説明

血液透析患者における血管アクセスの保存

本発明は、一般的には血液透析の分野に関し、血液透析治療を改善するために用いることができる方法およびキットを含む。本発明は、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させ、血管アクセス部位を患者において用いることができる期間を延長させるのに有用な方法およびキットを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月12日に出願された米国仮特許出願第60/502,878号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
1. 序論
本発明は、一般的には、血液透析の分野に関し、血液透析治療を改良するのに用いることができる方法およびキットを含む。より具体的には、本発明は、血液透析治療に関連する短期および/もしくは長期の血管アクセス合併症を低減させる方法、例えば、血液透析治療に関連する血管アクセス相互作用の平均数を減少させる方法、血液透析治療に関連する感染率を低下させる方法、または血液透析期間の大部分について、約1〜約14分間、血管アクセス部位に加えられる圧力の時間を減少させることにより、血液透析血管アクセス部位へのアクセスを保存する方法に関する。本発明はまた、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症の低減、例えば、血管アクセス部位を置換するか、もしくは修復する介入の平均数の減少、血液透析治療に関連する感染率の低下、または血液透析血管アクセス部位へのアクセスの保存を達成するための組成物および説明書を含むキットも提供する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景
末期腎臓病(ESRD)患者のための維持血液透析には、人工腎臓への迅速な体外血流を可能にする大血管への反復的なアクセスの信頼できる手段が必要である。典型的には、動脈および静脈を縫合して、数ヶ月に渡って成熟点を拡大するフィステルを形成させる。合成移植片も用いる。
【0004】
自然の静脈動静脈フィステルおよび合成移植片を介して透析治療を受ける血液透析患者は、典型的には週に2〜3回、14〜17ゲージ針を用いる、皮膚、皮下組織、および血管アクセスの穿刺を受ける。この手順が終了し、針を皮膚から除去する時、多くの患者が、標準的な治療が少なくとも15〜20分間、穿刺部位で血液透析後の圧迫を含むような長時間に渡って穿刺部位から出血する。
【0005】
問題は一般的には、反復的な血管アクセス、すなわち、循環へのアクセスと関連し、過形成、血栓症、血腫、静脈狭窄、動脈狭窄、血管閉塞、感染症、および病的状態が挙げられる。血栓症、すなわち、血液凝塊は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)移植片における事例の50%を占めるアクセス不全の主要な原因である。解剖学的病変を同定することができる状況においては、その病理は内膜過形成であることが見出された。血管アクセス合併症の他の原因としては、静脈または動脈の狭窄および感染症(Mayers 1992, ASAIO J. 38: 113-115)が挙げられる。血管アクセス部位とのこれらの合併症は、血管アクセス部位の阻止または狭窄をもたらし、その結果、新しい血管アクセス部位を修復し、置換するか、または作製するための外科手術の発生率の増加をもたらす。血管アクセス部位の分解も、一時的なカテーテルの使用または血流の減少を介して送達される透析用量の減少をもたらす(HakimおよびHimmelfarb, 1998, Kidney International, 54: 1029-1040)。Schwabは、60日間成熟させた、A-Vフィステルを有する血液透析患者の30%は血液透析治療の約800日後に介入を必要とし、A-V移植片を有する血液透析患者の80%が血液透析治療の約800日後に介入を必要とすることを見出した。血液透析治療の400日後に、A-Vフィステル患者の約18%およびA-V移植片患者の50%が介入を必要とし、約200日後にA-Vフィステルの10%およびA-V移植片患者の30%が介入を必要とした(Schwab, 1999, Kidney International, 55: 2078-2090)。
【0006】
血液透析血管アクセスはまた、限定されるものではないが、Staphylococcus aureusおよびEnterococcus spp.などのスタフィロコッカス生物により主として引き起こされる、感染症および菌血症の主要な危険因子である(NassarおよびAyus, 2001, Kidney International 60: 1-13; Tokarsら、2002, AJIC 30: 288-295)。これらの感染症および菌血症は、血管アクセス部位における分解および血管アクセス部位の外科的置換などの合併症をもたらす。他の合併症としては、感染性心内膜炎、敗血症性関節炎、硬膜外膿瘍、敗血症性肺塞栓症、および骨髄炎が挙げられる。感染症および菌血症を、臨床的に診断するか、または血管アクセス部位の白血球標識インジウム走査を実施して、感染の臨床徴候が明らかでないか、もしくは明らかである感染症を同定することができる。当業者であれば、そのような走査を実施し、感染症または生じる血管アクセス合併症を同定する方法を知っているであろう。
【0007】
血管アクセス合併症の病理学および危険因子が研究されてきた。年齢、糖尿病、合成移植片の使用、57 mg/dL以上のリポタンパク質(a)(Lp(a))の血清レベル、血清フィブロネクチン、石灰化、アポリポタンパク質(a)の血清レベル、血液透析後または睡眠中の血管アクセス部位の過剰な圧迫、乱れた血流および血圧の低下が、アクセス閉塞の素因として同定されてきた(Berkoben, 1995, ANNA J. 22: 17-24; Butterly, 1994, Adv. Ren Rep. Thpy. 1: 163-166; Goldwasser 1994, AJKD 24: 785-794; Astorら、2002, Kidney International 61: 1115-1123)。血管アクセス合併症の原因は複数の因子であると示唆されており、ほとんど理解されていない(Goodwasser, 1994, AJKD 24: 785-794; Schwab, 1989, Kidney International, 36: 707-711;およびWindus, 1997, AJKD 29(4): 560-564)。
【0008】
血液透析患者はまた、尿毒症により誘導される血小板機能不全および効果のない血小板-血管相互作用に起因して出血傾向が増加する。血液透析患者においては、透析手順の間のヘパリンの連続的注入の結果として得られる全身的抗凝固により、出血延長の危険性がさらに増加する(Di Minnoら、1985, Am. J. Med. 79:552-559)。これらの患者の多くは、心血管危険因子の高い発生率を有する。Department of Anesthesiology of the Mayo Clinicによって行われた遡及的研究は、1986年〜1991年におけるA-Vフィステルの作製を必要とする全ての患者について、92%が高血圧に罹患し、86%が冠状動脈疾患に罹患し、および42%が以前に心筋梗塞に罹患していると報告した(Solomonson, 1994, Anesth. Analg. 79:694-700)。この群の患者の多くは、アスピリンまたはワルファリンを用いた予防的抗凝固治療の途上になければならない。さらに、高血圧またはうっ血性心不全を治療するのに一般的に用いられるチアジド利尿剤は巨核球産生を弱め、この薬剤を中止した後数ヶ月に渡って持続するかもしれない軽度の血小板減少症をもたらし得る(Harrison's Principles of Internal Medicine 第13版, 1994, p.1799)。
【0009】
止血、すなわち、出血の停止または中断は、血液透析患者においてはしばしば妥協している。ESRD患者と関連する異常な止血が、延長された術後出血において最も明らかである。伝統的には、カニューレ針を治療の最後に除去する場合、多くの血液透析患者は出血を停止するために除去の部位で長い圧迫時間を必要とする。止血は、典型的には、15〜20分間の手動での圧迫により得られる(Schwab, 1994, Kidney International 36:707-711)。Variziは、試験したヘパリン化されたESDR患者の集団において、平均出血時間は、血液透析後約7〜9分間であり、これは血液透析針を除去した部位へのウシトロンビンの局所投与により約3.2〜3.3分間に減少したことを報告した(Variziら、1978, Journal of Dialysis, 2:393-398;およびVarizi, 1979, Nephron 24:254-256)。
【0010】
止血剤として作用することができるいくつかの組成物としては、典型的にはコラーゲンまたはフィブリンが公知である(Falstromら、1997, Catheterization and Cardiovascular Diagnosis 41:79-84; Hoekstraら、1998, Biomaterials. 19:1467-1471; Priorら、2000, Journal of Biomedical Materials Research. 53(3):252-257)。例えば、米国特許第4,394,373号は、凝固剤として作用する組成物を開示しており、これを用いて、該組成物が液体または粉末のキトサンを含む場合、該組成物を創傷と接触させることにより、創傷のクロッティングを促進することができる。例えば、米国特許第5,510,102号は、凝固剤として作用する組成物を開示しており、これを用いて、該組成物が血小板に富む血漿とアルギネートなどの止血剤である生体適合ポリマーとを含む場合、該組成物を創傷と接触させることにより、創傷のクロッティングを促進することができる。米国特許第4,394,373号および第5,510,102号の組成物を、外傷の治療の場合または針もしくはカテーテルにより残された動脈中の穿刺の場合、創傷の表面に直接的に適用する。
【0011】
アクセス機能および長期間の血管アクセスの保存は、透析患者の看護にとって必須であり、特に現在、高効率な透析がアクセス機能に対してさらなる要求を置き、および限定されたアクセス部位を有する、増加する数のより年老いた、病気の軽い患者がESRDプログラムに入っている。血管アクセス合併症は、依然として血液透析集団において最大の病因であり、全入院患者および入院期間の約3分の1を占める(Spergel, 1997, Neph. News and Issues. 3:26-27, 35)。患者1人あたり平均1.2〜2.8件の手術が、各年で血管アクセス部位を修復するか、または置換するために実施されている(Brothersら、1996, J. Sur. Research 60: 312-316; Harland, 1994, Adv. Ren. Rep Therapy 1:99-106)。年間10億ドルもの金が血管アクセスの置換および維持に費やされている(Spergel, 1997; HakimおよびHimmelfarb, 1998, Kidney International, 54: 1029-1040)。
【0012】
より高い血流を必要とする、高い流動透析剤の使用の増加と関係する、血液透析集団における高率の血管アクセス合併症は、血管アクセス部位を通過する血流を維持するための新規な方法の必要性に対する注意を引いている(HakimおよびHimmelfarb, 1998, Kidney International, 54: 1029-1040)。
【0013】
本章で引用された特許および公開された論文は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【発明の開示】
【0014】
3. 概要
存在する伝統的な方法に対する本発明の方法の利点としては、例えば、短期間および/または長期間の血管アクセス合併症の減少、血管アクセス部位を修復するか、もしくは置換するための介入回数の減少、ならびに血管アクセス部位が血液透析治療に関して実行可能であることを維持できる時間の長さの増加が挙げられる。
【0015】
一態様において、本発明は、患者における血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させる方法であって、血液透析期間中に、血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること、および約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含む、前記方法を提供する。一態様において、本発明は、患者における血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させる方法であって、血液透析期間中に、血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位をガーゼで覆うことのみと比較して、血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な障壁形成材料を含む組成物を局所的に適用すること、および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含む、前記方法を提供する。別の態様においては、本発明は、血液透析患者における血管アクセス部位を修復もしくは置換するための平均介入回数を減少させるための方法であって、血液透析期間中に、血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること、および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含む、前記方法を提供する。別の態様においては、本発明は、患者における血液透析治療に関連する感染率を低下させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること、および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含む、前記方法を提供する。別の態様においては、本発明は、患者における血液透析治療に関連する血液透析の血管アクセス部位に対するアクセスを保存するための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること、および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含む、前記方法を提供する。
【0016】
本発明の方法の特定の実施形態においては、前記治療の血液透析期間の複数の期間、好ましくは、前記治療の血液透析期間の大部分について約1〜約14分間、血管アクセス部位に圧力を加え、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症の数を、比較可能な数の血液透析期間の大部分について約14分間を超える期間、圧力を加える血液透析患者と比較して減少させる。本発明の方法の特定の実施形態においては、血管アクセス合併症は、限定されるものではないが、過形成、血栓症、静脈狭窄症、動脈狭窄症および/または病的状態などの長期間のものである。特定の実施形態においては、血管アクセス合併症は、限定されるものではないが、血腫および/または感染症などの短期間のものである。
【0017】
特定の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤を含む。他の実施形態においては、前記組成物は血管収縮剤を含む。さらに別の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤および血管収縮剤を含む。
【0018】
特定の実施形態においては、本発明の方法および/またはキットにより減少するか、もしくは停止される血管アクセス合併症は、過形成、血栓症、血腫、静脈狭窄症、動脈狭窄症、または感染症である。特定の実施形態においては、血栓症に起因する血管アクセス部位の機能不全は、血管アクセス合併症を有する患者の80%未満まで低下する。特定の実施形態においては、静脈狭窄症に起因する血管アクセス部位の機能不全は、血管アクセス合併症を有する患者の80%未満まで低下する。特定の実施形態においては、動脈狭窄症に起因する血管アクセス部位の機能不全は、血管アクセス合併症を有する患者の2%未満まで低下する。特定の実施形態においては、感染症に起因する血管アクセス部位の機能不全は、血管アクセス合併症を有する患者の15%未満まで低下する。他の実施形態においては、感染症に起因する血管アクセス部位の機能不全は、血管アクセス合併症を有する患者の20%未満まで低下する。前記患者が成熟したA-Vフィステルを有する本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血液凝固剤もしくは血管収縮剤を用いない圧迫(例えば、ガーゼのみを用いる圧迫)と比較して、血管アクセス合併症は、血液透析治療の約200日後には、数もしくは重篤度において約10%、血液透析治療の約500日後には、数もしくは重篤度において約20%、または治療の約800日後には、数もしくは重篤度において約30%減少する。前記患者が成熟したA-V移植片を有する本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血液凝固剤もしくは血管収縮剤を用いない圧迫(例えば、ガーゼのみを用いる圧迫)と比較して、血管アクセス合併症は、血液透析治療の約100日後には数もしくは重篤度において約20%、血液透析治療の約200日後には数もしくは重篤度において約35%、または治療の約500日後には数もしくは重篤度において約50%減少する。
【0019】
本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、本発明の方法は、患者をエリスロポエチンで同時的に治療しないという条件をさらに含む。エリスロポエチンはEPOGEN(商標)であってよい。患者をエリスロポエチンで同時的に治療しない実施形態においては、これは、患者が、本発明の治療計画の開始前に、好ましくは約1週間、2週間、3週間、4週間、1.5ヶ月、2ヶ月、2.5ヶ月、3ヶ月、3.5ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月間、エリスロポエチンを受けていないことを意味する。本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、エリスロポエチンを、本発明の方法の実施と関連付けて患者に投与する場合、血液透析期間の大部分について約14分間より長い時間、圧力を加える血液透析患者と比較して、エリスロポエチンの量を減少させる。本発明の方法およびキットの関連する実施形態においては、投与されるエリスロポエチンは、単回用量あたり、もしくは複数用量の総計として、約3,000ユニット未満の組換えエリスロポエチンまたはエポエチンαを含む。
【0020】
本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管アクセス合併症は、新規に成熟した血管アクセス部位と比較して、血液透析の血管アクセス部位を通過する血流の減少である。関連する実施形態においては、この血流を、血液透析の使用前に新規に成熟した血管アクセス部位において測定する。関連する実施形態においては、この血流を、血液透析の使用前に、患者における新規に成熟した血管アクセス部位において測定する。本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管アクセス合併症は、新規に成熟した血管アクセス部位を通過する血流の平均と比較して、血液透析の血管アクセス部位を通過する血流の減少である。一実施形態においては、この血流の平均は、ESRD患者における新規に成熟した血管アクセス部位についての流動の平均である。
【0021】
別の態様においては、本発明は、患者における血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、ガーゼのみと比較して血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な障壁形成材料を含む組成物を局所的に適用すること;および約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含み、そのような圧力を、治療の血液透析期間の複数の期間、好ましくは、治療の血液透析期間の大部分について、約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に対して加え、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症の数を、血液透析期間の大部分について約14分間より長い時間、圧力を加えた血液透析患者と比較して減少させる、前記方法を提供する。特定の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤を含む。他の実施形態においては、前記組成物は血管収縮剤を含む。さらに他の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤および血管収縮剤を含む。さらに他の実施形態においては、前記組成物はコラーゲンを含む、さらに他の実施形態においては、本発明の方法およびキットの組成物は、血管収縮剤、血液凝固剤、および/または障壁形成材料を含むが、但し、該組成物はコラーゲンを含まない。
【0022】
さらに別の態様においては、本発明は、血液透析患者における血管アクセス部位を外科的に修復もしくは置換するための平均介入回数を減少させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含み、そのような圧力を、治療の血液透析期間の複数の期間、好ましくは、血液透析治療の血液透析期間の大部分について、約1〜約14分間加え、血管アクセス部位を置換するか、もしくは修復するための平均介入回数を、血液透析期間の大部分について約14分間を超える時間、圧力を加えた血液透析患者と比較して減少させる、前記方法を提供する。特定の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤を含む。他の実施形態においては、前記組成物は血管収縮剤を含む。さらに他の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤および血管収縮剤を含む。
【0023】
本発明の方法およびキットの実施形態においては、本発明は、血管アクセス部位を修復するか、または置換するための手術を含む。一実施形態においては、介入の平均回数は、1年あたり約2.8回未満である。別の実施形態においては、介入の平均回数は、1年あたり約2.0回未満である。さらに別の実施形態においては、介入の平均回数は、1年あたり約1.2回未満である。
【0024】
別の態様においては、本発明は、患者における血液透析治療に関連する感染率を減少させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるのに有効な量の血管収縮剤もしくは血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に対して圧力を加えることを含み、そのような圧力を、治療の血液透析期間の複数の期間、好ましくは、治療の血液透析期間の大部分について、約1〜14分間加え、血液透析に関連する感染率が、血液透析期間の大部分について約14分間を超える時間、圧力を加えた患者における血液透析治療と比較して減少する、前記方法も提供する。特定の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤を含む。他の実施形態においては、前記組成物は血管収縮剤を含む、さらに他の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤および血管収縮剤を含む。特定の実施形態においては、感染に起因する血管アクセス合併症は、血液凝固剤または血管収縮剤を用いない圧迫(例えば、ガーゼのみを用いる圧迫)と比較して、その数または重篤度において約15%減少する。本発明の特定の態様に従えば、前記感染は、HIV、C型肝炎、マクロライド、リンコマイシン、バンコマイシン耐性腸球菌、またはストレプトグラミンB(MLS耐性)である。本発明の一態様においては、前記組成物は、抗真菌剤、抗ウイルス剤、または抗細菌剤をさらに含む。
【0025】
本発明はさらに、患者における血液透析治療に関連する血液透析の血管アクセス部位に対するアクセスを保存するための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に対して圧力を加えることを含み、そのような停止圧力を、治療の血液透析期間の複数の期間、好ましくは、治療の血液透析期間の大部分について、約1〜約14分間加え、血液透析の血管アクセス部位に対するアクセスを、血液透析期間の大部分について約14分間を超える時間、圧力を加えた血液透析患者と比較して保存させる、前記方法を提供する。特定の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤を含む。他の実施形態においては、前記組成物は血管収縮剤を含む。さらに他の実施形態においては、前記組成物は血液凝固剤および血管収縮剤を含む。
【0026】
本発明の特定の実施形態においては、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量は、圧迫せずにカテーテル出口の創傷に加えられた場合に、出血の減少または停止をもたらす量である。本発明の他の実施形態においては、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量は、本発明の方法に従う圧迫を用いてカテーテル出口の創傷に加えられた場合に出血の減少または停止をもたらす量である。
【0027】
特定の実施形態においては、本発明の方法を、患者が受ける最初の血液透析期間に行う。関連する実施形態においては、本発明の方法を、患者が受ける血液透析期間の全てにおいて行う。さらに他の実施形態においては、患者は本発明の治療計画を開始する前に、いかなる血液透析期間も受けていない。さらに他の実施形態においては、患者は、本発明の方法を用いなかったか、または圧迫を約10、11、12、13もしくは14分間以上加えた場合、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、もしくは50回の血液透析期間を受けている。特定の実施形態においては、本発明の方法を、約3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、または15年間、患者に対して行う。
【0028】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、本発明の治療計画は、少なくとも10ヶ月の期間である。
【0029】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管収縮剤または血液凝固剤は実質的にアレルゲンを含まないか、または非免疫原性である。関連する実施形態においては、前記血管収縮剤または血液凝固剤はウシ由来トロンビンを含まない。
【0030】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの好ましい実施形態においては、本発明の治療計画は、血管収縮剤もしくは血液凝固剤の局所適用と共に約1〜5分間の圧迫を維持することを含み、この手順を、好ましくは治療の血液透析期間の大部分について反復するのが好ましい。本明細書に記載の本発明の方法およびキットの別の好ましい実施形態においては、治療の血液透析期間の大部分について約1〜10分間、圧迫を維持する。
【0031】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血液凝固剤は、α-2-アンチプラスミン、α-1-アンチトリプシン、α-2-マクログロブリン、アミノヘキサノン酸、アプロチニン、カルシウムイオン源、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム-ナトリウム、カゼインキナーゼII、キチン、キトサン、コラーゲン、シアノアクリレート、ε-アミノカプロン酸、第XIII因子、フィブリン、フィブリングルー、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、生血小板、メタクリレート、PAI-1、PAI-2、プラスミン活性化因子阻害剤、p-GlcNAc、プラスミノーゲン、血小板アゴニスト、硫酸プロタミン、プロトロンビン、RGDペプチド、スフィンゴシン、スフィンゴシン誘導体、トロンビン、トロンボプラスチン、またはトラネキサム酸を含む。
【0032】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管収縮剤は、アドレナリン、エンドセリン-1、エピネフリン、フェニルエフリン、セロトニン、トロンボキサン、またはU-46619である。
【0033】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、前記組成物はさらにコラーゲンを含む。
【0034】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの一態様においては、前記組成物はさらに製薬上の担体を含む。
【0035】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血液透析の血管アクセス部位は、動脈に縫合された静脈を含む。本明細書に記載の本発明の方法およびキットの関連する実施形態においては、血液透析の血管アクセス部位は、天然の動静脈フィステルを含む。本明細書に記載の本発明の方法およびキットの他の実施形態においては、血液透析の血管アクセス部位は、合成の血管移植片を含む。
【0036】
本明細書に記載の本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、本発明の治療計画を週に2回または3回行う。
【0037】
本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、圧迫と共に本発明の組成物を局所的に適用する前に、抗血液凝固剤を患者に投与する。本明細書に記載の本発明の方法の関連する実施形態においては、前記抗血液凝固剤を、クマジン、ヘパリン、ナドロパリン、アスパリン、および血栓溶解剤からなる群より選択する。本明細書に記載の本発明の方法のさらに他の関連する実施形態においては、前記組成物はヘパリンを中和するのに有効な量の硫酸プロタミンをさらに含む。
【0038】
本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、前記圧力は、手動の圧力である。本明細書に記載の本発明の方法の関連する実施形態においては、前記圧力は、閉塞的なものではなく、血流は血管アクセス部位において持続する。本明細書に記載の本発明の方法の他の実施形態においては、前記圧力は機械的な圧力である。本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、前記圧力を、血液透析の血管アクセス部位の近くの静脈または動脈に加える。本明細書に記載の本発明の方法の実施形態においては、前記圧力を、圧迫用包帯を用いて加える。
【0039】
本明細書に記載の本発明の方法の一態様に従って、前記組成物をゲル、固体、液体、スポンジ、気泡、スプレー、乳濁液、懸濁液、フィルム、膜、マット、ストリング、ミクロビーズ、ミクロスフェア、ミクロフィブリル、または溶液として製剤化する。本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、前記組成物は、中性の液体、中性のゲルまたは中性の固体をさらに含む。好ましい実施形態においては、中性の固体は、ガーゼ、包帯、または障壁形成材料を含む。他の好ましい実施形態においては、中性の固体はガーゼである。本明細書に記載の本発明の方法の関連する実施形態においては、フィルム、膜、またはマットは障壁形成材料を含む。本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、前記組成物は中性の固体上のコーティングの形態にある。
【0040】
本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、血液透析を、15ゲージより小さい内腔カニューレ挿管針を用いて行う。
【0041】
本明細書に記載の本発明の方法の特定の実施形態においては、前記患者はヒトである。他の実施形態においては、前記患者は糖尿病患者である。他の実施形態においては、前記患者は高血圧を有する。さらに他の関連する実施形態においては、前記患者は血清フィブロネクチンを有する。さらに他の実施形態においては、前記患者は、年齢、種族、性別、および/または腎臓病の段階において比較可能な健常な個体についての平均血圧と比較して低下した血圧を有する。さらに他の実施形態においては、前記患者は55歳を超える年齢である。さらに他の実施形態においては、前記患者は最終段階の腎臓病患者である。さらに他の実施形態においては、前記患者は血液透析の必要があるが、最終段階の腎臓病患者ではない。さらに他の実施形態においては、前記患者は男性である。さらに他の実施形態においては、患者は女性である。さらに他の実施形態においては、前記患者はアフリカ系米国人である。
【0042】
本発明の方法の特定の実施形態においては、前記患者は、圧力のみを用いて、約(a) 12〜15、(b) 15〜18、(c) 18〜21、または(d) 21〜24分間の平均止血時間を有する。本発明の方法の特定の実施形態においては、前記患者は、圧力のみを用いて、11分間を超える平均止血時間を有する。本発明の方法の特定の実施形態においては、前記圧力を、(a) 11分未満、(b)約9〜10分間、(c)約8〜9分間、または(d)約7〜8分間、血管収縮剤および/または血液凝固剤と共に加える。
【0043】
本発明の別の態様に従って、本発明は、血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤および/または血液凝固剤;ならびに製薬上許容し得る担体を含む組成物、ならびに本発明の方法を実施するための説明書を、1個以上の容器中に含むキットを提供する。特定の実施形態においては、この説明書は、圧力を約1〜14分間加える血液透析の血管アクセス部位に前記組成物を局所的に適用し、血管アクセス合併症の減少を得るためのものである。
【0044】
本発明はさらに、血液透析の血管アクセス部位からの出血を減少させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血液透析治療の一部として、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および血液透析の血管アクセス部位の外側への血流の停止もしくは減少を達成するのに十分な時間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを含み、血液透析の血管アクセス部位からの出血のそのような停止もしくは減少を、治療の血液透析期間の大部分について、約1〜14分以内に達成する、前記方法を提供する。
【0045】
3.1. 用語
用語「減少」(血流に関して)は、血管アクセス部位からの血流が、患者が監視の必要がなく、血液透析の設備を離脱することができるほど許容可能である速度または量にまで減少することを意味する。
【0046】
用語「血液透析期間」は、血液透析針を、血液透析を受ける患者の血管アクセス部位に挿入する時に始まる期間を意味し、血液透析を実施し、血液透析針を除去した後の出血時間から、止血に到達し、圧力を必要としなくなる時間までを含む。血液透析治療は、少なくとも4回の血液透析期間を含むか、または少なくとも1週間である。特定の実施形態においては、血液透析治療を、新規に成熟した血管アクセス部位の使用の開始時から測定する。特定の他の実施形態においては、血液透析治療を、本発明の方法の使用の開始時から測定する。
【0047】
用語「血管アクセス部位」は、接続された血管の連続的な拡大部分に加えて、動脈と静脈の間に外科的に作製された血管接続部;血管を接続する外科的に埋め込まれた合成移植片;または血液透析針の挿入もしくは除去の部位を意味する。
【0048】
用語「血管アクセス合併症」は、血液透析の血管アクセス部位を通過する血流を減少させる任意の原因を意味し、例えば、虚血性血管疾患、過形成、内膜過形成、血栓症、血腫、静脈狭窄症、動脈狭窄症、または感染症が挙げられる。患者が休息している時および圧力を加えない時に測定された、血管アクセス部位を通過する血流を、より早い時間に、複数の血液透析期間の前に、または前記部位が成熟するが、まだ血液透析には使用しない時に、患者が休息している時および圧力を加えない時に測定された、血管アクセス部位を通過する血流と比較して減少させる。
【0049】
用語「約」は、この用語を適用する場合、値の±10%を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
4. 発明の詳細な説明
本発明は、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させ、患者において血管アクセス部位を用いることができる時間を延長するのに有用な方法およびキットに関する。止血は、典型的には、血液透析後、少なくとも15〜20分間の手動の圧迫により得られる。この時間は患者にとっては不便であるが、出願人の実験および結果は、そのような延長された圧迫時間も血管アクセス合併症の原因であることを証明している。本発明は、部分的には、好ましくは血液透析期間の大部分について繰り返された、約1〜14分間までの圧迫時間の減少が、血管アクセス合併症の減少、予防、または阻害をもたらすという本発明者らの決定に基づくものである。
【0051】
本発明の方法が所望の目標を達成するいかなる特定の機構によっても束縛されるものではないが、本発明者らは、動脈と静脈を接続するか、または合成移植片を配置する血管アクセス部位の一部を通過する血液の延長された静止状態が、限定されるものではないが、クロッティング、狭窄、または過形成などの合併症を引き起こすと考えている。これらの合併症は、血液透析を効果的に行う効率または能力を低下させる圧力の非存在下で、血管アクセス部位を通過する血流の減少をもたらす。血管アクセス部位は、例えば、上腕頭部または橈骨頭部であってもよいため、血液透析針を除去する部位、すなわち、典型的には、圧力を加える部位は、A-Vフィステル接続または移植片としての血管アクセス部位の位置とは異なっていてもよい。
【0052】
一態様においては、本発明の血管アクセス合併症を減少させるための方法は、血管収縮剤および/または血液凝固剤を含む組成物の局所投与を含む。別の態様においては、本発明の血管アクセス合併症を減少させるための方法は、障壁形成材料の局所投与を含む。以下に提供するのは、第1に、本発明の方法と組み合わせて使用するのに好適な組成物の説明、ならびに、第2に、本発明の方法およびキットの説明である。
【0053】
4.1. 本発明の方法における使用のための組成物
