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血管新生のプロテインキナーゼCペプチドモジュレーター
説明

血管新生のプロテインキナーゼCペプチドモジュレーター

本発明は、様々なプロテインキナーゼアイソザイムを阻害するためのペプチドを提供する。ペプチドを、プロテインキナーゼCアイソザイムの任意の領域に導くことができ、1つの態様では、V5ドメインに導く。ペプチドは放出可能であるか、または放出可能ではない様式で、担体に接合させることができる。ペプチドを、血管新生および/または血管透過性を阻害するために用いることができる。ペプチドを、例えば、癌、糖尿病性失明、黄斑変性、関節リウマチ、または乾癬を有する被験体を処置するために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示発明は、血管新生を予防または阻害するための、および/または血管透過性を予防または阻害するための、プロテインキナーゼCアイソフォームのペプチドモジュレーターの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
血管新生は、損傷または傷害後に、傷を治癒するためおよび組織に血流を回復するために、健康体に生じる。血管新生はまた、癌、糖尿病性失明、滲出型(wet)加齢黄斑変性、関節リウマチ、乾癬、アテローム、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性腎症、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、リンパ浮腫、子宮内膜症、不正子宮出血、および70を超える他の症状などの、多くの疾患に関連する。これらおよび他の疾患では、望ましくない血管新生としても知られている新しい血管の不適切な発達が、病変組織を扶養する役割を果たして正常組織を破壊する場合があり、また癌の場合には、新しい血管が腫瘍転移を促進し得る。
【0003】
血管新生プロセス
血管新生プロセスは、典型的には損傷部位での血管新生増殖因子の産生および放出から始まり、増殖因子は近傍の組織へと拡散する。これらの増殖因子は、近くの既存の血管の内皮細胞に結合して内皮細胞を活性化する。複雑なシグナルカスケードシステムによって、活性化された内皮細胞は増殖し、それらの近傍の環境を変化させ始める。増殖する内皮細胞は、血管新生増殖因子の発生源に向かって転出し、新しい血管の基礎を形成する。内皮細胞は結局、管および血管を形成し、それは血管新生増殖ホルモンを分泌する領域に血液を供給する役目を果たす。
【0004】
血管新生のモジュレーションに関する治療は、医学においてますます重要になってきている。ある予測によれば、血管新生に基づく医薬の研究開発に40億ドルを超える投資がなされたことが、これを、ヒトの歴史上最も重点的に資金が提供された医学研究領域の1つにしている。
【0005】
プロテインキナーゼC
プロテインキナーゼC (PKC)は、細胞増殖、遺伝子発現調節、およびイオンチャネル活性を含む、様々な細胞の機能に関係するシグナル伝達における鍵となる酵素である。PKCファミリーのアイソザイムには少なくとも11の異なるプロテインキナーゼが含まれ、それらのホモロジーおよび活性化物質への感度に基づいて、少なくとも3つのサブファミリーに分けることができる。古典的サブファミリー、即ちcPKCサブファミリーのメンバー、α、β (βI、βII)およびγアイソザイムは、アイソザイム独自(可変またはV)の領域によって互いに隔てられて配置されている四つの相同ドメイン(C1、C2、C3およびC4)を含み、また活性化のためにカルシウム、ホスファチジルセリン(PS)、およびジアシルグリセロール(DG)またはホルボールエステルを必要とする。新規サブファミリー、即ちnPKCサブファミリーのメンバー、δ、ε、η、およびθアイソザイムは、C2相同ドメインを欠き、活性化のためにカルシウムを必要としない。最後に、非典型的サブファミリー、即ちaPKCサブファミリーのメンバー、ζおよびλ/ιアイソザイムは、C2相同ドメインおよびC1相同ドメインの半分の両方を欠き、DG、ホルボールエステル、およびカルシウムに非感受性である。
【0006】
PKCアイソザイムの細胞内分布に関する研究は、PKCの活性化が、PKCの細胞内再分布(トランスロケーションとも呼ばれる)をもたらし、活性化されたPKCアイソザイムが原形質膜、細胞骨格成分、核、および他の細胞内区画と結合するようになることを示す。
【0007】
種々のPKCアイソザイムの独自の細胞機能が、それらの細胞内の位置によって決定されるように見える。例えば、活性化されたβIPKCは核の内部で見出され、一方で活性化されたβIIPKCは、心筋細胞の核近傍および細胞周辺部で見出される。さらに同じ細胞において、εPKCは、活性化に続いてかまたは固定細胞へ外因性の活性化εPKCが加えられた後に、横紋構造(恐らく収縮要素)および細胞-細胞間接着部に、結合する。種々のPKCアイソザイムの種々の細胞領域への局在化が、同様に、活性化されたアイソザイムの、活性化Cキナーゼのレセプター(RACK)と呼ばれる特異的アンカー分子への結合により、出現する。
【0008】
RACKは、活性化されたPKCアイソザイムを、それぞれの細胞内部位へ選択的に固着することによって機能すると考えられる。RACKは、活性化されたPKCのみを結合し、また必ずしもその酵素の基質ではない。また、RACKへの結合は、必ずしもキナーゼの触媒ドメインによって仲介されるわけではない。PKCのトランスロケーションは、活性化された酵素の、細胞顆粒画分に固着されたRACKへの結合を反映しており、PKCがその細胞応答を生成するにはRACKへの結合が必要である。RACKへのPKC結合のインビボでの阻害は、PKCのトランスロケーションおよびPKCに媒介される機能を阻害する。
【0009】
RACK1およびRACK2をコードするcDNAクローンが同定されている。両方共、別のトランスロケーションするプロテインキナーゼ(β-アドレナリン作動性レセプターキナーゼ、β-ARK)のレセプターであるGタンパク質βサブユニットのホモログである。Gタンパク質と同様に、RACK1およびRACK2は、7つのWD40リピートを有する。最近のデータは、RACK1が、活性化されたβIIPKCに対する選択的アンカータンパク質であることを示唆する。
【0010】
PKCアイソザイムの適切な機能には、PKCのトランスロケーションが必要である。RACK上のPKC結合部位またはPKC上のRACK結合部位のいずれかを模倣するペプチドは、インビボでの酵素の機能を選択的に阻害する、PKCのアイソザイム特異的トランスロケーション阻害剤である。
【発明の開示】
【0011】
発明の開示
本発明は、単離された、プロテインキナーゼC (PKC)βまたはδ阻害ペプチドを意図する。該ペプチドは、血管新生阻害活性および/または血管透過性阻害活性を有する。ある態様では、ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の態様では、ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択される配列を有する。さらなる態様では、ペプチドは、ポリArg、TAT、およびショウジョウバエアンテナペディアホメオドメインを非限定的に含む担体に接合されている。担体に接合されたペプチドには、配列番号:7、9、11、および15として同定された配列を有するペプチドが含まれる。
【0012】
本発明はまた、配列番号:18および20〜28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する、単離された直線状ペプチドを包含する。ペプチドは、配列番号:18および20〜28からなる群より選択され得る。
【0013】
本発明にさらに包含されるのは、配列番号:6、18、23、25、26、27、28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつβPKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCβI V5ペプチド; 配列番号:8、21および24からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離されたPKC βII V5ペプチド; ならびに、配列番号:16および17からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつδPKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCδ V5ペプチドである。
【0014】
そのようなペプチドは、化学的に合成するか、または組換えにより生成することができる。
【0015】
薬学的に許容される賦形剤および本発明のペプチドを含む薬学的製剤もまた意図される。
【0016】
