられているが、図3ではこれらの図示を省略している。
【0029】
吸引管11は、サンプル容器100に収容された検体を吸引するために設けられている。図2に示すように、検体セット位置Pに配置されたサンプル容器100は、測定ユニット3の内部に取り込まれて、吸引管11によりサンプル容器100内の検体が吸引される。検体の吸引が終了すると、サンプル容器100は、検体セット位置Pでラック101に戻される。図3に示すように、吸引管11により吸引された検体は、流路13aを介して4つの反応チャンバ12にそれぞれ所定量ずつ供給される。
【0030】
4つの反応チャンバ12(WBCチャンバ、DIFFチャンバ、NRBCチャンバおよびRETチャンバ)は、大気開放された液体容器であり、それぞれ、流路13a、流路13b、流路13dおよび後述する送液管15aと接続されている。また、各反応チャンバは、血液を希釈する希釈液を収容した容器、血液を溶血させる溶血剤を収容した容器、及び血液に含まれる血球を染色する染色液を収容した容器にも、流路を介して接続されている。各反応チャンバ12は、検体と所定の試薬(希釈液、溶血剤および染色液)とを混合するとともに、検体と試薬との混合液を所定温度で加温することによって反応させる機能を有する。これにより、各反応チャンバ12は、それぞれ検出部20による検出処理に適した検出用試料を調製するように構成されている。
【0031】
各反応チャンバ12では、それぞれ測定項目に応じた異なる試薬が供給されることにより、4種類の検出用試料が調製される。測定に際して、1回の測定で反応チャンバ12に供給される液体の量は決まっており、各反応チャンバ12では、供給された検体と試薬とによって所定量の検出用試料が調製されるように構成されている。調製された検出用試料の内、検出に必要な一部は、流路13bを介して検出部20に供給される。残りの検出用試料は、反応チャンバ12の底部に接続された流路13dを通じて廃液チャンバ14に廃棄される。廃棄後、反応チャンバ12には洗浄液が供給されて反応チャンバ12内部が洗浄された後、流路13dから洗浄液が廃棄される。その後、反応チャンバ12では、次の検体の検出用試料の調製が開始される。
【0032】
図4に示すように、反応チャンバ12は、チャンバ本体122を備えている。チャンバ本体122の上部には、吸引管11が挿入される挿入穴121が形成されている。チャンバ本体122の内部は空洞からなる貯留部120を構成している。チャンバ本体122の側面には、オーバーフロー液を排出するためのオーバーフローポート123が設けられている。オーバーフローポート123は、コネクタ150を介して送液管15aに連通している。貯留部120は、下方がテーパ状に形成されており、最下部には廃液を排出するための排出ポート125が設けられている。排出ポート125は、コネクタ132を介して流路13dに連通している。また、テーパ部分には貯留部120内の測定試料を検出部(FCM)20へ供給するための供給ポート124が設けられている。供給ポート124は、コネクタ131を介して流路13bに連通している。
【0033】
ここで、本実施形態では、反応チャンバ12の上部のコネクタ150に接続された送液管15aは、樹脂製のチューブからなる。送液管15aは、反応チャンバ12から液体が溢れること(オーバーフロー)を防止するために設けられている。詳細には、送液管15aは、1回の測定で反応チャンバ12に所定量の液体(検体、試薬および洗浄液)が供給されたときの液面高さH1よりも高い位置で、かつ、所定量の2倍の量(測定2回分の液体供給量)の液体が供給されたときの液面高さH2よりも低い高さ位置H3において、反応チャンバ12と接続されている。本実施形態では、反応チャンバ12のWBCチャンバ(図3参照)には、1回の測定で、検体、希釈液、溶血財、染色液および洗浄液を含む計20mlの液体が供給されるように構成されている。送液管15aは、このWBCチャンバに30mlの液体が供給されたときの液面高さに接続されている。このため、測定中に、流路(排出管)13dが詰まってWBCチャンバから液体の排出ができなくなった場合には、次の測定で所定量(20ml)の液体(検体および試薬)が反応チャンバ12に供給されると、チャンバ内の液体量は40mlとなり、液面高さが送液管15aを超え、送液管15aの接続位置を超える分の液体が送液管15aから排出される。したがって上記の構成によれば、排出管(流路13d)が完全に詰まった場合であれば、詰まりが生じた測定の次の測定でオーバーフローを検知することができ、迅速にオーバーフローを検知することができる。
【0034】
図3に示すように、送液管15aは、4つの反応チャンバ12にそれぞれ接続されるとともに、二股のY継手などを用いて2本ずつ合流している。合流した後の2本の送液管15bは、各反応チャンバ12よりも下方(矢印Z2方向)に設置されたオーバーフロー検知部30の後述する貯留容器32まで延びている。この結果、各反応チャンバ12からのオーバーフロー液は、水頭差によって送液管15aおよび15bを介してオーバーフロー検知部30の貯留容器32に導かれる。
