説明

血漿回収方法及び血漿回収器具

【課題】小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない。
【解決手段】血漿回収器具10は、水平方向に形成された1本の長尺な空間であって、力方向の深さが10μm〜1mmのマイクロ空間14と、該マイクロ空間14に対して重力方向上向きに連通する回収流路20と、マイクロ空間14の長尺一方端に形成されて大気に連通する液溜め部22、長尺他方端に形成されて大気に連通する空気抜き部24と、回収流路20の先端に形成されて大気に連通する吸引部26と、が基板12A内部に形成された器具本体12と、液溜め部22を介してマイクロ空間14に血液Aを充填する注射器16と、吸引部26に接続されるシリンジポンプ18と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血漿回収方法及び血漿回収器具に係り、特に血液検査の前処理として、血液中の血球を分離除去して血漿のみを回収する血漿回収方法及び血漿回収器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査を行う場合、真空採血管により数mLの血液を測定項目に応じて採取し、真空採血管を各種の自動分析機にセットする。自動分析装置は大型であり、病院によっては装置をもたず検査センターに依頼して血液を検査することも多々ある。そのため、検査結果が出るまでに時間を要しているのが現状である。緊急を要する検査を行う場合は、検査装置のある施設へ出向く必要があり、高齢者、病人にとっては検査自体が身体的に負担となる。また、血液検査をもっと気軽に、頻繁に行う環境が出来れば、病気に対する予防が進み、生活の質を高めることが出来る。
【0003】
ところで、血液検査に使用する血液は光学的に分析されるため、血液中の血球、特に赤血球は測定を妨害しやすい。また、採血後、全血のまま放置すれば、時間とともに血球の内容物が血漿中に溶出するため、本来の血漿成分値を反映できないことになる。この為、高精度の検査結果を得るためには、血液検査の前処理として、血液から血球を分離した血漿(血清も含むものとする)のみを検体とする処理が必要になる。この場合、大がかりな血漿回収装置を備えた大病院や検査センターに限らず、血液検査を実施するその場で、血液から血球を分離除去して血漿のみを簡単に回収できるようにするには、装置を簡単な検査器具のように小型化し、且つ血漿回収方法を簡便化することが重要である。また、血液検査を受ける患者の身体的、心理的負担を減らすためには、少量の採血量で検査できることが必要である。
【0004】
このような背景から、血漿回収方法及び装置としては、次のことが要求されている。
【0005】
(1)血漿回収操作を小型な器具で、簡便に且つ少量の血液量で行うことができること。例えば、血液採取を容易にし、誰でもどこでも検査できるようにするためには、ランセットにより採取できる血液量を多くても数十μL程度まで少なくする必要がある。
【0006】
(2)生血は時間がたつと変化するため、血漿回収までの時間、即ち血漿と血球とを分離する分離時間をできるだけ短くできること。
【0007】
(3)分離助剤等の薬剤は検査精度を低下する懸念があり、使用しないこと。
【0008】
従来の血漿回収装置又は器具としては次のものがある。
【0009】
特許文献1は、遠心分離法によって血漿と血球を分離する方法であり、分離に長い時間がかかるという問題があるだけでなく、血球分離後に血液検査装置に血漿を入れ替える手間がある。特許文献2は、遠心分離法における装置の大型化を改良したものであり、マイクロチップ内に血液を導入し、マイクロチップごと遠心分離機にかける方法を提案しているが、装置が高速回転部を必須とするために、装置の小型化には限度がある。
【0010】
特許文献3は、膜分離法によって血漿と血球を分離する方法であり、極微量の血液を採取し分離することができるが、この方法を実現するためには採取した血液の希釈や、微小な容器内から検査すべき血漿を抜き取る操作があり、操作が煩雑になる。また、膜分離法は膜自体に保水力があるため、検体の一部を損失し易いだけでなく、加圧により血液をフィルター内に押し出す必要があるため、目詰まりが生じたり、溶血したりするという問題がある。
【0011】
特許文献4は、遠心分離や膜分離以外の方法であり、血液を導入する基板表面上に陽イオン交換物質と陰イオン交換物質とを交互に積層することにより、基盤表面上を陽イオンに帯電させ、陰イオンに帯電している赤血球(血球の一部)を電気的に捕捉する方法である。しかし、この方法はコーティング作業が繁雑になるという問題があるだけでなく、血漿中の成分が静電的に吸着する恐れが十分考えられる。
【0012】
また、特許文献5も遠心分離や膜分離以外の方法であり、微量血液に凝集剤を混和し、生成した凝集塊を流路構造で沈降させることによって、血液の固形成分と液体成分を分離する方法である。しかし、この方法は、流路が複雑な形状を持つことや、凝集作用が現れるまで時間がかかるという問題があるだけでなく、凝集剤による血液検査への悪影響が懸念される。
