説明

血漿分離膜モジュール

【課題】血漿の除去率を高率に維持しながらも、濾過流量の経時的な低下を抑制した血漿分離膜モジュール、及び、血小板を活性化するリスクを抑えた安全性の高い血漿分離膜モジュール、を提供すること。
【解決手段】本発明は、被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、
その内部に配置される中空糸膜束と、中空糸膜束と筒状ハウジングとを接着固定するポッティング部と、筒状ハウジングの端部にそれぞれ液密に固定される第一のヘッダ(濾液排出口を有する)及び第二のヘッダと、を備え、中空糸膜束は、筒状ハウジングとの間で被処理液導入口及び処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における第一のヘッダ側の端面を開口した状態で固定され、上記空間には、処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血漿分離膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
輸血や血液製剤の製造のためにされる献血は、全血献血と成分献血とに大別される。献血により採取された血液等の成分を物理的に分離することで、様々な種類の血液製剤が製造されており、全血献血により採取された血液からは全血製剤、濃厚赤血球製剤、洗浄赤血球製剤、血漿分画製剤等が製造され、成分献血により採取された特定の血液成分からは血小板製剤(例えば、濃厚血小板製剤、洗浄血小板製剤)、血漿分画製剤等が製造されている。
【0003】
血液製剤の中でも赤血球製剤や血小板製剤については、血液成分の分離過程で混入する血漿が非溶血性副作用の原因になることが指摘され、さらに血漿を分離・除去することが求められている。血液製剤から血漿を物理的に分離する代表的な方法としては、遠心分離法と膜分離法がある。膜分離法は、赤血球と血漿との分離(特許文献1及び2)によく用いられており、遠心分離法に比べて装置が小型かつ安価であり、血漿の高率的な除去が可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−290469号公報
【特許文献2】特開昭54−15476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、膜分離法では、血漿の除去率を高めようとすると血球成分や血小板が濃縮されて膜の表面にケーク層が積層し、濾過流量が経時的に低下する問題が生じていた。この問題を解消するための手法として、1)被処理液である血液製剤を膜の表面に沿って高流速で流し、ケーク層の積層を抑制するクロスフロー方式の濾過や、2)膜の外表面に沿って粗大気泡を上昇通過させ、ケーク層を剥離する空気揺動法の適用が考えられてきたが、いずれの方法であっても、血漿の除去率の低下や血小板の活性化を誘発する等の不具合を解消しきれないのが現状であった。
【0006】
そこで本発明は、血漿の除去率を高率に維持しながらも、濾過流量の経時的な低下を抑制した血漿分離膜モジュールを提供することを目的とする。また本発明は、血小板を活性化するリスクを抑えた安全性の高い血漿分離膜モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(16)に記載した血漿分離膜モジュール及び血漿の分離方法を提供する。
(1) 被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
(2) 被処理液導入口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、処理液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
(3) 処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、被処理液導入口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
(4) 筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、被処理液導入口及び処理液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
(5) 上記第一のポッティング部よりも上記第二のヘッダ側の位置に、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、上記第二のヘッダは、第二の濾液排出口を有し、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で、上記第一のポッティング部と上記第二のポッティング部との間に上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第二のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定され、上記粒体は、上記第一のポッティング部と上記第二のポッティング部との間の上記空間に内蔵されている、上記(1)に記載の血漿分離膜モジュール。
(6) 上記中空糸膜束は、長軸方向における上記第二のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記第二のヘッダ側の端部において、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定されている、上記(5)に記載の血漿分離膜モジュール。
(7) 上記第一のポッティング部よりも上記第二のヘッダ側の位置に、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間に上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第二のヘッダ側の端面を封止した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定され、上記粒体は、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間の上記空間に内蔵されている、上記(1)に記載の血漿分離膜モジュール。
(8) 上記中空糸膜束は、上記第二のヘッダ側の端部において、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定されている、上記(7)に記載の血漿分離膜モジュール。
(9) 上記中空糸膜束は、上記第一のヘッダ側の端部において、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定されている、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の血漿分離膜モジュール。
(10) 上記処理液排出口には、上記粒体の短径よりも小さい径の孔が開いたキャップがされている、上記(1)〜(9)のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
(11) 上記粒体の長径は、0.1〜50mmである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の血漿分離膜モジュール。
