説明

血管新生眼疾患を治療するための方法

本発明は、望ましくない眼血管形成を阻害するための組成物および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、二次療法と組み合わせてVEGFを阻害する薬剤を用い、眼の血管新生を治療するための組成物および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、望ましくない眼組織の血管形成を阻害し、それにより血管形成プロセスを伴う眼疾患を予防および/または治療するための組成物および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、二次療法と組み合わせてVEGFを阻害する薬剤を用い、眼組織の血管新生を予防および/または治療するための組成物および方法に関する。
【0002】
血管形成(angiogenesis)は血管新生(neovascularization)とも呼ばれ、新しい血管が形成される基本プロセスである。正常な生理的条件下では、血管形成は高度に調節され、再生、胚発生、組織修復および創傷治癒には不可欠である(総説についてはCarmeliet, 2005, Nature, 438, 932-936参照)。しかしながら、血管形成は様々な病的状態でも起こり、そのような病的状態には、腫瘍増殖および転移、炎症性障害(例えば関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎など)、ならびに眼の血管新生(例えば糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症(AMD)および様々な他の眼疾患におけるもの)がある(例えばFolkman, 1995, Nat. Med., 1, 27-31参照)。実際に、血管形成は、増殖因子、サイトカインおよび他の生理学的分子のような様々な血管形成促進刺激だけでなく低酸素症および低pHのような他の因子に応答して起こる(Folkman and Shing, 1992, JBC, 267, 10931)。新しい血管の発生の血管形成カスケードでは、細胞外マトリックス(ECM)リモデリング、浸潤、移動、増殖、分化および管形成などの必要な細胞プロセスを調節する様々な分子の協同作用が必要である(Brooks, 1996, Eur. J. Cancer, 32A, 2423)。誘導期の後、VEGF、bFGF、PDGFなどのような血管形成促進分子が、細胞表面受容体を刺激することによって内皮細胞を活性化する(例えばVEGFR1/Flt−1およびVEGFR2/Flk−1/KDR;Ferrara, 2004, Endocr. Rev., 25, 581-611に総説されている)。これらの活性化細胞は、細胞増殖、細胞接着分子の発現上昇、タンパク質分解酵素の分泌増加ならびに細胞の移動および浸潤の増加プロセスを受ける。増殖および浸潤を促進するために、多数の異なる分子が関連しており、そのような分子には、接着に関するインテグリン、セレクチンおよび免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーならびに細胞外マトリックスの分解に関するタンパク質分解酵素(例えばマトリックスメタロプロテイナーゼおよびセリンプロテイナーゼ)が含まれる(Brooks, 1996, Eur. J. Cancer, 32A, 2423)。最後に、細胞表面受容体に由来する生化学シグナルの複雑なカスケードは、細胞外マトリックス成分および可溶性因子と相互作用し、管腔形成そして成熟血管への分化を導いた。
【0003】
脈絡膜および/または網膜の血管新生の分子機構についてはほとんど分かっていないが、前記特定血管形成プロセスが、AMD患者、ならびに糖尿病性網膜症または未熟児網膜症などの他の網膜症に罹患している患者における重度の視力低下の大部分に関与していることはわかっている。
【0004】
加齢性黄斑変性症は、先進国での主な失明原因であり、米国ではおよそ1500万人がこの疾患を有している。AMDは、黄斑の進行性の変性疾患と特徴付けられている。AMDには2種類:血管新生型および非血管新生型がある。多く見られるのは非血管新生型のAMDであり、非血管新生型のAMDは黄斑のゆっくりとした劣化を導き、数年かかって視力を徐々に低下させる。血管新生型のAMDは、重度の視力低下の症例の大部分に関与しており、血管新生型のAMDは、網膜の後方での異常血管の増殖に起因し、この異常血管の増殖が出血および繊維症につながり、この出血および繊維症によって視覚異常が起こることとなる。現在の治療努力および臨床試験は、主として、AMDにおける血管新生膜の増殖を、例えば血管形成阻害剤、レーザー光凝固術および/または光化学療法(PDT)を用いて停止させることに向けられている(例えばWO2004034889参照)。しかしながら、かかる治療的介入の適格基準に適合するのは眼の一部分だけであり、治療した眼の再発率は高く、治療的有用性は低い。そのため、治療が進歩しているにもかかわらず、AMDは、先進国において、まだ、視覚機能障害の最大の原因である。
【0005】
20〜74歳間の成人における別の主な失明原因は、糖尿病性網膜症(DR)である。米国の700万人が糖尿病である。画期的な臨床試験の結果として糖尿病性網膜症の管理は向上したが、視力の低下、夜間視力の低下および周辺視力の低下などの合併症の危険性は、依然として大きく、治療を失敗することがある。糖尿病性網膜症は、浮腫および血液網膜関門(BRB)の崩壊を伴う網膜血管構造の異常な血管新生を特徴としており、この網膜関門の崩壊が出血、黄斑浮腫、組織損傷および網膜の瘢痕化につながる。残念ながら、現在の治療選択肢(例えばレーザー光凝固術)は十分に満足のいくものではなく、この疾患が進行する場合が多い。
【0006】
増えつつある一連の証拠によると、血管形成カスケードに関与する異なる分子の阻害は、これらの血管新生関連障害の原因となり得るもの(腫瘍組織および眼組織のものを含む)を、その疾患の進行における重要な媒介ステップを遮断することによって、治療する可能性を与えることが示されている(例えばShibuya, 2003, Nippon Yakurigaku Zasshi, 122, 498-503; Ferrara, 2004, Endocrine Reviews, 25, 581-611;またはUS 20060030529参照)。これらの血管形成阻害剤(それらの関連受容体の阻害剤を含む)の例は、当技術分野で公知であり、例えば、ZD6474(Tuccillo et al., 2005, Clin Cancer Res., 11, 1268-1276);可溶性Tie2受容体およびVEGF−1受容体(それぞれ、Hangai et al., 2001, Hum Gene Ther., 12, 1311-1321およびHonda et al., 2000, Gene Ther., 7, 978-985)、アンジオポエチン(とりわけAng−2)およびPDGF阻害剤;色素上皮由来因子(PEDF)(Rasmussen et al., 2001, Hum Gene Ther., 12, 2029-2032)、エンドスタチン(Mori et al., 2001, Am J Pathol., 159, 313-320)、およびアンジオスタチン(Lai et al., 2001, Invest Ophthalmol Vis Sci., 42, 2401-2407);メタロプロテアーゼ−3組織阻害剤(Takahashi et al., 2000, Am J Ophthalmol., 130, 774-781);VEGF阻害アプタマー、例えば、Macugen(登録商標)(ペガプタニブ, Pfizer);抗体またはそれらのフラグメント、例えば、抗VEGF抗体、例えば、ベバシズマブ(Avastin(登録商標), Genentech)、またはそれらのフラグメント、例えば、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標), Genentech);可溶性fins様チロシンキナーゼ1(soluble fins-like tyrosine kinase 1)(sFlt1)ポリペプチドまたはポリヌクレオチド(Harris et al., Clin Cancer Res. 2001 July; 7(7):1992-7; 米国特許第5,861,484号);チロシンキナーゼを遮断することによってVEGFシグナル伝達を阻害するPTK/ZK(Maier et al., 2005, Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol., 243, 593-600);KRN633(Nakamura et al., 2004, Mol Cancer Ther., 3, 1639-1649);インテグリン阻害剤(例えばαvβ3およびα5β1);VEGF-Trap(登録商標)(Regeneron);ならびにα2−抗プラスミン(Matsuno et al, Blood 2003; 120: 3621-3628)が挙げられる。これらの血管形成阻害剤の大部分は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)によって誘導される初期増殖因子により媒介される活性化ステップを遮断することに向けられる。そのため、VEGFは、とりわけ化学療法、放射線療法または他の血管形成阻害剤と併用する、抗癌療法の魅力的な標的と考えられた(Ferrara, 2005, Oncology, 69, 11-16参照)。同様に、研究より、様々なタイプの抗VEGF剤を用いて、いくつかの動物モデルにおいて多数の血管床での血管新生の退行または阻止が示されており(例えばGragoudas et al., 2004, N. Engl. J. Med., 351, 2805-2816 ; Rothen et al., 2005, Ophthalmol Clin North Am., 18, 561-567またはNg et al., 2006, Nat Rev Drug Discov., 5, 123-132)、これは、抗VEGF療法が、網膜血管新生関連障害および/または脈絡膜血管新生関連障害(CNV、AMD、糖尿病性網膜症など)の有望な治療であることを示している(VEGFおよびその阻害剤の総説、例えば、Campochiaro, 2004, Expert Opin Biol Ther., 4, 1395-1402; Ferrara, 2004, Endocr. Rev., 25, 581-611; およびVerheul and Pinedo, 2003, Drugs Today, 39 Suppl C: 81-93参照)。
