血漿色調識別装置及び血液成分分離装置
【課題】色調センサを使用することでより安全な血漿製剤を供給することができ、色調センサと重量センサを併用することで、より効率的に判定できるとともに作業性が向上する血漿色調識別装置及び血液成分分離装置を提供すること。
【解決手段】光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、を有する血漿色調識別装置(1)。
【解決手段】光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、を有する血漿色調識別装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本赤十字社の血液センターで実施されている血液製剤の分離工程後に分離された血漿製剤に、光を投光し、投光の反射光の色調で、製品(良品)とそうでないもの(不良品)とを判定し、判定結果を作業者に知らしめることのできる血漿色調識別装置及び血液成分分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、血漿製剤の色はやや黄色を示す透過性のある液体である。
しかし、例えば、全血から分離される血漿製剤では、白血球を除去するためのろ過工程において赤血球が破損してヘモグロビンが溶出して赤く染まることがある。赤く染まった血漿は血漿製剤として出荷することができない。
血漿が赤く染まっている状態には、前記ヘモグロビンの溶出による原因と、遠心を行う工程で親バッグ内の血液成分がうまく分離できなかったことなどが原因となるものがあり、後者のものは分離が終了した後に再度遠心を行って、血漿製剤を生成する作業を行う。遠心工程を行った親バッグ内の血液は、血球成分と血漿成分に分離する。
血液成分の一般的な分離方法は、後述する図9(A)、(B)のように、親バッグBから子バッグB1に血漿成分を移動させ、子バッグB2から血液保存液を親バッグBに移動し、親バッグBに血球製剤、子バッグB1に血漿製剤を生成する作業を行う。
その工程において、子バッグB1の血漿製剤の判定を行い血漿製剤を合格として生成するか、再度遠心工程にかけるため生成せずに作業を中断した状態で終了するかの選択を、従来は人的労力によって行われていた。
また、供血者の体質や、生活習慣などの影響で血漿が乳白色を呈することもある。
さらに、供血者が服薬をすることで血漿の色が緑色を呈すことがある。
さらに、供血者の性状により、ビリルビンが通常よりも多量に含まれて、黄色を呈することがある。
上記の通常とは異なる色を呈する血漿は、輸血を行う患者に対して悪影響を与える恐れがあるため輸血用の血漿製剤としては除外する必要がある。
【0003】
そこで公知の特許文献1には、「ドナー血液バッグから血漿中の干渉体について血漿を検査する方法および装置」に関するもので、以下の二つの発明A、Bが記載されている。
(発明A)
発明Aは、血漿の入った2つの(バッグ)を連結するチューブをホルダにセットして固定し、チューブに対してランプで光を照射し、透過した光の吸光度を測定した結果より血漿の判定を行うものである。
しかしながら透過(通過)した光の吸光度を測定する発明Aは、以下のように、作業性やとり回しの問題が生じる。
例えば、全血に由来する血球製剤、血漿製剤の分離作業では複数の血液バッグの処理を行う。そのため判定対象となる血漿は複数になり、これを連続的に行わなければならない。
またバッグのチューブをホルダにセットする形式では1回の作業に手間がかかり、連続作業を行う上では有効では無い。
また、血漿製剤バッグのチューブには一般的にセグメント番号(バッグの製造番号)が刻印されており、チューブをホルダにセットした際に色調センサで検出を行うために光が透過する線上に刻印が位置してしまうと、正確に検出が行えなくなるため、セグメント位置がセンサ面にあたらない様にとり回しの点で配慮も必要である。
【0004】
(発明B)
発明Bは、血液バッグ内の血漿中の少なくとも一種の干渉体の濃度を決定する装置で、下記(A)〜(D)を含む装置である。
(A)前記バッグを受けるレセプタクルであって下記(i)〜(iv)を備えるレセプタクル:
(i)前記血液バッグの隅を受ける空洞部で、この空洞部は前記血液バッグの隅のためのV字型のレセプタを画定する固定された2枚の壁を含む;
(ii)前記空洞に向いており、前記バッグに放射線を送るように設置された第一の光ファイバー;
(iii)前記空洞に向いており、前記バッグからの放射線を受けるよう設置された第二の光ファイバーで、第一および第二の光ファイバーは固定され、前記空洞を横切り前記チューブおよび血漿を透過する一定の長さの光路を画定し;
(iv)前記空洞を覆うふた;
(B)前記放射線を出力し、前記の第一のファイバーに結合されたランプ;
(C)前記の第二のファイバーから受けた放射線を測定する分光光度計;
(D)前記分光光度計に接続され、濃度を与える前記測定に基づく少なくとも1つの前記干渉体の濃度を計算するコンピュータ手段。
さらに詳述すれば、コンピュータ手段は、前記濃度を与える、前記の測定した放射線から発生する分光の少なくとも2つの部分の一次導関数を組み合わせて前記濃度を計算する。
前記バッグは、半透明で、その表面に書き込みを含み、前記放射線が前記書き込みバッグおよび前記血漿を透過する。
前記光ファイバが、前記放射線の透過を測定するよう配置されている。
前記血漿中の少なくとも1種の干渉体が、ヘモグロビン、ビリルビン、イントラリピッド、ビルベルジンおよびメチレンブルーを含む群から選択された物質である。
【0005】
通常、血漿製剤を入れるバッグの表面中央には製剤であることを示すためのシールが貼られており、発明Bのように、透過方式にして検出を行う場合、光軸がラベルにより遮られることがある。透過方式においては当該特許に『バッグの隅』と記載される通り部位を特定しなければならない。
また、バッグには血漿と共に空気による気泡が混入しており、光軸が気泡に遮られることもある。
【0006】
また特許文献2には、『液体の成分分析装置及び分析方法』で、透明なバッグに封入した液体に電磁放射線を透過させて成分を分析する装置の発明が開示されている。
当該発明は、前記特許文献1の発明Bと同様の発明である。
前記のように、血漿製剤を入れたバッグには表面中央に製剤シールが貼り付けられており、バッグを透過して検出を行う場合はシールによる電磁波の吸収が心配されるためシールの無い部分を選んで電磁波を発生する部分と電磁波を受けて受容して検出する部分を配置しなければならない。
また、対となる壁によりバッグを立てた状態で挟んでいることから、バッグの上方に溜まった状態となり検出が行えない場合も想定されるためバッグの下部に殆ど限られてしまう。
【0007】
【特許文献1】特表2001−514744号公報[(A)請求項1から4(対応特許第3918952号;請求項1から4)と図1から図4、(B)請求項7(訂正後の請求項6)]
【特許文献2】特開平8−210973号公報(要約、請求項、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、
特許文献1の発明Aでは、血漿製剤バッグのチューブには一般的にセグメント番号(バッグの製造番号)が刻印されており、チューブをホルダにセットした際に色調センサで検出を行うために光が透過する線上に刻印が位置してしまうと、正確に検出が行えなくなるため、セグメント位置がセンサ面にあたらない様にとり回しの点で配慮も必要である点である。
また特許文献1の発明Bと特許文献2の発明では、血漿成分を入れたバッグには表面中央に製剤シールが貼り付けられており、バッグを透過して検出を行う場合はシールによる電磁波の吸収が心配されるためシールの無い部分を選んで電磁波を発生する部分と電磁波を受けて受容して検出する部分を配置しなければならない。
また、対となる壁によりバッグを立てた状態で挟んでいることから、さらに前項にも記載のバッグ内の空気がバッグの上方に溜まった状態となり検出が行えない場合も想定されるためバッグの下部に殆ど限られてしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
[1]本発明は、光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、
前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、
前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、
前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、
を有する血漿色調識別装置(1)を提供する。
[2]ほ装置本体(2)の上部に、光が通過できる孔(3A)を形成し、血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(3)と、前記バッグのカバー(4)を配置し、
