説明

血液殺寄生虫薬

【課題】組成物および組成物で家畜におけるマダニ媒介性寄生虫疾患を治療する方法を提供すること。
【解決手段】組成物は、イミドカルブジプロピオネート、シアノコバラミンビタミンB12、および薬学的に許容できる担体を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、家畜におけるマダニ媒介性寄生虫疾患の治療で使用するための新規製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
バベシア症は、ライム病が伝染する機構と同様に、マダニ刺咬を通じて一般的に伝染する、バベシアボビス(B.bovis)およびバベシアビゲミナ(B.bigemina)などのバベシア属の原虫により引き起こされる赤血球内寄生虫感染症である。例えば、BOCK,R.、JACKSON,L.、DE VOS,A.およびJORGENSEN,W.(2004).「Babesiosis of cattle.」Parasitology:129、Suppl、S247〜S269を参照されたい。ベクター媒介性でもある感染性血液疾患のアナプラズマ症は、リケッチア寄生虫アナプラズママージナーレ(Anaplasma marginale)およびアナプラズマセントラーレ(Anaplasma centrale)により引き起こされる。例えば、KOCAN,K.M.、DE LA FUENTE,J.、BLOUIN,E.F.およびGARCIA−GARCIA,J.C.(2004).「Anaplasma marginale(Rickettsiales:Anaplasmataceae):recent advances in defining host−pathogen adaptations of a tick−borne rickettsia.」Parasitology:129、S285〜S300を参照されたい。これらの、および他の類似の寄生虫は、家畜の集団において極めて望ましくない。それらは、共に、いつ大流行するか分からない地域固有の問題である。
【0003】
イミドカルブジプロピオネートは、ウシ、ウマ、ヒツジ、およびイヌにおける、バベシア症およびアナプラズマ症を包含する原虫疾患の治療に何年にもわたって使用されてきたカルバニリド誘導体である。例えば、MCHARDY,N.およびSIMPSON,R.M.(1973).「Imidocarb dipropionate therapy in Kenyan anaplasmosis and babesiosis.」Tropical Animal Health and Production:6、No.2、63〜70を参照されたい。例えば、VIAL,H.J.およびGORENFLOT,A.(2006).「Chemotherapy against babesiosis.」Veterinary Parasitology:138、147〜160も参照されたい。イミドカルブの化学名は、N,N’−ビス(3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)フェニル)尿素であり、その構造は、図1に示されている通りである。イミドカルブは、そのジプロピオン酸塩または二塩酸塩の形態で使用することができ、筋肉内注射または皮下注射によって投与し、被刺激性を軽減することができる。イミドカルブは、多種類の動物においてエペリスロゾーン症、トキソプラズマ症、ジアルジア症、トリパノソーマ症、ならびにタイレリアアヌラタ(Theileria annulata)を予防および治療することもできる。イミドカルブは、注射後に素早く吸収され全身に分布される。この薬物は、肝臓で代謝され、元の形態で腎臓により再吸収されるため、その用量は少なく、その効果は永久的である。
【0004】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】BOCK,R.、JACKSON,L.、DE VOS,A.およびJORGENSEN,W.(2004).「Babesiosis of cattle.」Parasitology:129、Suppl、S247〜S269
【非特許文献2】KOCAN,K.M.、DE LA FUENTE,J.、BLOUIN,E.F.およびGARCIA−GARCIA,J.C.(2004).「Anaplasma marginale(Rickettsiales:Anaplasmataceae):recent advances in defining host−pathogen adaptations of a tick−borne rickettsia.」Parasitology:129、S285〜S300
【非特許文献3】MCHARDY,N.およびSIMPSON,R.M.(1973).「Imidocarb dipropionate therapy in Kenyan anaplasmosis and babesiosis.」Tropical Animal Health and Production:6、No.2、63〜70
【非特許文献4】VIAL,H.J.およびGORENFLOT,A.(2006).「Chemotherapy against babesiosis.」Veterinary Parasitology:138、147〜160
