説明

血液分離フィルタ装置、および真空検体採取管

【課題】 ヘマトクリットや粘度などの異なる血液を用いた場合においても、短時間で血液を血球成分と血漿または血清とに分離することができ、分離後に長時間放置した場合においても、溶血により赤血球から漏洩してきた成分が混入しない血液分離フィルタ装置および該装置を収容してなる真空検体採取管を提供する。
【解決手段】血液が流れる流路を有する流路形成部材5と、流路に配置されており、かつ血液を血球成分と血漿または血清とに分離する血液分離フィルタ6と、流路において、血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血球成分の混入を防止する血球停止フィルタ7と、流路において、血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血漿または血清に接触されることにより膨潤し、流路を閉塞する水膨潤性ポリマー8とを備える血液分離フィルタ装置4および真空検体採取管1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を血球成分と血漿または血清とに分離するための血液分離フィルタ装置および真空検体採取管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液から血球成分を除去し、臨床検査に必要な血漿または血清を得るため、遠心分離が用いられてきた。しかし、遠心分離では、凝固過程、分離後上澄みの血漿または血清を移し変える過程などの煩雑な手間がかかっていた。また、検査結果を得るまでに時間がかかり、さらに大型で高価な遠心分離機が必要であった。
【0003】
この問題を解決するため、遠心分離を用いることなく、血液から血球成分を除去し、臨床検査に必要な血漿または血清を得ることを可能とする、様々な分離膜が提案されている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、直径0.05〜1μmの細孔を有し、外面開孔率40%以下、内面開孔率60%以上、膜厚が50〜200μmである中空繊維を用いて全血から血漿を分離採取する方法が提案されている。この中空繊維を用いることで、高い血漿分離速度で血漿を分離することができるとされている。
【0005】
他方、下記の特許文献2には、平均繊維径0.2〜5μm、及び密度0.1〜0.5g/cm3のガラス繊維層を用いて全血から、血漿または血清を分離する方法が開示されて
いる。
【0006】
一方、下記の特許文献3には、入口と出口とを有する容器内に高分子極細繊維集合体または多孔質ポリマーで構成される濾過材を装着した血漿または血清分離フィルタが開示されている。濾過材である高分子極細繊維集合体または多孔質ポリマーには、親水化するために、親水性ポリマーが固定されている。固定された親水性ポリマーは、濾過材中で血液を移動させ、血漿または血清を分離採取する間に膨潤し、フィルタを閉塞することによって、濾過を自動停止させる。ある所定量の血漿または血清を得た後、血球成分が到達するまでに濾過が自動的に停止するため、血球成分の混入を自動的に防ぐことができるとされている。
【特許文献1】特公平2−23831号公報
【特許文献2】特公平6−64054号公報
【特許文献3】特開平11−285607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、血漿成分を速やかに分離することができ、少量の検体を短時間で分析することができるが、高価な中空繊維を用いているため、コストが高くならざるを得なかった。
【0008】
特許文献2に記載の方法では、血液を血球成分と血漿または血清とに分離することができるが、濾過速度が低く、濾過時間を短くできなかった。圧力を加えることにより、濾過速度を高めることは可能であるが、溶血が生じたり、赤血球が漏れだしたりするおそれがあった。
【0009】
さらに、特許文献1や特許文献2に記載の血漿または血清分離方法では、分離後に長時
間放置されると、溶血が起こり、赤血球内成分が血漿または血清に混入するおそれもあった。
【0010】
一方、特許文献3に記載の血清分離フィルタでは、血液を血球成分と血漿または血清とに分離採取する間に親水性ポリマーが膨潤し、フィルタを閉塞することによって、濾過が自動停止されるため、分離後に長時間放置された場合でも、溶血により赤血球内成分が血漿または血清に混入するおそれがない。
【0011】
ここでは、濾過材中で血液を移動させ、移動速度差により血液中の血球成分と血漿または血清とを分離している。他方、ヘマトクリットや粘度の異なる血液では、上記移動速度差が異なるので、場合によっては、分離途中でフィルタが閉塞することがあった。分離途中でフィルタが閉塞した場合、回収できる検体量が大幅に減少する。