【特許文献1】特開2003−83958号公報
【特許文献2】特開2006−52950号公報
【特許文献3】特開2003−270239号公報
【特許文献4】特開2000−171461号公報
【特許文献5】特開2005−292092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記したように、従来の血漿回収方法や装置は、一長一短があり、上記した(1)〜(3)の要求を満足するものではない。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない血漿回収方法及び血漿回収器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、血液から血球を分離して血漿を回収する血漿回収方法において、水平方向に形成された少なくとも1本の長尺な空間であって重力方向の深さが10μm〜1mmのマイクロ空間と、該マイクロ空間に対して前記重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間よりも等価直径の小さな回収流路とのうちの前記マイクロ空間に血液を充填する充填工程と、前記マイクロ空間内に前記血液を所定時間静置して、該血液を重力により血漿と血球とに固液分離する固液分離工程と、前記回収流路を吸引して前記固液分離された上澄液の血漿を回収する回収工程と、を備えたことを特徴とする血漿回収方法を提供する。
【0016】
本発明の請求項1によれば、血液中の血球が重力の作用で自然沈降する現象を、重力方向の深さが10μm〜1mmと極めて狭いマイクロ空間で行うと共に、マイクロ空間と回収流路との等価直径の関係、及びマイクロ空間(水平方向)に対する回収流路の角度(重力方向)を工夫して、上記の充填工程、固液分離工程、及び回収工程を行うようにしたので、小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない。
【0017】
即ち、充填工程では、重力方向に対して直交する水平方向に形成された少なくとも1本の長尺な空間であって、その深さが重力方向に10μm〜1mmと極めて狭いマイクロ空間と、該マイクロ空間に対して重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間よりも等価直径の小さな回収流路とのうちのマイクロ空間に血液を充填する。ここで、マイクロ空間の重力方向の深さを10μm〜1mmとしたのは、血球のサイズが8μm程度であり、10μm以上ないと、沈降距離が確保できないためであり、沈降距離として1mmあれば血漿と血球の分離に十分だからである。マイクロ空間の深さは、好ましくは20μm〜500μmの範囲、より好ましくは20μm〜200μmの範囲、特に好ましくは20μm〜100μmの範囲である。
【0018】
そして、固液分離工程において、マイクロ空間内に血液を所定時間静置して、該血液を重力により血漿と血球とに固液分離する。このように重力方向の距離が極めて短いマイクロ空間を利用して血漿と血球とを分離することで、少量の血液量で極めて短時間での分離が可能になる。血球の沈降速度は、凝集を考えないと、おおよそ3μm/秒であり、仮にマイクロ空間の重力方向の深さが500μmとすると、沈降が完了するまで5分も要しない。この場合、血漿と血球との分離時間を短くするには、血液がマイクロ空間のみに充填され、回収流路に血液が達しないようにすることが重要である。回収流路まで血液が充填されると、血球が沈降する実質的距離が長くなって分離に時間がかかる。
【0019】
本発明では、回収流路の等価直径をマイクロ空間の等価直径よりも小さくしてあるので、マイクロ空間から回収流路に血液が流れ込みにくくすることができる。回収流路の等価直径は、血液の表面張力との関係で決定されるが、マイクロ空間の等価直径の半分以下であることが好ましい。
【0020】
次に、マイクロ空間の血液を所定時間静置したら、回収流路を吸引して固液分離された上澄液の血漿を回収する。この回収工程において重要なことは、上記したように回収流路の等価直径がマイクロ空間の等価直径よりも小さく、且つ回収流路が水平なマイクロ空間に対して重力方向上向きに立設していることである。これにより、回収流路に発生させる吸引力を適切に調整すれば、血漿を回収する際に沈降した血球が舞い上がらないようにすることができる。従って、固液分離工程で一旦沈降した血球が、回収工程で回収された血漿に再び混在するのを防止できる。
請求項2は請求項1において、前記充填工程は、前記マイクロ空間の長尺一端側に形成された液溜め部に血液を注入し、前記回収流路を封止又は加圧した状態で、前記マイクロ空間の長尺他方端に形成された空気抜き部から前記マイクロ空間のエアを吸引するか又は前記液溜め部を加圧することにより、前記液溜め部の血液を前記回収流路内まで達しないように前記マイクロ空間に充填することを特徴とする。
