説明

血管作用剤の組合せ物、それらの薬剤および化粧品分野での使用、ならびにそれらを含む製剤

この発明は、ホスホジエステラーゼVを含むホスホジエステラーゼ抑制剤と静脈または動脈レベルで作用する血管作用性物質、特にビスナジンまたはエスクロシド;イカリンまたはその誘導体またはイカリンを含む抽出物、遊離状態またはホスホリピドと錯体化した状態のいずれかのイチョウ2量体フラボン、アメントフラボンから選ばれる少くとも1つの化合物;エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンβ−シトステロール、セリコシド、ホスホリピドと錯体化したセリコシド、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したツボクサ抽出物から選ばれる少くとも1つの化合物の組合せ物に関する。本発明にしたがう製剤はパーミクロパシー(parmiculopathy)および下肢の静脈血流不足に伴う疾患を減少させるのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、c−GMPホスホジエステラーゼVを含むホスホジエステラーゼ抑制剤と静脈または動脈レベルで作用する、血管作用物質の組合せ物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスナジンは、狭心症様の病気(anginoid disorders)を治療するのに伝統的に使用されるセリ科の植物、アンミ(Ammi visnaga)の種子中に主として見出されるクマリンである。この化合物は薬剤分野で冠状動脈拡張薬として使用されている。
【0003】
この化合物はまた、局所的に使用すると前毛細管(precapillary)、動脈(arteries)や細小動脈(arterioles)に対して強い血流作用(vasokinetic action)を有し、血流と組織灌流を増加させることも明らかにされている(EP0418806)。組織への血液の供給はより良好な営養価と代謝廃棄物の除去に関係し、それにより治療部位に対して好結果をもたらす。ビスナジンもまた抗−ホスホジエステラーゼ活性を有する。
【0004】
トチノキ(Aesculus hippocastanum)、ヤチダモ(Fraxinus communis)などの多くの植物中に存在するクマリングルコシドであるエスクロシドは、静脈および動脈レベルで血流作用性と血管作用(venotropic)活性を有する。
【0005】
cGMPホスホジエステラーゼVに対して活性を有するイカリンおよびそれらの誘導体は、ある特定領域の微小循環に有効な活性化剤である。
【0006】
アメントフラボンはイチョウ(Gingko biloba)、Brakeringea zanguebaricaおよびイチイ(Taxus sp.)などの多くの植物中に中程度の量で存在するビフラボンである。
【0007】
マロニエ(horse chestnut)またはツボクサ(Centella asiatica)のサポニンは静脈およびリンパ系に作用してリンパ液排液を容易にする抗浮腫(anti−oedematous)作用を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は次のものを含む薬剤、ダイエット食品、化粧品または営養補給物などの組成物に関する:
− ビスナジンまたはエスクロシド;
− イカリンまたはその誘導体またはそれを含む抽出物、遊離状態またはホスホリピドと錯体化した状態のイチョウ(Gingko biloba)の2量体フラボン、およびアメントフラボンから選ばれる少くとも1つの化合物;
− エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンβ−シトステロール、セリコシド、ホスホリピドと錯体化したセリコシド、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したツボクサ(Centella asiatica)抽出物から選ばれる少くとも1つの化合物。
【0009】
同時に動脈および静脈レベルで、およびリンパ液の排出に対して作用する本発明にしたがう血管作用性物質の組合せ物は、慢性の静脈血不足の最初の症状の1つであり、さまざまな病因の蜂巣炎(cellulitis)から下腿の潰瘍(crural ulcers)に及び病理学上の因果関係を有するうっ血浮腫(stasis oldema)を減少させる。下肢の循環不足の警告サインとしては、平常以下の皮膚温度、脚の重たるい感じ、および末梢の痛みを伴う肢先端知覚異常症候群が含まれる。これらの症状を治療するため色々な企みがなされたがささやかな成功しか得られなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ところで意外にも異なる作用機構を有する複数の化合物を含む本発明の製剤が末梢血管ならびに組織の変貭を防ぐことが見出された。
【0011】
最も通常の場合は蜂巣炎(フレグモーネ)または退化性パニクロパシー(panniculopathy)である。脂肪細胞の変貭による苦痛を伴う繊維性小結節または脂肪沈着物の形成前に、静脈血不足の結果、流体と蛋白質が血管周囲部に浸透することによって蜂巣炎がひき起される。このようにして生じた浮腫は、機械的な圧縮のため、動脈血流の自由な循環を減らす。これらの環境の下で含脂肪細胞は脂肪を蓄積し、大きくなって他の細胞からスペースを奪う。最大の成功を達成しようとするならば、抗蜂巣炎製剤による治療はこの時点ではじめるべきである。本発明の結合によって、病状が末梢性の損傷に進むのを防ぐため前病気段階で治療することが可能となる。同じ製剤はまた、病気が慢性になったときでさえ、組織中の環式ヌクレオチドの持続性によりひき起されるリパーゼ刺激によって、苦痛の感覚を除去するとともに長期間の治療を伴う好ましくない脂肪の塊りを減らすのにもうまく使用できる。
【0012】
イカリンの代りとして本発明により使用できるイカリン誘導体は、7−ヒドロキシエチル−イカリン、7−エチルアミノ−イカリン、7−アミノエチル−イカリン、7−ヒドロキシエチル−3−0−ラムノシル−イカリン、7−アミノエチル−3−ラムノシル−イカリン、8−ジヒドロ−イカリンおよびその7および3のグリコシド、および7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリンを含む。
【0013】
本発明の組成物はビスナジンを含むことが好ましい。
【0014】
本発明にしたがう組成物は、通常、重量で次の濃度範囲を有する:
− ビスナジンまたはエスクロシド:0.05〜2%;
− アメントフラボン、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化した状態のイチョウ(Gingko biloba)2量体:0.1〜1%;
− イカリンもしくはその誘導体またはそれを含む抽出物:0.1〜1%;
− エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンβ−シトステロール、セリコシド、ホスホリピドと錯体化したセリコシド、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したツボクサ(Centella asiatica)抽出物、のうちから選ばれる少くとも1つの化合物:0.5〜2%。
【0015】
これらの化合物は、賦形剤、表面活性剤や可溶化剤に適当に担持させて油/水や水/油のエマルジョンなどの最も普通の薬剤および化粧品製剤中に混合することができる。
【0016】
さらに、製品を皮膚の広い面積治療用にクリーム、ミルクおよびゲルの形態に製剤することができる。
