血管腫瘍マーカー
本発明は、哺乳動物組織における新生血管構造の同定方法であって、前記新生血管構造を、前記組織中の少なくとも1つの特異的タンパク質の検出により同定する、方法に関する。本発明はまた、新血管形成と関連する病気又は状態を同定するための方法、新生血管構造を標的化及び/又は画像化するための方法、並びに新血管形成と関連する病気又は状態を標的化するための方法にも関する。さらに、本発明は、哺乳動物組織、好ましくは哺乳動物腎臓組織、より好ましくは哺乳動物血管腎臓組織において腫瘍細胞を同定するための新規及び/又は公知標的タンパク質に対する新規及び/又は公知のリガンド、好ましくは抗体の使用を対象とする。本発明はまた、新規リガンド、好ましくは抗体、前記リガンド又は抗体を含む融合タンパク質、前記リガンド、抗体、又は融合タンパク質を含む医薬及び診断用組成物、診断及び治療方法、並びに新規タンパク質及び対応するポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物組織における新生血管構造(neovascular structure)の同定方法であって、前記新生血管構造を、前記組織中の少なくとも1つの特異的タンパク質の検出により同定する、方法に関する。本発明はまた、新血管形成と関連する病気又は状態を同定するための方法、新生血管構造を標的化及び/又は画像化するための方法、並びに新血管形成と関連する病気又は状態を標的化するための方法にも関する。さらに、本発明は、哺乳動物組織、好ましくは哺乳動物腎臓組織、より好ましくは哺乳動物血管腎臓組織(vascular kidney tissue)において腫瘍細胞を同定するための新規及び/又は公知標的タンパク質に対する新規及び/又は公知のリガンド、好ましくは抗体の使用を対象とする。本発明はまた、新規リガンド、好ましくは抗体、前記リガンド又は抗体を含む融合タンパク質、前記リガンド、抗体、又は融合タンパク質を含む医薬及び診断用組成物、診断及び治療方法、並びに新規タンパク質及び対応するポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞にも関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍学の分野において、固形腫瘍の増殖が、支持的な血液供給を獲得できるその能力に依存することは周知である。初期段階で血管新生を予防する抗血管新生は、有望な抗腫瘍アプローチである。最近の治療コンセプトは、確立された腫瘍血管系の標的破壊である。血管標的化は、動物モデルにおいて有効な抗腫瘍ストラテジーであることが既に示されており(Neri, D. and Bicknell, R., Nature reviews. Cancer, vol. 5, 436−446, June 2005)、多数の有望な化合物の臨床試験が開始されている。確立された腫瘍血管系の標的化は、代替的な、場合によっては補助的な、かつ確実な広範囲にわたる治療を提示する。
【0003】
腫瘍における内皮細胞及び周囲の間質は、正常組織におけるものとは異なることが長い間知られていたが、ごく最近になって、分子レベルでこれらの差が特徴付けられ始めた。腫瘍の内皮細胞上又は周囲の間質中に発現するタンパク質は、治療標的として示唆されている(Neri and Bicknell, 2005, 上記参照)。例えば、固形腫瘍において、マウスMHCクラスII抗原に対する高親和性抗体とリシン毒素とを結合させた。この複合体をマウスへと静脈注入し、抗体がリシンを腫瘍内皮へと特異的にデリバリーし、ここで取り込まれて、細胞死が誘発され、その後の血管系の崩壊及び固形腫瘍の根絶が起こった(Burrows, F.J. and Thorpe, P.E., PNAS USA 90, 8996−9000 (1993))。腫瘍血管系上に特異的に発現しているが、正常組織の血管系上には発現していないタンパク質は、抗腫瘍標的として使用できるだけでなく、診断、特に画像化目的でも使用できる。
【0004】
腫瘍血管標的を同定するために、ほとんどの研究はin vitro内皮細胞単離株に基づいており、正常及び腫瘍組織中でこれを模倣すると考えられる培養条件に暴露し、ついで広範囲にわたる分子技術を用いて、差次的に発現した遺伝子を同定した。遺伝子発現における差は明らかではあったが、分子レベルで差次的に発現したタンパク質を同定することは困難であることが判明していた。別の一般的なアプローチは、新規内皮マーカーの同定を導く異なる内皮構造に対する抗体を生じさせることであったが、差次的に発現する遺伝子を同定できなかった。というのも、おそらくこのようなタンパク質は、細胞表面上の豊富な構成成分のうちの微量成分であるからである。
【0005】
別の最近のアプローチにおいて、血管系はまた、血管抗原に対する抗体を用いて、in vivoで標的化されている。別の最近のin vivo標的化アプローチにおいて、本発明者らは、ビオチンの反応性エステル誘導体を用いた、腫瘍を有するマウスの末端灌流(terminal perfusion)に基づき、正常臓器及び腫瘍における接触可能(accessible)な抗原を同定した(Rybak et al., Nat. Methods 2, 291, April 2005)。
【0006】
腫瘍特異的な血管標的は、重要な腫瘍診断情報を提供し、特異的な標的化抗腫瘍化合物も可能にする。腫瘍血管系での特異的な蓄積は、正常組織中、他の位置で抗腫瘍化合物と典型的に関連する中毒性副作用を積極的に減少させ、結果として、中毒物質の濃度の低減を可能にする。さらに、腫瘍血管系−特異的抗腫瘍剤は、動脈流入血中、固形腫瘍へとマイクロインジェクションされ、血管系と結合し、それにより、最小限の毒性流出を提供できる。