【0021】
請求項2は、マイクロ空間に充填する血液が回収流路内まで達しないように充填するための好ましい方法を記載したものである。先ず、マイクロ空間の長尺一端側に形成された液溜め部に血液を注入する。この状態で、回収流路を封止状態又は加圧状態で、マイクロ空間の長尺他方端に形成された空気抜き部からマイクロ空間のエアを少しずつ吸引するか、あるいは、液溜め部を加圧して液溜め部の血液をマイクロ空間に押し込む。
【0022】
これにより、マイクロ空間に充填する血液が回収流路内まで達しないように充填できる。尚、回収流路を加圧状態にする場合の圧力(差圧)としては、0.05〜50KPaが好ましく、より好ましくは0.5〜5KPaの範囲である。また、マイクロ空間での血球の沈降が完了するまで、封止状態や加圧状態は維持することが好ましい。
【0023】
請求項3は請求項2において、前記マイクロ空間が親水化処理されていると共に、前記回収流路が疎水化処理されていることを特徴とする。
【0024】
請求項3は、マイクロ空間に充填する血液が回収流路内まで達しないように充填するための更なる方法を記載したものであり、親水性の血液は、疎水化処理された回収流路に流れ込みにくくできる。
【0025】
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記固液分離工程では、前記血液の温度を11〜40°の範囲に保持することを特徴とする。
【0026】
血液は粘度が高く血球が沈降しにくいので、血液の温度を11〜40℃の範囲に保持することで、血液の粘度を下げて血球の沈降速度を向上できる。ちなみに、40℃を超えると、血液の品質に悪影響があるためであり、11℃未満では沈降速度を向上させる効果が小さいためである。
【0027】
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記固液分離工程では、前記静置する所定時間を3〜6分の範囲にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1の血漿回収工程。
【0028】
請求項5は、固液分離工程での、血漿と血球との分離時間を具体的に示したものであり、重力方向の深さが10μm〜1mmと極めて狭いマイクロ空間で分離するようにしたので、3分以上静置すれば血漿と血球とを分離することができ、多少安全をみても6分静置すれば十分である。
【0029】
請求項6は請求項1〜5において、前記回収工程では、前記回収流路が前記マイクロ空間の長尺端部以外に連通した状態で血漿が吸引されることを特徴とする。
【0030】
請求項6は、マイクロ空間の底部に沈降した血球を舞い上がらせることなく、血漿(上澄液)の吸引速度を速くするための工夫である。即ち、回収流路がマイクロ空間の長尺端部以外に連通した状態で血漿を吸引することにより、沈降した血球を舞い上がらせることなく、血漿の吸引速度を速くすることができる。
【0031】
ここで、「回収流路がマイクロ空間の長尺端部以外に連通した状態」とは、例えば逆T字型のように、長尺なマイクロ空間の中央近傍位置から回収流路が立設した状態をいう。また、「回収流路がマイクロ空間の長尺端部に連通した状態」とは、L字型のように、長尺なマイクロ空間の一端位置から回収流路が立設した状態をいう。
【0032】
請求項7は請求項1〜6の何れか1において、前記回収工程では、前記マイクロ空間の上澄液としての血漿が前記回収流路に1mm/秒以下の流速で流れ込むように吸引されることを特徴とする。
【0033】
請求項7は、血漿の回収時に、沈降した血球が舞い上がらないように回収するための血漿の移動速度を規定したものである。即ち、マイクロ空間の血漿が回収流路に1mm/秒以下の流速で流れ込むようにすることで、沈降した血球が舞い上がらないように回収することができる。
【0034】
本発明の請求項8は前記目的を達成するために、血液から血球を分離して血漿を回収する血漿回収器具において、水平方向に形成された少なくとも1本の長尺な空間であって、重力方向の深さが10μm〜1mmのマイクロ空間と、該マイクロ空間に対して前記重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間よりも等価直径の小さな回収流路と、前記マイクロ空間の長尺一方端に形成されて大気に連通する液溜め部と、前記長尺他方端に形成されて大気に連通する空気抜き部と、前記回収流路の先端に形成されて大気に連通する吸引部と、が基板内部に形成された器具本体と、前記液溜め部を介して前記マイクロ空間内に血液を充填する充填手段と、前記吸引部に接続される吸引手段と、を備えたことを特徴とする血漿回収器具を提供する。
【0035】
請求項8は、本発明を装置として構成したものであり、本発明によれば、小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない血漿回収器具を提供することができる。
【0036】
