説明

血液流量低下の検出

透析システム中の血液流量の低下を検出するための方法であって、この方法は、血液ライン中の血液の流量を測定する工程と、測定された流量に基づいて、現在のインピーダンス値を計算する工程と、現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液流量低下の検出に関し、より詳細には、血液回路の液圧インピーダンスに基づく血液流量低下の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析装置など、いくつかの知られる体外血液処置装置は、患者から血液回路を介して血液を取り出し、血液回路の処理ユニットを通して血液を循環させ、そのあと血液回路を介して処置された血液を患者に戻す。この患者の体外での血液循環は通常、患者に接続されるシングルまたはダブルのルーメンカテーテルシステムを介して血液が通ることから始まり、かつ終わる。血液循環は一般に、血液の流量を増大し、さらに、処置の始めから終りまで血液の調節された流れをもたらすようにポンプによって支援される。
【0003】
ときには血液流量の低下が生じることがあり、これは処置効果を損なう恐れがある。そのような血液流量低下は、カテーテルシステムの針が、挿入された静脈壁に接触し、それによって血液流量が抑制されるなど、アクセス障害物の結果である可能性がある。他の血液流量低下は、血液回路の管のよじれまたは結束および/または血塊の形成から生じる可能性がある。血塊は、たとえば、アクセスポイント(すなわち、血液回路が患者に接続するポイント)で、または処置ユニットの入力でなど、血液回路内で生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概して本発明は、血液流量低下の検出に関し、より詳細には、血液回路の流体インピーダンスに基づく、血液流量低下の検出に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、透析システム中の血液流量の低下を検出するための方法を特徴とする。この方法は、血液ライン中の血液の流量を測定する工程と、測定された流量に基づいて、現在のインピーダンス値を計算する工程と、現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較する工程とを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、血液回路中の血液流量の低下を検出するためのソフトウェアがコードされているコンピュータ可読媒体を提供する。ソフトウェアは、1つまたは複数のセンサから測定データに対応する情報を受信し、測定データに基づいて現在のインピーダンス値を計算し、現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較するための命令を含む。
【0007】
別の態様では、本発明は、血液ポンプおよび血液ポンプと患者との間で血液を搬送するための菅を有する血液回路を備える透析システムを提供する。透析システムはまた、管内の血液の流量を測定するための1つまたは複数の流量センサと、1つまたは複数の流量センサとつながったコントローラとを備える。コントローラは、1つまたは複数のセンサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、管内の流体インピーダンスを計算するように構成されている。
【0008】
実施例は以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。
前記方法は、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には血液流量の低下があると推定する工程も含むことができる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記方法は、測定された流量に対応する信号をコントローラに送信する工程と、コントローラを利用して、測定された流量に基づいて、現在のインピーダンス値を計算する工程とを含むことができる。
【0010】
前記方法はまた、コントローラを利用して、現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較する工程を含むことができる。
いくつかの実施例において、前記方法は、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合にはユーザに警告する工程を含むことができる。ユーザに警告する工程は、音声警報または視覚警報などの警報を起動する工程を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施例において、ユーザに警告する工程は、検出された血液流量低下に関する情報を表示装置上に表示する工程を含むことができる。表示される情報は、血液流量低下の原因に関する情報を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施例において、表示される情報は、透析システムにおける血液流量低下の原因の位置に関する情報を含むことができる。
前記方法はまた、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には生理食塩水をボーラス投与する工程を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施例において、生理食塩水は、透析システムのコントローラの指図で自動的にボーラス投与される。
前記方法はまた、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には患者のアクセスポイントで針を調節する工程を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記方法はまた、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合にはよじれた管のよじれを直す工程を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記方法は、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差によって示される血液流量低下の原因を決定する工程を含むことができる。