(12) 上記粒体の総体積は、上記粒体が内蔵されている上記空間の容積の1〜30%である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の血漿分離膜モジュール。
(13) 上記粒体の密度は、被処理液の密度の0.1〜0.9倍又は1.1〜10倍である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の血漿分離膜モジュール。
(14) 上記(1)〜(13)のいずれかに記載の血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から血液製剤を導入する導入工程と、上記血漿分離膜モジュールをシーソー撹拌又は回転撹拌する撹拌工程と、上記血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から気体及び/又は液体を導入し、上記血漿分離膜モジュールの処理液排出口から血小板及び/又は血球を回収する回収工程と、を備える、血漿の分離方法。
(15) 上記撹拌工程は、上記血漿分離膜モジュールを15度以上の角度でシーソー撹拌する工程である、上記(14)に記載の血漿の分離方法。
(16) 上記液体は、保存液である、上記(15)又は(16)に記載の血漿の分離方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の血漿分離膜モジュールは、血漿を高率に分離して血球成分又は血小板を濃縮することが可能であり、かつ、濾過流量の経時的な低下を抑制し血漿の分離速度を高めることができる。さらに本発明の血漿分離膜モジュールは、血小板を活性化することなく、血小板を濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【図4】本発明の第四実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【図5】本発明の第五実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【図6】本発明の第六実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。また、図面の比率は説明のものとは必ずしも一致しない。
【0011】
本発明の血漿分離膜モジュールは、被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていることを特徴としている。
【0012】
図1は、本発明の第一実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0013】
図1に示される血漿分離膜モジュール1は、筒状ハウジング10に被処理液導入口15及び処理液排出口16が設けられている。被処理液導入口及び処理液排出口はその一方又はいずれもが第二のヘッダに設けられていても構わないが、いずれもが筒状ハウジングに設けられていることが好ましい。
【0014】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。ここで、中空糸膜束がU字状に屈曲させた状態で筒状ハウジングの内部に配置されるような場合においては、第二のポッティング部が存在しなくとも構わない。
【0015】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10との間で被処理液導入口15及び処理液排出口16に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31で固定されている。
【0016】
中空糸膜束20は、図1に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0017】
第一のポッティング部は、図1に示されるように筒状ハウジング10の端部に位置していることが好ましい。
【0018】
上記の空間には、処理液排出口16を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。被処理液導入口及び処理液排出口に連通する空間に内蔵される粒体を、処理液排出口を通過しない形状とするための手段としては、例えば、キャップ72を、処理液排出口に粒体の短径よりも小さい径の孔が開いたキャップとすることや、処理液排出口の径を粒体の短径よりも小さくすること、並びに、処理液排出口に血球成分及び血小板を通過させるが粒体を通過させないサイズのフィルターを設けることが挙げられる。
【0019】
血漿分離膜モジュール1を傾けたり、回転させたりして粒体60を動かすと、その動きに応じて筒状ハウジング10の内部で被処理液の流れが発生して、ケーク層が剥離されるため、濾過流量の経時的な低下を抑制することができる。
【0020】
上記の粒体の長径は、粒体の総体積が等しいならば、多数の小さな粒体が存在する方がケーク層の剥離に好適であることから、50mm以下であることが好ましい。一方で、粒体が小さすぎる場合には、処理液排出口を通過させないようにすると濾過抵抗が過大となり、処理液排出口の詰まりも生じることから、0.1mm以上であることが好ましい。なお、上記の粒体の形状は、中空糸膜の損傷を防ぐために、真球度が高いことが好ましい。
【0021】
上記粒体の総体積は、上記粒体が内蔵されている上記空間の容積の1〜30%であることが好ましい。上記空間に対する上記粒体の総体積の割合が小さい場合には、十分なケーク層の剥離効果が得られない一方で、上記空間に対する上記粒体の総体積の割合が大きすぎる場合には、粒体同士の干渉によりその動きが制限され、やはり十分なケーク層の剥離効果が得られないばかりか、中空糸膜束が効果的に活用されないこととなる。
【0022】
上記粒体の密度は、粒体が上記空間において適度な速度で動くよう、被処理液の密度の0.1〜0.9倍又は1.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜0.7倍又は1.5〜10倍であることがより好ましい。粒体と被処理液との密度の差が小さい場合には、十分なケーク層の剥離効果が得られない一方で、粒体と被処理液との密度の差が大きすぎる場合には、中空糸膜に損傷を与えかねない。なお、粒体の密度は、粒体の素材の変更又は粒体内部に空隙を設けること等によって適宜調整することができる。
【0023】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダは、筒状ハウジング10の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二のヘッダ50は、筒状ハウジング10の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0024】
中空糸膜束を構成する中空糸膜の素材としては、例えば、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリルニトリル又はポリスルホン若しくはポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマーが挙げられるが、透水性能や血液成分の分離性能に優れるポリスルホン系ポリマーが好ましい。