請求項9は請求項8において、前記回収流路は前記マイクロ空間の長尺中央部位置に接続されていることを特徴とする。
【0037】
請求項9によれば、回収流路は前記マイクロ空間の長尺中央部位置に接続されているので、マイクロ空間と回収流路とは上記した逆T字型の形状となる。これにより、沈降した血球を舞い上がらせることなく、血漿の吸引速度を速くすることができる。
【0038】
請求項10は請求項8又は9において、前記長尺なマイクロ空間における、前記水平方向の横幅は50μm〜5mm、長さは1〜20cmであることを特徴とする。
【0039】
請求項10は、マイクロ空間の重力方向の深さ以外に、水平方向における好ましい横幅と長さを規定したものである。即ち、マイクロ空間の重力方向の深さは、上記したように、10μm〜1mmであるが、横幅は50μm〜5mm、長さは1〜20cmであることが好ましい。マイクロ空間の重力方向の深さについては、上記範囲を極端に変えることは好ましくないが、水平方向の横幅や長さについては、血液検査に必要な血漿量に合わせて適宜変更することができる。また、回収流路を中心として複数本のマイクロ空間を放射状に配置することで、マイクロ空間の長さを確保することもできる。
【0040】
請求項11は請求項8〜10の何れか1において、前記マイクロ空間の内面は親水化処理されていると共に、前記回収流路の内面は疎水化処理されていることを特徴とする。
【0041】
請求項11によれば、マイクロ空間に充填する血液が回収流路内まで達しないように充填することができる。
【0042】
請求項12は請求項8〜11の何れか1において、前記器具本体は透明であることを特徴とする。
【0043】
請求項12によれば、血漿と血球の分離状態を視覚により認識することができるので、分離終了時期を容易に把握することができる。
【0044】
請求項13は請求項8〜12の何れか1において、前記器具本体の材質は、前記器具本体の材質は、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、PDMS樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、石英ガラス、パイレックスガラス、シリコンの何れかであることを特徴とする。
【0045】
請求項13は、本発明の器具本体の材質として好ましい材質を具体的に示したものである。
【0046】
請求項14は請求項8〜13の何れか1において、前記マイクロ空間の長さ方向に間隔を置いて、前記回収流路が複数本設けられていることを特徴とする。
【0047】
請求項14によれば、マイクロ空間の長さ方向に間隔を置いて、前記回収流路が複数本設けたので、血漿の回収時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、本発明の血漿回収方法及び血漿回収器具によれば、小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、添付図面に従って、本発明に係る血漿回収方法及び血漿回収器具の好ましい実施の形態について詳説する。
【0050】
図1は、本発明の血漿回収器具10の一態様を示す概念図である。
【0051】
図1に示すように、本発明の血漿回収器具10は、主として、器具本体12と、器具本体12内に形成されたマイクロ空間14に血液を充填する充填手段16と、マイクロ空間14で血漿と血球とに分離された血漿(上澄液)を吸引する吸引手段18と、で構成される。
【0052】
器具本体12を構成する基板12Aの内部には、水平方向(重力方向に直交する方向)に形成された1本の長尺な空間であって、重力方向の深さDが10μm〜1mmと極めて狭いマイクロ空間14と、該マイクロ空間14に対して重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間14よりも等価直径の小さな回収流路20と、マイクロ空間14の長尺一方端に形成されて大気に連通する液溜め部22と、長尺他方端に形成されて大気に連通する空気抜き部24と、回収流路20の先端に形成されて大気に連通する吸引部26と、が形成される。図1から分かるように、回収流路20はマイクロ空間14に対して重力方向上向きに形成されると共に、連通位置がマイクロ空間14の長尺中央部に形成される。これにより、マイクロ空間14と回収流路20とにより逆T字型が形成される。
【0053】
ここで、等価直径とは、空間断面又は流路断面を円形に換算した場合の直径である。
【0054】
マイクロ空間14の寸法の規定において、上記深さD以外では、横幅Wが50μm〜5mmの範囲が好ましく、より好ましくは100μm〜1000μmの範囲であり、長さLは1〜20cmの範囲が好ましく、より好ましくは血液検査により必要とする血漿量を満足する長さである。回収流路20の横幅W’は、マイクロ空間14と同じであり、長さL’は1〜10cmの範囲が好ましい。また、回収流路20の厚みは、上記したように等価直径がマイクロ空間14の半分以下になることが好ましく、この関係からすると、厚みD’はマイクロ空間14の深さDの半分以下になることが好ましい。更には、回収流路20の厚みD’は、マイクロ空間14の1/4以下であることがより好ましい。
