説明

血管新生の抑制に有用なカルボリン誘導体

【課題】VEGF産生の抑制、血管新生の抑制、癌等の治療において有用な化合物の提供。
【解決手段】式(I)のカルボリン化合物、またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体。


(式中、Xはハロゲン等;AおよびBはCHまたはNであるが、AまたはBの少なくとも一方はNであり;R1は、置換されていてもよいC6〜C10アリール基等である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血管新生を抑制するための方法および化合物に関する。さらに詳細には、本発明は、血管新生を抑制するための方法および化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
異常な血管新生は、悪性、虚血性、炎症性および免疫性の障害を含む多くの病気の病因において不可欠の役割を演じる(Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)(非特許文献)1, Ferrara, Semin. Oncol., 29(6 Suppl 16):10-4 (2002)(非特許文献)2)。これらの病気のうちで最もよく知られたものは、癌、滲出性黄斑変性および糖尿病性網膜症(DR)であり、最後の2つは、合衆国において失明の主な原因である(Witmer ら、 Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)(非特許文献3), Clark ら、 Nat. Rev. Drug Discovery, 2:448-459 (2003) (非特許文献4))。最近10年間に、血管新生の分子的な基礎の理解は著しく進展した。血管新生を刺激する多くのサイトカインおよび増殖因子、例えばVEGF、FGF-2、PDGF、IGF-1、TGF、TNF-α、G-CSFが同定された(Ferrara ら、Nat. Med., 5(12):1359-64 (1999)(非特許文献5), Kerbel ら、 Nat. Rev. Cancer, 2(10):727-39 (2002)(非特許文献6), Rofstad ら、Cancer Res., 60(17):4932-8 (2000)(非特許文献7))。これらの増殖因子の中で、血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生において中心的役割を演じる(Ferrara, Semin. Oncol., 29(6 Suppl 16):10-4 (2002)(非特許文献8))。
【0003】
VEGF -Aとしてまた知られるVEGFは最初に、血管浸透性を誘導する能力および血管内皮細胞の増殖を促進する能力について同定された(Leungら、 Science, 246:1306-1309 (1989) (非特許文献9), Plouet ら、EMBO J., 8:3801-3806 (1989)(非特許文献10), Connolly ら、J. Biol. Chem., 264:20017-20024 (1989)(非特許文献11))。VEGF は、選択的スプライシングによって4つのイソ型を生じる1つの遺伝子によりエンコードされる(Tischer ら、 J. Biol. Chem., 266:11947-11954 (1991)(非特許文献12))。全ての4つのイソ型は、同じ異常に長くかつGC豊富な5’-UTR、ならびに多数のRNA安定性決定基を含む3’-UTRを共有している。受容体VEGFR-2(KDRまたはFlk-1としてまた知られる)およびVEGFR-1(以前にFltlとして知られる)は、VEGFの2量体形態を認識する(Ortegaら、Front. Biosci., 4:D141-52 (1999)(非特許文献13), Sato ら、 Annals of New York Academy of Science, 902:201-207, (2000)(非特許文献14))。非常に特異的なVEGFR-2受容体は、内皮細胞で発現される。VEGFR-2受容体に結合するVEGFは、受容体のチロシンキナーゼ活性を活性化させ、内皮細胞の増殖、分化および原始血管形成に至る(Shalabyら、Nature, 376:62-66, (1995)(非特許文献15))。VEGFR-1は、おとりとして作用するか、またはVEGFR-2によるシグナル伝達経路を抑制することによって、内皮細胞の増殖を抑制する(Fongら、 Nature, 376:66-70 (1995)(非特許文献16))。
【0004】
30年以上前、腫瘍血管新生の抑制が癌の治療のために有効なアプローチであり得ることが提案された(Folkman, N. Engl. J. Med., 285(21):1182-6 (1971)(非特許文献17))。VEGFおよびその受容体は、腫瘍血管新生、特に腫瘍の増殖の初期の段階で中心的役割を有することが証明された(Hanahan ら、Cell, 86:353-364, 1996)(非特許文献18))。確かに、VEGF発現の量の増加は、初期の腫瘍組織における微小管の密度に関連していた(Gasparini ら、 J. Natl. Cancer Inst., 89:139-147 (1997)(非特許文献19))。その上、VEGFの転写物の量の増加は、普通の固体腫瘍の実質的に全てにおいて見出される(Ferrara ら、 Endocr. Rev., 18:4-25, 1997)(非特許文献20))。一般に、腫瘍を有する患者は、腫瘍のない人に比べて高濃度のVEGFを有し、血清/血漿中の高いVEGF濃度は、予後がよくないことに関連する(Dirixら、 Br. J. Cancer, 76:238-243 (1997)(非特許文献21))。腫瘍血管新生におけるVEGFの役割と矛盾せずに、VEGFヌル胚幹細胞は、ヌードマウスにおいて腫瘍を形成する能力の劇的減少を示した(Carmeliet ら、Nature, 380:435-439 (1996)(非特許文献22))。腫瘍形成におけるVEGFの関連についての直接の証拠は、ヌードマウスに移植されたヒト異種移植片中のVEGFに対する特異的抗体を使用することによって証明された(Kimら、Nature, 362:841-844 (1993)(非特許文献23), Hichlin ら、Drug Discovery Today, 6:517-528 (2001)(非特許文献24))。これらの研究において、腫瘍増殖の抑制は、抗体-処理した腫瘍における血管形成の減少と明確に関連していた。可溶性受容体を用いたその後の実験は、腫瘍増殖におけるVEGF活性の重要性を実証し(Linら、Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)(非特許文献25))、特異的抗体処理によるVEGFの不活化は直接に、腫瘍に関連した新生血管形成のほぼ完全な抑制を生じることを証明した(Borgstromら、Prostate, 35:1-10 (1998), Yuan ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:14765-14770 (1996)(非特許文献26))。
【0005】
滲出性黄斑変性および糖尿病性網膜症において、予備臨床実験および臨床試験は、VEGFの過剰生産は、異常な網膜または脈絡膜新生血管形成のために不可欠であることを証明した(Witmerら、Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)(非特許文献27)において概説)。目の中のVEGFの量が、糖尿病性網膜症および湿性形態黄斑変性のような疾患を有する患者における活性な網膜/脈絡膜新生血管形成(CNV)に強く関連する証拠が得られた(Funatsu ら、Am. J. Ophthalmol., 133(4):537-43 (2002)(非特許文献28), Lipら、Ophthalmology, 108(4):705-10 (2001)(非特許文献29))。そのほかに、トランスジェニックマウスを使用した研究は、網膜色素上皮細胞または光受容体細胞におけるVEGFの過剰発現は、脈絡膜または網膜の新生血管形成を生じることを証明した(Schwesingerら、Am. J. Pathol., 158(3):1161-72 (2001)(非特許文献30), Ohno-Matsui ら、Am. J. Pathol., 160(2):711-9 (2002)(非特許文献31))。最近の研究においては、抗体、可溶性受容体、受容体拮抗物質またはsiRNAを中和することは、動物モデルおよび診療所においてVEGF仲介の血管形成を減らすのに効果があることがわかった(Eyetech Study Group, 22(2):143-52 (2002)(非特許文献32), Krzystolikら、Arch. Ophthalmol., 120(3):338-46 (2002)(非特許文献33), Shenら、Lab Invest., 82(2):167-82 (2002)(非特許文献34), Honda ら、Gene Ther., 7(11):978-85 (2000)(非特許文献35), Saishin ら、J. Cell Physiol., 195(2):241-8 (2003)(非特許文献36))。
【0006】
VEGFの発現は、サイトカイン、増殖因子、ステロイドホルモンおよび化学物質を包含する多数の因子および剤、ならびにrasのような腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子VHLの活性を調節する変異によって調節される(Maxwellら、Nature, 399:271-275 (1999)(非特許文献37), Rakら、Cancer Res., 60:490-498 (2000)(非特許文献38))。それにもかかわらず、低酸素症は、VEGF発現を調節するための最も重要な生理的シグナルである。低酸素症は、VEGF転写物の転写速度および安定性の両方を増加させることによって、高められたVEGF発現を生じる(Ikeda ら、J. Biol. Chem. 270:19761-19766 (1995)(非特許文献39), Steinら、 Mol. Cell. Biol. 18:3112-3119 (1998)(非特許文献40), Levyら、 J. Biol. Chem. 271:2746-2753 (1996)(非特許文献41))。低酸素症誘発因子1α(HIF-1α)は、VEGFプロモーターに位置する低酸素症応答要素(HRE)に結合することによって、低酸素症になっている細胞におけるVEGF遺伝子発現を増加させる転写因子である(Liuら、Circ. Res., 77:638-643 (1995)(非特許文献42), Semenza, Annu. Rev. Cell. Dev. Biol., 5:551-578 (1999)(非特許文献43))。VEGFmRNAの安定性はまた、3’-UTR中の要素への因子の結合の結果として、大きく高められる(Goldbergら、J. Biol. Cell. J. Biol. Chem., 277(16):13635-40 (2002)(非特許文献44))。その上、VEGF転写物の翻訳開始は、独自に調節される。低酸素条件下では、キャップ-依存性翻訳開始プロセスにより仲介されるほとんどの細胞性転写物の翻訳は、大きく損なわれる(Kraggerudら、 Anticancer Res., 15:683-686 (1995)(非特許文献45))。しかしながら、VEGFmRNAの翻訳の開始は、低酸素条件下では、VEGFの5’-UTR内の内部リボソーム侵入部位(IRES)を経て仲介されるという点で独特である(Steinら、Mol. Cell. Biol. 18:3112-3119 (1998)(非特許文献46), Levyら、 J. Biol. Chem. 271:2746-2753 (1996)(非特許文献47), Huezら、 Mol. Cell. Biol., 18:6178-6190 (1998)(非特許文献48), Akiriら、 Oncogene, 17:227-236 (1998)(非特許文献49))。
【0007】
腫瘍の増殖は、新生血管形成の防止によって抑制することができることを示す、大量の実験による証拠がある(Linら、Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)(非特許文献50), Zhuら、 Invest. New Drugs, 17:195-212 (1999)(非特許文献51))。腫瘍血管は一般に未熟であり、絶えずリモデリングされる(Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)(非特許文献52), Carmelietら、 Nature, 407:249-257 (2000)(非特許文献53))。活性で異常な血管新生は、種々のサイトカイン、増殖因子およびステロイドホルモンを含む、前血管新生(proangiogenic)および抗-血管新生の因子の正常なバランスの破壊の結果である。腫瘍血管新生の調節の複雑さにもかかわらず、蓄積された証拠は、1つの前血管新生因子を標的にすることは、腫瘍血管新生を抑制し、腫瘍の増殖を抑制するのに十分であり得ることを示す(Kimら、 Nature, 362:841-844 (1993)(非特許文献54), Millauerら、Nature, 367:576-579 (1994)(非特許文献55), Fong ら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)(非特許文献56))。多くの血管新生標的の中で、VEGFおよびその受容体は最も魅力的である(Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)(非特許文献57), Ortegaら、Front. Biosci., 4:D141-52 (1999)(非特許文献58))。先に記載したように、VEGFを特異的に標的にするモノクローナル抗体を用いた治療は、ヌードマウスに移植されたヒト異種移植片における腫瘍の増殖を抑制した。その後、VEGFシグナル伝達を不活化するように設計された種々のアプローチが腫瘍モデルで試験され、癌腫、肉腫および神経膠腫を含む広範囲の腫瘍細胞系統において非常に有効であることがわかった(Ferraraら、Endocr. Rev., 18:4-25, (1997)(非特許文献59), Kimら、 Nature, 362:841-844 (1993)(非特許文献60), Millauerら、 Nature, 367:576-579 (1994)(非特許文献61), Fongら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)(非特許文献62), Gengら、Cancer Res., 61:2413-2419 (2001)(非特許文献63))。その他に、抗-VEGF抗体によるVEGFの抑制は、十分に成長したげっ歯動物または霊長類において有意の副作用を生じなかった(Ryanら、 Toxicol. Pathol., 27:78-86 (1999)(非特許文献64), Ferraraら、Nat. Med., 4:336-340 (1998)(非特許文献65))。一緒に考慮すると、これらの結果は、VEGFは腫瘍治療の発展のための有効な標的であることを示す。実際に、多数の臨床試験がVEGF阻害剤を用いて進行中である(Matter, Drug Discovery Today, 6:1005-1024 (2001)(非特許文献67), Hichlinら、Drug Discovery Today, 6:517-528 (2001)(非特許文献68))。
幾つかの前-血管新生因子が、滲出性の年齢に関連する黄斑変性の病理に関係しているが、VEGFは、この病気の病原性および展開に最も不可欠であると思われる(Witmerら、Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)(非特許文献69), Holashら、 Science, 284:1994-1998 (1999)(非特許文献70))。予備臨床実験および臨床試験からのデータは、VEGF単独の妨害が病気の進行を緩和するかまたは安定にするのに十分であることを証明した(Eyetech Study Group, 22(2):143-52 (2002)(非特許文献71), Krzystolikら、 Arch. Ophthalmol., 120(3):338-46 (2002)(非特許文献72), Shen ら、Lab Invest., 82(2):167-82 (2002)(非特許文献73), Hondaら、Gene Ther., 7(11):978-85 (2000)(非特許文献74), Saishinら、 J. Cell Physiol., 195(2):241-8 (2003)(非特許文献75))。例えば、特異的チロシンキナーゼ阻害剤によるVEGFRシグナル伝達の抑制は、未熟モデルのマウス網膜症における網膜の新生血管形成を完全に防止するのに十分である(Ozaki H, Seo MS, Ozaki ら、 Am. J. Pathol., 156(2):697-707 (2000)(非特許文献76))。さらには、マウスVEGFに対して向けられた短鎖干渉RNA(siRNA)は、マウスモデルにおいてレーザー光凝固術後に目の新生血管形成を有意に抑制することが最近証明された(Reichら、Mol. Vis. 30;9:210-6 (2003)(非特許文献77))。これらの結果は、VEGF発現の選択的抑制が達成可能であり、目の新生血管疾患、例えば滲出性黄斑変性および糖尿病性網膜症の治療のためにこのアプローチの確証を提供することを示す。
【0008】
