説明

血管形状測定装置および血管のコンプライアンス測定方法

【課題】生体の血管や人工の血管の複数方向から、血管の外径・変位を測定可能とし、生体の血管と人工血管とにおける各種情報の取得を実現する血管形状測定装置を提供する。また、このような血管形状測定装置を用いる血管のコンプライアンス測定方法を提供する。
【解決手段】血管の上下両側で接触する二個の血管接触部の上下方向の変位を検出する上下方向測定装置10と、血管の左右両側で接触する二個の血管接触部の左右方向の変位を検出する左右方向測定装置20と、を備え、血管の上下方向および左右方向の外径および変位を検出する血管形状測定装置100とした。また、血管形状測定装置が測定する血管の上下方向および左右方向の外径および変位を用いてコンプライアンスを算出する血管のコンプライアンス測定方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から露出した拍動状態の血管から各瞬間毎の血管形状についての情報を取得するための血管形状測定装置、および、この血管形状測定装置を用いる血管のコンプライアンス測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の人工血管は、直径が4mm以上、長さが100〜800mm程度のものまで実用化されている。しかしながら直径が4mmに満たない小径の人工血管は、血栓が発生しやすい等の問題があり、未だ実用化されていない。実用化に至らない原因は種々考えられるが、主に人工血管の特性が生体の血管の特性と相違している点にあると考えられる。
【0003】
この血管の特性の一つにコンプライアンスがある。コンプライアンスは、血管の柔らかさの度合いを示すものである。そして人工血管と生体の血管とにおけるコンプライアンスの違いは、人工血管の血栓発生の一因になると考えられる。拍動流である生体の血流動体において、人工血管と生体の血管との間では、コンプライアンスが相違すると、血流が流れる際における血管の膨張、収縮の度合いも相違する。
【0004】
このような場合、動きの少ない(即ち、コンプライアンスの小さい)人工血管や、生体の血管と人工血管との吻合箇所において、血栓が内壁に付着しやすくなると考えられる。従って、人工血管の開発には、コンプライアンスといった生体の血管の特性を知ることが必要である。また作製された人工血管を評価する際にも、その人工血管の特性を知る必要がある。
【0005】
このような血管の特性を知る装置例として、例えば、特許文献1(特開平1−259836号公報、発明の名称「血管硬化度測定装置」)には、第1の従来技術が開示されている。
この第1の従来技術は、複数の感圧素子が設けられた脈波センサと、脈波センサを血管上の皮膚に押し当てる押圧手段と、皮膚に押圧された脈波センサから出力される血流による脈波信号に基づいて血管の硬化度を算出する演算手段と、を備える血管硬化度測定装置である。この血管硬化度測定装置では押し付け力を変えつつ多数の脈波信号を取得し、特に最大振幅を有する脈波信号が発生したときの押圧状態における脈波振幅と感圧素子位置との関係を求め、この関係を示す曲線に基づいて血管硬化度を算出する。
【0006】
また他の装置例として、例えば、特許文献2(特開2003−70754号公報、発明の名称「血管の弾性測定装置」)には、第2の従来技術が開示されている。
この第2の従来技術は、血管の弾性を表す状態として、血管のある部分について測定された血圧と、血圧が測定された箇所の近傍部分における血管の内容量を測定する装置である。この装置では、血管内容量をX軸に、血圧をY軸にとって、時間毎にリサージュ図形を表示するというものであり、血管内容量の多少や血圧の高低により変化するリサージュ図形から血管の拡張・収縮を表す血管の弾性を測定する。
【0007】
また他の装置例として、例えば、特許文献3(特開昭63−317130号公報、発明の名称「血管内超音波トランスデューサを用いた動脈硬化度診断装置」)には、第3の従来技術が開示されている。
この第3の従来技術は、血圧を測定するための圧力センサと、超音波振動子が先端に設けられたカテーテルと、を有し、血管の径、脈拍に起因する血管の径の変化、および血管の壁の厚みを測定する動脈硬化度診断装置である。この動脈硬化度診断装置では、測定された状態に基づいて血管の硬化度が得られる。
【0008】
また他の装置例として、例えば、特許文献4(特開2005−312745号公報、発明の名称「血管状態測定装置、及び血管状態測定方法」)には、第4の従来技術が開示されている。
この第4の従来技術は、血管を生体から露出し、測定対象部分を囲み、閉空間を形成する閉空間形成部と、閉空間と連通され、閉空間の圧力を調整する圧力調整部と、圧力を計測する圧力計測部と、圧力調整部によって調整された圧力における、前記測定対象部分の状態を測定する状態測定部とを有しており、血管外部の圧力と血管の形状などを測定することによって、血管のコンプライアンスを測る血管状態測定装置である。
【0009】
【特許文献1】特開平1−259836号公報
【特許文献2】特開2003−70754号公報
【特許文献3】特開昭63−317130号公報
【特許文献4】特開2005−312745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献1〜4記載の従来技術では、以下の(1)〜(5)のような問題を有するものであった。
(1)特許文献1記載の従来技術1では、脈波センサを皮膚の表面から押し付ける必要があり、測定可能な箇所が限定され、身体の深部に存在する血管等について、必要なデータを得ることが困難である。
【0011】
(2)特許文献2記載の従来技術2では、パルスオキシメータを用いて血管の内容量が測定されているが、パルスオキシメータは指先に装着されるものであり、所望の場所に存在する局所的な測定を行うことが困難である。
【0012】
(3)特許文献3記載の従来技術3では、カテーテルの先端に超音波振動子を設ける必要があるため、細い血管に対する測定は困難である。
【0013】
(4)さらに、これら特許文献1、2、3記載の従来技術1、2、3では、血管の周りに存在する他の組織(例えば、筋組織)があることを前提とするものであって他の組織の影響を排除することは困難であり、血管単体の特性の測定精度が損なわれてしまうという問題がある。
加えて他の組織の存在を前提とする装置であることから、生体に接続される前の人工血管の特性について測定することは考慮されていない。
【0014】
(5)さらに、特許文献4記載の従来技術4では、血管の周りに存在する他の組織の影響はなく、人工血管の特性について測定することを可能としているが、血管外部の圧力を調整し、さらに血管の状態を測定することを狭い空間内で実現することは困難である。また一方向のみから血管表面の変位を測定する場合は、血管の断面形状を把握することが難しい。
【0015】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、測定対象が生体の血管であるか人工の血管であるかに拘わらず二以上の複数方向からの血管の外径・変位を測定可能として、生体の血管と人工血管とにおける各種情報の取得を実現する血管形状測定装置を提供することにある。また、このような血管形状測定装置を用いる血管のコンプライアンス測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に係る血管形状測定装置は、
血管の軸方向に対して直交する基準直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の基準直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する基準直径方向測定装置と、
血管の軸方向に対して直交するとともに基準直径方向と交差する交差直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の交差直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する、少なくとも一個以上の交差直径方向測定装置と、