【0025】
中空糸膜束を構成する中空糸膜は、これと接触した血液成分の活性化を防ぐために、表面に親水性成分が固定化されていることが好ましい。ここで親水性成分とは、水に易溶な物質であって、かつ、20℃の純水に対して10g/100g以上の溶解度を有するものをいう。
【0026】
親水性成分としては、溶出の懸念がより少ないため、高分子化合物が好ましい。親水性成分たる高分子化合物としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、N,N′−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、エチレングリコール若しくはプロピレングリコールをモノマーとする単独重合体又はこれら化合物の少なくとも一つをモノマーとして含む共重合体が挙げられる。
【0027】
中空糸膜の表面に親水性成分を固定化する方法としては、例えば、物理的吸着によるコーティング法、熱若しくは放射線による架橋法又は化学反応による化学結合法が挙げられる。
【0028】
中空糸膜束を構成する中空糸膜の孔径は、大きさがおよそ6〜30μmの血球成分及び1〜4μmの血小板を捕捉する一方で、大きさがおよそ10nm以下の血漿成分が通過できるよう、0.1〜1μmであることが好ましい。また、中空糸膜束の透水性能は、濾過速度を適当なものにするため、7ml/min/hr/Pa/m以上であることが好ましく、30ml/min/hr/Pa/m以上であることがより好ましい。
【0029】
本発明の血漿分離膜モジュールにおいて、筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜の充填率は、5〜65%であることが好ましく、15〜50%であることがより好ましい。中空糸膜の充填率が高すぎる場合には、内蔵された粒体の動きが制限され、十分なケーク層の剥離効果が得られないばかりか、中空糸膜束が効果的に活用されないこととなる。一方で、中空糸膜の充填率が低すぎる場合には、血漿分離膜モジュールのサイズが大きくなり、その取扱が面倒なものとなる。ここで中空糸膜の充填率とは、筒状ハウジングの内部の容積に対する、中空糸膜束の体積(中空部を含む)の割合をいう。
【0030】
粒体についても、中空糸膜束を構成する中空糸膜と同様に表面に親水性成分が固定化されているか、親水性成分を素材として成形されていることが好ましい。
【0031】
本発明の血漿分離膜モジュールは、被処理液導入口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、処理液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていることを特徴とする。
【0032】
図2は、本発明の第二実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0033】
図2に示される血漿分離膜モジュール2は、筒状ハウジング11に被処理液導入口17が設けられており、第二のヘッダ51に処理液排出口55が設けられている。
【0034】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング11の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング11の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0035】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング11との間で被処理液導入口17及び処理液排出口55に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31で固定されている。
【0036】
中空糸膜束20は、図2に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング11の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0037】
第一のポッティング部は、図2に示されるように筒状ハウジング11の端部に位置していることが好ましい。
【0038】
上記の空間には、処理液排出口55を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。
【0039】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダ40は、筒状ハウジング11の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二のヘッダ51は、筒状ハウジング11の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0040】
本発明の血漿分離膜モジュールは、処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、被処理液導入口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていることを特徴としている。
【0041】
図3は、本発明の第三実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0042】
図3に示される血漿分離膜モジュール3は、筒状ハウジング11に処理液排出口18が設けられており、第二のヘッダ51に被処理液導入口56が設けられている。
【0043】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング11の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング11の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0044】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング11との間で被処理液導入口56及び処理液排出口18に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31で固定されている。
【0045】
中空糸膜束20は、図3に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング11の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0046】
第一のポッティング部は、図3に示されるように筒状ハウジング11の端部に位置していることが好ましい。
【0047】
上記の空間には、処理液排出口18を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。
【0048】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダ40は、筒状ハウジング11の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二のヘッダ51は、筒状ハウジング11の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0049】
