説明

血液動態パラメータをモニタリングおよび治療する方法およびシステム

多重伝送式の医療用キャリヤにより、個別に識別可能なエフェクタを介して、1つもしくは複数の患者パラメータの検出および/またはエネルギーの送達を行う。同キャリヤは、本体、および少なくとも2つのエフェクタと接続した少なくとも2つの導体を含む。エフェクタは、センサ、アクチュエータ、またはその両者の任意の組合であってよい。センサは、圧力、酸素含有量、体積、導電率、液体流量、またはその他の化学的もしくは物理的パラメータなどのパラメータを測定してもよい。アクチュエータは、例えば、心臓のペーシング、筋肉もしくは神経組織の刺激、超音波エネルギーの伝送、発光、熱もしくはその他の形式の放射、または、任意の形式のエネルギーもしくは物質の送達などに用いてもよい。患者から医療データを収集するための方法は、患者体内の並列導体上に存在する多重伝送センサのネットワークに呼掛け信号を送信する段階を含み、呼掛け信号を送信する段階は、ネットワーク内の第一のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階、およびネットワーク内の第二のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 発明の分野
本発明は、該して、医療用の装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、種々の診断手順および治療手順を実施するための多重伝送式エフェクタを有する医療装置に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、参照としてその全てが本明細書に組み入れられる、2002年12月11日に提出された米国特許仮出願第60/432,929号の優先権を主張するものである。本願は、本願と同時に提出され且つ参照としてその全てが本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第60/_______号(代理人整理番号21308-000200US)と関連する。
【背景技術】
【0003】
近年の心臓医学およびその他の医学分野においては、血管内および管腔内の介入手技およびモニタリングが非常に重要となっている。本発明に特に関するものとして、心臓機能およびその他の患者パラメータをモニタリングするおよびこれらに影響を及ぼす目的で、種々の血管内カテーテル、体内埋植可能なセンサ、体内埋植可能な刺激用リード線、およびその他の装置が開発されている。このようなモニタリングおよび治療用のカテーテルは、大きな有用性をもつものの、含まれるセンサおよび/またはアクチュエータ(ともに本明細書において一般的に「エフェクタ」という)の数が一般的に1つまたは限られた個数しかない。したがって、複数のパラメータをモニタリングするもしくはこれに影響を与える能力、または、カテーテルもしくはその他の装置上に分布した複数の位置において単一のパラメータをモニタリングするもしくはこれに影響を与える能力は非常に限られている。カテーテルおよびその他の装置が有するエフェクタの個数が限られている主たる理由の1つは、各エフェクタをカテーテル上の専用の接続部またはその他の端末に結線する必要があることである。
【0004】
したがって、圧力、温度、導電性、電位、血流、血液体積などの患者パラメータを血管内および管腔内でモニタリングするための改良されたカテーテル、体内埋植可能な刺激用リード線、およびその他の装置を提供することは望ましいと考えられる。心臓ペーシングおよびその他の生理学的目的のための組織アブレーションおよび電気刺激などの治療的介入を血管内および管腔内で送達するための改良されたカテーテルおよびその他の装置を提供することもまた望ましいと考えられる。そのような装置であって、複数のエフェクタ(センサおよび/またはアクチュエータ)が製品上に分布した装置を提供することは特に望ましいと考えられる。単一の装置が多数の異なる種類のエフェクタをもてるようにすること、および、装置内で限られた数のワイヤを使用してエフェクタとの通信を可能にすることはさらに望ましいと考えられる。そのような装置の便利な作製方法およびそのような装置を患者体内で使用するための便利な方法を提供することはさらに望ましいと考えられる。これら目的の少なくともいくつかは以下に説明する本発明により達成される。
【0005】
2. 背景技術の説明
心臓のマッピング、アブレーション、および/またはその他を目的とした、複数の電極を有するカテーテルは、米国特許第4,397,314号、同第4,603,705号、同第4,776,334号、同第4,815,472号、同第4,881,410号、同第5,113,868号、同第5,419,767号、同第5,509,411号、同第5,579,764号、同第5,591,142号、同第5,662,587号、同第5,924,997号、同第5,902,248号、同第6,033,398号、同第6,309,385号、ならびに米国公開公報 2002/0156417 A1およびUS 2002/0026183 A1に記載されている。米国特許第4,815,472号には、多重伝送能をもつ2本の共通リード線に永続的に結合された複数の固体センサを有するカテーテルが説明されている。米国特許第5,579,764号には、多重伝送式でない共通バスを有するマッピング・アブレーションカテーテルが説明されている。米国公開公報第2002/0156417号には、カテーテル内でデュアルリードバスに接続されたコンディショニング回路を有するMEMS検出モジュールが説明されている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は概して、多重伝送式の医療用キャリヤ装置およびシステム、ならびに多重伝送式キャリヤの構成方法および使用方法を提供する。多重伝送(multiplexedまたはmultiplexing)とは、一般的に、1つまたは複数の「遠隔」装置と信号の送受信を行い得る2つ以上のエフェクタをキャリヤが有していてもよいことを意味する。遠隔装置は、キャリヤ上であってもまたはキャリヤから離れていても、任意の位置にあってよい。典型的に、多重伝送式キャリヤ上の各エフェクタは、何らかの方法で遠隔装置による識別が可能である。例えば、エフェクタはアドレス指定可能であってもよく、または、信号を伝送する周波数および/もしくは時間などが互いに異なっていてもよい。少なくともいくつかの場合においては、デジタル式またはその他の外部コントローラまたは外部回路によりエフェクタなどを任意にパワー供給、作動、またはその他始動させるためデジタル式またはその他のスイッチング回路がエフェクタ部またはエフェクタ上に設けられたアドレス指定可能なエフェクタ、特にアドレス指定可能な電極およびその他のアクチュエータ(後に定義する)が好ましい。
【0007】
一般的に、多重伝送は多数の異なる技術のうち任意の技術を用いて実現してよい。例えば、一般的に「同報通信(broadcasting)」と呼ばれ得るものもそうした技術の1つである。同報通信とは一般的に任意の種類の伝送(transmitting)を意味し、本明細書においてこれらの用語はしばしば相互置換可能な語として使用する。同報通信の1例としては、振幅変調(AM)または周波数変調(FM)のいずれかを用いてある周波数帯域でアナログ情報を同報通信するラジオ伝送がある。いずれの場合においても、それぞれ異なる周波数で同報通信される複数の情報源と複数の受信機とが存在し、受信機は、その受信機の関心対象である周波数を除く全ての周波数をフィルタリングもしくは拒否できるよう「チューナー」を有する。次に、受け入れられた周波数の信号が「復調」されて、元の信号が生成される。これは、任意の送信機から同報通信された情報が任意の受信機により使用され得る、「基本的な」同報通信の例である。
【0008】
第二の多重伝送技術は「周波数領域多重伝送」と呼ばれ得るものである。この技術の例はウォーキートーキーおよび市民バンド(CB)ラジオにみられる。各CBラジオは、伝送用の搬送周波数であって好ましくは別のCBラジオが使用していない周波数を送信機が選択できるよう、周波数セレクタを有する。送信機の声は、マイクロフォンによって、その搬送周波数を振幅変調または周波数変調のいずれかにより変調したアナログ電気信号に変換される。無論、受信機は同じ搬送周波数またはチャネルにチューニングされる必要がある。次に、受信機は受信した搬送信号を復調してアナログ電気信号に戻す。このアナログ信号がスピーカを駆動するので受信者はメッセージを聞くことができる。典型的なCBラジオでは「チャンネル」または搬送周波数を20の選択肢から選択できる。このシステムを用いると、近隣範囲内で20種類の会話を同時に送受信できる。この場合、各ラジオは使用時間の100%にわたってその周波数帯を使用することになる。
【0009】
多重伝送技術の第三の例は「時間領域多重伝送」と呼ばれ得るものである。時間領域多重伝送の日常的な例として、礼儀正しい夕食時の会話がある。この場合は、音波という単一の伝送媒体を各人が互いに共用している。通常、人々はこの伝送媒体を交代で使用することによって情報を同報通信し、その情報は任意の他の聞き手によって受け取られ得る。電子的にも同じ原理が利用可能であり、その場合は、2本のワイヤが任意の数のトランシーバ間で電子情報を伝送する。時間の割当て方法としては、同期式と非同期式という2つの一般的な方法がある。同期式の場合、各送信機は定期的に一定の長さの時間を割り当てられて情報を伝送する。例えば、電話において、音声を1秒当たり20,000個の数値に電子的に変換し、この20,000個の数値を200個ごと100の「パケット」に分割し、各パケットを例えば1マイクロ秒で伝送することが可能である。すると、それぞれ200個の数値を有するパケットが、1個の送信機により1秒間当たり100パケット送信される。各パケットの伝送所要時間は1マイクロ秒のみであるから、各送信機による使用時間は伝送時間1秒間当たり100マイクロ秒のみである。したがって、各送信機は全時間の0.1%しか伝送ラインを使用しない。例えば、同じラインを共用している送信機が1000個ある場合、各送信機は1000マイクロ秒ごとに1マイクロ秒を割り当てられ、これは通常クロック信号により同期される。一般的に、各送信機が1000ミリ秒ごとに使用するマイクロ秒の長さは同じである。
【0010】
