説明

血管内皮増殖因子の経皮的送達のための微小突起アレイパッチ

角質層を通って下の表皮層または表皮および真皮層を穿刺するために適合された複数の微小突起(またはそのアレイ)を含む微小突出部材(またはアッセンブリー)を有する送達系を含んでなる、生物学的に活性な作用物質を経皮的に送達する装置および方法。1つの態様では、VEGF基剤が微小突出部材に適用される生体適合性コーティング中に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には経皮的な作用物質の送達系および方法に関する。より詳細には本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)基剤(VEGF−based agent)の経皮的送達のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
子癇前症が高血圧、浮腫および蛋白尿の症候群であることは周知である。子癇前症は妊娠の5〜10%で発症し、そして実質的な胎児の罹患率および死亡率を生じる。また子癇前症は年間、世界中で少なくとも200,000人の母体死亡の原因でもある。
【0003】
子癇前症は重篤度が軽度から生命を脅かすまで変動し得る。軽度の子癇前症の状態は床上安静および頻繁な監視で処置することができる。中程度から重度では入院が薦められ、そして血圧の薬または痙攣を防止するために鎮痙剤が処方される。状態が母体または胎児の生命を脅かすようになると、典型的には妊娠を終結させ、胎児は早産で産まれる。
【0004】
胎児および胎盤の正しい発達は、幾つかの増殖因子により媒介される。これらの増殖因子の1つが血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGFは内皮細胞特異的マイトジェン、血管形成インデューサーそして血管透過性のメディエターである。
【0005】
またVEGFは糸球体の毛細管修復に重要であることが示された。VEGFは、多くの異なる組織から得た内皮細胞で異なって発現される、相同的な膜に広がる2つのチロシンキナーゼ受容体、ヒレ(fin)様チロシンキナーゼ(Flt−1)およびキナーゼドメイン受容体(inase domain eceptor:KDR)の1つにホモダイマーとして結合する。Flt−1(KDRではなく)は胎盤の形成に貢献するトロホブラスト細胞により高度に発現される。
【0006】
胎盤増殖因子(P1GF)も、胎盤の発達に関与するVEGFファミリーのメンバーである。P1GFは栄養膜細胞層および合胞体層により発現され、そして内皮細胞の増殖、移動および活性化を誘導することができる。P1GFはFlt−1受容体にホモダイマーとして結合するが、KDR受容体には結合しない。P1GFおよびVEGFは両方とも発達している胎盤に重要なマイトジェニック活性および血管形成に貢献する。
【0007】
最近、子癇前症に罹患している妊娠女性から得た胎盤組織サンプルで、sFlt−1(Flt−1受容体のスプライスバリアント)のレベルが顕著に上昇していることが見いだされた。sFlt−1は生理学的シンク(physiologic sink)として作用することによりVEGFおよびPIGFと拮抗することが知られ、そして子癇前症または子癇症の女性では、sFlt−1が胎盤でこれら必須な血管形成およびマイトジェン因子の必要量の枯渇を引き起こす恐れがある。さらに過剰なsFlt−1は、血液脳関門を維持する内皮細胞および/または脳の脈絡叢を生かす内皮細胞を破壊することにより子癇症を導くこともでき、すなわち子癇症の女性がしばしば体験する大脳浮腫および痙攣を導くかもしれないと述べられた。例えば特許文献1を参照にされたい。
【0008】
このように種々のVEGF基剤および化合物は、上昇したsFlt−1の効果を制御するため、VEGFおよびPIGFレベルを上げるために子癇前症または子癇症の女性に投与された。具体的例は引用により本明細書に編入する特許文献1および2に開示されてい
るVEGF基剤および化合物である。
【0009】
子癇前症のような障害の処置におけるVEGF基剤の効力にもかかわらず、VEGF基剤の送達法、特に皮下注射を介する開示された従来技術の送達法に付随する幾つかの欠点および不利益が存在する。主要な欠点は、皮下注射が難しく、痛く、そして不快な手順であり、これはしばしは良くない患者のコンプライアンスをもたらす。
【0010】
したがって経皮的送達は、そうしなければ皮下注射もしくは静脈内注入を介して送達される必要があるVEGF基剤および化合物の効果的な代替的投与法を提供する。本明細書で使用する用語「経皮的」は、外科用ナイフによる切開または皮下注射針による皮膚の穿刺のような実質的な皮膚の切開もしくは穿刺無しに、皮膚を介して、活性もしくは治療薬を局所組織または全身的循環系に送達することを称する包括的な用語である。経皮的な薬剤送達には、すなわち受動的な拡散を介する皮膚内、皮内および表皮内送達、ならびに電気(例えばイオン導入法)および超音波(例えばホノフォレシス)のような外部エネルギーに基づく送達を含む。
【0011】
より一般的な受動的経皮薬剤送達系は、典型的には高濃度の活性剤を含む薬剤リザーバーを含む。リザーバーは皮膚に接触するように適合され、これは薬剤が患者の皮膚を介して身体組織または血流に拡散できるようにする。
【0012】
当該技術分野では周知であるように、経皮的薬剤流は、皮膚の状態、薬剤分子のサイズおよび物理/化学的特性、および皮膚を横切る濃度勾配に依存する。皮膚は多くの薬剤に対して低透過性であるので、経皮的送達は応用に限界があった。この低透過性は主に角質(脂質二重層に囲まれた、偏平な、ケラチンファイバーで満たされた死んだ細胞(すなわちケラチノサイト)からなる最も外の皮膚層)に起因する。この脂質二重層の高度に組織化された構造は、比較的不透過性の特性を角質に与える。
【0013】
受動的な経皮拡散剤の流れを増加させる1つの一般的方法は、皮膚を作用物質の皮膚透過強化剤で前処理するか、またはそれを同時投与することが含まれる。透過強化剤はそれが送達される体表に適用した時、一緒に通る作用物質の流れを強化する。しかし経皮的なタンパク質の流れを強化するこれらの方法の効力は少なくとも、より大きなタンパク質についてはそれらのサイズにより限定された。
【0014】
また多くの技術およびデバイスが皮膚の最外層を機械的に貫通または破壊するために開発され、これにより経皮的に送達される作用物質の量を強化するために皮膚に通路を作成する。具体例は本明細書の参考文献に包含される特許文献3に開示されている薬剤送達デバイスである。
【0015】
経皮的な薬剤送達を強化するために小さい皮膚穿刺要素を使用する他の系および装置は、特許文献4、5、6、3、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、13、17、18、19、20に開示され、これらすべてはそれらの全部を引用により本明細書に編入する。
【0016】
開示された系および装置は、皮膚の最外層(すなわち角質)を穿刺するために種々の形状およびサイズの穿刺要素を使用する。開示された穿刺要素はパットまたはシートのような一般に薄く、平らな部材から垂直に延びている。穿刺要素デバイスは典型的には極端に小さく、わずか約25〜400ミクロンの微小突起長、およびわずか5〜50ミクロンの微小突起厚を有する。
【0017】
開示された系はさらに典型的には、作用物質を保持するためのリザーバー、および中空
針または歯によるように角質を通ってリザーバーから作用物質を移動させるための送達系を含む。そのようなデバイスの1例は液体の作用物質リザーバーを有する特許文献21に開示されている。
【0018】
引用により全部、本明細書に包含される特許文献22に開示されているように、物理的リザーバーに含まれる代わりに、個体または患者に送達される活性な作用物質を微小突起上に被覆して有することが可能である。これにより別個の物理的リザーバー、そしてリザーバー用に特別な作用物質製剤または組成物を開発する必要性を排除する。
【0019】
したがって本発明の目的は、VEGF基剤の個体への最少に侵襲的な投与を促進する経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0020】
したがって本発明の目的は、VEGFの個体への皮内送達を提供する経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、子癇前症または子癇症を処置または防止するための経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、個体への皮内送達のためのVEGF基剤を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、VEGF基剤を含む生体適合性コーティングで被覆された微小突起を含む経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、VEGF基剤を含むヒドロゲル製剤を受けるために適合されたゲルパックを含む経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0025】
さらに本発明の他の目的は、ヒドロゲルによる送達前に再構成されるように適合された固体状のVEGF基剤を含む経皮的な作用物質送達装置および方法を提供することである。
【0026】
【特許文献1】国際公開第2004/008946号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0137680号明細書
【特許文献3】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献4】米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献5】米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献6】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献7】再発効第25,637号明細書
【特許文献8】国際公開第96/37155号パンフレット
【特許文献9】国際公開第96/37256号パンフレット
【特許文献10】国際公開第96/17648号パンフレット
【特許文献11】国際公開第97/03718号パンフレット
【特許文献12】国際公開第98/11937号パンフレット
【特許文献13】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献14】国際公開第97/48440号パンフレット
【特許文献15】国際公開第97/48441号パンフレット
【特許文献16】国際公開第97/48442号パンフレット
【特許文献17】国際公開第99/64580号パンフレット
【特許文献18】国際公開第98/28037号パンフレット
【特許文献19】国際公開第98/29298号パンフレット
【特許文献20】国際公開第98/29365号パンフレット
【特許文献21】国際公開第93/17754号パンフレット
【特許文献22】米国特許出願第10/045,842号明細書
【発明の開示】
【0027】
発明の要約
上記目的および以下で述べる、そして明らかになる目的に従い、本発明による個体にVEGF基剤を経皮的に送達するための装置および方法は一般に、角質層を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺するために適合された複数の微小突起(またはそのアレイ)を含む微小突出部材(またはアッセンブリー)を有する送達系を含んでなる。好適な態様では、微小突出部材はその中に配置された少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含む。別の態様では、微小突出部材は少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含む。さらに別の態様では、微小突出部材は少なくとも1つのVEGF基剤を有する固体状の製剤および水和するヒドロゲル製剤を含む。
【0028】
本発明の1つの態様では、微小突出部材が少なくとも約10個の微小突起/cmの微小突起密度、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する。
【0029】
1つの態様では、微小突出部材がステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金または類似の生体適合性材料から構成されている。
【0030】
別の態様では、微小突出部材がポリマー物質のような非伝導性材料から構成されている。あるいは微小突出部材はParylene(商標)のような非伝導性物質、またはTeflon(商標)、シリコンまたは他の低エネルギー物質のような疎水性物質で被覆されることができる。
【0031】
固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突出部材に適用されるコーティング製剤は、水性および非水性製剤を含んでなることができる。好ましくはコーティング製剤は少なくとも1つのVEGF基剤を含み、これは生体適合性担体に溶解されるか、または担体に懸濁されることができる。
【0032】
好ましくはVEGF基剤は、VEGFファミリーメンバーを含んでなり、これには限定するわけではないがVEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体を含む。本発明の好適な態様では、VEGF基剤はVEGF121を含んでなる。
【0033】
本出願を通じて、用語「VEGF基剤」および「VEGF121基剤」には限定するわけではないが組換えVEGF121、合成VEGF121およびVEGF121塩を含む。製薬学的に許容され得るVEGF121塩の例には、限定するわけではないが酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩を含む。
【0034】
好ましくはVEGF基剤はコーティング製剤中に約1〜30重量%の範囲の濃度で存在する。
【0035】
固体の生体適合性コーティング(すなわち微小突出部材または製品)中に含まれるVE
GF基剤の量は、好ましくは1μg〜1000μgの範囲、より好ましくは1〜500μgの範囲、さらに一層好ましくは1〜200μgの範囲である。
【0036】
好ましくはコーティング製剤のpHは約pH5.5未満、またはpH7.0より上である。より好ましくはコーティング製剤は約pH2〜pH5.5またはpH7.0〜pH11の範囲のpHを有する。さらに一層好ましくはコーティング製剤は約pH2.5〜pH5.5またはpH7.0〜pH10.5の範囲のpHを有する。
【0037】
