説明

血管セグメントを画像化する方法および装置

【課題】不透明流体に接触する構造の表面を画像化する装置、方法およびソフトウェア機構を提供する。
【解決手段】上記装置は、(たとえばハウジングなどの)人工物(208)と、流体送給機構と、画像化機構(204)とを含む。上記ハウジングは、上記人工物内に形成された開孔(221)を含む。上記流体送給機構は実質的に透明である所定体積の流体を、上記ハウジングに形成された開孔に対して送給すべく構成される。上記画像化機構は、上記所定体積の透明流体が上記開孔に対して送給された後に、所定画像化法を用いて上記構造の表面を画像化すべく構成され、上記画像化機構および/または上記人工物は、上記構造の上記表面を画像化する間に上記構造の上記表面に沿い(引戻しデバイス215により)平行移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、光学的放射を使用して表面を画像化する方法および装置に関し、より詳細には、光学的放射を使用して血管の内部目標表面を画像化する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願に対する相互参照
本発明は、2004年8月24日に出願された米国特許出願第60/604,138号の優先権を主張するものであり、その全ての開示内容は言及したことにより本明細書中に援用される。
【0003】
背景情報
急性心筋梗塞(“AMI”)は、合衆国および各工業国における死亡の主な原因である。過去15年間に行われた調査によれば、不安定プラークと称される最小限のまたは目立たない狭窄アテローム硬化性プラークは、冠状動脈血栓症、心筋虚血および突然心臓死の前触れであることが例証されている。死後の研究によると、突然心臓死の約80%における原因障害として、ひとつの種類の不安定プラークすなわち薄寸被膜線維アテローム(thin-cap fibroatheroma)(“TCFA”)が特定された。TCFAの90%以上は、主な冠状動脈(左前下行枝−LAD;左回旋枝−LCx;および右冠状動脈−RCA)の各々の最も基端側の5.0cmのセグメント内に見出される。TCFAは典型的に、組織学的には以下の特徴により特徴付けられる最小閉塞的なプラークである:a)薄寸の線維被膜(<65μm)、b)大寸の脂質溜まり、および、c)線維被膜の近傍にて活性化されたマクロファージ。これらの特徴は、生体力学的ストレスに応じてTCFAを破裂させる傾向があると仮定される。破裂に続き、組織因子などの凝結因子の放出により、血栓形成に対する原因箇所および急性冠状動脈事象に対する可能性が生まれる。AMIの大部分に対してはTCFAが伴うが、最近の解剖研究によれば、侵食を伴う即ち表面的に石灰化された小結節を伴う冠状動脈プラークもまた血栓を析出して冠状動脈を突然に閉塞し得ることが示されている。
【0004】
解剖研究は原因プラークの特徴を決定する上では有用とされてきたが、これらの研究の回顧的性質によれば、急性冠状動脈血栓症に対する個々のプラークのリスクを定量化する能力は制限され得る。たとえば、TCFAは、無症候性のもしくは安定的な患者に多い解剖所見であると共に、急性冠状動脈症候群における原因的および非原因的な動脈において等しい頻度で見出される。更に、非心臓死の約10%においては、分裂されたTCFAが見出されている。最近の急性患者における複数の破裂プラークおよび増大した体組織炎症の所見によれば、単一の不安定プラークがAMIに対する前触れであるという意見の正当性が疑われる。これらの病巣の自然発達経過および臨床的意義をより良く理解すれば、冠状動脈疾患の診断、治療および予防における進歩が早められ得る。
【0005】
不安定プラークの進展を研究する代表的な手法は、個々の病巣を複数の時点にて非侵襲的もしくは冠動脈内的に画像化することである。残念乍ら、不安定プラークを特徴付ける微視的特徴は、血管内超音波法(“IVUS”)、CATスキャン(“CT”)および磁気共鳴撮像法(“MRI”)などの習用の画像化技術によると確実には特定されない。不安定プラークの検出に対しては、超音波後方散乱IVUS、エラストグラフィ、血管顕微法、近赤外分光法、ラマン分光法、およびサーモグラフィなどの実験的な冠動脈内的画像化法が研究されてきたが、光コヒーレンス・トモグラフィ(“OCT”)を除き、これらの病巣の特性的特徴を確実に特定する方法は示されていない。
【0006】
OCTは超音波の光学的類似物であり、人間の組織の高分解能(〜10μm)の断面画像を提供する。またOCTは不安定プラークに伴う微視的特徴を特徴付ける正確な方法として確立されている。この技術はまた、アテローム硬化性プラーク内のマクロファージ含有量を定量化するためにも使用され得る。斯かる技術を用いる冠動脈内の光学的画像化法は、安全であると共に、患者から得られた画像は、生体外で特定された特徴と実質的に同一の特徴を有する。故にOCTは、プラークの微小構造に関する大量の情報を提供する能力を有する。この技術は、患者における不安定な冠状動脈プラークの理解を増進する上で重要な役割を果たし得る。
【0007】
血液内における光の強い減衰は、血管内光学的画像化方法に対して相当な問題を呈し得る。この可能的な問題を克服するために、案内カテーテルを通した間欠的な10ccの塩水洗流は平均で2秒の明瞭視界を提供可能であり、その間に、図1Bに示された如く効率的な画像が捕捉され得る。たとえば図1Bは、6ccの造影剤注入に続き、該図1Bの部分Aに示された3個の別体的な箇所における血管造影的光減衰の時間的な分析を示している。図1Bの部分Bから理解され得る如く、3cc/sの速度における6ccの造影剤注入に続く血管造影的光減衰は、箇所に関わらずにパージの持続時間(約2秒)に対する完全な充填を例証している。これに加え、(たとえば30秒未満の)限られた持続時間に対する血管の塩水洗流は安全であると共に、概略的には、心筋虚血に帰着しない。この手法は、冠状動脈血管系の例外的な断面画像を提供し得る。しかし、限られた洗流持続時間および低い画像獲得速度が組み合わされると、総合的な冠状動脈映写が劣化することがある。
【0008】
提案されたひとつの解決策は、血液の光学特性を変更することであった。光減衰の主要機構は、光散乱である。たとえば、赤血球、白血球および血小板の屈折率を血清の屈折率と合致させると、光散乱は減少される。この手法は、血液をデキストランで希釈したときのOCTの1.5倍の透過能力に帰着した。残念乍ら、血液の光減衰は非常に大きいので、患者における有効な冠動脈内OCT画像化法を許容するためには少なくとも10倍の改善が好適である。
【0009】
提案された別の解決策は、動脈を完全に閉塞すると共に、血液を塩水に置き換えることである。血管顕微画像化法において一般的に行われるこの技術は、基端側をバルーンで閉塞する必要がある。血管閉塞に続き、血管内の全ての残存血液は塩水により置き換えられる。この習用方法は、冠状系統全体の断面の光学的画像化を許容する。この処置は日本においては一般的に行われているが、この処置は、冠状動脈の切開および心筋虚血の可能性の故に、臨床的応用の普及が妨げられている。
【0010】