【0007】
要約すると、一般的な腫瘍に対する血管標的、特に特異的腫瘍、臓器特異的腫瘍などに対する血管標的は、腫瘍の診断及び治療に対する重要なツールを提供する。
【非特許文献1】Neri, D. and Bicknell, R., Nature reviews. Cancer, vol. 5, 436−446, June 2005
【非特許文献2】Burrows, F.J. and Thorpe, P.E., PNAS USA 90, 8996−9000 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、哺乳動物組織、特に成熟組織における新生血管構造を同定することである。別の目的は、哺乳動物における新血管形成に関連する病気又は状態を同定することである。さらなる目的は、哺乳動物組織、特に成熟組織、とりわけ病気に冒された組織における新生血管構造を標的化及び/又は画像化する方法の提供である。さらに、本発明の目的は、特異的腫瘍標的及びそれらの使用を提供することである。本発明の根底にある別の目的は、腎臓特異的腫瘍標的、特に血管腎臓腫瘍標的の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新生血管構造、特に腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及びアテローム性動脈硬化症などの哺乳動物組織における新血管形成と関連する病気における新生血管構造を同定するための新規ポリペプチド標的を提供する。
【0010】
新生血管系構造は、本明細書で定義するとおり、内皮細胞、細胞外マトリックス、周皮細胞、間質の他の構成成分、及び/又は血管に近接する異常細胞である。このような新生血管系構造は、腫瘍で見られるが、他の血管形成関連疾患、例えば、黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチなどでも見られ得る。
【0011】
これらの新規血管ポリペプチド標的は以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター(putative G−protein coupled receptor)42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(solute carrier family 2, facilitated glucose transporter member 1)、(4)バーシカンコアタンパク質(Versican core protein)[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ(Peroxidasin homolog)[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1(Protein sidekick−1)[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8(Down syndrome critical region protein 8)、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1(tumor protein, translationally controlled 1)、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質(hypothetical protein)DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA(Family with sequence similarity 116, member A)、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2(Cysteine−rich with EGF−like domain protein 2)[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1(potassium voltage−gated channel subfamily H member 1)、
からなる群から選択される。
【0012】
上記血管標的のいくつかは公知タンパク質であるが、他のものはこのようなタンパク質をコードし得るヌクレオチド配列の同定からタンパク質であることが仮定されている。(i)上記31個のタンパク質、及び(ii)それらをコードする入手可能なアミノ酸及びヌクレオチド配列の対応するアクセッション番号(スイスプロット)、並びに(iii)さらに以下に列挙する配列に関する配列同定番号(配列番号)のリストを以下の表1に提供する。
【0013】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0014】
上記列挙したタンパク質との関連で[フラグメント]及び[前駆体]という用語は、それぞれのタンパク質のデータベースエントリーにおける実際の名前の一部であり、本発明の範囲を多少なりとも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
