説明

血管の機能不全による進行性心筋傷害治療のための組成物および方法

【課題】 本発明は、それを必要とする被験者で早期または遅い時期に発生する血管の機能不全に起因する持続性および進行性の心筋傷害の有害な結果を治療するための方法および療法と、走化性造血幹細胞生成物および任意に追加的な活性薬剤を含む進行性心筋傷害を予防する組成物とを提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の機能不全による進行性心筋傷害の治療方法であって、その方法が以下のステップを含む方法:
(a) CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を有する強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の無菌非拡大隔離集団を、滅菌状態の被験者から取得するステップ、
(b) CD34+細胞を含む自己単核細胞を無菌状態で濃縮するステップであって、ここでCXCR−4媒介走化活性を有する強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団をさらに含む濃縮CD34+細胞が、走化性造血幹細胞生成物であるもの、
(c)被験者の生存期間の複数の注入日にカテーテルを通して無菌の医薬組成物を非経口的に投与するステップであって、その無菌の医薬組成物が以下を含むもの:
(i)治療有効量の無菌の走化性造血幹細胞生成物であって、
ここで、治療有効量の走化性造血幹細胞生成物が、少なくとも10×106個のCD34+細胞を含み、これがCXCR−4を発現し、CXCR−4媒介走化活性を持つ少なくとも0.5×106個の強力な CD34+細胞の亜集団をさらに含み、および
(ii) 安定化量の血清、ここでその安定化量の血清は20%(v/v)よりも大きく、
また、走化性造血幹細胞生成物はさらに、カテーテルを通過した後で生体外で試験したとき、少なくとも24時間は、以下の性質を持つものとして特徴付けられるもの:
(1) 走化性造血幹細胞生成物のCXCR−4媒介活性を保持する、
(2) 細胞のうち少なくとも70%がCD34+細胞である、
(3) 少なくとも70%が生存可能である、および
(4) 造血コロニーを生体外で形成しうる、
(d) 被験者の生存期間の複数の注入日に走化性造血幹細胞生成物を任意に投与するステップ、および
(e)進行性血管機能不全の少なくとも1つの有害事象を治療するステップ。
【請求項2】
請求項1による方法であって、ステップ(a)がさらに、CD34+細胞を含み、これがCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団をさらに含む、自家単核細胞の非拡大単離集団の少なくとも1つのアリコットを−86℃で冷凍することと、少なくとも1つのアリコットを液体窒素フリーザーの気相内で冷凍保存することを含む方法。
【請求項3】
請求項2による方法であって、ステップ(a)がさらに、
(i) CD34+細胞を含み、これがCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団をさらに含む、冷凍した自家単核細胞の非拡大単離集団の少なくとも1つのアリコットを解凍すること、
(ii) CD34+細胞を含み、これがさらにCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の無菌非拡大隔離集団を濃縮することであって、CD34+細胞用に濃縮され、これがCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団をさらに含む、自己単核細胞の無菌非拡大隔離集団が、解凍した無菌の走化性造血幹細胞生成物であるもの、および
(iii) 第2の注入日に、治療有効量の解凍した無菌の走化性造血幹細胞生成物を被験者に投与することであって、この生成物が
(a) CXCR−4を発現しCXCR−4媒介走化活性を持つ少なくとも0.5×106個の強力なCD34+細胞の亜集団を含む、少なくとも10×106個のCD34+細胞と、
(b) 安定化量の血清であって、その安定化量の血清が20%(v/v)よりも大きいものを含むが、
ここで解凍した無菌の走化性造血幹細胞生成物はさらに、カテーテルを通過した後で生体外で試験したとき、CD34+細胞を含み、これがCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団をさらに含む、自己単核細胞の非拡大隔離集団を解凍した後少なくとも24時間のあいだ、以下の性質を持つものとして特徴付けられる:
(1) XCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団のCXCR−4媒介活性を保持する。
(2) 細胞のうち少なくとも70%がCD34+細胞である、
(3) 少なくとも70%が生存可能である、および
(4) 造血コロニーを生体外で形成しうる。
【請求項4】
濃縮のステップ(ii)がCD34+細胞を含む自己単核細胞の無菌非拡大隔離集団を被験者から取得した後、少なくとも1日に起こる、請求項3による方法。
【請求項5】
無菌の走化性造血幹細胞生成物が、解凍ステップ(i)から約48時間〜約72時間以内にカテーテルを通して被験者に非経口的に投与される、請求項3による方法。
【請求項6】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む自己単核細胞の非拡大隔離集団が、急性心筋梗塞後の早期に取得される、請求項1による方法。
【請求項7】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む自己単核細胞の非拡大隔離集団が、梗塞部位での炎症性サイトカインのカスケード生成のピーク後に取得される、請求項6による方法。