【0055】
また、図2に示すように、マイクロ空間14の内面が親水化処理されていると共に、回収流路20の内面が疎水化処理されていることが好ましい。尚、ここで、親水性処理及び疎水性処理とは、親水性や疎水性のものを塗布やラミネート等の処理をすることに限らず、材質を選択することで親水性や疎水性が発揮されるようにしてもよい。本発明の血漿回収器具10を製作する材質としては、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂や、石英、パイレックス等のガラスを好適に用いることができる。従って、樹脂の場合には特に処理しなくても疎水性を発揮するので、樹脂で血漿回収器具10を製作する場合には、PEG(ポリエチレンブリコール樹脂)の水溶液を、マイクロ空間14の内面に塗布して親水性をもたせるとよい。逆に、パイレックス等のガラスのように元々親水性の材質を使用して血漿回収器具10を製作する場合には、回収流路20の内面をフッ素系又は炭化水素系シランカップリング剤によって疎水処理を行うとよい。ガラスを強アルカリ水溶液(例えば、5mol/Lの水酸化カリウム)で1時間洗浄後、89%エタノール水溶液にパーフルオロドデシルトリエトキシシラン(信越化学製)やオクタデシルトリクロロシランのトルエン溶液を溶かし、その濃度を1%に調整した溶液を用いて疎水処理することができる。
【0056】
親水性又は疎水性の塗布液を塗布する方法としては、血漿回収器具10を、基板12Aを蓋板と本体板との上下2枚の板で形成し、本体板側にマイクロ空間14や回収流路となる溝を形成し、この溝にインクジェット装置のノズルからトッド状(液滴)に塗布する方法である。また、蓋板の方に塗布することもできる。蓋板の材質は、本体板と同じく樹脂又はガラスであることが好ましく、これを位置合わせしながら基板に貼り合わせる。貼り合わせのための接合は、粘着剤又は接着剤を使用することができ、本体板がガラスやシリコンの場合は、蓋板はガラスにすることが好ましい。そして、接合は陽極接合やフッ化水素による溶圧着(フッ酸ボンディング法)等で行うことが好ましい。
【0057】
このように、マイクロ空間14を親水化処理すれば、血液は親水性であるので、血液をマイクロ空間14に充填するときにスムーズに流れ込むが、疎水化処理された回収流路20までは流れこみにくくできる。ちなみに、回収流路20まで血液が充填されると、実質的な沈降距離が大きくなり、血漿と血球との分離時間が長くなる。また、液溜め部22はマイクロ空間14と同様に親水化処理され、空気抜き部24や吸引部26は疎水化処理されることが好ましい。即ち、図2の斜線部分が親水化処理され、白い部分が疎水化処理される。
【0058】
また、図1に示すように、液溜め部22、空気抜き部24、及び吸引部26には、それぞれ注入管28、空気抜き管30、吸引管32が接続されている。
【0059】
血液をマイクロ空間14に充填する充填手段16としては、例えば図1に示すように、注射器16を好適に使用することができる。即ち、血液を内部に保有する注射器16の針16Aを注入管28に挿入し、ピストン16Bを押し込んで注射器16内の血液を液溜め部22に注入する。
【0060】
回収流路20を介して分離された血漿を回収するための吸引手段18としては、例えば、図1に示すように、吸引圧力制御を兼ね備えた連続流動方式のシリンジポンプ18を好適に使用することができる。これにより、吸引圧力及び吸引流量を任意に制御することができる。即ち、シリンジポンプ18の先端口18Aを吸引管32に接続すると共に、回収チューブ34を図示しない血液検査装置に接続する。これにより、マイクロ空間14において分離された血漿(上澄液)を回収流路20を介して血液検査装置に直接送液することができる。
【0061】
基板12Aの内部に上記のマイクロ空間14、回収流路20、液溜め部22、空気抜き部24、吸引部26が形成された器具本体12を製作するには微細加工技術が使用される。微細加工技術としては、例えば次のようなものがある。この場合、上記したように、図1の点線36位置で蓋板と本体板との2枚で構成し、それぞれマイクロ空間14、回収流路20、液溜め部22、空気抜き部24、吸引部26をそれぞれ半分形成して、後で2枚を合わせる。そして、少なくとも基板12Aの4つのコーナ部をボルト38により締結することで器具本体12を製作することが好ましい。
(1) X線リソグラフィと電気メッキを組み合わせたLIGA技術
(2) EPON SU8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法
(3) 機械的マイクロ切削加工(ドリル径がマイクロオーダのドリルを高速回転するマイクロドリル加工等)
(4) Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法
(5) Hot Emboss加工法