本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、局所投与のための障壁形成材料を含んでもよい。そのような障壁形成材料は、例えば、血管収縮剤および/または血液凝固剤を含んでもよい。さらに、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤および/または血液凝固剤を含んでもよい。前記組成物は、血液透析に関連する感染症を予防するための他の成分、例えば、抗細菌剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤を含んでもよい。前記組成物の様々な製剤を本発明の方法およびキットにおいて用いることができ、限定されるものではないが、血管アクセス部位に局所的に適用することができる固形組成物、ゲル、気泡、または液体が挙げられる。本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、血液透析の血管アクセス部位からの出血を停止するのに必要とされる圧力を低下させる。血液透析期間あたり、約1〜14分間、より好ましくは、1〜11分間、およびより好ましくは1〜10分間までの圧力の減少により、血液凝固剤または血管収縮剤を用いない圧迫(例えば、ガーゼのみを用いる圧迫)と比較して、血管アクセス合併症の減少が得られる。
【0054】
上記のものに加えて、本発明は、血液透析患者集団において止血を達成するのに必要な時間をさらに減少させる組成物と共に、実施例1および2に記載の方法の使用をも包含する。そのような組成物は、限定されるものではないが、1種以上の血管収縮剤、血液凝固剤、抗炎症化合物、およびそれらの組合せを含んでもよく、これを血管アクセス部位に局所投与する。特定の例においては、そのような組成物を、障壁形成材料を含む組成物の一部として局所的に適用する。
【0055】
4.1.1. 血管収縮剤
一実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、1種以上の血管収縮剤を含んでもよい。血管収縮剤は、例えば、1種以上の以下のもの:エンドセリン-1、エピネフリン、フェニルエフリン、セロトニン、トロンボキサン、ノルエピネフリン、プロスタグランジン、メテルギン、オキシトシン、またはイソプレランドU-46619(Cayman Chemical, Ann Arbor, Michigan; トロンボキサン模倣物質として働く安定なプロスタグランジンエンドペルオキシド類似体)であってよい。
【0056】
血管収縮剤を、標準的な推奨用量で用いることができるか、または特定の実施形態においては、標準的な推奨用量の約30%、50%、70%、80%もしくは90%以下の用量で用いることができる。
【0057】
4.1.2. 血液凝固剤
一実施形態においては、前記組成物は1種以上の血液凝固剤を含んでもよい。血液凝固剤は、例えば、1種以上の以下のもの:α-2-アンチプラスミン、α-1-アンチトリプシン、α-2-マクログロブリン、アミノヘキサノン酸、アプロチニン、β2-グリコプロテインI、カルシウムイオン源、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム-カルシウム、カゼインキナーゼII、キチン、キトサン、コラーゲン、シアノアクリレート、ε-アミノカプロン酸、第X因子、第IX因子、第X因子、第XIII因子、フィブリン、フィブリングルー、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、生血小板、メタクリレート、PAI-1、PAI-2、p-GlcNAc、プラスミン活性化因子阻害剤、プラスミノゲン、血小板アゴニスト、硫酸プロタミン、プロテインC、プロトロンビン、RGDペプチド、スフィンゴシン、スフィンゴシン誘導体、トロンビン、トロンボプラスチン、またはトラネキサム酸であってよい。一実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は血液凝固剤を含まない。別の実施形態においては、前記組成物はトロンビンを含まない。関連する実施形態においては、前記組成物はウシトロンビンを含まない。
【0058】
血液凝固剤を、標準的な推奨用量で用いるか、または特定の実施形態においては、標準的な推奨用量の約30%、50%、70%、80%、もしくは90%以下の用量で用いることができる。
【0059】
4.1.3. 他の成分
本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、追加成分を含んでもよい。例えば、前記組成物は、血液透析に関連する感染症を防止するための他の成分、例えば、抗細菌剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤を含んでもよい。本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物はまた、創傷治癒剤および/または疼痛軽減剤を含んでもよい。そのような薬剤としては、抗炎症剤、限定されるものではないが、血管アクセス部位の血管もしくは移植片における創傷の領域への白血球の移住を阻害する薬剤(例えば、銀スルファジアジネムアセチルサリチル酸、インドメタシン、およびナファザトロム)などのステロイド剤および非ステロイド剤、抗ヒスタミン剤(例えば、ピリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、アンタゾリン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、β-メタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、インドメタシン、およびスリンダック、その塩ならびにその対応するスルフィド);フリーラジカル形成を阻害する薬剤(例えば、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、β-カロテン、アスコルビン酸、トランスフェリン、フェリチン、セルロプラスミン、およびデスフェリオキサミンα-トコフェノール);ならびに制菌剤または殺菌剤(例えば、セフォキシチン、n-ホルムアミドイルチエナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、オキサシリン、ゲンタルナイシン、ゲンタマイシン、ムピロシン、カナマイシン、バンコマイシン、アミカシン、シソミシン、銀、銀トブラマイシン、ノルフロキシカン、ニトロフラゾン、およびフルオロアラニン/ペンチジドンの組合せ)が挙げられる。
【0060】
本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物はまた、限定されるものではないが、従来の賦形剤、例えば、本発明の組成物と有害に反応しない局所適用に好適な製薬上許容し得る有機または無機担体などの製薬上許容し得る担体を含んでもよい。好適な製薬上許容し得る担体としては、限定されるものではないが、水、塩、糖溶液などが挙げられる。薬剤調製物を滅菌し、必要に応じて補助剤と混合することができる。
【0061】
一実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、アレルギー特性を有する薬剤を含まない。血管収縮剤および/または血液凝固剤ならびに製薬担体および他の成分を、当業者には公知の方法によりアレルギー活性について容易に試験することができる。例えば、遅延過敏皮膚試験は、血液透析患者または動物モデルにおける薬剤へのアレルギー反応の決定において大きな価値がある(Satoら、1995, Clin. Immunol. Pathol. 74:35-43)。
【0062】
エリスロポエチン、エポエチンα組換えエポゲン、またはEpogen(商標)は、注入用の水に溶解したクエン酸ナトリウム(5.8 mg)、塩化ナトリウム(5.8 mg)、クエン酸(0.06 mg)の滅菌緩衝溶液(pH 6.9±0.3)中に3,000ユニットの組換えエリスロポエチン、2.5 mgのアルブミン(ヒト)を含む。エリスロポエチンの使用は、赤血球細胞を作るように身体を刺激することを含む。過剰な、および繰り返された出血に起因する血球の喪失は、ヘマトクリットレベルの低下、貧血、および他の合併症をもたらす場合がある(Eschbach, 2002, J. Am. Soc. Nephrol. 13:1412-1414)。血液透析患者はヘマトクリットレベルの低下を示すことがある。本発明の方法は、血液透析に関連する出血の減少、血管アクセス合併症に起因する介入回数の減少、および/または血管アクセス合併症の減少をもたらし、同様にエリスロポエチンの必要性を減少させる。一実施形態においては、本発明の方法では患者をエリストポエチンで同時に治療しない。一実施形態においては、エリスロポエチンを患者に投与する場合、エリスロポエチンの量を、血液透析期間の大部分について約14分間を超える時間、圧力を加える血液透析患者と比較して少なくする。
【0063】
4.1.4. ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミン
上記の第2章は、ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミンの構造を詳細に説明する多数の米国特許書類を参照により組み入れ、そのいずれも本発明の方法およびキットにおいて用いられる組成物中で用いることができる。
【0064】
好ましい実施形態においては、ポリN-アセチルグルコサミンを、a)細胞体およびポリN-アセチルグルコサミンを含む微小藻類(microalgae)を、微小藻類の細胞壁を弱くすることができる薬剤、例えば、ヒドロフルオリン酸で、ポリN-アセチルグルコサミンが該細胞体から放出されるのに十分な時間、処理する工程;b)該細胞体からポリN-アセチルグルコサミンを分離する工程;およびc)ポリN-アセチルグルコサミン種が単離されるように、分離されたポリN-アセチルグルコサミンから、全ての、または実質的に全ての有機夾雑物、および実質的に全ての無機夾雑物を除去する工程から誘導する。本発明の方法において用いられるポリN-アセチルグルコサミンは、生体適合性および/または免疫中性であるのが好ましい。
【0065】
本明細書で用いる場合、ポリN-アセチルグルコサミンポリマーの誘導体としては、ポリN-アセチルグルコサミンポリマーの半結晶形態;β-1→4コンフォメーションで共有結合した約50〜約150,000個のN-アセチルグルコサミンモノサッカリドを含むポリN-アセチルグルコサミンポリマー、および約10,000ダルトン〜約3000万ダルトンの分子量を有する前記ポリマー;β-1→4コンフォメーションで共有結合した約50〜約50,000個のN-アセチルグルコサミンモノサッカリドを含むポリβ-1→4-アセチルグルコサミンポリマー、および約10,000ダルトン〜約1000万ダルトンの分子量を有する前記ポリマー;β-1→4コンフォメーションで共有結合した約50〜約10,000個のN-アセチルグルコサミンモノサッカリドを含むポリβ-1→4-アセチルグルコサミンポリマー、および約10,000ダルトン〜約200万ダルトンの分子量を有する前記ポリマー;β-1→4コンフォメーションで共有結合した約50〜約4,000個のN-アセチルグルコサミンモノサッカリドを含むポリβ-1→4-アセチルグルコサミンポリマー、および約10,000ダルトン〜約80万ダルトンの分子量を有する前記ポリマー;脱アセチル化され少なくとも1個のN-アセチルグルコサミンモノサッカリドを含み、該N-アセチルグルコサミンモノサッカリドの少なくとも40%がアセチル化された半結晶性ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーが挙げられる。また、ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーの誘導体としては、約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%以下のポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンである組成物も挙げられる。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーを精製することができる。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーをアセチル化することができる。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーを脱アセチル化することができる。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは、タンパク質を含まない、他の有機夾雑物を実質的に含まない、および無機夾雑物を実質的に含まないものであってよい。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは半結晶性であってよい。ポリβ-1→4-N-ア
セチルグルコサミンポリマーは生体分解性であり生体適合性であってよい。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは約800,000ダルトン〜約3,000万ダルトンの分子量を有してもよい。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは約800,000ダルトン〜約3,000万ダルトンの分子量を有する半結晶を含んでもよい。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは約10,000ダルトン〜約800,000ダルトンの分子量を有してもよい。ポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーは約10,000ダルトン〜約800,000ダルトンの分子量を有する半結晶を含んでもよい。一実施形態においては、本発明の方法およびキットは、前記組成物がポリβ-1→4-N-アセチルグルコサミンまたはその誘導体を含まないという条件を有する。
【0066】
4.1.5. 本発明の組成物の製剤化
本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物を、限定されるものではないが、ゲル、固体、液体、スポンジ、気泡、スプレー、乳濁液、懸濁液、溶液、ストリング、ミクロビーズ、ミクロスフェア、またはミクロフィブリルなどの任意の数の方法で製剤化することができる。前記組成物は、例えば、製薬上許容し得る担体、中性の液体、中性のゲルまたは中性の固体を含んでもよい。特定の好ましい実施形態においては、前記組成物を、障壁、膜、またはフィルムとして製剤化する。さらに、前記組成物を裏材として、障壁、膜、またはフィルムに添加することができる。障壁、膜、またはフィルムを、種々の標準的な大きさで提供し、これをさらに切断するか、または治療しようとする領域に対して大きさを合わせることができる。障壁、膜、またはフィルムは、例えば、患者への適用の前に、本発明の組成物を添加するか、もしくは被覆した従来の包帯またはガーゼであってもよい。別の実施形態においては、前記組成物を局所的に投与した後、障壁、膜、またはフィルムを適用することができる。あるいは、前記組成物を、例えば、ストリング、ミクロビーズ、ミクロスフェア、もしくはミクロフィブリルから作製された障壁、膜、もしくはフィルムとして製剤化するか、または前記組成物を障壁形成マットとして製剤化することができる。
【0067】
特定の実施形態においては、前記組成物をゲルとして製剤化する。ゲルは粘度が変化するものであってよい。針の創傷の部位を局所的に治療するための包帯にゲルを適用する実施形態については、低い粘度が望ましい。ゲルについては、前記組成物を、迅速に分散させるよりはむしろある位置に残存させることを意図する場合、より高い粘度が望ましい。粘度は流動する液体の抵抗性を説明する量であるが、粘度の範囲は連続体である。例えば、参照の枠として、粘度の意味を限定するものではないが、約1〜4センチポアズ(cP)の粘度値が、一般的には液体組成物により類型化される。約5〜14 cPの粘度値は、一般的にはゲル様組成物により類型化されるが、15〜20 cPの粘度値はプラスチックなどの比較的硬い組成物である。細胞質の粘度は約11 cPである。特定の実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける局所投与のための組成物の粘度は、約10 cPである。粘度を、例えば、Saybolt International B.V.(Vlaardingen, The Netherlands)を用いて測定することができる。また、当業者であれば、当業界で一般的な他の測定技術および装置を日常的に用いることもできるであろう。
【0068】
本発明の特定の実施形態においては、前記組成物を膜として製剤化する。他の実施形態においては、前記組成物は膜内にある容器中にあるか、または膜上でコーティングされる。この膜は多孔性のものであってもよく、または比較的連続的なものであってもよい。好ましい実施形態においては、膜は編まれたポリマー繊維から作製されたものである。そのような膜は、皮膚表面上の創傷の治療において特に有用である。
【0069】
一実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、例えば、障壁形成材料から作られたパッチなどの障壁形成材料を含む。別の実施形態においては、前記組成物は、本発明の組成物でコーティングされた材料、例えば、障壁形成材料を含む。1つのそのような実施形態においては、前記組成物は本発明の組成物でコーティングされたガーゼを含む。特定の実施形態においては、前記組成物は本発明の組成物でコーティングされた障壁形成材料を含み、該障壁形成材料は、該材料が患者の皮膚表面に付着することができるような接着物質も含む。あるいは、前記組成物は障壁形成材料を含まなくてもよい。
【0070】
別の実施形態においては、本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物が接着性障壁形成材料を包含する場合、前記組成物を、血管アクセス部位に圧力を加えることなく、血管アクセス部位と接触した血液透析針の除去により引き起こされる皮膚表面の創傷を被覆するために局所的に付着させることができる。
【0071】
本発明の方法およびキットにおける使用のための組成物は、裏材を含んでもよい。例えば、前記組成物をパッチとして製剤化する場合、裏材をパッチに接着することができる。裏材を、例えば、皮膚と接触する裏材の領域が、該裏材および本発明の付着された組成物を患者の皮膚表面に接着させるような任意の接着性化合物を用いてコーティングするか、または埋め込むことができる。用いる接着物質の型は、医学上許容し得る任意の型の接着物質であってよい。そのような裏材を、天然のポリマーまたは合成材料から作製することができる。裏材を作製することができる天然のポリマーとしては、限定されるものではないが、セルロースおよびキシランが挙げられる。裏材を作製することができる合成材料としては、限定されるものではないが、ポリウレタン、テフロン、ダクロン、ステンレススチールメッシュスクリーン、およびポリエステルで編まれた織物が挙げられる。裏材および接着物質は、酸素の拡散を可能にするために、皮膚に接触する領域に対して多孔性であるのが好ましい。裏材はまた、手動の圧力を加えることができる表面として働くこともできる。
【0072】
4.2. 血管アクセス合併症を減少させるための方法
一般的には、本発明は、患者における血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させるための方法であって、血液透析期間中に血液透析の血管アクセス部位に対して、血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用し、および繰り返された血液透析期間、好ましくは、治療の血液透析期間の大部分について、約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加え、血液透析期間の大部分について約14分間を超える時間、圧力を加える血液透析患者と比較して、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症の数を減少させることを含む、前記方法に関する。
【0073】
本発明の方法の特定の実施形態においては、前記方法の工程を少なくとも約4、5、6、7、8、9、または10回繰り返す。本発明の方法の特定の実施形態においては、前記方法は、組成物および圧力を印加する最初の2つの工程を少なくとも約4、5、6、7、8、9、または10回繰り返す工程を含む。特定の実施形態においては、本発明の方法を、血液透析治療計画の血液透析期間の少なくとも約50%について実施する。特定の実施形態においては、本発明の方法を、血液透析期間または血液透析治療計画の少なくとも約70%について実施する。この計画は、1週間あたり、0、1、2、3つ以上の血液透析期間からどこでも、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、または少なくとも6ヶ月の期間であるのが好ましい。他の実施形態においては、本発明の方法を、6ヶ月間に渡って少なくとも50%の血液透析期間中に実施する。
【0074】
特定の実施形態においては、本発明の血液透析計画は、1週間を超える期間であり、その間、典型的には、患者は1〜3回の血液透析期間を受ける。例えば、本発明の血液透析計画は少なくとも4、5、6、7、8、9、または10回の血液透析期間を含んでもよい。特定の実施形態においては、本発明の血液透析計画は少なくとも10ヶ月の期間である。さらに他の実施形態においては、本発明の血液透析計画は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、または30年の期間である。好ましい実施形態においては、本発明の血液透析計画は少なくとも5〜15年の期間である。好ましくは、本明細書に記載の方法を、血液透析期間の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の間実施する。本発明の血液透析期間は、血管アクセス部位の使用を延長させるのに有用である。かくして、本明細書に記載の方法の実施の結果として、特定の血管アクセス部位の使用を維持するか、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、もしくは30年間延長することができる。特定の実施形態においては、特定の血管アクセス部位を用いる時間数を、例えば、ガーゼのみによる圧迫を用いる、本発明の方法を用いずに実施された血液透析と比較して減少させる。他の実施形態においては、患者により必要とされる血液透析期間数を、例えば、ガーゼのみによる圧迫を用いる、本発明の方法を用いずに実施された血液透析と比較して減少させる。
【0075】
本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管アクセス合併症は、過形成、血栓症、血腫、静脈狭窄症、動脈狭窄症、感染症、または病的状態である。特定の実施形態においては、本発明の方法およびキットは、長期間の血液透析計画に起因する合併症、例えば、過形成、血栓症、静脈狭窄症、動脈狭窄症、または病的状態を治療するのに有用である。そのような長期間の合併症は、典型的には、複数の血液透析期間、例えば、約4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、または365期間の結果として生じる。血腫または感染症は、典型的には短期間の血液透析の実施、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月の血液透析期間に起因して発生する。
【0076】
特定の実施形態においては、本発明の方法を約1年間用いると、血液凝固剤または血管収縮剤の適用を用いない圧迫のみと比較して、罹患率(%)は約19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%または8%である。特定の実施形態においては、本発明の方法を約1年間用いると、5年生存率はガーゼのみの使用と比較して約30%、32%、35%、40%以上増加する。本発明の方法を用いて圧迫時間を減少させると、寿命は約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、3年、3.5年、4年、4.5年、5年、5.5年、6年、6.5年、7年、7.5年、8年、8.5年、9年、9.5年または10年延長される。
【0077】
特定の実施形態においては、患者が成熟したA-VフィステルまたはA-V移植片を有する場合、血管アクセス合併症は、本発明の方法およびキットの使用の結果として、ならびに本発明のキットおよび方法を用いずに生じる合併症パーセントと比較して減少する。
【0078】
合併症パーセントを、本明細書に記載の画像化技術を用いて測定するか、または公知の介入率もしくは血管アクセス合併症が、血管アクセス合併症に起因して必要とされる最初の介入を必要とするまでの時間の長さと比較することができる(Schwab, 1999, Kidney International, 55:2078-2090)。血管アクセス合併症の数を減少させることに加えて、本発明の方法は血管アクセス合併症の重篤度を低下させる。例えば、狭窄症の重篤度を、血管アクセス部位を通過する血流の速度もしくは量により決定するか、または血栓症の重篤度を、血液クロットの頻度および/もしくは体積を測定することにより決定することができる。血腫の重篤度を、血腫の頻度および/もしくは体積または血腫の期間を測定することにより決定することができる。本発明の方法の特定の実施形態においては、短期間および/または長期間の合併症の危険性が低下する。本発明の方法の特定の実施形態においては、危険性の低下とは、短期間および/もしくは長期間の血管アクセス合併症の重篤度または数が、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上低下することを意味する。特定の実施形態においては、低下した危険性は、本発明の方法およびキットを用いない(例えば、ガーゼのみによる圧迫を用いる)患者と同じ患者で比較する。特定の実施形態においては、低下した危険性は、本発明の方法およびキットを用いない(例えば、ガーゼによる圧迫のみを用いる)患者集団と比較する。
【0079】
適用された組成物は、圧迫時間を短縮することができるような圧力のみと比較して、血液透析の血管アクセス部位、特に、血液透析針を除去した部位からの血流の減少または停止を達成するのに寄与する。次いで、圧迫時間におけるこの減少は、血液透析治療に関連する血管アクセス合併症の減少、血液透析治療に関連する血管アクセス期間の平均数の減少、血液透析治療に関連する感染率の減少、または血液透析の血管アクセス部位に対するアクセスの保存をもたらす。
【0080】
一般的には、本発明の方法は、正常でなく(例えば、過剰に繰り返された血液透析期間)、本発明の組成物の非存在下での圧迫を用いる、約1〜約14分間未満の、血液透析の血管アクセス部位からの血流、例えば、出血の停止または減少を示す患者について意図される。本発明の方法およびキットは、このクラスの患者にとって最大の利益を提供する。血液透析集団中のいくらかの患者は、約14分より自然に少ない止血時間を有する。特定の実施形態においては、本発明の方法は、圧迫およびガーゼのみを用いて迅速な止血時間、例えば、9、8、7、6、5分以下の止血時間を示す患者には使用しない。
【0081】
4.2.1. 抗血液凝固剤の投与
本発明の特定の実施形態においては、本発明の方法およびキットを、血液の凝固を防止するのに有効な量の抗血液凝固剤を投与した患者に対して投与することができる。本発明と組み合わせて使用することができる抗血液凝固剤の例としては、クマジン(商標)、ジクマロール(商標)、ワルファリン(商標)、エコトリン(商標)、ヘパリン、ナドロパリン、アスピリン、抗血小板剤、または血栓溶解剤が挙げられる。典型的には、医学的手順の前の12時間を超えるヘパリン化の完全な投与が一般的である。他のプロトコルでは、ヘパリンを繰り返された間隔で投与して、一定の活性クロッティング時間が維持されることを確実にする(Falstromら、1997, Catheterization and Cardiovascular Diagnosis 41:79-84)。一実施形態においては、抗血液凝固剤を、本発明の組成物とは別々に、同時に、または該組成物の投与の前に投与することができる。血液透析の前に抗血液凝固剤を投与した患者については、本発明の組成物は、投与される抗血液凝固剤の効果を局所的に中和する1種以上の薬剤をさらに含んでもよい。ヘパリンを投与した患者においては、前記組成物はヘパリンを局所的に中和するのに有効な量の硫酸プロタミンをさらに含んでもよい。
【0082】
本発明の特定の実施形態においては、血管アクセス部位においてヘパリンを局所的に中和するのに有効な量の硫酸プロタミンを投与する。一実施形態においては、硫酸プロタミンを、本発明の組成物とは別々に、同時に、または該組成物の投与の前に投与することができる。
【0083】
4.2.2. 血管収縮剤を含む組成物の投与
透析針を除去した後、有効量の選択された血管収縮化合物を含む製剤を、各針の部位に適用することができる。この製剤を接着組成物として血管アクセス部位に直接的に適用するか、または接着材料と共に位置を保持された別の材料の中に埋め込むか、もしくはその上にコーティングすることができる。必要に応じて、前記製剤、組成物、または該組成物を含む材料を、出血を抑制した後、約14分未満、好ましくは、約10分未満である時間、安定したデジタル圧力を用いて、位置を保持する。特定の実施形態においては、この時間は約5分未満である。
【0084】
例えば、本明細書の以下に提供する実施例においては、前記組成物は血管アクセス部位で患者の皮膚に接着するか、またはこれを用いて、患者の皮膚に適用される別の材料をコーティングすることができる。例えば、本明細書の以下に提供される実施例においては、前記組成物を、酸素透過性のテフロン裏材に付着させた障壁膜上にコーティングすることができる。裏材は障壁膜の末端を越えて延長し、障壁膜を患者の皮膚に対して保持することによって接着パッチを形成するのに好適な接着材料を含む。例えば、本明細書の以下に提供される実施例においては、前記障壁膜は、ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーで構築され、血管収縮剤、エンドセリン-1を含むゲルでコーティングされた障壁形成マットである。透析針を除去した後、ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミンを含む障壁形成マット上にコーティングされたエンドセリン-1を含むテフロン裏材のパッチを、血管アクセス部位に付着させる。本明細書の以下に提供される実施例においては、例えば、デジタル圧力をパッチに加えず、患者の都合で患者により除去されるまで、患者の皮膚に付着したままにする。しかしながら、以下に提供される実施例においては、デジタル圧力を加える場合、圧力を加える時間は10分未満、好ましくは約5分未満である。
【0085】
4.2.3. 血液凝固剤を含む組成物の投与
透析針を除去した後、有効量の選択された血液凝固剤を含む製剤を各針の部位に適用することができる。この製剤を接着組成物として血管アクセス部位に直接的に適用するか、または接着材料と共に位置を保持された別の材料の中に埋め込むか、もしくはその上にコーティングすることができる。必要に応じて、前記製剤、組成物、または該組成物を含む材料を、出血を抑制した後、約14分未満、好ましくは、約5分未満である時間、安定したデジタル圧力を用いて、位置を保持する。
【0086】
例えば、本明細書の以下に提供する実施例に記載の方法においては、前記組成物が血管アクセス部位で患者の皮膚に接着するように該組成物を製剤化するか、またはこれを用いて、患者の皮膚に適用される別の材料をコーティングすることができる。例えば、本明細書の以下に提供される実施例においては、前記組成物を、酸素透過性のテフロン裏材に付着させた障壁膜上にコーティングする。裏材は障壁膜の末端を越えて延長し、障壁膜を患者の皮膚に対して保持することによって接着パッチを形成するのに好適な接着材料を含む。例えば、本明細書の以下に提供される実施例においては、前記障壁膜は、ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミンポリマーで構築され、血液凝固剤、トラネキサム酸を含むゲルでコーティングされた障壁形成マットである。透析針を除去した後、ポリ-β-1→4-N-アセチルグルコサミンを含む障壁形成マット上にコーティングされたトラネキサム酸を含むテフロン裏材のパッチを、血管アクセス部位に付着させることができる。本明細書の以下に提供される実施例においては、例えば、デジタル圧力をパッチに加えず、患者の都合で患者により除去されるまで、患者の皮膚に付着したままにする。しかしながら、デジタル圧力を加える場合、圧力を加える時間は10分未満、好ましくは約5分未満である。
【0087】
4.2.4. 圧力の印加
いくつかの方法で血管アクセス部位に圧力を加えることができる。本発明の方法は、圧力を加えること、ならびに障壁形成材料ならびに/または血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を含む組成物を、血管アクセス部位に近接した血液透析針を除去した患者の皮膚表面上の部位と接触させることの組合せを含みうる。典型的には、印加の部位は、血液透析針を除去した創傷である。
【0088】
本発明の特定の実施形態においては、前記圧力は手動の圧迫である。手動の圧迫を、例えば、血管アクセス部位が圧迫され、標的化された血管アクセス部位において血流が有意に減少するか、または停止するように、指先を用いて、血管アクセス部位の上にある位置で、皮膚表面上を押すことにより加えることができる。この型の圧迫を、血管アクセス部位中の血液透析針の除去に近い部位に加えることができる。典型的には、近い部位とは、除去部位に近い約1〜約10 cmである。本発明の特定の実施形態においては、手動の圧迫を、前記組成物を血管アクセス部位に印加した部位に直接的に加える。典型的には、前記圧力を、出血している血管アクセス部位の部分に局所的に加える。正確な位置で患者の皮膚上に手動で圧力を加えて、血流および血圧を減少させる技術は当業界で一般的であり、ヒトおよび他の哺乳動物の両方において有効である(Camenzindら、1994, Journal of the American College of Cardiology. 24(3):655-662; Kipshidzeら、1998, Journal of Invasive Cardiology. 10(3):133-141; Merinoら、1992, Catheterization and Cardiovascular Diagnosis 26:319-322; Sanbornら、1993, Journal of the American College of Cardiology. 22(5):1273-1279)。
【0089】
手動の圧迫を、血管収縮剤および/または血液凝固剤を含む組成物の適用と組み合わせて加えることができる。そのような実施形態は、上記の組成物の適用と同時に、血管アクセス部位に手動で圧力を加えることを含んでもよい。あるいは、手動の圧迫を、組成物の適用の前に、または組成物の適用の直後に加えてもよい。
【0090】
本発明の方法の一部として手動の圧迫技術を包含する本発明の実施形態においては、該技術は、血管アクセス部位上で人の指または人の手のひらを用いて直接的に圧力を加えるものであってよい。特定の実施形態においては、針を挿入したのと同じ角度で、創傷に対して圧力を直接的に加えることができる。本発明の一実施形態においては、手動の圧迫を、前記組成物の適用と同時に加えることができる。本発明の組成物を障壁形成材料として製剤化する場合、該組成物および圧力を同時に印加することができる。前記組成物が、例えば、ゲルである場合、ゲルを血液透析針の除去部位に適用した直後、圧力を加えるか、またはゲルをガーゼなどの障壁形成材料に適用した後、処理されたガーゼを圧力と同時に印加することができる。
【0091】
手動の圧迫を加える技術においては、加えられる圧力の量および圧力のコンシステンシーは、一般的には時間および圧力を加える個体間で変化する。これは、圧迫を約1〜約14分間以内に除去することができるように、血液透析後の出血を約1〜14分以内に減少させるか、または停止させるのに十分な長さである。
【0092】
特定の実施形態においては、手動よりもむしろ機械的に、血管アクセス部位に圧力を加えるのが好ましい場合がある。C-クランプ、または変化するか、もしくは調節可能な力、および所望の重量の付属装置を備えた圧迫包帯/ドレッシングを含む、当業者には公知のいくつかの装置が開発されており、圧力を加えるのに一般的に用いられている。そのような圧迫装置を本発明の方法と組み合わせて使用し、所望の圧力の一定の印加を提供することができる。好ましい実施形態においては、血管アクセス部位に加える圧力の量は、血管アクセス部位を通過する血液の流動を可能にする。関連する実施形態においては、血流は約50、10、200、300、400、または500 ml/分である。関連する実施形態においては、血流は血管アクセス部位を通過する正常な生理学的流速の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
【0093】
非手動の圧迫を本発明の方法で用いる場合、一定の圧力を加えることができる。例えば、C-クランプまたは圧迫用包帯/ドレッシングを使用する場合に、圧力の段階的な低下を用いる技術を使用し、必要に応じて圧力を徐々に低下させることができる。圧力変換装置に接続された液体充填バルーンを用いて、加えられる圧力の量を測定することもできる。
【0094】
特定の実施形態においては、圧力を、最初に血管アクセス部位に近い部位に加えて血管アクセス部位中の血流を減少させるか、または最初に該近接部位および血管アクセス部位の両方に同時に加える;いずれの場合においても、近接部位に加えられる圧力を、後に解放するか、または血管アクセス部位での圧力を維持しながら減少させる。圧力の印加と、近接部位での圧力の解放との間の時間は、約15秒、30秒、1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、または5分であってよい。他の実施形態においては、近接部位および血管アクセス部位の両方で圧力を加え、維持する。
【0095】
圧力の量は、治療しようとする各患者および血管アクセス部位に応じて変化する。本明細書に記載の圧迫技術のいずれか、ならびに他の標準的な圧迫技術を、本発明の方法の実行に用いることができる。圧迫時間および圧力を測定する様々な方法を、上記の本発明の方法を実行するのに用いることができる。
【0096】
4.2.5. 圧迫時間
本発明の方法の1つの利点は、圧迫と前記組成物との組合せが、より長い圧迫時間を受ける患者と比較して、血管アクセス合併症の減少をもたらす血管アクセス部位からの血液の流出を減少させるか、または停止させるのに必要とされる圧迫時間の減少をもたらすことである。止血、すなわち、血管アクセス部位に近接した皮膚表面の創傷からの血流の停止または減少を達成するために圧迫を維持する時間量は、創傷の大きさおよび血管の圧迫において圧力を加える時間に左右される。本発明との関係において本明細書で用いられる場合、止血とは血管アクセス部位に近接した皮膚表面の創傷からの血流の停止または減少を意味する。本発明の方法を実行する場合に圧迫を維持する時間量は、比較可能な環境下で測定される通り、圧迫のみ、または組成物を用いない圧迫と比較して、血液透析期間の大部分についてより短い。
