説明

血管治療装置

【課題】病巣を治療するカテーテルシステムが提供される。
【解決手段】本システムは、二股に分かれた病巣の治療に適しており、特に、回転と平行移動において、薄い外形および実質的に予測可能な位置決め能力を有するカテーテルシステムに関する。1つの実施形態において、固定ワイヤバルーンカテーテルおよび部分的に接続されたガイドワイヤルーメンを含み、該ガイドワイヤルーメンが、股部でカテーテルに接続されている。股部の位置が、実質的に予測可能な位置であるように決められる。本システムの実施形態のいくつかは、様々な病巣の型と血管の形状についても記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「血管治療装置」に関する2005年10月3日に出願された米国特許出願11/240,631号、および「血管治療装置」に関する2006年5月11日に出願された米国特許出願11/431,918号の優先権を主張し、その両開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0002】
本発明は血管の治療装置および治療方法に関し、特に、小型であると共に回転と平進の両方向において、予測可能な位置決め能力を有するカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
公知のステント配送装置、特に、分岐部の病巣の治療に適したものには幾つかの問題がある。第1に、特に公知の設計は通常、主ガイドワイヤ用と、側枝ガイドワイヤ用の2つのガイドワイヤ用ルーメンを含むので、ステント配送装置は、一般的に外径が大きい。この公知システムの外形が比較的大きいことにより、操作性および部位への到達性に関して問題が生じる。さらに、2つのガイドワイヤがあるために、ワイヤが絡むことがしばしばあり、手術において挿入と後退を何度か行うことを強いられる。これらの装置に存在する他の問題は、血管内での位置決めが不正確なことである。今までは、企図した位置に置かれた放射線不透過性マーカを使用することで、この問題に対処してきた。しかし、実際の手術は3次元領域で行われるのに対して、見えるのは二次元平面である。したがって、不正確な配置に置かれることが珍しくなく、ステントジェイリング(ステントによる側岐閉鎖)または適用範囲不十分のいずれかの場合が多い。
【0004】
従来技術の分岐部ステント配送システムの例は、フォン・オーペンによる特許文献1に開示されている。そのシステムは、拡大円形開口を備えたステントおよび、ステントを接続したバルーンカテーテルを有し、バルーンカテーテルはガイドワイヤが通過する中空チャンバを有していて、ガイドワイヤは拡大開口の中心から出る。開示されているシステムは、ガイドワイヤ用の2つの通路を有し、比較的大きな外径を必要とする。さらに、ワイヤが2つあるので、ワイヤが絡む問題が生じることがある。
【0005】
従来技術の分岐部ステント配送システムおよび方法に関する他の例は、バルディらによる特許文献2と、バルディらによる特許文献3に開示されている。これらは、主ガイドワイヤルーメンを備えたバルーンカテーテルと、側枝ルーメンを備えた可撓性の側部シースとを有する。開示された方法は、最初に、ガイドワイヤの1つを挿入し、次いでシステムを前進させ、最後に第2のガイドワイヤを進めることによって、ワイヤの絡みを低減することを目的とする。あるいは、ガイドワイヤの1つはシステム内に収容され、システムが所定の位置になった場合のみ解放される。しかし、ワイヤの絡みの問題は、システムを取り外す時点でも発生することがある。さらに、開示されたシステムは、分岐部位を行き過ぎる傾向があり、位置決めが必ずしも適切ではない。最後に、二重ルーメン構成のために、システム全体の外形が比較的大きくなるという問題がある。
【0006】
従来技術の分岐部ステント配送システムの他の同様な例が、フィッシェルらによる特許文献4と、イシンガーによる特許文献5とに開示されている。そこに開示されたシステムは、側枝チューブを備えたバルーンカテーテルを有し、2つのガイドワイヤ、すなわち、主血管用のものと分岐血管用のものを必要とする。前述の従来技術と同様に、大きい外形、ワイヤの絡み、および不正確な位置決めが潜在的な問題として存在する。
【0007】
ガムによる特許文献6に、ワイヤの絡みを回避しながら、回転方向の位置決めを改良することを目的とした従来技術による装置が開示されている。ガムは、回転可能に取り接続されたバルーンを有し、さらにカテーテルバルーンに接続された側枝中空部材を有するカテーテルアセンブリを開示している。この装置の注目すべき特徴は、バルーンの両端部に密封された回転部材を使用することにある。こうして、側枝中空部材、バルーン、および回転部材が主ハイポチューブに対して自由に回転するユニットとして働く。この特有の特徴は、分岐部位で側枝に対するステントの位置決めを改良する設計に不可欠なものと考えられる。しかし、この特徴もまた、システムの全体外径を増加させることになる。さらに、この特徴は、平行移動する平面上でステントを正確に位置決めする方法にはならない。
【0008】
カーンらによる特許文献7に開示されたように、固定ワイヤバルーンカテーテルを使用して、単一のステント配送装置の外形を小さくする試みがなされてきた。そこに開示された装置は、バルーン遠位端に固定して接続された短いガイドワイヤ片か、またはシステム内に延びるコアワイヤのいずれかを有する。この設計により、内部ガイドワイヤルーメンがなくなって、従来技術の装置と比べてシステムの外形が小さくなる。しかし、開示されたシステムは、分岐部へのステント配置の可能性を教示または提示しないし、置き換えも示唆しない。
【特許文献1】米国特許第6,048,361号
【特許文献2】米国特許第6,692,483号
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0049548号
【特許文献4】米国特許第5,749,825号
【特許文献5】米国特許第6,682,556号
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0055483号
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0147491号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、上記の制約のないステント配送システムの必要性が広く認識されており、そのシステムを得ることは非常に有効である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、カテーテル近位端およびカテーテル遠位端を備えたカテーテル胴体と、バルーン近位端およびバルーン遠位端を有し、カテーテル遠位端に配置されたバルーンと、バルーン遠位端に接続された、長さが15mm未満のガイドワイヤルーメンと、筐体遠位端および筐体近位端を有し、カテーテル胴体に少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体とを有するカテーテルシステムが提示される。
【0011】
好ましい実施形態のさらなる特徴において、カテーテルシステムはさらに、バルーン上に配置されたステントを有する。ステントは、専用の側部開口かまたは通常の複数の開口のいずれかを有し、筐体遠位端は、側部開口または通常の開口に配置できるか、またはそれらを貫通して配置できる。好ましい実施形態おいて、その萎んだ形態にあるバルーンは、ガイドワイヤを受け入れる一時的なルーメンをなし、この一時ルーメンは、ガイドワイヤ遠位端がガイドワイヤルーメンを貫通して配置でき、ガイドワイヤ遠位端より近位にあるガイドワイヤの部分が一時ルーメン内に配置できるように、ガイドワイヤルーメンと長手方向に整列するのが好ましい。さらなる特徴において、萎んだ形態にあるバルーンは、上部湾曲部分と下部湾曲部分を有する「S字」形状をなし、下部湾曲部分は、ガイドワイヤを保持する収容領域となる。代替の実施形態では、萎んだ形態にあるバルーンは、フックの付いた「Y字」形状をなし、「Y字」形状の底部は、ガイドワイヤを保持する収容領域を形成するように曲げられる。「Y字」形状はさらに、ガイドワイヤ筐体を保持する第2の収容領域を形成する2つの上部アームを有することができる。好ましい実施形態において、一時ルーメンおよびガイドワイヤルーメンは、ガイドワイヤ筐体とは反対の側にある。さらなる特徴において、ガイドワイヤ筐体は、カテーテル胴体内に少なくとも部分的に配置され、バルーン上の領域でカテーテル胴体に接続される。接続位置は、バルーンのほぼ中央とされる。
【0012】
本発明のさらなる態様において、血管内の病巣を治療する方法が提示される。その方法は、遠位端にバルーンを備えたカテーテル胴体と、バルーン遠位端に接続されたガイドワイヤルーメンと、カテーテルに少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体と、カテーテル胴体に対して動かないように、ガイドワイヤルーメンとバルーン内の一時ルーメンとを通って配置されたガイドワイヤとを有するカテーテルシステムを用意し、遠位端および近位端を有する追跡ガイドワイヤを血管内に導入し、追跡ガイドワイヤ近位端をガイドワイヤ筐体内に配置し、カテーテルが病巣に到達するまで、カテーテルを追跡ガイドワイヤ上で進め、バルーンを膨らませてガイドワイヤを一時ルーメンから解放することを含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、カテーテル近位端およびカテーテル遠位端を有するカテーテル胴体と、カテーテル遠位端に配置され、直径が実質的に均一の作用長部分、作用長部分の実質的に均一な直径よりも直径が小さい、作用長部分より近位にある近位狭窄部分、および作用長部分の実質的に均一な直径よりも直径が小さい、作用長部分より遠位にある遠位狭窄部分を有する固定ワイヤバルーンと、筐体近位端および筐体遠位端を有し、接続位置でカテーテルに少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体とを有するカテーテルシステムが提示され、接続位置は、前記固定ワイヤバルーンの前記作用長部分より近位に配置される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴において、ガイドワイヤ筐体は、カテーテル胴体内に少なくとも部分的に配置される。接続位置は、筐体遠位端にあるか、またはそれより近位にある。1つの好ましい実施形態では、カテーテルシステムはさらに、ガイドワイヤ筐体内に配置可能なガイドワイヤを有する。さらなる特徴において、カテーテル胴体の少なくとも一部は剛性材料で構成され、それによって、剛性調整領域を提供し、さらに、カテーテルシステムは、固定ワイヤバルーンを通って配置され、バルーン遠位端と剛性調整領域を連結する実質的に剛性のコアワイヤを有する。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、血管内の病巣を治療する方法が提示される。その方法は、ガイドワイヤを血管内に病巣を過ぎるまで導入し、固定ワイヤバルーンと、固定ワイヤバルーン近位端に接続されたガイドワイヤ筐体を有するカテーテルを準備し、ガイドワイヤ近位端をカテーテルのガイドワイヤ筐体に導入し、カテーテル遠位端が病巣の位置にあり、ガイドワイヤがバルーンと平行して配置されるまで、ガイドワイヤ上でカテーテルを進め、ガイドワイヤを病巣に押しつけるようにバルーンを膨らませることを含む。
【0016】
1つの実施形態では、その方法は、第2の血管内の病巣を治療することをさらに含み、第2の血管は、分岐点で第1の血管に連結されている。その方法は、バルーンを少なくとも部分的に萎ませ、カテーテルをガイドワイヤに沿って後退させ、カテーテルを第2の血管に導入し、バルーンを膨らませることを含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様において、第1の血管内の第1の病巣と、第2の血管内の第2の病巣とを治療する方法が提示され、第1および第2の血管は分岐点で連結されている。その方法は、ガイドワイヤを第2の血管に導入し、固定ワイヤバルーンと、固定ワイヤバルーン近位端に接続されたガイドワイヤ筐体とを有するカテーテルを準備し、ガイドワイヤ近位端をカテーテルのガイドワイヤ筐体に導入し、カテーテル遠位端が分岐点に到達するまで、ガイドワイヤ上でカテーテルを進め、バルーンが第1の病巣と平行して配置されるように、分岐点を過ぎて第1の血管内にカテーテルをさらに進め、バルーンを膨らませ、バルーンを萎ませ、ガイドワイヤ上でカテーテルを後退させ、ガイドワイヤがバルーンに平行して配置されるように、カテーテルを第2の血管に導入し、ガイドワイヤを第2の病巣に押しつけるようにバルーンを膨らませることを含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様において、血管内の頭蓋内動脈瘤を治療する方法が提示される。その方法は、固定ワイヤバルーンと、バルーンに少なくとも部分的に接続された細長い補助部材と、バルーン上に配置され、細長い部材が配置された側部開口を備えたステントとを有するカテーテルを準備し、カテーテルを血管に導入し、前記側部開口が動脈瘤のところに位置するようにカテーテルを位置決めし、ステントを展開し、カテーテルを取り出し、塞栓コイルを動脈瘤に導入するコイル配送システムを導入することを含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様において、細長い主部材と、細長い主部材遠位端に配置されたバルーンと、細長い主部材の少なくとも一部に沿って内部に配置された内部コアワイヤと、バルーンと平行して配置され、内部コアワイヤおよびバルーン遠位端に接続された外部コアワイヤと、外部コアワイヤ位置から回転方向に離れて配置され、ガイドワイヤを位置決めする細長い補助部材と、細長い補助部材より遠位に、これに合わせて配置されて、システムを追跡する短い遠位レールとを有するカテーテルシステムが提示される。
