説明

血清タンパク質に基づく指向性配列ポリマー組成物の検出による、指向性配列ポリマー組成物の設計、生物学的利用性、及び有効性を改良するための方法

単純なペプチドを検出する方法は、当該技術分野に存在する。しかしながら、指向性配列ポリマー(DSP)の有効血漿濃度を測定するための方法は、画定されたアミノ酸配列を有する個別のペプチドとは対照的に、DSPがペプチドの複合的混合物であるため、複雑である。この出願は、DSP組成物を検出する及び評価する改良された方法、DSP組成物の検出及び定量化のための方法、特定の捕捉ペプチドのサブセットとの相互作用に基づくDSP組成物におけるペプチドのサブセットを決定する及び富化するための手段、及びそれらを必要とする対象にDSP組成物を投与するための方法、ここで、投与計画及び量は、検出及び定量化のための上述の方法に基づいて決定又は評価され得る、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2009年11月17日に出願された、米国仮出願第61/281,470号、及び2010年9月27日に出願された、米国仮出願第61/386,909号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
複合的なペプチド混合物は、ペプチド治療学の新たに生じた種類であり、中でもCopaxone(酢酸グラチラマー)は優れた例である。複合的なペプチド混合物は、一つ又は複数の共通の特徴(例えば、アミノ酸組成及び/又は配列類似性)を有する多様なペプチドを含み、改変されたペプチドリガンド(APL)、ペプチドプール、ペプチドライブラリー、ランダム配列ポリマー(RSP)組成物(例えば、酢酸グラチラマー、及びWO03/029276、WO05/112972、及びWO05/085323に開示される組成物)、及び指向性配列ポリマー(DSP)組成物(例えば、WO2007/120834、WO2009/051797、及びWO2009/128948を参照のこと)を含む。DSP及びRSP組成物は、双方がそれらの配列が特定の画定された共通パラメーター内でランダムに変更する多数の様々なペプチドを含む点で似ている。RSP組成物は、様々な割合で二つ又はそれ以上のランダムに配列されたアミノ酸残基を含む、アミノ酸ポリマー(典型的に、ペプチド結合を介して連結される)の混合物である。RSP組成物では、配列相同性は、全てのペプチドが、ランダムに配列された同様の少数のアミノ酸からなるので、制限されたペプチドのアミノ酸含量から生じる。DSP組成物では、配列相同性は、画定された頻度でアミノ酸の制限されたスレートによりランダムに置換された特定のアミノ酸部位を含む、共有するベースペプチド配列から生じる。
【0003】
単純なペプチドを検出する方法は、当該技術分野に存在するが、複合的なペプチド混合物を検出及び測定するのに好適な方法はわずかである。指向性配列ポリマー(DSP)有効血漿濃度を測定するための方法は、画定されたアミノ酸配列を有する個別のアミノ酸とは対照的に、DSPはペプチドの複合的な混合物であるので、複雑である。複数の製造する調製物を通してDSPの一致及び組成を評価するための改良された方法は、必要とされている。DSP組成のインビボにおける状態を測定することは、投与の経路及び/又は頻度、及びDSPに結合する血清タンパク質に応じて、混合物は、第一の炎症(TH1型)、又は第一の調節(TH2型)反応を引き起こし得、対象において薬物動態学的及び薬力学的効果におけるバリエーションを導くので、免疫学的重要性を有する。DSPのより厳格な設計及び一貫した投与は、治療効果を増加させ、有害な炎症反応についての可能性を減少させ得る。
【0004】
従って、例えば、そのような混合物のインビボにおける評価を容易にするための、及び治療目的のための好適な量及び投与の手段を決定するための、DSP組成物の定量分析の方法についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
この出願は、DSP組成物を検出及び評価する改良された方法を提供する。本発明は、DSP組成物の検出及び定量のための方法を提供する。本発明は、特定の捕捉ポリペプチドとのサブセットの相互作用に基づくDSP組成物において、ペプチドのサブセットを決定する及び富化するための手段を提供する。本発明は、それらを必要とする対象にDSP組成物を投与するための方法をさらに提供し、ここで、投与計画及び量は、検出及び定量のための上述の方法に基づいて決定され又は評価され得る。
【0006】
本開示はまた、以下のステップ:(a)前記DSP組成物を固体支持体に付着させること;(b)(a)における前記固体支持体と、タンパク質を含む生体液とを接触させること;(c)(a)において固体支持体に特異的に結合した(b)からタンパク質を同定すること;(d)(c)において結合したタンパク質の実質的に純粋な調製物を得ること;(e)(c)における前記タンパク質を、前記DSP組成物を定量的に検出するための手段に付着させること、及び;(f)前記DSP組成物と(e)におけるそれぞれの個別の前記タンパク質との結合を測定することを含む、DSP組成物を検出するための方法を提供する。
【0007】
この開示はまた、以下のステップ:(a)前記DSP組成物を固体支持体に付着させること;(b)(a)における固体支持体と、タンパク質を含む生体液とを接触させること;(c)(a)において固体支持体に特異的に結合した(b)からタンパク質を同定すること;(d)(c)において結合したタンパク質の実質的に純粋な調製物を得ること;(e)(c)における前記タンパク質を、前記DSP組成物を定量的に検出するための手段に付着させること、;(f)前記DSP組成物と(e)におけるそれぞれ個別の前記タンパク質との結合を測定すること;(g)(e)における一つ又は複数のタンパク質との結合を増大又は減少させるために前記DSP組成物の設計を調節すること;(h)ステップ(f)を繰り返すこと;(i)任意でステップ(f〜h)を繰り返すこと、ここで、前記DSP組成物の設計への調節は、以下:増加した生物学的利用性、毒性の減少、及び有効性の増加を含む任意の一つ又は複数の群をもたらす、を含む、DSP組成物の設計を改良するための方法を提供する。
【0008】
さらに、この出願は、以下のステップ:(a)前記DSP組成物を固体支持体に付着させること;(b)(a)における固体支持体と、タンパク質を含む生体液とを接触させること;(c)(a)における固体支持体に特異的に結合した(b)からタンパク質を同定すること;(d)(c)において結合したタンパク質の実質的に純粋な調製物を得ること;(e)(c)における前記タンパク質を固体支持体に付着させること、;(f)(e)における前記固体支持体と前記DSP組成物とを接触させること、及び;(g)前記DSP組成物の個別の種類と(f)における前記固体支持体との結合を測定することを含む、DSP組成物中の種類を検出するための方法を提供する。
【0009】
加えて、この出願は、以下のステップ:(a)前記DSP組成物を固体支持体に付着させること;(b)(a)における固体支持体と、タンパク質を含む生体液とを接触させること;(c)(a)において固体支持体に特異的に結合した(b)からタンパク質を同定すること;(d)(c)において結合したタンパク質の実質的に純粋な調製物を得ること;(e)(c)における前記タンパク質を、固体支持体に付着させること、;(f)(e)における前記固体支持体と、前記DSP組成物とを接触させること、;(g)前記DSP組成物の個別の種類と、(f)における前記固体支持体との結合を測定すること;(h)(f)における一つ又は複数のタンパク質との結合を増大、又は減少させるために、前記DSP組成物の設計を調節すること;(i)ステップ(g)を繰り返すこと、及び;(j)任意でステップ(g〜i)を繰り返すこと、ここで、前記DSP組成物の種類の設計への調節は、以下:増加した生物学的利用性、毒性の減少、及び有効性の増加を含む任意の一つ又は複数の群をもたらす、を含む、DSP組成物中の種類の設計を改良するための方法を提供する。
【0010】
本出願の方法を用いて、研究者らは、少量のDSP組成物の成分をより確実に検出することができるのみならず、また、例えば、毒性、又は有効性などの対象の生物学的活性に対して関与する、又は貢献するDSP組成物中の種類を特異的に検出することができる。
【0011】
本発明の基礎となる発見は、特定のタンパク質性物質によるYEAK又はYFAKペプチド組成物中の単一のペプチド又は多数のペプチドの特異的な結合である。本明細書において、「捕捉ポリペプチド」と称されるタンパク質性物質はまた、好ましくは、DSP組成物と結合する。反対に、一旦「捕捉ペプチド」が同定されると、一つ又は複数の捕捉ペプチドは、DSP組成物のペプチドを定量的に分析するために、DSP組成物中のペプチドの機能的に優れたサブセットを単離するために、又は結合特異性に基づくDSP組成物の成分を分類するために用いられ得る。本発明を実施するために、ペプチドと結合する捕捉ポリペプチドは同定され、本発明を実施するために有用な形態に調製され、すなわち、ペプチドとのその結合が、他の成分の存在により損なわれないのに十分な程度まで、単離され、精製される。
【0012】
本発明の一つの態様は、異なる製造調製物の製品におけるバリーションを評価する又は決定するための方法、製造の様々な方法、又はDSP組成物の様々な製造後加工方法を提供する。本発明の特定の方法は、調製物間の類似性及び/又は差異を決定するために、DSP組成物の様々な調製物と捕捉ペプチドとの結合を比較することである。
【0013】
本発明のさらなる態様は、DSP組成物又はDSP組成物を含むサンプルにおいて発見されるペプチドを定量的に分析するための方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、投与されたDSP組成物のインビボにおける(例えば、血漿濃度)生物学的に利用可能な量又は濃度を決定するための方法である。
【0014】
本発明の方法は、対象の組織においてDSP組成物の存在を検出すること、ここで、前記対象は事前にDSP組成物と接触させ、又はDSP組成物で処理されており、ここで、方法は、そのような接触のすぐ後、又はそのような接触後少なくとも約10、20、30、若しくは45分後、又は1、2、4、6、12、24、36、若しくは48時間後、又は3、4、5、6、7、若しくは10日後、又は2、3、4、6、8、若しくは12週間後に、一回又は複数回行われる。本発明の特定の方法は、哺乳動物の血清又は血漿中のDSP組成物の成分の存在を検出することであり、ここで、前記哺乳動物は、上述の期間内に前記方法を実行する前に、事前に前記DSP組成物で処理されている。特定の実施形態では、前記哺乳動物はヒトである。
【0015】
特定の実施形態では、本方法は、DSPと一つ又は複数の所定の捕捉ペプチドとを結合させること、続く検出方法、例えば、免疫学的検出方法により、DSP組成物の存在、及び任意でDSP組成物の量を測定することを含む。従って、本発明の一つの態様は、優先的にDSP組成物に結合する血清タンパク質を選択する又は同定することを含む。特定の実施形態では、一つ又は複数の血清タンパク質を同定する方法は、DSP組成物と血清を含む生体サンプルとを接触させること、DSP組成物中のペプチドと血清の一つ又は複数の成分との結合を、もしあれば、検出すること、結合成分を単離すること、及び一つ又は複数の結合成分を同定することを含む。いくつかの実施形態では、結合成分は、サンプルとDSP組成物のペプチドと結合するために設計されたアフィニティーカラムとを接触させ、続いて結合画分を溶出させ、続いて結合成分(単数又は複数)を同定することにより、単離され得る。
【0016】
DSP組成物のペプチドに結合する任意の血清結合タンパク質は、上記の方法に用いられ得る。好適な検出方法は、直接競合的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫フローサイトメトリー検出、ラジオイムノアッセイ(RIA)、又は任意の他の特異的抗原の定量的検出を可能にする免疫学的検出方法を含む。
【0017】
本発明の一つの態様は、生体サンプル中のDSP組成物の存在を検出するための方法であり、以下:生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを接触させること;及び捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の存在又は不存在を検出することを含み、ここで、結合の存在は、生体サンプル中のDSP組成物のペプチド成分の存在を示す。さらに、そのような方法は、サンプル中のDSP組成物の量又は濃度を測定するために拡張され得る。
【0018】
本発明の別の態様は、哺乳動物中のDSP組成物の生物学的利用性を測定するための方法であり、以下:DSP組成物の用量を哺乳動物に投与すること;対象からの生体サンプルを取り除くこと;及び生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ペプチドとを接触させること;それにより生体サンプル中のDSP組成物の生物学的利用性又は生物学的利用性の程度を決定することを含む。
【0019】
本発明の別の態様は、哺乳動物対象にDSP組成物を投与する方法を提供し、ここで、そのような量は、上述の方法又は本明細書で記述される他の方法により決定されるような投与される量の生物学的利用可能な部分に基づいて決定される。特定の実施形態では、本方法は、対照サンプルを含むこと、二つの結果を比較することによる対照サンプルと試験サンプルの間の生理学的マーカー、例えば、ホルモン、酵素、血清タンパク質、サイトカイン、免疫調節物質、又は任意のこれらの機能性タンパク質のエフェクター又はレギュレーターの変化を測定するために薬力学的試験を行うこと、及び薬力学的パラメーターの所望の変化を誘導するために効果的な用量を決定することさらに含む。特定の実施形態では、対象により報告されるような行動変化、自覚的変化、例えば、疼痛若しくは疾患の症状の改善、又は間接的な効果の他の証言は、観察される。特定の実施形態では、前記哺乳動物対象は、齧歯動物、例えば、マウス又はラットである。他の実施形態では、前記対象はヒトである。
【0020】