VEGF活性を抑制するのに3つのアプローチが使用され、それは、(1) 特異的抗体、可溶性VEGF受容体またはVEGF/VEGFR相互作用に対するアプタマーオリゴを使用することによるVEGF活性の中和(Kimら、Nature, 362:841-844 (1993)(非特許文献78), Linら、 Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)(非特許文献79), Borgstromら、Prostate, 35:1-10 (1998)(非特許文献80), Zhuら、Invest. New Drugs, 17:195-212 (1999)(非特許文献81), Millauerら、Nature, 367:576-579 (1994)(非特許文献82), Asanoら、Jpn. J. Cancer Res., 90(1):93-100 (1999)(非特許文献83), Brekkenら、Cancer Res., 60(18):5117-24 (2000)(非特許文献84));(2) 特異的な小分子チロシンキナーゼ阻害剤によるVEGFRが仲介するシグナル変換の抑制(Fongら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)(非特許文献85), Wedgeら、 Cancer Res., 60(4):970-5 (2000)(非特許文献86), Lairdら、 Cancer Res., 60(15):4152-60 (2000)(非特許文献87));および(3) アンチセンス、siRNAまたはリボザイムを用いることによるVEGF/VEGFR発現の抑制(Reich ら、 Mol. Vis. 30;9:210-6 (2003)(非特許文献88), Parryら、Nucleic Acids Res., 27:2569-2577 (1999)(非特許文献89), Ellis ら、Surgery, 120:871-878 (1996)(非特許文献90), Filleur ら、 Cancer Res., 63(14):3919-22 (2003)(非特許文献91))を含む。これらのアプローチの全てがin vivoでの血管新生の有意の抑制を示すが、それらは全て、有意の制限を有する。例えば、治療タンパク質(抗体および可溶性受容体)またはオリゴ(アンチセンス、siRNAおよびリボザイム)は、通常非経口投与を必要とし、製造するのに高くつく、透過性に乏しい大きい分子である。慢性的な目の新生血管形成の治療にとって、多数回の注入は、合併症、例えば網膜剥離および処置に関連する感染などの合併症のために非実用的であり得る。さらには、チロシンキナーゼ阻害剤は、限定された特異性の可能性を有する。VEGFは、正常な目および他の組織において低濃度で構成的に発現され、かくして、特にその多くがまた高血圧であるAMDおよびRDを有する患者にとって、抗体またはチロシンキナーゼ阻害剤を全身に投与することによってVEGFの機能を完全に抑制することは有害であり得る(Gilesら、Cancer, 97(8):1920-8 (2003)(非特許文献92), Sugimotoら、J. Biol. Chem., 278(15):12605-8 (2003)(非特許文献93), Bergslandら、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting, 20-23 May, 2000, New Orleans, LA, USA, Abstract 939)(非特許文献94), DeVoreら、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting, 20-23 May, 2000, New Orleans, LA, USA, Abstract 1896(非特許文献95))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)
【非特許文献2】Ferrara, Semin. Oncol., 29(6 Suppl 16):10-4 (2002)
【非特許文献3】Witmer ら、 Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)
【非特許文献4】Clark ら、 Nat. Rev. Drug Discovery, 2:448-459 (2003)
【非特許文献5】Ferrara ら、Nat. Med., 5(12):1359-64 (1999)
【非特許文献6】Kerbel ら、 Nat. Rev. Cancer, 2(10):727-39 (2002)
【非特許文献7】Rofstad ら、Cancer Res., 60(17):4932-8 (2000)
【非特許文献8】Ferrara, Semin. Oncol., 29(6 Suppl 16):10-4 (2002)
【非特許文献9】Leungら、 Science, 246:1306-1309 (1989)
【非特許文献10】Plouet ら、EMBO J., 8:3801-3806 (1989)
【非特許文献11】Connolly ら、J. Biol. Chem., 264:20017-20024 (1989)
【非特許文献12】Tischer ら、 J. Biol. Chem., 266:11947-11954 (1991)
【非特許文献13】Ortegaら、Front. Biosci., 4:D141-52 (1999)
【非特許文献14】Sato ら、 Annals of New York Academy of Science, 902:201-207, (2000)
【非特許文献15】Shalabyら、Nature, 376:62-66, (1995)
【非特許文献16】Fongら、 Nature, 376:66-70 (1995)
【非特許文献17】Folkman, N. Engl. J. Med., 285(21):1182-6 (1971)
【非特許文献18】Hanahan ら、Cell, 86:353-364, (1996)
【非特許文献19】Gasparini ら、 J. Natl. Cancer Inst., 89:139-147 (1997)
【非特許文献20】Ferrara ら、 Endocr. Rev., 18:4-25, (1997)
【非特許文献21】Dirixら、 Br. J. Cancer, 76:238-243 (1997)
【非特許文献22】Carmeliet ら、Nature, 380:435-439 (1996)
【非特許文献23】Kimら、Nature, 362:841-844 (1993)
【非特許文献24】Hichlin ら、Drug Discovery Today, 6:517-528 (2001)
【非特許文献25】Linら、Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)
【非特許文献26】Borgstromら、Prostate, 35:1-10 (1998), Yuan ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:14765-14770 (1996)
【非特許文献27】Witmerら、Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)
【非特許文献28】Funatsu ら、Am. J. Ophthalmol., 133(4):537-43 (2002)
【非特許文献29】Lipら、Ophthalmology, 108(4):705-10 (2001)
【非特許文献30】Schwesingerら、Am. J. Pathol., 158(3):1161-72 (2001)
【非特許文献31】Ohno-Matsui ら、Am. J. Pathol., 160(2):711-9 (2002)
【非特許文献32】Eyetech Study Group, 22(2):143-52 (2002)
【非特許文献33】Krzystolikら、Arch. Ophthalmol., 120(3):338-46 (2002)
【非特許文献34】Shenら、Lab Invest., 82(2):167-82 (2002)
【非特許文献35】Honda ら、Gene Ther., 7(11):978-85 (2000)
【非特許文献36】Saishin ら、J. Cell Physiol., 195(2):241-8 (2003)
【非特許文献37】Maxwellら、Nature, 399:271-275 (1999)
【非特許文献38】Rakら、Cancer Res., 60:490-498 (2000)
【非特許文献39】Ikeda ら、J. Biol. Chem. 270:19761-19766 (1995)
【非特許文献40】Steinら、 Mol. Cell. Biol. 18:3112-3119 (1998)
【非特許文献41】Levyら、 J. Biol. Chem. 271:2746-2753 (1996)
【非特許文献42】Liuら、Circ. Res., 77:638-643 (1995)
【非特許文献43】Semenza, Annu. Rev. Cell. Dev. Biol., 5:551-578 (1999)
【非特許文献44】Goldbergら、J. Biol. Cell. J. Biol. Chem., 277(16):13635-40 (2002)
【非特許文献45】Kraggerudら、 Anticancer Res., 15:683-686 (1995)
【非特許文献46】Steinら、Mol. Cell. Biol. 18:3112-3119 (1998)
【非特許文献47】Levyら、 J. Biol. Chem. 271:2746-2753 (1996)
【非特許文献48】Huezら、 Mol. Cell. Biol., 18:6178-6190 (1998)
【非特許文献49】Akiriら、 Oncogene, 17:227-236 (1998)
【非特許文献50】Linら、Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)
【非特許文献51】Zhuら、 Invest. New Drugs, 17:195-212 (1999)
【非特許文献52】Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)
【非特許文献53】Carmelietら、 Nature, 407:249-257 (2000)
【非特許文献54】Kimら、 Nature, 362:841-844 (1993)
【非特許文献55】Millauerら、Nature, 367:576-579 (1994)
【非特許文献56】Fong ら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)
【非特許文献57】Carmeliet, Nat. Med., 9(6):653-60 (2003)
【非特許文献58】Ortegaら、Front. Biosci., 4:D141-52 (1999)
【非特許文献59】Ferraraら、Endocr. Rev., 18:4-25, (1997)
【非特許文献60】Kimら、 Nature, 362:841-844 (1993)
【非特許文献61】Millauerら、 Nature, 367:576-579 (1994)
【非特許文献62】Fongら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)
【非特許文献63】Gengら、Cancer Res., 61:2413-2419 (2001)
【非特許文献64】Ryanら、 Toxicol. Pathol., 27:78-86 (1999)
【非特許文献65】Ferraraら、Nat. Med., 4:336-340 (1998)
【非特許文献67】Matter, Drug Discovery Today, 6:1005-1024 (2001)
【非特許文献68】Hichlinら、Drug Discovery Today, 6:517-528 (2001)
【非特許文献69】Witmerら、Prog. Retin Eye Res., 22(1):1-29 (2003)
【非特許文献70】Holashら、 Science, 284:1994-1998 (1999)
【非特許文献71】Eyetech Study Group, 22(2):143-52 (2002)
【非特許文献72】Krzystolikら、 Arch. Ophthalmol., 120(3):338-46 (2002)
【非特許文献73】Shen ら、Lab Invest., 82(2):167-82 (2002)
【非特許文献74】Hondaら、Gene Ther., 7(11):978-85 (2000)
【非特許文献75】Saishinら、 J. Cell Physiol., 195(2):241-8 (2003)
【非特許文献76】Ozaki H, Seo MS, Ozaki ら、 Am. J. Pathol., 156(2):697-707 (2000)
【非特許文献77】Reichら、Mol. Vis. 30;9:210-6 (2003)
【非特許文献78】Kimら、Nature, 362:841-844 (1993)
【非特許文献79】Linら、 Cell Growth Differ., 9(1):49-58 (1998)
【非特許文献80】Borgstromら、Prostate, 35:1-10 (1998)
【非特許文献81】Zhuら、Invest. New Drugs, 17:195-212 (1999)
【非特許文献82】Millauerら、Nature, 367:576-579 (1994)
【非特許文献83】Asanoら、Jpn. J. Cancer Res., 90(1):93-100 (1999)
【非特許文献84】Brekkenら、Cancer Res., 60(18):5117-24 (2000)
【非特許文献85】Fongら、Cancer Res., 59:99-106 (1999)
【非特許文献86】Wedgeら、 Cancer Res., 60(4):970-5 (2000)
【非特許文献87】Lairdら、 Cancer Res., 60(15):4152-60 (2000)
【非特許文献88】Reich ら、 Mol. Vis. 30;9:210-6 (2003)
【非特許文献89】Parryら、Nucleic Acids Res., 27:2569-2577 (1999)
【非特許文献90】Ellis ら、Surgery, 120:871-878 (1996)
【非特許文献91】Filleur ら、 Cancer Res., 63(14):3919-22 (2003)
【非特許文献92】Gilesら、Cancer, 97(8):1920-8 (2003)
【非特許文献93】Sugimotoら、J. Biol. Chem., 278(15):12605-8 (2003)
【非特許文献94】Bergslandら、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting, 20-23 May, 2000, New Orleans, LA, USA, Abstract 939
【非特許文献95】DeVoreら、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting, 20-23 May, 2000, New Orleans, LA, USA, Abstract 1896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かくして、新規な抗-血管新生薬剤の開発のために、先導する分子を開発し、特性決定し、かつ最適化することの必要性が存続する。したがって、本発明の目的は、そのような化合物を提供することである。
【0011】
ここで言及した全ての文書は、引用することによって、ここに全部記載したかのように、本願に組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明によれば、転写後にVEGFの発現を抑制する化合物が同定され、その使用のための方法が提供された。
【0013】
本発明の1つの態様においては、式(I-a)〜(I-l)を含む式(I)、(II)および(III)の化合物が提供され、これは、VEGFの産生の抑制、血管新生の抑制および/または、癌、糖尿病性網膜症もしくは滲出性黄斑変性の治療において有用である。
【0014】
本発明の別の態様においては、本明細書に記載された化合物を用いた、VEGFの産生の抑制、血管新生の抑制および/または、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リューマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症、他の慢性炎症関連疾病および障害、肥満もしくは滲出性黄斑変性の治療のための方法が提供される。
【0015】
1つの実施態様においては、本発明は、VEGF発現を抑制する量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、VEGFの産生を抑制するための方法に関する。
【0016】
別の実施態様においては、抗-血管新生の量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、血管新生を抑制するための方法が提供される。
【0017】
さらに別の実施態様においては、治療に有効な量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リューマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症、他の慢性炎症関連疾病および障害、肥満もしくは滲出性黄斑変性を治療するための方法が提供される。
【0018】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の好ましい実施態様および詳細な説明によってより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明のある化合物によるVEGFの発現の抑制を説明する。
【図2】図2は、ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)の活性が、本発明のある化合物によって影響されないことを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
血管新生のための鍵となる因子である、血管内皮増殖因子(VEGF)の異常なアップレギュレーションは、疾病状態、例えば癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リューマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症、他の慢性炎症関連疾病および障害、肥満もしくは滲出性黄斑変性の病原に対する重要な一因である。本発明によれば、転写後にVEGFの発現を抑制する化合物が同定され、その使用のための方法が提供された。本発明の化合物は、VEGF発現の抑制のためにナノモル〜ナノモル以下の活性を有する。
【0021】
A. 本発明の化合物
本発明の1つの態様においては、VEGFの産生の抑制、血管新生の抑制および/または、癌、糖尿病性網膜症もしくは滲出性黄斑変性の治療において有用である化合物が提供される。ある実施態様においては、本発明の化合物は特異的にVEGFの産生を抑制し、一方、他の実施態様においては、本発明の化合物はVEGF発現ならびに他の血管新生因子、例えばFGF-2の発現を抑制する。これに関しては、全血管新生(pan-angiogenic)阻害剤が、腫瘍の増殖を抑制する方法において好ましくあり得、一方、VEGF特異的阻害剤は、目の血管新生障害の治療のために好ましくあり得る(Eyetech Study Group, 22(2):143-52 (2002))。
【0022】
本発明の化合物は一般に、1つ以上のキラル中心を含み、それ自体ラセミ混合物(R/S)として、または鏡像体的に純粋な組成物として存在し得る。化合物は、鏡像体的に純粋な組成物において、(1つのキラル中心が存在するときには)(R)または(S)異性体として存在することができる。好ましい実施態様においては、本発明の化合物は(S)異性体であり、(S)異性体のみを含む鏡像体的に純粋な組成物として存在し得る。当業者が認識するように、1つより多いキラル中心が存在するときには、本発明の化合物は、(R,R)、(R,S)、(S,R)、(S,S)等の異性体として存在し得る。好ましい化合物は、(S,S)および(S,R)異性体を含んだ。
【0023】
本明細書において使用されるように、「鏡像体的に純粋」とは、実質的に単一異性体からなる組成物をいい、好ましくは90%、92%、95%、98%、99%または100%の単一異性体からなる組成物をいう。
【0024】
VEGFの産生の抑制に有用な本発明の好ましい化合物は、以下に示す式(I)の化合物を含む。
【化1】