を備え、基準直径方向測定装置および少なくとも一個以上の交差直径方向測定装置からそれぞれ出力される検出信号に基づいて血管の基準直径方向および少なくとも一以上の交差直径方向の外径および変位を検出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る血管形状測定装置は、
請求項1に記載の血管形状測定装置において、
前記基準直径方向が血管の表層面の下側から上側までの方向の上下方向であり、前記交差直径方向が上下方向に対して直交する方向の左右方向であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る血管形状測定装置は、
請求項2に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置は、
長尺の棒体の先端に直角の折れ曲がり部の血管接触部を有するL字状接触子と、
上下方向に移動するようにL字状接触子を支持するとともにL字状接触子が所定位置にあるように付勢する支持ばね部と、
L字状接触子の上下方向の位置を測定する変位センサと、
支持ばね部および変位センサをそれぞれ固定するセンサベースと、
からなるセンサ部を左右一対有する上下方向センサ部を備え、
二本のL字状接触子は、それぞれの支持ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の上下両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本のL字状接触子の上下方向の位置を、血管の上下両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項4に係る血管形状測定装置は、
請求項3に記載の血管形状測定装置において、
前記支持ばね部は平行ばねであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項5に係る血管形状測定装置は、
請求項3または請求項4に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向センサ部の二個のセンサ部がそれぞれ連結され、二個のセンサ部の上下方向の相対的な位置を決定する二個の位置調節部と、二個の位置調節部がそれぞれ固定される基準ベースと、を有する粗動部を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項6に係る血管形状測定装置は、
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向測定装置は、
長尺の棒体の先端に血管接触部を有する回転接触子と、
血管接触部の左右方向の移動に応じて回転接触子が回転移動するように支持するとともに回転接触子が所定位置にあるように付勢する支持ばね部と、
回転接触子の回転方向の位置を測定する変位センサと、
支持ばね部および変位センサをそれぞれ固定するセンサベースと、
からなるセンサ部を左右一対有する左右方向センサ部を備え、
二本の回転接触子は、それぞれの支持ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の左右両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本の回転接触子の左右方向の位置を、血管の左右両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項7に係る血管形状測定装置は、
請求項6に記載の血管形状測定装置において、
前記支持ばね部はL字状板ばねであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項8に係る血管形状測定装置は、
請求項6または請求項7に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向センサ部の二個のセンサ部がそれぞれ連結される二個のスライド部と、二個のスライド部の左右方向の相対的な位置を決定する位置調節部と、を有する粗動部を備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項9に係る血管形状測定装置は、
請求項2〜請求項8の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
直線状の棒体である基準部を備え、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置は、上下方向および左右方向に対してともに垂直な軸方向に貫通する共通基準孔を有し、その共通基準孔に挿通される基準部を回動軸として回動自在に支持されるとともに基準部の軸方向に移動自在に支持されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項10に係る血管形状測定装置は、
請求項2〜請求項9の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置は、上下方向に沿って血管接触部の方向へ向かうに従ってV型に狭まる形状であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項11に係る血管形状測定装置は、
請求項2〜請求項10の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記変位センサは、渦電流式変位センサであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項12に係る血管形状測定装置は、
請求項2〜請求項11の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置を挟むように両側に配置され、血管の位置を決定する二個の血管位置固定具を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項13に係る血管形状測定装置は、
請求項12に記載の血管形状測定装置において、
前記血管位置固定具は、J字型に形成されたJ字状曲げ部を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の請求項14に係る血管形状測定装置は、
請求項13に記載の血管形状測定装置において、
前記J字状曲げ部の先端に配置され、上下方向測定装置の血管接触部の最下位および左右方向測定装置の血管接触部の最下位よりも低い位置に最下位が形成された押し当て部を備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の請求項15に係る血管形状測定装置は、
請求項2に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置は、ケーシング内に配置され、
長尺の棒体の先端に対して直角の折れ曲がり部の血管接触部を有する二本のL字状接触子と、
ケーシングに設けられ、上下方向に移動するように二本のL字状接触子をそれぞれ支持する支持部と、
二本のL字状接触子の血管接触部が近づくように二本のL字状接触子をそれぞれ付勢する二個のばね部と、
二本のL字状接触子にそれぞれ設けられ、ケーシングの突起部と当接して二本のL字状接触子の位置決めをする二個のストッパ部と、
二本のL字状接触子の上下方向の位置をそれぞれ測定する二個の変位センサと、
を備え、
二本のL字状接触子は、それぞれのばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の上下両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本のL字状接触子の上下方向の位置を、血管の上下両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の請求項16に係る血管形状測定装置は、