本発明のこの態様の特定の実施形態は、それらを必要とする対象に投与するためのDSP組成物の好適な用量を決定するための方法であって、以下:(a)対象にDSP組成物の用量を投与すること;(b)対象から生体サンプルを取り除くこと;(c)生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;(d)生体サンプル中のDSP組成物の成分のレベルを測定すること;(e)様々な用量を用いてステップ(a)〜(d)を任意で繰り返すこと;及び(g)そのレベルと生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルとを比較すること、ここで好適な用量は、生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルをもたらす用量である、を含む方法を提供する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態は、DSP組成物の生物学的利用可能な画分の部分を予測するための方法を提供する。そのような方法は、DSP組成物を含むサンプルと、インサイチュにおいて、そのようなDSP組成物の投与及び送達が期待される部位で、発見される所定の捕捉ポリペプチドとを接触させること、及びDSP組成物と捕捉ポリペプチドとの結合を測定することを含む。DSP組成物の大部分による結合は、治療的及び/又は生理学的に関連のあるペプチドの大部分を示し、強力な結合(解離定数決定につき)は、インビボでのそれらのペプチドの半減期を延長する保護効果を示し得る。
【0022】
本発明のさらなる態様は、実験対象から得られたデータに基づいて、対象(例えば、ヒト対象)に投与されるためのDSP組成物の治療的有効量を予測するための方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、ヒトでない実験哺乳動物対象にDSP組成物を投与すること、投与された量の生物学的利用可能な部分を決定すること(例えば、本明細書で記述される定量的検出の方法を用いて)、機能的読み出し(read−out)を測定すること、並びに実験哺乳動物対象について得られたデータ及び治療と実験対象間の相関比に基づいて、治療対象に送達されるDSP組成物の治療的有効量を予測することを含む。本発明の目的について、「機能的読み出し(read−out)」は、対象の表現型若しくは機能、対象由来の細胞物質の表現型若しくは機能、又は対象由来の一つ又は複数の液体の組成物である。機能的読み出しは、一つ又は複数の生合成又は代謝成分、例えば、ホルモン、酵素、血清タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、免疫調節物質、及び前記機能的読み出しのエフェクター又はレギュレーターの測定をさらに又は代わりに含み得る。特定の実施形態では、検出ステップは、生物学的利用性、代謝、及び/又は投与後のクリアランスの時間経過を測定するための、様々な規則的な又は不規則的な時間で繰り返され得る。特定の実施形態では、群としてのDSP組成物の血漿半減期は、この方法で決定され得る。さらなる実施形態では、DSP組成物中の種の半減期は、この方法で決定され得る。特定の実施形態では、実験対象は、齧歯動物、例えば、マウス又はラットである。
【0023】
本発明のさらなる別の態様は、DSP組成物を投与することにより患者を治療する効率的で効果的な方法であって、以下:ペプチドを合成することによりDSP組成物を調製すること(例えば、伸長のそれぞれのサイクルでアミノ酸モノマーのプールを用いることにより同時に)、前記DSP組成物の医薬的に許容される製剤を調製すること、前記DSP組成物を対象に投与すること、前記対象から組織サンプルを得ること、前記組織サンプル中のDSP組成物の量及び/又は濃度を測定すること、機能的読み出しを測定すること、機能的読み出しに対してDSP組成物の量を関連づけること、及び機能的読み出しを改良するために対象に対してDSP組成物の用量を調節することを含む、方法を提供する。
【0024】
本発明の別の態様は、対象にDSP組成物の好適な用量を投与することを含む、対象において望ましくない免疫反応を治療又は予防するための方法であり、ここで、そのような好適な用量は、以下:(i)対象にDSP組成物の用量を投与すること;(ii)実験対象から生体サンプルを取り除くこと;(iii)生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを接触させること;(iv)生体サンプル中の捕捉ポリペプチドのレベルを測定すること;(v)様々な用量を用いてステップ(i)〜(iv)を任意で繰り返すこと;(vi)そのレベル(単数又は複数)と生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルと比較すること、ここで、好適な用量は、前記生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルをもたらす用量である、により決定される。
【0025】
いくつかの前述の態様及び実施形態では、捕捉ポリペプチドは標識される。いくつかの実施形態では、捕捉ポリペプチドは、固体支持体に付着される。いくつかの実施形態では、捕捉ポリペプチド及びDSP組成物の一つ又は複数のペプチド成分を含む複合体は、検出され及び/又は単離される。特定の実施形態では、捕捉ペプチド又はDSP組成物のペプチド成分に対してではなく、複合体に対して特異的な抗体により、複合体は検出され及び/又は単離される。
【0026】
本発明のさらなる別の態様は、DSP組成物を構成するペプチドの選択されたサブセットを単離するための方法を提供する。特定の例では、サブセットは、一つ又は複数のアミノ酸配列を有するペプチドからなり得る。他の場合では、捕捉ポリペプチドは、結合特異性に基づいてDSP組成物の成分を分類するために用いられ得る。
【0027】
特定の実施形態では、DSP組成物を含むサンプルからペプチドを単離するための方法は、以下:(a)サンプルと少なくとも一つの捕捉ペプチドとを接触させること;及び(b)混合物から捕捉ポリペプチドに結合するペプチドを分離することを含む。特定のそのような実施形態では、捕捉ポリペプチドは、固体支持体に付着される。いくつかの実施形態では、捕捉ポリペプチドは、エピトープタグ付けられ、又は標識される。いくつかの実施形態では、方法は、ペプチドを単離するために、捕捉ポリペプチドから結合したペプチドを分離することをさらに含む。特定の実施形態では、方法は単離されたペプチドの特徴、例えば、単離されたペプチドのプールのアミノ酸組成、及び/又は単離されたペプチドのアミノ酸配列を決定することをさらに含む。
【0028】
特定の実施形態では、対象におけるDSP組成物中の生物学的に利用可能なペプチドを同定する方法は、以下:(a)DSP組成物を対象に投与すること;(b)ステップ(a)を行った後、対象から組織サンプルを取り除くこと;及び(c)少なくとも一つの捕捉ペプチドと結合するサンプル中のペプチドを同定することを含む。
【0029】
特定の実施形態では、捕捉ポリペプチドと結合するペプチドのサブセットを同定する方法は、プロトコールに従ってDSP組成物を調製すること、前記DSP組成物と所定の捕捉ポリペプチド(例えば、それはインビボ標的又は担体として望ましい)とを接触させること、DSP組成物中のペプチドの結合を測定すること、結合しないペプチドから結合するペプチドを識別する特徴を特定すること、及び一つ又は複数の識別する特徴を反映した改良されたDSP組成物を調製することを含む。
【0030】
本発明の別の態様は、DSP組成物を含む組成物の製造プロセスを改良する方法である。いくつかの実施形態では、DSP組成物は、捕捉ポリペプチドと結合するペプチドのサブセットを同定する前述の方法に基づいて設計される。いくつかの実施形態では、DSP組成物は、アミノ酸組成物及び/又はアミノ酸配列が、捕捉ポリペプチドを結合するペプチドのサブセットのそれに近似するように設計される。いくつかの実施形態では、DSP組成物は、参照DSP組成物と比較して増大した有効性を有する、ここで、参照DSP組成物は、捕捉ポリペプチドと接触された元のDSP組成物と同じ、又は実質的に同じである。他の実施形態では、DSP組成物は、参照DSP組成物と比較して低い毒性を有する。
【0031】
代わりの実施形態では、方法は、プロトコールに従ってDSP組成物を調製すること、DSPを含む組成物を製剤化すること、機能的読み出しのレベル又は程度を検出することにより前記組成物中のDSPの生物学的に利用可能な量を決定すること、そのような読み出しを標準と比較すること、及び所望の生物学的利用性を得るために組成物のプロトコール又は製剤化を調節することを含む。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、DSP組成物(例えば、参照DSP組成物又は本明細書で開示される方法により生成された改良されたDSP組成物)又はDSP組成物の成分と目的の治療薬剤とを結合させることにより特定の組織に対して治療薬剤の標的化することであり、ここで、前記DSP組成物又はそれらの成分は、組織特異的な標的化特性を有する捕捉ポリペプチドと結合する。そのような結合した薬剤は、対応する捕捉ポリペプチドに結合する組織対して薬剤を標的化するために、患者に投与され得る。
【0033】
本発明のこの態様のいくつかの実施形態は、対象において特定の組織に治療薬剤を送達するための方法を提供し、そのような方法は以下:(a)DSP組成物と組織特異的ペプチドを接触させ、組織特異的ペプチドと結合するペプチドを混合物から分離することによりペプチドタグを単離すること;(b)ペプチドタグと治療薬剤とを結合させること;及び(c)対象に複合物を投与することを含む。本発明の他の実施形態は、上述の方法のステップ(a)及び(b)により、そのような標的化された治療薬剤を調製する方法、及びそれによって調製された標的化された治療を含む。
【0034】
本発明のさらなる態様は、任意の上述の方法に用いられる、有用な組成物である。本発明のこの態様の実施形態は、少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを含む、生体サンプル中のDSP組成物を検出するための組成物である。特定の実施形態では、捕捉ポリペプチドは、正常ヒト血清、正常非ヒト霊長類血清、正常ウサギ血清、正常マウス血清、正常ラット血清、正常フェレット血清、正常ブタ血清、正常イヌ血清、正常ウマ血清、正常ヒツジ血清、正常ウシ血清、の成分、哺乳動物由来HDLプロテオームの成分、哺乳動物由来LDLプロテオームの成分、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(BLAST search IDでは、IgM 重鎖)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBI Locus/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択される。
【0035】
特定の実施形態では、捕捉ポリペプチドは、血清結合タンパク質でもよい。より特定の実施形態では、捕捉ポリペプチドは、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから、又はこの段落の直前の段落に列挙された捕捉ポリペプチドから、又は本明細書で開示される血清ポリペプチドから選択される。
【0036】
さらに、いずれかの前述の実施形態では、DSP組成物中のペプチドと捕捉ポリペプチド、例えば、血清タンパク質との結合は、さらなる生理学的に関連する成分の存在下で行われ得る。特定の実施形態では、さらなる成分は、脂質、例えば、コレステロール、又はトリグリセリドである。特定の実施形態では、さらなる成分は、捕捉ポリペプチド以外の実質的に遊離の任意のタンパク質成分であるHDL又はLDL複合体である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、DSP組成物と支持体が結合した血清結合タンパク質との結合を検出するために用いられるアッセイの概略図である。血清タンパク質が同定された後、それらは固体支持体上に結合する。DSP組成物は、単独又は血清中に含まれて、支持体に添加される。DSP組成物(又はDSP組成物と血清タンパク質の複合体に対する)に対する一次抗体は添加され、一次抗体とその標的(単数又は複数)との結合は、二次抗体及び検出試薬により検出される。
【0038】
【図2】図2は、抗体がそれらの標的と結合した後、抗YFAK及び抗YEAK抗体と結合したHRPのA450比色吸収を示す。標的は、正常ヒト血清中に含まれる(又はそれに添加された)血清タンパク質に結合したYEAK又はYFAKペプチドを含む複合ペプチド混合物を含む。複合ペプチド混合物の高濃度では、抗YEAK又は抗YFAK抗体による複合体の検出は、低濃度の複合ペプチド混合物より高くなる。12.5ng/mLは、ヒト患者における約2mgの用量に相当する。
【0039】
【図3−1】図3−1は、PI−2301又はCopaxoneと結合する血清タンパク質のリストを示す。血清タンパク質の由来は、示されるように、正常マウス血清又は正常ヒト血清のいずれかである。PI−2301は、アセチル化又は非アセチル化され得る。PI−2301又はCopaxoneの結合複合体は、抗YFAK又は抗YEAK抗体により認識され、二次抗体及び検出試薬で検出される。血清タンパク質は、複合体から溶出され、同定される。タンパク質は、検出試薬のA450吸収に基づいてスコアが割り当てられる。p=0.001に相当する70のスコアは、バックグラウンド吸収と比較して、統計学的に有意であると考えられる。
【図3−2】図3−2は、PI−2301又はCopaxoneと結合する血清タンパク質のリストを示す。血清タンパク質の由来は、示されるように、正常マウス血清又は正常ヒト血清のいずれかである。PI−2301は、アセチル化又は非アセチル化され得る。PI−2301又はCopaxoneの結合複合体は、抗YFAK又は抗YEAK抗体により認識され、二次抗体及び検出試薬で検出される。血清タンパク質は、複合体から溶出され、同定される。タンパク質は、検出試薬のA450吸収に基づいてスコアが割り当てられる。p=0.001に相当する70のスコアは、バックグラウンド吸収と比較して、統計学的に有意であると考えられる。
【図3−3】図3−3は、PI−2301又はCopaxoneと結合する血清タンパク質のリストを示す。血清タンパク質の由来は、示されるように、正常マウス血清又は正常ヒト血清のいずれかである。PI−2301は、アセチル化又は非アセチル化され得る。PI−2301又はCopaxoneの結合複合体は、抗YFAK又は抗YEAK抗体により認識され、二次抗体及び検出試薬で検出される。血清タンパク質は、複合体から溶出され、同定される。タンパク質は、検出試薬のA450吸収に基づいてスコアが割り当てられる。p=0.001に相当する70のスコアは、バックグラウンド吸収と比較して、統計学的に有意であると考えられる。
【0040】
【図4】図4は、YEAKが正常ヒト血清に含まれる血清タンパク質と結合したYEAKペプチドからなるその標的と結合した後、HRP結合抗YEAK抗体のA450比色吸収を用いた、4mg/kgのYEAKでIV、又は21mg/kgでSC投与されたマウスの血清中のYEAKを示す。図は、GA(酢酸グラチラマー)フラグメントが投与後約15分で、1800ng/mLの最大血清濃度に達することを示す。SC投与されたCopaxone(登録商標)の見積もられた生物学的利用性は、IV投与されたCopaxone(登録商標)と比較して、12%である。GA画分は、投与の2時間後における血清中においてもまだ検出された。