提案された更に別の解決策は、光学的に透明な血液代用物で血管をパージすることである。赤外線に関して透明である血液代用物は可能的に、長い持続時間に対して明瞭な画像化法を提供し得る。この方法は、血液をオキシグロビンで置き換えることでネズミの心筋層において相当に改善された画像化法を達成している。これらの化合物は将来的な臨床的応用が期待され得るが、人間に対する使用に関しては未だ認可されていない。
【0011】
提案された更なる解決策は、OCTスキャンのフレーム速度を高めることである。目標は十分な個数の画像を獲得して冠状動脈を総合的に映像化することなので、単純な手法は、習用の塩水洗流により提供される明瞭視界の時間を受け入れてOCTスキャンのフレーム速度を劇的に増大することである。OCTスキャンのフレーム速度を増大するには2つの可能性が在る:画像毎のAラインの本数の減少、および、ラジアル・スキャン速度の増大である。
【0012】
多くの画像化方法と同様にOCT画像は、ポイント・サンプリング様式で獲得されると共に、複数のラジアル・スキャンすなわちAラインから構成される。画像速度を増大するために、カテーテルの回転速度を増大することで画像毎のAラインの本数を減少し得る。しかし図1Aにおいて理解され得る様に横方向分解能の減少により明らかとされる如く、斯かる場合においては画像品質が急速に低下する。たとえば図1Aの画像Aは、フレーム毎に500本のAライン・スキャンを有すべく4フレーム/秒の速度でOCT画像化法を用いて生成されたサンプル画像を表している。図1Aの画像Bは、フレーム毎に50本のAライン・スキャンを有すべく40フレーム/秒の速度でOCT画像化法を用いて生成されたサンプル画像を表している。明らかに理解され得る様に、画像Aの画像品質は画像Bの画像品質を遙かに凌駕している。この劣化は、殆どの臨床的応用において容認されない。
【0013】
第2の可能性は、ラジアル・スキャン速度を増大することである。しかし現在におけるOCTパラダイムに特有の技術的理由によると、Aライン速度を増大すると、信号/ノイズ比において容認できない不利益に帰着し得ることから、正確な診断のために十分な品質の画像は獲得され得ない。
【発明の概要】
【0014】
故に、血管および他の生体構造の内側表面の高品質画像化と、血管の内側表面のセグメントの効率的画像化とを組み合わせる方法および装置を提供するという要望が在る。
【0015】
故に本発明の目的は、血管および他の生体構造の内側表面の高品質画像化法を、血管の内側表面のセグメントの効率的画像化と組み合わせる装置および方法を提供するに在る。本発明の別の目的は、これらの病巣の自然発達経過および臨床的意義に対する優れた理解を提供して冠状動脈疾患の診断、治療および予防における進歩を早めるために血管のセグメントの内側表面の高品質画像を提供するという装置および方法を提供するに在る。
【0016】
これらのおよび他の目的は、不透明流体に接触する構造を画像化するという本発明に係る装置、方法およびソフトウェア機構の代表的実施例により達成され得る。代表的装置は、ハウジング、流体送給機構および画像化機構を含み得る。上記流体送給機構は、上記ハウジングに関する外部箇所へと所定体積の更なる流体を送給すべく構成される。また上記画像化機構は、上記所定体積の更なる流体が上記外部箇所に対して送給された後に上記構造を画像化すべく構成され、上記構造を画像化する間、上記画像化機構は表面の延長の軸心に略々対応する経路に沿い平行移動される。
【0017】
不透明流体と接触する構造を画像化する本発明に係る装置、方法およびソフトウェア機構の別の代表的実施例において。代表的方法は、一括量の透明もしくは半透明な流体を血管内に注入する段階と、迅速な円周方向の且つ引戻しによる画像化法を用いて上記血管を画像化することで螺旋状のまたは3次元のスキャンを達成する段階と、上記引戻しの間において画像品質を評価する段階と、画像品質が所定レベルより低下したときに画像化を中断する段階と、上記手順を反復するなどの画像品質を改善する措置を取る段階とを含む。
【0018】
本発明の別の代表的実施例に依れば、第1流体と接触する構造(たとえば血管)を画像化する装置、方法およびソフトウェア機構が提供される。たとえば人工物(たとえばハウジング)に関する外部箇所に対して構成された流体送給機構により、所定体積の第2流体が送給される。上記構造は、上記所定体積の第2流体(たとえば透明流体)が上記外部箇所に対して送給される間にまたはその後に、上記画像化機構を用いて画像化され得る。たとえば上記画像化機構または上記人工物は、上記構造を画像化する間、表面の延長の軸心に略々対応する経路に沿い平行移動され得る。上記流体送給機構は、上記人工物に対して作動的に接続されたポンプまたは注入器とされ得る。
【0019】
上記人工物は、該人工物内に形成された開孔を含み得る。上記流体送給機構は、上記第2流体を収容する透明流体リザーバと、上記第2流体リザーバに対して接続された第1端部と上記人工物の上記開孔に対して接続された第2端部とを有する送給管路とを含み得る。上記ハウジングの上記開孔は、上記ハウジングの末端に、または、上記画像化機構の近傍に配置され得る。上記画像化機構は、上記構造の表面に対して光を導向すべく構成された導向機構と、上記導向機構に対して作動的に接続された少なくとも一本の光ファイバと、上記少なくとも一本の光ファイバに対して作動的に接続された画像処理機構とを含み得る。上記導向機構は、上記画像化機構の末端における光学機器、および/または、レンズおよび光導向要素を含み得る。更に、上記導向要素は光の少なくともひとつの方向を変更すべく構成された光学的機構とされ得ると共に、上記光学的機構は上記光を、上記ハウジングの長軸に対して実質的に平行な方向から、該人工物の上記長軸に対して実質的に直交する方向へと導向し得る。上記レンズは上記光を、上記人工物を約0.5mm〜5mmだけ越えた箇所に焦点合わせし得る。
【0020】
上記画像化機構に対して作動的に接続されると共に該画像化機構を回転すべく構成された回転機構が配備され得る。該回転機構は、少なくとも約30回転/秒より速く且つ多くとも約1,000回転/秒であるという速度にて回転し得る。上記画像化機構は上記構造を画像化する間に上記人工物内で回転され得る。上記画像化機構に対して作動的に接続されると共に上記人工物に対して該画像化機構を平行移動させるべく構成された引戻し機構が配備され得る。上記引戻し機構は少なくとも約1mm/秒かつ多くとも約100mm/秒の速度にて、且つ/又は、約10mm/秒の速度にて上記画像化機構を平行移動し得る。
【0021】
上記人工物の少なくとも一部分は透明であり得る。上記画像化法は、時間領域光コヒーレンス・トモグラフィ、スペクトル領域光コヒーレンス・トモグラフィ、または、光学周波数領域画像化法であり得る。上記第2流体は上記画像化法により利用される放射線に対して実質的に透明であり得る。上記人工物を自身内に受容すべく構成された案内カテーテルが配備され得る。上記流体送給機構は上記流体を上記案内カテーテルの基端に対して送給し得ると共に、上記流体は上記案内カテーテルを貫通して形成された開孔を通して流れ得る。
【0022】
