説明

血清型BおよびC由来のNeisseriameningitidis抗原、ならびにさらなる抗原を含む組成物

【課題】より幅広い生物に対して免疫応答を惹起する組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)NmCオリゴ糖および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物を提供し、この組成物はまた、(c)以下の1以上を含むことによって特徴付けられる:例えば、
・WO99/57280に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO99/36544に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO99/24578に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO97/28273に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO96/29412に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO95/03413に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用される文書は全て、本明細書によって、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、免疫原性組成物、より具体的には、Neisseria meningitidis血清型BおよびC(NmBおよびNmC)由来の免疫原性分子の組合せを含む免疫原性組成物の分野である。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
Neisseria meningitidis(Nm)の血清型B株およびC株は共に、欧州およびアメリカ合衆国における大部分の侵襲性疾患の原因である。現在、個々のNm血清型に対するワクチンが利用可能である。Norwegian National Institute of Public HealthからのNmBワクチンは、安全であり、小児および成人において株特異的免疫を惹起し、そして青年期のNmB疾患を予防するのに有効である。このワクチンは、代表的に、髄膜炎菌性C多糖類ワクチンと併用されており、そしてミョウバン(alum)と共に与えられている。しかし、単純な多糖類ワクチン成分は、乳児および幼児において有効ではない。Chiron NmC結合(conj.)ワクチンはまた、安全であり、2および3ヶ月齢の幼いワクチン接種された乳児において高力価の血清殺菌性抗体を惹起し、そして非結合NmC多糖類に対する免疫B細胞記憶を誘導する。
【0004】
NmBおよびNmCのための、両方の血清型に対する免疫応答を惹起する組合せワクチンを提供するために、国際特許出願WO99/61053は、(b)NmB外膜タンパク質と組み合わせて、(a)キャリアに結合したNmCオリゴ糖を含む免疫原性組成物を開示する。この組合せワクチンは、両方の血清型に対する免疫応答(これは、各血清型単独で惹起される免疫応答と顕著には違わない)を惹起する。本発明の目的は、これらを、より幅広い生物に対して免疫応答を惹起する組成物へと発展させることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
従って、本発明は、(a)NmCオリゴ糖および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物を提供し、この組成物はまた、(c)以下の1以上を含むことによって特徴付けられる:
・WO99/57280に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO99/36544に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO99/24578に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO97/28273に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO96/29412に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO95/03413に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・WO99/31132に開示されるタンパク質、またはそれらの免疫原性フラグメント;
・Neisseria meningitidis血清型Aに対する防御抗原;・Neisseria meningitidis血清型Yに対する防御抗原;・Neisseria meningitidis血清型Wに対する防御抗原;・Haemophilus influenzaeに対する防御抗原;
・pneumococcusに対する防御抗原;
・ジフテリアに対する防御抗原;
・破傷風に対する防御抗原;
・百日咳に対する防御抗原;
・Helicobacter pyloriに対する防御抗原;
・ポリオに対する防御抗原;および/あるいは
・B型肝炎ウイルスに対する防御抗原。
【0006】
N.meningitidis BとCの両方に対する免疫応答を惹起する上に、本発明の免疫原性組成物は、さらなる生物に対して免疫応答を惹起し得る。
【0007】
(成分(a))
成分(a)のオリゴ糖は、好ましくは、Chironオリゴ糖であり、これは、好ましくは約12〜約22の反復単位の、NmC多糖フラグメントを示す。
【0008】
成分(a)のNmCオリゴ糖は、好ましくは、キャリアに結合体化される。このキャリアは、好ましくはタンパク質であるが、代わりに、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸共重合体、脂質凝集体、または不活性ウイルス粒子であり得る。
【0009】
より好ましくは、キャリアは、タンパク質である。最も好ましくは、キャリアは、CRM197(非毒性のジフテリア毒素)である。各用量は、好ましくは、12.5〜33μg CRM197に対して10μgのオリゴ糖を有する(すなわち、約0.3〜約0.8のオリゴ/タンパク質比を維持するため)。より好ましくは、約20μgのCRM197が、使用され得る。
【0010】
NmC結合体または多糖の投薬量は、μgのシアル酸で表される。結合体化していない多糖を含むNmCワクチン(本明細書中において「NmC多糖」または「MenC Ps」といわれる)がまた、使用され得る。MenC Psは、好ましくは約60〜約80の反復単位の多糖を含む、粗単離物である。
【0011】
NmC−CRM197結合体のさらなる詳細に関しては、Costantinoら(1992)Vaccine 10:691−698を参照のこと。
【0012】
(成分(b))
成分(b)のNmB外膜タンパク質は、好ましくは、種44/76(B15:P1.7,16:L3,7,9)由来の部分的に精製された外膜タンパク質を含む。
【0013】
外膜タンパク質は、好ましくは蛋白リポソーム小胞(例えば、デオキシコレートを用いた抽出工程の結果として得られる)として存在する。
【0014】
NmBの投薬量は、μgのタンパク質で表される。好ましくは、NmB免疫組成物/ワクチン成分は、ノルウェーの国立公衆衛生研究所から得ることができる。NmB/alumワクチンは、0.05mg/mlのNmBタンパク質、3.33mg/ml Al(OH)3(alum)、および0.10mg/ml チオマーサルナトリウム(thiomersalsodium)を含む。
【0015】
(成分(c))
好ましくは、成分(c)は、以下のうちの1つ以上を含む:
・WO99/24578に開示されるような、配列番号
【0016】
【数4】

からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、これらの配列番号のうちの1つ以上の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくはこれらの配列番号のうちの1つに対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・WO99/36544に開示されるような、配列番号
【0017】
【数5】

からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、これらの配列番号のうちの1つ以上の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくはこれらの配列番号のうちの1つに対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・WO99/57280に開示されるような、配列番号
【0018】
【数6−1】

【数6−2】

【数6−3】

【数6−4】

からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、これらの配列番号のうちの1つ以上の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくはこれらの配列番号のうちの1つに対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・WO97/28273の図4または図13に開示されるタンパク質;
・WO96/29412に開示される配列番号1〜8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、これらの配列番号のうちの1つ以上の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくはこれらの配列番号のうちの1つに対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・WO95/03413に開示される配列番号1〜23からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、これらの配列番号のうちの1つ以上の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくはこれらの配列番号のうちの1つに対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・WO99/31132に開示される配列番号2からなるアミノ酸配列を含むタンパク質(または、配列番号2の免疫原性フラグメントを含むタンパク質、もしくは配列番号2に対して配列同一性(好ましくは、50%よりも大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこれより大きい))を有する配列を含むタンパク質);
・Neisseria meningitidis血清型Aに対する多糖抗原;・Neisseria meningitidis血清型Yに対する多糖抗原;・Neisseria meningitidis血清型Wに対する多糖抗原;・Haemophilus influenzaeに対する多糖抗原;
・pneumococcusに対する多糖抗原;
・ジフテリアトキソイドからなるジフテリアに対する防御抗原、例えば、CRM197変異体[例えば、Del Guidiceら(1998)Molecular Aspects of Medicine 19:1−70]。
・破傷風トキソイドからなる破傷風に対する防御抗原[例えば、WassilakおよびOrenstein、Vaccinesの第4章(編、PlotkinおよびMortimer)1988]。
・百日咳ホロ毒素(PT)および糸状赤血球凝集素(FHA)を含み;必要に応じて、パータクチン(pertactin)および/または凝集原 2および3をさらに含む、百日咳に対する防御抗原[例えば、Gustafssonら(1996)N.Engl.J.Med.334:349−355;Rappuoliら(1991)TIBTECH 9:232−238]。
・CagA(例えば、WO93/18150)、VacA(例えば、WO93/18150)、NAP(例えば、WO99/53310)、HopX(例えば、WO98/04702)、HopY(例えば、WO98/04702)、ウレアーゼのうちの1つ以上を含む、H.pyloriに対する防御抗原。
・HBV表面抗原および/またはHBVコア抗原からなる、B型肝炎ウイルスに対する防御抗原。
【0019】
成分(c)がジフテリアに対する抗原を含む場合、成分(c)はまた、好ましくは、破傷風およびポリオに対する抗原を含む。成分(c)が破傷風に対する抗原を含む場合、成分(c)はまた、好ましくは、ジフテリアおよびポリオに対する抗原をまた含む。成分(c)がポリオに対する抗原を含む場合、成分(c)はまた、好ましくは、ジフテリアおよび破傷風に対する抗原を含む。
【0020】
破傷風毒素は、毒性タンパク質であり、成分(c)中に存在する場合、好ましくは無毒化される。無毒化は、化学手段および/または遺伝子手段により得る。好ましい無毒化変異体は、9K/129G二重変異体である[例えば、Rappuoli(1997)Nature Medicine 3:374−376]。
【0021】
成分(c)が異なる発生期形態および成熟形態で存在するタンパク質を含む場合、このタンパク質の成熟形態が好ましくは使用される。例えば、NspAが含まれる場合、(WO96/29412;Martinら(1997)J.Exp.Med 185 1173−1183もまた参照のこと)シグナルペプチドを欠くこのタンパク質の成熟形態が、好ましくは使用される。