【0041】
【図5】図5は、MDCとしてもまた知られるこのCCL22の場合において、マウスにおける、YEAK投与に対する応答における血清又は血漿中の可溶性画分の急性放出の例を示す。図に見られるように、マウスにSC投与されたYEAKの用量と観察された最大CCL22血漿濃度間に線形相関が存在する。
【0042】
【図6】図6は、CNBr−Sephカラム上に固定されたYEAKフラグメントから溶出された血清タンパク質からのLC−MSにより観察されたペプチドパターンを示す。ペプチド配列は、検索エンジンであるMascotを用いて同定される。手短に言えば、トリプシン酵素消化により生成したYEAKフラグメントは、Cyanogen Bromide Sepharose(CNBr−Seph)4bと結合され、ヒト又はマウス血清のいずれかで、室温で2時間インキュベートされる。YEAKフラグメントと結合した血清タンパク質は、0.1M グリシン−HCL、pH2.8の溶液を用いて溶出され、50%メタノール/50mM重炭酸アンモニウム中トリプシンで消化され、乾燥され、液体クロマトグラフィー(LC)を用いて分離され、脱溶媒和され、イオン化され、質量分析計(MS)にスプレーされ、視覚化され、Mascot検索エンジンを用いて同定される。
【0043】
【図7】図7は、図1に表される本発明の方法を用いたELISAアッセイを示し、ここで、YEAKは、男性及び女性正常ヒト血清及びプールされた男性及び女性正常ヒト血清に添加される。アッセイは、1〜100ng/mlの血清中でYEAKを検出する線形範囲を示す。このアッセイは、マウス由来の血清を用いて、再現されることができず、無関係の対照、例えば、抗キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)ポリ血清が用いられた場合もできなかった。
【0044】
【図8】図8は、同様のプロファイルを有することが示された分子量を有するCopaxone(登録商標)(YEAK)ロットP53218、及び119142のSE−HPLCプロファイルを示す。
【0045】
【図9】図9は、図1に表された本発明の方法に用いられる図8に示されるCopaxone(登録商標)の二つのロットを示す。
【0046】
【図10】図10は、YEAKに曝露された単球細胞株RAW264.7が濃度依存的方法においてCCL22を放出したバイオアッセイにおける図8及び9に用いられるCopaxone(登録商標)の二つのロットを示す。
【0047】
【図11】図11は、MALDI−TOFを用いて、様々な所定の長さのYEAKの共ポリマーの実際と理論的平均分子量との厳格な線形の関係性を示す。理論値は、アミノ酸の共ポリマーの長さ、すなわち、20、40、60及び80に、一つの水の分子を加えた一つの理論的なアミノ酸の平均分子量を掛けることにより計算された。一つの理論的なアミノ酸の重量は、アミノ酸結合の際に喪失する一つの水の分子を引いたY、E、A及びKのそれぞれの質量、及び1.0、1.5、4.5、3.6のアミノ酸比を用いることにより計算された。
【0048】
【図12】図12は、アミノ酸分析、及び図8、9、及び10に見られるCopaxone(登録商標)の二つのロットで行われた同様の分析により決定される固相合成により製造される様々な長さのYEAK共ポリマーの100のアミノ酸に標準化されるようなアウトプット比を示す。
【0049】
標準曲線は、20、40、60及び80個のアミノ酸のYEAK共ポリマーを用いて生成された。比較のために、Copaxoneを用いた標準曲線はまた、生成された。図12は、YEAK共ポリマーのサイズと、競合的ELISAに基づくPKアッセイによる検出との関係性を示す。20merのYEAK共ポリマーは、わずかな阻害効果を有したが、しかし80merのYEAK共ポリマーを用いて生成された標準曲線は、Copaxoneで得られた曲線に重ね合わされる。
【0050】
【図13】図13は、ウサギポリ血清のIg画分がCopaxone(登録商標)と強く相互作用するELISAアッセイを示し、固相合成されたYEAK共ポリマーの長さの増加するにつれて増加する認識を示す。
【0051】
【図14】図14は、固相合成されたYEAK共ポリマーを用いた前述のPK法(その全体において参照により本明細書に援用されるPCT出願WO2009/075854に記述されるように)を用いたELISAアッセイを示し、YEAK共ポリマーのサイズと前述のアッセイシステムの方法による検出との関係性を示す。
【0052】
【図15】図15は、図12、13、及び14に見られる様々なサイズの固相合成された共ポリマーで培養された単球細胞株RAW264.7は、共ポリマーの長さが増加するにつれて、CCL22の増加した量を産生することを示す。
【0053】
【図16】図16は、2.5mg/kgのCopaxone(登録商標)を用いて3週間免疫付与されたマウス由来の脾臓細胞のエクスビボ増殖を誘導するための、図8、9、10、及び12に用いられたCopaxone(登録商標)の二つのロット、及び図12、13、14、及び15に用いられた様々な長さの固相合成されたYEAK共ポリマーの能力を示す。最後のSC投与の一週間後、脾臓は回収され、細胞懸濁液は作られ、細胞は様々な濃度の様々な共ポリマーと4日間培養された。脾臓細胞増殖は、当該技術分野においてよく知られた方法を用いた重水素化したチミジン取り込みを測定することにより測定された。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の詳細な説明
指向性配列ポリマー(DSP)組成物
DSPは、ベース既知ペプチド配列由来の配列を有するペプチドであり、それは、出発点として免疫反応と関連する天然のエピトープであり得るが、これに限定されない。DSPは、ベースペプチド配列のものと異なる一つ又は複数のアミノ酸残基を有し、その置換は画定されたルールにより決定される。DSP組成物のセミランダムな多様性のために、多数のペプチド配列は、組成物に存在する。ペプチド配列の多様性は、特に、エピトープ転移及び分離が生じるので、低い多様性の組成物よりも増加した有効性に寄与しうる。いくつかの実施形態では、複数のDSPを含むDSP組成物は、望ましくない免疫応答の調節、又はベースペプチドが弱い又は検出不可能な免疫原性である場合に免疫反応を引き起こすことに有用である。
【0055】
DSPは、ベースペプチド配列に配列の任意の所定の部位でのそのようなアミノ酸残基の導入の画定された発生率で画定されたアミノ酸バリエーションを含むように設計される。例えばCop−1のようなRSPとは異なり、得られたペプチドは、それらは様々な程度に置換され得るにも関わらず、特定の長さの画定された所定のペプチド配列のアミノ酸残基の天然の配列とそれらとの相同性を維持する。それぞれのアミノ酸部位は、画定された一連のルール、化学的に関連するアミノ酸から選択されるアミノ酸をそのように置換すること、立体的な類似性を有するアミノ酸、ベースペプチドの異種のアナログタンパク質に見つけられる系統学的なバリエーション、ベースペプチドの機能障害をもたらさない既知の対立遺伝子変異型、又はペプチドの二次構造を破壊するために導入される小さいアミノ酸残基に基づいて変化に供される。特定の実施形態では、アミノ酸は、Kosiol et al.,J.Theoretical Biol,2004,228:97−106に見られる方法に従って置換される。あるいは、アミノ酸は、PCT/US2004/032598(ページ10〜11)に記載される典型的な置換に従って、変えられ得る。
【0056】
DSPは、固相ペプチド合成、及び合成のそれぞれのサイクルのために、合成されたポリペプチドに組み込まれるために提供される、単一のアミノ酸よりもむしろ上述の理由のために選択される画定された割合で適切に保護されたアミノ酸の混合物により調製され得る。どの選択されたアミノ酸が導入されるかは、混合物比に従って変化する。従って、DSP組成物は、RSP組成物のように、単一のペプチドとして合成されないが、しかし、通常、共通のテンプレート配列に基づいて複数の関連するDSPを含む組成物の一部として合成され、その全体の混合物は再現可能であり、適用される合成のルールに一致する。結果は、関連する治療的に有用なタンパク質の混合物であり、それは、「指向性配列ポリマー」又は「DSP」を含む組成物として本明細書で記述される。固相合成手順について、ペプチド中の所定部位におけるアミノ酸の混合物は、互いの割合により画定される。合成を開始する前に、様々な部位に利用可能な混合物中のアミノ酸のそのような割合は、ペプチドのそれぞれの部位について決定される。得られる指向性順序ペプチド混合物は、関連するペプチド配列の多様性を含む。本発明に用いられ得るいくつかのDSPは、国際出願WO2007/120834、WO2009/051797、WO2009/128948、及び米国出願公開US2009/0036653に記載されるものを含む。これらの参考文献は、DSPを合成する方法、DSPを含む組成物、DSPの治療製剤、DSP組成物を対象に投与する方法、DSPで治療され得る疾患、及びDSPを含む対象に共投与され得るさらなる治療的に有効な薬剤を記述する。これらの全ての特許、出願、及び公表物の技術は、DSPの構造、調製、及び機能を議論する部分に対する特別な注意とともに、それらの全体において、参照により本明細書に援用される。
【0057】
DSPは、未知の機能を有する、既知の又は予測された研究的興味を有する、既知の又は予測された診断的興味を有する、又は既知の又は予測された疾患関連性を有するタンパク質のいずれかを選択すること、及びタンパク質の中の部分、ここでその部分は弱い免疫原性から強い免疫原性を有する未知の免疫原性の範囲のエピトープでもよい、又はそれは疾患の病理に関連することが知られている、を選択することにより設計及び調製される。DSP組成物を調製するためのベースペプチド配列は、様々な由来から選択され得る。特定の例では、疾患状態又は有害反応に対していくつかの重要性を有するペプチド配列は、関連するエピトープの実験的調査を通して同定され得る。これらの配列は、疾患又は症状を治療するのに有用であることが証明される天然に生じないペプチド配列を含み得、一つの例は、国際特許出願公開WO2006/031727、米国特許第6,930,168号、及びStern et al.による関連する科学出版物であるProc.Nat.Acad.Sci.USA,2005,102:1620−25に見られる。
【0058】
さらに、エピトープであり得るベースペプチド配列は、合成コンビナトリアルペプチドライブラリーの位置的スキャニング(例えば、D.Wilson et al.,上記;R.Houghten et al.,上記;Hernandez et al.,Eur.J.Immunol,2004,34:2331−41を参照のこと)により、又は目的の全体のタンパク質の重複するペプチド配列を作ること、及び、例えば、そのような目的に有用な任意の読み出しアッセイ、例えば、HIアッセイ、ウイルスチャレンジモデル、又は疾患及びエピトープが探し求められる種類に適切なインビトロ又はインビボアッセイシステムにおいて、John E Coligan,Ada M Kruisbeek,David H Margulies,Ethan M Shevach,Warren Strober NIH,John Wiley & Sonsにより編集されたCurrent Protocols in Immunologyに記述されるものを用いた免疫反応性についてそれらのペプチドを試験することにより、候補配列を同定することにより実験的に決定される。候補分子は、例えば、糖及び修飾された糖付加、例えばグリコシル化、及びグリコーゲン化(glycogenation)、それはS又はNのいずれかが結合され得る、脂肪酸修飾、例えば、ミリストイル化、又はジスルフィド結合の形成により合成中又は合成後に修飾され得るペプチドを含み得る。
【0059】
候補エピトープを同定した後、さらに関連するエピトープの可能性のあるセットは、変異、可能性のある抗体のアクセス可能なエピトープ、又は例えば、WO2005/103679、WO2002/073193、及びWO99/45954に記述される利用可能な予測方法を用いたそれらの可能性のあるエピトープの予測される結合を整列させる、及び分析することにより、容易に利用可能な参考文献、例えば、WO2000/042559に記述されるモデリング及び予測アルゴリズムを介したサブ株変異体、クラスター変異体、ドリフト変異体、病原体のシフト変異体を用いて生成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、DSPを設計するためのベースペプチド配列は、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、重症筋無力症、関節リウマチ、及び尋常性天疱瘡から選択される自己免疫疾患に関連するエピトープである。
【0061】
他の実施形態では、ベースペプチド配列は、白血病、乳、皮膚、骨、前立腺、肝臓、肺、脳、咽頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、黒色腫、転移性皮膚癌、骨肉腫(osteosarcoma)、ユーイング肉腫、ベチクラム(veticulum)細胞癌、骨髄腫、巨細胞腫瘍、小細胞肺腫瘍、島細胞腫、リンパ球、顆粒細胞、毛様細胞、アデノーマ、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、卵巣腫瘍、子宮頸部形成異常、上皮内癌、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、カポジ肉腫、及び骨肉腫(osteogenic sarcoma)から選択される癌の病理に関連するエピトープである。
【0062】
他の実施形態では、ベースペプチド配列は、AIDS、AIDS関連症候群、水痘(Chickenpox)(水痘(Varicella))、風邪、サイトメガロウイルス感染、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、手足口病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(Influenza)(インフルエンザ(Flu))、ラッサ熱、麻疹、マールブルグ出血熱、感染性単核球症、おたふく風邪、ポリオウイルス感染症、進行性多巣性白質脳症、狂犬病、風疹、SARS、天然痘(Smallpox)(天然痘(Variola))、ウイルス性脳炎、ウイルス性胃腸炎、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性肺炎、ウエストナイル病、及び黄熱から選択されるウイルス感染症の病理に関連するエピトープである。
