説明

血液透析装置

【解決手段】 透析液回路4は、給液通路31に大気を導入するためのエア供給通路57を備えており、このエア供給通路57には電磁開閉弁V105が配置されるとともに、給液口31Aに近い給液通路31には電磁開閉弁V103が配置されている。
透析治療の終了後において、電磁開閉弁V103が閉鎖されるとともに電磁開閉弁V105が開放された状態において、エアポンプ22が作動されることにより、エア供給通路57から透析液回路4内に大気が導入されて所要時間通気される。
【効果】 透析液回路4内の液体を排液口32Aから排液して、透析液回路4内を乾燥させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液透析装置に関し、より詳しくは、透析治療の終了後において透析液回路内に残留する液を容易に排液できるようにした血液透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透析治療の終了後において透析器や血液回路内に残留する液体を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−37872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、透析液回路内には液体が残留した状態となっており、メンテナンス時に医療従事者が配管チューブを外す際には、液回路内に残留する液体が漏れ出さないように注意を払いつつ作業を行う必要がある。さらに、使用開始後に血液透析装置を別の施設へ移送する場合には、液回路内に透析液等の液体が満たされている分、血液透析装置全体が重くなっており、血液透析装置を移送させる際の医療従事者の作業負担が大きくなる。さらに、血液透析装置の使用を中止した場合に、液回路内に透析液等の液体が残留していると液回路内に雑菌が繁殖するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、液体が流入される給液口および液体が排出される排液口と、上記給液口から排液口へと至る液回路とを備え、上記液回路の途中に透析器を接続可能に構成された血液透析装置において、
上記給液口からの液体の流入を遮断する給液弁を液回路に設け、また、上記給液弁よりも下流側となる液回路にエア供給通路を接続し、さらに、上記エア供給通路に、大気をエア供給通路内に送気するエアポンプを設けるとともに、上記エア供給通路における上記エアポンプと液回路の間に給気弁を設けて、上記給液弁を閉鎖状態とするとともに上記給気弁を開放状態とし、かつ上記エアポンプを作動させて、上記液回路内を上記エア供給通路の接続位置から排液口に向けて送気させて、液回路内の残液を排液口から排液させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、透析液回路内に残留する液体を排液させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例を示す外観図。
【図2】図1に示した血液透析装置の回路構成を示す図。
【図3】図2に示す血液透析装置において、透析治療後に液回路から排液する際の第1段階の排液処理を示す図。
【図4】図2に示す血液透析装置において、透析治療後に液回路から排液する際の第2段階の排液処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1は透析治療を行う血液透析装置1の外観を示しており、図2は血液透析装置1に設けられた透析液回路の構成を示している。この血液透析装置1は病院のコンセントCなどの電源から給電されて作動し、また内部に設けた制御手段1aによって作動を制御されるようになっている。
上記血液透析装置1は、本体部1bの外部に保持された透析器2と、該透析器2に接続された血液回路3と、透析器2に着脱自在に接続されるとともに本体部1bの内部に設けられた透析液回路4とを備えている。
上記制御手段1aは画面表示式の操作パネル1cを備え、画面には操作に必要なボタンやアイコン、メッセージが表示され、装置の操作および各種パラメータの設定を行うことができるようになっている。
本実施例の血液透析装置1は、装置内で透析液を作製する個人用透析装置として構成したが、透析液の供給を受ける透析用監視装置であっても良い。
図2に示すように、上記透析器2は、樹脂製の外装ケース2aと、この外装ケース2aの内部に配設された濾過膜を構成する多数の中空糸2bとから構成され、上記中空糸2bの内部は上記血液回路3と連通して血液が流通し、外装ケース2aと中空糸2bとの間には上記透析液回路4からの透析液が血液とは逆方向に流通するようになっている。