【0035】
検出部20は、反応チャンバ12から流路13bを介して送液された検出用試料を測定する機能を有する。検出部20は、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により、検出用試料に含まれる測定対象成分の検出を行う。また、検出部20で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5(図2参照)に送信される。検出処理が終了すると、検出部20に送られた検出用試料は、流路13cを介して廃液チャンバ14に送られる。
【0036】
廃液チャンバ14は、流路13c、流路13dおよび流路13eに接続されているとともに、送液管15c(図3の破線参照)に接続されている。廃液チャンバ14は、廃液チャンバ14内の液体の液面高さが所定量を超えると、定期的に廃液チャンバ14の底部に接続された流路13eから液体が排出されるように構成されている。廃液チャンバ14から排出された廃液は、装置外部に接続された廃液タンク(図示せず)に溜められる。また、送液管15cは、各反応チャンバ12に接続された送液管15aと同様に、廃液チャンバ14内の所定の高さ位置に接続されている。送液管15cは、廃液チャンバ14内の液面高さが所定の上限を超えたときに、その超えた分の液体をオーバーフロー検知部30の貯留容器32に導くように構成されている。
【0037】
このように、測定ユニット3内部では、4つの反応チャンバ12に接続された2本の送液管15bと、廃液チャンバ14に接続された1本の送液管15cとが、オーバーフロー検知部30に液体を導くように設けられている。これにより、各チャンバ(反応チャンバ12、廃液チャンバ14)の排出管(流路13dおよび流路13e)の詰まりに起因してオーバーフローが発生した場合には、オーバーフロー検知部30でオーバーフローの発生を検知することが可能である。なお、各チャンバ以外でも、流路の破損、流路とチャンバとの接続不良、および、バルブの故障などに起因して、流路から液漏れが発生する場合がある。このようなオーバーフロー以外の漏液は、底板3bに滴下する。本実施形態では、オーバーフロー検知部30は、底板3bに滴下した漏液の検知も行うことが可能に構成されている。
【0038】
図5および図6に示すように、本実施形態では、オーバーフロー検知部30は、固定板31と、樹脂製の貯留容器32と、一対の電極33aおよび33bと、クランプ部34とを含んでいる。オーバーフロー検知部30は、固定板31がユニットカバー3a(図1参照)の内側面に取り付けられることにより、底板3bの上方(矢印Z1方向)の所定位置に設けられている。つまり、オーバーフロー検知部30は、下面32c(図6参照)側が底板3bから浮いた状態で固定されている。また、固定板31には、貯留容器32と、クランプ部34とが固定されている。
【0039】
貯留容器32は、平面的に見て長方形状を有し、外周を取り囲む高さH4の側部32aと内底面(上面)32bとを有する凹状の樹脂部材である。これにより、貯留容器32は、内部に送液管15bおよび15cから導かれた液体を貯留することが可能である。貯留容器32の内底面(上面)32bの平面積は、略W1×D1(後述する液体導入部36を含む)であり、底板3bの平面積よりも小さい(図3参照)。この貯留容器32の内底面積は、たとえば反応チャンバ12の送液管15aの接続位置(高さH3)と液面高さH2との差分に相当する液量で十分に液体を検出できる程度に小さい。
【0040】
一対の電極33aおよび33bは、貯留容器32内部において、長手方向の一方側(矢印T1方向側)に寄った位置に所定の間隔を隔てて設けられている。一対の電極33aおよび33bの上端には、それぞれ、端子部33cが設けられている。この端子部33cには、電極33aおよび33bを検出回路40(図7参照)と接続するためのケーブル41aおよび41bがそれぞれ接続されている。なお、図5に示すように、このケーブル41aおよび41bは、分岐して、電極33aおよび33bの上方に設置された抵抗35にも接続されている。オーバーフロー検知部30は、後述するように、この一対の電極間の電気特性の変化に基づいて液体を検知することが可能なように構成されている。また、オーバーフロー検知部30は、一対の電極間の電気特性の変化に基づいてケーブル41aの断線も検知可能なように構成されている。
【0041】