前記方法はまた、現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差に少なくとも部分的に基づいて、血液流量低下の原因の位置を決定する工程を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施例において、現在のインピーダンス値を基準値と比較する工程は、現在のインピーダンス値と基準値とのパーセント差を計算する工程を含む。
いくつかの実施例において、前記方法は、計算されたパーセント差に基づいて、血液流量低下の原因を特定する工程を含むことができる。
【0017】
いくつかの実施例において、ソフトウェアは、1つまたは複数のセンサから受信した測定データに少なくとも部分的に基づいて、基準インピーダンス値を計算するための命令も含む。
【0018】
いくつかの実施例において、管は、患者から血液ポンプまで血液を搬送するための動脈ラインと、ポンプから患者に血液を送り返すための静脈ラインとを備える。
いくつかの実施例において、1つまたは複数の流量センサは、動脈ライン内で流れる血液の流量を測定するように設けられた動脈流量センサを含む。コントローラは、動脈流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、動脈ライン内の流体インピーダンスを計算するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施例において、1つまたは複数の流量センサは、静脈ライン内で流れる血液の流量を測定するように配置された静脈流量センサを含み、コントローラは、静脈流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、静脈ライン内の流体インピーダンスを計算するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施例において、透析システムは、管内の圧力を測定するための1つまたは複数の圧力センサもまた含み、コントローラは、その1つまたは複数のセンサとつながっている。
【0021】
いくつかの実施例において、コントローラは、計算された流体インピーダンスを基準インピーダンス値と比較し、その比較に基づいて、血液流量の低下を検出するように構成されている。
【0022】
透析システムはまた、コントローラとつながった表示装置を備えることができる。コントローラは、検出された血液流量低下に関する情報を表示装置上に表示するように構成することができる。
【0023】
いくつかの実施例において、透析システムは音声警報を備え、コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、音声警報を鳴らすように構成されている。
いくつかの実施例において、コントローラはポンプの動作を制御するように構成され、コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、ポンプの動作を停止させるように構成されている。
【0024】
透析システムはまた、生理食塩水源と、その生理食塩水源を管に接続する生理食塩水ラインと、コントローラと電気的につながった生理食塩水バルブとを備えることができる。生理食塩水バルブは、生理食塩水源から管に向かう生理食塩水の流れを制御するように動作可能であり、コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、生理食塩水バルブの動作を介して生理食塩水をボーラス投与するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施例において、透析システムはまた、コントローラとつながったメモリを備える。
いくつかの実施例において、メモリは、基準インピーダンス値に対応するデータが格納される。
【0026】
いくつかの実施例において、コントローラは、流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、基準インピーダンス値を計算し、その基準インピーダンス値をメモリに格納するように構成されている。
【0027】
いくつかの実施例において、血液ポンプは、血液回路を通じて血液を循環させるように動作可能な二重チャンバを備える。
血液ポンプは、空気圧駆動式ポンプとすることができる。
【0028】
いくつかの実施例において、血液ポンプは蠕動ポンプである。
いくつかの実施例において、透析システムはまた、空気圧力源と、血液ポンプと流体連通する方向制御バルブとを備え、空気圧力源は、コントローラと電気的につながっている。コントローラは、方向制御バルブを介して血液ポンプの動作を制御するように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施例において、透析システムはまた、血液回路に接続され、血液回路内で流れる血液から排泄物を分離するための透析器を備える。
いくつかの実施例において、透析システムは、透析液が流れる透析液回路を備える。
【0030】
いくつかの実施例において、透析システムは、透析液回路と流体連通する吸収剤カートリッジを備える。吸収剤カートリッジは、透析液が通過することができるように構成されている。吸収剤カートリッジは、透析液が吸収剤カートリッジを通過するとき、透析液から1つまたは複数の物質を除去するようになっている。
【0031】
いくつかの実施例において、透析システムは血液透析システムである。
いくつかの実施例において、透析システムは、吸収剤ベースの透析システムである。
【発明の効果】
【0032】
実施例は以下の利点の1つまたは複数を備えることができる。
いくつかの実施例において、血液回路内の血液流量の特有の流体インピーダンスを決定することができ、血塊、閉塞またはアクセス流量の変化を流体インピーダンスから推定することができる。したがって、システムの管中の血塊、アクセス障害物およびよじれを検出するための比較的簡単な技術を提供することができる。
【0033】
たとえば血液透析システムの血液回路を通る血液流量の低下の検出および特定によって、オペレータが、クリアランスを維持するために、これらの問題を是正することを可能にする。早期検出によって、問題が早期に是正され、その結果、血液流量低下に関連する合併症を減少させることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、これらシステムおよび/または方法によって、血液回路を通る血液流量の低下を特定することができ、それによって、オペレータが、処置効果の弱められる前に問題を修正することを可能にすることができる。これによって、オペレータに、そうしなければ効果的な処置が弱められる、または放棄される恐れがある状況において、処置効果を継続させる機会を与えることができる。
