血管新生阻害薬及び使用方法
【課題】血管新生阻害薬及び使用方法の提供。
【解決手段】本開示は概して、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を患者に投与することによって、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。本開示において用いられる化合物は、血管新生を予防し、大幅に低減する予防効果を発揮するとともに、良好な血管新生阻害活性を示す。当該化合物として、例えばリタンセリン、アミオダロン、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、及びクロミプラミンが挙げられる。
【解決手段】本開示は概して、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を患者に投与することによって、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。本開示において用いられる化合物は、血管新生を予防し、大幅に低減する予防効果を発揮するとともに、良好な血管新生阻害活性を示す。当該化合物として、例えばリタンセリン、アミオダロン、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、及びクロミプラミンが挙げられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を患者に投与することによって、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。本開示において用いられる化合物は、血管新生を予防し、大幅に低減する予防効果を発揮するとともに、良好な血管新生阻害活性を示す。当該化合物として、例えばリタンセリン、アミオダロン、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、及びクロミプラミンが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、既に存在する毛細血管から新生血管が形成されることであり、生理学的過程や病理学的過程の多くで重要な鍵となっている一連の事象である。胚発生、創傷治癒、及び月経周期などの通常の組織増殖には、新生血管形成に依存するという特徴があり、当該新生血管形成によって酸素及び栄養素が供給され、さらに老廃物が除去される。また、各種疾患の多くも、互いに関連性がないにもかかわらず、新生血管系の形成に関連がある。ある種の病状は血管新生が乏しいという症状を有するが、この場合、血管新生を高めて疾患症状を改善するのが望ましい。不十分な血管形成に伴う病状としては、例えば末梢血管及び冠動脈の虚血及び梗塞、慢性創傷治癒不全、並びに、潰瘍が挙げられる。しかしながら、多くの場合、様々な病状の特徴として重要であるのは過度の血管新生であり、該当する病状として、細胞が異常に若しくは制御不可能なまでに増殖する特徴を持つ病状やそのような増殖に関連する病状などが挙げられる。過度の血管新生に伴う病状として、例えば、癌(充実性腫瘍及び血液腫瘍の両方)、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症及び再狭窄など)、慢性炎症(リウマチ性関節炎、クローン病)、糖尿病(糖尿病性網膜症)、乾癬、子宮内膜症、血管新生緑内障、及び脂肪症が例示される。非特許文献1を参照されたい。
【0003】
概して、血管新生過程では、通常は休止している内皮細胞が増殖及び遊走し、細胞周囲マトリックスのタンパク質分解が制御されつつ行われ、さらに、毛細血管が発生して細胞外マトリックス成分が新たに合成される。細胞内及び細胞間での新たな接触が起こり、内皮細胞が毛細血管様管状ネットワークに形態分化することで、内皮細胞のその後の成熟、分枝、リモデリング、選択的退縮が起こり、高度に組織化された機能的微小血管ネットワークを形成する。血管新生を促進及び抑制することで生理的血管新生を調整するサイトカイン及び増殖因子との、さらには、周囲の間質成分との、血管内皮細胞のオートクリン、パラクリン及びアンフィクリン(amphicrine)相互作用は、通常、空間的にも時間的にも厳密に調節されている。非特許文献2を参照されたい。
【0004】
内皮細胞増殖を阻害対象とした血管新生阻害薬として、血管内皮増殖因子(「VEGF」)阻害剤が最もよく知られている。強力な血管新生増殖因子であるVEGFは、ヒトの充実性腫瘍のほとんどで、さらには、網膜関連の眼障害で過剰に発現する。VEGF受容体は、主に内皮細胞に多く存在しており、当該内皮細胞がVEGF信号を変換して、多くの病理的血管新生症状が現れる。増殖活性化した内皮細胞は、先頃FDAに認可された抗癌薬であるスニチニブ(SU11248)やソラフェニブ(BAY 43−9006)などの、VEGF受容体を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤に対しても感受性がある。VEGF阻害剤及びVEGF受容体阻害剤は、内皮細胞増殖を抑え、新生血管の増殖を防ぐことができる。VEGFの他に、線維芽細胞増殖因子(FGF)や血小板由来増殖因子(PDGF)などの多くの増殖因子もまた、内皮細胞活性化に重要な役割を果たす。近年、VEGF信号のみを標的とする血管新生阻害薬に対する耐性が新たに確認されており、この原因として、別の信号経路を介した他の増殖因子の存在が考えられる。
【0005】
血管新生は、新生物組織の増殖に不可欠である。100年以上前から、腫瘍は正常組織よりも血管に富んでいることが確認されている。幾つかの実証研究は、原発腫瘍増殖及び転移のいずれが起こる場合でも新生血管形成が必須であることを示唆している。正常な組織増殖における、十分に調整された上述の過程とは対照的に、活性腫瘍増殖に要する病理的血管新生は、通常、持続的で永続的なものであり、各種の充実性腫瘍型及び造血器腫瘍型を発現させるのと共通のメカニズムである血管新生表現型を最初に獲得する。非特許文献3を参照されたい。血管ネットワークを補充し、持続させることができない腫瘍は、通常、原位置において無症候性病変として休止状態を維持する。転移もまた血管新生に依存しており、腫瘍細胞の転移の成功には、腫瘍細胞が原発腫瘍の血管系にアクセスし、血液循環系で生存し続け、標的器官の微小血管系に捕捉され、当該血管系から出て、標的器官中で増殖し、標的部位で血管新生を誘導することが通常必要となる。従って、血管新生は、転移カスケードの終了時だけでなく開始時においても必須であるように思われる。
【0006】
このように、新生物の増殖及び転移に対して血管新生が重要な鍵となっていることから、化学療法による試みにおいて、考えられる最適な標的が検討される。適当な血管新生阻害薬を直接的又は間接的に作用させて、発症を遅らせたり(即ち、「血管新生スイッチ」をブロックする)、又は、多くの腫瘍型の特徴である持続的で限局性の新生血管形成を妨げたりして、腫瘍関連の血管新生に影響を及ぼすことも可能である。腫瘍関連の内皮細胞を、また、持続的な病理的血管新生に関与する多数の分子的及び細胞的な過程及び標的を阻害対象とした血管新生阻害治療に関して、その安全性及び効能の評価が多数の臨床試験において盛んに行われているところである。非特許文献4を参照されたい。しかしながら、安全及び/又は有効な血管新生阻害薬の発見及び/又は同定に関して、これまでに得られた成果は限られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Griffioen&Molema,Angiogenesis:Potentials for Pharmacologic Intervention in the Treatment of Cancer,Cardiovascular Diseases,and Chronic Inflammation,PHARMACOL.REV.52,237−268(2000)
【非特許文献2】Gasparini,The Rationale and Future Potential of Angiogenesis Inhibitors in Neoplasia,DRUGS,58(1):17−38(1999)
【非特許文献3】Folkman,J.,CANCER MEDICINE,132−152(5th Ed.,B.C.Decker Inc.)(2000)
【非特許文献4】Deplanque&Harris,Anti−angiogenic Agents:Clinical Trial Design and Therapies in Development,EUR.J.CANCER,36:1713−1724(2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は概して、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。
【0009】
一実施形態では、式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0010】
【化1】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【0011】
【化2】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
別の態様において、Alkは1,2−エタンジイル基である。
【0012】
一実施形態では、式(I)の化合物はリタンセリンである。
【0013】
別の実施形態では、式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0014】
【化3】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジ
ノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
別の態様において、Y及びY1は同一であり、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素から選択される。
【0015】
一実施形態では、式(II)の化合物はアミオダロンである。
【0016】
別の実施形態では、式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0017】
【化4】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の正の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【0018】
一実施形態では、式(III)の化合物はテルフェナジンである。
【0019】
別の実施形態では、式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0020】
【化5】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0021】
別の実施形態では、式(IV−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0022】
【化6】
[式中、
Xは、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0023】
一実施形態では、式(IV)又は式(IV−a)の化合物は、ペルフェナジンである。
【0024】
別の実施形態では、式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0025】
【化7】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0026】
また、式(V−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法も提供される。
【0027】
【化8】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0028】
一実施形態では、式(V)又は式(V−a)の化合物は、ビチオノールである。
【0029】
別の実施形態では、式(VI)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0030】
【化9】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ(pyrrolidinio)、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【0031】
一実施形態では、式(VI)の化合物はクロミプラミンである。
【0032】
本開示の化合物を用いて血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を阻害する方法もまた提供される。別の実施形態は、本開示の化合物を用いて血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関し、上記疾患又は障害として、例えば腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、リタンセリンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図2】図2は、リタンセリンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群(control)と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図3】図3は、リタンセリンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図4】図4は、リタンセリンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図5】図5は、リタンセリンを使用したインビボ・マウスマトリゲルプラグアッセイの微小血管密度の結果を表示する。
【図6】図6は、リタンセリンを使用した異種移植マウスモデルアッセイの結果を示し、腫瘍体積の経時的変化を表示する。
【図7】図7は、アミオダロン塩酸塩を使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図8】図8は、アミオダロン塩酸塩を使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図9】図9は、アミオダロン塩酸塩を使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図10】図10は、アミオダロンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図11】図11は、テルフェナジンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図12】図12は、テルフェナジンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図13】図13は、テルフェナジンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図14】図14は、テルフェナジンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図15】図15は、ペルフェナジンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図16】図16は、ペルフェナジンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図17】図17は、ペルフェナジンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図18】図18は、ビチオノールを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図19】図19は、ビチオノールを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図20】図20は、ビチオノールを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図21】図21は、ビチオノールを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図22】図22は、クロミプラミンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図23】図23は、クロミプラミンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図24】図24は、クロミプラミンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図25】図25は、クロミプラミンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は概して、血管新生に関連する疾患を、その治療又は予防を必要とする患者において、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を上記患者に投与することによって治療又は予防することに関する。
【0035】
上記及び本開示中で用いられる際、下記用語は、特に断りがない限り、以下の意味であると解されたい。
【0036】
「アルキル(基)」とは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、かつ、分子鎖中に1〜約10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、並びに、その範囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。「分枝鎖」とは、低級アルキル基(メチル、エチル、又はプロピルなど)が直鎖アルキル鎖に結合しているアルキル基をいう。ある実施形態において、アルキル基は、C1−C4アルキル基、即ち、1〜約4個の炭素を有する分枝鎖又は直鎖のアルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、C1−C3アルキル基、即ち、1〜約3個の炭素を有する分枝鎖又は直鎖のアルキル基である。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられる。
【0037】
「アリール(基)」とは、約6〜約10個の炭素を含む芳香族炭素環基、並びに、その範
囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。アリール基は、所望により、1つ又は2つ以上の置換基で置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニルなどの単環基、及び、ナフチルなどの二環基が挙げられる。
【0038】
「ヘテロアリール(基)」とは、約4〜約10員環の芳香族炭素環基、並びに、その範囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。環構成員の1つ以上が炭素とは別の元素、例えば窒素、酸素、又は硫黄である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジルなどの単環基、及び、インドリルなどの二環基が挙げられる。
【0039】
「アリールアルキル(基)」とは、アリール基で置換されたアルキルをいう。例えば「C1−C4アリールアルキル基」では、C1−C4アルキル基がアリール基で置換されている。
【0040】
「ヘテロアリールアルキル(基)」とは、ヘテロアリール基で置換されたアルキルをいう。例えば「C1−C4ヘテロアリールアルキル基」では、C1−C4アルキル基がヘテロアリール基で置換されている。
【0041】
単独で又はより大きな部分の一部として用いられる「シクロアルキル(基)」という用語には、完全に飽和している、又は、1つ以上の不飽和単位を含んでいるが芳香族ではないC3−C10環状炭化水素が含まれる。環状脂肪族基は、典型的にはC3−C10、より典型的にはC3−C7である。
【0042】
単独で、又は、「ヘテロシクロアルキル」中など、より大きな部分の一部として用いられる「非芳香族複素環」という用語は、通常は5〜14員環、好ましくは5〜10員環の非芳香族環系であって、1個以上の環炭素、好ましくは1〜4個の環炭素がそれぞれ、N、O、又はS等のヘテロ原子に置き換わっているものをいう。
【0043】
「有効(な)量」とは、本明細書中に記載されるような化合物の、血管新生に関連する疾患又は障害の治療に治療上有効であり得る量をいう。上記化合物の正確な用量は、化合物の種類又は用いられた化合物、治療対象の年齢や健康状態、症状の性質や重症度によって異なる。しかしながら、有効量は、当業者であれば慣例の実験を行うだけで決定できるであろう。
【0044】
「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織との接触に適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は、他の厄介な問題がなく、妥当な利益/リスク比に相応した化合物、材料、組成物、及び/又は、投与形態をいう。