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イミドカルブジプロピオネートは、侵入してくる寄生虫内でポリアミン合成および機能を妨害することにより作用することが理解されている。知られている製剤に関連する一般的な有害な副作用は、注射時の著しい疼痛ならびにコリンエステラーゼ阻害剤活性と一致する急性毒性症状、唾液分泌過剰、流涙、排便頻度増加、頻呼吸および疝痛につながることがある腹痛である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ビタミンB12(シアノコバラミン)は、タンパク質、炭水化物および脂肪の代謝に関与するばかりでなく、葉酸と共に作用して、赤血球の生成を維持する。ビタミンB12は、必須無機質のコバルトを含有する。ビタミンB12は、一般的代謝、神経および生殖機能にとって必要である知られている家畜用の食事補助食品である。ビタミンB12はまた、血液細胞形成を容易にし、被毛状態(hair coat condition)を改善する。ビタミンB12注射は、ビタミン欠乏症患者に有効な試験済みの治療である。ビタミンB12の有用性は、欠乏症を治癒することに限定されない。その注射は、治療目的にも役立つことがある。ビタミンB12注射は、その「抗ストレス」因子を伝達するコバラミンを通じて、身体にエネルギーを与えるための刺激剤として作用する。
【0008】
ビタミンB12に関して知られている問題点は、製剤におけるその安定性である。ビタミンB12は、熱に対して安定であるが、光、酸素、酸およびアルカリに対して感受性であることが一般的に知られている。ビタミンB12は、酸化促進剤を含有する環境にある場合にも安定ではない。一部の成分、特に、マルチビタミン剤中に見いだされる成分は、ビタミンB12との相互作用を有し、ビタミンB12を破壊するであろう。ビタミンB12を包含する製剤を作製する問題点をさらに複雑にしているのは、最適な効果を有するために、ほんの少量のビタミンB12を使用することが必要かつ望ましいことである。
【0009】
本明細書において、ある種の寄生虫感染症に感染している動物の治療および予防を改善する、イミドカルブジプロピオネート、ビタミンB12および薬学的に許容できる担体を含む新規製剤を開示する。本明細書において開示され特許請求の範囲に記載されている新規製剤は、有効性、安全性、安定性および従来技術のイミドカルブベースの治療法に関連する副作用の軽減に関して、従来技術を上回る多くの利点を提供する。本明細書において開示されている新規な組合せは、シアノコバラミンビタミンB12を含有する液体製剤に関して知られている困難さにもかかわらず、驚くほど安定である。
【0010】
イミドカルブとビタミンB12を組み合わせる本明細書において開示されている新規製剤は、独特な組合せばかりでなく、付加的便宜も提供する。イミドカルブとビタミンB12を組み合わせる単回注射における治療は、成分が個別に投与される治療よりも労力、材料および動物の取扱が少なくて済む。
【0011】
本明細書において開示されている新規製剤は、寄生虫感染症にすでに罹患している動物のための治療として、ならびに予防のための両方で有用である。動物が、イミドカルブ治療に応答するバベシア症、アナプラズマ症または他の寄生虫感染症を引き起こす寄生虫を運ぶ可能性があるマダニ集団が存在していると考えられる環境に持ち込まれつつある場合に、本明細書において開示されている製剤は、これらの寄生虫によるその後の感染を効果的に予防するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、家畜の寄生虫感染症の治療および予防において改善された効果を示す、イミドカルブジプロピオネート、ビタミンB12および1種または複数の薬学的に許容できる担体を包含する新規製剤を開示する。
【0013】
本発明の製剤は、非経口(例えば、皮下または筋肉内)注射または静脈内注入経路を包含する任意の従来法により投与することができる。治療は、単回投与または複数回投与からなっていてよい。イミドカルブおよびビタミンB12は個別に投与することが可能であるが、明白な理由で、1種または複数の許容できる担体と一緒に、単一の医薬製剤として提供することが好ましい。1種または複数の担体は、製剤と適合し、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で「許容できる」ものでなければならない。典型的には、担体は、無菌の水または食塩水であろう。本発明の製剤は、それらの溶液の有効期間が長いために、無菌の発熱物質を含まない水、食塩水または他の等張性溶液などの水性担体を包含することができる。本発明の医薬組成物は、水性形態で、かなり前から、例えば、投薬される数週間または数ヶ月またはより長い期間前に製剤することができる。
【0014】
