説明

血管収縮組成物および使用方法

本発明は概して、反動的充血の発生率が低い状態で血管収縮を誘発させるための、局所的およびエアロゾル化した組成物に関する。この組成物は、高度選択的α−2アドレナリン受容体作動薬を、0.05重量/体積%未満などの低濃度で含む。この組成物は、好ましくはブリモニジンを含む。この組成物は、好ましくは約5.5と約6.5の間のpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
微小血管、特に細動脈、毛細血管および細静脈の拡張は、Lasik手術後の表面出血および充血、眼の発赤(結膜充血)および鼻の充血(血管拡張に付随する鼻甲介粘膜腫脹)を含めた、多くの臨床上望ましくない事象を引き起こす。
【0002】
アドレナリン受容体は、カテコールアミン、ノルエフィネフリンおよびエピネフリンに対する生理学的反応を媒介し、7回膜貫通ドメインを有するGタンパク質結合受容体のスーパーファミリーのメンバーである。α−1、α−2およびβ−アドレナリン受容体タイプに薬理学的に分類されるこれらの受容体は、心臓血管および中枢神経系の機能を含めた多様な生理学的機能に関与する。α−アドレナリン受容体は、興奮性および抑制性機能を媒介し、α−1アドレナリン受容体は、典型的には、効果器における応答を通常媒介する興奮性シナプス後受容体であり、一方、α−2アドレナリン受容体は、シナプス後的に並びにシナプス前的に位置付けられており、これらは神経伝達物質の放出を阻害する。α−2アドレナリン受容体の作動薬は現在、高血圧症、緑内障、痙縮および注意欠陥障害の治療において、オピエート退薬症状の抑制において、全身麻酔の補助剤としておよび癌性疼痛の治療において、臨床的に使用されている。血管収縮は、α−アドレナリン受容体によって媒介されることが知られている。
【0003】
α−アドレナリン受容体は、これらの薬理学的および分子特性解析に基づいて、3つのサブタイプ、α−2A/D(ヒトにおけるα−2Aおよびラットにおけるα−2D)、α−2Bおよびα−2Cに、現在分類されている(Bylundら、Pharmacol.Rev.46:121−136頁(1994年)およびHeinおよびKobilka、Neuropharmacol.34:357−366頁(1995年))。α−2A、a−2Bおよびa−2Cサブタイプは、一部の血管床において動脈および/または細静脈収縮を調節するように見え、α−2Aおよびα−2Cサブタイプは、交感神経末端からのノルエピネフリン放出のフィードバック阻害を媒介する。α−2Aサブタイプは、α−2アドレナリン作動薬の多くの中枢効果も媒介する(CalzadaおよびArtiZano、Pharmacol.Res.44:195−208頁(2001年)、Heinら、Ann.NY Acad.Science 881:265−271頁(1999年)およびRuffolo(編)、α−Adrenoreceptors:Molecular Biology,Biochemistry and Pharmacology S.Karger Publisher’s Inc.Farmington,Conn.(1991年))。α−2Aサブタイプは、ヒトではなくブタの毛様体動脈の強力な収縮も媒介する。
【0004】
選択的α−2作動薬活性を有する多くの化合物が知られており、これらの化合物には、ブリモニジン(開放隅角緑内障または高眼圧症の患者の眼圧を低下させるのに使用されている。)、グアンファシン(高血圧を制御するのに使用されている。)、デキスメチドミジン(鎮静剤、鎮痛剤、交感神経遮断薬および抗不安薬として使用されている。)およびメチルドーパ(中枢性アドレナリン抗高血圧症薬として使用されている。)が含まれる。
【0005】
臨床上利用可能な化合物は、アドレナリン受容体作動薬の一般カテゴリーに属する。血管収縮を引き起こすことは、ブリモニジンを含めた全てのαアドレナリン受容体作動薬の公知の性質である。しかし、ブリモニジンおよびその他公知のα−2アドレナリン受容体作動薬の、公知の製剤は、臨床使用において、反動的な充血またはその他の副作用の高い発生率を伴う。例えば、αアドレナリン受容体作動薬の公知の製剤を3回程度の少ない回数で服用した後、患者は、2次的な反動的充血または2次的な血管拡張を発症する可能性がある。ブリモニジン(L−酒石酸5−ブロモ−6−(2−イミダゾリジニリデンアミノ)キノキサリン、即ち公知の選択的α2作動薬は、約0.1%から0.2%という緑内障を治療するためのその電流濃度範囲において、著しい反動的充血(原発性または遅発性血管拡張)を伴う。
【0006】
局所粘膜充血除去薬(眼および鼻への適用例)として使用するための、市販されている一般的なα作動薬には、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、メトキサミンおよびフェニレフリンが含まれる。これらの作動薬は、高いα1受容体作動薬活性を有し、反動的充血および薬の副作用を引き起こすことが知られている。したがって、これらの臨床的使用は、通常、最長でも数時間または数日に制限される。ドライアイ、コンタクトレンズの装着、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、急性もしくは慢性副鼻腔炎、鼻ポリープ、妊娠に付随する鼻炎、または鼻中隔偏位もしくは鼻閉塞に起因する鼻炎および喘息、特にアレルギー性喘息などの、慢性状態による粘膜のうっ血または充血がある多くの個体は、より長期の作動薬の使用を要する。
【0007】
本発明者らの知識の限りでは、現在、血流の過剰な減少および炎症性メディエーターのカスケードによって引き起こされた付随性の虚血なしに効果的な血管収縮を誘発させる手段はなく、その結果、反動的充血といった望ましくない続発症および/または薬の副作用、即ち、反動的粘膜うっ血が数週間または数カ月続く可能性がある、潜在的に長期にわたる炎症状態が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Bylundら、Pharmacol.Rev.46:121−136頁(1994年)
【非特許文献2】HeinおよびKobilka、Neuropharmacol.34:357−366頁(1995年)
【非特許文献3】CalzadaおよびArtiZano、Pharmacol.Res.44:195−208頁(2001年)
【非特許文献4】Heinら、Ann.NY Acad.Science 881:265−271頁(1999年)
【非特許文献5】Ruffolo(編)、α−Adrenoreceptors:Molecular Biology,Biochemistry and Pharmacology S.Karger Publisher’s Inc.Farmington,Conn.(1991年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、反動的充血などの副作用が減じられまたは最小限に抑えられた、安全で長期にわたる血管収縮をもたらすことが可能な新しい方法および製剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は概して、血管収縮を誘発させるための組成物および方法に関する。本発明の重要な発見の1つは、充血が著しく減じられた血管収縮を実現するために、高度選択的α−2アドレナリン受容体作動薬を低用量で使用することにある。
【0011】
本発明の所見を適用するのに利用することができる、様々な適用例および剤形がある。例えば、いくつかの適用例には、鼻詰まりの治療、血管収縮の誘発、太い血管よりも細い血管に対する優先的血管収縮の誘発、肺の状態における毛細血管透過性の低下、反動的充血の回復、α−1アドレナリン受容体の活性化の低下、反動的充血の低減によるアレルギー応答の治療および予防のための、方法および組成物が含まれる。
【0012】
本発明は、予防的な理由で、例えば、喘息、上部気道疾患、急性咽頭炎、急性副鼻腔炎、急性気管気管支炎、インフルエンザ、下部気道疾患、急性気管支炎、気管支梢炎および市中肺炎(CAP)を含むがこれらに限定されない状態を予防するための、本発明の組成物および方法の使用も包含する。
【0013】
本発明は、本発明の水性組成物を含む定量ディスペンサにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】様々な濃度でナファゾリン、オキシメタゾリンおよびテトラヒドロゾリンを含む従来技術の組成物の、血管収縮正味臨床有効性のばらつきを示すグラフである。
【図2】低濃度でブリモニジンを含む本発明の組成物の血管収縮臨床有効性のばらつきを示すグラフである。
【図3】本発明の組成物対従来技術の組成物の臨床有効性を示すグラフである。
【図4A】眼状態を有する患者の両眼の、基準となる外観を示す写真である。
【図4B】0.05%でテトラヒドロゾリンを含む従来技術の組成物(右眼)および0.01%でブリモニジンを含む本発明の組成物(左眼)で治療してから180分後の、患者の眼を示す写真である。
【図4C】0.025%でオキシメタゾリンを含む従来技術の組成物(右眼)および0.02%でブリモニジンを含む本発明の組成物(左眼)で治療した後の、基準(図4A)から240分後の患者の眼を示す写真である。
【図4D】0.033%でナファゾリンを含む従来技術の組成物(右眼)および0.02%でブリモニジンを含む本発明の組成物(左眼)で治療した後の、図4Cに示される治療から240分後の患者の眼を示す写真である。
【図4E】0.033%でブリモニジンを含む本発明の組成物で治療した後の、図4Dに示される治療から240分後の患者の左眼を示す写真である。
【図5A】中程度の充血の眼状態を有する患者の、両眼の基準となる外観を示す写真である。
【図5B】VISINE Original(登録商標)(テトラヒドロゾリン0.05%)を含む従来技術の組成物で治療した後の、反動的充血を誘発した患者の右眼の外観と、0.015%でブリモニジンを含む本発明の組成物により同時に治療した後の、患者の左眼の外観を示す写真である。
【図5C】0.015%でブリモニジンを含む本発明の新規な組成物で治療した後の、VISINE Original(登録商標)誘発性反動的充血が退行した患者の右眼の外観と、0.015%でブリモニジンを含む本発明の組成物の追加の1滴で同時に治療した後の、患者の左眼の外観を示す写真である。
【図6】本発明の組成物対従来技術の組成物の臨床有効性を示す、別のグラフである。
【図7】様々な濃度のブリモニジンによる優先的な血管収縮および虚血を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(定義)
本発明のため、以下の用語を下記の通り定義する。
【0016】
「低濃度」という用語は、約0.0001重量/体積%から約0.05重量/体積%の間、より好ましくは約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%、さらにより好ましくは約0.01重量/体積%から約0.025重量/体積%、さらにより好ましくは約0.01重量/体積%から約0.02重量/体積%の濃度を指す。
【0017】