本発明は、開示したペプチドを用いる方法を包含する。ある態様では、ペプチドを用いて、血管新生および/または血管透過性を阻害する。血管新生を阻害する1つの方法は、阻害量の単離されたプロテインキナーゼC (PKC)阻害ペプチドで血管新生内皮細胞を処置する工程を含み、それによって血管新生が阻害される。血管透過性を阻害する別の方法は、阻害量の単離されたプロテインキナーゼC (PKC)阻害ペプチドで内皮細胞を処置する工程を含み、それによって血管透過性が阻害される。さらなる態様では、細胞を直接、阻害ペプチドに接触させる。PKC阻害ペプチドは、古典的PKCアイソザイムであるβIもしくはβIIPKC、またはδPKCなどの新規PKCアイソザイムを阻害することができる。ある方法では、PKC阻害ペプチドは、担体に接合され、CKLFIMN (配列番号:7)、CQEVIRN (配列番号:9)、およびCSLNPEWNET (配列番号:11)からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するか、またはCKLFIMN (配列番号:7)、CQEVIRN (配列番号:9)、およびCSLNPEWNET (配列番号:11)からなる群より選択される。他の方法では、PKC阻害ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するか、または配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択される。PKC阻害ペプチドはCYSDKNLIDSM (配列番号:17)であり得る。さらに、PKC阻害ペプチドは、担体に接合されたCSFNSYELGSL (配列番号:15)と50%を越える配列同一性を有し得るか、または担体に接合された配列番号:15を含むことができる。
【0017】
ペプチドを用いて処置することができる例示的な障害には、癌、糖尿病性失明、黄斑変性、関節リウマチ、または乾癬が含まれる。ペプチドを、処置する障害に依存する様々な経路で投与することができる。1つの態様では、特に黄斑変性の処置のために、ペプチドを被験体の眼球組織に投与する。
【0018】
方法は、さらに抗血管新生剤により細胞を処置する工程を含み、それはある態様で、VEGF、FGF、PDGFB、EGF、LPA、HGF、PD-ECF、IL-8、アンジオジェニン、TNF-α、TGF-β、TGF-α、プロリフェリン、およびPLGFからなる群の中の少なくとも1つを阻害する。
【0019】
発明を実施するための最良の形態
開示される本発明は、血管新生を予防もしくは阻害する、および/または望ましくない血管透過性を予防もしくは阻害するための、様々なプロテインキナーゼCアイソザイムのペプチドモジュレーターの使用に関する。PKCアイソザイムのペプチドモジュレーターは、1つまたは複数のPKCアイソザイムの活性を、促進するかまたは阻害するいずれかのペプチドである。好ましい態様では、ペプチドモジュレーターは特異的に単一のPKCアイソザイムに作用する。非特異的にPKCを調節するペプチドもまた意図する。
【0020】
本発明は、単離したプロテインキナーゼC (PKC)βまたはδ阻害ペプチドを特に意図し、該ペプチドは、血管新生を阻害する活性、および/または血管透過性を阻害する活性を有する。ある態様では、ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の態様では、ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択される配列を有する。さらなる態様では、ペプチドは、ポリArg、TAT、およびショウジョウバエアンテナペディアホメオドメインを非限定的に含む担体に接合される。本発明は、具体的には配列番号:7、9、11、および15と同定された配列を有するペプチドの、担体への接合を意図する。
【0021】
本発明はまた、配列番号:18および20〜28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する、単離された直線状ペプチドを包含する。ペプチドは、配列番号:18および20〜28からなる群より選択され得る。
【0022】
本発明にさらに包含されるのは、配列番号:6、18、23、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつβI PKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCβI V5ペプチド; 配列番号:8、21、および24からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつβII PKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCβII V5ペプチド; ならびに、配列番号:16および17からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつδPKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCδ V5ペプチドである。
【0023】
そのようなペプチドは、化学的に合成するか、または組換えにより生成することができる。
【0024】
薬学的に許容される賦形剤および本発明のペプチドを含む医薬品製剤もまた意図される。
【0025】
本明細書に記述される本発明は、望ましくない血管新生活性を阻害するために、および/または望ましくない血管透過性を予防または阻害するために、1つまたは複数のPKC活性を調節するペプチドを被験体へ投与することを意図する。腫瘍を含む癌、糖尿病関連の血管新生、滲出型加齢黄斑変性、関節リウマチ、乾癬、アテローマ、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性腎症、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、リンパ浮腫、子宮内膜症、および不正子宮出血は、望ましくない血管新生活性および/または望ましくない血管透過性をもたらす特性を有する疾患のほんのいくつかの例である。
【0026】
本発明は、開示されたペプチドを用いる方法を包含する。ある態様では、ペプチドを用いて、血管新生および/または血管透過性を阻害する。血管新生を阻害するための1つの方法には、阻害量の単離されたプロテインキナーゼC (PKC)阻害ペプチドで、血管新生内皮細胞を処置する工程が含まれ、それによって血管新生が阻害される。血管透過性を阻害する別の方法には、阻害量の単離されたプロテインキナーゼC (PKC)阻害ペプチドで内皮細胞を処置する工程が含まれ、それによって血管透過性が阻害される。さらなる態様では、細胞を直接、阻害ペプチドに接触させる。PKC阻害ペプチドは、古典的PKCアイソザイムであるβIもしくはβII PKC、またはδPKCなどの新規PKCアイソザイムを阻害することができる。ある方法では、PKC阻害ペプチドは担体に接合され、CKLFIMN (配列番号:7)、CQEVIRN (配列番号:9)、およびCSLNPEWNET (配列番号:11)からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するか、またはCKLFIMN (配列番号:7)、CQEVIRN (配列番号:9)、およびCSLNPEWNET (配列番号:11)からなる群より選択される。他の方法では、PKC阻害ペプチドは、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するか、または配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択される。PKC阻害ペプチドはCYSDKNLIDSM (配列番号:17)であり得る。さらに、PKC阻害ペプチドは、担体に接合されたCSFNSYELGSL (配列番号:15)と50%を越える配列同一性を有し得るか、または担体に接合された配列番号:15を含むことができる。
【0027】
ペプチドを用いて処置することができる、非限定的で例示的な障害には、腫瘍、糖尿病関連の血管新生、滲出型加齢黄斑変性、関節リウマチ、乾癬、アテローマ、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性腎症、動脈再狭窄、自己免疫性疾患、急性炎症、リンパ浮腫、子宮内膜症、および不正子宮出血が含まれる。ペプチドを、処置する障害に応じて任意の数の経路で投与することができ、さらに該ペプチドを本明細書に記載する。1つの態様では、特に黄斑変性の処置のために、被験体の眼球組織にペプチドを投与する。
【0028】
方法は、さらに抗血管新生剤により細胞を処置する工程を含むことができ、それはある態様中で、VEGF、FGF、PDGFB、EGF、LPA、HGF、PD-ECF、IL-8、アンジオジェニン、TNF-α、TGF-β、TGF-α、プロリフェリン、およびPLGFからなる群の中の少なくとも1つを阻害する。