本発明の特定の態様では、微小突起を被覆するために使用するコーティング製剤の粘度は、低揮発性対イオンを加えることにより強化される。1つの態様では、コーティング製剤のpHが5.5より低い場合、VEGF基剤は正電荷を有し、そして粘性強化対イオンは酸を含んでなる。好ましくは酸性の対イオンは少なくとも1つの酸性pKa、および約50℃より高い融点またはPatmで約170℃より高い沸点を有する非揮発性弱酸を含んでなる。適当な酸にはクエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を含む。
【0038】
本発明の別の態様では、酸性の対イオンが約2より低い少なくとも1つのpKaを現す強酸を含んでなる。そのような酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0039】
本発明の他の態様は、対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが弱酸を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが非揮発性弱酸を含んでなる。
【0040】
さらなる態様は、対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強酸を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが高い揮発性を有し、そして約2よりも高い少なくとも1つのpKaおよび約50℃より低い融点、またはPatmで約170℃より低い沸点を現す弱酸を含んでなる。そのような酸の例には酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸等がある。
【0041】
酸性の対イオンは好ましくは製剤のpHでVEGF基剤に存在する正電荷を中和するために十分な量で存在する。さらなる態様では、過剰な対イオン(遊離酸として、または塩として)がpHを制御し、そして十分な緩衝能を提供するために加えられる。
【0042】
本発明の別の態様では、コーティング製剤のpHがpH7.0より高く、VEGF基剤は負電荷を有し、そして粘性強化対イオンが塩基を含んでなる。本発明の好適な態様では、塩基性の対イオンが少なくとも1つの酸性pKaおよび約50℃より高い融点、またはPatmで約170℃より高い沸点を有する低揮発性の弱塩基を含んでなる。適切な塩基にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを含む。
【0043】
別の態様では、対イオンは約12より高い少なくとも1つのpKaを現す強塩基を含んでなる。適切な強塩基には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0044】
本発明の別の態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強塩基を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが低揮発性の弱塩基を含んでなる。
【0045】
さらなる態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強塩基を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが高揮発性を有し、そして約12より
低い少なくとも1つのpKaおよび約50℃より低い融点またはPatmで約170℃より低い沸点を現す弱塩基を含んでなる。そのような塩基の例にはアンモニアおよびモルホリンを含む。
【0046】
本発明の言及した態様では、塩基性対イオンは好ましくは製剤のpHでVEGF基剤の負電荷を中和するために十分である。さらなる態様では、過剰な対イオン(遊離酸として、または塩として)がpHを制御し、そして十分な緩衝能を提供するために加えられる。
【0047】
本発明の別の態様では、コーティング製剤は少なくとも1つのバッファーを含む。そのようなバッファーの例には限定するわけではないが、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチルオールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、モルホリン、メチルグルカミン、グルコサミンおよびそれらの混合物を含む。
【0048】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤は両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる少なくとも1つの表面活性剤を含み、限定するわけではないがラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、ラウレス−4のようなアルコキシル化アルコール、およびCremophorEL(商標)のようなポリオキシエチレンヒマシ油誘導体を含んでなる。
【0049】
本発明の言及した態様では、表面活性剤の濃度は好ましくはコーティング製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。
【0050】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤が両親媒性を有する少なくとも1つのポリマー性物質またはポリマーを含み、これは限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0051】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤中の両親媒性を表すポリマーの濃度が好ましくは、コーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0052】
別の態様ではコーティング製剤は以下の群:ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、およびビキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールの塩およびその混合物等および同様のポリマーから選択される親水性ポリマーを含む。
【0053】
好適な態様では、コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度がコーティング製剤の約0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0054】
本発明の別の態様では、コーティング製剤が生体適合性担体を含み、これには限定するわけではないが、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含んでなることができる。
【0055】
好ましくはコーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。
【0056】
さらなる態様では、コーティング製剤は安定化剤を含み、これには限定するわけではないが非還元糖、多糖または還元糖を含んでなることができる。
【0057】
本発明の方法および組成物での使用に適する非還元糖には、例えばシュクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースを含む。
【0058】
本発明の方法および組成物での使用に適する多糖には、例えばデキストラン、可溶性澱粉、デキストリンおよびインスリンを含む。
【0059】
本発明の方法および組成物での使用に適する還元糖には、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジキトキソース、フコース、クェルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトース等のような単糖;および例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノース等のような二糖を含む。
【0060】
好ましくはコーティング製剤中の安定化剤の濃度は、VEGF基剤に対して約0.1〜2.0:1の比率である。
【0061】
別の態様では、コーティング製剤は血管収縮薬を含み、これには限定するわけではないが、アミドフィリン(amidephrin)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン(metizolin)、ミドドリン(midodrin)、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン(octodrin)、オルニプレシン(ornipressin)、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を含んでなることができる。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを含む。
【0062】
使用する場合には血管収縮薬の濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0063】
本発明の別の態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター(pathway patency modulator)」を含み、これには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン
21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストリンナトリウム、アスピリンおよびEDTA)を含んでなることができる。
【0064】
好ましくはコーティング製剤は、約500センチポイズ未満そして3センチポイズより大きな粘度を有する。
【0065】
本発明の1つの態様では、微小突起表面から測定した時、生体適合性コーティングの厚さは約25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0066】
本発明のさらなる態様では、送達系はヒドロゲル製剤を含む。好ましくはヒドロゲル製剤はゲルパックに包含される。
【0067】
本発明の少なくとも1つの態様では、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つのVEGF基剤を含む。
【0068】
好ましくはVEGF基剤は過剰に、または飽和未満で存在する。
【0069】
本発明の1つの態様ではVEGF基剤は、ヒドロゲル製剤の約1〜40重量%の範囲を構成する。
【0070】
好ましくはヒドロゲル製剤は、高分子ポリマー網を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0071】
本発明の好適な態様では、ポリマー網には限定するわけではないが、ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチル−メチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含んでなる。
【0072】
ヒドロゲル製剤は好ましくは少なくとも1つの表面活性剤を含み、これは両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。
【0073】
本発明の1つの態様では、表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含んでなることができる。
【0074】
別の態様では、ヒドロゲル製剤は両親媒性を有するポリマー性物質またはポリマーを含み、これには限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0075】
本発明のさらなる態様では、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つの経路開通性モジュレー
ターを含み、これには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム)、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAのような)を含んでなることができる。
【0076】
本発明のさらに別の態様では、ヒドロゲル製剤が少なくとも1つの血管収縮薬を含み、これには限定するわけではないがエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンおよびその混合物を含んでなることができる。
【0077】
本発明のさらに別の態様に従い、VEGF基剤を送達するための送達系は、上および底面を有する微小突出部材、微小突出部材から延びる複数の開口、および微小突出部材の底面から突出した複数の微小突起を含む。微小突出部材はさらにヒドロゲル製剤および少なくとも1つのVEGF基剤、好ましくはVEGF121を有する固体状製剤を含む。
【0078】
1つの態様では、固体状製剤は微小突出部材の上面の直近に配置される。別の態様では固体状製剤は微小突出部材の底面の直近に配置される。
【0079】
本発明の1つの態様では、ヒドロゲル製剤にはVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0080】
本発明の1つの態様では、固体状製剤は固体フィルムである。好ましくは固体フィルムは少なくとも1つのVEGF基剤、ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックのようなポリマー性物質、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween20およびTween80のような表面活性剤、および水、イソプロパノール、メタノールおよびエタノールのような揮発性溶媒からなる液体製剤を流延することにより作成される。
【0081】
本発明の他の態様では、固体状製剤は噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出からなる群から選択される方法により形成される。現在好適な方法は噴霧凍結乾燥である。言及した態様では、生体適合性コーティングは最高約15分、そして好ましくは最高約1分、適切な溶媒により再構成されるように適合されている。またコーティング製剤は好ましくは酸化防止剤を含む。
【0082】
本発明の1つの態様によれば、患者にVEGF基剤を送達する方法には以下の工程を含む:(i)微小突出部材を有する送達系を準備し、微小突出部材は複数の微小突起および
少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含み、(ii)被覆された微小突出部材を患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が皮膚を穿刺し、そして作用物質を含有するコーティングが体液により溶解され、そして皮膚中に放出される。
【0083】
被覆された微小突出部材は好ましくは患者の皮膚に5秒〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0084】
