説明

血液浄化装置

【課題】透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に対する補液ラインの接続確認を自動的に行わせて当該補液ラインの接続忘れを防止することができる血液浄化装置を提供する。
【解決手段】ダイアライザ1と、血液ポンプ4が配設された動脈側血液回路2と、静脈側血液回路3と、透析液導入ラインL1と、透析液排出ラインL2と、補液ラインL8と、補液ポンプ13とを具備した血液浄化装置であって、採取口11が形成された所定部位を含む透析液導入ラインL1側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、補液ポンプ13を駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して採取口11に対する補液ラインL8の接続確認のためのテスト工程が行われるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液回路に接続された血液浄化器にて血液浄化治療を行わせる血液浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、血液浄化装置としての透析装置では透析治療(特に、オンラインHDF又はオンラインHF)時においてダイアライザに供給するための透析液を用いてプライミング、返血及び補液(緊急補液)を行う技術が提案されるに至っている。例えば、特許文献1には、一端が透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に接続された補液ラインと、補液ラインに配設された補液ポンプとを具備した透析装置が開示されている。かかる透析装置により、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うには、補液ポンプを駆動させることにより、透析液導入ラインの透析液を血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−313522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の血液浄化装置においては、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うため、補液ラインの一端を透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続させる作業が必要とされることから、当該接続が正常に行われているか否かを作業者が目視にて確認する必要があった。このため、接続確認のし忘れといった人為的なミス等が生じる虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に対する補液ラインの接続確認を自動的に行わせて当該補液ラインの接続忘れを防止することができる血液浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、血液浄化膜を内在するとともに当該血液浄化膜にて血液浄化を施す血液浄化器と、基端が前記血液浄化器に接続され、その途中において血液ポンプが配設された動脈側血液回路と、基端が前記血液浄化器に接続された静脈側血液回路と、前記血液浄化器に透析液を導入する透析液導入ラインと、前記血液浄化器から透析液を排出する透析液排出ラインと、一端が前記透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された補液ラインと、該補液ラインに配設され、前記透析液導入ラインの透析液を前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給させ得る補液ポンプとを具備した血液浄化装置であって、前記採取口が形成された所定部位を含む透析液導入ライン側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、前記補液ポンプを駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して前記採取口に対する前記補液ラインの接続確認のためのテスト工程が行われることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記補液ラインには、その流路を開閉し得るクランプ手段が配設されるとともに、前記テスト工程において前記補液ラインの接続確認と共に当該クランプ手段の開閉確認が行われ得ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置において、前記テスト工程において前記補液ポンプを逆転駆動させることにより前記閉回路に対して正圧を付与することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記テスト工程において前記補液ポンプを駆動させた状態の前記閉回路内の液圧を測定可能な測定手段と、該測定手段の測定値に基づき、前記補液ラインが前記採取口に正常に接続されているか否かを判定する判定手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、採取口が形成された所定部位を含む透析液導入ライン側