(6) 光造形法
(7) レーザー加工法
(8) イオンビーム法
また、器具本体12を製作するための基板材料としては、耐熱、耐圧及び耐溶剤性、加工容易性等の要求に応じて色々な材料を使用することができるが、特に、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、PDMS樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、石英ガラス、パイレックスガラス、シリコンが好ましい。また、器具本体12は、後記する血漿回収方法で説明するように、血漿と血球との分離状態を視覚により認識できることが好ましく、透明な材料で製作することが好ましい。
【0062】
また、器具本体12を加熱する加熱手段(図示せず)を設けることが好ましい。加熱手段としては、金属抵抗線やPolysilicon などのヒータ構造を器具本体12に作り込む方法などがある。金属抵抗線やPolysilicon などのヒータ構造の場合には、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行うことで温度を制御する。この場合の温度のセンシングについては、金属抵抗線の場合には同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行い、Polysilicon の場合には、熱電対を用いて温度検出を行う方法が一般的に採用されている。また、近年においては、ペルチェ素子を用いた温度制御機能を器具本体12に組み込むことで、血液の温度制御を精度良く行うこともできる。何れにしても、温度制御そのものは、従来からの温度制御技術でもペルチェ素子に代表される新規な温度制御技術でも可能であり、装置本体の材料等に応じた加熱・冷却機構と温度センシング機構の選択、ならびに外部制御系の構成を組み合わせて最適な方法を選択することができる。
【0063】
次に上記の如く構成された血漿回収器具10を用いて本発明の血漿回収方法の手順を、図1及び図3を用いて説明する。
【0064】
本発明の血漿回収方法は、主として、器具本体12のマイクロ空間14に血液Aを充填する充填工程と、マイクロ空間14に血液Aを所定時間静置して、該血液Aを重力により血漿Bと血球Cとに固液分離する固液分離工程と、回収流路20を吸引して固液分離された上澄液の血漿Bを回収する回収工程と、により構成される。
【0065】
先ず、図1に示すように、器具本体12のマイクロ空間14が重力に対して水平な方向に位置するように、器具本体12を立設する。この場合、図4に示すスタンド40を使用して、このスタンド40の基台40Aの両側に立設された一対の側板40Bの爪40Cに器具本体12を嵌め込むことにより支持させるとよい。
【0066】
次に、図1に示す注射器16を使用して、マイクロ空間14に血液Aを充填する充填工程を行う。この充填工程では、図3(A)に示すように、血液Aを内部に保有する注射器16の針16Aを注入管28に挿入して、液溜め部22に血液Aを注入する。血液Aを注入した注射器16は注入管28から外して、液溜め部22が大気に開放されるようにしておく。液溜め部22の容積は、マイクロ空間14の容積と同じかそれ以上であることが好ましい。そして、図1の吸引管32の先端をキャップ等で封止して回収流路20を大気から遮断した状態で、上記とは別の注射器の針を空気抜き部24の空気抜き管30に挿入して、注射器のピストン部を引っ張ることによりマイクロ空間14を減圧して液溜め部22の血液Aがマイクロ空間14に流れ込むようにする。
【0067】
尚、上記方法では、吸引管32の先端をキャップ等で封止して回収流路20を大気から遮断したが、吸引管32の先端にシリンジポンプを取り付けて、回収流路20を加圧してもよい。回収流路20を加圧状態にする場合の圧力(差圧)としては、0.05〜50KPaが好ましく、より好ましくは0.5〜5KPaの範囲である。また、マイクロ空間での血球の沈降が完了するまで、封止状態や加圧状態は維持することが好ましい。また、上記方法では、マイクロ空間14を減圧して液溜め部22の血液Aがマイクロ空間14に流れ込むようにしたが、液溜め部22を加圧して、液溜め部22の血液Aをマイクロ空間14に押し込むようにしてもよい。
【0068】
これにより、液溜め部22の血液Aは、図3(B)に示すように、マイクロ空間14のみに充填され、回収流路20には達しないようにできる。この場合、回収流路20の等価直径がマイクロ空間14の等価直径の半分以下であることが好ましい。このように回収流路20を細く、又は薄くすることで、血液Aの表面張力との関係で血液Aが回収流路20に流れ込みにくくなる。更には、マイクロ空間14の内面が親水化処理されていると共に、回収流路20の内面が疎水化処理されていることが好ましい。このように、親水化処理と疎水化処理を行うことで、親水性の血液Aをマイクロ空間14に充填する際に、液溜め部22からマイクロ空間14に流れ易くなるだけでなく、疎水性の回収流路20には流れ込みにくくなる。従って、血液Aがマイクロ空間14のみに一層充填され易くなる。
