説明

血液癌の処置方法

本発明は、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体モジュレーター、または薬学的に許容されるこれらの塩を含む組合せ、血液癌の処置用薬剤を調製するためのかかる組合せの使用、かかる組合せを含む商品パッケージまたは商品、および温血動物、特にヒトの処置方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体モジュレーター、または薬学的に許容されるこれらの塩を含む組合せ、血液癌の処置用薬剤を調製するためのかかる組合せの使用、かかる組合せを含む商品パッケージまたは商品、および温血動物、特にヒトの処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)は、発生、代謝、血管新生、アポトーシス、増殖および遊走を含む、広範囲の生物活動の主要な調節因子である、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーを含む。FGFRおよび他のRTKは、その影響が広範であるため、高度に調節されており、通常は基礎的な活性を示すのみである。
【0003】
疫学研究によると、ヒトの癌におけるFGF/FGFRの遺伝子変化および/または異常な発現が報告されている。すなわちFGFR1が他の遺伝子に転座し融合することによってFGFR1キナーゼの恒常的活性化が生じることが、8p11骨髄増殖性障害の原因である(MacDonald D & Cross NC, Pathobiology 74:81-8 (2007))。乳房腫瘍におけるFGFR1、FGFR2およびFGFR4について、遺伝子増幅およびタンパク質の過剰発現が報告されている(Adnane J et al., Oncogene 6:659-63 (1991); Jaakkola S et al., Int. J. Cancer 54:378-82 (1993); Penault-Llorca F et al., Int. J. Cancer 61: 170-6 (1995); Reis-Filho JS et al., Clin. Cancer Res. 12:6652-62 (2006))。FGFR2の体細胞活性化突然変異は、胃癌(Jang JH et al., Cancer Res. 61:3541-3 (2001))および子宮内膜癌(Pollock PM et al., Oncogene (May 21, 2007))において公知である。14q32におけるイムノグロブリンg(immunoglobuling)の重鎖スイッチ領域内に、4p16が反復的に染色体転座することによって、多発性骨髄腫におけるFGFR3の調節困難な過剰発現が生じ(Chesi M et al., Nature Genetics 16:260-264 (1997); Chesi M et al., Blood 97:729-736 (2001))、FGFR3の特異的領域での体細胞変異であって、この受容体のリガンド非依存的、恒常的活性化を起こす体細胞変異が、膀胱癌および多発性骨髄腫において確認されている(Cappellen D et al., Nature Genetics 23:18-20 (1999); Billerey C et al., Am. J. Pathol. 158(6):1955-9 (2001); van Rhijn BWG et al., Eur. J. Hum. Genet. 10: 819-824 (2002); Ronchetti C et al., Oncogene 20: 3553-3562 (2001))。
【0004】
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞のクローン性増殖によって特徴づけられる、終末分化したB細胞の不治の悪性腫瘍である。MMの症例の約15%〜20%がt(4;14)(p16.3;q32.3)転座を伴い、2つの推定癌遺伝子、MMSETおよびFGFR3の調節困難な発現が生じた(Chesi M et al., Nat. Genet. 16: 260-264 (1991))。この転座事象によって予後が特に不良となり、常用量または高用量の化学療法のいずれを行っても、生存率は大幅に短くなっている(Morealu P et. Al., Blood 100: 1579-1583 (2002))。これらの患者の約10%において、さらなる予後不良因子であるFGFR3で活性化突然変異がさらに生じている(Intini D et at., Br. J. Haematol., 114: 362-364 (2001))。FGFR3の活性を阻害すると、FGFR3関連MMの細胞株および動物モデルにおいて腫瘍成長が阻害され、治療として適切であることの裏付けとなっている(Trudel S et al., Blood 107: 4039-4046 (2006); Xin X et al., Clin. Can. Res., 12: 4908-4915 (2006))。
【0005】
グルココルチコイド(GC)は、視床下部−下垂体−副腎系がサイトカイン刺激を受けた後、副腎から産生されるステロイドホルモンである。すべての天然のステロイドホルモンは、共通の多環構造を共有し、その作用に特異性を与える、ステロイド核に結合した追加の化学基を有する。デキサメタゾン(Dex)は合成のステロイド系グルココルチコイドであり、フッ素原子が付加した多環構造である(Clark R. D. Cur. Top. Med. Chem., 8: 813-838 (2008))。フッ素は代謝を遅くすることで薬効を高め、Dexの受容体であるグルココルチコイド受容体(GR)に対するその親和性も高める(Tannock I. F., The Basic Science of Oncology, Ed 2, p. 420. Toronto: McGraw-Hill, Inc., 1992)。GRは核内受容体タンパク質ファミリーの一員である。GCが存在しなければ、GRは、熱ショックタンパク質90(hsp90)、熱ショックタンパク質70(hsp70)、およびイムニフィリン(immuniphilin)FKBP52(FK506結合タンパク質52)を含む種々のタンパク質と複合して、サイトゾル中に存在する。デキサメタゾン、または内因性グルココルチコイド(glucocortiod)ホルモンであるコルチゾールは、細胞膜を通って細胞質中に拡散し、GRと結合する結果、熱ショックタンパク質が放出され、GC−GR複合体が核内に転座する。核内で、GRはホモダイマー(homodimmers)を形成してDNA上のグルココルチコイド応答配列(GRE)に結合し、転写促進をすることができる。あるいは、GRは、NFkBおよびAP−1などの、他の転写因子とヘテロダイマー化(heterodimmerize)し、それらの標的遺伝子の転写(transcripton)を防ぐことができる。これは転写抑制と呼ばれる現象である(Hayashi R. et al., Eur. J. Pharmacol., 500: 51-62, (2004))。GRを通して、GCは、免疫応答、代謝、細胞成長および増殖、発生、ならびに生殖を含む種々の生物学的プロセスの調節に関与している。