本発明のさらなる態様によれば、VEGF基剤を患者に送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーを該患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し、そしてこれにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0085】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは皮膚から取り除かれる。
【0086】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コーティングを含む。
【0087】
好ましくは被覆された微小突出部材−ゲルパックアッセンブリー(作用物質を含有するヒドロゲル製剤を含む)は、患者の皮膚に5秒〜24時間の間、適用されたままである。
【0088】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コーティングを含み、そしてヒドロゲル製剤はVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0089】
好ましくは被覆された微小突出部材−ゲルパックアッセンブリー(作用物質を含有するヒドロゲル製剤を含む)は、患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。
【0090】
本発明のさらなる態様によれば、VEGF基剤を患者に送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材を該患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し;そして(iii)ゲルパックを微小突出部材の上に置き、これにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0091】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは皮膚から取り除かれる。
【0092】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コーティングを含み、そしてヒドロゲル製剤はVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0093】
本発明の別の態様によれば、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材を該患者の皮膚に適用し、これによ
り微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し;(iii)患者の皮膚から微小突出部材を取り除き;そして(iv)ゲルパックを前処理した皮膚の上に置き、これにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0094】
ゲルパックは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、ゲルパックは皮膚から取り除かれる。
【0095】
本発明のさらに別の態様では、VEGF基剤を含有する生体適合性コーティングを有する微小突出部材が患者の皮膚に適用され、次いでVEGF基剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックが適用された微小突出部材の上に適用され、これにより作用物質を含有するコーティングが体液により溶解され、そして皮膚中に放出され、そして作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により角質中に形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0096】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材およびゲルパックは取り除かれる。
【0097】
本発明のさらなる態様では、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、ヒドロゲル製剤および少なくとも1つのVEGF基剤を有する固体状製剤を有する微小突起アッセンブリーを準備し、そして(ii)微小突起アッセンブリーを患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、ヒドロゲル製剤が水和し、そして固体状製剤から作用物質を放出し、そして作用物質が微小突起により形成された角質中のマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0098】
微小突出部材は好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0099】
本発明のさらなる態様では、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有する固体状製剤を有する微小突起アッセンブリーを準備し;(ii)ヒドロゲル製剤を有するゲルパックを準備し;(iii)微小突起アッセンブリーを患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し;そして(iv)ゲルパックを適用した微小突起アッセンブリー上に適用し、これによりヒドロゲル製剤がゲルパックから放出され、そして固体状製剤に含まれる作用物質を放出し、そして作用物質およびヒドロゲル製剤が微小突起により形成された角質層中のマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0100】
微小突出部材は好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0101】
好ましくは本明細書で使用する微小突出部材(およびアッセンブリー)および微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは、患者の皮膚に作動器を介して適用される。
【0102】
好ましくは、上記の方法を介して皮膚内に送達されるVEGF基剤の用量は、投薬用量単位あたり約1〜500μgの範囲、より好ましくは約1〜100μgの範囲、より一層好ましくは約1−50μgの範囲である。
【0103】
発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定の例示される材料、方法および構造そのも
のに限定されず、もちろん変動し得ると理解される。すなわち本明細書に記載するものに類似または均等な多くの材料および方法を本発明の実施に使用することができるが、好適な材料および方法を本明細書に記載する。
【0104】
また本明細書で使用する用語は本発明の特定の態様を記載する目的のみのためであり、そして限定を意図するものではないと理解される。
【0105】
他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が関係する分野の当業者に通常に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0106】
さらに本明細書に引用するすべての刊行物、特許および特許出願は、今までもこれからも参照により全部、本明細書に編入する。
【0107】
最後に本明細書および添付する特許請求の範囲で使用するように、単数形“a”、“an“および“the”は、内容が明らかにそれ以外を示す場合を除き、複数形を含む。すなわち例えば「VEGF基剤」は、2以上のそのような作用物質を含み、「微小突起」は2以上のそのような微小突起等を含む。
【0108】
定義
本明細書で使用する用語「経皮的」は、局所的または全身的治療のための作用物質の皮膚への、かつ/または皮膚を介した送達を意味する。このように用語「経皮的」は、ペプチドのような作用物質の、皮膚への、かつ/または皮膚を通した、受動拡散ならびイオン導入およびホノフォレシスのようなエネルギーに基づく拡散送達を介する皮膚内、皮内および表皮内送達を意味し、そして含む。
【0109】
本明細書で使用する用語「経皮的流れ」は、経皮的送達の速度を意味する。
【0110】
本明細書で使用する用語「個体」は哺乳動物を意味し、限定するわけではないがヒトまたウシ、ウマ、イヌ、ヒツジまたはネコのような非ヒト哺乳動物を含む。用語「個体」にはさらに、妊娠している、分娩後および妊娠していない哺乳動物を含む。
【0111】
本明細書で使用する用語「子癇前症」とは蛋白尿または浮腫または両方を伴う高血圧、糸球体機能不全、大脳浮腫、肺浮腫、肝臓浮腫、または妊娠もしくは前回の妊娠の影響による凝固異常を特徴とする多くの全身的障害(multi−systemic disorder)である。子癇前症は一般に妊娠第20週後に起こり、そしてしばしば以下の症状が合わさった影響を受ける:(1)妊娠20週後の収縮期血圧(BP)140mmHgおよび拡張期BP90mmHg、(2)新たな蛋白尿の発生(尿検査棒により1+、24時間の尿採集において>300mgのタンパク質、またはタンパク質/クレアチニン比>0.3を有する1回の無作為な尿サンプル)および(3)分娩後12週までに高血圧および蛋白尿の解消。また子癇前症の症状は、腎不全および糸球体内皮症または肥大を含む可能性がある。
【0112】
子癇前症では、高血圧および蛋白尿が一般には互いに数日内に起こる。重篤な子癇前症では、重度の高血圧、重度の蛋白尿およびHELLP症候群(溶血、肝臓酵素の上昇、血小板の低下)または子癇症が同時に、または1度に1つの症状のみが起こり得る。
【0113】
本明細書で使用する用語「子癇前症の症状」および「子癇症の症状」とは、発作および昏睡を含め、妊娠または前回の妊娠の影響による前記の任意の症状の発症を意味する。
【0114】
本明細書で使用する「処置する」とは、予防的および/または治療的目的で治療薬また
は製薬学的組成物を投与することを意味する。
【0115】
本明細書で使用する「治療的処置」とは、個体の状態を改善するためにすでに疾患に罹患している個体に処置を投与することを指す。好ましくは個体は本明細書に記載する任意の特徴的症状の同定に基づき、子癇前症または子癇症に罹患していると診断されている。
【0116】
本明細書で使用する「防止的処置」とは、未だ病気ではないが、特定の疾患を発症し易いか、またはそうではなくそのリスクがある個体の予防的処置を意味する。
【0117】
本明細書で使用する用語「血管内皮増殖因子」および「VEGF」は、引用により本明細書に編入される米国特許第5,332,671号、同第5,240,848号、同第5,194,596号および同第5,219,739号明細書に定義された増殖因子に相同的であり、そしてVEGF生物活性を有する哺乳動物増殖因子を意味する。天然のVEGFの生物学的活性には、血管内皮細胞または臍静脈内皮細胞の選択的増殖の促進、および血管形成の誘導を含む。
【0118】
本明細書で使用する用語「VEGF基剤」および「VEGF121基剤」には、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145、VEGF121、bVEGF120、bVEGF164、hVEGF121およびhVEGF165のアイソフォーム、およびそれらの塩、バリアント、類似体、単純な誘導体および組み合わせを含むがそれに限定されない。
【0119】
このように「VEGF基剤」および「VEGF121基剤」には、限定するわけではないが組換えVEGF121、合成VEGF121およびVEGF121塩を含む。製薬学的に許容され得るVEGF121塩の例には限定するわけではないが酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩がある。
【0120】
1より多くのVEGF基剤を、本発明の作用物質の供給源、リザーバーおよび/またはコーティングに包含させることができ、そして用語「VEGF基剤」の使用は2以上のそのような作用物質の使用を決して排除しないと理解される。
【0121】
本明細書で使用する用語「生物学的に有効な量」または「治療に有効な量」は、所望する治療的な、しばしば有益な結果を達成するために必要なVEGF基剤の量または率を意味する。本発明のコーティングに使用するVEGF基剤の量は、すなわち所望する治療的成果を達成するために、治療に有効な量のVEGF基剤を送達するために必要な量である。実際には、この量は送達される特定のVEGF基剤、送達部位、処置する状態の重篤度、所望する治療効果、およびコーティングから皮膚組織へのVEGF基剤の溶解および送達に関する放出動力学に依存して変動するだろう。
【0122】
好ましくは子癇前症または子癇症に罹患している個体に投与されるVEGF基剤の治療に有効な量は、本明細書に記載するように子癇前症または子癇症の症状に定性的または定量的減少を生じるために十分である。
【0123】
本明細書で使用する用語「同時に送達する」とは、補助的な作用物質(1つもしくは複数)が、VEGF基剤が送達される前に、VEGF基剤の経皮的流れの前および最中に、VEGF基剤の経皮的流れの最中に、VEGF基剤の経皮的流れの最中および後に、およ
び/またはVEGF基剤の経皮的流れの後のいずれかに経皮的に投与されることを意味する。さらに2以上のVEGF基剤をコーティングおよび/または製剤に配合し、VEGF基剤の同時送達を生じることもできる。
【0124】
本明細書で使用する用語「微小突起」および「微小突出部」は、個体、より詳細には生きている哺乳動物、さらに詳細にはヒトの皮膚の角質を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺または切開するために適合された穿刺要素を指す。
【0125】
本発明の1つの態様では、穿刺要素は1000ミクロン未満の突起長を有する。さらなる態様では、穿刺要素は500ミクロン未満の突起長、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。微小突起はさらに約25〜500ミクロンの範囲の幅(図1で“W”と示す)および約10〜100ミクロンの範囲の厚さを有する。微小突起は針、中空針、刃、ピン、パンチおよびそれらの組み合わせのような種々の形状に形成されることができる。
【0126】
本明細書で使用する用語「微小突出部材」とは一般に、角質層を穿刺するためにアレイに並べられた複数の微小突起を含んでなる微小突起アレイを内包する。微小突出部材は薄いシートから複数の微小突起をエッチングするか、または穴空けし、そして図1に示すようにシートの平面の微小突起を折り曲げる(folding)か、または曲げて(bending)形状を形成することにより形成することができる。また微小突出部材は引用により全部、本明細書に編入する米国特許第6,050,988号明細書に開示されているように、各片(1もしくは複数)の縁に沿って微小突起を有する1もしくは複数の片を形成することによるような、他の既知の様式にも形成することができる。