【0097】
本発明の一実施形態においては、出血を停止させるか、または減少させるのに必要な圧迫時間は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を用いずに局所障壁形成材料と組み合わせて圧力を加える場合に必要な時間よりも少ない。別の実施形態においては、圧迫時間は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を用いない局所障壁形成材料と組み合わせた圧力の印加と比較して、血液透析期間の大部分について、約1〜14分間であり、血管アクセス合併症の発生率が低下する。
【0098】
特定の例においては、圧力を加える時間は、約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、または14分未満であってよい。特定の実施形態においては、圧力を加える時間は11分を超える。特定の実施形態においては、圧力を加える時間は、約11〜25分である。一実施形態においては、圧力を、血液透析期間の大部分について、約1〜14分間加える。この時間は、圧力が最初に加えられる時点で血液透析針が除去された後に始まる。この時間は、圧力が前記期間中の最後の時間について解放されるまで継続する。この時間は、創傷からの出血を調べるために圧力を瞬間的に解放する時間の間隔を含んでもよい。一実施形態においては、この時間は、圧力を加える時間のみを含み、出血を観察するか、または測定するための休憩時間を含まない。
【0099】
前記組成物が血管収縮剤および/または血液凝固剤を含む本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、圧迫時間は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を含まない障壁形成材料と組み合わせた圧迫と比較して、約2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%減少する。
【0100】
本発明の組成物と組み合わせて、手動もしくは他の様式で圧力を加える時間を、解放もしくは部分的解放もしくは圧迫が存在する間隔に分割して、例えば、創傷からの血液の停止速度もしくは時間を算出するか、および/または止血を達成する時間を算出するための観察値を記録することができる。圧迫間隔は、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60秒の長さであってよい。あるいは、時間間隔は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10分の長さであってもよい。好ましい実施形態においては、出血を、所望の圧迫時間を通して約半分で1回調べる。関連する実施形態においては、出血を、圧迫の約5分後に調べる。一般的には、圧迫間隔は約1〜10秒の長さである。
【0101】
別の実施形態においては、圧迫を、等しい時間間隔で加える。連続的な、または出血時間を決定するために中断される合計圧迫時間は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、または14.5分である。一実施形態においては、血液透析針の除去の直後に、所望の血管アクセス部位に圧力を加える。
【0102】
4.1.節に記載の組成物を、本発明の方法における圧力の最初の印加と同時に加えるのが好ましい。他の実施形態においては、前記組成物を、圧迫間隔で再印加することができる。他の実施形態においては、組成物の適用前の時間、圧力を加え、さらに圧力を加える。一実施形態においては、組成物の適用前の時間は、約1、2、3、4、または5分である。
【0103】
4.2.6. 血流の時間もしくは速度または出血の停止の測定
特定の実施形態においては、停止もしくは減少の速度または時間を測定して、血液透析針による創傷からの血流(例えば、出血)の停止または減少が約1〜約14分以内に達成されるかどうかを決定する。組成物の存在下または非存在下での停止または減少の速度または時間を、比較のために測定することもできる。
【0104】
血管アクセス部位からの血流の停止もしくは減少または血管アクセス部位を通過する血流の速度を観察するための、本明細書に記載の本発明の方法と共に用いることができるさらなる技術を、以下の4.2.5.節に教示する。
【0105】
血管アクセス部位からの血流の停止もしくは減少を達成する速度または時間を、効果を達成するのに必要とされる時間間隔の合計数として簡単に算出することができるが、但し、ここで時間間隔は、各治療、すなわち、圧迫のみ、または本発明の組成物と組み合わせた圧迫について等しい。例えば、1回目の治療を受ける全ての患者に必要とされる時間間隔数の合計が8である場合、および2回目の治療を受ける全ての患者に必要とされる時間間隔数の合計が10である場合、差異の割合は25%である。あるいは、停止を達成する平均時間または圧迫時間を、各治療群について算出した後、比較して差異の割合を決定することもできる。
【0106】
別の実施形態においては、圧迫時間の停止を達成する時間を、時間間隔よりもむしろ分および/または秒で測定する。測定される時間の間の差異の割合を、時間間隔の方法について上記された方法の1つを用いて算出することができる。
【0107】
本発明の特定の実施形態においては、血液透析患者は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30分の平均止血時間を有する。特定の実施形態においては、前記患者は11分を超える平均止血時間を有する。
【0108】
血管アクセス部位から血液透析針を除去することにより引き起こされる血管アクセス部位からの血流の停止もしくは減少を達成するための時間を分および/または秒で測定する場合、圧力を加える時間間隔数は、停止までの時間の算出における因子である必要がない場合がある。治療の適用から血流の停止または減少までの合計時間を、2つの治療群について比較することができる。本発明のこの実施形態においては、停止を達成するための時間に関する値は圧力のみについては当業界で公知であるので、圧力のみを、上記の4.2.5.節に記載の組成物と組み合わせた圧力よりも長い時間、最初に加えてもよい。血流の停止または停止速度を達成するための時間を、圧力のみを加える環境について測定することもできる。上記の測定値を、限定されるものではないが、超音波画像化およびシンチグラフィー画像化などの、当業者には公知の画像化方法により作製することができる。例えば、圧力のみを5分間、患者に対して加えた後、観察値を記録することができるが、本発明の組成物と組み合わせた圧力を受ける患者は、停止を達成するための時間または血液透析期間について合計圧力時間を算出するためのデータを取得するために、血流観察値を作製するために圧力を部分的および簡潔に解放する必要がある。
【0109】
設定された数の圧迫時間間隔を印加する場合、差異の割合を、各治療群における患者数に基づいて算出することができる。例えば、圧力を2つの時間間隔で加え、圧力のみからなる第1の治療を受ける100人の患者のうちの60人が2つの圧迫間隔後に出血の停止を達成し、および圧力と本発明の組成物とからなる第2の治療を受ける100人の患者のうちの80人が2つの等しい時間間隔後に創傷の停止または密閉を達成する場合、止血を達成する時間または血液透析期間についての合計圧迫時間における差異の割合は20%である。
【0110】
血栓症の発生または他の血管アクセス合併症の頻度を、臨床観察値を用いて算出することができる。血栓症の1つの指標は血管アクセス部位を通過する血流の減少である。血管アクセス部位を通過する血流の減少は、血液透析期間が開始する前の流速または標準的な参考文献から容易に決定することができる生理学的な標準流速と比較したものであってよい。あるいは、狭窄症または他の血管合併症の診断ならびに血流の停止を達成するための圧迫時間および創傷の密閉の量を、種々の画像化技術を用いて作製することもできる。
【0111】
血管アクセス合併症の減少を、いくつかの方法で測定するか、または定量することができる。例えば、一方の群は対照として役立ち、標準的な血液透析治療を受け、別の群は本発明の方法を用いる血液透析治療を受ける、患者群間で比較を行うことができる。次いで、血管アクセス合併症の平均数を、前記群について比較して、血管アクセス合併症の発生の減少を同定することができる。血管アクセス合併症の減少を、本発明の方法を用いる、および用いない血液透析期間中の血管アクセス合併症の数を比較することにより、患者内で測定することもできる。以下に記載の方法などの、標準的な医学的統計方法を用いて、減少を同定することができる。
【0112】
種々の実施形態において、血管アクセス合併症は、本発明の方法を投与された患者または患者集団について、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%減少する。
【0113】
本発明の一態様においては、本発明の方法を用いる場合の血流の停止または減少の速度は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を用いずに局所障壁もしくはガーゼと組み合わせた圧力の印加よりも10%大きい。他の態様においては、上記の速度は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%以上である。
【0114】
本発明の一態様においては、本発明の方法および組成物を用いる場合の血流の停止または減少を達成するための時間は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を用いずに局所障壁もしくはガーゼと組み合わせた圧力の印加よりも10%短い。他の態様においては、上記の時間は、圧力のみ(例えば、ガーゼのみ)の印加と比較して、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%以下である。
【0115】
統計学的方法を用いて、観察された差異が統計学的に有意なものであるかどうかを決定することができる。具体的には、圧迫のみ、または血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を用いる圧迫と比較した本発明の方法を用いる血管合併症の圧迫時間もしくは発生率の間で観察された差異を、標準的な統計学的方法を用いて分析することができる。統計学的有意性を、任意の標準的な計算された統計値(例えば、one-tailed t統計値、two-tailed t統計値、カイ自乗統計値、F統計値など)を用いて決定することができる。本発明と関連する使用にとって好適な標準的な統計学的方法としては、医学的分析および臨床試験において一般的に用いられる方法が挙げられる。方法の例は、限定されるものではないが、Vogt W., 1998, Dictionary of Statistics and Methodology(第2版)、SAGE Publications; Spiegel, D., J. Myles,およびK.R., 2002, Abrams Bayesian Approaches to Clinical Trials and Health Care: Statistics in Practice. Wiley, John & Sons, Incorporated; Cleophas, T.J., A.H. ZwindermanおよびT.F. Cleophas, 2002, Statistics Applied to Clinical Trials(第2版), Gehan, E.A.A.およびN.A. Lemak, 1994, Kluwer Academic Publishers;ならびにStatistics in Medical Research: Developments in Clinical Trials(第1版), Kluwer Academic Publishersなどの参考刊行物に見出すことができる。
【0116】
例えば、血管アクセス部位のカラー血流複式音波診断を用いて、偽動脈瘤を検定することができる(Gwechenbergerら、1997, Angiology. 48(2):121-126)。シンチグラフィー画像化分析を用いて、血液透析針の除去部位またはA-V連結もしくは移植片の部位での血流および/もしくはクロット形成を試験し、ならびに血液透析針により引き起こされる血管アクセス部位における創傷が効率的に密閉されたかどうかを決定することができる(Ismailら、1995, Catheterization and Cardiovascular Diagnosis 34(1):88-95)。血管造影技術を用いて、血液透析針により引き起こされる創傷部位の密閉を試験することもできる(Hoekstraら、1998, Biomaterials. 19:1467-1471)。例えば、血管内超音波を用いて、血管アクセス合併症として過形成をモニターし、診断することができる(Schwab, 1999, Kidney International, 55:2078-2090)。本明細書に記載の画像化分析を用いて、血液透析針による創傷からの血流またはA-Vフィステルもしくは移植片を通過する血流の停止または減少の速度または時間における時間の速度および割合の差異を、観察値を得るために圧力を解放することなく算出することができる。血管アクセス合併症、例えば、血栓症の数を、本明細書に記載の画像化技術を用いて、または血管アクセス合併症の診断の当業者に公知の他の画像化技術を用いて算出することもできる。
【0117】
一実施形態においては、本発明の方法は、血管アクセス合併症の存在もしくは発生または血管アクセス部位を通過する血流を測定するか、またはモニターする工程を含む。これを、例えば、以下に記載の画像化技術を用いて達成することができる。そのようなモニタリングを、各血液透析期間に、または固定された期間、例えば、3ヶ月毎に行うことができる。あるいは、患者が血管アクセス合併症の徴候歴または血管アクセス合併症の臨床的発現を示す場合、モニタリングを行うことができる。
【0118】
測定される血流の速度は、圧迫中、圧迫前、圧迫後のものであってよく、または血液透析装置を通過する血流の速度であってもよい。特定の実施形態においては、血管アクセス部位を通過する血流を、繰り返しの使用前の成熟部位で、圧迫前に該部位を通過する血流、または該部位を通過する生理学的流速と比較して測定する。Schwabら(1989, Kidney International, 36:707-711)は、アクセス部位血栓症の指標である静脈吻合の検出を提唱し、これは透析手順中に200 ml/分の設定された血流速度で静脈圧をモニタリングすることにより達成された。血管アクセス部位を通過する血流をモニターするか、または測定する他の技術としては、再循環(すなわち、血液透析装置から要求される血液ポンプ流が遅い静脈出口の狭窄症の結果としてアクセス血流を超過する場合)、透析用量の急激な低下、アクセス血流(すなわち、血流速度が遅くなるほど、血栓症の危険性が高くなる:800 ml/分以上の血流が、PTFE移植片およびA-Vフィステルにおける1000 ml/分以上の血流より高い血栓症の速度を有し、血流が約400 ml/分より低い場合、血管アクセス合併症の危険性が上昇するか、またはアクセスのいずれの型においても、25%の血流における減少が血管アクセス合併症の危険性を示す)、および超音波希釈、血管造影、静脈内デジタル減算血管造影(DSA)、ドップラー超音波、または血流速度を測定し、解剖学的病理を観察するための複式ドップラーカラー血流が挙げられる。
【0119】
本発明の実施形態においては、血管アクセス部位を通過する血流を測定して、血管アクセス合併症の減少を決定するか、または血管アクセス部位を血液透析に用いることができる時間を延長する場合、本発明の方法およびキットを用い、血流を血液透析期間の前または後に測定する場合の血管アクセス部位における約600 ml/分、650 ml/分、700 ml/分、750 ml/分、800 ml/分、850 ml/分、900 ml/分、950 ml/分、または1000 ml/分より大きい。関連する実施形態においては、血管アクセス部位における血流速度は1500 ml/分未満である。
【0120】
好ましい実施形態においては、本発明の方法は、血栓症などの血管アクセス合併症の可能性を効果的に減少させる。
【0121】
前記組成物が血管収縮剤および/または血液凝固剤を含む、本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管アクセス合併症を有する患者の数、比率、または割合を、ほぼ同じ時間、圧力を加えた、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を含まない障壁形成材料と組み合わせた圧迫と比較して、約2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上低下する。
【0122】
前記組成物が血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を含まない障壁形成材料を含む本発明の方法およびキットの特定の実施形態においては、血管アクセス合併症の数、比率、または割合は、血管収縮剤および/もしくは血液凝固剤を含まない、障壁形成材料、例えば、ガーゼと組み合わせた、臨床的な標準時間、例えば、15〜20分間の圧迫と比較して、約2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上低下する。
【0123】
4.2.6.1. シンチグラフィー画像分析
シンチグラフィー画像分析を用いて、特に動物モデル系において、血液透析針の除去部位または血管アクセス部位での血流および/もしくはクロット形成を試験し、創傷が効率的に密閉されたかどうかを決定することができる(Ismailら、1995, Catheterization and Cardiovascular Diagnosis 34(1):88-95)。例えば、本発明を動物モデルにおいて試験する場合、低エネルギー多目的コリメータを固定したカメラを、血液透析の血管アクセス部位上の位置に配置することができる。好適な容器中の点源(約50 uCi 99mTc)を用いて、その後の画像化の整列のために、動物体の正確な位置を記録することができる。試験動物に自己由来テクネチウム標識赤血球を注入し(平均=16.65±3.51 mCi)、標識効率を予め試験する。標識された細胞を、画像を取得する前に5分間循環させる。画像を、最大24時間の規則的な時間間隔で取得することができる。初期の画像を用いて、血液透析による創傷の密閉および血流の停止またはその量を確認し、後期の画像を用いて、効率よくクロットを同定することができる。
【0124】
4.2.6.2. 血管造影
血管造影は、染料、または造影剤を患者に投与し、X線画像化を用いて血管の内側を調べて、血管に関与する病変を診断するか、または治療するための試験である。血管造影技術は、カテーテルおよび針を誘導するのに一般的に用いられている。血管造影を用いて、非侵襲的な様式で、血流の停止もしくは速度、またはそのような破損箇所もしくは穿刺部位の密閉を試験することもできる(Hoekstraら、1998, Biomaterials. 19:1467-1471)。CTまたはMRI画像化を用いて、血液透析針の創傷部位の密閉ならびに創傷からの出血の停止、血管アクセス部位を通過する血流、狭窄症、または血管アクセス合併症の発生を試験することもできる。
【0125】
4.2.6.3. 超音波診断
種々の音波診断および超音波診断技術を本発明の方法と共に用いて、血液透析針の除去部位もしくは出血部位における出血および/もしくはクロッティングおよび/または血管アクセス部位での血管アクセス合併症の存在を試験することができる。複式超音波診断は、病変局在化および異常な血流の定量のための末梢動脈試験における有用な臨床用途であることが示された。例えば、穿刺による創傷部位のカラー血流複式音波診断を用いて、血液クロット、偽動脈瘤、およびA-Vフィステル形成について試験することができる(Gwechenbergerら、1997, Angiology. 48(2):121-126)。
【0126】
4.3. 組成物の用量および投与
一般的には、治療上有効量は、患者の年齢、状態、および性別、ならびに被験者における状態の性質および程度に応じて変化し、これらは全て当業者により決定することができる。治療上有効量は、圧力を用いて、約1〜約14分以内に止血を達成する組成物の量である。例えば、幼児に必要とされる有効用量(すなわち、量)は老人の患者とは異なってもよい。投与される前記組成物の実際の量および製剤は、創傷の重篤度、患者の状態、患者の年齢および患者が有する任意の二次的損傷または医学的病気などの様々な因子に依存するであろう。例えば、ESRD患者はしばしば心臓病、損傷された血管系、高血圧、低血圧、糖尿病、多嚢胞性腎疾患、糸球体腎炎または感染症、例えば、HIVもしくは肝炎を有する。
【0127】
本発明の組成物の毒性および効力を、例えば、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)の決定のために、細胞培養物または実験動物において、標準的な製薬的手順により決定することができる。より大きな治療効果を示す組成物が好ましい。本発明の例では、毒性的副作用を示す組成物を、本発明の方法を実施するのに用いることができる。前記組成物を、影響される組織の部位に適用し、それによって副作用の危険性を減少させるため、影響されない細胞に対する潜在的な損傷は最小化される。
【0128】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための用量範囲を調剤するのに用いることができる。そのような組成物の用量は、ED50を含む濃度範囲内にあるのが好ましい。この用量は、組成物の製剤、すなわち、ゲル、気泡、パッチなどに依存してこの範囲内で変化してもよい。本発明の方法で用いられる任意の血管収縮剤については、治療上有効量を組織または組織培養アッセイから最初に評価することができる。
【0129】
1つの標準的な組織アッセイを、ラットから切り出された大動脈環を用いて行う。次いで、大動脈を、118 NaCl、4.75 KCl、2.54 CaCl2.2H2O、1.19 KH2PO4、1.19 MgSO4.7H2O、12.5 NaHCO3、および10.0グルコース(mmol/l)からなる加温したKrebs-Henseleit(KH)バッファー中に迅速に懸濁する。単離された血管を、結合組織から注意深く遊離させ、長さ2〜3 mmの環に切断することができる。次いで、この環をステンレススチール製フック上に載せ、10 mlの組織バス中に懸濁し、FT-03力変位変換装置(Grass Instrument, Quincy, MA)に接続して、Grassモデル7オシログラフ記録装置上での力の変化を記録する。バスにKHバッファーを充填し、95%O2+5%CO2を用いて37℃で通気する。0.5 gの残存力をSMA環に加えた後、該環を90分間平衡化させる。この期間の間に、組織バス中のバッファーを15〜20分毎に交換し、血管環の残存力を、0.5 gの予備負荷が維持されるまで調整する。平衡の90〜120分後、環を100 nM U-46619(9,11-ジデオキシ-9α-11α-メタンエポキシ-プロスタグランジンF、Biomol Research Laboratories, Plymouth Meeting, PA)、トロンボキサンA2模倣物質に曝露して、1.0 gの発達した力を作製する。一度、安定な収縮が得られたら、アセチルコリン、典型的な内皮依存的血管拡張剤を、0.1、1、10、および100 nMの累積濃度でバスに添加して、内皮の完全性を評価する。累積的応答が安定した後、環を洗浄し、基線まで再度平衡化させる。安定した基線応答が得られたら、当業者であれば、この手順を繰り返すことにより種々の血管収縮剤の試験を続行することができるであろう。
【0130】
血液凝固剤の機能を、標準的なアッセイにより試験することができる。そのようなアッセイにおいては、抗血液凝固剤を含まない正常なヒト血液を吸引し、いくつかの試験管に入れる。例えば、本発明の組成物を含まない正常な血液を、凝固させる(通常、約10分以内に)。正常な血液の他のサンプルを吸引し、1ミリリットルのアリコートを、血液凝固特性の試験を望む本発明の特定の組成物のアリコートを低下させながら試験管に入れる。この標準的アッセイ上の変動を、患者が血液の吸引前に血流中に導入された抗血液凝固剤を有する場合に行うことができる。その結果を用いて、止血、すなわち、創傷からの血液の流出の停止を加速することができる本発明の組成物を同定することができる。
【0131】
種々の実施形態においては、有効性について試験される血管収縮剤および/または血液凝固剤の量は、本発明の方法で用いることができる有効用量の約0.5倍、0.75倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、12倍、15倍、20倍、50倍または100倍の量である。
【0132】
本発明の特定の実施形態においては、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量は、圧力を用いずにカテーテル出口の創傷に加えられた場合に出血の減少または停止をもたらす量である。本発明の他の実施形態においては、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量は、本発明の方法による圧力を用いてカテーテル出口の創傷に加えられた場合に出血の減少または停止をもたらす量である。
【0133】
本発明の組成物をパッチとして製剤化し、パッチ中に埋め込み、またはパッチに印加する本発明の実施形態においては、100 mgの該組成物を、1 cm2の創傷に接触するパッチの表面中に存在させることができる。他の実施形態においては、1 cm2のパッチ中に存在する本発明の組成物の有効量は、約0.05 mg、0.10 mg、0.25 mg、0.50 mg、0.75 mg、1 mg、2 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、100 mg、150 mg、200 mg、250 mg、300 mg、350 mg、400 mg、450 mg、500 mg、550 mg、600 mg、650 mg、700 mg、750 mg、800 mg、850 mg、900 mg、1000 mg、または2000 mgの前記組成物であり、ここで該組成物は約1 mM〜70 mMの濃度を有する。好ましい実施形態においては、前記組成物がp-GlcNAcを含む場合、1 cm2のパッチ中に存在するp-GlcNAcの有効量は、3〜20 mgの該組成物である。
【0134】
当業者であれば、止血を達成し、圧力の必要性を減少させるのに有効な血管収縮剤および/または血液凝固剤の量を容易に決定することができるであろう。例えば、標準的な用量および薬剤の用量を決定する方法は、Physician's Desk Reference(Medical Economics Company, Inc., Montvale, NJ, 2000)に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。時間間隔で血流を観察することにより止血時間を算出するための4.2.5.節に記載の方法を用いて、特定の血管収縮剤および/または特定の血液凝固剤の特定量が、圧力の印加を約1〜14分間行い、止血を達成するような有効量であるかどうかを決定することもできる。
【0135】
他の実施形態においては、本発明の組成物をパッチとして製剤化し、パッチ中に埋め込み、またはパッチに印加する場合、100μgの該組成物を、1 cm2の創傷と接触するパッチ表面に存在させることができる。別の実施形態においては、1 cm2のパッチ中に存在する本発明の組成物の有効量は、約5μg、10μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、または160μgの前記組成物であってよく、ここで該組成物は約1 mM〜70 mMの濃度を有する。そのような量で有効であり得る血液凝固剤の例はトロンビンである。そのような量で有効であり得る血管収縮剤の例はエンドセリン-1である。
【0136】
さらに他の実施形態においては、本発明の組成物の有効量は、該組成物をパッチとして製剤化し、パッチ中に埋め込み、またはパッチに印加する場合、約1〜1000 IU/cm2である。
【0137】
特定の実施形態においては、本発明の組成物の有効量は、血液凝固剤または抗血液凝固剤の存在下で止血を活性化する量である。
【0138】
特定の実施形態においては、有効用量は、圧力を用いるか、または用いない場合にクロッティングを開始させるのに必要な用量である。他の実施形態においては、有効用量は、圧力を用いるか、または用いない場合に残存する固いクロットの形成を引き起こすのに必要な用量である。さらに他の実施形態においては、有効用量を、クロットの強度、すなわち、圧力を用いるか、または用いない場合にクロットが保持する時間により決定することができる。
【0139】
特定の血管収縮剤および/または血液凝固剤の変化する濃度および量がin vitroでどのように働くかを決定すれば、有効な血管収縮剤および/または血液凝固剤を前記方法により動物モデル中でさらに試験することができる。一連の測定値を、血管収縮剤および/または血液凝固剤の濃度または量を変化させながら取得して、有効量を決定することができる。そのような一連の測定値を用いて、特定の血管収縮剤および/または血液凝固剤がどのように機能し、患者にとっての有効量の決定を可能にするかを予測することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0140】
動物モデルから得られた結果を外挿して、ヒト被験者にとっての有効用量を決定することができる。1種以上の動物モデルにおける血管収縮剤および/または血液凝固剤の濃度変化を比較することにより、各被験者の特定の環境、すなわち、創傷の大きさ、患者の年齢、血流中の血液凝固剤もしくは抗血液凝固剤の存在を与えられた、ヒトにおける有効量を評価するのに用いることができる用量応答曲線の確立が可能になる。
【0141】
血管アクセス部位の超音波画像化またはドップラーフロー分析により、皮膚表面の創傷または血管アクセス部位を通過する血流の停止または減少の決定が可能になる。血管アクセス部位を通過する血流が、長時間、すなわち、約14分を超える時間、阻害される場合、血管アクセス合併症を引き起こす可能性がある。かくして、ドップラーフローおよび超音波により、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量の上限の最大値を決定することができる。例えば、血液凝固剤の作用が血管中に拡張し、血小板のクロッティングおよび血管内の血液の停止を引き起こす場合、その作用は損傷的である。別の実施形態においては、血管収縮剤および/または血液凝固剤の有効量の上限最大値を、約1〜14分間の圧迫の存在下または非存在下で血管アクセス部位を通過する血流の停止を引き起こす本発明の組成物の量として測定することができる。
【0142】
4.4. キット
本発明に従って、上記の実施形態のいずれかを含むキットも提供される。このキットは、夾雑なしに組成物の除去を容易にする、密閉された、耐水性の、滅菌包装内に含まれる前記組成物を含んでもよい。容器を作製することができる材料としては、アルミホイル、プラスチック、または容易に滅菌することができる別の従来の材料が挙げられる。このキットは、単一の組成物または複数の組成物を含んでよいが、好ましくは、その各々は別々の、耐水性の滅菌包装中で提供される。一実施形態においては、キットは湿気に対する障壁を提供する1個以上の区画を有するプラスチックまたは金属製のトレイまたは容器内に含まれる前記組成物を含んでよい。
【0143】
別の実施形態においては、二重の区画を有する容器を提供する。第1の区画は前記組成物を含むが、第2の区画は本発明による局所障壁、膜、またはフィルムを含む。使用分野においては、障壁、膜、またはフィルムを、開かれた第1の区画中に浸し、続いて、血液透析針による創傷に容易に適用することができる。前記組成物を局所障壁、膜、もしくはフィルムに適用するか、もしくは添加した後、包装し、滅菌するか、または前記組成物を障壁、膜、もしくはフィルムとして製剤化することができる。別の実施形態においては、前記組成物をそのように製剤化しない場合、キットは障壁、膜、もしくはフィルムを含まなくてもよい。
【0144】
本発明の一態様に従えば、様々な特殊化されたキットを提供することができる。キットは、各々が別々の密閉された滅菌包装または容器内に含まれる複数の本発明の組成物を含んでもよい。キットは、1個以上の容器中に、有効量の血管収縮剤を含んでよいが、別の容器中には製薬上許容し得る担体を包装することができる。別々の容器中に、キットは中性の液体、中性のゲルまたは中性の固体を含んでもよい。キットは、本明細書に記載の本発明の方法における使用のための組成物と共に血液凝固剤を含んでもよい。
【0145】
前記キットは、血液に対する障壁を形成する障壁形成材料として製剤化することができる組成物を含んでもよい。キットは、血液に対する障壁を形成する障壁形成材料をコーティングする、添加する、または組み込むことができる組成物を含んでもよい。一実施形態においては、キットは、1種以上の血液凝固剤および/または血管収縮剤を埋め込んだ障壁形成材料から作製されたパッチを含む医薬組成物を含む。一実施形態においては、キットは、1種以上の血液凝固剤および/または血管収縮剤を埋め込んだガーゼを含む医薬組成物を含む。特定の実施形態においては、キットは、1種以上の血液凝固剤および/もしくは血管収縮剤を埋め込んだ、またはこれと組み合わせた障壁形成材料を含み、該障壁形成材料は、該材料が患者の皮膚表面に付着することができるような接着物質を含む、医薬組成物を含む。あるいは、キットは障壁形成材料を含まない。
【0146】
一実施形態においては、キットは、血管収縮剤、血液凝固剤、または血管収縮剤もしくは血液凝固剤の両方として機能する薬剤を埋め込んだ、またはこれでコーティングされたパッチを含む。別の実施形態においては、キットは、本発明の方法において用いることができ、血管収縮剤、血液凝固剤、または血管収縮剤もしくは血液凝固剤の両方として機能する薬剤を含むゲルを含む。
【0147】
好ましい実施形態においては、前記キットはガーゼを含む。
【0148】
キットは、FDAの認可に関する通知書および/または血液透析期間中の圧迫と組み合わせた使用のための説明書を含んでもよい。説明書は、血管アクセス合併症を減少させるための方法を記載することができる。一実施形態においては、説明書は、血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に、血管アクセス部位での血液透析後の出血を減少させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用し、約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えることを記載する。説明書はまた、手順後の説明、警告、用心、および/または市場での排除もしくは認可の指示を記載してもよい。説明書はキットおよび/またはキット成分を標識するための説明を記載してもよい。
【0149】
一実施形態においては、前記キットは、圧力を約1〜14分間加える血液透析の血管アクセス部位に前記組成物を局所的に適用し、血管アクセス合併症の減少をもたらすための説明書を含む。
【0150】
別の実施形態においては、前記キットは、血液透析の血管アクセス部位に、圧力と共に前記組成物を局所的に適用して、約1〜14分間に血液透析の血管アクセス部位からの血液の流出を停止または減少させることを達成するための説明書を含む。
【実施例】
【0151】
5. 実施例
5.1. 実施例1:血液透析患者における迅速な創傷の閉鎖および出血の停止を促進するためのHealTekPatch(商標)の使用
実施例1は、針を除去した後の血液透析患者における血管アクセス部位などの迅速な創傷の閉鎖およびそれからの出血の停止を促進するための装置としての、特定の材料、HealTekPatch(商標)の使用を試験する研究に関する。HealTekPatch(商標)は、完全にアセチル化されたポリ-N-アセチルグルコサミン(「p-GlcNAc」)を含む。p-GlcNAcポリマーならびにその誘導体および製剤は、米国特許第5,622,834号、5,623,064号、5,846,952号、5,624,679号、5,858,350号、5,635,493号、5,686,115号、6,063,911号および5,510,102号に記載されている。
【0152】
本実施例の最初の試験の焦点は、包括的基準を満たし、同意書に署名した66人の患者の合計プール内から無作為に選択された25人の血液透析患者群に関した。この研究においては、各患者は患者自身の対照として働いた。
【0153】
以下に提供されるデータにより示されるように、HealTekPatch(商標)は、試験した患者の86%においてガーゼ対照よりも有効であることが証明された。さらに、HealTekPatch(商標)の使用により、72%の患者(25人中18人)において5分以内に出血が停止した。標準的な看護(ガーゼ)により、患者の16%(25人中4人)においてのみ、5分以内に出血が停止した。さらに、予防的抗血液凝固剤で治療した患者のサブセット内では、HealTekPatch(商標)の使用は、88%の患者において、迅速な創傷の閉鎖および出血の停止に関してガーゼ対照よりも有効であった。
【0154】
5.1.1. 材料
HealTekPatch(商標)(Marine Polymer Technologies, Danvers, Massachusetts)、完全にアセチル化されたポリ-N-アセチルグルコサミン(p-GlcNAc)は、タンパク質および他の夾雑物を含まない、高純度の多糖類である(4.1.4.節を参照)。HealTekPatch(商標)装置の生物学的試験を、Toxikon Laboratory(Woburn, MA)で実施し、以下の試験:細胞毒性アッセイ、一次皮膚刺激アッセイ、感作アッセイ、全身毒性試験、血液適合性試験、発熱試験、移植試験、変異原性試験、および準慢性毒性試験を含んでいた。HealTekPatch(商標)は、米国食品医薬品局(FDA)の3部分生体適合ガイダンス試験により示されたように、完全に生体適合性かつ非毒性である。用いたガーゼは、Medical 2"x2" 4層(Johnson & Johnson, New Brunswick, New Jersey)であった。ガーゼを折り畳んで、1"x1"(2.5 cm x 2.5 cm)角のものを形成させた。
【0155】
5.1.2. 患者の選択方法
25人の患者を、本研究における含有のために、Dialysis Clinic Inc.(Boston, MA)における所与の日付の記録上の66人の血液透析患者集団から無作為に選択した。
【0156】
患者が彼らの日常の血液透析治療にある場合、彼らに前記試験に参加する機会を提唱した。患者は、(1)18歳以上の年齢であり、同意を得ることができる、(2)天然の静脈フィステルまたはポリテトラフルオロエチレン移植片を介する透析を受けている、かつ(3)観察試験前に、血液透析針の除去後5分を超える時間、出血していた場合、本研究に関して適格であると考えられた。HIVに対する抗体またはB型肝炎表面抗原を有する患者を本研究から除外した。また、他の臨床試験に登録した患者も除外した。表1は、本研究に登録した25人の患者の統計をまとめたものである。
【表1】