【0007】
しかしながら、これらの結果は非常に有望であるが、眼組織における血管新生および過度の血管透過性の治療のための標準的かつ有効な療法は現在のところない。実際に、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)経路の阻害による癌の抗血管形成療法への関心は、抗VEGF治療に耐性が生じることから少数であった。
【0008】
従って、血管新生眼疾患を治療するための既存の方法は、様々な形態の血管新生(網膜および/または脈絡膜の血管新生を含む)を阻害または除去し、そして関連障害を治療するそれらの能力を向上させることが必要である。抗血管形成療法の有効性を向上させるためには、新しい療法の特定にさらなる努力を傾けなければならない。本発明は、これらの必要性を満たし、他の関連する利点をさらに提供する。
【0009】
本発明は、二次療法(second therapy)と組み合わせてVEGFを阻害する化合物を用いて眼の血管新生を治療するための改善された組成物および方法を提供することを目的とする。本発明の1つの態様では、脈絡膜血管新生および/または網膜血管新生ならびに関連の眼障害、さらに詳しくは、AMD、CNV、未熟児網膜症、眼外傷、糖尿病性網膜症、いくつかの炎症性眼障害(例えばバードショット網膜脈絡膜症または多発性脈絡膜炎)などを予防および治療するための組成物および方法が提供される。
【0010】
第1の実施形態によれば、本発明は、同時もしくは連続投与、または経時的交互投与のための、治療上有効な量の(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物を提供する。
本発明のこの組み合わせ物は、血管新生に関連する眼の病状の治療および/または予防にとって特に興味深いものである。
【0011】
1つの特定の実施形態によれば、前記組み合わせ物は、眼科的に適合する溶媒成分をさらに含んでなる。
【0012】
本願全体を通じ、本明細書において用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、文脈において特に断りのない限り、「少なくとも1つの」、「少なくとも第1の」、「1以上の」または「複数」の参照化合物または工程を意味するという意味で用いられる。さらに詳しくは、「少なくとも1つの」および「1以上の」とは、1または1より大きい数を意味し、特別に好ましくは1、2または3である。
【0013】
用語「および/または」とは、本明細書において用いられる場合には必ず、「および」、「または」そして「前記用語によって結ばれた要素の総てまたは任意の他の組合せ」という意味を含む。
【0014】
本明細書において「約」または「およそ」とは、ある与えられた値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
【0015】
本明細書において、用語「含んでなる(comprising)」、「含む(containing)」とは、生成物、組成物および方法を定義するために用いる場合には、その生成物、組成物および方法が言及した化合物またはステップを含み、他のものを排除しないということを意味するよう意図されている。
【0016】
用語「患者」とは、脊椎動物、特に哺乳類種のメンバーを指し、限定されるものではないが、飼い動物、競技用動物、霊長類(ヒトを含む)が挙げられる。用語「患者」とは、決して特別の疾患状態に限定されず、対象となる疾患を既に発症している患者とまだ病気でない患者の両方を包含する。
【0017】
本明細書において、用語「治療(treatment)」または「治療する(こと)(treating)」とは、予防法および/または治療法を包含する。従って、本発明の組成物および方法は、治療用途に限定されず、予防用途にも用いることができる。そのため、ある状態(state)、障害(disorder)もしくは病気(condition)について「治療する(こと)」または「治療」とは:(i)該状態、障害もしくは病気に悩んでいるかまたは該状態、障害もしくは病気の素因があるが、該状態、障害もしくは病気の臨床もしくは亜臨床症状をまだ経験または表示していない被験体において、発症する該状態、障害もしくは病気の臨床症状の発現を阻止または遅延させること、(ii)該状態、障害もしくは病気を抑制すること、すなわち該疾患またはその少なくとも1つの臨床もしくは亜臨床症状の発症を停止または軽減させること、あるいは(iii)該疾患を緩和すること、すなわち該状態、障害もしくは病気またはその臨床もしくは亜臨床症状の少なくとも1つを退行させることを含む。
【0018】
用語「コルチコステロイド」とは、水素化シクロペンタノペルヒドロ−フェナントレン環系によって特徴付けられ、免疫抑制および/または抗炎症活性を有する、いかなる天然または合成化合物をも意味する。
【0019】
天然に存在するコルチコステロイドは、一般的に、副腎皮質で生成される。合成コルチコステロイドはハロゲン化されていてもよい。
【0020】
コルチコステロイドの限定されない例は、1’−α,17−α,21−トリヒドロキシプレグン−4−エン−3,20−ジオン;11−β,16−α,17,21−テトラヒドロキシプレグン−4−エン−3,20−ジオン;11−β,16−α,17,21−テトラヒドロキシプレグン−1,4−ジエン−3,20−ジオン;11−β,17−α,21−トリヒドロキシ−6−α−メチルプレグン−4−エン−3,20−ジオン;11−デヒドロコルチコステロン;11−デオキシコルチゾール;11−ヒドロキシ−1,4−アンドロスタジエン−−3,17−ジオン;11−ケトテストステロン;14−ヒドロキシアンドロスタ−4−エン−3,6,17−トリオン;15,17−ジヒドロキシプロゲステロン;16−メチルヒドロコルチゾン;17,21−ジヒドロキシ−16−α−メチルプレグナ−1,4,9(11)−トリエン−3,20−ジオン;17−α−ヒドロキシプレグン−4−エン−3,20−ジオン;17−α−ヒドロキシプレグネノロン;17−ヒドロキシ−16−β−メチル−5−β−プレグン−9(11)−エン−3,20−ジオン;17−ヒドロキシ−4,6,8(14)−プレグナトリエン−3,20−ジオン;17−ヒドロキシプレグナ−4,9(11)−ジ− エン−3,20−ジオン;18−ヒドロキシコルチコステロン;18−ヒドロキシコルチゾン;18−オキソコルチゾール;21−アセトキシプレグネノロン;21−デオキシアルドステロン;21−デオキシコルチゾン;2−デオキシエクジソン;2−メチルコルチゾン;3−デヒドロエクジソン;4−プレグネン−17−α,20−β,21−トリオール−3,11−ジオン;6,17,20−トリヒドロキシプレグン− −4−エン−3−オン;6−α−ヒドロキシコルチゾール;6−α−フルオロプレドニゾロン、6−α−メチルプレドニゾロン、6−α−メチルプレドニゾロン 21−アセテート、6−α−メチルプレドニゾロン 21−ヘミスクシネートナトリウム塩、6−β−ヒドロキシコルチゾール、6−α,9−α−ジフルオロプレドニゾロン 21−アセテート 17−ブチレート、6−ヒドロキシコルチコステロン;6−ヒドロキシデキサメタゾン;6−ヒドロキシプレドニゾロン;9−フルオロコルチゾン;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルドステロン;アルゲストン;アルファダーム(alphaderm):アマジノン;アムシノニド;アナゲストン;アンドロステンジオン;酢酸アネコルタブ;ベクロメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ベタメタゾン 17−バレレート;酢酸ベタメタゾンナトリウム;リン酸ベタメタゾンナトリウム;吉草酸ベタメタゾン;ボラステロン;ブデソニド;カルステロン;クロルマジノン;クロロプレドニゾン;酢酸クロロプレドニゾン;コレステロール;シクレソニド;クロベタゾール;プロピオン酸クロベタゾール;クロベタゾン;クロコルトロン;ピバル酸クロコルトロン;クロゲストン;クロプレドノール;コルチコステロン;コルチゾール;酢酸コルチゾール;酪酸コルチゾール;シピオン酸コルチゾール;オクタン酸コルチゾール;リン酸コルチゾールナトリウム;コハク酸コルチゾールナトリウム;吉草酸コルチゾール;コルチゾン;酢酸コルチゾン;コルチバゾール;コルトドキソン;ダツラオロン;デフラザコルト、21−デオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン;デルマジノン;デオキシコルチコステロン;デプロドン;デスシノロン;デソニド;デスオキシメタゾン(desoximethasone);デキサフェン(dexafen);デキサメタゾン;デキサメタゾン 21−アセテート;酢酸デキサメタゾン;リン酸デキサメタゾンナトリウム;ジクロリソン;ジフロラゾン;二酢酸ジフロラゾン;ジフルコルトロン;ジフルプレドナート;ジヒドロエラテリシンA;ドモプレドナート;ドキシベタソール;エクジソン;エクジステロン;エモキソロン(emoxolone);エンドリソン;エノキソロン;フルアザコート;フルシノロン(flucinolone);フルクロロニド;フルドロコルチゾン;酢酸フルドロコルチゾン;フルゲストン(flugestone);フルメタゾン;ピバル酸フルメタゾン;フルモキソニド;フルニソリド;フルオシノロン;フルオシノロンアセトニド;フルオシノニド;フルオコルチンブチル;9−フルオロコルチゾン;フルオコルトロン;フルオロヒドロキシアンドロステンジオン;フルオロメトロン;酢酸フルオロメトロン;フルオキシメステロン;酢酸フルペロロン;フルプレドニデン;フルプレドニゾロン;フルランドレノリド;フルチカゾン;プロピオン酸フルチカゾン;ホルメボロン;ホルメスタン;ホルモコルタール;ゲストノロン;グリデリニン(glyderinine);ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタソール;ハロメタソン;ハロプレドン;ハロプロゲステロン;ヒドロコルタマート;ヒドロコルチオゾンシピオネート(hydrocortiosone cypionate);ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン 21−ブチレート;アセポン酸ヒドロコルチゾン;酢酸ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾンブテプレート(hydrocortisone buteprate);酪酸ヒドロコルチゾン;シピオン酸ヒドロコルチゾン;ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾンプロブテート(hydrocortiosone