前記載台(3)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)を配置し、
前記装置本体(2)内部に、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)を配置し、
装置本体(2)の外部に、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)、
装置本体(2)の内部または外部に前記CPU(7D)の判定結果の報知手段(10)、
を配置した血漿色調識別装置(1)を提供する。
[3]本発明は、前記載台(3)の下部に重量センサ(6)を配置した[1]または[2]に記載の血漿色調識別装置(1)を提供する。
[4]本発明は、光が通過できる孔(23A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(23)と、
前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)と、
前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、
前記CPUの判定結果の表示手段(28)及び/又は報知手段、
を有する血液成分分離装置(21)を提供する。
[5]本発明は、装置本体(22)の上部に、血漿製剤入りのバッグセット部(22A)を配置し、
バッグセット部(22A)は、光が通過できる孔(3A)を形成し、かつ血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(23)と、前記バッグのカバー(24)を有し、
前記載台(23)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)を配置し、
前記装置本体(22)内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、
装置本体(22)の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段(28)、
装置本体(22)の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段、
を配置した血液成分分離装置(21)を提供する。
[6]本発明は、前記載台(23)の下部に重量センサを配置した[4]または[5]に記載の血液成分分離装置(21)を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、
(1)人(作業者)の目による判定では誤差や、見誤りが生じるが、色調センサを使用することで誤差が小さくなり、見誤りもなくすことができて、より安全な血漿製剤を供給することができる。
(2)色調センサと重量センサを併用することでより、効率的な判定を行うことができ、作業性が向上する。
(3)血液成分分離装置の作業工程の中で色調判定を行うことにより、製剤と再度遠心を行って製剤化できるものを自動的に区別でき、工程が改善できる。
(4)バッグを略水平に寝かせて置き、底面から光を投光して、反射した光の測定を行っているため、ラベルの貼られているバッグ表面が上方を向くように置けば、ラベルの貼られていないバッグ裏面が色調センサに対して向くため、ラベルによって光が遮られる心配が無い。
(5)また、バッグ内にある空気の気泡もバッグ上方に集まるため、気泡による影響も受けない。従って本願発明ではバッグを略水平に置くだけで測定を行うことができる。(6)バッグのラベルの無い裏面に対して反射方式で測定を行っているため、複数のセンサを使用する場合もそれぞれの間隔を大きく配置できるため干渉による問題も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の血漿色調識別装置の概略図(断面図)、本発明の血漿色調識別装置のブロック図、図3は本発明の血漿色調識別装置の概略図(外観図)、図4は本発明の血漿色調識別装置の概略図(分解図)である。
【0012】
[血漿色調識別装置1]
本発明の血漿色調識別装置1は、装置本体2の外部と内部に、血漿製剤入りバッグ(以下、単に「バッグ」と略記する)の載台3、バッグのカバー4、色調センサ5、重量センサ6、制御部7、表示部8、切替スイッチ9、報知手段10、電源(供給)部12、電源スイッチ13を有している。
さらに詳述すれば、本発明の血漿色調識別装置1は、光が通過できる孔3Aを形成したバッグの載台3と、前記バッグに光を投光する発光部5A及び前記バッグからの反射光を受光する受光部5Bを有する色調センサ5と、前記受光部5Bからの反射光を検出する受光素子7Bと、識別対象となる光の色の記憶手段7Cと、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU7Dを有する制御部7と、前記CPU7Dの判定結果の表示手段8及び/又は報知手段10、を有する血漿色調識別装置1である。
さらに詳述すれば、本発明の血漿色調識別装置1は、装置本体2の上部に、光が通過できる孔3Aを形成し、バッグを略水平に配置する載台3と、バッグのカバー4を配置し、前記載台3の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部5A及び前記バッグからの反射光を受光する受光部5Bを有する色調センサ5を配置し、前記装置本体2内部に、前記受光部5Bからの反射光を検出する受光素子7Bと、識別対象となる光の色の記憶手段7Cと、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU7Dを有する制御部7を配置し、装置本体2の外部に、前記CPU7Dの判定結果の表示手段8、装置本体2の内部または外部に前記CPU7Dの判定結果の報知手段10を配置した血漿色調識別装置1である。
さらに前記載台3の下部に重量センサ6を配置した血漿色調識別装置1である。
【0013】
[色調センサ5]
本発明の「色調センサ5」は、図2に例示するように、発光部5Aと、当該発光部Aから投光された光が血漿製剤入りバッグにあたり、反射した光を受光し、制御部7に伝達するための受光部5Bを備える。
発光部5Aは、発光LED等が好適に使用される。
受光部5Bは、受光用光ファイバー等が好適に使用される。
色調センサ5は、孔3Aを形成した載台3の下部(装置本体2内)に配置し、孔3Aから発光部5Aと受光部5Bの先端部が露出する様に配置する。
孔3Aには防塵、防水性を確保するために透過性の高い透明な素材を使用したカバー(特に図示せず、カバー4とは異なる)を装着することもできる。
カバーの素材としてアクリルや、耐薬品性を考慮してポリカーボネートを使用することができる。
また、色調センサ5は、後述する血液成分分離装置21に使用する場合は、装置本体22の上部に配置したバッグセット部22Aの載台23の下部に配置する。バッグはバッグセット部22Aの加圧プレート24と載台23の間に挟んで配置する。
また、図2の例示では、色調センサ5は一個のみ配置しているが、検出精度をより向上させるために複数個配置することもできる。この場合、検出を行うための光軸の発生部分(発光部5A)と検出部分(受光部5B)を複数配置して使用する場合は、それぞれの干渉を防ぐためになるべく発生部分(発光部5A)と検出部分(受光部5B)の距離を離した方が良い。
【0014】
[載台3]
バッグの載台3は、略中央に孔3Aを形成し、孔3Aに前記色調センサ5の発光部5Aと受光部5Bの先端部が露出する様に配置する。
バッグの載台3は、バッグを略水平に横たえて配置することができれば、装置本体2の平面位置のどこの位置に配置してもよい。
また、色調センサ5(特に受光部5B)に外部から判定に悪影響を与える光や信号などが入らない様に、載台3の上部に、例えば腕部3B(支持部ともいう)等を介してカバー4を配置する。
また載台3は、装置本体2の天面を凹部状にして、凹部にバッグを挿入してセットできるようにしてもよい。
[カバー4]
カバー4は外部からの悪影響を防ぐため、金属や樹脂による外套を使用することもできる。またバッグに対して明るさの条件を均一にするために、例えばLEDランプ等の発光部11を配置して、色調センサ5の発光部5Aの反対側から、光を投光することもできる。
【0015】
[重量センサ6]
また、単に色調センサ5で、バッグ内の血漿の色を判定する以外にも、載台3の下部に重量センサ6を、配置してバッグの重量も判定し、血漿製剤の重量が製剤の基準を充たしているかどうかの判定も行えるようにすることができる。
重量センサ6としては、公知の血液成分分離装置に使用されている「ロードセル」
等が好適に使用される。図2の例示では、載台3の下部に二個(一対)配置されているが、一個でも三個以上配置しても良い。
【0016】
[制御部7]