上記画像化機構は上記構造に関係付けられたデータを獲得し得ると共に、上記データを受信する処理機構であって、該データの関数として上記流体送給機構または上記画像化機構の少なくとも一方を制御し得る処理機構が配備され得る。上記処理機構は、該処理機構により先行して受信された情報に基づき上記流体送給機構または上記画像化機構を制御し得る。上記処理機構はまた、上記画像化機構の平行移動、上記流体送給機構の流体送給、および/または、上記画像化機構の平行移動および上記流体送給機構の流体送給も制御し得る。上記人工物または上記画像化機構を含むカテーテルが配備され得る。上記流体送給機構は上記カテーテルの内側部分を通して上記第2流体を送給し得る。上記画像化機構は、画像を獲得するためのビームであって上記カテーテルの外側へと伝達されるというビームを放出する画像化用光学機器を含み得る。
【0023】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴および利点は、以下における発明の詳細な説明を添付の各請求項と組み合わせて読破すれば明らかとなろう。
各図を通し、特に明記しない限り同一の参照番号および記号は、図示された実施例の同様の特徴、要素、構成要素または部分を表すべく用いられる。更に、以下において本発明は図面を参照して詳細に記述されるが、該記述は図示実施例に関してその様に行われるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】異なる設定におけるOCT画像化法を用いて収集された血管の内側表面の画像を示す図である。
【図1B】所定の血管内の3個の別体的な箇所において造影剤注入に続く血管造影的光減衰の時間的な分析を示す図である。
【図2A】血管のセグメントのスキャンを行う画像化用カテーテルの代表的実施例を示す図である。
【図2B】血管のセグメントのスキャンを行う画像化用カテーテルの代表的実施例を示す図である。
【図3】図2Aおよび図2Bの画像化用カテーテルを用いた血管のセグメントの螺旋スキャンを表す情報を収集する処理を表すフローチャートの代表的実施例を示す図である。
【図4】図2Aの上記画像化用カテーテルの回転可能な内側シャフトの縮動後における該画像化用カテーテルを示す図である。
【図5A】図2Aの囲み点線Aにより範囲限定された如き画像化用カテーテルの拡大区画の代表的実施例を示す図である。
【図5B】図2Aの囲み点線Aにより範囲限定された如き画像化用カテーテルの拡大区画の代表的実施例を示す図である。
【図6】図2Aの画像化用カテーテルを囲繞する案内カテーテル内に透明溶液が注入される様に上記案内カテーテル内に囲繞された上記画像化用カテーテルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2A、図2B、図4、図5および図6は、解剖学的構造のセグメントの内側表面の画像を獲得する装置の種々の代表的実施例を示し、且つ、図3はそれを植設する方法の代表的実施例を示している。概略的に、本発明に係る代表的な方法および装置は、所定画像化法を用いて解剖学的構造のセグメントの内側表面の画像を獲得すべく一括量の透明もしくは半透明な流体を注入した後に、解剖学的構造のセグメントの内側表面の螺旋スキャンを実施する。斯かる技術は、画像化法と一括量の透明もしくは半透明な流体を注入するプロセスの有効性を、解剖学的構造のセグメント全体を画像化する有用な効果と組み合わせている。本発明に係る方法および装置の代表的実施例は、良好な画像品質を維持し乍ら画像獲得速度を相当に増大する更なる画像化パラダイムを利用する。ひとつの代表的実施例に依れば、画像獲得速度における少なくとも約10倍という劇的な増大が示される。この代表的な技術に依れば、透明もしくは半透明な流体により洗流を行うという習用方法を、自動的なカテーテル引戻しと組み合わせて使用することで、包括的な冠状動脈画像化が達成され得る。本発明のひとつの代表的実施例において、この新規なパラダイムは画像化法として光学周波数領域画像化法(“OFDI”)を利用して、これらの画像を獲得する。別の代表的実施例において、上記解剖学的構造は血管であり得る。
【0026】
単一の散乱光を検出する時間領域OCTおよび共焦点顕微鏡検査法などの代替的な画像化法も使用され得ることを理解すべきである。
【0027】
(図2Aに示された如き)本発明の更なる代表的実施例において画像化モジュール224は、OCT、可視光画像化、分光法、および/または、サーモグラフィを利用する。別の代表的実施例において、使用されるOCT画像化法は、時間領域OCT(“TD-OCT”)、スペクトル領域OCT(“SD-OCT”)、光学周波数領域画像化法(“OFDI”)、および/または、低コヒーレンス干渉計測である。本発明の更に別の代表的実施例において、使用される可視光画像化法は、冠動脈内血管顕微法、スペックル画像化法、蛍光画像化法、および/または、多重光子画像化法である。本発明の更に別の代表的実施例において、上記分光方式は、約0.3〜0.7μmのスペクトルを有する可視光線、約0.7〜2.2μmのスペクトルを有する近赤外光(“NIR”)、約2.2〜12μmのスペクトルを有する赤外光(“IR”)、ラマン散乱光、および/または、蛍光を使用する。本発明の更なる代表的実施例において画像化モジュール224は、超音波、特に少なくとも約20MHzの周波数を有する高周波超音波を利用する。本発明の更に別の代表的実施例において画像化アセンブリ204は、レンズ、ミラーおよび/またはプリズムを含む。
【0028】
図2Aおよび図2Bは、末端220と基端222とを有すべく特に改変された光学的カテーテル202を含む画像化システム200の代表的実施例を示している。画像化システム200は、迅速な獲得速度の画像化法を利用すると共に、画像化用カテーテル202の自動化引戻しを実施することにより、長寸の動脈セグメントを画像化し得る。これらの機構によれば、患者に対しては安全な総量の透明もしくは半透明な流体を投与する間に、主要冠状動脈(LAD、LCxおよびRCA)の各々の基端部分が特定の長手画像化間隔を以て総合的に画像化され得る。
【0029】
本発明のひとつの代表的実施例においては、10cmまでの長さの長寸動脈部分が検証され得る。別の代表的実施例においては、5.0cmまでの長さの長寸動脈部分が検証され得る。更に別の代表的実施例においては、主要冠状動脈の各々の基端部分は、検証され得る10cmまでの長さである。本発明の更に別の代表的実施例において、主要冠状動脈の各々の基端部分は検証され得る5cmまでの長さである。本発明の更に別の代表的実施例において、上記特定の長手画像化間隔は、約100μm〜約150μmであり、好適には約125μmである。本発明の更に別の代表的実施例において、上記特定の長手画像化間隔はスポット横径と合致することから、約15μm〜約35μmであり、好適には約25μmである。本発明の更に別の代表的実施例において、上記安全な総量の透明もしくは半透明な流体は、多くても150cc/動脈であり、好適には30cc/動脈以下である。本発明の別の代表的実施例において上記透明もしくは半透明な流体は、通常塩水、1/2通常塩水、1/4通常塩水、乳酸リンゲル液、リン酸緩衝塩水、オキシグロビンなどの血液代用物、および/または、冠状動脈造影剤とされ得る。本発明の更なる代表的実施例において画像化システム200は、頚動脈、回腸動脈、大腿動脈、膝窩動脈、橈骨動脈、他の末梢動脈および静脈などの任意の血管のセグメントを画像化し得る。
【0030】