【0029】
本出願中において、特に明記しない限り、本出願の用語の定義および技術の説明は、以下の任意のいくつかの周知の参照の中から見出されるであろう。

【0030】
本発明は、以下の本発明の好ましい態様の詳細な説明、および本明細書に含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。しかし、本方法が開示され、記述される前に、本発明は、特定の核酸、特定のポリペプチド、特定の細胞型、特定の宿主細胞、特定の症状、または特定の方法、その他に限定されないこと、したがってもちろん変化してもよく、それに関する多数の修正および変更が当業者には明白であろうことを理解するべきである。本明細書に使用する用語は、特定の態様のみを記述するためであって、限定する意図は無いこともまた当然である。さらに、本明細書に具体的に定義しない限り、本明細書に使用する用語が関連技術で公知の従来の意味が与えられるべきであることも当然である。
【0031】
血管新生におけるPKCアイソザイムの役割
PKC活性は、血管新生において役割を果たす。内皮細胞は低酸素状態に応答して、PKCアイソザイムの活性を調節する。文献に、例えば心臓組織におけるこれらの効果について述べられている。モデルとして糖尿病性網膜症を用いて、血管新生におけるPKCアイソザイムの役割を説明する。
【0032】
上昇した高血糖レベル症状(糖尿病)は、ジアシルグリセロールおよび糖化最終産物(AGE)の産生をもたらす。AGEは、還元糖と、タンパク質の遊離アミノ基、脂質および核酸との非酵素的反応から形成される雑多な分子群である。あるAGEは、細胞表面のAGE結合レセプターに結合することができ、それは恐らく、細胞の活性化および血管新生への鍵となる成分であるVEGFの生成をもたらす。これらの症状はまた、遊離基の形成、および網膜中のα、β、δ、およびεアイソザイムなどの様々なPKCアイソザイムの活性化をもたらす。増加したPKC活性は、血管収縮因子であるET-1の発現に連結する。PKC活性の阻害は、例えばVEGF産生を低下させ、したがって、血管新生および脈管新生を減少させるか阻害すると考えられる。
【0033】
周皮細胞のアポトーシス、網膜血管基底膜の肥厚および過剰浸透性がまた、糖尿病性網膜症において役割を果たし、不健康な血管新生の進行におけるPKCの役割を指し示す。周皮細胞は、過酸化脂質によって誘起された損傷に対する内皮細胞の保護に重要である。PKC活性は、TGF-β、ECMタンパク質(フィブリノーゲン、IV型コラーゲン)の産生を増加させることができ、基底膜肥厚をもたらす。さらに、βPKCの活性化が血管透過性を増大させることが示された。さらに、δPKCが、RPE細胞における高グルコース症状下のVEGF分泌と関連付けられている。
【0034】
PKC機能を妨害することが糖尿病性網膜症に影響を与えるという証拠として、遺伝子組換え動物およびラットモデルで行われた研究が挙げられる。例えば、βPKCを過剰発現する遺伝子組換えマウスは、「糖尿病様の」症状を有する、即ち虚血に応答して血管新生を増加させる。βPKCノックアウトマウスは、虚血に応答して血管新生を低下させた。LY333531 (Eli LillyからのβPKC選択的阻害剤)で処置された糖尿病ラットは、未処置の糖尿病ラットと比較して、改善された網膜血流を有する。またβPKCは、糖尿病モデル中で上方制御され、活性化される(トランスロケーションされる)ことが示された。VEGFを注入された動物は、網膜の血管透過性を増大させることができ、LY333531による前処置がこの結果を予防することが示された。さらに、ラットの角膜血管新生モデルを用いて、全身的に与えられたLY317615 (これもEli Lillyからのβ-PKC選択的阻害剤)が、新しい血管増殖を予防することができた。
【0035】
滲出型加齢黄斑変性(AMD)およびPKCの役割
PKC活性は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)の進行に役割を果たすと主張されてきた。この疾患では、網膜色素上皮(RPE)の損傷が、血管新生増殖因子、即ち血管新生応答を促進または誘起するサイトカインおよびプロテアーゼの分泌を引き起こすと考えられている。脈絡膜血管新生(CNV)を有する膜の臨床的試料は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGF)のレベルの上昇を示し、これらの因子はすべて血管新生または脈管新生を促進することが知られている。
【0036】
RPE、血管内皮細胞、繊維芽細胞、およびマクロファージなどの細胞から構成される新生血管構造は、眼球内の空隙に侵入する。これらの構造は網膜を不安定にし、その結果、損傷および視力の低下を引き起こす可能性がある。恐らくより重要なことには、新生血管構造は不十分に形成される傾向があり、一般に脆弱な傾向がある。したがって、これらの新生血管構造は、眼球内の空隙に出血する傾向があり、通常は透明な硝子体液を不透明にする。
【0037】
PKCアイソザイムのペプチドモジュレーター
PKCアイソザイムの様々なペプチドモジュレーターについては、以前から記述されてきた。例えば、米国特許第5,783,405号は、β、θ、δ、ε、およびγアイソザイムを含むPKCアイソザイムの活性を調節する多くのペプチドについて記述する。係属中の米国特許出願第10/843,271号は、δPKCを調節するペプチドおよびその誘導体について記述する。米国特許第6,165,977号は、εPKCモジュレーションペプチドおよびその誘導体について記述する。米国特許第6,855,693号は、α、βI、βII、γ、δ、ε、η、μ、θ、およびζアイソザイム由来の、調節する様々なペプチドおよび改変された断片について記述する。各特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
上に議論したペプチドは、単独でまたは互いに組み合わせて用いることができる。例えば、βI-PKCおよびβII,-PKCアイソザイムに作用するペプチド阻害剤の、δPKCに特異的な別の阻害剤と組み合わせた投与を、具体的に意図する。
【0039】
本発明のある態様では、化合物を治療的有効量の抗癌剤と共に投与することができる。その場合、抗癌剤は、化学療法剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、およびアポトーシス誘起剤からなる群より選択される。本明細書で用いる「治療的有効量」とは、血管新生または腫瘍成長に対して負の効果を有する量である。さらに本明細書で用いる「抗癌剤」とは、血管新生、転移、または腫瘍成長に対して負の効果を有する分子を指す。1つの態様では抗癌剤は、VEGF、FGF、PDGFB、EGF、LPA、HGF、PD-ECF、IL-8、アンジオジェニン、TNF-α、TGF-β、TGF-α、プロリフェリン、およびPLGFからなる群より選択される、血管新生因子の発現または活性を阻害する抗血管新生剤である。別の実施態様では、抗癌剤は、マトリックスメタロプロテアーゼの発現または活性を阻害する薬剤;細胞接着分子と相互作用する薬剤;およびウロキナーゼの活性を阻害する薬剤;ならびに別の機構によって血管新生を阻害する薬剤、からなる群より選択される抗血管新生剤である。特定の態様では、本開示発明の化合物を、MACUGEN、LUCENTIS、RETAANE、EVIZON、AVASTIN、およびARXXANTなどの他の抗血管新生処置薬と共に用いることができる。
【0040】
本明細書で用いる「ペプチド」および「ポリペプチド」は、交換可能に用いられ、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸残基の鎖より構成される化合物を指す。特に明記しない限り、ペプチドの配列は、アミノ末端からカルボキシル末端への順に与えられる。特定の態様では、ペプチド阻害剤は、分子間ジスルフィド結合によって結合された2つまたはそれ以上の、同じまたは異なるペプチドを含む。他の態様では、ペプチド阻害剤は、長さが3〜25、6〜20、6〜15、または6〜12個のアミノ酸である。ある態様では、ペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸がd-アミノ酸である。
【0041】
1つの態様では、阻害ペプチドは、RACKのPKC V5ドメインへの結合を阻害する。しかしRACKの、例えばPKC C2ドメインなどの他のPKCドメインとの相互作用の阻害もまた、意図する。βIPKC V5ドメインは、配列

を有し;
βIIPKC V5ドメインは、配列

を有し;および
δPKC V5ドメインは、配列

を有する。ある態様では、阻害ペプチドは、配列番号:1、2、もしくは3の、3〜25、6〜20、6〜15、もしくは6〜12個の連続する残基を含むか、または配列番号:1、2、もしくは3の、3〜25、6〜20、6〜15、もしくは6〜12個の連続する残基を含むペプチドと50%を越える配列同一性を有する。実質的に可変ドメインと相補的な阻害ペプチドはまた、保存ドメインとも部分的に重なり得る。