制御部7は装置本体2に内蔵し、色調センサ5を介して受光部5Bにより伝達された対象の反射光を検出するための受光素子7Bを備える。
また、登録対象となる色の情報を記録するための記憶手段7Cを備える。
記憶手段7Cには、ある特定した色を複数登録して記憶させることができる。例えば、(a)通常の血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿の色を登録することができる。
さらに記憶手段7Cに登録された色の情報と、色調センサ5で得た比較対象となる血漿の色の情報を比較し、登録されている色と近似している色を判定するCPU7Dを備える。
例えば、比較対象となる血漿の色が、
(a)通常の血漿の色であるときは、「合格」と表示する。
(b)乳白色の血漿の色であるときは、「乳び」と表示する。
(c)赤く染まった血漿の色である時は「溶血(の疑い)」と表示する。
(d)緑色の血漿の色である時は、「緑血漿」と表示する。
(e)黄色の血漿の色である時は、「ビリルビン(過多)」と表示する。
以上のようにそれぞれの色と近似する色であると判定された結果を表示部8又は報知手段10に出力する。血漿の状態によっては、「乳び」であり「溶血(の疑い)」であると、複数の判定された結果を出力することもできる。
また登録対象である色を登録する際や判定を行う際に近似している色であることをCPU7Dで判定するための「しきい値」の範囲設定も行う際の入力手段7A(例えば、スイッチやキー)を備える。「しきい値」は数値または大小を示すグラフの状態で示すことができ、値を大きく設定することで登録されている色に極めて似ている色のみを判定したり、値を小さく見た目では似ていないものも同じ色であるとみなして判定することもできる。またこの値と設定の状件を逆にすることもできる。
さらに、入力手段7Aによって、例えば200mLバッグ400mLバッグの血漿製剤の製品としての重量範囲を設定し、それを記憶手段7Cに記憶させて比較対象であるバッグを重量センサ6で測定した重量が記憶手段7Cに設定した重量範囲に入っているか否かをCPU7Dで判定し、判定された結果を表示部8又は報知手段10に出力する
【0017】
[表示部8]
表示部8は複数の登録対象である色の情報と対応して複数個配置する。LEDランプなどの有色の発光部材で色を分けても良い。
前記制御部7にて比較された血漿の色の判定された結果を表示する。
さらに、重量センサ6で測定した重量が記憶手段7Cに設定した重量範囲に入っているか否かを制御部7で判定された結果を表示する。
また、表示部8に液晶モニタを使用して判定した結果を文字や図形、画像などで表示したり、制御部7で設定した「しきい値」や、切替スイッチ9によって設定されている条件などを表示することもできる。
【0018】
[切替スイッチ9]
切替スイッチ9は、例えば400mL用と200mL用の血液(血漿製剤を入れる)バッグでは容量が異なるため、バッグの厚みが異なり同じ血漿を入れた場合でも色調が変わってしまう。
そこで、400mLと200mLそれぞれのバッグの容量を登録対象として設定することもできる。判定対象毎に切り替えが行えるようにするスイッチである。
スイッチの例としては、例えば通常のボタンスイッチやロッカースイッチなどの手動で操作するものを選ぶこともできるし、セットされたバッグの重量を判定して自動的に切り替えるスイッチを選ぶこともできる。
切替スイッチ9は、血液バッグメーカー毎のバッグ材料の差異による色の違いがある場合、これを登録対象にして、切り替えることができる切替スイッチとしても用意できる。
【0019】
[報知手段10]
報知手段10は、制御部7で判定された結果を、音で報知させることができる。
報知手段10には複数の音色を発することができるブザを使用して登録対象の色毎に音色を変えて報知することができる。また、スピーカーを使用して音声言語により報知することができる。報知手段10は、装置本体2の内部または外部に配置しても良い。
[電源(供給)部12と電源スイッチ13]
電源(供給)部12は、一般的な商用電源から色調センサ5、制御部7、表示部8、報知手段10に電力を供給する。
また過電流により機器が破損することを防ぐために、フューズなどの過負荷保護、ノイズフィルタもこれに含まれる。
電源スイッチ13は、装置を起動するためのスイッチである。
【0020】
(血漿色調識別装置1の基本的な使用方法:色調センサ5のみによる判定)
本発明の血漿色調識別装置1の基本的な使用方法の一例について説明する。
(1)電源を投入する。
(2)制御部7にて色の登録作業を行う。
登録対象となるのは、通常の(a)血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿などである。あらかじめ基準となる色の血漿が入ったバッグPBをそれぞれ登録する分だけ用意し、載台3にセットした状態で色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7の記憶手段7Cに記憶させる。
また、必要に応じて異なるバッグ容量や種類に応じてさらに登録する。
なお、登録を行うのは、初めて使用する際のみであり、2回目以降の使用では、変更が無い限り、色の登録作業は省かれる。
(3)切替スイッチ9を判定対象に対応した状態に設定する。
(4)順次判定対象となる血漿バッグPBを載台3にセットする。
(5)色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7によって色の判定を行う。
(6)表示部8または報知手段10から知らされた結果に応じて、判定対象の血漿バッグPBを所定の工程に振り分ける。
(7)作業が終了したら電源を切る。
【0021】
(血漿色調識別装置1の使用方法の応用:色調センサ5と重量センサ6の併用による判定)
(1)電源を投入する。
(2)制御部7にて色の登録作業を行う。
登録対象となるのは、通常の(a)血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿などである。あらかじめ基準となる色の血漿が入ったバッグPBをそれぞれ登録する分だけ用意し、載台3にセットした状態で色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7の記憶手段7Cに記憶させる。
さらに、制御部7の入力手段7Aを操作して、200mLバッグまたは400mLバッグの製剤の重量範囲を記憶手段7C記憶させる。
登録を行うのは、初めて使用する際のみであり、2回目以降の使用では、変更が無い限り、(5)〜(6)の工程は省かれる)
(3)切替スイッチ9を判定対象に対応した状態に設定する。
(4)順次判定対象の血漿バッグPBを載台3にセットする。
(5)色調センサ5によって色の取得と、重量センサ6により重量を測定し、制御部7によって色と重量の判定を行う。
(6)表示部8または報知手段10から知らされた結果に応じて、判定対象のバッグを所定の工程に振り分ける。
(7)作業が終了したら電源を切る。
【0022】
(血液成分分離装置21)
図5は本発明の血液成分分離装置21の概略図、図6は本発明の血液成分分離装置の概略図、図7は図5の一部拡大図(バッグセット部22Aの拡大図)、図8は図5の一部拡大断面図(バッグセット部22Aの一部拡大断面図)、図9から図11は血液成分分離装置21の使用方法の一例を示す概略図である。
本発明の血液成分分離装置21は、装置本体22のバッグセット部22Aに、前記血漿色調識別装置1を配置したものである。
さらに詳述すれば、本発明の血液成分分離装置21は、出願人が、特開2003−130865、特開2003−135591で開示した公知の血液成分分離装置において、図5から図8に例示するように、装置本体22の上部にバッグセット部22Aを配置し、バッグセット部22Aの載台23に孔23Aを形成し、腕部23B(支持部ともいう)を介してバッグのカバー(加圧プレート)24を配置し、載台23の下部に色調センサ25を配置したものである。
またカバー(加圧プレート)24には、血漿色調識別装置1で記載した前記発光部11を配置することができる。
なお、血漿色調識別装置1で記載した前記重量センサ26、制御部7、表示部8、切替スイッチ9、報知手段10、電源(供給)部12、電源スイッチ13は、血液成分分離装置21の装置本体22に既に搭載されているもの、すなわち制御部(図示せず)、表示部28、切替スイッチ29、報知手段(図示せず)、電源(供給)部(図示せず)、電源スイッチ(図示せず)がそのまま使用される。
その他、図5、6において、符号PLは、親バッグBの押圧手段、符号S1、S2、S3は、親バッグBと各子バッグB1、B2を接続している各チューブT1、T2、T3のシール手段である。