請求項2または請求項15に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向測定装置は、ケーシング内に配置され、
長尺の棒体の先端に血管接触部を有する二本の回転接触子と、
血管接触部の左右方向の移動に応じて二本の回転接触子が回転移動するようにそれぞれ支持する支持部と、
支持部が固定されるとともにケーシングの長孔部に沿って移動するように支持されるスライダと、
二本の回転接触子のそれぞれの血管接触部が近づくように付勢するばね部と、
二本の回転接触子の左右方向の位置をそれぞれ測定する二個の変位センサと、
を備え、
二本の回転接触子は、スライダの移動によりケーシングから出没するとともに、ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の左右両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本の回転接触子の左右方向の位置を、血管の左右両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項17に係る血管のコンプライアンス測定方法は、
請求項1〜請求項16の何れか一項に記載の血管形状測定装置を用いて血管の上下左右方向の外径および変位を測定し、血管形状測定装置が測定する血管の近傍を測定点として血圧を測定し、上下左右方向の外径、変位および血圧を用いて血管のコンプライアンスを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上のような本発明によれば、測定対象が生体の血管であるか人工の血管であるかに拘わらず二以上の複数方向からの血管の外径・変位を測定可能として、生体の血管と人工血管とにおける各種情報の取得を実現する血管形状測定装置を提供することができる。また、このような血管形状測定装置を用いる血管のコンプライアンス測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態の血管形状測定装置について図を参照しつつ説明する。図1は血管形状測定装置の使用を説明する説明図である。この血管形状測定装置100は装置固定具200により位置決めが容易になるように構成されている。この装置固定具200は、例えば、多関節アームのようなものであって手術台300付近に配置される。手術台300の上には生体400があり、予め切開部500が形成されている。この切開部500内には血管600が露出しているものとする。血管形状測定装置100はこの血管600に直接接触して必要な情報を取得する。血管形状測定装置100は後に詳述する上下方向測定装置10および左右方向測定装置20を備えており、上下方向測定装置10により血管600の上下方向の位置および変位について測定し、また、左右方向測定装置20により血管600の左右方向の位置および変位について測定する。
【0035】
続いて血管形状測定装置について図を参照しつつ説明する。図2は本形態の血管形状測定装置の説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は背面図である。血管形状測定装置100は、図2(a),(b),(c)で示すように、上下方向測定装置10、左右方向測定装置20、基準部30、血管位置固定具40、血管位置固定具50を備える。
【0036】
上下方向測定装置10は、血管600(図1参照)の上下方向の外径および血管600の移動に応じた上下方向の変位を検出する。
左右方向測定装置20は、血管600(図1参照)の左右方向の外径および血管600の移動に応じた左右方向の変位を検出する。
【0037】
基準部30は、例えば丸棒であり、上下方向測定装置10および左右方向測定装置20の共通基準孔に挿通され、上下方向測定装置10および左右方向測定装置20を移動自在となるように支持する。上下方向測定装置10および左右方向測定装置20は、血管軸方向と略平行である基準部30の軸方向(図2(b)の左右への軸方向)へ移動自在であるが、これら上下方向測定装置10および左右方向測定装置20を可能な限り近い位置に配置して、上下方向および左右方向の測定点を近づけている。また、上下方向測定装置10および左右方向測定装置20は、この基準部30を中心軸とする回転方向(図5(a)の回転方向)に移動自在であるが、特に血管600に対して上下方向測定装置10を横側から取り付けられるようにしている。
【0038】
血管位置固定具40は、上下方向測定装置10に取り付けられ、また、血管位置固定具50は、左右方向測定装置20に取り付けられる。これら血管位置固定具40,50は、それらの間における血管600の位置を決定する。したがって、これら血管位置固定具40,50の間において位置決めされた血管600は、上下方向測定装置10および左右方向測定装置20による血管600の配置(位置決め)が最適となるような位置にあり、血管形状測定装置100への血管600の配置(位置決め)を容易にしている。
【0039】
続いて、各部について説明する。まず、上下方向測定装置10について図を参照しつつ説明する。図3は上下方向測定装置の説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は右側面図である。
上下方向測定装置10は、大別して粗動部11、上下方向センサ部12を備えている。
【0040】
粗動部11は、さらに基準ベース111、二個の位置調節部112、一個の共通基準孔113を備える。
基準ベース111は、例えば板体や直方体であり、各構成部材が所定位置で取付固定されるようになされている。
位置調節部112は、先端の位置を直線移動させる各種の装置であり、例えばダイアルを回転(図3(a)の矢印a方向)させて位置調節を行うマイクロメータである。二個の位置調節部112が基準ベース111の左右に固定される。
共通基準孔113は、図3(a)でも示すように、基準ベース111の中央に設けられる貫通孔である。
【0041】
上下方向センサ部12は、二個のセンサベース121、二個の変位センサ122、二本のL字状接触子123、二個の支持ばね部124を備えている。ここに、一個のセンサベース121が有する一個の変位センサ122、一本のL字状接触子123、一個の支持ばね部124により一個のセンサ部が形成され、上下方向センサ部12は、左右両側に二個のセンサ部を有するものである。
【0042】
センサベース121は、図3(a)の正面からみてL字状の部材であり、粗動部11の位置調節部112の先端に固定されている。センサベース121は、位置調節部112により上下方向(図3(a)の矢印b方向)に移動する。
変位センサ122は、センサベース121に固定され、後述するがL字状接触子123の直上に位置するようになされる。
L字状接触子123は、長尺の棒体の先端に直角の折れ曲がり部の血管接触部123aを有する部材である。L字状接触子123は、支持ばね部124に取り付けられている。
支持ばね部124は、コ字状ばね124aと平行リンク124bとを備える平行ばねであり、センサベース121に固定されている。この支持ばね部124は、L字状接触子123が通常は所定位置にあるように付勢するばね部として機能するとともに、L字状接触子123に上下方向への力が加えられたときにL字状接触子123が上下方向へ移動するように支持する支持部としても機能する。なお、L字状接触子123は上下方向のみならず左右方向にも移動するが、十分に小さい移動量であり、無視しても何ら差し支えなく、以下も単純に上下方向へ移動するものとして説明を進める。また、反対側のセンサ部も同等の機能を有するものであり、重複する説明を省略する。
【0043】
左右のセンサ部の相違点は血管接触部123aの高さである。粗動部11により左右のセンサベース121を同じ高さにしたときに二個の血管接触部123aの高さは所定径の血管600の上下位置で接触するように設計されている。そして、粗動部11を調整すれば、任意径の血管600の上下位置に接触することができる。変位センサ122の計測範囲が狭いため、粗動部11により計測範囲内に収めるようにして使用している。