さらに、データベースエントリーは、場合によっては、軽微な配列エラーを含むことがあり、修正及び変更を受け得ることが当分野では常識である。加えて、タンパク質は、翻訳後修飾及びディファレンシャルなスプライシングを受け得る。従って、上記31個の血管腫瘍マーカータンパク質のいずれかについての本明細書の言及は、任意の配列フラグメント、スプライスバリアント、翻訳後修飾されたバリアント及び/又はさらなる伸長を含むその配列、並びに上記列挙したタンパク質の他の同義語を意味することが好ましい。本明細書においてより好ましくは、上記血管腫瘍マーカータンパク質への言及は、質量分光分析により同定され得るそのバリアントを包含する。なぜなら、これらは、実施例の最後の表で太字で同定されたペプチド配列を含むからである。
【0016】
上記新規な血管ポリペプチド標的は、外科的に除去した腎臓をビオチン化試薬でex vivo血管灌流することにより同定され、このビオチン化試薬は、血管の接触可能な第一級アミン含有構造をビオチンで標識するものである。腫瘍を有する腎臓及び有さない腎臓の血管系において、多くのビオチン標識アミン構造を単離、特徴付け、及びその後に比較することにより、最終的に、上記血管腫瘍標的の同定が導かれた。同定手順の詳細については、以下の実施例1を参照されたい。
【0017】
上記血管標的は、現在、血管標的特異的リガンドの調製を可能にする。本発明で使用するためのリガンドには、抗体、その抗体フラグメント又は機能的誘導体、並びに抗体様結合分子、ペプチド、有機小分子、アプタマー、及び他の結合分子であって、表1において上記列挙したタンパク質の1つへの結合親和性を有する以下に記載のものが含まれる。
【0018】
これらの血管標的特異的リガンドは、本発明の方法及び使用に有用である。
【0019】
第一の側面において、本発明は、哺乳動物組織における新生血管構造の同定方法であって、前記新生血管構造が、前記組織中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法に関する。好ましくは、哺乳動物組織は、成熟哺乳動物組織であり、より好ましくはヒト成熟組織であり、最も好ましくは腎臓組織である。
【0020】
「成熟組織」という用語は、本明細書で用いられる場合、生まれた哺乳動物から完全に分化した組織、好ましくは成体哺乳動物を意味することが理解され、具体的には、出産前の組織を排除する。
【0021】
本発明の別の側面は、腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、哺乳動物における病気又は状態の同定方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその組織の近接部位中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法を提供する。好ましくは、前記病気は、腫瘍、より好ましくはヒト腫瘍、最も好ましくはヒト腎臓腫瘍である。
【0022】
本発明はまた、哺乳動物組織における新生血管構造の標的化及び/又は画像化方法であって、前記新生血管構造が、前記新生血管構造中の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法も包含する。好ましくは、前記哺乳動物組織は、成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である。
【0023】
本発明のさらなる側面は、腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、哺乳動物における病気又は状態の影響を受けた組織の標的化及び/又は画像化方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定したタンパク質から選択される、方法を対象とする。好ましくは、前記病気は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である。
【0024】
モノクローナル抗体及びそれらの誘導体は、依然として、薬学的生物工学的適用において好ましい結合分子/リガンドであるが、抗体様結合特性を有する他のクラスの結合分子/リガンドは、多くの適用のために、抗体の代替物としてますます使用されている。このような機能的アナログには、アプタマー(Brody EN, Gold L., Aptamers as therapeutic and diagnostic agents. J. Biotechnol. 2000 Mar., 74(1):5−13. Review)、同種抗原を認識するように改変された(例えば、ループの突然変異誘発など)小球タンパク質が含まれる(例えば、アンチカリン(anticalin)、アフィボディ、アンキリンリピートなど[Binz HK, Amstutz P, Pluckthun A; Engineering novel binding proteins from nonimmunoglobulin domains. Nat Biotechnol. 2005 Oct., 23(10):1257−68. Review])。抗体様タンパク質を有する球状タンパク質は、突然変異体の大きなライブラリーに由来し、例えば、大きなファージディスプレイライブラリーからパニングされ、通常の抗体と同様に単離され得る。さらに、抗体様結合タンパク質は、球状タンパク質中の表面暴露残基のコンビナトリアル突然変異誘発により得ることができる。さらに、低分子量合成有機分子は、それらが十分な結合親和性及び抗原に対する特異性、並びに適した薬物速度論的特性を有するならば、血管腫瘍標的剤として使用できる。