本実施形態では、一対の電極33aおよび33bは、それぞれ、貯留容器32を上下に貫通して貯留容器32の上面32b側と下面32c側との両側に露出している。具体的には、図6に示すように、電極33aおよび33bは、貯留容器32の下面32cから上方に貫通する金属製のボルト33dと、貯留容器32の上面32b側でボルト33dに螺合する金属製のロックスペーサ33eとにより構成されている。電極33aおよび33bは、ボルト33dと、ロックスペーサ33eとにより、それぞれ貯留容器32に固定(締結)されている。これにより、一対の電極33aおよび33bは、オーバーフロー検知部30は、貯留容器32内の液体を検知する検知部として機能するとともに、底板3bに滴下した液体を検知する検知部としても機能する。すなわち、電極33aおよび33bにより、貯留容器32の上面32b側で、各チャンバのオーバーフロー液を検知することが可能である。また、電極33aおよび33bにより、貯留容器32の下面32c側で、オーバーフロー以外の底板3bに滴下した漏液を検知することが可能である。なお、電極33aおよび33bが金属製の底板3bを介して電気的に接続されることがないよう、オーバーフロー検知部30は、電極33aおよび33bの下端部が、底板3bに滴下した漏液を検知可能な距離D2だけ底板3bから上方(矢印Z1方向)に離間するように配置されている。
【0042】
図6に示すように、貯留容器32の上面32bにおいて、長手方向の他方側(矢印T2方向側)には、内底面36aが他の部分(上面32b)よりも高さH5だけ低くなった液体導入部(凹部)36が形成されている。したがって、液体導入部36は、貯留容器32内で、一対の電極33aおよび33bの間の位置から外れた位置に設けられている。また、送液管15b(15c)の先端が液体導入部36の近傍(直上)に配置されており、送液管15b(15c)からの液体が液体導入部36に導かれるように構成されている。ここで、一度オーバーフローが発生すると、送液管15b(15c)内には、液体が僅かに残留することがある。そのため、オーバーフローが発生した場合であって、貯留容器32内の液体を除去した後に、この残留した液体が送液管15b(15c)の先端から垂れてくることがある。そこで、本実施形態では、残留した液滴が電極33a(33b)に触れてオーバーフローを誤検知することのないように、このような僅かな残留液滴を高さH5の凹部内に溜めることによって、残留液滴が電極33a(33b)側に到達するのを回避している。したがって、液体導入部36の高さH5の大きさは、ごく小さくてよく、貯留容器32の側部32aの高さH4よりも小さい。
【0043】
また、クランプ部34は、液体導入部36の上方の位置に配置されている。クランプ部34は、貫通孔34aを有し、平面的に見て矩形状の環状形状を有する。クランプ部34の貫通孔34a内には、上記の3本の送液管(15bおよび15c)が通される。クランプ部34は、送液管15bおよび15cの先端が液体導入部36の近傍の位置から外れないように、送液管15bおよび15cを束ねて保持する機能を有する。
【0044】
図7に示すように、検出回路40は、2つの比較器42および43を含んでいる。上記の通り、オーバーフロー検知部30の一対の電極33aおよび33bは、それぞれケーブル41aおよび41bを介して検出回路40に電気的に接続されている。
【0045】
比較器42および比較器43は、+端子に入力された電圧と−端子に入力された電圧とを比較して、比較結果に応じた出力信号をそれぞれ出力端子AおよびBに出力する。具体的には、比較器42および比較器43は、+端子に入力された電圧の方が大きい場合には、Hレベル信号(ハイレベルの信号)を出力し、−端子に入力された電圧の方が大きい場合にはLレベル信号(ローレベルの信号)を出力する。比較器42の+端子と比較器43の−端子とには、それぞれ、基準電圧Vref1と、Vref2とが入力されている。
【0046】
ケーブル41aを介して検出回路40に接続された電極33aは、比較器42の−端子と、比較器43の+端子とに接続されている。また、電極33aは、抵抗45を介して電源44(電圧E)に接続されている。また、上記の通り、電極33aのケーブル41aと電極33bのケーブル41bとは、抵抗35を介して接続されている。電極33bは、ケーブル41bを介してグランド46に接続されている。また、貯留容器32は樹脂製の絶縁体であり、オーバーフローが発生しない限り、電極間は絶縁されている。
【0047】
比較器42の−端子と、比較器43の+端子とに入力される電圧Vinは、オーバーフロー検知部30(抵抗35)の抵抗値と、抵抗45の抵抗値とによって定まる。オーバーフローもケーブル41aの断線も発生してない場合(通常時)の電圧を、Vin=Vとする。電圧Vは、電圧Eを抵抗45の抵抗値R1と抵抗35の抵抗値R2とにより抵抗分割した電圧値(V=E×R2/(R1+R2))になる。本実施形態では、電圧VがVref1>V>Vref2の関係を満たすように、抵抗45の抵抗値R1および抵抗35の抵抗値R2が設定されている。
【0048】