【0035】
場合によっては、これらシステムおよび/または方法によって、血液流量低下の問題が検出された状況において、是正または保護の行為を自動的に実施することができる。たとえば、システムは、血液流量低下の問題が検出された場合、生理食塩水を自動的にボーラス供給するように構成することができる。その代わりまたは追加として、システムは、血液流量低下の問題が検出されたとき、血液ポンプの動作を自動的に停止させるように構成することができる。
【0036】
血液回路の動脈および静脈のライン内の血液流量の個別の特有の流体インピーダンスを決定することができ、検出された流体インピーダンスから血液流量低下の原因についての位置を推定することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、血液流量低下の原因(たとえば、血塊、閉塞、またはアクセス障害物)は、流体インピーダンスの大きさに基づいて推定することができる。血液流量低下の原因を知ることは、システムのオペレータが、問題に対処する適切な方法を選択する上で、役立てることができる。
【0038】
他の態様、特徴および利点は、本明細書、図面および特許請求の範囲に述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】透析システムの概略図。
【図2】図1の透析システムの二重チャンバ式ポンプの概略図。
【図3】シングルチャンバ式血液ポンプを有する透析システムの概略図。
【図4】蠕動式血液ポンプを有する透析システムの概略図。
【図5】透析装置および吸収剤カートリッジを保持している吸収剤カートリッジホルダを有するモジュールを備えた透析システムの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
患者からの血液を濾過する上で使用される体外流体回路を含む血液透析システムなどの透析システムは、血液流量および流体圧力に関連する測定データを使用して、透析システムの血液流量に対する流体インピーダンスを計算するように構成することができる。詳細に議論するように、流体インピーダンスは、透析システム内において、血液流量低下、ならびに血塊、閉塞およびアクセス障害物など、その原因を検出し特定するために使用することができる。血液流量低下の検出および/または特定によって、処置効果が弱められる前に、血液流量低下を是正することができる。
【0041】
図1に、腎臓機能が悪い患者12からの血液を体外で処置するための透析システム10を示す。透析システム10は、患者の血液が移動する血液回路20と、血液から排泄物を分離する透析器14と、透析液が流れるとともに分離された排泄物を運び去る透析液回路16とを含む。血液回路20は、患者12から血液を引き出してそれを透析器14に供給するための動脈ライン22と、処置された血液を患者12に戻すための静脈ライン24とを含む。
【0042】
二重チャンバ式血液ポンプ26は、血液を、血液回路20を通じて流動させる。図2を参照すると、血液ポンプ26は、2つのチャンバ32を画定し、そのそれぞれが柔軟な薄膜34を含む。それぞれの柔軟な薄膜34によって、その個別のチャンバ32が第1のポンプ機能チャンバ36および第2のポンプ機能チャンバ38に分割される。流入バルブ42を備える一対の動脈分岐ライン40が、動脈ライン22と第1のポンプ機能チャンバ36の流入ポート46の間を流体連通させている。流出バルブ44を備える一対の静脈分岐ライン43が、第1のポンプ機能チャンバ36の流出ポート48と静脈ライン24の間を流体連通させている。第2のポンプ機能チャンバ38にある気体ポート50は、空気ライン52および方向制御バルブ54を介して空気圧力源30(たとえば、空気ポンプ)と連通する。
【0043】
空気圧力源30は血液ポンプ26を駆動する。この点で、空気圧力源30は、血液ポンプ26に真空圧と正圧の両方を加える。この真空と正圧を加えることは、正圧レギュレータ56および真空圧レギュレータ58との組み合わせで方向制御バルブ54を介して制御される。正と負の圧力レギュレータ56、58は、電子的に制御される圧力レギュレータとすることができ、コントローラ70とのやりとりを介して制御することができ、コントローラ70はプロセッサとしてもよい。
【0044】
方向制御バルブ54が負圧を第2のポンプ機能チャンバ38のどちらかに誘導したとき、隣接した柔軟な薄膜34が曲がって、付随する第1のポンプ機能チャンバ36を拡大させ、それによって、血液が第1のポンプ機能チャンバ36中に引き入れられる。その後、方向制御バルブ54が正空気圧を第2のポンプ機能チャンバ38に誘導したとき、柔軟な薄膜34が曲げ戻されて、第1のポンプ機能チャンバ36を収縮させ、それによって、血液が第1のポンプ機能チャンバ36から吐出される。流入バルブ42および流出バルブ44はそれに応じて開閉する。二重チャンバ32は、このように分岐ライン40、43を通して血液を流動させるように両方で動作させる。
【0045】
二重チャンバ32は、二重機能モードで、または並行モードで動作させることができる。二重機能モードでは、方向制御バルブ54は、2つの気体ポート50に、同時に正空気圧を、また同時に負空気(真空)圧をもたらす。次いで、二重チャンバ32は、血液を互いに一致して移動させる。並行モードでは、方向制御バルブは、気体ポート50に正および負の圧力を同時ではなく交互に加え、二重チャンバ32は、正および負の圧力が互いに不一致である程度に応じて、血液を、完全に、または部分的に互いに不一致で移動させることになる。
【0046】
また、二重チャンバ32内の流体圧を測定するために、圧力変換器などの圧力センサ60を設けることができる。より具体的には、圧力センサ60は、第2のチャンバ38と流体連通してその中で圧力をモニタするように、またコントローラ70と電気的にやりとりしてコントローラ70に測定された圧力を表す信号を提供するように設けることができる。以下で議論するように、このデータは、動脈ライン22および/または静脈ライン24中の流体インピーダンスを計算するために使用することができる。
【0047】
二重チャンバ32は、それぞれ約0〜約−36.7kPa(約0〜約−275mm/Hg)の安定した所定の真空圧を引き出し、安定した所定の正圧を与えて、約0〜約46.7kPa(約0〜約+350mm/Hg)の圧力で体液を吐き出すように構成される。
【0048】