【0020】
別途定義されていない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は、この発明が属する当該技術分野の当業者が一般的に解釈するのと同じ意味をもつ。本発明の実施または試験に際して、本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料について以下に説明する。議論が生じた場合、定義を含む特許明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0021】
本発明は、ここでは添付の図面を参照に、例示としてのみ述べられる。図面について詳細に特別にここで参照することによって、示される詳細は、例証および本発明のみの好ましい実施形態の実例となる検討を目的としており、最も役に立ち、本発明の理論および概念の面で容易に理解されると考えられることを提供するために存在することを強調しておく。これについては、本発明の根本的な理解を必要とするよりもさらに詳細な本発明の構造的な詳細の説明が試みられなかったため、記述は本発明の形状のいくつかが実際にはどのように実施されているか、当業者に対し図面によって明確にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、カテーテルシステムとその方法からなる。特に、本発明は循環および変形した配置を伴う血管に位置決めされる。実際には予想通りの配置の提供に加えて、本発明における装置およびシステムは、特に分岐の治療に適し、従来のシステムと比較して小さな外径を有し、ワイヤの絡む可能性を減らす。
【0023】
本発明におけるシステムおよび方法の方式および運用は、図面および添付の説明を参照としてより理解されうる
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明するのに先立って、本発明が、それを応用する場合に、以下の説明に記載した、または図面に示した構造の細部および部品の構成に限定されるものではないと理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能である、すなわち、様々な形で実施または実行することができる。また、当然のことながら、本明細書で使用する表現および専門語は、説明を目的としており、限定するものとみなすべきではない。
【0025】
プラークが蓄積した血管分岐点を示す図1について以下に言及する。主血管1と分岐血管2は、分岐点3で交わる。プラーク4の蓄積は、血管内のいたるところで見つけることができるが、図1に示すように、蓄積したプラークが分岐点3に、またはそれに近接して位置する場合に、その位置のために、正確なステント留置に関する特別な難問が生じる。分岐点に置かれたステントは、通常、分岐点より若干近位かまたは若干遠位のいずれかで展開され、このために、ステントがジェイリング(jailing)になる、および/または被覆が不十分になることがある。
【0026】
以下に、従来技術の分岐部ステント配送システム5を示す図2について言及する。システム5は、ステント7が専用の側部穴8を備えたカテーテル6を有する。主ガイドワイヤ9は、主血管1内に配置され、カテーテル6内の主ガイドワイヤルーメンに通されている。側枝ガイドワイヤ11は、第2のガイドワイヤルーメン内で、側部穴8を通って分岐血管2内に配置されている。図1に示すように、システム5は、留置時に分岐点3を行き過ぎる傾向がある。さらに、従来技術の分岐部ステントシステムは、1つは主ガイドワイヤ9用で、1つは分岐ガイドワイヤ11用の2つのガイドワイヤルーメンがあるために、一般的に直径が大きくなる。さらに、2つのワイヤは、しばしば互いに絡まることがあり、システムの配送および/または取り出しで不具合が生じる。
【0027】
本発明は、小さい外形を維持し、ワイヤの交差をなくして配送を容易にしながら、平行移動と回転の両方で、血管内での位置決めおよび整列を実質的に予測可能にすることによって、従来技術の制約に対処しようとするものである。以下にさらに詳細に説明するように、本発明の幾つかの異なる実施形態が、異なるタイプの病巣に対する問題解決策を提示する。
【0028】
病巣タイプ1、病巣タイプ2、および病巣タイプ4
第1の実施形態では、ステント配送システム10は、それぞれ図29a、図29b、および図29dに示したタイプ1か、タイプ2か、またはタイプ4の分岐部病巣に配送されるように設計されている。これらのタイプの分岐部病巣では、プラーク4が、主血管内で分岐点3の近傍に少なくとも部分的に位置し、また、分岐血管2内に位置することもある。
【0029】
ステントが付いた状態とステントがない状態でそれぞれ示した、分岐部ステント配送システム10を示す図3および図4aから図4dについて以下に言及する。システム10は、細長い主部材16と、整列した細長い補助部材34とを有する。好ましい実施形態では、細長い補助部材34は、図3に示すように、出口点37より近位で細長い主部材16内に配置され、出口点37より遠位で細長い主部材16に平行して配置されている。代替の実施形態では、図8を参照して以下に説明するように、細長い補助部材34は、細長い主部材16に平行して配置される。
【0030】
好ましい実施形態では、細長い主部材16は、遠位端20および近位端22を有するカテーテル18である。バルーン24は、カテーテル18の遠位端20に配置されている。カテーテル18は、カテーテルの近位部分に沿って延びるハイポチューブ25と、バルーン24と通じた、ハイポチューブ25内の膨張ルーメンとを有する。ハイポチューブ25は、ステンレス鋼または剛性をもたらす他の適切な材料からなる。カテーテル18の遠位部分で、ポリマー被覆物がハイポチューブ25と入れ替わり、血管を通って移動するための可撓性をもたらす。膨張ルーメンはそのままカテーテル18のポリマー被覆物部分を通り、バルーン24に延びている。膨張ルーメンは、流体、好ましくは液体をバルーン24に導入して、適切な位置でバルーン24を膨らませるように設計されている。膨張用の入口は、当従来技術では公知の構成で、近位端22に配置される。図3および図4aから図4dに示したカテーテル18は、市販されている任意のバルーンカテーテルとすることができる。任意には、近位端22にトルク装置を導入して、トルク能力を改良することができる。そのようなトルク装置は、当技術分野で公知であり、例えば、コシーナ社(Qosina Corp.)(米国ニューヨーク州エッジウッド、カタログ部品番号97333)から購入することができる。
【0031】
例示的な好ましい実施形態では、バルーン24は固定ワイヤバルーンであり、固定ワイヤバルーンとしては、結合領域28でバルーン24の遠位端に接続された固定ワイヤ26を有する。コアワイヤ30(またはスケルトン)は、バルーン24の内部に沿って延びて、カテーテル18の可撓性部分に剛性を付与する。好ましい実施形態では、コアワイヤ30は、固定ワイヤ26から続いている。コアワイヤ30が、その近位端でハイポチューブ25に連結され、その遠位端でバルーン24の遠位端に連結され、その間にある少なくとも1つの他の場所に連結さているのは、本発明の特有の特徴である。再度、図4aおよび図4cを参照すると、コアワイヤ30は、側枝ルーメン36がカテーテル18から出るB−B断面の領域でカテーテル18に結合されている。さらに、コアワイヤ30は、市販の固定ワイヤバルーン内にあるフィラメントと比べて比較的太くなっている。この種のフィラメントは通常、約0.127mm(0.005インチ)から約0.229mm(0.009インチ)の範囲(最も一般的には約0.178mm(約0.007インチ))にあり、一方、本発明のコアワイヤ30は、約0.229mm(0.009インチ)から約0.305mm(0.012インチ)の範囲(最適には、約0.254mm(約0.01インチ))にある。この太さにより、コアワイヤ30とカテーテル18との結合部を増設したこととともに、カテーテル18の全長に沿って剛性が付与される。この剛性により、カテーテル18の近位端22から遠位端20への回転力の伝達が可能になり、かつポリマー被覆物の曲げやねじりに起因するそのような力の損失を最小限にするのが可能になり、それ
によって、システムのトルク能力が高まる。さらに、コアワイヤ30および上記の特徴に
よって付与された剛性により、ポリマー被覆物やシステム10の他の比較的軟性の部分に
よる押し込み力の吸収が防止されて、本発明のシステムの押し込み能力が高まる。
【0032】
システム10は、細長い主部材16に配置されたステント12を有し、ステント12は側部開口14を有する。1つの実施形態では、側部開口14は専用の側部開口であり、他の実施形態では、側部開口14は、ステント12の構造内の任意の開口である。例えば、ダイヤモンド形状としたストラットを有するステントは、任意のセルを使用して分岐血管に到達できるので、専用の側部開口を必要としないであろう。好ましい実施形態では、細長い補助部材34は、側枝ガイドワイヤをそれに通して配置するための側枝ルーメン36である。側枝ルーメン36は、遠位端40および近位端42を有し、近位端42でカテーテル18に接続され、遠位端40ではカテーテル18に結合されていない。細長い主部材と細長い補助部材(この実施形態ではカテーテル18と側枝ルーメン36)が切り離される地点は、股点44として規定される。代替の実施形態では、側枝ルーメン36は、股点44より近位でも遠位でもカテーテル18に接続されないで、股点44でのみカテーテル18に接続される。コアワイヤ30はさらに、蛍光下での手技時に視覚化できる蛍光マーカ32を有する。好ましい実施形態では、マーカ32は、マーカ列を形成しながら、ステント12の各端部および股点44と整列している。例示的な好ましい実施形態では、さらなるマーカが側枝ルーメン36の遠位端40に含まれる。この構成により、システム10の血管内での回転方向の整列を見ることができる。マーカ構成と整列に関する検討については、図27aから図27dおよび図28に関連させて、下記にさらに詳細に説明される。代替の実施形態では、システム10の重要な位置を視覚化できる任意のマーカ構成を使用することができる。
【0033】
股点44は、側枝ルーメン36の遠位端40に近接して配置されるのが好ましい。なお、図における股点44の表示は、単に表示することを目的としているに過ぎず、股点44は、示される通り実際の連結部材を含まないこともある。結合していない部分の長さは、1mm未満が好ましい。例示的な好ましい実施形態では、結合していない部分の長さは、約0mmである、すなわち、側枝ルーメン36の遠位端40は股点44にある。なお、この実施形態では、側枝ルーメン36内のガイドワイヤは、図5を参照して以下に説明するように、側枝血管に入るように構成されている。側枝ルーメン36内に配置されたこのガイドワイヤと、細長い主部材16は、股点44を形成する。代替の実施形態では、結合していない部分の長さは、約1mmから約5mmであるか、または、より好ましくは、2mmである。側枝ルーメン36は、必要に応じて、近位方向にも遠位方向にも、長くできるし、短くすることもできる。好ましい実施形態では、側枝ルーメン36の、股点44より近位にある部分は、約10mmから約30mmであり、例示的な好ましい実施形態では、約25mmである。側枝ルーメン36を少なくともハイポチューブ25の一部に沿って近位方向に延長することによって、システム10の剛性が高くなり、それにより、血管内で容易に回転できるようになる。代替の実施形態では、側枝ルーメン36の、股点44より近位にある部分は、約5mmから約15mmである。
【0034】
線A−A、線B−B、および線C−Cに沿った断面図が、図4b、図4c、および図4dにそれぞれ示されている。図4bに示すように、側枝ルーメン36は、近位位置でカテーテル18内に配置されている。コアワイヤ30は中心にあり、側枝ルーメン36は、コアワイヤ30とカテーテル18の縁部の間にある。図4cに示すように、側枝ルーメン36は、出口点37でカテーテル18に結合されている。図4dに示すように、側枝ルーメン36は、出口点37より遠位でバルーン24の外にあり、これに隣接している。
【0035】
分岐点に配置されたシステム10を示す図5について以下に言及する。股点44は、ステント12を血管内に配置する際の重要な要素である。カテーテル18が主血管1にあり、側枝ルーメン36内の側枝ガイドワイヤ38が分岐血管2に配置されている場合、システム10は、股点44が分岐点3に到達する地点を越えて進むことはできない。したがって、システム10は、実質的に予測どおりに位置決めされ、行き過ぎが防止される。側枝ガイドワイヤ38は、最適な剛性を有するように選択される。好ましい実施形態では、ガイドワイヤ38は、システム10を案内し、システム10が分岐点10を越えて進むのを防止するだけ十分に硬いが、血管に穴をあけるほど硬くはない、中間の剛性を有する。
【0036】