【0025】
従って、別の側面において、本発明は、少なくとも1つのリガンド、好ましくは少なくとも1つの抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、表1から選択されるタンパク質への特異的結合特性を有するものを、哺乳動物組織において、新生血管構造を同定するため、好ましくは腫瘍を同定するために使用することに関する。
【0026】
好ましい実施態様において、少なくとも1つのリガンド、好ましくは抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する。
【0027】
上記表1中のタンパク質及び先に直接列挙した好ましいタンパク質は、ヒト腫瘍組織の新生血管系構造において特異的に同定された。
【0028】
従って、より好ましい実施態様において、本発明は、ヒト組織における腫瘍を同定するための本発明に従った使用に関する。
【0029】
表1のタンパク質は、ヒト腎臓腫瘍組織の新生血管系構造において同定された。従って、さらにより好ましい実施態様において、本発明は、哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織において、新生血管構造を同定するため、特に腫瘍を同定するための本発明に従った使用に関する。
【0030】
最も好ましくは、哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織において新生血管系構造を同定するためのタンパク質は、1、2、4〜13、15〜31からなる群から選択される。
【0031】
表1のタンパク質はすべて、ヒト腎臓腫瘍の新生血管系構造において特異的に同定された。これらは、血流から接触可能な腎臓における特異的標的を提示する。従って、最も好ましい実施態様において、本発明は、少なくとも1つのリガンド、好ましくは少なくとも1つの抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、表1から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有するものの、哺乳動物血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織において新生血管構造、特に腫瘍を同定するための使用に関する。
【0032】
本発明に従った上記使用は、in vitro及びin vivoにおける腫瘍の診断方法を提供する。例えば、表1の少なくとも1つの新生血管系腫瘍標的への特異的結合親和性を有する抗体などのリガンドは、前記リガンド、好ましくは抗体とそれらの対応する標的タンパク質との結合が可能な条件下、細胞、組織及び/又は臓器と接触させてよい。リガンド結合、好ましくは抗体結合細胞、組織及び/又は臓器は、ついで、腫瘍又は腫瘍関連細胞、組織、及び/又は臓器として同定される。結合リガンド/抗体の同定は、当分野でルーチンである当業者が利用可能な多くのルーチン技術の任意の技術により実施されてよく、例えば、二次抗体、又はリガンド/抗体と結合したマーカーの同定、例えば、放射性標識及び化学標識などである。リガンド/抗体の接触工程、及び/又はリガンド/抗体結合腫瘍細胞、組織及び/又は臓器の同定は、例えば、放射線画像法などによりin vivoで実施されてよい。しかし、前記接触工程はまた、哺乳動物においてin vivoで実施され、その後、対象となる細胞、組織及び/又は臓器を単離し、in vitro/ex vivoで抗体結合腫瘍細胞を同定してもよい。
【0033】
好ましくは、前記リガンド/抗体を用いて、in vitroのみで腫瘍細胞を同定する。「in vitro」という用語は、本発明の前記リガンド/抗体の使用が、ヒト又は動物の体で実施されない方法に限定されることを示すことが意図されており、従って、Art. 52(4) EPCに違反しない。
【0034】
別の側面において、本発明はまた、リガンド、好ましくは抗体、フラグメント又は機能的誘導体であって、上記表1のタンパク質からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有するものを対象とする。
【0035】
好ましくは、本発明のリガンド、好ましくは抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、以下:
(1)ペリオスチンスプライスバリアントA、B、D、E、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する。
【0036】
「特異的結合親和性」という用語は、本明細書で用いられる場合、リガンド/抗体が、臓器、例えば腎臓などにおける同一環境中、すなわち、アッセイ系、in vitro又はin vivoでの診断又は治療セッティングにおいて、同一条件下、例えば、pH、温度、バッファーなどの同一条件下、顕著な親和性で標的タンパク質と特異的に結合し、顕著な親和性で他のタンパク質とは結合しないことを意味することが理解されるべきである。一般に、結合特異性は、特異的標的分子及び多数の非関連物質を用いた結合アッセイを実施することにより試験される。さらに、機能試験、免疫組織化学、及び他の手順が、特定のリガンド(例えば、抗体)の結合特異性を評価するために使用され得る。
【0037】