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、補液ポンプを駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して採取口に対する補液ラインの接続確認のためのテスト工程が行われるので、採取口に対する補液ラインの接続確認を自動的に行わせて当該補液ラインの接続忘れを防止することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、補液ラインには、その流路を開閉し得るクランプ手段が配設されるとともに、テスト工程において補液ラインの接続確認と共に当該クランプ手段の開閉確認が行われ得るので、当該補液ラインの接続忘れの防止に加えて当該クランプ手段の開動作忘れを防止することができ、補液ラインにおける透析液の流通をより確実に行わせることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、テスト工程において補液ポンプを逆転駆動させることにより閉回路に対して正圧を付与するので、採取口に対する補液ラインの接続確認を行う際、当該接続が不良である場合の確認をより精度よく行わせることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、テスト工程において補液ポンプを駆動させた状態の閉回路内の液圧を測定可能な測定手段と、測定手段の測定値に基づき、補液ラインが採取口に正常に接続されているか否かを判定する判定手段とを具備したので、更に精度よく採取口に対する補液ラインの接続確認を自動的に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る透析装置を示す模式図
【図2】同透析装置におけるテスト工程時の状態を示す模式図
【図3】同透析装置における採取口を示す断面模式図
【図4】同採取口に対して補液ラインが接続された状態を示す断面模式図
【図5】同透析装置におけるテスト工程の制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、血液透析装置に適用されるものであり、図1に示すように、血液浄化器としてのダイアライザ1に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bと、補液ラインL8と、測定手段12と、補液ポンプ13と、制御手段15とから主に構成されている。
【0016】
ダイアライザ1は、不図示の血液浄化膜(本実施形態においては中空糸型の血液透析濾過膜であるが平膜型および血液透析膜、血液濾過膜を含む)を内在し、血液を導入する血液導入口1a及び導入した血液を導出する血液導出口1bが形成されるとともに、透析液を導入する透析液導入口1c及び導入した透析液を排出する透析液排出口1dが形成されたもので、中空糸膜を介して血液導入口1aから導入した血液に透析液を接触させて血液を浄化するものである。
【0017】
動脈側血液回路2は、主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導入口1aに接続されて患者の血管から採取した血液をダイアライザ1の中空糸膜内に導くものである。かかる動脈側血液回路2の他端には、動脈側穿刺針aを取り付け得るコネクタcが形成されているとともに、途中に動脈側エアトラップチャンバ5が接続され、且つ、血液ポンプ4が配設されている。尚、血液ポンプ4は、しごき型のポンプ(正転させると可撓性チューブをしごいて血液を動脈側穿刺針a側からダイアライザ1の血液導入口1aの方向に流動させる構成のもの)である。
【0018】
静脈側血液回路3は、動脈側血液回路2と同様に主に可撓性チューブから成り、一端がダイアライザ1の血液導出口1bに接続されて中空糸膜内を通過した血液を導出させるものである。かかる静脈側血液回路3の他端には、静脈側穿刺針bを取り付け得るコネクタdが形成されているとともに、途中に静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。即ち、動脈側穿刺針aで採取された患者の血液は、動脈側血液回路2を介してダイアライザ1に至り、血液浄化がなされた後、静脈側血液回路3を流動し、静脈側穿刺針bを介して患者の体内に戻るようになっており、これによって体外循環がなされるよう構成されている。
【0019】
ダイアライザ1の透析液導入口1c及び透析液排出口1dには、それぞれ透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2が接続されており、当該透析液導入ラインL1を介してダイアライザ1に導入された透析液が、中空糸膜の外側を通過して透析液排出ラインL2から排出され得るよう構成されている。これら透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の途中には、電磁弁V1及び電磁弁V2がそれぞれ接続されている。
【0020】