本発明の血漿分離膜モジュールは、筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、被処理液導入口及び処理液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていることを特徴としている。
【0050】
図4は、本発明の第四実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0051】
図4に示される血漿分離膜モジュール4は、筒状ハウジング12には被処理液導入口も処理液排出口も設けられておらず、第二のヘッダ52に被処理液導入口57及び処理液排出口58が設けられている。
【0052】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング12の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング12の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0053】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング12との間で被処理液導入口57及び処理液排出口58に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31で固定されている。
【0054】
中空糸膜束20は、図4に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング12の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0055】
第一のポッティング部は、図4に示されるように筒状ハウジング12の端部に位置していることが好ましい。
【0056】
上記の空間には、処理液排出口58を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。
【0057】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダ40は、筒状ハウジング12の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二のヘッダ52は、筒状ハウジング12の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0058】
本発明の血漿分離膜モジュールは、被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていること、及び、上記第一のポッティング部よりも上記第二のヘッダ側の位置に、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、上記第二のヘッダは、第二の濾液排出口を有し、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で、上記第一のポッティング部と上記第二のポッティング部との間に上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第二のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定され、上記粒体は、上記第一のポッティング部と上記第二のポッティング部との間の上記空間に内蔵されていることを特徴としている。
【0059】
図5は、本発明の第五実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0060】
図5に示される血漿分離膜モジュール5は、筒状ハウジング10に被処理液導入口15及び処理液排出口16が設けられている。
【0061】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されており、さらに、第二のヘッダ53側の端部において、筒状ハウジング10の内壁と第二のポッティング部32で液密に固定されている。
【0062】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10との間で被処理液導入口15及び処理液排出口16に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31及び第二のポッティング部32で固定されている。血漿分離膜モジュール5のように第一のポッティング部及び第二のポッティング部の両方を備える場合にあっては、被処理液導入口及び処理液排出口はいずれも筒状ハウジングに設けられている必要があり、かつ、被処理液導入口及び処理液排出口はいずれも、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間に位置するように設けられている必要がある。
【0063】
中空糸膜束20は、図5に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0064】
また、中空糸膜束20は、図5に示されるように長軸方向における第二のヘッダ53側の端面22を開口した状態で、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部32で液密に固定されている。
【0065】
第一のポッティング部及び第二のポッティング部は、図5に示されるように筒状ハウジング10のそれぞれの端部に位置していることが好ましい。
【0066】
上記の空間には、処理液排出口16を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。
【0067】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダ40は、筒状ハウジング10の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二の濾液排出口54が設けられた第二のヘッダ53は、筒状ハウジング10の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0068】
本発明の血漿分離膜モジュールは、被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、上記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、第一の濾液排出口を有し、かつ、上記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、上記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、を備える血漿分離膜モジュールであり、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第一のポッティング部で液密に固定され、上記空間には、上記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されていること、及び、上記第一のポッティング部よりも上記第二のヘッダ側の位置に、上記中空糸膜束と上記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、上記中空糸膜束は、上記筒状ハウジングとの間で、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間に上記被処理液導入口及び上記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における上記第二のヘッダ側の端面を封止した状態で、上記筒状ハウジングの内壁と上記第二のポッティング部で液密に固定され、上記粒体は、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間の上記空間に内蔵されていることを特徴としている。