「局所的に投与される」という用語は、α−2アドレナリン受容体に接触することになる部位あたりに、本発明の組成物を投与することを指す。この用語は、本発明の組成物によって治療されることが望まれる領域の空間的位置近辺に施用されない経口投与、静脈注射または経皮パッチを明確に除外する。
【0018】
「ブリモニジン」という用語は、限定するものではないがブリモニジン塩およびその他の誘導体を包含し、特に、限定するものではないが酒石酸ブリモニジン、D−酒石酸5−ブロモ−6−(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)キノキサリン、Alphagan(商標)およびUK14304を含む。
【0019】
「治療する」という用語は、そのような用語が適用される疾患、障害もしくは状態、またはそのような疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行を逆行させ、緩和し、阻害または遅延させることを指す。
【0020】
「予防する」という用語は、そのような用語が適用される疾患、障害もしくは状態、またはそのような疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の可能性を低減するための予防的使用を指す。予防の可能性100%を実現することは、必ずしも必要ではなく、そのような疾患、障害または状態を得る危険性を低減する少なくとも部分的効果を実現することで十分である。
【0021】
「腫脹鼻甲介状態」という用語は、限定するものではないが鼻うっ血除去を含む。
(充血低減による血管収縮)
本発明の一態様は、高度選択的α−2作動薬を低濃度で使用することにより、反動的充血を低減し、最小限に抑え、および/または除去することを可能にし、それと共に臨床上同等なまたはより有効な血管収縮を最適にもたらすという、驚くべきおよび予期せぬ発見を指す。反動的充血は、血管収縮剤を施用した後、またはより典型的には繰り返し施用した後に、しばしば時間のずれと共に生ずる誘発性血管拡張(意図される血管収縮の代わりに)であって、血管(結膜または鼻粘膜における血管など)の怒張、高い毛細血管透過性および漏出性と、ある場合には炎症後遺症(薬の副作用)、即ちα1収縮剤の使用、特に血管収縮剤の慢性的使用にしばしば起因するものを特徴とする誘発性血管拡張を指す。
【0022】
全てではないとしても多くの従来技術の参考文献は、全てのα作動薬による反動的充血に関連しており、反動的充血の合併症は血管収縮に固有のものであると見なされ、血流が減少した場合、一部の炎症カスケードを伴う付随的虚血を引き起こし、多くの場合に反動的充血を誘発し、しばしば薬の副作用をもたらす。
【0023】
これらの教示に反して、驚くべきことに、また予期せぬことに、先に考えられたものよりもはるかに低い低濃度でα−アドレナリン受容体に対して極めて高い選択性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬(本出願全体を通して、同義的に「α−2作動薬」とも呼ばれる。)は、従来技術に比べて反動的充血の発生率が低く、アレルギー性眼瞼炎および濾胞性結膜炎を含めたアレルギー反応の発生率が低い、効果的な血管収縮を誘発できることがわかった。さらに、虚血の発生率は、本発明の組成物および方法の使用を通して著しく低減される。
【0024】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本発明者らは、反動的充血が主にα−1作動薬活性に関連すると考える。したがって、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対してα−2作動薬の結合親和性が十分に高くない限り、十分に高い選択性のα−2作動薬は、付随的な反動的充血による望ましくないα−1受容体刺激を引き起こすことがない。したがって、高度選択的α−2作動薬を使用することにより、α−1作動薬活性を最小限に抑えることが望まれる。
【0025】
したがって、一実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、反動的充血を治療または予防する方法に関する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、水性組成物中の選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度は、緑内障の治療に通常使用される前記作動薬の濃度よりも実質的に低い、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む水性組成物を、その必要がある患者に前記水性組成物を投与することによって疾患または状態の予防または治療に使用することができるという驚くべき知見に関する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、血管収縮を誘発させる組成物に関する。
【0028】
さらに別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2bおよび/またはα−2c受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、血液収縮を誘発させる組成物に関する。
【0029】
さらに、驚くべきことに、また予期せぬことに、約0.05重量/体積%よりも低い濃度で使用される選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、一般的/α1作動薬誘発性充血を逆行させることができ(従来技術の教示から全ての作動薬に関して予期され得る誘発性血管収縮からさらなる虚血を引き起こす代わりに)、それによって、そのような患者に有用な治療が提供され、おそらくはそのような薬物施用による薬の副作用が緩和され、おそらくはα1作動薬とは異なる血管収縮に関する動作のメカニズムが実証されることがわかった(図5A−C)。
【0030】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の結合親和性は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約500倍以上である。
【0031】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間の濃度で存在する。
【0032】
さらに好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、αメチルドーパ、グアンファシン、デキセメジトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0033】
別の好ましい実施形態において、組成物は、ブリモニジンを約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間の濃度で含む。
【0034】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬を含む組成物のpHは、約5.5と約6.5の間である。
【0035】
一実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になり、前記ブリモジニン濃度は約0.01重量/体積%から約0.02重量/体積%の間であり、pHは約5.5と約6.5の間であり、点眼薬として製剤化されている、血管収縮を誘発させる組成物に関する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンおよびカリウムから本質的になり、前記ブリモニジンの濃度は約0.01重量/体積%から約0.02重量/体積%の間であり、pHは約5.5と約6.5の間であり、点眼薬として製剤化されている、血管収縮を誘発させる組成物に関する。
【0037】
最も好ましい実施形態において、カリウムは塩化カリウムの形をとり、その濃度は約0.2重量/体積%から約0.9重量/体積%の間である。
(優先的血管収縮)
一実施形態において、本発明の方法は、動脈や細動脈などの太い血管よりも毛細血管や細静脈などの細い血管に対する優先的血管収縮を誘発させる。これらの方法は、α−2アドレナリン受容体よりもα−1アドレナリン受容体の活性化を低減する。
【0038】
したがって、一実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、眼または肺の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、動脈および/または末梢細動脈よりも毛細血管に対する、太い、近位の高酸素飽和動脈および/または細動脈よりも酸素飽和が少ない毛細血管床および/または細静脈を含む微小血管に対する優先的血管収縮を誘発させる方法に関する。
【0039】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、この方法は、眼に見える表面領域への血流の収縮を可能にし、微小血管系の収縮を最大限にし、それと共により太い細動脈の追加の血管収縮を最小限に抑え、それによって、単位面積当たりの血管収縮利益を最大限にし、虚血の発生を最小限に抑える。これは、水源からスプリンクラーに繋がるホースの接続部ではなくてスプリンクラーヘッドでの水流を減少させることに、ほぼ類似させることができる。したがって、この方法は、うっ血除去活性の化粧品としてのおよび生理学的な最良の利益が得られるように、細動脈収縮を最小限に抑えることによって、全血流を最適化しながら眼に見えるほどの効果的な白色化を実現することが可能である。したがって、本発明の組成物および方法は、細動脈収縮を最小限にした状態で、最大限に微小血管収縮を誘発させることを可能にする。
【0040】
この方法は、様々な眼および肺の状態を治療するのに使用することができる。好ましい実施形態において、肺の状態は、腫脹鼻甲介を伴う可能性がある。さらに、細い血管に対する優先的血管収縮によって、虚血、炎症、薬物性鼻炎および反動的充血を低減することが可能である。
【0041】
本発明は、優先的血管収縮を誘発させるように製剤化されている組成物にも関する。
【0042】
一実施形態において、太い血管よりも細い血管に対する優先的血管収縮を誘発させる組成物は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する。
【0043】
別の好ましい実施形態において、方法は、ブリモニジンを含む組成物を、眼の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間である。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になる組成物を眼の状態を有する患者に対して眼の組織内へ、局所的に投与するステップを含み、前記組成物のpHは約5.5と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物は点眼薬として製剤化されている、太い血管よりも細い血管に対する優先的血管収縮を誘発させるための方法に関する。
【0045】