例示的な好ましい実施形態では、システム10を導入する方法は以下のようになる。第1に、分岐血管2内に側枝ガイドワイヤ38を配置する。側枝ガイドワイヤ38の近位端を側枝ルーメン36の遠位端40に導入する。側枝ガイドワイヤ38を側枝ルーメン36内に配置したならば、システム10を主血管1に通して進める。固定ワイヤ26は、前進するときの案内となる。代替の実施形態では、側枝ガイドワイヤ38を最初に導入しないで、案内として固定ワイヤ26のみを使用して、システム10を進める。この実施形態では、側枝ガイドワイヤ38は、最初に側枝ルーメン36に逆から挿入され、システム10が主血管1を進むときに側枝ルーメン36内に入ったままである。どちらの場合にも、システム10は、絡まる危険性無しに自由に回転できる。股点44が分岐点3に到達すると、システム10の進行は自動的に止まる。この時点で、システム10は所定の位置にあって、側枝ガイドワイヤ38は分岐血管2内にあり、ステント12は、平行移動方向にも回転方向にも正しい位置にある。次いで、バルーン24を膨らませ、それによって、ステント12を血管内で展開する。このように、股点44の位置の正確さに応じて、位置決め精度が前もって決まる。展開した後、システム10を分岐血管2から取り出す。説明したような本発明の特有の特徴とは、必要な場合に、分岐ガイドワイヤ38によって、カテーテルを素早く交換する能力にある。
【0037】
本発明の特有の特徴によって、全体的に外径を小さくしたまま、回転方向および平行移動方向の両方で正確に位置決めすることが可能になるのは明らかである。好ましい実施形態では、全体的な外径は、0.5mmから1.5mmである。具体的には、例えば、側枝ルーメン36をバルーン24に直接接続され、股点44の位置を前もって決めることによって、側枝ルーメン36は、平行移動平面内でのガイドとして働く。固定ワイヤを使用すると、特に、ガイドワイヤが1つだけ(すなわち、分岐ガイドワイヤ)になるので、トルク能力が付与され、回転が容易になる。結合された、比較的太いコアワイヤ30があるので、剛性が付与され、トルクおよび押し込み力の伝達が容易になる。遠位端40が細長い主部材16に結合されていない側枝ルーメン36の構造、またはそれに通して置かれたガイドワイヤが細長い主部材16に結合されていない側枝ルーメン36の構造により、最初に、側枝ルーメン36を分岐血管2に入れることが可能になる。この態様により、ワイヤが絡むことのない、実質的に予測可能なシステムの回転および実質的に予測可能な回転方向の位置決めが可能になる。
【0038】
1つの実施形態では、図3、図4aから図4d、および図5に示したシステム10は、頭蓋内動脈瘤を治療する際に使用するように構成されている。そのような動脈瘤を治療する現在の方法には、例えば、ボストンサイエンティフィック社(米国、マサチューセッツ州)によって製造されたニューロフォーム(登録商標)などの自己膨張式ステントの使用が含まれる。具体的には、そのようなステントが動脈瘤の部位に置かれて展開され、その後、展開したステントの開口を通じて標準的なマイクロカテーテルを導入することができる。マイクロカテーテルを通じて塞栓コイルを動脈瘤に導入して、動脈瘤の部位を塞ぐ。自己膨張式ステントは、その薄い外形と機動性故に一般的に使用され、これらの特徴は、頭蓋内動脈瘤の該当する小血管にとって不可欠である。しかし、自己膨張式ステントは、位置決めにおいて問題を起こしやすく、展開時に所定の位置に固定するのが困難である。本発明の好ましい実施形態で説明したシステムは、動脈瘤の治療用の自己膨張式ステントの代わりに使用することができ、良好な位置決めおよび固定だけでなく、小外形および機動性といった利点をともにもたらす。
【0039】
本発明の1つの実施形態による頭蓋内動脈瘤を治療する方法の各段階を示す図30Aから図30Eについて以下に言及する。図30Aに示すように、動脈瘤202がある血管200にシステム10を導入し、図30Bに示すように、ステント12の側部開口14が動脈瘤の部位に位置するようにシステム10を位置決めする。あるいは、側部開口のないステントを使用することもできる。マーカを使用する、かつ/またはガイドワイヤ38を側枝ルーメン38に導入することによって位置決めを行うことができる。システムが所定の位置に来ると、図30Cに示すように、ステント12を展開する。図30Dに示すように、ステント12およびガイドワイヤ38を動脈瘤の部位の所定の位置に残して、カテーテル18を取り出す。図30Eに示すように、次いで、標準のマイクロカテーテル204をガイドワイヤ38上で側部開口14に通して、動脈瘤の領域に導入し、塞栓コイル206をマイクロカテーテルから部位に配送する。
【0040】
本発明の代替実施形態によるシステム10を示す図6について以下に言及する。図6に示すように、システム10はさらに、バルーン24の遠位端に接続された遠位連結部材46を有する。好ましい実施形態では、遠位連結部材46は、バール24の結合領域28に接続されている。代替の実施形態では、遠位連結部材46は、側枝ルーメン36より遠位にある、バルーン24上の他の任意の位置に接続されている。遠位連結部材46は、システム10が分岐点3の近傍に来るまで、側枝ガイドワイヤ38を所定の位置に保持するように構成されている。これは、システム10の配送時に、側枝ガイドワイヤ38が血管内で様々な動きをし、場合によっては損傷を引き起こすのを防止する。システム10が分岐点3の近傍におおよそ入ると、側枝ガイドワイヤ38を近位方向に引いて遠位連結部材46から解放し、その後、側枝ワイヤガイドを分岐血管2に進める。次いで、股点44がさらなる進行を妨げるまで、システム10を前進させ、バルーン24を膨らませ、ステント12を展開する。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態によるシステム10を示す図7について以下に言及する。図7に示すように、側枝ルーメン36は、バルーン24の内部に配置され、バルーン24に沿った位置に出口点37を有する。ステント12に対する出口点37のこの位置は分岐点を規定し、この分岐点は、前出の実施形態で説明した股点44の位置と一致し、機能上も同等である。1つの実施形態では、側枝ルーメン36は股点44で終端となる。代替の実施形態では、側枝ルーメン36は、股点44を越えて遠位方向に延びる。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態によるシステム10を示す図8について以下に言及する。側枝ルーメン36は、細長い主部材16の外に隣接して配置されている。股点44は、側枝ルーメン36とバルーン24の間の接続位置より遠位に配置されている。側枝ルーメン36の、接続位置と股点44の間にある部分は、バルーン24に結合されてもよいし、結合されなくてもよい。
【0043】
ステントとともに示した、本発明のさらに別の実施形態によるシステム10を示す図9aおよび図9bについて以下に言及する。この図では、側部穴14は専用の側部穴ではなくて、ステント12の胴体内の任意の開口である。なお、このタイプのステントは、本明細書で説明するすべての実施形態に含まれ得る。システム10は、バルーン24の遠位端に固定ワイヤではなくて主ガイドワイヤ39を有する。主ガイドワイヤルーメン50は、バルーン24の結合領域28に配置されている。好ましい実施形態では、主ガイドワイヤルーメン50は比較的短い、すなわち、1mmから5mmとされる。代替の実施形態では、主ガイドワイヤルーメン50は、バルーン24の側部に沿って近位方向に延びている。好ましい実施形態では、図9aに示すように、主ガイドワイヤ39と側枝ガイドワイヤ38の間のワイヤ交差を回避するように、主ガイドワイヤ39がステント12の外側に配置されている。代替の実施形態では、図9bに示すように、主ガイドワイヤ39がステント12内に配置されている。好ましい実施形態では、示される通り、主ガイドワイヤルーメン50が、側枝ルーメン36とは反対の側に配置されている。
【0044】
本発明の代替の実施形態(図示せず)では、システム10は、固定ワイヤの代わりにメインガイドルーメンを有し、さらに、上記の様々な実施形態に倣って股点44を有する。
【0045】
図9bに示す実施形態により、主ガイドワイヤ39を挿入中に固定し、バルーンの膨張後に移動可能にすることができるようになる。1つの実施形態では、主ガイドワイヤ39は、挿入中に、ステントが圧接することで固定される。別の実施形態では、バルーン24は、膨らむ前にガイドワイヤ39を保持し、膨らんだ後にガイドワイヤ39を解放するように形成される。バルーン24の構造は、萎んだ状態の場合だけバルーン24上に存在するルーメンとして定義される「一時ルーメン」を形成する。すなわち、バルーン24の膨張により、バルーン24が展開し、その結果、一時ルーメンがなくなって、ガイドワイヤ39が解放される。主ガイドワイヤ39が一時ルーメン27内に配置された、萎んだ状態のバルーン24を示す、本発明の実施形態によるシステム10の断面図である図31aおよび図31bについて以下に言及する。図31Aに示すように、バルーン24は、「S字」形状に折り曲げられていて、「S字」形状の湾曲部分の1つに収容領域80がある。主ガイドワイヤ39は、収容領域80に配置され、一方、細長い補助部材34は、バルーン24の外に配置されている。ステント12は、バルーン24、主ガイドワイヤ39、および補助側枝ルーメン36を囲んで配置されている。別の実施形態では、図31Bに示すように、バルーン24はフック付きの「Y字」形状に折り曲げられ、「Y字」形状の底部が湾曲して、収容領域82を形成している。「Y字」形状の、「Y字」の2つのアームによって規定された部分は、第2の収容領域84として働き、側枝ルーメン36を保持する。収容領域80または収容領域82は一時ルーメン27として機能し、バルーン24が膨らむまで、主ガイドワイヤ39を少なくとも部分的に収容する。ステント12は、バルーン24、主ガイドワイヤ39、および側枝ルーメン36を囲んで配置されている。
【0046】
この実施形態では、側枝ルーメン36は、ガイドワイヤを置くためのガイドワイヤ筐体である。好ましい実施形態では、ガイドワイヤ筐体は、股点でカテーテルに少なくとも部分的に接続されている。好ましい実施形態では、ガイドワイヤ筐体は、カテーテルの外形を最小化するように、カテーテル胴体内に少なくとも部分的に配置される。ガイドワイヤ筐体遠位端を接続位置に配置するか、または接続位置より遠位に配置することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、ガイドワイヤルーメン50は、バルーン遠位端に接続され、長さが15mm未満である。一時ルーメン27を形成する収容領域80または収容領域82は、ガイドワイヤ遠位端が、ガイドワイヤルーメンを通って配置でき、ガイドワイヤ遠位端より近位にあるガイドワイヤの部分が、一時ルーメン27に配置できるように、長手方向に、ガイドワイヤルーメンと位置を調整されるのが好ましい。好ましい実施形態では、一時ルーメン27およびガイドワイヤルーメンは、ガイドワイヤ筐体とは反対の側にある。さらなる特徴において、ガイドワイヤ筐体は、前記カテーテル胴体内に少なくとも部分的に配置され、バルーン上の位置でカテーテル胴体に接続されている。その位置は、バルーンのほぼ中央とされる。
【0048】
手技中に、ガイドワイヤ39がガイドワイヤルーメン50を通って一時ルーメン27に配置されたカテーテルシステムを血管に導入する。バルーンの膨張時に、ガイドワイヤ39を一時ルーメン27から解放して、カテーテルに対して移動可能にする。好ましい実施形態では、一時ルーメン27の近位端より近位に配置されたハウジングが、ガイドワイヤ39の一部を所定の位置に保持する。さらに、カテーテル近位端にトルカ(torquer)を配置することができる。この方法は、固定ワイヤとしての有効性とともに、手技中に血管内に配置される第2のガイドワイヤとしてのさらなる有効性をもたらす。
【0049】
病巣タイプ4Aおよび病巣タイプ4B
第2の実施形態では、ステント配送システム110が、図29eおよび図29fに示すように、タイプ4Aまたはタイプ4Bの分岐部病巣に配送されるように設計されている。タイプAの病巣では、プラーク4が分岐管2内で分岐点3かまたはその近くに位置している。タイプ4Bの病巣では、プラーク4が主血管1内で分岐点3の地点より遠位に位置している。この種の配置の1つの例には冠状動脈があり、例えば、冠状動脈内のプラークを覆いながら、冠状動脈の左前下行枝(LAD)の閉塞を回避することになる。他の例には、腎動脈、左主冠動脈、静脈移植血管などがある。
【0050】
タイプ4Aまたはタイプ4Bの分岐部病巣にステントを配送するためのシステム110の様々な実施形態を示す図11aから図11cについて以下に言及する。システム110は、図11aに示すように、固定ワイヤ付きか、図11bに示すように、ワイヤ上で動作するシステムとしてか、または、図11cに示すように、急速な交換システムとして設計できる。
【0051】