【0009】
上記血液回路3は、患者の血管に接続されて上記透析器2に血液を供給する動脈側通路11と、透析器2から患者に血液を戻す静脈側通路12とを備えており、これら通路はシリコーン製のチューブで構成されている。
動脈側通路11には、その一端に患者の血管に穿刺される穿刺針11aが設けられるとともに他端が透析器2に接続されており、上記穿刺針11aから順に、動脈側通路11を閉鎖するクランプ13と、血液を送液する血液ポンプ14と、ドリップチャンバ15とが配置されている。このドリップチャンバ15には接続チューブ16を介して圧力計17が接続されており、この圧力計17によって血液回路3内の圧力を計測するようになっている。上記血液ポンプ14は、チューブをしごいて送液するローラポンプであって、かつ上記制御手段1aによって作動を制御され、図示しない患者から透析器2へ血液を送液することが可能となっている。
【0010】
上記接続チューブ16には、大気通路21の一端が接続されており、大気通路21における他端側は2つの分岐管21A、21Bに分岐させて大気に開放させている。大気通路21には常閉の電磁開閉弁V101が配置されており、分岐管21Aには常閉の電磁開閉弁V102が配置され、他方の分岐管21Bにはエアポンプ22が配置されている。また、分岐管21A、21Bには、それらの内部に導入される大気を浄化するエアフィルタ23,23がそれぞれ配置されている。
上記電磁開閉弁V101、102およびエアポンプ22の作動は、上記制御手段1aによって制御されるようになっており、制御手段1aは所要時に両電磁開閉弁V101、V102を開閉させるとともに、エアポンプ22を作動させて、ドリップチャンバ15の液面の高さ調整を行うようになっている。
一方、上記静脈側通路12は、その一端が上記透析器2に接続されるとともに他端に患者の血管に穿刺される穿刺針12aが設けられており、上記透析器2から順に、ドリップチャンバ15’および静脈側通路12を閉鎖するクランプ13’が配置され、ドリップチャンバ15’には圧力計17’が設けられている。
【0011】
次に透析液回路4の構成について説明するが、この透析液回路4の基本構成は従来公知のものである。すなわち、透析液回路4は、第1透析液チャンバ25または第2透析液チャンバ26から新鮮な透析液を透析器2に供給する透析液供給通路27と、透析器2内を通過した使用済みの透析液を第1透析液チャンバ25または第2透析液チャンバ26に回収する透析液回収通路28とを備え、これら両通路27、28はシリコーン製のチューブで構成されている。
第1透析液チャンバ25および第2透析液チャンバ26は同形であり、内部がダイアフラムによって2室に区画され、一方を新鮮な透析液を作製して供給するための供給室25a,26aとし、他方を使用済みの透析液を回収するための回収室25b、26bとしている。
上記透析液供給通路27は分岐して上記第1、第2透析液チャンバ25、26の上記供給室25a,26aに接続されており、透析液回収通路28も分岐して上記回収室25b、26bに接続されている。
また、上記第1、第2透析液チャンバ25、26の供給室25a,26aには浄水を供給する給液通路31が接続されており、回収室25b、26bには使用済みの透析液を排出するための排液通路32が接続されている。
【0012】
上記給液通路31の上流側端部となる給液口31Aは、浄水を供給する図示しない給水手段に接続されており、給液通路31の下流部分は2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ25、26の供給室25a,26aに接続され、それぞれ制御手段1aの制御によって開閉される給液弁V1,V2が設けられている。
上記給液通路31には上記浄水を送液する給液ポンプ33が設けられ、この給液ポンプ33と上記分岐部分との間には、透析液の原液であるA液を供給するA液供給通路34と、透析液の透析液の原液であるB液を供給するB液供給通路35とが接続されている。
上記A液供給通路34およびB液供給通路35の上流部分には、それぞれA液容器36およびB粉末容器37が接続され、B粉末容器37には浄水を供給して粉末を溶解し、B液を作成できるようになっている。またA液およびB液はそれぞれA液供給通路34に設けたA液ポンプ38およびB液供給通路35に設けたB液ポンプ39によって送液されるようになっている。
上記給液通路31における給液口31Aに近い下流側の位置には電磁開閉弁V103が設けられており、この電磁開閉弁V103は制御手段1aによって作動を制御されるようになっている。上記給液ポンプ33が作動される際には、制御手段1aによって電磁開閉弁V103も開放されるようになっており、それによって、給液口31Aから給液通路31および第1、第2透析液チャンバ25,26の供給室25a、26aにむけて浄水を給送できるようになっている。