その他の多重伝送技術としてはアドレス指定を行うものがあり、この場合は、各エフェクタがデジタルアドレスまたは数値を有する。例えば、エフェクタからの各同報通信にはデジタルアドレスが含まれ、このアドレスが各受信機によって読み取られる。アドレスが受信機のアドレスと対応する場合、その受信機はその情報を受け取り、場合によってはさらに追加の命令を実行する。電話の例に戻れば、音声を例えば1秒間当たり20,000個のデジタル数値に変換するアナログ‐デジタル変換器により会話がデジタル化される。電話は、10ミリ秒ごとに(または1秒間当たり100回)、自身のアドレスに続けて、直前10ミリ秒の音声情報を表す200個の数値を同報通信する。現代のシステムでは、アドレスおよび200個の数値の伝送は1マイクロ秒未満で完了し得る。受信ステーションはこのアドレスを読み取り、続く200個の数値を記憶し、送信先電話のアドレス(または数値)およびそれに続く200個の数値を1つまたは複数の送信先電話にルーティングする。受信アンテナは専用の周波数で受信を続け、自身のアドレスが「聞こえる」と、それに続く200個の数値を記憶する。次に、デジタル‐アナログ変換器が次の10ミリ秒間にわたってこれらの数値をアナログ信号に変換し、このアナログ信号が、電話に内蔵または接続されたスピーカに伝送される。各電話が使用する時間は10ミリ秒ごとに1マイクロ秒にすぎない(または、高性能システムではこれより大幅に少ない)ため、少なくとも理論的には、10ミリ秒につき1マイクロ秒の時間枠をそれぞれ割り当てられた1000台の電話で1つの周波数帯域を共用できることになる。
【0011】
本発明の多重伝送式キャリヤにはこれらの技術のうち任意の技術、またはその他任意の好適な技術を使用してよい。例えばいくつかの態様においては、周波数領域多重伝送と時間領域多重伝送との組合せなど、前述の技術の組合せを用いてもよい。前述の説明から明らかであるように、多重伝送式キャリヤ上の識別可能なエフェクタは、アドレス指定しても(もしくはアドレス指定可能であっても)よく、またはアドレス指定を用いないその他の手段により識別可能であってもよい。
【0012】
本発明の1つの局面において、多重伝送式の医療用キャリヤは、表面と少なくとも2つの管腔とを有する本体、および、少なくとも2つの導体であって各々が本体の少なくとも一部にわたって個別の管腔内に配置された導体を含む。本体は、導体を取り付けること、および、本体内または本体表面上の複数の位置に分布し個別に識別可能な少なくとも2つのエフェクタと導体とを電気的に接続することに適している。各導体は、本体の任意の部分にわたって、または本体の全長にわたって、個別の管腔内に配置してもよい。例えば1つの態様において、各導体は、本体の少なくとも遠位部分にわたって個別の管腔内に配置される。「個別の管腔」とは、分離したあらゆる通路を意味する。したがって個別の管腔は、いくつかの態様においては個別に押し出し成形された管腔として形成してもよく、別の態様においては1つの管腔などを仕切った各部分を含むものであってもよい。
【0013】
キャリヤは通常、本体上に取り付けられ且つ導体に接続された複数のエフェクタを含む。エフェクタと導体との接続は任意の好適な手段により実現してよい。例えば1つの態様において、導体は、エフェクタとの接続が可能となるよう、その長さの少なくとも一部にわたって絶縁が解除される。本明細書における「エフェクタ」という用語は、概して、センサ、アクチュエータ、センサ/アクチュエータ、または機能を実行するためキャリヤに接続され得るその他任意の装置を意味する。例えばいくつかの態様において、前述の少なくとも2つの識別可能なエフェクタはトランスデューサおよびプロセッサ(デジタルまたはアナログ)を含み、プロセッサは従来の多重伝送回路を用いて他の全てのエフェクタプロセッサから識別および区別可能である。エフェクタはデータの収集を目的としたものであってもよく、そのデータとしては圧力データ、体積データ、寸法データ、温度データ、酸素もしくは二酸化炭素の濃度データ、ヘマトクリットデータ、導電率データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流量データ、熱伝導率データ、光学特性データ、断面積データ、粘稠度データ、放射データなどがあるが、これらに限定されることはない。または、エフェクタは、電流もしくは電圧の印加、電位の設定、物質もしくは領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出もしくは捕捉、発光、音エネルギーもしくは超音波エネルギーの放出、放射線の照射など、作動もしくは介入を目的としたものであってもよい。いくつかの態様において、センサおよびアクチュエータの両者をキャリヤに接続してもよい。1つの態様において、エフェクタのうち少なくともいくつかはトランスデューサおよび変換回路を含み、トランスデューサからの出力は搬送周波数を用いてエンコードされて導体の1つに同報通信され、且つ、各エフェクタは互いに異なる搬送周波数を使用する。または、1つの態様において、エフェクタのうち少なくともいくつかはトランスデューサおよび変換回路を含んでいてもよく、トランスデューサからの出力は指定された時間インターバル中に導体の1つに同報通信され、且つ、各エフェクタは互いに異なる時間インターバルを使用する。
【0014】
1つの態様において、キャリヤ本体は、エフェクタに電気的に接続され且つ各々がキャリヤ本体の管腔の1つの少なくとも一部の中に隔離されている3つの導体を含む。この3つの導体は、例えば、アース用導体、パワー用導体、およびデータ用導体からなっていてもよい。後に詳述するように、このような3ワイヤシステムはエフェクタを外部パワー源に接続するのに最も有用であり、且つ、データを収集することおよび/またはエフェクタ内のトランスデューサに命令を呈示すること、ならびに外部コントローラでエフェクタを適切にアドレス指定することにも最も有用である。エフェクタは任意の好適な手段により導体と接続してよいが、1つの態様においては、導電性のゲル、液体、ペースト、スラリー、エポキシ、または共晶物などの導電性材料を介して、キャリヤ本体の開口部を通じてキャリヤ内のワイヤに接続される。導電性材料はキャリヤの長さの一部または全部にわたっていてもよく、且ついくつかの態様においてはそれ自体導体として機能してもよい。エフェクタはまた、キャリヤ本体の外面上または内面上など、任意の好適な様式でキャリヤ本体に取り付けてよい。
【0015】
1つの好ましい態様において、本体は、血管またはその他体内の管腔に導入し且つこれに通すのに適した、血管内またはその他管腔内用のカテーテルなどの細長部分を含む。このような場合、導体は、細長部分の遠位端またはその付近の遠位位置から、典型的にカテーテルまたは細長部分の近位側ハブ内に位置する近位側接続部まで、軸方向にわたる。このような場合、複数のエフェクタは軸方向に互いに離して配置するのが典型的であるが、特定の状況下においては円周方向に互いに離して配置してもよい。このようなカテーテルは2〜100個のエフェクタを有していてもよく、典型的には4〜40個のエフェクタを有し、より典型的には4〜12個のエフェクタを有する。他の好ましい態様において、本体は、脳組織などの組織上に配置するのに適した平面を有する。このような場合、導体は、その平面付近に位置する1つまたは複数の他の表面上に配置される。平面は任意の数のエフェクタを有していてよいが、いくつかの態様においては6〜1000個のエフェクタを有し、より好ましくは36〜100個のエフェクタを有する。
【0016】
別の局面において、本発明は、改良された医療用キャリヤであって複数のアクチュエータを含む種類のキャリヤを提供する。改良は、医療用キャリヤ内の少なくとも1つの共通導体により多重化される、個別にアドレス指定可能なアクチュエータを提供することを含む。例えばいくつかの態様において、アクチュエータのうち少なくともいくつかは電気エネルギーを送達するための電極を含む。他の態様においては、本明細書で既に説明した他のアクチュエータなど、その他任意の好適なアクチュエータを使用してよい。本発明のこの局面におけるその他の具体的な特長は、本発明の医療用キャリヤの最初の説明に関連して既に記載されている。
【0017】
別の局面において、本発明は、改良された医療用キャリヤであって複数のシステムを含む種類のキャリヤを提供する。改良は、少なくとも1つの共通導体により多重化される、個別に識別可能なシステムであって、各システムが少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのアクチュエータ、および電子回路を含むようなシステムを含む。センサおよびアクチュエータは前述の任意のセンサおよびアクチュエータであってもよく、または、その他任意の好適なセンサおよびアクチュエータであってもよい。1つの態様において、複数のシステムのうち少なくとも1つは、電位を測定するための電極センサおよび電気エネルギーを送達するための電極アクチュエータを含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様において、システムは、個別に識別可能な複数のエフェクタがその表面上に分布した多重伝送式医療用キャリヤであって、エフェクタが少なくとも1つの共通導体によって多重化されるような医療用キャリヤを含む。システムはさらに、共通導体を介してエフェクタに接続するのに適した多重伝送コントローラを含み、この多重伝送コントローラは、典型的には、従来の多重伝送システム内の他の導体とともにバスとして構成される。 多重伝送式医療用キャリヤは、従来の任意の様式で多重伝送コントローラに接続してもよい。例えば、多重伝送式医療用キャリヤがカテーテルである場合は、従来の「結線」式の構成によりカテーテル上のハブまたはケーブルを取り外し可能な状態で多重伝送コントローラに接続してもよい。または、多重伝送式医療用キャリヤとワイヤレス接続できるように多重伝送コントローラを適合させてもよく、この場合、医療用キャリヤはそのようなワイヤレス通信を行うためのトランシーバを含む。または、システムは、体内に埋植された多重伝送式医療用キャリヤと接続し且つ多重伝送コントローラとワイヤレス通信を行う、体内埋植可能なデータ収集・伝送ユニットを含んでいてもよい。
【0019】