非経口投与に適している製剤は、製剤を対象とするレシピエントに適切とする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および溶質を含有することができる水性および非水性の無菌注射液剤、ならびに懸濁化剤および粘稠剤を包含することができる水性および非水性の無菌懸濁剤を包含する。製剤は、ユニットドーズ容器またはマルチドーズ容器、例えば、密閉されたアンプル、バイアルまたはシリンジで提供することができ、使用の直前に、無菌の液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(feeze−dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で保存することができる。下準備なしの注射液剤および懸濁剤を、無菌散剤から調製することができる。
【0015】
本発明の製剤または組成物は、使用説明書または製剤の長い有効期間について言及する添付文書と一緒に包装するか、それらを含むキット中に包含することができる。例えば、そのような使用説明書または添付文書は、本発明の製剤の長いまたは延長された有効期間を考慮に入れ、時間、温度および光などの推奨される保存条件を扱うことができる。そのような使用説明書または添付文書は、管理された診療所または職場条件の外にある野外における使用を必要とすることがある製剤について、保存の容易さなどの本発明の製剤の特定の利点も扱うことができる。上に記載されているように、本発明の製剤は、水性形態であってよく、決して理想的とはいえない環境下で、治療活性の有意な損失もなく、保存することができる。
【0016】
本発明は、薬学的に許容できる担体中の本発明の製剤の有効量を対象へ投与することにより、疾患または障害(例えば、本明細書において開示されている疾患または障害のうちのいずれか1つまたは複数など)を治療および/または予防する方法も提供する。
【0017】
殺寄生虫薬製剤は、個々の動物の状態、送達の部位、投与の方法、投与のスケジューリング、および開業医に知られている他の要素を考慮に入れ、適正獣医療と整合する様式で製剤および投与されるであろう。したがって、本明細書における目的のための「有効量」とは、そのような考慮により決定される。
【0018】
一般的な提案として、非経口的に投与される本発明における製剤中のイミドカルブの医薬としての有効量は、動物の体重1kg当たり約0.5mg〜10mgの範囲であろうが、上で述べたように、これは、治療上の判断に左右されるであろう。より好ましくは、この用量は、3mg/kg〜6mg/kgである。変化を観察するのに必要とされる治療の長さおよび応答が起きる治療後の間隔は、望ましい効果に応じて変動する。
【0019】
非経口的に投与される本発明における製剤中のシアノコバラミンビタミンB12の医薬としての有効量は、患者の体重1kg当たり約3μg〜100μgの範囲であろうが、上で述べたように、これは、治療上の判断に左右されるであろう。より好ましくは、この用量は、5μg/kg〜20μg/kgである。
【0020】
例えば、本明細書における実施例で担体として実施例において利用されるPEG400は、皮膚に対して無害であり、水に容易に溶ける。このことは、PEG400を注射用製剤における魅力的成分にしている。当業者は、類似の特性を持つ他のそのような賦形剤を、本発明の特許請求の範囲と整合する適当な組成物を作製するために代用することができることを理解するであろう。例えば、他の懸濁化剤は、他の親水性ポリマー、特に、他のポリエチレンオキシドポリマーであってよい。本明細書で使用するPEGのポリエチレンオキシドポリマーとは、一般式H(OCHCHOHを有するポリマーを指す。一般的に、各PEGは、「n」ユニットの平均数またはダルトン単位のその平均分子量により表記される。様々な分子量のポリエチレングリコールポリマーが当技術分野において知られており、PEG200(n=4)、PEG300(n=6)、PEG400(n=8)、PEG600(n=12)、PEG900、PEG1000(n=20)、PEG1450(n=32)、PEG3350(n=75)、PEG4500(n=100)、およびPEG8000(n=150)を包含する。好ましくは、ポリエチレングリコールポリマーは、約190〜約630ダルトンの一連の分子量を有するポリマーPEG200〜PEG600である。好ましいポリエチレングリコールは、PEG200、PEG300、PEG400、およびPEG600を包含するが、これらに限定されるものではない。開示されている組成物において有用である可能性のある他の担体/界面活性剤は、とりわけ、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジカプレート、プロピレングリコールジカプリレートジカプレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールヒドロキシステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコールジオクタノエート、およびプロピレングリコールリシノレエートなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルである。好ましいプロピレングリコール脂肪酸エステルは、C8/C10トリグリセリドおよびプロピレングリコールジカプリレートジカプレート、およびそれらの適合性混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0021】