【0013】
上記透析液供給通路27は、その上流部分が2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ25、26の供給室25a,26aに接続され、上記分岐部分にはそれぞれ制御手段1aの制御によって開閉される供給弁V3,V4が設けられている。透析供給通路27の下流側端部には、透析器2に着脱可能なカップリング27Aが連結されており、このカップリング27は透析治療の際には上記透析器2に接続されるようになっている。
また、透析液供給通路27には、上記分岐点から順に、透析液の有害成分を除去する透析液フィルタF1と、上記制御手段1aの制御によって開閉される第1開閉弁V5とが設けられている。上記透析液フィルタF1の一次側には、上記透析液供給通路27と透析液回収通路28とを連通させるバイパス通路42が接続され、該バイパス通路42には上記制御手段1aの制御によって開閉される第2開閉弁V6が設けられている。
上記第2開閉弁V6を開放することにより、透析液供給通路27の透析液を透析器2を通過させずに、バイパス通路42を介して透析液回収通路28へと送液することができる。より具体的には、後述するように透析液を透析液回路4から排出する際にバイパス通路42内に液体を通過させるようになっている。
【0014】
また、透析液供給通路27には、上記透析液フィルタF1と上記第1開閉弁V5との間に、密閉された透析液回路4を大気に開放する第1開放手段43が設けられている。この第1開放手段43は、透析液フィルタF1のリークチェックを行うために設けられている。
上記第1開放手段43は、透析液供給通路27における上記透析液フィルタF1と上記第1開閉弁V5との間に接続された第1開放通路44に、上記制御手段1aの制御によって開閉される第3開閉弁V7と、透析液の流出を阻止する逆止弁45と、流入する大気を清浄化するエアフィルタ46とを備えている。
上記第3開閉弁V7が制御手段1aによって開放されると、閉回路を構成する透析液回路4に第1開放通路44を介して大気を流入させる事ができ、透析液回路4内の陰圧を大気に開放することができる。なお、その際に透析液回路4に流入する大気はエアフィルタ46によって清浄化され、また上記逆止弁45は透析液の流出を阻止するようになっている。
【0015】
さらに、上記B粉末容器37の上流側にも、密閉された透析液回路4を大気に開放する第2開放手段47が設けられている。この第2開放手段47は、給液通路31に入口と出口が接続されたB液供給通路35に接続された第2開放通路48に、上記制御手段1aの制御によって開閉される第4開閉弁V8と、液体の流出を阻止する逆止弁49と、流入する大気を清浄化するエアフィルタ50とを備えており、B粉末容器37内のエアを排出するために設けられている。
上記第4開閉弁V8が制御手段1aによって開放されると、閉回路を構成する透析液回路4に第2開放通路48を介してエアが流入可能となり、透析液回路4内の陰圧を大気に開放することができる。その際に透析液回路4に流入する大気はエアフィルタ50によって清浄化される一方、上記逆止弁49は液体の流出を阻止するようになっている。
【0016】
次に、透析液回収通路28について説明する。すなわち、上記透析液回収通路28は、その下流部分が2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ25、26の回収室25b、26bに接続され、この分岐部分にはそれぞれ制御手段1aの制御によって開閉される回収弁V10,V11が設けられている。また、透析液回収通路28の上流側端部にはカップリング28Aが連結されており、このカップリング28Aを上記透析器2に着脱自在に接続できるようになっている。
また、この透析液回収通路28のカップリング28Aおよび上記透析液供給通路27のカップリング27Aをともに透析器2から取り外してから、それら両カップリング27A,28Aを相互に結束して接続させることにより、透析液供給通路27と透析液回収通路28を相互に連通させることができる(図2の破線で示す状態)。
また、透析液回収通路28には、上記透析器2側から順に、透析液回路4内の圧力を測定する圧力センサ51と、透析液を送液する送液ポンプ52とが設けられている。
上記排液通路32は、その上流部分が2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ25、26の回収室25b、26bに接続され、上記分岐部分にはそれぞれ制御手段1aの制御によって開閉される排液弁V12,V13が設けられている。上記排液通路32の下流端である排液口32Aは、医療機関に設備された図示しない排液管と接続されている。また、排液通路32における排液口32Aに近い上流側の位置には、制御手段1aによって開閉される電磁開閉弁V104が配置されている。