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、ヘマトクリットや粘度などの異なる血液を用いた場合においても、短時間で血液を血球成分と血漿または血清とに分離することができ、分離後に長時間放置した場合においても、溶血により赤血球から漏洩してきた成分が混入しない血液分離フィルタ装置および該装置を収容してなる真空検体採取管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る血液分離フィルタ装置は、血液が流れる流路を有する流路形成部材と、流路に配置されており、かつ血液を血球成分と血漿または血清とに分離する血液分離フィルタと、上記流路において前記血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血球成分の混入を防止する血球停止フィルタと、上記流路において血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血漿または血清に接触されることにより膨潤し、流路を閉塞する水膨潤性ポリマーとを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る血液分離フィルタ装置のある特定の局面では、水膨潤性ポリマーが、血液分離フィルタと血球停止フィルタとの間に配置されている。
【0015】
本発明に係る血液分離フィルタ装置の他の特定の局面では、水膨潤性ポリマーが、血球停止フィルタの下流に配置されている。
【0016】
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、水膨潤性ポリマーが、シート状に成形されている。
【0017】
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、血球停止フィルタの下流において、流路を形成している流路形成部材の少なくとも一部が、水膨潤性ポリマーの成形体により形成されている。
【0018】
本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、水膨潤性ポリマーが、熱可塑性樹脂との混合物状態で配置されている。
【0019】
本発明の真空検体採取管は、本発明に従って構成された血液分離フィルタ装置を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る血液分離フィルタ装置では、血液が流れる流路において、血球停止フィルタが血液分離フィルタより下流に配置されている。血球停止フィルタは、赤血球の通過を防止する。従って、血液分離フィルタにおいて血球成分と、血漿または血清との移動速度
差を利用し、血液を血球成分と血漿または血清とに分離するとともに、血球停止フィルタにおいて赤血球の通過を防止することができる。よって、より効果的に血液を血球成分と血漿または血清とに分離することができる。また、ヘマトクリットや粘度の異なる血液を用いた場合においても、赤血球の通過を効果的に防止するため、短時間で血漿または血清を得ることができる。
【0021】
さらに、血液分離フィルタと血球停止フィルタとに加え、血液分離フィルタより下流に水膨潤性ポリマーが配置されている。血液分離フィルタと血球停止フィルタによって血液を血漿とまたは血清とに分離した後に装置を放置すると、血漿または血清に接触した水膨潤性ポリマーが膨潤し、流路が閉塞される。従って、溶血により赤血球から漏洩してきた成分の血漿または血清への混入を防止することができる。
【0022】
また、本発明の血液分離フィルタ装置を用いることにより、溶血による赤血球内成分の混入のない血漿または血清を得ることを可能とする真空検体採取管を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0024】
本発明で使用される血液分離フィルタは、血球成分よりも血漿または血清を速く移動させる性質のフィルタであればよく、その材質は特に限定されない。このような材質としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリアミド等の合成高分子からなる繊維が用いられる。また、ガラス繊維や多孔性高分子などを用いてもよい。
【0025】
血液分離フィルタは、血液中の測定成分を吸着するものであってもよい。この場合には、表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、特に限定されないが、ポリエーテル系、シリコン系等の潤滑剤、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン等の親水性高分子類、さらには天然の親水性高分子類、高分子界面活性剤等が挙げられる。
【0026】
血液分離フィルタが繊維からなる場合には、血球成分よりも血漿または血清を速く移動させるために、平均繊維径は、0.2〜5.0μmであることが好ましい。平均繊維径が0.2μmより小さい場合には、血液を分離する際に溶血を起こしやすくなり、平均繊維径が5.0μmより大きい場合には、血球成分と血漿または血清とを分離するために高密度に形成される必要があり、また使用する繊維の量も多くなるためコストが高くなる。血液の分離効果を高めるために、平均繊維径は、0.5〜3.0μmであることがより好ましい。
【0027】
血球停止フィルタは赤血球の通過を防止できる性質のフィルタであればよく、その材質は特に限定されない。このような材質としては、例えば、ポリビニリデンジフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラスファイバー、ボロシリケート、塩化ビニルまたは銀等を挙げることができる。