開示されている製剤において使用することができる別の賦形剤は、プロピオン酸である。プロピオン酸は、0.1〜1重量%のレベルでカビおよび一部の細菌の成長を阻害する。プロピオン酸は、活性成分の塩形態を作製することができる有機酸でもある。薬学的に許容できる塩は、適当な溶媒中で無機酸または有機酸を包含することにより得ることができる。無機酸の例は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過ヨウ素酸などを包含する。さらに、有機酸の例は、ギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などを包含する。
【0022】
さらに、別の例として、実施例2の製剤は、注射を受ける動物への不快感を最小限に抑えるための接種部位で麻酔薬として作用する成分としてのリドカインを包含する。他の麻酔薬は、当技術分野において知られており、開示されている製剤におけるリドカインの代用物として、またはリドカインに加えるのに適しているであろう。
【0023】
本発明の製剤は、それらが、安全であり、有効であり、動物には痛く、食品として使用することが意図されている家畜動物の肉に損傷を与える可能性のある注射部位反応をほとんどまたはまったく示さない点で特に有用である。さらに、本発明の製剤は、必要な安定性を示すため、それらを、製剤中に存在する活性物量の減少なしに製剤し、包装し、輸送し、十分な時間の長さにわたって保存することができる。したがって、2つの活性物の予備混合または活性物の個別投与を回避する商業的に有用な保存期間を持つ製品が提供される。
【0024】
本発明の先の説明は、例示および説明の目的で提供されてきた。網羅的であるとか、本発明を開示されているまさにその形態に限定することは意図されていない。明白な修正形態または変形形態は、上の教示に照らして可能である。実施形態は、当業者が、様々な実施形態においておよび企図されている特定の使用に適しているような様々な修正形態と共に本発明を利用することができるように、本発明の原理およびその実際的応用の最良の例示を提供するために選択および記載された。すべてのそのような修正形態および変形形態は、それらが、公平に、合法的におよび公正に権利を与えられる広さに従って解釈される場合に、添付の特許請求の範囲により決定されるような本発明の範囲内にある。
【実施例1】
【0025】
下記は、本明細書において開示されている本発明と整合する製剤の一例である。注目すべきことに、実施例1の製剤は、大きなバッチで製造することができる。
【0026】
【表1】

【0027】
成分を以下の通り製剤した。
1.処方の構成成分および装置を個別にチェックする。
混合物A
2.25〜35℃の温度にて水体積(WFI)の50%、25Lを集める。窒素バブリング下に混合物を維持する。
3.かき混ぜのスイッチを入れ、イミドカルブジプロピオネートをゆっくりと加える。
4.30分にわたって、または完全に溶けるまで一定のかき混ぜ下に維持する。
5.この混合物にプロピオン酸をゆっくりと加える。
6.30分にわたって、または完全に溶けるまで一定のかき混ぜ下に維持する。
混合物B
7.前もってきれいにして乾燥した容器に、25〜35℃の温度にて水体積(WFI)の10%、5Lを加える。窒素バブリング下に混合物を維持する。
8.一定のかき混ぜ下で、塩化ナトリウムを容器に加える。完全に溶けるまでかき混ぜ下に維持する。
9.一定のかき混ぜ下で、シアノコバラミン(ビタミンB12)を容器に加える。完全に溶けるまでかき混ぜ下に維持する。
10.一定のかき混ぜ下で、EDTAを容器に加える。完全に溶けるまでかき混ぜ下に維持する。
11.一定のかき混ぜ下で、ポリエチレングリコール400を容器に加える。完全に溶けるまでかき混ぜ下に維持する。初期
12.混合物Bの内容物を混合物A中に注ぐ。
13.25〜35℃の温度にて100%WFI水(q.s.p.)の最終体積を達成する。60分にわたって、または完全に均質化されるまで一定のかき混ぜ下に維持する。
14.サンプルを集め、4.5〜5.0であるべきpHを検証し、必要に応じて、プロピオン酸または5N NaOH溶液でpHを補正する。
15.0.22ミクロンのカートリッジフィルターを使用してインライン無菌濾過を進める。
【実施例2】
【0028】
下記は、本明細書において開示されている本発明と整合する製剤の一例である。
【0029】
【表2】

【0030】
成分を以下の通り製剤した。
混合物A
1.処方の構成成分をチェックする。
2.混合物反応器中に精製水の体積の50%を集める。液体へのN2の注入を開始する。
3.完全に混ざるまでポリエチレングリコールをゆっくりと加える。
4.完全に混ざるまでプロピオン酸をゆっくりと加える。
混合物B
5.別の反応器中に精製水の体積の30%を集める。液体へのN2の注入を開始する。
6.塩化ナトリウムを加え、完全に溶けるまでかき混ぜる。
7.ビタミンB12を加え、完全に溶けるまでかき混ぜを続ける。
8.混合物BをA中に加え、水で総体積を達成する。最短で30分、完全に均質化されるまでかき混ぜる。
9.必要に応じて、pHを4.5〜5.0に補正し、溶液を常にN2雰囲気中に保つ。