ここで、オーバーフローが発生すると、電極33aおよび33bの間が液体によって導通される。なお、検体(血液)や試薬を含む液体は、高い電解質濃度を有する。このため、抵抗35と、液体による導通部分の抵抗成分とを含むオーバーフロー検知部30の全抵抗を考えると、オーバーフロー発生時のオーバーフロー検知部30の抵抗値の大きさは、オーバーフロー発生前(抵抗35の抵抗値R2のみ)よりも小さくなる。この結果、上記抵抗分割の式における抵抗値R2に対応する抵抗値が小さくなることから、比較器42および43に入力される電圧Vinが低下するため、オーバーフロー発生時の電圧は、Vin=V(<V)となる。
【0049】
また、ケーブル41aの断線が発生した場合には、グランド46に至る回路部分が切断されることになるから、電圧Vinは電源44の電圧Eとなる。つまり、断線時の電圧は、Vin=E=V(>V)となる。
【0050】
この関係を利用して、基準電圧Vref1および基準電圧Vref2は、E(V)>Vref1>V>Vref2>Vの関係を満たすように設定されている。
【0051】
したがって、オーバーフローもケーブルの断線も発生していない場合(Vin=V)には、比較器42からHレベル信号(Vref1>V)が出力端子Aに出力され、比較器43からHレベル信号(V>Vref2)が出力端子Bに出力される。
【0052】
オーバーフローが発生した場合(Vin=V)には、比較器42からHレベル信号(Vref1>V)が出力端子Aに出力され、比較器43からLレベル信号(Vref2>V)が出力端子Bに出力される。
【0053】
一方、ケーブル41aの断線が発生した場合(Vin=V)には、比較器42からLレベル信号(V>Vref1)が出力端子Aに出力される。この場合には、オーバーフローの有無によらず比較器43からHレベル信号(V>Vref2)が出力端子Bに出力されることになる。
【0054】
以上のようにして、検出回路40は、出力端子Aから出力された信号がHレベル信号の場合に断線なしと判断し、出力端子Aから出力された信号がLレベル信号の場合に断線ありと判断する。また、検出回路40は、断線がないこと(V=Hレベル)を前提として、出力端子Bから出力された信号がHレベル信号である場合にオーバーフロー又は漏液なしと判断し、出力端子Bから出力された信号がLレベル信号であればオーバーフロー又は漏液ありと判断する。
【0055】
なお、この液体検知に関して、貯留容器32内(オーバーフロー検知部30の上面32b側)で液体が検知される場合と、底板3b側(オーバーフロー検知部30の下面32c側)で液体が検知される場合とで、違いはない。すなわち、検出回路40は、貯留容器32内に導かれたオーバーフローも、底板3bに滴下した漏液も、出力端子Bから出力された信号(Lレベル信号)に基づき同様に検知する。
【0056】
検出回路40は、オーバーフロー又は漏液を検知した場合および断線を検知した場合に、それぞれ制御装置5(図1参照)に通知するように構成されている。図8に示すように、測定ユニット3(検出回路40)からオーバーフロー検知が通知された場合には、制御装置5は、表示部52にオーバーフロー又は漏液を検知した旨のメッセージ(警告表示)M1を表示する。同様に、図9に示すように、測定ユニット3(検出回路40)から断線検知が通知された場合には、制御装置5は、表示部52にオーバーフロー検知部30の断線を検知した旨のメッセージ(警告表示)M2を表示する。
【0057】
さらに、オーバーフローまたは断線が検知された場合には、測定ユニット3は、流体回路10の送液動作を停止するように構成されている。ユーザは、表示部52に表示されたメッセージによってオーバーフローおよび断線の発生を認識することができ、速やかにサービススタッフによるメンテナンスを行うなどの対策をとることが可能である。メンテナンスによりオーバーフローまたは断線の原因が解消されれば、復帰処理後、流体回路10の送液動作を開始することが可能となる。
【0058】
本実施形態では、上記のように、血液分析装置1は、規定量を超えて貯留された反応チャンバ12内の液体を送液する送液管15aおよび15bを備えている。排出管(流路13d)の詰まりが発生して正常に液体を排出できなくなると、その後に供給される液体によって反応チャンバ12内の液体が規定量を超え、液体が送液管15aおよび15bによって送液され、電極33aおよび33bによって検知される。したがって、本実施形態の測定ユニット3によれば、排出管の詰まりが発生したことが迅速に検知され、詰まりの除去を迅速に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、反応チャンバ12が4つ設けられるとともに、4つの反応チャンバ12の各々には、それぞれ、規定量を超えて貯留された反応チャンバ12内の液体を反応チャンバ12の外部に送液する送液管15aおよび15bが接続されている。