特異的結合が可能なリガンド、例えば、抗体又は球状タンパク質などに基づく多くのバイオアッセイ(例えば、ELISA)のために、1マイクロモル以下の解離定数が、特異的結合様式と多くの場合に関連する検出可能な結合シグナルをもたらすために必要とされる。好ましくは、本発明における使用のためのリガンド/抗体は、約5マイクロモル(μM)未満、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約0.1μM以下、最も好ましくは約1 nM以下、又はさらには1 pM以下の解離定数に対応する特異的結合親和性を有する。
【0038】
本発明の抗体及びフラグメントなどのリガンドは、標的抗原が利用可能であれば、ハイブリドーマ技術(Kohler, G. and Milstein, C. Nature 256, 495−497, 1975)、抗体ファージディスプレイ(Winter et al., Annu. Rev. Immunol. 12, 433−455, 1994)、リボソームディスプレイ(Schaffitzel et al., J. Immunol. Methods, 231, 119−135, 1999)、及び反復コロニーフィルタースクリーニング(iterative colony filter screening)(Giovannoni et al., Nucleic Acids Res. 29, E27, 2001)によりルーチン的に利用可能である。抗体を機能的産物へと断片化するための典型的なプロテアーゼは周知である。他の断片化技術は、得られたフラグメントが特異的高親和性を有し、好ましくはマイクロモルからピコモル範囲の解離定数を有する限り、同様に使用可能である。
【0039】
scFv型の抗体フラグメントの血管腫瘍標的化パフォーマンスは、標的への抗体の親和性に極めて依存する(少なくともマイクロモルからピコモルの解離定数)ことが示されている。例えば、フィブロネクチンのEDBドメインに特異的であり、血管形成マーカーである、高親和性抗体フラグメントscFv(L19)は、抗原に対して低い親和性しか有さない親抗体フラグメントscFv(E1)よりも効率的に腫瘍新生血管系を標的化することが示された(Viti F, Tarli L, Giovannoni L, Zardi L, Neri D.; Increased binding affinity and valence of recombinant antibody fragments lead to improved targeting of tumoral angiogenesis. Cancer Res. 1999 Jan 15; 59(2):347−52)。特定の場合において、結合親和力(binding avidity)(例えば、特定の同種二価(homobivalent)抗体型と関連する)は、中程度の単量体結合親和性を補償できる(Nielsen UB, Adams GP, Weiner LM, Marks JD; Targeting of bivalent anti−ErbB2 diabody antibody fragments to tumor cells is independent of the intrinsic antibody affinity. Cancer Res. 2000 Nov. 15, 60(22):6434−40)。
【0040】
標的化適用のための非常に簡便な抗体フラグメントは、一本鎖Fvフラグメントであって、これは、可変重鎖及び可変軽鎖ドメインがポリペプチドリンカーにより一緒になって結合されている。血管標的化適用のための他の抗体フラグメントには、Fabフラグメント、Fab2フラグメント、ミニ抗体(「small immune proteins」とも称される)、タンデムscFv−scFv融合物、並びに適したドメインを有する(例えば、免疫グロブリンのFc部分を有する)scFv融合物が含まれる。特定の抗体型のレビューのために、Holliger P, Hudson PJ.; Engineered antibody fragments and the rise of single domains. Nat Biotechnol. 2005 Sep., 23(9):1126−36. Reviewを参照されたい。
【0041】
本発明で使用するための抗体の「機能的誘導体」という用語は、表1からの対応する抗原に対して実質的に同一の結合親和性を誘導体が有し、好ましくは、マイクロ、ナノ、又はピコモル範囲の解離定数を有する限り、そのアミノ酸配列において、例えば、アミノ酸残基(1つ以上)の付加、置換、及び/又は欠失により化学的に修飾されている任意の抗体又はそのフラグメント、並びに/又は少なくとも1つのその原子及び/若しくは化学官能基(functional chemical group)において、例えば、付加、欠失、転位、酸化、還元などにより化学的に修飾されている任意の抗体又はそのフラグメントを含むことが意図される。本発明で使用するための最も好ましい抗体の誘導体は、以下に詳細に定義する抗体融合タンパク質である。
【0042】
好ましい実施態様において、本発明の抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント及びFab2フラグメント、並びに抗体様結合タンパク質からなる群から選択されるものである。
【0043】
前記リガンド、好ましくは、抗体、フラグメント及び誘導体の次に、本発明のさらなる側面は、本発明のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体を含む融合タンパク質を対象とする。