【0006】
早くも1940年代に、グルココルチコイドは白血病腫瘍の成長を阻害するのに効果的であることが発見され、その後、小児急性リンパ性白血病(ALL)の処置における第一選択薬として導入された。後の研究で、GCは胸腺細胞および白血病細胞内のアポトーシスの強力な誘導物質であることが示され、その臨床的有用性の根拠となった。現在GCは、自己免疫疾患および炎症性疾患における抗炎症薬としての広範な使用に加えて、ALL、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)および非ホジキンリンパ腫など、種々の血液悪性腫瘍の処置において中心的要素を成している(Sionov RV et al., Cel. Cycl., 5:10: 1017-1026 (2006))。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、グルココルチコイド受容体のモジュレーターが、FGFR阻害剤の抗増殖活性を増強することができることを発見した。したがって、血液癌の薬物治療を改善するための薬剤を提供することが本発明の目的である。これに関する「血液癌」という用語は、血液悪性腫瘍を含む。血液悪性腫瘍は、血液、骨髄、およびリンパ節を冒すタイプの癌である。
【0008】
本明細書で言及する血液癌は、好ましくは多発性骨髄腫(MM)である。特に、かかる多発性骨髄腫は、t(4,14)染色体転座および/またはFGFR3の過剰発現を伴う多発性骨髄腫である。
【0009】
本発明は、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーターを含む組合せが、治療有効量のFGFR阻害剤またはグルココルチコイド受容体のモジュレーターのいずれか一方の単独投与によって得られる治療効果より大きな治療効果を生じ得ることを報告している。さらに、本発明は、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーターを含む組合せが、強力な相乗効果を生むことを報告している。
【0010】
本発明は、組合せ製剤または医薬合剤など、同時使用、別時使用または順次使用するための組合せにも関する。合剤とは、1つの剤形中、たとえば1つの錠剤中または1つのカプセル剤中に存在する双方の活性成分を指す。本発明の組合せは、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーターを含み、活性成分(a)および(b)が、それぞれ遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在し、任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。
【0011】
本明細書で使用する「組合せ製剤」または「組合せ」という用語は、本明細書で定義される組合せ相手(a)および(b)が、互いに独立に、または組合せ相手(a)および(b)の各量が異なる、相異なった合剤の使用によって、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与することができるという意味で、特に「キットオブパーツ」を定義する。したがって、キットオブパーツのパーツは、たとえばキットオブパーツのいずれのパーツについても、同時に、または時差をつけて、すなわち異なる時点で、等しいかまたは異なる時間間隔をおいて投与することができる。時間間隔は、パーツの併用時に処置される疾患に対する効果が、組合せ相手(a)および(b)のいずれか一方のみの使用によって得られると思われる効果より大きくなるように選択されることがきわめて好ましい。組合せ製剤において、投与されるべき組合せ相手(b)に対する組合せ相手(a)の総量比は、たとえば、処置対象の患者亜集団のニーズまたは単一患者のニーズに対処するために、様々となり得る。ニーズが異なるのは、患者の年齢、性別、体重などによるためである。少なくとも1つの有益な効果、たとえば、組合せ相手(a)および(b)の効果の相互増強、特に相乗作用、たとえば相加効果を超える効果と、追加の有利な効果、副作用の低減、組合せ相手(a)および(b)の一方または両方の無効投与量での併用治療効果があることが好ましく、組合せ相手(a)および(b)の強力な相乗作用があることがきわめて好ましい。
【0012】
「処置」という用語は、疾患を治癒する、または疾患の軽減もしくは疾患の進行の遅延に効果を与える目的で、かかる処置を必要とする温血動物、好ましくはヒトに、組合せ相手同士を投与することを含む。
【0013】
したがって、本発明は、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーター、または、それぞれ薬学的に許容されるこれらの塩の組合せに関する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は、血液癌に対して共働して治療効果のある量を含み、組合せ相手(a)および(b)を含む組合せを提供する。これによって、組合せ相手(a)および(b)は、1つの組合せ単位剤形または2つの別々の単位剤形で、一緒に、順次に、または別々に投与することができる。単位剤形は合剤でもよい。
【0015】
本発明による組合せは、それ自体が公知の方法で調製することができ、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)に経口または直腸投与などの経腸投与、および非経腸投与をするのに好適なものであり、治療有効量の少なくとも1つの薬理学的に活性である組合せ相手を、単独で、または特に経腸もしくは非経腸適用に好適な1つもしくは複数の薬学的に許容される担体(carries)と組み合わせて含む。本発明の1つの実施形態において、1つまたは複数の活性成分が経口投与される。