【0157】
患者評価は、選んだ患者が研究の包括基準を満たすことを確実にするために、患者の臨床歴の総括およびカルテならびに血管アクセス部位の検査を含んでいた。この患者評価は、各患者についての関連臨床データも提供し、これは、皮膚の状態、針による穿刺のパターン、血管アクセスの型、ヘパリンの用量、静脈圧、血流、透析の妥当性、栄養状態、血液学的パラメーター、経口の抗血液凝固治療または抗血小板治療の使用ならびに血管アクセスに対する修復歴および血管アクセスの置換歴を含んでいた。最も最近の完全な血球計数および血小板計数を含む、各患者の血液試験の結果を、各患者のカルテからコピーした。
【0158】
5.1.3. 治療方法
各患者は患者自身の対照として働いた。各患者をHealTekPatch(商標)で1回、およびガーゼ対照(標準的治療)で1回治療して、どの方法が出血をより早く停止させるかを決定した。各材料(HealTekPatch(商標)ディスクまたはガーゼ片)を用いる順序は、各患者について無作為であった。透析針を除去した後、選択された材料(1.5 cmのHealTekPatch(商標)ディスクまたは2.5 cm四方のガーゼ)を各針部位に適用した。各材料を固定デジタル圧力と共に5分間、位置を保持した後、試験材料を除去しないように注意しながら、デジタル圧力を除去した。各部位を2分間観察した。この2分間の観察期間内に出血が認められた場合、すぐにデジタル圧力をさらに5分間、再び加えた。このプロセスを、出血の停止が達成されるまで繰り返した。出血の停止に必要な圧力の印加回数を、最大で3回の印加まで記録した。治療の15分以内に出血が停止しない場合(すなわち、3回の5分間の圧力の印加)、もうデータを記録せず、出血がその患者に関して停止するまで圧力を回復させた。出血時間を、部位から針を除去した時に開始し、その部位からの出血が停止した時点を終わりとする時間と定義した。動脈および静脈の出血時間を別々に記録し、この2つの期間の長い方を、特定の治療に関する出血時間であると考えた。この臨床試験の結果を以下の表2にまとめる。
【表2】