本発明はさらに、医療用キャリヤを構成する方法であって、表面および少なくとも1つの導体を有する本体を提供する段階;個別に識別可能な少なくとも1つのエフェクタを表面上に選択的に取り付ける段階;ならびに、表面貫通を介してその少なくとも1つのエフェクタをその少なくとも1つの導体に電気的に接続する段階を含む方法を提供する。典型的に、エフェクタと本体内の対応する導体との間には2つまたは3つの接続が設けられる。選択的に取り付ける段階は、典型的に、表面から導体を露出させる段階および各エフェクタから各導体までリード線を電気的に接続する段階を含む。同方法は、本体の少なくとも一部およびエフェクタを封入材料で封入する段階をさらに任意で含んでいてもよい。本体およびエフェクタの具体的な局面は本明細書で既に詳しく説明している。
【0020】
別の局面において、本発明は、複数のアクチュエータを含む種類の医療用キャリヤを構成するための改良された方法を提供する。改良は、少なくとも1つの共通導体により多重化される、個別に識別可能なアクチュエータを提供することを含む。
【0021】
さらに別の局面において、本発明は、複数のシステムを含む種類の医療用キャリヤを構成するための改良された方法を提供する。改良は、少なくとも1つの共通導体により多重化される、個別に識別可能なシステムを提供することを含む。いくつかの態様において、各システムは、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのアクチュエータ、および電子回路を含む。
【0022】
本発明はさらに、患者から医療データを収集するための方法を提供する。患者体内の並列導体上に存在する多重伝送センサのネットワークに呼掛け信号が送信される。具体的には、呼掛け信号を送信する段階は(a)ネットワーク内の第一のアドレス指定可能センサをアドレス指定して第一のデータを取得する段階、および(b)ネットワーク内の第二のアドレス指定可能センサをアドレス指定して第二のデータを取得する段階を含む。この方法において、呼掛け信号を送信する段階は、ネットワーク内の第三、第四、第五のセンサ、さらにはそれ以上のセンサをアドレス指定して追加のデータセットを取得する段階をさらに含んでいてもよい。通常、この方法は、多重伝送センサネットワーク内の各センサに同ネットワークを介してパワーを供給する段階をさらに含む。または、各センサは、呼掛け信号なしでデータを伝送してもよい。この場合、センサに連結した処理回路によりデータをエンコードしてもよい。このエンコード体系(例えば周波数もしくはデューティサイクルによるエンコード、またはデジタル式のエンコード)により、上述のように伝送されたデータを患者の体外に位置する処理回路で抽出することが可能となる。収集するデータは、圧力データ、体積データ、寸法データ、温度データ、酸素もしくは二酸化炭素の濃度データ、ヘマトクリットデータ、導電率データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流量データ、熱伝導率データ、光学特性データ、断面積データ、粘稠度データ、放射データなどのうち任意のデータを含んでいてもよい。本発明の典型的な方法は、血管内および/または心腔内にセンサが分布し且つカテーテルが存在する状態で実施される。本発明の他の方法は、センサが平面上に分布し且つこの平面が脳組織上またはその近傍に存在する状態で実施される。本発明のさらに別の方法は、尿路、生殖器系の経路、内視鏡手術部位、腹腔、胃腸管、または関節腔の中にセンサが分布し且つカテーテルが存在する状態で実施される。
【0023】
本発明のさらに別の局面において、患者から医療データを収集する方法は、検出されたデータが作動した各センサから伝送されるように、患者体内の並列導体上に存在する多重伝送センサのネットワークを作動させる段階を含む。伝送されたデータは、受け取られ、各々が1つのセンサからのデータを含む複数のデータストリームに分割される。1つの態様において、作動した各センサは互いに異なる搬送周波数でデータを伝送する。または、センサは、互いに異なる時間インターバルなどでデータを伝送してもよい。
【0024】
本発明の別の局面は、エネルギーまたは1つもしくは複数の物質を患者に送達する方法である。同方法は、アクチュエータのネットワーク内の少なくとも第一のアドレス指定可能アクチュエータをアドレス指定することにより第一のアクチュエータでエネルギーまたは物質を送達する段階を含む。いくつかの態様においては、第二のアドレス指定可能アクチュエータがアドレス指定され、これにより第二のアクチュエータでエネルギーまたは物質が送達される。任意で、第三、第四、または任意の数の追加のアクチュエータを同様にアドレス指定してもよい。既に詳述したように任意の好適な機能をアクチュエータにより実施してよく、且つ、アクチュエータは患者体内の任意の好適な位置に存在してよい。
【0025】
以下に、これらおよびその他の態様をより詳しく説明する。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、概して、種々の診断手順および/または治療手順を実施するための多重伝送式エフェクタを有する医療装置を提供する。本発明はまた、そのような装置の作製方法および使用方法も提供する。前述のように、多重伝送式医療用キャリヤ上の「エフェクタ」は、センサ、アクチュエータ、センサ/アクチュエータ、またはその他任意の好適な装置を含んでいてよく、且つ、キャリヤはいずれも1つもしくは複数のセンサ、アクチュエータ、または両者の組合せを含んでいてよい。いくつかの態様において、多重伝送式キャリヤは、その長さ方向に沿って1つまたは複数のエフェクタが配置された細長のカテーテルとして構成される。別の態様において、キャリヤは、その表面上にエフェクタが配置された平面として構成される。各エフェクタは個別に識別可能であり、1つのキャリヤ上の全てのエフェクタは、キャリヤの本体上にまたはより典型的にはキャリヤの本体内に配置された少なくとも2つの導体に接続される。
【0027】
エフェクタはキャリヤの表面上に取り付けてもよく、またはキャリヤの本体の内部に配置してもよい。種々の態様において、そのような多重伝送式医療用キャリヤは種々のデータのうち任意のデータを検出するのに用いてもよく、そのようなデータとしては圧力データ、体積データ、寸法データ、温度データ、酸素もしくは二酸化炭素の濃度データ、タ、ヘマトクリットデータ、導電率データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流量データ、熱伝導率データ、光学特性データ、断面積データ、粘稠度データ、放射データなどがある。または、エフェクタは、電流もしくは電圧の印加、電位の設定、物質もしくは領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出もしくは捕捉、発光、音エネルギーもしくは超音波エネルギーの放出、放射線の照射など、作動もしくは介入を目的としたものであってもよい。キャリヤはまた体内の種々の位置で使用してよく、そのような位置としては例えば、1つまたは複数の心腔内、動脈系内または静脈系内、脳組織内または脳組織上、尿路内、胃腸管内、生殖器系の経路内、腹腔内、関節腔内などがある。本発明はまた、多重伝送式医療用キャリヤを用いて1つまたは複数の患者パラメータをモニタリングする方法およびそのようなキャリヤの作製方法も提供する。
【0028】
図1において、本発明の多重伝送式医療用キャリヤ100は、本体102;本体102内に配置された複数の導体104;ならびに、個別に識別可能な複数のエフェクタであって本体102の内部、本体102の管腔112の内部、および/または本体102の外面上に分布して配置されてもよいエフェクタ106 a〜eを好適に含む。任意の態様において、本体102のサイズもしくは構成、導体104の数および種類、ならびに/またはエフェクタ106 a〜eの数および種類などに対して多数の変更を行うことが可能である。したがって、図1に示し且つ以下により詳しく説明する態様は1つの代表的な態様にすぎず、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0029】
多重伝送式医療用キャリヤ100の本体102は、任意の好適な形状、サイズ、構成、および寸法などであってよい。図1のように、いくつかの態様において、本体102は、近位端108と遠位端110とを有し且つ中心部管腔112を規定する細長カテーテル部分を含む。いくつかの態様において本体102は、中心部管腔112に加えて、本体内を長さ方向に走行する1つまたは複数の壁内管腔(図には示していない)を有する。壁内管腔は、1つもしくは複数の導体104;ゲル、液体、ペースト、スラリー、エポキシ、もしくは共晶物などの導電性材料;および/または多重伝送式キャリヤ100のその他の構成部品を中に収容してもよい。(「本体102の内部」という句は、概して、本体102の壁面の内部を意味する。本体102により形成される中心部管腔112の中の位置は「中心部管腔112の中」と表現する。)他の態様においては、後に図1Aを参照しながらより詳しく説明するように、本体は平面を有していてもよく、この場合、その平面上にエフェクタが配置され且つ隣接する平面上に導体が配置される。
【0030】
多くの態様において、本体102は、標的とする体内管腔またはその他の体内構造(血管系もしくは心臓など)への管腔内導入に適したカテーテル部分を含んでいてもよい。本体102の寸法、材料、およびその他の物理特性は、アクセスおよびモニタリングの対象とする体内構造に応じて大幅に異なり得る。例えば、本体102の1つまたは複数の部分が可撓性であってもよく、他の1つまたは複数の部分が比較的剛性であってもよい。種々の態様において、本体102は、オーバーザワイヤ式またはラピッドエクスチェンジ式の導入用に構成したガイドワイヤ管腔を含んでいてもよい。血管内への導入を意図したカテーテル部分は、長さが50〜200 cm、外径が1〜12フレンチ(0.33 mm=1フレンチ)であってもよい。本体102は、典型的に、従来の押出技術で作られた有機ポリマーを材料とする。好適なポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーンポリマー、天然ゴム、ポリアミド(ナイロン)などがある。カテーテル部分の回転強度、コラム強度、靭性、および押し進めやすさなどを向上させるため、任意で、組紐、ヘリカルワイヤ、コイル、または軸糸などによりカテーテル部分を補強してもよい。好適なカテーテル部分は押出により形成してもよく、所望される場合は1つまたは複数のチャネルを設けてもよい。カテーテルの直径は従来技術を用いて熱膨張および熱収縮により修正できる。このようにして、血管系、心臓、またはその他所望される任意の部位へと従来技術により導入するのに好適なカテーテルが得られる。
【0031】