【0063】
他の実施形態では、ベースペプチド配列は、炭疽菌、細菌性髄膜炎、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、カンピロバクター感染症、猫引っかき病、コレラ、ジフテリア、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、ハンセン病(Leprosy)(ハンセン病(Hansen’s Disease))、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染、ノカルジア症、百日咳(Pertussis)(百日咳(Whooping Cough))、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山発疹熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、ツラレミア、腸チフス、発疹チフス(流行性発疹チフスを含む)、及び尿路感染から選択される細菌感染症の病理に関連するエピトープである。
【0064】
他の実施形態では、そのようなベースペプチド配列は、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャーガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、神経嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、自由生活性アメーバ症、ランブル鞭毛虫症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、カラアザール、リーシュマニア症、マラリア、メタゴニムス症、ハエ蛆症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、蟯虫感染、変形体、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症(Trichinellosis)、旋毛虫病(Trichinosis)、鞭虫症、トリコモナス症、及びトリパノソーマ症(アフリカトリパノソーマ症を含む)から選択される寄生性感染症の病理に関連するエピトープである。
【0065】
いくつかの実施形態では、ベースペプチド配列は、以下:アルツハイマー病(AD)、アミロイド症を伴うオランダ型遺伝性脳出血(別称、脳血管アミロイドーシス)、コンゴレッド親和性血管障害;ピック病、進行性核上麻痺;家族性イギリス型認知症;パーキンソン病(PD)、レビー小体関連疾患、多系統萎縮症、ハレルフォルデン・スパッツ病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病(HD);脊髄小脳失調;神経核内封入体病;遺伝的歯状核赤核淡蒼球ルイス体萎縮症;プリオン関連疾患、例えば、スクレピー、牛海綿状脳症、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病;ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、クールー、致死性家族性不眠症、及び関連する疾患;遺伝的シスタチンCアミロイド血管症;ボクサー認知症;及び疾患の進行として脳萎縮症及び細胞内及び/又は細胞外線維状凝集体の検出により特徴付けられる他の疾患から選択される中枢及び/又は末梢神経系に影響を及ぼすタンパク質コンフォメーション病の病理に関連するエピトープである。
【0066】
特定の実施形態では、タンパク質コンフォメーション病は、パーキンソン病である。別の実施形態では、タンパク質コンフォメーション病は、アルツハイマー病である。別の実施形態では、コンフォメーション病は、プリオン関連疾患である。別の実施形態では、コンフォメーション病は、筋萎縮性側索硬化症である。特定の実施形態では、コンフォメーション病は、ハンチントン病である。
【0067】
他の実施形態では、DSP組成物を製造するためのプロセスに用いられるベースペプチド配列は、以下:球脊髄性筋萎縮症;遺伝性全身性及び脳性アミロイド症;フィンランド型家族性アミロイド症;老人性アミロイド症(別称、老人性心臓アミロイド症)、家族性アミロイド・ポリニューロパシー;特定の膵島アミロイド症における2型糖尿病;透析関連アミロイド症(DRA);炎症関連反応性全身性アミロイド症(別称、AAアミロイド症);大動脈内アミロイド症(aortic medial amyloidosis);甲状腺の髄様癌;遺伝性腎臓アミロイド症;軽鎖関連アミロイド症、軽鎖沈着症、軽鎖円柱腎症、軽鎖心筋症;心房アミロイド症;注入限局性(injection−localized)アミロイド症;嚢胞性線維症(CF);鎌状赤血球貧血、及び影響を受けた臓器又は組織において原線維形成が観察される他の疾患から選択される複数の臓器、又は中枢神経系以外の臓器に影響を及ぼすタンパク質コンフォメーション病の病理に関連するエピトープである。
【0068】
天然にアンフォールドであるタンパク質及びペプチド、並びに原線維形成を経る天然にアンフォールドであると疑わしいものの例は、従ってタンパク質コンフォメーション疾患と関連し、以下:プリオンタンパク質及びそのフラグメント、アミロイドベータタンパク質及びそのフラグメント、アブリ(abri)タンパク質、タウタンパク質、アルファシヌクレイン及びその中心フラグメント、膵島アミロイドポリペプチド(別称、アミリン)、ハンチントンのエクソンI、プロチモシンアルファ、アンドロゲン受容体タンパク質のアミノ末端ドメイン、アタキシン−1、DRPLAタンパク質(別称、アトロフィン−1)、及びカルシトニンを含むDSP組成物の調製のためのベースペプチドの供給源配列として用いられ得る。
【0069】
原線維形成を経る球状タンパク質の例は、従ってタンパク質コンフォメーション疾患と関連し、以下:シスタチンc、トランスチレチン、ベータ2ミクログロブリン、血清アミロイドAタンパク質及びそのフラグメント、ハンチントン、免疫グロブリン軽鎖可変領域、インスリン、リゾチーム(特にヒトリゾチーム)、アルファラクトアルブミン、及びモネリン、アンドロゲン受容体タンパク質のリガンド及びDNA結合領域、ラクトアドヘリン及びより特異的なそのフラグメント(アミノ酸残基244−294、別称メディン(Medin))、ゲルゾリン、アポリポタンパク質A1、フィブリノーゲン及びそのフラグメント、並びに心房ナトリウム利尿因子を含むDSP組成物の調製のためのベースペプチドの供給源配列として用いられ得る。
【0070】
特定の実施形態として、アルツハイマー病において、病理は、酵素プレセニリン1(PS1)により切断されるΑβ前駆体(APP)の部分である4kDaのアミロイドベータ(Αβ)ペプチドの存在と強く関連がある。大部分のΑβは、40個のアミノ酸長、および指定されたΑβ40、Αβ40、Αβ1−40、又は変化したアミノ末端を有するΑβx−40である。さらに、研究は、Αβ1−40の小繊維形態が小膠細胞を刺激することが示されており、その細胞種は、現在アルツハイマー病の病理において重要な役割を果たすと考えられている(Jekabsone,A.et al.,J.Neuroinflammation 3:24(2006))。Αβ1−40のペプチド配列は、表Iの配列番号7として示される。他方で、Αβ1−42(それはプラーク形成するΑβのマイナーな部分である)は、小繊維Αβの形成の開始に寄与すると考えられている。ペプチドのこの「長い形態」は、表Iの配列番号8として記述される。従って、ベースペプチド配列は、配列番号8により例証されるΑβペプチドでもよい。ベースペプチド配列はまた、短いペプチドのそれ、すなわち、Αβx−40、Αβ1−11(それは、いくつかのケースで臨床的有意性を有することが報告されている)、Αβ14−23、又はΑβ16−20でもよい(Tjernberg,L.O.et al.,Biochem.J.366:343−351(2002))。
【0071】
【表1】

【0072】
参考文献:
Naslund,J.et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,91:8378−8382(1994) 54
【0073】
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【0074】
Benner,E.J.et al.,PLoS ONE 3(1):el376(2008) 56
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【0077】
Kozhukh,GV et al.,JBC,Vol.277,No.2,Issue of January 11,pp.1310−1315,2002. 59
【0078】
DSPはまた、パーキンソン病(PD)を治療するために用いられ得る。PDは、50歳以上の個人の1〜2%に影響を与える治療が現在存在しない神経変性疾患である。神経病理学的特徴は、レビー小体(LB)と称される好酸球性の(eosinophillic)細胞質内(intracytoplamic)のタンパク質性封入体の存在を含む黒質緻密部(SNpc)におけるドーパミン作動性ニューロンを含む神経メラニンの進行性消失により特徴付けられる。α−シヌクレインは、レビー小体中に最も豊富なタンパク質であり、PDにおける毒性の重要なメディエーター、おそらく原因因子でさえあるように見える。従って、有毒なα−シヌクレインの減少は、PD患者に有益であると考えられる。完全長タンパク質のC末端領域由来の一つのそのようなマウスα−シヌクレインペプチドの配列は、表Iに配列番号9として示される(Benner,E.J.et al.,PLoS ONE 3(1):el376(2008))。さらに、硝酸化されたα−シヌクレイン及びそれらのフラグメントの除外又は隔離(sequestration)は、PDに罹患している患者への有益な影響を有することが見られる。治療的に有効的な抗体は、硝酸化されたα−シヌクレインに対するものであるが、天然に対するものではないことが言われている。従って、ベースペプチド配列は、例えば、配列番号9でもよい。他の実施形態では、ベースペプチド配列は、ヒトα−シヌクレインのアミノ酸121〜137を含むフラグメント(DNEAYEMPSEEGYQDYE)(配列番号10)でもよい。さらに他の実施形態では、α−シヌクレインフラグメント(121〜137)配列は、部位121及び122で様々な種で置換され、それぞれのY(チロシン)部位で三硝酸化され、及び/又はS115でリン酸化される。
【0079】
DSPはまた、プリオン病に関連するベースペプチド配列由来でもよい。配列番号13(AAH22532)は、ヒトプリオンタンパク質配列である。関連するペプチドは、配列番号13の部分配列から選択される。様々な種のプリオン配列は、Harmeyer,S.et al.,J Gen Virol.79(Pt 4):937−45(1998)により開示され、その全体は参照により本明細書に援用される。種によるアミノ酸のバリエーションは、置換するアミノ酸を設計するために用いられ得る。
【0080】
ベースペプチド配列は、スーパーオキシドジスムターゼI(SOD1)由来でもよい。SOD1変異は、家族性ALSのいくつかの形態の病理と因果関係を有することが知られている。SOD1の変異体である、ヒトG93A SOD1組み替えタンパク質に対して高くなった抗血清が、内因性のマウスSOD1よりも4倍多くヒトSOD1タンパク質を過剰発現するG37R変異体SOD1(株29)を有するALSのマウスモデルに対して保護効果を有したことは報告されている(Urushitani,M.et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,104(7):2495−2500(2007))。SOD1タンパク質配列の例は、配列番号14(CAG46542)である。従って、ベースペプチド配列は、配列番号14の部分配列でもよい。
【0081】
ミスフォールドタンパク質はまた、ハンチントン(htt)タンパク質(配列番号15、ヒトハンチントン)におけるポリグルタミン(polyQ)鎖(tract)の病理学的伸長により引き起こされる遺伝性疾患であり、罹患している個人の神経変性及び早期の死亡をもたらす、ハンチントン病において役割を果たす。httのN末端の17アミノ酸により形成されるエピトープと結合する短鎖抗体(Lecerf,J.−M.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.98(8):4764−4769(2001)配列番号l1)は、ハンチントン病のショウジョウバエモデルにおいて症状を減少させることが示されている(Wolfgang,W.J.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.102(32):11563−11568(2005))。従って、ベースペプチド配列は配列番号11でもよい。
【0082】
DSP組成物はまた、透析関連アミロイド症(DRA)を治療するために用いられ得る。DRAは、血液透析(blood filtration)の様々な形態、例えば、血液透析(haemodialysis)、血液透析(hemo filtration)、又は持続的携帯型腹膜透析(CAPD)により引き起こされ得る。DRAは、ベータ−2−ミクログロブリン(B2M、配列番号13)アミロイド症が広く行き渡り、予想通りに時間とともに増加するのに伴って、15年以上透析を受けた患者の95%以上の罹患率を有する。B2Mの構造的アイソマーは、臨床症状において観察される(Uji et al.,Nephron Clin Pract 2009;111:cl73−cl81)。B2Mは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI分子の一部であり、アミロイド原線維の目立つベータ−プリーツの構造特徴を有する。B2Mは、細胞外空間において分散した未結合モノマーとして循環することが知られている。B2Mは、原線維形成を経て、様々な組織においてアミロイド沈着を形成する。この沈着は、腎不全を引き起こし、それは症状を悪化させるB2Mの合成及び放出の増加を引き起こす。従って、本発明の一つの実施形態では、DSP組成物の調製に有用であるタンパク質ベース配列は、ベータ2ミクログロブリン(配列番号16)及びそれらのフラグメントである。B2Mの典型的なフラグメントは、DRAのためのベースペプチドとして有用である、アミノ酸残基21〜41、表Iの配列番号12に及ぶものである。
【0083】
