説明

血液適合性表面を創出するためのポリマー

ホスホリルコリン部分(複数可)を含むポリマー、上記ポリマー及び場合によって生物活性剤を含む組成物、上記ポリマー及び場合によって生物活性剤を含むコーティングを上部に含むDES等の埋め込み型デバイス又は血管形成術用バルーン等の非埋め込み型デバイス、並びにヒトの疾患の治療のために上記デバイスを使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
〔発明の分野〕
本発明は、一般に、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスをコーティングするために有用な少なくとも1つのホスホリルコリン部分を含むポリマー組成物に関する。
【0002】
〔背景の説明〕
埋め込みステントは、血栓溶解剤等の薬剤を輸送するために使用されてきた。Froixの米国特許第5163952号は、ステントそれ自体の材料中で薬剤を輸送するように考案された熱記憶拡張性プラスチックステントデバイスを開示している。Pinchukは、米国特許第5092877号において、薬物の送達と関係するコーティングを有することができるポリマー材料のステントを開示している。生分解性又は生体吸収性ポリマーを利用する種類のデバイスを対象とするその他の特許としては、Tangらの米国特許第4916193号、及びMacGregorの米国特許第4994071号が挙げられる。
【0003】
血管閉塞は、通常罹患血管内の血流を、機械的に、例えばステントを使用することによって、高めることによって治療する。ステントは、機械的介入治療に留まらず、生物学的治療、例えば、薬剤の制御された送達、を提供するための媒体としても使用される。ステントに基づく治療において活性薬剤の制御された送達を達成するために、そのステントには生体適合性ポリマーコーティングを被覆することができる。その生体適合性ポリマーコーティングは、制御された薬剤の送達を可能にする透過性の層又は担体として機能することができる。埋め込み型ステントの技術において引き続き存在する課題は、急性及び慢性の時間枠の両方において良好な生体適合性に合致する良好な生体有益性を有するコーティングを提供することである。
【0004】
一般に、埋め込み型デバイス用のコーティング組成物を形成するポリマーは、少なくとも生物学的に無害であるべきである。そのポリマーは、生体適合性であることが好ましい。生物学的に無害であるコーティングを提供するために、さまざまな組成物が使用されてきたが大した成果は得られていない。
【0005】
本明細書に開示されているポリマー及びそのポリマーを製造する方法は、上記の問題に対処するものである。
【0006】
[発明の概要]
本明細書に記載のポリマー組成物は、薬物溶出性デバイス(DES)等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。その埋め込み型デバイスは、本明細書に記載されているように埋め込み型デバイスをヒトに埋め込むことによって、ヒトの疾患を治療するために使用することができる。かかる疾患としては、例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0007】
一実施形態において、少なくとも1つのホスホリルコリン部分(PC)及び官能性部分Fによってキャッピングされた生分解性又は非分解性のポリマー主鎖を有する親水性ポリマーが提供される。該官能性部分Fは、該ポリマーをFが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面若しくはコーティング、タンパク質、又は薬物送達媒体に連結するために使用することができる。
【0008】
他の実施形態においては、少なくとも1つのPC部分及び官能性部分Fによってキャッピングされた生分解性又は非分解性ポリマー主鎖を有するポリマーが提供される。該官能性部分Fは、該ポリマーをFが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面若しくはコーティング、タンパク質、又は薬物送達媒体に連結するために使用することができる。
【0009】
さらなる実施形態において、両親媒性ポリマーは、少なくとも1つのPC部分及び官能性部分Fによってキャッピングされた生分解性又は非分解性ポリマー主鎖である。該官能性部分Fは、該ポリマーをFが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面若しくはコーティング、タンパク質、又は薬物送達媒体に連結するために使用することができる。
【0010】
一実施形態において、親水性ポリマー(LP)は、一方の末端がPC部分によりキャッピングされており、他方の末端に連結している脂質分子(LI)を有する。該LPは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。
【0011】
他の実施形態において、疎水性ポリマーPPは、一方の末端がPC部分によりキャッピングされており、他方の末端に連結したLIを有する。PC部分(複数可)によりキャッピングされている上記疎水性ポリマーPPは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。
【0012】
[詳細な説明]
本明細書に記載されているのは、PC部分(複数可)及び親水性、疎水性又は両親媒性ポリマーセグメント又はブロックを含むポリマーである。
【0013】
PCは、血球中の脂質二層構造の外側の血液接触表面とよく似た両性イオン官能性を有する。PCは、多数の生体有益性、例えば、血液適合性、非血栓形成性、動脈組織許容性及び長期間インビボ安定性等、を有する。PCは、ポリマーの生体適合性、特にアクリルコポリマーの生体適合性を増すために使用されてきた。
【0014】
このポリマーは、薬物送達デバイスを被覆するために使用することができる。このポリマーの実施形態を以下で説明する。
【0015】
少なくともホスホリルコリンを含むコーティング組成物
一実施形態において、少なくとも1つのPC部分及び官能性部分Fによってキャッピングされた生分解性又は非分解性のポリマー主鎖を有する親水性ポリマーが提供される。該官能性部分Fは、該ポリマーを、a)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面又はコーティング、b)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質、又はc)表面にFが結合又は反応する化学的部分Rを含む、リポソーム、ミセル、又はポリマーナノ粒子/ミセル/微粒子等の薬物送達媒体、に連結するために使用することができる。上記親水性ポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。
【0016】
他の実施形態において、生分解性又は非分解性ポリマー主鎖を有する疎水性ポリマーは、少なくとも1つのPC部分及び官能性部分Fによりキャッピングすることができる。該官能性部分Fは、該ポリマーを、a)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面又はコーティング、b)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質、又はc)表面にFが結合又は反応する化学的部分Rを含む、リポソーム、ミセル、又はポリマーナノ粒子/ミセル/微粒子等の薬物送達媒体、に連結するために使用することができる。PCによりキャッピングされた上記疎水性ポリマーは、疎水性セグメントPPを有しており、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、上記疎水性セグメントPPは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0017】