【0016】
さらなる実施形態は、血液癌の処置用に本発明の組合せを使用することに関する。さらなる実施形態は、血液癌の処置用薬剤を製造するために本組合せを使用することに関する。さらなる実施形態は、FGFR阻害剤およびグルココルチコイド受容体のモジュレーター、または、それぞれ薬学的に許容されるこれらの塩の組合せで血液癌を処置する方法に関する。本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載の本発明による組合せを、血液癌の処置における、その同時使用、別時使用、または順次使用の説明書と一緒に含む商品パッケージに関する。
【0017】
本発明のさらなる実施形態は、本発明による組合せを調製するために、すなわち、グルココルチコイド受容体のモジュレーター、特にデキサメタゾンとの組合せを調製するために、化合物Aを使用することに関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多発性骨髄腫細胞株KMS−11において観察された、化合物Aとデキサメタゾンの間の相乗効果を示すグラフである。 KMS−11細胞を、化合物Aおよびデキサメタゾン、またはデキサメタゾン単独でそれぞれ72時間処理した。化合物Bおよびデキサメタゾンの組合せとの比較が示されている。
【図2】多発性骨髄腫細胞株OPM−2において観察された、化合物Aとデキサメタゾンの間の相乗効果を示すグラフである。 OPM−2細胞を、化合物Aおよびデキサメタゾン、またはデキサメタゾン単独でそれぞれ72時間処理した。化合物Bおよびデキサメタゾンの組合せとの比較が示されている。 細胞生存率をCellTiter GLOで測定した。図1および2の組合せトリーメンツ(treaments)において、Y軸は細胞生存率であり、これをデキサメタゾン単独で処理したウェルで標準化した。
【図3】多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2において観察された、化合物Aと、2つの合成グルココルチコイド、デキサメタゾンおよびシコルテンとの間の相乗効果を示すグラフである。
【図4】多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2において観察された、化合物Bと、2つの合成グルココルチコイド、デキサメタゾンおよびシコルテンとの間の相乗効果を示すグラフである。
【図5】多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2における、化合物E(PD173074)と1つの合成グルココルチコイドとデキサメタゾンとの間の相乗効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
FGFRに対する高選択性または中選択性の、いくつものFGFR阻害剤が開示されている。
【0020】
WO06/000420およびWO07/071752は、FGFRに対して高選択性の一群の化合物を開示している。これにより、両公開を参照によって本願に組み込むものとする。
【0021】
本発明によるFGFR阻害剤(a)の例は、式IA
【0022】
【化1】

の化合物
[式中、
X、YおよびZのうち2つがN(窒素)であり、第3がCHまたはN(好ましくはYおよびZがN、ZがCH)であり、
この場合、
はヒドロキシ、フェニル−C〜C−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イルもしくは4−(フェニル−C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イルによって置換されているフェニル、または(i)ハロもしくはC〜C−アルコキシによって、およびさらに(ii)ヒドロキシ、フェニル−C〜C−アルキルオキシ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルキル、ピロリジノ−C〜C−アルコキシ、1−(C〜C−アルキル)−ピペリジン−4−イル、モルホリノ−C〜C−アルコキシ、チオモルホリノ−C〜C−アルコキシ、ピペラジン−1−イル、4−(フェニル−C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−C〜C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルコキシ、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−C〜C−アルコキシ、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−カルボニルによって置換されているフェニルであり、
は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシまたはハロであり、
は水素、C〜C−アルキルまたはフェニル−C〜C−アルキルであり、
各Rは他と独立に、C〜C−アルキル、ハロ−C〜C−アルキル、ハロまたはC〜C−アルコキシであり、
nは0、1、2、3、4または5であるか、
または
はヒドロキシ、フェニル−C〜C−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イル、4−(フェニル−C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルキル、ピロリジノ−C〜C−アルコキシ、1−(C〜C−アルキル)−ピペリジン−4−イル、モルホリノ−C〜C−アルコキシ、チオモルホリノ−C〜C−アルコキシ、4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−C〜C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−C〜C−アルコキシ、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−C〜C−アルコキシ、[4−(C〜C−アルキル)−ピペラジン−1−イル]−カルボニルによって置換されているフェニル、または本段落にこれまで記載した置換基(substitutents)の1つ、ならびにさらにハロおよびC〜C−アルコキシから選択される置換基を有するフェニルであり、