本体102が血管内カテーテルまたはその他の管腔内カテーテルなどの細長部分を含む態様において、導体104は、細長部分の遠位端またはその付近の遠位位置から、典型的にカテーテルまたは細長部分102の近位側ハブ内に位置する近位側接続部まで、軸方向にわたる。このような場合、エフェクタ106は軸方向に互いに離して配置するのが典型的であるが、特定の状況下においては円周方向に互いに離して配置してもよい。このようなカテーテルは、2〜100個のエフェクタ106など任意の適切な数のエフェクタを有していてよく、典型的には4〜40個のエフェクタ106を有し、より典型的には4〜12個のエフェクタ106を有する。
【0032】
導体104は、普通、本体102の長さの全部または一部に沿って軸方向に走行する導体を含む。導体104は、細く長いワイヤ、または本体102の内部もしくは表面上に配置された導電性のシースもしくはメッシュなどを含んでいてもよい。1つの態様においては、導体104が1つのみ使用され、中心部管腔112または壁内管腔の中の導電性の液体またはゲルがアースとして機能する。しかし、より一般的には、多重伝送式医療用キャリヤ100は導体104を2つ有し、またはより好ましくは3つ有する。いくつかの態様において、各導体104はその長さの少なくとも一部が絶縁される。例えば1つの態様において、本体102は3つ以上の壁内管腔を有していてもよく、導体104はそれぞれ別の壁内管腔内に収容されてもよい。さらに、各導体104は、典型的に、固有の機能を行う。例えば導体104を3つ含む態様において、導体104の1つはアース用導体を含み、1つはパワー用導体を含み、1つはデータ用導体を含む。アース用導体は一般的に、電流を多重伝送式キャリヤ100の近位端108に返すための従来式の電気アース機構として機能する。パワー用導体は1つまたは複数のエフェクタ106 a〜eにエネルギーを供給する。データ用導体は、1つまたは複数のエフェクタ106 a〜eへと、および/または1つまたは複数のエフェクタ106 a〜eから、データを伝送してもよい。前述したように、導体104を3つ使用するのは代表的な態様として説明されているにすぎない。他の種々の態様において、導体104が1つ、2つ、または4つ以上含まれていてもよい。例えばワイヤレスのRF通信が用いられる場合など、いくつかの態様においては、導体104が1つも含まれない場合もあり得る。
【0033】
任意の態様において、多重伝送式医療用キャリヤ100は、1つ、2つ、5つ(図1の場合)、またはその他任意の好適な数のエフェクタ106 a〜eを含んでいてもよい。エフェクタ106 a〜eの詳細は後述するが、任意の好適なサイズおよび構成であってよく、且つ、その配置はキャリヤ本体102の内部(エフェクタ106c)、本体102の内面上(エフェクタ106d)、および/または本体102の外面上(エフェクタ106a、b、およびc)であってもよい。さらに、エフェクタ106 a〜eは、本体102の長軸方向の長さに対して任意の好適な位置に配置してよい。例えば、隣接する2つの心腔において1つまたは複数のパラメータを同時に測定できるように、キャリヤ100の長さに沿ってエフェクタ106を配置することが有利である可能性もある。エフェクタ106の数、種類、サイズ、および配置の任意の好適な組合せはすべて本発明の範囲内に入るものと意図される。
【0034】
導体106 a〜eの各々はリード線214を介して各導体104に接続される。図1のカテーテルなど本発明の医療用キャリヤ100は、個別に識別可能な複数のエフェクタ106 a〜eが導体104の単一のセット(またはネットワーク)に接続されることから、多重伝送式キャリヤという。例えば1つの態様においては、すべてのエフェクタ106が、共通のアース用導体、共通のデータ用導体、および共通のパワー用導体に接続される。このような多重伝送は、各エフェクタ106について導体104のセットを個別に設ける必要がないため、1つのキャリヤ100で複数のエフェクタ106を使用するのに便利である。一方、従来利用可能な装置のように各エフェクタ106について導体のセットを個別に使用すると、カテーテルのサイズおよび操作性による制限があるため、使用できるエフェクタ106の数が限られる。
【0035】
図1Aは、平面152を含む本体と平面152上に配置された複数のエフェクタ154とを好適に有する、多重伝送式医療用キャリヤ150の別の態様である。任意の好適なサイズおよび構成の平面を使用してよく、且つ、任意の数のエフェクタを使用してよい。いくつかの態様においては4〜1000個のエフェクタを使用してもよく、好ましくは36〜100個のエフェクタを使用する。キャリヤ150はさらに1つまたは複数の導体158を有していてもよく、導体158は、本体と同様に、平面152に隣接してまたはその近傍に配置された平面を含んでいてもよい。各エフェクタ154からは、各導体158と電子的に接続するため、1つまたは複数のリード線156が伸びていてもよい。この様式により、平らな導体158の各々は、平面152上のアドレス指定可能なエフェクタ154のすべてと通信することができる。キャリヤ150をこのように平らな構成にすることによって、身体組織上への配置など任意の好適な目的を実現してもよい。1つの態様において、キャリヤ150は脳組織上に配置できるように構成される。
【0036】
次に図2を参照する。エフェクタ106の1つの態様は、1つまたは複数のアーム214 a〜cを含むかまたはこれに連結され且つ典型的にはシリコンチップであるチップ202を好適に有する。後に詳述するように、アーム214 a〜cは一般的に、エフェクタ106と導体104とを電気的に接続するため、電極を収容するのに適した任意の構造を有する。チップ202は典型的にトランスデューサ206を含み、トランスデューサ206は、血管構造、心臓、もしくはその他の体内構造の中でパラメータを検出するためのセンサ、または、体内構造の中で圧力変化、温度変化、もしくはその他任意の適切な作用を行うためのアクチュエータを有していてもよい。センサは任意の好適なセンサを含んでいてもよく、そのようなセンサとしては例えば、圧力センサ、体積センサ、寸法センサ、温度センサまたは熱センサ、酸素センサまたは二酸化炭素センサ、導電率センサ、電位センサ、pHセンサ、化学センサ、流量センサ、光学センサ、音響センサ、ヘマトクリットセンサ、粘稠度センサなどがある。アクチュエータは任意の好適な機能を実施してよく、そのような機能としては例えば、電流もしくは電圧の印加、電位の設定、生体電位の生成、心臓のペーシング、物質もしくは領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出もしくは捕捉、発光、音エネルギーもしくは超音波エネルギーの放出、放射線の照射などがある。トランスデューサ206は、いくつかの態様においてはチップ202の境界より外まで突出していてもよく、他の態様においてはチップ202の中に完全に入っていてもよい。チップはまた、典型的に、トランスデューサ206が検出したパラメータを測定するための回路204も含む。
【0037】
パラメータがトランスデューサ206により検出され回路204により処理されると、回路から出力されたアナログデータがチップ202内のプロセッサに転送される。一般的に、プロセッサは任意の好適な回路またはナノテクノロジー機器などを含んでいてもよい。いくつかの態様において、プロセッサは、回路204から出力されたデータをデジタルデータに変換するためのアナログ‐デジタル(AD)変換器210、プロセッサをアドレス指定するための保存アドレス情報208、ならびに、AD変換器210から出力されたデータおよび/またはデータ用導体214bから提供されたデータの受け取りおよび処理を行うためのマイクロプロセッサ212を含む。
【0038】
いくつかの態様では、アドレス指定システムを使用しない。代わりに、各エフェクタが、既定のインターバル中にまたは割り当てられた周波数を用いてデータを同報通信する。例えば1つの態様は、差圧信号を種々のデューティサイクルの振動に変換する電圧制御デューティサイクル発振器を含む回路を有する。そのような回路は、例えば、本願と同時に提出され且つ既に参照として本明細書に組み入れられている米国特許仮出願第60/_______号(代理人整理番号21308-000200US)に説明されている。そのような回路の出力は一連のパルスを生成し、このパルスの「オン」状態の時間と「オフ」状態の時間との比が圧力の絶対値に比例する。一般的に、オン状態およびオフ状態は2つの異なる電圧レベルを表し、オフ状態は必ずしもゼロ(0)ボルトでなくてもよい。事実、正の電圧(3 Vなど)をオフ状態とし、より高い電圧(5 Vなど)をオン状態とすることが好ましい場合も考えられる。任意の電圧の組合せを使用してよい。この一連のパルスは、電圧制御発振器の搬送周波数に対する包絡線となる。複数のセンサの各々は、互いに異なる搬送周波数で同報通信を行ってもよい。外部モニタは、カテーテルの出力ラインと並列に接続された複数の電子フィルタを有していてもよく、各フィルタは搬送周波数の1つにチューニングされる。各フィルタの出力は、例えば、デューティサイクル(オン時間とオフ時間との比)がそのセンサで測定された圧力に比例するような一連の矩形パルスを含んでいてもよい。
【0039】
回路、センサ、処理機器、またはチップ202のその他好適な構成部品は、トランジスタおよび微小電子機械システム(MEMS)装置の製造に用いられるものと同様のリソグラフ加工を用いて作製してもよい。例えばシリコンチップを使用する場合は、ポリイミドの薄膜コーティングをウェーハ上に施し、パターンを作成してもよい。1つの態様においては、次に、硬化したポリイミド上に、クロムの薄層およびそれより厚い金の層で作製した金属線を形成してもよい。次に、第二のポリイミド層をウェーハ上に施し、パターンを作成する。分離処理中に、チップ202はポリイミドについたまま残り、ポリイミドの下および2つ以上の可撓性「フラップ」からケイ素が除去される。可撓性フラップは、導体104と接触するための電極を含んでいてもよい。
【0040】