そして、血管600の収縮などにより二個の血管接触部123aが上下方向に移動すればそのままL字状接触子123も同じ量だけ上下方向(図3(a)の矢印c方向)に移動する。変位センサ122は、このL字状接触子123の上下方向の移動に応じて変化するL字状接触子123の上側先端の位置と、変位センサ122の先端の位置と、の間の距離を表す検出信号を出力する。なお、検出信号を用いる血管についての情報の取得方法については後述する。
【0044】
続いて、左右方向測定装置20について図を参照しつつ説明する。図4は左右方向測定装置の説明図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は右側面図である。
左右方向測定装置20は、大別して粗動部21、左右方向センサ部22を備えている。
【0045】
粗動部21は、さらに基準ベース211、二個の位置調節部212、二個のスライド部213、一個の共通基準孔214を備える。
基準ベース211は、例えば板体や直方体であり、各構成部材が所定位置で取付固定されるようになされている。
位置調節部212は、スライド部213の位置を左右方向(図4(a)の矢印d方向)に直線移動させる各種の装置であり、例えばダイアルを回転方向(図4(a)の矢印e方向)に回転させて位置調節を行うマイクロメータである。
スライド部213は、図4(b)の右側面から見てL字状に形成された部材であり、位置調節部212の位置調節により移動する。
共通基準孔214は、図4(a)でも示すように、基準ベース211の中央に設けられる貫通孔である。
【0046】
左右方向センサ部22は、二個のセンサベース221、二個の変位センサ222、二本の回転接触子223、二個の支持ばね部224を備えている。ここに、一個のセンサベース221が有する一個の変位センサ222、一本の回転接触子223、一個の支持ばね部224により一個のセンサ部が形成され、左右方向センサ部22は、左右両側に二個のセンサ部を有するものである。
【0047】
センサベース221は、図4(a)の正面から見てL字状の部材であり、粗動部21のスライド部213の先端に固定されている。センサベース221は、位置調節部212の位置調節によりスライド部213とともに左右方向(図4(a)の矢印d方向)に移動する。
変位センサ222は、センサベース221に固定され、後述するが回転接触子223の直上に位置するようになされる。
回転接触子223は、二辺の長尺の板体や丸棒・角棒(以下単に棒体という)が90°の角度で連結されたL字状の部材であって、一方の棒体の先端に血管接触部223aを有し、他方の棒体に変位センサ222が面するような部材である。回転接触子223は、支持ばね部224に取り付けられている。
支持ばね部224は、L字状に形成されたL字状板ばねであって回転接触子223の直角部を中心軸として回転するように取り付けられており、センサベース221に固定されている。この支持ばね部224は、回転接触子223が通常は所定位置にあるように付勢するばね部として機能するとともに、回転接触子223に回転力が加えられたときに回転接触子223が中心軸で回転するように支持する支持部としても機能する。なお、反対側のセンサ部も同等の機能を有するものであり、重複する説明を省略する。
【0048】
左右のセンサ部の相違点は血管接触部223aの左右方向の位置である。粗動部21により左右のスライド部213を調節して二個の血管接触部223aの左右位置は所定径の血管600の左右位置で接触するように設計されている。そして、粗動部21を調整すれば、任意径の血管600の左右位置に接触することができる。変位センサ222の計測範囲が狭いため、粗動部21により計測範囲内に収めるようにして使用している。
【0049】
そして、血管600の収縮などにより二個の血管接触部223aが左右方向(図4(a)の矢印f方向)に移動すればそのまま回転接触子223が中心軸で回転移動して変位センサ222に対向する箇所では上下方向(図4(a)の矢印g方向)に回転移動し、変位センサ222と回転接触子223との距離が変化する。変位センサ222は、この回転接触子223の回転移動に応じて変化する回転接触子223の上側先端の位置と、変位センサ222の先端の位置と、の間の距離を表す検出信号を出力する。なお、検出信号を用いる血管の情報取得方法については後述する。
【0050】
以上説明した上下方向測定装置10(図3(a)参照)および左右方向測定装置20(図4(a)参照)は、上下方向で血管接触部の方向へ向かうに従ってV型に狭まる形状としている。これにより、生体内の奥にあって左右両側に切開部がある血管に対しても接触して測定することが可能となる。
【0051】
続いて基準部30について説明する。図5は基準部30の説明図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は右側面図である。図5(a),(b)では、上下方向測定装置10および左右方向測定装置20も併せて図示されている。
基準部30は、例えば丸棒であり、上下方向測定装置10の共通基準孔113および左右方向測定装置20の共通基準孔214に挿通される。これら共通基準孔113,214は、何れも上下方向および左右方向に対してともに垂直な軸方向に貫通する孔である。上下方向測定装置10および左右方向測定装置20は、この基準部30を回動軸とする回転方向(図5(a)では矢印h方向)に回動自在に支持されるとともに血管の軸方向と略平行である基準部30に沿って摺動されて軸方向(図5(b)では矢印i方向)に移動自在に支持される。特に上下方向測定装置10を図5(a)のように矢印h方向下側に回動させると、血管600がその横側から血管接触部123a内へ配置(位置決め)されるため、血管600の配置(位置決め)が簡単になるという利点がある。
【0052】
続いて血管位置固定具40,50について説明する。図6は血管位置固定具40の説明図、図7は血管位置固定具50の説明図である。
図6に示す血管位置固定具40は、上下方向測定装置10の基準ベース111に取り付けられるものであり取付部41、固定孔42、棒体43、J字状曲げ部44、押し当て部45を備える。取付部41が基準ベース111に固定される。固定方法は固定孔42にねじを挿通させて固定するなど各種方法を採用できる。棒体43は取付部41と連結されて一体に形成されており、上下方向に延びる部材である。J字状曲げ部44は棒体43と連結されて一体に形成されている。J字状曲げ部43の下側には押し当て部45が一体に形成されている。押し当て部45は図6に示す半長円状としたり、あるいは図示しないが円形とすることができる。
【0053】
また、図7に示す血管位置固定具50は、左右方向測定装置20のセンサベース221に取り付けられるものであり、取付部51、固定孔52、棒体53、J字状曲げ部54、押し当て部55を備える。取付部51がセンサベース221に固定される。固定方法は固定孔52にねじを挿通させて固定するなど各種方法を採用できる。棒体53は取付部51と連結されて一体に形成されており、上下方向に延びる部材である。J字状曲げ部54は棒体53と連結されて一体に形成されている。J字状曲げ部53の下側には押し当て部55が一体に形成されている。押し当て部55は図7に示す半長円状としたり、あるいは図示しないが円形とすることができる。
なお、血管位置固定具40,50の操作方法については後述する。
【0054】
以上本形態の血管形状測定装置100の構造について説明した。なお、上下方向測定装置10の変位センサ122や左右方向測定装置20の変位センサ222については特に種類を限定しないで説明した。しかしながら、変位センサとして特に渦電流式変位センサを採用すると良い。渦電流式変位センサの測定原理は、高周波磁界を利用するものであり、センサヘッド内部のコイルに高周波電流を流して高周波磁界を発生させ、この磁界内に金属のL字状接触子や回転接触子があると、電磁誘導作用によって、L字状接触子や回転接触子の表面に磁束の通過と垂直方向の渦電流が流れて、センサコイルのインピーダンスが変化するため、この現象による発振状態の変化により、距離を測定する。このような変位センサを採用しても良い。