したがって一実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になり、pHが約5.5と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、点眼薬として製剤化されている、眼の組織内で優先的血管収縮を誘発させるための組成物に関する。
【0046】
一実施形態において、本発明は概して、患者にLasik手術を行ってから約24時間以内に本発明の組成物を投与することに関する。
【0047】
さらに別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2bおよび/またはα−2c受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2作動薬または医薬品として許容されるその塩を、眼または肺の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、太い血管よりも細い血管に対する優先的血管収縮を誘発させるための方法に関する。
(毛細血管透過性の低下)
別の実施形態において、本発明は概して、相当量の別の治療薬なしで、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、その必要がある患者に局所的に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、毛細管透過性を低下させるための方法に関する。
【0048】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.001重量/体積%と約0.05重量/体積%の間の濃度で存在する。
【0049】
この方法は、限定するものではないが呼吸器合胞体ウイルス(RSV)気管支炎を含めた気管支炎を含む、様々な肺状態を治療するのに使用することができる。好ましい実施形態において、肺状態には腫脹鼻甲介を伴う可能性がある。
【0050】
さらに、毛細血管透過性の低下によって、虚血、炎症、薬物性鼻炎および反動的充血を低減することが可能である。
【0051】
本発明は、毛細血管透過性を低下させる組成物にも関する。一実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、毛細血管透過性を低下させる組成物に関する。
【0052】
一実施形態において、毛細血管透過性を低下させるための組成物は、ブリモニジンから本質的になり、前記組成物のpHは約5.0と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物はエアロゾル化された組成物として製剤化されている。
【0053】
別の好ましい実施形態において、方法は、ブリモニジンを含む組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間である。毛細血管透過性の低下は、インフルエンザ、病原菌、喘息、アレルギー性喘息および気道の粘膜浮腫のその他の原因を含めた様々な状態から、気道の気管支粘膜管腔で生じるような、粘膜の腫脹および炎症を低下させるのに活用することができる。
【0054】
毛細血管透過性の低下は、ウイルス性および細菌性の病原菌の拡がりを低減するのにも活用することができ、したがって、限定するものではないがインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染を含めた様々な感染の持続時間および罹患率を潜在的に低下させるのにも活用することができる。
【0055】
さらに、毛細血管透過性の低下によって、虚血、炎症、薬物性鼻炎および反動的充血を低減させ、緩和しまたは減少させることが可能になる。
【0056】
また、毛細血管透過性の低下によって、肺の状態に関連した気道のアレルギー性または炎症性の状態を低減および/または緩和することも可能になり、例えば、細気管支粘膜浮腫およびうっ血を低減させることが可能になる。
【0057】
一実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になる組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記組成物のpHは約3.5と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物はエアロゾル化組成物として製剤化されており、この組成物は患者の鼻腔内に投与される、腫脹鼻甲介を伴う肺の状態で毛細血管透過性を低下させる方法に関する。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になる組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記組成物のpHは約5.0と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物はエアロゾル化組成物として製剤化されており、患者の鼻腔内に投与される、腫脹鼻甲介を伴う肺の状態で毛細血管透過性を低下させる方法に関する。
【0059】
別の実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になる組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記組成物のpHは約5.0と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.05重量/体積%の間であり、より好ましくは約0.001重量/体積%から約0.03重量/体積%の間である、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)気管支炎を治療する方法に関する。
【0060】
別の実施形態において、本発明の方法に適した組成物は、局所施用に適したほぼ同じ濃度範囲で、完全な経口摂取で投与することができる。
(反動的充血の回復)
一実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、現在または先にα−1アドレナリン受容体作動薬の投与を受けた患者に投与するステップを含み、前記第1の選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、反動的充血を回復させる方法に関する。
【0061】
「先に受けた」という用語は、前記患者の反動的充血を引き起こすのに十分最近であったα−1作動薬の投与(例えば、治療)を意味する。
【0062】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.001重量/体積%から約0.035重量/体積%の間の濃度で存在する。
【0063】
別の好ましい実施形態において、反動的充血を回復させる方法はさらに、虚血、炎症およびα−1作動薬の使用に伴う反動的充血を低減する。
【0064】
別の好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間である、ブリモニジンを含む反動的充血を回復させるための組成物に関する。
【0065】
好ましい実施形態において、組成物は緩衝液をさらに含み、前記組成物のpHは約5.5と約6.5の間である。
【0066】
別の好ましい実施形態において、反動的充血を回復させるための組成物は、ブリモニジンから本質的になり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物のpHは約5.5と約6.5の間であり、前記組成物は点眼薬として製剤化されている。
【0067】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンおよび第2のアドレナリン受容体作動薬から本質的になり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、pHは約5.5と約6.5の間であり、点眼薬として製剤化されている、反動的充血を回復させるための組成物に関する。
(α−1受容体の活性化の低減)
別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、眼または肺の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、α−1アドレナリン受容体の活性化を低減する方法に関する。
【0068】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間の濃度で存在する。
【0069】
この方法は、様々な眼および肺の状態を治療するのに使用することができる。好ましい実施形態において、肺の状態は、腫脹鼻甲介(例えば、鼻のうっ血除去)を伴ってもよい。さらに、細い血管に対する優先的血管収縮によって、虚血、炎症、薬物性鼻炎および反動的充血を低減することが可能になる。
【0070】
別の好ましい実施形態において、この方法は、ブリモニジンを含む組成物を、眼の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間である。
【0071】
本発明は、α−1受容体の活性化を低減するように製剤化されている組成物も包含する。
【0072】
一実施形態において、組成物は、ブリモニジンから本質的になり、前記組成物のpHは約5.5と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%と約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物は点眼薬として製剤化されている。
【0073】
好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンから本質的になる組成物を、眼の状態を有する患者に対して眼の組織内に局所投与するステップを含み、前記組成物のpHは約5.5と約6.5の間であり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、前記組成物は点眼薬として製剤化されている、α−1アドレナリン受容体の活性化を低減する方法に関する。
【0074】
一実施形態において、本発明は概して、患者にLasik手術をしてから約24時間以内に本発明の組成物を投与することに関する。
【0075】
別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、鼻のうっ血、眼または肺の状態を有する患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在し、これにより低減されたα−1アドレナリン受容体活性は太い動脈および/または細動脈のα−1誘発性血管収縮に関するED50よりも低い、α−1アドレナリン受容体の活性化を低減する方法に関する。
(選択的α−2アドレナリン受容体作動薬)
本発明の目的に使用してもよい選択的α−2作動薬は、α−2アドレナリン受容体に対して極めて高い選択性を有し、この選択性は、α−1受容体よりもα−2受容体に対して100:1よりも高いその結合親和性(K)によって定義され、より好ましくは500:1、さらにより好ましくは700:1、さらにより好ましくは1000:1またはこれ以上、最も好ましくは1500:1またはこれ以上の結合親和性によって定義されるものである。