単一ワイヤシステムとして設計されたシステム110を示す図11aについて以下に言及する。システム110は、細長い主部材116および細長い補助部材134を有する。好ましい実施形態では、細長い主部材116はカテーテル118である。好ましい実施形態では、カテーテル118は、遠位端に固定ワイヤ126を備えたバルーン124を有する。ステント112は、バルーン124上に配置されている。好ましい実施形態では、細長い補助部材134は側枝ルーメン136であり、股点144でカテーテル118に接続されている。側枝ルーメン136は、近位端142および遠位端140を有する。好ましい実施形態では、側枝ルーメン136は、近位でカテーテル118内に配置され、出口点137で細長い主部材116を出て、股点144で細長い主部材116に接続されている。側枝ルーメン136の中で出口点137と股点144の間にある部分は、結合されていても、結合されていなくてもよい。好ましい実施形態では、側枝ルーメン136の遠位端は股点144にあり、その中に置かれたガイドワイヤは遠位方向に延びて、中継点をもたらす。代替の実施形態では、側枝ルーメンの遠位端は、股点144より1mmから5mmだけ遠位に配置され、この場所ではカテーテル118に結合されていない。
【0052】
代替の実施形態では、側枝ルーメン136は、股点144より近位でカテーテル118の外に、これと平行して配置され、股点144より遠位では、細長い部材116に結合されていない。代替の実施形態では、側枝ルーメン136は、股点144より近位でも遠位でもカテーテル118に結合されていない。股点144は、ステント112の近位端か、または近位端の近くに配置されている。好ましい実施形態では、股点144は、ステント112の近位端の直近位にある。
【0053】
ワイヤ上の二重レールシステムとして設計されたシステム110’を示す図11bについて以下に言及する。システム110’は、バルーン124’の遠位端の固定ワイヤの代わりに、主ガイドワイヤルーメン125が設けられ、カテーテル118’の長さ方向に延びていることを除いて、図11aに示したシステム110と同様である。主ガイドワイヤは、主ガイドワイヤルーメン125を通って主血管1に入るように配置されている。システム110’は、主ガイドワイヤルーメン125内に配置された主ガイドワイヤによって部位に導入されてもよいし、側枝ルーメン136’内に配置された分岐ガイドワイヤによって部位に導入されてもよい。
【0054】
急速交換型二重ワイヤシステムとして設計されたシステム110”を示す図11cについて以下に言及する。システム110”は、固定ワイヤまたはカテーテル118”の長さ方向に延びる主ガイドワイヤルーメンの代わりに、短い主ガイドワイヤルーメン127が設けられ、近位で出口点129まで延びていることを除いて、図11aおよび図11bに示す2つのシステム110、110’と同様である。これらのタイプのシステムは、当技術分野では公知であり、カテーテルの交換を容易にすることで知られている。本発明では、股点144を配置したことにより、血管内でのより正確な留置が可能になる。
【0055】
タイプ4Bの病巣に対して分岐点3に配置されたシステム110を示す図12について以下に言及する。側枝ガイドワイヤ138は、分岐血管2に導入されている。システム110は、側枝ルーメン136の股点144が分岐点3に来るまで、側枝ガイドワイヤ138上で、システムのタイプに応じて、固定ワイヤ126かまたは主ガイドワイヤ139のいずれかによって案内される。好ましい実施形態では、遠位端140は股点144にあり、ガイドワイヤ138だけが分岐血管2に入る。代替の実施形態では、側枝ルーメン136が側枝血管2内に延びる。システム110は、股点144が分岐点3に到達し、その後システム110が自動的に前進をやめるまで、ゆっくりと前進する。次いで、バルーン124を膨らませてステント112を展開する。展開の後、バルーン124を萎ませて、システム110を取り出す。タイプ4Aの病巣に対しては、側枝ガイドワイヤ138を主血管2に導入し、システム110を分岐血管2に案内することを除いて、同様な方法が使用される。
【0056】
代替の実施形態では、システム110はカテーテルシステムであり、図32に示すようにステントを含んでいない。股点144は、ステント112の近位端かまたはその近くではなく、バルーン124の近位端かまたはその近くに配置された接続点である。より具体的には、バルーン124は作用長部分146、近位狭窄部分148、および遠位狭窄部分149を含む。作用長部分146は、バルーン124の最大外径の部分として定義され、一方、近位狭窄部分148および遠位狭窄部分149は、バルーン124の中の、作用長部分146よりも直径が小さい部分である。1つの実施形態では、股点144は、作用長部分146よりも近位にあり、実施形態によっては、作用長部分146が近位狭窄部分148と交わる接合部に配置される。細長い補助部材134は、その中にガイドワイヤを置くためのガイドワイヤ筐体である。好ましい実施形態では、ガイドワイヤ筐体は、股点でカテーテルに少なくとも部分的に接続されている。好ましい実施形態では、ガイドワイヤ筐体は、カテーテルの外形を最小にするように、少なくとも部分的にカテーテル胴体内に配置されている。ガイドワイヤ筐体遠位端を接続位置かまたはそれより遠位に配置することができる。容易に分かるように、コアワイヤ130を、固定ワイヤ126を接続されたバルーン124に通して、カテーテルのハイポチューブに配置し、システム110全体に剛性を付与することができる。
【0057】
本発明の別の実施形態による、ステントのないシステム710の概略図である図33Aから図33Gについて以下に言及する。システム710は、本発明の実施形態ではカテーテル軸である細長い主部材716と、細長い主部材716に接続されてその中に配置されたコアワイヤ730を有する。コアワイヤ730は、細長い主部材716に沿って特定の地点に配置されたコアワイヤ出口点743からカテーテル軸を出るので、コアワイヤは、細長い主部材716の外に配置され、外部コアワイヤ731と呼ばれる。1つの実施形態では、コアワイヤ出口点743は、細長い主部材716の遠位端にある。他の実施形態では、コアワイヤ出口点743は、細長い主部材716に沿った他の位置にある。バルーン724は、細長い主部材716の遠位端に配置され、示した膨張ルーメンを介してか、または細長い主部材716の内部部分が膨張ルーメンとして働く構成でかのいずれかで、細長い主部材716の内部部分と流体連通している。バルーン724は、例えば、1.25mmから10.0mmの範囲の様々な直径で作ることができる。固定ワイヤ726は、バルーン724の遠位端に配置されている。1つの実施形態では、バルーン724は、当技術分野で公知の固定ワイヤバルーンとされる。そのようなバルーンの例として、ボストンサイエンティフィック社(米国マサチューセッツ州ナティック)のAce(登録商標)バルーンカテーテル用に使用されるタイプのものがある。別の実施形態では、バルーン724は、固定ワイヤが接続された任意のバルーンである。外部コアワイヤ731はバルーン724と平行して延び、バルーン724の遠位端で固定ワイヤ726に連結されている。1つの実施形態では、コアワイヤ730、外部コアワイヤ731、および固定ワイヤ726はすべて、同じワイヤからなる。別の実施形態では、コアワイヤ730、外部コアワイヤ731、および固定ワイヤ726のどれかまたはすべては、特定の場所で連結された独立したワイヤ片である。いずれにしても、接続位置または結合箇所が幾つかあることで、カテーテルの全長にわたって力を伝達できるようになり、それによって、全体的なトルク能力と回転能力が高まる。特に、以下の場所、すなわち、バルーン724の遠位先端部、コアワイヤ出口点743、および内部接続位置745のどれか、またはすべてで結合を行うことができ、この内部接続位置745は、コアワイヤ730が細長い主部材716に接続された、細長い主部材716内の一箇所である。本発明の実施形態では、細長い主部材はハイポチューブで構成され、コアワイヤ730は、ハイポチューブに接続されている。さらなる接続位置を同様に有することができる。外部コアワイヤ731はさらに、視覚化
のためのマーカ732を有する。
【0058】
図33Aに示した実施形態では、細長い補助部材734は、素早く交換するための出口点729を有する。細長い補助部材734の少なくとも一部は、細長い主部材716の内部に配置され、また、その中に置かれたガイドワイヤ739用の遠位出口点737を有する。1つの実施形態では、遠位出口点737を通って配置されたガイドワイヤ739は、バルーン724の近位端かまたはその近くに股点744を形成する。股点があると、例えば、側枝内にシステム710を固定して、治療する血管内でのすべりを回避するのに役立てることができる。図33Bでは、バルーン724はその膨らんだ状態で示されている。示される通り、外部コアワイヤ731は、バルーン724と平行して配置され、硬いまたは困難な病巣を割り、または破壊するための、力が集中する領域を形成する。1つの実施形態では、細長い補助部材734を通って配置されたさらなるガイドワイヤ739を使用して、力が集中した領域を増設することができる。幾つかの実施形態では、さらなるガイドワイヤ739は、システム710のまわりに力が集中した複数の領域を形成するように、外部コアワイヤ731から回転方向に離れて配置される。容易に分かるように、異なる回転方向を色々とることが可能であるのは明らかだが、例えば、外部コアワイヤ731か
ら約180°の角度で細長い補助部材734を配置することができる。
【0059】
システム710の中の、コアワイヤ出口点743より近位にある部分の断面図である図
33Cについて以下に言及する。図33Cに示すように、細長い主部材716は、バルー
ン724と流体連通し、バルーン724を膨らますために流体を供給する膨張領域、すな
わち、示した膨張ルーメン720を有する。流体は、細長い主部材716の近位端に配置
された膨張口752から導入可能である。細長い補助部材734は、細長い主部材716
内に配置されている。コアワイヤ730は、細長い主部材716内のどこにでも配置する
ことができ、より具体的には、膨張ルーメン720内に配置することができる。
【0060】
システム710の中の、バルーン724を通る部分の断面図であり、バルーン724が
2つの実施形態による萎んだ状態で図33Dおよび図33Eに示され、膨らんだ状態で図
33Fに示された図33Dから図33Fについて以下に言及する。示される通り、バルーン724がその萎んだ形態でたたまれている。外部コアワイヤ731は、バルーン724をたたんだ内部に配置されている。ガイドワイヤ739がある場合、バルーン724と平行したガイドワイヤ739を見ることができる。図33Fに示すように、バルーン724が膨らむと、外部コアワイヤ731は、バルーン724と平行して配置される。ガイドワイヤ739もまた、バルーンの外周のまわりの別の位置で、バルーン724と平行して配置される。容易に分かるように、ガイドワイヤ739の使用は任意である。さらに、全体システム710は、細長い補助部材なしで作ることができ、外部コアワイヤ731を利用して力を集中させる。
【0061】
別の実施形態による、システム710の、バルーン724を含む部分の断面図である図33Gについて以下に言及する。この実施形態では、幾つかの外部コアワイヤ731、733、735が使用されている。3つの外部コアワイヤを示しているが、任意の適切な数量のコアワイヤを使用することができる。1つの実施形態では、コアワイヤ730は、コアワイヤ出口点743で複数のワイヤに分割され、複数のコアワイヤは、ともに固定ワイヤ726に結束される。
【0062】
ワイヤ上にある構成のシステム710を示す図34Aから4Cについて以下に言及する。この実施形態では、急速な交換用の出口点729がない。もっと正解に言えば、ガイドワイヤ口750が、細長い主部材716の近位端に配置され、細長い補助部材734が、細長い主部材716の全長に沿って内部に延びている。ガイドワイヤ口750および膨張口752は、示される通り、例えば、Y字形状で構成することができる。システム710の軸に沿った断面を示す2つの実施形態である図34Bおよび図34Cに示すように、細長い補助部材734および膨張ルーメン720は互いに平行して延び、コアワイヤ730が細長い補助部材734と膨張ルーメン720の両方に沿って配置されている。容易に分かるように、細長い補助部材734、膨張ルーメン720、およびコアワイヤ730の相対位置は、例えば、図34Bおよび図34Cの2つの変形形態にそれぞれ示すように可変である。
【0063】
上記のように、固定ワイヤバルーンおよび細長い補助部材734を有するカテーテルシステムは、通常の病巣および二股に分かれた病巣の両方を治療する際に有利であり得る。二股でない病巣に対しては、ガイドワイヤを血管内に病巣を通り過ぎるまで導入する。次いで、ガイドワイヤ近位端を細長い補助部材734に導入して、ガイドワイヤ上でカテーテルを前進させる。カテーテルが病巣に到達し、ガイドワイヤがバルーンと平行の状態になる所定の位置に固定されるまでカテーテルを進める。バルーンが膨らむと、ガイドワイヤは病巣部位に押しつけられて力を集中させ、バルーンが完全に膨らむ前に、利用者が低い圧力で硬い病巣を割るのを可能にする。そうすることで、血管が低歪み速度で伸長するのを可能にし、それによって、バルーン拡張に伴う損傷を最小限にする。外部コアワイヤ731を使用すると、集中した力が増強される。あるいは、病巣を横断するのに、ガイドワイヤを導入する代わりに、固定ワイヤ726が使用される。この実施形態では、細長い補助部材734は、任意選択で含まれなくてもよい。次いで、バルーン724を膨張させると、外部コアワイヤ731が集中した力をもたらす。細長い補助部材734がある場合、ガイドワイヤ739を細長い補助部材734に通して補助的に導入し、集中した力を増強させることができる。これらの力は、腎血管や末梢血管で見られるものを含む様々な病巣の治療と、弁形成術(valvioplasty)など大きな力を必要とする手技とに有用であり得る。