アーム214 a〜cは、電極またはリード線(図には示していない)を収容するための任意の好適な手段を含んでいてよい。事実、いくつかの態様においてアーム214 a〜cは、ワイヤまたはその他の導電性材料を介してチップ202に接続された電極を単純に含んでいてもよい。いくつかの態様において、アーム214 a〜cは、多重伝送式キャリヤ100の本体102の表面にぴったり合わせることができるよう、可撓性を有していてもよい。一般的に、任意の好適なアームを使用してよい。同様に、チップ202と接続するための電極の数に応じて、任意の数のアーム214 a〜cを使用してよい。いくつかの態様において、エフェクタ106は3つのアーム214 a〜cを含み、各アームは絶縁された各導体104に対応する1つの電極を収容する。1つのアームは、パワー用導体104から回路204へとエネルギーを伝送するためのパワー伝送用リード線214aを含んでいてもよい。第二のアームは、データ用導体104とマイクロプロセッサ212との間でデータを伝送するためのデータ用リード線214bを含んでいてもよい。第三のアームは、回路204をアース用導体104に接続するためのアース用リード線214cを含んでいてもよい。他の態様において、チップ202を1つまたは複数の導体104に接続するため、2つ以下または4つ以上のアーム214を使用してもよい。
【0041】
図3Aにエフェクタ106の1つの態様を示す。この場合も、エフェクタ106は、典型的に、1つまたは複数であり通常は3つである可撓性のアーム214 a〜cに接続されたチップ202を含む。1つの態様において、トランスデューサは、血管内または心腔内の圧力など体内構造内の圧力を検出するためチップ202に埋め込まれた圧力センサ302を含む。1つの態様において、各アーム214は、薄膜ワイヤ312を介してチップ202に接続された電極314を含む。または、他の態様は、チップ202と接続するための他の手段を有する電極314をもつアームを含んでいてもよい。
【0042】
別の態様および図3Bにおいて、トランスデューサは、血液の導電率を検出するための導電率センサ304を含んでいてもよい。導電率センサは、血管内、心腔内、または血液を含むその他任意の体腔内において血液と接触するため、チップ202より外に突出する。4つの薄膜電極306は、血液の導電率を検出し、且つ、4つの可撓性薄膜ワイヤ308を介してチップ202と接続する。他の態様において、エフェクタ106は任意の好適なパラメータを検出するように構成してもよく、そのようなパラメータとしては、圧力、体積、寸法、温度、酸素、導電率、電位、pH、ラクターゼ、駆出率、逆流量、その他の化学的もしくは物理的パラメータ、および/またはこれらのうち任意のパラメータの変化率などがあるが、これらに限定されることはない。
【0043】
一般的に、センサであってもまたはアクチュエータであっても、任意の好適なエフェクタが本発明の種々の態様に使用できる。そのようなエフェクタの例は本明細書で既に説明している。いくつかの態様は、本願と同時に提出され且つ既に参照として本明細書に組み入れられている米国特許仮出願第60/_______号(代理人整理番号21308-000200US)に説明されている圧力センサ装置を含んでいてもよい。この場合も、これらのエフェクタまたは前述もしくは後述のその他任意のエフェクタを使用してよい。
【0044】
図4に多重伝送式医療用キャリヤ100の斜視図を示す。キャリヤ100は一般的に、その近位端でハンドル402と連結された本体102を含んでいてもよい。前述のように、本体102は、その外面の全体または一部にわたって分散して配置された複数のエフェクタ106 a〜cを含んでいてもよい。ハンドル402は、多重伝送式キャリヤを保持、操作、作動、またはその他使用するための任意の好適な手段を有していてよい。例えばハンドル402は、1つまたは複数の電気接続部404および1つまたは複数の液体接続部を好適に有していてもよい。
【0045】
図5は、図4に「5」の矢印で示した視点から見た、多重伝送式医療用キャリヤ100の断面図である。1つの態様において、キャリヤ100は、本体102、本体102の中に配置された3つの個別の壁内管腔502 a〜c、および本体102により規定される中心部管腔112を有する。壁内管腔502 a〜cはそれぞれ導体504 a〜cを含んでいてもよい。前述のように、各導体504 a〜cは互いに異なる機能を有するように構成してもよい。例えば1つの態様において、この3つの導体は、アース用導体504a、パワー用導体504b、およびデータ用導体504cからなっていてもよい。任意の態様において、これより少ない数または多い数の導体が好適に含まれていてもよい。さらに、壁内管腔502 a〜cの中における導体504 a〜cの任意の好適な配置はすべて本発明の意図に含まれる。または、他の態様において、導体504 a〜cを中心部管腔112の内面506上に配置してもよい。さらに他の態様は、4つ、5つ、8つより多い数またはその他任意の好適な数の壁内管腔502 a〜cを含んでいてもよく、且つ、導体504 a〜cは互いに隣接する管腔502の中に配置されてもまたは互いに離れた管腔502の中に配置されてもよい。いくつかの態様においては、導体504を含む壁内管腔502において、導電性のゲルまたは液体などの導電性材料を壁内管腔の中に配置してもよい。そのような導電性材料は、アースとして機能してもよく、導体504をエフェクタ106上の電極に接続するよう機能してもよく、または、その他任意の好適な目的に使用してもよい。任意の好適な導電性の物質を使用してよい。
【0046】
いくつかの態様において、本体102は材料の2つ以上の層から作製される。そのような態様において、壁内管腔504 a〜cは材料の2つの層の間に位置していてもよい。1つの態様において、本体102の1つの層(例えば金属性メッシュまたは中実の金属層など)は、エフェクタから伸びるリード線がその層に接触することで導電性が得られるように、導体504を含む。いくつかの態様において、中心部管腔112および/または1つもしくは複数の壁内管腔502の中に配置された導電性の液体またはゲルが導体502として機能してもよい。したがって、導体504は種々の構成、サイズ、形状、および化学組成などを有しうると意図される。
【0047】
図6において、本体102は1つまたは複数の孔または側方開口部602を有していてもよい。側方開口部602は、エフェクタの電極が導体504と電気的に接触できるよう、エフェクタのアーム(図6には示していない)を配置するための場所を提供する。側方開口部602は、一般的に、1つまたは複数の壁内管腔502の一部に重なるように配置される。図6において、側方開口部602は、1つの壁内管腔502aおよび1つの導体504aの上に重なっている。他の態様において、開口部602は、2つの管腔および導体、3つの管腔および導体、またはその他好適な数の管腔および導体へのアクセスを可能にするように配置してもよい。後に詳述するように、エフェクタのアームは、アーム内の電極が壁内管腔内の導電性のゲル、液体、またはその他の物質と接触するように、典型的に側方開口部602の上に配置される。これにより電気信号は、エフェクタの電極と壁内管腔502内の導体との間の導電性物質を通ることが可能となる。
【0048】
図7に示すように、エフェクタ700の1つの態様はチップ702および3つのアーム704 a〜cを含む。前述のように、チップ702は典型的に、センサまたはアクチュエータなどのトランスデューサ、およびアドレス指定可能なプロセッサを含む。アーム704 a〜cはチップ702から任意の好適な方向に突出していてよく、且つ、任意の好適な形状、サイズ、および構成を有していてよい。1つの態様において、2つのアーム704aおよび704cは多重伝送式医療用キャリヤ100の本体102の周囲を部分的にまたは完全に包むよう構成され、第三のアーム704bは本体102の外面に沿って長軸方向に伸びる。1つまたは複数のアーム704は、本体102の周囲の血液またはその他の体液と接触するため本体102の外層を貫いて通る突出部706を有していてもよい。エフェクタ700を本体102上の位置に固定する。例えば、アーム704 a〜cを本体102の外面上に配置してもよく、外側カバーまたはコーティングを本体102の上に施してリード線を覆ってもよい。突出部706は、本体102の周囲の液体中において1つまたは複数のパラメータを検出するおよび/または作用を及ぼすため、このコーティングまたはカバーを貫いて通っていてもよい。
【0049】
図8において、エフェクタ700は任意の好適な手段または任意の構成により多重伝送式医療用キャリヤ100と接続していてもよい。同図に示すように、1つの態様において、エフェクタ700は本体102の中の一部または全体に配置される。例えば、エフェクタ700は本体102の内層810と外層808との間に取り付けてもよい。例えば1つの態様において、本体102は押出プラスチック材料による複数の層を有していてもよく、エフェクタ700は押出プラスチック材料またはその他の可撓性材料(シリコーンなど)による外層808と内層810との間に配置してもよい。一般的に、外層808は押出材料による薄い層を含み、且ついくつかの態様においては透明であってもよい。同様に、外層808は、本体102の作製に用いられるものと同じ材料または異なる材料による薄いコーティングを有していてもよい。他の態様において、エフェクタ700を本体の層の間に取り付ける代わりに、エフェクタ700は、本体102の外面に接着するかまたは接着性物質を用いたその他の様式により固定してもよい。そのような態様においては、任意の好適な接着性物質を使用してよい。接着性物質を用いるいくつかの態様において、エフェクタ700は、アーム704が本体102に接触し且つチップ202が本体の外面からわずかに離れるように、本体102の外面に取り付けられる。換言すると、チップ202は本体上で「浮いている」。このようにチップが浮いていることによって、キャリヤ100の可撓性がさらに向上する可能性がある。本発明は、エフェクタ700を多重伝送式医療用カテーテルに取り付けるための他の任意の好適な手段も意図している。例えば1つの態様において、エフェクタ700を本体102に保持するための力をエフェクタ700の2つ以上のアームで印加することによって、機械的な圧力でエフェクタ700を取り付けてもよい。
【0050】
エフェクタ700が本体102の層間に取り付けられる態様においては、典型的に、エフェクタ700の1つまたは複数の部分(チップ702またはアンカー706など)が外層808を貫いて通る。いくつかの態様において、アンカー706はセンサまたはアクチュエータとしての機能も担ってよく、血液またはその他の物質と接触してパラメータを検出するため外層808から突出していてもよい。チップ706の全部または一部も、所望される場合は、外層808を貫いて通っていてよい。他のセンサ、アクチュエータ、またはエフェクタ700の他の部分も、キャリヤ100の周囲の血液もしくはその他の物質と接触するため、またはその他任意の目的のため、外層808から突出していてもよい。