【0017】
以下の実施例で本発明を詳細に説明する。
【0018】
実施例1−ゲル製剤
ビスナジン 0.25g
7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリン 0.35g
アメントフラボン 0.25g
エスシン 1.00g
レシチン 20.00g
コレステロール 0.50g
エタノール 8.00g
ブチルヒドロキシトルエン 0.01g
イミダゾリン尿素 0.30g
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.00g
水 十分な量で100gにする。
【0019】
実施例2−ゲル製剤
エスクロシド 1.00g
イカリン 0.35g
アメントフラボン 0.25g
エスシン 1.00g
レシチン 20.00g
コレステロール 0.50g
エタノール 8.00g
ブチルヒドロキシトルエン 0.01g
イミダゾリン尿素 0.30g
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.00g
水 十分量で100gにする。
【0020】
実施例3−ゲル製剤
ビスナジン 0.25g
7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリン 0.35g
ホスホリピドと錯体化したイチョウ2量体 0.25g
ホスホリピドと錯体化したエスシンβ−シトステロール 1.00g
レシチン 20.00g
コレステロール 0.50g
エタノール 8.00g
ブチルヒドロキシトルエン 0.01g
イミダゾリン尿素 0.30g
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.00g
水 100gにする十分量
【0021】
実施例4−ゲル製剤
エスクロシド 0.25g
7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリン 0.35g
アメントフラボン 0.25g
セリコシド 1.00g
レシチン 20.00g
コレステロール 0.50g
エタノール 8.00g
ブチルヒドロキシトルエン 0.01g
イミダゾリン尿素 0.30g
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.00g
水 100gにする十分量
【0022】
実施例5−ゲル製剤
ビスナジン 0.3g
アメントフラボン 0.4g
Centella asiatica抽出物 1.0g
レシチン 20.00g
コレステロール 0.50g
エタノール 8.00g
ブチルヒドロキシトルエン 0.01g
イミダゾリン尿素 0.30g
ヒドロキシプロピル−メチルセルロース 2.00g
水 qb 100g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む薬剤、化粧品、ダイエット食品、または営養補給物用組成物:
− ビスナジンまたはエスクロシド;
− イカリンまたはその誘導体またはイカリンを含む抽出物、遊離状態またはホスホリピドと錯体化した状態のいずれかであるイチョウ2量体フラボン、アメントフラボンから選ばれる少くとも1つの化合物;
− エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンベータ−シトステロール、セリコシド、ホスホリピドと錯体化したセリコシドまたは遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化した状態のツボクサ抽出物から選ばれる少くとも1つの化合物。
【請求項2】
重量基準で次の濃度範囲を有する、請求項1記載の組成物:
− ビスナジンまたはエスクロシド:0.05〜2%;
− アメントフラボンまたは遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したイチョウ2量体フラボン:0.1〜1%;
− イカリンまたはその誘導体、またはそれを含む抽出物:0.1〜1%;
− エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンベータ−シトステロール、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したツボクサ抽出物:0.5〜2%
【請求項3】
イカリン誘導体が7−ヒドロキシエチル−イカリン、7−エチルアミノ−イカリン、7−アミノエチル−イカリン、7−ヒドロキシエチル−3−0−ラムノシル−イカリン、7−アミノエチル−3−ラムノシル−イカリン、8−ジヒドロ−イカリンおよびその7−および3−のグルコシド、および7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリンを含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
クリーム、ゲル、ローション、ミルクの形態である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ビスナジンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
ビスナジン、7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イアリン、アメントフラボン、およびエスシンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
エスクロシド、イカリン、アメントフラボン、エスシンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ビスナジン、7−ヒドロキシエチル−7−デスグルコ−イカリン、遊離状態またはホスホリピドと錯体化したイチョウ2量体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
ビスナジン、ホスホリピドと錯体化したイチョウ2量体、ホスホリピドと錯体化したエスシンベータ−シトステロールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
エスクロシド、ホスホリピドと錯体化したイチョウ2量体、ホスホリピドと錯体化したエスシンベータ−シトステロールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
以下の組合せ物のパニクロパシーおよび下肢の静脈血不足と関連する疾患の治療用組成物の製造のための使用:
− ビスナジンまたはエスクロシド;
− イカリンまたはその誘導体またはそれを含む抽出物、遊離状態またはホスホリピドと錯体化した状態のイチョウ2量体フラボン、アメントフラボンから選ばれる少くとも1つの化合物;
− エスシン、ホスホリピドと錯体化したエスシンベータ−シトステロール、セリコシド、ホスホリピドと錯体化したセリコシド、または遊離状態もしくはホスホリピドと錯体化したツボクサ抽出物から選ばれる少くとも1つの化合物。

【公表番号】特表2009−513519(P2009−513519A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518124(P2006−518124)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007375
【国際公開番号】WO2005/004858
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】