【0028】
血球停止フィルタが多孔質物質からなる場合には、血漿または血清の通過が可能であり、赤血球の通過を防止できる範囲の孔径を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0029】
赤血球の通過を防止するために、孔径は2μm以下であることが好ましい。孔径が小さい場合は、血液中のタンパク成分などが目づまりを起こす可能性があるため、孔径を0.05μm以上とすることが好ましい。赤血球の通過を防止する効果をより高めるためには
、孔径は0.1〜1.5μmとすることがより好ましい。
【0030】
濾過の流速を高めるために、血球停止フィルタの表面が親水処理されていてもよい。親水処理の方法として、プラズマ処理、親水性高分子のコーティング等が挙げられるが、これらに限定されず、他の方法を用いてもよい。
【0031】
本発明で使用される水膨潤性ポリマーの材質は特に限定されないが、分子骨格に親水性の官能基を有し、自重に対し同量以上の水を吸収できる性質の樹脂であることが好ましい。水膨潤性ポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸アルカリ金属塩系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリアクリルアミド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリN−ビニルアセトアミド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、シリコン系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリビニルエーテル系樹脂およびその共重合体およびそれら架橋体、ポリアルキレンオキサイド系樹脂またはその共重合体およびそれらの架橋体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはその共重合体およびそれらの架橋体等が挙げられる。
【0032】
水膨潤性ポリマーは、粉末状、粒状としたものを用いてもよく、フィルタ、シート状に成形したものを用いてもよく、ペースト状、スラリー状または溶液等にして添加し乾燥させるなどしてもよい。
【0033】
水膨潤性ポリマーは、血漿または血清に接触されることでそれ自身が膨潤し、流路を閉塞させる。そのため、水膨潤性ポリマーの必要量は流路体積によって異なり、水膨潤性ポリマーの膨潤率、膨潤速度から最適な量が計算される。
【0034】
閉塞させる流路体積は、血液中の水分が吸収されかつ検体の回収量が低下しない範囲で設定される。流路体積が大きくなると、閉塞させるための水膨潤性ポリマーの量も多くなるため、回収量が低下するおそれがある。
【0035】
従って、閉塞するための流路体積は、0.005〜1.0cm3とすることが好ましい
。また、水膨潤性ポリマーの体積は閉塞する流路堆積に対し、5〜95%とすることが好ましい。水膨潤性ポリマーの体積が閉塞する流路堆積に対し5%より小さい場合には、流路を閉塞するまでの時間が長くなるため、溶血した血漿または血清が分離した検体が、分離した血漿もしくは血清に混入するおそれがある。水膨潤性ポリマーの体積が閉塞する流路堆積に対し95%より大きい場合には、血漿または血清がすべて回収される前に流路が閉塞されてしまうことがあるために、血漿または血清の回収効率が低下するおそれがある。
【0036】
以下、本発明に係る血液分離フィルタ装置及び真空検体採取管の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る真空検体採取管を示す正面断面図である。
本実施形態では、真空検体採取管1は、上端に開口2aを有し、下端に丸底2bを有する有底円筒状の管状容器2を有する。開口2aには、栓体3が内部を気密封止するように取り付けられている。管状容器2の内側の上段部から中段部にかけて、管状容器2の内壁に密着するように、円筒状の血液分離フィルタ装置4が配置されている。なお、真空検体採取管1内は減圧されている。
【0038】
血液が管状容器2の上方2aから血液分離フィルタ装置4に供給されると、血液が血液分離フィルタ装置4を通過し、その際に血球成分と血漿または血清とに分離される。分離された血漿または血清は管状容器2の丸底2bに収容される。
【0039】
図2は、図1の血液分離フィルタ装置4を拡大して示す正面断面図である。
【0040】
血液分離フィルタ装置4は、流路形成部材5、血液分離フィルタ6、血球停止フィルタ7及び水膨潤性ポリマー8を有する。
【0041】
流路形成部材5は、円筒状部材9と主面部材10とを有する。円筒状部材9は、管状容器2の内側の上段部から中段部にかけて、管状容器2の内壁に密着している。円筒状部材9は上端に開口9aを有する。円筒状部材9の下端9bよりわずかに上方において、円筒状部材9の内周面から内側に向って突出するように環状周縁部9cが設けられている。この環状の周縁部9cにより、該環状周縁部9cに囲まれた開口部9dが形成されている。
【0042】