さらに詳述すれば本発明の血液成分分離装置21は、光が通過できる孔23Aを形成したバッグの載台23と、前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ25と、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、前記CPUの判定結果の表示手段28及び/又は報知手段を有する血液成分分離装置21である。
さらに詳述すれば本発明の血液成分分離装置21は、装置本体22の上部に、バッグセット部22Aを配置し、バッグセット部22Aは、光が通過できる孔3Aを形成し、かつバッグを略水平に配置する載台23と、バッグのカバー24を有し、前記載台23の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ25を配置し、前記装置本体22内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、装置本体22の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段28、装置本体22の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段を配置した血液成分分離装置21である。
さらに、前記載台23の下部に重量センサ26を配置した血液成分分離装置21である。
【0023】
《血液成分分離装置21を使用した血液成分の分離工程》
本発明の血液成分分離装置21の使用方法の一例について説明する。
(1)図6に例示するように、親バッグB、子バッグB1、B2を血液成分分離装置21にセットする。
図9(B)に例示するように、親バッグBより子バッグB1に上層の血漿成分を移動させた後、子バッグB2内の血液保存液を親バッグBに移動させる。
(2)図6、図8に例示するように、載台23にセットした子バッグB1を、図8に例示するように、子バッグB1に対して外光を防ぐためにカバー(加圧プレート)24を平行になる様に移動させ、前記の血漿色調識別装置1と同様に、孔23Aを通して色調センサ25で血漿の色調を判定する。
通常の血漿であると判定されたものは、図9(C)に例示するようにそのまま各子バッグB1、B2のチューブT2、T3を、シール手段S2、S3で自動的にシール処理をして分離工程を終了する。その後切り離して、親バッグBは血球製剤、子バッグB1は血漿製剤となる。
また、血漿の色が乳白色や、緑色や、黄色であると判定された場合も同様にB1、B2のチューブT2、T3を、シール手段S2、S3で自動的にシール処理をして分離工程を終了するが、終了後に表示手段や報知手段より作業者に警告メッセージを発する。その後きりはなして、親バッグBは血球製剤となるが、子バッグB1は分画製剤用の血漿にしたり、廃棄したりする。
【0024】
《血漿が赤く染まった状態であると判定された場合》
図10に例示するように、親バッグBのみシール手段S1による溶着を行い、子バッグB1、B2は溶着せずに子バッグB1から子バッグB2に血漿を移動させた後、チューブT3を閉塞した状態で分離工程を終了する。
(4)(3)で終了した状態の子バッグB1と子バッグB2間のチューブT3をクランプCで封鎖し、親バッグBは切り離して、図11(A)に例示するように子バッグB1と子バッグB2を再度遠心する。
(5)溶血して赤く染まった血漿は、遠心を行っても分離はしないため、その時点で除外するが、遠心工程の不具合などにより、赤血球が混入した血漿は図11(A)に例示するように、再度遠心を行うことにより、子バッグB2内で血漿成分と血球成分に分離する。
(6)子バッグB2内で分離している状態が確認された場合は、クランプCを開放し、図11(B)に例示するように、子バッグB2から子バッグB1に血漿成分を移動させた後、図11(C)に例示するように、チューブT2(T3)にシール処理を施して子バッグB1で、血漿製剤を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の血漿色調識別装置の概略図(断面図)
【図2】本発明の血漿色調識別装置のブロック図
【図3】本発明の血漿色調識別装置の概略図(外観図)
【図4】本発明の血漿色調識別装置の概略図(分解図)
【図5】本発明の血液成分分離装置の概略図
【図6】本発明の血液成分分離装置の概略図
【図7】図5の一部拡大図(載台の拡大図)
【図8】図5の一部拡大断面図(載台の一部拡大断面図)
【図9】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【図10】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【図11】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【符号の説明】
【0026】
1 血漿色調識別装置
2 装置本体
3 載台
3A 孔
4 カバー
5 色調センサ
5A 発光部
5B 受光部
6 重量センサ
7 制御部
7A 入力手段(スイッチ・キィー)
7B 受光素子
7C 記憶手段
7D CPU
8 表示部
9 切替スイッチ
10 報知手段
11 発光部
12 電源(供給)部
13 電源スイッチ
21 血液成分分離装置
22 装置本体
22A バッグセット部
23 載台
23A 孔
24 カバー(加圧プレート)
25 色調センサ
26 重量センサ
S1、S2、S3 シール手段
PB 血漿(製剤入り)バッグ
B 親バッグ
B1 子バッグ1(血漿製剤入りバッグ)
B2 子バッグ2
PL 押圧手段
T1、T2、T3 チューブ
C クランプ
28 表示部
29 切替スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本赤十字社の血液センターで実施されている血液製剤の分離工程後に分離された血漿製剤に、光を投光し、投光の反射光の色調で、製品(良品)とそうでないもの(不良品)とを判定し、判定結果を作業者に知らしめることのできる血漿色調識別装置及び血液成分分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、血漿製剤の色はやや黄色を示す透過性のある液体である。
しかし、例えば、全血から分離される血漿製剤では、白血球を除去するためのろ過工程において赤血球が破損してヘモグロビンが溶出して赤く染まることがある。赤く染まった血漿は血漿製剤として出荷することができない。
血漿が赤く染まっている状態には、前記ヘモグロビンの溶出による原因と、遠心を行う工程で親バッグ内の血液成分がうまく分離できなかったことなどが原因となるものがあり、後者のものは分離が終了した後に再度遠心を行って、血漿製剤を生成する作業を行う。遠心工程を行った親バッグ内の血液は、血球成分と血漿成分に分離する。
血液成分の一般的な分離方法は、後述する図9(A)、(B)のように、親バッグBから子バッグB1に血漿成分を移動させ、子バッグB2から血液保存液を親バッグBに移動し、親バッグBに血球製剤、子バッグB1に血漿製剤を生成する作業を行う。
その工程において、子バッグB1の血漿製剤の判定を行い血漿製剤を合格として生成するか、再度遠心工程にかけるため生成せずに作業を中断した状態で終了するかの選択を、従来は人的労力によって行われていた。
また、供血者の体質や、生活習慣などの影響で血漿が乳白色を呈することもある。
さらに、供血者が服薬をすることで血漿の色が緑色を呈すことがある。
さらに、供血者の性状により、ビリルビンが通常よりも多量に含まれて、黄色を呈することがある。
上記の通常とは異なる色を呈する血漿は、輸血を行う患者に対して悪影響を与える恐れがあるため輸血用の血漿製剤としては除外する必要がある。
【0003】
そこで公知の特許文献1には、「ドナー血液バッグから血漿中の干渉体について血漿を検査する方法および装置」に関するもので、以下の二つの発明A、Bが記載されている。
(発明A)
発明Aは、血漿の入った2つの(バッグ)を連結するチューブをホルダにセットして固定し、チューブに対してランプで光を照射し、透過した光の吸光度を測定した結果より血漿の判定を行うものである。
しかしながら透過(通過)した光の吸光度を測定する発明Aは、以下のように、作業性やとり回しの問題が生じる。
例えば、全血に由来する血球製剤、血漿製剤の分離作業では複数の血液バッグの処理を行う。そのため判定対象となる血漿は複数になり、これを連続的に行わなければならない。
またバッグのチューブをホルダにセットする形式では1回の作業に手間がかかり、連続作業を行う上では有効では無い。
また、血漿製剤バッグのチューブには一般的にセグメント番号(バッグの製造番号)が刻印されており、チューブをホルダにセットした際に色調センサで検出を行うために光が透過する線上に刻印が位置してしまうと、正確に検出が行えなくなるため、セグメント位置がセンサ面にあたらない様にとり回しの点で配慮も必要である。
【0004】
(発明B)
発明Bは、血液バッグ内の血漿中の少なくとも一種の干渉体の濃度を決定する装置で、下記(A)〜(D)を含む装置である。