血液は、一切の光式血管内画像化法に対して問題を呈する。光が血液内を伝搬するにつれ、散乱および吸収の両方により、一定の情報は失われる。約1.3μmの波長にては、散乱と吸収とによる複合減衰が最小化され得る。但しこの最適波長においてさえ、血液を通しての血管構造の画像化は実現され得ないことがある。画像化に対する格別の選択肢としては、相当量の詳細を必要とする高信号/ノイズ比(“SNR”)および高画像品質が挙げられる。画像化法としてOCT画像化法が利用されるなら、各OCTスキャンにおいては多数のAラインが好適である。明瞭なOCT画像化は、たとえば、カテーテル200を通した透明もしくは半透明な流体の一括量注入を用いて血液を一時的に変位させることにより3秒程度の短い持続時間に対して行われ得る。故に4フレーム/秒の画像速度にて、透明もしくは半透明な流体にて単一回のパージを行うと、血液が視野に再進入する前に約12個の高品質OCT画像が提供され得る。
【0031】
本発明の更なる代表的実施例において、透明もしくは半透明な流体の一括量注入によれば、血管内には約1〜50ccの透明もしくは半透明な流体が導入され得る。本発明の別の代表的実施例において、透明もしくは半透明な流体の一括量注入によれば、血管内には約10ccの透明もしくは半透明な流体が導入される。
【0032】
これらの実施例に依れば、血管を画像化するために(たとえば動脈などの)血管内には、改変された光学的カテーテル202、プローブまたは他の器具が挿入され得る。プラークが位置決定された後、上記プローブは特定のアテローム硬化性プラークの近傍へと移動される。血管の内壁部から、且つ/又は、プラークから反射された光は、収集されて画像化モジュール224の検出器236へと伝送される。
【0033】
本発明の代表的実施例においては、たとえば血栓、解離、破裂、ステントなどの、プラーク以外の障害が画像化され得る。
【0034】
図2Aを参照すると、特に改変された光学的カテーテル202は、回転可能な内側シャフト210と外側鞘体208とを含み得る。回転可能な内側シャフト210は、ファイバアレイ218と、カテーテル202の末端220の近傍における画像化アセンブリ204とを収容する。外側鞘体208は、自身を貫通して形成された開孔221を含む。該開孔221は、流体ポンプ225に接続された流体送給チャネル223に対して接続される。流体ポンプ225によれば特定体積の透明もしくは半透明な流体は流体送給チャネル223を通して注入され且つ開孔221から出射することから、カテーテル202の末端220を囲繞する液体は一括量注入物により置換され得る。カテーテル202のファイバアレイ218は、カテーテル202から基端方向に画像化モジュール224まで延在すべく固定された光ファイバ214に対して接続された回転式接合部212に接続される。回転式接合部212は、引戻しデバイス215に対しても接続される。画像化の間において螺旋スキャンデータが生成される如くプロセッサ240により指示されたときに、引戻しデバイス215は回転可能な内側シャフト210を外側鞘体208内で平行移動させる。図4は回転可能な内側シャフト210の引戻しが完了した後におけるカテーテル202を示しており、その他の点において図4のシステム200は図2Aのシステム200と同一である。図3には、画像化システム200が血管の所定区画の螺旋スキャンを表すデータを収集するためのプロセス300が示されており、該プロセスは本明細書において更に詳細に記述される。
【0035】
本発明のひとつの代表的実施例において、カテーテル202の外側鞘体208は透明でない。たとえば、カテーテル202全体の引戻しの間において、外側鞘体208は血管内を平行移動し、内側シャフト210は回転する。この代表的実施例において内側シャフト210は、外側鞘体208に対して平行移動されない。別の代表的実施例において、ファイバアレイ218は単一のファイバを含む。更なる別実施例においてファイバアレイ218は、所定数のファイバを含む。
【0036】
カテーテル202は、FDAにより承認された2.6〜3.2FのIVUSカテーテルを用いて作製され得る。IVUSカテーテルの内側コアは、回転し得ると共に、たとえば40フレーム/秒にて断面画像を獲得し得る。IVUSカテーテルにおいて概略的に用いられる超音波変換器および伝導ワイヤは、排除されると共に、画像化アセンブリ204、ファイバアレイ218、内側シャフト210、流体送給チャネル223により置き換えられ、且つ、上記IVUSカテーテルの外側鞘体の開孔を貫通して開孔が形成される。新たに配備されたIVUSカテーテルの内側シャフト210は、回転することで円周方向スキャンを提供すると共に、血管のセグメントを映像化するために引戻され得る。(不図示の)単軌道式案内ワイヤを取入れている透明な外側鞘体208は、回転せず、且つ、FDA承認のポリマを用いて上記IVUSカテーテルの末端に差込まれる。カテーテル202は、回転式接合部212に対しても取付けられる。
【0037】
代表的実施例においてカテーテル202は、可撓内側ケーブル内で回転する光ファイバを含む。上記可撓内側ケーブルは、外側の透明なハウジングもしくは鞘体内に収容される。上記外側ハウジングは、単軌道式案内ワイヤを含み得る。上記回転する光ファイバおよび可撓内側ケーブルは各々、末端および基端を有する。上記回転する光ファイバおよび可撓内側ケーブルは、回転する光ファイバの末端および可撓内側ケーブルの末端が相互に対して隣接し、且つ、回転する光ファイバの基端および可撓内側ケーブルの基端が相互に対して隣接する如く、配向される。上記可撓内側ケーブルの末端に対しては、レンズとビーム導向要素とを含む末端光学機器が取付けられる。上記回転する光ファイバの基端には、回転式光学的接合部が配備される。上記回転する光ファイバは、静的な光ファイバを、上記可撓内側ケーブル内の回転する光ファイバに対して結合する。上記回転式光学的接合部は、上記回転する光ファイバ、可撓内側ケーブルおよび末端光学機器を回転することで、血管の内腔表面の円周方向の光学的サンプリングを実現する。上記光ファイバ、内側可撓ケーブルおよび末端光学機器は回転し、且つ、カテーテル回転毎に画像が獲得される。上記内側の光ケーブルは外側の透明ハウジング内で長手方向に引戻されることで、血管の螺旋スキャンデータを形成する。
【0038】
代表的実施例において、上記ビーム導向要素はカテーテル軸心に対して実質的に直交してビームを導向するプリズムであり、且つ、レンズはビームを上記外側鞘体から約2mmの箇所に焦点合わせする。別の代表的実施例において回転速度は、約10回/秒〜約100回/秒の範囲であり、好適には約30回/秒である。更なる別実施例において、透明な外側鞘体を含む上記カテーテル全体は、血管の内腔内を引戻される。更なる好適実施例において引戻し速度は、約1mm/秒〜約20mm/秒であり、好適には約10mm/秒である。
【0039】
代表的実施例において上記単軌道式案内ワイヤは、1994年9月27日にポール・ジー・ヨックに対して発行されると共に“迅速な交換を促進する血管形成装置”と称されてその全体が言及したことにより本明細書中に援用されるという米国特許第5,350,395号に記述された案内ワイヤと同様である。
【0040】
カテーテル202のシャフト210全体は360度回転することから、該カテーテル202は、該カテーテル202の全周の回りにおける対象組織250の画像を収集し得る。本発明のひとつの代表的実施例において、カテーテル202は内部血管壁の円周部の回りにおけるプラークの画像を獲得し得る。
【0041】