【0127】
本明細書で使用する用語「コーティング製剤」とは、微小突起および/またはそのアレイを被覆するために使用される自由に流動する組成物または混合物を意味し、そして含むことを表す。好ましくはコーティング製剤には、製剤中で溶液または懸濁液であることができる少なくとも1つのVEGF基剤を含む。
【0128】
本明細書で使用する用語「生体適合性」および「固体コーティング」とは、実質的に固体状の「コーティング製剤」を意味し、そして含むことを表す。
【0129】
本明細書で使用する用語「固体状製剤」とは、流延により形成される固体フィルム、および噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出により形成される粉末またはケーキを意味し、そして含むことを表す。
【0130】
上に示したように、本発明は一般に角質を介して下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺するように適合された複数の微小突起(またはそのアレイ)を有する微小突出部材(または系)を含む送達系を含んでなる。微小突出部材(または系)は、少なくとも1つの作用物質供給源、または作用物質送達媒質(すなわち生体適合性コーティング、ヒドロゲル製剤または固体状製剤)を含む。好適な態様では、微小突出部材はその上に配置された少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含む。
【0131】
言及したように「子癇前症」とは蛋白尿または浮腫または両方を伴う高血圧、糸球体機能不全、大脳浮腫、肝臓浮腫、肺浮腫、または妊娠もしくは前回の妊娠の影響による凝固異常を典型的には特徴とする多くの全身的障害である。子癇前症は一般に妊娠第20週後に起こる。しばしば子癇前症に伴う症状は:(1)妊娠20週後の収縮期血圧(BP)140mmHgおよび拡張期BP90mmHg、(2)新たな蛋白尿の発生(尿検査棒により1+、24時間の尿採集において>300mgのタンパク質、またはタンパク質/クレアチニン比>0.3を有する1回の無作為な尿サンプル)および(3)分娩後12週まで
に高血圧および蛋白尿の解消、を含んでなる。また子癇前症の症状は、腎不全および糸球体内皮症または肥大を含む。
【0132】
重篤な子癇前症は一般に(1)拡張期BP110mmHgまたは(2)24時間の尿採集において3.5g以上のタンパク質測定、または尿検査棒により少なくとも3+タンパク質を含む2回の無作為な尿検体により特徴づけられる蛋白尿、と定義される。
【0133】
子癇前症では、高血圧および蛋白尿が一般には互いに数日内に起こる。重篤な子癇前症では、重度の高血圧、重度の蛋白尿およびHELLP症候群(溶血、肝臓酵素の上昇、血小板の低下)または子癇症が同時に、または1度に1つの症状のみが起こり得る。
【0134】
本明細書で詳細に検討するように、本発明の重要な利点は送達系が全身的にVEGF基剤を個体、特にヒト患者に送達し、これによりVEGF基剤が子癇前症および/または子癇証の顕著な症状の少なくとも1つの定性的または定量的な減少を生じる点である。
【0135】
ここで図1を参照にして、本発明で使用するための微小突出部材30の1つの態様を示す。図1に示すように、微小突出部材30は、複数の微小突起34を有する微小突起アレイ32を含む。微小突起34は好ましくはシートから実質的に90゜の角度で延び、この記載する態様は開口38を含む。
【0136】
本発明に従い、シート36はシート36の裏材40を含む送達パッチに包含することができ、そしてパッチを皮膚に接着するための接着剤16をさらに含むことができる(図3を参照にされたい)。この態様では、微小突起34は、薄い金属シート36から複数の微小突起34をエッチングまたは穴空けし、そして微小突起34をシート36の平面から折り曲げることにより形成される。
【0137】
本発明の1つの態様では、微小突出部材30は少なくとも約10個の微小突起/cm、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する。好ましくは、作用物質が通る単位面積あたりの開口数は、少なくとも約10個の開口/cm、そして約2000個の開口/cm未満である。
【0138】
示すように、微小突起34は好ましくは1000ミクロン未満の突起長を有する。1つの態様では、微小突起34は500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。また微小突起34は、好ましくは約25〜500ミクロンの範囲の幅、および約10〜100ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0139】
微小突出部材30の生体適合性を強化するために(例えば、個体の皮膚に適用した後の出血および刺激を最少にする)、本発明の1つの態様では、微小突起34は好ましくは145μm未満、より好ましくは約50〜145μmの範囲、さらに一層好ましくは約70〜140μmの範囲の長さを有する。さらに微小突出部材30は、好ましくは100微小突起/cmより高い、より好ましくは約200〜3000微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有するアレイを含んでなる。
【0140】
微小突出部材30は、ステンレン鋼、チタン、ニッケルチタン合金または類似の生体適合性材料のような種々の金属から製造することができる。
【0141】
本発明に従い、微小突出部材30はポリマー材料のような非伝導性材料から構成することもできる。あるいは微小突出部材は、Parylene(商標)のような非伝導性材料、またはTeflon(商標)、シリコンもしくは他の低エネルギー物質のような疎水性物質で被覆することもできる。言及した疎水性物質および会合する塩基(例えばホトレイ
スト:photoreist)層は、引用により本明細書に編入する米国特許出願第60/484,142号明細書に説明されている。
【0142】
本発明に使用することができる微小突出部材には、限定するわけではないが、米国特許第6,083,196号、同第6,050,988号および同第6,091,975号明細書(これらは引用により全部、本明細書に編入する)に開示された部材を含む。
【0143】
本発明に使用することができる他の微小突出部材には、米国特許第5,879,326号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示された部材のような、シリコンチップエッチング技術を使用してシリコンをエッチングすることにより、またはエッチングしたマイクロ−モールドを使用してプラスチックを成形することにより形成される部材を含む。
【0144】
本発明に従い、宿主に投与されるVEGF基剤は、微小突出部材30上に配置される生体適合性コーティングに含まれるか、またはヒドロゲル製剤に含まれるか、または生体適合性コーティングおよびヒドロゲル製剤の両方に含まれることができる。
【0145】
微小突出部材が作用物質を含有する固体状製剤を含むさらなる態様では、VEGF基剤は生体適合性コーティング、ヒドロゲル製剤または固体状製剤に、あるいはすべて3つの送達媒質に含まれることができる。
【0146】
本発明に従い、少なくとも1つのVEGF基剤が少なくとも1つの前記送達媒質中に含まれる。送達媒質中、すなわち微小突起系に使用されるVEGF基剤の量は、所望する結果を達成するために治療に有効量のVEGF基剤を送達するために必要な量となる。実際にこれは特定のVEGF基剤、送達部位、状態の重篤度、および所望する治療効果に依存して広く変動する。
【0147】
ここで図2を参照にして、VEGF基剤を中に配置して有する生体適合性コーティング35を含む微小突起34を有する微小突出部材30を示す。本発明に従い、コーティング35は一部または完全に各微小突起34を被覆することができる。例えばコーティング35は微小突起34上の乾燥パターンコーティングであることができる。またコーティング35は、微小突起34が形成される前または後に適用することができる。
【0148】
本発明に従い、コーティング35は種々の既知の方法により微小突起34に適用することができる。好ましくはコーティングは皮膚を穿刺する微小突出部材30または微小突起34の一部分にのみ適用される(例えばチップ39)。
【0149】
1つのそのようなコーティング法は、浸漬コーティングを含んでなる。浸漬コーティングは、微小突起34をコーティング溶液に部分的に、または全部浸すことにより微小突起を被覆する手段として説明することができる。部分的な浸漬技術の使用により、コーティング35を微小突起34のチップ39にのみ限定することが可能である。
【0150】
さらなるコーティング法は、同様にコーティング35を微小突起34のチップ39に限定するロールコーティングメカニズムを採用するロールコーティングを含んでなる。ロールコーティング法は、米国特許出願第10/099,604号明細書(公開番号2002/0132054)に開示されている(これは引用により全部、本明細書に編入する)。記載した出願で詳細に検討されているように、開示されたロールコーティング法は皮膚を穿刺する間に微小突起34から容易に移動されない滑らかなコーティングを提供する。
【0151】
本発明に従い、微小突起34はさらに開口部(示さず)、溝(示さず)、表面の不規則
性(irregularity)(示さず)または類似の修飾のようなコーティング35の容量を受ける、かつ/または強化するために適合した手段を含むことができ、ここでこの手段はより多くの量のコーティングが沈積できる上昇した表面積を提供する。
【0152】
本発明の方法の範囲内で使用することができる別のコーティング法は、噴霧コーティングを含んでなる。本発明に従い、噴霧コーティングはコーティング組成物のエーロゾル懸濁液の形成を包含することができる。1つの態様では、約10〜200ピコリットルの液滴サイズを有するエーロゾル懸濁液が微小突起10上に噴霧され、次いで乾燥される。
【0153】
パターンコーティングも微小突起34を被覆するために使用することができる。パターンコーティングは、微小突起表面に沈積する液体を配置するための分配システムを使用して適用することができる。沈積する液体の量は、好ましくは0.1から20ナノリットル/微小突起の範囲である。適切な正確な計量液体分配器の例は、米国特許第5,916,524号、同第5,743,960号、同第5,741,554号および同第5,738,728号明細書に開示され、これらは引用により全部、本明細書に編入する。
【0154】
また微小突起コーティング製剤または溶液は、既知のソレノイドバルブディスペンサー、任意の流体移動手段および一般には電場の使用により制御される配置手段を使用したインクジェット技術を使用して適用することもできる。印刷工業からの他の液体分配技術、または当該技術分野で知られている類似の液体分配技術を、本発明のパターンコーティングを適用するために使用することができる。
【0155】
ここで図4および5を参照にして、保存および適用について、微小突出部材30は好ましくは、米国特許出願第09/976,762号明細書(公開番号2002/0091357、これは引用により全部、本明細書に編入する)に詳細に記載されているように、接着タブ31により保持環40中に掛けられている。
【0156】
保持環40に微小突出部材30を配置した後、微小突出部材30は患者の皮膚に適用される。好ましくは微小突出部材30は、図6に示され、そして同時係属中の米国特許出願第09/976,978号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような打撃アプリケーターを使用して患者の皮膚に適用される。
【0157】
示したように、本発明の1つの態様に従い、固体の生体適合性コーティングを形成するために微小突出部材30に適用するコーティング製剤は、少なくとも1つのVHGF基剤を有する水性および非水性の製剤を含んでなることができる。本発明に従い、VHGF基剤は生体適合性担体に溶解されるか、または担体に懸濁され得る。
【0158】
ここで図7を参照にして、VHGF121、25の酸性pKaおよび23の塩基性pKを現すタンパク質の予想される荷電プロファイルを示す。図7で具体的に説明するように、pH6.0でタンパク質はゼロの正味荷電を表す。この点はまた等電点、pIとも呼ばれる。
【0159】
ここで図8を参照にして、VHGF121の正味の荷電した種の予想されるモル比を示す。図8で具体的に説明するように、中性種はpH5.5からpH7.0のpH範囲にのみかなりの量で存在する(図9も参照にされたい)。このpH範囲で、タンパク質は溶液から沈殿すると予想される。
【0160】
したがってこのデータは、本発明の微小突起アレイ上のコーティング用に許容され得る製剤と適合するVHGF121の溶解性が、約pH5.5より低いか、またはpH7.0より高いpHで達成できることを表している。したがって、本発明のコーティング製剤に
関する好適なpH範囲はpH2〜pH5.5またはpH7.0〜pH11である。
【0161】
好ましくはVHGF基剤はVHGFファミリーメンバーを含んでなり、それには限定するわけではないがVEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩、バリアント、類似体および単純な誘導体を含む。本発明の好適な態様では、VHGF基剤はVHGF121を含んでなる。
【0162】
本出願を通して、用語「VHGF基剤」および「VHGF121基剤」には限定するわけではないが、組換えVEGF121、合成VEGF121およびVEGF121塩を含む。製薬学的に許容され得るVEGF121塩の例には限定するわけではないが、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩がある。
【0163】
好ましくはVHGF基剤はコーティング製剤中に約1〜30重量%の範囲の濃度で存在する。
【0164】
固体の生体適合性コーティング(すなわち微小突出部材または製品)中に含まれるVEGF基剤の量は、好ましくは1μg〜1000μgの範囲、より好ましくは1〜500μgの範囲、さらに一層好ましくは1〜200μgの範囲である。
【0165】
好ましくはコーティング製剤のpHは約pH5.5未満、またはpH7.0より上である。より好ましくはコーティング製剤は約pH2〜pH5.5またはpH7.0〜pH11の範囲のpHを有する。さらに一層好ましくはコーティング製剤は約pH2.5〜pH5.5またはpH7.0〜pH10.5の範囲のpHを有する。
【0166】
本発明の特定の態様では、微小突起を被覆するために使用するコーティング製剤の粘度は、低揮発性対イオンを加えることにより強化される。1つの態様では、コーティング製剤のpHが5.5より低い場合、VEGF基剤は正電荷を有し、そして粘性強化対イオンは酸を含んでなる。好ましくは酸性の対イオンは少なくとも1つの酸性pKa、および約50℃より高い融点またはPatmで約170℃より高い沸点を有する非揮発性弱酸を含んでなる。適当な酸にはクエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸を含む。