【0051】
一般的には、前述のように、チップ702から可撓性アーム704aおよび704cの一部としてリード線が伸びる。アーム704は一般的に、可撓性ワイヤまたはそれと類似の電気的接続を介してチップと接続した電極を収容する。各電極(図には示していない)は、アーム704a、704cにより導体804 a〜cの近傍に配置される。前述のように、本体102は典型的に、電極と導体804 a〜cとの間に導電性をもたせるため、側方開口部806 a〜cを有する。壁内管腔802 a〜cの中の導電性の液体、ゲル、または類似の物質が、隣接する電極と接触し、電極と導体804 a〜cとの間に導電媒体を提供する。
【0052】
図8Bに、図8Aのようにエフェクタ700を有する多重伝送式医療用キャリヤ100の斜視図を示す。同図は、側方開口部806aを示すため、可撓性アーム704aを引き戻した状態で描かれている。点線は外層808を示す。この図においても外層808は透明または不透明の薄い層またはコーティングであり、エフェクタ700の1つまたは複数の部分がこの外層808から突出している。1つの電極を収容している可撓性アーム704aは、本体102の側方開口部806aを露出させるため、引き戻した状態で示されている。白抜き矢印で示されているように、通常、可撓性アーム704aは開口部806aに重なり、これを完全に覆っている。すなわち、開口部806aの直径は可撓性アーム704aの幅より小さい。導体804aは、ゲル、液体、またはその他の導電性物質を含む壁内管腔802aの中で露出している。第二の可撓性アーム704bは、外層808から突出したアンカー706と接続していてもよい。1つの態様において、可撓性アームは、シリコンウェーハ上のダイ収率を向上させるため、平らにしたときの形状が長方形になるように並べられる。
【0053】
図9に示すように、本発明のシステム900は、多重伝送式医療用キャリヤ100、ならびにキャリヤ100との接続およびキャリヤ100の制御に適した多重伝送コントローラ910を含んでいてもよい。システム900は種々の設定および種々の体内構造において使用可能であるが、1つの態様においては、心臓920内のパラメータを測定するように構成される。1つの態様において、多重伝送コントローラ910は、1つまたは複数のワイヤまたはケーブルなどを含む結線式の接続を介して多重伝送式キャリヤ100と接続する。別の態様において、コントローラ910とキャリヤ100とはワイヤレス接続により接続される。さらに別の態様において、システム900は、多重伝送式キャリヤ100と(ワイヤ接続またはワイヤレス接続により)接続し且つ多重伝送コントローラ910とワイヤレス通信を行う、体内埋植可能なデータ収集・伝送ユニット(図には示していない)をさらに含んでいてもよい。前述のように、多重伝送式医療用キャリヤ100は、キャリヤ100上の任意の好適な位置に配置された個別にアドレス指定可能なエフェクタ700を任意の好適な数だけ含んでいてもよい。
【0054】
患者から医療データを収集するための本発明の方法は、患者の体内に位置するセンサの多重伝送ネットワークに呼掛け信号を送信する段階を含んでいてもよい。例えばネットワークは、患者の心臓920の1つまたは複数の部屋の中に位置する複数のエフェクタ700を含んでいてもよい。呼掛け信号を送信する段階は、患者の体内に存在するアドレス指定可能なセンサの数に応じて、ネットワーク内の第一のアドレス指定可能センサをアドレス指定して第一のデータを取得する段階、およびネットワーク内の第二のアドレス指定可能センサをアドレス指定して第二のデータを取得する段階などを含んでいてもよい。例えば1つの態様において、第三、第四、第五、第六、および第七のセンサをアドレス指定してもよい。取得されるデータは任意の数のパラメータを含んでいてよく、そのようなパラメータとしては、圧力、体積、寸法、温度、酸素、導電率、電位、pH、ラクターゼ、駆出率、逆流量、および/またはその他の化学的もしくは機械的パラメータなどがあるが、これらに限定されることはない。同方法は、多重伝送センサネットワーク内の各センサに同ネットワークを介してパワーを供給する段階をさらに含んでいてもよい。例えば、導体の1つによりネットワーク内のセンサにパワーを供給してもよい。さらに、本発明の方法は任意の好適な体内構造内で実施してよく、そのような構造としては、心臓、動脈系もしくは静脈系、および/または膀胱などその他の中空の体内構造などがあるが、これらに限定されることはない。
【0055】
別の態様において、本発明の方法は、センサの多重伝送ネットワークに呼掛け信号を送信する段階を含んでいなくてもよい。代わりに、センサを作動させて検出データを同報通信させてもよい。例えば各センサは、互いに異なる周波数または互いに異なる指定時間枠などを用いてデータを同報通信してもよい。同報通信されたデータは受信および処理され、異なる各センサについてデータが分離される。1つの態様において、各エフェクタは、単一の搬送周波数を用いて他の素子または中央コントローラとの通信を行う。したがってセンサは、専用の搬送周波数を用いてデータを同報通信することができる。アクチュエータは別の専用周波数で命令を受け取ることができる。いくつかの態様において、エフェクタは、イーサネットと類似のネットワークを介して互いに通信してもよい。例えば心室の体積測定に用いる場合などの1つの態様において、超音波受信機と電気的に接続した超音波伝送用トランスデューサをやや離れた位置に配置してもよい。この場合、トランスデューサと受信機との距離は、たとえカテーテルが曲がっていても、音響遅延から正確に決定することができる。このように、多重伝送式カテーテルのいくつかの態様ではアドレス指定が用いられるが、他の態様はアドレス指定なしで機能する。
【0056】
1つの態様において、多重伝送式キャリヤ100は図9のようにカテーテルを含み、且つ、カテーテルに沿った複数の位置で複数のセンサエフェクタ700を用いて圧力を測定するのに用いられる。1つのセンサは、左心室の血行力学パラメータを測定するため、ピッグテールカテーテルなどのカテーテルの遠位端付近に配置してもよい。別のセンサは、使用中に左心室の外に位置するよう、遠位側センサから十分離れた位置に配置してもよい。各センサは、そのセンサの位置における圧力を示す信号を、多重伝送コントローラ910などの外部装置に伝送してもよい。次にコントローラ910は、上流の圧力から下流の圧力を減算することにより、僧帽弁を横切る圧力勾配のリアルタイム測定を行ってもよい。
【0057】
別の態様において、多重伝送式キャリヤ100は、インピーダンス・プレチスモグラフィを用いて心腔、動脈、またはその他の血管などの体積を測定するのに適していてもよい。一般的に、そのような方法では、キャリヤ100上の離れた位置に配置された2つのエフェクタであって電圧を生成するアクチュエータとして作用するエフェクタ700が利用される。同方法は、キャリヤ100の周囲の血液を介して2つのエフェクタ700により100 kHzを超える周波数(例えば125 kHzなど)でAC電流を発生させる段階を含んでいてもよい。2つの電圧生成エフェクタ700の間には、キャリヤ100に沿って電圧測定エフェクタ700の直列配列を配置してもよい。種々の電圧測定用電極間の血液の抵抗がその周波数における電位変動のみを用いて測定されるよう、電圧測定エフェクタ700内の電気回路は、電圧生成エフェクタ700により生成された経時変化する電位をフィルタリングする。1つのエフェクタ700が血液の導電性の測定にも適したものであれば、種々の抵抗測定値からその血管または腔の体積測定値を推測することができる。
【0058】
以上は本発明の好ましい態様の詳細な説明であるが、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、以上の態様に対して種々の変更、改変、および同等物の提供を行うことが可能である。例えば、異なるパラメータを測定するもしくはこれに影響を及ぼすこと、および/または体内の異なる位置のパラメータを測定するもしくはこれに影響を及ぼすことなどを目的として、以上に説明した方法に種々の変更を加えることが可能である。したがって、以上の説明は例示のみを目的として提供されるものであり、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の原理に従って構成した、管腔内カテーテルの形態の多重伝送式医療用キャリヤを示した略図である。
【図1A】本発明の原理に従って構成した、平面の形態の多重伝送式医療用キャリヤを示した略図である。
【図2】本発明の原理に従って構成したエフェクタを示した略図である。
【図3A】本発明の原理に従って構成した、圧力を測定するための第一の代表的なエフェクタを示した略図である。
【図3B】本発明の原理に従って構成した、導電率を測定するための第二の代表的なエフェクタを示した略図である。
【図4】本発明の原理に従って構成した、表面上に複数のセンサを有する血管内または管腔内用のカテーテルを示した斜視図である。
【図5】図4のカテーテルの断面図である。
【図6】図4のカテーテルの本体の一部の詳細図であって、本発明の方法に従ってエフェクタとの接続前に側面に開口部が予備形成された様子を示した図である。
【図7】図6のカテーテル本体上に取り付けるための代表的なエフェクタ構成を示した図である。
【図8A】図7のエフェクタを図6のカテーテル本体に取り付けた様子を示した断面図である。
【図8B】多重伝送式医療用キャリヤの一部の斜視図であって、図7および図8Aのエフェクタを図6のカテーテル本体に取り付けた様子を示した図である。
【図9】本発明の方法に従って心臓内モニタリングを行っている図4のカテーテルの使用方法を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、多重伝送式医療用キャリヤであって、本体が、導体を取り付け、および、本体内または表面上の複数の位置に分布し個別に識別可能な少なくとも2つのエフェクタと導体とを電気的に接続するよう適合化される、多重伝送式医療用キャリヤ:
表面および少なくとも2つの管腔を有する本体;および
少なくとも2つの導体であって、各導体が本体の少なくとも一部分にわたって個別の管腔内に配置される導体。
【請求項2】
本体の一部分が、本体の遠位部分を含む、請求項1記載のキャリヤ。
【請求項3】