【請求項8】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む自己単核細胞の非拡大隔離集団が、急性心筋梗塞後の遅い時期に取得される、請求項1による方法。
【請求項9】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む自己単核細胞の非拡大隔離集団が、急性心筋梗塞後少なくとも15日に取得される、請求項8による方法。
【請求項10】
解凍した無菌の走化性造血幹細胞生成物が、カテーテルを通過させた後で生体外で試験したとき、自己単核細胞の非拡大隔離集団を解凍して少なくとも48時間は、以下の性質を持つものとしてさらに特徴付けられる、請求項3による方法:
(i) 造血コロニーを形成できる、および
(ii) CXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団のCXCR−4媒介活性の少なくとも2%を保持する。
【請求項11】
解凍した無菌の走化性造血幹細胞生成物が、カテーテルを通過した後で生体外で試験したとき、自己単核細胞の非拡大隔離集団の解凍後少なくとも72時間のあいだ、以下の性質を持つものとしてさらに特徴付けられる、請求項3による方法:
(i)造血コロニーを形成しうる、および
(ii)CXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団のCXCR−4媒介活性のうち少なくとも2%を保持する。
【請求項12】
血管の機能不全が虚血である、請求項1による方法。
【請求項13】
虚血が心筋虚血である、請求項12による方法。
【請求項14】
虚血が一過性虚血である、請求項12による方法。
【請求項15】
虚血が慢性心筋虚血である、請求項12による方法。
【請求項16】
血管の機能不全が、基礎疾患によりもたらされる急性心筋梗塞後の血管の機能不全である、請求項1による方法。
【請求項17】
虚血が梗塞周囲境界領域虚血である、請求項16による方法。
【請求項18】
初回注入日が第1の時点と第2の時点で定義される特定の時間間隔を含み、また第1の時点が、梗塞部位での炎症性サイトカインのカスケード生成のピーク後であり、および第2の時点が、梗塞部位での心筋の瘢痕形成前である、請求項16による方法。
【請求項19】
初回注入日の第1の時点が、梗塞後少なくとも約5日である、請求項18による方法。
【請求項20】
初回注入日の第1の時点が、梗塞後約5日および第2の時点が、梗塞後約14日である、請求項18による方法。
【請求項21】
方法が対照群と比較して梗塞周囲境界領域における心筋細胞死を治療する、請求項16による方法。
【請求項22】
方法が対照群と比較して梗塞周囲境界領域における低灌流を治療する、請求項16による方法。
【請求項23】
方法が対照群と比較して梗塞周囲境界領域における冬眠心筋を治療する、請求項16による方法。
【請求項24】
方法が対照群と比較して梗塞領域を減少させる、請求項16による方法。
【請求項25】
方法が対照群と比較して梗塞質量を減小させる、請求項16による方法。
【請求項26】
進行性心筋傷害が急性心筋梗塞後の心筋機能の進行性の低下である、請求項16による方法。
【請求項27】
ステップ(e)に、早期死亡、心筋梗塞の再発、うっ血性心不全の発症、重症の不整脈の発症、急性冠動脈症候群の発症、うっ血性心不全の悪化、重症の不整脈の悪化、および急性冠動脈症候群の悪化から選択される急性心筋梗塞の有害事象のうち少なくとも1つの治療が含まれる請求項1による方法。
【請求項28】
進行性心筋傷害が心不全である、請求項1による方法。
【請求項29】
カテーテルが流量調整カテーテルである、請求項1による方法
【請求項30】
カテーテルがバルーン膨張カテーテルである、請求項1による方法。
【請求項31】
カテーテルが少なくとも約0.36 mmの内径を持つ、請求項1による方法。
【請求項32】
ステップ(c)の投与がカテーテルを通して心筋になされる、請求項1による方法。
【請求項33】
ステップ(c)の投与がカテーテルを通して血管内になされる、請求項1による方法。
【請求項34】
医薬組成物に少なくとも1つの適合性のある活性薬剤がさらに含まれる、請求項1による方法。
【請求項35】
活性薬剤が、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β−遮断薬、利尿薬、抗不整脈薬、造血幹細胞動員薬、チロシンキナーゼ受容体作動薬、抗狭心症薬、血管作用薬、抗凝血剤、線維素溶解薬および高コレステロール血症薬から構成される群から選択される、請求項34による方法。
【請求項36】
チロシンキナーゼ受容体作動薬がヒトニューレグリン1である、請求項35による方法。
【請求項37】
血管再生された被験者において血管の機能不全による進行性心筋傷害の治療を提供する療法であって、以下を含むもの
(a) 被験者の生存期間の複数の注入日にカテーテルを通して、無菌の走化性造血幹細胞生成物を含む無菌の医薬組成物を非経口的に投与することであって、ここで無菌の走化性造血幹細胞生成物は以下を含むもの
(i) CD34+細胞用に濃縮され、これがさらにCXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の非拡大隔離集団、
ここで治療有効量の走化性造血幹細胞生成物は、少なくとも10×106個のCD34+細胞を含み、これがCXCR−4を発現し、CXCR−4媒介走化活性を持つ少なくとも0.5×106個の強力なCD34+細胞の亜集団をさらに含む、および
(ii) 安定化量の血清であって、ここでその安定化量の血清は20%(v/v)よりも大きい、