10.無菌カートリッジ0.22u中で濾過する。
11.20mlの琥珀色瓶中に注ぎ、赤色のゴム栓を付け、瓶および栓を滅菌する。
【0031】
上の製剤を、加速安定性試験にかけた。サンプル20mlを、75%の湿度中で42℃にて保存し、イミドカルブジプロピオネート含量およびビタミンB12含量についてHPLCにより6ヶ月にわたって試験した。試験の結果は、すべての試験において、イミドカルブジプロピオネート含量およびビタミンB12は、濃度の5%未満の低下で存続可能であることであった。
【実施例3】
【0032】
注射によるウシへの投与後の本出願において提供されるような製剤の安全性を決定することを目的とする試験を行った。この試験について、指示投与量は、3.0mg/kgとした。
【0033】
供試製剤:
イミドカルブジプロピオネート−15g
シアノコバラミン(ビタミンB12)−0.05g
ビヒクル−100mL
投与経路−皮下
投与量:1ml/50kgp.v.(イミドカルブジプロピオネート3.0mg/kg)
【0034】
無害試験および薬物忍容性試験の目的で、識別された場合、すべての有害事象を記録した。動物を、可能な有害作用について、製品投与後24時間にわたって観察した。これらの評価を、試験期間を通じて毎日繰り返した。この試験について、有害作用は、投与部位における任意の異常反応(疼痛、浮腫、潰瘍形成)、挙動変化、食欲の喪失および製品使用に関連している可能性のある他の変化と見なした。
【0035】
試験は、薬物が血液寄生虫を治療するのに推奨されるウシで行った。16頭の動物から、供試製剤中に含有される薬物による処置歴のない6頭の交雑種ホルスタイン−ゼブの雄ウシを無作為に選択した。動物の体重は165〜218kgの範囲であった。動物を秤量し、処置前に番号付きイヤータグによって識別した。
【0036】
肝臓および腎臓の毒性の証拠を検索する生化学的および血液化学的パラメーターを分析するために、3つの予め決められた期間、0日(処置前)、処置後7日および15日に、動物の血液を採取した。下記の試験を行った:
−生化学的試験:尿素、クレアチニン、総タンパク質、アルカリホスファターゼ、AST、γグルタミルトランスフェラーゼ(γGT)、クレアチンキナーゼ、コレステロール、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物;
−血液学的試験:赤血球数、白血球数、細胞容積、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、白血球の百分率数、血小板。
【0037】
試験を通じて、動物を、飼料および水を自由に採取させる半拘束レジメン下に保った。牧草へ補助的に提供する飼料は、トウモロコシ/干し草のサイロ貯蔵物、濃縮物および無機塩からなっていた。動物に維持食を提供した。
【0038】
動物の体重および投与体積を表1に示す。すべての動物を、詳細な臨床試験により検査した。
【0039】
【表3】

【0040】
結果:
注射により薬物を投与した動物は、投与後、局所反応徴候も全身反応徴候も示さなかった。ウシを適用部位反応について観察したところ、適用の瞬間にも投与後に動物を評価したすべての瞬間において投与部位をこすった場合にも疼痛知覚はなかった。動物は、いかなる挙動変化も示さず、正常な臨床挙動を示し、正常に摂餌飲水を続けた。動物の体重の変化は、維持食を与えられた動物について予想される基準内にとどまった。分析したパラメーターに有意な変化はなく、試験動物の挙動臨床評価ならびに有効性試験および残留試験中の多数の動物による臨床試験知見を裏付けている。
【0041】
本プロジェクトは、一目的として、ウシに皮下投与することが推奨されているイミドカルブジプロピオネートを含有する製剤の無害性および猶予期間を評価しなければならなかった。
【0042】
結果は、任意の毒性局所反応を示す投与部位反応がなかったことを示した。同様に、動物において臨床挙動変化は観察されず、飼料および水へのアクセス、ならびに運動性および刺激反応の変化もなかった。
【0043】
生化学的および血液学的マーカー試験の結果は、製品を使用する安全性を裏付けている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミドカルブジプロピオネート、シアノコバラミンビタミンB−12および薬学的に許容できる担体を含む、家畜における寄生虫感染性疾患を治療するための組成物。
【請求項2】
家畜における寄生虫感染性疾患を治療するための組成物を製剤する方法であって、前記製剤が、イミドカルブジプロピオネート、シアノコバラミンビタミンB−12および薬学的に許容できる担体を含む方法。
【請求項3】
イミドカルブジプロピオネート、シアノコバラミンビタミンB−12および薬学的に許容できる担体を含む製剤を家畜に投与することによる、家畜における寄生虫感染性疾患を治療または予防する方法。


【公開番号】特開2010−260864(P2010−260864A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−105062(P2010−105062)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】