【0064】
さらに、システム710は、病巣より遠位に導入される必要がある器具用の薄型担体を形成する。固定ワイヤ726またはガイドワイヤ739を使用して病巣を横断する。次いで、バルーン724を膨らませると、外部コアワイヤ731もしくは数個の外部コアワイヤ、ガイドワイヤ739、またはそれらの任意の組み合わせによって、集中した力がもたらされる。病巣が割られると、システム710を病巣領域より遠位に配置することができる。次いで、ガイドワイヤ、造影剤、または臨床的有用性を有する任意の他の部品などの必要とされる補足部品または器具用の導管として、細長い補助部材734を利用することができる。そのような部品を細長い補助部材734に通して、血管内で病巣より遠位にある地点に容易に置くことができる。
【0065】
さらに、ガイドワイヤ筐体があることで、システムを再導入しないで、分岐点に位置する病巣を治療する機会が与えられる。第1の血管にある病巣を治療した後、ガイドワイヤを近位方向に引き戻し、分岐点で第1の血管に連結された第2の血管にガイドワイヤを導入する。バルーンを萎ませ、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを後退させて、第2の血管に導入する。次いで、バルーンを膨らませて、第2血管内の病巣を圧迫する。
【0066】
代替の方法では、ガイドワイヤを第2の血管に導入し、カテーテルについては、ガイドワイヤ上で分岐点を通過させて第1の血管に進める。次いで、バルーンを膨らませ、病巣を圧迫することによって第1の病巣を治療する。バルーンを萎ませ、カテーテルを後退させて、ガイドワイヤがバルーンと平行して配置されるように、カテーテルを第2の血管に導入する。バルーンが膨らむと、ガイドワイヤは病巣部位に押しつけられて力を集中させ、バルーンが完全に膨らむ前に、利用者が低い圧力で硬い病巣を割るのを可能にする。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態による、ステントのないシステム810を示す図35について以下に言及する。システム810は、本発明の実施形態ではカテーテル軸である細長い主部材816と、細長い主部材816に接続され、その中に配置されたコアワイヤ830とを有する。システム810はさらに、本発明の実施形態ではガイドワイヤルーメンである細長い補助部材834を有する。コアワイヤ830は、細長い主部材816に沿って特定の地点に配置されたコアワイヤ出口点843からカテーテル軸を出るので、コアワイヤは、細長い主部材816の外に配置され、外部コアワイヤ831と呼ばれる。1つの実施形態では、コアワイヤ出口点843は、細長い主部材816の遠位端にある。他の実施形態では、コアワイヤ出口点843は、細長い主部材816に沿った他の位置にある。バルーン824は、細長い主部材816の遠位端に配置され、示した膨張ルーメンを介してか、または細長い主部材816の内部部分が膨張ルーメンとして働く構成でかのいずれかで、細長い主部材816の内部部分と流体連通している。バルーン824は、例えば、1.25mmから10mmの範囲の様々な直径で作ることができる。外部コアワイヤ831はバルーン824と平行して延び、外部コアワイヤ831の遠位端833は、システム810の遠位端に接続され、本実施形態ではバルーン824の先端に接続されて示されている。1つの実施形態では、コアワイヤ830および外部コアワイヤ831は、同じワイヤからなる。別の実施形態では、コアワイヤ830および外部コアワイヤ831は、特定の1つの場所または複数の場所で連結された独立したワイヤ片である。いずれにしても、接続位置または結合箇所が幾つかあることで、カテーテルの全長にわたって力を伝達できるようになり、それによって、全体的なトルク能力と回転能力が高まる。特に、以下の場所、すなわち、バルーン824の遠位先端部、コアワイヤ出口点843、および内部接続位置のどれか、またはすべてで結合を行うことができ、この内部接続位置は、コアワイヤ830が細長い主部材816に接続された、細長い主部材816内の一箇所である。本発明の実施形態では、細長い主部材はハイポチューブで構成され、コアワイヤ830は、ハイポチューブに接続されている。さらなる接続位置を同様に有することができる。外部コアワイヤ831はさらに、視覚化のためのマーカを有する。
【0068】
図35に示した実施形態では、細長い補助部材834の少なくとも一部が、細長い主部材816の内部に配置され、また、その中に置かれたガイドワイヤ849用の遠位出口点837を有する。遠位短レール851は、システム810の、遠位出口点837より遠位にある部分に配置され、ガイドワイヤ849がカテーテルに確実に近接するように働く。遠位短レール851は、10mmから15mmの範囲にあるのが好ましい。ガイドワイヤ849を細長い補助部材834および遠位短レール851に通して配置すると、それにより、固定ワイヤを増設する必要なしに、システム810がガイドワイヤ849上で血管内を進むための追跡部材として遠位短レール851を使用することができる。示される通り、外部コアワイヤ831は、バルーン824と平行して配置され、硬いまたは困難な病巣を割る、あるいは破壊するための、力が集中した領域を形成する。1つの実施形態では、細長い補助部材834を通って配置されたガイドワイヤ849を使用して、力が集中した領域を増設することができる。幾つかの実施形態では、ガイドワイヤ849は、システム810のまわりに力が集中した複数の領域をもたらすように、外部コアワイヤ831から回転方向に離れて配置される。例えば、外部コアワイヤ831から約180°離れて細長い補助部材834および遠位短レール851を配置することができるが、容易に分かるよ
うに、異なる回転方向を多数とることが可能である。
【0069】
代替の実施形態では、ステント配送システム210は、主血管1と、主血管1に対して角度をなす分岐血管2を有し、プラーク4が、分岐点3の領域で分岐血管2内に位置している図13に示すものなどの分岐病巣に配送されるように設計される。例示的な好ましい実施形態では、主血管1は大動脈である。
【0070】
本発明の実施形態によるシステム210を示す図14a、図14bについて以下に言及する。システム210は、細長い主部材216および細長い補助部材234を有する。好ましい実施形態では、細長い主部材216は、近位端222および遠位端220を有するカテーテル218である。カテーテル218は、ステントがその上に配置されたバルーン224を遠位端220に有する。1つの実施形態では、バルーン224は、主ガイドワイヤルーメン227を有する。代替の実施形態では、バルーン224は、第1および第2の実施形態に関連させて説明し、少なくとも図4a、および図11aに示した固定ワイヤバルーンである。好ましい実施形態では、主ガイドワイヤルーメン227は、近位方向にカテーテル218に沿って部分的にのみ延び、急速な交換用の出口点229を有する。代替の実施形態では、システム210は、ワイヤ上にあるシステムであり、ガイドルーメン227は、近位でカテーテル218の近位端に延びる。好ましい実施形態では、細長い補助部材234は、以下にさらに詳細に説明する位置決めシステム236である。
【0071】
好ましい実施形態では、位置決めシステム236は、ストッパ部材250および接続機構252を有する。好ましい実施形態では、ストッパ部材250は、接続機構252とは分離しており、第1の形状に延ばすことができ、第2の形状に折り曲げられるか、復元力で曲がるか、またはその他の方法でストッパとして働くように配置される、例えば、スプリングワイヤ、可撓性ポリマー、または他の材料からなる。代替の実施形態では、ストッパ部材250は、接続機構252の一部であるが、また、第1の形状に延び、第2の形状でストッパとして働くように配置することができる。1つの好ましい実施形態では、ストッパ部材250は、例えば、ニチノール(登録商標)などの形状記憶金属からなる。ここで説明する実施形態では、スプリングワイヤは、ストッパ部材250として使用され、ストッパ部材は、その伸長していない状態でカテーテル218に対して実質的に水平になり、解放されると、巻いてすなわち復元力で曲がってストッパになる。接続機構252は、股点244を形成するように、スプリングワイヤを細長い主部材216に接続されている。好ましい実施形態では、接続機構252は、近位端256および遠位端254を有する被覆物である。接続機構252は、接続機構252によって囲まれたストッパ部材250の近位部分が比較的真っ直ぐで、ストッパ部材250の遠位部分が囲まれないで自由に動けるように、(スプリングワイヤとして示した)ストッパ部材250を囲んでいる。接続機構252は、任意の生体適合性材料からなることができ、ポリマーからなるのが好ましい。好ましい実施形態では、股点244は、バルーン224の近位端に配置されている。
【0072】
1つの実施形態による、線A−Aに沿ったシステム210の断面図である図14bについて以下に言及する。カテーテル218は、主ガイドワイヤ239を導入するためのガイドワイヤルーメン227を有する。ストッパ部材250はカテーテル218の周囲にあり、接続機構252によって所定の位置に保持されている。
【0073】
保持器254内に部分的に閉じ込められたシステム210を示す図15aから図15bについて以下に言及する。保持器254の目的は、分岐点3の領域に到達するまで、ストッパ部材250を実質的に真っ直ぐな形態で一時的に保持することである。好ましい実施形態では、保持器254は剥離する装置である。保持器254が所定の位置にあるとき、ストッパ部材250は囲まれ、細長い主部材216の平面にほぼ沿って横たわる。図15aおよび図15bに示す実施形態では、ストッパ部材250は、ステント212と平行して延びるように、遠位方向に真っ直ぐになっている。股点244より近位の領域は、図15bの断面図に示され、カテーテル218内にあるメインガイドルーメン227と、接続機構252内に閉じ込められたストッパ部材250と、接続機構252を囲む保持器254とを含む。
【0074】
本発明の別の実施形態による、保持器254内に部分的に閉じ込められたシステム210を示す図16aから図16bについて以下に言及する。図16aおよび図16bに示した図では、ストッパ部材250は近位方向に曲げられ、ホルダ254がストッパ部材250を囲み、それらを所定の位置に保持している。すなわち、ストッパ部材250は、接続機構252の上に折り曲げられている。股点244より近位の領域は、図16bに断面で示され、カテーテル218内にあるメインガイドルーメン227と、接続機構252の内側および外側の両方にあって囲まれたストッパ部材250と、接続機構252およびストッパ部材250を囲む保持器254とを含む。
【0075】
ガイドカテーテル260内にあるシステム210を示す図17について以下に言及する。ガイドカテーテル260は、システム210が導入される近位端262および、血管に通じる遠位端264を有する。システム210がガイドカテーテル260の近位端262に誘導されると、ストッパ部材250は、ガイドカテーテル260内で所定の位置を維持できることから、保持器254が除去される。好ましい実施形態では、保持器254は剥離するシステムであり、システムから外壁を引き剥がして、取り除くことができ、一方システム210は、ガイドカテーテル260に案内される。この導入は、身体の外で行われる。代替の実施形態では、保持器254は、システム210がガイドカテーテル260に導入されつつあるときに、引き戻すことができるシースである。ホルダ254は、システム210がガイドカテーテル260内に入るまで、ストッパ部材250を所定の位置に保持する任意の装置とすることができる。
【0076】
本発明の実施形態による、システム210を分岐点に導入する方法を示す図18a、図18bについて以下に言及する。システム210がその中に配置されたガイドカテーテル260を主血管1に通して分岐点3まで導入する。例えば、蛍光マーカなどの、現在では当技術分野において公知の方法を使用して、ガイドカテーテル260の遠位端264を視覚化する。ガイドカテーテル260の遠位端264が分岐血管2の入口に来ると、図18aに示すように、システム210をガイドカテーテル260の遠位端264に通して前進させる。システムが前進すると、図18bに示すように、ストッパ部材250は、もはやガイドカテーテル260によって所定の位置に保持されず、復元力で曲がって、すなわち渦を巻いて、ストッパとして働くその第2の形態になる。次いで、図18cに示すように、システム210がさらに前進するのをストッパ部材250が妨げるまで、システム210を前進させる。この時点で、システム210は正確に位置決めされ、ステント212が展開される。
【0077】
Y字分岐
別の実施形態では、ステント配送システム310は、Y字形状の、図19に示した分岐点3に配送されるように設計される。主血管1は、2つの分岐血管、すなわち、第1の分岐血管2および第2の分岐血管2’に分岐し、プラーク4は、主血管および/または分岐血管内で分岐点3の領域に位置する。
【0078】