また、オーバーフロー検知部30は、4つの反応チャンバ12の各々から、それぞれ送液管15aおよび15bを通じて液体が送液されたか否かを検知するように構成されている。このように構成すれば、複数の反応チャンバ12における排出管の詰まり(流路13d)を共通の電極33a(33b)によって検知することができ、部品点数の削減とコスト低減を実現することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、血液分析装置1は送液管15aおよび15bを通じて送液された液体を貯留する貯留容器32を備え、電極33a(33b)は、貯留容器32内に設けられている。このように構成すれば、送液管15aおよび15bを通じて送液された液体が装置外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、貯留容器32は、送液管15aおよび15bから滴下した液体を受ける液体導入部36を含み、電極33a(33b)は、液体導入部36から外れた位置に設けられている。一度でも送液管15aおよび15bの中を液体が通ると、送液管15aおよび15bの内部に僅かな液滴が残留することが考えられる。このため、上記のように、送液管15aおよび15bから滴下した液体を受ける液体導入部36から外れた位置に電極33a(33b)を設けることにより、残留液滴を誤検知してしまうのを回避することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、貯留容器32は樹脂からなる。このように構成すれば、液体検知後、貯留容器32の液体を除去した後に、貯留容器32に僅かに残留する残留物による腐食などの発生を防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、血液分析装置1は、反応チャンバ12から漏れ出た液体を受ける底板3bを備え、貯留容器32は、底板3bの上方に設けられている。そして、電極33a(33b)は、貯留容器32を上下に貫通して設けられており、底板3bに貯留された液体をも検知するように構成されている。このように構成すれば、送液管15aおよび15bを通じて送液されたオーバーフロー液以外の漏液、例えば流路の接続不良によって漏れた液体も、底板3bに貯留して、電極33a(33b)で検知することができる。これにより、少ない部品点数でより多くの異常を検知することができるようになる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、規定量は、1回の検体測定に用いられる検体及び試薬の総量であり、送液管15aは、反応チャンバ12に規定量の液体が供給されたときの液面高さよりも上方で、かつ、反応チャンバ12に規定量の2倍の液体が供給されたときの液面高さよりも下方の位置(高さH3)において反応チャンバ12と接続されている。このように構成すれば、流路13dの詰まりによって反応チャンバ12内の液体排出ができなくなった場合に、次の測定のときには反応チャンバ12内の液面高さが送液管15aの接続位置を超えることになるので、送液管15aの接続位置を超える分の液体が水頭差により送液管15aおよび15bを通じて送液される。したがって、流路13dの詰まりが発生してから遅くとも次の測定時にはオーバフローを検知することができ、原因を除去するための対策を迅速にとることができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、電極33aおよび33b間の電気特性の変化に基づいて液体を検知するように構成されている。このように構成すれば、反応チャンバ12における排出管(流路13d)の詰まりを容易に検知することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、オーバーフロー検知部30は、電極33aに電圧を印加するケーブル41aの断線をも検知するように構成されている。このように構成すれば、反応チャンバ12から送液された液体の検知だけでなく、ケーブル41aの断線をも検知することができるので、装置の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、血液分析装置1は、電極33aおよび33bによって液体が検知された場合に、警告を出力する表示部52を備える。このように構成すれば、反応チャンバ12の排出管(流路13d)の詰まりが発生した場合に、排出管の詰まりの発生をユーザに警告することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、流体回路10は、電極33aおよび33bによって液体が検知されると、液体の供給を停止するように構成されている。このように構成すれば、反応チャンバ12の排出管(流路13d)における詰まりが発生した場合に、送液が停止されるので、無駄になる液体の消費を最小限におさえることができるとともに、メンテナンスを容易にすることができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、本実施形態では、送液管を通じて送液した液体を貯留容器に貯留させるとともに、貯留容器に貯留された液体を電極(液体検知部)によって検知する構成を示したが、このような構成に限られない。例えば、送液管の途中に液体検知部を設けた構成であってもよい。この場合、送液管の排出側を廃液チャンバに接続しておくことで貯留容器を設けない構成とすることもでき、構成を簡素化することができる。