【0167】
本発明の別の態様では、酸性の対イオンが約2より低い少なくとも1つのpKaを現す強酸を含んでなる。そのような酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0168】
本発明の他の態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが弱酸を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが非揮発性弱酸を含んでなる。
【0169】
さらなる態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強酸を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが高い揮発性を有し、そして約2よりも高い少なくとも1つのpKaおよび約50℃より低い融点、またはPatmで約170℃より低い沸点を現す弱酸を含んでなる。そのような酸の例には酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸等がある。
【0170】
酸性の対イオンは好ましくは製剤のpHでVEGF基剤に存在する正電荷を中和するために十分な量で存在する。さらなる態様では、過剰な対イオン(遊離酸として、または塩として)がpHを制御するために加えられ、十分な緩衝能を提供する。
【0171】
本発明の別の態様では、コーティング製剤のpHがpH7.0より高く、VEGF基剤は負電荷を有し、そして粘性強化対イオンが塩基を含んでなる。本発明の好適な態様では、塩基性の対イオンが少なくとも1つの酸性pKaおよび約50℃より高い融点、またはPatmで約170℃より高い沸点を有する低い揮発性の弱塩基を含んでなる。適切な塩基にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを含む。
【0172】
別の態様では、対イオンは約12より高い少なくとも1つのpKaを現す強塩基を含んでなる。適切な強塩基には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0173】
本発明の別の態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強塩基を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが低揮発性の弱塩基を含んでなる。
【0174】
さらなる態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで少なくとも1つの対イオンが強塩基を含んでなり、そして少なくとも1つの対イオンが高い揮発性を有し、そして約12より低い少なくとも1つのpKaおよび約50℃より低い融点またはPatmで約170℃より低い沸点を現す弱塩基を含んでなる。そのような塩基の例にはアンモニアおよびモルホリンを含む。
【0175】
本発明の言及した態様では、塩基性対イオンは好ましくは製剤のpHでVEGF基剤の負電荷を中和するために十分である。さらなる態様では、過剰な対イオン(遊離酸として、または塩として)がpHを制御し、そして十分な緩衝能を提供するために加えられる。
【0176】
本発明の別の態様では、コーティング製剤は少なくとも1つのバッファーを含む。そのようなバッファーの例には限定するわけではないが、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチルオールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、モルホリン、メチルグルカミン、グルコサミンおよびそれらの混合物を含む。
【0177】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤は両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる少なくとも1つの表面活性剤を含み、限定するわけではないがラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、ラウレス−4のようなアルコキシル化アルコール、およびCremophorEL(商標)のようなポリオキシエチレンヒマシ油誘導体を含んでなる。
【0178】
本発明の言及した態様では、表面活性剤の濃度は好ましくはコーティング製剤の約0.
001〜2重量%の範囲である。
【0179】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤が両親媒性を有する少なくとも1つのポリマー性物質またはポリマーを含み、これは限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0180】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤中の両親媒性を表すポリマーの濃度が好ましくは、コーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0181】
別の態様ではコーティング製剤は以下の群:ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、およびビキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールの塩およびその混合物等のポリマーから選択される親水性ポリマーを含む。
【0182】
好適な態様では、コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度が好ましくは、コーティング製剤の約0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0183】
本発明の別の態様では、コーティング製剤が生体適合性担体を含み、これには限定するわけではないが、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含んでなることができる。
【0184】
好ましくはコーティング製剤中の生体適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。
【0185】
別の態様では、コーティング製剤は安定化剤を含み、これには限定するわけではないが非還元糖、多糖または還元糖を含んでなることができる。
【0186】
本発明の方法および組成物での使用に適する非還元糖には、例えばシュクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースを含む。
【0187】
本発明の方法および組成物での使用に適する多糖には、例えばデキストラン、可溶性澱粉、デキストリンおよびインスリンを含む。
【0188】
本発明の方法および組成物での使用に適する還元糖には、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジキトキソース、フコース、クェルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトース等のような単糖;および例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノース等のような二糖を含む。
【0189】
好ましくはコーティング製剤中の安定化剤の濃度は、VEGF基剤に対して約0.1〜
2.0:1の範囲である。
【0190】
別の態様では、コーティング製剤は血管収縮薬を含み、これには限定するわけではないが、アミドフィリン(amidephrin)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン(metizolin)、ミドドリン(midodrin)、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン(octodrin)、オルニプレシン(ornipressin)、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を含んでなることができる。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリンを含む。
【0191】
当業者には想定されるように、血管血管収縮薬のコーティング製剤、すなわち本発明の固体の生体適合性コーティングへの添加は、適用部位での血流の低減、および皮膚の部位から全身の循環への吸収速度の低減を介して、微小突出部材またはアレイの適用後に起こり得る出血を防止し、そしてVEGF基剤の薬物動態学を長期化するために特に有用である。
【0192】
使用する場合には血管収縮薬の濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0193】
本発明の別の態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター」を含み、これには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストリンナトリウム、アスピリンおよびEDTA)を含んでなることができる。
【0194】
好ましくはコーティング製剤は、約500センチポイズ未満そして3センチポイズより大きな粘度を有する。
【0195】
本発明の1つの態様では、微小突起表面から測定した時、生体適合性コーティングの厚さは約25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0196】
望ましいコーティング厚は、必要な投薬用量、したがって投薬用量を送達するために必要なコーティング厚、シートの単位面積あたりの微小突起の密度、コーティング組成物の粘度および濃度、および選択したコーティング法を含む幾つかの因子に依存する。
【0197】
本発明に従い、コーティング製剤が微小突起34に適用された後、コーティング製剤は種々の手段により乾燥させることができる。本発明の好適な態様では、被覆された微小突出部材30は室温条件で乾燥される。しかし種々の温度および湿度レベルを使用して、コーティング製剤を微小突起上で乾燥させることができる。さらに被覆された部材は加熱され、凍結乾燥され(lyophilized)、凍結乾燥され(freeze dried)、または類似の技術を使用してコーティングから水を除去することができる。
【0198】
本発明に従い、VEGF基剤はヒドロゲル製剤を介しても送達することができる。言及した態様(1もしくは複数)では、送達系はこのように引用により全部、本明細書に編入する米国特許第6,083,196号および同第6,050,988号明細書、および同時係属中の米国特許出願第10/970,901号、同第10/971,430号、同第10/971,877号および同第10/971,338号明細書に開示されているようなヒドロゲル製剤およびそれを受ける手段(例えばゲルパック)を含む。
【0199】
少なくとも1つの態様では、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つのVEGF基剤を含む。本発明の別の態様では、ヒドロゲル製剤はVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0200】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤が上記のVEGF基剤の1つを含む場合、この作用物質は飽和の過剰で、または飽和未満の濃度で存在することができる。本発明のヒドロゲル製剤中で使用するVEGF基剤は、望ましい結果を達成するために、治療に有効な量のVEGF基剤を送達するために必要な量である。
【0201】
本発明の1つの態様では、VEGF基剤の濃度はヒドロゲル製剤の少なくとも1〜40重量%の範囲である。
【0202】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤がVEGF基剤を含まない場合、VEGF基剤は上記のように微小突出部材上に被覆されるか、または以下に記載するように固体状製剤に含まれることができる。
【0203】
好ましくは本発明のヒドロゲル製剤は水に基づくヒドロゲルである。ヒドロゲルはその高い含水および生体適合性により好適な製剤である。
【0204】
当該技術分野では周知であるように、ヒドロゲルは水に膨潤する高分子ポリマー網である。適切なポリマー網の例には限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチル−メチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチル−セルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含む。最も好適なポリマー物質はセルロース誘導体である。言及したポリマーは異なる平均分子量を与え、したがって異なる流動特性を現す種々の等級で得ることができる。
【0205】
好ましくはポリマー性物質の濃度はヒドロゲル製剤の約0.5〜40重量%の範囲である。
【0206】
本発明のヒドロゲル製剤は、製剤が製剤と微小突出部材と皮膚、および場合により固体状製剤との間に最適な接触を確立するために重要な十分な湿潤性を現すことを確実とするために、十分な表面活性を有することが好ましい。
【0207】
本発明に従い、十分な湿潤性は表面活性剤または両親媒性を有するポリマーのような少なくとも1つの湿潤剤をヒドロゲル製剤に包含させることにより達成される。また場合により湿潤剤は固体状製剤に包含され得る。
【0208】
本発明に従い、表面活性剤は両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。適切な表面活性剤の例には、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシル
トリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含んでなることができる。最も好適な表面活性剤にはTween20、Tween80およびSDSがある。
【0209】
両親媒性を有する適当なポリマー性物質またはポリマーには、限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチル−メチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを含む。
【0210】
好ましくは表面活性剤の濃度は、ヒドロゲル製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。両親媒性を現すポリマーの濃度は好ましくは約0.5〜40重量%の範囲である。
【0211】