【0076】
α−2/α−1機能的選択性を決定するアッセイを設計することは、当業者の範囲内に十分含まれる。非限定的な例として、α−2A受容体の効力、活性またはEC50は、アデニル酸シクラーゼ活性の阻害をアッセイすることによって決定することができる。さらに、アデニル酸シクラーゼ活性の阻害は、ヒトα−2A受容体などのα−2A受容体を安定して発現するPC12細胞において、無制限にアッセイを行うことができる。別の非限定的な例として、α−1A受容体の効力、活性またはEC50は、細胞内カルシウムのアッセイを行うことによって決定することができる。細胞内カルシウムは、ウシα−A1受容体などのα−1A受容体を安定して発現するHEK293細胞において、無制限にアッセイを行うことができる。
【0077】
本発明者が知る限りでは、またいかなる特定の理論またはメカニズムにも拘泥することなく、本発明者は、本発明の目的に特に好ましいアドレナリン受容体作動薬がα−2A受容体とは対照的にα−2Bおよび/またはα−2C受容体に対して高い選択性を有すると考える。
【0078】
一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約100倍以上の結合親和性を有する化合物である。α2/α1が、約500倍未満であるが約100倍超である場合、選択的α−2作動薬の濃度は、好ましくは約0.01%から約0.05%であり、より好ましくは約0.02%から約0.04%である。
【0079】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約500倍以上の結合親和性を有する化合物である。α2/α1が、約800倍未満であるが約500倍超である場合、選択的α−2作動薬の濃度は、好ましくは約0.005%から約0.05%であり、より好ましくは約0.01%から約0.02%である。
【0080】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約700倍以上の結合親和性を有する化合物である。α2/α1が、約1200倍未満であるが約800倍超である場合、選択的α−2作動薬の濃度は、好ましくは約0.001%から約0.025%であり、より好ましくは約0.005%から約0.01%である。
【0081】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約1000倍以上の結合親和性を有する化合物である。α2/α1が、約2000倍未満であるが約1200倍超である場合、選択的α−2作動薬の濃度は、好ましくは約0.0005%から約0.01%であり、より好ましくは約0.0025%から約0.005%である。
【0082】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約1500倍以上の結合親和性を有する化合物である。α2/α1が、約2000倍超である場合、選択的α−2作動薬の濃度は、好ましくは約0.0002%から約0.005%であり、より好ましくは約0.001%から約0.003%である。
【0083】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、約0.0001重量/体積%から約0.05重量/体積%の間の濃度で、より好ましくは約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の濃度で、さらにより好ましくは約0.01重量/体積%から約0.025重量/体積%の濃度で、さらにより好ましくは約0.01重量/体積%から約0.02重量/体積%の濃度で存在してもよい。
【0084】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度は、その血管収縮対濃縮プラトーよりも低いことが好ましい。典型的には、最適の濃度は、特定のα−2作動薬に関して測定可能な血管収縮の最小閾値よりも10%から90%高く、またはプラトー最大濃度の場合よりも低く、好ましくは、これらベンチマークのいずれかの約25%から約75%の範囲内にある。「プラトー最大濃度」という用語は、それよりも濃度が高いと、さらなる血管収縮作用がなくまたは最小限に抑えられる濃度を意味する。選択的α−2アドレナリン受容体作動薬を選択する際のその他の課題は、血液脳透過性、および任意の可能性ある副作用およびその他の全身性反応である。
【0085】
一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、αメチルドーパ、グアンファシン、デキセメジトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。高度選択的α−2作動薬として機能する、これら化合物の類似体も、本発明の組成物および方法で使用してよい。
【0086】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、酒石酸塩の形をとるブリモニジンである。
(治療方法およびそこに用いられる組成物)
本発明の驚くべき、予期せぬ発見は、鼻のうっ血、および様々な眼および肺の状態の治療において、潜在的に用途がある。
【0087】
a)腫脹鼻甲介(例えば、鼻のうっ血)
このように、一実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、その必要がある患者に局所投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬が約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、腫脹鼻甲介(例えば、鼻のうっ血)を伴う疾患を治療する方法に関する。
【0088】
好ましい実施形態において、腫脹鼻甲介を伴う状態は、鼻のうっ血、アレルギー性鼻炎、喘息、睡眠障害および睡眠時無呼吸からなる群から選択される。
【0089】
一実施形態において、本発明は概して、腫脹鼻甲介を伴う疾患を治療するために製剤化されている組成物に関する。これらの目的に特に有用な組成物は、好ましくはブリモニジンを0.01%から約0.04%の濃度で、より好ましくは0.02%から約0.035%の濃度で含む。
【0090】
b)眼の状態
眼の状態には、慢性的な赤い眼を含めた赤い眼;Lasik手術後の眼血管うっ血;Lasik手術後の出血および充血の予防的な術中および術後の低下;Lasik手術前の術前出血および充血予防;予防的糖尿病性網膜症;糖尿病に関連するような黄斑浮腫;緑内障などの網膜変性、加齢性黄斑変性症(ARMD)などの黄斑変性症および網膜色素変性症の状態;網膜ジストロフィー;緑内障患者における高いベースラインの充血;網膜の炎症性障害;網膜静脈閉塞または分枝もしくは中心網膜動脈閉塞など、網膜の血管閉塞状態;未熟児の網膜症;鎌状赤血球貧血などの血液障害に関連した網膜症;高い眼圧;眼の痒み;網膜剥離後の損傷;硝子体切除、網膜またはその他の手術に起因した損傷または傷害;および網膜のレーザ治療、例えば、糖尿病性網膜症の広範囲網膜光凝固または網膜の光力学的療法から生ずるような、治療による損傷を含めたその他の網膜損傷が含まれるが、これらに限定するものではない。本発明の局所製剤を投与することによって予防または緩和することができる眼の状態には、中心視野を失うことを主に特徴とする視神経症などの、後発的および後天的視神経症、例えば、レーバー遺伝性視神経萎縮症(LEON)、常染色体優性視神経萎縮症、(Kjer疾患)、およびミトコンドリア欠損、異常ダイナミン関連タンパク質もしくは不適切なアポトーシスを伴うようなその他の視神経症、および多発性硬化症、網膜静脈閉塞、または光力学的もしくはレーザ療法に関連するような視神経炎がさらに含まれるが、これらに限定するものではない。例えば、Carelliら、Neurochem.Intl.40:573−584頁(2002年)およびOlichonら、J.Biol.Chem.278:7743−7746頁(2003年)を参照されたい。「眼の状態」という用語は、審美的な状態、例えば眼の過剰な発赤も包含する。本発明の方法および組成物は、その他の眼の処置に、特に白内障の手術、網膜の手術、翼状片の除去および運動性の手術に使用することができる。充血、内皮細胞ポンプ失調および緑内障クラスの高レベルのアレルギー反応を除去するのに用いられるブリモニジン濃度の濃度範囲では、眼圧の作用は注目されない。これは、化粧品としての用途において、正常眼圧の維持は望ましいが、眼圧を低下させることは、正常眼圧集団で減少させるのに必要なまたは望ましいパラメータではないので、重要である。
【0091】
本発明の方法および組成物がLasik手術と併せて使用される場合、好ましいα−2作動薬は、約0.015%から約0.05%の濃度、より好ましくは約0.020%から約0.025%の濃度にあるブリモニジンである。好ましい実施形態において、選択的α−2作動薬の濃度は、眼圧が実質的に低下しないようなおよび内皮細胞ポンプが実質的に阻害されないような値でなければならない。
【0092】
ブリモニジンに関する眼圧低下の用量応答曲線が、その血管収縮作用並びに内皮細胞ポンプ阻害と著しく異なることは、本発明のさらなる発見である。臨床使用においてアプラクロニジンと同じ充血プロファイルおよび反動的充血の高い発生率を有するブリモニジンにも関わらず、この種類のより選択的な化合物がその血管収縮用量応答範囲に対して最適化される場合、この化合物は少ない反動性で優れた血管収縮作用を有することが示される(図3参照)。
【0093】
c)肺の状態
肺の状態には、血管のうっ血、気管支および細気管支の粘膜腫脹、気管支炎、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)気管支炎などが含まれるが、これらに限定するものではない。その他の肺の用途には、気道の利用可能な管腔サイズをさらに縮小させる毛細血管透過性の増大の治療が含まれる。そのような毛細血管透過性の増大は、アレルギー性鼻炎、風邪;インフルエンザ;喘息、急性呼吸窮迫症候群および急性肺損傷において生じる。そのような状態は、肺胞毛細血管の高い透過性および粘膜を管腔内まで腫脹させる粘膜表面に沿った毛細血管の変化を引き起こす可能性がある。毛細血管透過性の増大は、これらの病原体が炎症性副生成物のカスケードおよびその他の特定の誘発手段を通して宿主器官内部に拡がるという、主な特徴の1つとして知られている。
【0094】
一実施形態において、本発明は概して、吸入器、ジェットまたは超音波ネブライザによって生成された、主に1から10μの間の浮遊粒子平均粒径を有するエアロゾルとして、本発明の組成物を送達するステップを含む、肺の状態を治療するための方法に関する。
【0095】
d)その他の状態
本発明の方法および組成物は、下眼瞼に添っておよび下眼瞼の周りに観察される皮下表皮腫脹または痔核の静脈怒張の治療など、血管収縮に関するその他の臨床的徴候において使用してもよい。本発明はさらに、従来技術で使用されたエピネフリンまたはフェニレフリンよりも罹患率が少ない、痔核組織の拡張血管に関連した血管拡張を軽減するように製剤化されている組成物を提供する。これらの目的に特に有用な組成物は、ブリモニジンを0.01%から0.05%の濃度で含む。