【0055】
続いてこの血管形状測定装置100を用いる血管についての情報取得方法について説明する。まず、血管の上下左右方向の外径の測定、血管の断面形状や面積の測定、およびこれら外径、断面形状、面積の変化の様子の把握について説明する。
【0056】
まず予め上下方向測定装置10および左右方向測定装置20の原点合わせを行なう。上下方向測定装置10および左右方向測定装置20に対してあらかじめ外径の分かっている円柱(図8の外径Y,X)を血管接触部123aや血管接触部223aに接触した状態とする。
まず上下方向測定装置10の位置調節部112を調節する。位置調節部112は目盛が入っているため、粗動量は容易に把握できる。そして、上下の血管接触部123aの高さが円柱の外径と接する位置となるように調整する。これにより図8の血管の模式図におけるYだけ上下の血管接触部123aが離れた位置にあるように決定される。そしてこれらの位置が上下の血管接触部123aの原点、つまり変位量が0の位置となる。
【0057】
続いて左右方向測定装置20の位置調節部212を調節する。位置調節部212は目盛が入っているため、粗動量は容易に把握できる。そして、左右の血管接触部223aの位置が円柱の外径と接する位置となるように調整する。これにより図8の血管の模式図におけるXだけ左右の血管接触部223aが離れた位置にあるように決定される。そしてこれらの位置が左右の血管接触部223aの原点、つまり変位量が0の位置となる。
【0058】
続いて変位センサ122の出力電圧と、血管表面の変位量と、の関係を表す校正作業を行う。具体的には、上記した外径の分かっている円柱を移動ステージ等により位置を上下方向に移動させることで下側の血管接触部123aの高さを上下方向に一定量変位させ、そのときの変位センサ122の出力電圧をグラフにプロットして、線形近似直線の傾きを係数にして一次式を算出する。具体例を図9の出力特性図に示す。この場合の係数は約200μm/Vである。この図9の出力特性図によれば、変位センサ122の出力電圧が、例えば約6Vから約2Vへ変化した、つまり約4V変化したとき、距離が約700μmから約1500μmへ変化した、つまり約800μmの変位があったことが判定できる。このように変位センサ122の出力電圧から図8の下側のΔYが算出されることとなる。また同様の手法により上側の血管接触部123aから検出される上側のΔYも算出されることとなる。なおΔY やΔYがマイナスである場合は、Y よりも小さいことを表す。このような校正作業処理は、血管形状測定装置10に接続されており、変位センサ122の出力電圧値を取得する信号処理装置が行う。
【0059】
同様に変位センサ222の出力電圧と、血管表面の変位量と、の関係を表す校正作業を行う。具体的には、上記した外径の分かっている円柱を移動ステージ等により位置を左右方向に移動させることで左側の血管接触部223aを左右方向に一定量変位させ、そのときの変位センサ222の出力電圧をグラフにプロットして、線形近似直線の傾きを係数にして一次式を算出する。例えば、図9で示したような特性図を取得することとなる。このように変位センサ222の出力電圧から左側の血管接触部223aの図8の左側のΔXが算出されることとなる。また同様の手法により変位センサ222の出力電圧から右側の血管接触部223aの右側のΔXも算出されることとなる。なおΔX やΔXがマイナスである場合は、X よりも小さいことを表す。このような処理は、血管形状測定装置10に接続されており、変位センサ222の出力電圧値を取得する信号処理装置が行う。
このように出力電圧が測定できれば血管接触部123aや血管接触部223aの変位が算出される。
【0060】
なお上記方法では、本来は(1)変位センサの出力電圧→(2)変位センサと接触子との距離→(3)血管表面の変位量の順で計算するところを、(2)を省略して(1)→(3)と計算している。変位センサの出力電圧に対する血管表層面の変位量の対応を求めている。このようにしてもセンサ出力電圧の変化量から外径を算出することが可能である。
このようにある出力電圧値を検出したときにその出力電圧値に対応する血管の変位が一意に決定されるため、容易に外径や変位を把握することができる。
【0061】
続いて実際の測定処理について説明する。まず、血管形状測定装置100の取付方法について説明する。
図1で示すように、予め生体400に切開部500を形成し、血管600を露出させる。そして、装置固定具200を操作して血管形状測定装置100を血管600の上側から下降させて、まず血管位置固定具40、血管位置固定具50に血管600を固定することとなる。
【0062】
この際、血管位置固定具40の押し当て部45および血管位置固定具50の押し当て部55を生体400に当接させて押し当てる。これら押し当て部45,55の最下位は、それぞれが同じ高さであり、さらに上下方向測定装置10の血管接触部123aの最下位および左右方向測定装置20の血管接触部223aの最下位よりも十分に低い位置にあるため、上下方向測定装置10の血管接触部123aおよび左右方向測定装置20の血管接触部223aは下側にある生体400よりも高い位置にあってに干渉されることなく自由に移動できる。
【0063】
このような状況下で血管600を血管を図6の矢印j方向(図7では矢印k方向)に移動させて血管位置固定具40,50内に血管600を位置させて、血管600が固定される。この場合、上下方向測定装置10は図5(a)の二点鎖線で示すように基準部30に対して回転させた位置に配置しておくことで、血管600を配置しやすくする。ここで血管位置固定具40,50の開口は同じ側にあり、血管の配置(位置決め)は容易である。
【0064】
続いて上下方向測定装置10、左右方向測定装置20、により血管600の配置(位置決め)を行う。まず左右方向測定装置20を上側から下側へ下降させて血管600が左右の血管接触部223aで挟まれた状態とし、続いて基準部30を回転軸として上下方向測定装置10を回転させることにより横方向から血管600が配置されて上下の血管接触部123aで挟まれた状態とする。このように血管600の固定は容易である。
【0065】
続いてこの血管形状測定装置100を用いる各種情報の取得方法について説明する。
まず、血管の上下方向の径および変化の検出は以下の手法により行われる。上下方向測定装置10の変位センサ122からの検出信号は、図示しない信号処理装置へ出力される。信号処理装置ではこの検出信号をA/D変換して、出力電圧値を求め、先にもとめた算出式から、上下方向と表層面との上側の交点における変位量ΔYおよび上下方向と表層面との下側の交点における変位量ΔYを算出する。
同様に、左右方向測定装置20の変位センサ222からの検出信号は、図示しない信号処理装置へ出力される。信号処理装置ではこの検出信号をA/D変換して、出力電圧値を求め、先にもとめた算出式から、左右方向と表層面との左側の交点における変位量ΔXおよび左右方向と表層面との右側の交点における変位量ΔXを算出する。図8の血管の模式図からも明らかなように、これらY,ΔY,ΔYから上下方向の外径Yが、また、これらX,ΔX,ΔXから左右方向の外径Xが算出される。
【0066】
ここでΔY,ΔYやΔX,ΔXは常時移動しているため、外径YやXを決定するには何らかの基準を必要とするが、例えば、外径YやX は血圧の下限値が検出されたときにおける値ΔY,ΔY,ΔX,ΔXを用いて外径Y=Y+ΔY+ΔY、外径X=X+ΔX+ΔX として算出する。なお、外径YやXの算出は血圧の下限値が検出されたときに限定するという主旨ではなく、他の判定手法にて外径YやXを決定するようにしても良い。
【0067】
また、信号処理装置は、血管600の断面を図8の点線による血管の模式図のように楕円形状であると仮定し、左右上下から得られる二方向の外径X,Yから血管の断面形状を楕円または真円(X=Y)に近似して算出することができる。また、楕円・真円の血管断面積の算出も積分等周知の手法により容易に算出することができる。なお、この場合センサの上下方向・左右方向が、それぞれ楕円の長軸方向・短軸方向に合うように、目視によって測定装置全体の設置を行なうようにして、算出精度を高める。
【0068】
続いて血管のコンプライアンスの測定について説明する。血管のコンプライアンスにはいくつか解釈があるが、本形態では血管伸展性D(Distensibility)というパラメータを用いて評価を行う。この評価では血圧を取得する必要があり、血圧を測るために、血管内に挿入して血圧を測定する血圧計(臨床で用いられる市販タイプの血圧計)を用いて血圧データを取得する。
【0069】
血管伸展性Dは、血圧Pのときの血管の断面積をAとし、血圧がΔP上がった時の断面積変化量をΔAとすると次式のように表される。
【0070】
[数1]
D=(ΔA/A)/ΔP
【0071】
ここで、血圧がPのときの上下方向、左右方向の血管の外径(例えば、上記のように血圧の下限値が検出されたとき)をX、Yとして基準とし、ここから血圧がΔP(下限値から上限値との差分値)変化したときの上下方向および左右方向それぞれの変化量をΔX(=ΔX+ΔX)、ΔY(=ΔY+ΔY)とすると、血管伸展性Dは、次式のように表される。
【0072】
[数2]
D={(X+ΔX)×(Y+ΔY)−X}/X/ΔP
【0073】
このような処理を行うため、信号処理装置は、血圧計からサンプル時間毎の血圧データを取得し、また、同時に血管の変位量ΔX,ΔYを連続して算出してサンプル時間毎の変位量ΔX,ΔYを取得する。そして、信号処理装置は、血圧データが下限値を示すときと上限値を示すときの血圧の差分値を算出する。次に変位量ΔX,ΔYを抽出し、血圧データが下限値を示すときの変位量ΔX,ΔYを用いて上記式により外径X,Yを決定し、さらに血圧データの下限値を示したときの変位量と血圧データが下限値を示したときの変位量との差分値である変位量ΔX,ΔYを用いて上記数2を用いることで血管伸展性Dによるコンプライアンスを容易に取得することができる。
【0074】
続いて、他の形態の血管形状測定装置100’について図を参照しつつ説明する。図10は他の形態の血管形状測定装置の斜視図である。図11は、他の形態の血管形状測定装置の断面図であり、図11(a)は上下方向測定装置の構成図、図11(b)は左右方向測定装置の構成図である。図12は、他の形態の血管形状測定装置の操作の説明図であり、図12(a)は上下方向測定装置の操作図、図12(b)は左右方向測定装置の操作図である。なお、図12ではケーシングの上側を開放した図としている。
【0075】
血管形状測定装置100’は、図10で示すように、ケーシング60、上下方向測定装置70、左右方向測定装置80、ケーブル90を備える。
ケーシング60は、図11で示すように、二個の突起部61、二個のばね係止部62、四個の支持部63、二個の長孔部64を備える。
上下方向測定装置70は、二本のL字状接触子71、二本のばね部72、二個の変位センサ73を備える。
左右方向測定装置80は、二本の回転接触子81、支持部82、スライダ83、ばね部84と、二個の変位センサ85を備えている。
【0076】
まず図11(a)に示す上下方向測定装置70について説明する。
二本のL字状接触子71は、何れも長尺の棒体の先端に直角の折れ曲がり部の血管接触部71aを有する。なお、血管600が入れられる開口付近には血管600を傷つけないためのテーパ部71bも形成されている。L字状接触子71は、ストッパ部71cが位置決め用に設けられている。血管接触部71aが下側のL字状接触子71(図11(a)では左側)はケーシング60の突起部61に下側からストッパ部71cが接触し、また、血管接触部71aが上側のL字状接触子(図11(a)では右側)はケーシング60の突起部61に上側からストッパ部71cが接触する。これにより2個の血管接触部71aの間はストッパ部71cで決定される位置がホームポジションとなる。二本のL字状接触子71は、ケーシング60に設けられた孔である4個の支持部63により、二本のL字状接触子71の棒体の軸方向、つまり上下方向に移動するようにそれぞれ支持される。
【0077】
ばね部72は、二本のL字状接触子71の血管接触部71aが近づくように二本のL字状接触子71をそれぞれ付勢する。ばね部72の一方はケーシング60内のばね係止部62に取り付けられる。血管接触部71aが下側のL字状接触子71(図11(a)では左側)は上側方向に付勢され、血管接触部71aが上側のL字状接触子71(図11(a)では右側)は下側方向に付勢される。
二個の変位センサ73は、二本のL字状接触子71の直上に配置され、L字状接触子71の上下方向の位置をそれぞれ測定する。二個の変位センサ73は、二本のL字状接触子71に接触しているが、変位センサ73の先端は弾性を有しており、二本のL字状接触子71はさらに上側方向へも移動する。これら二個の変位センサ73は、ケーブル90(図10参照)により図示しない信号処理装置に接続されている。
【0078】
続いて、図11(b)に示す左右方向測定装置80について説明する。
二本の回転接触子81は、長尺の棒体の先端に血管接触部81aを有する。なお、血管600が挿入される開口付近には血管600を傷つけないためのテーパ部81bも形成されている。
支持部82は、二本の回転接触子81が回転移動するようにそれぞれ支持する。
スライダ83はこの支持部82を軸支している。スライダ83はケーシング60の長孔部64に挿通されており、上下方向に移動可能に支持されている。
ばね部84は、二本の回転接触子81の血管接触部81aが近づくようにそれぞれ付勢する。
二個の変位センサ85は、二本の回転接触子81の回転方向の位置をそれぞれ測定する。なお、スライダ83により二本の回転接触子81が上下方向に移動すると二個の変位センサ85も同時に移動するため、二個の変位センサ85と二本の回転接触子81とは常に当接している。同時にばね部84の付勢力により二本の回転接触子81が二個の変位センサ85に常に接触するように押し当てられている。これら二個の変位センサ85は、ケーブルにより図示しない信号処理装置に接続されている。
【0079】
続いて血管形状測定装置100’の操作について説明する。
まず、上下方向測定装置70に血管を配置する。ここで、左右方向測定装置80をスライダ83により上昇させて、図12(a)で示すように、左右方向測定装置80の血管接触部81aを上側へ引き込む。
【0080】
続いて、上下方向測定装置70上下の血管接触部71aを血管600の横側から入れ込む。この場合、テーパ部71bにより血管600が傷つくことなく上下の血管接触部71a内に取り付けられる。二本のL字状接触子71は、ばね部72の付勢力に抗して二個の血管接触部71aを、血管600の軸方向に対して直交する直径方向であって血管600の表層面の下側(生体側)から上側(センサ側)までの方向である上下方向と、血管の表層面と、の二交点で接触させるようにしており、血管600を上下方向で挟みこむ。
【0081】
続いて、スライダ83を降ろして図12(b)で示すように左右方向測定装置80の血管接触部81aを血管600の上側から入れ込む。この場合、テーパ部81bにより血管600が傷つくことなく左右の血管接触部81a内に配置される。二本の回転接触子81は、ばね部84の付勢力に抗して二個の血管接触部81aを、上下方向および血管600の軸方向に対して直交する方向である左右方向と、血管600の表層面と、の二交点で接触させるようにしており、血管600を上下方向で挟みこむ。
血管600の配置はこのように行われる。
【0082】
そして、上下方向測定装置70の二個の変位センサ73は、血管接触部71aと連動して変位する二本のL字状接触子71の上下方向の位置を、血管600の表裏両側の血管接触部71aの位置を表す検出信号として出力する。同様に左右方向測定装置80の二個の変位センサ85は、血管接触部81aと連動して変位する二本の回転接触子81の左右方向の位置を、血管の左右両側の血管接触部81aの位置を表す検出信号として出力する。ここで二個の変位センサ73からの検出信号の出力電圧値と前述したΔY,ΔY の値とを一意に対応させ、また、二個の変位センサ85からの検出信号の出力電圧値とΔX,ΔX の値を一意に対応させることで血管600の上下左右方向の外径や変位を容易に算出することができる。
【0083】
なお、血管の外径や変位に基づく形状や断面積の測定方法、コンプライアンスの測定方法は先に説明した形態で行う方法と同じであり、重複する説明を省略する。
このような形態としても本発明の説明は可能である。
【0084】
以上本発明の血管形状測定装置について説明した。
なお、本発明では特に二方向の血管の外径および変位を求めるものとして説明した。しかしながら、上記構成に加えて別途上下方向測定装置や左右方向測定装置を一台づつ準備し、これら上下方向測定装置や左右方向測定装置を45度傾斜させて用いれば、上下左右方向に加えて45度傾斜方向の外径や変位を取得することも可能となって、四方向の血管の外径および変位を求めることも可能となる。
【0085】
一般化すると、一個の基準直径方向測定装置と、一個以上の交差直径方向測定装置と、を準備する。
基準直径方向測定装置は、血管の軸方向に対して直交する基準直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の基準直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する。
交差直径方向測定装置は、血管の軸方向に対して直交するとともに基準直径方向と交差する交差直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の交差直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する。
このような血管形状測定装置は、基準直径方向測定装置および少なくとも一個以上の交差直径方向測定装置からそれぞれ出力される検出信号に基づいて血管の基準直径方向および少なくとも一以上の交差直径方向の外径および変位を検出する。このような構成を採用しても良い。
【0086】
以上説明した本発明の血管形状測定装置によれば、以下のような利点を有する。
(1)生体の血管の外径およびその変化が精度よくかつ高い応答性をもって得られる。
(2)二以上の方向の外径や変位を同時に測定することができるので、血管の断面形状や面積およびその変形の様子を把握することができる。
(3)血管形状測定装置が先端の血管接触部に向けてV形状をしているため、血管を生体から露出して測定するに際し、血管形状測定装置の血管接触部が生体の切開部の奥まで入れやすい。そのため血管を無理に外へ引っ張りだす必要がないので、血管を本来に近い状態で測定できる。
(4)血管位置固定具を設けたので、切開した箇所の底部にある血管を少し浮かすことができると共に、血管接触部と血管との位置関係を固定的に保つことができ、生体の呼吸等による切開部の動きの影響を受けない。
(5)血管内の血圧測定と組み合わせることにより、血圧と血管の断面積の相関関係が得られ、これにより血管のコンプライアンスを測定することができる。
(6)血管を周りの組織から切り離して測定するため、血管単体の特性を生体の状態で把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】血管形状測定装置の使用を説明する説明図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態の血管形状測定装置の説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は背面図である。
【図3】上下方向測定装置の説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は右側面図である。
【図4】左右方向測定装置の説明図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は右側面図である。
【図5】基準部の説明図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は右側面図である。
【図6】血管位置固定具の説明図である。
【図7】血管位置固定具の説明図である。
【図8】血管の模式図である。
【図9】変位−変位センサ電圧を表す特性図である。
【図10】他の形態の血管形状測定装置の斜視図である。
【図11】他の形態の血管形状測定装置の断面図であり、図11(a)は上下方向測定装置の構成図、図11(b)は左右方向測定装置の構成図である。
【図12】他の形態の血管形状測定装置の操作の説明図であり、図12(a)は上下方向測定装置の操作図、図12(b)は左右方向測定装置の操作図である。
【符号の説明】
【0088】
100:血管形状測定装置
10:上下方向測定装置
11:粗動部
111:基準ベース
112:位置調節部
113:共通基準孔
12:上下方向センサ部
121:センサベース
122:変位センサ
123:L字状接触子
123a:血管接触部
124:支持ばね部
124a:コ字状ばね
124b:平行リンク
20:左右方向測定装置
21:粗動部
211:基準ベース
212:位置調節部
213:スライド部
214:共通基準孔
22:左右方向センサ部
221:センサベース
222:変位センサ
223:回転接触子
223a:血管接触部
224:支持ばね部
30:基準部
40: 血管位置固定具
41:取付部
42:固定孔
43:棒体
44:J字状曲げ部
45:押し当て部
50:血管位置固定具
51:取付部
52:固定孔
53:棒体
54:J字状曲げ部
55:押し当て部
100’:血管形状測定装置
60:ケーシング
61:突起部
62:ばね係止部
63:支持部
64:長孔部
70:上下方向測定装置
71:L字状接触子
71a:血管接触部
71b:テーパ部
71c:ストッパ部
72:ばね部
73:変位センサ
80:左右方向測定装置
81:回転接触子
81a:血管接触部
81b:テーパ部
82:支持部
83:スライダ
84:ばね部
85:変位センサ
90:ケーブル
200:装置固定具
300:手術台
400:生体
500:切開部
600:血管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の軸方向に対して直交する基準直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の基準直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する基準直径方向測定装置と、
血管の軸方向に対して直交するとともに基準直径方向と交差する交差直径方向と、血管の表層面と、の二交点で二個の血管接触部が接触し、二個の血管接触部の交差直径方向の変位を変位センサが検出して検出信号を出力する、少なくとも一個以上の交差直径方向測定装置と、
を備え、基準直径方向測定装置および少なくとも一個以上の交差直径方向測定装置からそれぞれ出力される検出信号に基づいて血管の基準直径方向および少なくとも一以上の交差直径方向の外径および変位を検出することを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血管形状測定装置において、
前記基準直径方向が血管の表層面の下側から上側までの方向の上下方向であり、前記交差直径方向が上下方向に対して直交する方向の左右方向であることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置は、
長尺の棒体の先端に直角の折れ曲がり部の血管接触部を有するL字状接触子と、
上下方向に移動するようにL字状接触子を支持するとともにL字状接触子が所定位置にあるように付勢する支持ばね部と、
L字状接触子の上下方向の位置を測定する変位センサと、