主面部材10は、主面部10aと、主面部10aの中央から下方に延ばされた管状の出口部10bとを有する。出口部10bは上下に延びる中空流路を有する。主面部10aの上面中央には凹部10cが設けられている。凹部10cの周囲の部分は環状凸部10dとされている。主面部10aの凹部10cは、出口部10bの中空流路に連ねられており、流路の一部が構成されている。
【0043】
主面部材10は、円筒状部材9の環状周縁部9cの下方に配置されている。より具体的には、円筒状部材9は、下端9bにおいて開口しているが、この開口部分から上記主面部材10が挿入され、固定されている。すなわち、主面部材10の主面部10aの外周縁が、円筒状部材9の内周面に密着され、固定されている。この状態において、主面部10aの上面が、円筒状部材9の環状周縁部9c及び開口部9dに対向されている。また、円筒部材9の環状周縁部9cの下面に対して、環状凸部10dの上端面は一定の間隔を隔てられている。
【0044】
血液を血球成分と血漿または血清とに分離する血液分離フィルタ6は、上記円筒状部材9の環状周縁部9c上に配置されている。
【0045】
血球成分の混入を防止する血球停止フィルタ7は、血液分離フィルタ6の下流であり、かつ円筒状部材9の環状周縁部9cと主面部材10の主面部10aとの間の空間に配置されている。より具体的には、血球停止フィルタ7は、環状周縁部9cの下面と環状凸部10dの上端面により挟持されるように配置されている。
【0046】
水膨潤性ポリマー8は、血液分離フィルタ6と血球停止フィルタ7との間であって、円筒状部材9の環状周縁部9cで囲まれた開口部に配置されている。水膨潤性ポリマー8は、初期状態、すなわち膨潤前には血漿または血清が流れる流路を確保するように、分散配置されている。
【0047】
使用に際しては、採血針の一端を血管に刺入した後、他端を栓体3に刺入し、栓体3を貫通させる。その結果、内部が減圧されている真空検体採取管1内に血液が流れ込む。流れ込んだ血液は、血液分離フィルタ6の上端6aに達する。
【0048】
血液分離フィルタ6の上端6aに達した血液が、血液分離フィルタ6を通過する際、血球成分よりも血漿または血清が速く移動する。相対的に早く移動した血漿または血清は、血球停止フィルタ7に先に達し、該血球停止フィルタ7を通過する。そして、血漿または血清は、主面部材10の主面部10aの凹部10cを経て出口部10bの中空流路を通過し、管状容器2に収容される。
【0049】
血漿または血清よりも低速で移動した血球成分は、血球停止フィルタ7に達しても、血
球停止フィルタ7を通過しない。従って、下方において収容された血漿または血清に血球は混入しない。
【0050】
また、水膨潤性ポリマー8は、血漿または血清に接触されることにより、次第に膨潤し、収容されるべき血漿または血清が通過した後に流路を閉塞する。より具体的には、血液分離フィルタ6において相対的に速く移動した血漿または血清が、水膨潤性ポリマー8が配置されている流路部分を通過した後、水膨潤性ポリマー8が膨潤する。すなわち、水膨潤性ポリマー8が、環状周縁部9cで囲まれた開口部9dを密閉するように膨張する。従って、水膨潤性ポリマー8の膨張により流路が閉塞されることになる。よって、血漿または血清が管状容器2の丸底2bに収容された後、長時間放置された場合でも、流路が閉塞されるため、溶血により生じた赤血球内成分は下方に滴下しない。また、流路が閉塞されると、水膨潤性ポリマー8の下方において、圧力差を駆動力とした血液成分の移動も停止される。よって血球内成分は、血漿または血清に混入しない。
【0051】
図3は、血液分離フィルタ装置4の別の一実施形態である血液分離フィルタ装置11を示す正面断面図である。
【0052】
血液分離フィルタ装置11では、水膨潤性ポリマーは、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物12として配置されている。水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物12は、血球停止フィルタ7と主面部材10の主面部10aとの間であって、主面部10aの上面中央の凹部10cに配置されている。
【0053】
水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物12は、初期状態、すなわち膨潤前には血漿または血清が流れる流路を確保するように、分散配置されている。
【0054】
血液分離フィルタ装置11は、水膨潤性ポリマーの配置部分および材質が異なることを除いて、図2に示した血液分離フィルタ装置4と同様に形成されている。
【0055】
本発明において、水膨潤性ポリマーは、分離された血漿または血清に接触されることにより流路を閉塞し、溶血による赤血球内成分の通過を防止するために用いられている。従って、水膨潤性ポリマーの位置は、上記作用を果たす限り限定されるものではない。よって、水膨潤性ポリマーは、血球停止フィルタのさらに下流に配置されていてもよい。
【0056】
また、水膨潤性ポリマーは、分離した血漿または血清に接触されることにより膨潤し、流路を閉塞する作用を果たし得る限り、図3に示した実施形態のように、熱可塑性樹脂との混合物の形態で配置されてもよい。
【0057】
図4は、本発明の血液分離フィルタ装置の他の実施形態を示す正面断面図である。