他の実施形態では、ベースペプチド配列は、以下:オステオポンチン、HLAタンパク質、ミエリンオリゴデンドリト(oligodendrite)糖タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質、及びミエリン関連糖タンパク質、S100ベータ、ヒートショックタンパク質アルファ、ベータクリスタリン、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、2’,3’サイクリックヌクレオチド3’−ホスホジエステラーゼ、hsp60、hsp70、Ro60、La、SmD、及び70kDa U1RNP、グルタミンデカルボキシラーゼ(GAD65)、インスリノーマ抗原2(IA−2)、インスリン、アセチルコリン受容体(AChR)α−サブユニット、及び筋特異的受容体チロシンキナーゼ(MuSK)、II型コラーゲン、デスモグレイン1(Dsg1)、デスモグレイン3(Dsg3)、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、炎症関連タンパク質、アレルギー関連タンパク質、インターロイキン及びそれらの受容体、ケモカイン及びそれらの受容体、シャペロン及びそれらの受容体から選択されるタンパク質の部分配列である。他の実施形態では、ベースペプチド配列は、CD20、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、CD52、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR+)、CD33、HER2;非癌関連タンパク質、例えば、TNFアルファ、CD25、又は免疫グロブリンE、免疫抑制について、CD11a、アルファ4−ベータインテグリン;感染性疾患関連ベータケモカイン受容体CCR5、RSVgpPに由来する。
【0084】
あるいは、ベースペプチド配列は、不連続なエピトープ、つまり、エピトープを作るアミノ酸を選択すること、DSP組成物を作るために指向性の置換を行うためにアミノ酸を線形ペプチドと結合させることから作られ得る。
【0085】
本発明のさらに他の実施形態は、目的のそれぞれのタンパク質由来の少なくとも一つのエピトープでそれから二つ又はそれ以上のエピトープが選択された、二つ又はそれ以上の目的のタンパク質を選択すること、及びDSP組成物を作るために指向性の置換を行うためにエピトープを線形配列に結合させることを含む。
【0086】
なおさらなる実施形態では、DSPを調製するためのベース配列は、以下:一次、二次、三次、又は四次の構造的特徴、例えば、ベータプリーツシート、又はアルファヘリックス、を有するドメインを含むとしてのみ知られているタンパク質、特定の活性、例えば、セロトニン結合を有するドメインを含むとしてのみ知られているタンパク質、既知の起源を有するとしてのみ知られているタンパク質、特異的細胞内区画、例えば、核又は細胞質に属するとしてのみ知られているタンパク質、細胞内機能、例えば目的の特異的なタンパク質を製造する細胞内プロセスを有するとしてのみ知られているタンパク質、抗酸化活性又は代謝活性、又は生合成活性、又は異化作用活性、又はキナーゼ活性、又はトランスフェラーゼ活性、又はリアーゼ活性、又はリガーゼ活性、又は信号伝達活性又は結合活性、又は運動性活性、又は膜融合活性、又は細胞コミュニケーション活性、又は生物学的プロセス調節活性、刺激活性に対する応答、細胞死関連活性、T細胞活性化関連活性、B細胞活性化関連活性、APC活性化細胞関連活性、炎症性免疫反応関連活性、アレルギー反応関連活性、感染性疾患反応関連活性、輸送活性、チャネル活性、分泌活性、病原性活性、及び細胞骨格組織活性を有するとしてのみ知られているタンパク質を含むタンパク質の群から得られる。
【0087】
DSP組成物は、アミノ酸組成及びそれらの比に直接的に由来する、それらの優先的な結合標的、及びそれらの生理学的機能に従って分類され得る。任意の利用可能な方法は、DSP組成物が候補の又は既知の標的タンパク質と結合するかどうかを解明するために用いられ得る。例えば、ポリペプチドは、レポーター分子(例えば、放射性核種又はビオチン)で標識され、標的タンパク質の粗製の又は純粋な調製物と混合され、未結合のポリペプチドの除去後、レポーター分子が標的タンパク質に付着した場合、結合は検出される。
【0088】
特定の実施形態では、本発明に有用なDSP組成物は、1μΜ以下の平均Kdで、より好ましくは100nM、10nM、又は1nM未満の平均Kdで、一又は複数のDQアイソタイプと結合する。好ましいDSPを同定するための別の方法は、Sidney et al.,2002,J.Immunol.169:5098、それはIC50値として表現される、に記述されているものと同種のアッセイを用いた競合的結合アッセイにおいて、別のものに置き換えるためのDSP組成物の測定に基づく。いくつかの実施形態では、本発明のDSPは、1μM未満、より好ましくは、500nM未満、さらには100nM未満のIC50を有する。
【0089】
本明細書における方法では、DSPは、ペプチドプール、ペプチドライブラリー、又は変更されたペプチドリガンド(APL)のプールで置換され得る。DSP組成物のように、APL組成物は、関連するポリペプチドの混合物を含む。APLは、それのそれぞれが目的の出発配列、例えば、天然免疫原性のペプチドリガンドのそれからの少数のアミノ酸変化を有する一連のペプチド、として画定される。そのような変更されたアミノ酸配列を有する変異体ペプチドは、不均一なペプチド混合物の利点を有する組成物を調製するためにプールされ得る。Fairchild et al.,Curr.Topics Peotide & Protein Res.2004,6:237−44。それぞれのAPLは、画定された配列を有するが、しかし組成物は、一の配列以上を有するAPLの混合物でもよい。いくつかの実施形態では、本発明に用いられ得るペプチド又はAPLのプール、又はペプチドライブラリーは、米国特許第7,118,874号に記述されるものを含む。
【0090】
薬物動態的方法
いくつかの実施形態では、DSP組成物の吸収及び分布は測定され得る。DSP組成物が変化をもたらすその速度、及びその効果の存続、並びにDSP組成物の組成に対する化学的変化はまた、測定され得る。
【0091】
様々なDSP組成物は、他の混合物よりも、血清及び他の生体液において、様々な長さの時間、存続する。いくつかの例では、投与されたペプチドは、インサイチュでいくつかのインビボ成分と結合され、結合することにより捕捉され、その結果は、生物学的利用性の増大を含む又は含まない、その環境において長い半減期である。特定の実施形態では、環境は、血漿又はリンパ液である。代わりの実施形態では、環境は、脊髄又は脳脊髄液である。さらに他の実施形態では、環境は、DSP組成物からペプチドが送達される任意の組織又は臓器の場所である。
【0092】
DSP組成物からのアミノ酸ポリマーに結合する生理学的ポリペプチド及びタンパク質の同定
本発明の一つの態様は、DSP組成物に結合する捕捉ポリペプチドの同定である。用語「捕捉ポリペプチド」とは、任意のポリペプチド、タンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク脂質、又は正常な組織及び臓器に見られるタンパク質性物質を含む他の分子を意味するために本明細書で用いられる。それは、単一のポリペプチド、又は複数のポリペプチド及び/又はサブユニットを含むタンパク質、又は他の物質、例えば、脂質と結合した(共有結合的に又は非共有結合的に)タンパク質を含む複合体であってもよく、それは、DSP組成物に結合するための捕捉ポリペプチドのための望ましい又は必須の画定された構造をさらに有し得る。しばしば、捕捉ポリペプチドは、一過性でなく、すなわち、誘導された又は増大された一時的な存在があるかにかかわらず、全ての時間において見つけられるベースで安定的な量が存在する。好ましくは、捕捉ポリペプチドはタンパク質である。より好ましくは、捕捉ポリペプチドは生体液中で発見されるタンパク質、例えば血清タンパク質である。
【0093】
本発明のこの態様のいくつかの実施形態は、DSP組成物を構成するペプチドと結合する捕捉ポリペプチドを同定する方法であって、本方法は、以下:DSP組成物の量を含むサンプルと正常組織サンプルとを接触させること;及びDSP組成物のペプチドと正常組織サンプルの任意の成分との結合を検出することを含む。特定の実施形態では、DSP組成物のペプチドは、レジン(ペプチドと活性化されたレジンとを反応させることにより共有結合を通して)、又は固体支持体、例えばポリスチレン上のいずれかに固定化される。例えば、組織サンプルは、固定化されたペプチドと接触され、インキュベートされ、非特異的な結合を取り除くために洗浄され得、組織サンプル中のペプチドと結合した物質は同定される。結合した物質は、任意の好適な方法により、例えば、物質を特異的抗体のパネルに供すること;そのような物質がポリペプチド又はヌクレオチドであることが疑わしい場合、物質のマイクロ配列解析を行うこと;そのような物質が多糖であることが疑わしい場合、そのような物質を特異的な色素に供して、トリプシン消化に続く質量分析計と直列に結合された液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS);又は十分に高い感度を有する任意の分析方法により、同定され得る。
【0094】
上述の同定の非限定的な例として、DSP組成物は、実施例1においてと同様のプロトコールを用いてDSP組成物に結合する血清タンパク質を同定するために、直接ELISAアッセイに用いられ得る。下記の表IIは、正常ヒト血清中でRSPであるYEAK及び/又はYFAKペプチドと結合することが実験的に示された血清タンパク質を一覧にする。YEAK及びYFAKペプチドは、異なる結合特異性を有し;反対に、血清タンパク質は様々な特異性でYEAK及びYFAKペプチドに結合するということができることが観察される。表III及びIVは、それぞれHDL及びLDLと結合する血清タンパク質を一覧にする。任意の血清タンパク質は、親和性及び選択性を変えることにより本明細書で記述されたDSPと結合し得る。
【0095】
一旦DSPと結合する捕捉ポリペプチドが同定されると、同様のペプチドに対する、又は完全にランダムなペプチドに対する結合の特異性は、測定され得る。同定され、特徴付けられた捕捉ポリペプチド(実際に同定された同じ分子、又は様々な起源から得られた同様の分子のいずれか)は従って、順番に、結合するここが分かっているDSP組成物を定量的に分析するために用いられ得る。
【0096】
血清タンパク質
いくつかの実施形態では、DSP組成物と血清タンパク質との結合は、それらの生物学的活性の重要な態様を構成する。DSP組成物と血清タンパク質との結合は、それらの組織分布、及び抗原提示細胞、例えば、単球及びマクロファージによる捕捉を容易にし得る。上述のように、ペプチドと血清タンパク質との結合は、分解及び/又は代謝回転からそれらを保護し得る。RSPを含む類似した実験では、PI−2301(プロバマー(plovamer)、YFAKランダム配列ポリマー)及びCop−1(酢酸グラチラマー、YEAK RSP)は、皮下投与の数時間後、ヒトを含む様々な種の血清において検出され得るのに対し、対照RSPは短時間で血清から消失した(米国特許出願公開第2009−027496号)。共ポリマー1(Cop−1)はまた、酢酸グラチラマーとして称される。Cop−1は、いくつかの国において、商標名COPAXON(登録商標)(Teva Pharmaceuticals Ltd.,Petah Tikva,Israelの商標)の下で、多発性硬化症(MS)の治療のために承認されている。分子量範囲及びCop−1の好ましい形態を製造するためのプロセスは、米国特許第5,800,808号に記述される。
【0097】
従って、血清タンパク質は、DSP組成物からの一つ又は複数のペプチドを捕捉する及び/又は同定するために用いられ得る。全体として、DSP組成物は、多数の、10億さえの別々のペプチドを含み、それの一つ又は複数のサブフラクションは、他のサブフラクションがそうでないのに対し、血清タンパク質結合特性について関与し得る。これは、DSP組成物の異なるロットが、血清タンパク質に結合することができるペプチドの百分率においてバリエーションを含み得る、液相ペプチド合成により作られた混合物に特に当てはまる。例えば、異なるロットのDSP組成物に亘って、血清タンパク質結合画分が定量的に及び定性的に同等であることを実証するために、異なるロット間の生物学的同等性を実証するために、血清中のDSP組成物を観察することは重要であり得る。
【0098】
血清タンパク質は、DSP組成物から結合パートナーを選択する及び/又は特徴付けるためにインビトロで用いられ得る。血清タンパク質はまた、血清タンパク質と結合するペプチドを選択する、測定する、及び/又はさもなければ特徴付けるためにインビトロで用いられ得、従って、血清タンパク質とのそれらの結合及び/又はインビボでのそれらの残存に基づいて、特異的なペプチド又はペプチドのサブセットを識別する方法を提供する。血清タンパク質と結合するペプチドの特定の特徴は、特定のアミノ酸配列、混合物中のアミノ酸の割合、構造、独特のモチーフ、荷電残基の配置を含み得る。
【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
血清タンパク質とDSP組成物との結合
理論により縛られることを望まないで、機構的に、DSP組成物中のペプチドと血清タンパク質、例えば、HDL及びLDLと結合して発見されるリポタンパク質との結合は、受容体、例えば、SR−BI又はABCA1を通して単球によるそれらの捕捉を容易にし得る。この結合は、単球の活性化、及び抗炎症性細胞へのそれらの分化を誘導し得る。
【0104】
血清タンパク質は、コレステロール複合体、例えば、HDL又はLDL複合体の一部として、及び/又は生理的条件下で血清タンパク質との結合で発見される他のタンパク質及びポリペプチド(それのいずれかはまた、捕捉ポリペプチドとして個別に機能し得る)との複合体で、DSP組成物と結合し得る。従って、本発明の方法は、DSP組成物と血清タンパク質とが結合する場合、血清中で発見されるさらなる成分を有することを予期する。
【0105】
生物学的利用性の生体サンプル測定におけるDSP組成物の検出