【0025】
ここで、
Xは水素;場合により1個以上のハロゲンで置換されていてもよいC1〜C6アルキル;ヒドロキシル基;ハロゲン;場合によりC6〜C10アリール基で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Aは、CHまたはNであり;
Bは、CHまたはNであるが、ただし、AまたはBの少なくとも一方はNであり、かつAがNであるときには、BはCHであり;
R1は、ヒドロキシル基;C1〜C8アルキル基(場合により、アルキルチオ基、5〜10員環のヘテロアリール、場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基で置換されていてもよい);C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;3〜12員環の複素環式基(複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);または場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基であり;
R0は、ハロゲン;シアノ;ニトロ;スルホニル(スルホニルは、C1〜C6アルキルもしくは3〜10員環の複素環で場合により置換されていてもよい);アミノ基(アミノ基は、C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、スルホニル、アルキルスルホニル、場合により-C(O)O-Rnで置換されていてもよい3〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-NH-Rb;5〜6員環の複素環;5〜6員環のヘテロアリール;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルキル基で場合により置換されていてもよく、C1〜C4アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基もしくは5〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn基;または-ORa基であり;
Raは、水素;C2〜C8アルキレン;-C(O)O-Rb 基; -C(O)-NH-Rb;C1〜C8アルキル(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、C6〜C10アリール、3〜12員環の複素環もしくは5〜12ヘテロアリール基で場合により置換されていてもよく、さらに、アルキルアミノは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ基もしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよく、さらにアセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニルもしくはアルキルスルホニルで場合により置換されていてもよく、さらに複素環式基は、C1〜C4アルキル(場合によりヒドロキシル基、-C(O)-Rn、 -C(O)O-Rnもしくはオキソ基で置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい)であり;
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルアミノ(アルキルアミノは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、3〜12員環の複素環(少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnもしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい);C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール;3〜12員環の複素環式基(複素環は、少なくとも1個の独立して選択されるアセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員環の複素環または、場合によりヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ基もしくはアルキルアミノ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキルで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル(アルキルは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ、C6〜C10アリール、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソもしくは-C(O)O-Rn基で場合により置換されていてもよい)であり;
R2は、水素;ヒドロキシル;5〜10員環のヘテロアリール基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、3〜10員環の複素環、5〜10員環のヘテロアリールもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rc基; -C(O)O-Rd 基;-C(O)-N(RdRd) 基;-C(S)-N(RdRd) 基;-C(S)-O-Re 基;-S(O2)-Re 基; -C(NRe)-S-Re 基または-C(S)-S-Rf 基であり;
Rcは、水素;アミノ(アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキルもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn;5〜6員環の複素環(複素環は、-C(O)-Rn基で場合により置換されていてもよい);5〜6員環のヘテロアリール;チアゾールアミノ基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rn、ヒドロキシルもしくは、場合により-C(O)O-Rn 基で置換されていてもよいアミノ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rdは独立して、水素;C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;C6〜C10アリール基(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-Reもしくは-OReで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rnもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよく、C6〜C10アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはハロアルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Reは、水素;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい);またはC6〜C10アリール基(アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rfは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノ、C6〜C10アリールもしくは-C(O)-Rn 基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基(アルコキシ基は、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されていてもよく、アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキル基であり;
R3は、水素または-C(O)-Rgであり;
Rgは、ヒドロキシル基;アミノ基(アミノは、C6〜C10シクロアルキル基もしくは5〜10員環のヘテロアリール基で場合により置換されていてもよい);または5〜10員環の複素環式基(複素環式基は、-C(O)-Rn 基で場合により置換されていてもよい)であり;
nは0、1、2または3である。
【0026】
当業者に明らかなように、式(I)の化合物は、少なくとも1個の立体中心を(例えばR1置換基に)含み、ラセミ混合物または鏡像体的に純粋な組成物として存在することができる。好ましい実施態様においては、式(I)の化合物は、鏡像体的に純粋な組成物における(S)異性体である。
【0027】
本明細書において使用されるように、「アルキル」という語は一般に、直鎖、分岐もしくは環状配置の飽和ヒドロカルビニル基をいい、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、n-オクチル等を包含する。幾つかの実施態様においては、アルキル置換基は、C1〜C8、C1〜C6またはC1〜C4アルキル基を包含し得る。アルキル基は、1個以上のハロゲンまたはアルコキシ基で場合により置換され得る。例えば、アルキル基は、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリハロアルキルであり得る。
【0028】
本明細書において使用されるように、「アルケニル」は一般に、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する線状、分岐状または環状のアルケン基、例えばC2〜C8、およびC2〜C6アルケニル基をいい、3-プロペニルを含む。
【0029】
本明細書において使用されるように、「アルキニル」は一般に、1個以上の炭素-炭素三重結合を有する線状、分岐状または環状のアルキン基、例えばC2〜C8、およびC2〜C6アルキニル基をいい、ヘキサ-3-インを含む。
【0030】
本明細書において使用されるように、「アリール」は、炭素環芳香族環構造をいう。アリール基の範囲に含まれるものは、5〜12個の炭素原子を有する芳香族環である。アリール環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環もしくは3環の化合物を包含する。アリール基の例は、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル(すなわちフェナントレン)およびナフチル(すなわちナフタレン)環構造を包含する。ある実施態様においては、アリール基は場合により置換され得る。
【0031】
本明細書において使用されるように、「ヘテロアリール」は、環中の1個以上の原子、ヘテロ原子が、炭素以外の元素である環状芳香族環構造をいう。ヘテロ原子は、典型的にはO、SまたはN原子である。ヘテロアリールの範囲内に含まれ、独立して選択可能であるものは、O、NおよびSヘテロアリール環構造である。環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環もしくは3環の化合物を包含し得る。幾つかの実施態様においては、ヘテロアリール基は、1個以上のヘテロ原子、2個以上のヘテロ原子、3個以上のヘテロ原子または4個以上のヘテロ原子を含むヘテロアリール基から選択され得る。ヘテロアリール環構造は、5個以上の原子、6個以上の原子または8個以上の原子を含むものから選択され得る。ヘテロアリール環構造の例は、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ジヒドロ-クロメン-4-オンイル、1,3-ジアジン、1,2-ジアジン、1,2-ジアゾール、1,4-ジアザナフタレン、フラン、フラザン、イミダゾール、インドール、イソキサゾール、イソキノリン、イソチアゾール、イソインドリル、オキサゾール、プリン、ピリダジン、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、キノキサリン、チアゾール、チオフェン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾールおよびキナゾリンを包含する。ある実施態様においては、ヘテロアリールは場合により置換され得る。
【0032】
本明細書において使用されるように、「複素環」は、環中の1個以上の原子、ヘテロ原子が、炭素以外の元素である環状環構造をいう。ヘテロ原子は、典型的にはO、SまたはN原子である。複素環の範囲内に含まれ、独立して選択可能であるものは、O、NおよびS複素環環構造である。環構造は、1個以上の環構造を有する化合物、例えば単環、2環もしくは3環の化合物を包含する。幾つかの実施態様においては、複素環式基は、1個以上のヘテロ原子、2個以上のヘテロ原子、3個以上のヘテロ原子または4個以上のヘテロ原子を含む複素環式基から選択され得る。複素環式基の例は、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロチオピラニル等を包含する。ある実施態様においては、複素環は場合により置換され得る。
【0033】
本明細書において使用されるように、「アルカノイル」は一般に、構造-C(O)-Rを有する基をいう。ある実施態様においては、Rは、水素、アルキル、4-モルホリニル基またはチアゾールアミノ基であり得る。
【0034】
本明細書において使用されるように、「アルコキシ」は一般に、構造-O-Rを有する基をいう。ある実施態様においては、Rは、アルキル基、例えばC1〜C5アルキル基であり得る。
【0035】
本発明の目的のために、ハロ置換基は、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびアスタチンから独立して選択され得る。
【0036】
ある好ましい実施態様においては、Xは、水素、メトキシ、ヒドロキシル、ベンゾキシまたはハロゲン、好ましくは臭素もしくは塩素であり得る。他の実施態様においては、Xは好ましくはC1〜C4アルキルまたはハロアルキルであり得る。
【0037】
R1は好ましくは、少なくとも1個のR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C8アリール基であり得る。そこでR0は好ましくは、メトキシ、ベンゾキシ、C1〜C6アルキル、5〜6員環のヘテロアリール(例えばフリルまたはイミダゾール)、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはハロゲンであることができ、より好ましくはメトキシ、ベンゾキシ、イソブチルまたはハロゲンであり、さらに好ましくはメトキシ、イソブチル、臭化物または塩化物である。あるいは、R1は、5〜10員環のヘテロアリールまたは3〜12員環の複素環、例えばピリジニル基、チオフェン基、フリル基、テトラヒドロフリル基および、チアゾール基、ジヒドロ-クロメン-4-オンイル基、1H-イソインドリル基またはベンゾジオキソール基であり得る。
【0038】
R2は好ましくは、-CH2-フリル基、ピリミジル基または-C(O)O-Rd基であり得る。そこでRdは好ましくは、少なくとも1個のハロゲンで場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキルまたは、少なくとも1個のメチル、メトキシもしくはハロゲンで場合により置換されていてもよいC5〜C6アリールであり得る。
【0039】
好ましいR1置換基はまた、以下を包含する(*は、カルボリン骨格分子に付く結合を示す)。
【表1】

【0040】

【0041】

【0042】
他の好ましいR1置換基は以下を包含する(*は、カルボリン骨格分子に付く結合を示す)。
【表2】

【0043】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】
好ましいR2置換基はまた以下を包含する(*は、カルボリン骨格分子に付く結合を示す)。
【表3】

【0049】

【0050】

【0051】
他の好ましいR2置換基は以下を包含する(*は、カルボリン骨格分子に付く結合を示す)。
【表4】

【0052】

【0053】

【0054】
好ましいR3置換基は以下を包含する(*は、カルボリン骨格分子に付く結合を示す)。
【表5】

【0055】
式(I)内の好ましい種類の化合物は、以下に示される式(I-a)の化合物
【化2】

【0056】
(ここで、X、R1およびR2は、式(I)について記載されたように定義される)
および以下に記載した好ましい実施態様を包含する。
【0057】
式(I)内の別の好ましい種類の化合物は、以下に示される式(I-b)の化合物を包含する。
【化3】

【0058】
(ここで、Xはハロゲンであり;R2は式(I)について上記したのと同様であり;R0は式(I)について上記したのと同様であり;mは0、1、2または3であり;かつnは0、1、2または3である)
式(I)内の他の好ましい種類の化合物は、以下を包含する。
【化4】

【0059】
式(I-c)〜(I-i)の化合物の置換基XならびにR1、Rc、RdおよびReは、式(I)におけるのと同義である。
【0060】
他の実施態様においては、VEGF産生の抑制において有用な本発明の好ましい化合物は、以下に示される式(I-i)〜(I-l)の化合物を包含する。式(I-j)〜(I-l)の実施態様においては、置換基X、R1、R2、R3等は、式(I)ならびに式(I-a)〜(I-i)におけるのと同義である。
【化5】

【0061】
本明細書に記載された化合物の製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体および立体異性体がまた、本発明の範囲内に包含される。
【0062】
本発明の別の態様においては、VEGF産生の抑制において有用な本発明の好ましい化合物は、以下に示される式 (I-l) の化合物を包含する。
【化6】

【0063】
ここで、
Xは、水素;ヒドロキシル基;ハロゲン;C1〜C4アルキル;C6〜C8アリール基で場合により置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
R1は、ヒドロキシル基;C6〜C8アリール基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキル基(C6〜C8アリール基は、少なくとも1個のR0基で場合により置換されていてもよい);複素環式基;ヘテロアリール基;および少なくとも1個のR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C8アリール基であり;
R0は、ハロゲン;1個以上のハロゲン基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;アミノアルキル基;アセトアミド基;イミダゾール基;またはORaであり;
Raは、水素;複素環式基もしくはC6〜C8アリール基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;または-C(O)O-Rbであり;
Rbは、C1〜C4アルキル基であり;
R2は、水素;ヒドロキシル基;ヘテロアリール基;場合によりアルコキシ、ヒドロキシル、ヘテロアリール、もしくはC6〜C8アリール基で置換されていてもよいC1〜C8アルキル基;-C(O)-Rc 基;-C(O)O-Rd 基;-C(O)NH-Rd 基;-C(S)NH-Rd 基;-S(O2)-Re 基;または(1S)-イソプロピル-カルバミン酸tert-ブチルエステルであり;
Rcは、水素;4-モルホリニル基;チアゾールアミノ基;-C(O)CH3 基で場合により置換されていてもよいピペラジニル基;ハロゲン、アルコキシもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基であり;
Rdは、水素;ベンジル基;ハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキル基;少なくとも1個のハロゲン、C1〜C5アルキル、-C(O)ORe もしくは OReで場合により置換されていてもよいC6〜C8アリール基であり;
Reは、水素;少なくとも1個のハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル基;またはC6〜C8アリール基であり;かつ
nは0、1、2または3である。
【0064】
別の実施態様においては、式(II)および(III)の化合物が提供される。
【化7】

【0065】
ここで、R1およびR2は式(I)について上記したのと同義である。
【0066】
本発明の目的のために、X、R1、R2、R0、Ra、Rb、Rc、RdおよびReを包含する1個以上の官能性が、式(I-a)〜(I-k)を含む式(I)、(II)および(III)の分子に組み込まれる場合には、開示内の任意の位置に出現するそれぞれの官能性は独立して選択されることができ、適当なときには、独立して置換されることができる。さらには、より包括的な置換基が本発明の分子中の任意の位置について述べられる場合には、包括的な置換基は、より特定の置換基で置き換えられることができ、得られる分子は、本発明の分子の範囲内にあることが理解される。
【0067】
本発明の好ましい化合物は以下を包含する。
【表6】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