【0058】
血液分離フィルタ装置21では、流路形成部材22の主面部材23の下面部23aと出口部23bとが、水膨潤性ポリマーの成形体により形成されている。ここでは、血液分離フィルタ装置21では、主面部材23が水膨潤性ポリマーの成形体からなること、並びに血球停止フィルタ7の上方すなわち前述した環状周縁部9cで囲まれた開口部9dに水膨潤性ポリマーが配置されていないことを除いては、血液分離フィルタ装置4と同様に形成されている。
【0059】
本実施形態では、主面部材23が水膨潤性ポリマーで形成されている。初期状態では、凹部23c及び出口部23bを経由して、血漿もしくは血清が下方に流れ得る。これに対して、分離した血漿または血清に接触されることにより、水膨潤性ポリマーが膨張し始める。その結果、採取されるべき血漿または血清が下方に流れた後に、膨張が終了し、流路
23bが閉塞することなる。
【0060】
図4に示す実施形態のように、血球停止フィルタの下流において、流路を形成している流路形成部材の少なくとも一方が水膨潤性ポリマーの成形体により、膨張により流路を閉塞し得るように形成されていてもよい。その場合においても流路が閉塞されて、溶血による赤血球内成分の通過を防止することができる。
【0061】
図5は、血液分離フィルタ装置の変形例を示す正面断面図である。
【0062】
血液分離フィルタ装置31では、流路形成部材32の主面部材33の出口部33bのみが、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物からなる成形体により形成されている。
【0063】
血液分離フィルタ装置31は、水膨潤性ポリマーの配置部分、材質および性状が異なることを除いて、図4に示した血液分離フィルタ装置21と同様に形成されている。このように、流路形成部材33の一部が、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物により構成されていてもよい。
【0064】
なお、上記のように、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物を用いる場合には、流路を確実に閉塞し得るように、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂の配合割合を選択すればよい。この場合、水膨潤性ポリマーの膨張率及び膨張速度を考慮し、水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との配合割合を決定することが望ましい。
【0065】
図6は、本発明の血液分離フィルタ装置のさらに他の実施形態を示す正面断面図である。
【0066】
血液分離フィルタ装置41では、シート状に成形された水膨潤性ポリマー42が使用されている。メッシュシート状の水膨潤性ポリマー42は、円筒状部材9の環状周縁部9c及び環状周縁部9cに囲まれた開口部9d上に配置されている。血液分離フィルタ6は、メッシュシート状の水膨潤性ポリマー42上に配置されている。
【0067】
血液分離フィルタ装置41は、水膨潤性ポリマーの配置部分が異なること、血液分離フィルタ6の配置が異なることを除いて、図2に示した血液分離フィルタ装置4と同様に形成されている。
【0068】
なお、上記メッシュシート状の水膨潤性ポリマー42は、分離された血漿もしくは血清が下方に流下し得る多数の孔を有する。そして、膨張後には、該孔が閉塞され、液体成分が下方に流下しないように構成されている。本変形例では、メッシュシート状の水膨潤性ポリマー42が用いられているため、分離後には、水膨潤性ポリマー42が十分に膨張し、上方において溶血が生じたとしても、血球内成分の下方への流下を防止することができる。
【0069】
また、メッシュシート状とされた水膨潤性ポリマー42を用いているため、血液分離フィルタ装置を組み立てる工程が簡略でき、さらには水膨潤性ポリマーの膨潤速度を安定化させることができる。
【0070】
図7は、本発明の血液分離フィルタ装置のさらに他の実施形態を示す正面断面図である。血液分離フィルタ装置51では、環状周縁部9cの下面に血球停止フィルタ51が配置されている。そして、この血球停止フィルタ52の下面にシート状の水膨潤性ポリマー53が積層配置されている。なお、水膨潤性ポリマー53は、必ずしもシート状である必要はないが、環状周縁部9cの下面と、環状凸部10dの上面との間にこれらからなる積層
体が配置されていることが好ましい。上記のように、水膨潤性ポリマーは、血球停止フィルタ52よりも下流側に位置している。
【0071】
図2に示した血液分離フィルタ装置4を製造する際に、プラスチックの成形精度が低いため、図9に示す不良品としての血液分離フィルタ装置101が製造されるおそれがある。図9に示す血液分離フィルタ装置101では、下面部材10において、環状凸部10dの一部の高さが矢印Zで示すように低くなっている。また、環状周縁部9cの一部を、矢印Zで示す部分の上方において厚みが薄くされている。その他の点については、血液分離フィルタ装置101は、血液分離フィルタ装置4と同様に構成されている。従って、同一部分については同一の参照番号を付することとする。この場合、血球停止フィルタ7の下面と、環状凸部10dとの間に隙間が生じる。そのため、赤血球が隙間xを通り、矢印Aで示すように、血球停止フィルタ7を迂回して出口部b側に流れるおそれがあった。