【0096】
本発明はさらに、エピネフリン、ノルエピネフリンまたはシュードエフェドリンよりも罹患率が少ない状態で、従来技術よりも効果的に軽減するために、吸入ビヒクルを介して肺の気管支および細気管支の拡張血管に関連した血管拡張を軽減するように、風邪、インフルエンザおよびその他の湿咳に伴う粘膜腫脹およびうっ血を軽減するように製剤化されている組成物を提供する。これらの目的に特に有用な組成物は、0.001%から0.040%の濃度でブリモニジンを含む。
【0097】
さらに、本発明の方法および組成物は、気管内挿管中に使用してもよい。
【0098】
別の実施形態において、本発明は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を、相当量の別の治療薬が存在しない状態で、その必要がある患者に局所的に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬が約0.01重量/体積%よりも低い濃度で存在する、のどの痛みを治療する方法に関する。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む局所組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、著しい反動的充血を引き起こすことなく強膜を白色化する方法に関する。
【0100】
この方法は、従来技術では観察されなかった全体的な白色化が誘発されるように強膜内の毛細血管床の十分な収縮をもたらすより効果的な血管収縮の結果、従来技術の組成物および方法で可能であったよりも効果的な強膜の白色化を実現させ(即ち、強膜の色の陰影をより白くする。)、改善された美容的外観を可能にする。
【0101】
強膜を白色化する方法では、好ましいα−2作動薬は、約0.01%から約0.05%の濃度、より好ましくは約0.015%から約0.02%の濃度にあるブリモニジンである。
【0102】
本発明の方法および組成物は、非感染性結膜充血(例えば、睡眠不足、アルコールの消費またはその他の非感染性の原因によって引き起こされる。)を治療するのに使用してもよい。
【0103】
別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む局所組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、眼の赤みを低減する方法に関する。
【0104】
好ましい実施形態において、局所組成物を投与するステップは、親水性コンタクトレンズの使用を通して行ってもよく、この親水性コンタクトレンズは、本発明の局所組成物を保持するためのリザーバを含むものである。
【0105】
眼の赤みを低減する方法では、好ましいα−2作動薬は、約0.005%から約0.015%の濃度にあるブリモニジンである。
【0106】
さらに別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む局所組成物を、その必要がある患者に局所的に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在する、組織の色を明るくするための方法に関する。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、少なくとも約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月、約2カ月、約2カ月と約1年の間、約1年間、さらにほぼ何年もの間、選択的α−2作動薬を投与することを可能にする。最も適切な投与期間を決定することは、当業者の範囲内であることを理解されたい。
【0108】
本発明の組成物による低毒性および充血の低発生率は、この組成物の比較的頻繁なおよび長期にわたる使用を可能にする。例えば、ブリモニジン0.5%を1カ月間にわたり1日3回およびブリモニジン0.2%を1年間にわたり1日2回投与する臨床研究は、本発明の好ましい実施形態の典型的な濃度であるブリモニジン0.025%をそれぞれ1日60回および1日16回、血管収縮に対して臨床使用した場合と同じである。ほとんどの場合、必要に応じて、2時間ごとにまたは一般には3から4時間ごとに1回、治療を繰り返すことができる。
【0109】
一般に、罹患した表在血管領域に到達する際のより大きな治療指標に関しては、低濃度の血管収縮剤を長期間(例えば、数時間)にわたり施用することができる。血管収縮から利益が得られる状態の病因は、血管異常、炎症性変化または情緒的変化による化学調節に対するその他の血管応答(潮紅)に、大きく起因する。さらに、体内吸収は、粘膜に比べて典型的には著しく減少する。顔面酒さ、特に酒さ鼻は、鼻梁のどちら側かに沿って眼瞼の下に分布しており、下眼瞼がしばしば含まれる。
【0110】
このように、皮膚軟化剤またはクリームの多くの顔面施用では、本発明の組成物が、従来技術のより高い濃度に比べて改善された安全性および効力を提供する。
【0111】
しかし、一実施形態において、本発明の組成物の施用時間は、約5分以下の耐用である。別の実施形態において、本発明の組成物の施用時間は、1分未満である。
【0112】
そのような分子を、緑内障の長期治療のためにさらにより高い用量で使用することに基づいて、血管収縮の治療は、慢性状態を治療するのに使用することもできる。例えば治療は、この種類の分子を用いた緑内障治療で現在一般的なように、数カ月から1年、最も可能性あるのは数年にわたって繰り返すことができる。
【0113】
有害な全身毒性に関するその高い安全性プロファイルにより、本発明の組成物は、充血の発生率が低い状態で、2時間ごとにまたはより一般的には3から4時間ごとに使用することができる。濃度は、他の所望の臨床効果とは異なる可能性がある、その血管収縮用量応答曲線に対して最適化すべきである。
(併用療法)
低用量の高度選択的α−2作動薬を単独で使用する他、本発明は、これらの高度選択的α−2作動薬をいくつかの組合せ施用で使用するための、例えばα−1拮抗薬と組み合わせて、抗ヒスタミン剤と組み合わせて、および麻酔剤と組み合わせて使用するための方法も提供する。
【0114】
A.α−1拮抗薬との併用
α−1拮抗薬は、暗順応低下および薄明視瞳孔拡張の性質を有することが示されている。ナファゾリン、テトラヒドロゾリンおよびオキシメタゾリンなどの従来技術のα−1作動薬は、個々人のかなりのパーセンテージでのクオリティオブビジョンの低下を伴う瞳孔拡張を引き起こすという望ましくない性質を有する。請求項に記載される濃度の本発明の高度選択的α−2作動薬は、瞳孔拡張を引き起こさない。
【0115】
本発明の組成物および方法は、本発明により定義された高度選択的α−2作動薬とα−1拮抗薬および/または選択的α−1拮抗薬とを組み合わせて、充血を最小限に抑えることができ、交感神経興奮剤で誘導された低光量瞳孔拡張を最大限低下させるのに使用することができる濃度を最適化することができる。これは、大きな瞳孔および増大した高次異常またはその他の原因(屈折矯正手術など)による高次異常を有する人間の暗視能を改善するために、重要な結果をもたらす。
【0116】
フェントラミンは、そのような用途に好ましい医薬品である。本発明と併用した場合、その使用はさらに最適化される。好ましくは、組み合わせて使用した場合、本発明の高度選択的α−2作動薬は、約0.02%から約0.05%の様々な割合で用いられる。最も好ましくは、α−1拮抗薬がフェントラミンミルサレートであり、その濃度は約0.01%から約0.1%である。
【0117】
B.抗ヒスタミン剤との併用
別の実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩およびヒスタミン拮抗薬を含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.025重量/体積%よりも低い濃度で存在する、反動的充血が少ない状態でアレルギー性応答を治療および/または予防するために製剤化されている組成物に関する。
【0118】
別の好ましい実施形態において、本発明は概して、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して100倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩およびヒスタミン拮抗薬を含む組成物を、その必要がある患者に投与するステップを含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.025重量/体積%よりも低い濃度で存在する、反動的充血が少ない状態でアレルギー性応答を治療および/または予防する方法に関する。
【0119】
好ましい実施形態において、α−2作動薬は、約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の濃度にあるブリモニジンであり、好ましいヒスタミン拮抗薬は、ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、エバスチン、ノルアステミゾール、レボセチリジンおよびミゾラスチンからなる群から選択される。
【0120】
好ましい実施形態において、反動的充血が少ない状態でアレルギー性応答を治療および/または予防するための組成物は、エアロゾル化組成物である。
【0121】
好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンおよびマレイン酸フェニラミンから本質的になり、前記ブリモニジンの濃度は、約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、pHは約5.5と約6.5の間であり、エアロゾル化組成物として製剤化されている、組成物に関する。
【0122】
好ましい実施形態において、本発明は概して、ブリモニジンおよび鎮静作用の少ない抗ヒスタミン剤から本質的になり、前記ブリモニジンの濃度は約0.001重量/体積%から約0.025重量/体積%の間であり、pHは約5.5と約6.5の間であり、エアロゾル化組成物として製剤化されている、組成物に関する。
【0123】
C.麻酔剤との併用
本発明の別の発見は、好ましくはα−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して500倍以上の結合親和性を有する選択的α2作動薬の使用によって、十分なα−1およびα−2受容体活性が得られ、その結果、両方の受容体からの血管収縮の有効性が最適化され、麻酔リスクとα−1および/またはβ−1受容体刺激によって誘発された心臓血管事象のリスクが低減することである。
【0124】
局所組織スペースにおける麻酔の維持を最大限にするために、また麻酔および血管収縮剤の全身毒性を最小限に抑えるために、局所麻酔剤と併せて使用される選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、いくらかのα−1作動薬活性を有していてもよく、それでもα−1受容体刺激の程度は、高濃度のα−1作動薬に関連した公知の心臓血管リスクが最小限に抑えられるように、また、太い動脈から細い動脈、細動脈、毛細管床、細静脈、組織におよび組織からの酸素輸送の太い静脈サイクルの、より遠位にある血管に対して、より太くより近位にある高酸素飽和動脈および細動脈の血管収縮が最小限に抑えられるように、十分低くなければならない。