【0112】

【0113】

【0114】

【0115】

【0116】

【0117】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

【0132】

【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】
ある実施態様においては、好ましい化合物は、実施例2に記載されたVEGF ELISAアッセイにおけるEC50が約2μM未満、より好ましくは約2μM〜約0.04μM(200nM〜40nM)、さらに好ましくは約0.04μM〜約0.008μM(40nM〜8nM)、さらに好ましくは約0.008μM未満(<8nM)であるものを含む。特に好ましい化合物は、化合物番号:2, 4, 5, 7, 8, 10, 11, 12, 17, 23, 25, 81, 102, 112, 140, 328, 329, 330, 331, 332, 355, 816, 817, 818, 823, 824, 825, 830, 831, 832, 837, 838, 841, 842, 843,およびそれらの位置異性体(regioisomer)である。1つの実施態様においては、本発明の好ましい化合物はラセミ混合物を形成し、別の実施態様においては、本発明の化合物は、鏡像体的に純粋な組成物において(R), (S), (R,R), (S,S), (R,S), (S,R)異性体である。より好ましくは、本発明の化合物は、鏡像体的に純粋な組成物において(S)異性体である。
【0141】
上記化合物は、本発明の方法において使用することができる例を提供するためにのみ列挙される。本開示に基づいて、当業者は、本明細書に列挙された方法において有用な、目下特許請求されている発明の範囲内に含まれると解釈される他の化合物を認識するであろう。
【0142】
B. 本発明の化合物の製造
本発明の化合物は当技術分野で公知の任意のやり方で製造することができる。例として、本発明の化合物は、以下の一般的スキームにしたがって製造することができる。より詳細には、スキームIを使用して、式Iの化合物を作ることができる。スキームIaは、R2が-CH2-フラニル基であるときにスキームIと関連して使用することができる。あるいは、R2が水素またはヒドロキシルであるときに非対称合成のために、スキームIbを使用することができる。
【化8】

【0143】

【0144】
スキームIIを使用して、式I-hの化合物を製造することができる。
【化9】

【0145】
スキームIIIaまたはIIIbを使用して、式I-iの化合物を製造することができる。
【化10】

【0146】
参照:Chem. Pharm. Bull. 1987, 4700.
【化11】

【0147】
参照:Magid Abou-Gharbia ら、 J. Med. Chem. 1987, 30, 1818.
好ましい実施態様においては、本発明の化合物は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて、鏡像体的に純粋な組成物へと分割することができる。例として、本発明の化合物は、鏡像体混合物の直接結晶化によって、鏡像体のジアステレオマー塩形成によって、ジアステレオマーの形成および分離によって、または酵素的な分割によって分割することができる。
【0148】
好ましい実施態様においては、本発明の化合物は、スキームIVに示されたのと同様のやり方で、例えばN-アセチル-L-フェニルアラニンを用いて結晶化して(S)異性体を得るか、またはN-アセチル-D-フェニルアラニンを用いて結晶化して(R)異性体を得ることによって、分割することができる。
【化12】

【0149】
ある実施態様においては、式Iの好ましい化合物を製造するためのスキームIの典型的方法は、以下の手順-Iに記載されているように、遊離アミンPictet-Spengler反応生成物/中間体の形成を包含する。
【化13】

【0150】
1つの実施態様においては、手順-Iは、所望のアルデヒド(II)を0.1N硫酸中の5-置換トリプトアミン・HCl(I)の懸濁物に添加することを含み得る。溶液は次に、反応が十分に完了するまで、例えば約15分間〜約20時間、閉鎖反応容器中で約110〜120℃にて撹拌され得る。反応が完了した後、反応混合物は室温に冷却され、沈殿した塩はろ過され得る。ろ過した残渣は次に、エーテル、EtAcまたはDCMとDMFとの混合物で洗浄され、乾燥されて、酸塩としての生成物(III)を与えることができる。あるいは、所望のアルデヒド(II)は、酢酸中の5-置換トリプトアミン・HCl(I)の懸濁物に添加され、反応が十分に完了するまで、例えば約15分間〜約20時間還流され得る。反応が完了した後、反応混合物は室温に冷却され、酸塩はろ過され得る。ろ過した残渣は次に酢酸、次いでDCMで洗浄され、乾燥されて、酸塩としての生成物(III)を与えることができる。遊離アミン(III)は、EtOAcでの抽出および水性水酸化アンモニウムまたは1Mの水性水酸化ナトリウムで洗浄することによって得ることができる。
【0151】
遊離のアミンまたはその塩は次に、式Iの他の好ましい化合物、例えばカルバメート類似体(式I-c、手順-II)、アミド類似体(N-アセチル類似体を含む)(式I-c、手順IIIaおよび手順-IIIb)、尿素およびチオ尿素類似体(それぞれ式I-eおよびI-f、手順-IVおよび手順-V)、スルホキシド類似体(式I-g、手順-VI)ならびにピリミジン類似体(手順-VII)を形成するのに使用することができる。
【0152】
より詳細には、手順-IIを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のカルバメート類似体を合成することができる。
【化14】

【0153】
手順-IIに従えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を、ジクロロメタン(DCM)中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加した後、置換クロロフォルメートをゆっくりと添加することができる。反応混合物は、室温で約1〜20時間攪拌され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物は、HPLCまたはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0154】
手順-IIIaを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のアミド類似体を合成することができる。
【化15】

【0155】
手順-IIIaに従えば、15分間予備撹拌した、R2-酸およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC)の混合物が、DCMおよびDIEA中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加され得る。反応混合物は、約1時間攪拌され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物はHPLCにより精製することができる。
【0156】
あるいは、手順-IIIbを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のN-アセチル類似体を合成することができる。
【化16】

【0157】
手順-IIIbに従えば、ピリジンが、DCM中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加された後、無水酢酸が添加され得る。反応混合物は、室温にて約8〜20時間撹拌され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物がHPLCにより精製される。
【0158】
手順-IVを使用して、遊離アミン(III)またはその塩の尿素類似体を合成することができる。
【化17】

【0159】
手順-IVに従えば、DIEAおよびR2-イソシアネートが、DCM中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加され得る。反応混合物は約1.5時間還流され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物がHPLCにより精製され得る。
【0160】
手順-Vを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のチオ尿素類似体を合成することができる。
【化18】

【0161】
手順-Vに従えば、DIEAおよびR2-イソチオシアネートが、DCM中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加され得る。反応混合物は約12時間還流され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物がHPLCにより精製され得る。
【0162】
手順-VIを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のスルホニル類似体を合成することができる。
【化19】

【0163】
手順-VIに従えば、DIEAおよびR2-スルホニルクロリドが、DCM中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加され得る。反応混合物は室温で約12時間撹拌され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物がHPLCにより精製され得る。
【0164】
手順-VIIを使用して、遊離アミン(III)またはその塩のピリミジン類似体を合成することができる。
【化20】