【0022】
成分(c)は、多糖抗原を含み、この多糖は、好ましくはキャリアタンパク質に結合体化される。
【0023】
成分(c)は、好ましくは、成分(a)および(b)に応答して惹起される免疫応答を減少するべきではない。
【0024】
(薬学的に受容可能なキャリア)
本発明の組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。
【0025】
このキャリアは、有機物であっても、無機物であっても、または両方であってもよい。適切なキャリアは、当業者に周知であり、そして大きなゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸共重合体、脂質凝集体(例えば、オイルの小滴、またはリポソーム)および不活性なウイルス粒子)が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な塩(例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭酸塩、リン酸塩、硫酸塩など);および有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩など))が、その中に使用され得る。薬学的に受容可能な賦形剤の詳細な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.1991)において利用可能である。組成物中の薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールのような液体を含み得る。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質など)が、このようなビヒクル中に存在し得る。代表的に、治療組成物は、液体溶液または懸濁剤のいずれかとして注射可能なものとして調製され;注射の前に液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に適切な固形がまた、調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの定義内に含まれる。
【0026】
キャリアはまた、免疫促進剤(例えば、アジュバント)として機能し得る。適切なアジュバントは、当業者に周知である。
【0027】
好ましいキャリアは、水酸化アルミニウム(alum)およびMF59である。
【0028】
Alumは、Superfos,Bedbaek,Denmarkから得ることができ、そして3%溶液である。存在する場合、約1mg〜約1.67mgのalumが、1投与あたり使用される。
【0029】
成分(c)がB型肝炎抗原を含む場合、水酸化アルミニウムは、好ましくは、キャリアとして使用されない(例えば、EP−A−0642355)。同様に、成分(c)がH.influenzae多糖結合体を含む場合、水酸化アルミニウムは、好ましくは、キャリアとして使用されない(例えば、EP−A−0833662)。リン酸アルミニウムがまた、代わりに使用され得る。
【0030】
MF59は、安全であることが示され、そして種々のワクチンに対する血清抗体応答を増加する、水中の微小流動化された(micro−fluidized)スクアレンの乳濁液である。MF59は、約5%のスクアレン、0.5% Tween 80および約0.5% Span 85を含む。アジュバントMF59は、WO90/14837に記載される。MF59は、例えば、Ottら、Vaccine Design:The Subunit And Adjuvant Approach(1995,PowellおよびNewman、編、Plenum Press,New York,277−296頁);Singhら(1998)Vaccine 16,1822−1827;Ottら(1995)Vaccine 13、1557−1562;Valensiら(1994)J.Immunol.153,4029−39に記載される手順に従って作製され得る。
【0031】
使用され得る他のキャリア−アジュバントとしては、水中のオイル乳濁液処方物(ムラミルペプチドまたは細菌細胞壁の成分のような他の免疫促進剤を伴うかまたは伴わない)、例えば、(a)上記のようなMF59(必要に応じて種々の量のMTP−PEを含むが、必要とはされない)(b)10% スクアレン、0.4% Tween 80、5% プルロニック(pluronic)ブロックされたポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)を含むSAFであって、ミクロン未満の乳濁液中に微小流動化されるかまたはより大きな粒子サイズの乳濁液を生成するためにボルテックスされるかのいずれかである、SAF、および(c)2% スクアレン、0.2% Tween 80、および1つ以上の細菌細胞壁の成分(モノホスホリル脂質A(monophosphorylipid A)(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)からなる群より選択される)を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT);(3)サポニンアジュバント(例えば、StimulonTM(Cambridge Bioscience,Worcester,MA)が、使用され得るか、またはISCOM(免疫促進複合体)のようなものから生成された粒子);(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など;ならびに(6)組成物の効果を増強する免疫促進剤として作用する他の物質などを含む。
【0032】