【0069】
次に、マイクロ空間14に血液Aを3〜5分程度静置して、該血液Aを重力により血漿Bと血球Cとに固液分離する固液分離工程を行う。この固液分離工程では、器具本体12を11〜40℃に保温して、血液Aの粘度を下げることが好ましい。これにより、図3(C)に示すように、血液中の血球Cはマイクロ空間14の底に短時間で沈降し、血漿Bは上澄液としてマイクロ空間14の上部に溜まる。
【0070】
次に、図1に示すように、回収流路20の吸引管32にシリンジポンプ18を接続して、上澄液としての血漿Bのみを回収する回収工程を行う。即ち、シリンジポンプ18の吸引力は、マイクロ空間14と回収流路20との境界線42における血漿Bの表面張力を破ることができ、且つ回収流路20の疎水性による血漿を流れ込み防止力を破ることができる程度でよい。例えば、マイクロ空間14の血漿Bが回収流路20に1mm/秒以下の流速で流れ込むように吸引力を発揮させることが好ましい。吸引力を大きくし過ぎると、せっかく沈降した血球Cが舞い上がってしまい、回収される血漿Bに混入してしまう恐れがある。回収した血漿Bはシリンジポンプ18の回収チューブ34を介して血液検査装置に送液される。
【0071】
この回収工程において、図5(A)に示すように、マイクロ空間14と回収流路20との関係を逆T字型にすることにより、図5(B)のL字型に比べて、沈降した血球Cを巻き上げないように、血漿Bが回収流路20に流れ込む流速を大きくすることができる。従って、充填工程から回収工程までのトータルの回収時間を短くすることができる。
【0072】
尚、本実施の形態では、1つのマイクロ空間14の例で説明したが、複数本のマイクロ空間14を設けるようにしてもよい。例えば、回収流路20を中心として複数本のマイクロ空間14を放射状に配置することで、マイクロ空間14の長さを確保することもできる。
【0073】
尚、本発明の実施の形態では、回収流路20を1本としたが、図6に示すように、マイクロ空間14の長さ方向に間隔を置いて複数本(図6は6本)設け、複数本の回収流路20を1本の合流管21に合流させて回収液溜め部23に集めるようにしてもよい。
【実施例】
【0074】
次に、図1の血漿回収器具10を使用した本発明の実施例を説明する。
【0075】
透明な器具本体12に形成されたマイクロ空間14は、横幅Wが400μm、深さDが200μmの断面で、長さLが10cmのものを使用した。また、回収用流路20は、厚みD’が100μm、横幅W’が200μm、長さL’が2cmとした。
【0076】
そして、マイクロ空間14に注射器16で血液A(ヘマトクリット値50%)を導入した。マイクロ空間14と回収流路20との境界線42まで血液Aが満たされるようにした。尚、使用した血液Aは凝固防止のため、3.8%クエン酸ナトリウムと4(血液):1(クエン酸ナトリウム)の体積比で混和してある。マイクロ空間14に満たした血液Aの量は約8μLである。
【0077】
その後、マイクロ空間14に血液Aを静置して血液A中の血漿Bと血球Cとを固液分離した。そして、血漿Bと血球Cとに分離するまでに要する分離時間を測定したところ、約3分半の短時間で分離することができた。分離した血漿Bのみを回収するため、シリンジポンプ18にて吸引を行った。吸引により血漿Bを回収する流量は毎分5μL(流速=1mm/分)とした。約1分間、血球を巻き込まずに吸い込み続けた結果、回収した血漿量は約1μLとなった。
【0078】
このように、本発明の血漿回収器具10を使用すれば、小型且つ簡単な構造の器具で、少量の血液量で血漿と血球とを短時間で簡便且つ精度良く分離して血漿を回収でき、しかも分離助剤等の薬剤を一切使用する必要がない。
【0079】
この血漿回収方法においては、分離した血漿Bすべてを回収しないことが好ましい。これは、血漿Bの回収が進んで、マイクロ空間14の血漿Bが空気に置き換わると、空気と液体の界面では吸い込みによる移動に伴い、著しく血球Cが舞い上がるためである。具体的には、マイクロ空間14で分離された血漿量の1/3以下を回収することが好ましい。従って、回収する血漿量と血液検査での血漿必要量とを加味して、マイクロ空間14の容積(但し、深さは10〜1000μmに固定)を形成するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の血漿回収器具の概念図
【図2】マイクロ空間と回収流路との表面処理の仕分けを説明する説明図
【図3】本発明の血漿回収方法の手順を説明する説明図
【図4】血漿回収器具を立設させるスタンドの一例を示す斜視図
【図5】マイクロ空間と回収流路とが逆T字型の場合とL字型の場合とを説明する説明図
【図6】本発明の血漿回収器具の別態様で、回収流路を複数本設けた場合の概念図
【符号の説明】
【0081】