本発明の一つの態様は、生体サンプル中のDSP組成物の存在を検出するための方法であって、以下:生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを接触させること;及び捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の存在又は不存在を検出すること、ここで、結合の存在は生体サンプル中のDSP組成物のペプチド成分の存在を示す、を含む。さらに、そのような方法は、サンプル中のDSP組成物の量又は濃度を測定するために拡張され得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、DSP組成物の存在は、生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させること;及び捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の存在又は不存在を検出することにより、生体サンプルにおいて検出され得る。このアッセイでは、結合の存在は、生体サンプル中のDSPの存在を示す。さらに、本発明は、生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させること;及び捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合のレベルを定量することにより生体サンプル中のDSP組成物の量を測定する方法を提供する。
【0107】
本発明の他の実施形態は、対象においてDSP組成物の生物学的利用性を測定する方法であって、DSP組成物を含む組成物の用量を対象に投与すること;対象から生体サンプルを取り除くこと;及び生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させることを含む方法を提供する。DSP組成物のペプチドがインビボにおいて捕捉ポリペプチドと広く結合することは予期される。それにもかかわらず、さらなる特徴化のために、DSP組成物のペプチド及び捕捉ペプチドを含む複合体に対する特異的な抗体は、それらそれぞれが単独ではなく、生物学的に利用可能なDSP組成物の検出のために用いられ得る。
【0108】
投与の用量及び方法の改良
本発明の別の態様は、上述の方法又は本明細書に記述される他の方法により決定されるような投与量の生物学的利用可能な部分に基づいて決定される量において、哺乳動物対象にDSP組成物を投与する方法を提供する。特定の実施形態では、方法はさらに、対照サンプルを含むこと、対照サンプルと試験サンプルの二つの結果を比較することにより生理学的マーカー、例えば、ホルモン、酵素、血清タンパク質、サイトカイン、免疫調節物質、又は任意のそれらの機能性タンパク質のエフェクター又はレギュレーターの変化を測定するための薬力学的試験を行うこと、及び薬力学的パラメーターの所望の変化を誘導するために有効な用量を決定することを含む。特定の実施形態では、行動変化、対象により報告されるような自覚的変化、例えば、疼痛又は疾患の症状の改善、又は間接的効果の他の証拠は観察される。特定の実施形態では、前記哺乳動物対象は、齧歯動物、例えば、マウス又はラットである。他の実施形態では、前記対象はヒトである。
【0109】
より一般的には、対象における望ましくない免疫反応を治療する又は予防するための方法は、DSP組成物を提供すること;DSP組成物を試験対象に投与すること;試験対象から生体サンプルを取り除くこと;生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチド配列を含む)とを接触させること;捕捉ポリペプチドと結合したDSPを混合物から分離すること;分離されたDSPの特徴を決定すること;分離されたDSPの特徴を有するDSPのセットを調製すること、及び対象にDSPの調製されたセットを投与することを含み得る。
【0110】
これらの方法では、DSP組成物は、一回以上対象に投与され得る。DSP組成物は、例えば、1、2、3、4、6、12、18、24、36、48又は72時間の間隔で、対象に投与され得る。
【0111】
従って、本発明のいくつかの実施形態は、それを必要とする対象に好適な用量のDSP組成物を投与する方法であり、ここで、好適な用量は、DSP組成物に第一の用量を対象に投与すること;対象から生体サンプルを取り除くこと;生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させること;生体サンプル中の捕捉ポリペプチドのレベルを測定すること;第二の異なる用量を用いて任意で前述のステップを繰り返すこと;及びそのレベルと生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルとを比較することにより決定される。これらの条件下では、好適な用量は、生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルをもたらす用量である。生体サンプル中のDSP組成物の好適なレベルは、所望の機能的読み出し又は代理のマーカー変化が得られるレベルである。機能的読み出しは、対象の表現型又は機能、対象由来の細胞物質の表現型又は機能、又は対象由来の液体の組成物であり得る。特定の実施形態では、検出ステップは、投与後の生物学的利用性の時間経過を測定するための特定の時間間隔後、繰り返される。特定の実施形態では、群としてのDSP組成物の半減期は、そのような時間経過から決定される。免疫反応増強又は抑制の機能的読み出しについての例は、以下:望ましくない免疫刺激の指標としてのTNFa、IL−6、CXCL1、CXCL2、及びIL−12p70の増加又は検出、及び所望の好ましい変化の指標としてのIl−1ra、CXCL13、及びCCL22の増加又は検出である。これらのマーカーにおける変化は、当該技術分野において知られており、容易に入手可能である技術及び物質により容易に測定される。
【0112】
本発明の特定の実施形態は、種に亘る有効用量の比較を容易にする。ヒトと実験動物、例えば、マウス又はラットにおける有効用量の比較は、体の大きさの違い及び一般的な代謝における違いによるだけでなく、薬物の生物学的利用性が動物種間で異なることが観察されているので困難である。DSP組成物の生物学的利用性が、成分ペプチドと血清タンパク質との結合により部分的に補正されることは、本発明の一つの態様であり、それは、長い半減期及び特定の組織分布を許容し得る。従って、本発明のいくつかの実施形態は、対象におけるDSP組成物の好適な用量を決定する方法であり、そのような方法は、実験動物モデルにおいてDSP組成物の第一の好適な用量を決定すること、ここで第一の好適な用量は、好ましい読み出しを与え、インビボで血清タンパク質と結合したDSP組成物のレベルに相当するそのような用量である、及び対象におけるインビボで血清タンパク質と結合したDSP組成物のレベルが実験動物に第一の好適な用量を投与することにより達成されるレベルと同様又は一致するように、対象に投与することにより対象においてDSP組成物の第二の好適な用量を決定することを含む。
【0113】
特定の実施形態では、DSP組成物の投与は、本発明の方法を用いて高められ得る。一つの方法は、好適な用量のDSPを対象に投与すること、ここで、そのような好適な用量はDSP組成物の用量を対象に投与することより決定される;実験対象から生体サンプルを取り除くこと;生体サンプルと少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択される)を接触させること;生体サンプル中の捕捉ポリペプチドのレベルを測定すること;任意で全ての前述のステップを繰り返すこと、及びそのレベル(単数又は複数)と生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルとを比較することを含む。好適な用量は、好ましい読み出しに基づいて、上述のように決定される。
【0114】
ペプチドは、任意の好適な方法、例えば、蛍光部分を付着させること、放射性標識、化学複合体の形成、ビオチン化、エピトープタグ、又は検出を容易にする任意の他の部分の付与により標識され得る。上述のように検出用ポリペプチドとして作用する血清タンパク質は、固体支持体に付着され得る。血清タンパク質がDSP組成物からの一つ又は複数のペプチドと結合後、DSP組成物と結合した捕捉ポリペプチドを含む結合した複合体は、単離され得る。
【0115】
結合複合体を単離するための方法は、免疫沈降、ELISA、免疫検出、又は標識捕捉ポリペプチドの検出を含み得る。捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の検出は、捕捉ポリペプチドに対する抗体、DSP組成物に対する抗体、又は結合複合体を認識するために生成された抗体を用いて行われ得る。
【0116】
DSP組成物は、皮下に、筋肉内に、静脈内に、鼻腔内に、又は任意のオリフィス若しくは粘膜を介して投与され得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、生体サンプル中のDSP組成物を検出するための組成物は、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを含み得る。
【0118】
DSP組成物中からの特定のペプチドの選択
本発明の一つの態様は、DSP組成物からペプチド又はペプチドのサブセットを同定すること及び単離することにおけるその使用である。もっとも、単一種類又はいくつかの特定のペプチドサンプルと比較したDSP組成物の一つの有利な特徴は、その不均一性であるが、混合物を構成するペプチドのサブセットが別のサブセットよりもより有効的であること、又はサブセットが実際望ましくないものであることが考えられる。従って、本発明は、ペプチドを特定の捕捉ポリペプチドに対するペプチドの親和性に基づくDSP組成物を含むサンプルから同定する及び/又は単離するための方法を提供する。特定の例では、サブセットは、一つ又は複数の様々なアミノ酸配列を有するペプチドを含み得る。他の例では、捕捉ポリペプチドは、結合特異性に基づいたDSP組成物の成分を分類するために用いられ得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、捕捉ポリペプチドと結合するペプチドのサブセットを同定する方法は、プロトコールに従ってDSP組成物を調製すること、DSP組成物と所定の捕捉ポリペプチド(例えば、それはインビボにおいて標的又は担体として望ましい)とを接触させること、ペプチドとDSP組成物との結合を測定すること、結合しないペプチドから結合するペプチドを識別する特徴を同定すること、及び一つ又は複数の識別する特徴を反映する改良されたDSP組成物を調製することを含む。
【0120】
特定の実施形態では、DSP組成物を含むサンプルは、捕捉ポリペプチドと捕捉ポリペプチドと接触され、捕捉ポリペプチドが結合するDSP組成物を構成するペプチドは、単離され及び同定される。特定の実施形態では、DSP組成物は、捕捉ポリペプチドとして作用する少なくとも一つの血清タンパク質と接触される。より特定の実施形態では、そのような血清タンパク質は、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミン捕捉ポリペプチドから選択される。
【0121】
捕捉ポリペプチドは、固体支持体に固定化され得、及び/又は当該技術分野において知られている方法により標識され得る。固定化及び標識化は、捕捉ポリペプチドから結合したペプチドを分離する、及び/又は単離されたペプチドの特徴を決定するさらなるステップに用いられ得る。そのような特徴は、結合したペプチドのアミノ酸配列、結合したペプチド中のアミノ酸の相対比率、配列中の荷電した残基の配置又は性質、ペプチドの構造、電荷、又は任意の他の好適な特徴を含み得る。
【0122】
DSP組成物と血清タンパク質との結合はまた、DSP組成物中の生物学的利用可能なペプチド、例えば、対象から回収された生体サンプル、を同定するために用いられ得る。本明細書では、DSP組成物は、第一に対象に投与され得;その後、投与後第二に、組織サンプルは患者から取り除かれ得る。組織サンプルでは、少なくとも一つの捕捉ポリペプチド、例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む、と結合するサンプル中のペプチドは同定され得る。
【0123】
DSP組成物の改良された調製
本発明の別の態様は、DSP組成物を含む組成物の製造プロセスを改良する方法である。いくつかの実施形態では、DSP組成物は、捕捉ポリペプチドと結合するペプチドのサブセットを同定する前述の方法に基づいて設計される。いくつかの実施形態では、DSP組成物は、アミノ酸組成物及び/又はアミノ酸配列が捕捉ポリペプチドと結合するペプチドのサブセットのそれと近くなるように、設計される。
【0124】
特定の実施形態では、減少した毒性を有するDSP組成物を製造する方法は、DSP組成物と少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させること;混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること;分離されたペプチドの特徴を決定すること;及び分離されたペプチドの特徴を用いてペプチドのセットを調製することを含み得る。
【0125】
同様に、増大した有効性を有するDSP組成物を製造する方法は、DSP組成物と、ペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択される)を接触させること;及び混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること;分離されたペプチドの特徴を決定すること;及び分離されたペプチドの特徴を用いてペプチドのセットを調製することを含み得る。
【0126】
いつかの実施形態では、DSP組成物の所望のサブセットは、予備的スケールにおいて固定化された捕捉ポリペプチドを用いることにより得られ得る。DSP組成物は、事前に熟考、及びは記述されたように調製され、所望の改良に関連する固定化された捕捉ポリペプチドと接触される。未結合のペプチドは、サンプルを洗浄することにより取り除かれ、DSP組成物の結合した部分は、適切な分離条件、例えば変化させたpH、塩濃度、又は有機溶媒の添加、を用いて溶出される。プールされた結合した部分は、濃縮するために、及び蒸発により、又は適切なクロマトグラフィー又は結晶化又は他の精製方法を経たさらなる精製により、治療的に望ましくない成分、例えば、有機溶媒を取り除くために処理される。そのようにして調製されたDSP組成物のサブセットは、治療薬剤として用いられる。
【0127】
さらに、本発明のこの態様は、用量及び投与における上述の改良と組み合わされ得る。優れた適合したDSP組成物が調製された場合、投与の用量及び方法は、適宜調節され得ることが予期される。従って、代わりの実施形態では、本発明は、プロトコールに従ってDSP組成物を調製すること、DSP組成物を含む組成物を製剤化すること、機能的読み出しのレベル又は程度を検出することにより前記組成物中のDSP組成物の生物学的利用可能な量を決定すること、標準とそのような読み出しを比較すること、所望の生物学的利用性を得るためにプロトコール又は組成物の製剤化を調節することを含む。
【0128】
治療薬剤の組織特異的標的化