【0072】
すなわち、血球停止フィルタ7により確実に赤血球を捕捉できないことがある。
【0073】
これに対して、本実施形態の血液分離フィルタ装置51では、図8(a)に示すように、下面部材10の環状凸部10dが部分的に低く、環状周縁部9cの一部が薄くなっており、血球停止フィルタ52の径が若干小さく、そのため隙間yが生じていたとしても、血漿もしくは血清により水膨潤性ポリマー53が膨張する。従って、図8(a)に示すように、水膨潤性ポリマー53の厚みが増大し、血球停止フィルタ52の上面が環状周縁部9cの下面に密着し、かつ水膨潤性ポリマー53の下面が、環状凸部け10dの上面に密着する。そのため、赤血球が確実に血球停止フィルタ52により捕捉され、血球手続停止フィルタ52を迂回して赤血球が下方に移動し難い。
【0074】
なお、血液分離フィルタ装置51では、血球停止フィルタ52の下面に水膨潤性ポリマー53を配置したが、図10に示す変形例のように、水膨潤性ポリマー63を血球停止フィルタ62の上面側に配置してもよい。図10に示す血液分離フィルタ装置61は、水膨潤性ポリマー63が血球停止フィルタ62の上面に配置されたことを除いては、血液分離フィルタ装置51と同様に構成されている。
【0075】
また、図11に示す血液分離フィルタ装置71では、血球停止フィルタ72の上面及び下面の双方に、水膨潤性ポリマー73,74が配置されている。図10及び図11から明らかなように、血球停止フィルタの少なくとも片面にシート状の水膨潤性ポリマーを配置することにより、たとえ下面部材10における環状凸部10の寸法がばらついたり、血球停止フィルタの径がばらついていたりしても、確実に赤血球を血球停止フィルタにより捕捉することができ、採取された試料中への赤血球の混入を確実に防止することができる。
【0076】
本発明において、血液分離フィルタ装置は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0077】
本発明において、図1に示した実施形態のように真空検体採取管とした場合は、管内の圧力を調整することができるため、簡便に必要量血液を採取することができ、効果的に血液を血球成分と血漿または血清とに分離することができる。
【0078】
本発明において、真空検体採取管に円筒状の管状容器を用いたが、その形状は特に限定されるものではなく、楕円状、六角状などの容器を用いてもよい。
【0079】
本発明において、真空検体採取管に用いる管状容器の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アクリロニトリル-スチレン共
重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂、また、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂、さらにソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス、石英ガラスなどのガラス、及びこれらを主成分とするもの、あるいはこれらを組み合わせたもの等、従来公知のものが挙げられる。
【0080】
本発明において、検体採取管に用いられる栓体は、図1に示すように、管状容器2の開口2aを密封するように栓体3は取り付けられる。栓体が空気非透過性であるときは、真空検体採取管として用いることができる。
【0081】
栓体の素材としては、特に限定されず、天然ゴム、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一種の弾性体、あるいは、アルミラミネートまたはアルミ蒸着シート等従来公知のものが挙げられる。
【0082】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。
【0083】
以下の実施例1〜5及び比較例1は、図1の実施形態おいて、水膨潤性ポリマーの配置部分、材質および性状が異なることを除いては同様の血液分離フィルタ装置を備える真空検体採取管とした。
【0084】
血液分離フィルタは、平均繊維径1.8μmのポリエステル繊維0.5gとした。血球停止フィルタは、孔径0.4μmのアイソポアHTTPとした。流路形成部材は、水膨潤性ポリマーの成形体として形成されない部分ではプラスチック製のものを用いた。
【0085】
真空検体採取管は栓体により密栓され、管内の圧力を25kPaとした。
【0086】
実施例1〜5及び比較例1において、水膨潤性ポリマーの配置部分、材質および性状等については以下のように構成した。
【0087】
(実施例1)
水膨潤性ポリマーは、図2に示す血液分離フィルタ6と血球停止フィルタ7との間であって、円筒状部材9の環状周縁部9cの内側に配置した。
【0088】
水膨潤性ポリマーは、サンフレッシュST−500D(サンダイヤポリマー社製)3mgとした。
【0089】
添加位置の流路体積は、約0.013cm3であり、水膨潤性ポリマーの体積は流路体
積に対し約24%であった。
【0090】
(実施例2)