作動時には、レーザ光の如きコヒーレント光が、光源232からビームスプリッタ234を介し、固定された光ファイバ214および中央ファイバ226を通り、画像化アセンブリ204上へと伝送される。上記光は、画像化アセンブリ204を介して対象組織250へと導向される(矢印206)。本発明の代表的実施例に依れば対象組織250は、アテローム硬化性プラークの如き、移動組織の層上の静的組織の層であり得る。外側鞘体208は、サンプル250に対して直接接触して載置可能であり、且つ/又は、サンプルから(たとえば1mm〜10cmなどの)短距離だけ離間して位置決めされ得る。たとえば光はサンプル250に進入し、其処で光は、該対象組織250内における分子、細胞残骸、蛋白質、(たとえばコレステロール結晶などの)化合物、および、(細胞小器官、微小管の如き)細胞微小構造により反射される。(残部は図2Aと同一であるという図2Bにおける矢印228により示された)対象組織250から戻された光は、画像化アセンブリ204を介して単一の光ファイバに対し又はファイバアレイ218の複数のファイバに対して伝送されてから、光ファイバまたはファイバアレイ218によりビームスプリッタ234を介して検出デバイス236へと伝送される。別実施例において、上記カテーテルに対して光を伝送し且つ該カテーテルから光を受信するデバイスは、光サーキュレータである。
【0042】
本発明の代表的実施例において、ファイバアレイ218は検出および照射のための一本以上のファイバを含み得る。本発明の別の代表的実施例において、検出は単一のファイバを用いて行われ得る。代替的に照射はファイバアレイを介して実施可能であり、その場合に各ファイバは選択的に照射されることで、対象組織250上における位置の関数として複数の集束点を生成する。この代表的方法は、プローブを静止的位置に維持し乍ら、サンプルを踏破する入射光のスキャンを行い得る。上記各ファイバは、同時に照射および/または検出を行い得るか、または、連続して次々と光を照射および/または検出し得る。
【0043】
検出デバイス236により生成されたデータは次に、アナログ/デジタル変換器238によりデジタル化されると共に、プロセッサ240により実行される画像化処理を用いて分析され得る。本発明の代表的実施例と共に適用可能な画像化処理法は、2003年10月27日に出願されて“周波数領域干渉計測を用いて光学的画像化を実施する方法および装置”と称された米国仮特許出願第60/514,769号、および、2003年1月24日に出願された国際特許出願PCT/US03/02349に記述されており、それらの全ての開示内容は言及したことにより本明細書中に援用される。プロセッサ240は、引戻しデバイス216、回転式接合部212および流体ポンプ225に対しても作動的に接続される。
【0044】
上記カテーテルの直径は、500μm未満とされ得る。本発明の有効範囲内で、更なる大径も利用され得る。
【0045】
画像データを収集するために、他の形式の器具も使用され得る。たとえばカテーテル200は、内視鏡または腹腔鏡の如き他の形式の器具内に一体化され得る。上記光学機器はまた、標準的な内視鏡もしくは腹腔鏡の付属ポート内に挿通される独立型ユニットを形成し、且つ/又は、兼用の血管内超音波カテーテルの如き別の形式のカテーテル内に一体化もされ得る。
【0046】
本発明の代表的実施例において検出器236は、荷電結合素子(“CCD”)、写真乾板、光検出器の配列、および/または、単一の検出器とされ得る。本発明の別の代表的実施例において光源232は、連続光、連続的な広帯域光、波長走査光、または、同期パルスによりサンプルを照明し得る。
【0047】
図3は、本発明に従い対象組織250の映像化セグメントにおける螺旋スキャンを表すデータを収集する方法/プロセス300の代表的実施例を示している。プロセス300はステップ301にて開始し、カテーテル200は対象組織250の映像化セグメント内に挿入かつ位置決めされる。カテーテル200が適切に挿入かつ位置決めされたなら、ステップ302にて画像化モジュール232は流体ポンプもしくは操作者225に対し、一括量の透明もしくは半透明な流体を対象組織250に対して注入することを指示する。対象組織250のサイズに依存し、画像化モジュール232は一括量の透明もしくは半透明な流体を注入する体積および/または速度を変更し得る。代表的実施例において、対象組織250は血管である。
【0048】
ステップ304において画像化モジュール232は、画像化アセンブリ204から受信した画像が、対象組織250のスキャンを開始するために十分な品質であるか否かを決定する。上記画像は十分な品質でないと画像化モジュール232が決定したなら、プロセス300はステップ302に進む。その他の場合にプロセス300はステップ306に進み、回転式接合部212は回転可能な内側シャフト210の回転を開始し、且つ、引戻しデバイス215はシャフト210の引戻しを開始する。
【0049】
画像化モジュール232は、画像化アセンブリ204から受信した画像が、血液の存在の検出を試行することでスキャンを開始するに十分な品質であるか否かを決定する。画像化モジュール232はこの決定を、当該画像化法が直面する散乱の量を測定することにより、且つ/又は、当該画像化法により求められる分光法を分析することにより行う。もし画像化法がOCTであれば、他の方法が使用され得る。
【0050】
当該画像化法が直面する散乱の量を画像化モジュール232が測定するとき、該画像化モジュール232は、対象組織250から受ける光が散乱されているか否かを決定する。塩水および他の透明な潅流液体は、感知できるほどの量の散乱を伴わない。他方、血液は非常に散乱が大きい。この効果の故に、血液の存在を決定する方法は、カテーテルに対して戻し反射される光の強度を観察することとされ得る。好適には、水および血液の両方における吸収貫通深度が小さいという特性を有する一定波長の光が使用され得る。
【0051】
血液が存在するか否かを決定するために画像化モジュール232が分光法を利用する場合、該画像化モジュール232は、当該画像化法が直面する差分吸収を測定し得る。対象組織250の近傍の血液は、血液の差分吸収を利用することで検出され得る。酸素化された血液においては、可視スペクトルにおいて例えば520〜590nmおよび800〜900nmなどに数個の吸収ピークが在る。単純なデバイスが、これらの波長において上記カテーテルから戻し散乱された光を獲得すると共に、斯かる光を、血液による吸収が低い近傍波長から散乱された光と比較し得る。この比較は、2つの波長により反射された光の強度の一次結合により達成され得る。たとえば、R(λ1)が、吸収ピークにてカテーテルに対して戻し反射された光であり、且つ、R(λ2)が、吸収ピークにて組織に対して戻し反射された光ならば、血液は、R(λ1)およびR(λ2)の幾つかの差分的/比率測定的な結合により評価され得る:
D1=R(λ1)/R(λ2)
D2=R(λ1)/[R(λ1)+R(λ2)]
D3=[R(λ1)−R(λ2)]/[R(λ1)+R(λ2)]
D4=[R(λ1)−R(λ2)]/R(λ2)
【0052】
送給および検出のためのデバイスは、単純な側方照射式のシングルモードもしくはマルチモード光ファイバとされ得る。
【0053】