本発明の1つの実施形態による、ステント配送システム310を示す図20について以下に言及する。システム310は、細長い主部材316および細長い補助部材334を有する。好ましい実施形態では、細長い主部材316は、カテーテル318である。カテーテル318は、近位端322および遠位端320を有する。近位端322は、二重膨張用のY字弁を有するハブ321を含む。遠位端320は、2つのバルーン、すなわち、近位バルーン324および遠位バルーン325を有する。近位バルーン324および遠位バルーン325はそれぞれ、それ自体の膨張チャネルと流体連通している。外側膨張チャネル335は近位バルーン324と通じ、内側膨張チャネル327は遠位バルーン325と通じている。外側膨張チャネル335は、内側膨張チャネル327と同軸上にある。あるいは、外側膨張チャネル335と内側膨張チャネル327は、並んで配置される。いずれの場合でも、バルーン324、325は、独立して膨張させることができる。代替の実施形態では、外側膨張チャネルが遠位バルーン325と通じ、内側膨張チャネル327が遠位バルーン324と通じる。
【0079】
好ましい実施形態では、遠位バルーン325は、その遠位端に固定ワイヤ326を有する。代替の実施形態では、システム310は、メインガイドルーメンまたは図6に示した遠位連結部材50などの短い外部ガイドルーメンを有する。好ましい実施形態では、細長い補助部材334は、近位端342および遠位端340を有する側枝ルーメン336である。好ましい実施形態では、側枝ルーメン336は、カテーテル318内に配置され、出口点337から出る。出口点337より遠位で、側枝ルーメン336は近位バルーン324と隣接し、股点344でそれに接続されている。代替の実施形態では、側枝ルーメン336は、近位バルーン324に平行して置かれる。
【0080】
ステントを備えたシステム310を示す図21について以下に言及する。好ましい実施形態では、示される通り、2つのステントが含まれている。近位ステント312は、近位バルーン324上に配置され、遠位ステント313は、遠位バルーン325上に配置されている。各ステントは、その対応するバルーンを膨らませることによって独立して展開することができる。近位ステント312は、側枝ルーメン336の遠位端が近位ステント312の遠位端とほぼ合致するように配置されている。側枝ルーメン336とステント312の遠位縁部は、股点344を形成している。
【0081】
代替の実施形態では、側枝ルーメン336は、股点344を過ぎて遠位方向に延びる。本願で前に説明したすべての実施形態は、さらにここでも適用できる。代替の実施形態では、システム310は、用途に応じて、ステントを1つまたは2つ有するか、または全く有さない。例えば、ステントが近位バルーン上にのみある場合に、前拡張用にシステム310を使用することができる。あるいは、先細りとなった血管では、2つのステントの寸法が違っていなければならないことがあり、特定の寸法である一方のステントが、遠位バルーン325上に配置され、一方、寸法が異なるもう一方のステントが近位バルーン324上に配置される。
【0082】
Y字分岐内でシステム310を展開する方法を示す図22aから図22dについて以下に言及する。第1に、側枝ガイドワイヤ338を第1の分岐血管2に導入する。次いで、側枝ガイドワイヤ338の近位端を側枝ルーメン336の遠位端に通す。システム310を側枝ガイドワイヤ338上で主血管1に通して、第2の分岐血管2’まで前進させる。股点344が分岐点3に到達すると、図22aに示すように、システム310は進むことができず、所定の位置をとることになる。図22bに示すように、内側膨張チャネル327によって遠位バルーン325を膨らませて、分岐血管内の遠位ステント313を分岐点3のすぐ遠位で展開する。遠位ステント313を展開した後、外側膨張チャネル335によって近位バルーン324を膨らませて、近位ステント312を展開する。代替の方法が図22cに示されており、近位ステント312を最初に展開し、次いで遠位ステント313を展開する。代替の実施形態では、ステントを両方とも同時に展開する。両方のステントが展開され、所定の位置にある最終的な結果を図22dに示す。
【0083】
本発明の代替の実施形態による、先細りのバルーンシステム410を示す図23について以下に言及する。前の実施形態と同様に、先細りのバルーンシステム410は、細長い主要部分および細長い補助部材434を有する。好ましい実施形態では、細長い補助部材434は側枝ルーメンである。バルーンは、近位の外径と、近位の外径とは異なる遠位の外径とを有する。好ましい実施形態では、遠位の外径は、近位の外径よりも小さいが、逆も同様に可能である。この種のバルーンシステムは、先細りのステントを血管に導入して、血管の遠位部分内でステントを膨らましすぎないようにするのに役立ち得る。
【0084】
病巣タイプ3
別の実施形態では、ステント配送システム510は、図29cに示すようなタイプ3の分岐部病巣に配送されるように設計される。タイプ3の病巣では、プラーク4は、主血管1内に分岐点3の地点より近接して位置している。ステント配送システム510はまた、以下にさらに十分に説明するように、二股に分かれていない血管内の病巣に配送されるのにも適している。
【0085】
タイプ3の分岐部病巣にステントを配送するためのシステム510の様々な実施形態を示す図24aから図24cについて以下に言及する。システム510は、図24aに示すように、固定ワイヤ付きか、図24bに示すように、ワイヤ上で動作するシステムとしてか、または、図24cに示すように、急速な交換システムとして設計することができる。
【0086】
単一ワイヤシステムとして設計されたシステム510を示す図24aについて以下に言及する。システム510は、細長い主部材516および細長い補助部材534を有する。好ましい実施形態では、細長い主部材516はカテーテル518である。好ましい実施形態では、カテーテル518は、遠位端に固定ワイヤ526を備えたバルーン524を有する。ステント512は、バルーン524上に配置されている。好ましい実施形態では、細長い補助部材534はガイドワイヤルーメン536であり、股点544でカテーテル518に接続されている。ガイドワイヤルーメン536は、近位端542および遠位端540を有する。股点544は、遠位端540に配置されている。好ましい実施形態では、ガイドワイヤルーメン536は、近位でカテーテル518内に配置され、出口点537で細長い主部材516を出て、股点544で細長い主部材516に接続されている。ガイドワイヤルーメン536の中で出口点537と股点544の間にある部分は、結合されていても、結合されていなくてもよい。好ましい実施形態では、ガイドワイヤルーメン536の遠位端は股点544にあり、その中に置かれたガイドワイヤは遠位方向に延びて、中継点をもたらす。代替の実施形態では、ガイドワイヤルーメンの遠位端は、股点544より1mmから5mmだけ遠位に配置され、この場所ではカテーテル518に結合されていない。
【0087】
1つの実施形態では、ガイドワイヤルーメン536は、股点544より近位にあるカテーテル518の外に、これと平行して配置され、股点544より遠位にある細長い部材516には結合されていない。代替の実施形態では、ガイドワイヤルーメン536は、股点544より近位でも遠位でもカテーテル518に結合されていない。股点544は、ステント512の遠位端か、または遠位端の近くに配置される。好ましい実施形態では、股点544は、ステント512の遠位端より約2mmから約3mmだけ遠位端にある。
【0088】
図27aを参照すると、例示的な好ましい実施形態では、バルーン524は固定ワイヤバルーンであり、固定ワイヤバルーンとしては、結合領域528でバルーン524の遠位端に接続された固定ワイヤ526を有する。コアワイヤ530(またはスケルトン)は、バルーン524の内部に沿って延びて、カテーテル518の可撓性部分に剛性を付与する。コアワイヤ530は、固定ワイヤ526から続いている。コアワイヤ530が、その近位端でハイポチューブ525に連結され、その遠位端でバルーン524の遠位端に連結され、その間にある少なくとも1つの他の場所に連結さているのは、本発明の特有の特徴である。具体的には、コアワイヤ530は、ガイドワイヤルーメン536がカテーテル518から出る領域でカテーテル518に結合されている。さらに、コアワイヤ530は、市販の固定ワイヤバルーン内にあるフィラメントと比べて比較的太くなっている。この種のフィラメントは通常、約0.127mm(0.005インチ)から約0.229mm(0.009インチ)の範囲(最も一般的には約0.178mm(約0.007インチ))にあり、一方、本発明のコアワイヤ530は、約0.229mm(0.009インチ)から約0.305mm(0.012インチ)の範囲(最適には、約0.254mm(約0.01インチ))にある。この太さは、コアワイヤ530とカテーテル518との結合部を増設したこととともに、カテーテル518の全長に沿って剛性を付与する。この剛性により、カテーテル518の近位端522から遠位端520への回転力の伝達が可能になり、それによって、システムのトルク能力が高まる。さらに、コアワイヤ530および上記の特徴によって付与された剛性により、ポリマー被覆物やシステム510の他の比較的軟性の部分による押し込み力の吸収が防止されて、本発明のシステムの押し込み能力が高まる。
【0089】
ワイヤ上にある二重レールシステムとして設計されたシステム510’を示す図24bについて以下に言及する。システム510’は、バルーン524’の遠位端の固定ワイヤの代わりに、主ガイドワイヤルーメン525が設けられ、カテーテル518’の長さ方向に延びていることを除いて、図24aに示したシステム510と同様である。主ガイドワイヤは、主ガイドワイヤルーメン525を通って主血管1に入るように配置されている。システム510’は、主ガイドワイヤルーメン525内に配置された主ガイドワイヤによって部位に導入されてもよいし、ガイドワイヤルーメン536’内に配置された分岐ガイドワイヤによって部位に導入されてもよい。
【0090】
急速交換型二重ワイヤシステムとして設計されたシステム510”を示す図24cについて以下に言及する。システム510”は、固定ワイヤまたはカテーテル518”の長さ方向に延びる主ガイドワイヤルーメンの代わりに、短い主ガイドワイヤルーメン527が設けられ、近位で出口点529まで延びていることを除いて、図24aおよび図24bに示す2つのシステム510、510’と同様である。本発明では、股点544を配置したことにより、血管内でのより正確な留置が可能になる。
【0091】
タイプ3の病巣に対して分岐点3に配置されたシステム510を示す図25について以下に言及する。側枝ガイドワイヤ538は、分岐血管2に導入されている。システム510は、ガイドワイヤルーメン536の股点544が分岐点3に来るまで、側枝ガイドワイヤ538上で、システムのタイプに応じて、固定ワイヤ526かまたは主ガイドワイヤ539のいずれかによって案内される。好ましい実施形態では、遠位端540は股点544にあり、ガイドワイヤ538だけが分岐血管2に入る。代替の実施形態では、ガイドワイヤルーメン536が側枝血管2内に延びる。システム510は、股点544が分岐点3に到達し、その後、システム510が自動的に前進をやめるまで、ゆっくりと前進する。次いで、バルーン524を膨らませてステント512を展開する。展開の後、バルーン524を萎ませて、システム510を取り出す。
【0092】
血管600内の二股に分かれていない病巣に配置されたシステム510を示す図26について以下に言及する。1つの実施形態では、ガイドワイヤ610は、血管内に病巣を通り過ぎるまで導入される。カテーテル518が病巣部位に到達するまで、ガイドワイヤ610および固定ワイヤ526上でシステム510を誘導する。図27aから図27dおよび図28に関連させて以下により完全に説明するように、マーカ532から位置を確定する。次いで、バルーン524を膨らませて、ステント512を展開する。展開の後、バルーン524を萎ませ、システム510を取り出す。必要ならば、出口がカテーテル518の近位端より遠位にあるガイドワイヤルーメンに保持されたガイドワイヤを血管内に供給することによって、カテーテルを素早く交換することが可能である。さらに、拡張する必要がなく、手技の侵襲性を軽減するダイレクトステント留置手技にこのシステムを使用することができる。代替の実施形態では、ガイドワイヤ610をガイドワイヤルーメン536内に逆から挿入して収容し、システム510を固定ワイヤ526で誘導して血管に導入する。システム510は、コアワイヤ530によってもたらされた剛性があるので、それ自体上の病巣を横断するのに適している。システム510が所定の位置をとると、ガイドワイヤ610を前進させて、(例えば、急速な交換能力を与えるために)病巣のところとそれよりも遠位に予備ワイヤを置くようにする。次いで、バルーン524を膨らませて、ステント512を展開する。通常の二股に分かれていない部分へのステント配送システムとしてシステム510を使用する場合、現状で利用できる一般的な配送システムに勝る幾つかの利点がある。急速な交換には、必要ならば配送の容易性およびカテーテル交換の容易性を含めて、特定の利点があることは広く認識されている。一方、コアワイヤは結合されていて、比較的太いので、全体的な直径を増やすことなく、回転および回転力の伝達をきわめて容易することができ、これは、システムの配送時に有益である。さらに、ダイレクトステント留置手技では、ガイドワイヤ610かまたは固定ワイヤ526のいずれかが病巣を横断するのに適している。固定ワイヤ526が病巣を横断する場合、ステント512は自動的に所定の位置をとる。
【0093】