血液処置プロトコルのためのサイクル時間は、真空と正圧の1つの完全なサイクルについて約3秒〜約30秒の範囲とすることができる。所与のシステムについて最大の適切なサイクル時間は、サイクルの真空(充填)部分の間に処置ユニット中の流体容量の停滞から生じる悪影響、すなわち透析器14内の表面へのタンパク質の沈降、凝固および付着などを避けるために、十分に短い期間(たとえば、約3秒〜約6秒)になるように選択することができる。
【0049】
再び図1を参照すると、流量センサ(たとえば、動脈流量センサ72aおよび静脈流量センサ72b)は、動脈および静脈のライン22,24に沿って配置される。適切な流量センサは、超音波および光学的な検出器を含む。動脈流量センサ72aおよび静脈流量センサ72bは、関連する流量を1秒間に5〜15回(たとえば、10回/秒)測定するように構成することができる。流量センサ72a、72bは、関連する流体ライン中の血液の流量を表す信号を提供する。その信号をコントローラ70に提供することができ、コントローラ70は、測定された流量を利用して、流入バルブ42および流出バルブ44、方向制御バルブ54、空気圧力源30および/または音声または視覚警報装置など、血液回路20中の他の要素を制御することができる。
【0050】
血液回路20と相互に作用する他の構成要素には、生理食塩水バッグ80などの流体源が含まれ、流体源は、動脈ライン22と、生理食塩水ライン82およびコントローラ70と電気的につながった生理食塩水バルブ84を介して連通する。さらに、へパリン供給源90などの抗凝固溶液が、動脈ライン22と、へパリンライン92およびコントローラ70に応答する抗凝固ポンプ94を介して連通することができる。生理食塩水は、一時的に上流の動脈血液バルブ100を閉鎖して生理食塩水バルブ84を開き、血液ポンプ26の動作を継続させることによって、血液よりもむしろ生理食塩水を回路中に引き込むことにより血液流にボーラス投与することができる。次いで、上流の動脈血液バルブ100および生理食塩水バルブ84は、ポンプが血液を回路中に引き込み、生理食塩水および血液を透析器14および静脈血液ライン24を通じて推し進めるための位置に戻すことができる。
【0051】
また、透析システム10には、コントローラ70に結合するように構成されたメモリ110(たとえば、不揮発性メモリ)を設けることができる。メモリ110は、外部電源がオフになったときに格納された値を保持する任意の形態のメモリとすることができる。たとえば、かかる不揮発性メモリの構成要素は、ハードディスク、フラッシュメモリ、バッテリバックアップRAMおよび他のデータ記憶装置を含む。メモリ110は実行時に、開示の方法の様々な実施を行う命令を格納することができる。
【0052】
また、透析システム10は、キーボード、タッチスクリーンモニタ、コンピュータマウスなどのデータ入力装置112を含むことができる。透析システム10は、透析システム10の様々な個別の構成要素の動作値を表示するために、リードアウトモニタなどの表示装置114をさらに含む。透析システム10には、電源116、バッテリバックアップ117およびクロック/タイマ118を設けることができる。コントローラ70、メモリ110、データ入力装置112およびクロック/タイマ118は、制御システムの1つの構成を表す。
【0053】
コントローラ70は、血液回路20中の血液流量、透析液回路16中の透析液流量、および生理食塩水ライン82およびへパリンライン92を介する動脈ライン22への生理食塩水またはへパリンそれぞれの流量を制御することによって、透析システム10の動作を調整する。これを達成するために、コントローラ70は、これらの構成要素の動作のために構成されるハードウェアおよび/またはソフトウェアを利用し、任意の適切なプログラマブルロジックコントローラまたは他の制御装置、あるいは制御装置の組み合わせを含むことができる。したがって、血液回路20中の血液流量は、血液ポンプ26を動作させるとともに、動脈ライン22および静脈ライン24中の上流の動脈血液バルブ100および下流の静脈血液バルブ102を制御することによって制御される。透析液回路16中の透析液流量は、透析液ポンプ18を動作させることによって、同様に制御することができる。コントローラ70は、動脈のセンサ72aおよび静脈流量センサ72b、圧力変換器60およびクロック/タイマ118からの入力信号など、受信する様々な入力信号に応答する。さらに、コントローラ70は、システムステータス、警報および他の様々な処置パラメータを表示装置114上に表示することができる。それによって、オペレータがデータ入力装置112を介してコントローラと対話することを可能にする。
【0054】
透析システム10は、所与の血液流量を達成するためにコントローラ70を介して適切な圧力を選択し(たとえば、圧力レギュレータ56,58の制御を介して)、また圧力センサ60を介して血液ポンプ26の内部の圧力を測定することができる。透析システム10が(流量センサ72a,72bを介して)血液流量を測定するので、動脈ライン22および静脈ライン24の両方の特有の流体インピーダンス(Z)を決定することができる。流体インピーダンスは、以下の式から計算することができる。
【0055】
Q=P/Z
ただし、
Q=流体流量
P=流体圧力、および
Z=流体インピーダンスである。
【0056】
流体インピーダンスZは、Z=R+jXで与えられる複素数である。Rは、インピーダンスの実数部で、流体回路の抵抗であり、Xは、インピーダンスの虚数部で、回路のリアクタンスである。開口部またはチャンバが流体回路中に存在するときなど、弾性コンプライアンスがある場合、流量Qは、圧力Pとともに即座には変化しない。リアクタンスXは、流量Qと圧力Pの間のこの遅れの説明になる。ほとんど弾性コンプライアンスが存在しないときなど、場合によってはインピーダンスの実数部が支配的になり、したがって簡略化のために、インピーダンスZは抵抗Rに実質的に等しいと見積もることができる。
【0057】
血塊、閉塞またはアクセス流量の変化など、血液流量低下の原因は、流体インピーダンスから、および/または流体インピーダンスの変化から推定することができる。血塊、閉塞およびアクセス血液流量の減少によって、クリアランス(すなわち、ある流体および溶質が血液から除去される速度)が血液透析患者中で減少する可能性がある。流量の減少を検出し特定することによって、クリアランスを維持するように、これらの問題を是正することを可能にする。
【0058】
血液流量低下の原因の特定によって、処置効果が弱められる前に問題の是正を可能にすることができる。これによって、オペレータに、そうしなければ処置が弱められるまたは放棄される恐れがある状況で、効果的な処置を継続する機会を与えることを可能にする。