また、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2には、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に供給し、当該ダイアライザ1から排出させる複式ポンプ7が接続されており、当該透析液導入ラインL1における複式ポンプ7と電磁弁V1との間には、濾過フィルタ8、9が接続されている。この濾過フィルタ8、9は、透析液導入ラインL1を流れる透析液を濾過して浄化するためのものであり、当該濾過フィルタ8、9からは透析液排出ラインL2にバイパスして透析液を導くためのバイパスラインL3、L4が形成されている。かかるバイパスラインL3、L4には、それぞれ電磁弁V3、V4が接続されている。尚、透析液導入ラインL1における濾過フィルタ8と濾過フィルタ9との間には、電磁弁V6が接続されている。
【0021】
一方、透析液排出ラインL2におけるバイパスラインL3との連結部及びバイパスラインL4との連結部の間には、透析液の液圧を測定し得る測定手段12が接続されている。更に、透析液排出ラインL2には、複式ポンプ7をバイパスするバイパスラインL5、L6が形成されており、バイパスラインL5には、ダイアライザ1中を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ10が配設されるとともに、バイパスラインL6には、流路を開閉可能な電磁弁V5が配設されている。而して、電磁弁V1〜V6を任意選択的に開閉することで、後述する閉回路を形成し得るようになっている。
【0022】
補液ラインL8は、一端が透析液導入ラインL1の所定部位(本実施形態においては、透析液導入ラインL1から分岐した分岐ラインL7の先端)に形成された採取口11に接続されるとともに、他端が動脈側血液回路2の動脈側エアトラップチャンバ5(又は図中2点鎖線で示す如き静脈側血液回路3の静脈側エアトラップチャンバ6)に接続された流路から成る。
【0023】
かかる補液ラインL8には、その流路を開閉し得るクランプ手段14が配設されており、作業者によって当該補液ラインL8が採取口11に接続された後、透析液を流通させるまでクランプ手段14が閉状態とされて流路が閉塞されるようになっている。そして、必要時(プライミング、返血又は緊急補液時など)には、作業者によってクランプ手段14が開状態とされ、透析液導入ラインL1と血液回路(動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3)とが連通するようになっている。
【0024】
一方、採取口11は、透析装置本体Bに形成されたポートから成り、図3に示すように、シャフト19を中心に回動可能な蓋部材18によって開閉可能とされている。具体的には、蓋部材18は、採取口11を覆う閉位置と当該採取口11を外部に臨ませる開位置との間で回動可能とされるとともに、閉位置にあるとき、スプリング20の付勢力によって採取口11の開口端を閉塞し得るようになっている。
【0025】
而して、閉位置にある蓋部材18をスプリング20の付勢力に抗して図中右方向に移動させ、シャフト19を中心に回動させることにより、蓋部材18を閉位置から開位置とすることができ、その状態で、図4に示すように、補液ラインL8の一端が採取口11に接続されるようになっている。補液ラインL8の一端には、同図に示すように、コネクタ部材23が形成されており、当該一端を採取口11に嵌入させた状態で当該コネクタ部材23に形成された雌ネジ部を採取口11に形成された雄ネジ部に螺合させることにより、採取口11と補液ラインL8の一端とを強固に接続させ得るよう構成されている。
【0026】
尚、蓋部材18の所定部位には、磁力を生じ得るマグネット21が形成されているとともに、当該蓋部材18が閉位置にあるとき、当該マグネット21と対向する位置に磁力を検知して電気的なオン・オフ信号を生成し得るリードスイッチ22が配設されている。これにより、リードスイッチ22のオン信号又はオフ信号に基づいて、蓋部材18が閉位置にあるのか或いは開位置にあるのかを検出することができる。
【0027】
補液ポンプ13は、補液ラインL8に配設され、透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3)に供給させ得るものである。尚、かかる補液ポンプ13は、血液ポンプ4と同様、しごき型のポンプ(正転させると補液ラインL8を構成するチューブをしごいて透析液を流動させ得る構成のもの)であり、正転及び逆転が可能とされている。
【0028】
制御手段15は、本透析装置に配設された種々電磁弁V1〜V6の開閉及び血液ポンプ4や補液ポンプ9等のアクチュエータを制御し得る例えばマイコン等から成るものであり、特に本実施形態においては、記憶手段16及び判定手段17等が形成され、採取口11に対する補液ラインL8の接続確認及びクランプ手段の開閉確認のためのテスト工程を行わせ得るものである。テスト工程は、採取口11が形成された所定部位を含む透析液導入ラインL1側の透析液の流路(即ち、分岐ラインL7、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2、或いはそれらラインから分岐された透析装置本体B内の透析液の流路)において閉回路が形成されるとともに、補液ポンプ13を駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定手段12にて測定して採取口11に対する補液ラインL8の接続確認及びクランプ手段14の開閉確認を行うための工程である。
【0029】