(A)前記バッグを受けるレセプタクルであって下記(i)〜(iv)を備えるレセプタクル:
(i)前記血液バッグの隅を受ける空洞部で、この空洞部は前記血液バッグの隅のためのV字型のレセプタを画定する固定された2枚の壁を含む;
(ii)前記空洞に向いており、前記バッグに放射線を送るように設置された第一の光ファイバー;
(iii)前記空洞に向いており、前記バッグからの放射線を受けるよう設置された第二の光ファイバーで、第一および第二の光ファイバーは固定され、前記空洞を横切り前記チューブおよび血漿を透過する一定の長さの光路を画定し;
(iv)前記空洞を覆うふた;
(B)前記放射線を出力し、前記の第一のファイバーに結合されたランプ;
(C)前記の第二のファイバーから受けた放射線を測定する分光光度計;
(D)前記分光光度計に接続され、濃度を与える前記測定に基づく少なくとも1つの前記干渉体の濃度を計算するコンピュータ手段。
さらに詳述すれば、コンピュータ手段は、前記濃度を与える、前記の測定した放射線から発生する分光の少なくとも2つの部分の一次導関数を組み合わせて前記濃度を計算する。
前記バッグは、半透明で、その表面に書き込みを含み、前記放射線が前記書き込みバッグおよび前記血漿を透過する。
前記光ファイバが、前記放射線の透過を測定するよう配置されている。
前記血漿中の少なくとも1種の干渉体が、ヘモグロビン、ビリルビン、イントラリピッド、ビルベルジンおよびメチレンブルーを含む群から選択された物質である。
【0005】
通常、血漿製剤を入れるバッグの表面中央には製剤であることを示すためのシールが貼られており、発明Bのように、透過方式にして検出を行う場合、光軸がラベルにより遮られることがある。透過方式においては当該特許に『バッグの隅』と記載される通り部位を特定しなければならない。
また、バッグには血漿と共に空気による気泡が混入しており、光軸が気泡に遮られることもある。
【0006】
また特許文献2には、『液体の成分分析装置及び分析方法』で、透明なバッグに封入した液体に電磁放射線を透過させて成分を分析する装置の発明が開示されている。
当該発明は、前記特許文献1の発明Bと同様の発明である。
前記のように、血漿製剤を入れたバッグには表面中央に製剤シールが貼り付けられており、バッグを透過して検出を行う場合はシールによる電磁波の吸収が心配されるためシールの無い部分を選んで電磁波を発生する部分と電磁波を受けて受容して検出する部分を配置しなければならない。
また、対となる壁によりバッグを立てた状態で挟んでいることから、バッグの上方に溜まった状態となり検出が行えない場合も想定されるためバッグの下部に殆ど限られてしまう。
【0007】
【特許文献1】特表2001−514744号公報[(A)請求項1から4(対応特許第3918952号;請求項1から4)と図1から図4、(B)請求項7(訂正後の請求項6)]
【特許文献2】特開平8−210973号公報(要約、請求項、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、
特許文献1の発明Aでは、血漿製剤バッグのチューブには一般的にセグメント番号(バッグの製造番号)が刻印されており、チューブをホルダにセットした際に色調センサで検出を行うために光が透過する線上に刻印が位置してしまうと、正確に検出が行えなくなるため、セグメント位置がセンサ面にあたらない様にとり回しの点で配慮も必要である点である。
また特許文献1の発明Bと特許文献2の発明では、血漿成分を入れたバッグには表面中央に製剤シールが貼り付けられており、バッグを透過して検出を行う場合はシールによる電磁波の吸収が心配されるためシールの無い部分を選んで電磁波を発生する部分と電磁波を受けて受容して検出する部分を配置しなければならない。
また、対となる壁によりバッグを立てた状態で挟んでいることから、さらに前項にも記載のバッグ内の空気がバッグの上方に溜まった状態となり検出が行えない場合も想定されるためバッグの下部に殆ど限られてしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
[1]本発明は、光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、
前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、
前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、
前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、
を有する血漿色調識別装置(1)を提供する。
[2]ほ装置本体(2)の上部に、光が通過できる孔(3A)を形成し、血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(3)と、前記バッグのカバー(4)を配置し、
前記載台(3)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)を配置し、
前記装置本体(2)内部に、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)を配置し、
装置本体(2)の外部に、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)、
装置本体(2)の内部または外部に前記CPU(7D)の判定結果の報知手段(10)、
を配置した血漿色調識別装置(1)を提供する。
[3]本発明は、前記載台(3)の下部に重量センサ(6)を配置した[1]または[2]に記載の血漿色調識別装置(1)を提供する。
[4]本発明は、光が通過できる孔(23A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(23)と、
前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)と、
前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、
前記CPUの判定結果の表示手段(28)及び/又は報知手段、
を有する血液成分分離装置(21)を提供する。
[5]本発明は、装置本体(22)の上部に、血漿製剤入りのバッグセット部(22A)を配置し、
バッグセット部(22A)は、光が通過できる孔(3A)を形成し、かつ血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(23)と、前記バッグのカバー(24)を有し、
前記載台(23)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)を配置し、
前記装置本体(22)内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、
装置本体(22)の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段(28)、
装置本体(22)の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段、
を配置した血液成分分離装置(21)を提供する。
[6]本発明は、前記載台(23)の下部に重量センサを配置した[4]または[5]に記載の血液成分分離装置(21)を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、
(1)人(作業者)の目による判定では誤差や、見誤りが生じるが、色調センサを使用することで誤差が小さくなり、見誤りもなくすことができて、より安全な血漿製剤を供給することができる。
(2)色調センサと重量センサを併用することでより、効率的な判定を行うことができ、作業性が向上する。
(3)血液成分分離装置の作業工程の中で色調判定を行うことにより、製剤と再度遠心を行って製剤化できるものを自動的に区別でき、工程が改善できる。
(4)バッグを略水平に寝かせて置き、底面から光を投光して、反射した光の測定を行っているため、ラベルの貼られているバッグ表面が上方を向くように置けば、ラベルの貼られていないバッグ裏面が色調センサに対して向くため、ラベルによって光が遮られる心配が無い。
(5)また、バッグ内にある空気の気泡もバッグ上方に集まるため、気泡による影響も受けない。従って本願発明ではバッグを略水平に置くだけで測定を行うことができる。(6)バッグのラベルの無い裏面に対して反射方式で測定を行っているため、複数のセンサを使用する場合もそれぞれの間隔を大きく配置できるため干渉による問題も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の血漿色調識別装置の概略図(断面図)、本発明の血漿色調識別装置のブロック図、図3は本発明の血漿色調識別装置の概略図(外観図)、図4は本発明の血漿色調識別装置の概略図(分解図)である。