【0059】
設定された流量を維持するように圧力を調節する(圧力レギュレータ56、58の制御を介して)透析システム10の能力により、動脈および静脈の血液に加えられる圧力は既知である。動脈および静脈の血液流量がたとえば、それぞれ動脈流量センサ72aおよび静脈流量センサ72bから分かるので、動脈および静脈の流れ抵抗を、以下のように決定することができる。
【0060】
=P/Q
=P/Q
ただし、
=動脈ラインインピーダンス
=動脈ライン圧力
=動脈ライン流量
=静脈ラインインピーダンス
=静脈ライン圧力
=静脈ライン流量である。
【0061】
現在のインピーダンス値(すなわち、動脈または静脈どちらかの現在のサイクルに関する平均値)を基準値(すなわち、動脈基準値または静脈基準値)に対して傾向を見る、またはそれと比較することによって、それぞれの流量の低下を検出するために、動脈ライン22と静脈ライン24の両方のインピーダンスをある期間の間、モニタすることができる。基準値(たとえば、実験に基づいて予め定められてメモリ110に格納される値)および/または移動アンサンブル平均値(たとえば、所与の期間にわたる、いくつか、またはすべての先行するサイクルの平均インピーダンス値)は、格納した値とすることができる。公称の増加するインピーダンスは、ある期間の間の標準的な血液濃縮によって予期することができる。しかし、インピーダンスの過度の増加は、血塊またはアクセス障害物を示すとして使用することができる。
【0062】
現在のサイクルに関する動脈ライン22および静脈ライン24の両方におけるインピーダンスのパーセンテージ増加は、以下のように計算することができる。
動脈の%増加=(ZA(current)−ZA(baseline))/ZA(baseline)
静脈の%増加=(ZV(current)−ZV(baseline))/ZV(baseline)
次いで、パーセンテージ増加値は、インピーダンスのパーセンテージ増加が血液流量の低下の一因になる問題を表しているかどうかを決定するために、最大閾値と比較することができる。流体インピーダンス(動脈または静脈)の増加に対するこれらの最大閾値は、オペレータがデータ入力装置112を介して設定する、および/または調節することができる、あるいはメモリ110中に予め格納することができる。
【0063】
血液流量の低下の一因になる恐れがある様々な問題は、動脈または静脈の管中のよじれ、患者の静脈の側壁と係合する(たとえば、ぶち当たる)アクセスポイントにおける針であり、しばしば透析器14の流入口で生じる血塊形成を含む。管中のよじれは、たとえば、流体インピーダンス中に比較的大きいスパイクを生じると予期することができる。たとえば、よじれによって血液流量が90%だけ減少した場合、流体インピーダンスは、約10倍、血液流量の減少に比例して増加する。針が側壁にぶち当たって血液流量が50%だけ減少した場合、インピーダンスは約2倍(200%)、血液流量に比例して増加することになる。血塊によって流量が20%だけ減少すると、約1.25倍(125%)のインピーダンスの増加を生じることになる。
【0064】
どの流量センサが増加したインピーダンスを測定したのか、および測定された流体インピーダンスの増加に基づいて、血液流量低下の原因の位置を決定することができる。たとえば、流体インピーダンス中で比較的大きいスパイクが動脈流量センサ72aによって測定された場合、動脈ライン22中によじれがある可能性を示し、その一方、流体インピーダンス中で比較的大きいスパイクが静脈流量センサ72bによって測定された場合、静脈ライン24中によじれがある可能性を示す。同様に、流体インピーダンスの約20%の増加が動脈流量センサ72aによって測定されると、動脈ライン22中に血塊が形成されている可能性を示し、その一方、流体インピーダンスの約20%の増加が静脈流量センサ72bによって測定されると、静脈ライン24中に血塊が形成されている可能性を示す。流体インピーダンスの約100%の増加が動脈流量センサ72aによって測定された場合、患者の動脈コネクタ13でアクセスの問題がある可能性を示す。同様に、流体インピーダンスの約100%の増加が静脈流量センサ72bによって測定された場合、患者の静脈コネクタ15でアクセスの問題がある可能性を示す。したがって、血液流量低下の原因だけでなく、その血液流量低下の原因についての位置も推定することができる。血液流量低下が検出された場合、たとえば、表示装置114を介して、または音声警報120を鳴らすことによって、オペレータにそれを通知して、たとえば、針の位置付けをやり直すことによって、生理食塩水のボーラスまたはリンス液を逆に供給することによって、その問題を改善して流量を回復させるように、オペレータを促すことができる。その通知によって、血液流量低下の原因(たとえば、よじれ、アクセス問題、血塊など)、さらには血液流量低下の原因の位置(たとえば、動脈ライン22または静脈ライン24)を表示することができる。たとえば、動脈ライン22または静脈ライン24の管中によじれが検出された場合、対応する視覚警報および/または音声警報を起動して、オペレータにその問題を通知することができる。したがって、オペレータは、動脈ライン22または静脈ライン24のよじれを直して血液流量を回復させることができる。アクセスの問題が患者の動脈のコネクタ13または静脈のコネクタ15において検出された場合、対応する視覚警報および/または音声警報を起動して、オペレータにそのアクセス問題を通知することができる。次いで、オペレータは、患者の動脈のコネクタ13または静脈のコネクタ15の針の位置付けをやり直して血液流量を回復させることができる。血塊が動脈のライン22または静脈のライン24中で検出された場合、対応する視覚警報および/または音声警報を起動して、オペレータにその血塊を通知することができ、次いで、オペレータは、動脈のライン22または静脈のライン24にへパリンまたは生理食塩水を供給して血塊を取り除き、血液流量を回復させることができる。
【0065】
(他の実施例)
いくつかの実施例を上記に述べてきたが、他の実施例が可能である。
実施例として、血液流量の低下の検出に応答して、オペレータが、血液流量を回復させるための行為を行うように促される実施例を述べてきたが、いくつかの実施例において、透析システム10は、血液流量低下の原因を自動的に改善するように構成することができる。たとえば透析システム10は、たとえば血塊が検出された場合、生理食塩水のボーラスまたは抗凝固溶液を、たとえばコントローラ70の動作を介して自動的に投与するように構成することができる。
【0066】