ここで走化性造血幹細胞生成物は、さらにカテーテルを通過した後で生体外で試験したとき、走化性造血幹細胞生成物の取得後少なくとも24時間のあいだは、以下の性質を持つことで特性付けられる:
(1) CXCR−4媒介走化活性を持つ強力なCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団のCXCR−4媒介活性を保持する、
(2) 細胞の少なくとも70%がCD34+細胞である、
(3) 少なくとも70%生存可能である、および
(4) 造血コロニーを生体外で形成しうる、および
(b) 進行性血管機能不全の少なくとも1つの有害事象を治療すること。
【請求項38】
血管機能不全が虚血である、請求項37による療法。
【請求項39】
虚血が心筋虚血である、請求項38による療法。
【請求項40】
虚血が一過性虚血である、請求項38による療法。
【請求項41】
虚血が慢性心筋虚血である、請求項38による療法。
【請求項42】
血管の機能不全が、基礎疾患によりもたらされる急性心筋梗塞後の血管の機能不全である、請求項37による療法。
【請求項43】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自家単核細胞の非拡大隔離集団が、急性心筋梗塞の発生後、早期に取得される、請求項37による療法。
【請求項44】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の非拡大単離集団が、梗塞部位での炎症性サイトカインのカスケード生成のピーク後に取得される、請求項43による療法。
【請求項45】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の非拡大単離集団が、急性心筋梗塞の発生後の遅い時期に取得される、請求項37による療法。
【請求項46】
CD34+細胞を含み、さらにCXCR−4媒介走化活性を持つCD34+/CXCR−4+細胞の亜集団を含む、自己単核細胞の非拡大単離集団が、急性心筋梗塞の発生から少なくとも15日後に取得される、請求項45による方法。
【請求項47】
初回注入日が第1の時点と第2の時点で定義される特定の時間間隔を含み、また第1の時点が、梗塞部位での炎症性サイトカインのカスケード生成のピーク後であり、第2の時点が梗塞部位での心筋の瘢痕形成前である、請求項42による療法。
【請求項48】
初回注入日の第1の時点が、梗塞後少なくとも約5日である、請求項47による療法。
【請求項49】
初回注入日の第1の時点が、梗塞後約5日、および第2の時点は、梗塞後約14日である、請求項47による療法。
【請求項50】
初回注入日が、急性心筋梗塞の発生から少なくとも5日後である、請求項42による療法。
【請求項51】
第2の注入日が、急性心筋梗塞の発生から少なくとも30日後である、請求項42による療法。
【請求項52】
虚血が梗塞周囲境界領域虚血である、請求項37による療法。
【請求項53】
ステップ(b)が対照群と比較した梗塞周囲境界領域における心筋細胞細胞死の治療を含む、請求項52による療法。
【請求項54】
ステップ(b)が対照群と比較した梗塞周囲境界領域における低灌流の治療を含む、請求項52による療法。
【請求項55】
ステップ(b)が対照群と比較した梗塞周囲境界領域における冬眠心筋の治療を含む、請求項52による療法。
【請求項56】
ステップ(b)が対照群と比較した梗塞領域の減少を含む、請求項52による療法。
【請求項57】
ステップ(b)が対照群と比較した梗塞質量の減小を含む、請求項52による療法。
【請求項58】
ステップ(b)が、早期死亡、心筋梗塞の再発、うっ血性心不全の発症、重症の不整脈の発症、急性冠動脈症候群の発症、うっ血性心不全の悪化、重症の不整脈の悪化、および急性冠動脈症候群の悪化から選択した急性心筋梗塞の少なくとも1つの有害事象の治療を含む、請求項52による療法。
【請求項59】
進行性心筋傷害が、急性心筋梗塞後の心筋機能の進行性の低下である、請求項42による療法。
【請求項60】
進行性心筋傷害が心不全である、請求項37による療法。
【請求項61】
カテーテルが流量調整カテーテルである、請求項37による療法。
【請求項62】
カテーテルがバルーン膨張カテーテルである、請求項37による療法。
【請求項63】
カテーテルが少なくとも約0.36 mmの内径を持つ、請求項37による療法。
【請求項64】
組成物がカテーテルを通して心筋に投与される、請求項37による療法。
【請求項65】
組成物がカテーテルを通して血管内に投与される、請求項37による療法。
【請求項66】
医薬組成物にさらに少なくとも1つの適合性のある活性薬剤が含まれる、請求項37による療法。
【請求項67】
活性薬剤がアンジオテンシン変換酵素阻害剤、β−遮断薬、利尿薬、抗不整脈薬、造血幹細胞動員薬、チロシンキナーゼ受容体作動薬、抗狭心症薬、血管作用薬、抗凝血剤、線維素溶解薬および高コレステロール血症薬からなる群から選択される、請求項66による療法。
【請求項68】
チロシンキナーゼ受容体作動薬が、ヒトニューレグリン1である、請求項67による療法。

【公表番号】特表2013−508408(P2013−508408A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535413(P2012−535413)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/053744
【国際公開番号】WO2011/050266
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511134481)アモーサイト インコーポレイテッド (2)
【出願人】(312013583)
【出願人】(312013594)
【Fターム(参考)】