【0012】
[血漿色調識別装置1]
本発明の血漿色調識別装置1は、装置本体2の外部と内部に、血漿製剤入りバッグ(以下、単に「バッグ」と略記する)の載台3、バッグのカバー4、色調センサ5、重量センサ6、制御部7、表示部8、切替スイッチ9、報知手段10、電源(供給)部12、電源スイッチ13を有している。
さらに詳述すれば、本発明の血漿色調識別装置1は、光が通過できる孔3Aを形成したバッグの載台3と、前記バッグに光を投光する発光部5A及び前記バッグからの反射光を受光する受光部5Bを有する色調センサ5と、前記受光部5Bからの反射光を検出する受光素子7Bと、識別対象となる光の色の記憶手段7Cと、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU7Dを有する制御部7と、前記CPU7Dの判定結果の表示手段8及び/又は報知手段10、を有する血漿色調識別装置1である。
さらに詳述すれば、本発明の血漿色調識別装置1は、装置本体2の上部に、光が通過できる孔3Aを形成し、バッグを略水平に配置する載台3と、バッグのカバー4を配置し、前記載台3の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部5A及び前記バッグからの反射光を受光する受光部5Bを有する色調センサ5を配置し、前記装置本体2内部に、前記受光部5Bからの反射光を検出する受光素子7Bと、識別対象となる光の色の記憶手段7Cと、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU7Dを有する制御部7を配置し、装置本体2の外部に、前記CPU7Dの判定結果の表示手段8、装置本体2の内部または外部に前記CPU7Dの判定結果の報知手段10を配置した血漿色調識別装置1である。
さらに前記載台3の下部に重量センサ6を配置した血漿色調識別装置1である。
【0013】
[色調センサ5]
本発明の「色調センサ5」は、図2に例示するように、発光部5Aと、当該発光部Aから投光された光が血漿製剤入りバッグにあたり、反射した光を受光し、制御部7に伝達するための受光部5Bを備える。
発光部5Aは、発光LED等が好適に使用される。
受光部5Bは、受光用光ファイバー等が好適に使用される。
色調センサ5は、孔3Aを形成した載台3の下部(装置本体2内)に配置し、孔3Aから発光部5Aと受光部5Bの先端部が露出する様に配置する。
孔3Aには防塵、防水性を確保するために透過性の高い透明な素材を使用したカバー(特に図示せず、カバー4とは異なる)を装着することもできる。
カバーの素材としてアクリルや、耐薬品性を考慮してポリカーボネートを使用することができる。
また、色調センサ5は、後述する血液成分分離装置21に使用する場合は、装置本体22の上部に配置したバッグセット部22Aの載台23の下部に配置する。バッグはバッグセット部22Aの加圧プレート24と載台23の間に挟んで配置する。
また、図2の例示では、色調センサ5は一個のみ配置しているが、検出精度をより向上させるために複数個配置することもできる。この場合、検出を行うための光軸の発生部分(発光部5A)と検出部分(受光部5B)を複数配置して使用する場合は、それぞれの干渉を防ぐためになるべく発生部分(発光部5A)と検出部分(受光部5B)の距離を離した方が良い。
【0014】
[載台3]
バッグの載台3は、略中央に孔3Aを形成し、孔3Aに前記色調センサ5の発光部5Aと受光部5Bの先端部が露出する様に配置する。
バッグの載台3は、バッグを略水平に横たえて配置することができれば、装置本体2の平面位置のどこの位置に配置してもよい。
また、色調センサ5(特に受光部5B)に外部から判定に悪影響を与える光や信号などが入らない様に、載台3の上部に、例えば腕部3B(支持部ともいう)等を介してカバー4を配置する。
また載台3は、装置本体2の天面を凹部状にして、凹部にバッグを挿入してセットできるようにしてもよい。
[カバー4]
カバー4は外部からの悪影響を防ぐため、金属や樹脂による外套を使用することもできる。またバッグに対して明るさの条件を均一にするために、例えばLEDランプ等の発光部11を配置して、色調センサ5の発光部5Aの反対側から、光を投光することもできる。
【0015】
[重量センサ6]
また、単に色調センサ5で、バッグ内の血漿の色を判定する以外にも、載台3の下部に重量センサ6を、配置してバッグの重量も判定し、血漿製剤の重量が製剤の基準を充たしているかどうかの判定も行えるようにすることができる。
重量センサ6としては、公知の血液成分分離装置に使用されている「ロードセル」
等が好適に使用される。図2の例示では、載台3の下部に二個(一対)配置されているが、一個でも三個以上配置しても良い。
【0016】
[制御部7]
制御部7は装置本体2に内蔵し、色調センサ5を介して受光部5Bにより伝達された対象の反射光を検出するための受光素子7Bを備える。
また、登録対象となる色の情報を記録するための記憶手段7Cを備える。
記憶手段7Cには、ある特定した色を複数登録して記憶させることができる。例えば、(a)通常の血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿の色を登録することができる。
さらに記憶手段7Cに登録された色の情報と、色調センサ5で得た比較対象となる血漿の色の情報を比較し、登録されている色と近似している色を判定するCPU7Dを備える。
例えば、比較対象となる血漿の色が、
(a)通常の血漿の色であるときは、「合格」と表示する。
(b)乳白色の血漿の色であるときは、「乳び」と表示する。
(c)赤く染まった血漿の色である時は「溶血(の疑い)」と表示する。
(d)緑色の血漿の色である時は、「緑血漿」と表示する。
(e)黄色の血漿の色である時は、「ビリルビン(過多)」と表示する。
以上のようにそれぞれの色と近似する色であると判定された結果を表示部8又は報知手段10に出力する。血漿の状態によっては、「乳び」であり「溶血(の疑い)」であると、複数の判定された結果を出力することもできる。
また登録対象である色を登録する際や判定を行う際に近似している色であることをCPU7Dで判定するための「しきい値」の範囲設定も行う際の入力手段7A(例えば、スイッチやキー)を備える。「しきい値」は数値または大小を示すグラフの状態で示すことができ、値を大きく設定することで登録されている色に極めて似ている色のみを判定したり、値を小さく見た目では似ていないものも同じ色であるとみなして判定することもできる。またこの値と設定の状件を逆にすることもできる。
さらに、入力手段7Aによって、例えば200mLバッグ400mLバッグの血漿製剤の製品としての重量範囲を設定し、それを記憶手段7Cに記憶させて比較対象であるバッグを重量センサ6で測定した重量が記憶手段7Cに設定した重量範囲に入っているか否かをCPU7Dで判定し、判定された結果を表示部8又は報知手段10に出力する
【0017】
[表示部8]
表示部8は複数の登録対象である色の情報と対応して複数個配置する。LEDランプなどの有色の発光部材で色を分けても良い。
前記制御部7にて比較された血漿の色の判定された結果を表示する。
さらに、重量センサ6で測定した重量が記憶手段7Cに設定した重量範囲に入っているか否かを制御部7で判定された結果を表示する。
また、表示部8に液晶モニタを使用して判定した結果を文字や図形、画像などで表示したり、制御部7で設定した「しきい値」や、切替スイッチ9によって設定されている条件などを表示することもできる。
【0018】
[切替スイッチ9]
切替スイッチ9は、例えば400mL用と200mL用の血液(血漿製剤を入れる)バッグでは容量が異なるため、バッグの厚みが異なり同じ血漿を入れた場合でも色調が変わってしまう。
そこで、400mLと200mLそれぞれのバッグの容量を登録対象として設定することもできる。判定対象毎に切り替えが行えるようにするスイッチである。
スイッチの例としては、例えば通常のボタンスイッチやロッカースイッチなどの手動で操作するものを選ぶこともできるし、セットされたバッグの重量を判定して自動的に切り替えるスイッチを選ぶこともできる。
切替スイッチ9は、血液バッグメーカー毎のバッグ材料の差異による色の違いがある場合、これを登録対象にして、切り替えることができる切替スイッチとしても用意できる。
【0019】
[報知手段10]
報知手段10は、制御部7で判定された結果を、音で報知させることができる。
報知手段10には複数の音色を発することができるブザを使用して登録対象の色毎に音色を変えて報知することができる。また、スピーカーを使用して音声言語により報知することができる。報知手段10は、装置本体2の内部または外部に配置しても良い。
[電源(供給)部12と電源スイッチ13]