は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシまたはハロであり、
は水素、C〜C−アルキルまたはフェニル−C〜C−アルキルであり、
は水素(好ましい)、C〜C−アルキルまたはフェニル−C〜C−アルキルであり、
nは3、4または5であり、Rは、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよびハロの各々のうち少なくとも1つが存在するという条件で、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよびハロから選択されるか、
nは2であり、1つのRはハロ−C〜C−アルキルであり、他方のRはC〜C−アルコキシであるか、
nは3、4または5であり、Rは、ハロ、ヨードおよびC〜C−アルコキシの各々のうち少なくとも1つが存在するという条件で、ハロ、ヨードおよびC〜C−アルコキシから選択されるか、
nは3、4または5であり、Rは、ハロ、ハロ−C〜C−アルキルおよびC〜C−アルコキシの各々のうち少なくとも1つが存在するという条件で、ハロ、ハロ−C〜C−アルキルおよびC〜C−アルコキシから選択されるかのいずれか1つである
かのどちらか一方である、
あるいは
YおよびZがN(窒素)であり、XがCHであり、
この場合、
はN−C〜C−アルキル−ピペラジン−1−イルによって一置換されている3−ピリジルであり、
は水素であり、
は水素であり、
各Rは、他と独立に、C〜C−アルキル、ハロ−C〜C−アルキル、ハロ、またはC〜C−アルコキシであり、
は水素であり、
nは1、2、3、4または5である]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rは水素であり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは3−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは4−(1−エチル−ピペリジン−4−イル)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは4−(4−エチル−ピペアジン(pipeazin)−1−イル)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはエチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]および/または
あるいは
式IAの化合物
[式中、Rは4−(4−エチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニルアミノであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rは2−および6−クロロならびに3−および5−メトキシであり、nは4であり、Rは水素であり、YおよびZはNであり、XはCHである]
あるいは2つ以上の式IAの化合物の混合物、
あるいはその塩、プロドラッグ、N−オキシドおよびまたはエステル
である。
【0023】
式IAによる化合物の例には、1−[6−(4−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−[6−(4−ヒドロキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−1−メチル−尿素、1−{6−[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−[6−(4−ピペラジン−1−イル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[2−フルオロ−4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−3−フルオロ−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−{6−[3−クロロ−4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、1−{6−[2−クロロ−4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−尿素および3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、またはこれらの塩、プロドラッグ、N−オキシドおよびもしくはエステルがある。
【0024】
式IAのさらなる化合物には、1−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−3−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−{6−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−メチル−(6−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニルアミノ}−ピリミジン−4−イル)−尿素、3−(2−クロロ−6−ヨード−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ}−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−{6−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−[6−(3−ジメチルアミノメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−{6−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−メチル−1−{6−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−1−メチル−1−{6−[3−フルオロ−4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素および3−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、またはこれらの塩、プロドラッグ、N−オキシドおよびもしくはエステルがある。