probutate);リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム;コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;吉草酸ヒドロコルチゾン;ヒドロキシプロゲステロン;イノコステロン;イソフルプレドン;酢酸イソフルプレドン;イソプレドニデン;エタボン酸ロテプレドノール;メクロリゾン;メコルトロン;メドロゲストン;メドロキシプロゲステロン;メドリソン;メゲストロール;酢酸メゲストロール;メレンゲストロール;メプレドニゾン;メタンドロステノロン;メチルプレドニゾロン;アセポン酸メチルプレドニゾロン;酢酸メチルプレドニゾロン;ヘミコハク酸メチルプレドニゾロン;コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;メチルテストステロン;メトリボロン;モメタゾン;フロ酸モメタゾン;フロ酸モメタゾン一水和物;ニゾン;ノメゲストロール;ノルゲストメト;ノルビニステロン;オキシメステロン;パラメタゾン;酢酸パラメタゾン;ポナステロン;プレドニカルバート;プレドニソラメート(prednisolamate);プレドニゾロン;プレドニゾロン 21−ジエチルアミノアセテート;プレドニゾロン 21−ヘミスクシネート;酢酸プレドニゾロン;ファルネシル酸プレドニゾロン;ヘミコハク酸プレドニゾロン;プレドニゾロン−21 (β−D−グルクロニド);メタスルホ安息香酸プレドニゾロン;リン酸プレドニゾロンナトリウム;プレドニゾロンステアグラート;テブト酸プレドニゾロン;テトラヒドロフタル酸プレドニゾロン;プレドニゾン;プレドニバール;プレドニリデン;プレグネノロン;プロシノニド;トラロニド;プロゲステロン;プロメゲストン;ラポンティステロン(rhapontisterone);リメキソロン;ロキシボロン;ルブロステロン;スチゾフィリン;チキソコルトール;トプテロン;トリアムシノロン;トリアムシノロンアセトニド;トリアムシノロンアセトニド 21−パルミテート;トリアムシノロンベネトニド;二酢酸トリアムシノロン;トリアムシノロンヘキサアセトニド;トリメゲストン;ツルケステロン;およびウォルトマンニンである。
【0021】
用語「抗血管形成化合物」、「血管形成阻害剤」とは、血管形成(すなわち、新しい血管の増殖)を阻害する化合物を指すために、本明細書において同義的に用いられる。
【0022】
1つの特定の実施形態によれば、前記抗血管形成化合物は、免疫抑制化合物である。
【0023】
1つの好ましい実施形態によれば、前記免疫抑制化合物は、カルシニュリン阻害剤およびmTOR阻害剤からなる群から選択される。
【0024】
別の特定の実施形態によれば、前記抗血管形成化合物は、VEGFを阻害する化合物である。
【0025】
本明細書において、「化合物」とは、有機、無機を問わず、いかなる薬剤、化学物質、または基質をも指し、あるいは抗体およびその機能的フラグメント、ペプチド、ポリペプチド、ペプトイド、核酸、オリゴヌクレオチドなどを含むいかなるタンパク質をも意味する。本発明において有用な化合物には、ジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの異性体、それらの塩、エステル、溶媒和物、および多形、ならびに本明細書に記載の化合物のラセミ混合物および純粋異性体を含む、あらゆる薬学上許容される化合物形態の本明細書に記載のものが含まれる。
【0026】
本明細書において、「VEGFを阻害する化合物」とは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の活性または生産を阻害する化合物を意味する。例えば、「VEGFを阻害する化合物」とは、VEGFに結合することができる化合物を意味し、これらには、VEGFに対して特異的な小有機分子、抗体または抗体フラグメント、核酸レベルにおいてVEGF発現を阻害するペプチド、環状ペプチド、核酸、アンチセンス核酸、RNAi、およびリボザイムが含まれる。VEGFを阻害する化合物の例は、VEGFの核酸リガンド、例えばUS 6,168,778またはUS 6,147,204に記載されているもの、高親和性で主要な可溶性ヒトVEGFアイソフォームと結合する修飾ペグ化アプタマーであるEYE001(以前はNX1838とも呼ばれていた);VEGFポリペプチド(例えばUS 6,270,933およびWO 99/47677);核酸レベルにおいてVEGF発現を阻害するオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスRNA(例えばUS 5,710,136;US 5,661,135;US 5,641,756;US 5,639,872;およびUS 5,639,736)である。当技術分野で公知のVEGFシグナル伝達阻害剤(本発明の序文参照)の他の例としては、例えば、ZD6474(Tuccillo et al., 2005, Clin Cancer Res., 11, 1268-76);COX−2、Tie2受容体、アンジオポエチン、およびニューロピリン阻害剤;色素上皮由来因子(PEDF)、エンドスタチン、およびアンギオスタチン、可溶性fins様チロシンキナーゼ1(sFlt1)ポリペプチドまたはポリヌクレオチド(Harris et al., 2001, Clin Cancer Res., 7, 1992-1997; US 5,861,484);PTK787/ZK222 584;KRN633(Maier et al., 2004, Mol Cancer Ther., 3, 1639-1649);VEGF-Trap(登録商標)(Regeneron);およびα2−抗プラスミン(Matsuno et al, 2003, Blood, 120, 3621-3628)が挙げられる。VEGFおよびその阻害剤の総説については、例えば、Campochiaro, 2004, Expert Opin Biol Ther., 4, 1395-1402; Ferrara, 2004, Endocr. Rev., 25, 581-611参照;これらの文献の内容は引用することにより本明細書の一部とされる)。好ましい実施形態によれば、VEGFを阻害する化合物は、対応する抗体、もしくはそれらの抗体フラグメント、またはVEGFもしくは関連ファミリーメンバー例えば(VEGF B.I C、D;PDGF)のアプタマーである。好ましい例は、抗VEGF抗体、例えばAvastin(商標)(ベバシズマブとしても総説されている、Genentech)、またはそれらのフラグメント、例えばLucentis(商標)(rhuFAb V2またはAMD−Fabとしても総説されている;ラニビズマブ、Genentech)、および他の抗VEGF化合物、例えばVEGF阻害アプタマー、例えば、Macugen(商標)(ペガプタニブナトリウム、抗VEGFアプタマーまたはEYE001としても総説されている、Pfizer)である。より好ましい実施形態によれば、VEGFを阻害する化合物は、免疫抑制化合物であることがさらにあり、より好ましくは、カルシニュリン阻害剤およびmTOR阻害剤からなる群から選択される。
【0027】
本明細書において、「抗体」とは、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物、CDRグラフト抗体調製物、ならびにハイブリッド抗体、改変抗体、F(AB)’フラグメント、F(AB)分子、Fvフラグメント、単一ドメイン抗体、キメラ抗体および親抗体分子の免疫学的結合特性を示すそれらの機能的フラグメントを含む調製物を包含する。抗体は、ヒト化することもできる。用語「モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術によって産生した抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」とは、真核生物クローン、原核生物クローン、またはファージクローンを含む単一クローンから誘導される抗体またはその機能的フラグメントを意味し、それが産生される方法を指すものではない。
【0028】
カルシニュリン阻害剤の限定されない例は、タクロリムス(別名FK−506、Fujisawa Pharma, co)、LX211(別名ISAtx247、Iso Teknika, Inc)、アスコマイシン、ピメクロリムス、ならびにシクロスポリンおよびそれらの誘導体(上記化合物の定義に記載したものを含む)である。最も好ましい実施形態によれば、本発明のカルシニュリン阻害剤はシクロスポリンAである。例えば、シクロスポリンの抗血管形成特性を例示しているWilasrusmee et al., 2005 (Int. Angiol.; 24, 372-379)参照。
【0029】
mTOR阻害剤の限定されない例は、ラパマイシン(別名シロリムス, Wyeth)、テムシロリムス(CCI−779, Wyeth)、エベロリムス、(RAD001, Novartis Pharma AG)、ならびにAP23573(Ariad Pharmaceuticals)およびそれらの誘導体(上記化合物の定義に記載したものを含む)である。
【0030】
別の実施形態によれば、前記組み合わせ物は、生体適合性ポリマー成分またはフィブリン接着剤成分を、VEGFを阻害する前記化合物および/または前記コルチコステロイドの、とりわけ前記組み合わせ物を眼において眼内留置した後に眼内部への、放出を遅延するのに有効な量でさらに含んでなる。別の特定の実施形態によれば、前記組み合わせ物は、眼科的に適合する溶媒成分を、前記ポリマー成分またはフィブリン接着剤成分を可溶化するのに有効な量でさらに含んでなり、前記組み合わせ物は、眼内部に眼内留置した後に、前記ポリマー成分またはフィブリン接着剤成分を含まない実質的に同一の組成物の眼内留置に対して、VEGFを阻害する前記化合物および/または前記コルチコステロイドの眼中への持続放出を生み出すのに有効である。
【0031】
本発明の別の態様では、本発明の組み合わせ物は、エストロゲン(例えばエストロジオール)、アンドロゲン(例えばテストステロン)レチノイン酸誘導体(例えば9−シス−レチノイン酸、13−トランス−レチノイン酸、オールトランスレチノイン酸)、ビタミンD誘導体(例えばカルシポトリオール、カルシポトリエン)、非ステロイド性抗炎症薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSR1;例えばフルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン)、三環系抗鬱薬(TCA;例えばマプロチリン、アモキサピン)、フェノキシフェノール(例えばトリクロサン)、アンチヒスタミニン(antihistaminine)(例えばロラタジン、エピナスチン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えばイブジラスト)、抗感染薬、プロテインキナーゼC阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤、抗アポトーシス薬、増殖因子、栄養素ビタミン、不飽和脂肪酸、および/または本明細書において示す眼科障害の治療のための眼用抗感染薬(例えばUS 2003/0119786;WO 2004/073614;WO 2005/051293;US 2004/0220153;WO 2005/027839;WO 2005/037203;WO 03/0060026に開示されている化合物を参照)からなる群の中から選択される化合物をさらに含んでなってよい。本発明のさらに他の実施形態では、これらの薬剤の混合物を用いてもよい。用いられる眼用抗感染薬としては、限定されるものではないが、ペニシリン(アンピシリン、アジシリン(aziocillin)、カルベニシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ピペラシリン、およびチカルシリン)、セファロスポリン(セファマンドール、セファゾリン、セフォタキシム、セフスロジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セファロチン、およびモキサラクタム)、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、およびネオマイシン)、種々の薬剤、例えば、アズトレオナム、バシトラシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、コトリモキサゾール、フシジン酸、イミペネム、メトロニダゾール、テイコプラニン、およびバンコマイシン)、抗真菌薬(アムホテリシンB、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、オキシコナゾール、およびテルコナゾール)、抗ウイルス薬(アシクロビル、エチルデオキシウリジン、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、および(S)−1−(3−ジドロキシ−2−ホスホ−ニルウエトキシプロピル)シトシン((S)-1-(3-dydroxy-2-phospho-nyluethoxypropyl)-cytosine)(HPMPC))、抗悪性腫瘍薬(細胞周期非特異的薬、例えば、アルキル化剤(クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、およびブスルファン)、アントラサイクリン系抗生物質(ドキソルビシン、ダウノマイシン、およびダクチノマイシン)、シスプラチン、およびニトロソ尿素)、代謝拮抗物質、例えば、ピリミジン代謝拮抗薬(シタラビン、フルオロウラシルおよびアザシチジン)、葉酸代謝拮抗薬(メトトレキサート)、プリン代謝拮抗薬(メルカプトプリンおよびチオグアニン)、ブレオマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリシン(vincrisine)およびビンブラスチン)、ポドフィロトキシン(podophylotoxins)(エトポシド(VP−16))、およびニトロソ尿素(カルムスチン、(BCNU))、ならびにタンパク質分解酵素阻害剤、例えば、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤が挙げられる。上記薬剤の局所および結膜下投与のための用量、ならびに硝子体内用量および硝子体半減期は、Intravitreal Surgery Principles and Practice, Peyman G A and Shulman, J Eds., 2nd edition, 1994, Appleton - Longe(この関連節は引用することにより明示的に本明細書の一部とされる)において見られる。
【0032】
別の実施形態によれば、前記組み合わせ物は、薬学上許容される担体をさらに含んでなる。かかる医薬担体は、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、滅菌液(例えば水および油)、例えば落花生油、大豆油、鉱油などであってよい。生理食塩水溶液ならびに水性デキストロース溶液、ポリエチレングリコール(PEG)溶液およびグリセロール溶液もまた、特に注射液用の、液体担体として使用することができる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、グリセロール、プロピレン、グリコール、水などが挙げられる。必要に応じて、前記組み合わせ物に、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤、または増粘剤も含めることができる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。好ましい実施形態では、前記組み合わせ物は、眼内への注射に適した医薬組成物として通常の手順に従って処方される。一般に、注射用の組み合わせ物は、滅菌等張性水性バッファー中の溶液である。必要に応じて、前記組み合わせ物に、可溶化剤も含めてよい。一般的に、成分は、別々にまたは一緒に混合されて、単位投与形で、例えば、密封容器(活性薬剤の量を示すアンプルまたは小袋など)に入った乾燥凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、供給される。前記組み合わせ物を注入により投与すべき場合には、滅菌の医薬品グレードの水または生理食塩水が入った点滴ボトルで分配させることができる。前記組み合わせ物を注射により投与する場合には、成分を投与前に混合し得るように、滅菌注射水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0033】
本発明によれば、前記組み合わせ物中のVEGFを阻害する化合物(例えばシクロスポリンA)は、約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約2%以下、さらに好ましくは約1%以下の量で存在する。有利な実施形態では、約0.5%以下、好ましくは約0.1%以下、より好ましくは約0.05%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。特別の実施形態によれば、VEGFを阻害する化合物はシクロスポリンAであり、前記組み合わせ物中のその濃度は、約0.001%〜約0.05%間(例えば、0.049%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、および0.001%)である。
【0034】
本発明によれば、前記組み合わせ物を、眼前面の疾患を治療するために投与する場合には、前記組み合わせ物中のコルチコステロイドは、約0.01%〜約4%の量で存在し、さらに特には、前記組み合わせ物中のコルチコステロイドは、約0.01%〜約1.0%(例えば、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)の量で存在する。特別の実施形態では、前記組み合わせ物中のコルチコステロイドは、約0.01%〜約0.12%の量で存在する。有利な実施形態では、前記組み合わせ物中のコルチコステロイドは、約0.012%である。
【0035】
本発明によれば、前記組み合わせ物を、眼後面の疾患を治療するために投与する場合には、前記組み合わせ物中のコルチコステロイドは、約0.05mg〜約2mg、さらに詳しくは約0.05mg〜約1mg、さらに詳しくは約0.05〜約0.5mgの量で存在する。
【0036】
コルチコステロイド容量の推奨用量は、以下のとおりである:
【表1】

【0037】
コルチコステロイドの他の標準推奨用量は、例えば、the Merck Manual of Diagnosis & Therapy (17th Ed. MH Beers et al., Merck & Co.)およびPhysicians' Desk Reference 2003 (57th Ed. Medical Economics Staff et al., Medical Economics Co., 2002)において提供されている。1つの実施形態では、投与するコルチコステロイドの用量は、本明細書において定義するように、プレドニゾロン用量に相当する用量である。例えば、コルチコステロイドの低用量は、プレドニゾロンの低用量に相当する用量と考えてよい。
【0038】
本発明によれば、コルチコステロイドの濃度は、前記最低認可濃度(上記表参照)、または前記最低認可濃度の95%以下のいずれかであり得る。例えば、本発明のコルチコステロイドの低濃度は、前記最低認可濃度の90%、85%、80%、70%、60%、50%、25%、10%、5%、2%、1%、0.5%または0.1%であってよい。
【0039】
眼科的投与では、例えば、ピバル酸クロコルトロンの低濃度は、0.01%〜0.1%間(例えば、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、ヒドロコルチゾンの低濃度は、0.01%〜1.0%間(例えば、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、デキサメタゾンの低濃度は、0.01%〜0.1%間(例えば、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、フルオロメトロンの低濃度は、0.01%〜0.1%間(例えば、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、エタボン酸ロテプレドノールの低濃度は0.01%〜0.2%間(例えば、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、メドリソンの低濃度は、0.01%〜1.0%間(例えば、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、リメキソロンの低濃度は、0.01%〜1.0%間(例えば、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)であり、プレドニゾロンの低濃度は、0.01%〜0.12%間(例えば、0.12%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、および0.01%)である。
【0040】
1つの特別の実施形態によれば、本発明の組み合わせ物は、0.012%の酢酸プレドニゾロンと0.05%のシクロスポリンを含む。
【0041】
別の実施形態によれば、本発明は、該処置を必要とする患者において、眼組織の血管新生、および関連疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記該患者において本発明の組み合わせ物を投与する工程を含む方法に関する。
【0042】
1つの実施形態によれば、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの投与によって、眼組織の血管新生、および関連障害を阻害、治療、または予防するための相乗作用が生じる。
【0043】
1つの特別の実施形態によれば、(i)少なくとも1つの、VEGF化合物を阻害する化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの投与によって、眼組織の血管新生、および関連障害を阻害、治療、または予防するための相乗作用が生じる。
【0044】
別の特別の実施形態によれば、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの投与によって、眼組織の血管新生、および関連障害を阻害、治療、または予防するための相乗作用が生じる。
【0045】
1つの好ましい実施形態によれば、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの投与によって、眼組織の血管新生、および関連障害を阻害、治療、または予防するための相乗作用が生じる。
【0046】
本明細書において、「患者」とは、血管新生を受け得る眼組織を有するいかなる動物をも意味する。好ましくは、前記動物は哺乳類であり、限定されるものではないが、ヒトおよび他の霊長類が含まれる。この用語にはまた、飼いならされた動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、およびネコも含まれる。用語「患者」とは、決して特別の疾患状態に限定されず、対象となる疾患を既に発症している患者と病気でない患者の両方を包含する。特定の実施形態によれば、本発明の組み合わせ物での治療を受ける患者は、細胞移植を経験しておらず、さらに詳しくは、移植片対宿主病(GVHD)に罹患していない。
【0047】
本発明によれば、前記方法は、眼部血管新生および関連障害の発症を特徴とする数多くの疾患および障害を阻害、予防および治療するために用いることができる。本発明によれば、前記眼部血管新生およびその関連障害(または疾患もしくは病気)は、例えば黄斑浮腫、虚血性網膜症、眼内血管新生、加齢性黄斑変性(AMD)、さらに詳しくは滲出性AMD、角膜血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、未熟児網膜症、外傷性眼損傷、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜虚血、糖尿病性網膜浮腫、増殖性糖尿病性網膜症、バードショット疾患(birdshot disease)、多発性脈絡膜炎および眼の病状に関連するあらゆる血管新生である。
【0048】
本発明によれば、前記組み合わせ物の化合物(i)と化合物(ii)の投与は、同時もしくは連続投与、または経時的交互投与であってよい。同時にとは共投与を指す。この場合、これらの2つの必須化合物[(i)および(ii)]は、投与前に組成物を形成するために混合することができるし、患者に同時に投与することもできる。また、それらを連続的に、すなわち、本発明の組み合わせ物のどちらの成分を最初に投与するかには関係なく、順々に、投与することも可能である。最後に、経時的に交互に(staggered overtime)または間欠的な(intermittent)投与様式であって、かつ一定であっても一定でなくてもよい間隔で中止および再開始する投与様式を用いることも可能である。前記2成分の投与の経路および場所は異ってもよいことを指摘する。投与間の時間間隔はあまり重要ではなく、当業者ならば定義することができる。10分〜72時間、有利には30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、非常に好ましくは1〜6時間の間隔を推奨することができるが;間隔がより長く、1ヶ月を上回ることもある。
眼科用の前記組み合わせ物の投与は、好ましくは眼内注射によるが、他の投与様式が有効である場合もある。一般に、眼用組成物は、(化学的送達システムまたは侵襲的装置によって)個体に眼内送達される。しかしながら、本発明は、局所的送達(眼外適用)または全身的送達(例えば経口経路または他の非経口経路(例えば皮下投与など))も含むという点で、眼内送達に限定されない。非経口投与は、医師には明らかな適当な状況において用いられる。好ましくは、眼用組成物は、正確な投与量の単回投与に好適な単位投与形で投与される。
【0049】
上述のように、in situでの眼内部領域への送達は、正確に計量された量の所望の眼用組成物を眼内部の特定のコンパートメントまたは組織(例えば後眼房または網膜)へ導入するように設計された、注射、カニューレまたは他の侵襲的装置によって達成することができる。眼内注射は、硝子体中であってよく(硝子体内注射)、または結膜下であってよく(結膜下注射)、または眼の奥であってよく(球後注射)、鞏膜中であってよく、またはテノン嚢下であってよく(テノン嚢下注射)、そしてデポー製剤形態であってもよい。他の眼内投与経路ならびに注射部位および形態も企図され、本発明の範囲内である。好ましい実施形態では、本発明の組み合わせ物は、網膜下注射によって送達される。
【0050】
1つの実施形態では、前記眼用組成物は、眼の病気を治療または予防するために、眼内(例えば、硝子体中または網膜下に)注射される。前記眼用組成物を眼内注射により投与する場合には、注射量を最小限に抑えるために前記活性薬剤を濃縮する必要がある。このような量によれば、眼内圧の上昇および送達針によって形成される開口部を通じての注射液の漏出を防ぐために硝子体液の調整的排除が必要かもしれない。より好ましくは、注射量は約1.0ml〜0.05ml間である。最も好ましくは、注射量はおよそ0.1mlである。
【0051】
注射では、約20mg/ml未満の濃度を注射してよく、前に記載した因子に応じて、いずれの量も有効であり得る。好ましくは、約10mg/mlの用量を投与する。サンプル濃度には、限定されるものではないが、約5μg/ml〜約50μg/ml;約25μg/ml〜約100μg/ml;約100μg/ml〜約200μg/ml;約200μg/ml〜約500μg/ml;約500μg/ml〜約750μg/ml;約500μg/ml〜最大1mg/mlなどが含まれ、50mg/mlが好ましい。1つの前記組み合わせ物で、化合物(i)および(ii)の濃度がさらに異なっている場合がある。好ましい実施形態では、最大100μgの化合物(ii)を投与する。
【0052】
眼内注射は、当技術分野で周知の様々な方法によって行ってよい。例えば、眼を消毒薬例えばBetadine(登録商標)で洗浄してよく、本発明の化合物を細いゲージの針(例えば27ゲージ)を用いて適当な担体中で眼内の位置に注射し、それによりその化合物が後極〜腹面に向かって定着することとなる。注射に向けて、注射前に陽圧を適用することによって眼を準備する必要があるかもしれない。場合によっては、予備硝子体切除術が必要である。局所麻酔または全身麻酔が必要であることもある。
【0053】
本発明の方法の実施において用いるシリンジは、好適には、21〜40ゲージ針を収容可能なものであり、好ましくは、小容量、例えば1.5ml、より好ましくは0.1mlのものである。針とシリンジは、シリンジから針を取り外しできるタイプのものであってよいが、装置は一体型シリンジ/針構造のものであることが好ましい。これにより、シリンジからの針の離脱可能性が明らかに制限されるであろう。また、装置は開封明示機構を備えていることも好ましい。従って、本発明の組み合わせ物は、投与できる状態の事前調製したシリンジにより、単一単位用量、または分割単位用量(各分割単位用量に本発明の組み合わせ物の一部が含まれる)の形態で提供してよい。
【0054】
好適なスタイルのシリンジは、例えば、Becton Dickinson and Company製造のUniject(登録商標)という名前で販売されている。このスタイルのシリンジでは、材料は、プランジャーによってではなく、むしろ、針を提供している柔軟なリザバーの側面に加えられた圧力によって、針を介して眼内に放出される。名前から示唆されるように、リザバーと針の構成は単一ユニットである。
【0055】
眼障害の治療または予防のための本発明の眼用組み合わせ物の局所適用は、軟膏、ゲルまたは点眼薬として行ってよい。眼用局所組成物は、さらにin situでゲル化可能な水性処方物であってよい。かかる処方物は、ゲル化剤を、眼とまたは眼の外側の涙液と接触した際にゲル化を促進するのに有効な濃度で含んでなる。好適なゲル化剤としては、限定されるものではないが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの四置換エチレンジアミンブロックコポリマー(例えば、ポロキサミン)などの熱硬化性ポリマー;ポリカルボフィル;ならびにジェラン、カラギーナン(例えば、κ−カラギーナンおよびi−カラギーナン)、キトサンおよびアルギン酸ガムなどの多糖類が挙げられる。
【0056】
本明細書においてフレーズ「in situでゲル化可能な」とは、眼とまたは眼の外側の涙液と接触した際にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、眼に投与した際に実質的に増加した粘度すなわちゲル剛性を示す半液体ゲルおよび揺変性ゲルなどのより高い粘性の液体をも包含する。
【0057】
眼障害の治療のための眼用局所組成物を調製するためには、当技術分野で公知であるように、本発明の組み合わせ物の治療上有効な量を、眼用ビヒクル中に入れる。例えば、ステロイドを含有する眼用局所処方物は、US 5,041,434に開示されており、一方、眼用薬物と高粘性ゲルを形成する高分子量ポリマーとの持続放出性眼科用処方物は、US 4,271,143およびUS 4,407,792に記載されている。さらに、GB 2007091では、カルボキシビニルポリマー水溶液、水溶性基本物質および眼用薬物を含んでなるゲル形態の眼用組成物が記載されている。また、US 4,615,697では、生体接着剤と抗炎症薬などの治療薬に基づく制御放出性組成物および使用方法が開示されている。
【0058】
投与される組み合わせ物の量および前記方法に用いる眼用局所組み合わせ物中の該化合物の濃度は、希釈液、送達システムまたは装置、患者の臨床状態、該処方物中の該化合物の副作用および安定性によって異なる。従って、医師は、問題の患者または同様の患者の臨床経験に応じて、適当な濃度の化合物(i)および/または(ii)を含む適当な調製物を使用し、投与する処方物の量を選択する。
【0059】
前記組み合わせ物が2種以上の活性薬剤を含む場合には、それらの活性薬剤を、混合物として、添加剤として、同じ眼用組成物で、別々の処方物で、長期放出性処方物、リポソーム、マイクロカプセル、または前述の実施形態のいずれかで投与してよい。
【0060】
前記組み合わせ物はまた、眼障害を治療または予防するために、当業者には公知のように、ミクロスフェア、マイクロカプセル、リポソームなどのような担体処方物を含む徐放性処方物として、局所軟膏もしくは溶液、静注液もしくは懸濁液として、または眼内注射で投与してもよい。「徐放性」、「時限放出性」、「持続放出性」または「制御放出性」とは、処方物から治療上有効な成分が、該成分についての治療上有益なレベル(毒性レベルには達していない)が、例えば、約12〜約24時間に及ぶ長期にわたって維持され、その結果、例えば、12時間または24時間の投与形が提供されるような制御された速度で放出されることを意味する。ある期間にわたって前記組み合わせ物の持続放出をもたらすように、時限放出性薬物送達システムを眼内投与してもよい。前記組み合わせ物は、ビヒクル形態、例えば生体適合性ポリマー(ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ酸無水物、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリアミノ酸、ポリエチレンオキシド、アクリル末端ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)など)、および他のポリマー(米国特許第6,667,371号;同第6,613,355号;同第6,596,296号;同第6,413,536号;同第5,968,543号;同第4,079,038号;同第4,093,709号;同第4,131,648号;同第4,138,344号;同第4,180,646号;同第4,304,767号;同第4,946,931号(これらの各々はそのまま引用することにより明示的に本明細書の一部とされる)に開示されているものなど)のマイクロ−もしくはマクロ−カプセルまたはマトリックス、あるいはミクロスフェアまたはリポソームとして処方し得る脂質であってよい。微視的または巨視的眼用組成物は、針を介して投与してよく、眼内部、例えば硝子体内腔または網膜下腔に縫合することによって埋め込んでもよい。遅延または長期放出性は、様々なビヒクル処方物(コーティングまたは非コーティングミクロスフェア、コーティングまたは非コーティングカプセル、脂質またはポリマー成分、単層または多重層構造、および上記の組合せなど)によって提供し得る。ミクロスフェア、マイクロカプセル、リポソームなどの処方設計および装薬ならびにそれらの眼への埋め込みは、当業者には公知の標準的な技術である。
【0061】
本発明はまた、血管新生に関連する眼障害の治療または予防のための方法であって、本発明の組み合わせ物を、例えば、好ましくは、インプラントとしての、網膜への挿入または前面もしくは後面の眼腔への挿入に適しているゲルまたはポリマーの形態の、生体適合性生分解性マトリックスにより投与する工程を含む方法も提供する。前記組み合わせ物をインプラントとして送達する場合には、いかなる公知の生体適合性生分解性マトリックスにも液体として、または例えば、公知の化学を用いてミセルの、形態で、または微粒子として組み込んでよい。
【0062】
徐放性または長期放出性送達システムには、多数の生体高分子(生物学に基づくシステム)のいずれもが含まれ、リポソーム、コロイド、樹脂、および他のポリマー送達システムまたは区分化されたリザバーを使用するシステムは、治療化合物の連続供給源または長期供給源を提供するために、本明細書に記載の組成物とともに利用することができる。
【0063】
調製したいかなる徐放性装置においても、前記化合物(i)および/または(ii)は、好ましくは、インプラントの約10重量%〜90重量%の量で存在する。より好ましくは、前記化合物(i)および/または(ii)は、インプラントの約50重量%〜約80重量%である。好ましい実施形態では、前記化合物(i)および/または(ii)は、インプラントの約50重量%である。特に好ましい実施形態では、前記化合物(i)および/または(ii)は、インプラントの約70重量%である。
【0064】
1つの形態において、本発明の方法において用いるインプラントは、生体腐食性ポリマーマトリックス内に封入された化合物(i)および/または(ii)を用いて処方される。これらの化合物の放出は、前記ポリマーの腐食、続いて事前封入化合物の硝子体液への曝露、その後の化合物の溶解および放出によって達成される。この薬物放出形態で達成される放出速度論は、メチルセルロースのようなヒドロゲルの場合などのポリマーの膨潤によって薬物を放出する処方物によって達成される放出速度論とは異なる。その場合、活性化合物は、ポリマーの腐食によって放出されないが、ポリマーが膨潤することによって放出され、これにより、液体が曝露経路を通じて拡散するに従って、活性化合物が放出される。放出速度論を決定するパラメーターには、活性化合物の粒子サイズ、活性化合物の水溶解度、活性化合物とポリマーの比率、製造方法、曝露表面積、およびポリマーの腐食速度が含まれる。
【0065】
特に興味深い、例示的な生体適合性非生分解性ポリマーとしては、ポリカルバメートまたはポリ尿素、特にポリウレタン、架橋して、非生分解性ポリマーを生成し得るポリマー例えば架橋ポリ(酢酸ビニル)などが挙げられる。また、エステル含量が4%〜80%のエチレン−ビニルエステルコポリマー例えばエチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン−ヘキサン酸ビニルコポリマー、エチレン−プロピオン酸ビニルコポリマー、エチレン−酪酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルペンタントエートコポリマー(ethylene-vinyl pentantoate copolymer)、エチレン−酢酸トリメチルビニルコポリマー、エチレン−酢酸ジエチルビニルコポリマー、エチレン−ブタン酸3−メチルビニルコポリマー、エチレン−ブタン酸3−3−ジメチルビニルコポリマー、およびエチレン−安息香酸ビニルコポリマーも特に興味深い。
【0066】
さらなる例示的な天然または合成非生分解性ポリマー材料としては、ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、可塑化ポリ(塩化ビニル)、可塑化ポリ(アミド)、可塑化ナイロン、可塑化ソフトナイロン、可塑化ポリ(エチレンテレフタレート)、天然ゴム、シリコーン、ポリ(イソプレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル、架橋ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、塩素化ポリ(エチレン)、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート)、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニルフマル酸ジエチルコポリマー、シリコーン、シリコーンゴム(とりわけ医療グレード)、ポリ(ジメチルシロキサン)、エチレン−プロピレンゴム、シリコン−カーボネートコポリマー、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、ポリ(オレフィン)、ポリ(ビニル−オレフィン)、ポリ(スチレン)、ポリ(ハロ−オレフィン)、ポリ(ビニル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(オキシド)、ポリ(エステル)、ポリ(アミド)、およびポリ(カーボネート)が挙げられる。
【0067】
インプラントからの活性化合物(i)および/または(ii)の拡散はまた、インプラントの構造によって制御してもよい。例えば、インプラントからの化合物(i)および/または(ii)の拡散は、薬物を含んでなるポリマー層に取り付けたメンブレンによって制御してよい。このメンブレン層は、化合物(i)および/または(ii)を含んでなるポリマー層と所望の治療部位との中間に位置づけられる。このメンブレンは、上述の生体適合性材料のいずれかからなってよく、ポリマー中に存在する化合物(i)および/または(ii)に加えて薬剤が存在すること、化合物(i)および/または(ii)を含んでなるポリマーの組成、所望の拡散速度など。
当業者であれば、本発明の方法において用いる眼用組み合わせ物が眼環境に滞留する期間が、とりわけ、処方物に使用する化合物の物理化学的特性および/または薬理学的特性、使用する化合物の濃度、化合物のバイオアベイラビリティ、治療する疾患、投与様式ならびに好ましい治療寿命のような因子によって異なることは理解できるであろう。このバランスをとるところは、眼において必要な効果の寿命や治療中の病気によって決まることが多い。
【0068】
本発明の方法による治療の頻度は、治療中の疾患、化合物(i)および/または(ii)の送達可能な濃度ならびに送達方法によって決定される。組み合わせ物を硝子体内注射によって送達する場合には、投与頻度は月1回であってよい。好ましくは、投与頻度は3ヶ月に1回である。また、投与頻度は、観察によって決定してもよく、前に送達した組み合わせ物が肉眼で見えなくなったら用量を送達する。一般的に、化合物の有効量とは、症状の主観的緩和または医師もしくは他の有資格観察者によって指摘される客観的に確認可能な改善のいずれかを提供する量である。
【0069】
眼障害を予防または治療するための本発明の方法に用いるために調製した眼用組み合わせ物は、好ましくは、数時間〜数ヶ月、場合によって数年の滞留時間を有し、後者の期間の場合には、かかる期間を得るために特別の送達システムが必要であり、かつ/あるいは反復投与が必要である。最も好ましくは、本発明の方法に用いる組み合わせ物は、数時間(すなわち1〜24時間)、数日(すなわち1日、2日、3日、4日、5日、6日もしくは7日)または数週間(すなわち1週間、2週間、3週間、4週間)の滞留時間(すなわち眼内での期間)を有するであろう。また、前記組み合わせ物は、少なくとも数ヶ月例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月の滞留時間を有し、4、5、6、7ないし12ヶ月より長い滞留時間も達成可能である。
【0070】
必要に応じて、本発明の方法または使用は、単独でも、または1以上の従来の治療法と併用しても行うことができる(例えば光化学療法、レーザー手術、レーザー光凝固術または1以上の生物治療もしくは薬品治療。これらの方法は当業者には周知であり、文献において広く開示されている)。様々な治療アプローチを使用することによって、患者により幅広い介入を提供する。1つの実施形態では、本発明の方法に先立ちまたは続いて、外科的介入を行うことができる。もう1つの実施形態では、本発明の方法に先立ちまたは続いて、光化学療法、レーザー手術、レーザー光凝固術を行うことができる。当業者は用いることができる適当な治療プロトコールおよびパラメーターを容易に策定することができる。
【0071】
本発明はさらに、上記の1以上の従来治療を受けている患者の治療を改善するための方法であって、本発明の組み合わせ物を含めた前記患者の同時治療を含む方法に関する。
【0072】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0073】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの、VEGF化合物を阻害する化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含む方法に関する。
【0074】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0075】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0076】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量で共投与することを含んでなる方法に関する。
【0077】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの、VEGFを阻害する化合物と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量で共投与することを含んでなる方法に関する。
【0078】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量で共投与することを含む方法に関する。
【0079】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は、患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を阻害、治療、または予防するための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量で共投与することを含んでなる方法に関する。
【0080】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを含んでなる組み合わせ物の有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0081】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの、VEGFを阻害する化合物と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを含んでなる組み合わせ物の有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0082】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを含んでなる組み合わせ物の有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0083】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを含んでなる組み合わせ物の有効な量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0084】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを共投与することを含んでなる方法に関する。
【0085】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つの、VEGFを阻害する化合物と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを共投与することを含んでなる方法に関する。
【0086】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを共投与することを含んでなる方法に関する。
【0087】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は、患者において血管新生を退行させるための方法であって、前記患者に、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つの、過剰蓄積マトリックスの分解増大をもたらす薬剤とを共投与する方法に関する。
【0088】
本明細書において、「血管新生を退行させるための」とは、血管新生疾患、とりわけ上記に定義した眼血管新生疾患に苦しむ被験体において、とりわけ眼における、新生血管系(neovasculature)の量を低減することを意味する。
【0089】
別の実施形態によれば、本発明は、患者における眼血管新生障害および関連障害、さらに詳しくは上記のものの予防的または治療的処置に有用な組成物の製造のための、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの使用に関する。
【0090】
別の実施形態によれば、本発明は、患者における眼血管新生障害および関連障害、さらに詳しくは上記のものの予防的または治療的処置に有用な組成物の製造のための、(i)少なくとも1つの、VEGF化合物を阻害する化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの使用に関する。
【0091】
別の実施形態によれば、本発明は、患者における眼血管新生障害および関連障害、さらに詳しくは上記のものの予防的または治療的処置に有用な組成物の製造のための、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの使用に関する。
【0092】
好ましい実施形態によれば、本発明は、患者における眼血管新生障害および関連障害、さらに詳しくは上記のものの予防的または治療的処置に有用な組成物の製造のための、(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとの使用に関する。
【0093】
他の態様では、本発明はキットに関する。本発明の1つのキットは、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物を含有する容器と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドを含有する容器、そして該化合物の投与時期についての説明書を含む。本発明の別のキットは、調製用の(i)少なくとも1つの、VEGF化合物を阻害する化合物を含有する容器と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドを含有する容器、そして該化合物の投与時期についての説明書を含む。本発明の別のキットは、調製用の(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤を含有する容器と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドを含有する容器、そして該化合物の投与時期についての説明書を含む。本発明の好ましいキットは、調製用の(i)少なくとも1つのシクロスポリン、さらに好ましくはシクロスポリンA、を含有する容器と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドを含有する容器、そして該化合物の投与時期についての説明書を含む。前記容器は、両方の化合物(i)および(ii)を一緒に収容している単一容器であってもよいし、個別用量の化合物(i)および(ii)を収容している複数の容器またはチャンバー、例えばブリスターパックであってもよい。このキットには組み合わせ物の投与時期についての説明書も含まれる。説明書は、被験体が組み合わせ物または個別の化合物を適当な時期に服用するように指示するものである。例えば、組み合わせ物の送達に適当な時期は症状が起こったときでよい。また、組み合わせ物の投与に適当な時期は定期的(月1回または年1回など)であってよい。化合物(i)および(ii)は同時に投与してもよいし、これらの化合物が、相乗的応答を引き起こすのに十分な時間の近さで投与される限り、別々に投与してもよい。
【0094】
当業者であれば、本明細書において記載する本発明は、具体的に記載したもの以外の変形および修飾が可能であることは理解できるであろう。本発明は、かかる総ての変形および修飾を含む。本発明はまた、本明細書において言及し、または示したステップ、特徴、処方物および化合物を総て、個々にまたはひとまとめにして含み、さらに該ステップもしくは特徴のありとあらゆる組合せまたは任意の2つ以上も含む。
【0095】
本書において引用する各文書、参照文献、特許出願または特許は、そのまま引用することにより明示的に本明細書の一部とされ、これは、読者が本書において引用する各文書、参照文献、特許出願または特許を本書の一部として解釈し、考慮すべきであるということを意味する。本書において引用するそのような文書、参照文献、特許出願または特許は、本書では繰り返し記載してないが、これは単に簡潔にするという理由からである。
【0096】
本発明は、本明細書において記載する特定の実施形態によって範囲を限定してはならず、これらの実施形態は例示目的を意図したものに過ぎない。機能的に同等の生成物、処方物および方法は明らかに本明細書において記載する本発明の範囲内である。
【0097】