【0069】
図6は、本発明の第六実施形態に係る血漿分離膜モジュールの長軸方向に対して水平な断面を示す概略図である。
【0070】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10の内部に配置されている。また、中空糸膜束20は、第一のヘッダ40側の端部において、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されており、さらに、第二のヘッダ50側の端部において、筒状ハウジング10の内壁と第二のポッティング部33で液密に固定されている。
【0071】
中空糸膜束20は、筒状ハウジング10との間で被処理液導入口15及び処理液排出口16に連通する空間が形成されるように、第一のポッティング部31及び第二のポッティング部33で固定されている。血漿分離膜モジュール6のように第一のポッティング部及び第二のポッティング部の両方を備える場合にあっては、被処理液導入口及び処理液排出口はいずれも筒状ハウジングに設けられている必要があり、かつ、被処理液導入口及び処理液排出口はいずれも、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間に位置するように設けられている必要がある。
【0072】
中空糸膜束20は、図6に示されるように長軸方向における第一のヘッダ40側の端面21を開口した状態で、筒状ハウジング10の内壁と第一のポッティング部31で液密に固定されている。
【0073】
第一のポッティング部及び第二のポッティング部は、図6に示されるように筒状ハウジング10のそれぞれの端部に位置していることが好ましい。
【0074】
中空糸膜束20は、図6に示されるように長軸方向における第二のヘッダ50側の端面を封止した状態で、筒状ハウジング10の内壁と第二のポッティング部33で液密に固定されていることが好ましい。
【0075】
上記の空間には、処理液排出口16を通過しない形状の粒体60が内蔵されている。
【0076】
第一の濾液排出口41が設けられた第一のヘッダ40は、筒状ハウジング10の一方の端部すなわち第一の端部に、液密に固定されている。また、第二のヘッダ50は、筒状ハウジング10の他方の端部すなわち第二の端部に、液密に固定されている。
【0077】
本発明の血漿の分離方法は、本発明の血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から血液製剤を導入する導入工程と、上記血漿分離膜モジュールをシーソー撹拌又は回転撹拌する撹拌工程と、上記血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から気体及び/又は液体を導入し、上記血漿分離膜モジュールの処理液排出口から血小板及び/又は血球を回収する回収工程と、を備えることを特徴とする。
【0078】
上記の導入工程において被処理液導入口から血漿分離膜モジュールの内部に導入された被処理液すなわち血液製剤に含まれる血漿は、中空糸膜を通過してその中空部に入り、濾液排出口から留出する。その一方で、血液製剤に含まれる血球成分及び血小板は、中空糸膜を通過することができず、血漿分離膜モジュールの内部に留まって濃縮されていく。
【0079】
上記の撹拌工程は、導入工程において内部に血液製剤が導入された血漿分離膜モジュールを、シーソー撹拌又は回転撹拌し、血漿分離膜モジュールの内部に内蔵された粒体を動かして中空糸膜の表面に積層したケーク層を剥離する工程であるが、導入工程を開始する前に予めシーソー撹拌又は回転撹拌を開始しておいても構わないし、導入工程開始と同時又は導入工程中に撹拌工程を開始しても構わない。
【0080】
「シーソー撹拌」とは、血漿分離膜モジュールの長軸方向が水平となる状態を角度0度とした場合において、角度0度の状態にある血漿分離膜モジュールを一定の角度まで傾け、これを再び角度0度の状態に戻してからさらに一定の負の角度に傾け、最後に角度0度の状態に戻すことを1サイクルとして、このサイクルを繰り返す撹拌方法をいう。
【0081】
上記のシーソー撹拌における一定の角度又は一定の負の角度は、粒体が上記空間において大きく動くよう、15度以上が好ましく、40度以上がより好ましい。
【0082】
上記のシーソー撹拌における1サイクルに要する時間は、これが短いほど粒体の動く回数が増え、ケーク層の剥離効果が高まる一方で、この時間があまりに短い場合には粒体が動き出す前に血漿分離膜モジュールが角度0度の状態に戻ってしまい、粒体が動く回数が低減しかねないことから、1.2〜30秒が好ましい。なお、上記のシーソー撹拌における1サイクルに要する最適時間は、粒体の密度によっても異なるものである。
【0083】
「回転撹拌」とは、血漿分離膜モジュールの長軸方向が水平となる状態を角度0度とした場合において、血漿分離膜モジュールの長軸方向と垂直に交わる一の直線を軸として血漿分離膜モジュール360度回転させて、再び角度0度の状態に戻すことを1サイクルとして、このサイクルを繰り返す撹拌方法をいう。
【0084】
上記の回転撹拌における血漿分離膜モジュールの回転方向としては、一定方向にのみ継続して回転させてもよいし、途中で逆回転をさせても構わないが、血漿分離膜モジュールに接続したチューブ等のねじれを考慮すると、途中で適宜逆回転をさせることが好ましい。
【0085】
上記の回転撹拌における1サイクルに要する時間は、シーソー撹拌と同様の理由から、1.2〜30秒が好ましい。
【0086】
上記の導入工程及び/又は撹拌工程の際に、処理液排出口を閉止しておく全量濾過法と、処理液排出口を開放しておくクロスフロー濾過法と、の2つの濾過方式が考えられる。後者のクロスフロー濾過法は、中空糸膜束の表面付近で生じる処理液の流れによって、ケーク層の積層が抑制されるというメリットを有する。しかしながらその一方で、血漿の除去率を高めることができないことから、本発明の血漿の分離方法においては、導入工程及び撹拌工程の最中に処理液を排出することのない、全量濾過法を採用することが好ましい。本発明の血漿分離膜モジュールによれば、ケーク層の積層という従来の全量濾過法の問題点を解消しながら、血漿の除去率を顕著に高めることが可能である。このため、本発明の血漿分離膜モジュールは、全量濾過法による導入工程及び撹拌工程を備える本発明の血漿の分離方法において、特に好適に用いられるものである。
【0087】
上記の導入工程及び/又は撹拌工程の際に、血漿分離膜モジュールの内部に空気が混入すると血液成分が活性化されてしまうことから、血漿分離膜モジュールの内部に混入する空気は、上記粒体が内蔵されている上記空間の容積の5%以下に抑えられることが好ましく、1%以下に抑えられることがより好ましい。