上記のように、ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミルL−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミルL−アラニル−D−イソグルタミンイル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)、などがあげられるが、これらに限定されない。
【0033】
(免疫原性)
本明細書中に使用される場合、用語「免疫原性」は、ヒトを含む脊椎動物への投与の際の抗体産生を誘導する物質をいう。
【0034】
本発明の組成物は、代表的に、免疫学的有効量の成分(a)、(b)および(c)を使用する。すなわち、有効量の(a)、(b)および(c)が含まれ、これは、存在する任意のアジュバントと組み合わせて、Neisseriaへの曝露後からの被験体の保護を与えるように、被験体が特異的かつ十分な免疫学的応答(好ましくは、Tリンパ球応答またはBリンパ球応答)を誘導することを引起す。
【0035】
「免疫学的有効量」は、疾患の処置または予防のいずれかのために抗体産生を誘導するための、単一用量または一連の内の一部のいずれかにおいて、有効である。この量は、種々の因子(被験体の身体の状態を含む)に依存して変化し、そして当業者によって容易に決定され得る。
【0036】
本発明に使用され得る各抗原および全ての抗原に対して特定の指導を提供する、単一投与指示は、指定されなくてもよい。有効量の抗原は、その本来の活性および純度の機能であり、そして慣用的な実験を介して当業者によって経験的に決定される。
【0037】
本発明に従う免疫原性組成物は、代表的に、免疫促進量のNeisseria抗原を含む。免疫促進量は、測定可能な体液性免疫応答および細胞性免疫応答を誘導するのに十分な量である。例えば、本発明の免疫原性組成物は、約1ナノグラム〜約1000マイクログラムの抗原または約10ナノグラム〜約800マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、約0.1〜約500マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、約1〜約350マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、約25〜約250マイクログラムの抗原を含む。いくつかの好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、約100マイクログラムの抗原を含む。当業者は、任意の所望の量の抗原を含む免疫原性組成物を容易に処方し得、これは、慣用的な実験を介して当業者によって経験的に決定される。免疫原性組成物は、単位投薬量形態で簡便に投与され得、そして薬学分野で周知の任意の方法(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.Easton,PA,1980)に記載されるような方法)によって調製され得る。
【0038】
(ワクチン)
本発明はまた、上記の免疫原性組成物のいずれかを含むワクチンに関する。
【0039】
本明細書において用いる場合、用語「ワクチン」は、殺菌性免疫応答を誘導し得る免疫原性組成物を意味する。好ましくは、本発明のワクチンは、殺菌性抗体応答を惹起する。
【0040】
本発明によるワクチンは、予防的(すなわち、感染を防ぐ)、または治療的(すなわち、感染後の疾患を処置する)のいずれかであり得る。
【0041】
本発明はまた、少なくともNmBおよびNmCに対する免疫応答を誘導する方法、またはワクチン接種方法を提供する。この方法は、本発明の免疫原性組成物の免疫学的有効量を投与する工程を包含する。投与は、ヒトに対するものであり得、そして当業者に公知の任意の様式(非経口経路、直腸経路、腹腔内経路、筋肉内経路、または皮下経路を含む)によるものであり得る。直接送達は、皮下、腹腔内、静脈内、または筋肉内のいずれかでの注射によって達成されるか、あるいは組織の内腔に対して、送達される。この組成物はまた、病変に投与され得る。投与の他の様式としては、経口および肺投与、座剤、および経皮的(transdermalまたはtranscutaneous)適用(例えば、WO98/20734)、針、および遺伝子銃、または皮下噴射器(hypospray)が挙げられる。投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであり得る。
【0042】
本発明はまた、医薬としての使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はさらに、ナイセリア菌(Neisserial bacteria)に起因する感染を処置または予防するための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供する。
【0043】
タンパク質ベースのワクチンに対する代替として、核酸ワクチン接種が使用され得る[例えば、Robinson&Torres(1997)Seminars in Immunology 9:271〜283;Donnellyら(1997)Annu Rev Immunol 15:617〜648]。従って、本発明の組成物の1つ以上のタンパク質成分は、このタンパク質をコードする核酸(好ましくはDNA)と置換され得る。
【0044】
(製造プロセス)
本発明は、本発明による組成物の製造のためのプロセスを提供する。このプロセスは、組成物(a)、(b)および(c)を混合する工程を包含する。
【0045】
(一般)
本発明の実施は、他に示さない限り、当業者の範囲内である、従来の分子生物学、微生物学、組み換えDNA、および免疫学の技術を使用する。このような技術は、以下の文献中に詳細に説明されている:例えば、
【0046】
【化1】