当業者には想定されるように、言及した浸潤剤は別個に、または組み合わせて使用することができる。
【0212】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つの上記経路開通性モジュレーターを含むことができる。
【0213】
ヒドロゲル製剤はさらに少なくとも1つの上記血管収縮薬を含むことができる。
【0214】
本発明のヒドロゲル製剤は十分な粘度を現すので、製剤はゲルパックに含まれることができ、適用工程中にその完全性を維持し、そして十分に流動性であるので、微小突出部材の開口を通り、そして皮膚経路に流れることができる。
【0215】
ニュートン特性(Newtonian property)を現すヒドロゲル製剤に関して、ヒドロゲル製剤の粘度は25℃で測定した時に約2〜30ポイズ(P)の範囲であることが好ましい。剪断減粘性ヒドロゲル製剤に関しては、25℃で測定した時の粘度は667/sおよび2667/sでの剪断速度でそれぞれ1.5〜30Pの範囲または0.1および10Pであることが好ましい。ダイラタント製剤に関しては、25℃で測定した時の粘度は667/sでの剪断速度で約1.5〜30Pの範囲であることが好ましい。
【0216】
本発明に従い、VEGF基剤は固体状製剤に含まれることもできる。1つの態様では、固体状製剤は、同様に引用により全部、本明細書に編入する国際公開第98/28037号パンフレットに開示されているような固体フィルムである。別の態様では、固体状製剤は以下に記載する粉末製剤である。言及した固体状製剤は、同時係属中の米国特許出願第10/970,901号明細書(これは引用により本明細書に編入する)に開示されているような微小突起アレイの皮膚側に、またはアレイの上面に配置するように適合させることができる。
【0217】
言及した同時係属出願に詳細に検討されているように、固体フィルムを含んでなる固体状製剤は、典型的にはVEGF製剤、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)またはプルロニックのようなポリマー性物質、グリセロール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween20またはTween80のような表面活性剤、および水、イソプロパノールまたはエタノールのような揮発性溶媒を含んでなる液体製剤を流延することにより作成される。流延、そして続いて溶媒の蒸発後、固体フィルムが生成される。
【0218】
1つの態様では、固体フィルムを生成するために使用する液体製剤は、0.1〜20重量%のVEGF基剤、5〜40重量%のポリマー、5〜40重量%の可塑剤、0〜2重量%の表面活性剤、および揮発性溶媒を含んでなるバランスを含んでなる。
【0219】
言及したように本発明の他の態様では、固体状製剤は粉末またはケーキ製剤である。適切な製剤は噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出法により達成される。本発明に従い、これらの方法はVEGF基剤の経皮的送達前にヒドロゲル製剤により再構成される高ペイロード粉末またはケーキ固体状製剤を形成する。好ましくは粉末製剤は再構成を促進し、そして患者のコンプライアンスを向上するために、比較的高い多孔性を有するように適合される。
【0220】
言及した粉末およびケーキ製剤の作成法は高度に効率的であり、典型的には約85%の収率を有する。さらにこの方法はTgを抑え、したがって使用期限を縮める恐れがある可塑剤の使用を必要としない。好ましくは言及した方法において乾燥または超臨界流体抽出にかける製剤は、VEGF基剤の保護を助けるために、サッカリドまたは糖アルコールのような炭水化物も含んでなる。また好ましくは製剤はメチオニンのような酸化防止剤を含む。
【0221】
噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出法は、粒子サイズおよび分布、粒子形状および形態について良好な制御を提供する。また言及した技法は当該技術分野でも知られている。例えば噴霧凍結乾燥法は、わずか300mgのバッチサイズを高収率で生産できるような、高付加価値な薬剤に理想的である。言及した方法は、好ましくは約15分で、そしてより好ましくは約1分で再構成することができる固体状製剤の生産を可能とする。
【0222】
想定できるように、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出法は上で検討した微小突起系に容易に包含されるケーキ形を生成する。あるいはこの方法は粉末形を生成し、これはさらに処理されてケーキを形成する。別の態様では、粉末形はヒドロゲルと連絡するように適合された容器内に保持される。好ましくはそのような態様には、再構成が望まれるまで、ヒドロゲルから粉末形を分離するための剥離可能な放出ライナーを含む。
【0223】
本発明の1つの態様では、適切な噴霧凍結乾燥法には一般にVEGF基剤を含有する霧状とした液体製剤を液体窒素に暴露することが含まれる。低温下で、霧状にした液滴はミリ秒の時間規模で凍結する。この凍結法は大変微細な氷の結晶を生じ、これが続いて凍結乾燥される。言及した技法は高い粒子内の孔質性を有する粉末を生じ、水性媒質中で迅速な再構成を可能とする。
【0224】
本発明の別の態様では、適切な超臨界流体法には一般にVEGF基剤の液体製剤をその臨界温度および圧力よりも上で維持する溶媒中で結晶化することを含む。結晶化法の条件の制御は、所望の粒子サイズおよび分布、粒子形および形態を有するVEGF基剤粉末の生産を可能とする。
【0225】
好ましくは固体状製剤を生成するために生産する液体製剤のpHは約pH5.5未満またはpH7.0より上である。より好ましくは固体状製剤を生産するために使用する製剤のpHは、約pH2〜pH5.5またはpH7.0〜pH11の範囲である。さにらに一
層好ましくは固体状製剤を生産するために使用する液体製剤のpHは、約pH2.5〜pH5.5またはpH7.0〜pH10.5の範囲である。
【0226】
別の態様では、固体状製剤は安定化剤を含み、これには限定するわけではないが非還元糖、多糖または還元糖を含んでなることができる。
【0227】
適当な非還元糖には、例えばシュクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースを含む。
【0228】
適当な多糖には、例えばデキストラン、可溶性澱粉、デキストリンおよびインスリンを含む。
【0229】
適当な還元糖には、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジキトキソース、フコース、クェルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトース等のような単糖;およびプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノース等のような二糖を含む。
【0230】
本発明に従い、固体状製剤は少なくとも1つの前記の経路開通性モジュレーター、血管収縮薬またはバッファーを含むことができる。
【0231】
本発明の1つの態様によれば、患者にVEGF基剤を送達する方法には以下の工程を含む:(i)微小突出部材を有する送達系を準備し、微小突出部材は複数の微小突起および少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含み、(ii)被覆された微小突出部材を患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が皮膚を穿刺し、そして作用物質を含有するコーティングが体液により溶解され、そして皮膚中に放出される。
【0232】
被覆された微小突出部材は好ましくは患者の皮膚に5秒〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0233】
本発明のさらなる態様によれば、VEGF基剤を患者に送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーを該患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し、そしてこれにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0234】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは皮膚から取り除かれる。
【0235】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コーティングを含む。
【0236】
好ましくは被覆された微小突出部材−ゲルパックアッセンブリー(作用物質を含有するヒドロゲル製剤を含む)は、患者の皮膚に5秒〜24時間の間、適用されたままである。
【0237】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コー
ティングを含み、そしてヒドロゲル製剤はVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0238】
好ましくは被覆された微小突出部材−ゲルパックアッセンブリー(作用物質を含有するヒドロゲル製剤を含む)は、患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。
【0239】
本発明のさらなる態様によれば、VEGF基剤を患者に送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材を該患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し;そして(iii)ゲルパックを適用した微小突出部材の上に置き、これにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0240】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは皮膚から取り除かれる。
【0241】
言及した態様のさらなる観点では、微小突出部材は作用物質を含有する生体適合性コーティングを含み、そしてヒドロゲル製剤はVEGF基剤を含まず、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0242】
本発明の別の態様によれば、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含むゲルパックを有する送達系を準備し、(ii)微小突出部材を患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、そして複数のマイクロスリットを角質に形成し;(iii)患者の皮膚から微小突出部材を取り除き;そして(iv)ゲルパックを前処理した皮膚の上に置き、これにより作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成されたマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0243】
ゲルパックは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、ゲルパックは皮膚から取り除かれる。
【0244】
本発明のさらに別の態様では、VEGF基剤を含有する生体適合性コーティングを有する微小突出部材が患者の皮膚に適用され、次いでVEGF基剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックが適用された微小突出部材の上に置かれ、これにより作用物質を含有するコーティングが体液により溶解され、そして皮膚中に放出され、そして作用物質を含有するヒドロゲル製剤が微小突起により形成された角質のマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0245】
微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材およびゲルパックは取り除かれる。
【0246】
本発明のさらなる態様では、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)微小突出部材、ヒドロゲル製剤および少なくとも1つのVEGF基剤を有する固体状製剤を有する微小突起アッセンブリーを準備し、そして(ii)微小突起アッセンブリーを患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し、ヒドロゲル製剤が水和し、そして固体状製剤から作用物質を放出し、そして作用物質が微小突起により形成された角質中のマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0247】
微小突出部材は好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0248】
本発明のさらなる態様では、VEGF基剤を送達する方法は以下の工程を含む:(i)
微小突出部材、および少なくとも1つのVEGF基剤を有する固体状製剤を有する微小突起アッセンブリーを準備し;(ii)ヒドロゲル製剤を有するゲルパックを準備し;(iii)該微小突起アッセンブリーを患者の皮膚に適用し、これにより微小突起が角質を穿刺し;そして(iv)ゲルパックを適用した微小突起アッセンブリー上に置き、これによりヒドロゲル製剤がゲルパックから放出され、そして固体状製剤に含まれる作用物質を放出し、そして作用物質およびヒドロゲル製剤が微小突起により形成された角質層中のマイクロスリット中に、そこを通って移動する。
【0249】
微小突出部材が好ましくは患者の皮膚に5分〜24時間の間、適用されたままである。所望の装着時間の後、微小突出部材は皮膚から取り除かれる。
【0250】
好ましくは本明細書で使用する微小突出部材およびアッセンブリー、および微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーは、患者の皮膚に作動器を介して適用される。
【0251】
好ましくは、上記の方法を介して皮膚内に送達されるVEGF基剤の用量は、投薬用量単位あたり約1〜500μgの範囲、より好ましくは約1〜100μgの範囲、さらに一層好ましくは約1−200μgの範囲である。
【0252】
当業者は皮膚のバリアをわたって薬剤を輸送し易くするために、本発明を種々のイオン導入法または電気輸送(electrotransport)系と一緒に使用することができると考え、本発明はこれに関してどのようにも限定されることはない。具体的な電気輸送薬剤送達系は、米国特許第5,147,296号、同第5,080,646号、同第5,169,382号、および同第5,169,383号明細書に開示され、その開示は引用により全部、本明細書に編入する。
【0253】