【0071】
また、本実施形態では、一対の電極が、底板に滴下した液体の検知と、貯留容器内の液体との検知に共通して用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、底板に滴下した液体を検知する電極と、貯留容器内の液体との両方を検知する電極とをそれぞれ別個に設けてもよい。また、液体の検知に用いる電極は、一対(2つ)ではなく、3つ以上設けてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、一対の電極間の電気特性の変化に基づいて液体を検知するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、どのような方法で液体の検知を行ってもよい。たとえば、液体流入時の屈折率の変化に基づいて光学的に液体(オーバーフロー液)を検知してもよい。また、液体が貯留容器に流入したときの重量の変化に基づいて液体(オーバーフロー液)を検知してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、流体回路に4つの反応チャンバと1つの廃液チャンバとを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ〜3つまたは5つ以上の反応チャンバを設けてもよいし、2つ以上の廃液チャンバを設けてもよい。また、廃液チャンバを設けることなく、装置外の排液タンクに排出するように構成してもよい。
【0074】
また、本実施形態では、1回の測定で供給される所定量の液体が反応チャンバに供給されたときの液面高さよりも上方で、かつ、所定量の2倍の液体が反応チャンバに供給されたときの液面高さよりも下方の位置に送液管を接続した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、反応チャンバの上端に送液管を接続して、反応チャンバから液体が溢れる場合にのみ液体が貯留容器に導かれるように構成してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、電極に接続されたケーブルの断線も検知するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ケーブルの断線を検知しなくともよい。
【0076】
また、本実施形態では、貯留容器に液体導入部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、貯留容器に液体導入部を設けなくともよい。
【0077】
また、本実施形態では、貯留容器内に高さH5だけ低い凹部からなる液体導入部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば図10に示す変形例のように、傾斜面からなる液体導入部を設けてもよい。図10では、貯留容器132内の一方側(矢印T1方向側)に一対の電極33a(33b)が配置され、他方側(矢印T2方向側)に液体導入部136が配置されている。ここで、貯留容器132の一方側(矢印T1方向側)における上面(内底面)の高さH6よりも、貯留容器132の他方側(矢印T2方向側)における上面(内底面)の高さH7の方が小さくなるように貯留容器132の上面132bが傾斜することにより、液体導入部136が貯留容器132の上面132bの他の位置よりも下方に位置するように構成されている。このように構成しても、送液管15b(15c)内の残留液滴を矢印T2方向側の液体導入部136に溜めることができるので、電極33a(33b)が残留液滴を検知してしまうのを回避することが可能である。
【0078】
また、本実施形態では、貯留容器が、外周を側部により取り囲まれた凹状形状に形成された例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、貯留容器を反応チャンバなどと同様の容器などにより構成してもよい。
【0079】