DSP組成物と血清タンパク質の関係性の別の可能性のある使用は、治療薬剤の組織特異的標的化である。一つの実施形態では、対象の標的組織に対する治療薬剤を調製するための方法は、DSP組成物を提供すること;及び治療薬剤とDSP組成物とを結合させ、複合体を形成することを含み得る。
【0129】
従って、本発明のいくつかの実施形態は、DSP組成物と組織特異的ペプチド(例えば、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンから選択されるペプチドを含む)とを接触させること;及び混合物から組織特異的ペプチドに結合するペプチドを分離すること;ペプチドタグと治療薬剤とを結合させること;及び(c)対象に複合体を投与することにより、ペプチドタグを単離することにより、対象において特定の組織に治療薬剤を送達する方法である。
【0130】
本発明の他の実施形態は、ペプチドタグと結合した治療薬剤を含む複合体、及び得られたそれらの複合体それら自体を調製する方法を含む。そのようなペプチドは、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−I、アルファ−1−B−糖タンパク質、アポリポタンパク質A−IV、アポリポタンパク質D、及びプレアルブミンに対する結合親和性に基づいてDSP組成物から単離され得る。
【0131】
治療薬剤は、小有機分子又は生体高分子でもよく、特異的な組織は、脳、肺又は肝臓組織でもよい。ペプチドタグは、共有結合、包接錯体、イオン結合、又は水素結合により治療薬剤と結合し得る。この発明の実施に有用な治療薬剤の例は、代謝拮抗物質、サイトカイン、及び増殖因子阻害剤、キナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、抗炎症剤、疾患特異的抗体、ワクチン、及び抗生物質を含む抗腫瘍剤である。
【0132】
標準的な免疫学、生化学、及び/又は分子生物学的方法は、本明細書で用いられ得、当該技術分野において知られている。標準的なプロトコールの例は、例えば、John Wiley及びSonsにより公開されているCurrent Protocolsシリーズに見ることができ、現在入手可能な全ては更新され、分子生物学、免疫学、細胞生物学、タンパク質化学、薬理学等におけるCurrent Protocolsを含む。本明細書で引用される全ての参考文献、及び特許、及び特許出願は、それらの全体において参照により援用される。
【実施例】
【0133】
実施例1
正常ヒト血清中のPI−2301及びCop−1の検出
PI−2301(YFAKランダム配列ポリマー)又はCop−1(YEAKランダム配列ポリマー)は、500ng/mLの濃度にされ、PBS中5%正常ヒト血清に、100ng/mL、50ng/mL、25ng/mL、又は12.5ng/mLの濃度まで希釈され、正常ヒト血清に添加された。PI−2301又はCop−1と正常ヒト血清に含まれる血清タンパク質との結合は、ウサギ抗YFAK又はウサギ抗YEAK抗体の添加により検出された。
【0134】
未コートのELISAプレートは、PBS/0.1%Tween20で、室温で2時間ブロックされた。PI−2301又はCop−1サンプルは、PBS/5%正常ヒト血清で段階的に希釈され、ブロック及び洗浄されたELISAプレートのウェルに添加された。正常ヒト血清中のPI−2301又はCop−1サンプルはプレートに結合され、未結合のPI−2301又はCop−1は、PBS/0.05%Tween20でプレートを洗浄することにより取り除かれた。力価に基づいて好適な濃度に希釈されたタンパク質A−精製された抗ウサギ抗PI−2301、又は抗ウサギ抗Cop−1は、室温で1時間添加された。未結合のウサギ抗2301、又はウサギ抗Cop−1抗体を取り除くための別の洗浄ステップ後、二次抗体であるヤギ抗ウサギIgG−HRP(ウサギIgGに対するセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗体)はウェルに添加される。任意の未結合の二次抗体を洗い流した後、HRPの基質は、ウェルに添加され、15分間インキュベートされ、それはストップ溶液が添加されると黄色に変化する青色を生じ、その色の強度はウェル中の全PI−2301又はCop−1の量と相関する。光学濃度は、ELISAプレートリーダーを用いて450nmで測定され、力価曲線は、それぞれPI−2301及びCop−1が添加された血清サンプルのそれぞれのセットについて生成された。血清PI−2301又は血清Cop−1検出の限界は、バックグラウンドよりも3倍高いA450nm吸収をもたらす濃度として画定される。バックグラウンドを決定するために用いられたELISAプレートウェルは、PI−2301又はCop−1が除かれたことを除いて、上述のように処理される。
【0135】
結果は図2にプロットされる。X軸上で、複合的なペプチド混合物の濃度が示される。Y軸上で、HRP結合二次抗体のA450比色吸収が示される。複合的なペプチド混合物の高い濃度において、抗PI−2301又は抗Cop−1抗体による複合体の検出は、低い濃度の複合的なペプチド混合物よりも高かった。12.5ng/mLは、ヒト患者における約2mgの用量に相当する。
【0136】
実施例2
カラム上での複合体の捕捉
固定化されたPI−2301又はCop−1は、ペプチドとCNBr−activated Sepharose(登録商標)である、臭化シアン方法を用いて1級アミンを含むリガンド(タンパク質、ペプチド、核酸)を固定化するために用いられる事前に活性化された大孔性クロマトグラフィーメディアとを反応させることにより調製された。手短に言えば、所望の量を検量後、凍結乾燥されたCNBr−Sepharose(登録商標)は、冷却された1mM HCI(約200mL 1mM HCI/グラム乾燥セファロースを使用)で、10X15分、その後、結合バッファーで2X洗浄された。リガンドは、所望の濃度まで結合バッファーに溶解され、1:2の比(2容量の洗浄されたCNBr−Sepharose(登録商標)ゲルに対して1容量のリガンドを使用)でCNBr−Sepharose(登録商標)と合わされ、その後、ロッキングプラットフォーム(rocking platform)上で、4℃で一晩インキュベートされた。ゲル上の任意の残っている活性部位は、ブロックされ、その後、任意の過剰のリガンドを取り除くために洗浄された。リガンド特異的タンパク質を精製するために、結合したゲルは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2X洗浄され、所望の試薬(血清、細胞上清)は、1:2の比(2容量の洗浄されたCNBr−Sepharose(登録商標)ゲルに対して1容量の試薬を使用)で添加され、その後、ロッキングプラットフォーム(rocking platform)上で、4℃で一晩インキュベートされた。ゲル/試薬懸濁液は、使い捨てカラムに充填され、未結合の試薬を取り除くために洗浄され、その後、リガンド特異的タンパク質は低pHバッファーで溶出された。pH中和後、溶出した画分の280nmでの吸収は、リガンドを含む画分を同定するために測定される。カラムは洗浄され、繰り返しの使用のために4℃で保管された。
【0137】
実施例3
PI−2301又はCop−1に結合したタンパク質の同定
PI−2301結合タンパク質、又はCop−1結合タンパク質を含むサンプルは、実施例1又は実施例2の方法により得られた。これらのサンプルは、PI−2301又はCop−1に結合するタンパク質を同定する目的のために、酵素的に消化され、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(LC−MS/MS)により分析された。手短に言えば、それぞれのサンプルの一定量は、配列特異的プロテアーゼであるトリプシンで消化された。消化後、タンパク質ペプチド混合物は、LC−MS/MSにより分析された。ペプチドは、放出相カラムに対するそれらの保持時間に基づいて分離され、その後質量分析計にスプレーされた。ペプチドが+2又は+3電荷を受け取るスプレープロセスの間、質量分析計は質量電荷比を観察する。ペプチドが有意な質量電荷比を有する場合、それは従って、気体との衝突によりフラグメント化され、フラグメントパターンは記録される。これらのフラグメントパターンは、その後、全ての既知のタンパク質の理論的なフラグメントパターンと比較され得る。理論的フラグメントパターンへの実験的フラグメントパターンのこの成形は、HDL及びLDL複合体からいくつかのリポタンパク質の同定をもたらした。これらのリポタンパク質は、PI−2301サンプル及びCop−1サンプルの双方において見られた。Cop−1サンプルはまた、補体タンパク質、例えば、C3及びC4Aを含むいくつかの独特のタンパク質を有した。
【0138】
図3は、PI−2301又はCop−1と結合することにより同定された正常マウス血清又は正常ヒト血清中の血清タンパク質を要約する。PI−2301は、アセチル化又は非アセチル化され得る。サンプルタンパク質は、実施例1のものと同様の方法において得られ、ここでPI−2301又はCop−1が混合され、血清中の成分と結合された。PI−2301又はCop−1の結合複合体は、抗YFAK又は抗YEAK抗体により認識され、二次抗体及び検出試薬で検出された。血清タンパク質は、複合体から溶出され、同定された。タンパク質は、検出試薬のA450吸収に基づいたスコアを割り当てられる。70のスコアは、バックグラウンド吸収と比較して、p<0.001の有意な値に対応し、統計学的に有意であると考えられる。
【0139】
上記の方法により同定された捕捉ペプチドがDSPと結合することが予測される一方で、上記のアッセイはまた、強力なDSP結合血清タンパク質を実験的に同定するために、DSPを用いて行われ得る。
【0140】
実施例4
DSP組成物の様々な長さ及びロットに亘るペプチド組成物の比較
例えば、固相合成又は液相合成による、様々なDSP組成物の合成に続いて、同様の製造プロセスにより作られた個別のロット又はバッチ、及び様々なプロセスにより製造された混合物の個別のバッチは、試験され得、バイオアッセイを用いたバリエーションと比較され得る。DSP組成物の表示に依存して、適切なバイオアッセイは、エクスビボ増殖アッセイにおける単球細胞株RAW264.7によるCCL22の放出、及び血清タンパク質とDSP組成物中のペプチドとの結合を測定することを含む。これらのバイオアッセイを用いて、当業者は、ペプチドのサブセット又は任意の所定のプロセス若しくはロットにおいて存在する個別のペプチドを決定し得る。DSP組成物のプロセス及びロットは、ペプチドの同様のサブセット及び/又はペプチドの種類が様々なプロセス及びロットに亘って一貫して繰り返されているかどうかを決定するために比較される。
【0141】
多数の同定するレジンは、固体支持体上に血清タンパク質の選択物を固定化することにより調製される。いくつかの実施形態では、捕捉タンパク質は、図3のタンパク質である。それぞれの固体支持体は、少なくとも一つの血清タンパク質を含み、一以上の血清タンパク質が固体支持体に結合した場合、従って、所定の固体支持体と結合した個別の血清タンパク質の割合は、それぞれの同定するレジンに亘って一致する。DSP組成物のそれぞれのロットからの一定量は、DSPのサブセットと血清タンパク質とを結合させる条件下で、その自らの固体支持体に適用される。未結合ペプチドを洗い流した後、結合ペプチドは溶出される。この方法で単離されたDSPペプチドは、(1)独特なDSPペプチドの存在、(2)互いに対するペプチドの割合、(3)全DSP組成物と比較した血清結合タンパク質と結合するペプチドの割合、(4)結合モチーフ及びペプチド配列の存在、(5)アミノ酸組成、及びアミノ酸の割合、及び/又はペプチドの他の特徴について、さらに特徴付けられる。それぞれのロットから単離されたDSPペプチドの特徴は、互いに比較される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSP組成物を検出するための方法であって、以下:
a.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドの実質的に純粋な調製物を提供すること;
b.DSP組成物を定量的に検出するための手段に一つ又は複数の捕捉ポリペプチドを付着させること;及び
c.DSP組成物と一つ又は複数の前記捕捉ポリペプチドとの結合を測定すること、
を含む、方法。
【請求項2】
DSP組成物の設計を改良するための方法であって、以下:
a.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドの実質的に純粋な調製物を提供すること;
b.DSP組成物を定量的に検出するための手段に一つ又は複数の捕捉ポリペプチドを付着させること;
c.DSP組成物と一つ又は複数の前記捕捉ポリペプチドとの結合を測定すること;
d.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドとの結合を増大させる、又は減少させる、いずれかのためにDSP組成物の設計を調節すること;
e.ステップ(c)を繰り返すこと;
f.任意でステップ(c〜e)を繰り返すこと、
ここで、前記DSP組成物の設計を調節することは、任意の一つ又は複数の以下:増加した生物学的利用性、毒性の減少、及び有効性の増加をもたらす、
を含む、方法。
【請求項3】
DSP組成物中の種類を検出するための方法であって、以下:
a.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドの実質的に純粋な調製物を提供すること;
b.固体支持体に一つ又は複数の捕捉ポリペプチドを付着させること;
c.固体支持体とDSP組成物とを接触させること;及び
d.DSP組成物の個別の種類と固体支持体との結合を測定すること、
を含む、方法。
【請求項4】
DSP組成物中の種類の設計を改良するための方法であって、以下:
a.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドの実質的に純粋な調製物を提供すること;
b.固体支持体に一つ又は複数の捕捉ポリペプチドを付着させること;
c.固体支持体とDSP組成物とを接触させること;
d.DSP組成物中の個別の種類と固体支持体との結合を測定すること;
e.一つ又は複数の捕捉ポリペプチドとの結合を増大させる、又は減少させる、いずれかのためにDSP組成物の設計を調節すること;
f.ステップ(d)を繰り返すこと;
g.任意でステップ(d〜f)を繰り返すこと、
ここで、前記DSP組成物の種類の設計を調節することは、任意の一つ又は複数の以下:増加した生物学的利用性、毒性の減少、及び有効性の増加をもたらす、
を含む、方法。
【請求項5】
(a)の一つ又は複数の捕捉ポリペプチドが、以下:
i.DSP組成物を固体支持体に付着させること;
ii.(i)における前記固体支持体とタンパク質を含む生体液とを接触させること;