そして、上記透析液回収通路28と電磁開閉弁V104よりも上流側の排液通路32との間に除水通路53が接続されており、その上流部分は上記透析液回収通路28における送液ポンプ52と上記分岐点との間に接続され、下流部分は上記排液通路32における分岐点の下流側に接続されている。この除水通路53には除水ポンプ54が設けられている。
【0017】
さらに、本実施例においては、上記大気通路21と給液通路31とを接続するエア供給通路57が設けられており、このエア供給通路57には制御手段1aによって作動を制御される電磁開閉弁V105が配置されている。エア供給通路57の一端は上記エアポンプ22と電磁開閉弁V101との間の大気通路21に接続されており、エア供給通路57の他端は給液通路31における電磁開閉弁V103の下流側に電磁開閉弁V103に近付けて接続されている。制御手段1aによって電磁開閉弁V101〜V103が閉鎖されるとともに、電磁界開閉弁V105が開放され、かつエアポンプ22が作動されることで、透析液回路24内にエア供給通路57を介して大気が給送され、該大気は透析液回路4内を送気されるようになっている。本実施例においては、透析治療終了後においてエア供給通路57から透析液回路4内に大気を送気することにより、透析液回路4内に残留する透析液等の液体を排液口32Aから外部へ排液でき、また、チューブ内を乾燥させることができるようになっている。
【0018】
上記構成を有する血液透析装置1において、血液透析を実施する場合には、次のような処理が行われる。先ず、制御手段1aにより電磁開閉弁V103と電磁開閉弁V104が開放されるとともに、透析液回路4の両カップリング27A,28Aは予め透析器2に接続されている。この状態で上記制御手段1aは、給液弁V1と排液弁V12を開放するとともに供給弁V3と回収弁V10を閉鎖する。また、制御手段1aは、給液ポンプ33、A液ポンプ38およびB液ポンプ39を作動させる。
すると、第1透析液チャンバ25では、給液弁V1と排液弁V12とが開放されているため、供給室25aには上記給液通路31から浄水とA原液とB原液が流入し、これらが混合されて新鮮な透析液が作製される一方、回収室25bではダイアフラムが押圧されて先に充填されている使用済みの透析液が排液通路32およびその排液口32Aを介して外部へ排出される。
一方、上記第2透析液チャンバ26では、制御手段1aが供給弁V4と回収弁V11を開放するとともに給液弁V2と排液弁V13を閉鎖する。すると回収室26bには上記送液ポンプ52によって送液された使用済みの透析液が流入し、供給室26aからは作製済みの新鮮な透析液が透析器2に供給されることとなる。
その後、上記制御手段1aが上記給液弁V1,V2、供給弁V3,V4、回収弁V10,V11、排液弁V12,V13を交互に開閉することで、第1透析液チャンバ25と第2透析液チャンバ26で交互に作製される新鮮な透析液が透析液供給通路27を介して透析器2へと供給され、また、透析器2を通過した使用済みの透析液が第1透析液チャンバ25と第2透析液チャンバ26に交互に回収されて上記排液通路32の排液口32Aを介して透析液回路4の外部へ排出されるようになっている。
このようにして透析器2に連続的に透析液を送液し、除水ポンプ54を作動させて除水を行う。
【0019】
上述のようにして血液透析装置1による透析治療の終了後において、透析液回路4内には透析液等の液体が残留した状態となっている。そこで、本実施例においては、透析治療終了後に以下に説明する2段階の排液処理を行うことにより、残液を排液すべき液回路としての透析液回路4内に残留する液体を排液するとともに、透析液回路4内を乾燥させるようにしている。
すなわち、先ず操作者は透析液回路4の両カップリング27A、28Aを透析器2から取り外した後、それら両カップリング27A、28Aを相互に結束させる(図3参照)。