【0165】
手順-VIIに従えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中のトリエチエルアミンおよび2-ブロモピリミジンが、DCM中の遊離アミン(III)またはその酸塩に添加され得る。反応混合物は、約120℃まで約12時間加熱され得る。次に溶媒が蒸発され、粗生成物がHPLCにより精製され得る。
【0166】
これらの反応および他の反応の方法は、当業者に認められるように、本発明の化合物を製造するのに有用であり得る。上記のスキームおよび手順に対する種々の変更は、当業者に明らかであり、本発明は、本発明の化合物を製造する方法によって特に限定されることはない。
【0167】
C. 本発明の方法
本発明の別の態様においては、本明細書に記載された化合物を用いる、VEGF産生の抑制、血管新生の抑制および/または、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リューマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症、他の慢性炎症関連疾病および障害、肥満もしくは滲出性黄斑変性の治療のための方法が提供される。
【0168】
1つの実施態様においては、本発明は、VEGF発現を抑制する量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、VEGFの産生を抑制するための方法に関する。
【0169】
別の実施態様においては、抗-血管新生の量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、血管新生を抑制するための方法が提供される。
【0170】
なお別の実施態様においては、治療に有効な量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リューマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症、他の慢性炎症関連疾病および障害、肥満もしくは滲出性黄斑変性を治療するための方法が提供される。
【0171】
理論により限定されると解釈されることなしに、本発明の方法は、VEGFの活性を調節するメカニズムの組合せによって作用すると思われる。好ましい実施態様においては、本発明の方法は、治療に有効な量の少なくとも1種の本発明の化合物を投与することを含み、ここでは、化合物は(S)異性体である。
【0172】
本発明の方法に従えば、化合物は、当技術分野で公知の任意の薬剤投与経路によって、対象に投与することができる。特定の典型的投与経路は、経口、目、直腸、口内、局所、鼻、眼、皮下、筋肉内、静脈内(巨丸剤および注入)、大脳内、経皮および肺を包含する。
【0173】
本明細書において使用される「VEGFを抑制する量」「抗-血管新生量」および「治療に有効な量」は、同定された疾患または状態を治療、改善もしくは予防するか、または検出可能な治療もしくは抑制効果を示す薬剤の量をいう。効果は、例えば以下の実施例において開示されたアッセイによって検出することができる。対象について正確な有効量は、対象の体重、大きさおよび健康;状態の性質および範囲;ならびに投与のために選択される治療もしくは治療の組合せに依存する。与えられた状況について治療に有効な量は、慣例の実験によって決定することができ、それは、臨床医の技術および判断の範囲内である
任意の化合物について、治療に有効な量は、例えば新生物細胞の細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常ラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタにおいて、最初に見積もることができる。動物モデルをまた使用して、適当な濃度範囲および投与の経路を決定することができる。次にそのような情報を使用して、ヒトにおける有用な投与量および投与の経路を決定することができる。治療/予防の効力および毒性は、細胞培養または実験動物において、標準の製薬上の手続き、例えばED50(集団の50%に治療効果のある投与量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な投与量)によって決定することができる。治療効果および毒性効果の間の投与量比は治療指標であり、比ED50/LD50として表すことができる。大きい治療指標を示す薬剤組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物での研究から得られるデータは、ヒトへの使用のための投与量範囲を処方するのに使用することができる。そのような組成物に含まれる投与量は好ましくは、わずかな毒性しかないか、または毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される投与形態、患者の感受性および投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0174】
より詳細には、本発明の化合物に関して観察される、濃度-生物学的効果の関係は、約0.1〜約100μg/mL、好ましくは約5〜約50μg/mL、さらに好ましくは約5〜約10μg/mLの範囲の初期標的血漿濃度を示す。そのような血漿濃度を達成するために、本発明の化合物は、投与経路に依存して、0.1μg〜100,000mgで変化する投与量で投与され得る。特定の投与量および送達の方法についての手引きは文献において提供され、一般に、当業者に入手可能である。一般に投与量は、約40〜約100kgの体重の患者について、1回、分割または連続投与で、約1mg/日〜約10g/日または約0.1g〜約3g/日または約0.3g〜約3g/日または約0.5g〜約2g/日の範囲にある(この投与量は、この体重範囲より上または下の患者、特に40kgより下の子供について、調整され得る)。
【0175】
正確な投与量は、治療を必要とする対象に関連する要因を考慮して、当業者によって決定される。投与量および投与は、十分な量の活性剤を提供するように、または所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因は、疾患状態の重篤度、対象の一般的健康状態、対象の年齢、体重および性、食事、投与の時間および頻度、薬剤の組合せ、反応感受性ならびに、治療に対する耐性/応答を包含する。長く作用する薬剤組成物は、特定の処方物の半減期および一掃速度に依存して、3〜4日毎、毎週、または2週毎に1度投与することができる。
【0176】
D. 本発明の化合物の代謝物
本明細書に記載された化合物のin vivo代謝生成物がまた、本発明の範囲内に入る。そのような生成物は、主に酵素的なプロセスにより、例えば投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等から生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物を、哺乳動物の組織または哺乳動物と、その代謝生成物を生じるのに十分な時間接触させることを含む方法によって製造される化合物を包含する。そのような生成物は典型的には、放射能標識した(例えばC14またはH3)本発明の化合物を製造し、それを検出可能な投与量で(例えば0.5mg/kgより多い)哺乳動物、例えばラット、マウス、モルモット、サルまたはヒトに投与し、十分な時間(典型的には約30秒〜30時間)代謝を生じさせ、尿、血液または他の生物学的試料からその転化生成物を分離することによって、同定される。これらの生成物は、標識されるので、容易に分離される(他は、代謝産物中に残存するエピトープを結合することができる抗体の使用によって分離される)。代謝産物の構造は、慣用のやり方で、例えばMSまたはNMR分析により決定される。一般に、代謝産物の分析は、当業者によく知られた慣用の薬剤代謝研究と同じ方法で行なうことができる。転化生成物は、in vivoで他に見出されない限り、その独特の生物学的活性を有していなくても、本発明の化合物の治療的投与量のための診断アッセイにおいて有用である。
【0177】
E. 本発明の薬剤組成物
本発明の化合物はそのまま投与されることが可能であるが、薬剤組成物として化合物を処方するのが好ましくあり得る。それ自体、本発明のなお別の態様においては、本発明の方法において有用な薬剤組成物が提供される。本発明の薬剤組成物は、特定の投与の方式および投与形態に依存して、製薬上許容される賦形剤、例えば担体、溶媒、安定剤、補助剤、希釈剤等と共に処方され得る。薬剤組成物は一般に、生理学的に適合したpHを達成するように処方されるべきであり、処方物および投与経路に依存して、約3〜約11のpH、好ましくは約3〜約7のpHの範囲であり得る。代替の実施態様においては、pHが約5.0〜約8.0の範囲に調整されるのが好ましくあり得る。
【0178】
より詳細には、本発明の薬剤組成物は、治療または予防に有効な量の少なくとも1種の本発明の化合物を、1種以上の製薬上許容される賦形剤と一緒に含む。場合により、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物の組合せを含むことができるか、または癌、糖尿病性網膜症もしくは滲出性黄斑変性の治療に有用な第2の活性成分を含むことができる。
【0179】
例えば非経口もしくは経口投与のための本発明の処方物は、最も典型的には、固体、液体の溶液、エマルジョンまたは懸濁物であり、一方、肺への投与のための吸入可能な処方物は一般に液体または粉末であり、粉末処方物が一般に好ましい。本発明の好ましい薬剤組成物はまた、投与の前に生理学的に適合する溶媒で再構成される凍結乾燥固体として処方され得る。本発明の代替の薬剤組成物は、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤等として処方され得る。
【0180】
「製薬上許容される賦形剤」という語は、薬剤、例えば本発明の化合物の投与のための賦形剤をいう。この語は、不適当な毒性がなく投与することができる任意の製薬上の賦形剤をいう。製薬上許容される賦形剤は、投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって一部決定される。したがって、本発明の薬剤組成物の広く種々の適当な処方物が存在する(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences参照)。
【0181】
適当な賦形剤は、大きい、ゆっくりと代謝される高分子、例えばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび不活性なウィルス粒子を包含する担体分子であり得る。他の典型的賦形剤は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸;キレート剤、例えばEDTA;炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸;液体、例えば油、水、塩水、グリセロールおよびエタノール;湿潤剤または乳化剤;pH緩衝物質等を包含する。リポソームがまた、製薬上許容される賦形剤の定義の中に含まれる。
【0182】
本発明の薬剤組成物は、意図される投与方法に適当な任意の形態で処方することができる。例えば経口用途を意図するときには、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁物、非水性溶液、分散性粉末もしくは顆粒(微粉にした粒子もしくはナノ粒子を含む)、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、シロップまたはエリキシルを製造することができる。経口用途を意図する組成物は、薬剤組成物の製造のための技術に公知の任意の方法にしたがって製造することができ、そのような組成物は、味のよい調製物を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤を包含する1種以上の剤を含むことができる。
【0183】
錠剤と共に使用するのに特に適当な製薬上許容される賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えばセルロース、炭酸カルシウムもしくはナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはナトリウム;崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム、架橋したポビドン、トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸;結合剤、例えばポビドン、デンプン、ゼラチンもしくはアラビアゴム;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクを包含する。錠剤はコーティングされないことができるか、または、ミクロカプセル封入を含む公知の技術によりコーティングされて、胃腸管中での分解および吸着を遅らせ、それにより長期間にわたって持続する作用を提供することができる。例えば、時間遅延物質、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが単独で、または蝋と一緒に使用され得る。
【0184】
経口用途のための処方物はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えばセルロース、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合された、硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が非水性もしくは油性媒体、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合された、軟質ゼラチンカプセルとして提供することができる。
【0185】
別の実施態様においては、本発明の薬剤組成物は、懸濁物の製造のために適当な少なくとも1種の製薬上許容される賦形剤と混合された本発明の化合物を含む懸濁物として処方することができる。なお別の実施態様においては、本発明の薬剤組成物は、適当な賦形剤の添加により懸濁物を製造するのに適当な、分散性の粉末および顆粒として処方することができる。
【0186】
懸濁物と共に使用するのに適当な賦形剤は、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム、分散剤もしくは湿潤剤、例えば天然に生じるホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレート);ならびに増粘剤、例えばカルボマー、蜜蝋、硬質パラフィンもしくはセチルアルコールを包含する。懸濁物はまた、1種以上の防腐剤、例えば酢酸、p-ヒドロキシ-安息香酸メチルおよび/またはn-プロピル;1種以上の着色剤;1種以上の風味剤;ならびに1種以上の甘味剤、例えばショ糖またはサッカリンを含むことができる。
【0187】
本発明の薬剤組成物はまた、水中油形エマルジョンの形態であることができる。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくは落花生油、鉱油、例えば液体パラフィン、またはこれらの混合物であることができる。適当な乳化剤は、天然に生じるゴム、例えばアラビアゴムおよびトラガカントゴム;天然に生じるホスファチド、例えば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレート;ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレートを包含する。エマルジョンはまた、甘味剤および風味剤を含むことができる。シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、ソルビトールまたはショ糖と共に処方され得る。そのような処方物はまた、保護剤、防腐剤、風味剤または着色剤を含むことができる。
【0188】
さらには、本発明の薬剤組成物は、滅菌注入可能調製物、例えば滅菌注入可能な水性エマルジョンまたは油性懸濁物の形態であることができる。このエマルジョンまたは懸濁物は、上記した適当な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術にしたがって処方することができる。滅菌注入可能調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注入可能溶液または懸濁物、例えば1,2-プロパン-ジオール中の溶液であることができる。滅菌注入可能調製物はまた、凍結乾燥粉末として製造することができる。使用することができる許容される賦形剤および溶媒の中には、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。その他に、滅菌不揮発性油を、溶媒または懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、任意の刺激のない不揮発性油を使用することができ、合成モノ-もしくはジグリセリドを包含する。その他に、脂肪酸、例えばオレイン酸を同様に、注入可能なものの製造に使用することができる。
【0189】
一般に、本発明の方法において有用な本発明の化合物は、実質的に水に不溶性であり、ほとんどの製薬上許容されるプロトン性溶媒および植物油に溶解性が乏しい。しかしながら、この化合物は、中鎖脂肪酸(例えばカプリル酸およびカプリン酸)またはトリグリセリドに一般に可溶であり、中鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステルに高い溶解性を有する。また本発明において企図されるのは、例えばエステル化、グリコシル化、PEG化等によって投与のためにより適当にする(例えば溶解性、生物活性、嗜好性を増加し、有害反応を減らす等)化学的および生化学的部分の置換または付加により変性された化合物である。
【0190】
好ましい実施態様においては、本発明の化合物は、溶解性が低い化合物のために適当な、脂質に基づく処方物で、経口投与のために処方され得る。脂質に基づく処方物は一般に、そのような化合物の経口の生物学的利用能を高めることができる。それ自体、本発明の好ましい薬剤組成物は、治療または予防に有効な量の本発明の化合物を、中鎖脂肪酸もしくはそのプロピレングリコールエステル(例えば可食脂肪酸、例えばカプリルおよびカプリン脂肪酸のプロピレングリコールエステル)からなる群より選択される少なくとも1種の製薬上許容される賦形剤および製薬上許容される界面活性剤、例えばポリオキシル40水素化ひまし油と一緒に含む。
【0191】
代替の好ましい実施態様においては、シクロデキストリンを水性溶解性向上剤として添加することができる。好ましいシクロデキストリンは、α-、β-およびγ-シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシルおよびマルトトリオシル誘導体を包含する。特に好ましいシクロデキストリン溶解性向上剤は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBC)であり、これは、任意の上記した組成物に添加されて、本発明の化合物の水性溶解性特性をさらに改善することができる。1つの実施態様においては、組成物は、0.1%〜20%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、より好ましくは1%〜15%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、なおさらに好ましくは2.5%〜10%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む。使用される溶解性向上剤の量は、組成物中の本発明の化合物の量に依存する。
【0192】
I. 組合せ治療
一元の投与形態または、治療を必要とする患者への同時もしくは逐次投与を意図された別々の投与形態で、任意の本発明の化合物と、癌の治療において有用な1種以上の他の活性成分(化合物を含む)とを組合わせることがまた可能である。逐次に投与されるときには、組合せは、2回以上の投与で投与され得る。代替の実施態様においては、1種以上の本発明の化合物および1種以上の追加の活性成分を、異なる経路により投与することが可能である。
【0193】
当業者は、本発明の化合物のVEG-抑制および/または抗-血管新生活性を増大させるか、または相乗作用的に高めるように作用することができる種々の活性成分を本発明の化合物と組合せて投与することができることを認識するであろう。
【0194】
本発明の方法に従えば、活性成分の組合せは:(1) 組合せ処方物において共に処方され、投与されるか、もしくは同時に投与されるか;(2) 別々の処方物として交互もしく平行に投与されるか;または(3) 当技術分野で公知の任意の他の組合せ治療レジメンによることができる。交互の治療において投与されるときには、本発明の方法は、例えば別々の溶液、エマルジョン、懸濁物、錠剤、ピルまたはカプセルで、または別々のシリンジで異なる注入によって、活性成分を逐次投与または放出することを含むことができる。一般に、交互の治療中には、各活性成分の有効投与量が逐次、すなわち引き続いて投与され、それに対して、同時治療においては、2種以上の活性成分の有効投与量が、一緒に投与される。種々の順序の断続的組合せ治療をまた使用することができる。
【0195】
本発明の理解を助けるために、以下の実施例が含まれる。本発明に関する実験は、もちろん、発明を特に限定するものと解釈すべきではなく、当業者の範囲内にある現在知られているかまたは後に展開されるそのような本発明の変更は、本明細書および特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内にあると考えられる。
【実施例】
【0196】
本発明は、以下の限定されない実施例によってより詳細に記載され、この実施例は、本発明をより完全に説明するために提供され、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。実施例は、本発明のある化合物の製造およびこれらの化合物のin vitroおよび/またはin vivoでの試験について説明する。当業者は、これらの実施例に記載された技術が、発明の実施においてうまく機能するために発明者らによって記載された技術を表し、それ自体がその実施のために好ましい方法を構成することを理解するであろう。しかしながら、当業者が、本発明の開示に照らして、開示される特定の方法において多くの変更をなすことができることを認識し、本発明の意図および範囲から離れることなく類似もしくは同様の結果がなお得られることが認識されるべきである。
【0197】
実施例1:本発明の化合物の製造
セクションBにおいて上記したスキームおよび手順を用いて、以下のような本発明のある化合物を製造することができる。本発明の他の好ましい化合物、例えば以下の表5の化合物は、同様に製造することができる。
【0198】
実施例1A-式Iの化合物、スキームI
式Iのある化合物を、手順Iに従って製造される遊離アミン生成物/中間体またはその塩を用いて、スキームIにしたがって製造することができる。例として、ある遊離アミン(III)またはその塩が、手順Iを用いて製造される。表4は、ある遊離アミン(III)またはその塩、中間体1-11を示す。
【表7】

【化21】

【0199】
中間体-1:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(5.8g、25ミリモル)、p-アニスアルデヒド(6.13mL、50ミリモル)および0.1N硫酸(60mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(6.1g、59%)として与える。ES-MS:313(M+H)+。あるいは、この中間体は、手順-IBを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(20g、86.5ミリモル)、p-アニスアルデヒド(15.9mL、130ミリモル)および酢酸(250mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(25.8g、79%)として与える。ES-MS:313(M+H)+
【0200】
中間体-2:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(116mg、0.5ミリモル)、2,3-ジフルオロベンズアルデヒド(109μL、1ミリモル)および0.1N硫酸(2mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(158mg、75%)として与える。ES-MS:319(M+H)+
【0201】
中間体-3:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(462mg、2ミリモル)、4-クロロベンズアルデヒド(562mg、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(825mg、99%)として与える。ES-MS:317(M+H)+
【0202】
中間体-4:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(462mg、2ミリモル)、4-シアノベンズアルデヒド(525mg、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(810mg、100%)として与える。ES-MS:308(M+H)+
【0203】
中間体-5:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(374mg、1.5ミリモル)、4-フルオロベンズアルデヒド(322μL、3ミリモル)および0.1N硫酸(4mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(250mg、42%)として与える。ES-MS:301(M+H)+
【0204】
中間体-6:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-クロロトリプトアミン.HCl(1.15g、5ミリモル)、4-イソプロピルベンズアルデヒド(1.516mL、10ミリモル)および0.1N硫酸(12mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(628mg、30%)として与える。ES-MS:325(M+H)+
【0205】
中間体-7:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(551mg、2ミリモル)、4-クロロベンズアルデヒド(562mg、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(330mg、36%)として与える。ES-MS:363(M+H)+
【0206】
中間体-8:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(551mg、2ミリモル)、p-トルアルデヒド(471μL、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を硫酸水素塩(257mg、29%)として与える。ES-MS:341(M+H)+。あるいは、この中間体は、手順-IBを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(10g、36.3ミリモル)、p-トルアルデヒド(6.41mL、54.5ミリモル)および酢酸(120mL)を用いて製造されて、標記化合物を酢酸塩(14.5g、100%)として与える。ES-MS:341(M+H)+
【0207】
中間体-9(化合物112):
この生成物/中間体は、手順-Iを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(551mg、2ミリモル)、4-イソプロピルベンズアルデヒド(606μL、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を硫酸水素塩(329mg、35%)として与える。ES-MS:369(M+H)+。あるいは、この中間体は、手順-IBを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(10g、36.3ミリモル)、4-イソプロピルベンズアルデヒド(8.24mL、54.5ミリモル)および酢酸(120mL)を用いて製造されて、標記化合物を酢酸塩(13g、77%)として与える。ES-MS:369(M+H)+
【0208】
中間体-10:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(551mg、2ミリモル)、3-クロロベンズアルデヒド(453μL、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(662mg、72%)として与える。ES-MS:361(M+H)+
【0209】
中間体-11:
この中間体は、手順-Iを使用して、5-ブロモトリプトアミン.HCl(551mg、2ミリモル)、p-アニスアルデヒド(491μL、4ミリモル)および0.1N硫酸(8mL)を用いて製造されて、標記化合物を酸塩(611mg、67%)として与える。ES-MS:357(M+H)+
【0210】
中間体-12:
4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-ベンズアルデヒド反応中間体は、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(1.2g、10.0ミリモル)、4-(2-クロロエチル)-モルホリン塩酸塩(2.0g、11.0ミリモル)、炭酸カリウム(4.1g、30.0ミリモル)およびヨウ化カリウム(170mg、1ミリモル)を100mlのアセトン中で合わせ、撹拌しながら加熱還流することによって製造される。4-ヒドロキシベンズアルデヒドが全て消費された(LC/MSにより48時間)後、固体がろ過され、溶媒が減圧除去される。収量は4.1g。
【0211】
次に中間体12が、手順-IBにしたがって製造される。かくして、5-クロロトリプトアミン塩酸塩(231mg、1.0ミリモル)は、4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-ベンズアルデヒド(565mg、〜1.2ミリモル)と3mLの氷酢酸中で合わせられる。懸濁物は、一定に冷却しながら、CEM Explorerマイクロ波系を用いて最大電力300Wにて、約120℃に10分間加熱される。アセトニトリル(2mL)が、冷却した反応混合物に加えられ、固体がろ過され、1mLのアセトニトリルで洗浄されて、中間体12(6-クロロ-1-[4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-フェニル]-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン)の酢酸塩が製造される(179mg、34%)。
【0212】
中間体1〜12は次に、以下の手順II〜VIIに従い本発明の化合物を製造するのに使用することができる。
【0213】
化合物2:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(70mL)中の中間体-1(3g、9.6ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(1.37mL、14.4ミリモル)およびDIEA(2.5mL、14.4ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(1.56g、42%)。ES-MS:385(M+H)+
【0214】
化合物4:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-7(72mg、0.2ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(29μL、0.3ミリモル)およびDIEA(52μL、0.3ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(37mg、43%)。ES-MS:435(M+H)+
【0215】
化合物5:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-2(50mg、0.16ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(23μL、0.24ミリモル)およびDIEA(42μL、0.24ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(25mg、41%)。ES-MS:391(M+H)+
【0216】
化合物-7:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-9(74mg、0.2ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(29μL、0.3ミリモル)およびDIEA(52μL、0.3ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(34mg、38%)。ES-MS:441(M+H)+
【0217】
化合物-8:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-8(72mg、0.2ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(29μL、0.3ミリモル)およびDIEA(52μL、0.3ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(39mg、47%)。ES-MS:413(M+H)+
【0218】
化合物-10:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(300mL)中の中間体-1酢酸塩(10.5g、28.2ミリモル)、クロロ蟻酸4-クロロフェニル(4.74mL、33.8ミリモル)およびDIEA(9.8mL、56.4ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(10.2g、78%)。ES-MS:467(M+H)+
【0219】
化合物-11:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-3(63mg、0.2ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(29μL、0.3ミリモル)およびDIEA(52μL、0.3ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(31mg、40%)。ES-MS:389(M+H)+
【0220】
化合物-12:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-4(31mg、0.1ミリモル)、クロロ蟻酸2-クロロエチル(16μL、0.15ミリモル)およびDIEA(26μL、0.15ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(22mg、53%)。ES-MS:414(M+H)+
【0221】
化合物-17:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-1(47mg、0.15ミリモル)、クロロ蟻酸4-メチルフェニル(33μL、0.23ミリモル)およびDIEA(39μL、0.23ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(34mg、51%)。ES-MS:447(M+H)+
【0222】
化合物-23:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-5(30mg、0.1ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(14μL、0.15ミリモル)およびDIEA(26μL、0.15ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(21mg、56%)。ES-MS:373(M+H)+
【0223】
化合物-25:
この生成物は、手順-VIIにより、DMF(2mL)中の中間体-9(74mg、0.2ミリモル)、2-ブロモピリミジン(48mg、0.3ミリモル)およびトリエチルアミン(42μL、0.3ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を与える(42mg、47%)。ES-MS:447(M+H)+
【0224】
化合物-102:
この生成物は、手順-IIIbにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-9(74mg、0.2ミリモル)、無水酢酸(47μL、0.5ミリモル)およびピリジン(41μL、0.5ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(31mg、38%)。ES-MS:411(M+H)+
【0225】
化合物-140:
この生成物は、手順-IVにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-10(72mg、0.2ミリモル)、イソシアン酸シクロヘキシル(26μL、0.2ミリモル)およびDIEA(37μL、0.21ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(51mg、53%)。ES-MS:486(M+H)+
【0226】
化合物-166:
この生成物は、手順-IIIaにより、その遊離アミン中間体(141mg、0.5ミリモル)、Boc-L-アラニン(105mg、0.6ミリモル)、DIC(94μL、0.6ミリモル)、DIEA(105μL、0.6ミリモル)およびジクロロメタン(4mL)を用いて製造されて、標記化合物を与える(105mg、46%)。ES-MS:420(M+H)+
【0227】
化合物-225:
この生成物は、手順-VIにより、その遊離アミン中間体(78mg、0.2ミリモル)、メチルスルホニルクロリド(16μL、0.2ミリモル)、DIEA(37μL、0.21ミリモル)およびジクロロメタン(2mL)を用いて製造されて、標記化合物を与える(32mg、34%)。ES-MS:461(M+H)+
【0228】
化合物-242:
この生成物は、手順-Vにより、その遊離アミン中間体(59mg、0.2ミリモル)、イソチオシアン酸シクロヘキシル(29μL、0.2ミリモル)、DIEA(35μL、0.2ミリモル)およびジクロロメタン(4mL)を用いて製造されて、標記化合物を与える(52mg、60%)。ES-MS:438(M+H)+
【0229】
化合物-279:
この生成物は、手順-Iを用いて、中間体-12(6-クロロ-1-[4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-フェニル]-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン)を生じさせることによって製造される。次に中間体-12を使用して、手順IIを用いて、化合物279(6-クロロ-1-[4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-フェニル]-1,3,4,9-テトラヒドロ-β-カルボリン-2-カルボン酸エチルエステル)を生じさせる。
【0230】
手順IIに従えば、中間体-12(82mg、0.20ミリモル)、クロロ蟻酸エチル(24mg、21μL、0.22ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(175μL、1.00ミリモル)が塩化メチレン(2mL)に溶解され、室温で15分間撹拌されて、化合物279を形成する。溶媒は、窒素蒸気下で除去される。粗混合物は、C-18カラムにて、0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)で緩衝された水中アセトニトリルの濃度勾配を用いた、分離用逆相HPLCによって精製される。化合物279のTFA塩(3.7mg、3%)が黄色固体として分離される。手順IIに従う他のカルバメートの形成反応のために、同様の手順を適用することができる。
【0231】
化合物-320:
この生成物/中間体は、手順Iを用いて、5-ベンジルオキシトリプトアミン.HCl(100mg、0.33ミリモル)、ピリジン-3-カルボキシアルデヒド(62μL、0.66ミリモル)および0.1N硫酸(2mL)を使用して製造されて、標記化合物を硫酸2水素塩として与える(64mg、55%)。ES-MS:356(M+H)+
【0232】
化合物-329:
この生成物は、手順-VIIにより、DMF(2mL)中の中間体-11(71mg、0.2ミリモル)、2-ブロモピリミジン(48mg、0.3ミリモル)およびトリエチルアミン(42μL、0.3ミリモル)を使用して製造されて、標記化合物を与える(41mg、49%)。ES-MS:434(M+H)+
【0233】
化合物330:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-6(65mg、0.2ミリモル)、クロロ蟻酸2-フルオロエチル(38μL、0.3ミリモル)およびDIEA(70μL、0.4ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(34mg、41%)。ES-MS:415(M+H)+
【0234】
化合物332:
この生成物は、手順-IIにより、ジクロロメタン(2mL)中の中間体-7(36mg、0.1ミリモル)、クロロ蟻酸4-メトキシフェニル(22μL、0.15ミリモル)およびDIEA(26μL、0.15ミリモル)を用いて製造されて、標記化合物を白色粉末として与える(41mg、81%)。ES-MS:511(M+H)+
【0235】
実施例1B-ある出発物質、スキームIa
スキームI(上記)と関連するときに、スキームIaを使用して、以下のように、R2が-CH2-フラニル基である出発物質を製造することができる。
【化22】

【0236】
2-フルアルデヒド(0.05mL、1.1当量)が、2mLのMeOH中の5-クロロトリプトアミン(114mg、0.586ミリモル)の溶液に添加される。反応混合物は室温で約1時間撹拌される。NaBH4(110mg、5当量)がゆっくりと添加される。反応混合物は室温で約30分間撹拌される。MeOHが蒸発され、残渣が水と塩化メチレンに分配される。有機層が分離され、K2CO3で乾燥される。集められた有機層は濃縮されて、134.9mgの粘稠な油を与える(84%)。
【0237】
実施例1C-式Iの化合物、スキームIb
あるいは、式Iのある化合物を、以下のように、スキームIbにしたがって製造することができる。
【化23】

【0238】
60mLのCH3NO2中の反応物質A(8.05g、35.9ミリモル)およびCH3COONH4(4.15g、1.5ミリモル)の懸濁物が、油浴中で約110℃にて還流される。約30分後、反応混合物は氷浴で冷却される。沈殿した固体はろ過され、水(3 x 100mL)、次いでヘキサン(2 x 50mL)で洗浄されて、粗インドール生成物Bを与える。集められた固体は約40℃にて約30分間減圧乾燥されて、6.97gの茶色固体を与える(73%)。
【化24】

【0239】
次に、THF(130mL)中のインドール生成物B(12.32g、46.1ミリモル)の溶液が、75mLのTHF中の水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム(11.9g、1当量)の溶液で、約-5℃にて約60分間ゆっくりと処理される。反応は、室温で約1時間撹拌され、ジクロロメタン(200mL)で希釈される。有機層は水で2回および塩水で洗浄される。合わせた有機層は、乾燥され、減圧下で蒸発される。残渣は、シリカゲルにて精製されて、10.28gの固体Cを与える(83%)。
【化25】

【0240】
次に、塩化アンモニウム(9.9mLの水性溶液(100mg/mL)、2当量)およびZn(725mg、1.2当量)が、161mLのTHF中のインドール生成物C(2.49g、9.24ミリモル)の溶液に添加される。反応混合物は、室温で約10分間撹拌され、その後Zn(725mg、1.2当量)が添加される。約30分後、追加のZn(967mg、1.6当量)が添加され、約2時間撹拌された後、さらにZn(845mg、1.4当量)が添加される。室温で約15分間撹拌した後、Znがろ別され、残渣が濃縮され、THFに溶解される。得られる溶液は次に、p-クロロベンズアルデヒド(0.7当量)で処理され、室温で約15時間撹拌される。反応混合物は減圧下で濃縮され、シリカゲルで精製されて、953.5mgの所望のニトロン生成物Dが与えられる。
【化26】

【0241】
次に、(+)-DIP-Cl(6.93mL、2当量、CH2Cl2中85.8mg/mL)が、60mLのジクロロメタン中のニトロン生成物D(350mg、0.93ミリモル)の溶液に添加される。反応混合物は約-78℃で約10日間撹拌され、10%NaHCO3(7mL)および10mLの水の混合物で終息される。水性層は、ジクロロメタンで3回抽出される。合わせた有機層は濃縮され、シリカゲルで精製されて、所望のヒドロキシルアミン生成物Eが与えられる(>98%ee)。
【化27】

【0242】
次に、水(11.5mL)、NH4Cl(2.5mL、5当量)およびZn(908mg、15当量)が、THF(28mL)中のヒドロキシルアミン生成物E(0.927ミリモル)の溶液に添加される。反応混合物は室温にて約1日間撹拌される。その後、追加のTHF(10mL)、NH4Cl(5mL、10当量)およびZn(1.8g、30当量)が添加され、さらに約21時間撹拌される。再び、THF(10mL)、NH4Cl(5mL、10当量)およびZn(1.8g、30当量)が添加され、さらに約20時間撹拌される。次に反応混合物は、セライトを通してろ過され、MCで洗浄される。集めたジクロロメタン層は、水および塩水で洗浄される。有機層は乾燥され、濃縮されて、ベータ-カルボリンのホウ素錯体が与えられる。この生成物は、20mLのTHFに溶解される。この溶液は、(MeOHおよびTHFで予め調和された)事前に詰められたカチオン交換樹脂中に装填され、THFで洗浄される。合わせたTHF溶液は濃縮されて、390mgの遊離アミンが与えられる。次にこの固体は、エーテルおよびヘキサンで引き続き洗浄されて、130mgの鏡像体的に純粋な化合物Fを生じる。
【0243】
実施例1D-式Iの化合物、スキームII
式I-hの化合物は、以下のようにスキームIIにしたがって製造することができる。
【化28】

【0244】
p-アニスアルデヒド(2.16g、15.9ミリモル、1.93mL)が、100mLの酢酸中の5-ブロモトリプトファンA(3g、10.6ミリモル)の懸濁物に室温で添加される。次に反応混合物は、シリコーンオイルバス中で約125℃にて加熱還流され、その温度に約3時間20分維持される。得られた溶液は減圧下で濃縮される。残渣は、ジクロロメタン、ジエチルエーテルおよびヘキサンと共に粉砕されて、粉末状茶色固体を生じる。中間体生成物Bの酢酸塩が集められ、ヘキサンで3回洗浄される。
【0245】
中間体生成物Bは、2mLのジクロロメタンに懸濁され(70mg、0.174ミリモル)、トリエチルアミン(52.8mg、0.522ミリモル)、5-メチル-2-アミノチアゾール(37.6mg、0.26ミリモル)およびPyBOP(135.8mg、0.26ミリモル)がその懸濁物に添加される。反応混合物は室温にて約6時間撹拌され、飽和NaHCO3溶液で終息される。水性層は、ジクロロメタンで抽出される。合わせた有機層は、K2CO3で乾燥され、濃縮される。ヘキサン中40%酢酸エチルを用いたシリカゲルでの精製により、8.1mgの所望のアミドCが生じる。LCMS[MH+]498、Rt=2.54。
【0246】
実施例1E-式Iの化合物、スキームIII
式I-iの化合物は、以下のようにスキームIIIにしたがって製造することができる。
【化29】

【0247】
トリプトファンA(1.0g、5.0ミリモル)および3-メトキシベンズアルデヒド(670μL、5.5ミリモル)が、アセトニトリル(100mL)中に懸濁/溶解され、濃硫酸(100μL)が添加される。アルデヒドが全て消費されるまで(1晩)、反応は加熱還流される。溶媒が減圧除去され、残渣は、5mLのエタノールに溶解された。生成物はエーテルで珍談さえ、ろ過され、10mLのエーテルで洗浄された。所望のβ-カルボリン生成物/中間体B(1-(3-メトキシ-フェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸)が、ベージュ色の固体として分離される(1.2g、76%)。LC/MS RT=2.33分。M/Z+323、100%。
【0248】
次にβ-カルボリン生成物/中間体B(200mg、0.62ミリモル)は、5mLの乾燥THFに溶解され、約0℃に冷却される。水素化アルミニウムリチウム(LAH)溶液(1.2mL、エーテル中1.0M、1.2ミリモル)が、冷却した反応混合物に窒素下で添加される。添加終了後(約10分)、反応を約4時間室温に暖める。次に反応混合物は、0℃にまた冷却され、飽和硫酸ナトリウム溶液(750μL)が添加され、混合物は0℃で約5分間撹拌される。反応混合物は次に、ろ過され、THF(100mL)で洗浄される。溶媒が減圧除去され、粗生成物は、分離用HPLCで精製される。生成物C([1-(3-メトキシ-フェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-イル]-メタノール)が白色固体として分離される(106mg、55%)。LC/MS RT=2.25分。M/Z+309、100%。
【0249】
実施例1F-本発明の化合物の化学分割
本発明の化合物は場合により、以下のように、鏡像体的に純粋な組成物、好ましくは鏡像体的に純粋な(S)異性体組成物へと化学分割されることができる。
【化30】

【0250】
ラセミのアミンA(18.21g、58.2ミリモル)が、EtOH(1.28L)中でN-アセチル-L-フェニルアラニン(12.05g、58.2ミリモル)と混合され、還流されて、透明な溶液が得られる。次にこの溶液は、室温に冷却される。1晩放置した後、沈殿した固体がろ過され、EtOH(200mL)で洗浄されて、塩Bが与えられる(16.4g)。塩Bは、EtOAc(500mL)中に取られ、水性1N NaOH(300mL x 2)またはNH4OH(200mL x 2)で洗浄され、乾燥され、蒸発されて、遊離アミンCのS-異性体が得られる(7.4g)。R-異性体は、N-アセチル-D-フェニルアラニンを用いて同様の手順により製造される。
【0251】
実施例1G-本発明のさらなる典型的化合物
さらなる限定されない例として、当業者に認められるように、以下の化合物(表5)を、上記したのと同様の方法によって製造することができる。
【表8】

【0252】

【0253】

【0254】

【0255】

【0256】

【0257】

【0258】

【0259】

【0260】

【0261】

【0262】

【0263】

【0264】

【0265】

【0266】

【0267】

【0268】

【0269】

【0270】

【0271】

【0272】

【0273】

【0274】

【0275】

【0276】

【0277】

【0278】

【0279】

【0280】

【0281】

【0282】

【0283】
実施例2:低酸素症-誘発性内因性VEGF発現への作用を評価するアッセイ
本発明の化合物の低酸素症-誘発性内因性VEGF発現を調節する能力は、以下のように分析することができる。VEGFタンパク質濃度は、ELISAアッセイ(R&D Systems)によって監視することができる。簡単には、本発明の化合物の存在下もしくは不在下で、低酸素条件下(1%O2、5%CO2、窒素で残部を合わせる)で、HeLa細胞を24-48時間培養することができる。次に、調整した培地をELISAによりアッセイし、VEGFの濃度を各アッセイの標準ELISA曲線から計算することができる。
【0284】
投与量-応答分析は、ELISAアッセイおよび上記した条件を用いて行なうことができる。投与量-応答ELISAのための条件は、上記したのと同様である。一連の、例えば7個の異なる濃度を分析することができる。平行して、投与量-応答細胞毒性アッセイを、ELISAと同じ条件下でCell Titer Glo(Promega)を用いて行ない、VEGF発現の抑制が細胞毒性によるものではないことを確認することができる。パーセント抑制対化合物の濃度を用いて、投与量-応答曲線をプロットすることができ、EC50およびCC50値を各化合物について生成し、最大抑制は100%、最小抑制は0%と定める。本発明の好ましい化合物は、50未満、好ましくは10未満、より好ましくは2未満、なおさらに好ましくは0.5未満、なおさらに好ましくは0.01未満の、EC50を有する。
【0285】
図1は、本発明の典型的化合物である化合物No.7の、低酸素条件下で腫瘍細胞における内因性VEGF生成を抑制する能力を示す。ELISA EC50は0.0025μMであり、一方、そのCC50(50%細胞毒性)は0.2μMより大きい。一連の本発明の好ましい化合物についてのEC50を表5に提供する。
【表9】

【0286】

【0287】

【0288】

【0289】

【0290】

【0291】

【0292】

【0293】

【0294】

【0295】

【0296】

【0297】

【0298】

【0299】

【0300】

【0301】

【0302】

【0303】

【0304】

【0305】

【0306】

【0307】

【0308】

【0309】

【0310】

【0311】

【0312】

【0313】

【0314】

【0315】

【0316】

【0317】

【0318】

【0319】

【0320】

【0321】

【0322】

【0323】

【0324】

【0325】

【0326】

【0327】
実施例3:本発明の化合物は、in vivo腫瘍増殖PDモデルにおいて、VEGF発現および腫瘍増殖を抑制する
本発明の化合物はまた、腫瘍内VEGF濃度を評価する以下の薬力学モデルにおいて活性を示す。簡単には、HT1080細胞(ヒトの線維肉腫細胞系統)が、ヌードマウスにおいて皮下に移植され得る。7日後、マウスは、7日間、所望の投与量範囲、例えば200mg/kg/日で経口的に化合物を投与され得る。次に、腫瘍をマウスから摘出し、プロテイナーゼ阻害剤を含むTris-HCl緩衝液中でホモジナイズすることができる。Moulder ら、 Cancer Res. 61(24):8887-95 (2001)。その後、腫瘍内VEGF濃度が、ヒトVEGF ELISA キット (R&D System)を用いて測定される。ホモジネートのタンパク質濃度は、Bio-Radタンパク質アッセイキットを用いて測定され、腫瘍内VEGF濃度は、タンパク質濃度に標準化される。
【0328】
本発明の好ましい化合物は、100mm3の腫瘍に対して1週間使用した場合、一般に、賦形剤-処理した対照群と比べて、腫瘍増殖を少なくとも50%抑制する(データは示していない)。
【0329】
実施例4:本発明の化合物は、PDE5の活性に影響を及ぼさない
ホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性へのその影響を評価するために、本発明の化合物が試験される。PDE5活性への影響は、Molecular Devicesからの高効率蛍光偏光アッセイ(HEFP)キットを用いて決定される。HEFPアッセイは、基質としてcGMPのフルオレセイン標識誘導体を用いることによって、PDE-5の活性を測定する。PDE-5により加水分解されたときには、フルオレセイン標識したcGMP誘導体は、結合試薬に結合することができる。cGMP基質:結合試薬の複合体は、高偏光した蛍光状態を生じる。
【0330】
図2は、PDE-5活性への本発明の化合物の結果を示す。組替えPDE-5(CalBioChem)およびcGMP基質を合わせた後、混合物は、化合物または正の対照(Tadalafil)の存在下もしくは不在下で、室温にて45分間インキュベートされる。結合試薬を添加したら、反応は停止される。蛍光の偏光は、製造業者により推奨される設定を用いたViewluxにて決定される。図2から明らかなように、本発明の化合物は、正の対照に比べて、PDE-5の活性を阻害しない。
【0331】
本明細書において引用された全ての刊行物および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物または特許出願が詳細にかつ個別に、引用することにより組み入れられることを指示されたかのように、同じ範囲に、引用することにより組み入れられる。
【0332】
ある実施態様は先に詳細に記載したが、当業者は、その教示するものから離れることなく、実施態様に多くの変更が可能であることを明らかに理解するであろう。全てのそのような変更は、本発明の特許請求の範囲内に包含されることを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物、またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体
(式中、
Xは、水素;場合により1個以上のハロゲンで置換されていてもよいC1〜C6アルキル;ヒドロキシル基;ハロゲン;場合によりC6〜C10アリール基で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Aは、CHまたはNであり;
Bは、CHまたはNであるが、ただし、AまたはBの少なくとも一方はNであり、かつAがNであるときには、BはCHであり;
R1は、ヒドロキシル基;C1〜C8アルキル基(場合により、アルキルチオ基、5〜10員環のヘテロアリール、場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基で置換されていてもよい);C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;3〜12員環の複素環式基(複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);または少なくとも1個の独立して選択されるR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C10アリール基であり;
R0は、ハロゲン;シアノ;ニトロ;スルホニル(スルホニルは、C1〜C6アルキルもしくは3〜10員環の複素環で場合により置換されていてもよい);アミノ基(アミノ基は、場合により、C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、スルホニル、アルキルスルホニル、場合により-C(O)O-Rnで置換されていてもよい3〜10員環の複素環式基で置換されていてもよい);-C(O)-NH-Rb;5〜6員環の複素環;5〜6員環のヘテロアリール;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルキル基で場合により置換されていてもよく、C1〜C4アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基もしくは5〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn基;または-ORa基であり;
Raは、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb 基; -C(O)-NH-Rb;C1〜C8アルキル(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、C6〜C10アリール、3〜12員環の複素環もしくは5〜12ヘテロアリール基で場合により置換されていてもよく、さらに、アルキルアミノは、場合により、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ基もしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで置換されていてもよく、さらにアセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニルもしくはアルキルスルホニルで場合により置換されていてもよく、さらに複素環式基は、場合によりC1〜C4アルキル(場合によりヒドロキシル基、-C(O)-Rn、-C(O)O-Rnもしくはオキソ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよく;
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルアミノ(アルキルアミノは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、3〜12員環の複素環(場合により少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnで置換されていてもよい)、またはC1〜C4アルキルで場合により置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよい);C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール;3〜12員環の複素環式基(複素環は、少なくとも1個の独立して選択されるアセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員環の複素環、またはヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ基もしくはアルキルアミノ基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキルで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル(アルキルは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ、C6〜C10アリール、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソもしくは-C(O)O-Rn基で場合により置換されていてもよい)であり;
R2は、水素;ヒドロキシル;5〜10員環のヘテロアリール基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、3〜10員環の複素環、5〜10員環のヘテロアリールもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rc基;-C(O)-N(RdRd) 基;-C(S)-N(RdRd) 基;-C(S)-O-Re 基;-S(O2)-Re 基; -C(NRe)-S-Re 基または-C(S)-S-Rf 基であり;
Rcは、水素;アミノ(アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキルもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn;5〜6員環の複素環(複素環は、-C(O)-Rn基で場合により置換されていてもよい);5〜6員環のヘテロアリール;チアゾールアミノ基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rn、ヒドロキシルもしくは、場合により-C(O)O-Rn 基で置換されていてもよいアミノ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rdは独立して、水素;C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;C6〜C10アリール基(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-Reもしくは-OReで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rnもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよく、C6〜C10アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはハロアルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Reは、水素;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい);またはC6〜C10アリール基(アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rfは、場合により少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノ、C6〜C10アリールもしくは-C(O)-Rn 基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基(アルコキシ基は、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されていてもよく、アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキル基であり;
R3は、水素または-C(O)-Rgであり;
Rgは、ヒドロキシル基;アミノ基(アミノは、C6〜C10シクロアルキル基もしくは5〜10員環のヘテロアリール基で場合により置換されていてもよい);または5〜10員環の複素環式基(複素環式基は、-C(O)-Rn 基で場合により置換されていてもよい)である);
但し、該化合物の立体異性体は、R1の結合点で不斉炭素を有する。
【請求項2】
該化合物が、式(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、(I-h)または(I-i):
【化2】

のいずれかで示される化合物(全ての可変基は上記で定義した通りである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式II:
【化3】

の化合物、またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体
(式中、
R1は、ヒドロキシル基;C1〜C8アルキル基(場合によりアルキルチオ基、5〜10員環のヘテロアリール、場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基で置換されていてもよい);C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;3〜12員環の複素環式基(複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);または少なくとも1個の独立して選択されるR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C10アリール基であり;
R0は、ハロゲン;シアノ;ニトロ;スルホニル(スルホニルは、C1〜C6アルキルもしくは3〜10員環の複素環で場合により置換されていてもよい);アミノ基(アミノ基は、C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、スルホニル、アルキルスルホニル、-C(O)O-Rnで場合により置換されていてもよい3〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-NH-Rb;5〜6員環の複素環;5〜6員環のヘテロアリール;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルキル基で場合により置換されていてもよく、C1〜C4アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基もしくは5〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn基;または-ORa基であり;
Raは、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb 基;-C(O)-NH-Rb; C1〜C8アルキル(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、C6〜C10アリール、3〜12員環の複素環もしくは5〜12ヘテロアリール基で場合により置換されていてもよく、また、アルキルアミノは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ基もしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよく、また、アセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニルもしくはアルキルスルホニルで場合により置換されていてもよく、また、複素環式基は、C1〜C4アルキル(場合によりヒドロキシル基、-C(O)-Rn、 -C(O)O-Rnもしくはオキソ基で置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい)であり;
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルアミノ(アルキルアミノは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、3〜12員環の複素環(少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnもしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい);C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール;3〜12員環の複素環式基(複素環は、少なくとも1個の独立して選択されるアセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員環の複素環または、場合によりヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ基もしくはアルキルアミノ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキルで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル(アルキルは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ、C6〜C10アリール、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソもしくは-C(O)O-Rn基で場合により置換されていてもよい)であり;
R2は、水素;ヒドロキシル;5〜10員環のヘテロアリール基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、3〜10員環の複素環、5〜10員環のヘテロアリールもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rc基; -C(O)O-Rd 基;-C(O)-N(RdRd) 基;-C(S)-N(RdRd) 基;-C(S)-O-Re 基;-S(O2)-Re 基; -C(NRe)-S-Re 基または-C(S)-S-Rf 基であり;
Rcは、水素;アミノ(アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキルもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn;5〜6員環の複素環(複素環は、-C(O)-Rn基で場合により置換されていてもよい);5〜6員環のヘテロアリール;チアゾールアミノ基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rn、ヒドロキシルもしくは、場合により-C(O)O-Rn 基で置換されていてもよいアミノ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rdは独立して、水素;C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;C6〜C10アリール基(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-Reもしくは-OReで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rnもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよく、C6〜C10アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはハロアルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Reは、水素;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい);またはC6〜C10アリール基(アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rfは、場合により少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノ、C6〜C10アリールもしくは-C(O)-Rn 基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基(アルコキシ基は、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されていてもよく、アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキル基である);
但し、該化合物の立体異性体は、R1の結合点で不斉炭素を有する。
【請求項4】
式III:
【化4】

の化合物、またはその製薬上許容される塩ラセミ体もしくは立体異性体
(式中、
R1は、ヒドロキシル基;C1〜C8アルキル基(場合によりアルキルチオ基、5〜10員環のヘテロアリール、場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基で置換されていてもよい);C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;3〜12員環の複素環式基(複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);または少なくとも1個の独立して選択されるR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C10アリール基であり;
R0は、ハロゲン;シアノ;ニトロ;スルホニル(スルホニルは、C1〜C6アルキルもしくは3〜10員環の複素環で場合により置換されていてもよい);アミノ基(アミノ基は、C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、スルホニル、アルキルスルホニル、-C(O)O-Rnで場合により置換されていてもよい3〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-NH-Rb;5〜6員環の複素環;5〜6員環のヘテロアリール;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルキル基で場合により置換されていてもよく、C1〜C4アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基もしくは5〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn基;または-ORa基であり;
Raは、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb 基;-C(O)-NH-Rb; C1〜C8アルキル(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、C6〜C10アリール、3〜12員環の複素環もしくは5〜12ヘテロアリール基で場合により置換されていてもよく、また、アルキルアミノは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ基もしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよく、また、アセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニルもしくはアルキルスルホニルで場合により置換されていてもよく、また、複素環式基は、C1〜C4アルキル(場合によりヒドロキシル基、-C(O)-Rn、 -C(O)O-Rnもしくはオキソ基で置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい)であり;
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルアミノ(アルキルアミノは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、3〜12員環の複素環(少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnもしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよい)で場合により置換されていてもよい);C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール;3〜12員環の複素環式基(複素環は、少なくとも1個の独立して選択されるアセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員環の複素環または、場合によりヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ基もしくはアルキルアミノ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキルで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル(アルキルは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ、C6〜C10アリール、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソもしくは-C(O)O-Rn基で場合により置換されていてもよい)であり;
R2は、水素;ヒドロキシル;5〜10員環のヘテロアリール基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、3〜10員環の複素環、5〜10員環のヘテロアリールもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rc基; -C(O)O-Rd 基;-C(O)-N(RdRd) 基;-C(S)-N(RdRd) 基;-C(S)-O-Re 基;-S(O2)-Re 基; -C(NRe)-S-Re 基または-C(S)-S-Rf 基であり;
Rcは、水素;アミノ(アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキルもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn;5〜6員環の複素環(複素環は、-C(O)-Rn基で場合により置換されていてもよい);5〜6員環のヘテロアリール;チアゾールアミノ基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rn、ヒドロキシルもしくは、場合により-C(O)O-Rn 基で置換されていてもよいアミノ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rdは、独立して、水素;C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;C6〜C10アリール基(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-Reもしくは-OReで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rnもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよく、C6〜C10アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはハロアルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Reは、水素;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい);またはC6〜C10アリール基(アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rfは、場合により少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノ、C6〜C10アリールもしくは-C(O)-Rn 基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基(アルコキシ基は、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されていてもよく、アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキル基である);
但し、該化合物の立体異性体は、R1の結合点で不斉炭素を有する。
【請求項5】
以下からなる群より選択される化合物:
【化5】





































































































またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体;
但し、該化合物の立体異性体は三環コアに直接結合するフェニル環の結合点で不斉炭素を有する。
【請求項6】
前記化合物の立体異性体が、前記不斉炭素で(S)異性体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
癌の治療または腫瘍増殖を抑制するための医薬の製造における、式(I)、式(II)または式(III):
【化6】

のいずれかの化合物、またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体の使用:
(式中、
Xは、水素;場合により1個以上のハロゲンで置換されていてもよいC1〜C6アルキル;ヒドロキシル基;ハロゲン;場合によりC6〜C10アリール基で置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Aは、CHまたはNであり;
Bは、CHまたはNであるが、但し、AまたはBの少なくとも一方はNであり、かつAがNであるときには、BはCHであり;
R1は、ヒドロキシル基;C1〜C8アルキル基(場合により、アルキルチオ基、5〜10員環のヘテロアリール、場合により少なくとも1個の独立して選択されるR0基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基で置換されていてもよい);C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;3〜12員環の複素環式基(複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、オキソ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミノ、チオもしくはアルキルチオ基で場合により置換されていてもよい);または少なくとも1個の独立して選択されるR0基で場合により置換されていてもよいC6〜C10アリール基であり;
R0は、ハロゲン;シアノ;ニトロ;スルホニル(スルホニルは、C1〜C6アルキルもしくは3〜10員環の複素環で場合により置換されていてもよい);アミノ基(アミノ基は、場合により、C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、スルホニル、アルキルスルホニル、場合により-C(O)O-Rnで置換されていてもよい3〜10員環の複素環式基で置換されていてもよい);-C(O)-NH-Rb;5〜6員環の複素環;5〜6員環のヘテロアリール;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルキル基で場合により置換されていてもよく、C1〜C4アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基もしくは5〜10員環の複素環式基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn基;または-ORa基であり;
Raは、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb 基; -C(O)-NH-Rb;C1〜C8アルキル(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、C6〜C10アリール、3〜12員環の複素環もしくは5〜12ヘテロアリール基で場合により置換されていてもよく、さらに、アルキルアミノは、場合により、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ基もしくは、場合によりC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで置換されていてもよく、さらにアセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニルもしくはアルキルスルホニルで場合により置換されていてもよく、さらに複素環式基は、場合によりC1〜C4アルキル(場合によりヒドロキシル基、-C(O)-Rn、 -C(O)O-Rnもしくはオキソ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよく;
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルアミノ(アルキルアミノは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、3〜12員環の複素環(場合により少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnで置換されていてもよい)、またはC1〜C4アルキルで場合により置換されていてもよい5〜12員環のヘテロアリールで場合により置換されていてもよい);C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよい);5〜12員環のヘテロアリール;3〜12員環の複素環式基(複素環は、少なくとも1個の独立して選択されるアセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員環の複素環、またはヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ基もしくはアルキルアミノ基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキルで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル(アルキルは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C4アルコキシ、C6〜C10アリール、アミノもしくは3〜12員環の複素環式基で場合により置換されていてもよく、アミノ基および複素環式基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキル、オキソもしくは-C(O)O-Rn基で場合により置換されていてもよい)であり;
R2は、水素;ヒドロキシル;5〜10員環のヘテロアリール基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、3〜10員環の複素環、5〜10員環のヘテロアリールもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rc基;-C(O)-N(RdRd) 基;-C(S)-N(RdRd) 基;-C(S)-O-Re 基;-S(O2)-Re 基; -C(NRe)-S-Re 基または-C(S)-S-Rf 基であり;
Rcは、水素;アミノ(アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C6アルキルもしくはC6〜C10アリール基で場合により置換されていてもよい);C6〜C10アリール(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい);-C(O)-Rn;5〜6員環の複素環(複素環は、-C(O)-Rn基で場合により置換されていてもよい);5〜6員環のヘテロアリール;チアゾールアミノ基;C1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rn、ヒドロキシルもしくは、場合により-C(O)O-Rn 基で置換されていてもよいアミノ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rdは独立して、水素;C2〜C8アルケニル基;C2〜C8アルキニル基;C6〜C10アリール基(アリールは、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-Reもしくは-OReで場合により置換されていてもよい);またはC1〜C8アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、フェニルオキシ、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール、-C(O)-Rn、-O-C(O)-Rnもしくはヒドロキシル基で場合により置換されていてもよく、C6〜C10アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはハロアルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Reは、水素;C1〜C6アルキル基(アルキル基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい);またはC6〜C10アリール基(アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲンもしくはアルコキシ基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rfは、場合により少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノ、C6〜C10アリールもしくは-C(O)-Rn 基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基(アルコキシ基は、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されていてもよく、アリール基は、少なくとも1個の独立して選択されるハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、シアノもしくはC1〜C6アルキル基で場合により置換されていてもよい)であり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキル基であり;
R3は、水素または-C(O)-Rgであり;
Rgは、ヒドロキシル基;アミノ基(アミノは、C6〜C10シクロアルキル基もしくは5〜10員環のヘテロアリール基で場合により置換されていてもよい);または5〜10員環の複素環式基(複素環式基は、-C(O)-Rn 基で場合により置換されていてもよい)である);
但し、該化合物の立体異性体は、R1の結合点で不斉炭素を有し、該化合物は、ELISAアッセイによって監視されるように、腫瘍細胞における内因性VEGF生成を阻害する。
【請求項9】
式(I)の前記化合物が、式(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、(I-h)または(I-i):
【化7】

のいずれかで示される化合物である(全ての可変基は上記で定義した通りである)、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
式(I)の前記化合物が、式(IV):
【化8】

の化合物、または製薬上許容されるその塩、ラセミ体もしくは立体異性体である、請求項8に記載の使用
(式中、Xは、水素;1個以上のハロゲンで場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;ヒドロキシル;ハロゲン;またはフェニルで場合により置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Roは、ハロゲン;シアノ;ニトロ;C1〜C6アルキルもしくはモルホリニルで置換されているスルホニル; C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルもしくはテトラヒドロピラニルで場合により置換されていてもよいアミノ(ピペリジニル、モルホリニルまたはテトラヒドロピラニルは-C(O)O-Rnで場合によりさらに置換されていてもよい);ヒドロキシル、ハロゲンもしくはアミノから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;-C(O)-Rn;またはORaであり;
Raは、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb;-C(O)-NH-Rb;ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アリール、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,3-ジオキソラン-2-オン、オキシラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、フラン、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、チオフェンまたはテトラゾールから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり
(ここで、アミノは、C1〜C4アルコキシカルボニル、イミダゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロールまたはチアゾールで場合により置換されていてもよく(ピリジンおよびチアゾールは、それぞれC1〜C4アルキルで場合により置換されていてもよい);
アルキルアミノおよびジアルキルアミノは、アルキルにおいて、それぞれヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、イミダゾール、ピラゾール、ピロールまたはテトラゾールで場合により置換されていてもよく;かつ
モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびオキシラニルは、それぞれ-C(O)-Rn、-C(O)O-Rn、またはヒドロキシルで場合により置換されていてもよいC1〜C4アルキルで、場合により置換されていてもよい);
Rbは、ヒドロキシル;アミノ;アルキルにおいて、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノまたはC1〜C4アルコキシで場合により置換されていてもよいアルキルアミノ;C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;ハロゲンおよびC1〜C4アルコキシから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいアリール;フラン;またはC1〜C4アルコキシ、アリール、アミノ、モルホリニル、ピペリジニルもしくはピペラジニルから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり(アミノ基、モルホリニル基、ピペリジニル基およびピペラジニル基は、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C8アルキル、オキソまたはC(O)O-Rnの置換基で場合により置換されていてもよい);
Rdは、ハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキル、-C(O)O-ReおよびOReから独立して選択される1個以上の置換基で置換されているフェニルであり;
Reは、水素;ハロゲンおよびアルコキシから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;またはハロゲンおよびアルコキシから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニルであり;
Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノまたはC1〜C6アルキルである)
但し、該化合物の立体異性体は、Roで置換されたフェニルの結合点で不斉炭素を有する。
【請求項11】
Xが、1個以上のハロゲンで場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;ハロゲン;またはフェニルで場合により置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Roが、ハロゲン;シアノ;ニトロ;C1〜C6アルキルもしくはモルホリニルで置換されているスルホニル; C1〜C6アルキル、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アルキルスルホニル、ピペリジニル(該ピペリジニルは-C(O)O-Rnで場合によりさらに置換されていてもよい)およびテトラヒドロピラニルで場合により置換されていてもよいアミノ;1個以上のハロゲン基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;-C(O)-Rn;またはORaであり;
Raが、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb;ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アリール、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,3-ジオキソラン-2-オン、オキシラニル、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、イミダゾールまたはピラゾールから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり
(ここで、アミノは、C1〜C4アルコキシカルボニル、ピリジンまたはチアゾールで場合により置換されていてもよく(ピリジンおよびチアゾールは、それぞれC1〜C4アルキルで場合により置換されていてもよい);
アルキルアミノおよびジアルキルアミノは、アルキルにおいて、それぞれヒドロキシル、C1〜C4アルコキシまたはイミダゾールで場合により置換されていてもよく;かつ
モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびオキシラニルは、それぞれ-C(O)-Rn、-C(O)O-Rn、またはヒドロキシルで場合により置換されていてもよいC1〜C4アルキルで、場合により置換されていてもよい);
Rbが、ヒドロキシル; C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;1個以上のハロゲン基で場合により置換されていてもよいフェニル;フラン;またはC1〜C4アルコキシ、フェニル、アミノ(該アミノは、少なくとも1個の独立して選択されるC1〜C8アルキル基で場合により置換されていてもよい)もしくはモルホリニルから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり;並びに
Rdが、ハロゲン、ニトロ、C1〜C6アルキルおよびOReから独立して選択される1個以上の置換基で置換されているフェニルであり;
但し、他の全可変基は上記で定義した通りである、
請求項10に記載の使用。
【請求項12】
Xが、C1〜C6アルキル;ハロゲン;フェニルで場合により置換されていてもよいC1〜C5アルコキシであり;
Roが、ハロゲン;シアノ;ニトロ;C1〜C6アルキルもしくはモルホリニルで置換されているスルホニル;-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アルキルスルホニル、ピペリジニル(該ピペリジニルは、-C(O)O-Rnで場合によりさらに置換されていてもよい)およびテトラヒドロピラニルで場合により置換されていてもよいアミノ;1個以上のハロゲン基で場合により置換されていてもよいC1〜C6アルキル;-C(O)-Rn;またはORaであり;
Raが、水素;C2〜C8アルケニル;-C(O)O-Rb;ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルコキシ−C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)O-Rb、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,3-ジオキソラン-2-オン、オキシラニル、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、イミダゾールまたはピラゾールから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり
(ここで、アミノは、C1〜C4アルコキシカルボニル、ピリジンまたはチアゾールで場合により置換されていてもよく(ピリジンおよびチアゾールは、それぞれC1〜C4アルキルで場合により置換されていてもよい);
アルキルアミノおよびジアルキルアミノは、アルキルにおいて、それぞれヒドロキシル、C1〜C4アルコキシまたはイミダゾールで場合により置換されていてもよく;かつ
モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびオキシラニルは、それぞれ-C(O)-Rn、-C(O)O-Rn、またはヒドロキシルで場合により置換されていてもよいC1〜C4アルキルで、場合により置換されていてもよい);かつ
Rbが、ヒドロキシル; C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;1個以上のハロゲン基で場合により置換されていてもよいフェニル;フラン;またはC1〜C4アルコキシもしくはモルホリニルから独立して選択される1個以上の置換基で場合により置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり;
他の全可変基が上記で定義した通りである、
請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、以下からなる群より選択される化合物:
【化9】






































































































またはその製薬上許容される塩、ラセミ体もしくは立体異性体である、請求項8に記載の使用;但し、該化合物の該立体異性体は、三環コアに直接結合するフェニル環の結合点で不斉炭素を有する。
【請求項14】
前記化合物の立体異性体が、前記不斉炭素で(S)異性体である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記化合物の立体異性体が、以下からなる群より選択される化合物:
【化10】

またはその製薬上許容される塩である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記医薬が、癌の治療に有効な1以上の追加の薬剤と同時に、または逐次的に投与されるように調製される、請求項8〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記腫瘍が線維肉腫である、請求項8〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
前記腫瘍の細胞がHeLaまたはHT1080細胞系統である、請求項8〜16のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−12398(P2012−12398A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162351(P2011−162351)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2007−504011(P2007−504011)の分割
【原出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】