【0042】
2つのアミノ酸配列のパーセントホモロジーを決定するために、配列を最適比較の目的で整列させる(例えば、1つのポリペプチド配列に、他方のポリペプチドとの最適アラインメントのためにギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。1つの配列のある位置が、他方の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基によって占められている場合には、分子はその位置で同一である。本明細書で用いる、アミノ酸または核酸の「ホモロジー」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等価である。したがって、2つの配列間のパーセント配列同一性は、配列によって共有される同一位置の数の関数である(即ち、パーセント配列同一性=同一位置数/位置総数×100)。好ましくは、本発明に含まれる単離されたアミノ酸変異体は、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28のいずれかに示されるアミノ酸配列全体と、または配列番号:1、2、もしくは3の、3〜25、6〜20、6〜15、もしくは6〜12個の連続する残基を含むペプチドと、少なくとも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、そしてより好ましくは少なくとも約70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、または90〜95%、そして最も好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上、同一である。別の態様では、本発明に含まれる単離されたアミノ酸変異体は、配列番号:7、9、11、または15のいずれかに示されるアミノ酸配列全体と、少なくとも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、そしてより好ましくは少なくとも約70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、または90〜95%、そして最も好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上、同一であり、ここで、ペプチドは担体に接合されている。
【0043】
本発明の目的のために、2つのポリペプチド配列間のパーセント配列同一性を、Vector NTI 6.0 (PC)ソフトウェアパッケージ(InforMax, 7600 Wisconsin Ave., Bethesda, MD 20814)を用いて決定する。10のギャップ開始ペナルティー、および0.1のギャップ伸張ペナルティーを、2つのポリペプチドのパーセント同一性の決定に用いる。他のすべてのパラメーターを、デフォルト設定にセットする。
【0044】
ペプチドまたはペプチド断片は、それが親のペプチドまたはポリペプチドの少なくとも五つの近接したアミノ酸残基配列と同一または相同のアミノ酸配列を有する場合は、親のペプチドまたはポリペプチドに「由来する」。
【0045】
PKCアイソザイム同士を区別することができない非特異的ペプチドまたは化合物に対比して、ペプチドが血管新生経路に含まれる特定のPKCアイソザイムに作用する場合は、ペプチドは「アイソザイム特異的活性」を有する。
【0046】
本明細書に用いる「保存的アミノ酸置換」とは、選択されたポリペプチドまたはタンパク質の活性または三次構造における有意な変化をもたらさない置換である。そのような置換には、典型的には選択されたアミノ酸残基を、同様の物理化学的性質を有する異なる残基に置き換えることが含まれる。物理化学的性質によるアミノ酸のグループ分けは、当業者には公知である。例えば、同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電の極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、が含まれる。
【0047】
本発明の別の局面は、単離されたPKCポリペプチドおよびその生物活性部分の使用に関し、また1つの態様では、PKC V5ドメインポリペプチドの使用に関する。「単離された」もしくは「精製された」ポリペプチド、またはその生物活性部分には、組換えDNA技術よって作成された場合は、細胞物質のいくつかが無いか、または化学的に合成された場合は、化学的先駆物質もしくは他の化学物質が無い。用語「細胞物質が実質的に無い」には、自然にまたは組換えによってポリペプチドが生成される細胞の構成成分のいくつかから分離されている、PKCドメインポリペプチドの調製物が含まれる。1つの態様では、用語「細胞物質が実質的に無い」には、約30%未満(乾重量で)の非PKC物質(本明細書において「混入ポリペプチド」とも呼ぶ)、より好ましくは約20%未満の非PKC物質を、さらにより好ましくは約10%未満の非PKC物質を、および最も好ましくは約5%未満の非PKC物質を有する、PKCドメインポリペプチド調製物が含まれる。
【0048】
PKCポリペプチドまたはその生物活性部分が組換えによって作成される場合、それも培地が実質的に無い、即ち培地はポリペプチド調製物の体積の約20%未満、より好ましくは約10%未満、および最も好ましくは約5%未満を表す。用語「化学的前駆物質または他の化学物質が実質的に無い」には、ポリペプチドの合成に関係する化学的前駆物質または他の化学薬品から分離されたPKCドメインポリペプチドの調製物が含まれる。1つの態様では、用語「化学的前駆物質または他の化学薬品が実質的に無い」には、約30%未満(乾重量で)の化学的前駆物質または他の化学薬品を、より好ましくは約20%未満の化学的前駆物質または他の化学薬品を、さらにより好ましくは約10%未満の化学的前駆物質または他の化学薬品を、および最も好ましくは約5%未満の化学的前駆物質または他の化学薬品を有する、PKCドメインポリペプチドの調製物が含まれる。好ましい態様では、単離されたポリペプチドまたはそれの生物活性部分は、PKCドメインポリペプチドが由来する生物体と同じ生物体からの混入ポリペプチドを欠いている。
【0049】
PKCポリペプチドを担体に接合することができる。ペプチドを担体へ接合させる非限定的な方法には、ジスルフィド結合による接合、および一本鎖、即ち直鎖ポリペプチドとしての合成が含まれる。担体を、リンカーによってPKCポリペプチドに接合することができる。1つの態様では、リンカーは、1〜5個のアミノ酸のペプチド、2〜4個のアミノ酸のペプチド、または2〜3個のアミノ酸のペプチドである。
【0050】
担体は、細胞侵入を可能にする任意の化合物である。担体の非限定的な例には、ポリArg、TAT、およびショウジョウバエアンテナペディアホメオドメインが含まれる。TAT配列は、YGRKKRRQRRR (配列番号:4)である。TAT配列はまた、ペプチドへの接合に用いられるN末端のシステインを有することができ、CYGRKKRRQRRR (配列番号:5)である。ある態様では、担体は、長さで、3〜25残基、4〜20残基、5〜15残基、または6〜12残基を含む。担体の選択は、当業者に周知である。
【0051】
製剤
これらの製剤または組成物を調製する方法には、本発明の化合物と、担体と、および任意で1つまたは複数の補助成分とを1つにまとめる工程が含まれる。一般に製剤を、本発明の化合物と、液体担体または微粉にした固体担体、あるいは両方とを、一様にかつ緻密に1つにまとめ、次に、必要な場合は、生成物を成形して調製する。
【0052】
非経口投与に適する本発明の薬学的組成物は、1つまたは複数の本発明の化合物を、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌で等張の、水溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳剤、あるいは使用直前に無菌注射溶液または分散液へ再構成できる無菌の粉末と組み合わせて含み、それは砂糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を予定する受容者の血液と等張にする溶質、あるいは懸濁剤または増粘剤を含んでもよい。
【0053】