また、本実施形態では、オーバーフローが検知された場合に表示部がエラーメッセージを表示するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、オーバーフローが検知された場合にスピーカーから警告音を出力させてもよいし、警告灯を点灯させてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、表示部を測定ユニットとは別体で設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部が測定ユニットと一体で設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 血液分析装置
3 測定ユニット
3b 底板(受け皿)
10 流体回路(液体供給手段)
12 反応チャンバ(混合容器、第1混合容器、第2混合容器)
14 廃液チャンバ
15a、15b、15c 送液管(第1送液管、第2送液管)
32 貯留容器
33a、33b 電極(液体検知部)
36 液体導入部(凹部)
41a ケーブル(電線)
52 表示部(出力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液検体と試薬とを混合して測定試料を調製し、調製された測定試料を測定する血液分析装置であって、
血液検体と試薬とを混合するための混合容器と、
規定量を超えて貯留された前記混合容器内の液体を前記混合容器の外部に送液する送液管と、
前記混合容器から前記送液管を通じて液体が送液されたか否かを検知する液体検知部と、を備える、血液分析装置。
【請求項2】
前記混合容器は、第1混合容器と第2混合容器とを含み、
前記送液管は、規定量を超えて貯留された前記第1混合容器内の液体を前記第1混合容器の外部に送液する第1送液管と、規定量を超えて貯留された前記第2混合容器内の液体を前記第2混合容器の外部に送液する第2送液管とを含み、
前記液体検知部は、前記第1混合容器から前記第1送液管を通じて液体が送液されたか否かを検知するとともに、前記第2混合容器から前記第2送液管を通じて液体が送液されたか否かをも検知するように構成されている、請求項1に記載の血液分析装置。
【請求項3】
前記送液管を通じて送液された液体を貯留する貯留容器をさらに備え、
前記液体検知部は、前記貯留容器内に設けられている、請求項1または2に記載の血液分析装置。
【請求項4】
前記貯留容器は、前記送液管から滴下した液体を受ける凹部を含み、
前記液体検知部は、前記凹部から外れた位置に設けられている、請求項3に記載の血液分析装置。
【請求項5】
前記貯留容器は樹脂からなる、請求項3または4に記載の血液分析装置。
【請求項6】
前記混合容器から漏れ出た液体を受ける受け皿をさらに備え、
前記貯留容器は、前記受け皿の上方に設けられ、
前記液体検知部は、前記貯留容器を上下に貫通して設けられており、前記受け皿に貯留された液体をも検知するように構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の血液分析装置。
【請求項7】
前記規定量は、1回の検体測定に用いられる検体及び試薬の総量であり、
前記送液管は、前記混合容器に前記規定量の液体が供給されたときの液面高さよりも上方で、かつ、前記混合容器に前記規定量の2倍の液体が供給されたときの液面高さよりも下方の位置において前記混合容器と接続されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の血液分析装置。
【請求項8】
前記液体検知部は、複数の電極を備え、前記電極間の電気特性の変化に基づいて液体を検知するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の血液分析装置。
【請求項9】
前記液体検知部は、前記複数の電極の少なくとも一つに電圧を印加する電線を含み、この電線の断線をも検知するように構成されている、請求項8に記載の血液分析装置。
【請求項10】
前記液体検知部によって液体が検知された場合に、警告を出力する出力部を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の血液分析装置。
【請求項11】
前記混合容器へ液体を供給する液体供給手段をさらに備え、
前記液体供給手段は、前記液体検知部によって液体が検知されると、液体の供給を停止するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の血液分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184982(P2012−184982A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47129(P2011−47129)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】