水膨潤性ポリマーは、図2に示す血液分離フィルタ6と血球停止フィルタ7との間であって、円筒状部材9の環状周縁部9cの内側に配置した。水膨潤性ポリマーは、アクアパールA3(サンダイヤポリマー社製)5mgとした。
【0091】
添加位置の流路体積は、約0.013cm3であり、水膨潤性ポリマーの体積は流路体
積に対し約40%であった。
【0092】
(実施例3)
水膨潤性ポリマーは、図3に示す血球停止フィルタ7と主面部材10の主面部10aとの間の空間であって、主面部10aの上面中央の凹部10cに配置した。
【0093】
水膨潤性ポリマーは、アクアコークTWB(住友精化社製)を厚み0.2mmのシート状に成形したものを直径6mmに打ち抜き、中心部に約1mmの孔を開けたものを用いた。シート状の水膨潤性ポリマーは5mgであった。
【0094】
添加位置の流路体積は、約0.053cm3であり、水膨潤性ポリマーの体積は流路体
積に対し約23%であった。
【0095】
(実施例4)
図4に示す流路形成部材22の主面部材23の下面部23aと出口部23bとを、水膨潤性ポリマーの成形体により形成した。
【0096】
水膨潤性ポリマーは、アクアコークTWB(住友精化社製)の成形体とした。
【0097】
流路形成部材の下面部と出口部の分離した血漿または血清の流路の直径はφ0.5mmであった。
【0098】
(実験例5)
水膨潤性ポリマーは、図2に示す血液分離フィルタ6と血球停止フィルタ7との間であって、円筒状部材9の環状周縁部9cの内側に配置した。
【0099】
水膨潤性ポリマーは、アクアパールA3(サンダイヤポリマー社製)0.5mgとした。
【0100】
添加位置の流路体積は、約0.013cm3であり、水膨潤性ポリマーの体積は流路体
積に対し約4%であった。
【0101】
(比較例1)
水膨潤性ポリマーは、いずれの箇所にも配置しなかった。
【0102】
(実施例及び比較例の評価)
上述した、実施例1〜5及び比較例1の血液分離フィルタ装置に、3名から採血したヘマトグリットの異なる血液をそれぞれ注入し、血液の分離を行った。
【0103】
図12は、実施例3の血液分離フィルタ装置について、ヘマトグリット25%の血液の分離時間と検体採取量との関係を示す図である。
【0104】
図13は、比較例1の血液分離フィルタ装置について、ヘマトグリット25%の血液の分離時間と検体採取量との関係を示す図である。
【0105】
実施例3では、図12に示したように、血液の分離開始後、25秒後より流路を通過した血漿または血清の溶出が開始し、検体採取量が徐々に増加し、92秒後に検体採取量の増加がみられなくなった。
【0106】
一方、比較例1では、図13に示したように、血液の分離開始後、26秒後より流路を通過した血漿または血清の溶出が開始し、検体採取量が徐々に増加した。さらに、150秒後血漿または血清の溶出が終了した後、時間の経過とともに溶血による赤血球内成分の
混入が確認され、検体採取量の増加がみられた。
【0107】
次に、実施例1〜5及び比較例1の分離フィルタ装置を用い、ヘマトクリットの異なる血液を分離し、分離開始から血清溶出時間、血球停止時間、及び溶血による赤血球内成分混入の有無について調べた。その結果を表1に示した。
【0108】
【表1】

【0109】
(2分後の赤血球内成分混入の有無)
実施例1〜5及び比較例1は、血液の分離開始後2分間、血漿または血清のみが採取され、血球成分の血漿または血清への混入はみられなかった。血液分離フィルタによって、血球成分と血漿および血清とが移動速度差により分離したことに加え、血球停止フィルタによって赤血球の通過が防止されたためである。
【0110】
(30分後の赤血球内成分混入の有無)
血液の分離開始後30分間にわたり放置した結果、実施例1〜4では、血液の分離開始後30分間にわたり放置した場合でも、溶血による赤血球内成分の血漿または血清への混
入はみられなかった。また、ヘマトグリットの異なる血液いずれにおいても、溶血による赤血球内成分の溶血による赤血球内成分の血漿または血清への混入はみられなかった。血液分離フィルタの下流に配置された水膨潤性ポリマーが、血漿または血清に接触されることにより膨潤し、溶血による赤血球内成分の流路が完全に閉塞されたためである。
【0111】
一方、比較例1では、血液の分離開始3分後、溶血による赤血球内成分の血漿または血清への混入がみられた。比較例1では、水膨潤性ポリマーを配置しなかったため、溶血による赤血球内成分の流路が閉塞されず、溶血による赤血球内成分の血漿または血清への混入が防げなかったためである。
【0112】
実施例5では、水膨潤性ポリマーを配置したため、比較例1と比べ、溶血による赤血球内成分が血漿または血清へ混入するまで長時間を要した。水膨潤性ポリマーにより、完全ではないものの、溶血による赤血球内成分の流路が閉塞されたためである。
【0113】
なお、実施例5の血液分離フィルタ装置は、実施例1と比較し、水膨潤性ポリマーの使用量が異なるのみの差異である。水膨潤性ポリマーの使用量は、実施例1では3mgであったのに対し、実施例5では、0.5mgとした。実施例5では、水膨潤性ポリマーの体積は流路体積に対し約4%であった。
【0114】