本発明の薬学的組成物中で用いることができる適当な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)およびそれらの適当な混合物、オリーブオイルなどの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機酸エステルが含まれる。適切な流動度を、例えばレシチンなどの被覆材料の使用により、分散物の場合の必要な粒径の保持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0054】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの、補助剤を含んでよい。本発明の化合物に対する微生物の作用の防止を、様々な抗菌物質および抗真菌物質(例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等)を包含させることにより、確実にしてもよい。組成物中へ、砂糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含ませることも望ましい場合がある。加えて、注射可能な剤形の持続性吸収を、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤を包含させることによってもたらすこともできる。
【0055】
いくつかの場合には、薬の効果を延長するために、皮下注射または筋肉注射からの薬の吸収を遅くすることが望ましい。これを、低い水溶解度を有する結晶または非晶質の液体懸濁液の使用により達成してもよい。その場合、薬の吸収速度は、その溶解速度に依存し、言い換えると溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形に依存する。または、油担体中に薬を溶解または懸濁することにより、非経口的に投与される剤形の遅延吸収が成し遂げられる。
【0056】
ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生物分解性高分子中の本発明の化合物の微細カプセルマトリックスの形成により、注射可能なデポー形態を作成する。薬剤対ポリマーの比率、および採用する特定のポリマーの性質に依存して、薬剤放出の速度を制御することができる。他の生物分解性高分子の例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポー製剤は、体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬剤をトラップすることによっても、調製される。
【0057】
経口投与に適する本発明の製剤は、カプセル、カシェ、ピル、錠剤、トローチ(風味付き基剤、通常ショ糖およびアラビアゴム、もしくはトラガカント、を用いる)、粉末、顆粒の、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液としての、または水中油もしくは油中水の乳濁液としての、またはエリキシルもしくはシロップとしての、またはトローチ剤(ゼラチンおよびグリセリン、もしくはショ糖およびアラビアゴムなどの不活性の基剤を用いる)としての、ならびに/または口内洗浄剤等としての、形をしていてもよく、各々は活性成分として本発明の化合物の所定量を含む。本発明の化合物を、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与してもよい。
【0058】
本発明の化合物を薬剤としてヒトおよび動物に投与する場合は、それ自体を、または例えば、薬学的に許容される担体と組み合わせて0.1〜99% (より好ましくは10〜30%)の活性成分を含む薬学的組成物として、与えることができる。
【0059】
これらの化合物を、ヒトおよび他の動物に治療のために、経口投与、例えばスプレーによる経鼻的投与、直腸投与、膣内投与、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、槽内投与、および局所投与を含む任意の適当な投与経路により、粉末、軟膏剤またはドロップ(頬内および舌下を含む)として、投与してもよい。
【0060】
選択される投与経路に関わらず、本発明の化合物(適当な水和された形態で用いてもよい)および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来方式により、薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0061】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物、および投与様式に対して、患者に有毒でなく、所望の治療効果を達成するために有効な活性成分量を得るように、変更してもよい。
【0062】
選択される用量レベルは、使用している本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用している特定の化合物の排泄速度または代謝速度、吸収速度および程度、処置期間、使用している特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物および/または物質、処置されている患者の年齢、性別、体重、症状、健康状態、および以前の病歴、ならびに医療技術において周知の同様の因子を含む、様々な因子に依存すると考えられる。
【0063】
当技術分野において通常の技術を有する医師または獣医は、必要な薬学的組成物の有効量を、容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、薬学的組成物中で使用される本発明の化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルから始めて、望ましい結果を達成するまで徐々に用量を増加させることもあり得る。
【0064】
一般に、本発明の化合物の適当な一日量は、治療効果を生むために有効な最低の用量である、化合物の量になると考えられる。そのような有効量は、一般に上述の因子に依存すると考えられる。一般に、患者のための本発明の化合物の、経口用量、静脈内用量、脳室内用量、および皮下用量は、示した鎮痛効果のために用いる場合、体重1kg、1日当たり、約0.0001〜約100mgの範囲となると考えられる。
【0065】
必要に応じて、活性化合物の有効な一日量を、その日全体で適切な間隔で別々に投与する2、3、4、5、6回、またはそれ以上の分割用量として、任意で、単回投与の形で、投与してもよい。好ましい投薬は、一日当たり一回の投与である。
【0066】
本発明の化合物を単独で投与することもできるが、化合物を薬学的製剤(組成物)として投与するのが望ましい。
【0067】
この処置を受ける被験体は、霊長類、特にヒト、ならびにウマ、ウシ、ブタ、およびヒツジなどの他の哺乳動物、ならびに家禽およびペット一般を含む、処置を必要とする任意の動物である。
【0068】
本発明の化合物を、それだけで、または薬学的に許容される担体と混合して投与することができ、またペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、およびグリコペプチドなどの抗生物質と共に投与することもできる。したがって、連続的治療には、最初に投与した活性化合物の治療効果が、次の化合物を投与す場合に、まだ完全に消え去ってはいないような方式の、活性化合物の逐次的投与、同時的投与、および個別的投与が含まれる。
【0069】
開示された化合物の可能な投与経路
これらの化合物を任意の適当な投与経路により、ヒトおよび他の動物に、治療のために投与できる。本明細書に用いる用語、投与の「経路」は、皮下注射、静脈注射、眼球内注射、皮内注射、筋肉注射、腹腔内注射、気管内投与、硬膜外投与、吸入、鼻腔内投与、経口投与、舌下投与、頬内投与、直腸内投与、膣内投与、槽内投与、および局所投与が、非限定的に含まれるよう意図される。開示された化合物は、全身投与した場合、有効性を有する。
【0070】
上述のように、化合物を、治療的有効量の抗癌剤と共に投与することができる。この場合、抗癌剤は、化学療法剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、およびアポトーシス誘発剤からなる群より選択される。併用レジメンにおいて採用する治療(治療法または手法)の特定の組合せには、望ましい治療法および/または手法と、達成されるべき望ましい治療効果との適合性が考慮されると考えられる。採用される治療により、同じ障害に対して所望の結果を達成することができるか(例えば、発明化合物を、同じ障害を処置するために用いられる別の薬剤と一緒に投与してもよく)、またはそれらにより異なる効果(例えば任意の副作用の制御)を達成することができることもまた理解されると考えられる。本明細書で用いる、特定の疾患または症状を処置または予防するために通常投与される追加の治療薬は、「処置されている疾患または症状に適切である」として公知である。
【0071】
処置の個々の要素を、同時に、逐次的に、または個別に適用することにより、本明細書に定義する本発明の併用処置を達成してもよい。
【0072】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される組成物をまた、人工補装具、人工弁、代用血管、ステント、およびカテーテルなどの、埋込用医療用具を覆うための組成物に組み入れてもよい。したがって、本発明は別の局面では、一般的に上述した本発明の化合物を含む埋込用装置を覆うための組成物、および該埋込用装置を覆うために適する担体を含む。さらに別の局面では、本発明は、一般的に上述した本発明の化合物を含む組成物で覆われた埋込用装置、および該埋込用装置を覆うために適する担体を含む。