用語「電気輸送」は一般に、有益な作用物質、例えば薬剤もしくは薬剤前駆体の、皮膚、粘膜、爪等のような体表を介する通過を称する。作用物質の輸送は電位の適用により誘導または強化され、これは電流の適用を生じ、これが作用物質を輸送し、または輸送を強化し、または「逆」電気輸送については、作用物質をサンプリングするか、またはサンプリングを強化する。作用物質のヒト身体への、またはからの電気輸送は、種々の手段で達成することができる。
【0254】
1つの広く使用された電気輸送法であるイオン導入法には、荷電したイオンの電気的に誘導された輸送が関与する。電気浸透法(electroosmosis)は、非荷電の、または中性に荷電された分子の経皮的輸送が含まれる(例えばグルコースの経皮的サンプリング)別の種類の電気輸送法であるが、作用物質を含む溶媒の電場の影響下での膜を介した移動が関与する。
【0255】
「電気穿孔」はさらに別の種類の電気輸送であるが、電気的パルス、高電圧パルスを適用することにより形成される孔を介して作用物質の膜への通過が関与する。
【0256】
多くの場合で、1より多くの言及した方法が異なる程度で同時に起こり得る。したがって本明細書での用語「電気輸送」では、作用物質が実際に輸送される具体的なメカニズム(1つもしくは複数)にかかわらず、少なくとも1つの荷電した、または非荷電の作用物質の電気的に誘導される、または強化される輸送を含むと可能な限り広い解釈が与えられる。さらにソノフォレシス(sonophoresis)または圧電性デバイスのような他の輸送強化法も本発明と一緒に使用することができる。
【実施例】
【0257】
以下の実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、そして実施することができるように与えられる。それらは本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、単にその代表として具体的に説明されるものである。
【0258】
VEGF製剤
以下の実験は適切な分析法を開発し、そして経皮的送達微小突起アレイを被覆するために適合したVEGF基剤の安定性を示すために行った。110mL容量のVEGF(サイオス(Scios)ロット#8331:058再処理#1)をサイオスから得た。この溶液の100mL(@1.82mgVEGF/mL)を3:1の重量比のシュクロース対VEGFに配合し、そしてVirtisマニフォールド型の凍結乾燥機で、各々25mLの液体製剤を含有する4本の50mL遠心管で凍結乾燥した。凍結乾燥後、各粉末を2mLのWFIで再構成し、合わせ、そして10,000MWCO透析カセットに装填した。濃縮物を2mMクエン酸バッファー(pH4.6)に対して、1リットルにて2回、2〜8℃で少なくとも12時間/交換で透析した。透析後、21mLの残留物(retentate)をカセットから回収し、そして8.7mg/mLの出発濃度に基づくタンパク質含量についてUV−Visで分析した。入れた原材料および回収した残留物のUV含量分析は、96%のVEGFペプチドが最初の凍結乾燥および透析処理工程後に回収されたことを示した。
【0259】
次いで透析残留物を3:1の重量比のシュクロース:VEGFに再配合し、そしてVirtis凍結乾燥機で凍結乾燥した。約722mgの凍結乾燥粉末が回収され、そしてHPLCにより分析され、その結果を表1に示す。
【0260】
【表1】

【0261】
製剤特性
凍結乾燥粉末の約半分(332mg)を400μLのWFI+0.125%ポリソルベート20で再構成して、計算された110mg/mLのVEGF濃度、330mg/mLシュクロースおよび0.13%ポリソルベート20を含む〜750μLのコーティング溶液を生成した。粉末は完全に再構成され、目に見える沈殿または凝集物/小繊維の形成は無かった。このコーティング溶液のサンプルをBohlinC−VORコーンおよびペルティエクーラーおよび1゜コーンを具備した平板粘度計で分析した。
【0262】
70μLサンプルの粘度は、400l/sの剪断速度での温度の関数として、およびまた5℃および400l/sの剪断速度で時間の関数として測定して、一定の剪断でのコーティング溶液の安定性およびこの製剤に関して剪断下でのゲル化に対する傾向の存在を決定した。温度アッセイはコーティング製剤の粘度が温度低下の関数としてわずかに上がることを示した。これは他のペプチドコーティング溶液の以前の観察と一致する。
【0263】
1℃の典型的なコーティング温度で生じた60cPの粘度は、微小突起アレイに関して
十分に許容できるコーティング性(coatability)パラメーター内にある。時間アッセイは、このコーティング溶液が一定の剪断下で2時間後にゲル化する傾向が無いことを示した。粘度のわずかな上昇および低下は、制御されていない部屋周辺の湿度によるサンプル台上の水の凝縮/蒸発により、実験過程にわたり変動した溶液濃度および希釈を最も示すと思われる。
【0264】
この製剤に関する剪断速度の関数としての粘度プロファイルも5℃で評価した。溶液の粘度は一般に剪断速度の上昇には非感受性であり、そして剪断速度の関数として溶液の剪断応力は直線上になり(R2=0.9839)、これはニュートン流体挙動を示した。
【0265】
VEGFコーティング溶液の接触角は、Tantec接触角メーターを用いてチタン基面で測定した。当業者は接触角が大きすぎると、例えば70゜より大きいと、チタンチップの良好な湿潤を可能とせず、そして製剤を「非コート性」とすることを認識している。同様に、接触角が小さすぎると、例えば30゜未満、溶液がぬれすぎるようになる。溶液に浸漬した後に大変少ないコーティング溶液が各コーティングの通過後のチップ上に残るか、またはチップが微小突起の穿刺部(shaft)に沿って深くねれすぎると、アレイの基盤に対して製剤の望ましくない移動を導く。0.13%のポリソルベート20を含む110mg/mLのVEGFに関する接触角は約54゜であり、この値は他のペプチド剤を被覆した微小突起アレイについて観察される十分なコーティング可能範囲内であった。
【0266】
コーティング性(coating feasibility)
製剤のコーティング効力を示すために、700μLの110mg/mLVEGFコーティング溶液をコーティングリザーバーに入れた。Delrin側プレート、およびリザーバーのドクターブレードとドラムの間に約100μmのギャップを有する0.621”ステンレス鋼ドラムを有するリザーバーを用いて、上記のようなロール塗布技術を使用した。リザーバーはペルティエクーラー台を使用して−1.0℃の温度に冷却し、ドラム表面上のフィルム温度を3から4℃の間にした。
【0267】
ドラムは50rpmの速度で回転させ、そして微小突起アレイのストリップ(Macroflux(商標)MF1035 2cmアレイ、225μmの公称チップ突出長、カリフォルニア州、マウンテンビューのアルザ社(Alza corp.)から入手可能)を、250μmのスレッド高(sled heigh)(225μmチップ+25μmホイル裏材)を使用して被覆した。微小突起アレイのストリップは、被覆した量のプロファイルを作成し、そしてコーティング法自体の実行性を決定するために、6、8、10、12および14回のコーティングに通して被覆した。被覆されたストリップは走査型電子顕微鏡(SEM)、およびVEGF含量については以下に記載する逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)含量アッセイを使用してRP−HPLCで分析した。
【0268】
SEM像は、製剤により形成されたコーティングが微小突起アレイを通して均一で滑らかなチップ−被覆形態を有することを示した。さらにこのコーティング製剤の粘度および接触角は、像がコーティングが微小突起の穿刺部のかなり下までぬらさないことを示したので、許容され得るものであった。RP含量アッセイはコーティングに通す毎のコーティング量が6〜14回の通過領域で良好な直線性を有し、最初の6回の被覆を越えた各通過で約10μgのVEGFが加えられた。
【0269】
分析法の開発
種々のインビトロおよびインビボの臨床前送達実験を支持するために、高感度RP−HPLC法を開発して、パッチ残存に関する低濃度アッセイおよび低濃度の皮膚塗布(skin swab)サンプルに適用させた。注入されるサンプルは、大きい口径のカラムよりも小さく狭い口径の分析カラムの方が分離中に希釈される程度が低いので、改善された
RPプロトコールでは小さく狭い口径の分析カラムを使用する。狭い口径のカラムに最適な移動相勾配も採用した。すなわちこの改善された方法を使用したシグナル対ノイズ比は上昇し、45μgのVEGF/アレイ以上のVEGFコーティング量の分析を可能とする。通例のアッセイには100μgのVEGF/アレイを必要とする。具体的には、Agilent Zorbax 2.1×150mm、C3および5μmのナローボアカラムを使用して、RPに関する定量の限界は、他の方法で必要とされる1.8μgに比べて0.36μgまで減少できた。
【0270】
コーティング溶液のサンプルは1時間のコーティング法の後に、ペプチドの純度についてはこのRPアッセイにより、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)およびイオン交換クロマトグラフィー(IEC)により測定した。これらの結果をVEGFの対照サンプル、再凍結乾燥粉末および被覆したアレイの抽出物と比較した。データは上記のように表1で再生した。RPおよびIECアッセイは、ペプチドが製剤前、コーティングまたは最終的な抽出法の間にいかなる化学的分解の様子も示さなかった。SEC結果は、特にコーティング後溶液(post−coating)中の処理した物質にわずかに高い二量体含量の可能性を示す。しかしさらなる凝集がコーティング工程中に、または分析前のサンプルの保存中に起こったのかどうかは不明である。
【0271】
コーティング安定性
上記のように80μgのVEGFで被覆したアレイを、5cmの接着パッチ、保持環と集成し、そして3.5gの4Åモレキュラーシーブ乾燥剤と一緒に窒素でパージした箔パウチに包装し、そして高温(40℃)で保存して安定性および主要な分解経過を決定した。応力をかけたサンプルはT=0、1週、2週および1カ月に引っ張り、そしてRP−HPLC、アニオン−交換クロマトグラフィー(AEC)およびSECによりアッセイした。これらの系に関する安定性のデータを表2にまとめる。保存時点で作成したデータは、ゼロ時間で分析したサンプルおよび薬剤物質参照標準と比較することができる。これらの結果は、VEGF基剤で被覆した微小突起アレイが、たとえ40℃の高温でも経時的に良好な化学的安定性を示す。
【0272】
【表2】

【0273】
被覆したアレイによるVEGF送達
薬剤送達の実行性を試験するために、種々の被覆したアレイパッチを体毛が無いモルモ
ット(HGP)に適用した。具体的には臨床前実験を行い、24μg、42μgおよび80μgのVEGFを用いて上記のように被覆した微小突起アレイに関する薬剤送達の耐容効力を、0.29Jの力のアプリケーターを使用して評価した。アレイに残る薬剤の量を測定するために、残存アッセイはHGPに適用し、そして取り出したアレイについて行った。これらの残存量は表3で対照と比較し、すなわち送達量を示す。関連する紅斑/浮腫の採点と一緒に、この実験はほとんどの被覆したVEGFが微小突起からHGPの皮膚に有為な局所反応無しに送達されたことを示した。
【0274】
【表3】

【0275】
まとめると、上記の実施例は10mg/mLに濃縮され、クエン酸含量を減らすために透析され、3:1のシュクロース:VEGF基剤に凍結乾燥され、そして0.125%のポリソルベート20で再構成されたVEGF基剤が、微小突起チップコーティング法に許容できる粘度および接触角を持つ0.75mLのコーティング溶液を生成することができることを示す。この製剤は、約20μg〜90μgの範囲のVEGF量でVEGFを用いて微小突起アレイを被覆するために成功裏に使用することができる。試験では被覆されたVEGFが元のAPI溶液と同様の純度およびRP−HPLCプロファイルを有することが示された。さらにHPLC試験では(IC、SEC)、APIの純度が配合、コーティングおよび高温での保存中に完全なままであると決定された。さらに被覆されたアレイは約5〜200μgのVEGF/mLの範囲で良好な直線性を有することが決定された。
【0276】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な用途および条件に本発明を適合させるために種々の変更および修飾を作成することができる。そのままこれらの変更および修飾は正しく、公正であり、そして添付する特許請求の範囲と均等な範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0277】
さらなる特徴および利点は、添付する図面(ここで同じ符号は一般に図面を通して同じ部分または要素を指す)で具体的に説明されるように、以下から、および本発明の好適な態様の詳細な説明から明らかになるだろう。
【図1】微小突出部材の1例の部分の透視図である。
【図2】本発明による微小突起上に配置されたコーティングを有する図1に示す微小突出部材の透視図である。
【図3】接着裏材を有する微小突出部材の側断面図である。
【図4】中に配置された微小突出部材を有する保持器の側断面図である。
【図5】図4に示す保持器の透視図である。
【図6】アプリケーターおよび保持器の拡大透視図である。
【図7】VEGF基剤に関する荷電プロファイルを具体的に説明するグラフである。
【図8−9】VEGF基剤の正味の荷電種のモル比率を具体的に説明するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達するデバイスであって;
患者の角質層を穿刺するために適合された複数の微小突起を有する微小突出部材;および
上記微小突出部材上に配置された生体適合性コーティングであって、その上に配置された少なくとも1つのVEGF基剤を有するコーティング製剤から形成されている該コーティング、
を含んでなる上記デバイス。
【請求項2】
上記コーティングが上記複数の微小突起の少なくとも1つに配置されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
上記コーティング製剤が水性製剤を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
上記コーティング製剤が非水性製剤を含んでなる請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
上記VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
上記VEGF121塩が酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩からなる群から選択される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
上記VEGF基剤が上記コーティング製剤の約1〜30重量%の範囲を構成する請求1に記載のデバイス。