(定義)
本明細書においては、ヌクレオチドおよびアミノ酸の標準的略号を用いる
用語「含む(comprising)」は、「〜を含む、〜を包含する、〜が挙げられる(including)」、および「から成る、から構成される(consisting)」を意味する。例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、排他的にXからなってもよいし、またはXに加えて何かを含んでもよい(例えば、X+Y)。
【0047】
タンパク質の間の同一性は、好ましくは、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において意図されるように、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。これは、パラメーターギャップオープンペナルティー=12およびギャップ伸長ペナルティー=1を用いるアフィンギャップ検索を用いる。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1) (a)NmCオリゴ糖および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO99/57280に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目2) 前記成分(c)が、WO99/57280に開示される配列番号
【数1−1】

【数1−2】

【数1−3】

からなる群から選択される1以上のアミノ酸配列を含む、項目1に記載の免疫原性組成物。
(項目3) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO99/36544に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目4) 前記成分(c)が、WO99/36544に開示される配列番号
【数2】

からなる群から選択される1以上のアミノ酸配列を含む、項目3に記載の免疫原性組成物。
(項目5) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO99/24578に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目6) 前記成分(c)が、WO99/24578に開示される配列番号
【数3】

からなる群から選択される1以上のアミノ酸配列を含む、項目5に記載の免疫原性組成物。
(項目7) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO97/28273に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目8) 前記成分(c)が、WO97/28273の図4または図13に開示されるタンパク質を含む、項目7に記載の免疫原性組成物。
(項目9) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO96/29412に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目10) 成分(c)が、WO96/29412に開示される配列番号1〜8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目9に記載の組成物。
(項目11) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO95/03413に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目12) 前記成分(c)が、WO95/03413に開示される配列番号1〜23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目11に記載の免疫原性組成物。
(項目13) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)WO99/31132に開示されるタンパク質またはその免疫原性フラグメントを含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目14) 成分(c)が、WO99/31132に開示される配列番号2からなるアミノ酸配列を含む、項目13に記載の免疫原性組成物。
(項目15) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Neisseria
meningitidis血清型Aに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目16) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Neisseria
meningitidis血清型Wに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目17) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Neisseria
meningitidis血清型Yに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目18) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Haemophilus influenzaeに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目19) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)pneumococcusに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目20) 前記成分(c)が多糖類抗原である、項目15、16、17、18または19に記載の免疫原性組成物。
(項目21) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)ジフテリアに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目22) 前記成分(c)がジフテリア毒素である、項目21に記載の免疫原性組成物。
(項目23) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)破傷風に対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目24) 前記成分(c)が破傷風毒素である、項目23に記載の免疫原性組成物。
(項目25) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)百日咳に対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目26) 前記成分(c)は、百日咳ホロ毒素(PT)および糸状赤血球凝集素(FHA)を含み、必要に応じて、パータクチンならびに/または凝集原2および3を含む、項目25に記載の免疫原性組成物。
(項目27) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)B型肝炎ウイルスに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目28) 前記成分(c)がHBV表面抗原および/またはHBVコア抗原である、項目27に記載の免疫原性組成物。
(項目29) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Helicobacter pyloriに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目30) 前記成分(c)がCagA、VacA、NAP、HopX、HopYおよび/またはウレアーゼを含む、項目28に記載の免疫原性組成物。
(項目31) (a)NmCオリゴ糖、および(b)NmB外膜タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該組成物はまた、(c)Neisseria
meningitidis血清型Aに対する防御抗原、Neisseria meningitidis血清型Wに対する防御抗原、Neisseria meningitidis血清型Yに対する防御抗原、Haemophilus influenzaeに対する防御抗原、pneumococcusに対する防御抗原、ジフテリアに対する防御抗原、破傷風に対する防御抗原、百日咳に対する防御抗原、B型肝炎ウイルスに対する防御抗原および/またはHelicobacter pyloriに対する防御抗原を含むことで特徴付けられる、免疫原性組成物。
(項目32) NmB外膜タンパク質が、好ましくは、蛋白リボソーム小胞として存在する、項目1〜31のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
(項目33) (a)NmCオリゴ糖、ならびに(b)NmBタンパク質919,287および/またはORF1を含む免疫原性組成物。
(項目34) NmCオリゴ糖がキャリアに結合している、項目1〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
(項目35) 前記キャリアがタンパク質である、項目34に記載の免疫原性組成物。
(項目36) 前記キャリアがCMR197である、項目35に記載の免疫原性組成物。
(項目37) 水酸化アルミニウムまたはMF59から選択されるキャリアをさらに含む、項目1〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
(項目38) 項目1〜37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含むワクチン。
【0048】
全ての図面において、A群(グループA)は、28日(ポスト−1)であり、B群は、18日(ポスト−2)である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、ELISAによって決定した、NmB OMV(1A)およびNmC(1B)莢膜(カプセル)に対する、IgG抗体力価(幾何平均)(KU/ml)を示す。*は、5群対2群&3群のP≦0.03(1A)と、5群対1群&4群のP≦0.02(1B)を示す。
【図2】図2は、NmB(2A)およびNmC(2B)に対する、血清殺菌性抗体の力価(1/幾何平均力価)を示す。*は、5群対2群のP≦0.003を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(本発明を実行するための様式)
本発明はさらに、本発明を解明するために意図される、以下の実施例によって例示される。前述の実施例は、本発明を例示することを意図するが、いかなる方法でも本発明を限定するとは解釈されない。当業者は、本発明の精神および範囲内である改変を認識する。
【実施例】
【0051】
(実施例1:ELISAの結果)
モルモットの群(n=15匹)に、表1に示されるワクチンの1つを投与した:
【0052】
【表1】