【0045】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示化合物の誘導体であって、親化合物を酸塩又は塩基塩として修飾したものをいう。本開示の化合物は、様々な有機酸や無機酸及び有機塩基や無機塩基が付加した種々の酸付加塩及び塩基付加塩を形成し、例として薬化学で頻繁に使用される生理学的に許容される塩が挙げられる。このような塩もまた、本開示の一部である。当該塩の形成に使用される無機酸として、通常、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、及び次リン酸などが挙げられる。また、脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸(alkonic acids)、ヒドロキシアルカン酸、及びヒドロキシアルカン二酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸などの有機酸由来の塩を使用してもよい。よって、上記薬学的に許容される塩としては、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、ブチン−1,4−ジ
オエート、ヘキシン−1,4−ジオエート、カプリン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩(モノハイドロジェンホスフェート)、二水素リン酸塩(ジハイドロジェンホスフェート)、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩などが挙げられる。
【0046】
塩の形成に使用される一般的な塩基としては、水酸化アンモニウム、並びに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、さらには、脂肪族1級、2級、及び3級アミン、脂肪族ジアミンが挙げられる。付加塩の調製に特に有用な塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミン、及びエチレンジアミンが例示される。
【0047】
「患者」とは、哺乳動物を含む動物であり、ヒトであることが好ましい。
【0048】
「代謝物」とは、同化過程や異化過程などといった生体内での増殖及び修復の過程に伴う化学的変化によって生じる任意の物質をいう。
【0049】
「プロドラッグ」とは、医学的効果を有する活性型に体内で変換される化合物である。全身的に投与するには活性薬剤の毒性が強過ぎる場合、消化管による活性薬剤の吸収が乏しい場合、又は、活性薬剤が標的に到達する前に体内で分解されてしまう場合に、プロドラッグは有用であり得る。プロドラッグの調製方法は、文献:Hans Bundgaard,DESIGN OF PRODRUGS(Elsevier Science Publishers B.V.1985)に開示されており、当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0050】
「溶媒和物」とは、溶媒と溶質との相互作用により形成された化合物をいい、例えば水和物が挙げられる。溶媒和物は、通常、化学量論的割合又は不定比の割合のいずれかで結晶構造中に溶媒分子を含む、結晶性の固体付加物である。
【0051】
本明細書中、「含む(comprising)」という用語(及びその文法上の活用形)は、「有する(having)」又は「包含する(including)」という包括的な意味で用いられ、「のみから成る(consisting only of)」という限定的な意味では用いられてはいない。本明細書中、「本質的に・・・から成る(consisting essentially of)」という用語は、明示的に記載されている事柄に加えて、記載又は特定された事柄の基本的特徴及び新規な特徴に対して実質的に(materially)影響を与えないものをも含むことを意味するものである。
【0052】
本明細書中、「1つの(a,an)」(不定冠詞)及び「その(the)」(定冠詞)という用語は、明細書中で特に明記されない限り、単数と共に複数をも包含すると解される。
【0053】
本開示のある種の酸性化合物又は塩基性化合物は、双性イオンとして存在していてもよい。遊離酸、遊離塩基及び双性イオンを含む化合物の全ての形態が本開示の範囲内に含まれ
ると意図している。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲に記載される化学式において、任意の記号が特定の化学式又は置換基において二度以上登場する際には、それぞれの場合の意味は他のものに対して独立していると意図している。
【0055】
一実施形態では、式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0056】
【化10】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【0057】
【化11】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
別の態様において、Alkは1,2−エタンジイル基である。
【0058】
一実施形態では、式(I)の化合物はリタンセリンである。
【0059】
式(I)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Kennisらの米国特許第4,533,665号明細書、及び、Kennisらの米国特許第4,485,107号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0060】
別の実施形態では、式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0061】
【化12】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
別の態様において、Y及びY1は同一であり、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素から選択される。
【0062】
ある実施形態では、NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、及びモルホリノからなる群より選択され;Y及びY1は、同一又は異なっており、水素、ヨウ素、及び臭素からなる群より選択される。
【0063】
一実施形態では、式(II)の化合物はアミオダロンである。
【0064】
式(II)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Tondeurらの米国特許第3,248,401号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0065】
別の実施形態では、式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0066】
【化13】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【0067】
一実施形態では、式(III)の化合物はテルフェナジンである。
【0068】
式(III)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Carrらの米国特許第3,878,217号明細書、及び、Carrらの米国特許第4,254,129号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0069】
別の実施形態では、式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0070】
【化14】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0071】
式(IV)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Choisy−le−Roiの米国特許第2,645,640号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0072】
別の実施形態では、式(IV−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0073】
【化15】
[式中、
Xは、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0074】
一実施形態では、式(IV)又は式(IV−a)の化合物は、ペルフェナジンである。
【0075】
式(IV−a)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Sherlockらの米国特許第2,860,138号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0076】
別の実施形態では、式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0077】
【化16】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nは、0〜5の整数である]
【0078】
一実施形態では、式(V)又は式(V−a)の化合物は、ビチオノールである。
【0079】
また、式(V−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法も提供される。
【0080】
【化17】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0081】
式(V)及び式(V−a)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Baselらの米国特許第3,506,720号明細書、及び、Cooperらの米国特許第2,849,494号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0082】
別の実施形態では、式(VI)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0083】
【化18】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【0084】
一実施形態では、式(VI)の化合物はクロミプラミンである。
【0085】
式(VI)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Riehenらの米国特許第3,467,650号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0086】
別の実施形態では、リタンセリン、アミオダロン塩酸塩、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、ビチオノールスルホキシド、クロミプラミン塩酸塩、フェキソフェナジン、及び、それらを組み合わせたものから選択される化合物を用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0087】
本開示の化合物を用いて血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を阻害する方法もまた提供される。別の実施形態は、本開示の化合物を用いて血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関し、上記疾患又は障害として、例えば腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症が挙げられる。
【0088】
ある実施形態では、本開示は、血管新生を阻害する方法、及び/又は、腫瘍の増殖若しくは転移を阻害する方法に関する。本明細書中、「阻害する」という用語は、本明細書中で説明されるような化合物を摂取した患者において、腫瘍の増殖若しくは転移の量、及び/又は、血管新生の発生が、当該化合物を摂取しなかった患者と比較して好ましく低減され得ることを意味する。従ってある形態では、本開示の阻害方法は、血管新生阻害薬を有効量で患者に投与することを含む。本明細書中、「血管新生阻害薬」という用語は、血管新生を阻害し得る化合物をいう。
【0089】
別の実施形態では、本開示は、血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関する。当該方法には、本明細書中に記載される治療法により利益を得ると考えられる患者などの上記疾患を有する患者を同定するステップが含まれてもよい。血管新生に関連する疾患又は障害として、例えば、血管新生が症状の病状又は進行に関与している症状が挙げられ、従って、当該症状を有する患者の血管新生を阻害することで、当該症状のさらなる進行が遅れるか又は防がれ、あるいは、疾患状態が寛解又は退縮に向かう。当該症状は、多くの場合、異常細胞増殖という特徴を有するか、又は、異常細胞増殖と関連しており、一例
として腫瘍性疾患が挙げられる。本明細書中、「疾患又は障害の治療」という用語は、患者の症状の程度、進行及び/又は重症度を、本開示に係る治療を受けなかった患者に比べて抑えることを目的とした薬剤の投与をいう。本明細書中、「腫瘍性疾患」という用語は、異常細胞又は異常組織の異常増殖がみられるという特徴を有する任意の症状をいい、例として、以下に限定されないが、良性又は悪性を問わず、全ての癌や腫瘍が包含される。「腫瘍性疾患の治療」とは、患者に存在する任意の新生物組織のさらなる増殖若しくは転移の阻害、並びに/又は、上記新生物の退縮の促進、例えば、上記新生物のサイズ及び/若しくは数の低減、並びに/又は、新生物細胞の細胞死の誘導など、を行う化学療法薬の投与をいう。
【0090】
各種の窒素官能基(アミノ、ヒドロキシアミノ、アミド等)を有する化合物のプロドラッグ形態としては、以下に示すような種類の誘導体が挙げられる。
(a)カルボキサミド:−NHC(O)R
(b)カルバメート:−NHC(O)OR
(c)(アシルオキシ)アルキルカルバメート:NHC(O)OROC(O)R
(d)エナミン:−NHCR(=CHCO2R)又は−NHCR(=CHCONR2)
(e)シッフ塩基:−N=CR2
(f)マンニッヒ塩基(カルボキシイミド化合物由来):RCONHCH2NR2
上記式中、R基はそれぞれ独立して、上記で定義されるような、水素、置換又は非置換のアルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環、アルキルアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、又は、シクロアルケニル基であってもよい。
【0091】
このようなプロドラッグ誘導体の調製については、各種文献で考察されている(例えば、AlexanderらによるJ.Med.Chem.1988,31,318;Aligas−MartinらによるPCT WO pp/41531のp.30)。本発明の化合物の窒素原子のうちの1つ(又は1つ以上)は、これらの誘導体の調製において変換される窒素官能基である。
【0092】
本発明の、カルボキシル含有化合物のプロドラッグ形態はエステル(−CO2R)を含む。上記式中、R基は、酵素又は加水分解プロセスによって薬学的に許容される程度に体内で放出される任意のアルコールに相当する。本発明のカルボン酸形態に由来する別のプロドラッグは、BodorらによるJ.Med.Chem.,1980,23,469に記載されている構造からなる以下のような第四級塩型であってもよい。
【0093】
【化19】
【0094】
言うまでもなく、本発明の化合物は、分子中の考え得る各種原子におけるあらゆる光学異性体及び立体異性体に関するものであると解されたい。
【0095】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機酸又は有機酸由来のものが挙げられる。好ましい酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び、ベンゼン
スルホン酸が挙げられる。適当な塩基に由来する塩として、ナトリウム及びアンモニア等のアルカリ類が挙げられる。
【0096】
本開示を一度知得した当業者であれば、過度な実験を強いられることなく、本発明の化合物を合成可能である。その手順は、必要な糖類又はヌクレオシド類の調製に関する適した化学文献から入手できる。このようなものとして、以下の文献を参照されたい。Choi,Jong−Ryoo;Kim,Jeong−Min;Roh,Kee−Yoon;Cho,Dong−Gyu;Kim,Jae−Hong;Hwang,Jae−Taeg;Cho,Woo−Young;Jang,Hyun−Sook;Lee,Chang−Ho;Choi,Tae−Saeng;Kim,Chung−Mi;Kim,Yong−Zu;Kim,Tae−Kyun;Cho,Seung−Joo;Kim,Gyoung−Won PCT Int.Appl.(2002),100pp.WO 0257288 A1 20020725。Holy,Antonin;Votruba,Ivan;Tloustova,Eva;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(10),1545−1592。Rejman,Dominik;Masojidkova,Milena;De Clercq,Eric;Rosenberg,Ivan Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids(2001),20(8),1497−1522;Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi PCT Int.Appl.(2001),39pp WO 0164693 A1 20010907。Otmar,Miroslav;Masojfdkova,Milena;Votruba,Ivan;Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(3),500−506。Michal;Hocek,Michal;Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2000),65(8),1357−1373。Jeffery,A.L.;Kim,J.−H.;Wiemer,D.F. Tetrahedron(2000),56(29),5077−5083。Holy,Antonin;Guenter,Jaroslav;Dvorakova,Hana;Masojidkova,Milena;Andrei,Graciela;Snoeck,Robert;Balzarini,Jan;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1999),42(12),2064−2086。Janeba,Zlatko;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(9),1393−1406。Holy,Antonin;Guenter,Jaroslav;Dvorakova,Hana;Masojidkova,Milena;Andrei,Graciela;Snoeck,Robert;Balzarini,Jan;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1999),42(12),2064−2086。Dang,Qun;Erion,Mark D.;Reddy,M.Rami;Robinsion,Edward D.;Kasibhatla,Srinivas Rao;Reddy,K.Raja. PCT Int.Appl.(1998),126pp WO 9839344 A1 19980911。Arimilli,Murty N.;Cundy,Kenneth C.;Dougherty,Joseph P.;Kim,Choung U.;Oliyai,Reza;Stella,Valentino J. PCT Int.Appl.(1998),74pp WO 9804569。Sekiya,Kouichi;Takashima,Hideaki;Ueda,Naoko;Kamiya,Naohiro;Yuasa,Satoshi;Fujimura,Yoshiyuki;Ubasawa,Masaru
Journal of Medicinal Chemistry(2002),45(14),3138−3142。Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi;Takashima,Hideaki;Ueda,Naoko;Yuasa,Satoshi;Kamiya,Naohiro. Eur.Pat.Appl.(1997),56pp EP 785208 A1 19970723。Hocek,Michal;Masojidkova,Milena;Holy,Antonin,Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1997),62(1),136−146。Holy,Antonin;Votruba,Ivan;Tloustova,Eva;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(10),1545−1592。Holy,Antonin;De Clercq,Erik Desire Alice. PCT Int.Appl.(1996),57pp.WO 9633200 A1
19961024。Rejman,Dominik;Rosenberg,Ivan.
Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1996),61(Spec.Issue),S122−S123。Holy,Antonin;Dvorakova,Hana;Jindrich,Jindrich;Masojidkova,Milena;Budesinsky,Milos;Balzarini,Jan;Andrei,Graciella;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1996),39(20),4073−4088。Guanti,Giuseppe;Merlo,Valeria;Narisano,Enrica. Tetrahedron(1995),51(35),9737−46。Takashima,Hideaki;Inoue,Naoko;Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi;Yabuuchi,Shingo Eur.Pat.Appl.(1995),88pp.EP 632048 A1 19950104。Alexander,Petr;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena,Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1994),59(8),1853−69。Alexander,Petr;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena;Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1994),59(8),1853−69。Jindrich,Jindrich;Holy,Antonin;Dvorakova,Hana. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1993),58(7),1645−67。Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1993),58(3),649−74。Guanti,Giuseppe;Merlo,Valeria;Narisano,Enrica;Tetrahedron(1995),51(35),9737−46。Emishetti,Purushotham;Brodfuehrer,Paul R.;Howell,Henry
G.;Sapino,Chester,Jr. PCT Int.Appl.(1992),43pp.WO 9202511 A1 19920220。Glazier,Arnold. PCT Int.Appl.(1991),131pp.WO 9119721。Kim,Choung Un;Luh,Bing Yu;Misco,Peter F.;Bronson,Joanne J.;Hitchcock,Michael
J.M.;Ghazzouli,Ismail;Martin,John C Journal of Medicinal Chemistry(1990),33(4),1207−13。Rosenberg,Ivan;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1988),53(11B)
,2753−77。Rosenberg,Ivan;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1988),53(11B),2753−77。
【0097】
以下の実施例によって本開示の態様を例示及び説明するが、これらに限定されない。実施例は、限られた実施形態を示して説明するのみであるが、本開示の教示、及び/又は、関連技術分野の技術若しくは知識に相応する範囲において、様々な他の組み合わせ例、変形例及び環境のもとで本開示を用いることができ、本明細書に示した概念の範囲内であれば変更又は改変も可能であると解されるべきである。
【実施例1】
【0098】
細胞増殖アッセイ
ヒト初代培養細胞系、動脈内皮細胞(HAECやHPAEC等)、静脈内皮細胞HUVEC(Cambrex BioScience Rockland Inc.から入手)、及び、肺線維芽細胞LL47(American Type Culture Collectionから入手)を使用説明書に従って培養し、それらを使用して、CellTiter−Glo Lunminescent Cell viability Assayにより、ヒト内皮細胞及び線維芽細胞それぞれに対する各目的化合物の特異的な活性を、当該各細胞を比較しつつ評価する。発光シグナルの生成を利用する当該アッセイは、細胞培養中のATP濃度の定量化に基づいている。細胞培養中のATP生成量は生存細胞の数を反映している。故に、当該アッセイは、試験化合物の細胞増殖効果及び細胞毒性効果を評価するのに用いられることが多い。96ウェルプレートに増殖培地を加え、細胞を約5×103細胞/ウェルになるように播種する。24時間後、各種投与量の目的化合物を培地に添加し、各投与量につき同じものを4サンプル作製する。72時間処理した後、CellTiter−Glo試薬をメーカーの使用説明書に従って培地に添加し、発光を測定する。対照群にはDMSOビヒクルのみを与える。増殖培地中の内皮細胞及び線維芽細胞の増殖に対する目的化合物のIC50を用量反応曲線に基づいて求め、濃度に対してプロットする。
【実施例2】
【0099】
内皮細胞遊走アッセイ
内皮細胞遊走は血管新生過程の鍵となるステップであり、新たにその場で血管形成を行う上で極めて重要である。Biocoat Endothelial Cell Migration Angiogenesis System(BD Biosciences)のトランス−ウェル・フィルター/インサーツ・チャンバー(trans−well filter/inserts chamber)を内皮細胞遊走アッセイに使用する。当該チャンバーは、ヒト・フィブロネクチンでコーティングした孔径3μmのインサートを有する24−トランスウェル・チャンバー・プレートである。内皮細胞基礎培地を含ませた0.1%ウシ血清アルブミンをインサートに加え、37℃で1時間培養する。内皮細胞(HUVEC)を内皮細胞基礎培地中の0.1%ウシ血清アルブミンと共に4〜5時間培養して飢餓状態とし、細胞を採取した後、内皮細胞基礎培地中の0.1%ウシ血清アルブミン100μlに含ませた各種処理剤を添加したトランスウェルプレートの上部チャンバーに播種(1×105/ウェル)する。各種の化学誘引物質を含む完全増殖培地を下部チャンバーに添加する。細胞を22±1時間37℃で遊走させる。インサート内部の未遊走細胞をQチップで慎重に取り除く。次に、トランスウェルインサートの下部に遊走してきた細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト33342で染色し、蛍光顕微鏡撮影を行う。各フィルター/インサートの3つの顕微鏡視野について、遊走した細胞の数を分析する。各試験濃度群及び対照群においてはフィルター/インサート・チャンバー培養を3連で行う。10倍率の顕微鏡視野当たりの遊走した細胞の平均数をデータとして
示し、さらに、用量曲線を基にIC50を計算する。
【実施例3】
【0100】
内皮管形成アッセイ
ヒト内皮細胞を細胞外マトリックスでインビトロ培養すると、当該細胞外マトリックスによって内皮細胞の付着及び分化が促進され、細管が形成する。内皮管形成アッセイはこの現象に基づく。細胞外マトリックスでコーティングした96ウェルプレートに内皮細胞(HUVEC)を播種(1.5×104/ウェル)し、目的化合物を完全増殖培地を用いて各種濃度とし、それぞれにつき同じものを3サンプル作製して、各目的化合物による処理を行う。細胞を37℃で約18時間処理して、内皮管を形成させ、倒立光学顕微鏡撮影を行う。画像解析ソフトウェアのImage−Pro Plus(メリーランド州、Siler Spring、Media Cybernetics,Inc.)を用いて細管長を測定する。各ウェル、及び、各処理条件の3連ウェルについて3つの視野での平均管長をデータとして示す。用量曲線を基にIC50値を計算する。
【実施例4】
【0101】
鶏胚漿尿膜(CAM)アッセイ
鶏胚漿尿膜により、血管新生の生理学的過程の理想的なインビボモデルが得られる。鶏胚漿尿膜の上に配置したメチルセルロースディスクに血管新生調節剤を塗布することで、新生血管系の発現を変化させることが可能である。文献:Staton et al,Current Methods for Assaying Angiogenesis in vitro and in vivo,INT.J.EXP.PATHOL.,85:233−48(2004)を参照されたい。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。血管新生漿尿膜アッセイを用いて、各合成化合物の血管新生阻害能をエキソビボで評価する。強制的に空気を循環させる加湿機能付き孵卵器で受精鶏卵を37.5℃で培養する。胚発生3日目に、卵を割り、100mm3のペトリプレートに胚を移し、細胞培養インキュベーター中、37.5℃で卵の発生を継続する。予め作製した約2mm径のメチルセルロースディスクを、胚発生5日目の胚漿尿膜の上に静かに植え付けた後、試験化合物の溶液又は対照ビヒクルをメチルセルロースディスクの上に塗布する。胚を細胞培養インキュベーター中でさらに2日間培養する。胚発生7日目に、この漿尿膜を検査し、新生血管形成を定量分析する。生存鶏胚の各CAMの血管密度指数(VDI)を求めて、血管新生に対する処理効果を評価する。VDIは、メチルセルロースディスクで覆われた部分において3つの等距離同心円中に見られる血管の交差数であり、Image Pro
Plusソフトウェアを使用して求めたものである。各処理群(N≧5)の定量分析に基づく平均VDIを標準偏差と共にデータとして示す。
【実施例5】
【0102】
マウスにおけるマトリゲルプラグアッセイ
マトリゲルプラグアッセイは、インビボの新生血管形成アッセイであり、合成化合物及び組み換えタンパク質の血管新生阻害活性の評価に広く用いられている。約8〜10週齢の雌のC57BL/6マウスと高濃度マトリゲルマトリックスとをマトリゲルプラグ実験に使用する。各処理群に4匹又は5匹のマウスを割り当て、各マウスに対しマトリゲルプラグを2つとする。50ng/mlのVEGF、50ng/mlのFGFb、及び、3ng/mlのヘパリンを血管新生促進剤としてマトリゲルに混合する。各種投与量の目的化合物をマトリゲルに混合するか、又は、腹腔内投与、静脈内投与、若しくは経口投与する。4℃のマトリゲルを、1プラグ当たり500μlのマトリゲルを使用して、マウスの両側の剃毛部に皮下注射する。注射したマトリゲルはすぐに単一の固形ゲルプラグを形成する。マトリゲルを接種してから約2週間後に各群のプラグを採取する。CO2を吸入させて各マウスを安楽死させ、マウスの皮膚を剥いで、プラグを露出させる。無傷のプラグを取り出して、10%ホルマリンで固定し、組織学的に分析する。パラフィン包埋したプラグ
の各切片(厚さ:5μm)をCD31に特異的な抗体で免疫染色し、H&Eで対比染色する。各マトリゲルプラグの全断面内に見られるCD31陽性微小血管をカウントする。各マウス群において、約6つのマトリゲルプラグを定量分析し、微小血管密度に関して、対照群と化合物処理群との間に何らかの統計学的有意差がみられるかどうかを評価する。
【実施例6】
【0103】
異種移植ヌードマウスモデルにより評価した化合物の抗腫瘍効能
腫瘍増殖は血管新生に依存する。腫瘍血管新生の阻害は、癌に対する有効な治療法となっている。標準的な異種移植ヌードマウスモデルを使用して、考えられる血管新生阻害薬の抗腫瘍活性を評価する。ヒト腫瘍細胞又はその断片を5〜7週齢ヌードマウスに移植する。目的化合物を各マウス群に腹腔内投与、静脈内投与、又は経口投与する。腫瘍サイズ及びマウス体重を週に2回確認する。標準偏差と共に各時点での平均腫瘍体積を、異種移植片接種後の経過日数である腫瘍増殖時間に対して示す。
【0104】
上記実施例中に記載したような手順によって、各図及び下記表Iに示されるデータを得た。
【0105】
【表1】
【0106】
剤形
本開示の化合物は、医薬品と共に使用することが可能な任意の従来手段によって投与することができ、単一の治療剤としてもよく、又は、治療剤を組み合わせてもよい。本開示の化合物は単独で投与してもよいが、一般的には医薬基剤と共に投与する。当該医薬基剤は、選択された投与経路と医薬分野の標準的な慣行とに基づいて選択される。上記化合物はまた、インターフェロン(IFN)、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、コンセンサス・インターフェロン(CIFN)、リバビリン、アマンタジン、リマンタジン、インターロイキン−12、ウルソデオキシコール酸(UDCA)及びグリシリジン等の他の治療剤と共に投与してもよい。
【0107】
本明細書で説明する薬学的に許容される基剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤又は希釈剤などは、当業者に周知である。一般的に、薬学的に許容される基剤は活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下において有害な副作用又は毒性を持つこと
はない。薬学的に許容される基剤としては、ポリマー及びポリマーマトリックスが挙げられる。
【0108】
本開示の化合物は、医薬品と共に使用することが可能な任意の従来手段によって投与することができ、単一の治療剤としてもよく、又は、治療剤を組み合わせてもよい。
【0109】
投与量は当然ながら、薬剤の種類及びその投与の形態や経路といった薬力学的特徴;受容者の年齢、健康状態及び体重;症状の性質及び程度;併用療法の種類;治療頻度;並びに、所望の効果などの既知の要因に応じて異なるであろう。有効成分の1日当たりの投与量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であると予想され、好ましくは0.1〜約60mg/kgである。
【0110】
投与形態(投与に適した組成物)には、1単位当たり約1mg〜約500mgの有効成分が含まれている。これらの医薬組成物には、通常、当該組成物の全重量に基づいて約0.5〜95重量%の量の有効成分が含まれるであろう。
【0111】
有効成分は、カプセル、錠剤及び散剤などの固形剤として経口投与してもよく、あるいは、エリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤などの液剤として経口投与してもよい。また、無菌液の投与形態で非経口投与してもよい。有効成分は、鼻腔内に投与してもよく(点鼻薬)、あるいは、薬剤パウダーミストの吸入によって投与してもよい。パッチ型や軟膏による経皮投与などの他の投与形態も可能な場合がある。
【0112】
経口投与に適した剤形は、(a)水、塩水、又はオレンジジュース等の希釈液に有効量の化合物を溶解させたような液状溶液、(b)所望量の有効成分を含有している、固形物又は顆粒としてのカプセル、サシェ剤、錠剤、薬用ドロップ(lozenges)及びトローチ剤、(c)散剤、(d)適当な液体との懸濁剤、及び、(e)好適な乳剤であってもよい。液剤の場合、水、並びに、例えばエタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン及びポリエチレンアルコール等のアルコール類などといった希釈剤が含まれてもよく、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤が添加されていても、いなくてもよい。カプセル形態の場合、界面活性剤、滑沢剤、並びに、例えばラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチ等の不活性充填剤などを含有している通常のハードシェルゼラチン型又はソフトシェルゼラチン型であってもよい。錠剤の場合、以下のものを1つ以上含んでいてもよい:ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアーガム、コロイド二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及びその他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存料、フレーバー付与剤、及び、薬理学的に適合した基剤。薬用ドロップ形態の場合、一般的にはスクロース、アラビアゴム又はトラガカントゴム等であるフレーバー中に有効成分を含んでいてもよい。香錠(pastilles)の場合も同様に、ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム(acadia)等といった不活性なベース中に有効成分を含んでいてもよく、乳剤及びゲル剤の場合も、有効成分に加えて当該技術分野で公知であるような基剤を含有していてもよい。
【0113】
本開示の化合物は、単独で、又は、他の好適な成分と組み合わせて、吸入投与用のエアロゾル剤形に調剤されてもよい。このエアロゾル剤形は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素などの許容される高圧噴射剤としてもよい。また、このエアロゾル剤形は、ネブライザー又はアトマイザー等といった非加圧製剤用の医薬品に調剤されてもよい。
【0114】
非経口投与に適した剤形としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象受容