二重チャンバ式の血液ポンプを有する透析システムを述べてきたが、いくつかの実施例において、血液ポンプは、それの代わりに、シングルチャンバ式の装置を備えることができる。たとえば、図3に、シングルチャンバ式の血液ポンプ226を備える透析システム200を示す。シングルチャンバ式の血液ポンプ226は、空気チャンバ230を画定する外側ハウジング228および血液チャンバ233を画定する柔軟な薄膜232を含む。外側ハウジング228は少なくとも1つの気体ポート234を含み、気体ポート234は方向制御バルブ54を介して空気圧力源30と流体連通する。流入バルブ236が、動脈ライン22と血液チャンバ233の流入ポート238の間を流体連通させている。流出バルブ240が、血液チャンバ233の流出ポート242と静脈ライン24の間を流体連通させている。上記で述べた二重チャンバ式のポンプの場合のように、コントローラ70が、流入バルブ236および流出バルブ240、方向制御バルブ54および/または空気圧力源30の動作を介して血液回路20中の血液流量を制御する。
【0067】
図4に、血液回路20を通じて血液を送り出すために、蠕動ポンプ326を利用する透析システム300の別の実施例を示す。動脈の圧力センサ360aおよび静脈の圧力センサ360bが、動脈ライン22および静脈ライン24をそれぞれ通じて流れる血液の圧力を測定するために設けられる。動脈の圧力センサ360aおよび静脈の圧力センサ360bは、測定された圧力を表す信号をコントローラ70に提供し、コントローラ70は、動脈流量センサ72aおよび静脈流量センサ72bによって測定された血液流量データとともに圧力データを利用して、動脈ライン22および静脈ライン24中の流体インピーダンスを計算する。その代わりにまたは追加で蠕動ポンプを使用する場合、そのポンプは一定流量装置であるので、ポンプ速度から直接、流量を推定することができる。
【0068】
場合によっては、また、上記で述べた血液流量低下を検出するための方法は、吸収剤ベースの透析システム中に組み込むことができる。図5に、たとえば図1を参照して上記に述べたような血液回路20および透析液回路16を収納する透析装置450に流体結合されるモジュール420を備えた吸収剤ベースの透析システム400を示す。モジュール420は、吸収剤カートリッジ524を保持するように構成される吸収剤カートリッジホルダ500を含む。また、モジュール420は、注入溶液容器428および食塩容器430から伸びる流体ライン424,426が接続されるマニホールド422と、透析液バッグまたは容器438から伸びる流体ライン434,436が接続されるマニホールド432と、アンモニウム(NH)センサ446から伸びる流体ライン442,444が接続されるマニホールド440とを含む。モジュール420は、プライミング溶液バッグ、リンス溶液バッグ、洗浄溶液バッグおよび/またはモジュール420への排液バッグなどの他の構成要素を流体結合するために使用することができるマニホールド448をさらに含む。マニホールド422,432,440および448のそれぞれは、たとえば、上記に述べた様々な構成要素をそれらのそれぞれのマニホールドに接続するために、流体ラインをその上に位置付けることができる突起部を含むことができる。様々な他の適切な接続メカニズムのいずれも、その代わりにまたは追加として使用して流体ラインをマニホールドに接続することができる。
【0069】
マニホールド422は、図5に示すように開位置にあるとき、注入溶液(たとえば、マグネシウム、カルシウムおよびカリウムを含む溶液)および食塩溶液を、モジュール420を通じて循環する流体中に供給することを可能にする。モジュール420内のポンプおよびバルブは、たとえば注入溶液および食塩を、モジュール420内で循環する流体中に送り込むために起動することができる。同様に、マニホールド432は、流体がモジュール420からバッグ438に移送されることを可能にし、その逆も可能にする。モジュール420内のポンプおよびバルブを使用して、マニホールド432に接続される流体ライン434を介して流体をバッグ438中に送り込み、それから吸い出すことができる。マニホールド440は、流体がモジュール420からアンモニウムセンサ446に移送されることを可能にし、その逆も可能にする。モジュール420内のポンプおよびバルブを所望のように起動することによって、流体は、モジュール420からアンモニウムセンサ446に送り出すことができ、アンモニウムセンサからモジュール420に引き戻すことができる。また、マニホールド448は、使用の間、開いた構成で配置され、モジュール内のポンプおよびバルブを起動することによって、バッグ(たとえば、プライミング溶液バッグ、リンス溶液バッグ、洗浄溶液バッグ)からモジュール420中に流体を引き込むことができるように、および/またはモジュールからバッグ(たとえば、排液バッグ)中に流体を送り出すことができるように、流体ラインに接続することができる。図5に示すように、吸収剤カートリッジ524がカートリッジホルダ500に流体接続されているので、モジュール420内で循環する流体は、吸収剤カートリッジ524中を通過することが可能になる。
【0070】
透析処置の間、モジュール420は、モジュール420内で循環する流体と、吸収剤カートリッジ524、注入溶液容器428、食塩容器430、透析液バッグ438、アンモニウムセンサ446、場合によっては、マニホールド448を介してモジュール420に接続することができる1つまたは複数の追加のバッグとの間を流体連通させることが可能なように、図5に示すように構成される。
【0071】
透析処置の間、使用済み透析溶液は、透析装置450の透析液回路16(図1)からモジュール220中に移動され、次いで、吸収剤カートリッジ524を通過し、次いで吸収剤カートリッジ524から流出し、再生された透析溶液が透析装置450中に戻される。使用済み透析溶液に吸収剤カートリッジ524を通過させるので、尿素などの毒素、およびカルシウム、マグネシウムおよびカリウムなどの他の物質が、使用済み透析溶液から取り去られる。また、使用済み透析溶液からナトリウムを取り去ることができ、または、場合によっては、使用済み透析溶液が吸収剤カートリッジ524を通過するとき、それを使用済み透析溶液に追加することができる。したがって、吸収剤カートリッジ524から流出する、再生された透析溶液のカルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムのレベルは、変化させることにより(たとえば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび/または希釈液を再生された透析溶液中に導入することによって)、それらの物質の濃度を所望のレベルに回復させることができる。