少なくとも2つの導体の各々が、導体と少なくとも2つのエフェクタとの電気接続が可能となるよう、導体の少なくとも一部にわたって絶縁解除される、請求項1記載のキャリヤ。
【請求項4】
本体上に取り付けられ且つ導体に接続された複数のエフェクタをさらに含む、請求項1記載のキャリヤ。
【請求項5】
エフェクタのうち少なくともいくつかがトランスデューサおよびプロセッサを含み、プロセッサが識別可能である、請求項4記載のキャリヤ。
【請求項6】
トランスデューサが、センサを含む、請求項5記載のキャリヤ。
【請求項7】
センサが、圧力センサ、体積センサ、寸法センサ、温度センサもしくは熱センサ、酸素センサもしくは二酸化炭素センサ、導電率センサ、電位センサ、pHセンサ、化学センサ、流量センサ、光学センサ、音響センサ、ヘマトクリットセンサ、および粘稠度センサからなる群より選択される、請求項6記載のキャリヤ。
【請求項8】
トランスデューサが、アクチュエータを含む、請求項5記載のキャリヤ。
【請求項9】
アクチュエータが、電流または電圧の印加、電位の設定、生体電位の生成、心臓のペーシング、筋肉の刺激、1つまたは複数のニューロンの刺激、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項8記載のキャリヤ。
【請求項10】
トランスデューサが、センサおよびアクチュエータの両者を含む、請求項5記載のキャリヤ。
【請求項11】
エフェクタのうち少なくともいくつかが、トランスデューサおよび変換回路を含み、トランスデューサからの出力が、搬送周波数を用いてエンコードされて導体のうち1つに同報通信され、且つ、各エフェクタが、互いに異なる搬送周波数を使用する、請求項4記載のキャリヤ。
【請求項12】
エフェクタのうち少なくともいくつかが、トランスデューサおよび電子変換回路を含み、トランスデューサからの出力が、指定された時間インターバル中に導体のうち1つに同報通信され、且つ、各エフェクタが、互いに異なる時間インターバルを使用する、請求項4記載のキャリヤ。
【請求項13】
少なくとも2つの導体がエフェクタに電気的に接続された3つの導体を含み、各導体が本体の少なくとも一部分にわたって個別の管腔内に配置される、請求項4記載のキャリヤ。
【請求項14】
3つの導体が、アース用導体、パワー用導体、およびデータ用導体からなる、請求項14記載のキャリヤ。
【請求項15】
エフェクタが、本体の外面上に取り付けられる、請求項4〜14のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項16】
エフェクタが、本体の内面上に取り付けられる、請求項4〜14のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項17】
エフェクタが、本体の1つまたは複数の孔を介して導体と接触する、請求項4〜14のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項18】
少なくとも2つの管腔の各々の少なくとも一部の中に導電性材料が配置され、且つ、エフェクタが導電性材料との非結合性の接続を介して導体と接触する、請求項17記載のキャリヤ。
【請求項19】
各導体が、少なくとも2つの管腔の各々の少なくとも一部の中に配置された導電性材料を含み、且つ、エフェクタが、非結合性の接続を介して導電性材料と接触する、請求項17記載のキャリヤ。
【請求項20】
導電性材料が、ゲル、液体、ペースト、およびスラリーからなる群より選択される、請求項18および19のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項21】
導電性材料にパワーおよび信号を送達するために二極交流電流が用いられる、請求項18および19のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項22】
少なくとも2つの管腔の各々の少なくとも一部の中に導電性材料が配置され、且つ、エフェクタが導電性材料との非結合性の接続を介して導体と接触する、請求項17記載のキャリヤ。
【請求項23】
導電性材料が、導電性のエポキシ、溶接、および導電性の共晶物からなる群より選択される、請求項22記載のキャリヤ。
【請求項24】
信号の中心周波数が、約1000 Hz〜約10 MHzである、請求項23記載のキャリヤ。
【請求項25】
信号の中心周波数が、約100 kHz〜約10 MHzである、請求項24記載のキャリヤ。
【請求項26】
導電性材料との接触部が、少なくとも1つの電気不活性材料またはそのコーティングを含む、請求項18記載のキャリヤ。
【請求項27】
導電性材料との接触部が、少なくとも1つの化学不活性材料またはそのコーティングを含む、請求項18記載のキャリヤ。
【請求項28】
化学不活性材料が、白金、イリジウム、金、およびハフニウムからなる群より選択される、請求項27記載のキャリヤ。
【請求項29】
本体が、血管に導入し且つこれに通すのに適した細長部分を含む、請求項4〜14のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項30】
導体が、細長部分上の遠位位置から近位位置まで軸方向にわたる、請求項29記載のキャリヤ。
【請求項31】
エフェクタが、カテーテル部分のある長さにわたって軸方向に離して配置される、請求項30記載のキャリヤ。
【請求項32】
本体が、身体組織上に配置するのに適した平面を有する、請求項4〜14のいずれか一項記載のキャリヤ。
【請求項33】
導体が、本体に接続された隣接平面上に配置される、請求項32記載のキャリヤ。
【請求項34】
複数のアクチュエータを含む種類の改良された医療用キャリヤであって、改良が、少なくとも1つの共通導体により多重化される個別に識別可能なアクチュエータを含む医療用キャリヤ。
【請求項35】
アクチュエータのうち少なくともいくつかが、電気エネルギーを送達するための電極を含む、請求項34記載の改良された医療用キャリヤ。
【請求項36】
各アクチュエータが、電流または電圧の印加、電位の設定、生体電位の生成、心臓のペーシング、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項34記載の改良された医療用キャリヤ。
【請求項37】
キャリヤが、血管内カテーテルまたは心臓内カテーテルを含む、請求項34〜36のいずれか一項記載の改良された医療用キャリヤ。
【請求項38】
キャリヤが、体内埋植可能なキャリヤを含む、請求項34〜36のいずれか一項記載の改良された医療用キャリヤ。
【請求項39】
体内埋植可能なキャリヤが、心臓ペーシング用のリード線上に配置される、請求項38記載の改良された医療用キャリヤ。
【請求項40】
複数のシステムを含む種類の改良された医療用キャリヤであって、改良が少なくとも1つの共通導体により多重化される個別に識別可能なシステムを含み、且つ、各システムが以下を含む医療用キャリヤ:
少なくとも1つのセンサ;
少なくとも1つのアクチュエータ;および
電気回路。
【請求項41】
少なくとも1つのセンサが、圧力センサ、体積センサ、寸法センサ、温度センサまたは熱センサ、酸素センサまたは二酸化炭素センサ、導電率センサ、電位センサ、pHセンサ、化学センサ、流量センサ、光学センサ、音響センサ、ヘマトクリットセンサ、および粘稠度センサからなる群より選択される、請求項40記載のキャリヤ。
【請求項42】
少なくとも1つのアクチュエータの各々が、電流または電圧の印加、電位の設定、生体電位の生成、心臓のペーシング、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項40記載のキャリヤ。
【請求項43】
複数のシステムのうち少なくとも1つが、以下を含む、請求項40記載のキャリヤ:
電位を測定するための電極センサ;および
電気エネルギーを送達するための電極アクチュエータ。
【請求項44】
以下を含むシステム:
個別に識別可能な複数のエフェクタがその表面上に分布した多重伝送式医療用キャリヤであって、エフェクタが少なくとも1つの共通導体によって多重化されるような医療用キャリヤ;および
共通導体を介してエフェクタに接続するのに適した多重伝送コントローラ。
【請求項45】
多重伝送コントローラが、多重伝送式医療用キャリヤとの結線接続に適している、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
多重伝送コントローラが、多重伝送式医療用キャリヤとのワイヤレス接続に適している、請求項44記載のシステム。
【請求項47】
多重伝送式医療用キャリヤと接続し且つ多重伝送コントローラとワイヤレス通信を行う体内埋植可能なデータ収集・伝送ユニットをさらに含む、請求項46記載のシステム。
【請求項48】
医療用キャリヤを構成する方法であって、以下の段階を含む方法:
表面と少なくとも1つの導体とを有する本体を提供する段階;
個別に識別可能な少なくとも1つのエフェクタを表面上に選択的に取り付ける段階;および
少なくとも1つのエフェクタを、表面貫通を介して少なくとも1つの導体に電気的に接続する段階。
【請求項49】
提供する段階が、心臓ペーシング用のリード線に接続された本体を提供する段階を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
提供する段階が、少なくとも2つの導体を有する本体を提供する段階を含み、各導体が本体の少なくとも一部分にわたって個別の管腔内に配置される導体である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
選択的に取り付ける段階が、個別に識別可能な少なくとも2つのエフェクタを表面上に取り付ける段階を含み、少なくとも2つのエフェクタが1つまたは複数の表面貫通を介して少なくとも2つの導体に電気的に接続される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
選択的に取り付ける段階が、少なくとも1つの導体を表面から露出させる段階および少なくとも1つのエフェクタの各々から少なくとも1つの導体までリード線を電気的に接続する段階を含む、請求項48記載の方法。
【請求項53】
エフェクタのうち少なくともいくつかがトランスデューサおよびプロセッサを含み、プロセッサが識別可能なプロセッサである、請求項48記載の方法。
【請求項54】
トランスデューサが、センサを含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