【0159】
タイ* タイスコアの4/5は、圧力の最初の5分で発生した。最初の5分で発生する事象の観察はプロトコルの範囲外にあった。
【0160】
5.1.4. 結果のまとめ
上記の表2に示されるように、患者25人中19人の出血時間はガーゼと比較して、HealTekPatch(商標)を用いる場合、より短かった。残りの6人の患者に関しては、出血時間は、5人の患者についてHealTekPatch(商標)またはガーゼを用いるのと同じであったが、観察された出血時間は対照材料であるガーゼの使用と比較して、HealTekPatch(商標)を用いた1人の患者についてのみ、より長かった。
【0161】
さらに、驚くべきことに、HealTekPatch(商標)またはガーゼを用いる例の大多数において、15分未満で出血を停止することが可能であったことは注目に値した。これは、圧力を少なくとも15分間加え、出血を停止させることを含む血液透析患者のための標準的な手順とは対照的である。
【0162】
5.1.5. データの分析
5.1.5.1. 統計的評価
上記の臨床試験において得られたデータを、以下に記載のように、Biostatistics Research Center, New England Medical Center(Boston, MA)の職員により分析した。
【0163】
最初の分析のために、各タイを1/2の成功として計数した。従って、この分析は、25人の試験のうち21.5人の成功に基づくものであった。これにより、(68%、96%)の正確な2項信頼区間を有する86%の評価された有効性が導かれる。この分布に関する成功の累積比率のプロットは、100回のうち、1回未満しか機会がなく、成功率が約2/3未満であることを示している。成功比率の後分布のプロットを、非情報的β前分布に基づいてBayesian分析を用いて作製したところ、データは86%の成功率を最も支持することが示された。この分析により、70%未満の比率はありそうもないが、95%の成功率が確実に可能であることがさらに示された。
【0164】
5.1.5.2. 感度の分析
第2に、タイを失敗として処理する、より保守的な分析も行った。この分析により、(56%、92%)のこの比率の正確な信頼区間を有する、76%(25人中19人)の成功率が提供された。この保守的な分析でさえ、HealTekPatch(商標)の使用が、針を除去した後の血管アクセス部位からの出血の停止の促進において、ガーゼ対照と同じ程度有効ではない可能性はほとんどないことを示している。
【0165】
上記で開示された臨床試験で得られたデータの第3の分析においては、タイのうちの4人(すなわち、1回目の5分間の試験期間内に出血が停止した人)を除外したが、5人目のタイは失敗であると考えられた。この例においては、成功率は93%(21人のうち19.5人)であり、正確な95%信頼区間は(76%、100%)であった。
【0166】
5.1.5.3. HealTekPatch(商標)を用いる創傷の閉鎖
表2のデータは、HealTekPatch(商標)の適用により72%の患者(25人中18人)については5分以内に出血が停止したが、対照、すなわちガーゼ片の標準的な適用により、5分以内に出血が停止したのは16%の患者(25人中4人)のみであることを示している。
【0167】
5.1.5.4. HealTekPatch(商標)を用いた創傷の閉鎖の統計的分析
前節(5.1.5.3)に記載のHealTekPatch(商標)を用いた場合、25人の試験のうち18人の成功があった。これにより、評価される有効性は72%であり、正確な2項信頼区間は(52%、84%)であることが導かれる。対照的に、標準的なガーゼ治療を用いる場合、25人の試験のうち成功は4人のみであった。これにより、評価される有効性は16%であり、正確な2項信頼区間は(0%、28%)であることが導かれる。
【0168】
5.2. 実施例2:予防的抗血液凝固治療上で血液透析患者における迅速な創傷の閉鎖および出血の停止を促進するためのHealTekPatch(商標)の使用
上記の実施例1に記載の臨床試験に登録した25人の患者のセット内に、予防的抗血液凝固剤(アスピリン、エコトリン、またはワルファリン)でも治療した13人の患者のサブセットが存在した。以下に示されるように、迅速な創傷の閉鎖および血管アクセス部位からの出血の停止は、ガーゼ片の適用によるよりもHealTekPatch(商標)ディスクの適用によって、より効率的に達成された。
【0169】
この結論は、上記の実施例1の臨床試験の13人の抗血液凝固剤で治療した患者のサブセットについて得られた出血時間のデータの総括に基づくものである。従って、実施例2の材料および治療方法は、上記の実施例1の5.1.1節および5.1.3節に記載のものである。
【0170】
5.2.1. 結果のまとめ
表3は、さらなる抗血液凝固治療で処理した患者のサブセットについて上記の臨床試験で得られた結果をまとめたものである。
【表3】