者の血液と等張にする溶質を含んでいてもよい、水性及び非水性の等張無菌注射液;並びに、懸濁化剤、溶解剤、増粘剤、安定剤、及び保存料を含んでいてもよい、水性及び非水性無菌懸濁液が挙げられる。化合物は、医薬基剤中の生理学的に許容される希釈剤に含ませて投与してもよい。この生理学的に許容される希釈剤は、例えば無菌の液体又は液体混合物であり、水;塩水;デキストロース水溶液及び関連する糖液;エタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール等のアルコール;プロピレングリコール、又は、例えばポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコールなどといったグリコール類;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等のグリセロールケタル類;エーテル;オイル;脂肪酸;脂肪酸エステル又はグリセリド;あるいは、アセチル化脂肪酸グリセリドが挙げられる。これらには、薬学的に許容される界面活性剤(石鹸又は洗浄剤など)、懸濁化剤(ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等)、又は乳化剤、及び、他の医薬アジュバントが添加されていても、いなくてもよい。
【0115】
非経口剤形で使用されるオイルとしては、石油、動物油、植物油、又は合成油が挙げられる。オイルの具体例としては、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ペトロラタム、及び鉱物油が挙げられる。非経口剤形に使用される好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。好適な脂肪酸エステルの例としては、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。非経口剤形に使用される好適な石鹸としては、脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸アンモニウム塩、及び脂肪酸トリエタノールアミン塩が挙げられる。好適な洗浄剤としては、(a)例えばハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム及びハロゲン化アルキルピリジニウム等のカチオン性洗浄剤、(b)例えばアルキル、アリール及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドスルフェート、並びに、スルホサクシネート等のアニオン性洗浄剤、(c)例えば脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレン・ポリプロピレン共重合体などの非イオン性洗浄剤、(d)例えばアルキルβ−アミノプロピオネート、及び2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩などの両性洗浄剤、さらに(e)これらの混合物が挙げられる。
【0116】
非経口剤形は、一般的に約0.5〜約25重量%の有効成分を溶液中に含有している。このような剤形には、適当な保存料及び緩衝剤を使用してもよい。注射箇所への刺激を最小限に抑えるか又は除くために、このような組成物には、親水親油バランス(HLB)が約12〜約17である非イオン性界面活性剤を1つ以上含有させてもよい。このような剤形における界面活性剤の量は、約5〜約15重量%である。好適な界面活性剤としては、モノオレイン酸ソルビタンなどのポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、並びに、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される疎水性基部(ベース)とのエチレンオキシドの高分子量付加物が挙げられる。
【0117】
薬学的に許容される賦形剤もまた、当業者には周知である。賦形剤は、化合物の種類や組成物の投与に使用される具体的な方法も幾分考慮して選択されるであろう。従って、本開示の医薬組成物には、好適な剤形が多数考えられる。以下の方法及び賦形剤は単なる例示に過ぎず、これらに限定されない。薬学的に許容される賦形剤としては、有効成分の作用を阻害せず、不都合な副作用を引き起こさないものが好ましい。好適な基剤及び賦形剤としては、水、アルコール及びプロピレングリコール等の溶媒、固体の吸収剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、錠剤結合剤(tableting binders)、滑沢剤、フレーバー、並びに、着色剤が挙げられる。
【0118】
剤形は、単回投与用又は反復投与用の密封容器(アンプル及びバイアル等)に封入してもよい。また、使用直前に水などの無菌液体賦形剤を添加するだけで注射可能となるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。無菌粉末、顆粒及び錠剤から、用時調製注
射液及び懸濁液を調製してもよい。注射用組成物には有効な医薬基剤が必要であることは、当業者に周知である(5,6)。文献:Banker and Chalmers PHARMACEUTICS AND PHARMACY PRACTICE,238−250(J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,PA Eds.1982)、及び、Toissel,ASHP HANDBOOK ON INJECTABLE DRUGS,622−630(4th ed.1986)を参照されたい。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0119】
局所投与に適した剤形としては、一般的にはスクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムであるフレーバー中に有効成分を含んでいる薬用ドロップ;ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム等といった不活性なベース中に有効成分を含んでいる香錠;並びに、好適な液体基剤中に有効成分を含んでいる口内洗浄剤;さらに、有効成分に加えて当該技術分野で公知であるような基剤を含有しているクリーム、乳剤及びゲル剤が挙げられる。
【0120】
さらに、直腸投与に適した剤形を、乳化性のベース又は水溶性のベースなどといった種々のベースと混合することで坐薬として調製してもよい。膣投与に適した剤形を、有効成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られている基剤などを含有させた膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体、又は、スプレー式剤形として調製してもよい。
【0121】
好適な医薬基剤については、当該分野の標準的な参考文献であるRemington’s
Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing
Companyに記載されている。
【0122】
本開示において、動物、とりわけヒトへの投与量は、適度な期間にわたって体内で治療反応を引き起こすのに十分な量であるのが望ましい。投与量が、動物の体調や体重、さらには、治療される症状の重症度や段階などの種々の要因によって決定されることは当業者の解するところであろう。
【0123】
好適な投与量は、最終的に、患者体内の活性物質の濃度に関して所望の反応を起こすことが知られている濃度になると推定される量である。扱いにくい副作用を起こすことなく、治療される症状を最大限抑制することとなる投与量が好ましい。
【0124】
投与量は、投与の経路、タイミング及び頻度、さらに、化合物の投与に伴って生じる何らかの不都合な副作用の有無、性質及び程度や、所望の生理学的効果によっても決定される。
【0125】
本開示に係る化合物を投与するのに有用な薬学的投与形態は、以下のように説明される。
【0126】
ハードシェルカプセル
標準的な2ピース(two−piece)ハードゼラチンカプセル毎に、粉末状の有効成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg、及び、ステアリン酸マグネシウム6mgを充填して、多数のカプセル単位を調製する。
【0127】
ソフトゼラチンカプセル
大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化可能なオイル中に有効成分を含ませて混合物を調製し、それを容積移送式ポンプで、溶かしたゼラチンに注入し、有効成分100mgを含有するソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥させる。ポリエチレングリコールとグリセリンとソルビトールとの混合物に有効成分を溶解させ、水混和性の
混合薬を調製してもよい。
【0128】
錠剤
有効成分100mg、コロイド二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、及び、ラクトース98.8mgを含む投与単位となるように、従来の手順で多数の錠剤を調製する。嗜好性を高めるため、外観及び安定性を向上させるため、又は、吸収を遅らせるために適当な水性及び非水性コーティングを施してもよい。
【0129】
速放性(immediate release)錠剤/カプセル
従来のプロセスや新規のプロセスで調製される、経口投与用の固体投与形態である。これらの投与単位は、すぐに溶解して薬物を送達するので、水無しで経口的に摂取される。有効成分を、糖、ゼラチン、ペクチン及び甘味料などの成分を含有する液体に混合する。これらの液体を、フリーズドライ技術や固体状態で抽出する技術によって固体の錠剤又はカプレットへと固体化する。薬剤化合物を、粘弾性及び熱弾性の糖やポリマーあるいは起泡性成分と共に圧縮して、水無しで即時放出されるような多孔質マトリックスを調製してもよい。
【0130】
また、本開示の化合物は、点鼻薬、又は、定量吸入器や鼻腔用若しくは口腔用吸入器の形態で投与してもよい。薬剤は、細かい霧状の点鼻液、あるいはエアロゾル状の粉末によって送達してもよい。
【0131】
ここまで、本開示について例示し、説明した。また、本開示では好ましい実施形態しか図示及び記載していないが、上述の通り、上記教示、及び/又は、関連技術分野の技術若しくは知識に相応する範囲において、様々な他の組み合わせ例、変形例及び環境のもとで本開示を用いることができ、本明細書に示した概念の範囲内であれば変更又は改変も可能であると解されるべきである。
【0132】
さらに、上記実施形態は、実施するために現段階で分かっている最良の形態を説明することを意図したものであり、このような実施形態として、あるいは、別の実施形態として、また、実際に適用若しくは使用するにあたって必要とされる各種の改変をさらに施して、当業者が本開示を利用できるよう意図したものである。従って、本明細書に開示された形態に限定する意図はない。また、添付した特許請求の範囲は、代替の実施形態をも含むと解されるものである。
【0133】
本明細書に引用した全ての刊行物、特許文献及び特許出願文献は、各刊行物、特許文献又は特許出願文献をそれぞれ具体的に且つ個別に提示し、引用して援用するように、本明細書に引用され、任意のあらゆる目的に援用される。
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を患者に投与することによって、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。本開示において用いられる化合物は、血管新生を予防し、大幅に低減する予防効果を発揮するとともに、良好な血管新生阻害活性を示す。当該化合物として、例えばリタンセリン、アミオダロン、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、及びクロミプラミンが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、既に存在する毛細血管から新生血管が形成されることであり、生理学的過程や病理学的過程の多くで重要な鍵となっている一連の事象である。胚発生、創傷治癒、及び月経周期などの通常の組織増殖には、新生血管形成に依存するという特徴があり、当該新生血管形成によって酸素及び栄養素が供給され、さらに老廃物が除去される。また、各種疾患の多くも、互いに関連性がないにもかかわらず、新生血管系の形成に関連がある。ある種の病状は血管新生が乏しいという症状を有するが、この場合、血管新生を高めて疾患症状を改善するのが望ましい。不十分な血管形成に伴う病状としては、例えば末梢血管及び冠動脈の虚血及び梗塞、慢性創傷治癒不全、並びに、潰瘍が挙げられる。しかしながら、多くの場合、様々な病状の特徴として重要であるのは過度の血管新生であり、該当する病状として、細胞が異常に若しくは制御不可能なまでに増殖する特徴を持つ病状やそのような増殖に関連する病状などが挙げられる。過度の血管新生に伴う病状として、例えば、癌(充実性腫瘍及び血液腫瘍の両方)、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症及び再狭窄など)、慢性炎症(リウマチ性関節炎、クローン病)、糖尿病(糖尿病性網膜症)、乾癬、子宮内膜症、血管新生緑内障、及び脂肪症が例示される。非特許文献1を参照されたい。
【0003】
概して、血管新生過程では、通常は休止している内皮細胞が増殖及び遊走し、細胞周囲マトリックスのタンパク質分解が制御されつつ行われ、さらに、毛細血管が発生して細胞外マトリックス成分が新たに合成される。細胞内及び細胞間での新たな接触が起こり、内皮細胞が毛細血管様管状ネットワークに形態分化することで、内皮細胞のその後の成熟、分枝、リモデリング、選択的退縮が起こり、高度に組織化された機能的微小血管ネットワークを形成する。血管新生を促進及び抑制することで生理的血管新生を調整するサイトカイン及び増殖因子との、さらには、周囲の間質成分との、血管内皮細胞のオートクリン、パラクリン及びアンフィクリン(amphicrine)相互作用は、通常、空間的にも時間的にも厳密に調節されている。非特許文献2を参照されたい。
【0004】
内皮細胞増殖を阻害対象とした血管新生阻害薬として、血管内皮増殖因子(「VEGF」)阻害剤が最もよく知られている。強力な血管新生増殖因子であるVEGFは、ヒトの充実性腫瘍のほとんどで、さらには、網膜関連の眼障害で過剰に発現する。VEGF受容体は、主に内皮細胞に多く存在しており、当該内皮細胞がVEGF信号を変換して、多くの病理的血管新生症状が現れる。増殖活性化した内皮細胞は、先頃FDAに認可された抗癌薬であるスニチニブ(SU11248)やソラフェニブ(BAY 43−9006)などの、VEGF受容体を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤に対しても感受性がある。VEGF阻害剤及びVEGF受容体阻害剤は、内皮細胞増殖を抑え、新生血管の増殖を防ぐことができる。VEGFの他に、線維芽細胞増殖因子(FGF)や血小板由来増殖因子(PDGF)などの多くの増殖因子もまた、内皮細胞活性化に重要な役割を果たす。近年、VEGF信号のみを標的とする血管新生阻害薬に対する耐性が新たに確認されており、この原因として、別の信号経路を介した他の増殖因子の存在が考えられる。
【0005】
血管新生は、新生物組織の増殖に不可欠である。100年以上前から、腫瘍は正常組織よりも血管に富んでいることが確認されている。幾つかの実証研究は、原発腫瘍増殖及び転移のいずれが起こる場合でも新生血管形成が必須であることを示唆している。正常な組織増殖における、十分に調整された上述の過程とは対照的に、活性腫瘍増殖に要する病理的血管新生は、通常、持続的で永続的なものであり、各種の充実性腫瘍型及び造血器腫瘍型を発現させるのと共通のメカニズムである血管新生表現型を最初に獲得する。非特許文献3を参照されたい。血管ネットワークを補充し、持続させることができない腫瘍は、通常、原位置において無症候性病変として休止状態を維持する。転移もまた血管新生に依存しており、腫瘍細胞の転移の成功には、腫瘍細胞が原発腫瘍の血管系にアクセスし、血液循環系で生存し続け、標的器官の微小血管系に捕捉され、当該血管系から出て、標的器官中で増殖し、標的部位で血管新生を誘導することが通常必要となる。従って、血管新生は、転移カスケードの終了時だけでなく開始時においても必須であるように思われる。
【0006】
このように、新生物の増殖及び転移に対して血管新生が重要な鍵となっていることから、化学療法による試みにおいて、考えられる最適な標的が検討される。適当な血管新生阻害薬を直接的又は間接的に作用させて、発症を遅らせたり(即ち、「血管新生スイッチ」をブロックする)、又は、多くの腫瘍型の特徴である持続的で限局性の新生血管形成を妨げたりして、腫瘍関連の血管新生に影響を及ぼすことも可能である。腫瘍関連の内皮細胞を、また、持続的な病理的血管新生に関与する多数の分子的及び細胞的な過程及び標的を阻害対象とした血管新生阻害治療に関して、その安全性及び効能の評価が多数の臨床試験において盛んに行われているところである。非特許文献4を参照されたい。しかしながら、安全及び/又は有効な血管新生阻害薬の発見及び/又は同定に関して、これまでに得られた成果は限られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Griffioen&Molema,Angiogenesis:Potentials for Pharmacologic Intervention in the Treatment of Cancer,Cardiovascular Diseases,and Chronic Inflammation,PHARMACOL.REV.52,237−268(2000)