【0088】
上記の回収工程は、導入工程及び撹拌工程の終了後、すなわち被処理液の濾過操作の終了後に、上記血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から気体及び/又は液体を導入し、上記血漿分離膜モジュールの処理液排出口から、血漿の除去により濃縮された血小板及び/又は血球を回収する工程である。
【0089】
回収工程において用いる液体としては、保存液が好ましい。ここで保存液とは、血液製剤の調製に用いられる液体をいい、例えば、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ブドウ糖及びリン酸二水素ナトリウムといった成分を含有する血液保存液C液が挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
15重量部のポリスルホン樹脂(P−3500;アモコ社)、7部のポリビニルピロリドン(K−90;分子量120万;BASF社)、75重量部のジメチルアセトアミド及び3重量部の水を110℃で14hr撹拌して溶解したものを紡糸原液とした。また、30重量部のポリビニルピロリドン(K−30;分子量40万;BASF社)、15重量部のグリセリン及び55重量部のジメチルアセトアミドを混合したものを注入液とした。
【0092】
37℃の紡糸原液を外径1000μm、内径700μm、注入孔450μmの環状スリット口金から、注入液と共に37℃、露点35℃の空気中に吐出し、70mm下方の80℃の凝固浴中へ浸漬し、さらに温水浴を通過せしめた後、カセに巻き取り束ねて湿潤状態の中空糸膜を得た。得られた湿潤状態の中空糸膜の束を30cmの長さにカットし、90℃の温水シャワーで洗浄した。この時点での中空糸膜の外径は460μm、内径は290μmであった。温水洗浄した中空糸膜は100℃で3時間乾燥し、続いて135℃の乾熱下で4hr、140℃の乾熱下で1hr、それぞれ処理し、さらに90℃の温水シャワーで洗浄してから100℃で3時間乾燥することで、中空糸膜を得た。
【0093】
得られた中空糸膜260本を中空糸膜束20として、長さ20cm、内径1.8cmの2つのノズルを有する筒状ハウジング10に挿入し、中空糸膜束20を筒状ハウジング10の内部に配置した。筒状ハウジング10が有する二つのノズルの一方を被処理液導入口15とし、他方のノズルを処理液排出口16とした。
【0094】
中空糸膜束20を、筒状ハウジング10の両方の端部にそれぞれ第一のポッティング部31及び第二のポッティング部33が形成されるように、ウレタン樹脂すなわちポッティング樹脂で固定化した。より具体的には、筒状ハウジング10の長軸方向における被処理液導入口15側の端部において、第二のポッティング部33が形成されるように中空糸膜束20をポッティング樹脂で固定化し、さらに、筒状ハウジング10の長軸方向における処理液排出口16側の端部において、第一のポッティング部31が形成されるように中空糸膜束20をポッティング樹脂で固定化した。ここで、第一のポッティング部31側の中空糸膜束20の端面21は開口した状態となるようにし、かつ、第二のポッティング部32側の中空糸膜束20の端面22は第二のポッティング部33により封止された状態となるようにした。
【0095】
第一のポッティング部31側の筒状ハウジング10の端部に、第一の濾液排出口41を有する第一のヘッダ40を、液密になるように取り付けた。また、第二のポッティング部33側の筒状ハウジング10の端部に、第一のヘッダ50を取り付けた。
【0096】
中空糸膜束20と、筒状ハウジング10との間で形成された、被処理液導入口15及び前記処理液排出口16に連通する空間に、直径6mm、比重2.43のガラス製の球体(BZ−6;アズワン)すなわち粒体60を、5.0g入れた。
【0097】
被処理液導入口15及び処理液排出口16に、いずれも出口直径が2.5mmとなるようなキャップ71及び72をそれぞれ取り付け、血漿分離膜モジュール6を作製した。
【0098】
ウシ血液を25℃、3000回転/分の条件で30分間遠心分離し、濃厚赤血球(下層)と血漿(上層)に分離した。得られた濃厚赤血球の赤血球体積分率を測定してから、適宜血漿を加えて、赤血球体積分率10%の赤血球液を調製した。
【0099】
調製した赤血球液を被処理液として、作製した血漿分離膜モジュール6を用いた血漿の分離方法を実行した。まず、導入工程として、血漿分離膜モジュール6の被処理液導入口15から赤血球液を導入し、血漿分離膜モジュール6の内部を赤血球液で満たした。
【0100】
次に、処理液排出口16を封止してから、被処理液導入口15及び処理液排出口16を上に向けた状態で、撹拌工程として、角度45度、1サイクルあたりの時間が6.7秒のシーソー撹拌をしながら、12.8kPaの圧力で被処理液を10分間濾過した。この撹拌工程の間に第一の濾液排出口41から排出された濾液の量を測定し、V1とした。
【0101】
同じく血漿分離膜モジュール6を用いて、血漿を被処理液として、赤血球液を被処理液とした場合と同様の導入工程及び撹拌工程を実施し、撹拌工程の間に第一の濾液排出口41から排出された濾液の量を測定し、V2とした。
【0102】
測定したV1及びV2の値並びに以下の式1及び式2から、濾過量維持率と血漿除去率をそれぞれ算出した。結果を表1に示す。ここで濾過量維持率は、ケーク層の積層が生じ得ない、血漿のみを濾過した場合の濾液の量V2で、赤血球液を濾過した場合の濾液の量V1を除した値であり、この値が大きいほど、ケーク層の積層による濾過流量への影響が小さいことを示す。例えば、中空糸膜の性能を十分に活かしながら濾過速度を上げるためには、10分経過時点の濾過量維持率は、2%以上であることが好ましいと考えられる。また、血漿除去率は、血漿分離膜モジュール6に導入された赤血球液の全量に対する、V1の比であって、一定時間経過後の値が大きいほど、より短時間での血漿除去が可能であることを示す。例えば、10分経過時点の血漿除去率は、30%以上であることが好ましいと考えられる。

濾過量維持率(%) = V1(mL)÷V2(mL)×100 ・・・・式1
血漿除去率(%) =
V1÷(粒体が内蔵されている空間の容積+V1)×100 ・・・・式2

【0103】
シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された粒体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は3.2%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も42%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0104】
(実施例2)
粒体60を直径1mm、比重2.43のガラス製の球体(アズワン製 BZ−1)5.0gに変更し、かつ、処理液排出口16に孔径0.1mmのフィルターを取り付けた以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された球体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は8.9%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も67%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0105】