実施例5では、水膨潤性ポリマーの使用量が少なかったため、溶血による赤血球内成分の流路を閉塞するまで長時間を要した。そのため、溶血による赤血球内成分の血漿または血清への混入は完全には防げなかったと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態に係る真空検体採取管の正面断面図。
【図2】図1に示される血液分離フィルタ装置を拡大して示す正面断面図。
【図3】本発明に係る血液分離フィルタ装置の変形例の正面断面図。
【図4】本発明に係る血液分離フィルタ装置の他の変形例の正面断面図。
【図5】本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに他の変形例の正面断面図。
【図6】本発明に係る血液分離フィルタ装置の別の変形例の正面断面図。
【図7】本発明に係る血液分離フィルタ装置の他の実施形態を示す正面断面図。
【図8】(a)は、図7示した実施形態の血液分離フィルタ装置において、血球停止フィルタと流路形成部材との間に所望でない隙間が形成されている場合の構造を示す正面断面図であり、(b)は、(a)の構造において水膨潤性ポリマーが膨張した後の状態を示す正面断面図。
【図9】図2に示した血液分離フィルタ装置と同様に構成されているが、血球停止フィルタと流路形成部材との間に所望でない隙間が生じている不良品における問題点を説明するための正面断面図。
【図10】本発明に係る血液分離フィルタ装置の他の変形例の正面断面図。
【図11】本発明に係る血液分離フィルタ装置のさらに他の変形例の正面断面図。
【図12】実施例3のヘマトグリット25%の血液の分離時間と検体採取量との関係を示す図。
【図13】比較例1のヘマトグリット25%の血液の分離時間と検体採取量との関係を示す図。
【符号の説明】
【0116】
1…真空検体採取管
2…管状容器
2a…開口
2b…丸底
3…栓体
4…血液分離フィルタ装置
5…流路形成部材
6…血液分離フィルタ
6a…上端
7…血球停止フィルタ
8…水膨潤性ポリマー
9…円筒部材
9a…開口
9b…下端
9c…環状周縁部
9d…下方部分
10…主面部材
10a…下面部
10b…出口部
10c…凹部
10d…環状凸部
11…血液分離フィルタ装置
12…水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物
21…血液分離フィルタ装置
22…流路形成部材
23…主面部材
23a…下面部
23b…出口部
24…水膨潤性ポリマーの成形体
31…血液分離フィルタ装置
32…流路形成部材
33…主面部材
33b…出口部
34…水膨潤性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物の成形体
41…血液分離フィルタ装置
42…シート状の水膨潤性ポリマー
51…血液分離フィルタ装置
52…血球停止フィルタ
53…水膨潤性ポリマー
61…血液分離フィルタ装置
62…血球停止フィルタ
63…水膨潤性ポリマー
71…血液分離フィルタ装置
72…血球停止フィルタ
73…水膨潤性ポリマー
A…流路
x…隙間
y…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液が流れる流路を有する流路形成部材と、
前記流路に配置されており、かつ血液を血球成分と血漿または血清とに分離する血液分離フィルタと、
前記流路において前記血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血球成分の混入を防止する血球停止フィルタと、
前記流路において前記血液分離フィルタの下流に配置されており、かつ血漿または血清に接触されることにより膨潤し、前記流路を閉塞する水膨潤性ポリマーとを備える血液分離フィルタ装置。
【請求項2】
前記水膨潤性ポリマーが、前記血液分離フィルタと前記血球停止フィルタとの間に配置されている、請求項1に記載の血液分離フィルタ装置。
【請求項3】
前記水膨潤性ポリマーが、前記血球停止フィルタの下流に配置されている、請求項1に記載の血液分離フィルタ装置。
【請求項4】
前記水膨潤性ポリマーが、シート状に成形されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血液分離フィルタ装置。
【請求項5】
前記血球停止フィルタの下流において、前記流路を形成している流路形成部材の少なくとも一部が、前記水膨潤性ポリマーの成形体により形成されている、請求項3に記載の血液分離フィルタ装置。
【請求項6】
前記水膨潤性ポリマーが、熱可塑性樹脂との混合物として配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の血液分離フィルタ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の血液分離フィルタ装置を備えることを特徴とする、真空検体採取管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−3340(P2006−3340A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369618(P2004−369618)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】