iii.(i)における固体支持体と特異的に結合した(ii)からタンパク質を同定すること;
により同定され、ここで、(ii)において同定されたタンパク質は捕捉ポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
捕捉ポリペプチドが、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
DSP組成物の存在を測定するための方法であって、以下のステップ:
a.補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択される一つ又は複数のタンパク質をサンプル中の前記DSP組成物を定量的に検出するための手段に付着させること;及び
b.前記サンプル中の前記DSP組成物のレベルを測定すること
を含む、方法。
【請求項8】
捕捉ポリペプチドが、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
生体サンプル中のDSP組成物の存在を検出するための方法であって、以下:
(a)生体サンプルと、正常ヒト血清、正常非ヒト霊長類血清、正常ウサギ血清、正常マウス血清、正常ラット血清、正常フェレット血清、正常ブタ血清、正常イヌ血清、正常ウマ血清、正常ヒツジ血清、正常ウシ血清に含まれる少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の存在又は不存在を検出すること、
ここで、結合の存在は、生体サンプル中のDSP組成物の存在を示す、
を含む、方法。
【請求項10】
捕捉ポリペプチドが、HDLプロテオーム、LDLプロテオームの少なくとも一つの成分、又は少なくとも一つの血清タンパク質を含むポリペプチドから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生体サンプル中においてYFAK又はYEAKペプチドを含むDSP組成物の存在を検出するための方法であって、以下:
(a)生体サンプルと、以下:補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合の存在又は不存在を検出すること、
ここで、結合の存在は、生体サンプル中のYFAK又はYEAKペプチドの存在を示す、
を含む、方法。
【請求項12】
生体サンプル中においてYFAK又はYEAKペプチドを含むDSP組成物の量を測定するための方法であって、以下:
(a)生体サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;
(b)捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合のレベルを定量すること、
ここで、結合のレベルは、生体サンプル中のDSP組成物の量を示す、
を含む、方法。
【請求項13】
哺乳動物においてDSP組成物の生物学的利用性を測定するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物を含む組成物の用量を哺乳動物に投与すること;
(b)対象から生体サンプルを取り除くこと;及び
(c)生体サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;
その結果、生体サンプル中のDSP組成物の生物学的利用性を測定すること、
を含む、方法。
【請求項14】
それを必要とする対象に投与するために、DSP組成物の好適な用量を決定するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物の用量を対象に投与すること;
(b)対象から生体サンプルを取り除くこと;
(c)生体サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;
(d)生体サンプル中の捕捉ポリペプチドのレベルを測定すること;
(e)様々な用量を用いて、任意でステップ(a)〜(d)を繰り返すこと;及び
(g)そのレベルを生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルと比較すること;
ここで、好適な用量は、生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルをもたらす用量である、
を含む、方法。
【請求項15】
対象における望ましくない免疫反応を治療する又は予防するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物の好適な用量を対象に投与すること、ここで、そのような好適な用量は以下:
(i)DSP組成物の用量を対象に投与すること;
(ii)実験対象から生体サンプルを取り除くこと;
(iii)生体サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択される少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;
(iv)生体サンプル中の捕捉ポリペプチドのレベルを測定すること;
(v)様々な用量を用いて、任意でステップ(i)〜(iv)を繰り返すこと;及び
(vi)そのレベル(単数又は複数)と生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルとを比較すること;
ここで、好適な用量は、前記生体サンプル中のDSP組成物の所定の好適なレベルをもたらす用量である、
により決定される、
を含む、方法。
【請求項16】
捕捉ポリペプチドが標識化される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
捕捉ポリペプチドが固体支持体に付着される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
DSP組成物と結合した捕捉ポリペプチドを含む複合体を単離することをさらに含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
捕捉ポリペプチドに対する抗体を用いて、捕捉ポリペプチドとDSP組成物との結合を検出することをさらに含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
組成物が皮下に投与される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
生体サンプルにおいてDSP組成物を検出するための組成物であって、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドを含む、組成物。
【請求項22】
DSP組成物を含むサンプルからペプチドを単離するための方法であって、以下:
(a)サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること、
を含む、方法。
【請求項23】
捕捉ポリペプチドが固体支持体上に固定化される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
捕捉ポリペプチドがエピトープでタグ付けされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
捕捉ポリペプチドから結合したペプチドを分離することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
単離されたペプチドの特徴を決定することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
特徴を決定することが、結合したペプチドのアミノ酸配列を決定すること、又は結合したペプチド中のアミノ酸の相対比を決定することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
対象においてDSP組成物中の生物学的に利用可能なペプチドを同定するための方法であって、以下:
(a)第一に、対象にDSP組成物を投与すること;及び
(b)第二に、投与後、患者から組織サンプルを取り除くこと;及び
(c)補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドと結合するサンプル中でペプチドを同定すること、
を含む、方法。
【請求項29】
減少した毒性を有するDSP組成物を製造するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物と、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること;
(c)分離されたペプチドの特徴を決定すること;及び
(d)分離されたペプチドの特徴を用いてペプチドのセットを調製すること、
を含む、方法。
【請求項30】
増大した有効性を有するDSP組成物を製造するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物と、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること;
(c)分離されたペプチドの特徴を決定すること;及び
(d)分離されたペプチドの特徴を用いてペプチドのセットを調製すること、
を含む、方法。
【請求項31】
対象において望ましくない免疫反応を治療する又は予防するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物を提供すること;
(b)試験対象にDSP組成物を投与すること;
(c)試験対象から生体サンプルを取り除くこと;
(d)生体サンプルと、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチド配列を含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;
(e)混合物から捕捉ペプチドに結合するペプチドを分離すること;
(f)分離されたペプチドの特徴を決定すること;
(g)分離されたペプチドの特徴を用いてペプチドのセットを調製すること、及び
(h)対象に新規のペプチドのセットを投与すること、
を含む、方法。
【請求項32】
ペプチドが、複数回対象に投与される、請求項28又は31に記載の方法。
【請求項33】
ペプチドが、1、2、3、4、6、12、18、24、36、48又は72時間の間隔で、対象に投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
DSP組成物の様々な調製物を比較するための方法であって、以下:
(a)第一のDSP組成物と、正常ヒト血清、正常非ヒト霊長類血清、正常ウサギ血清、正常マウス血清、正常ラット血清、正常フェレット血清、正常ブタ血清、正常イヌ血清、正常ウマ血清、正常ヒツジ血清、正常ウシ血清に含まれる少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(b)第二のDSP組成物と、以下:正常ヒト血清、正常非ヒト霊長類血清、正常ウサギ血清、正常マウス血清、正常ラット血清、正常フェレット血清、正常ブタ血清、正常イヌ血清、正常ウマ血清、正常ヒツジ血清、正常ウシ血清から選択されるペプチドを含む少なくとも一つの捕捉ポリペプチドとを接触させること;及び
(c)必要に応じてステップ(b)を繰り返すこと;及び
(d)ステップ(a〜c)から、捕捉ペプチドに結合するペプチドを混合物から分離すること;
(e)ステップ(d)から分離されたペプチドの特徴を決定すること;及び
(f)前記の分離されたペプチドのセットと、ステップ(d)から分離されたペプチドの特徴を比較すること、
を含む、方法。
【請求項35】
対象において標的組織に対する治療薬剤を調製するための方法であって、以下:
(a)DSP組成物を提供すること;及び
(b)治療薬剤とDSP組成物とを結合させ、複合体を形成すること、
を含む、方法。
【請求項36】
対象において特定の組織に治療薬剤を送達するための方法であって、以下:
(a)以下:
(i)DSP組成物と、補体成分C3、アポリポタンパク質A−1プレプロタンパク質、アポリポタンパク質A−IIプレプロタンパク質(アポリポタンパク質D)、補体成分C4A、トリプシン阻害剤、インター−アルファ−トリプシン阻害剤ファミリー重鎖関連タンパク質(IHRP)、アルファ−1−B−糖タンパク質、アルファ−1−抗トリプシン、アポリポタンパク質A−IV、セルロプラスミン、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA34971)、アポリポタンパク質E、補体因子B、プレアルブミン、アポリポタンパク質C−III、アルファ2−HS糖タンパク質、アポリポタンパク質J前駆体、鎖C、免疫グロブリンM、免疫グロブリンラムダ軽鎖、凝固因子II(トロンビン)、Igカッパ鎖V−III(KAU寒冷凝集素)、アポリポタンパク質J前駆体、IgAl Bur、ヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体、アルファ−2−HS−糖タンパク質、ゲルゾリンアイソフォーム前駆体、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤、無名のタンパク質生成物(NCBIローカス/登録番号CAA28659)、及びIgJ鎖から選択されるペプチドを含む組織特異的ペプチドとを接触させること;及び
(ii)混合物から組織特異的なペプチドと結合するペプチドを分離すること;
によりペプチドタグを単離すること、
(b)ペプチドタグと治療薬剤とを結合させること;及び
(c)対象に複合体を投与すること、
を含む、方法。
【請求項37】
治療薬剤が、小有機分子又は生体高分子である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
組織が、脳、肺、又は肝臓組織である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項39】
ペプチドタグが共有結合、包接錯体、イオン結合、又は水素結合により治療薬剤と結合する、請求項35又は36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−511724(P2013−511724A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540018(P2012−540018)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/057106
【国際公開番号】WO2011/063043
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504104899)アレス トレーディング ソシエテ アノニム (59)
【Fターム(参考)】