【0125】
本発明者は、組織注入用の麻酔剤および選択的α−2受容体作動薬の併用が、動脈および太い細動脈よりも微小血管および細静脈に対する優先的血管収縮をもたらすと考えている。この併用は、最大限の微小血管および/または細静脈の収縮で虚血の低減をもたらすことができ、その結果、注入された領域を取り囲んで同等のまたはそれ以上の麻酔の維持が得られ、虚血が低減し、おそらくは全身吸収が減少し(優先的には、微小血管および細静脈)、全身毒性のリスクが低下し、虚血が低減することにより麻酔が切れた後の回復がより迅速になり、全ては全身性のリスクが低下したものである。
【0126】
本発明者の考えは、エピネフリンの使用から得られた、有意なβ受容体およびα−1受容体作動薬で誘発された血管収縮は、虚血を増大させ、このために本発明の適応に比べて回復を長引かせ、十分裏付けされたα−1関連の全身性リスクを増大させるということである。1年に何億もの麻酔遮断があるので、動脈注入の場合は、全身吸収による罹患率がさらに増大し、特に歯科での適用例では増大し、合併症が低発生率である場合でさえ有意な定量的罹患率を示す。
【0127】
したがって、本発明の目的のため、組織に注入される麻酔剤の拡散が最小限に抑えるように、全身吸収が低下するように、および少ない罹患率で麻酔作用の潜在的増強を最大限にするように、太い動脈または非末梢細動脈の血管収縮よりも優先的な抹消細動脈および/または有効な微小血管(毛細血管)および細静脈の収縮を得ることが望ましい。
【0128】
したがって、別の実施形態において、本発明はα−1受容体活性化を最小限に抑えた状態での、α−2作動薬受容体活性化の最適化に関する。
【0129】
本発明の方法および組成物は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して非常に高い結合親和性を有する(α−1よりもα−2に対して少なくとも100倍以上、好ましくは500倍以上、さらにより好ましくは700倍以上)高度選択的α−2作動薬と、望ましくない効果を増大させ得る十分なα−1受容体トリガーおよび/または過剰なα−2投与を回避するための低濃度の適正な用量応答の選択の、両方を必要とする。
【0130】
下記の表1は、本発明の好ましい組成物を例示する。
【0131】
【表1】

【0132】
本発明の好ましい実施形態は、ブリモニジンおよび/またはデキスメジトミジンを、先に指示された濃度範囲で含む。エピネフリンに比べて低い用量の使用は、全身性リスク、α1作動薬誘発性虚血および全身性リスクをさらに低下させ、太い血管よりも微小血管に対する優先的収縮を最適化する。
【0133】
好ましい実施形態において、本発明の製剤は、安定化剤として添加されたメタ重亜硫酸ナトリウム0.5mg/mLおよびクエン酸無水物0.2mg/mLを含んでもよい。組成物は、pHを調節するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を含有してもよく、pHは、典型的には4.5から5.5の範囲内にあり、最も好ましくは約5.0である。
【0134】
一実施形態において、本発明は概して、麻酔剤およびα−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して500倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含み、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は約0.05重量/体積%よりも低い濃度で存在し、患者に投与される麻酔剤組成物の全体積は約1mlから約50mlであり、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬と前記麻酔剤との比は1:300,000から1:2,500,000の間である、麻酔剤組成物に関する。
【0135】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬は、α−1アドレナリン受容体よりもα−2アドレナリン受容体に対して約700倍以上の結合親和性を有する化合物である。
【0136】
好ましくは、麻酔剤組成物の全体積は、約1mlから約25mlであり、より好ましくは約1mlから約20mlであり、さらにより好ましくは約2mlから約18mlである。体積は、患者の体重に依存する。
【0137】
好ましい実施形態において、局所末梢麻酔剤注入の効力を高める方法で使用される選択的α−2アドレナリン受容体は、デキスメジトミジンまたはブリモニジンである。より好ましい実施形態において、前記選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度は、重量/体積で約0.0000001%から約0.0001%である。
【0138】
より好ましい実施形態において、本発明の麻酔剤組成物は、局所ブロック麻酔剤で使用されることになる。より好ましい実施形態において、本発明の麻酔剤組成物は歯科用麻酔注射で使用されることになる。
【0139】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬と麻酔剤との比は、1:300,000から1:2,500,000の間である。
【0140】
別の好ましい実施形態において、麻酔剤は、キシロカイン、リドカインおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0141】
好ましい一実施形態において、本発明は概して、リドカインおよびデキスメデトミジンを含み、前記デキスメデトミジンの濃度は約0.0000001重量/体積%と約0.0001重量/体積%の間であり、より好ましくは0.000001重量/体積%から0.000030重量/体積%、さらにより好ましくは0.00001重量/体積%から0.00020重量/体積%の間であり、患者に投与される麻酔剤組成物の全体積は約1mlから約50mlである、麻酔剤組成物に関する。
【0142】
別の好ましい実施形態において、本発明は概して、本発明による麻酔剤組成物をその必要がある患者に局所投与するステップを含む、局所末梢麻酔注射の効力を高める方法に関する。
【0143】
好ましくは、局所末梢麻酔注射の効力を高める方法は、太い血管(動脈や細動脈など)よりも細い血管(毛細血管や細静脈など)に対する優先的血管収縮も引き起こす。
【0144】
また、好ましくは、局所末梢麻酔注射の効力を高める方法は同時に、虚血を低減し局所麻酔剤の保持および/または動作を高める。
【0145】
別の好ましい実施形態において、これらの目的に有用な組成物は、麻酔剤およびブリモニジンを、約0.0000001重量/体積%から約0.0001重量/体積%の濃度で含む。
(麻酔剤組成物(製剤))
本発明の麻酔剤組成物は、過度の実験なしに当業者により調製してもよい。一般に、麻酔剤が選択的α−2作動薬と組み合わされた単純な溶液が作製される。
【0146】
これらの麻酔剤組成物は、保存剤、送達ビヒクル、等張性調節剤、緩衝液、pH調節剤、抗酸化剤および水を含めた追加の非治療成分を含んでいてもよいが、これらに限定するものではない。
【0147】
保存剤には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀または硝酸フェニル水銀が含まれるが、これらに限定するものではない。局所眼科用組成物に有用なビヒクルには、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0148】
等張性調節剤は、必要に応じて、本発明の麻酔剤組成物に含めることもできる。そのような等張性調節剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトールもしくはグリセリン、または医薬品としてもしくは眼科用として許容される別の等張性調節剤にすることができるが、これらに限定するものではない。
【0149】
pHを調節するための様々な緩衝液および手段は、本発明において麻酔剤組成物を調製するのに使用することができる。そのような緩衝液には、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液が含まれるが、これらに限定するものではない。酸または塩基は、必要に応じて組成物のpHを調節するのに使用できることが理解される。局所組成物を調製するのに有用な許容される抗酸化剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0150】
図7は、様々な濃度の高度選択的α−2作動薬(例えば、ブリモニジン)による優先的血管収縮および虚血のグラフ表示である。一般に、高度選択的α−2作動薬が低濃度であると、1)太い動脈および細動脈よりも微小血管および/または細静脈に対する優先的血管収縮と、2)低いα−1受容体作動薬活性が生じる。この結果、虚血を最小限に抑えた状態で、単位面積当たり高度な組織血管収縮をもたらす。組織血管収縮は、吸収を低下させ、おそらくは麻酔剤の代謝を低下させ、浸潤している組織領域内での保持を増大させる。
【0151】
α−2作動薬の濃度が増加するにつれ、誘発されたα−1受容体の全プール量も増加する。過剰なα−2およびα−1受容体刺激(即ち、微小血管および/または細静脈でED100に必要とされるよりも高い刺激)は、公知の有利な作用を発揮せず、付随的な炎症性変化と共に多量の虚血を引き起こす。
(組成物(製剤))
本発明の組成物は、好ましくは哺乳類用に製剤化され、より好ましくはヒト用に製剤化される。
【0152】
一実施形態において、本発明の組成物は、局所組成物である。一実施形態において、局所組成物は、眼の状態の治療および/または予防のために製剤化される。
【0153】
局所組成物には、点眼薬、眼科用軟膏、ゲルおよびクリームが含まれるが、これらに限定するものではない。これらの組成物には、保存剤、送達ビヒクル、等張性調節剤、緩衝液、pH調節剤、抗酸化剤および水を含む追加の非治療成分を含めてもよいが、これらに限定するものではない。
【0154】
保存剤には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀または硝酸フェニル水銀が含まれるが、これらに限定するものではない。局所眼科用組成物に有用なビヒクルには、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が含まれるが、これらに限定するものではない。好ましい保存剤のいくつかには、Blink(登録商標)(Abbott Medical Optics(登録商標)、活性成分:ポリエチレングリコール400 0.25%)および過ホウ酸塩が含まれる。主なビヒクルとして生理食塩液を使用することも可能である。
【0155】