80匹のモルモットを上記の群に無作為に分け、そして6つのワクチンの組み合わせのうち1つを投与した。表2に示されるデータについては、各動物は、28日あけて、IMで2回の注射を受けた。血清サンプルは、各注射の前、および第二の注射の18日後に得た。図1Aおよび1Bに示されるデータについては、各動物は、6週間あけて2回免疫を受けた。各用量は、2回の0.25ml IM注射からなった。血清サンプルを各注射の直前に、そして第二の注射後14または18日後に得た。
【0053】
血清サンプルを、ELISAによって、NmCに対するIgG抗莢膜抗体(IgG anticapsular antibody)濃度について(表2および図1A)、およびNmBに対するIgG抗外膜小胞(OMV)抗体濃度について(図1B)アッセイした。ELISAデータは、個々の動物血清の代表的アッセイにおいて作成し(表2)、そしてまた複数のアッセイからの平均について表した(図1Aおよび1B)。従って、表2の概略的なELISAデータは、幾何平均として表す。
【0054】
ELISAについては、MCPS−ADH(NmCポリサッカライド−アジピン酸ジヒドラジド)結合体またはOMV成分を、100μl/ウェルで、1μg/mlで、4℃で一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレート上に被覆した。各々の被覆したプレート上で、各々100μl/ウェルの参照標準(すなわち、プールしたモルモット血清)、陽性コントロール、陰性コントロール、および血清サンプルを、75μMチオシアン酸アンモニウムを含有する緩衝液中で2倍階段希釈し、そして室温で2時間インキュベートした。ペルオキシダーゼに結合体化したウサギ抗モルモットIgG抗体をウェルに添加した(100μl/ウェル)。2時間後、比色基質である3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)(100μl/ウェル)を添加し、そしてこの色を15分間発色させた。コントロールおよびサンプル中に存在する、MCPSに対するおよびOMVに対する抗体のレベルを、参照標準を用いて標準曲線から得た。標準曲線は、100ELISAユニット/mlの割り当て値を有する。この結果は、表2ならびに図1Aおよび1Bに示す。
【0055】
表2ならびに図1Aおよび1Bにまとめた結果は、組み合わせワクチン(混合ワクチン)が、それぞれ、NmBおよびNmC IgG抗体力価によって測定した場合、免疫原性であることを表した。
【0056】
【表2】

図1Aは、特定の抗髄膜炎菌性B抗体応答が、NmBを含むワクチンの組み合わせによって誘導されたことを示す。図1Bは、特定の抗髄膜炎菌性C抗体応答が、NmCを含むワクチンの組み合わせによって誘導されたことを示す。詳細には、MF59アジュバントの存在下(5群)でのNmC結合体およびNmBの組み合わせによって誘導される抗体応答は、NmC結合体単独(1群)またはalumの存在下でのNmC結合体およびNmBの組み合わせ(4群)のいずれかによって、誘導される抗体応答よりも有意に大きかった。アジュバントMF59が存在する場合、組み合わせワクチンに対する抗体力価は、約6倍に増大した。