さらなる実施形態において、生分解性又は非分解性ポリマー主鎖を有する両親媒性ポリマーは、少なくとも1つのPC部分及び官能性部分Fによりキャッピングされる。PCでキャッピングされた該両親媒性ポリマーは、LP及びPPセグメントを含有する。上記官能性部分Fは、該ポリマーを、a)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面又はコーティング、b)Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質、又はc)表面にFが結合又は反応する化学的部分Rを含む、リポソーム、ミセル、又はポリマーナノ粒子/ミセル/微粒子等の薬物送達媒体、に連結するために使用することができる。上記両親媒性ポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、上記疎水性セグメントPPは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記両親媒性ポリマー中の該PPセグメントは、疎水性成分、例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)等、を含む。いくつかの実施形態において、該LPセグメントは、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せ等、を含む。
【0019】
一実施形態において、親水性ポリマーLPは、一方の末端がPC部分によりキャッピングされており、他方の末端に連結している脂質分子LIを有する。該親水性ポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、LIの疎水性セグメントは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0020】
他の実施形態において、疎水性ポリマーPPは、一方の末端がPC部分によりキャッピングされており、他方の末端に連結した脂質分子(LI)を有する。該疎水性ポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、上記脂質分子(LI)は、該脂質分子に結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0021】
ホスホリルコリン部分を含むジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマー
本発明の他の実施形態によれば、PC部分(複数可)によりキャッピングされている親水性ブロック(複数可)(LP)及び疎水性ブロック(複数可)(PP)を含むブロックコポリマーが提供される。
【0022】
一実施形態は、親水性ポリマーブロックLP及び疎水性ポリマーブロックPPを含み、親水性末端がPC部分によりキャッピングされている、ジブロック両親媒性コポリマーを対象とする。該ジブロック両親媒性コポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、該疎水性ポリマーブロックPPは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0023】
他の実施形態は、親水性ポリマーブロックLP及び疎水性ポリマーブロックPPを含み、疎水性末端がPC部分によりキャッピングされている、ジブロック両親媒性コポリマーを対象とする。該ジブロック両親媒性コポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって、1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。ある実施形態において、該疎水性ポリマーブロックPPは、これら疎水性ポリマーブロックPPに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0024】
さらに他の実施形態としては、疎水性ポリマーブロックPPと、その両側に配置された親水性ポリマーブロックLPとを含むトリブロック両親媒性コポリマーであって、上記親水性ポリマーブロックLPのそれぞれの末端がPC部分によってキャッピングされている、トリブロック両親媒性コポリマーである。該トリブロック両親媒性コポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、該疎水性ポリマーブロックPPは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0025】
一実施形態としては、親水性ポリマーブロックLPと、その両側に配置された疎水性ポリマーブロックPPとを含むトリブロック両親媒性コポリマーであって、上記疎水性ポリマーブロックPPのそれぞれの末端がPC部分によってキャッピングされている、トリブロック両親媒性コポリマーである。該トリブロック両親媒性コポリマーは、薬物溶出性ステント等の埋め込み型デバイスに対するコーティングを形成するために使用することができる。該コーティングは、場合によって1つ又は複数の生物活性剤及び/若しくは非汚染性ポリマー、抗血栓性ポリマー、又はこれらの組合せを含有することができる。一実施形態において、該疎水性ポリマーブロックPPは、これらに結合する光反応性部分を有することができ、上記ポリマーをデバイス表面に塗布後、該ポリマーが該デバイスの表面に化学的に反応するように活性化させることができる。
【0026】
疎水性及び親水性ポリマー
一実施形態において、本明細書に開示されているポリマーを製造するために有用な親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せである。
【0027】
一実施形態において、本明細書に開示されているポリマーを製造するために有用な疎水性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、及びこれらの組合せである。
【0028】
さらなる疎水性及び親水性生分解性ポリマーとしては、これに限定されないが、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、場合によってアルキルを含有してもよいポリ(エステルアミド);アミノ酸;ポリ(D,L−ラクチド−co−PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリグリコリド、ポリジオキサノン(PDS)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、及びこれらの組合せが挙げられる。PHAとしては、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB);ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート)(PHBV);ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)(PHP);ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHH)等のポリ(β−ヒドロキシ酸)、又はポリ(4−ヒドロキシブチレート);ポリ(4−ヒドロキシバレレート);ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)等のポリ(4−ヒドロキシ酸)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリ(チロシンアリーレート)を挙げることができる。