10…血漿回収器具、12…器具本体、14…マイクロ空間、16…充填手段(例えば注射器)、18…吸引手段(例えばシリンジポンプ)、20…回収流路、22…液溜め部、24…空気抜き部、26…吸引部、28…注入管、30…空気抜き管、32…吸引管、34…回収チューブ、38…ボルト、40…スタンド、42…境界線、A…血液、B…血漿、C…血球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液から血球を分離して血漿を回収する血漿回収方法において、
水平方向に形成された少なくとも1本の長尺な空間であって重力方向の深さが10μm〜1mmのマイクロ空間と、該マイクロ空間に対して前記重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間よりも等価直径の小さな回収流路とのうちの前記マイクロ空間に血液を充填する充填工程と、
前記マイクロ空間内に前記血液を所定時間静置して、該血液を重力により血漿と血球とに固液分離する固液分離工程と、
前記回収流路を吸引して前記固液分離された上澄液の血漿を回収する回収工程と、を備えたことを特徴とする血漿回収方法。
【請求項2】
前記充填工程は、
前記マイクロ空間の長尺一端側に形成された液溜め部に血液を注入し、
前記回収流路を封止又は加圧した状態で、前記マイクロ空間の長尺他方端に形成された空気抜き部から前記マイクロ空間のエアを吸引するか又は前記液溜め部を加圧することにより、前記液溜め部の血液を前記回収流路内まで達しないように前記マイクロ空間に充填することを特徴とする請求項1の血漿回収方法。
【請求項3】
前記マイクロ空間が親水化処理されていると共に、前記回収流路が疎水化処理されていることを特徴とする請求項2の血漿回収方法。
【請求項4】
前記固液分離工程では、前記血液の温度を11〜40℃の範囲に保持することを特徴とする請求項1〜3の何れか1の血漿回収方法。
【請求項5】
前記固液分離工程では、前記静置する所定時間を3〜6分の範囲にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1の血漿回収方法。
【請求項6】
前記回収工程では、前記回収流路が前記マイクロ空間の長尺端部以外に連通した状態で血漿が吸引されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1の血漿回収方法。
【請求項7】
前記回収工程では、前記マイクロ空間の上澄液としての血漿が前記回収流路に1mm/秒以下の流速で流れ込むように吸引されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1の血漿回収方法。
【請求項8】
血液から血球を分離して血漿を回収する血漿回収器具において、
水平方向に形成された少なくとも1本の長尺な空間であって、重力方向の深さが10μm〜1mmのマイクロ空間と、該マイクロ空間に対して前記重力方向上向きに連通すると共にマイクロ空間よりも等価直径の小さな回収流路と、前記マイクロ空間の長尺一方端に形成されて大気に連通する液溜め部と、前記長尺他方端に形成されて大気に連通する空気抜き部と、前記回収流路の先端に形成されて大気に連通する吸引部と、が基板内部に形成された器具本体と、
前記液溜め部を介して前記マイクロ空間内に血液を充填する充填手段と、
前記吸引部に接続される吸引手段と、を備えたことを特徴とする血漿回収器具。
【請求項9】
前記回収流路は前記マイクロ空間の長尺中央部位置に接続されていることを特徴とする請求項8の血漿回収器具。
【請求項10】
前記長尺なマイクロ空間の横幅は50μm〜5mmの範囲、前記水平方向の長さは1〜20cmであることを特徴とする請求8又は9の血漿回収器具。
【請求項11】
前記マイクロ空間の内面は親水化処理されていると共に、前記回収流路の内面は疎水化処理されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1の血漿回収器具。
【請求項12】
前記器具本体は透明であることを特徴とする8〜11の何れか1の血漿回収器具。
【請求項13】
前記器具本体の材質は、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、PDMS樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、石英ガラス、パイレックスガラス、シリコンの何れかであることを特徴とする8〜12の何れか1の血漿回収器具。
【請求項14】
前記マイクロ空間の長さ方向に間隔を置いて、前記回収流路が複数本設けられていることを特徴とする請求項8〜13の何れか1の血漿回収器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−89381(P2008−89381A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269529(P2006−269529)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】