(タイ*:2/3のタイスコアは最初の5分間の圧力で発生した)。
【0171】
最初の5分間で発生した事象の観察は、5.1.3節で上記されたこの臨床試験に従うプロトコルの範囲外であった。
【0172】
表3に示されたように、出血時間は、予防的抗血液凝固治療で処理したものと同定された13人の患者のうちの10人において、血液透析治療期間の終わりに針を除去した後、ガーゼ片よりもHealTekPatch(商標)を血管アクセス部位に適用した場合により短かった。さらに、この抗血液凝固剤で治療した患者のサブセットのうちの残りの3人については、出血時間は、血液透析後の血管アクセス部位にHealTekPatch(商標)を適用してもガーゼ片を適用しても同じであった(すなわち、タイと命名する)。
【0173】
5.2.2. データの分析
実験2の結果の統計学的評価を、4.5.1節中の上記方法を用いて行い、タイを1/2の成功であると計数した。この分析に従えば、13人の試験のうち11.5人の成功であり、これにより、評価された有効性は88%であり、正確な2項信頼区間は(62%、100%)であることが導かれる。
【0174】
5.2.3. 結論
実施例1および2で上記された臨床試験は、HealTekPatch(商標)が、血液透析患者の血管アクセス部位からの透析後の出血期間を減少させるのに非常に有効であることを示している。HealTekPatch(商標)を用いる治療は、試験した患者の86%において、対照材料であるガーゼを用いた治療よりも有効であることが証明された。HealTekPatch(商標)材料の使用により、72%の患者(25人中18人)において5分以内に出血が停止したが、標準的な看護(ガーゼを用いた治療)によって5分以内に出血が停止した患者は16%のみ(25人中4人)であった。さらに、予防的抗血液凝固剤を用いて治療した患者のサブセットにおいては、HealTekPatch(商標)を用いる治療は、試験した患者の88%において、迅速な創傷の閉鎖および出血の停止に関して、ガーゼ対照の使用よりも有効であった。これらの結果は、HealTekPatch(商標)が、血液透析患者において、ならびに予防的抗血液凝固治療にある患者にとって、迅速な創傷の閉鎖および出血の停止を促進することを示している。従って、上記のHealTekPatch(商標)の使用により、より早い患者の移動および家庭環境への復帰が容易になろう。
【0175】
5.3. 実施例3:血液透析患者における迅速な創傷の閉鎖および出血の停止を促進するための本発明の方法と組み合わせた止血用組成物の使用
5.3.1. 序論
血液透析治療後に患者の血管アクセス部位での止血を達成するための標準的な方法は、出血が停止するまで、圧力と共にガーゼパッドを適用することを含む。多くの例においては、この圧力を15〜20分間加える必要があり、標準的な手順では少なくとも15〜20分間の圧迫を用いる。しかしながら、以下に提供されるデータ中に示されるように、圧迫時間の延長(すなわち、14分を超える)は、「血管事象」と呼ばれる血管アクセス合併症と相関する。すなわち、血液透析後の出血を制御するのにより長い時間を必要とする患者は、より短い時間の圧力の印加を必要とする患者よりも多い数の血管アクセス合併症事象を経験するであろう。従って、上記の実施例1および2に記載のものなどの、血液透析後の止血を達成するのに必要とされる時間の長さを減少させる治療の使用により、血管アクセス合併症の発生率が有意に低下し、従って寿命を延長し、一次動静脈フィステルおよび合成移植片の両方の開放率を改善するであろう。アクセス合併症の減少は主要な費用削減をもたらすであろう。上記のように、そのような血管アクセス合併症は、高価な、長い医学的看護および入院看護を必要とする血液透析患者集団内の単一の最も大きな病的状態である。
【0176】
5.3.2. データの収集
以下の表4のデータを、上記の実施例1で同定された66人の患者に対して8ヶ月の観察期間に渡って収集し、各患者について肉体的および電気的チャートの両方から収集した。電気的チャートデータは、手術室ノート、特殊手順ノート、放射線治療の結果、および放電サマリーに進入したものを含んでいた。各患者の透析後の圧迫時間を、1週間に2回、毎週、8ヶ月の試験期間について2ヶ月毎に調べた。透析後の圧迫時間を、第1の針の除去から両部位での出血の停止まで延長するものとして定義した。ヘマトクリット、アルブミン、血小板計数、KTV、PCRN、血流、および静脈圧に関する同時的な患者データを各患者について収集して、患者の健康状態に肉体的変化がないことを確実にした。
【表4】