【非特許文献2】Gasparini,The Rationale and Future Potential of Angiogenesis Inhibitors in Neoplasia,DRUGS,58(1):17−38(1999)
【非特許文献3】Folkman,J.,CANCER MEDICINE,132−152(5th Ed.,B.C.Decker Inc.)(2000)
【非特許文献4】Deplanque&Harris,Anti−angiogenic Agents:Clinical Trial Design and Therapies in Development,EUR.J.CANCER,36:1713−1724(2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は概して、血管新生に関連する疾患を治療又は予防することに関する。
【0009】
一実施形態では、式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0010】
【化1】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【0011】
【化2】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
別の態様において、Alkは1,2−エタンジイル基である。
【0012】
一実施形態では、式(I)の化合物はリタンセリンである。
【0013】
別の実施形態では、式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0014】
【化3】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジ
ノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
別の態様において、Y及びY1は同一であり、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素から選択される。
【0015】
一実施形態では、式(II)の化合物はアミオダロンである。
【0016】
別の実施形態では、式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0017】
【化4】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の正の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【0018】
一実施形態では、式(III)の化合物はテルフェナジンである。
【0019】
別の実施形態では、式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0020】
【化5】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0021】
別の実施形態では、式(IV−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0022】
【化6】
[式中、
Xは、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0023】
一実施形態では、式(IV)又は式(IV−a)の化合物は、ペルフェナジンである。
【0024】
別の実施形態では、式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0025】
【化7】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0026】
また、式(V−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法も提供される。
【0027】
【化8】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0028】
一実施形態では、式(V)又は式(V−a)の化合物は、ビチオノールである。
【0029】
別の実施形態では、式(VI)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0030】
【化9】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ(pyrrolidinio)、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【0031】
一実施形態では、式(VI)の化合物はクロミプラミンである。
【0032】
本開示の化合物を用いて血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を阻害する方法もまた提供される。別の実施形態は、本開示の化合物を用いて血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関し、上記疾患又は障害として、例えば腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、リタンセリンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図2】図2は、リタンセリンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群(control)と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図3】図3は、リタンセリンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図4】図4は、リタンセリンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図5】図5は、リタンセリンを使用したインビボ・マウスマトリゲルプラグアッセイの微小血管密度の結果を表示する。
【図6】図6は、リタンセリンを使用した異種移植マウスモデルアッセイの結果を示し、腫瘍体積の経時的変化を表示する。
【図7】図7は、アミオダロン塩酸塩を使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図8】図8は、アミオダロン塩酸塩を使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図9】図9は、アミオダロン塩酸塩を使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図10】図10は、アミオダロンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図11】図11は、テルフェナジンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図12】図12は、テルフェナジンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図13】図13は、テルフェナジンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図14】図14は、テルフェナジンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図15】図15は、ペルフェナジンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図16】図16は、ペルフェナジンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図17】図17は、ペルフェナジンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図18】図18は、ビチオノールを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図19】図19は、ビチオノールを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図20】図20は、ビチオノールを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図21】図21は、ビチオノールを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【図22】図22は、クロミプラミンを使用した細胞増殖アッセイにおいて、濃度に対しプロットした用量反応曲線を示す。
【図23】図23は、クロミプラミンを使用した内皮細胞遊走アッセイの結果を示し、対照群と対比させて遊走した細胞のパーセントを表示する。
【図24】図24は、クロミプラミンを使用した内皮管形成アッセイの結果を示し、対照群と対比させて細管形成のパーセンテージを表示する。
【図25】図25は、クロミプラミンを使用したエキソビボ血管新生CAMアッセイの結果を示し、血管密度指数を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は概して、血管新生に関連する疾患を、その治療又は予防を必要とする患者において、血管新生を阻害する又は大幅に低減することが確認されたある種の化合物を上記患者に投与することによって治療又は予防することに関する。
【0035】
上記及び本開示中で用いられる際、下記用語は、特に断りがない限り、以下の意味であると解されたい。
【0036】
「アルキル(基)」とは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、かつ、分子鎖中に1〜約10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、並びに、その範囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。「分枝鎖」とは、低級アルキル基(メチル、エチル、又はプロピルなど)が直鎖アルキル鎖に結合しているアルキル基をいう。ある実施形態において、アルキル基は、C1−C4アルキル基、即ち、1〜約4個の炭素を有する分枝鎖又は直鎖のアルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、C1−C3アルキル基、即ち、1〜約3個の炭素を有する分枝鎖又は直鎖のアルキル基である。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられる。
【0037】
「アリール(基)」とは、約6〜約10個の炭素を含む芳香族炭素環基、並びに、その範
囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。アリール基は、所望により、1つ又は2つ以上の置換基で置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニルなどの単環基、及び、ナフチルなどの二環基が挙げられる。
【0038】
「ヘテロアリール(基)」とは、約4〜約10員環の芳香族炭素環基、並びに、その範囲内の全てのコンビネーション及びサブコンビネーションをいう。環構成員の1つ以上が炭素とは別の元素、例えば窒素、酸素、又は硫黄である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジルなどの単環基、及び、インドリルなどの二環基が挙げられる。
【0039】
「アリールアルキル(基)」とは、アリール基で置換されたアルキルをいう。例えば「C1−C4アリールアルキル基」では、C1−C4アルキル基がアリール基で置換されている。
【0040】
「ヘテロアリールアルキル(基)」とは、ヘテロアリール基で置換されたアルキルをいう。例えば「C1−C4ヘテロアリールアルキル基」では、C1−C4アルキル基がヘテロアリール基で置換されている。
【0041】
単独で又はより大きな部分の一部として用いられる「シクロアルキル(基)」という用語には、完全に飽和している、又は、1つ以上の不飽和単位を含んでいるが芳香族ではないC3−C10環状炭化水素が含まれる。環状脂肪族基は、典型的にはC3−C10、より典型的にはC3−C7である。
【0042】
単独で、又は、「ヘテロシクロアルキル」中など、より大きな部分の一部として用いられる「非芳香族複素環」という用語は、通常は5〜14員環、好ましくは5〜10員環の非芳香族環系であって、1個以上の環炭素、好ましくは1〜4個の環炭素がそれぞれ、N、O、又はS等のヘテロ原子に置き換わっているものをいう。
【0043】
「有効(な)量」とは、本明細書中に記載されるような化合物の、血管新生に関連する疾患又は障害の治療に治療上有効であり得る量をいう。上記化合物の正確な用量は、化合物の種類又は用いられた化合物、治療対象の年齢や健康状態、症状の性質や重症度によって異なる。しかしながら、有効量は、当業者であれば慣例の実験を行うだけで決定できるであろう。
【0044】
「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織との接触に適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は、他の厄介な問題がなく、妥当な利益/リスク比に相応した化合物、材料、組成物、及び/又は、投与形態をいう。
【0045】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示化合物の誘導体であって、親化合物を酸塩又は塩基塩として修飾したものをいう。本開示の化合物は、様々な有機酸や無機酸及び有機塩基や無機塩基が付加した種々の酸付加塩及び塩基付加塩を形成し、例として薬化学で頻繁に使用される生理学的に許容される塩が挙げられる。このような塩もまた、本開示の一部である。当該塩の形成に使用される無機酸として、通常、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、及び次リン酸などが挙げられる。また、脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸(alkonic acids)、ヒドロキシアルカン酸、及びヒドロキシアルカン二酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸などの有機酸由来の塩を使用してもよい。よって、上記薬学的に許容される塩としては、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、ブチン−1,4−ジ
オエート、ヘキシン−1,4−ジオエート、カプリン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩(モノハイドロジェンホスフェート)、二水素リン酸塩(ジハイドロジェンホスフェート)、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩などが挙げられる。
【0046】
塩の形成に使用される一般的な塩基としては、水酸化アンモニウム、並びに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、さらには、脂肪族1級、2級、及び3級アミン、脂肪族ジアミンが挙げられる。付加塩の調製に特に有用な塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミン、及びエチレンジアミンが例示される。
【0047】
「患者」とは、哺乳動物を含む動物であり、ヒトであることが好ましい。
【0048】
「代謝物」とは、同化過程や異化過程などといった生体内での増殖及び修復の過程に伴う化学的変化によって生じる任意の物質をいう。
【0049】
「プロドラッグ」とは、医学的効果を有する活性型に体内で変換される化合物である。全身的に投与するには活性薬剤の毒性が強過ぎる場合、消化管による活性薬剤の吸収が乏しい場合、又は、活性薬剤が標的に到達する前に体内で分解されてしまう場合に、プロドラッグは有用であり得る。プロドラッグの調製方法は、文献:Hans Bundgaard,DESIGN OF PRODRUGS(Elsevier Science Publishers B.V.1985)に開示されており、当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0050】
「溶媒和物」とは、溶媒と溶質との相互作用により形成された化合物をいい、例えば水和物が挙げられる。溶媒和物は、通常、化学量論的割合又は不定比の割合のいずれかで結晶構造中に溶媒分子を含む、結晶性の固体付加物である。
【0051】
本明細書中、「含む(comprising)」という用語(及びその文法上の活用形)は、「有する(having)」又は「包含する(including)」という包括的な意味で用いられ、「のみから成る(consisting only of)」という限定的な意味では用いられてはいない。本明細書中、「本質的に・・・から成る(consisting essentially of)」という用語は、明示的に記載されている事柄に加えて、記載又は特定された事柄の基本的特徴及び新規な特徴に対して実質的に(materially)影響を与えないものをも含むことを意味するものである。
【0052】
本明細書中、「1つの(a,an)」(不定冠詞)及び「その(the)」(定冠詞)という用語は、明細書中で特に明記されない限り、単数と共に複数をも包含すると解される。
【0053】
本開示のある種の酸性化合物又は塩基性化合物は、双性イオンとして存在していてもよい。遊離酸、遊離塩基及び双性イオンを含む化合物の全ての形態が本開示の範囲内に含まれ
ると意図している。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲に記載される化学式において、任意の記号が特定の化学式又は置換基において二度以上登場する際には、それぞれの場合の意味は他のものに対して独立していると意図している。
【0055】
一実施形態では、式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0056】
【化10】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【0057】
【化11】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
別の態様において、Alkは1,2−エタンジイル基である。
【0058】
一実施形態では、式(I)の化合物はリタンセリンである。
【0059】
式(I)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Kennisらの米国特許第4,533,665号明細書、及び、Kennisらの米国特許第4,485,107号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0060】
別の実施形態では、式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0061】
【化12】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
別の態様において、Y及びY1は同一であり、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素から選択される。
【0062】
ある実施形態では、NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、及びモルホリノからなる群より選択され;Y及びY1は、同一又は異なっており、水素、ヨウ素、及び臭素からなる群より選択される。
【0063】
一実施形態では、式(II)の化合物はアミオダロンである。
【0064】
式(II)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Tondeurらの米国特許第3,248,401号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0065】
別の実施形態では、式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0066】
【化13】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【0067】
一実施形態では、式(III)の化合物はテルフェナジンである。
【0068】
式(III)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Carrらの米国特許第3,878,217号明細書、及び、Carrらの米国特許第4,254,129号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0069】
別の実施形態では、式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0070】
【化14】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0071】
式(IV)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Choisy−le−Roiの米国特許第2,645,640号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0072】
別の実施形態では、式(IV−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0073】
【化15】
[式中、
Xは、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく;
nは0〜5の数字である]
【0074】
一実施形態では、式(IV)又は式(IV−a)の化合物は、ペルフェナジンである。
【0075】
式(IV−a)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Sherlockらの米国特許第2,860,138号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0076】
別の実施形態では、式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0077】
【化16】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nは、0〜5の整数である]
【0078】
一実施形態では、式(V)又は式(V−a)の化合物は、ビチオノールである。
【0079】
また、式(V−a)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法も提供される。
【0080】
【化17】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【0081】
式(V)及び式(V−a)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Baselらの米国特許第3,506,720号明細書、及び、Cooperらの米国特許第2,849,494号明細書に開示されている。両文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0082】
別の実施形態では、式(VI)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0083】
【化18】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【0084】
一実施形態では、式(VI)の化合物はクロミプラミンである。
【0085】
式(VI)の化合物の合成法は、当該技術分野において周知であり、Riehenらの米国特許第3,467,650号明細書に開示されている。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0086】
別の実施形態では、リタンセリン、アミオダロン塩酸塩、テルフェナジン、ペルフェナジン、ビチオノール、ビチオノールスルホキシド、クロミプラミン塩酸塩、フェキソフェナジン、及び、それらを組み合わせたものから選択される化合物を用いて血管新生を阻害する方法が提供される。
【0087】
本開示の化合物を用いて血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を阻害する方法もまた提供される。別の実施形態は、本開示の化合物を用いて血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関し、上記疾患又は障害として、例えば腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症が挙げられる。
【0088】
ある実施形態では、本開示は、血管新生を阻害する方法、及び/又は、腫瘍の増殖若しくは転移を阻害する方法に関する。本明細書中、「阻害する」という用語は、本明細書中で説明されるような化合物を摂取した患者において、腫瘍の増殖若しくは転移の量、及び/又は、血管新生の発生が、当該化合物を摂取しなかった患者と比較して好ましく低減され得ることを意味する。従ってある形態では、本開示の阻害方法は、血管新生阻害薬を有効量で患者に投与することを含む。本明細書中、「血管新生阻害薬」という用語は、血管新生を阻害し得る化合物をいう。
【0089】
別の実施形態では、本開示は、血管新生に関連する疾患又は障害を治療する方法に関する。当該方法には、本明細書中に記載される治療法により利益を得ると考えられる患者などの上記疾患を有する患者を同定するステップが含まれてもよい。血管新生に関連する疾患又は障害として、例えば、血管新生が症状の病状又は進行に関与している症状が挙げられ、従って、当該症状を有する患者の血管新生を阻害することで、当該症状のさらなる進行が遅れるか又は防がれ、あるいは、疾患状態が寛解又は退縮に向かう。当該症状は、多くの場合、異常細胞増殖という特徴を有するか、又は、異常細胞増殖と関連しており、一例
として腫瘍性疾患が挙げられる。本明細書中、「疾患又は障害の治療」という用語は、患者の症状の程度、進行及び/又は重症度を、本開示に係る治療を受けなかった患者に比べて抑えることを目的とした薬剤の投与をいう。本明細書中、「腫瘍性疾患」という用語は、異常細胞又は異常組織の異常増殖がみられるという特徴を有する任意の症状をいい、例として、以下に限定されないが、良性又は悪性を問わず、全ての癌や腫瘍が包含される。「腫瘍性疾患の治療」とは、患者に存在する任意の新生物組織のさらなる増殖若しくは転移の阻害、並びに/又は、上記新生物の退縮の促進、例えば、上記新生物のサイズ及び/若しくは数の低減、並びに/又は、新生物細胞の細胞死の誘導など、を行う化学療法薬の投与をいう。
【0090】
各種の窒素官能基(アミノ、ヒドロキシアミノ、アミド等)を有する化合物のプロドラッグ形態としては、以下に示すような種類の誘導体が挙げられる。
(a)カルボキサミド:−NHC(O)R
(b)カルバメート:−NHC(O)OR
(c)(アシルオキシ)アルキルカルバメート:NHC(O)OROC(O)R
(d)エナミン:−NHCR(=CHCO2R)又は−NHCR(=CHCONR2)
(e)シッフ塩基:−N=CR2
(f)マンニッヒ塩基(カルボキシイミド化合物由来):RCONHCH2NR2
上記式中、R基はそれぞれ独立して、上記で定義されるような、水素、置換又は非置換のアルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環、アルキルアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、又は、シクロアルケニル基であってもよい。
【0091】
このようなプロドラッグ誘導体の調製については、各種文献で考察されている(例えば、AlexanderらによるJ.Med.Chem.1988,31,318;Aligas−MartinらによるPCT WO pp/41531のp.30)。本発明の化合物の窒素原子のうちの1つ(又は1つ以上)は、これらの誘導体の調製において変換される窒素官能基である。
【0092】
本発明の、カルボキシル含有化合物のプロドラッグ形態はエステル(−CO2R)を含む。上記式中、R基は、酵素又は加水分解プロセスによって薬学的に許容される程度に体内で放出される任意のアルコールに相当する。本発明のカルボン酸形態に由来する別のプロドラッグは、BodorらによるJ.Med.Chem.,1980,23,469に記載されている構造からなる以下のような第四級塩型であってもよい。
【0093】
【化19】
【0094】
言うまでもなく、本発明の化合物は、分子中の考え得る各種原子におけるあらゆる光学異性体及び立体異性体に関するものであると解されたい。
【0095】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機酸又は有機酸由来のものが挙げられる。好ましい酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び、ベンゼン
スルホン酸が挙げられる。適当な塩基に由来する塩として、ナトリウム及びアンモニア等のアルカリ類が挙げられる。
【0096】
本開示を一度知得した当業者であれば、過度な実験を強いられることなく、本発明の化合物を合成可能である。その手順は、必要な糖類又はヌクレオシド類の調製に関する適した化学文献から入手できる。このようなものとして、以下の文献を参照されたい。Choi,Jong−Ryoo;Kim,Jeong−Min;Roh,Kee−Yoon;Cho,Dong−Gyu;Kim,Jae−Hong;Hwang,Jae−Taeg;Cho,Woo−Young;Jang,Hyun−Sook;Lee,Chang−Ho;Choi,Tae−Saeng;Kim,Chung−Mi;Kim,Yong−Zu;Kim,Tae−Kyun;Cho,Seung−Joo;Kim,Gyoung−Won PCT Int.Appl.(2002),100pp.WO 0257288 A1 20020725。Holy,Antonin;Votruba,Ivan;Tloustova,Eva;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(10),1545−1592。Rejman,Dominik;Masojidkova,Milena;De Clercq,Eric;Rosenberg,Ivan Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids(2001),20(8),1497−1522;Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi PCT Int.Appl.(2001),39pp WO 0164693 A1 20010907。Otmar,Miroslav;Masojfdkova,Milena;Votruba,Ivan;Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(3),500−506。Michal;Hocek,Michal;Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2000),65(8),1357−1373。Jeffery,A.L.;Kim,J.−H.;Wiemer,D.F. Tetrahedron(2000),56(29),5077−5083。Holy,Antonin;Guenter,Jaroslav;Dvorakova,Hana;Masojidkova,Milena;Andrei,Graciela;Snoeck,Robert;Balzarini,Jan;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1999),42(12),2064−2086。Janeba,Zlatko;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(9),1393−1406。Holy,Antonin;Guenter,Jaroslav;Dvorakova,Hana;Masojidkova,Milena;Andrei,Graciela;Snoeck,Robert;Balzarini,Jan;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1999),42(12),2064−2086。Dang,Qun;Erion,Mark D.;Reddy,M.Rami;Robinsion,Edward D.;Kasibhatla,Srinivas Rao;Reddy,K.Raja. PCT Int.Appl.(1998),126pp WO 9839344 A1 19980911。Arimilli,Murty N.;Cundy,Kenneth C.;Dougherty,Joseph P.;Kim,Choung U.;Oliyai,Reza;Stella,Valentino J. PCT Int.Appl.(1998),74pp WO 9804569。Sekiya,Kouichi;Takashima,Hideaki;Ueda,Naoko;Kamiya,Naohiro;Yuasa,Satoshi;Fujimura,Yoshiyuki;Ubasawa,Masaru
Journal of Medicinal Chemistry(2002),45(14),3138−3142。Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi;Takashima,Hideaki;Ueda,Naoko;Yuasa,Satoshi;Kamiya,Naohiro. Eur.Pat.Appl.(1997),56pp EP 785208 A1 19970723。Hocek,Michal;Masojidkova,Milena;Holy,Antonin,Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1997),62(1),136−146。Holy,Antonin;Votruba,Ivan;Tloustova,Eva;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(2001),66(10),1545−1592。Holy,Antonin;De Clercq,Erik Desire Alice. PCT Int.Appl.(1996),57pp.WO 9633200 A1
19961024。Rejman,Dominik;Rosenberg,Ivan.
Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1996),61(Spec.Issue),S122−S123。Holy,Antonin;Dvorakova,Hana;Jindrich,Jindrich;Masojidkova,Milena;Budesinsky,Milos;Balzarini,Jan;Andrei,Graciella;De Clercq,Erik. Journal of Medicinal Chemistry(1996),39(20),4073−4088。Guanti,Giuseppe;Merlo,Valeria;Narisano,Enrica. Tetrahedron(1995),51(35),9737−46。Takashima,Hideaki;Inoue,Naoko;Ubasawa,Masaru;Sekiya,Kouichi;Yabuuchi,Shingo Eur.Pat.Appl.(1995),88pp.EP 632048 A1 19950104。Alexander,Petr;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena,Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1994),59(8),1853−69。Alexander,Petr;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena;Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1994),59(8),1853−69。Jindrich,Jindrich;Holy,Antonin;Dvorakova,Hana. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1993),58(7),1645−67。Holy,Antonin. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1993),58(3),649−74。Guanti,Giuseppe;Merlo,Valeria;Narisano,Enrica;Tetrahedron(1995),51(35),9737−46。Emishetti,Purushotham;Brodfuehrer,Paul R.;Howell,Henry
G.;Sapino,Chester,Jr. PCT Int.Appl.(1992),43pp.WO 9202511 A1 19920220。Glazier,Arnold. PCT Int.Appl.(1991),131pp.WO 9119721。Kim,Choung Un;Luh,Bing Yu;Misco,Peter F.;Bronson,Joanne J.;Hitchcock,Michael
J.M.;Ghazzouli,Ismail;Martin,John C Journal of Medicinal Chemistry(1990),33(4),1207−13。Rosenberg,Ivan;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1988),53(11B)
,2753−77。Rosenberg,Ivan;Holy,Antonin;Masojidkova,Milena. Collection of Czechoslovak Chemical Communications(1988),53(11B),2753−77。
【0097】
以下の実施例によって本開示の態様を例示及び説明するが、これらに限定されない。実施例は、限られた実施形態を示して説明するのみであるが、本開示の教示、及び/又は、関連技術分野の技術若しくは知識に相応する範囲において、様々な他の組み合わせ例、変形例及び環境のもとで本開示を用いることができ、本明細書に示した概念の範囲内であれば変更又は改変も可能であると解されるべきである。
【実施例1】
【0098】
細胞増殖アッセイ
ヒト初代培養細胞系、動脈内皮細胞(HAECやHPAEC等)、静脈内皮細胞HUVEC(Cambrex BioScience Rockland Inc.から入手)、及び、肺線維芽細胞LL47(American Type Culture Collectionから入手)を使用説明書に従って培養し、それらを使用して、CellTiter−Glo Lunminescent Cell viability Assayにより、ヒト内皮細胞及び線維芽細胞それぞれに対する各目的化合物の特異的な活性を、当該各細胞を比較しつつ評価する。発光シグナルの生成を利用する当該アッセイは、細胞培養中のATP濃度の定量化に基づいている。細胞培養中のATP生成量は生存細胞の数を反映している。故に、当該アッセイは、試験化合物の細胞増殖効果及び細胞毒性効果を評価するのに用いられることが多い。96ウェルプレートに増殖培地を加え、細胞を約5×103細胞/ウェルになるように播種する。24時間後、各種投与量の目的化合物を培地に添加し、各投与量につき同じものを4サンプル作製する。72時間処理した後、CellTiter−Glo試薬をメーカーの使用説明書に従って培地に添加し、発光を測定する。対照群にはDMSOビヒクルのみを与える。増殖培地中の内皮細胞及び線維芽細胞の増殖に対する目的化合物のIC50を用量反応曲線に基づいて求め、濃度に対してプロットする。
【実施例2】
【0099】
内皮細胞遊走アッセイ
内皮細胞遊走は血管新生過程の鍵となるステップであり、新たにその場で血管形成を行う上で極めて重要である。Biocoat Endothelial Cell Migration Angiogenesis System(BD Biosciences)のトランス−ウェル・フィルター/インサーツ・チャンバー(trans−well filter/inserts chamber)を内皮細胞遊走アッセイに使用する。当該チャンバーは、ヒト・フィブロネクチンでコーティングした孔径3μmのインサートを有する24−トランスウェル・チャンバー・プレートである。内皮細胞基礎培地を含ませた0.1%ウシ血清アルブミンをインサートに加え、37℃で1時間培養する。内皮細胞(HUVEC)を内皮細胞基礎培地中の0.1%ウシ血清アルブミンと共に4〜5時間培養して飢餓状態とし、細胞を採取した後、内皮細胞基礎培地中の0.1%ウシ血清アルブミン100μlに含ませた各種処理剤を添加したトランスウェルプレートの上部チャンバーに播種(1×105/ウェル)する。各種の化学誘引物質を含む完全増殖培地を下部チャンバーに添加する。細胞を22±1時間37℃で遊走させる。インサート内部の未遊走細胞をQチップで慎重に取り除く。次に、トランスウェルインサートの下部に遊走してきた細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、ヘキスト33342で染色し、蛍光顕微鏡撮影を行う。各フィルター/インサートの3つの顕微鏡視野について、遊走した細胞の数を分析する。各試験濃度群及び対照群においてはフィルター/インサート・チャンバー培養を3連で行う。10倍率の顕微鏡視野当たりの遊走した細胞の平均数をデータとして
示し、さらに、用量曲線を基にIC50を計算する。
【実施例3】
【0100】
内皮管形成アッセイ
ヒト内皮細胞を細胞外マトリックスでインビトロ培養すると、当該細胞外マトリックスによって内皮細胞の付着及び分化が促進され、細管が形成する。内皮管形成アッセイはこの現象に基づく。細胞外マトリックスでコーティングした96ウェルプレートに内皮細胞(HUVEC)を播種(1.5×104/ウェル)し、目的化合物を完全増殖培地を用いて各種濃度とし、それぞれにつき同じものを3サンプル作製して、各目的化合物による処理を行う。細胞を37℃で約18時間処理して、内皮管を形成させ、倒立光学顕微鏡撮影を行う。画像解析ソフトウェアのImage−Pro Plus(メリーランド州、Siler Spring、Media Cybernetics,Inc.)を用いて細管長を測定する。各ウェル、及び、各処理条件の3連ウェルについて3つの視野での平均管長をデータとして示す。用量曲線を基にIC50値を計算する。
【実施例4】
【0101】
鶏胚漿尿膜(CAM)アッセイ
鶏胚漿尿膜により、血管新生の生理学的過程の理想的なインビボモデルが得られる。鶏胚漿尿膜の上に配置したメチルセルロースディスクに血管新生調節剤を塗布することで、新生血管系の発現を変化させることが可能である。文献:Staton et al,Current Methods for Assaying Angiogenesis in vitro and in vivo,INT.J.EXP.PATHOL.,85:233−48(2004)を参照されたい。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。血管新生漿尿膜アッセイを用いて、各合成化合物の血管新生阻害能をエキソビボで評価する。強制的に空気を循環させる加湿機能付き孵卵器で受精鶏卵を37.5℃で培養する。胚発生3日目に、卵を割り、100mm3のペトリプレートに胚を移し、細胞培養インキュベーター中、37.5℃で卵の発生を継続する。予め作製した約2mm径のメチルセルロースディスクを、胚発生5日目の胚漿尿膜の上に静かに植え付けた後、試験化合物の溶液又は対照ビヒクルをメチルセルロースディスクの上に塗布する。胚を細胞培養インキュベーター中でさらに2日間培養する。胚発生7日目に、この漿尿膜を検査し、新生血管形成を定量分析する。生存鶏胚の各CAMの血管密度指数(VDI)を求めて、血管新生に対する処理効果を評価する。VDIは、メチルセルロースディスクで覆われた部分において3つの等距離同心円中に見られる血管の交差数であり、Image Pro
Plusソフトウェアを使用して求めたものである。各処理群(N≧5)の定量分析に基づく平均VDIを標準偏差と共にデータとして示す。
【実施例5】
【0102】
マウスにおけるマトリゲルプラグアッセイ
マトリゲルプラグアッセイは、インビボの新生血管形成アッセイであり、合成化合物及び組み換えタンパク質の血管新生阻害活性の評価に広く用いられている。約8〜10週齢の雌のC57BL/6マウスと高濃度マトリゲルマトリックスとをマトリゲルプラグ実験に使用する。各処理群に4匹又は5匹のマウスを割り当て、各マウスに対しマトリゲルプラグを2つとする。50ng/mlのVEGF、50ng/mlのFGFb、及び、3ng/mlのヘパリンを血管新生促進剤としてマトリゲルに混合する。各種投与量の目的化合物をマトリゲルに混合するか、又は、腹腔内投与、静脈内投与、若しくは経口投与する。4℃のマトリゲルを、1プラグ当たり500μlのマトリゲルを使用して、マウスの両側の剃毛部に皮下注射する。注射したマトリゲルはすぐに単一の固形ゲルプラグを形成する。マトリゲルを接種してから約2週間後に各群のプラグを採取する。CO2を吸入させて各マウスを安楽死させ、マウスの皮膚を剥いで、プラグを露出させる。無傷のプラグを取り出して、10%ホルマリンで固定し、組織学的に分析する。パラフィン包埋したプラグ
の各切片(厚さ:5μm)をCD31に特異的な抗体で免疫染色し、H&Eで対比染色する。各マトリゲルプラグの全断面内に見られるCD31陽性微小血管をカウントする。各マウス群において、約6つのマトリゲルプラグを定量分析し、微小血管密度に関して、対照群と化合物処理群との間に何らかの統計学的有意差がみられるかどうかを評価する。
【実施例6】
【0103】
異種移植ヌードマウスモデルにより評価した化合物の抗腫瘍効能
腫瘍増殖は血管新生に依存する。腫瘍血管新生の阻害は、癌に対する有効な治療法となっている。標準的な異種移植ヌードマウスモデルを使用して、考えられる血管新生阻害薬の抗腫瘍活性を評価する。ヒト腫瘍細胞又はその断片を5〜7週齢ヌードマウスに移植する。目的化合物を各マウス群に腹腔内投与、静脈内投与、又は経口投与する。腫瘍サイズ及びマウス体重を週に2回確認する。標準偏差と共に各時点での平均腫瘍体積を、異種移植片接種後の経過日数である腫瘍増殖時間に対して示す。
【0104】
上記実施例中に記載したような手順によって、各図及び下記表Iに示されるデータを得た。
【0105】
【表1】
【0106】
剤形
本開示の化合物は、医薬品と共に使用することが可能な任意の従来手段によって投与することができ、単一の治療剤としてもよく、又は、治療剤を組み合わせてもよい。本開示の化合物は単独で投与してもよいが、一般的には医薬基剤と共に投与する。当該医薬基剤は、選択された投与経路と医薬分野の標準的な慣行とに基づいて選択される。上記化合物はまた、インターフェロン(IFN)、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、コンセンサス・インターフェロン(CIFN)、リバビリン、アマンタジン、リマンタジン、インターロイキン−12、ウルソデオキシコール酸(UDCA)及びグリシリジン等の他の治療剤と共に投与してもよい。
【0107】
本明細書で説明する薬学的に許容される基剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤又は希釈剤などは、当業者に周知である。一般的に、薬学的に許容される基剤は活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下において有害な副作用又は毒性を持つこと
はない。薬学的に許容される基剤としては、ポリマー及びポリマーマトリックスが挙げられる。
【0108】
本開示の化合物は、医薬品と共に使用することが可能な任意の従来手段によって投与することができ、単一の治療剤としてもよく、又は、治療剤を組み合わせてもよい。
【0109】
投与量は当然ながら、薬剤の種類及びその投与の形態や経路といった薬力学的特徴;受容者の年齢、健康状態及び体重;症状の性質及び程度;併用療法の種類;治療頻度;並びに、所望の効果などの既知の要因に応じて異なるであろう。有効成分の1日当たりの投与量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であると予想され、好ましくは0.1〜約60mg/kgである。
【0110】
投与形態(投与に適した組成物)には、1単位当たり約1mg〜約500mgの有効成分が含まれている。これらの医薬組成物には、通常、当該組成物の全重量に基づいて約0.5〜95重量%の量の有効成分が含まれるであろう。
【0111】
有効成分は、カプセル、錠剤及び散剤などの固形剤として経口投与してもよく、あるいは、エリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤などの液剤として経口投与してもよい。また、無菌液の投与形態で非経口投与してもよい。有効成分は、鼻腔内に投与してもよく(点鼻薬)、あるいは、薬剤パウダーミストの吸入によって投与してもよい。パッチ型や軟膏による経皮投与などの他の投与形態も可能な場合がある。
【0112】
経口投与に適した剤形は、(a)水、塩水、又はオレンジジュース等の希釈液に有効量の化合物を溶解させたような液状溶液、(b)所望量の有効成分を含有している、固形物又は顆粒としてのカプセル、サシェ剤、錠剤、薬用ドロップ(lozenges)及びトローチ剤、(c)散剤、(d)適当な液体との懸濁剤、及び、(e)好適な乳剤であってもよい。液剤の場合、水、並びに、例えばエタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン及びポリエチレンアルコール等のアルコール類などといった希釈剤が含まれてもよく、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤が添加されていても、いなくてもよい。カプセル形態の場合、界面活性剤、滑沢剤、並びに、例えばラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチ等の不活性充填剤などを含有している通常のハードシェルゼラチン型又はソフトシェルゼラチン型であってもよい。錠剤の場合、以下のものを1つ以上含んでいてもよい:ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアーガム、コロイド二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及びその他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存料、フレーバー付与剤、及び、薬理学的に適合した基剤。薬用ドロップ形態の場合、一般的にはスクロース、アラビアゴム又はトラガカントゴム等であるフレーバー中に有効成分を含んでいてもよい。香錠(pastilles)の場合も同様に、ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム(acadia)等といった不活性なベース中に有効成分を含んでいてもよく、乳剤及びゲル剤の場合も、有効成分に加えて当該技術分野で公知であるような基剤を含有していてもよい。
【0113】
本開示の化合物は、単独で、又は、他の好適な成分と組み合わせて、吸入投与用のエアロゾル剤形に調剤されてもよい。このエアロゾル剤形は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素などの許容される高圧噴射剤としてもよい。また、このエアロゾル剤形は、ネブライザー又はアトマイザー等といった非加圧製剤用の医薬品に調剤されてもよい。
【0114】
非経口投与に適した剤形としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象受容
者の血液と等張にする溶質を含んでいてもよい、水性及び非水性の等張無菌注射液;並びに、懸濁化剤、溶解剤、増粘剤、安定剤、及び保存料を含んでいてもよい、水性及び非水性無菌懸濁液が挙げられる。化合物は、医薬基剤中の生理学的に許容される希釈剤に含ませて投与してもよい。この生理学的に許容される希釈剤は、例えば無菌の液体又は液体混合物であり、水;塩水;デキストロース水溶液及び関連する糖液;エタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール等のアルコール;プロピレングリコール、又は、例えばポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコールなどといったグリコール類;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等のグリセロールケタル類;エーテル;オイル;脂肪酸;脂肪酸エステル又はグリセリド;あるいは、アセチル化脂肪酸グリセリドが挙げられる。これらには、薬学的に許容される界面活性剤(石鹸又は洗浄剤など)、懸濁化剤(ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース等)、又は乳化剤、及び、他の医薬アジュバントが添加されていても、いなくてもよい。
【0115】
非経口剤形で使用されるオイルとしては、石油、動物油、植物油、又は合成油が挙げられる。オイルの具体例としては、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ペトロラタム、及び鉱物油が挙げられる。非経口剤形に使用される好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。好適な脂肪酸エステルの例としては、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。非経口剤形に使用される好適な石鹸としては、脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸アンモニウム塩、及び脂肪酸トリエタノールアミン塩が挙げられる。好適な洗浄剤としては、(a)例えばハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム及びハロゲン化アルキルピリジニウム等のカチオン性洗浄剤、(b)例えばアルキル、アリール及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドスルフェート、並びに、スルホサクシネート等のアニオン性洗浄剤、(c)例えば脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレン・ポリプロピレン共重合体などの非イオン性洗浄剤、(d)例えばアルキルβ−アミノプロピオネート、及び2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩などの両性洗浄剤、さらに(e)これらの混合物が挙げられる。
【0116】
非経口剤形は、一般的に約0.5〜約25重量%の有効成分を溶液中に含有している。このような剤形には、適当な保存料及び緩衝剤を使用してもよい。注射箇所への刺激を最小限に抑えるか又は除くために、このような組成物には、親水親油バランス(HLB)が約12〜約17である非イオン性界面活性剤を1つ以上含有させてもよい。このような剤形における界面活性剤の量は、約5〜約15重量%である。好適な界面活性剤としては、モノオレイン酸ソルビタンなどのポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、並びに、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される疎水性基部(ベース)とのエチレンオキシドの高分子量付加物が挙げられる。
【0117】
薬学的に許容される賦形剤もまた、当業者には周知である。賦形剤は、化合物の種類や組成物の投与に使用される具体的な方法も幾分考慮して選択されるであろう。従って、本開示の医薬組成物には、好適な剤形が多数考えられる。以下の方法及び賦形剤は単なる例示に過ぎず、これらに限定されない。薬学的に許容される賦形剤としては、有効成分の作用を阻害せず、不都合な副作用を引き起こさないものが好ましい。好適な基剤及び賦形剤としては、水、アルコール及びプロピレングリコール等の溶媒、固体の吸収剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、錠剤結合剤(tableting binders)、滑沢剤、フレーバー、並びに、着色剤が挙げられる。
【0118】
剤形は、単回投与用又は反復投与用の密封容器(アンプル及びバイアル等)に封入してもよい。また、使用直前に水などの無菌液体賦形剤を添加するだけで注射可能となるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。無菌粉末、顆粒及び錠剤から、用時調製注
射液及び懸濁液を調製してもよい。注射用組成物には有効な医薬基剤が必要であることは、当業者に周知である(5,6)。文献:Banker and Chalmers PHARMACEUTICS AND PHARMACY PRACTICE,238−250(J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,PA Eds.1982)、及び、Toissel,ASHP HANDBOOK ON INJECTABLE DRUGS,622−630(4th ed.1986)を参照されたい。当該文献の全内容を本明細書に引用して援用する。
【0119】
局所投与に適した剤形としては、一般的にはスクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムであるフレーバー中に有効成分を含んでいる薬用ドロップ;ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアラビアゴム等といった不活性なベース中に有効成分を含んでいる香錠;並びに、好適な液体基剤中に有効成分を含んでいる口内洗浄剤;さらに、有効成分に加えて当該技術分野で公知であるような基剤を含有しているクリーム、乳剤及びゲル剤が挙げられる。
【0120】
さらに、直腸投与に適した剤形を、乳化性のベース又は水溶性のベースなどといった種々のベースと混合することで坐薬として調製してもよい。膣投与に適した剤形を、有効成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られている基剤などを含有させた膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体、又は、スプレー式剤形として調製してもよい。
【0121】
好適な医薬基剤については、当該分野の標準的な参考文献であるRemington’s
Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing
Companyに記載されている。
【0122】
本開示において、動物、とりわけヒトへの投与量は、適度な期間にわたって体内で治療反応を引き起こすのに十分な量であるのが望ましい。投与量が、動物の体調や体重、さらには、治療される症状の重症度や段階などの種々の要因によって決定されることは当業者の解するところであろう。
【0123】
好適な投与量は、最終的に、患者体内の活性物質の濃度に関して所望の反応を起こすことが知られている濃度になると推定される量である。扱いにくい副作用を起こすことなく、治療される症状を最大限抑制することとなる投与量が好ましい。
【0124】
投与量は、投与の経路、タイミング及び頻度、さらに、化合物の投与に伴って生じる何らかの不都合な副作用の有無、性質及び程度や、所望の生理学的効果によっても決定される。
【0125】
本開示に係る化合物を投与するのに有用な薬学的投与形態は、以下のように説明される。
【0126】
ハードシェルカプセル
標準的な2ピース(two−piece)ハードゼラチンカプセル毎に、粉末状の有効成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg、及び、ステアリン酸マグネシウム6mgを充填して、多数のカプセル単位を調製する。
【0127】
ソフトゼラチンカプセル
大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化可能なオイル中に有効成分を含ませて混合物を調製し、それを容積移送式ポンプで、溶かしたゼラチンに注入し、有効成分100mgを含有するソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥させる。ポリエチレングリコールとグリセリンとソルビトールとの混合物に有効成分を溶解させ、水混和性の
混合薬を調製してもよい。
【0128】
錠剤
有効成分100mg、コロイド二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、及び、ラクトース98.8mgを含む投与単位となるように、従来の手順で多数の錠剤を調製する。嗜好性を高めるため、外観及び安定性を向上させるため、又は、吸収を遅らせるために適当な水性及び非水性コーティングを施してもよい。
【0129】
速放性(immediate release)錠剤/カプセル
従来のプロセスや新規のプロセスで調製される、経口投与用の固体投与形態である。これらの投与単位は、すぐに溶解して薬物を送達するので、水無しで経口的に摂取される。有効成分を、糖、ゼラチン、ペクチン及び甘味料などの成分を含有する液体に混合する。これらの液体を、フリーズドライ技術や固体状態で抽出する技術によって固体の錠剤又はカプレットへと固体化する。薬剤化合物を、粘弾性及び熱弾性の糖やポリマーあるいは起泡性成分と共に圧縮して、水無しで即時放出されるような多孔質マトリックスを調製してもよい。
【0130】
また、本開示の化合物は、点鼻薬、又は、定量吸入器や鼻腔用若しくは口腔用吸入器の形態で投与してもよい。薬剤は、細かい霧状の点鼻液、あるいはエアロゾル状の粉末によって送達してもよい。
【0131】
ここまで、本開示について例示し、説明した。また、本開示では好ましい実施形態しか図示及び記載していないが、上述の通り、上記教示、及び/又は、関連技術分野の技術若しくは知識に相応する範囲において、様々な他の組み合わせ例、変形例及び環境のもとで本開示を用いることができ、本明細書に示した概念の範囲内であれば変更又は改変も可能であると解されるべきである。
【0132】
さらに、上記実施形態は、実施するために現段階で分かっている最良の形態を説明することを意図したものであり、このような実施形態として、あるいは、別の実施形態として、また、実際に適用若しくは使用するにあたって必要とされる各種の改変をさらに施して、当業者が本開示を利用できるよう意図したものである。従って、本明細書に開示された形態に限定する意図はない。また、添付した特許請求の範囲は、代替の実施形態をも含むと解されるものである。