もし画像化法がOCTであれば、血液を検出する他の方法が使用され得る。OCTは内腔の断面画像を獲得し得ることから、少量の血液の存在に対して該OCTは拡散分光法よりも可能的に更に感応的である。血液からのOCT信号は十分に特性的であると共に、他の組織において一般的には観察されない。たとえば血液は、迅速な減衰と、均一な外観とを呈し得る。結果として、ひとつの代表的実施例においては、OCT信号を処理することで、血液が存在するか否かを決定し得る。血液を特定するために、組織弁別、パターン認識などの業界公知である多様な画像処理技術が使用され得る。一実施例においては、血液が存在するか否かを決定するために2つのパラメータが決定される:(a)OCT軸心方向スキャンデータの対数の勾配(減衰);および、(b)OCT軸心方向スキャンデータの対数の標準偏差(信号分散)である。これらの2つのパラメータは、人間の殆どの組織種類を区別し得る。動脈壁組織から血液を区別するためには、減衰および信号分散を測定する業界公知の他の方法も利用され得る。血管の内腔内における血液の存在を決定するために、確率分布関数統計、フーリエ領域分析、高域通過フィルタリング、エネルギおよびエントロピー測定、エッジカウント、および、N次モーメントなどの他の測定法が利用され得る。OCTは、(たとえば2つの波長にてOCTを実施する)分光法、複屈折、および、ドップラと組み合わされることで、内腔内の血液を特定するOCTの能力を更に増進し得る。本発明のひとつの代表的実施例において、流体ポンプ225はステップ304の間において一括量の透明もしくは半透明な流体の注入を継続する。
【0054】
図3のプロセス300に戻るとステップ308において画像化モジュール232は、画像化アセンブリ204から受信された画像が対象組織250のスキャンを継続するために十分な品質であるか否かを決定する。画像は十分な品質であると画像化モジュール232が決定したなら、プロセス300はステップ306に進む。その他の場合、プロセス300はステップ310に進む。ステップ310において、回転式接合部212は回転可能な内側シャフト210の回転を停止し、且つ、引戻しデバイス215はシャフト210の引戻しを一時停止する。もし流体ポンプ225が一括量の透明もしくは半透明な流体の注入を継続しているなら、該流体ポンプ225に対しては、透明もしくは半透明な流体の注入を中断することが指示される。もしカテーテル動作が在るなら、該カテーテルは、後続的な引戻し画像化プロセスが組織の一切の領域を飛び越さないことを確実とするために、次の一括量注入に先立ち実質的に血管の組織に沿い前進または後退され得る。
【0055】
このプロセスは、各画像が獲得されるプロセス/状態を制御すべく画像品質の測定値が利用されるというフィードバック制御ループを表す。もし画像が十分な品質でなければ、付加的な画像が採用される前に画像品質を高める処置が取られる。代表的実施例において、画像品質は所定尺度より低下はしたが、画像品質は画像化を継続する上で依然として十分であるときに、付加的な透明もしくは半透明な流体が流体ポンプ225を介して注入されることで画像品質が改善される。別の代表的実施例において、画像品質が所定尺度より低下し且つ画像品質は画像化を継続する上で不十分であるとき、画像化は一時停止される。上記フィードバック制御ループは、プロセス300の少なくとも一部を自動化するために多くの異なる様式で設定され得る。画像化を継続する上で血管壁の画像品質が十分であるか否かを決定するために、組織弁別、パターン認識などの業界公知である多様な画像処理技術が使用され得る。
【0056】
代表的実施例においては、2つのパラメータが決定される:(a)OCT軸心方向スキャンデータの対数の勾配(減衰);および、(b)OCT軸心方向スキャンデータの対数の標準偏差(信号分散)である。これらの2つのパラメータは、人間の殆どの組織種類を区別し得る。動脈壁組織から得られた画像の品質を特定して特徴付けるためには、減衰および信号分散を測定する業界公知の他の方法も利用され得る。これらの他の測定法としては、画像セグメント化およびブロブ定量化(blob quantification)、形態処理、確率分布関数統計、フーリエ領域分析、高域通過フィルタリング、エネルギおよびエントロピー測定、エッジカウント、および、N次モーメントが挙げられる。OCTは、(たとえば2つの波長にてOCTを実施する)分光法、複屈折、および、ドップラと組み合わされることで、画像品質を評価するOCTの能力を更に増進し得る。
【0057】
ステップ312において画像化モジュール232は、対象組織250の映像化セグメントの全長が画像化されたか否かを決定する。もし、対象組織250の映像化セグメントの付加的部分が画像化される必要があるなら、プロセス300はステップ302に進む。その他の場合にプロセス300はステップ314に進み、其処で画像化モジュール232は、スキャンの間に収集された情報に基づいて対象組織250の映像化セグメントの螺旋状のすなわち3次元のスキャンデータを復元する。螺旋スキャンデータが復元された後、画像化モジュール316は復元されたデータ(画像)を表示し得ると共に、プロセス300は終了する。
【0058】
図6は、案内カテーテル602内に配設されて特に改変された光学的カテーテル202を含む画像化システム600を示している。図6に示された光学的カテーテル202には流体送給チャネル223および開孔221が必ずしも含まれないことを除き、該光学的カテーテル202は図2Aに示された光学的カテーテル202と同一である。流体送給チャネル223および開孔221は夫々、流体送給チャネル606および開孔604により置き換えられる。画像化システム600を使用するために、案内カテーテル602は血管内に挿入されると共に、画像化されるべき目標領域の近傍に位置決めされる。
【0059】
光学的カテーテル202は、(図6に示された如く)該光学的カテーテル202の末端220が案内カテーテル602を越えて突出するまで、該案内カテーテル602内に挿入される。案内カテーテル602が案内カテーテル602に対して位置決めされたなら、流体送給チャネル223および開孔221を利用する代わりに流体ポンプ225は透明もしくは半透明な流体を流体送給チャネル606内に且つ開孔604を通して目標領域へと注入することを除き、光学的カテーテル202は図2A、図2B、図3、図4および図5に関して上述されたのと同一の様式で動作する。
【0060】
代表的実施例において、案内カテーテル602は上記流体送給チャネルとして使用される。案内カテーテル602は、必ずしも専用の流体送給チャネル606を含まない。流体ポンプ225は案内カテーテル602に対して直接的に接続され、且つ、透明もしくは半透明な流体は該案内カテーテル602を介して目標領域に提供される。別の代表的実施例において画像化アセンブリ204は、案内カテーテル602の末端を越えて突出する。目標領域の画像化は、光学的カテーテル202の画像化アセンブリ204が案内カテーテル602の末端から突出している間に行われる。更なる代表的実施例において、案内カテーテル602は透明であると共に、光学的カテーテル202は、それが目標領域の近傍となるまで案内カテーテル602内に挿入される。光学的カテーテル202の画像化アセンブリ204は案内カテーテル602を越えて突出はせず、且つ、目標領域の画像化は光学的カテーテル202が案内カテーテル602内に在る間に行われる。