(実施例3)
粒体60を直径0.1mm、比重2.43のガラス製の球体(アズワン製 BZ−01)5.0gに変更し、かつ、処理液排出口16に孔径0.05mmのフィルターを取り付けた以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された球体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は13.5%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も75%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0106】
(実施例4)
粒体60を直径0.1mm、比重2.43のガラス製の球体(アズワン製 BZ−01)0.95gに変更し、かつ、処理液排出口16に孔径0.05mmのフィルターを取り付けた以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された球体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は7.7%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も63%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0107】
(実施例5)
粒体60を直径3.2mm、比重1.14のポリアミド樹脂製の球体(アズワン製 ナイロン球ND−1)2.0gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された球体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は2.3%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も34%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0108】
(実施例6)
粒体60を直径3.2mm、比重0.91のポリプロピレン製の球体(アズワン製 PP球1/8インチ)1.6gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌によって血漿分離膜モジュールに内蔵された球体が動き、積層したケーク層が剥離されたことから、濾過量維持率は2.8%と高い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も39%と高い値であり、短時間での血漿除去が可能であることが示された。
【0109】
(比較例1)
粒体60を一切入れなかった以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌をしたものの粒体が内蔵されていないことから積層したケーク層は剥離されず、濾過量維持率は1.6%と低い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も26%と低い値であり、血漿除去に長時間を要することが示された。
【0110】
(比較例2)
シーソー撹拌の角度を12度に変更した以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌をしたもののその角度が小さく、血漿分離膜モジュールに内蔵された球体の動きが小さくなったことから積層したケーク層は十分に剥離されず、濾過量維持率は1.6%と低い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も27%と低い値であり、血漿除去に長時間を要することが示された。
【0111】
(比較例3)
粒体60を直径1mm、比重2.43のガラス製の球体(アズワン製 BZ−1)5.0gに変更し、処理液排出口16に孔径0.1mmのフィルターを取り付け、かつ、シーソー撹拌の角度を12度に変更した以外は、実施例1と同様の方法で血漿分離膜モジュール6を作製し、実施例1と同様の方法で濾過量維持率及び血漿除去率を評価した。結果を表1に示す。シーソー撹拌をしたもののその角度が小さく、血漿分離膜モジュールに内蔵された球体の動きが小さくなったことから積層したケーク層は十分に剥離されず、濾過量維持率は1.7%と低い値となった。また、10分経過時点での血漿除去率も28%と低い値であり、血漿除去に長時間を要することが示された。
【0112】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、医療分野において血液製剤の製造のための血漿分離膜モジュールとして用いることができる。
【符号の説明】
【0114】
1,2,3,4,5,6・・・・血漿分離膜モジュール、10,11,12・・・筒状ハウジング、15,17,56,57・・・被処理液導入口、16,18,55,58・・・処理液排出口、20・・・中空糸膜束、21,22・・・中空糸膜束の端面、31・・・第一のポッティング部、32,33・・・第2のポッティング部、40・・・第一のヘッダ、41・・・第一の濾液排出口、50,51,52,53・・・第二のヘッダ、60・・・粒体、71,72・・・キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液導入口及び処理液排出口を有する筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、
前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、
第一の濾液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、
前記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、
を備える血漿分離膜モジュールであり、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で前記被処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第一のポッティング部で液密に固定され、
前記空間には、前記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
【請求項2】
被処理液導入口を有する筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、
前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、
第一の濾液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、
処理液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、