【0133】
本明細書に引用した全ての刊行物、特許文献及び特許出願文献は、各刊行物、特許文献又は特許出願文献をそれぞれ具体的に且つ個別に提示し、引用して援用するように、本明細書に引用され、任意のあらゆる目的に援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管新生を、その阻害又は低減を必要とする患者において阻害又は低減する方法であって、以下の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む方法。
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化2】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化3】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基
であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化4】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化5】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシ
クロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化6】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化7】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項2】
式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化8】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化9】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項3】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化10】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジ
ノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項6】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化11】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項8】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化12】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項10】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化13】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項12】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(VI)の化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化14】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項14】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を、その阻害を必要とする患者において阻害する方法であって、以下の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む方法。
式(I)の化合物:
【化15】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化16】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群
より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化17】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化18】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化19】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化20】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化21】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項16】
式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化22】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化23】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項17】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化24】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項20】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化25】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項22】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化26】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項24】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化27】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項26】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式(VI)の化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化28】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項28】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
血管新生に関連する疾患又は障害を、その治療を必要とする患者において治療する方法であって、
前記疾患又は障害は、腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症からなる群から選択され、
前記方法は、以下の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、方法。
式(I)の化合物:
【化29】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化30】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化31】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化32】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化33】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの
(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化34】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化35】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項30】
式(I)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化36】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化37】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項31】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
式(II)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化38】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項34】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(III)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化39】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項36】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
式(IV)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化40】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシ
クロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項38】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
式(V)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化41】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項40】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式(VI)の血管新生阻害化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化42】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項42】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
式(VI)の血管新生阻害化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化43】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項44】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
血管新生を、その阻害又は低減を必要とする患者において阻害又は低減する方法であって、以下の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む方法。
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化2】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化3】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基
であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化4】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化5】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシ
クロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化6】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化7】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項2】
式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化8】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化9】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項3】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化10】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジ
ノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項6】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化11】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項8】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化12】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項10】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化13】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項12】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(VI)の化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを、血管新生の阻害に有効な量で前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【化14】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項14】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
血管新生依存性腫瘍の増殖又は転移を、その阻害を必要とする患者において阻害する方法であって、以下の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む方法。
式(I)の化合物:
【化15】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化16】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群
より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化17】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化18】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化19】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化20】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化21】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項16】
式(I)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化22】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化23】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項17】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
式(II)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化24】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項20】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式(III)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化25】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項22】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式(IV)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化26】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項24】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(V)の化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化27】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項26】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式(VI)の化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【化28】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項28】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
血管新生に関連する疾患又は障害を、その治療を必要とする患者において治療する方法であって、
前記疾患又は障害は、腫瘍性疾患、再狭窄、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、及び、脂肪症からなる群から選択され、
前記方法は、以下の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、方法。
式(I)の化合物:
【化29】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化30】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]、
式(II)の化合物:
【化31】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]、
式(III)の化合物:
【化32】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]、
式(IV)の化合物:
【化33】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの
(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]、
式(V)の化合物:
【化34】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]、又は
式(VI)の化合物:
【化35】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項30】
式(I)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化36】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、又は低級アルキルオキシであり;
R1は、水素及び低級アルキルからなる群より選択される一つであり;
Alkは、低級アルカンジイル基であり;
Xは、−S−、−CH2−、及び、−C(R2)=C(R3)−からなる群より選択される一つであって、当該R2及びR3はそれぞれ独立して水素又は低級アルキルであり;
Aは、式:−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、又は
【化37】
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、及び低級アルキルからなる群より選択される)
を有する、二価の基であり;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、ピリジニル、チエニル、及びフェニルからなる群より選択されるものであり、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、低級アルキル、及びトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
【請求項31】
Alkは1,2−エタンジイル基である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
式(I)の化合物はリタンセリンである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
式(II)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化38】
[式中、
R1は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり;
R2は、水素及びメチルからなる群より選択され;
NR3は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノ、モルホリノ、及び、N置換ヘテロアリールからなる群より選択される基であり;
Y及びY1はそれぞれ独立して、水素、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素からなる群より選択される]
【請求項34】
式(II)の化合物はアミオダロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(III)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化39】
[式中、
Rは水素若しくはヒドロキシからなる群より選択され;
R1は水素であるか;又は、
R及びR1は共に結びついて、R及びR1をそれぞれ有する炭素原子間で第二の結合を形成しており;
nは1〜3の整数であり;
Zは、チエニル、フェニル、又は置換フェニルからなる群より選択されるものであり、当該置換フェニルの置換基は、その置換フェニル環のオルト位、メタ位、又はパラ位に結合していてもよく、ハロゲン原子;直鎖若しくは分枝鎖のC1−4低級アルキル鎖;C1−4低級アルコキシ基;ジ(低級)アルキルアミノ基;又は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、若しくは、N−(低級)アルキルピペラジノからなる群より選択される飽和単環式複素環、からなる群より選択される]
【請求項36】
式(III)の化合物はテルフェナジンである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
式(IV)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化40】
[式中、
Xはそれぞれ独立して、水素、塩素、又は臭素を表し;
Aは、OH、OR、NR1R2、OC(O)R、OC(O)OR、C(O)OH、C(O)OR、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2、NHC(O)NR1R2、又は、NHC(NH)NR1R2を表し;
Rは、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、又はヘテロシ
クロアルキルを表し;
R1及びR2はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキルを表すか、又は、R1及びR2は共に結びついて3〜8員環の複素環を形成していてもよく、当該3〜8員環の複素環は、1〜4つの(CH2)nA置換基でさらに置換されていてもよく;
nは0〜5の数字である]
【請求項38】
式(IV)の化合物はペルフェナジンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
式(V)の血管新生阻害化合物、並びに、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化41】
[式中、
Yは、O、S、又はS=Oを表し;
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン又はOHを表し;
nはそれぞれ独立して、0〜5の整数である]
【請求項40】
式(V)の化合物はビチオノールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式(VI)の血管新生阻害化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化42】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項42】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
式(VI)の血管新生阻害化合物、並びに、その塩、溶媒和物、及びプロドラッグを有効量で前記患者に投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【化43】
[式中、
Xは、エチレン基:−CH2CH2−、及び、ビニレン基:−CH=CH−からなる群より選択される一つを表し;
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、塩素、及び臭素からなる群より選択される一つを表し;
Yは、C2−3アルキレン基を表し;
Amは、低級ジアルキルアミノ基、ピロリジニオ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及び、N−メチル−ピペリジル(2)−基からなる群より選択される一つを表す]
【請求項44】
式(VI)の化合物はクロミプラミンである、請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2010−523719(P2010−523719A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503263(P2010−503263)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/060186
【国際公開番号】WO2009/023299
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(507258674)サザン リサーチ インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/060186
【国際公開番号】WO2009/023299
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(507258674)サザン リサーチ インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】
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