【0057】
(実施例2:殺菌力価)
血清サンプルを、MenC株60EおよびMenB株44/76に対する補体媒介性殺菌力価について試験した。殺菌力価を各群由来のプールした血清でアッセイした。ヒト補体を用いて殺菌データを作成した。
【0058】
アッセイの成分(すなわち、緩衝液、抗体、補体および細菌)を、フタを有する滅菌96ウェル組織培養プレート(Nunc番号167008)に添加した。アッセイの間、このプレートを室温に維持した。各ウェルに、1%RIA Grade BSA(Sigma)を含有する50μlのGey緩衝液(Gibco)、25μlの希釈試験抗体、25μlの細菌(Gey緩衝液/1%BSA中で1:8000希釈された)を連続して添加した。コントロールウェルは、以下を含む:1)Gey緩衝液/1%BSAおよび細菌単独(この生物体が希釈液単独で生存する場合、決定する);2)75μlの緩衝液、25μl熱不活化(56℃、30分)ヒト補体、および25μlの細菌を含有する0時点コントロール;ならびに3)この補体供給源が試験株に対して毒性がないことを確認するための緩衝液および細菌を用いて20%および40%でこの補体を試験する毒性コントロール。全ての抗体サンプル(アッセイされた最高濃度で)をまた、熱不活化補体を用いて試験し、抗体の存在下でのコロニー形成単位(cfu)の低下が補体依存性であることを示した。全ての試薬を加えた後、各コントロールウェルから22μlを取り、そしてこのサンプルがこのプレートの上部から底部に流れることを可能にすることによって、Mueller−Hinton寒天プレート上にプレートし、0分でのこのウェルにおけるcfuを決定した。次いで、このマイクロタイタープレートをパラフィルムでカバーして密封し、そして4%CO2インキュベーター中で37℃で1時間穏やかに回転させた。次いで、このプレートを取り出し、そして各ウェル由来の22μlのサンプルをMueller−Hilton寒天上にプレートした。この培養プレートを4%CO2を用いて37℃で約18時間インキュベートした。このコロニーをカウントし、そして各試験ウェルについて生存%を決定した:生存%=([60分でのサンプルウェルのcfu]/[0分時点での熱不活化補体コントロールのcfu])×100。報告された殺菌性力価は、50%生存を生じた力価である。単一の実験からの結果が、表3に示される。結果はまた、図2Aおよび2Bに示され、図2Bは、複数の実験由来の平均力価を示している。
【0059】
表3にまとめられた結果としては、組み合わせワクチンが、NmBおよびNmCの両方について高力価の血清殺菌性抗体を惹起したことを示す。殺菌性NmC抗体力価は、キャリアとしてMF59を用いる組み合わせワクチンについてわずかに高かったが、MF59を用いる殺菌性NmB力価に対しては本質的に影響がなかった。興味深いことに、2〜5倍高いNmB殺菌性力価が、NmBワクチン単独よりも組み合わせワクチンで得られた。図2Aは、NmBを含む組み合わせワクチンにより誘導された髄膜炎菌性Bに対する抗体が殺菌性であったことを示す。図2Bは、NmC結合体を含む組み合わせワクチンにより誘導された髄膜炎菌性Cに対する抗体も殺菌性であったことを示す。
【0060】
【表3】