好ましい実施形態による、マーカ構成を示す図27aから図27dについて以下に言及する。図27aに示すように、第1のマーカ630、第2のマーカ632、および第3のマーカ634はコアワイヤ30上にあり、ステント12の近位端および遠位端、ならびに股点44とそれぞれ整列している。第4のマーカ636は、股点44に配置されており、したがって、第1のマーカ630および第2のマーカ632とともに三角形を形成している。図27bに示すように、システム10が所定の位置にあると、3つのマーカの相対位置は本来の構成に一致する。すなわち、第1のマーカ630、第2のマーカ632、および第3のマーカ634は一列となり、第4のマーカ636は片側にずれる。図27cに示すように、システム10が90°回転すると、4つのマーカはすべて、大体のところ同じライン内に入る。図27dに示すように、システム10が180°回転すると、第4のマーカ636は、第1のマーカ630、第2のマーカ632、および第3のマーカ634に対してもう一方の側にくる。このように、システム10の回転方向の位置合わせを2次元表示スクリーンに視覚化することができる。さらに、マーカ634および/またはマーカ636を、図28に示すように、分岐への進入方向を指す三角形の形状や指示記号形状に形成することができる。また、これにより、正確な位置を再確認することができる。したがって、すべてのマーカが互いに対して正確に配置され、指示記号形状のマーカが分岐を指したときに、分岐点での位置合わせが正確であると確定される。
【0094】
本発明は特有な実施形態とともに述べられているが、代替、変更および変化は、従来技術において明白である。例えば、自己拡張型ステントは、バルーンカテーテルを必要とせず、バルーン拡張型ステントの変わりに使われる場合もある。したがって、添付の請求項の精神および範囲に入るこのような代替、変更および変化のすべてを包含することを意味する。本明細書中に言及されたすべての出版物、特許、および特許出願は、出版物、特許、および特許出願の各々が具体的に個々に参照によって引用される場合、同様の範囲に明細書へ全体的に参照される。加えて、本願書のいかなる参照の引用または鑑定は、このような参照が本発明の従来技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】蓄積したプラークを伴った血管分岐点の第一の型の図である。
【図2】従来技術の分岐部ステント配送システム図である。
【図3】本発明の好適な形態による分岐部ステント配送システム図である。
【図4a】ステントのない状態で示す図3の配送システム図である。
【図4b】ステントのない状態で示す図3の配送システム図である。
【図4c】ステントのない状態で示す図3の配送システム図である。
【図4d】ステントのない状態で示す図3の配送システム図である。
【図5】分岐部の位置における図3の配送システム図である。
【図6】ステントのない状態で示し、さらに遠位連結部材を含む図である。
【図7】本発明による他の実施形態によるステントのない状態で示す分岐部ステント配送システム図である。
【図8】本発明による他の実施形態によるステントのない状態で示す分岐部ステント配送システム図である。
【図9a】本発明による他の実施形態による分岐部ステント配送システム図である。
【図9b】本発明による他の実施形態による分岐部ステント配送システム図である。
【図10】蓄積したプラークを伴った血管分岐点の第二の型の図である。
【図11a】図10で描かれたような分岐点を治療するためのシステム図である。
【図11b】図10で描かれたような分岐点を治療するためのシステム図である。
【図11c】図10で描かれたような分岐点を治療するためのシステム図である。
【図12】分岐点に位置する図11aのシステム図である。
【図13】蓄積したプラークを伴った血管分岐点の第三の型の図である。
【図14a】図13で描かれたような分岐点を治療するためのシステム図である。
【図14b】図13で描かれたような分岐点を治療するためのシステム図である。
【図15a】保持器をさらに含む、図14のシステム図である。
【図15b】保持器をさらに含む、図14のシステム図である。
【図16a】代替の実施形態における保持器をさらに含む、図14のシステム図である。
【図16b】代替の実施形態における保持器をさらに含む、図14のシステム図である。
【図17】ガイドカテーテルに挿入される、図14のシステム図である。
【図18a】位置決めと挿入の間の図14のシステム図である。
【図18b】位置決めと挿入の間の図14のシステム図である。
【図18c】位置決めと挿入の間の図14のシステム図である。
【図19】蓄積したプラークを伴った血管分岐点の第四の型の図である。
【図20】図19で描かれたような分岐点を治療するためのステントのない状態で示すシステム図である。
【図21】ステントをさらに含む、図20で描かれたシステム図である。
【図22a】図20のシステムの展開方法の図である。
【図22b】図20のシステムの展開方法の図である。
【図22c】図20のシステムの展開方法の図である。
【図22d】図20のシステムの展開方法の図である。
【図23】本発明のほかの実施形態における、側枝ルーメンを伴った先細りのバルーンシステムの図である。
【図24a】タイプ3の分岐部病巣または二股でない病巣へのステントの配送のためのシステムの異なった実施形態の図である。
【図24b】タイプ3の分岐部病巣または二股でない病巣へのステントの配送のためのシステムの異なった実施形態の図である。
【図24c】タイプ3の分岐部病巣または二股でない病巣へのステントの配送のためのシステムの異なった実施形態の図である。
【図25】分岐部に配置された図24aのシステム図である。
【図26】二股でない病巣に配置された図24aのシステム図である。
【図27a】マーカの配置図である。
【図27b】マーカの配置図である。
【図27c】マーカの配置図である。
【図27d】マーカの配置図である。
【図28】マーカの明確な形状の配置図である。
【図29a】分岐部病巣の別の型の図である。
【図29b】分岐部病巣の別の型の図である。
【図29c】分岐部病巣の別の型の図である。
【図29d】分岐部病巣の別の型の図である。
【図29e】分岐部病巣の別の型の図である。
【図29f】分岐部病巣の別の型の図である。
【図30a】本発明の実施形態における頭蓋内動脈瘤を治療する方法の工程図である。
【図30b】本発明の実施形態における頭蓋内動脈瘤を治療する方法の工程図である。
【図30c】本発明の実施形態における頭蓋内動脈瘤を治療する方法の工程図である。
【図30d】本発明の実施形態における頭蓋内動脈瘤を治療する方法の工程図である。
【図30e】本発明の実施形態における頭蓋内動脈瘤を治療する方法の工程図である。
【図31a】本発明の実施形態における、萎んだ状態と、一時ルーメン内に位置するガイドワイヤを備えたバルーンの断面図である。
【図31b】本発明の実施形態における、萎んだ状態と、一時ルーメン内に位置するガイドワイヤを備えたバルーンの断面図である。
【図32】本発明の実施形態におけるステントのないシステムの図である。
【図33a】本発明の他の実施形態におけるステントのないシステムの図である。
【図33b】膨らんだ状態のバルーンを有する図33aのシステムの図である。
【図33c】図33Aのシステムの位置の断面図である。
【図33d】バルーンが萎んだ状態の図33Aの他の部分の断面図である。
【図33e】バルーンが萎んだ状態の図33Aの他の部分の断面図である。
【図33f】バルーンが膨らんでいる図33dと図33eで示されるシステムの一部の断面図である。
【図33g】本発明の他の実施形態による、バルーンが膨らんでいる図33dから図33fに示されるシステムの一部の断面図である。
【図34a】ワイヤ上の配送に適合させる図33aから図33fのシステム図である。
【図34b】図34aの断面図である。
【図34c】図34aの断面図である。
【図35】本発明の他の実施形態における遠位短レールを伴ったシステム図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムであって、
細長い主部材近位端および細長い主部材遠位端を有する細長い主部材と、
前記主部材遠位端に配置すると共に、バルーン近位端、バルーン遠位端および前記バルーン遠位端に固定された固定ワイヤを含むバルーンと、
前記細長い主部材の少なくとも一部に沿って内部に配置された内部コアワイヤと、
前記バルーンに並んで配置され、前記内部コアワイヤに接続されると共に前記バルーン遠位端に固定された前記固定ワイヤに接続された外部コアワイヤと、を含むカテーテルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルシステムであって、前記内部コアワイヤおよび前記外部コアワイヤは、同じワイヤからなるカテーテルシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルシステムであって、前記外部コアワイヤおよび前記固定ワイヤは、同じワイヤからなるカテーテルシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のカテーテルシステムであって、前記細長い主部材の少なくとも一部に沿って内部に配置されると共に、前記細長い主部材遠位端に遠位出口点を有する、細長い補助部材をさらに含むカテーテルシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテルシステムであって、前記遠位出口点は、前記外部コアワイヤからある回転方向距離に配置されるカテーテルシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のカテーテルシステムであって、前記回転方向距離はほぼ180度であるカテーテルシステム。
【請求項7】
請求項4に記載のカテーテルシステムであって、前記細長い補助部材は、前記細長い主部材のある部分に、ガイドワイヤの素早い交換のための出口点をさらに含むカテーテルシステム。
【請求項8】
前記細長い補助部材を通って配置されるガイドワイヤをさらに含む請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
複数の外部コアワイヤをさらに含む請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のカテーテルシステムであって、前記内部コアワイヤおよび前記外部コアワイヤは前記細長い主部材遠位端に接続されるカテーテルシステム。
【請求項11】
カテーテルシステムであって、
カテーテル近位端およびカテーテル遠位端を有するカテーテル胴体と、
前記カテーテル遠位端に配置されると共に、実質的に均一な直径の作用長部分、前記作用長部分の近位にある前記作用長部分の前記実質的に均一な直径よりも直径が小さい、近位狭窄部分、および前記作用長部分より遠位にある、前記作用長部分の前記実質的に均一な直径よりも直径が小さい、遠位狭窄部分を有する、固定ワイヤバルーンと、
筐体近位端および筐体遠位端を有し、前記固定ワイヤバルーンの前記作用長部分より近位に配置される接続位置で前記カテーテルに少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体と、を含むカテーテルシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記作用長部分と前記近位狭窄部分の合流点に位置しているカテーテルシステム。
【請求項13】
請求項11に記載のカテーテルシステムであって、前記ガイドワイヤ筐体は、前記カテーテル胴体の内部に少なくとも部分的に位置しているカテーテルシステム。
【請求項14】
請求項11に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記筐体遠位端の近位にあるカテーテルシステム。
【請求項15】
請求項11に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記筐体遠位端にあるカテーテルシステム。
【請求項16】
前記ガイドワイヤ筐体の内部に配置可能なガイドワイヤをさらに含む請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
請求項11に記載のカテーテルシステムであって、前記カテーテル胴体の少なくとも一部は、剛性調整領域を提供する剛性材料で構成されると共に、前記固定ワイヤバルーンと並んで配置され、バルーン遠位端と前記剛性調整領域とを連結する実質的に剛性のコアワイヤをさらに含むカテーテルシステム。
【請求項18】
血管内の病巣を治療する方法であって、
固定ワイヤバルーンおよびバルーンと並んで配置された外部コアワイヤを準備する工程と、
カテーテルを前記病巣に導入する工程と、
前記外部コアワイヤを前記病巣に押しつけるように前記バルーンを膨らませる工程と、
を含む方法。
【請求項19】
前記カテーテルは、前記カテーテルの内部に位置する細長い補助部材をさらに含み、部品を前記細長い補助部材を通って前記病巣の遠位に進める工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記部品はガイドワイヤである方法。
【請求項21】
前記カテーテルは、前記カテーテルの内部に位置する細長い補助部材をさらに含み、ガイドワイヤを前記細長い補助部材を通って前記バルーンが膨らませる前に進める工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記カテーテルは前記カテーテルの内部に位置する細長い補助部材をさらに含み、前記バルーンを萎ませて、その後ガイドワイヤを前記細長い補助部材を通って進める工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項23】