【0029】
他の実施形態において、PC部分を含むコポリマーの一部として有用な親水性又は疎水性ポリマーは、非分解性ポリマーである。典型的な生体適合性の非分解性ポリマーとしては、これらに限定されないが、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般名EVOHにより又は商標名EVALにより一般に知られている)、シリコーン、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−アルファオレフィンとのコポリマー、スチレン−イソブチル−スチレントリブロックコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルジフルオリド−co−ヘキサフルオロプロパン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロパン)等のハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー、ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル、ポリビニリデンフルオリド及びポリビニリデンクロリド等のポリビニリデンハライド、ポリフルオロアルケン、ポリペルフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリスチレン等のポリビニル芳香族、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー等のビニルモノマー同士及びオレフィンのコポリマー、アルキッド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリエーテル、エポキシ樹脂、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0030】
さらなる実施形態において、本明細書に記載の疎水性コポリマーは、以下のモノマー:メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、又はこれらの組合せの1つ又は複数を含む。コポリマーの疎水性モノマーの含量を変化させることによって破断点伸び及び強靭性(toughness)等の力学的性質を調節することができる。例えば、比較的長い側鎖を有するモノマーは、そのコポリマーを含むコーティングのたわみ性を高めるであろう。対照的に比較的短い側鎖を有するモノマーは、そのコポリマーを含むコーティングの剛性(rigidity)及び強靭性を高めるであろう。
【0031】
さらなる実施形態において、本明細書に記載の親水性コポリマーは、以下のモノマー:ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)及びn−ビニルピロリドン(VP)等の非汚染性モノマー、メタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)等のカルボン酸を有するモノマー、HEMA、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)等のヒドロキシルを有しているモノマー、及びこれらの組合せの1つ又は複数を含む。該カルボン酸を有しているモノマー又はヒドロキシルを有しているモノマーは、該コポリマーが基材に適用されて塗装された時点で該コポリマーを架橋するために使用することができる。これにより、非常に親水性のコーティングが溶離することを防止する。
【0032】
脂質分子
一実施形態において、脂質分子(LI)としては、リン脂質、セラミド、及びコレステロールが挙げられる。
【0033】
親水性又は疎水性ポリマーによりコポリマーを製造するために有用なリン脂質は、中性、プラスに帯電した又はマイナスに帯電した合成リン脂質であり得る。典型的な有用な合成リン脂質としては、これらに限定されないが、カルジオリピン又はスフィンゴシン等の半合成ホスホリルコリンが挙げられる。
【0034】
他の実施形態において、生体適合性ポリマーによるコポリマーを製造するために有用なリン脂質は、中性、プラスに帯電した又はマイナスに帯電した天然のリン脂質であり得る。典型的な有用な天然のリン脂質としては、これらに限定されないが、PC部分(複数可)に加えて、ホスホリルセリン、ホスホリルイノシトール、ジ−ホスホリルグリセロール、又は両性イオン性ホスホリルエタノールアミン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0035】
さらなる実施形態において、生体適合性ポリマーによりコポリマーを製造するために有用なリン脂質は、PCであり得る。PCは、脂質の二重層の外側表面とよく似た両性イオン官能性のものである。PCは良好な血液適合性、非血栓形成性、動脈組織許容性及び長期間インビボ安定性を有する。PCは、ポリマー特にアクリルコポリマーの生体適合性を増すために使用されてきた。
【0036】
官能性部分F及び化学的部分R
一実施形態において、官能性部分Fは、親水性、疎水性、又は両親媒性ポリマーを、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むデバイス表面又はコーティングに連結するために使用することができる。
【0037】
一実施形態において、官能性部分Fは、親水性、疎水性、又は両親媒性ポリマーを、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質に連結するために使用することができる。
【0038】
他の実施形態において、官能性部分Fは、親水性、疎水性、又は両親媒性ポリマーを、表面にFが結合又は反応する化学的部分Rを含むリポソーム又はポリマーナノ粒子等の薬物送達媒体に連結するために使用することができる。
【0039】
Fと、Fが結合又は反応するRとは、それぞれ、FとRの対を形成する。
【0040】
RとFの対の例としては、アミン−アミン反応性エステル(NHSエステル、ニトロフェノールエステル、等);アミン−アルデヒド基;アミン−エポキシ基;スルフヒドリル(チオール)−スルフヒドリル反応性エステル(NHSエステル、ニトロフェノールエステル、等);スルフヒドリル(チオール)−アクリレート基;スルフヒドリル(チオール)−ビニル基(マレイミド/ビニルスルホン/ビニルエーテル);スルフヒドリル(チオール)−アリル基、が挙げられる。
【0041】
ホスホリルコリンを含むコポリマーを製造する方法
本明細書に記載のコポリマーは、PC部分をポリマーに導入することによって合成することができる。該PC部分は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)であり得る反応性官能基を介して該ポリマーに導入することができる。別法では、PC部分は、オキシラン等のモノマーに導入することができる。該モノマーの重合により、PC部分を有しているポリマーを生ずることができる。
【0042】