この後に、制御手段1aは、第1、第2開放手段43、47の第3開閉弁V7と第4開閉弁V8を開放させる。また、それと同時に制御手段1aは各弁V1〜V6、V10〜V13を開放させ、給液弁V103および排液弁V104は閉鎖状態を維持させる。なお、この時には、エア供給通路57に配置された電磁開閉弁V105は閉鎖状態である。そのため、第1開放通路44により、それの接続箇所である透析液供給通路27が大気に開放されるとともに、第2開放通路48により、それの接続箇所であるB液供給通路35を介して給液通路31が大気に開放される。つまり、第1、第2開放手段43、47により透析液回路4が大気に開放された状態となり、その状態で排液弁V104を開放させると、排液口32Aに至る途中の経路を含めて、排液口32Aよりも高く位置している第1開放通路44や第2開放通路48の接続箇所よりも下流側となる透析液回路4内に大気が導入されることに伴って、図3に太線で表示した箇所内に残留していた大部分の液体が排液口32Aから外部へ排液される。これにより、第1段階の排液処理が完了するが、給液口31Aは排液口32Aと同レベルの高さに位置しており、給液通路31はここから高い位置へ延びているため、この部分の液回路には液体が残留している。
【0020】
そこで、本実施例では、この後に第2段階の排液処理を行う。制御手段1aは、エアポンプ22を作動させるとともに、エア供給通路57の電磁開閉弁V105を開放させる。なお、この時、電磁開閉弁V101,V102,V103は閉鎖されている。
これにより、上記図3に示した第1段階の排液箇所だけでなく、エア供給通路57の接続位置より下流の給液通路31にも、大気が送り込まれる。つまり、図4の太線で表示した給液通路31、透析液供給通路27、バイパス通路42、透析液回収通路28、排液通路32、および、第1、第2透析液チャンバ25,26の各供給室25a、26a、各回収室25b、26bの内部に大気が送気されて流通する。その後、所定時間の間この状態が維持されるので、透析液回路4の全域に通気されることで、透析液回路4内に残留していた僅かな液体も排液口32Aから外部へ排出される。さらに、図4に示すように、カップリング27A、28Aの結束を解除してエアポンプ22による送気を継続することで、排液口32Aとカップリング28Aから排気されながら透析液回路4に大気が流通し、透析液回路4内に付着した液体が気化されて、透析液回路4内が乾燥されるようになっている。
以上のようにして、本実施例においては透析治療後において2段階に分けて透析液回路4内の排液処理が行われる。
なお、エアを吸い込まない程度に、第1段階の排液処理では送液ポンプ52を、第2段階の排液処理では給液ポンプ33を並用することもできる。
【0021】
上述した本実施例によれば、透析治療後において透析液回路4内の残液を排液口32Aから外部へ排液することができるとともに、透析液回路4内に大気を送気することで透析液回路4内を乾燥させることができる。そのため、透析液回路4の構成部分に高低差があっても、透析液回路4における高さが低い箇所に残留していた液体をも排出または気化させて透析液回路4内を乾燥させることができる。したがって、本実施例の血液透析装置1によれば、透析治療後に透析液回路4内に残留した液体を容易に排液することが可能となる。また、エア供給通路57から大気を送って給液口31A付近から排液口32Aまでの全経路の排液を実施する前に、第1段階の排液処理として、第1、第2開放手段43、47により透析液回路4を大気に開放させ、高低差を利用した排液を行うことで液回路の大部分における排液を短時間のうちに速やかに行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1‥血液透析装置 1a‥制御手段
2‥透析器 3‥血液回路
4‥透析液回路(液回路) 22‥エアポンプ
31A‥給液口 32A‥排液口
57‥エア供給通路
V103‥‥電磁開閉弁(給液弁)
V105‥‥電磁開閉弁(給気弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流入される給液口および液体が排出される排液口と、上記給液口から排液口へと至る液回路とを備え、上記液回路の途中に透析器を接続可能に構成された血液透析装置において、
上記給液口からの液体の流入を遮断する給液弁を液回路に設け、また、上記給液弁よりも下流側となる液回路にエア供給通路を接続し、
さらに、上記エア供給通路に、大気をエア供給通路内に送気するエアポンプを設けるとともに、上記エア供給通路における上記エアポンプと液回路の間に給気弁を設けて、
上記給液弁を閉鎖状態とするとともに上記給気弁を開放状態とし、かつ上記エアポンプを作動させて、上記液回路内を上記エア供給通路の接続位置から排液口に向けて送気させて、液回路内の残液を排液口から排液させることを特徴とする血液透析装置。
【請求項2】
上記エア供給通路の接続位置よりも下流側となる液回路の途中に開閉弁を備えた大気開放通路が接続され、上記エアポンプによる送気を行う前に、上記大気開放通路の開閉弁を開放させて、上記排液口から排液を行うことを特徴とする請求項1に記載の血液透析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate