説明

血管新生性の組織増殖の治療方法

血管新生性の組織増殖を特徴とする疾患若しくは障害の治療方法が記述される。該方法は、(i)親水性ポリマーで誘導体化した、1〜20モルパーセントの間の小胞形成性脂質を包含する小胞形成性脂質、(ii)血管新生を促進する生物学的活性を有するターゲッティングリガンド、および(iii)前記リポソーム中に捕捉されている薬物より構成される免疫リポソーム組成物を提供すること;ならびに該免疫リポソーム組成物を被験体に投与することを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生を刺激する生物学的活性を有するターゲッティングリガンドを包含するリポソームを投与することによる血管新生性の組織増殖の停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生すなわち新しい血管供給源の発生はヒト腫瘍の発生、増殖および転移において不可欠な過程である。血管新生の過程は一連の相互作用性の事象よりなる。すなわち、正常血管(新生腫瘍若しくは微小転移性病変に隣接する)中の静止状態の内皮細胞が血管新生因子により刺激されて、下にある基底膜を分解し、間質マトリックス内に移動し、増殖し、そして成熟血管になる管状構造にそれら自身を組織化する(非特許文献1)。これらの新たな血管が生長する際に、かつ、それらが閉鎖した管に封止する前に、内皮に欠陥若しくは間隙が内皮に出現する。血管新生の増大された理解は、抗癌介入戦略の魅力的な標的になりつつある腫瘍の脈管構造に導いた。これらの戦略は、腫瘍の血管新生内皮細胞の増殖を阻害しかつそれにより腫瘍細胞への必須栄養素の流れを中断することに集中している(抗血管新生療法)。
【0003】
増殖している血管の内皮細胞は、塩基性線維芽細胞増殖因子受容体(bFGFr)、内皮細胞増殖因子受容体(FGFr)および血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFr)を包含する増殖因子受容体の発現をアップレギュレートする(非特許文献2)。これらの受容体の1つへのコグネイトのリガンドの高親和性結合の後に、リガンド−受容体複合体のインターナリゼーションおよび細胞増殖に至る細胞内経路の刺激が続く。血管内皮細胞のこうしたパラクリン/オートクリン増殖は血管新生過程の特質である。
【0004】
これらの増殖因子は新たな癌の増殖を開始させかつまた既存の癌および増殖性障害を刺激もする。ある種の増殖因子の循環濃度と癌増殖との間に直接の相関が存在する。癌治療への従来技術のアプローチは、例えば増殖因子に特異的な抗体を提供してそれらの活性を低下若しくは阻害することにより増殖因子の増殖促進活性を阻害することを試みてきた(特許文献1)。
【0005】
リポソームは、薬物、とりわけ癌化学療法剤の送達のための貴重な治療ツールであることが判明した。とりわけ、親水性ポリマー鎖の外部コーティングをもつリポソームは、静脈内投与後数日間循環することが可能であり、また、内皮障壁を損傷した血管を通過する(浸出する)のに十分小さい。こうした長時間循環するリポソームは、腫瘍の血管新生の間に形成された新たに生長する血管中に浸出することが可能であることが最近示された。これらの血管は、閉鎖された管にしばしば不完全に形成されるか、若しくは内皮に間隙および他の欠陥を有する(非特許文献3)からである。
【0006】
細胞傷害性の薬物を負荷されたリポソームは、「感作」すなわちそれらの外表面上でリガンドと共有結合させて該リポソームの標的を身体中の特定の細胞、組織若しくは受容体に定め得る(例えば、特許文献2;3;4;5を参照されたい)。免疫リポソームと称される、それらの表面上にこうしたリガンドをもつリポソームは、相補的受容体を発現する細胞の表面に特異的にかつ高親和性を伴い結合する。免疫リポソームの製造へのアプローチは当該技術分野で記述されており、そして、リポソームを形成する脂質の極性の頭部基にリガンドを結合すること(特許文献6;非特許文献4;非特許文献5)またはリポソームを取り巻く親水性ポリマー鎖の全部若しくは一部分の遠位端にリガンドを結合すること(非特許文献6;非特許文献7)を包含する。ポリマー鎖の遠位端へのターゲッティングリガンドの結合は、末端官能性化した脂質ポリマー誘導体を包含する脂質小胞;すなわち、遊離ポリマー端が反応性であるすなわち「活性化」されている脂質−ポリマー複合物の製造を包含するいくつかの方法を介して達成し得る。こうした活性化された複合物がリポソーム組成物中に包含され、そして活性化されたポリマー端を、リポソーム形成後にターゲッティングリガンドと反応させる。あるいは、脂質−ポリマー−リガンド複合物をリポソーム形成の時点で脂質組成物中に包含し得る。第三の方法は、リポソーム中への複合物の挿入を達成するための脂質−ポリマー−リガンド複合物のミセル溶液との予め形成されたリポソームのインキュベーションを必要とする(特許文献3;2)。
【0007】
免疫リポソームの分野で多くの進歩がなされてきた一方、治療のための特定の組織へのリポソームの新たなターゲッティング戦略に対する必要性が存続している。腫瘍治療のための戦略に対する特定の必要性が存続している。
【特許文献1】米国特許第5,919,459号明細書
【特許文献2】米国特許第6,214,388号明細書
【特許文献3】米国特許第6,316,024号明細書
【特許文献4】米国特許第6,056,973号明細書
【特許文献5】米国特許第6,043,094号明細書
【特許文献6】米国特許第5,013,556号明細書
【非特許文献1】Gasparini,G.、Drugs、58(1):17(1999)
【非特許文献2】Chandler,L.A.ら、Int J.Cancer、81(3):451(1999)
【非特許文献3】Yuan,F.ら、Cancer Res.、54(13):3352(1994)
【非特許文献4】Klibanov,A.L.ら、Biochim.Biphys.Acta.、1062:142−148(1991)
【非特許文献5】Hansen,C.B.ら、Biochim.Biphys.Acta、1239:133−144(1995)
【非特許文献6】Allen,T.M.ら、Biochim.Biphys.Acta、1237:99−108(1995)
【非特許文献7】Blume,G.ら、Biochim.Biphys.Acta、1149:180−184(1993)
【発明の開示】
【0008】
[発明の要約]
一局面において、本発明は、(i)親水性ポリマーで誘導体化した、1〜20モルパーセントの間の小胞形成性脂質を含んでなる小胞形成性脂質、(ii)血管新生を促進する生物学的活性を有するターゲッティングリガンド、および(iii)前記リポソーム中に捕捉されている薬物より構成される免疫リポソーム組成物を提供すること;ならびに、血管新生性の組織増殖を特徴とする疾患若しくは障害に罹っている被験体に該免疫リポソーム組成物を投与することを含んでなる、こうした疾患若しくは障害の治療方法を包含する。
【0009】
一態様において、ターゲッティングリガンドは増殖因子である。例示的増殖因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を包含する。
【0010】
別の態様において、免疫リポソーム中に捕捉されている薬物は細胞傷害性の化学療法剤である。例示的剤は、シスプラチンのような白金配位錯体、アントラサイクリン抗生物質、およびビンカアルカロイドを包含する。別の態様において、免疫リポソーム中に捕捉されている薬物は血管新生阻害剤である。例示的抗血管新生剤は、FGFRキナーゼ阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、VEGFRキナーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤を包含する。特定の例示的抗血管新生剤は、マルミアスタット、プリノマスタット、BMS275291、BAY12−9566、ネオバスタット、rhuMAb VEGF、SU5416、SU6668、ZD6474、CP−547、CP−632、ZD4190、エンドスタチン、サリドマイドおよびサリドマイド類似物、スクアラミン、セレコキシブ、ZD6126ならびにTNP−470を包含する。
【0011】
なお別の態様において、親水性ポリマーはポリエチレングリコールである。
【0012】
一態様において、該免疫リポソームはポリマーとしてポリエチレングリコールを包含し;リガンドは塩基性線維芽細胞増殖因子であり;そして薬物は化学療法剤である。
【0013】
別の態様において、該免疫リポソームはポリマーとしてポリエチレングリコールを包含し;リガンドは塩基性線維芽細胞増殖因子であり;そして薬物は血管新生阻害剤である。
【0014】
本発明のこれらのおよび他の目的および特徴は、本発明の以下の詳細な記述を付随する図面とともに読む場合により完全に認識されるであろう。
[発明の詳細な記述]
I.定義
「小胞形成性脂質」および「両親媒性の小胞形成性脂質」という用語は、(a)リン脂質により例示されるとおり、疎水性および極性の頭部基部分を有しかつ水中で独力で自発的に二層小胞を作り得るいかなる両親媒性の脂質、若しくは(b)その疎水性部分が二重層膜の内側の疎水性領域と接触しかついかなる極性領域も膜の外側の極性表面に向けられているリン脂質と組合せで脂質二重層中に安定に組込まれるを意図している。後者の型の小胞形成性脂質の一例はコレステロール、ならびにコレステロール硫酸およびコレステロールヘミスクシネートのようなコレステロール誘導体である。
【0015】
本明細書で使用されるところの「リガンド」若しくは「ターゲッティング部分」という用語は一般に、特定の標的分子に特異的に結合しかつ結合した複合体を形成することが可能な全部の分子を指す。リガンドおよびその対応する標的分子は特異的な結合対を形成する。
【0016】
「免疫リポソーム」という用語は、溶液中に存在しても細胞の表面に結合していてもよい特定の「標的」分子にリポソームが特異的に結合することを可能にするターゲッティングリガンドとして作用する部分をもつリポソームを指す。
【0017】
本明細書で使用されるところの「親水性ポリマー」は長鎖の高度に水和されたフレキシブルな中性ポリマーを指す。ポリエチレングリコールが親水性ポリマーの古典的例であるが、しかしながら、多くの他者が当該技術分野で、例えば米国特許第5,395,619号および同第5,631,018号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0018】
リポソーム中の親水性ポリマーのパーセントを指す場合の「モルパーセント」という用語は、別の方法で述べられない限り、リポソーム中の総脂質に関して表される。従って、例えば、150:100というコレステロール(Chol)に対するホスファチジルコリン(PC)の比を含んでなるリポソームにおいて、4モルパーセントの親水性ポリマー(例えばPEG)は、約150:100:10というPC:Chol:PEGの比を表すとみられる。
II.処置方法
一局面において、本発明は血管新生性の組織増殖を特徴とする障害若しくは疾患の治療方法を提供する。上で論考されたとおり、血管新生は新たな血管の発生および形成の過程を伴い、かつ、正常および病理学的双方の多数の生理学的事象で重要な役割を演じている。血管新生の内因性の刺激物質と阻害剤との間の天然に存在する均衡は、阻害性の影響が優勢であるものである(Rastinejadら、Cell、56:345(1989))。新生血管形成は、創傷治癒、臓器再生、胚の発達および雌性の生殖過程のようなある状況における正常な生理学的状態の一部であり、また、血管新生は厳格に制御され、そして空間的かつ時間的に制限解除される。しかしながら、病理学的血管新生の条件下ではこれらの調節的制御が失敗する。こうした調節されない血管新生は病的になりかつ多くの腫瘍性および非腫瘍性疾患の進行を維持する。充実性腫瘍の増殖および転移、関節炎、いくつかの型の眼疾患ならびに乾癬を包含する多数の重大な疾患が異常な新生血管形成により支配される。例えばMosesら、Biotech.、:630(1991);Folkmanら、N.Engl.J.Med.、333:1757(1995);Auerbachら、J.Microvasc.Res.、29:401(1985);Folkman、ADVANCES IN CANCER RESEARCH、KleinとWeinhouse編、Academic Press、ニューヨーク、pp.175−203(1985);Patz、Am.J.Opthalmol.94:715(1982);Folkmanら、Science、221:719(1983)による総説を参照されたい。
【0019】
多数の病理学的状態において、血管新生の過程は疾患状態に寄与する。例えば、充実性腫瘍の増殖が血管新生に依存することを示唆する重要なデータが蓄積されている(FolkmanとKlagsbrun、Science、235:442(1987))。角膜、水晶体および小柱ネットワークの無血管状態の維持は視力ならびに眼の生理学に決定的に重要である。いくつかの眼疾患が存在し、その多くは失明に至り、そこでは眼の新生血管形成が疾患状態に応答して発生する。これらの眼障害は糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、炎症性疾患および眼腫瘍(例えば網膜芽腫)を包含する。水晶体後線維増殖、ブドウ膜炎、未熟児網膜症、黄斑変性、ならびに脈絡膜新生血管と関連するおよそ20種の眼疾患および虹彩新生血管を伴うおよそ40種の眼疾患を包含する、また新生血管形成と関連する多数の他の眼疾患もまた存在する。例えばWaltmanら、Am.J.Ophthal.85:704(1978)およびGartnerら、Surv.Ophthal.、22:291(1978)による総説を参照されたい。
【0020】
従って、本発明は、上述されたもの、および血管新生性の新生血管形成と関連する他者のような状態の治療方法を提供する。該方法は、増殖している細胞に対する細胞傷害活性を有する標的を定められた長時間循環するリポソーム組成物を提供すること必要とする。組成物のターゲッティングは、その天然の形態で、すなわちリポソームに結合されない場合に、血管新生と関連する事象のカスケードにおいて活性であるリガンドにより達成される。血管新生性の新生血管形成に対する生物学的な刺激活性を有するリガンドの選択は、疾患若しくは障害と関連した細胞の継続的な増殖を停止させるという意図されている治療活動の反対のものである。本発明は、細胞傷害性の影響を有する薬物を負荷されたリポソームの標的を血管新生組織に定めるための血管新生活性を有するターゲッティングリガンドを選択することを企図している。リポソームの標的を疾患若しくは障害に直接定めるよりはむしろ、リポソームの標的を疾患若しくは障害と関連した組織に定める。こうして、該リポソームは疾患若しくは障害の間接的治療方法を提供する。
【0021】
血管新生において増殖刺激活性を有するターゲッティングリガンドは、増殖因子、とりわけ線維芽細胞増殖因子を包含する。線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、広範な細胞型に対しマイトジェンとして一般に作用する、最低18種の個別のメンバーよりなる(Basilicoら、Adv.Cancer Res.、59:115(1992);Fernigら、Prog.Growth Factor Res.、(4):353(1994))。例えば、塩基性FGF(FGF−2としてもまた知られる)は、内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、ならびに一般に心筋細胞および骨格筋細胞を包含する中胚葉若しくは神経外胚葉起源の細胞に対しin vitroで有糸分裂促進性である(Gospodarowiczら、J.Cell.Biol.、70:395(1976);Gospodarowiczら、J.Cell.Biol.、89:568(1981);Kardami、J.Mol.Cell.Biochem.、92:124(1990))。In vivoでは、bFGFはトリ心発生においてある役割を演じていること(Sugiら、Dev.Biol.、168:567(1995);Mimaら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.、92:467−471(1995))、およびイヌで冠動脈側副血管の発生を誘導すること(Lazarousら、Circulation、94:1074(1996))が示されている。加えて、非有糸分裂促進活性がFGFファミリーの多様なメンバーについて示されている。酸性および/若しくは塩基性FGFと関連した非増殖活性は:組織プラスミノーゲンアクチベーターの増大された内皮放出、細胞外マトリックス合成の刺激、内皮細胞の化学走性、心筋細胞における致死的収縮遺伝子の誘導性の発現(Parkerら、J.Clin.Invest.、85:507(1990))、および高められた下垂体ホルモン応答性(Bairdら、J.Cellular Physiol.、:101(1987))を包含する。
【0022】
本明細書に記述される方法での使用に企図されているFGFファミリーからのリガンドは、線維芽細胞増殖因子(FGF)、EGF(上皮増殖因子)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ならびに結合および生物学的活性を保持しているこれらのタンパク質のフラグメントを包含する。好ましいリガンドはFGFである。
【0023】
使用のため選択されるリガンドは、好ましくはまた、細胞の受容体と結合した後に該細胞によりインターナリゼーションされるものでもある。リポソームに結合したリガンドの結合は増殖刺激活性を有することがあるが;しかしながら、リガンドおよび結合されたリポソームの細胞中への取り込みは細胞内活性のため細胞に細胞傷害剤を送達する。下に具体的に説明されるであろうとおり、増殖刺激性リガンドを使用して標的を定めた薬物を負荷された免疫リポソームは細胞により容易にインターナリゼーションされ、そして細胞増殖の高められた抑制をもたらす。
1.リポソーム組成物
免疫リポソームは主として小胞形成性脂質より構成される。小胞形成性脂質は、リン脂質により例示されるとおり水中で自発的に二層小胞を作り得る。該リポソームは、疎水性部分が二重層膜の内側の疎水性領域と接触しかつ頭部基部分が二重層膜の外側の極性表面に向けられて脂質二重層に組込まれている他の脂質もまた包含し得る。
【0024】
小胞形成性脂質は好ましくは2個の炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖、および極性若しくは非極性いずれかの頭部基を有するものである。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトールおよびスフィンゴミエリンのようなリン脂質を包含する多様な合成の小胞形成性脂質および天然に存在する小胞形成性脂質が存在し、ここで2個の炭化水素鎖は典型的には長さが約14〜22個の間の炭素原子でありかつ変動する程度の不飽和度を有する。アシル鎖が変動する程度の飽和を有する上述の脂質およびリン脂質は商業的に得ることができるか、若しくは公表された方法に従って製造し得る。他の適する脂質は糖脂質およびコレステロールのようなステロールを包含する。
【0025】
該リポソームは親水性ポリマーで誘導体化された小胞形成性脂質もまた包含する。例えば米国特許第5,013,556号明細書および第WO 98/07409号明細書(これにより引用することにより組み込まれる)に記述されたとおり、こうした親水性ポリマーは、リポソームの脂質二重層膜の内表面および外表面双方に親水性ポリマー鎖の表面コーティングを提供する。親水性ポリマー鎖の最外層の表面コーティングはin vivoで長い血液循環寿命をもつリポソームを提供するのに効果的である。親水性ポリマー鎖の内側のコーティングはリポソーム中の水性区画に、すなわち脂質二重層と中心のコア区画との間に伸長し、そして捕捉された化合物と接触している。
【0026】
親水性ポリマーでの誘導体化に適する小胞形成性脂質は、上に列挙された脂質のいずれも、およびとりわけジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)のようなリン脂質を包含する。小胞形成性脂質での誘導体化に適する親水性ポリマーは当該技術分野で公知でありかつ米国特許第5,395,619号および同第5,631,018号明細書に記述されている。好ましい親水性ポリマー鎖は、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)鎖として500〜10,000ダルトンの間、より好ましくは500〜5,000ダルトンの間、最も好ましくは1,000〜2,000ダルトンの間の分子量を有するPEGである。PEGのメトキシ若しくはエトキシでキャッピングされた類似物もまた好ましい親水性ポリマーであり、多様なポリマーサイズ、例えば120〜20,000ダルトンで商業的に入手可能である。親水性ポリマーで誘導体化された小胞形成性脂質の製造は例えば米国特許第5,395,619号明細書に記述されている。こうした誘導体化脂質を包含するリポソームの製造もまた記述されており(米国特許第5,013,556号明細書)、ここでは典型的には1〜20モルパーセントの間のこうした誘導体化脂質がリポソーム製剤に包含される。
【0027】
該リポソームは、Szoka,F.,Jr.ら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.:467(1980)に詳述されるもののような多様な技術により製造しうる。典型的には、リポソームは、単純な脂質薄膜水和技術により形成し得る多層小胞(MLV)である。この手順において、リポソームを形成する脂質および親水性ポリマーで誘導体化した小胞形成性脂質を包含することの混合物を適する有機溶媒に溶解し、この溶媒を容器中で蒸発させて乾燥した薄膜を形成させる。該薄膜をその後水性媒体により被覆して、典型的には約0.1ないし10ミクロンの間の大きさをもつMLVを形成させる。誘導体化した脂質の例示的製造方法およびポリマー被覆したリポソームの例示的形成方法は米国特許第5,013,556号、同第5,631,018号および同第5,395,619号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0028】
薬物は、(i)脂質薄膜を剤の水性溶液で水和することによる水溶解性化合物の直接捕捉、(ii)剤を含有する脂質薄膜を水和することによる親油性化合物の受動的捕捉、および(iii)遠隔負荷と命名される、リポソームの内側/外側のイオン勾配に対してイオン化可能な薬物を負荷することを包含する標準的方法によりリポソーム中に組込まれる。逆蒸発相リポソーム製造法のような他の方法もまた適する。
【0029】
免疫リポソーム中に捕捉されている薬物は、一態様において、限定されるものでないが、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン)、アントラサイクリン抗生物質(例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン)、抗生物質(例えばブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン)、白金化合物(シスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン、ネダプラチンなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(カンプトテシン、トポテカン、GG211、CKD506など)、アルキル化剤(メルファラン、クロラムブシルのようなナイトロジェンマスタード、カルムスチン、ロムスチンのようなニトロソ尿素)、ピリミジン類似物(フルオロウラシル、シラタビン)などを挙げることができる細胞傷害剤である。
【0030】
別の態様において、免疫リポソーム中に捕捉されている薬物は血管新生阻害剤である。血管新生は一連の複雑かつ相互に関係のある段階を伴う。血管新生を持続させる分子事象が阻害剤の標的である。血管新生に関与するこれらの多様な段階を標的とする多様な剤が既知である。マトリックス分解を阻害する薬物、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は、阻害剤マルミアスタット、プリノマスタット、BMS275291、BAY12−9566およびネオバスタットにより例示される薬物の一分類である(Shepherd,F.A.、Lung Cancer、41(Suppl.1):S63(2003))。血管内皮増殖因子およびその受容体を介する内皮細胞のシグナル伝達を阻害する薬物はrhuMAb VEGF、SU5416、SU6668、ZD6474、CP−547、CP−632およびZD4190を包含する(Shephard,F.A.、同書中)。インターフェロン、アンジオスタチン、トロポニンIおよびエンドスタチンのような他の薬物は血管新生の内因性阻害剤に類似である。サリドマイドおよびサリドマイド類似物、スクアラミン、セレコキシブ、フェンレチニド、ZD6126およびTNP−470は他の抗血管新生性阻害剤である。付加的な例示的抗血管新生剤は、抗体および小分子のFGFRキナーゼ阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤およびVEGFRキナーゼ阻害剤を包含する。ベバシズマブは血管内皮増殖因子アンタゴニストとして作用する1種のこうした阻害剤である。
【0031】
リポソームおよび免疫リポソームの投与は当該技術分野で公知であり、そして、治療されるべき状態および製剤の性質に依存して、リポソーム組成物は、全身若しくは局所送達のために注入を介して静脈内、皮下、筋肉内などで投与し得るか、若しくは吸入を介して与え得る。他の経路が企図されておりかつ当業者に既知である。
2.例示的組成物および処置方法
FGF2ターゲッティングリガンドを有する免疫リポソームを実施例1に記述されるとおり製造した。捕捉された細胞傷害剤ドキソルビシン若しくはシスプラチンを有するリポソームを既知技術により製造した。ドキソルビシン含有リポソームをHSPC、コレステロールおよびmPEG−DSPEから製造し、そしてその後、記述された(米国特許第5,013,556号;同第5,316,771号明細書)とおりに薬物を硫酸アンモニウム勾配に対してリポソーム中に遠隔負荷した。シスプラチン含有リポソームはHSPC、コレステロールおよびmPEG−DSPEから製造し、この場合シスプラチンは米国特許第5,945,122号明細書に記述されるところの受動被包化を介して捕捉した。FGF2ターゲッティングリガンドを、予め形成されたリポソームの懸濁液とともにFGF2−PEG−DSPEのミセルをインキュベートすることにより、予め形成されたリポソームに挿入した。該免疫リポソーム製剤は、該免疫リポソームの追跡および可視化を可能にするため少量のテキサスレッド−DSPE複合物を包含した。
【0032】
ベビーハムスター腎(BHK)細胞中へのFGF2免疫リポソームの特異的結合およびインターナリゼーションを、実施例1に記述されるとおりFGF2受容体を発現するBHK細胞とともに該免疫リポソームをインキュベートすることにより評価した。細胞は、細胞がエンドサイトーシス活性を有しなかった4℃での30分のインキュベーション、または37℃で1時間若しくは3時間後に共焦点蛍光顕微鏡検査を介して可視化した。結果を図1A−1Fに示し、ここで図1A−1Cはペグ化リポソーム(FGF2ターゲッティングリガンドを欠く)に対応し、また、図1D−1Eは免疫リポソームに対応する。ターゲッティングリガンドを欠くペグ化リポソームとのインキュベーション後に、非常にわずかの蛍光シグナルがBHK細胞の表面若しくは内側で検出された(図1A−1C)。4℃での30分のインキュベーション後に、免疫リポソームは、図1Dでみられるとおり、細胞質中のほとんど観察不可能な蛍光を伴い主として細胞表面上若しくは近くに位置していた。免疫リポソームとの細胞の37℃で1時間若しくは2時間のインキュベーション後、蛍光シグナルは、図1E−1Fでみられるとおり、細胞質全体で、とりわけエンドサイトーシス小胞中で検出された。
【0033】
別の研究において、ターゲッティングリガンドを欠くペグ化リポソームに関しての細胞増殖を阻害する免疫リポソームの能力を評価した。実施例1に記述されるとおり、BHK細胞を免疫リポソーム組成物若しくはペグ化リポソーム組成物とともに培養物中で72時間インキュベートし、その後MTTアッセイを使用して細胞数を決定した。図2A−2Bは該結果を示し、ここでは細胞増殖の阻害(未処理の対照細胞のパーセントとして表される)を、PEG被覆リポソーム中に捕捉されている薬物(●)、FGF免疫リポソーム中に捕捉されている薬物(□)、プラセボFGF免疫リポソーム(△)若しくは脂質−PEG−FGFのミセル(◆)で処理した細胞について薬物濃度の関数としてプロットしている。図2Aのデータはドキソルビシン製剤に対応しかつ図2Bのデータはシスプラチン製剤に対応する。
【0034】
図2A−2Bは、免疫リポソーム上でのFGF2の結合およびインターナリゼーションが細胞への細胞傷害剤の高められた送達をもたらしたことを示す。FGF2に標的を定めたリポソームでのBHK細胞の処理は、FGF2ターゲッティングリガンドを欠くペグ化リポソーム(●)、FGF2ターゲッティング部分を有するプラセボリポソーム(△)若しくはFGF2−PEG−DSPEターゲッティング複合物(◆)での処理に関してより大きな増殖阻害をもたらした。
【0035】
In vivo研究を実施して、血管新生性の組織増殖を刺激するターゲッティングリガンドFGF2および細胞傷害剤を含有する免疫リポソームの腫瘍増殖に対する影響を評価した。実施例2に記述されるとおり、マウスにLewis肺癌細胞を皮下接種した。一群のマウスを免疫組織化学的研究のための腫瘍の除去のため選択した。残りのマウスは、FGF2ターゲッティングリガンドを欠くペグ化リポソーム若しくは免疫リポソームで処理した。
【0036】
図3A−3Bは免疫組織化学的染色後の顕微鏡写真である。Lewis肺癌細胞の接種から生じた腫瘍の切片を採取し、そして血管新生性の内皮細胞およびFGF2受容体を発現する細胞を免疫組織化学的染色により検査した。図3Aは、血管新生性の内皮細胞に対する抗CD34受容体抗体で処理した後の腫瘍組織切片の顕微鏡写真を示す。図中の矢印は血管に沿った血管新生性の内皮細胞を同定する。図3Bは抗FGF受容体抗体で処理した後の腫瘍組織切片の顕微鏡写真を示す。該顕微鏡写真は、腫瘍の脈管構造を内張りする血管新生性の内皮組織が抗FGF2受容体抗体で濃密に標識された一方、より少ないLewis肺癌細胞が抗FGF受容体抗体を結合したことを示す。
【0037】
図4は、生理的食塩水(◆)、ドキソルビシンが捕捉されているペグ化リポソーム(□)、シスプラチンが捕捉されているペグ化リポソーム(■)、ドキソルビシンが捕捉されているFGF免疫リポソーム(○)、若しくはシスプラチンが捕捉されているFGF免疫リポソーム(●)での処置後のマウスにおけるLewis肺癌異種移植片の増殖を示す。FGF2ターゲッティングを欠くペグ化リポソームでの処置は、生理的食塩水対照に比較して腫瘍増殖を低下させたとは言え、平均の腫瘍サイズは処置の経過にわたって2.5倍増大した。対照的に、平均の腫瘍サイズは、ドキソルビシン若しくはシスプラチンを含有するFGF2免疫リポソームで処置した動物で安定のままであった。FGF2免疫リポソームは、腫瘍増殖の阻害において、FGF2ターゲッティング部分を欠くペグ化リポソームよりも有意により有効であった。
【0038】
図3A−3Bおよび図4のデータは、一緒にすれば、FGF2免疫リポソームでの処置後の腫瘍増殖抑制が、腫瘍細胞への直接の細胞傷害効果よりはむしろ抗血管新生効果によったことを示す。Lewis肺癌細胞でのFGF受容体の発現は非常に低かったためである(図3B)。
【0039】
前述から、本発明の多様な目的および特徴がどのように達成されるかを見ることができる。本発明の方法はヒト腫瘍性疾患の発生、増殖および転移を予防するのに有効な治療法を提供する。血管新生性の組織増殖を刺激するターゲッティングリガンドを有しかつ捕捉されている細胞傷害性の薬物を有する免疫リポソームは、ターゲッティングリガンドに対する受容体発現をほとんど有しない腫瘍の増殖を阻害するのに有効であった。該リポソームのリガンドは、血管新生性の血管内皮細胞上で発現される受容体との相互作用および細胞質中への細胞傷害剤のその後の導入を介して免疫リポソームの結合およびインターナリゼーションを媒介する。免疫リポソームは、腫瘍の血管新生に不可欠である、増殖している血管内皮細胞に直接標的を定める活性を有する。FGFで感作した薬物を含有するリポソームは非常に低用量で抗血管新生剤として活性であり、従って薬物の潜在的に毒性の用量への曝露を低下させかつ長期の治療を可能にする。
III.実施例
以下の実施例は本明細書に記述される本発明をさらに具体的に説明し、かつ、本発明の範囲を制限することをいかなる方法でも意図していない。
【実施例1】
【0040】
免疫リポソームのIn vitroでの特徴付け
A.リポソーム製造
FGF2の突然変異タンパク質(150アミノ酸、MW 17,100)を得た。該突然変異タンパク質は1個の反応性システイン位置を含有する。このシステインのチオール基を、既知技術(米国特許第6,586,002号;同第6,326,353号明細書)に従ってマレイミド−ポリエチレングリコール(2000ダルトン)−ジステロイルグリセロホスファチジルエタノールアミンとカップリングするために使用して、FGF2−PEG−DSPEターゲッティング複合物を形成した。
【0041】
ポリエチレングリコール鎖(PEG、WM 2000ダルトン)のコーティングを有するリポソームを、水添ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、コレステロールから製造し、また、mPEG−DSPE(モル比50.6/44.3/5.1)は、ドキソルビシン(硫酸アンモニウムに促進される遠隔負荷により捕捉される)を含有するように米国特許第5,013,556号明細書に記述されるとおり、若しくはシスプラチン(受動的に捕捉される)を含有するように米国特許第5,945,122号明細書に記述されるとおり製造した。1%のテキサスレッド−DSPE複合物をリポソーム製剤に包含して、共焦点蛍光顕微鏡検査により結合およびインターナリゼーションの追跡を可能にした。
【0042】
FGF2−PEG−DSPEターゲッティング複合物は、予め形成されたリポソームとともにFGF2−PEG−DSPEミセルを60℃で1時間インキュベートすることによる挿入(Uster,P.ら、Febs.Lett.、386(2−3):243(1996))を介して、予め形成されたリポソーム中に組込んだ。リポソームあたりおよそ20個のFGF2ターゲッティングリガンドが挿入された。
B.In vitro研究
FGF2受容体を発現するベビーハムスター腎(BHK)細胞を得た。該細胞をリポソーム製剤とともにインキュベートし、生理的食塩水で洗浄し、そして共焦点蛍光顕微鏡検査を介して観察した。細胞は、(i)4℃で30分間(ii)免疫リポソーム若しくはFGF2ターゲッティングリガンドを欠く同一のリポソーム(PEGyl化リポソーム)とともに37℃で1時間若しくは3時間インキュベートした。
【0043】
臭化3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムを用いるアッセイを使用して、リポソーム組成物とのインキュベーション後の細胞増殖阻害を測定した。結果を図1A−1Fおよび図2A−2Bに示す。
【実施例2】
【0044】
免疫リポソームのIn vivoでの特徴付け
リポソームは実施例1に記述されたとおり製造した。
【0045】
Lewis肺癌細胞(50万細胞)をB6C3−F1マウスの脇腹に皮下接種した。腫瘍組織のパラフィン切片を抗CD34受容体抗体で処理して内皮細胞を同定し、また抗FGF受容体抗体で処理してFGF受容体を発現する細胞を同定した。抗体が結合した細胞を二次ワサビペルオキシダーゼ結合抗体で染色した。結果を図3A−3Bに示す。
【0046】
抗腫瘍治療の有効性の研究のため、腫瘍接種15日後に4mg/kgのドキソルビシンおよび3mg/kgのシスプラチンの用量で薬物処置を開始した。免疫リポソーム処置を合計3用量の間週1回投与した。結果を図4に示す。
【0047】
本発明は特定の態様に関して記述したとは言え、多様な変更および改変が本発明から離れることなくなされ得ることが当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A−E】リポソーム(図1A−1C)およびFGF免疫リポソーム(図1D−1E)の4℃で30分間若しくは37℃で1時間および3時間のインキュベーション後の結合およびインターナリゼーションを示す、細胞のコンピュータ生成電子顕微鏡写真である。
【図2A−B】PEG被覆リポソーム中に捕捉されている薬物(●)、FGF免疫リポソーム中に捕捉されている薬物(□)、プラセボFGF免疫リポソーム(△)若しくは脂質−PEG−FGFのミセル(◆)で処理した細胞についての薬物濃度の関数としての細胞増殖の阻害(未処理の対照細胞のパーセントとして表す)を示すグラフであり、薬物はドキソルビシン(図2A)若しくはシスプラチン(図2B)であった。
【図3A−B】Lewis肺癌脈管構造の血管新生性の内皮細胞に対する染色後の組織切片のコンピュータ生成電子顕微鏡写真であり、ここで、腫瘍の脈管構造を内張りする血管新生性細胞を抗CD34受容体抗体結合により同定し(図3A)、また、FGF受容体を発現する細胞は抗FGF受容体抗体により同定した(図3B)。
【図4】生理的食塩水(◆)、ドキソルビシンが捕捉されているPEG被覆リポソーム(□)、シスプラチンが捕捉されているPEG被覆リポソーム(■)、ドキソルビシンが捕捉されているFGF−免疫リポソーム(○)若しくはシスプラチンが捕捉されているFGF免疫リポソーム(●)で処置したマウスにおけるLewis肺癌異種移植片の移植後の日数の関数としての腫瘍サイズ(mm)のグラフである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)親水性ポリマーで誘導体化した、1〜20モルパーセントの間の小胞形成性脂質を包含する小胞形成性脂質、(ii)血管新生を促進する生物学的活性を有するターゲッティングリガンド、および(iii)前記リポソーム中に捕捉されている薬物より構成される免疫リポソーム組成物を含んでなる、血管新生性の組織増殖を特徴とする疾患若しくは障害の治療における使用のための薬品の製造のための組成物。
【請求項2】
前記ターゲッティングリガンドが増殖因子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記増殖因子が、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記薬物が化学療法剤である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記剤が白金化合物である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記白金化合物がシスプラチンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記薬物が血管新生阻害剤である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
前記血管新生阻害剤が、FGFRキナーゼ阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、VEGFRキナーゼ阻害剤若しくはマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーがポリエチレングリコールであり、前記リガンドが塩基性線維芽細胞増殖因子であり、かつ、前記薬物が化学療法剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記化学療法剤が白金化合物およびビンカアルカロイドよりなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリマーがポリエチレングリコールであり、前記リガンドが塩基性線維芽細胞増殖因子であり、かつ、前記薬物が血管新生阻害剤である、請求項1に記載の組成物。

【図2A−B】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−517917(P2006−517917A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511965(P2005−511965)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/041007
【国際公開番号】WO2004/056323
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】