一実施形態において、保護されたヒドロキシル官能基を有するモノマーは、ラクチド、グリコリド又はカプロラクトン等のオキシランと共重合させるか、又はポリマーのポリエステルアミド主鎖等に組み込むことができる。該ヒドロキシル官能基は、次に脱保護し、その後PC基に転化することができる。保護基は、容易に除去でき、加えて重合中、安定であり、重合を妨害しない任意のものであればよく、例としてはさまざまなベンジルエーテルが挙げられる。
【0043】
反応スキーム1aは、一方の末端がPC部分により、他方の末端が官能性部分によりキャッピングされている親水性ポリマーを形成する手順を示している。該ポリマーは、エチレンクロロホスフェート等の薬剤と反応させて該ポリマーのエチレンホスフェート誘導体を形成することができる。該エチレンホスフェート官能基は、アミンと反応してPC官能基を生ずることができる。
【0044】
【化1】

【0045】
反応1b及び1cは、本発明において有用なポリマーを形成するための、さらなる方法を示す。
【0046】
【化2】

【0047】
【化3】

【0048】
生体有益性ポリマー
本発明の他の態様において、本明細書に記載の組成物は、非汚染性のポリマー及び抗血栓性薬剤を含有する1つ又は複数の生体有益性ポリマーを含めることができる。さまざまな非汚染性ポリマーが、当技術分野では知られている。例示的な非汚染性ポリマーとしては、PEG、ポリアルケンオキシド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリ(n−プロピルメタクリルアミド)、スルホン化ポリスチレン、ヒアルロン酸、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、スルホン化デキストラン、及びこれらの組合せが挙げられる。典型的な抗血栓性部分は、ヘパリン、サリチレート(アスピリン)、ヒルジン、フラボノイド、NOドナー、トロンボモジュリン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、及びこれらの組合せである。該非汚染性ポリマーは、混合物としてリン脂質部分を含むポリマーと共に使用することができ、又はリン脂質部分を含むポリマーの主鎖に組み込むことができる。
【0049】
一実施形態において、該非汚染性ポリマーはPEGである。PEGは、水溶性であり、疎水性主鎖に又は架橋ポリマーに共有結合され、長期にわたる効果を引き起こす。PEGは、任意のコポリマーの主鎖に、例えば、ヒドロキシル、アミノ、又はカルボン酸末端PEGと、該コポリマーの主鎖中のカルボン酸又はヒドロキシル等のペンダント官能基とを、カルボジイミド化学物質(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)及びその他の光延試薬)等の連結剤によって結合することにより、容易に組み込むことができる。リン脂質含有ポリマーの疎水性主鎖と結合するために有用なPEGは、約300ダルトンと約40,000ダルトンの間の範囲の分子量を有する。
【0050】
他の実施形態において、該生体有益性ポリマーは、ヘパリンである。ヘパリンは、抗血栓性薬剤として一般に使用される。ヘパリンは、カルボン酸等の官能基を含有するポリマー主鎖にPEG等のスペーサーを介して結合させることができる。一実施形態において、その結合は、1つのアミンがt−BOC等の保護基により保護されているPEGジアミンに結合させることができるアルデヒドを末端に有するヘパリンを用いて実施することができる。その保護基の除去と同時に、第2のアミンは、ポリマー主鎖上のカルボン酸に連結剤、例えば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)及びその他の光延試薬等を用いて結合させることができる。他の実施形態においては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を、その主鎖に組み込んで、ヘパリンとイオン的に配位又は結合させることもできる。
【0051】
さらなる実施形態において、PEG及びヘパリンは、両方ともリン脂質部分を含むポリマー中に組み込まれる。一実施形態において、メタクリレート主鎖を有するポリマーは、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び2−アミノエチルメタクリルアミドを含有するように製造することができる。市販されているアルデヒド末端のヘパリンは、シアノホウ化水素ナトリウムを用いる還元的アミン化により末端アミノ基に結合させることができる(スキーム4)。
【0052】
【化4】

【0053】
このヘパリンの結合は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び2−アミノエチルメタクリルアミドを含有するメタクリレート主鎖を有するポリマーを含むトップコート(topcoat)がDES等の埋め込み型デバイスに配置される前又は後のいずれかに行なうことができる。PEG及びヘパリンの両方並びに脂質(例えば、PC)を含有するポリマーを含むトップコートは、非汚染性であり、抗血栓性である。望ましい場合は、その他の非汚染性及び/又は抗血栓性部分をそのトップコートに組み込むことができる。
【0054】
生物活性剤
生物活性剤は、生物学的に活性である任意の薬剤、例えば、治療薬、予防薬、又は診断薬であり得る。適切な治療薬及び予防薬の例としては、治療、予防又は診断活性を有する合成無機及び有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖類及びその他の糖、脂質、並びにDNA及びRNA核酸配列が挙げられる。核酸配列としては、遺伝子、相補DNAに結合して転写を防ぐアンチセンス分子、及びリボザイムが挙げられる。例えば、1モル当たり100グラムと500,000グラム以上の間の広範囲の分子量を有する化合物が包含される。適切な材料の例としては、抗体、受容体リガンド、及び酵素等のタンパク質、接着ペプチド等のペプチド、単糖類及び多糖類、合成有機又は無機薬物、並びに核酸が挙げられる。包含される材料の例としては、酵素、血液凝固因子、ストレプトキナーゼ及び組織プラスミノゲン活性化因子等の阻害剤又は血餅溶解剤、免疫化のための抗原;ホルモン及び成長因子;ヘパリン等の多糖類、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム等のオリゴヌクレオチド並びに遺伝子治療で使用するためのレトロウイルスベクターが挙げられる。典型的な診断薬は、X線、蛍光、磁気共鳴画像、放射能、超音波、コンピューター断層撮影(CT)及び陽電子放出断層撮影(PET)によって検出可能な薬剤である。超音波診断薬は、一般的には空気、酸素又はペルフルオロカーボン等の気体である。
【0055】
薬剤が制御放出される場合は、広範囲の異なる生物活性剤を制御放出デバイス中に組み込むことができる。これらとしては、エベロリムス及びタンパク質等の、疎水性、親水性及び高分子量の巨大分子が挙げられる。該生物活性化合物は、ポリマーコーティング中に、0.01質量%と70質量%の間、より好ましくは5質量%と50質量%の間の充填割合で組み込むことができる。
【0056】