【0073】
血管ステントは、例えば再狭窄(損傷後の血管壁の再狭細)を克服するために用いられてきた。しかし、ステントまたは他の埋込用装置を用いる患者は、血栓形成または血小板活性化の危険性がある。キナーゼ阻害剤を含む薬学的に許容される組成物であらかじめ装置を覆うことによって、これらの有害効果を予防または緩和することができる。適当な被覆材、および被覆した埋込用装置の一般的な調製法は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号に述べられており、その全体は、参照により本明細書に組み入れられる。被覆材は典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの混合物などの、生物適合性を有するポリマー材料である。組成物に徐放特性を与えるために、該被覆剤を、任意でさらにフルオロシリコン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはそれらの組合せの、適当な上塗によって覆ってもよい。
【0074】
眼球疾患を処置するための投与
眼用製剤および点眼薬は、本発明の範囲内のものとして意図される。特定の態様では、硝子体内注入および眼球周辺投与が、許容される投与経路である。一回または反復投与、あるいは徐放性投与もまた意図する。
【0075】
滲出型黄斑変性の処置のために、本発明の化合物を、抗血管新生剤と組み合わせて、または光凝固、光力学療法、および黄斑転位手術などの医学的または外科手術的手法と組み合わせて投与することができる。
【0076】
癌を処置するための投与
本発明の処置方法の抗癌効果には、抗腫瘍効果、応答速度、疾患進行の時間、および生存率が非限定的に含まれる。本発明の処置方法の抗腫瘍効果には、腫瘍増殖阻害、腫瘍増殖遅延、腫瘍退行、腫瘍収縮、治療停止した場合の腫瘍の再生増殖時間の増大、疾患進行の減速が非限定的に含まれる。癌処置が必要な被験体に本発明の処置方法を行う場合、該処置方法は、例えば、抗腫瘍効果の程度、応答率、疾患進行の時間、および生存率の1つまたは複数によって測定されるような効果を生むであろうことが期待される。抗癌効果には、既存の疾患の処置だけでなく、予防的処置も含まれる。
【0077】
併用療法に関して、例えば、化学療法剤、他の抗増殖剤、または外科的もしくは医学的技術を、本発明の化合物と組み合わせて、増殖性疾患および癌を処置してもよい。例えば、本発明の独創的制癌剤と組み合わせて用いることのできる他の治療法または抗癌剤には、手術、放射線療法(ほんの数例の中でいくつかを挙げれば、γ線照射、中性子線放射療法、電子線放射療法、陽子療法、近接照射療法、および全身性の放射性同位体)、内分泌療法、生物応答修飾物質(いくつかを挙げれば、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の副作用低減薬剤(例えば鎮吐薬)、ならびにアルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、シタラビール、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、グリベック(商標)、アドリアマイシン、デクサメタゾン、ならびにシクロホスファミドを非限定的に含む、他の認められた化学療法剤が挙げられる。最新の癌治療のより包括的な議論のためには、例えばThe Merck Manual、第17版1999年を参照のこと(その全内容は、参照により本明細書に組み入れられる)。
【0078】
腫瘍を処置するために、本発明の化合物を、例えば経口的に、全身に、内視鏡的に、気管内に、病変内に、経皮的に、静脈内に、皮下に、腹腔内に、または腫瘍内に投与することができる。
【0079】
生物学的有効分子を、共有結合または非共有相互作用により、本発明のペプチドに、機能的に連結してもよい。特定の態様では、機能的に連結した生物学的有効分子が、連結した分子の一部としてペプチドに特性を与えることにより、本発明の上述の態様のペプチドの薬物動力学を変化させることができる。生物学的有効分子がペプチドに与えることができる特性のいくつかには、非限定的に以下のことが含まれる:ペプチドの身体内の個別の場所への送達;身体内の所望の場所にペプチドの活性を集中させ、その効果を他の場所では低下させること;ペプチドによる処置の副作用を低減させること;ペプチドの透過性を変化させること;ペプチドの生物学的利用率または身体への送達速度を変化させること;ペプチドによる処置効果の長さを変化させること;ペプチドの安定性を変更すること;ペプチドの効果の開始および減衰速度を変更すること;ペプチドが効果を持つことを可能にすることによって許容作用を提供すること。
【0080】
開示した化合物を用いるスクリーニング
本発明はまた、開示したPKC阻害ペプチドを用いるスクリーニング方法を提供する。
【0081】
1つの態様では、方法は、開示したPKC阻害ペプチドを用いて、血管新生および/または血管透過性を調節する化合物を同定する工程を含む。または、方法をPKCの阻害を調節する化合物を同定するために用いる。方法は、試験化合物の存在下および非存在下で、本明細書に開示したPKC阻害ペプチドの活性を測定する工程;およびペプチドの活性が、対照ペプチドの存在下の活性と比較して、試験化合物の存在下で変化する場合には、試験化合物が血管新生および/または血管透過性を調節するために有効であるとして選択する工程を含むことができる。測定する工程は、競合結合測定法で、該ペプチドの活性を試験化合物の存在下で測定する工程を含むことができる。選択する工程は、ペプチドの結合が試験化合物存在下で減少する場合には、試験化合物を有効であるとして選択する工程を含むことができる。方法は、細胞内で、またはセルフリーの環境で行われる場合がある。ある態様では、試験化合物は有機化合物である。
【0082】
本発明は、PKC阻害ペプチドによる1つまたは複数のPKCアイソザイムの阻害を調節する化合物を作製するための方法であって、PKC阻害ペプチドによる1つまたは複数のPKCアイソザイムの阻害を調節する化合物を同定するために、本明細書に記述する方法を実行する工程、および化合物を製造する工程を含む、方法をさらに意図する。
【0083】
開示した化合物を含むキット
本発明はまた、本発明の治療レジメンを実行するためのキットを提供する。そのようなキットは、PKCβおよび/またはδに対してアイソザイム特異的阻害活性を有する治療的有効量のペプチドを、薬学的に許容される形態で、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて薬学的に許容される形態で含む。好ましい剤形は、ペプチドを、滅菌食塩水、デキストロース溶液、緩衝液または他の薬学的に許容される滅菌液体と組み合わせて含む。または、組成物は凍結乾燥されても、乾燥されていてもよい。この実例では、キットはさらに、好ましくは無菌の薬学的に許容される溶液を、注射目的の溶液を形成するために含んでもよい。別の態様ではキットはさらに、組成物を注射するために、針または注射器を好ましくは無菌の形態で包装して、含んでもよい。他の態様では、キットはさらに、被験体へ組成物を投与するための指示手段を含む。指示手段は、挿入書面、オーディオテープ、視聴覚テープ、または被験体への組成物の投与を教示する任意の他の手段であり得る。
【0084】
1つの態様では、キットは、(i) PKCβに対してアイソザイム特異的阻害活性を有するペプチドを含む第1の容器;(ii) PKCδに対してアイソザイム特異的阻害活性を有するペプチドを含む第2の容器;および(iii) 使用のための指示手段を含む。
【0085】
別の態様では、キットは、(i) PKCβまたはδドメインに対してアイソザイム特異的阻害活性を有するペプチドを含む第1の容器;(ii) 抗血管新生剤を含む第2の容器;および(iii)使用のための指示手段を含む。
【0086】
1つの態様では、ペプチドは、PKCβまたはδ V5ドメインに対してアイソザイム特異的阻害活性を有する。別の態様では、ペプチドは、非-V5ドメインに対してアイソザイム特異的阻害活性を有する。
【0087】
1つの態様では、抗血管新生剤は、VEGF、FGF、PDGFB、EGF、LPA、HGF、PD-ECF、IL-8、アンジオジェニン、TNF-α、TGF-β、TGF-α、プロリフェリン、およびPLGFからなる群の中の少なくとも1つを阻害する。
【0088】
関連する局面では、本発明は、上述のキットの内容を含む製品を提供する。例えば、本発明は、PKCβおよび/またはδに対してアイソザイム特異的阻害活性を有する有効量のペプチドを単独でまたは他の薬剤と組み合わせて含み、かつ本明細書に記述した疾患を処置するための使用法を示す指示書を含む製品を提供する。