(実施例3:AlumとMF59アジュバントの比較)
図1Aおよび1Bに上記される動物由来の血清を比較し、そしてalumまたはMF59アジュバントのいずれかにおいて、NmB/NmC結合体によって作成されたMenC抗体応答およびMenB抗体応答を、実施例1および2に上記されるように検出した。この結果を表4に示す:
【0061】
【表4】

これらのデータは、髄膜炎菌Cに対する抗体応答が、MF59アジュバントを含むワクチンにおいて約6倍大きかったことを実証する。
【0062】
(実施例4:組み合わせワクチン対単価ワクチンによって生成された応答の比較)
図1Aおよび1Bにおいて上記された動物由来の血清を比較し、そしてNmB/NmC結合体によって生成されたMenC抗体応答およびMenB抗体応答を、実施例1および2に上記されるように、NmBワクチン単独またはNmC結合体単独(alum中)のいずれかによって生成された抗体応答と比較した。この結果を表5に示す:
【0063】
【表5】

これらのデータは、それぞれの単価ワクチン(NmBまたはNmC結合体のいずれか)によって誘導された応答に比べて、NmB/NmC結合体ワクチンの成分に対する抗体応答には有意な差が存在しないことを実証する。
【0064】
(実施例5:さらなる抗原の追加)
NmB/NmCの組み合わせは、他の病原性生物に対する抗原(例えば、NspA、HBsAg)を添加することによりさらに増強される。NmB/NmCに対しておよびさらなる抗原に対して、良好な免疫応答が観察される。
【0065】
(実施例6:NmBおよびNmC抗原の混合)
2996株MenBタンパク質「919」(例えば、WO99/57280、その図23および配列番号3069〜3074)、「287」(例えば、WO99/57280の図21;またその配列番号3103〜3108)、および「ORF1」(例えば、WO99/24578の実施例77;またWO99/55873を参照のこと)の3価混合物を用いてマウスを免疫した。NmC結合体の添加を用いてこの実験を繰り返した。水酸化アルミニウムをアジュバントとして用いた。
【0066】
相同な株およびまた異種MenB株に対する殺菌性アッセイにおいて測定した力価は以下の通りであった:
【0067】
【表6】

本出願は例示の目的でのみ本発明を記載しており、改変が、本発明の範囲および精神の内にあるままでなされ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−93942(P2011−93942A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−30293(P2011−30293)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2001−539477(P2001−539477)の分割
【原出願日】平成12年11月29日(2000.11.29)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】