一実施形態において、該生物活性剤は、血管平滑筋細胞の活性を阻害するためのものであり得る。より具体的には、該生物活性剤は、再狭窄を阻止するために平滑筋細胞の異常な又は不適切な移動及び/又は増殖を阻止することを目的とするものであり得る。該生物活性剤は、又、本発明の実施において治療又は予防効果を発揮することができる任意の物質を含めることもできる。例えば該生物活性剤は、血管部位における創傷治癒を増進するため、又は血管部位の構造及び弾性特性を改善するためのものであり得る。活性薬剤の例としては、アクチノマイシンD、又はその誘導体及び類似物(1001 West Saint Paul Avenue、ミルウォーキー、WI53233、のSigma−Aldrich製、又はMerckから入手できるCOSMEGEN)等の抗増殖性物質が挙げられる。アクチノマイシンDの同義語としては、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンCが挙げられる。該生物活性剤は、また、抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗線溶薬、抗トロンビン、抗有糸分裂薬、抗生物質、抗アレルギー薬及び抗酸化物質の属に分類され得る。上記の抗悪性腫瘍薬及び/又は抗有糸分裂薬の例としては、パクリタキセル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、スタンフォード、コネティカット州、によるTAXOL(登録商標))、ドセタキセル(例えば、Aventis S.A.、フランクフルト、ドイツ、によるTaxotere(登録商標))、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pharmacia & Upjohn、ピーパック、ニュージャージー州、によるAdriamycin(登録商標))、及びマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、スタンフォード、コネティカット州、によるMutamycin(登録商標))が挙げられる。上記の抗血小板薬、抗凝固薬、抗線溶薬、及び抗トロンビンの例としては、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似物、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン剤)、ジピリダモール、糖タンパク質IIB/IIIa血小板細胞膜受容体拮抗薬抗体、組み換え型ヒルジン、並びにアンジオマックスa(Biogen,Inc.、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)等のトロンビン阻害剤が挙げられる。上記細胞増殖抑制性又は抗増殖性薬剤の例としては、アンジオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、スタンフォード、コネティカット州、によるCapoten(登録商標)及びCapozide(登録商標))等のアンジオテンシン変換酵素阻害薬、シラザプリル又はリシノプリル(例えば、Merck & Co.,Inc.、ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州、によるPrinivil(登録商標)及びPrinzide(登録商標))、カルシウムチャネル遮断薬(例えばニフェジピン等)、コルヒチン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(オメガ3脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(Merck & Co.,Inc.、ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州、によるHMG−CoA還元酵素の阻害薬、コレステロール低下薬、商品名Mevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対して特異的なもの)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン阻害薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害薬、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗薬)、及び一酸化窒素が挙げられる。抗アレルギー薬の例は、ペミロラストカリウムである。その他の適切であり得る治療物質又は薬剤としては、α−インターフェロン、遺伝子組み換え上皮細胞、ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、それらのプロドラッグ、コドラッグ並びに組合せが挙げられる。前述の物質は、一例として記載したもので限定することを意味するものではない。現在入手できるか、又は今後開発されることがあり得るその他の活性薬剤も同様に適用可能である。
【0057】
有用な生物活性剤には、本明細書に記載の薬剤のプロドラッグ及びコドラッグも含む。
【0058】
好ましい治療効果を生ずるために必要な生物活性剤の用量又は濃度は、該生物活性剤が毒性効果を生ずるレベル未満であり、治療結果が得られないレベルより大であるべきである。血管領域の所望される細胞活動を阻止するために必要な生物活性剤の用量又は濃度は、患者の特定の状況、心的外傷の性質、所望される治療の性質、投与された成分が血管部位に存在する時間、及び他の活性薬剤が使用される場合は、その物質又は物質の組合せの性質及びタイプ等の要因に依存し得る。治療有効量は、例えば適当な動物モデル系からの血管に注入し、免疫組織化学的な、蛍光若しくは電子顕微鏡法を用いて薬剤及びその効果を検出するか、又は適切なインビトロ研究を実施することによって経験的に決定することができる。投与量を決定するための標準的な薬理試験手順は、当業者には理解されている。
【0059】
コーティングの構成
本明細書に記載のコポリマーは、埋め込み型デバイス、例えば、薬物溶出性ステント(DES)に塗装するためのコーティング組成物を形成するために使用することができる。少なくとも1つのPC部分を含むコポリマーを単独で、又は別のポリマーとの組合せで使用することができる。DESコーティングとして使用するためには、該組成物は生物活性剤を含有することができる。
【0060】
本明細書に記載のコーティングは、さまざまな構造を有することができる。一実施形態において、該コーティングは、本明細書に記載のコポリマー単独又は他のポリマーとの組合せにより形成することができる。有用なその他のポリマーとしては、上で説明した分解性及び非分解性生体適合性のポリマーが挙げられる。本明細書に記載のコポリマーは、DES上のPC部分を含むコポリマーを含有しない薬物リザーバーコーティングのトップコートを形成するために使用することができる。例えば、DESは、ポリ(n−ブチルメタクリレート)(PBMA)等のポリマーを含む下塗り層(primer layer)、上で説明したようなリン脂質部分を含まない生体適合性、生分解性又は非分解性ポリマー、例えばエチレンビニルアルコール(EVAL)又はポリビニリデンフルオリド(PVDF)等を含む薬物リザーバー層、及び最後に本明細書に記載のPC部分を含むコポリマーによるトップコートを有するコーティングを有するように作製することができる。該トップコートは、PBMAのようなPC部分を有さないポリマーをさらに含むことができる。
【0061】
他の実施形態において、該コーティングは、該コーティングの全ての層にリン脂質部分を含むコポリマーを含むことができる。例えば、DESコーティングは、約1〜5質量%のPBMA−PCを含む下塗り層、PBMA及び約1〜20質量%のPBMA−PCを含むリザーバー層、並びにPBMA及び25〜50質量%のPBMA−PCを含むトップコートを有するように形成することができる。