次いで、再生された透析溶液が透析装置450中の透析器14(図1)を通過するとき、毒素は、患者の血液から透析溶液中に移送されて、使用済み透析溶液を形成する。次いで、この使用済み透析溶液は、モジュール420を通じて再び循環されることにより、使用済み透析溶液を再生する、または回生する。この工程は、所望の量の毒素が患者の血液から除去されてしまうまで繰り返すことができる。透析溶液が、単に廃棄されるのとは対照的に処置の間に再生されるので、処置の間に使用される透析溶液の容量は、いくつかの従来の血液透析技術と比較して実質的に減少させることができる。さらに、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムなど、透析溶液内の様々な物質の濃度を維持することは、患者が処置の間不快を感じないように、防止するのに役立つことができる。たとえば、図1を参照して上記の述べたシステムのように、流量センサおよび圧力センサは、透析装置450の血液回路20に沿って位置付けることができ、センサからの測定値は、透析システム内で、血液流量低下、ならびに血塊、閉塞、およびアクセス障害物など、その原因の検出および特定のために使用することができる。
【0072】
透析システム中の血液流量低下を検出するための方法を述べてきたが、その方法は、他のタイプの体外血液処置システム中で用いることもできる。
他の実施例が以下の特許請求の範囲の内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析システム中の血液流量の低下を検出するための方法であって、
血液ライン中の血液の流量を測定する工程と、
測定された前記流量に基づいて、現在のインピーダンス値を計算する工程と、
現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較する工程と
を含む方法。
【請求項2】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には血液流量の低下があると推定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定された前記流量に対応する信号をコントローラに送信する工程と、
前記コントローラを利用して、測定された前記流量に基づいて、現在のインピーダンス値を計算する工程と
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
コントローラを利用して、現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較する工程をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合にはユーザに警告する工程をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザに警告する工程は警報を起動する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記警報は音声警報である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記警報は視覚警報である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザに警告する工程は、検出された血液流量低下に関する情報を表示装置上に表示する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
表示される情報は、血液流量低下の原因に関する情報を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
表示される情報は、前記透析システムにおける血液流量低下の原因の位置に関する情報を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には生理食塩水をボーラス投与する工程をさらに含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記生理食塩水は、前記透析システムのコントローラの指図で自動的にボーラス投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合には患者のアクセスポイントで針を調節する工程をさらに含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差が最大限界値よりも大きい場合にはよじれた管のよじれを直す工程をさらに含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差によって示される血液流量低下の原因を決定する工程をさらに含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
現在のインピーダンス値と基準インピーダンス値との差に少なくとも部分的に基づいて、血液流量低下の原因の位置を決定する工程をさらに含む、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
現在のインピーダンス値を基準値と比較する工程は、現在のインピーダンス値と基準値とのパーセント差を計算する工程を含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
計算された前記パーセント差に基づいて、血液流量低下の原因を特定する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
血液回路中の血液流量の低下を検出するためのソフトウェアがコードされているコンピュータ可読媒体であって、前記ソフトウェアは、
1つまたは複数のセンサから測定データに対応する情報を受信し、
測定データに基づいて、現在のインピーダンス値を計算し、
現在のインピーダンス値を基準インピーダンス値と比較するための命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記ソフトウェアは、前記1つまたは複数のセンサから受信した測定データに少なくとも部分的に基づいて、基準インピーダンス値を計算するための命令をさらに含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
血液ポンプ、および
血液ポンプと患者との間で血液を搬送するための管を