【0061】
上記内容は、本発明の原理を例証しているにすぎない。当業者であれば本明細書における教示に鑑み、記述された実施例に対する種々の改変および変更は明らかであろう。故に、本明細書において明示的に記述されてはいないが発明の原理を具現することから発明の精神および有効範囲内であるという多くの技術が当業者により案出され得ることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と接触する構造を画像化する装置であって、
人工物と、
上記人工物に関する外部箇所へと所定体積の第2流体を送給すべく構成された流体送給機構と、
上記所定体積の第2流体が上記外部箇所へと送給される間およびその後の少なくとも一方にて上記構造を画像化すべく構成された画像化機構であって、当該画像化機構または上記人工物の少なくとも一方は、上記構造を画像化する間において表面の延長の軸心に略々対応する経路に沿い平行移動されるという画像化機構とを備えて成る、
装置。
【請求項2】
前記人工物はハウジングである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2流体は透明流体である、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記構造は血管である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記流体送給機構は前記人工物に対して作動的に接続されたポンプである、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記流体送給機構は前記人工物に対して作動的に接続された注入器である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記人工物は該人工物内に形成された開孔を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記流体送給機構は、
前記第2流体を収容する透明流体リザーバと、
上記第2流体リザーバに対して接続された第1端部と前記ハウジングの前記開孔に対して接続された第2端部とを有する送給管路とを備えて成る、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記人工物の前記開孔は前記ハウジングの末端に配置される、請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記人工物の前記開孔は前記画像化機構の近傍に配置される、請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記画像化機構は、
前記構造の表面に対して光を導向すべく構成された導向機構と、
上記導向機構に対して作動的に接続された少なくとも一本の光ファイバと、
上記少なくとも一本の光ファイバに対して作動的に接続された画像処理機構とを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記導向機構は前記画像化機構の前記末端における光学機器を含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記導向機構はレンズおよび光導向要素を含む、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記導向要素は光の少なくともひとつの方向を変更すべく構成された光学的機構であり、
上記光学的機構は上記光を、前記人工物の長軸に対して実質的に平行な方向から、該人工物の上記長軸に対して実質的に直交する方向へと導向し得る、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記レンズは前記光を、前記人工物を約0.5mm〜5mmだけ越えた箇所に焦点合わせする、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記画像化機構に対して作動的に接続されると共に該画像化機構を回転すべく構成された回転機構を更に備えて成る、請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記回転機構は少なくとも約30回転/秒より速く且つ多くとも約1,000回転/秒であるという速度にて回転する、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記画像化機構は前記構造を画像化する間に前記人工物内で回転される、請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記画像化機構に対して作動的に接続されると共に前記人工物に対して該画像化機構を平行移動させるべく構成された引戻し機構を更に備えて成る、請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記引戻し機構は少なくとも約1mm/秒かつ多くとも約100mm/秒の速度にて前記画像化機構を平行移動する、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記引戻し機構は前記画像化機構を約10mm/秒の速度で平行移動させる、請求項19記載の装置。
【請求項22】
前記人工物の少なくとも一部分は透明である、請求項1記載の装置。
【請求項23】
前記画像化法は、時間領域光コヒーレンス・トモグラフィ、スペクトル領域光コヒーレンス・トモグラフィ、または、光学周波数領域画像化法である、請求項1記載の装置。
【請求項24】
前記第2流体は前記画像化法により利用される放射に対して実質的に透明である、請求項1記載の装置。
【請求項25】
前記人工物を自身内に受容すべく構成された案内カテーテルを更に備えて成る、請求項1記載の装置。
【請求項26】
前記流体送給機構は前記流体を前記案内カテーテルの基端に対して送給し、且つ、
上記流体は上記案内カテーテルを貫通して形成された開孔を通して流れる、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記画像化機構は前記構造に関するデータを獲得し、
上記データを受信する処理機構であって、該データの関数として前記流体送給機構または上記画像化機構の少なくとも一方を制御し得る処理機構を更に備えて成る、請求項1記載の装置。
【請求項28】
前記処理機構は、該処理機構により以前に受信された情報に基づき前記流体送給機構および前記画像化機構の少なくとも一方を制御する、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記処理機構は前記画像化機構の平行移動を制御する、請求項28記載の装置。
【請求項30】
前記処理機構は前記流体送給機構の流体送給を制御する、請求項28記載の装置。
【請求項31】
前記処理機構は、前記画像化機構の平行移動および前記流体送給機構の流体送給を制御する、請求項28記載の装置。
【請求項32】
前記処理機構は前記画像化機構の平行移動を制御する、請求項1記載の装置。
【請求項33】
前記人工物または前記画像化機構の少なくとも一方を含むカテーテルを更に備えて成る、請求項1記載の装置。
【請求項34】