を備える血漿分離膜モジュールであり、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で前記被処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第一のポッティング部で液密に固定され、
前記空間には、前記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
【請求項3】
処理液排出口を有する筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、
前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、
第一の濾液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、
被処理液導入口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、
を備える血漿分離膜モジュールであり、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で前記被処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第一のポッティング部で液密に固定され、
前記空間には、前記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
【請求項4】
筒状ハウジングと、
前記筒状ハウジングの内部に配置される中空糸膜束と、
前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第一のポッティング部と、
第一の濾液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第一の端部に液密に固定される第一のヘッダと、
被処理液導入口及び処理液排出口を有し、かつ、前記筒状ハウジングの第二の端部に液密に固定される第二のヘッダと、
を備える血漿分離膜モジュールであり、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で前記被処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第一のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第一のポッティング部で液密に固定され、
前記空間には、前記処理液排出口を通過しない形状の粒体が内蔵されている、血漿分離膜モジュール。
【請求項5】
前記第一のポッティング部よりも前記第二のヘッダ側の位置に、前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、
前記第二のヘッダは、第二の濾液排出口を有し、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で、前記第一のポッティング部と前記第二のポッティング部との間に前記被処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第二のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第二のポッティング部で液密に固定され、
前記粒体は、前記第一のポッティング部と前記第二のポッティング部との間の前記空間に内蔵されている、
請求項1記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項6】
前記中空糸膜束は、長軸方向における前記第二のヘッダ側の端面を開口した状態で、前記第二のヘッダ側の端部において、前記筒状ハウジングの内壁と前記第二のポッティング部で液密に固定されている、
請求項5記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項7】
前記第一のポッティング部よりも前記第二のヘッダ側の位置に、前記中空糸膜束と前記筒状ハウジングの内壁とを接着固定する第二のポッティング部を備え、
前記中空糸膜束は、前記筒状ハウジングとの間で、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間に前記処理液導入口及び前記処理液排出口に連通する空間が形成されるように、長軸方向における前記第二のヘッダ側の端面を封止した状態で、前記筒状ハウジングの内壁と前記第二のポッティング部で液密に固定され、
前記粒体は、第一のポッティング部と第二のポッティング部との間の前記空間に内蔵されている、
請求項1記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項8】
前記中空糸膜束は、前記第二のヘッダ側の端部において、前記筒状ハウジングの内壁と前記第二のポッティング部で液密に固定されている、請求項7記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項9】
前記中空糸膜束は、前記第一のヘッダ側の端部において、前記筒状ハウジングの内壁と前記第一のポッティング部で液密に固定されている、請求項1〜8のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項10】
前記処理液排出口には、前記粒体の短径よりも小さい径の孔が開いたキャップがされている、請求項1〜9のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項11】
前記粒体の長径は、0.1〜50mmである、請求項1〜10のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項12】
前記粒体の総体積は、前記粒体が内蔵されている前記空間の容積の1〜30%である、請求項1〜11のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項13】
前記粒体の密度は、被処理液の密度の0.1〜0.9倍又は1.1〜10倍である、請求項1〜12のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュール。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から血液製剤を導入する導入工程と、
前記血漿分離膜モジュールをシーソー撹拌又は回転撹拌する撹拌工程と、
前記血漿分離膜モジュールの被処理液導入口から気体及び/又は液体を導入し、前記血漿分離膜モジュールの処理液排出口から血小板及び/又は血球を回収する回収工程と、
を備える、血漿の分離方法。
【請求項15】
前記撹拌工程は、前記血漿分離膜モジュールを15度以上の角度でシーソー撹拌する工程である、請求項14記載の血漿の分離方法。
【請求項16】
前記液体は、保存液である、請求項14又は15記載の血漿の分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176081(P2012−176081A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39981(P2011−39981)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】