支持ばね部および変位センサをそれぞれ固定するセンサベースと、
からなるセンサ部を左右一対有する上下方向センサ部を備え、
二本のL字状接触子は、それぞれの支持ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の上下両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本のL字状接触子の上下方向の位置を、血管の上下両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の血管形状測定装置において、
前記支持ばね部は平行ばねであることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向センサ部の二個のセンサ部がそれぞれ連結され、二個のセンサ部の上下方向の相対的な位置を決定する二個の位置調節部と、二個の位置調節部がそれぞれ固定される基準ベースと、を有する粗動部を備えることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向測定装置は、
長尺の棒体の先端に血管接触部を有する回転接触子と、
血管接触部の左右方向の移動に応じて回転接触子が回転移動するように支持するとともに回転接触子が所定位置にあるように付勢する支持ばね部と、
回転接触子の回転方向の位置を測定する変位センサと、
支持ばね部および変位センサをそれぞれ固定するセンサベースと、
からなるセンサ部を左右一対有する左右方向センサ部を備え、
二本の回転接触子は、それぞれの支持ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の左右両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本の回転接触子の左右方向の位置を、血管の左右両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の血管形状測定装置において、
前記支持ばね部はL字状板ばねであることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向センサ部の二個のセンサ部がそれぞれ連結される二個のスライド部と、二個のスライド部の左右方向の相対的な位置を決定する位置調節部と、を有する粗動部を備えることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項9】
請求項2〜請求項8の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
直線状の棒体である基準部を備え、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置は、上下方向および左右方向に対してともに垂直な軸方向に貫通する共通基準孔を有し、その共通基準孔に挿通される基準部を回動軸として回動自在に支持されるとともに基準部の軸方向に移動自在に支持されることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項10】
請求項2〜請求項9の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置は、上下方向に沿って血管接触部の方向へ向かうに従ってV型に狭まる形状であることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項11】
請求項2〜請求項10の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記変位センサは、渦電流式変位センサであることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項12】
請求項2〜請求項11の何れか一項に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置および前記左右方向測定装置を挟むように両側に配置され、血管の位置を決定する二個の血管位置固定具を備えることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の血管形状測定装置において、
前記血管位置固定具は、J字型に形成されたJ字状曲げ部を備えることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の血管形状測定装置において、
前記J字状曲げ部の先端に配置され、上下方向測定装置の血管接触部の最下位および左右方向測定装置の血管接触部の最下位よりも低い位置に最下位が形成された押し当て部を備えることを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項15】
請求項2に記載の血管形状測定装置において、
前記上下方向測定装置は、ケーシング内に配置され、
長尺の棒体の先端に対して直角の折れ曲がり部の血管接触部を有する二本のL字状接触子と、
ケーシングに設けられ、上下方向に移動するように二本のL字状接触子をそれぞれ支持する支持部と、
二本のL字状接触子の血管接触部が近づくように二本のL字状接触子をそれぞれ付勢する二個のばね部と、
二本のL字状接触子にそれぞれ設けられ、ケーシングの突起部と当接して二本のL字状接触子の位置決めをする二個のストッパ部と、
二本のL字状接触子の上下方向の位置をそれぞれ測定する二個の変位センサと、
を備え、
二本のL字状接触子は、それぞれのばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の上下両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本のL字状接触子の上下方向の位置を、血管の上下両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項16】
請求項2または請求項15に記載の血管形状測定装置において、
前記左右方向測定装置は、ケーシング内に配置され、
長尺の棒体の先端に血管接触部を有する二本の回転接触子と、
血管接触部の左右方向の移動に応じて二本の回転接触子が回転移動するようにそれぞれ支持する支持部と、
支持部が固定されるとともにケーシングの長孔部に沿って移動するように支持されるスライダと、
二本の回転接触子のそれぞれの血管接触部が近づくように付勢するばね部と、
二本の回転接触子の左右方向の位置をそれぞれ測定する二個の変位センサと、
を備え、
二本の回転接触子は、スライダの移動によりケーシングから出没するとともに、ばね部の付勢力に抗して二個の血管接触部を血管の左右両側に接触させて血管を挟むようになされ、
二個の変位センサは、それぞれの血管接触部と連動して変位する二本の回転接触子の左右方向の位置を、血管の左右両側の血管接触部の位置を表す検出信号として出力することを特徴とする血管形状測定装置。
【請求項17】
請求項1〜請求項16の何れか一項に記載の血管形状測定装置を用いて血管の上下左右方向の外径および変位を測定し、血管形状測定装置が測定する血管の近傍を測定点として血圧を測定し、上下左右方向の外径、変位および血圧を用いて血管のコンプライアンスを算出することを特徴とする血管のコンプライアンス測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−233226(P2009−233226A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85314(P2008−85314)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月1日 日本人工臓器学会発行の「人工臓器 第36巻 第2号 第45回日本人工臓器学会大会予稿集」に発表
【出願人】(591037719)
【出願人】(504174504)
【出願人】(508094673)
【Fターム(参考)】