電源(供給)部12は、一般的な商用電源から色調センサ5、制御部7、表示部8、報知手段10に電力を供給する。
また過電流により機器が破損することを防ぐために、フューズなどの過負荷保護、ノイズフィルタもこれに含まれる。
電源スイッチ13は、装置を起動するためのスイッチである。
【0020】
(血漿色調識別装置1の基本的な使用方法:色調センサ5のみによる判定)
本発明の血漿色調識別装置1の基本的な使用方法の一例について説明する。
(1)電源を投入する。
(2)制御部7にて色の登録作業を行う。
登録対象となるのは、通常の(a)血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿などである。あらかじめ基準となる色の血漿が入ったバッグPBをそれぞれ登録する分だけ用意し、載台3にセットした状態で色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7の記憶手段7Cに記憶させる。
また、必要に応じて異なるバッグ容量や種類に応じてさらに登録する。
なお、登録を行うのは、初めて使用する際のみであり、2回目以降の使用では、変更が無い限り、色の登録作業は省かれる。
(3)切替スイッチ9を判定対象に対応した状態に設定する。
(4)順次判定対象となる血漿バッグPBを載台3にセットする。
(5)色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7によって色の判定を行う。
(6)表示部8または報知手段10から知らされた結果に応じて、判定対象の血漿バッグPBを所定の工程に振り分ける。
(7)作業が終了したら電源を切る。
【0021】
(血漿色調識別装置1の使用方法の応用:色調センサ5と重量センサ6の併用による判定)
(1)電源を投入する。
(2)制御部7にて色の登録作業を行う。
登録対象となるのは、通常の(a)血漿、(b)乳白色の血漿、(c)赤く染まった血漿、(d)緑色の血漿、(e)黄色の血漿などである。あらかじめ基準となる色の血漿が入ったバッグPBをそれぞれ登録する分だけ用意し、載台3にセットした状態で色調センサ5によって色の取得を行い、制御部7の記憶手段7Cに記憶させる。
さらに、制御部7の入力手段7Aを操作して、200mLバッグまたは400mLバッグの製剤の重量範囲を記憶手段7C記憶させる。
登録を行うのは、初めて使用する際のみであり、2回目以降の使用では、変更が無い限り、(5)〜(6)の工程は省かれる)
(3)切替スイッチ9を判定対象に対応した状態に設定する。
(4)順次判定対象の血漿バッグPBを載台3にセットする。
(5)色調センサ5によって色の取得と、重量センサ6により重量を測定し、制御部7によって色と重量の判定を行う。
(6)表示部8または報知手段10から知らされた結果に応じて、判定対象のバッグを所定の工程に振り分ける。
(7)作業が終了したら電源を切る。
【0022】
(血液成分分離装置21)
図5は本発明の血液成分分離装置21の概略図、図6は本発明の血液成分分離装置の概略図、図7は図5の一部拡大図(バッグセット部22Aの拡大図)、図8は図5の一部拡大断面図(バッグセット部22Aの一部拡大断面図)、図9から図11は血液成分分離装置21の使用方法の一例を示す概略図である。
本発明の血液成分分離装置21は、装置本体22のバッグセット部22Aに、前記血漿色調識別装置1を配置したものである。
さらに詳述すれば、本発明の血液成分分離装置21は、出願人が、特開2003−130865、特開2003−135591で開示した公知の血液成分分離装置において、図5から図8に例示するように、装置本体22の上部にバッグセット部22Aを配置し、バッグセット部22Aの載台23に孔23Aを形成し、腕部23B(支持部ともいう)を介してバッグのカバー(加圧プレート)24を配置し、載台23の下部に色調センサ25を配置したものである。
またカバー(加圧プレート)24には、血漿色調識別装置1で記載した前記発光部11を配置することができる。
なお、血漿色調識別装置1で記載した前記重量センサ26、制御部7、表示部8、切替スイッチ9、報知手段10、電源(供給)部12、電源スイッチ13は、血液成分分離装置21の装置本体22に既に搭載されているもの、すなわち制御部(図示せず)、表示部28、切替スイッチ29、報知手段(図示せず)、電源(供給)部(図示せず)、電源スイッチ(図示せず)がそのまま使用される。
その他、図5、6において、符号PLは、親バッグBの押圧手段、符号S1、S2、S3は、親バッグBと各子バッグB1、B2を接続している各チューブT1、T2、T3のシール手段である。
さらに詳述すれば本発明の血液成分分離装置21は、光が通過できる孔23Aを形成したバッグの載台23と、前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ25と、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、前記CPUの判定結果の表示手段28及び/又は報知手段を有する血液成分分離装置21である。
さらに詳述すれば本発明の血液成分分離装置21は、装置本体22の上部に、バッグセット部22Aを配置し、バッグセット部22Aは、光が通過できる孔3Aを形成し、かつバッグを略水平に配置する載台23と、バッグのカバー24を有し、前記載台23の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ25を配置し、前記装置本体22内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、装置本体22の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段28、装置本体22の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段を配置した血液成分分離装置21である。
さらに、前記載台23の下部に重量センサ26を配置した血液成分分離装置21である。
【0023】
《血液成分分離装置21を使用した血液成分の分離工程》
本発明の血液成分分離装置21の使用方法の一例について説明する。
(1)図6に例示するように、親バッグB、子バッグB1、B2を血液成分分離装置21にセットする。
図9(B)に例示するように、親バッグBより子バッグB1に上層の血漿成分を移動させた後、子バッグB2内の血液保存液を親バッグBに移動させる。
(2)図6、図8に例示するように、載台23にセットした子バッグB1を、図8に例示するように、子バッグB1に対して外光を防ぐためにカバー(加圧プレート)24を平行になる様に移動させ、前記の血漿色調識別装置1と同様に、孔23Aを通して色調センサ25で血漿の色調を判定する。
通常の血漿であると判定されたものは、図9(C)に例示するようにそのまま各子バッグB1、B2のチューブT2、T3を、シール手段S2、S3で自動的にシール処理をして分離工程を終了する。その後切り離して、親バッグBは血球製剤、子バッグB1は血漿製剤となる。
また、血漿の色が乳白色や、緑色や、黄色であると判定された場合も同様にB1、B2のチューブT2、T3を、シール手段S2、S3で自動的にシール処理をして分離工程を終了するが、終了後に表示手段や報知手段より作業者に警告メッセージを発する。その後きりはなして、親バッグBは血球製剤となるが、子バッグB1は分画製剤用の血漿にしたり、廃棄したりする。
【0024】
《血漿が赤く染まった状態であると判定された場合》
図10に例示するように、親バッグBのみシール手段S1による溶着を行い、子バッグB1、B2は溶着せずに子バッグB1から子バッグB2に血漿を移動させた後、チューブT3を閉塞した状態で分離工程を終了する。
(4)(3)で終了した状態の子バッグB1と子バッグB2間のチューブT3をクランプCで封鎖し、親バッグBは切り離して、図11(A)に例示するように子バッグB1と子バッグB2を再度遠心する。
(5)溶血して赤く染まった血漿は、遠心を行っても分離はしないため、その時点で除外するが、遠心工程の不具合などにより、赤血球が混入した血漿は図11(A)に例示するように、再度遠心を行うことにより、子バッグB2内で血漿成分と血球成分に分離する。
(6)子バッグB2内で分離している状態が確認された場合は、クランプCを開放し、図11(B)に例示するように、子バッグB2から子バッグB1に血漿成分を移動させた後、図11(C)に例示するように、チューブT2(T3)にシール処理を施して子バッグB1で、血漿製剤を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の血漿色調識別装置の概略図(断面図)
【図2】本発明の血漿色調識別装置のブロック図
【図3】本発明の血漿色調識別装置の概略図(外観図)
【図4】本発明の血漿色調識別装置の概略図(分解図)
【図5】本発明の血液成分分離装置の概略図