【0025】
式IAのさらなる化合物には、1−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−3−{6−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−{6−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−{6−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−エチル−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−尿素、および3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、またはこれらの塩、プロドラッグ、N−オキシドおよびもしくはエステルがある。
【0026】
式IAのさらなる化合物には、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、および3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[6−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素、またはこれらの塩、プロドラッグ、N−オキシドおよびもしくはエステルがある。
【0027】
したがって、本明細書で使用する「FGFR阻害剤」という表現は、式IAの化合物を含む。特に、FGFR阻害剤は、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素、または薬学的に許容されるその塩を含み、本明細書では化合物Aと称する。化合物Aは、機能獲得型変異体、FGFR3−Y373CおよびFGFR3−K650Eをそれぞれもつ2つのt(4;14)多発性骨髄腫細胞株、KMS−11およびOPM−2において、FGFR1〜4に対して高度に選択的な低分子量阻害剤である(WO2006/000420の例145)。
【0028】
FGFR阻害剤の別の例は、WO02/22598の例109の化合物、すなわち4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]キノリン(quinolin)−2(1H)−オンであり、本明細書では化合物Bと称する。
【0029】
さらなるFGFR阻害剤が開示されている。たとえば、ブリバニブ(化合物C)は、WO2004/009784の例15で、(2R)−1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ]−プロパン−2−オールとして開示されている。化合物Dは、WO2009/153592の例1(b)で、(R)−N−(3−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−(3,4−ジメチル−ピペラジン−1−イル)ベンズアミドとして開示されている。別のFGFR阻害剤は、WO07/071752の例14の化合物、すなわち3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−[6−(4−ピペラジン−1−イル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−尿素(化合物F)である。
【0030】
PD173074(化合物E)、1−tert−ブチル−3−[6−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−(4−ジエチルアミノ−ブチルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−尿素は、Parke DavisのFGF−R特異的阻害剤として開示されている(Mohammadi et al., 1998, EMBO J. 17: 5896-5904)。
【0031】
本明細書で使用する「グルココルチコイド受容体のモジュレーター」という表現は、グルココルチコイド受容体に結合してその機能を調節する、天然または合成の、ある種のステロイドホルモンを指す。好ましくは、GR調節剤はGR活性化剤であり、デキサメタゾンおよびハロメタゾン(Halomethasone)を含むがこれらに限定されない。広く、好ましく使用されるGR調節剤はデキサメタゾンまたはハロメタゾン(Halomethasone)である。
【0032】
好ましい実施形態において、グルココルチコイド受容体のモジュレーターは、デキサメタゾン、たとえばClark R. D. in Cur. Top. Med. Chem., 8: 813-838 (2008))によって記載された化合物である。
【0033】
別の好ましい実施形態において、グルココルチコイド受容体のモジュレーターはハロメタゾンである。
【0034】
このように、本発明は、組合せ製剤または医薬合剤など、同時使用、別時使用または順次使用するための組合せに関し、組合せは、(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーターを含み、活性成分(a)および(b)が、それぞれ遊離型または薬学的に許容される塩の形態で存在し、任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。
【0035】
1つの実施形態において、FGFR阻害剤は、遊離型、複合型、または薬学的に許容されるその塩で、
(1)3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素;
(2)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]キノリン(quinolin)−2(1H)−オン;
(3)(2R)−1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ]−プロパン−2−オール;
(4)(R)−N−(3−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−(3,4−ジメチル−ピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(5)1−tert−ブチル−3−[6−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−(4−ジエチルアミノ−ブチルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−尿素;および
(6)3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−[6−(4−ピペラジン−1−イル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−尿素
からなる群から選択される。
【0036】
1つの実施形態において、グルココルチコイド受容体のモジュレーターは、(1)デキサメタゾンおよび(2)ハロメタゾンからなる群から選択される。
【0037】
1つの好ましい実施形態において、FGFR阻害剤は、遊離型、複合型、または薬学的に許容されるその塩で、
(1)3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素;および
(2)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]キノリン(quinolin)−2(1H)−オン
からなる群から選択される。
【0038】
1つの好ましい実施形態において、グルココルチコイド受容体のモジュレーターはデキサメタゾンである。
【0039】
したがって、本発明のきわめて好ましい実施形態は、遊離型、複合型、またはそれぞれ薬学的に許容されるその塩の3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素と、デキサメタゾンとの組合せに関する。
【0040】
本発明の別のきわめて好ましい実施形態は、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]キノリン(quinolin)−2(1H)−オン、またはそれぞれ薬学的に許容されるその塩とデキサメタゾンとの組合せに関する。
【0041】
さらなる実施形態は、血液癌を処置するために本発明の組合せを使用することに関する。さらなる実施形態は、血液癌処置用薬剤を製造するために、かかる組合せを使用することに関する。1つの好ましい実施形態において、血液癌は多発性骨髄腫である。
【0042】
さらなる実施形態は、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素およびデキサメタゾン、またはそれぞれ薬学的に許容されるこれらの塩の組合せで血液癌を処置する方法に関する。
【0043】
本発明は、1つの態様において、血液癌、好ましくは多発性骨髄腫の処置用に、デキサメタゾンまたはシコルテン(Sicorten)と組み合わせて使用される薬剤を製造するために、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素を使用することを提供する。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は上記の本発明を例示するものであるが、しかし、決して、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者にそのようなものとして公知の他の試験モデルも、特許請求する本発明の有益な効果を確定し得る。
[図面の簡単な説明]
【0045】
図1は、多発性骨髄腫細胞株KMS−11において観察された、化合物Aとデキサメタゾンの間の相乗効果を示すグラフである。
KMS−11細胞を、化合物Aおよびデキサメタゾン、またはデキサメタゾン単独でそれぞれ72時間処理した。化合物Bおよびデキサメタゾンの組合せとの比較が示されている。
図2は、多発性骨髄腫細胞株OPM−2において観察された、化合物Aとデキサメタゾンの間の相乗効果を示すグラフである。
OPM−2細胞を、化合物Aおよびデキサメタゾン、またはデキサメタゾン単独でそれぞれ72時間処理した。化合物Bおよびデキサメタゾンの組合せとの比較が示されている。
細胞生存率をCellTiter GLOで測定した。図1および2の組合せトリーメンツ(treaments)において、Y軸は細胞生存率であり、これをデキサメタゾン単独で処理したウェルで標準化した。
図3aおよび3bは、多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2において観察された、化合物Aと、2つの合成グルココルチコイド、デキサメタゾンおよびシコルテンとの間の相乗効果を示すグラフである。
図4aおよび4bは、多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2において観察された、化合物Bと、2つの合成グルココルチコイド、デキサメタゾンおよびシコルテンとの間の相乗効果を示すグラフである。
図5aおよび5bは、多発性骨髄腫細胞株KMS−11およびOPM−2における、化合物E(PD173074)と1つの合成グルココルチコイドとデキサメタゾンとの間の相乗効果を示すグラフである。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
本発明者らは、数種のFGFR阻害剤およびグルココルチコイドが、多発性骨髄腫細胞株の増殖の阻害において、著しい相乗効果を有することを証明した。この相乗作用は、広範囲の濃度にわたるFGFR阻害剤で観察された。たとえば、増殖の阻害を50%実現するために必要な化合物Aの濃度は、デキサメタゾンによって、少なくとも100万倍低減することができる。
【0050】
方法
化合物の調製
すべてのFGFR阻害剤を、10mMのストックとしてDMSO中に溶解した。各図に示したように、段階希釈液を、細胞培養液中に3x溶液として作製し、その後細胞培養物に添加した。デキサメタゾンおよびハロメタゾンを、10ミリモルのマスターストックとして100%のエタノール中に溶解した。各図に示したように、段階希釈液を、細胞培養液中に3x溶液として作製した。細胞株、細胞培養物および処理は以下の通りである。
【0051】