【0089】
以下の実施例を、本発明を説明するために提示する。しかしそれらは発明を制限するためではない。
【0090】
実施例1
PKCの阻害はVEGF産生に影響を与える
PKCはまた、血管平滑筋細胞および網膜内皮細胞におけるVEGF発現の調節に関係すると考えられてきた(Soucy et al., Chem. Res. Toxicol. 17:555-63 および Mamputu et al., J. Diabetes Complications 16:284-93 (2002)をそれぞれ参照のこと)。一次ラット網膜色素上皮細胞(RPE)で行われた実験では、PKC-δは、PMAに24時間曝した後では、RPE中で有意に下方制御されたことが示された。正常もしくは高グルコース中、または低酸素でのVEGFの分泌は、PMAで24時間処置された後は有意に低下したが、PKC-ζ特異的阻害剤では低下しなかった。これらの実験は、高グルコースおよび低酸素条件で、PKCアイソザイムが活性化され、またそれらがVEGFの発現に必要であることを示した。VEGFの分泌は、低酸素では促進され、かつPKC-δによって制御されるように見える。RPE細胞は、PKCアイソザイムによって制御されるVEGFの発現および分泌を通じて、高グルコースおよび低酸素によって引き起こされる網膜症の発病に寄与している可能性がある(Young et al., Exp. Eye Res., 80:651-62 (2005))。
【0091】
PKC-δペプチド阻害剤の有効性を確立するために、ラットRPEを用いる同様の実験を行う。δ-PKCのペプチド阻害剤は、RPEが高グルコースおよび低酸素条件に曝される場合、上述のように用いられ、かつVEGF mRNAの産生およびVEGF分泌の阻害を示す。
【0092】
実施例2
両方のβPKCアイソザイムが血管新生に必要である
角膜の血管新生モデルを用いて、両方のβPKCアイソザイムが血管新生に必要であることを実証した。VEGFのみ(対照)またはVEGFおよびPKCアイソザイムのペプチド阻害剤(試験)のいずれかを含むELVAXペレット(DU PONT)を、ウサギ角膜の縁郭毛細管近傍に埋込んだ。新しい血管が、埋込み部位に向かって縁郭から成長する。試験および対照の角膜に、規則的に血管新生スコアを割り当てた。スコアは、新しい血管の長さと密度の積である。
【0093】
角膜血管新生分析の採点
血管新生スコア=血管の密度×血管の長さ。
血管の密度=新しく形成された血管の数(0〜6のスコア)。
血管の長さ=血管新生領域(縁郭からペレットまで mm)、0〜5のスコアによって計算する。図1は、採点の例を示す。
【0094】
この研究では、各ペレット中に、200ngのβPKC阻害剤(TAT (配列番号:5)にジスルフィド結合によって接合されたCKLFIMN (配列番号:7)を含むβIV5-3 (配列番号:6)、またはTAT (配列番号:5)にジスルフィド結合によって接合されたCQEVIRN (配列番号:9)を含むβIIV5-3 (配列番号:8))、および200ngのVEGF165を用いた。
【0095】
βIIPKC特異的阻害剤が新血管増殖を予防した
図2A〜Dに示されるように、7日目および10日目に測定した場合、βIIPKC特異的阻害剤で処置されたウサギ角膜は、血管新生を実質的に予防していた。
【0096】
βPKC阻害剤が新血管増殖を予防した
上述のβIおよびβIIPKC特異的阻害剤、およびα、β、γPKC阻害剤(TAT (配列番号:5)にジスルフィド結合によって接合されたCSLNPEWNET (配列番号:11)を含む、βC2〜4 (配列番号:10))の影響を、角膜のシステムで試験した。血管新生スコアを測定した。結果を図3A〜Cに示す。AおよびBはスコアを経時的に示し、Cは12日目のスコアを示す。Aの対照ペプチドは、配列CPDYHDAGI (配列番号:12)を有するスクランブル化(scrambled)対照1ペプチドであり、一方B中のPKCレギュレーターは、ΨεRACK、CHDAPIGYD (配列番号:13)であって、両方ともTAT (配列番号:5)に接合されている。
【0097】
これらの実験の結果は、最小限、両方のβPKCアイソザイムの活性が、血管新生に必要であることを示す。
【0098】
実施例3
δPKCの阻害は、VEGFによって誘起される血管新生を減少させる
上述の角膜モデルを用いて、δPKCアイソザイム特異的阻害剤の血管新生への影響を試験した。この研究では、200ngのVEGF (VEGF121またはVEGF165)を、対照ペプチド(TAT (配列番号:5)に接合されたΨεRACK、CHDAPIGYD (配列番号:12))の存在下で、あるいは500ngのδPKC阻害剤KAI-9803 (配列番号:14)(ジスルフィド結合によってTAT (配列番号:5)へ接合されたCSFNSYELGSL (配列番号:15)を含む)と共に、あるいはペプチド2、dV5 (配列番号:16)(TAT (配列番号:5)にジスルフィド結合によって接合されたCYSDKNLIDSM (配列番号:17)を含む)と共に、ウサギの角膜に挿入した。これらの実験のデータを図4に示す。
【0099】
2つの異なるδPKCアイソザイム特異的ペプチドについて、各時点で強い阻害応答が観察された。
【0100】
実施例4
PKC阻害剤は血管透過性に影響を与える
マイルズ(Miles)分析を用いて、PKCモジュレーターが、VEGFにより誘起される血管透過性に影響を与えることを実証した。この研究では、動物に、エバンスブルー色素を静脈注射した。動物に、増大していく用量のVEGFを、PKCモジュレーターと共に皮内投与した。血漿溢出が、被験体の皮膚上に可視の青いスポットをもたらした。スポットを取り出して、色素を抽出し、その量を分光測光によって測定した。
【0101】
親化合物βIV5-3 (配列番号:6)、およびペプチド変異体、即ち該ペプチドの直鎖版である、配列

を有する直鎖βIを、マイルズ分析で試験した。結果を図5A〜Cに示す。結果は、分析が、2つのβPKC阻害ペプチドの直接の比較を可能にし、したがって該分析がペプチドモジュレーターの相対的な血漿溢出を減少させる能力を測定するための有用な分析であることを実証する。両方のペプチドは、血管透過性を、ビヒクルのみと比較して低下させた。
【0102】
マイルズ分析を、同様に、βIPKC (βIV5-3 (配列番号:6))阻害剤、βIIPKC (βIIV5-3 (配列番号:8))阻害剤、古典的(β-、α-、γ-PKC) PKC阻害剤(βC2-4 (配列番号:10))、およびTAT (配列番号:5)に接合された実施例2からのスクランブル化対照1ペプチド (配列番号:12)について行った。
【0103】
これらの測定の結果を図6A〜Dに示す。結果は、βIPKC (βIV5-3 (配列番号:6))阻害剤およびβIIPKC (βIIV5-3 (配列番号:8))阻害剤の両方が、VEGFによって誘起される透過性を、ビヒクルのみと比較して低下させたことを示す。さらに、古典的PKC阻害剤(βC2-4 (配列番号:10))もVEGFによって誘起される透過性を低下させた。対照的に、スクランブル化対照ペプチドは、VEGFによって誘起される透過性を低下させなかった。
【0104】
実施例5
ウサギへの投与
放射性同位体で標識されたTATペプチド、[14C]-YGXaaRKKRRQRRR (配列番号:19) (10μCi)を各眼に5滴ずつ投与した(4匹のウサギの両眼(n=8個の眼)のそれぞれに総量50μCi、各眼に総量3mgを投与)。各投与には1時間の間隔をあけ、最後の投与の15分後に動物を屠殺した。組織試料を取り出して分析し、局所的分布を決定した。結果を以下に示す。
【0105】
局所的分布のデータ
硝子体:365ng/g組織(+/-203)、投与総用量の0.006%。
脈絡膜:3.4μg/g組織(+/-3.1)、投与総用量の0.003%。
網膜:1.6μg/g組織(+/-0.6)、投与総用量の0.001%。
強膜:28.4μ/g組織(+/-28.1)、投与総用量の0.134%。
これらの結果は、極めて少量の化合物しか後部区分に達しなかったことを示す。
【0106】
実施例6
ラットへの投与
ラットに、0.8mgのKAI-9706-TAMRA(TAMRAに接合されたCHDAPIGYD (配列番号:13))をIPVによって送達した。注射の10分後に、動物を安楽死させ、ホルムアルデヒドで潅流した。免疫蛍光検査法分析のために器官を取り出した。赤色はTAMRAからの蛍光を、青色は核(DAPI染色)を示した。多数の異なる眼の切片を、蛍光について検査し、それらは赤い蛍光を示した。このことは、IPV注入によって、PKC調節ペプチドを眼に送達することができることを示している。
【0107】
実施例7
眼球内での安定性
硝子体液を、最近安楽死させられたブタの眼から、インサイチューで眼に注射器を直接挿入して液体を抜き取ることにより、取り出した。この液体を次に、KAI-9803 (配列番号:14)の、「インビトロの」硝子体での安定性研究に用いた。硝子体液を含む3本の試験管に一定濃度のペプチドを加え、添加後の様々な時間に、5%トリクロロ酢酸を加えて、試験管を遠心して沈殿物質を除き、上清をHPLCにより分析した。