ここで、テスト工程における閉回路は、電磁弁V1、V2、V4、V5及びV6を閉状態及び電磁弁V3を開状態とすることにより形成され、測定手段12にて当該閉回路内の液圧(透析液の液圧)を測定し得るようになっている。尚、閉回路は、測定手段12が形成された部位を含むよう構成されていれば足り、例えば電磁弁V1、V2及びV5を閉状態及び電磁弁V3、V4、V6を開状態とすることにより形成されるようにしてもよい。
【0030】
本実施形態に係る測定手段12は、テスト工程において補液ポンプ13を駆動させた状態の閉回路内の液圧を測定可能とされており、制御手段15の記憶手段16と電気的に接続されている。記憶手段16は、テスト工程で測定手段12にて測定された測定値(液圧)を記憶し得るものであり、判定手段17と接続されている。判定手段17は、記憶手段16で記憶された測定手段12の測定値に基づき、補液ラインL8が採取口11に正常に接続されているか否か、或いはクランプ手段14が開状態となっているか否かを判定するためのものである。
【0031】
即ち、補液ラインL8が採取口11に正常に接続されていない場合、テスト工程において補液ポンプ13を駆動(正転駆動又は逆転駆動)させて閉回路に対して正圧又は負圧を付与させ、その後停止させた状態とすると、測定手段12で測定される液圧は、時間経過と共に低下するので、その液圧の低下を判定手段17にて判別すれば、接続口11に対する接続が不良であることが判定可能とされるのである。また、クランプ手段14が開状態となっていない場合(補液ラインL8が採取口11に対して全く接続されておらず、当該採取口11が開放状態の場合も同様)、テスト工程において補液ポンプ13を駆動(正転駆動又は逆転駆動)させても閉回路に対して正圧又は負圧を付与させることができず、測定値は初期値と変わらないので、その状態を判定手段17にて判別すれば、クランプ手段14が開状態となっていないことが判別可能とされる。
【0032】
本実施形態においては、テスト工程において補液ポンプ13を逆転駆動させることにより閉回路に対して正圧を付与するものとしている。これにより、補液ポンプ13を逆転駆動させて正圧を付与させる際、例えば補液ラインL8の一端の採取口11に対する嵌入が不良である場合、或いはコネクタ部材23による螺合が不良である場合、付与された正圧によって当該補液ラインL8の一端が採取口11から離間することとなり、測定手段12で測定される圧力が下がるため、接続不良をより正確に検出することができる。
【0033】
以下、テスト工程における制御手段15の制御内容について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、電磁弁V3、V4及びV5を開状態として圧力を開放する(S1)。その後、図2に示すように、電磁弁V1、V2、V4、V5及びV6を閉状態及び電磁弁V3を開状態とすることにより閉回路を形成し(S2)、かかる状態にて測定手段12にて測定される液圧(A)を記憶手段16にて記憶させ(S3)、補液ポンプ13を駆動(本実施形態においては逆転駆動)させる(S4)。そして、測定手段12にて測定される液圧が所定圧力に到達したか否かが判定される(S5)。尚、本実施形態においては、S5において、所定圧力に到達したか否かの判定が行われているが、所定時間が経過したか否か或いは補液ポンプ13が所定量回転したか否かの何れかを判定するようにしてもよく、更にはこれら判定を組み合わせて行わせるようにしてもよい。
【0034】
S5にて測定手段12にて測定される液圧が所定圧力に到達したと判定されると、S6に進み、補液ポンプ13を停止させる(S6)。かかる状態にて、測定手段12の測定値(液圧)を記憶手段16にて記憶させ、液圧(B)とし(S7)、所定時間(例えば4秒程度)安定待ちを行わせる(S8)。このS8における安定待ち時間を長く設定すれば精度を高くすることができる。更に、測定手段12の測定値(液圧)を記憶手段16にて記憶させ、液圧(C)とする(S9)。
【0035】
その後、判定手段17によって、記憶手段16で記憶された液圧(A)と液圧(B)及び液圧(B)と液圧(C)とを比較し(S10)、当該液圧(A)と液圧(B)との比較に基づいて加圧が正常に行われたか否かが判定されるとともに、当該液圧(B)と液圧(C)との比較に基づいて漏れがないか否かが判定される(S11)。而して、加圧が正常に行われており、且つ、漏れがないと判定されると、合格であると判定されて採取口11に対する補液ラインL8の接続が正常であると認識される一方、加圧が正常に行われていない、又は、漏れがあると判定されると、不合格であると判定されて採取口11に対する補液ラインL8の接続が不良であると認識される。
【0036】
上記構成によれば、採取口11が形成された所定部位を含む透析液導入ラインL1側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、補液ポンプ13を駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して採取口11に対する補液ラインL8の接続確認のためのテスト工程が行われるので、採取口11に対する補液ラインL8の接続確認を自動的に行わせて当該補液ラインL8の接続忘れを防止することができる。
【0037】
また、補液ラインL8には、その流路を開閉し得るクランプ手段14が配設されるとともに、テスト工程において補液ラインL8の接続確認と共に当該クランプ手段14の開閉確認が行われ得るので、当該補液ラインL8の接続忘れの防止に加えて当該クランプ手段14の開動作忘れを防止することができ、補液ラインL8における透析液の流通をより確実に行わせることができる。