有する血液回路と、
前記管内の血液の流量を測定するための1つまたは複数の流量センサと、
前記1つまたは複数の流量センサとつながって、その1つまたは複数のセンサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、前記管内の流体インピーダンスを計算するように構成されたコントローラと
を備える、透析システム。
【請求項23】
前記管は、患者から前記血液ポンプまで血液を搬送するための動脈ラインと、前記ポンプから患者に血液を送り返すための静脈ラインとを備える、請求項22に記載の透析システム。
【請求項24】
前記1つまたは複数の流量センサは、前記動脈ライン内で流れる血液の流量を測定するように設けられた動脈流量センサを含み、
前記コントローラは、動脈流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、前記動脈ライン内の流体インピーダンスを計算するように構成されている、請求項23に記載の透析システム。
【請求項25】
前記1つまたは複数の流量センサは、前記静脈ライン内で流れる血液の流量を測定するように配置された静脈流量センサを含み、
前記コントローラは、静脈流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、前記静脈ライン内の流体インピーダンスを計算するように構成されている、請求項23に記載の透析システム。
【請求項26】
前記管内の圧力を測定するための1つまたは複数の圧力センサをさらに備え、
前記コントローラは、その1つまたは複数のセンサとつながっている、請求項22乃至25のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項27】
前記コントローラは、
計算された前記流体インピーダンスを基準インピーダンス値と比較するように、かつ
その比較に基づいて、血液流量の低下を検出するように
構成されている、請求項22乃至26のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項28】
前記コントローラとつながった表示装置をさらに備え、
前記コントローラは、検出された血液流量低下に関する情報を表示装置上に表示するように構成されている、請求項22乃至27のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項29】
音声警報をさらに備え、
前記コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、音声警報を鳴らすように構成されている、請求項22乃至28のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項30】
前記コントローラは、前記ポンプの動作を制御するように構成され、
前記コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、前記ポンプの動作を停止させるように構成されている、請求項22乃至29のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項31】
生理食塩水源と、
生理食塩水源を前記管に接続する生理食塩水ラインと、
前記コントローラと電気的につながった生理食塩水バルブとをさらに備え、
生理食塩水バルブは、生理食塩水源から前記管に向かう生理食塩水の流れを制御するように動作可能であり、
前記コントローラは、血液流量低下の検出に応答して、生理食塩水バルブの動作を介して生理食塩水をボーラス投与するように構成されている、請求項22乃至30のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項32】
前記コントローラとつながったメモリをさらに備える、請求項22乃至31のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項33】
前記メモリは、基準インピーダンス値に対応する格納データを含む、請求項32に記載の透析システム。
【請求項34】
前記コントローラは、
前記流量センサから受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、基準インピーダンス値を計算するように、かつ
その基準インピーダンス値を前記メモリに格納するように
構成されている、請求項32に記載の透析システム。
【請求項35】
前記血液ポンプは蠕動ポンプである、請求項22乃至34のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項36】
前記血液回路に接続され、前記血液回路内で流れる血液から排泄物を分離するための透析器をさらに備える、請求項22乃至35のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項37】
透析液が流れる透析液回路をさらに備える、請求項22乃至36のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項38】
前記透析液回路と流体連通し、前記透析液が通過することができるように構成された吸収剤カートリッジをさらに備え、
前記吸収剤カートリッジは、前記透析液が吸収剤カートリッジを通過するとき、前記透析液から1つまたは複数の物質を除去するようになっている、請求項37に記載の透析システム。
【請求項39】
前記透析システムは血液透析システムである、請求項22乃至38のいずれか1項に記載の透析システム。
【請求項40】
前記透析システムは、吸収剤ベースの透析システムである、請求項22乃至39のいずれか1項に記載の透析システム。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516225(P2013−516225A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547081(P2012−547081)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/057581
【国際公開番号】WO2011/081740
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505324858)フレゼニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Holdings,Inc.
【Fターム(参考)】