【図6】本発明の血液成分分離装置の概略図
【図7】図5の一部拡大図(載台の拡大図)
【図8】図5の一部拡大断面図(載台の一部拡大断面図)
【図9】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【図10】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【図11】本発明の血液成分分離装置の使用方法の一例を示す概略図
【符号の説明】
【0026】
1 血漿色調識別装置
2 装置本体
3 載台
3A 孔
4 カバー
5 色調センサ
5A 発光部
5B 受光部
6 重量センサ
7 制御部
7A 入力手段(スイッチ・キィー)
7B 受光素子
7C 記憶手段
7D CPU
8 表示部
9 切替スイッチ
10 報知手段
11 発光部
12 電源(供給)部
13 電源スイッチ
21 血液成分分離装置
22 装置本体
22A バッグセット部
23 載台
23A 孔
24 カバー(加圧プレート)
25 色調センサ
26 重量センサ
S1、S2、S3 シール手段
PB 血漿(製剤入り)バッグ
B 親バッグ
B1 子バッグ1(血漿製剤入りバッグ)
B2 子バッグ2
PL 押圧手段
T1、T2、T3 チューブ
C クランプ
28 表示部
29 切替スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、
前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、
前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、
前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、
を有することを特徴とする血漿色調識別装置(1)。
【請求項2】
装置本体(2)の上部に、光が通過できる孔(3A)を形成し、血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(3)と、前記バッグのカバー(4)を配置し、
前記載台(3)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)を配置し、
前記装置本体(2)内部に、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)を配置し、
装置本体(2)の外部に、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)、
装置本体(2)の内部または外部に前記CPU(7D)の判定結果の報知手段(10)、
を配置したことを特徴とする血漿色調識別装置(1)。
【請求項3】
前記載台(3)の下部に重量センサ(6)を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血漿色調識別装置(1)。
【請求項4】
光が通過できる孔(23A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(23)と、
前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)と、
前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、
前記CPUの判定結果の表示手段(28)及び/又は報知手段、
を有することを特徴とする血液成分分離装置(21)。
【請求項5】
装置本体(22)の上部に、血漿製剤入りのバッグセット部(22A)を配置し、
バッグセット部(22A)は、光が通過できる孔(3A)を形成し、かつ血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(23)と、前記バッグのカバー(24)を有し、
前記載台(23)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)を配置し、
前記装置本体(22)内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、
装置本体(22)の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段(28)、
装置本体(22)の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段、
を配置したことを特徴とする血液成分分離装置(21)。
【請求項6】
前記載台(23)の下部に重量センサを配置したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の血液成分分離装置(21)。
【請求項1】
光が通過できる孔(3A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(3)と、
前記バッグに光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)と、
前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)と、
前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)及び/又は報知手段(10)、
を有することを特徴とする血漿色調識別装置(1)。
【請求項2】
装置本体(2)の上部に、光が通過できる孔(3A)を形成し、血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(3)と、前記バッグのカバー(4)を配置し、
前記載台(3)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部(5A)及び前記バッグからの反射光を受光する受光部(5B)を有する色調センサ(5)を配置し、
前記装置本体(2)内部に、前記受光部(5B)からの反射光を検出する受光素子(7B)と、識別対象となる光の色の記憶手段(7C)と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPU(7D)を有する制御部(7)を配置し、
装置本体(2)の外部に、前記CPU(7D)の判定結果の表示手段(8)、
装置本体(2)の内部または外部に前記CPU(7D)の判定結果の報知手段(10)、
を配置したことを特徴とする血漿色調識別装置(1)。
【請求項3】
前記載台(3)の下部に重量センサ(6)を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血漿色調識別装置(1)。
【請求項4】
光が通過できる孔(23A)を形成した血漿製剤入りバッグの載台(23)と、
前記バッグに光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)と、
前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部と、
前記CPUの判定結果の表示手段(28)及び/又は報知手段、
を有することを特徴とする血液成分分離装置(21)。
【請求項5】
装置本体(22)の上部に、血漿製剤入りのバッグセット部(22A)を配置し、
バッグセット部(22A)は、光が通過できる孔(3A)を形成し、かつ血漿製剤入りバッグを略水平に配置する載台(23)と、前記バッグのカバー(24)を有し、
前記載台(23)の下部に、前記バッグに下部から光を投光する発光部及び前記バッグからの反射光を受光する受光部を有する色調センサ(25)を配置し、
前記装置本体(22)内部に、前記受光部からの反射光を検出する受光素子と、識別対象となる光の色の記憶手段と、反射光の色と記憶された光の色とを比較するCPUを有する制御部を配置し、
装置本体(22)の外部に、前記CPUの判定結果の表示手段(28)、
装置本体(22)の内部または外部に前記CPUの判定結果の報知手段、
を配置したことを特徴とする血液成分分離装置(21)。
【請求項6】
前記載台(23)の下部に重量センサを配置したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の血液成分分離装置(21)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−85824(P2009−85824A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257547(P2007−257547)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
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