【0038】
更に、テスト工程において補液ポンプ13を逆転駆動させることにより閉回路に対して正圧を付与するので、採取口11に対する補液ラインL8の接続確認を行う際、当該接続が不良である場合の確認をより精度よく行わせることができる。また更に、テスト工程において補液ポンプ13を駆動させた状態の閉回路内の液圧を測定可能な測定手段12と、測定手段12の測定値に基づき、補液ラインL8が採取口11に正常に接続されているか否かを判定する判定手段17とを具備したので、更に精度よく採取口11に対する補液ラインL8の接続確認を自動的に行わせることができる。
【0039】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばテスト工程において補液ポンプ13を正転駆動させることにより閉回路に対して負圧を付与するものとしてもよい。また、液圧を測定するための測定手段12は、テスト工程で形成される閉回路内に配設されていれば足り、例えば分岐ラインL7や透析液導入ラインL1に接続されるようにしてもよい。尚、本実施形態においては、補液ラインL8の他端を動脈側血液回路2の動脈側エアトラップチャンバ5又は静脈側血液回路3の静脈側エアトラップチャンバ6に接続させているが、動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3の他の部位に接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
採取口が形成された所定部位を含む透析液導入ライン側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、補液ポンプを駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して採取口に対する補液ラインの接続確認のためのテスト工程が行われる血液浄化装置であれば、他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…ダイアライザ(血液浄化器)
2…動脈側血液回路
3…静脈側血液回路
4…血液ポンプ
5…動脈側エアトラップチャンバ
6…静脈側エアトラップチャンバ
7…複式ポンプ
8、9…濾過フィルタ
10…除水ポンプ
11…採取口
12…測定手段
13…補液ポンプ
14…クランプ手段
15…制御手段
16…記憶手段
17…判定手段
18…蓋部材
19…シャフト
20…スプリング
21…マグネット
22…リードスイッチ
23…コネクタ部材
L1…透析液導入ライン
L2…透析液排出ライン
L8…補液ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化膜を内在するとともに当該血液浄化膜にて血液浄化を施す血液浄化器と、
基端が前記血液浄化器に接続され、その途中において血液ポンプが配設された動脈側血液回路と、
基端が前記血液浄化器に接続された静脈側血液回路と、
前記血液浄化器に透析液を導入する透析液導入ラインと、
前記血液浄化器から透析液を排出する透析液排出ラインと、
一端が前記透析液導入ラインの所定部位に形成された採取口に接続されるとともに、他端が前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された補液ラインと、
該補液ラインに配設され、前記透析液導入ラインの透析液を前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給させ得る補液ポンプと、
を具備した血液浄化装置であって、
前記採取口が形成された所定部位を含む透析液導入ライン側の透析液の流路において閉回路が形成されるとともに、前記補液ポンプを駆動させつつ当該閉回路内の液圧を測定して前記採取口に対する前記補液ラインの接続確認のためのテスト工程が行われることを特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
前記補液ラインには、その流路を開閉し得るクランプ手段が配設されるとともに、前記テスト工程において前記補液ラインの接続確認と共に当該クランプ手段の開閉確認が行われ得ることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記テスト工程において前記補液ポンプを逆転駆動させることにより前記閉回路に対して正圧を付与することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記テスト工程において前記補液ポンプを駆動させた状態の前記閉回路内の液圧を測定可能な測定手段と、
該測定手段の測定値に基づき、前記補液ラインが前記採取口に正常に接続されているか否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161060(P2011−161060A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28183(P2010−28183)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】