等張性調節剤は、必要に応じて本発明の局所組成物に含めることもできる。そのような等張性調節剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトールもしくはグリセリン、または医薬品としてもしくは眼科用として許容可能な別の等張性調節剤を含めることができるが、これらに限定するものではない。
【0156】
pHを調節するための様々な緩衝液および手段は、本発明において局所組成物を調製するのに使用することができる。そのような緩衝液には、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、およびホウ酸緩衝液が含まれるが、これらに限定するものではない。酸または塩基は、必要に応じて組成物のpHを調節するのに使用できることが理解される。局所組成物を調製するのに有用な許容される局所抗酸化剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0157】
本発明の局所組成物を作製するには、当技術分野で公知の方法を使用して、選択的α−2作動薬の、より濃縮された溶液を、単に希釈することができる。希釈を実施する正確な方法は、重要ではない。局所溶液に適した、本出願で既に記述された保存剤を含めた任意の一般に使用されている希釈剤を、使用することができる。
【0158】
一実施形態において、本発明の局所組成物は、眼科用組成物である。眼科用組成物は、眼科用として許容される担体を含有し、この担体は、投与される眼に対して長期のまたは持続的な悪影響を実質的にもたらさない任意の担体にすることができる。眼科用として許容される担体の例には、蒸留水または脱イオン水を含めた水、生理食塩水、およびその他の水性媒体が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0159】
別の好ましい実施形態において、前記組成物は、エアロゾル化した組成物である。一実施形態において、エアロゾル化した組成物は、肺の状態を治療および/または予防するために製剤化される。
【0160】
本発明のエアロゾル化組成物の調製は、当業者の範囲内である。
【0161】
本発明のエアロゾル化組成物は、概して、約1と10μmの間のサイズを有するエアロゾル粒子を生成することができる吸入器、ジェットネブライザまたは超音波ネブライザを介して送達される。
【0162】
一実施形態において、選択的α−2作動薬は、pHが5.5と6.5の間、好ましくは5.5と6.0の間である4分の1生理食塩水の約5ml溶液中に製剤化されてもよい。
【0163】
好ましい実施形態において、エアロゾル化組成物は、約0.02%ブリモニジンの約5ml溶液を含み、これはさらに約0.225%の塩化ナトリウムを含み、前記組成物は、約5.5と約6.5の間のpHを、好ましくは5.5と6.0の間のpHを有する。
【0164】
好ましい実施形態において、本発明の組成物のpHは、約7.0未満であり、好ましくは約5.5と約6.5の間であり、より好ましくは5.5と6.0の間である。
【0165】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カリウム(即ち、K)をさらに含む。「カリウム」という用語にはカリウム塩が含まれるが、これに限定するものではない。好ましくは、カリウムは塩化カリウムである。
【0166】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カルシウム(即ち、Ca2+)をさらに含む。「カルシウム」という用語にはカルシウム塩が含まれるが、これに限定するものではない。好ましくは、カルシウムは塩化カルシウムである。
【0167】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、亜酸化窒素阻害剤を含む。好ましい実施形態において、亜酸化窒素阻害剤は、L−NAME、L−NIL、L−NIO、およびL−カナビンまたはこれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、亜酸化窒素阻害剤の濃度は、重量/体積で約0.005%と約0.5%の間である。
【0168】
別の実施形態において、本発明の組成物は、経口接種用の医薬品として適切なビヒクルに含めることができる。医薬品として許容される適切な担体には、固体充填剤または希釈剤、および滅菌水性または有機溶液が含まれる。活性化合物は、そのような医薬品組成物中に、上述の範囲内の所望の投薬量を提供するのに十分な量で存在することになる。
【0169】
本発明の実施に使用することが企図される医薬品組成物は、固体、溶液、エマルジョン、分散体、ミセルおよびリポソームなどの形で使用することができ、得られた組成物は、本明細書で使用することが企図される活性化合物の1種または複数を、その活性成分として、鼻、腸または非経口施用に適した有機または無機担体または添加剤と混合して含有する。活性成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、坐薬、溶液、エマルジョン、懸濁液、硬質または軟質カプセル、カプレットまたはシロップまたはエリキシルおよび使用に適した任意のその他の形態用の、通常の無毒性の、医薬品としておよび生理的に許容される担体と配合してもよい。使用することができる担体には、グルコース、ラクトース、アカシアガム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストランおよび固体、半固体または液体の形の調製物の製造での使用に適したその他の担体が含まれる。さらに、助剤、安定化剤、増粘剤および着色剤を使用してもよい。
【0170】
一実施形態において、本発明の組成物は、生分解性またはリザーバベースのものにすることができるがこれらに限定されない眼内または眼周囲インプラントを介して、局所的に投与することができる。本明細書で使用される「インプラント」という用語は、移植後に挿入部位から著しく移動しない任意の材料を指す。インプラントは、生分解性、非生分解性の材料、または生分解性および非生分解性の両方の材料からなるものにすることができ、非生分解性インプラントは、必要に応じて再充填可能なリザーバを含むことができる。眼の状態を予防または緩和するのに有用なインプラントには、例えば、パッチ、粒子、シート、プラークおよびマイクロカプセルなどが含まれ、眼の後眼房、前眼房、脈絡膜または結膜であり得るがこれらに限定されない選択された挿入部位に適合可能な、任意の形状およびサイズのものにすることができる。有用なインプラントは一般に、移植された眼科用組成物を、治療上有効な用量で、長時間にわたって対象の眼に放出することが理解される。様々な眼のインプラントおよび眼への放出に適した長期放出製剤は、例えば米国特許第5,869,079号および第5,443,505号に記載されるように、当技術分野で周知である。
【0171】
本発明は、本発明の水性組成物を含む定量ディスペンサにも関する。
【0172】
本発明は、添付図面を参照することによって、より十分に実証される。
【0173】
図1は、従来技術のα−作動薬に関する、血管収縮性の正味の臨床効果を示す。血管収縮性の正味の臨床効果は、血管収縮用量応答曲線から各化合物の反動的充血用量応答曲線を差し引くことによって計算される。全体的な効果および反動が少ないおおよその最適濃度は、X−Yに交差する破線によって明らかにされる。各分子ごとにわずかなピークがあり、その利益とリスクとの非が最適化されている。0.08%にある基準濃度のマークは、用量応答データの右にある。
【0174】
図2は、本発明の重要な発見を強調している。この図は、ブリモニジン、本発明の選択的α−2作動薬の様々な濃度に対する血管収縮作用のプロットを示す。低濃度で調査したときの血管収縮作用は、その最大用量応答利益よりも高いことが示されており、一方、眼圧の低下および角膜内皮細胞ポンプ阻害は、約0.09%でのそのちょうど最大値にあることが示されている。その結果、眼圧低下の指数関数的低下が生じ、内皮細胞ポンプ阻害は0.08%よりもわずかに低く、一方、血管収縮作用は、さらに低い濃度に達するまで、これらの低濃度で大幅に変化しないままである。
【0175】
0.10%以上というブリモニジンの濃度は、α−1作動薬の十分大きな集団を誘発し、テトラヒドロザリン、ナファゾリンおよびオキシメタゾリンと事実上同一の反動を実現させ、過剰な数のα−2受容体を与えることもできることも実証される。図2は、α−1受容体よりもα−2受容体に対するその結合親和性(K)が100:1超であり、より好ましくは500:1、さらにより好ましくは700:1、さらにより好ましくは1000:1以上、最も好ましくは1500:1以上であることによって定義された高度選択的α−2作動薬が、反動的充血のない最適な血管収縮で、最適化された濃度範囲をもたらすことを実証する。
【0176】
図3は、従来技術の組成物に対する本発明の組成物の臨床効果のグラフ表示である。α−2の優勢な受容体活性および少ない反動という、この改善された血管収縮利益の正味の効果は、現行の臨床使用におけるα−作動薬血管収縮に対して、図3ではブリモニジンに関して強調されている。効力および低罹患率によって、本発明により定義されるように、より高度な選択的α−2作動薬のサブクラスの追加の利益が可能になる。
【0177】
図4は、実施例1の結果のグラフ表示を含有し、実施例1を扱う本明細書のセクションでより十分に説明されることになる。
【0178】
図5A−Cは、本発明の新規な高度選択的α−2組成物が、一般的なα作動薬の誘発前反動的充血を逆行させることができるという、予期せぬ発見を実証する。
【0179】
図5Aは、眼の状態を有する患者の両眼の、基準となる外観である。
【0180】
図5Bは、Visine(登録商標)Original(テトラヒドロゾリン0.25%)を含む従来技術の組成物で治療した後の、反動的充血が誘発された患者の右眼の外観と、ブリモニジンを0.015%含む本発明の組成物で同時に治療した後の、患者の左眼の外観を示す。
【0181】
図5Cは、ブリモニジンを0.015%含む本発明の新規な組成物で治療した後に、Visine(登録商標)で誘発した反動的充血が逆行している患者の右眼の外観と、ブリモニジンを0.015%含む本発明の組成物の追加の1滴で同時に治療した後の、患者の左眼の外観を示す。
【0182】
図6は、増大した反動的充血が、ブリモニジンに関しては0.03%付近で開始されるという、本発明の知見のグラフ表示である。したがって、うっ血除去剤としてのブリモニジンの正味の効果は、約0.01%と約0.03%の間で、好ましくは約0.012%と約0.02%の間で最大であることを実証している。
【0183】
図7は、様々な濃度の高度選択的α−2作動薬(例えば、ブリモニジン)による優先的血管収縮および虚血のグラフ表示である。一般に、高度選択的α−2作動薬が低濃度であると、1)太い動脈および細動脈よりも微小血管および/または細静脈に対する優先的血管収縮があり、2)α−1受容体作動薬活性が低下する。この結果は、単位面積当たりで、虚血が最小限に抑えられた状態で高度な組織血管収縮があることを示す。組織血管収縮は、吸収を低下させ、おそらくは麻酔剤の代謝を低下させ、浸潤している組織領域内での保持が増大する。
【0184】