【0062】
他の実施形態において、該コーティングは、各層におけるコポリマーの濃度が、トップコートで最も高く、下塗り層で最も低くなるように減少するような濃度勾配にて、PC部分を含むコポリマーをそれぞれ有する複数の層を含むように製造することができる。例えば、該コポリマーは、PBMA−PCであり得る。
【0063】
さらなる実施形態において、該コーティング構成は、2つ以上の薬物を放出するように作製することができる。一実施形態において、望ましい場合は、第2の薬物は、ゾタロリムス又はエベロリムス等の第1の薬物と共にマトリックス中にブレンドして、該第2の薬物が該第1の薬物と同じ時間枠内で放出されるようにすることができる。他の実施形態において、第2の薬物が親水性であり、その第2の薬物を急速に放出させることが望ましい場合、その第2の薬物はPC部分のようなリン脂質部分を含むトップコートとブレンドすることができる。かかる親水性薬物としては、環状RGD等のペプチド、アスピリン、一酸化窒素ドナー、及び安定な窒素酸化物等が挙げられる。該第2の薬物は、又、塗布したトップコート中に膨潤添加することもできる。さらなる薬物は、薬物リザーバー又はトップコートの皮膜に添加することができる。
【0064】
コーティング組成物の使用方法
コーティング組成物は、任意の埋め込み型デバイスに任意の確立された被覆プロセス、例えばスプレープロセスによって塗布することができる。一般に、該被覆プロセスは、該組成物を溶媒に溶解又は懸濁させて該コーティング組成物の溶液又は懸濁液を形成し、次にその溶液又は懸濁液をDES等の埋め込み型デバイスに塗布するステップを伴う。
【0065】
本明細書で使用される埋め込み型デバイスとは、ヒト又は家畜の患者に埋め込むことができる任意の適切な医療用基材であり得る。好ましい埋め込み型デバイスはDESである。ステントの例としては、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトが挙げられる。その他の例示的な埋め込み型デバイスとしては、移植組織(例えば大動脈移植)、人工心臓弁、脳脊髄液短絡、ペースメーカー電極、及び心内膜リード(例えば、Guidant Corporation、サンタクララ、カリフォルニア州、から入手可能なFINELINE及びENDOTAK)が挙げられる。該デバイスの基礎をなす構造は、事実上任意のデザインのものであり得る。該デバイスは、金属材料又は合金、例えば、以下に限定はされないが、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素ステンレススチール例えばBIODUR108、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(Nitinol)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はこれらの組合せから作製することができる。「MP35N」及び「MP20N」は、Standard Press Steel Co.、ジェンキンタウン、ペンシルベニア州、から入手できるコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金に対する商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。生体吸収性又は生体安定性ポリマーから作製されたデバイスも、本発明の実施形態の中で使用することができる。
【0066】
本発明のコーティング組成物はまた、非埋め込み型デバイス、例えば、血管形成術用バルーン及び埋め込み型デバイスを送達するその他のデバイス等に被覆することもできる。
【0067】
[実施例]
本発明の実施形態は、以下に記載される実施例によって明らかにされよう。全てのパラメーター及びデータは、本発明の実施形態の範囲をはなはだしく限定するものと解釈すべきではない。
【0068】
(実施例1A)P(MPC−PEGA−BMA)コポリマー
成分、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、ブチルメタクリレート(BMA)、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(PEGA)(Mn=350Da)及びAIBN(α,α’−アゾブチロニトリル)をエタノール中に(15:10:74:0.5)のモル比で溶解することができる。その反応物は、62℃で24時間維持する。そのポリマーは、冷メタノール中で二度の沈殿によって精製し、白色粉末を得ることができる。
【0069】
第1の組成物は、以下の成分を混合することによって調製することができる:
(a)約2質量%のポリ(ブチルメタクリレート)(PBMA)を、
(b)アセトン及びシクロヘキサノン(それぞれ30%及び70%)の混合物に溶解する。
その第1の組成物は、裸の12mmVISIONステント(Abbott Vascularから入手可能)の表面にスプレーすることによって塗布し、乾燥してステントコーティングを形成することができる。周囲温度に維持されており、約0.2気圧(約3psi)のフィード圧及び約1.3気圧(約20psi)の噴霧圧の0.014のファンノズルを有するスプレーコーターを使用することができる。約20μgのウェットコーティングを一回のパス当たり塗布することができる。パスの間に該コーティングは約50℃で約10秒間乾燥することができる。最後のパスに続いて、該コーティングは約50℃で約1時間乾燥させ、乾燥下塗り層を生じることができる。その乾燥下塗り層は、約80μgのPBMAを含有する。
【0070】
第2の組成物は、以下の成分を混合することによって調製することができる:
(a)約2質量%のP(MPC−PEGA−BMA)、及び
(b)約0.7質量%のエベロリムス、及び
(c)残りは、アセトン及びジメチルホルムアミド(それぞれ50%と50%)の混合物。
該第2の組成物は、下塗り層の作製に関するのと同じコーティング技術及び条件を用いて乾燥リザーバー層に塗布して、乾燥トップコート層を生じさせることができる。該乾燥トップコート層は、約100μgのp(MPC−PEGA−BMA)を含有する。
【0071】
16個のステントを、上記のようにして被覆することができる。8個のステントは、当業者には知られているように、25KGyの放射線量での電子線滅菌法を用いて滅菌することができ、他の8個のステントは滅菌しないことができる。
【0072】
(実施例1B)P(MPC−PEGA−BMA)コポリマー
第1の組成物は、以下の成分を混合することによって調製することができる:
(a)約2質量%のp(MPC−PEGA−BMA)、及び
(b)約0.7質量%のエベロリムス、及び
(c)残りは、アセトン及びジメチルホルムアミド(それぞれ50%と50%)の混合物。
該組成物は、裸の12mmVISIONステント(Abbott Vascularから入手可能)の表面にスプレーすることによって塗布し、乾燥してステントコーティングを形成することができる。周囲温度に維持されており、約0.2気圧(約3psi)のフィード圧及び約1.3気圧(約20psi)の噴霧圧の0.014のファンノズルを有するスプレーコーターを使用することができる。約20μgのウェットコーティングを一回のパス当たり塗布することができる。パスの間に該コーティングは約50℃で約10秒間乾燥することができる。最後のパスに続いて、該コーティングは約50℃で約1時間乾燥させ、乾燥下塗り層を生じることができる。その乾燥コーティングは、約100μgのP(MPC−PEGA−BMA)を含有する。