【0177】

【0178】

【0179】
5.3.3. 圧迫時間および血管事象の頻度と相関するデータのまとめ
透析後の出血を制御するのに必要とされる平均圧迫時間は15.5分であると観察された。驚くべきことに、血管アクセス事象、すなわち、血管アクセス合併症の69.5%は、14分を超える圧迫を必要とする患者において発生した。より具体的には、表4のデータは、合計18個の血管事象が、透析期間後の止血を達成するために14分未満の標準的な治療を必要とする29人の患者の合計812.5ヶ月の医学的看護内で指摘されたことを示している。対照的に、表4のデータは、合計41個の血管事象が、透析期間後の止血を達成するために14分以上の標準的な治療を必要とした前記試験における残りの37人の患者の合計1129.7ヶ月の医学的看護内で指摘されたことを示している。少なくとも14分間の圧迫を必要とする患者の、1ヶ月あたりの血管事象発生の発生率における63.6%の増加[(41/1129.7)/(18/812.5)]は衝撃的である。
【0180】
従って、止血を達成するために14分以上の圧迫を必要とする患者集団内で止血を達成するのに必要とされる圧迫時間の長さを減少させる、上記の実施例1および2に記載のものなどの治療方法は、長期間に渡って観察される血管事象の数を減少させることができる。さらに、止血を達成するのに10分以上の圧迫を必要とする患者集団内で止血を達成するのに必要とされる圧迫時間の長さを減少させる、上記の実施例1および2に記載のものなどの治療方法も、長期間に渡って観察される血管事象の数を減少させることができる。
【0181】
5.3.4. 考察
本明細書で上記に提供された実験の結果は、第1に、血液透析針の穿刺部位での圧迫時間の長さは血管アクセス合併症の原因であり、第2に、出血を停止または減少させるのに必要とされる圧迫時間の長さを、本発明の方法の適用により減少させることができることを示している。
【0182】
当業者であっても、約1〜14分間の、血液透析針の除去部位での圧迫時間の減少が、静脈と動脈を縫合した部位または合成移植片を血管に接続する部位での血管アクセス合併症を減少させることができると予想しなかったであろう。
【0183】
血管アクセス合併症と圧迫の程度、すなわち、圧迫の量または時間との直接的な相関を予想することは反直観的である。これは特に、動脈と静脈をA-Vフィステル中で接続した部位または移植片の付着部位での血管アクセス合併症については真実である。アクセス機能不全の主要な原因は血栓症であり、より長い圧迫は凝固障害を示す。さらに、血管アクセス機能不全に関連する一般的に受け入れられている病理は、カニューレ挿管部位ではなく、静脈吻合部位での内膜過形成であると認められてきた。かくして、血液透析の分野の当業者であっても、血液透析患者において出血を制御するために血管アクセス部位に圧力を加える時間の長さと、血管アクセス合併症の数との直接的および定量的な関係を得ることを予想することはできないであろう。
【0184】
血液透析針を除去した部位に過剰の圧迫または長い圧迫を加えることは、圧迫を加える部位での血栓症および他の血管合併症を引き起こすことが知られているが、血液透析期間の大部分について、約1〜14分間に圧迫を減少させることにより、例えば、A-Vフィステルを作製した部位または合成移植片を血管に接続する部位での血管アクセス合併症を減少させることができることは驚くべきことである。
【0185】
5.4. 実施例4:80人の血液透析患者において迅速な創傷の閉鎖および出血の停止を促進するためのHealTekPatch(商標)の使用
実施例4も、針を除去した後の血液透析患者における迅速な創傷の閉鎖および血管アクセス部位からの出血の停止を促進するための装置としての特定の材料、HealTekPatch (商標)の有用性を試験する研究に関する。
【0186】
実施例4に提供される研究は、限定されるものではないが、研究に含まれる血液透析患者の数、および出血の停止の時間調整をするための方法などのいくつかの態様において実施例1の研究とは異なる。以下に提供されるデータにより示されるように、HealTekPatch (商標)により、出血の停止を達成するのに必要とされる平均時間の68%の減少が得られた。
【0187】
5.4.1. 材料および方法
HealTekPatch (商標)(Marine Polymer Technologies, Danvers, Massachusetts)、完全にアセチル化されたポリ-N-アセチルグルコサミン(p-GlcNAc)は、タンパク質および他の夾雑物を含まない高純度の多糖類である。4.1.4節および5.1.1節を参照されたい。
【0188】
5.4.1.1. 患者の選択
4箇所の血液透析センターからの80人の患者をモニターして、血液透析患者において出血の停止を得るのに必要とされる時間を評価し、血管アクセス合併症の減少を評価した。患者が日常的な血液透析を受けている場合に、彼らに研究に参加する機会を提唱した。モニターした患者は、以下の包括的基準:18歳以上の年齢の男性および女性、慢性腎不全を有すること、慢性的な血液透析を受けていること、ドップラー試験により確認された機能的な血管アクセスを有すること、ならびに同意書に署名していること、を満たしていた。患者の評価を実施例1に記載のものと同様に行って、患者が研究の包括的基準を満たすことを確実にし、関連する臨床データを収集した(5.1.2節を参照)。
【0189】
5.4.2. 治療方法
各患者は、止血を達成するための止血パッチまたは標準的な看護であるガーゼ対照のいずれかを受ける患者自身の対照として働いた。各材料(HealTekPatch(商標)またはガーゼ片)を用いる順序を、各患者について無作為化した。透析針を除去した後、無作為に選択した治療(HealTekPatch(商標)またはガーゼ対照のいずれか)を、各針の部位に適用した。これらを、5分間の固定デジタル圧力を用いて位置を保持した。次いで、試験材料を除去しないように注意しながら、デジタル圧力を除去した。前記部位を2分間観察した。2分間の観察期間中に出血が再発した場合、すぐにデジタル圧力をさらに1分間再度印加した。これを、出血の停止が達成されるまで繰り返した。患者が止血することなく30分に達した場合、治療を中断し、これに30の値を割り当てた。出血の停止に必要な時間を記録した。出血時間を、針の除去から前記部位が出血を停止するまでの時間であると考えた。動脈および静脈の出血時間を別々に記録し、2つの時間の長い方を、特定の治療に関する出血時間であると考えた。血管アクセス合併症を、止血を達成するのに必要とされる時間において、実施例1に記載の回帰分析に差時的に適用することにより評価した。
【0190】
5.4.3. 結果
前記試験から得た結果を表5に提供する。HealTekPatch(商標)の使用により、出血の停止を達成するのに必要とされる平均時間の68%の減少が得られた。時間の差異は統計学的に有意であった。
【表5】

【0191】

【0192】
80人の患者は全て、対照と比較してHealTekPatch(商標)を用いる場合に出血の停止までの時間の減少を示した。表5のデータはまた、HealTekPatch(商標)の適用により、40%の患者(80人中32人)については5分以内、60%の患者(80人中48人)については6分以内、および85%の患者(80人中68人)については7分以内に出血が停止したことも示している。
【0193】
5.4.4. 圧迫時間と血管事象の頻度との相関
圧迫時間と血管アクセス合併症との間の関係を試験するために、Poissonの回帰モデルを構築して、血管アクセス合併症の数を、止血を達成するのに必要な圧迫時間に関連付けた。この分析においては、1月あたりの血管アクセス合併症事象の数の対数を、以下の2つの式:
log(事象/月)=-7.042 + 0.367*圧迫時間(非黒人)
log(事象/月)=-6.737 + 0.367*圧迫時間(黒人)
により別々に黒人および非黒人にとって必要な圧迫時間に関連付けた。
【0194】
圧迫時間の減少の分布は以下の通りであった:80人のうちの29人の患者(36%)は11分以上から5分までの圧迫時間の減少を示した;80人のうちの3人の患者(3%)は10分から5分までの圧迫時間の減少を示した;80人のうちの15人の患者(18%)は11分以上から6分までの圧迫時間の減少を示した;80人のうちの1人の患者(1%)は10分から6分までの圧迫時間の減少を示した;80人のうちの20人の患者(25%)は11分以上から7分までの圧迫時間の減少を示した;および80人のうちの12人の患者(15%)は11分以上から8分までの圧迫時間の減少を示した。上記の回帰式を用いると、これらの80人の患者の各々は、血管アクセス合併症事象の数における比例的な減少を有することが期待される。各患者にとっての利益を、以下のように算出した:
exp(0.367 * #11分未満の減少した時間(分))。
【0195】
時間減少の分布による加重により、以下の幾何学的平均利益:
exp{0.36*(0.367*6) + 0.03*(0.367*5) + 0.18*(0.367*5) + 0.01*(0.367*4) + 0.25*(0.367*4) + 0.15*(0.367*3)}=5.61
が得られる。
【0196】
かくして、平均して、アクセス事象の数を、5.61の因子により減少したと評価する。
【0197】
5.4.5. 結論
実施例4で上記された臨床試験は、HealTekPatch(商標)が血液透析患者の血管アクセス部位からの透析後の出血期間を減少させるのに非常に有効であるという証明における実施例1および2の結果をcoberateする。HealTekPatch(商標)を用いる治療は、試験した全ての患者において、対照材料であるガーゼを用いた治療よりも有効であることが証明された。HealTekPatch(商標)材料の使用により、出血の停止を達成するのに必要とされる平均時間の68%の減少が得られた。
【0198】
HealTekPatch(商標)材料の使用はまた、平均6分間で出血を停止させたが、標準的な看護(ガーゼを用いた治療)は平均19分間で出血を停止させた。さらに、圧迫時間の減少は、血管アクセス合併症事象の数の減少と比例すると評価された。従って、上記のHealTekPatch(商標)の使用により、より早い患者の移動、血管アクセス合併症の減少、ならびに血管アクセス部位の生存能力および寿命の増加が容易になろう。
【0199】
5.5. 実施例5:血液透析患者における回帰分析
年齢、性別、種族、血管アクセス、抗血液凝固剤の型、透析の期間、糖尿病および高血圧を、多変量回帰モデルにおける圧迫時間の長さに関する潜在的な共変数として評価した。
【0200】
5.5.1. 材料および方法
5.5.1.1. 患者の選択
66人の血液透析患者をモニターして、血液透析患者において出血の停止を得るのに必要とされる時間を評価し、血管アクセス合併症の減少を評価した。患者が日常的な血液透析を受けている場合、彼らに試験に参加する機会を提唱した。モニターした患者は、以下の包括的基準:18歳以上の年齢の男性および女性、慢性腎不全を有すること、慢性的な血液透析を受けていること、ドップラー試験により確認された機能的な血管アクセス、ならびに同意書に署名していること、を満たしていた。患者の評価を実施例1の記載と同様に行って、患者が試験の包括的基準を満たすことを確実にし、関連する臨床データを収集した(5.1.2節を参照)。圧迫時間を5.4.2節に記載のものと同じ方法により測定し、平均圧迫時間を各患者および患者集団について算出した。
【0201】
5.5.1.2. 予備分析
予備スクリーニング分析を行って、30分未満の平均圧迫時間を用いた患者について、透析後4ヶ月を超える期間に渡る、上記の因子の各々と血管アクセス事象の数との間の関係を決定した。66人の患者のうち3人を除外した:2人は30分を超える圧迫時間を有し、1人は透析後4ヶ月未満であった。未調整のp値を、非パラメーター試験:2つのレベルを有する上記の因子についてはWilcoxonランク合計試験および3つ以上のレベルを有する因子についてはKruskal-Wallis試験を用いて決定した。上記の因子に関する調整されたp値は、透析上にある時間について調整するPoisson回帰モデルに基づいていた。
【0202】
第2の予備スクリーニング分析を行って、30分未満の平均圧迫時間を用いた患者について、透析後4ヶ月を超える期間に渡る、継続的に測定された変数と血管アクセス事象の数との間のSpearmanランク相関を決定した。測定された変数に関する未調整のp値を、Spearmanランク相関から誘導した(参考文献:Miller RG. Beyond ANOVA, Basics of Applied Statistics. Wiley, New York, 1986)。両方の表において、調整されたp値は、透析上の時間について調整されたPoisson回帰において試験された因子を指す。連続的な変数を、不定非線形を可能にする平滑スプライン表示を用いて含有させた(参考文献:Hastie TJおよびTibshirani RJ. Generalized Additive Models ChapmanおよびHall, NY, 1990)。調整されたp値は、透析上の時間について調整するPoissonの平滑スプラインモデルに基づいていた。このモデルを以下にさらに説明する。
【0203】
5.5.1.3. 多変量回帰分析
多変量回帰分析を行って、Poissonモデルに関して透析の開始後4ヶ月を超える期間に発生する事象の数における変動を記載した。Poissonモデルは、回帰変数により定義される患者群内の事象が研究の過程に渡る無作為な時間で独立に発生すると推定するものである。Poissonモデルを、S-Plusソフトウェア(StatSci, data analysis products division of MathSoft, Inc., Seattle, WA)を用いて、log結合を有する一般化された線形モデル(参考文献:McCullagh PおよびNelder JA. Generalized Linear Models(第2版), ChapmanおよびHall, NY, 1989)として適合させた。応答は透析の開始後4ヶ月を超える期間に発生する事象の数であり、最初の4ヶ月を超える透析上の月数を透析上の時間について調整するためのPoissonモデル式におけるオフセットとして用いた。このオフセットは、結果を、log事象率=log(事象/時間)が圧迫時間と他の共変数の回帰関数であるような事象率に変換する。次いで、予想される事象率を、これらの共変数に起因する要素の合計として表した。より長い透析歴を有する患者は、より多くの血管アクセス合併症事象を有したため、全ての回帰分析を事象率、1月あたりの事象数で表した。
【0204】
最良の回帰関数を、候補モデル中で表1および2に列挙された変数の各々を試験することにより得た。別々の因子を標準的ダミー変数技術に適合させた。連続変数を、潜在的な非線形性を評価するための一般化された付加モデル法を用いて平滑スプラインとして試験した。次いで、有意に見える場合、これらの因子の好適なパラメーター形態を選択した。
【0205】
Poisson回帰においては、偏差値(または-2*log尤度)がモデルの適合の良好性の尺度である。よく適合したモデルにおいては、自由度の数(サンプルの大きさN−パラメーターのp数)に近いことが期待される(参考文献:McCullagh PおよびNelder JA. Generalized Linear Models(第2版) ChapmanおよびHall, NY, 1989)。
【0206】
所与の種族および圧迫時間については、血管アクセス事象を与えるモデルは、期待された事象率を有するPoisson分布に従う。1月あたりの血管アクセス合併症事象の数の対数は、5.4.4節で上記された2つの式により別々に黒人および非黒人について必要とされる圧迫時間と関係した。
【0207】
次いで、予測される事象率を、log(事象率)の真数を取得することにより算出する。これらのlog(予測値)の標準誤差を、下記式:
標準誤差=√[Var(a) + Var(b)*T2 + 2*T*Cov(a,b)]
(式中、aは切片(intercept)であり、bは勾配であり、Tは圧迫時間であり、Varは分散を示し、Covは共分散を示す)
として算出することができる。次いで、95%信頼区間の上限および下限を、評価±1.96*標準誤差の真数から算出する。
【0208】
5.5.2. 結果
各患者に関する因子、圧迫時間、月数における透析期間、および血管アクセス合併症の数を表6に示す。次いで、これらのデータを、予備分析および多変量回帰分析において用いた。
【表6】

【0209】

【0210】
予備分析の結果を表7および8に示す。表7は、30分未満の平均圧迫時間を有する患者についての透析後4ヶ月を超える期間の血管アクセス事象数に対する、因子の効果を示す。表8は、連続測定された変数と、30分未満の平均圧迫時間を有する患者についての透析後4ヶ月を超える期間の血管アクセス事象数との間のSpearmanランク相関を示す。両結果は、種族および圧迫時間のみが、透析期間を調整する前後で有意であることを示し、これが高度に有意な因子であった。黒人患者およびより長い圧迫時間を有する患者は、血管アクセス合併症を経験する傾向が高かった。透析期間の調整は他の共変数に対してほとんど影響しなかった。
【表7】

【0211】
【表8】

【0212】
30分未満の平均圧迫時間を有する患者についての透析後4ヶ月を超える期間の血管アクセス事象に関する多変量Poisson回帰モデル分析の結果を表9に提供する。その結果は、圧迫時間と種族(黒人/非黒人)の共変数のみが多変量回帰モデルにおける有意な予測因子であることを示している。一般化された付加モデルを用いて、圧迫時間に関する平滑スプライン表示を取得した後、より長い圧迫時間が事象率を11分まで増加し、次いでさらなる効果を示さないような区分線形関数により近似化させた。この区分関数および種族に関する因子の包含により、60の自由度上で偏差値が60.7に減少し、これは適合の残りの欠如が無作為のPoisson変数として取得することができることを示している。共変数を含まない空モデルにおいては、偏差値は62の自由度上で71.5であったが、これは計測値が調整または層化を用いない近似的Poisson(すなわち、事象がほとんど無作為である)であることを示している。
【表9】

【0213】
黒人および非黒人にとって別々に必要とされる圧迫時間に対する、1月あたりの血管アクセス合併症の数の対数関係の結果は、透析上にある時間の調整、圧迫時間の1分の増加(最大11分)により、事象の対数が0.367(標準誤差=0.170)増加し、または全ての患者の事象数が44%の因子について(95%CI=3%-101%)増加することを示していた。全ての圧迫時間において、非黒人患者と比較して黒人患者について36%の増加(95%CI=5%-6%)が認められた。これらの2つの因子の間には有意な相互作用は存在しなかった。
【0214】
本明細書に提供された分析の結果は、実用的および臨床的観点から、5分以下の圧迫時間が最適であり、5〜10分の圧迫時間により、血管アクセス部位に対する損傷の増加をもたらし、10分を超える圧迫時間は血管アクセス部位に対して損傷的であったことを示している。ガーゼのみを用いて決定される圧迫時間と、血管アクセス合併症との関係は、血管収縮剤もしくは血液凝固剤を用いずにガーゼもしくは包帯を使用するよりも、血管収縮剤もしくは血液凝固剤を用いる本発明の方法と比較する基本線として役立ち得る。
【0215】
5.6. 実施例6:血液透析患者における罹患率を減少させるためのHealTekPatch(商標)の使用
実施例6も、針を除去した後の血液透析患者における血管アクセス部位の迅速な創傷の閉鎖およびそこからの出血の停止を促進するための装置としてのHealTekPatch(商標)を使用する際の罹患率を測定する研究に関する。
【0216】
実施例6に提供される研究は、限定されるものではないが、研究における血液透析患者の数、圧迫時間のデータを記録する頻度、および罹患率の記録などのいくつかの態様において実施例4に記載のものと異なる。
【0217】
5.6.1. 材料および方法
HealTekPatch(商標)(Marine Polymer Technologies, Danvers, Massachusetts)、完全にアセチル化されたポリ-N-アセチルグルコサミン(p-GlcNAc)は、タンパク質および他の夾雑物を含まない高純度の多糖類である(4.1.4および5.1.1節を参照)。
【0218】
5.6.1.1. 患者の選択
300人の血液透析患者を約30ヶ月〜1年間モニターして、血液透析患者における出血の停止を得るのに必要とされる時間を評価し、血管アクセス合併症の減少を評価する。患者に、彼らが日常的な血液透析を受けている場合に研究に参加する機会を提唱する。モニターされる患者は、以下の包括的基準:18歳以上の年齢の男性および女性、慢性腎不全を有すること、慢性的な血液透析を受けていること、ドップラー試験により確認される機能的血管アクセス、および同意書に署名していること、を満たす。患者の評価を実施例1について記載されたのと同様に行って、患者が研究の包括的基準を満たすことを確実にし、関連する臨床データを収集する(5.1.2節を参照)。圧迫時間を、5.4.2節に記載のものと同じ方法により測定し、平均圧迫時間を各患者および患者集団について算出する。
【0219】
5.6.2. 治療方法
止血を達成するための実際の圧迫時間の測定を、それぞれの血液透析期間に300人全ての血液透析患者について記録しないこと以外は、実施例4に記載のものと同様に治療方法を実施する(5.4.2節を参照)。その代わりに、それぞれの患者について、圧迫時間を6週間間隔で記録する。死亡を記録し、平均罹患率を患者集団の割合として算出した。
【0220】
5.6.3. 結果
血液透析患者の1年間の研究について、予想される罹患率(%)は、止血を達成するためにより長い圧迫時間をもたらす、血液凝固剤または血管収縮剤を加えずにガーゼのみを用いる場合、20%である。止血を達成するためにより長い圧迫時間をもたらす、血液凝固剤または血管収縮剤を加えずにガーゼのみを用いる血液透析患者については、5年生存率は患者の29%である。本発明の方法を1年以上に渡って実施する場合、予想される罹患率(%)は20%未満であり、患者の予想される5年生存率は30%以上である。
【0221】
本明細書で説明されるような本発明の多くの改変および変更を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることは明らかである。上記の特定の実施形態は実施例のみによって与えられるものであり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0222】
様々な刊行物を本明細書で引用するが、その開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における血液透析治療に関連する長期間の血管アクセス合併症を減少させる方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、または停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
患者における血液透析治療に関連する短期間の血管アクセス合併症を減少させる方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、または停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項3】
前記組成物が、(a)血液凝固剤、(b)血管収縮剤、または(c)血液凝固剤および血管収縮剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
圧力を、血液透析治療の複数の期間について、約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に加える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
血管アクセス合併症の数または重篤度が、より大きい量の圧力を受ける患者と比較して減少する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
圧力を、血液透析治療の複数の期間について、約1〜約14分間、血液透析の血管アクセス部位に加え、血管アクセス合併症の数または重篤度が、より大きい量の圧力を受ける患者と比較して減少する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
血管アクセス合併症が(a)過形成、(b)血栓症、(c)静脈狭窄症、(d)動脈狭窄症、(e)病的状態、または(f)新規に成熟した血管アクセス部位と比較した血液透析の血管アクセス部位を通過する血流の減少である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
血管アクセス合併症が血腫または感染症である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
血液凝固剤がトロンビンではない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
患者における血液透析治療に関連する血管アクセス合併症を減少させる方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、ガーゼのみと比較して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、または停止させるのに有効な障壁形成材料を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記組成物が、(a)血液凝固剤、(b)血管収縮剤、(c)血管収縮剤および血液凝固剤、または(d)コラーゲンをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
障壁形成材料がトロンビンを含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
血液透析患者における血管アクセス部位を修復または置換するために介入の平均数を減少させる方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、または停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記組成物が、(a)血液凝固剤、(b)血管収縮剤、または(c)血管収縮剤および血液凝固剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
介入の平均回数が(a)1年あたり約2.8回未満、(b)1年あたり約2.0回未満、または(c)1年あたり約1.2回未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
血管アクセス部位が成熟したA-Vフィステルであり、血管アクセス合併症の数または重篤度が、血管収縮剤もしくは血液凝固剤を用いずに圧力を加える場合と比較して、(a)約200日後に約10%、または(b)約200日後に約20%減少する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
患者における血液透析治療に関連する感染率を減少させる方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記組成物が(a)血液凝固剤、(b)血管収縮剤、または(c)血管収縮剤および血液凝固剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記率が、血管収縮剤または血液凝固剤を用いずに圧力を加える場合と比較して15%未満まで減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
感染症がHIV、C型肝炎、バンコマイシン耐性腸球菌、またはMLSである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、抗真菌剤、抗ウイルス剤、または抗細菌剤をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
患者における血液透析治療に関連する血液透析の血管アクセス部位へのアクセスを保存する方法であって、
a) 血液透析期間中の血液透析の血管アクセス部位に対して、該血管アクセス部位における血液透析後の出血を減少させるか、または停止させるのに有効な量の血管収縮剤または血液凝固剤を含む組成物を局所的に適用すること;および
b) 約1〜14分間、血液透析の血管アクセス部位に圧力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記組成物が(a)血液凝固剤、(b)血管収縮剤、または(c)血管収縮剤および血液凝固剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
血液凝固剤がトロンビンではない、請求項13、17、または22に記載の方法。
【請求項25】
血液透析治療の期間が少なくとも10ヶ月である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
血管収縮剤または血液凝固剤がアレルゲンを実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
圧力を、前記治療の血液透析期間の大部分について約1〜5分間維持する、請求項4に記載の方法。
【請求項28】
圧力を、前記治療の血液透析期間の大部分について約1〜10分間維持する、請求項4に記載の方法。
【請求項29】
圧力を、前記治療の血液透析期間の大部分について11分未満の間維持する、請求項4に記載の方法。
【請求項30】
血液凝固剤がα-2-アンチプラスミン、α-1-アンチトリプシン、α-2-マクログロブリン、アミノヘキサノン酸、アプロチニン、β2-糖タンパク質I、カルシウムイオン源、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カルシウムナトリウム、カゼインキナーゼII、キチン、キトサン、コラーゲン、シアノアクリレート、ε-アミノカプロン酸、第X因子、第IX因子、第X因子、第XIII因子、フィブリン、フィブリングルー、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、生血小板、メタクリレート、PAI-1、PAI-2、プラスミン活性化因子阻害剤、p-GlcNAc、プラスミノゲン、血小板アゴニスト、硫酸プロタミン、プロテインC、プロトロンビン、RGDペプチド、スフィンゴシン、スフィンゴシン誘導体、トロンボプラスチン、またはトラネキサム酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
血管収縮剤がアドレナリン、エンドセリン-1、エピネフリン、フェニルエフリン、セロトニン、プロスタグランジン、トロンボキサン、ノルエピネフリン、メテルギン、オキシトシン、またはイソプレランドU-46619である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物がコラーゲンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が製薬上の担体をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
血液透析の血管アクセス部位が(a)動脈に縫合された静脈、(b)天然の動静脈フィステル、または(c)合成血管移植片を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
血液透析期間を1週間あたり2または3回与える、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
工程(a)の前に、患者に抗血液凝固剤を投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
抗血液凝固剤が、クマジン、ヘパリン、ナドロパリン、アスパリン、および血栓溶解剤からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物がヘパリンを中和するのに有効な量の硫酸プロタミンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
圧力が(a)手動の圧力、または(b)機械的圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
圧力が血管アクセス部位の閉塞をもたらさない、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
圧力を、血液透析の血管アクセス部位に近い静脈または動脈に加える、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
圧力を、圧迫用包帯を用いて加える、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物を、ゲル、固体、液体、障壁形成材料、ガーゼ、スポンジ、気泡、スプレー、乳濁液、懸濁液、フィルム、膜、マット、ストリング、ミクロビーズ、ミクロスフェア、ミクロフィブリル、または溶液として製剤化する、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が中性の液体、中性のゲルまたは中性の固体をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
中性の固体がガーゼ、包帯、または障壁形成材料を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
中性の固体がガーゼである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が中性の固体上でのコーティングの形態にある、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が障壁形成材料である、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
血液透析を、15ゲージ未満の内腔カニューレ挿管針を用いて投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記患者がエリスロポエチンで同時的に治療されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
エリスロポエチンを、血液透析期間の大部分について患者に投与し、エリスロポエチンの量を、血液透析期間の大部分について約14分を超える時間に渡って圧力を加える血液透析患者と比較して減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
投与されるエリスロポエチンが約3,000ユニット未満の組換えエリスロポエチンを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記患者がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記患者が糖尿病患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記患者が高血圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が血清フィブロネクチンを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記患者が、年齢、種族、性別、または腎臓病の段階において比較可能な健康な個体の平均血圧と比較して、低下した血圧を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記患者が55歳を超える年齢である、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記患者が最終段階の腎臓病患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記患者が男性である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記患者が女性である、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記患者がアフリカ系米国人である、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記患者が圧力のみを用いて11分を超える平均止血時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
工程(b)の圧力を、11分より少ない時間加える、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
工程(b)の圧力を、(a)約9〜10分間、(b)約8〜9分間、または(c)約7〜8分間加える、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記患者が、圧力のみを用いて(a)約12〜15分間、(b)約15〜18分間、(c)約18〜21分間、または(d)約21〜24分間の平均止血時間を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
工程(b)の圧力を、(a)11分間未満、(b)約9〜10分間、(c)約8〜9分間、または(d)約7〜8分間加える、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
1個以上の容器中に、
a) 血液透析後の出血を減少させるか、もしくは停止させるのに有効な量の血管収縮剤および/または血液凝固剤;ならびに
b) 製薬上許容し得る担体、
を含む組成物;ならびに
c) 血液透析の血管アクセス部位に該組成物を局所的に適用するための説明書、
を含むキットであって、約1〜約14分間圧力を加え、血管アクセス合併症の減少をもたらす、前記キット。

【公表番号】特表2007−504918(P2007−504918A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526420(P2006−526420)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/030142
【国際公開番号】WO2005/027993
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501250337)マリン ポリマー テクノロジーズ,インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】