【0108】
3つの時点でクロマトグラフを行った。ペプチドのピークの大きさが変化した。このことは、眼の中におけるペプチドの安定性をインビトロで測定し追跡できること、およびこの方法が、PKC調節ペプチドの硝子体での安定性を決定するためのインビトロ分析を提供することを示す。
【0109】
実施例8
PKC阻害ペプチド変異体
多数のペプチドの、安定性、マイルズ分析活性、および角膜血管新生活性を調べ、採点した。データを以下に示す。

【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】角膜の血管新生分析における採点法の例を示す。
【図2】図2A〜2Dは、βIIPKC特異的阻害剤で処置されたウサギ角膜が、7日および10日目に測定した場合、VEGFにより誘起された血管新生を実質的に予防したことを示す写真である。
【図3】図3A〜3Cは、角膜システムでの、スクランブル化対照ペプチドおよびPKCレギュレーターと比較した、βIおよびβIIPKC特異的阻害剤およびα、β、γPKC阻害剤の影響を示す。図は経時的な(A〜B)、および12日目(C)の、血管新生スコアを示す。
【図4】対照ペプチドまたはPKCレギュレーターと比較した、δPKCアイソザイム特異的阻害剤の血管新生に対する影響を示す。
【図5】図5A〜5Cは、マイルズ分析における2つのβPKC阻害剤の結果を示し、これは両方のペプチドがビヒクルのみと比較して、血管透過性を低下させたこと示す。
【図6】図6A〜6Dは、マイルズ分析における、対照ペプチドと比較した、2つのβPKC阻害剤および1つの古典的PKC阻害剤の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管新生阻害活性および/または血管透過性阻害活性を有する、単離されたプロテインキナーゼC (PKC)βまたはδ阻害ペプチド。
【請求項2】
配列番号:1、2、または3の連続する6〜15残基を含むアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択される配列を有する、請求項1記載のペプチド。
【請求項4】
担体に接合されている、請求項1記載のペプチド。
【請求項5】
配列番号:7、9、11、または15として同定された配列を有する、請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
担体が、ポリArg、TAT、およびショウジョウバエアンテナペディアホメオドメインからなる群より選択される、請求項4記載のペプチド。
【請求項7】
配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド。
【請求項8】
配列番号:18および20〜28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する単離された直線状ペプチドを含む、請求項1記載のペプチド。
【請求項9】
化学的に合成された、請求項8記載のペプチド。
【請求項10】
組換えにより生成された、請求項8記載のペプチド。
【請求項11】
配列番号:18および20〜28からなる群より選択される、請求項8記載のペプチド。
【請求項12】
配列番号:6、18、23、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつβI PKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCβI V5ペプチド。
【請求項13】
配列番号:8、21、および24からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつβII PKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCβII V5ペプチド。
【請求項14】
配列番号:16および17からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつδPKCのアンタゴニストとしての活性を有する、単離されたPKCδ V5ペプチド。
【請求項15】
薬学的に許容される賦形剤および請求項1記載のペプチドを含む、薬学的製剤。
【請求項16】
薬学的に許容される賦形剤および請求項8記載のペプチドを含む、薬学的製剤。
【請求項17】
薬学的に許容される賦形剤および請求項12記載のペプチドを含む、薬学的製剤。
【請求項18】
薬学的に許容される賦形剤および請求項13記載のペプチドを含む、薬学的製剤。
【請求項19】
薬学的に許容される賦形剤および請求項14記載のペプチドを含む、薬学的製剤。
【請求項20】
阻害量の単離されたプロテインキナーゼC (PKC)阻害ペプチドで血管新生内皮細胞を処置する工程を含み、それにより血管新生および/または血管透過性が阻害される、
血管新生および/または血管透過性を阻害するための方法。
【請求項21】
PKC阻害ペプチドが古典的PKCアイソザイムを阻害する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
古典的PKCアイソザイムがβI PKCである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
古典的PKCアイソザイムがβII PKCである、請求項21記載の方法。
【請求項24】
PKC阻害ペプチドが、担体に接合され、かつCKLFIMN (配列番号:7)、CQEVIRN (配列番号:9)、およびCSLNPEWNET (配列番号:11)からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する、請求項20記載の方法。
【請求項25】
PKC阻害ペプチドが、配列番号:6、8、10、18、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する、請求項20記載の方法。
【請求項26】
PKC阻害ペプチドが、配列番号:6、8、10、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、および28からなる群より選択されるペプチドと50%を越える配列同一性を有する、請求項20記載の方法。
【請求項27】
PKCアイソザイムが新規PKCアイソザイムである、請求項20記載の方法。
【請求項28】
新規PKCアイソザイムがδPKCである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
PKC阻害ペプチドが、CYSDKNLIDSM (配列番号:17)である、請求項20記載の方法。
【請求項30】
PKC阻害ペプチドが、担体に接合されたCSFNSYELGSL (配列番号:15)と50%を越える配列同一性を有する、請求項20記載の方法。
【請求項31】
ペプチドが担体に接合されている、請求項20記載の方法。
【請求項32】
担体が、ポリArg、TAT、およびショウジョウバエアンテナペディアホメオドメインより選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
ペプチドが被験体の眼球組織に投与される、請求項20記載の方法。
【請求項34】
被験体が黄斑変性を有する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
被験体が、癌、糖尿病性失明、黄斑変性、関節リウマチ、または乾癬を有する、請求項20記載の方法。
【請求項36】
被験体が関節リウマチを有する、請求項20記載の方法。
【請求項37】
抗血管新生剤で細胞を処置する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項38】
抗血管新生剤が、VEGF、FGF、PDGFB、EGF、LPA、HGF、PD-ECF、IL-8、アンジオジェニン、TNF-α、TGF-β、TGF-α、プロリフェリン、およびPLGFからなる群の内の少なくとも1つを阻害する、請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−508879(P2009−508879A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531446(P2008−531446)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/036568
【国際公開番号】WO2007/035782
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508083415)カイ ファーマシューティカルズ インコーポレーティッド (7)
【Fターム(参考)】