センサが、圧力センサ、体積センサ、寸法センサ、温度センサまたは熱センサ、酸素センサまたは二酸化炭素センサ、導電率センサ、電位センサ、pHセンサ、化学センサ、流量センサ、光学センサ、音響センサ、ヘマトクリットセンサ、および粘稠度センサからなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
トランスデューサが、アクチュエータをさらに含む、請求項54記載の方法。
【請求項57】
トランスデューサが、アクチュエータを含む、請求項53記載の方法。
【請求項58】
アクチュエータが、電流または電圧の印加、電位の設定、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項56および57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
エフェクタのうち少なくとも1つが、センサおよびアクチュエータの両者を含む、請求項48記載の方法。
【請求項60】
センサが、圧力センサ、体積センサ、寸法センサ、温度センサまたは熱センサ、酸素センサまたは二酸化炭素センサ、導電率センサ、電位センサ、pHセンサ、化学センサ、流量センサ、光学センサ、音響センサ、ヘマトクリットセンサ、および粘稠度センサからなる群より選択される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
アクチュエータが、電流または電圧の印加、電位の設定、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項59記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つのエフェクタの各々を電気的に接続する段階が、少なくとも1つのリード線を少なくとも1つの導体に接続する段階を含む、請求項48記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1つのエフェクタの各々を電気的に接続する段階が、少なくとも3つのリード線を本体の個別の管腔内に配置された少なくとも3つの導体に接続する段階を含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
エフェクタ上のアース用リード線、パワー用リード線、およびデータ用リード線が、本体内のアース用コネクタ、パワー用コネクタ、およびデータ用コネクタに接続される、請求項63記載の方法。
【請求項65】
本体の少なくとも一部および取り付けられたエフェクタを封入材料で封入する段階をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項66】
複数のアクチュエータを含む種類の医療用キャリヤを構成するための改良された方法であって、改良が、少なくとも1つの共通導体により多重化される個別に識別可能なアクチュエータを提供する段階を含む方法。
【請求項67】
複数のシステムを含む種類の医療用キャリヤを構成するための改良された方法であって、改良が、少なくとも1つの共通導体により多重化される個別に識別可能なシステムを提供する段階を含む方法。
【請求項68】
各システムが、以下を含む、請求項67記載の方法:
少なくとも1つのセンサ;
少なくとも1つのアクチュエータ;および
電気回路。
【請求項69】
患者から医療データを収集する方法であって、以下の段階を含む方法:
患者体内の並列導体上に存在する多重伝送センサのネットワークに呼掛け信号を送信する段階であって、以下を含む段階:
(a)ネットワーク内の第一のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階;および
(b)ネットワーク内の第二のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階。
【請求項70】
呼掛け信号を送信する段階が、以下をさらに含む、請求項69記載の方法:
(c)ネットワーク内の第三のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階;および
(d)ネットワーク内の少なくとも第四のアドレス指定可能センサをアドレス指定してデータを取得する段階。
【請求項71】
多重伝送センサのネットワーク内のセンサにネットワークを介してパワーを供給する段階をさらに含む、請求項69記載の方法。
【請求項72】
取得されるデータが、圧力データ、体積データ、寸法データ、温度データ、酸素または二酸化炭素の濃度データ、タ、ヘマトクリットデータ、導電率データ、電位データ、pHデータ、化学データ、血流量データ、熱伝導率データ、光学特性データ、断面積データ、粘稠度データ、および放射データのうち少なくとも1つを含む、請求項69〜71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
センサが、1つもしくは複数の血管内または心腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項74】
センサが、脳組織上またはその近傍に存在する平面上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項75】
センサが、尿路内に存在するカテーテル内に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項76】
センサが、生殖器系の経路内に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項77】
センサが、内視鏡手術部位の中に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項78】
センサが、腹腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項79】
センサが、胃腸管内に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項80】
センサが、骨近傍または関節腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項72記載の方法。
【請求項81】
患者から医療データを収集する方法であって、以下の段階を含む方法:
検出されたデータが作動した各センサから伝送されるように、患者体内の並列導体上に存在する多重伝送センサのネットワークを作動させる段階;
伝送されたデータを受け取る段階;および
受け取られたデータを、各々が1つのセンサからのデータを含む複数のデータストリームに分割する段階。
【請求項82】
作動した各センサが、互いに異なる搬送周波数でデータを伝送する、請求項81記載の方法。
【請求項83】
エネルギーまたは1つもしくは複数の物質を患者に送達する方法であって、アクチュエータのネットワーク内の少なくとも第一のアドレス指定可能アクチュエータをアドレス指定することにより第一のアクチュエータでエネルギーまたは物質を送達する段階を含む方法。
【請求項84】
作動させる段階が、アクチュエータのネットワーク内の第二のアドレス指定可能アクチュエータをアドレス指定することにより第二のアクチュエータでエネルギーまたは物質を送達する段階をさらに含む、請求項83記載の方法。
【請求項85】
作動させる段階が、以下の段階をさらに含む、請求項84記載の方法:
ネットワーク内の第三のアドレス指定可能アクチュエータをアドレス指定することによりアクチュエータでエネルギーまたは物質を送達する段階;および
ネットワーク内の少なくとも第四のアドレス指定可能アクチュエータをアドレス指定することによりアクチュエータでエネルギーまたは物質を送達する段階。
【請求項86】
多重伝送アクチュエータのネットワーク内のアクチュエータにネットワークを介してパワーを供給する段階をさらに含む、請求項83記載の方法。
【請求項87】
アクチュエータが、電流または電圧の印加、電位の設定、物質または領域の加熱、圧力変化の誘導、物質の放出または捕捉、発光、音エネルギーまたは超音波エネルギーの放出、および放射線の照射からなる群より選択される機能を実施する、請求項83〜86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
アクチュエータが、1つもしくは複数の血管内または心腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項89】
アクチュエータが、脳組織上またはその近傍に存在する平面上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項90】
アクチュエータが、尿路内に存在するカテーテル内に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項91】
アクチュエータが、生殖器系の経路内に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項92】
アクチュエータが、内視鏡手術部位の中に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項93】
アクチュエータが、腹腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項94】
アクチュエータが、胃腸管内に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。
【請求項95】
アクチュエータが、骨近傍または関節腔内に存在するカテーテル上に分布する、請求項83記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−509547(P2006−509547A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558723(P2004−558723)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039524
【国際公開番号】WO2004/052182
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
イーサネット
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】