KMS−11およびOPM−2細胞株は、HSRRB(日本)およびDSMZ(ドイツ)からそれぞれ購入することができる。処理前に、初期継代のKMS−11およびOPM−2細胞株を、10%のFBSを添加したRPMI−1640(ATCCカタログ#30−2001)中で1または2継代培養した。2万個の細胞を96ウェルプレートの各ウェル中に播種し、24時間培養した。その後、細胞を、ビヒクル、FGFR阻害剤(化合物A、B)、グルココルチコイド(デキサメタゾンまたはハロメタゾン)単独、または組合せを用いて、3通りで、指定した濃度で、5%C0中で、37Cで72時間処理した。生存率は、CellTiter GLO(Promega、Cat#G755B)によって、製造者が記載したものと同一の方法を使用して測定した。データの分析は以下の通りである。
【0052】
未処理のCellTiter GLO相対蛍光単位(RFU)値を、マイクロプレートリーダー(PerkinElmer、正確には、Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)を使用して得た。CombinatoRx(Zalicus Inc.、Cambridge、MA、USA)の開発によるChaliceソフトウェアを使用して、データ分析を行った。具体的には、実施例中で組合せの参照として、Loewe相加(ADD)モデルを使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)FGFR阻害剤および(b)グルココルチコイド受容体のモジュレーターが、それぞれ遊離型、複合型、または薬学的に許容される塩の形態で存在する、(a)および(b)の組合せ。
【請求項2】
前記FGFR阻害剤が、
(1)3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素;
(2)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]キノリン(quinolin)−2(1H)−オン;
(3)(2R)−1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ]−プロパン−2−オール;
(4)(R)−N−(3−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−(3,4−ジメチル−ピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
(5)1−tert−ブチル−3−[6−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−2−(4−ジエチルアミノ−ブチルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−尿素;および
(6)3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−メチル−1−[6−(4−ピペラジン−1−イル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−尿素
からなる群から選択される、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記FGFR阻害剤が、遊離型、複合型、または薬学的に許容される塩の形態の3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
前記グルココルチコイド受容体のモジュレーターがデキサメタゾンまたはハロメタゾンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
前記FGFR阻害剤が、遊離型、複合型、または薬学的に許容される塩の形態の3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素であり、前記グルココルチコイド受容体のモジュレーターがデキサメタゾンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項6】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
同時使用、別時使用、または順次使用のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
合剤である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項9】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項8に記載の組合せ。
【請求項10】
血液癌の処置において使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項11】
前記血液癌が多発性骨髄腫である、請求項10に記載の組合せ。
【請求項12】
血液癌の処置用薬剤を製造するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項13】
グルココルチコイド受容体のモジュレーターと組み合わせて使用される薬剤を調製するための、遊離型、複合型、または薬学的に許容される塩の形態の3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ペルパジン(perpazin)−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル尿素の使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せを、血液癌の処置において、その同時使用、別時使用、または順次使用の説明書と一緒に含む、商品パッケージ。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せを、ヒトの患者に投与することを含む、ヒトの患者における血液癌の処置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−514986(P2013−514986A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544869(P2012−544869)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060956
【国際公開番号】WO2011/075620
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】