【0073】
16個のステントを、上記のようにして被覆することができる。8個のステントは、当業者には知られているように、25KGyの放射線量での電子線滅菌法を用いて滅菌することができ、他の8個のステントは滅菌しないことができる。
【0074】
本発明の特定の実施形態を示し、説明してきたが、本発明のより広い態様において変化及び修正を本発明から逸脱することなく加えるできることは当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲に入る全てのそのような変化及び修正をそれらの範囲内に包含すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の末端にホスホリルコリン部分、及び第2の末端に官能性部分Fを有する疎水性ポリマーを含み、
Fが、前記疎水性ポリマーを、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面又はコーティングに連結するものである、ポリマー。
【請求項2】
前記疎水性ポリマーの第2の末端が、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質に連結されている、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記疎水性ポリマーの第2の末端が、薬物送達媒体に連結されており、前記媒体の表面が、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
薬物送達媒体が、リポソーム、ミセル、ポリマーナノ粒子、ポリマーミセル、ポリマーソーム、又はポリマー微粒子である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
治療薬又は薬物を更に含む、請求項3に記載のポリマー。
【請求項6】
疎水性セグメントが、前記疎水性セグメントに結合した光反応性部分を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項7】
両親媒性ポリマーであって、
前記両親媒性ポリマーが、第1の末端にホスホリルコリン部分、及び第2の末端に官能性部分Fを有し、
Fが、前記両親媒性ポリマーを、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含む埋め込み型医療デバイス表面又はコーティングに連結するものである、両親媒性ポリマー。
【請求項8】
前記両親媒性ポリマーの第2の末端が、Fが結合又は反応する化学的部分Rを含むタンパク質に連結されている、請求項7に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項9】
前記両親媒性ポリマーの第2の末端が、表面にFが結合する化学的部分Rを含む薬物送達媒体に連結されている、請求項7に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項10】
薬物送達媒体が、リポソーム、ミセル、ポリマーソーム、ポリマーナノ粒子、ポリマーミセル、又はポリマー微粒子である、請求項7に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項11】
治療薬又は薬物を更に含む、請求項7に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項12】
前記第2の末端が、脂質分子に連結している、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
親水性ポリマーブロックと、疎水性ポリマーブロックと、を含む両親媒性ジブロックコポリマーであって、
前記コポリマーは、その親水性末端又は疎水性末端がホスホリルコリン部分によってキャッピングされている、両親媒性ジブロックコポリマー。
【請求項14】
疎水性ポリマーブロックと、該疎水性ポリマーブロックの両側に配置された親水性ポリマーブロックと、を含む両親媒性トリブロックコポリマーであって、
前記親水性ポリマーブロックはいずれも、それぞれの末端がホスホリルコリン部分によってキャッピングされている、両親媒性トリブロックコポリマー。
【請求項15】
親水性ポリマーブロックと、該親水性ポリマーブロックの両側に配置された疎水性ポリマーセグメントと、を含む両親媒性トリブロックコポリマーであって、
疎水性ポリマーブロックはいずれも、それぞれの末端がホスホリルコリン部分によってキャッピングされている、両親媒性トリブロックコポリマー。
【請求項16】
前記疎水性ポリマーが、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、ポリウレタン尿素(PUU)、及びこれらの組合せを含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項17】
前記両親媒性ポリマーが、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せを含む、請求項7に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項18】
前記疎水性ポリマーブロックが、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、ポリウレタン尿素(PUU)、及びこれらの組合せを含み、前記親水性ポリマーブロックが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せを含む、請求項13に記載の両親媒性ジブロックコポリマー。
【請求項19】
前記疎水性ポリマーブロックが、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、ポリウレタン尿素(PUU)、及びこれらの組合せを含み、前記親水性ポリマーブロックが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せを含む、請求項14に記載の両親媒性トリブロックコポリマー。
【請求項20】
前記疎水性ポリマーブロックが、ポリラクチド(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ポリカーボネート、パリレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリウレタン(PU)、及びこれらの組合せを含み、親水性ポリマーセグメントが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(PVP−co−VA)、プルロニックポリマー及びこれらの組合せを含む、請求項15に記載の両親媒性トリブロックコポリマー。
【請求項21】
前記治療薬が、タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む、又は
前記薬物が、ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む、請求項5に記載のポリマー。
【請求項22】
前記治療薬が、タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む、又は
前記薬物が、ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む、請求項11に記載の両親媒性ポリマー。
【請求項23】
タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む治療薬、又は、
ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む薬物を更に含む、請求項12に記載のポリマー。
【請求項24】
タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む治療薬、又は、
ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む薬物を更に含む、請求項13に記載の両親媒性ジブロックコポリマー。
【請求項25】
タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む治療薬を更に含む、又は、
ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む薬物を更に含む、請求項14に記載の両親媒性トリブロックコポリマー。
【請求項26】
タンパク質、ペプチド、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗血液凝固剤、フリーラジカル捕捉剤、ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナー、スーパーオキシドジムスターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ模倣物、細胞分裂阻害剤、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、及びこれらの組合せを含む治療薬を更に含む、又は、
ゾタロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、パクリタキセル、エストラジオール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、タクロリムス、シロリムス、シロリムス誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組合せを含む薬物を更に含む、請求項15に記載の両親媒性ジブロックコポリマー。
【請求項27】
前記化学的部分R−前記官能性部分Fの対が、アミン−アミン反応性エステル、アミン−アルデヒド基、アミン−エポキシ基、スルフヒドリル−スルフヒドリル反応性エステル、スルフヒドリル−アクリレート基、スルフヒドリル−ビニル基、スルフヒドリル−アリル基から選択される、請求項1に記載の親水性ポリマー。
【請求項28】
前記化学的部分R−前記官能性部分Fの対が、アミン−アミン反応性エステル、アミン−アルデヒド基、アミン−エポキシ基、スルフヒドリル−スルフヒドリル反応性エステル、スルフヒドリル−アクリレート基、スルフヒドリル−ビニル基、スルフヒドリル−アリル基から選択される、請求項7に記載の親水性ポリマー。
【請求項29】
請求項23に記載のポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項30】
請求項22に記載の両親媒性ポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項31】
請求項23に記載のポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項32】
請求項13に記載の両親媒性ジブロックコポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項33】
請求項25に記載の両親媒性トリブロックコポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項34】
請求項26に記載の両親媒性ジブロックコポリマーを含むコーティングを備える埋め込み型デバイス。
【請求項35】
請求項1に記載のポリマーを含むコーティング組成物。
【請求項36】
請求項7に記載の両親媒性ポリマーを含むコーティング組成物。
【請求項37】
請求項13に記載の両親媒性ジブロックコポリマーを含むコーティング組成物。
【請求項38】
請求項14に記載の両親媒性トリブロックコポリマーを含むコーティング組成物。
【請求項39】
請求項15に記載の両親媒性トリブロックコポリマーを含むコーティング組成物。
【請求項40】
請求項29に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項41】
請求項30に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項42】
請求項31に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項43】
請求項32に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項44】
請求項33に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項45】
請求項34に記載のステントをヒトに埋め込むことによってヒトを治療する方法であって、
疾患が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合部の増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍閉塞、並びにこれらの組合せからなる群から選択される方法。
【請求項46】
請求項21に記載のポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項47】
請求項22に記載の両親媒性ポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項48】
請求項23に記載のポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項49】
請求項24に記載の両親媒性ジブロックコポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項50】
請求項25に記載の両親媒性トリブロックコポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項51】
請求項26に記載の両親媒性ジブロックコポリマーを含むコーティングを備える血管形成術用バルーン。
【請求項52】
請求項13に記載のポリマーを含む薬物送達媒体であって、前記媒体が、リポソーム形状、ミセル形状、ポリマーソーム形状、ポリマーナノ粒子形状、ポリマーミセル形状、又はポリマー微粒子形状である、薬物送達媒体。
【請求項53】
請求項14に記載のポリマーを含む薬物送達媒体であって、前記媒体が、リポソーム形状、ミセル形状、ポリマーソーム形状、ポリマーナノ粒子形状、ポリマーミセル形状、又はポリマー微粒子形状である、薬物送達媒体。

【公表番号】特表2012−519540(P2012−519540A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552970(P2011−552970)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/024827
【国際公開番号】WO2010/101722
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】