本明細書において記載する本発明は、1以上の値域を含み得る(例えばサイズ、濃度など)。値域は、範囲を定義している値を含むその範囲内の総ての値と、その範囲に隣接し、その範囲の境界を定義する値に直接隣接する値と同じまたは実質的に同じ結果をもたらす値を含むことは明らかである。
【実施例】
【0098】
ウサギ血液網膜関門破壊モデルにおけるVEGF誘発性血管漏出に対する本発明の組み合わせ物の効果の評価
この研究の目的は、ウサギのVEGF誘発性血液網膜関門破壊モデルにおける血管漏出の減少における本発明の組み合わせ物(様々な濃度で試験)の有効性を判定することであった(Edelman et al., 2005, Experimental Eye Research, 80, 249-258)。
【0099】
試験した組合せは、トリアムシノロンアセトニド(TA)とシクロスポリンA(CsA)の混合物である。
【0100】
およそ4ヶ月齢の体重2.0kg〜2.5kg間の雄Fauve de Bourgogne(有色)ウサギ(CEGAV-FR-61350 Saint Mars-d'Egrenne)を用いた。
【0101】
研究デザイン
72羽の(56)有色ウサギを無作為に7(7)群に分けた(1群当たり8羽のウサギ)。
【0102】
第0日目に、試験組合せおよび対照(50μl)を、右眼への1回の硝子体内注射により投与した(左眼を対照とし、未処理のままとした)。
【0103】
第5日目に、右眼への500ng rhVEGF165(50μl)の1回の硝子体内注射により動物を処置した(試験群および対照群)。
【0104】
第7日目には、
・VEGF接種の47時間後のフルオレセインナトリウムの静脈内注射
・非侵襲的走査型眼内蛍光測定法を用いた、フルオレセイン注射の1時間後の両眼の硝子体網膜コンパートメントにおけるフルオレセイン漏出の測定
・血液網膜関門透過性の変化の評価に用いる、処置した右眼と未処置の左眼との硝子体網膜フルオレセイン含量の比率Rt
【0105】
投与の経路および方法
第0日目に総ての群において投与を行った。キシラジン(7.5mg/kg)およびケタミン(32mg/kg)の筋肉内注射により動物に麻酔をかけた。試験組合せおよび対照(50μl)を、適当な針(26−G針)を用いて右眼の硝子体の中央部に注射した。ベタジンで各眼を消毒した後、眼の側頭上部の縁の約3mm後方に注射した。硝子体内注射は、コンタクトレンズを用いて、注射の15〜20分前に点眼した拡張した眼(1滴のNeosynephrine(登録商標);フェニレフリン10%と1滴のMydriaticum(登録商標);トロピカミド0.5%)に手術用顕微鏡下で行った。
【0106】
血管漏出の誘発
100−μlのHamilton シリンジを用いて、総ての群の処置した眼への、500ng rhVEGF165と担体タンパク質(PBSで希釈)の1回の50μl硝子体内注射により、第5日目に網膜血管透過性の増加が誘発された(Edelman et al. ARVO meeting 2003, Fort Lauderdale, FL-USA. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2003; 44: ARVO e-abstract No. 328)。この注射は、キシラジン(7.5mg/kg)とケタミン(32mg/kg)の混合物の筋肉内注射によって麻酔した動物に顕微鏡下で行った。事前に(およそ15〜20分前に)、1滴のNeosynephrine(登録商標)と1滴のMydriaticum(登録商標)を用いて瞳孔を散大させた(上記参照)。
【0107】
血管漏出の定量
第7日目に、誘発の47時間後に、不眠動物に辺縁耳静脈からフルオレセインナトリウム(生理食塩水溶液0.9%中10%、50mg/kg)を注射した。フルオレセイン注射の1時間後に、FM-2 Fluorotron Master眼用光度計を用いて両眼において眼の蛍光の測定を行った。32mg/kgケタミン、7.5mg/kgキシラジンの筋肉内注射によりウサギに麻酔をかけ、試験の20分前に1滴のNeosynephrine(登録商標)と1滴のMydriaticum(登録商標)を用いて瞳孔を散大させた(上記参照)。角膜から網膜まで光軸に沿って一連の148ステップの走査(ステップサイズ0.25mm)を行った。
【0108】
研究の終了
評価期間終了時(第7日)に、過剰量のDolethal(登録商標)の静脈内注射によって動物を安楽死させた。
【0109】
7処置群(1群当たり8羽のウサギ)は以下のとおりであった(用量と割合を示す):
・対照、すなわちビヒクル単独
・TA 400μG(すなわち、TA 0.8%)
・TA 135μG(すなわち、TA 0.27%)
・TA 75μG(すなわち、TA 0.15%)
・CsA 15μG(すなわち、CsA 0.03%)
・TA 75μG+CsA 15μG(比率5)(すなわち、TA 0.15%/CsA 0.03%)
・TA 135μG+CsA 1.5μG(比率90)(すなわち、TA 0.27%/CsA 0.003%)
【0110】
得られた結果を次の表に要約する:
【表2】

【0111】
このようにして、本発明者らは以下をことを示した:
・トリアムシノロンアセトニドの硝子体内注射によって、VEGF誘発性網膜血管漏出の用量依存的な抑制が誘発され;400μgのTA用量において有意かつほぼ完全な保護効果が観察され;
・CsAには有意な効果はなく;
・低い治療量以下の用量(すなわち75μg&135μg)のトリアムシノロンアセトニドに、特定比率のCsA(すなわち5および90、それぞれ15μgおよび1.5μgのCsA用量に相当する)を合わせることによって、TA単独より大きな効果を示した。
【0112】
同様に、1つの別の研究では、75μgのトリアムシノロンアセトニドに、比率100のCsA(すなわち0.75μgのCsA用量に相当する)を合わせることによって、TA単独より大きな効果を示した(それぞれVEGF誘発性網膜血管漏出の44%と10%の抑制。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量の(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる、同時もしくは連続投与、または経時的交互投与のための組み合わせ物。
【請求項2】
前記抗血管形成化合物が、免疫抑制化合物である、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項3】
前記免疫抑制化合物が、カルシニュリン阻害剤およびmTOR阻害剤からなる群から選択される、請求項2に記載の組み合わせ物。
【請求項4】
前記抗血管形成化合物が、VEGFを阻害する化合物である、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項5】
前記カルシニュリン阻害剤が、シクロスポリンAである、請求項3に記載の組み合わせ物。
【請求項6】
眼科的に適合する溶媒成分をさらに含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項7】
前記抗血管形成化合物が、約10%以下の量で存在する、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項8】
前記抗血管形成化合物がシクロスポリンAであり、その濃度が約0.001%〜約0.05%間である、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項9】
前記コルチコステロイドが約0.01%〜約4%の量で存在する、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項10】
0.012%の酢酸プレドニゾロンと0.05%のシクロスポリンを含む、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項11】
患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を治療するための方法であって、該患者に、(i)少なくとも1つの抗血管形成化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項12】
患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を治療するための方法であって、該患者に、(i)少なくとも1つの、VEGF化合物を阻害する化合物と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項13】
患者において血管形成媒介性の眼科的疾患または病気を治療するための方法であって、該患者に、(i)少なくとも1つのカルシニュリン阻害剤または/およびmTOR阻害剤と(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の、血管形成を阻害、軽減、または予防するのに有効な量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項14】
患者において眼血管新生疾患を治療するための方法であって、該患者に、同時もしくは連続投与、または経時的交互投与のための治療上有効な量の(i)少なくとも1つのシクロスポリンと(ii)少なくとも1つのコルチコステロイドとを含んでなる組み合わせ物の有効量を投与する工程を含んでなる、方法。
【請求項15】
前記シクロスポリンがシクロスポリンAである、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522774(P2010−522774A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501409(P2010−501409)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002426
【国際公開番号】WO2008/119500
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(508328855)フォベア、ファルマスティカル、ソシエテ、アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】FOVEA PHARMACEUTICALS SA
【出願人】(509272241)コンビナトークス、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】COMBINATORX INCORPORATED
【Fターム(参考)】