前記流体送給機構は前記カテーテルの内側部分を通して前記第2流体を送給する、請求項34記載の装置。
【請求項35】
前記画像化機構は、画像を獲得するためのビームであって前記カテーテルの外側へと伝達されるというビームを放出する画像化用光学機器を含む、請求項34記載の装置。
【請求項36】
第1流体と接触する構造を画像化する方法であって、
(a)流体送給機構を用いて所定体積の第2流体の一部分を上記構造の基端側の領域に送給する段階と、
(b)段階(a)の後、上記所定体積の第2流体が外部箇所へと送給される間またはその後の少なくとも一方にて、人工物に関係付けられた画像化機構を用いて上記構造の少なくとも一部分を画像化する段階であって、上記画像化機構または上記人工物の少なくとも一方は、上記構造の画像化の間またはその後の少なくとも一方にて表面の延長の軸心に略々対応する経路に沿い平行移動されるという段階とを備えて成る、
方法。
【請求項37】
前記第2流体は透明流体である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記構造は血管である、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記構造の前記表面は血管の内側表面である、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記流体送給機構はポンプである、請求項36記載の方法。
【請求項41】
前記流体送給機構は注入器である、請求項36記載の方法。
【請求項42】
(c)段階(a)の後、前記構造の少なくともひとつの特性を獲得する段階と、
(d)段階(a)の後、(i)前記流体送給機構を用いて前記所定体積の第2流体の更なる部分を上記構造に対して局所的である更なる領域へと送給する、および、(ii)上記少なくともひとつの特性が特定結果の範囲の外側および内側の一方であるならば前記を平行移動する、の少なくとも一方を行う段階とを更に備えて成る、請求項36記載の方法。
【請求項43】
前記段階(c)および(d)は反復的に実施される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
もし血液が検出されるならば画像品質の評価値は特定レベルより低い、請求項42記載の方法。
【請求項45】
もし前記構造の前記画像が血液により少なくとも部分的に遮蔽されるならば画像品質の評価値は特定レベルより低い、請求項42記載の方法。
【請求項46】
(e)前記第1流体および前記構造の少なくとも一方の特性を獲得する段階と、
(f)上記特性が特定結果の範囲の外側および内側の一方であるならば上記構造の画像化を中断する段階とを更に備えて成る、請求項36記載の方法。
【請求項47】
(g)前記流体送給機構を用いて前記所定体積の第2流体の別の部分を前記構造に対して局所的である別の領域へと送給する段階と、
(j)前記特性が特定結果の範囲の外側および内側の一方であるならば上記構造の画像化をやり直す段階とを更に備えて成る、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記段階(g)、(h)、(i)および(j)は反復的に実施される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記画像化機構は所定の画像化法を利用する、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記画像化法は光コヒーレンス・トモグラフィである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記画像化法は、スペクトル領域光コヒーレンス・トモグラフィおよび光学周波数領域画像化法の少なくとも一方である、請求項42記載の方法。
【請求項52】
前記第2流体は実質的に透明な流体である、請求項47記載の方法。
【請求項53】
前記画像化機構は所定の画像化法を利用し、且つ、
前記第2流体は上記画像化法により利用される放射線に対して実質的に透明である、請求項36記載の方法。
【請求項54】
前記段階(b)は前記構造に関係付けられたデータを獲得する段階を更に備え、且つ、
当該方法は、(c)上記データの関数として前記流体送給機構および前記画像化機構の少なくとも一方を制御する段階を更に備えて成る、
請求項36記載の方法。
【請求項55】
前記段階(c)は前記画像化機構の平行移動を制御する段階を備える、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記段階(c)は前記流体送給機構の流体送給を制御する段階を備えて成る、請求項54記載の方法。
【請求項57】
前記段階(c)は、前記画像化機構の平行移動および前記流体送給機構の流体送給を制御する段階を備えて成る、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記制御下位段階は反復的に実施される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
反復の間において前記画像化機構は更に平行移動される、請求項57記載の方法。
【請求項60】
反復の間において前記画像化機構は更に平行移動される、請求項57記載の方法。
【請求項61】
前記段階(b)は反復的に実施されることで前記構造の異なる区画を表す一群の画像を生成する、請求項36記載の方法。
【請求項62】
前記段階(c)は、前記一群の画像の内の各画像を該一群の画像の内の別の画像に対して関係付ける段階を更に備えて成る、請求項61記載の方法。
【請求項63】
第1流体と接触する構造を画像化し得るソフトウェア機構であって、
a.処理機構により実行されたときに、流体送給機構を用いて所定体積の第2流体の一部を上記構造に対して局所的である領域へと送給することに関する情報を、上記処理機構に受信させるべく構成された第1群の命令と、
b.上記処理機構により実行されたときに、画像化機構を用いて上記構造の少なくとも一部分を画像化すべく構成された第2群の命令とを備え、
上記データは、画像化機構により獲得されたデータに関連し、
上記画像化機構には人工物が組み合わされ、且つ、
上記所定体積の第2流体の少なくとも一部分が上記構造に対して局所的である上記領域へと送給された後で上記構造を画像化する間、上記画像化機構および上記人工物の少なくとも一方は、表面の延長の軸心に略々対応する経路に沿い平行移動される、
ソフトウェア機構。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106972(P2013−106972A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−26880(P2013−26880)
【出願日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【分割の表示】特願2007−530135(P2007−530135)の分割
【原出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(507062680)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】