カテーテルシステムであって、
細長い主部材近位端および細長い主部材遠位端を有する細長い主部材と、
バルーン近位端およびバルーン遠位端を含み、前記細長い主部材遠位端に位置するバルーンと、
前記細長い主部材の少なくとも一部に沿って内部に配置された内部コアワイヤと、
前記バルーンと並んで配置されると共に、前記内部コアワイヤおよび前記バルーン遠位端に接続された外部コアワイヤと、
前記外部コアワイヤ位置から回転方向に離れて配置され、ガイドワイヤを位置決めする細長い補助部材と、
前記細長い補助部材より遠位に、これに合わせて配置されて、前記システムを追跡する短い遠位レールと、を含むカテーテルシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のカテーテルシステムであって、前記外部コアワイヤからの前記細長い補助部材の前記回転方向は、おおよそ180度であるカテーテルシステム。
【請求項25】
前記細長い補助部材および前記短い遠位レールを通って位置する前記ガイドワイヤをさらに含む請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項26】
カテーテルシステムであって、
カテーテル近位端およびカテーテル遠位端を備えたカテーテル胴体と、
バルーン近位端およびバルーン遠位端を有し、前記カテーテル遠位端に配置されたバルーンと、
前記バルーン遠位端に接続されると共に、長さが15mm未満のガイドワイヤルーメンと、
筐体遠位端および筐体近位端を有し、前記カテーテル胴体に少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体と、を含むカテーテルシステム。
【請求項27】
前記バルーン上に位置するステントをさらに含む請求項26に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のカテーテルシステムであって、前記ステントは専用の側部開口を有し、前記筐体遠位端は、前記側部開口に配置されるカテーテルシステム。
【請求項29】
請求項27に記載のカテーテルシステムであって、前記ステントは開口を有し、前記筐体遠位端は前記開口を通って位置決めされるカテーテルシステム。
【請求項30】
請求項26に記載のカテーテルシステムであって、萎んだ形態にある前記バルーンは、上部湾曲部分と下部湾曲部分を含む「S字」形状をなし、前記下部湾曲部分は、前記ガイドワイヤを保持する収容領域となるカテーテルシステム。
【請求項31】
請求項26に記載のカテーテルシステムであって、萎んだ形態にある前記バルーンは、フックの付いた「Y字」形状をなし、「Y字」形状の底部は、前記ガイドワイヤを保持する収容領域を形成するように曲げられるカテーテルシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のカテーテルシステムであって、「Y字」形状はさらに、ガイドワイヤ筐体を保持する第2の収容領域を形成する2つの上部アームを含むカテーテルシステム。
【請求項33】
請求項26に記載のカテーテルシステムであって、前記ガイドワイヤ筐体は、少なくとも部分的に前記カテーテル胴体の内部に配置されるカテーテルシステム。
【請求項34】
請求項26に記載のカテーテルシステムであって、前記ガイドワイヤ筐体は、前記バルーン上の領域で前記カテーテル胴体に接続されるカテーテルシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のカテーテルシステムであって、前記位置は、前記バルーンのほぼ中央とされるカテーテルシステム。
【請求項36】
血管の病巣の治療方法において、
遠位端にバルーンを備えたカテーテル胴体と、バルーン遠位端に接続されたガイドワイヤルーメンと、カテーテルに少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体と、前記カテーテル胴体に対して動かないように、前記ガイドワイヤルーメンと前記バルーン内の一時ルーメンとを通って配置されたガイドワイヤとを有するカテーテルシステムを用意する工程と、
遠位端および近位端を有する追跡ガイドワイヤを血管の内部に導入する工程と、
前記追跡ガイドワイヤ近位端を前記ガイドワイヤ筐体の内部に配置する工程と、
前記カテーテルが前記病巣に到達するまで、前記カテーテルを前記追跡ガイドワイヤ上で進める工程と、
前記バルーンを膨らませて前記ガイドワイヤを前記一時ルーメンから解放する工程を含む治療方法。
【請求項37】
カテーテルシステムであって、
カテーテル近位端およびカテーテル遠位端を有するカテーテル胴体と、
前記カテーテル遠位端に配置されると共に、直径が実質的に均一の作用長部分、前記作用長部分の近位にある前記作用長部分の前記実質的に均一な直径よりも直径が小さい、近位狭窄部分、および前記作用長部分より遠位にある、前記作用長部分の前記実質的に均一な直径よりも直径が小さい、遠位狭窄部分を有する、固定ワイヤバルーンと、
筐体近位端および筐体遠位端を有し、前記固定ワイヤバルーンの前記作用長部分より近位に配置される接続位置で前記カテーテルに少なくとも部分的に接続されたガイドワイヤ筐体と、を含むカテーテルシステム。
【請求項38】
請求項37に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記作用長部分および前記近位狭窄部分の接点に位置しているカテーテルシステム。
【請求項39】
請求項37に記載のカテーテルシステムであって、前記ガイドワイヤ筐体は、少なくとも部分的に前記カテーテル胴体の内部に配置されるカテーテルシステム。
【請求項40】
請求項37に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記筐体遠位端の近位にあるカテーテルシステム。
【請求項41】
請求項37に記載のカテーテルシステムであって、前記接続位置は、前記筐体遠位端にあるカテーテルシステム。
【請求項42】
前記ガイドワイヤ筐体の内部に配置可能なガイドワイヤをさらに含む請求項37に記載のカテーテルシステム。
【請求項43】
請求項37に記載のカテーテルシステムであって、前記カテーテル胴体の少なくとも一部は、剛性材料で構成され、その結果剛性調整領域を提供し、前記固定ワイヤバルーンを通って配置されると共に、バルーン遠位端と前記剛性調整領域を連結する実質的に剛性のコアワイヤをさらに含むカテーテルシステム。
【請求項44】
血管の病巣の治療方法であって、
ガイドワイヤを血管の内部に前記病巣を過ぎるまで導入する工程と、
固定ワイヤバルーンと、前記固定ワイヤバルーン近位端に接続されたガイドワイヤ筐体を有するカテーテルを準備する工程と、
前記ガイドワイヤ近位端を前記カテーテルの前記ガイドワイヤ筐体に導入する工程と、
前記カテーテル遠位端が前記病巣の位置にあり、前記ガイドワイヤがバルーンと並んで配置されるまで、前記ガイドワイヤ上で前記カテーテルをさらに進める工程と、
前記ガイドワイヤを前記病巣に押しつけるように前記バルーンを膨らませる工程と、を含む治療方法。
【請求項45】
分岐点で第1の血管に連結される第2の血管内の病巣の治療工程をさらに含み、
前記治療は、前記バルーンを少なくとも部分的に萎ませる工程と、
カテーテルを前記ガイドワイヤに沿って後退させる工程と、
前記カテーテルを前記第2の血管に導入する工程と、
前記バルーンを膨らませる工程と、をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1および第2の血管は前記分岐点で連結される、前記第1の血管内の第1の病巣と、前記第2の血管内の第2の病巣の治療方法であって、
前記ガイドワイヤを前記第2の血管に導入する工程と、
固定ワイヤバルーンと、前記固定ワイヤバルーン近位端に接続されたガイドワイヤ筐体とを有する前記カテーテルを準備する工程と、
前記ガイドワイヤ近位端を前記カテーテルの前記ガイドワイヤ筐体に導入する工程と、
前記カテーテル遠位端が前記分岐点に到達するまで、前記ガイドワイヤ上で前記カテーテルを進める工程と、
前記バルーンが前記第1の病巣と並んで配置されるように、前記分岐点を過ぎて前記第1の血管の内部に前記カテーテルをさらに進める工程と、
前記バルーンを膨らませる工程と、
前記バルーンを萎ませる工程と、
前記ガイドワイヤ上で前記カテーテルを後退させる工程と、
前記ガイドワイヤが前記バルーンに並んで配置されるように、前記カテーテルを前記第2の血管に導入する工程と、
前記ガイドワイヤを前記第2の病巣に押しつけるように前記バルーンを膨らませる工程と、を含む治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【図22c】
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【図22d】
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【図23】
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【図24a】
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【図24b】
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【図24c】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図27c】
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【図27d】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図29d】
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【図29e】
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【図29f】
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【図30a】
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【図30b】
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【図30c】
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【図30d】
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【図30e】
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【図31a】
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【図31b】
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【図32】
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【図33a】
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【図33b】
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【図33c】
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【図33d】
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【図33e】
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【図33f】
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【図33g】
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【図34a】
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【図34b】
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【図34c】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−17835(P2013−17835A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231502(P2012−231502)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2008−532975(P2008−532975)の分割
【原出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(506297795)ワイ メッド インク (5)
【Fターム(参考)】