【請求項8】
上記VEGF基剤が上記生体適合性コーティングの1μg〜1000μgの範囲を構成する請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
上記コーティング製剤のpHが約pH5.5未満である請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
上記コーティング製剤のpHが約pH7.0より上である請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
上記コーティング製剤が少なくとも1つの低揮発性対イオンを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
上記コーティング製剤が複数の対イオンを含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
上記VEGF基剤が上記コーティング製剤のpHで正電荷を有し、そして該コーティング製剤が少なくとも1つの酸性対イオンを含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
上記複数の対イオンの少なくとも1つが第1の弱酸を含んでなり、そして該複数の対イオンの少なくとも1つが第2の非揮発性弱酸を含んでなる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
上記複数の対イオンの少なくとも1つが高揮発性を有する第2の弱酸を含んでなる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
上記VEGF基剤が上記コーティング製剤のpHで負電荷を有し、そして該コーティング製剤が塩基を含んでなる少なくとも第2対イオンを含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項17】
上記複数の対イオンの少なくとも1つが第1の強塩基を含んでなり、そして該複数の対イオンの少なくとも1つが第2の弱塩基を含んでなる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項18】
上記複数の対イオンの少なくとも1つが第2の強塩基を含んでなり、そして該複数の対イオンの少なくとも1つが第3の弱塩基を含んでなる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項19】
上記コーティング製剤中に存在する上記低揮発性対イオンの量が、上記VEGF基剤の電荷を中和するために十分である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項20】
上記VEGF基剤がVEGF121を含んでなり、そして上記コーティング製剤が少なくとも1つの粘性強化対イオンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
上記コーティング製剤が約3〜500センチポイズの範囲の粘度を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
上記生体適合性コーティングの厚さが約25ミクロン未満である請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する送達系であって;
患者の角質層を穿刺するために適合された複数の微小突起を有する微小突出部材;および
少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤であって、該微小突出部材と連絡している該ヒドロゲル製剤、
を含んでなる上記送達系。
【請求項24】
上記VEGF基剤が上記ヒドロゲル製剤の約1〜40重量%の範囲を構成する請求23に記載の送達系。
【請求項25】
上記VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項23に記載の送達系。
【請求項26】
上記ヒドロゲル製剤が高分子ポリマー網を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる請求項23に記載の送達系。
【請求項27】
上記ヒドロゲル製剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、ポリソルベート、ソルビタン誘導体、およびアルコキシル化アルコールからなる群から選択される少なくとも1つの表面活性剤を含む請求項23に記載の送達系。
【請求項28】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する送達系であって;
患者の角質層を穿刺するために適合された複数の微小突起を有する微小突出部材;
該微小突出部材の直近に配置された固体状製剤;および
ヒドロゲル製剤であって、該固体状製剤と連絡している該ヒドロゲル製剤、
を含んでなる上記の送達系。
【請求項29】
上記VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項28に記載の送達系。
【請求項30】
上記固体状製剤が、少なくとも1つのVEGF基剤、ポリマー性物質、可塑剤、表面活性剤および揮発性溶媒を含んでなる液体製剤を流延することにより作成される固体フィルムである、請求項28に記載の送達系。
【請求項31】
上記固体状製剤が、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出からなる群から選択される方法により形成される、請求項28に記載の送達系。
【請求項32】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
複数の微小突起を有する微小突出部材を準備し、該微小突出部材はその上に配置されたコーティングを有し、該コーティングは少なくとも1つのVEGF基剤を含み;
該微小突出部材を該患者の皮膚部位に適用し、これにより該複数の微小突起が角質を穿刺し、そして該VEGF基剤を該患者に送達し;そして
該微小突出部材を該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記の送達方法。
【請求項33】
上記微小突出部材が上記皮膚部位に5秒〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
上記VEGF基剤が上記生体適合性コーティングの約1μg〜1000μgの範囲を構成する請求項32に記載の方法。
【請求項35】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
微小突出部材およびゲルパックを有する微小突起アッセンブリーを準備し、該微小突出部材は複数の微小突起を含み、該ゲルパックは少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含み;
該微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーを該患者の皮膚部位に適用し、これにより複数のマイクロスリットが患者の角質に形成され、そしてこれにより該ヒドロゲル製剤が該ゲルパックから放出され、そして該微小突起により形成された該マイクロスリット中に、そこを通って移動し;そして
該微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーを該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記の送達方法。
【請求項36】
上記微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーが上記皮膚部位に5分〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項35に記載の方法。
【請求項37】
上記微小突出部材が少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
上記微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーが上記皮膚部位に5秒〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項35に記載の方法。
【請求項39】
VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165
、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
ヒドロゲル製剤がVEGF基剤を含まない請求項35に記載の方法。
【請求項41】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
微小突出部材およびゲルパックを有する微小突起アッセンブリーを準備し、該微小突出部材は複数の微小突起を含み、該ゲルパックは少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含み;
該微小突出部材を該患者の皮膚部位に適用し、これにより複数のマイクロスリットが患者の角質に形成され;
該ゲルパックを該微小突出部材の上に置き、これにより該ヒドロゲル製剤が該ゲルパックから放出され、そして該微小突起により形成された該マイクロスリット中に、そこを通って移動し;そして
該微小突出部材を該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記の送達方法。
【請求項42】
上記ゲルパックが放出ライナーを含み、該方法が該ゲルパックを該微小突出部材上に置く前に該放出ライナーを取り除く工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
上記微小突出部材−ゲルパックアッセンブリーが上記皮膚部位に5分〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項41に記載の方法。
【請求項44】
上記微小突出部材が少なくとも1つのVEGF基剤を有する生体適合性コーティングを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
上記VEGF基剤が上記ヒドロゲル製剤の約0.1〜2重量%の範囲を構成する、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
微小突出部材およびゲルパックを有する微小突起アッセンブリーを準備し、該微小突出部材は複数の微小突起を含み、該ゲルパックは少なくとも1つのVEGF基剤を有するヒドロゲル製剤を含み;
該微小突出部材を該患者の皮膚部位に適用し、これにより複数のマイクロスリットが患者の角質に形成され;
該微小突出部材を皮膚部位から取り除き;
該ゲルパックを該処理した皮膚部位上に置き、これにより該ヒドロゲル製剤が該ゲルパックから放出され、そして該微小突起により形成された該マイクロスリット中に、そこを通って移動し;そして
該ゲルパックを該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記送達方法。
【請求項48】
上記ゲルパックが上記前処理した皮膚部位に5分〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項47に記載の方法。
【請求項49】
VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165
、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
微小突出部材、ゲルパックおよび固体状製剤を有する微小突起アッセンブリーを準備し、該微小突出部材は複数の微小突起を含み、該ゲルパックはヒドロゲル製剤を含み、そして該固体状製剤は該微小突出部材の直近に配置され、そして少なくとも1つのVEGF基剤を含み;
該微小突起アッセンブリーを該患者の皮膚部位に適用し、これにより複数のマイクロスリットが患者の角質に形成され、そしてこれにより該ヒドロゲル製剤が該ゲルパックから放出され、そして該固体状製剤に含まれる該作用物質を放出し、そして該作用物質およびヒドロゲル製剤が該微小突起により形成された該マイクロスリット中に、そこを通って移動し;そして
該微小突起アッセンブリーを該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記送達方法。
【請求項51】
上記微小突起アッセンブリーが上記皮膚部位に5分〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項50に記載の方法。
【請求項52】
上記VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
VEGF基剤を患者に経皮的に送達する方法あって;
微小突出部材およびゲルパックを有する微小突起アッセンブリーを準備し、該微小突出部材は複数の微小突起を含み、該固体状製剤は該微小突出部材の直近に配置され、そして少なくとも1つのVEGF基剤を含み;
ヒドロゲル製剤を有するゲルパックを準備し;
該微小突起アッセンブリーを該患者の皮膚部位に適用し、これにより複数のマイクロスリットが患者の角質に形成され;
該ゲルパックを微小突起アッセンブリー上に置き、これにより該ヒドロゲル製剤が該ゲルパックから放出され、そして該固体状製剤に含まれる該作用物質を放出し、そして該作用物質およびヒドロゲル製剤が該微小突起により形成された該マイクロスリット中に、そこを通って移動し;そして
該微小突起アッセンブリーを該皮膚部位から取り除く、
工程を含んでなる上記送達方法。
【請求項54】
上記ゲルパックが放出ライナーを含み、そして該方法が該ゲルパックを該微小突起アッセンブリー上に置く前に該放出ライナーを取り除く工程を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
上記微小突起アッセンブリー−ゲルパックが上記皮膚部位に5分〜24時間の範囲の期間、適用されたままである請求項53に記載の方法。
【請求項56】
上記VEGF基剤が、VEGF206、VEGF189、VEGF183、VEGF165、VEGF148、VEGF145およびVEGF121のアイソフォーム、およびそれらの塩および単純な誘導体からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−510520(P2008−510520A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528029(P2007−528029)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/029478
【国際公開番号】WO2006/023684
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】