α−2作動薬の濃度が上昇するにつれ、誘発されたα−1受容体の全体的なプール量も増加する。過剰なα−2およびα−1受容体刺激(即ち、微小血管および/または細静脈でED100に必要とされるよりも高い刺激)は、公知の有利な作用を発揮せず、付随的な炎症性変化と共に多量の虚血を引き起こす。
【0185】
下記の実施例は、例示を目的としてのみ提供され、本発明をいかなる方法によっても限定するものではない。
【0186】
(実施例)
【実施例1】
【0187】
この実施例では、患者を、特許請求の範囲に記載されている濃度のブリモニジンと、従来技術の組成物であるテトラヒドロゾリン、オキシメタゾリンおよびナファゾリンで治療した。
【0188】
その結果は、従来技術の組成物による治療に比べ、ブリモニジンによる治療の有意な強膜の白色化増白化作用を明確に実証している。
【0189】
結果を、図4Aから4Eに示す。
図4Aは、両眼の基準状態を示す。
図4Bは、180分後の比較を示し、右眼はテトラヒドロゾリン0.05%で治療したものであり、左眼はブリモニジン0.01%で治療したものであった。
図4Cは、基準状態(図4A)から4時間後の比較を示し、右眼はオキシメタゾリン0.025%で治療したものであり、左眼はブリモニジン0.02%で治療したものであった。
図4Dは、さらに4時間後の比較を示し、右眼はナファゾリン0.033%で治療したものであり、左眼は、ブリモニジン0.02%で治療したものであった。
図4Eは、図4Dに示される作用から4時間後、ブリモニジン0.033%が左眼のみに与える影響を示す(3回目の施用は反動的充血がないことを示す。)。
【0190】
ほとんどの臨床状況における有効性は、基準状態での赤みがこの試験に関して4/4であったので、さらに大きくなる傾向がある。平均的な臨床状況において、基準状態の赤みは1−1.5/4である。
【0191】
したがって、これらの結果は、本発明の組成物を、充血の発生率が少ない状態で3から4時間ごとに使用できることを示す。
【実施例2】
【0192】
Lasik予防
基準状態:
血管収縮の前処置なしの、Intralaseフェムト秒レーザを介した患者200名の治療−有意な術後充血および結膜出血@15%点状出血またはそれ以上の出血 術後1日目で患者を診た場合、25%1+(14)充血 最初の1時間+、50%2.5+充血 最初の1時間+、25%3+充血 最初の1時間+。フラップ転位率:<0.1%。
【0193】
治療群1:
Naphcon−A(登録商標)(Alcon,Inc、、活性成分:塩酸ナファゾリン0.25%およびマレイン酸フェニラミン0.3%、塩化ベンザルコニウムで保存)を、第2の群の患者50名(85処置)に使用した。12%点状出血またはそれ以上の出血。35%1+充血、35%2+充血、15%2.5+充血、15%3+充血。いくつかの臨床上の利益に留意されたい。フラップ転位率:<0.1%。
【0194】
治療群2:
認可外で使用したブリモニジン0.2%は、フラップ転位率5−10%を引き起こすことが報告されており、現在は、この目的に指定も推薦もされていない。
【0195】
16の眼に対するブリモニジン0.02%は、記述される眼圧、平均血圧または脈拍に悪影響も有意な変化ももたらさない。
【0196】
治療群3:
ブリモニジン0.02%を、患者10名(100の眼)の初期試験の術前10−20分で、片方の眼にI−ii gttで局所施用した。<5%点状出血またはそれ以上の出血、75%1+充血またはそれ以下、20%2+充血、5%2.5+充血、フラップ転位率は1%のすぐ下。
【0197】
この群は、同様の結果を有する500を超える眼を含むように拡張させた。著しく異なる白色無症候の眼が、ほとんどの患者で見られ、1+またはそれ以下の充血群の大多数では充血が全くなくまたはごくわずかしかなかった。フラップ転位率は、1%よりもわずかに低いままであり、これら軽度線条のほとんどは、実際の転位とは対照的に群0および1で見られた内容と同様である。
【0198】
美容的には、患者は、血管収縮がない状態に対しておよびNaphcon−A(登録商標)に対して1日目から非常に改善される。有害な心臓血管事象は生じなかった。有意なアレルギー反応は見られなかった。
【実施例3】
【0199】
0.03%ブリモニジン鼻スプレー:0.9%生理食塩ビヒクルを使用し、鼻スプレーを、鼻詰まりの患者に投与した。これを、反動をもたらすことなく1週間繰り返した。本質的にアレルギーであると考えられる中程度の鼻詰まりを治療するために、1回施用するごとに3−5時間の完全な鎮静が達成された。反動を引き起こすことなく4時間ごとに施用を繰り返す。この試験に関する患者集団は、1のnに限定した。
【0200】
適正な用量応答範囲は、通常の実験なしで試験することができる。
【実施例4】
【0201】
赤い眼の状態を有する18名の患者を、本発明の組成物(即ち、ブリモニジン0.018%)およびVISINE Original(登録商標)で治療した。終了前に、調査から3名の患者を引き抜いた。
【0202】
これらの患者に対し、それぞれ投与する前(基準状態)およびそれぞれの投与後10分で、眼球結膜を6つのセクションに分割することにより「累積赤みスコア」を割り当て、それぞれのスコアは、グレード1−3のスコアおよび全累積スコアであった。活性成分対VISINE Original(登録商標)の初期効力に関して、患者は、ブリモニジン0.018%の単回用量を投与した後に赤みスコアが68.71%低下するように、また単回施用後に、VISINE Original(登録商標)を投与した後に赤みスコアが31.06%低下するよう計算された。
【0203】
1回投与した後の反動的充血は、ブリモニジン0.05%投与後に6.6%(15名中1名)でのみ生じ、VISINE Original(登録商標)投与後に26.6%で生じた。
【0204】
3週間のスコアは、本発明の組成物の利点も実証し、ブリモニジン0.018%投与後は、平均赤みカウントは10.3から1.6に低下し、VISINE Original(登録商標)投与後は、平均赤みカウントが8.8から2.5に低下した。しかし、調査期間の長さおよび製剤中の保存剤の不注意による希釈が原因で、ブリモニジン0.018%組成物の汚染が終わりに向かって生じ得た可能性がある。
【実施例5】
【0205】
慢性的な眼の赤みを有する7名の患者を、下記の通り治療した。一方の眼を、0.015%という極端に低い用量(eld)のブリモニジンで治療し、他方の眼を、Naphcon−A(登録商標)で治療した。治療は、3から5週間にわたり1日2回点眼することによって行った。最後に、患者の満足度評価を実施した。
【0206】
全ての患者は、eldブリモニジンで赤みが減少したことを報告した。
【0207】
42%がeldブリモニジンを好んだ。
【0208】
Naphcon−A(登録商標)を好むものは0%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与によって疾患または状態を予防または治療するのに使用される、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む水性組成物であって、水性組成物中の選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度が、緑内障の治療に通常使用される前記作動薬の水性組成物の場合よりも実質的に低い、選択的α−2アドレナリン受容体作動薬または医薬品として許容されるその塩を含む水性組成物。
【請求項2】
投与が局所投与である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬が、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、αメチルドーパ、グアンファシン、デキセメジトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれら化合物の混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の水性組成物。
【請求項4】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬が、ブリモジニンまたは医薬品として許容されるその塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性化合物。
【請求項5】
5.5と6.5の間のpHを有する、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項6】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度が0.05重量/体積%未満である、請求項1から5のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項7】
選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の濃度が、0.001重量/体積%から0.05重量/体積%である、請求項5に記載の水性組成物。
【請求項8】
状態が、充血した眼である、請求項1から7のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項9】
充血した眼が慢性的である、請求項8に記載の水性組成物。
【請求項10】
強膜の白色化に使用される、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
LASIK手術後の充血した眼を予防するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項12】
鼻に施用するのに適した、請求項1または2から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の水性組成物を含む、定量ディスペンサ。
【請求項14】
追加の治療薬をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項15】
追加の治療薬がヒスタミン拮抗薬である、請求項15に記載の水性組成物。
【請求項16】
前記ヒスタミン拮抗薬が、ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、エバスチン、ノルアステミゾール、レボセチリジン、マレイン酸フェニラミンおよびミゾラスチンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−529894(P2011−529894A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521223(P2011−521223)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/051857
【国際公開番号】WO2010/014552
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511027426)アルフア・シナジー・デイベロプメント・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】