【0044】
「融合タンパク質」という用語は、本発明との関連で用いられる場合、本発明のリガンド/抗体、フラグメント又は機能的誘導体が、任意のさらなる構成成分、例えば、ポリペプチド、シグナル因子、例えば、インターロイキン、タンパク質、糖成分、ヌクレオチド、生物学的に活性な小分子(small biologically active molecule)、毒素、標識、放射性標識などと、例えば、共有結合及び/又は非共有結合、例えばイオン結合などにより何らかの形で結合している、全ての複合体を包含することが意図される。
【0045】
好ましくは、本発明の融合タンパク質は、抗腫瘍活性を有する構成成分をさらに含む。これは、抗腫瘍化合物の選択性並びに特異性を非常に促進するものであり、従って、それを必要とする患者へ投与されるべきその有効量を低減でき、かつ前記化合物と関連する中毒性副作用を低減できる。
【0046】
無傷(intact)のモノクローナル抗体は、様々な適応症のための広範な治療可能性を有する、確立したクラスの医薬品を示す。抗体の定常部分は、多くの場合、治療可能性に貢献し、グリコシル化は、生物活性に影響を与え得る(Li H, Sethuraman N, Stadheim TA, Zha D, Prinz B, Ballew N, Bobrowicz P, Choi BK, Cook WJ, Cukan M, Houston−Cummings NR, Davidson R, Gong B, Hamilton SR, Hoopes JP, Jiang Y, Kim N, Mansfield R, Nett JH, Rios S, Strawbridge R, Wildt S, Gerngross TU; Optimization of humanized IgGs in glycoengineered Pichia pastoris. Nat Biotechnol. January 2006)。さらに、多数の血管標的抗体誘導体は、薬剤介入が考慮され得る。それらには、放射性核種、光線感作物質、リポソーム、及び薬剤との抗体複合体、並びに凝固促進剤(pro−coagulant agent)、サイトカイン、ケモカイン、毒素、Fc融合物、及び二重特異性抗体を有する抗体系融合タンパク質が含まれる。
【0047】
より好ましくは、本発明の融合タンパク質には、無傷の抗体、そのFc含有抗体フラグメント又はFc機能的誘導体、放射性ヌクレオチド、光線感作物質、リポソーム、薬剤、凝固促進剤、サイトカイン、ケモカイン、毒素、並びに二重特異性抗体からなる群から選択される抗腫瘍活性を有する構成成分が含まれる。
【0048】
抗体誘導体などのリガンドが、病気の診断及び/又は分子画像化に貢献できることが確立されている。in vivoでのリガンド/抗体局在化の巨視的画像化のための最も確立された手段には、放射性標識されたリガンド/抗体の使用(例えば、PET又はSPECT適用のため)、及び赤外フルオロフォアで標識されたリガンド/抗体の使用(例えば、表面の蛍光画像化のため、内視鏡画像化のため、拡散光トモグラフィーのためなど)が含まれる。さらに、リガンド/抗体マイクロバブル複合体(超音波系画像化手順で造影剤として使用されるもの;Joseph S, Olbrich C, Kirsch J, Hasbach M, Briel A, Schirner M.; A real−time in vitro assay for studying functional characteristics of target−specific ultrasound contrast agents. Pharm Res. 2004 Jun., 21(6):920−6)及び/又はMRI画像化を増強するためのリガンド/抗体複合体(Kiessling F, Heilmann M, Lammers T, Ulbrich K, Subr V, Peschke P, Waengler B, Mier W, Schrenk HH, Bock M, Schad L, Semmler W. Synthesis and characterization of HE−24.8: a polymeric contrast agent for magnetic resonance angiography. Bioconjug Chem. 2006 Jan−Feb;17(1):42−51)を用いることもできる。
【0049】
より好ましい別の実施態様において、本発明の融合タンパク質には、診断的活性(diagnosticc activity)を有する、すなわち、in vivo及び/又はex vivoにおいて抗体構成成分の選択的同定を可能にする構成成分が含まれる。
【0050】
好ましくは、診断的活性を有する構成成分は、放射性標識、フルオロフォア、ビオチン、キレートされた金属又は金属化合物、及びマイクロバブルからなる群から選択される。
【0051】
抗腫瘍構成成分を有する本発明の融合タンパク質は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍の血管系を効果的に標的化する薬剤の調製に有用である。従って、本発明のさらなる側面は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるガン治療用薬剤を調製するための本発明の融合タンパク質の使用に関する。
【0052】
好ましくは、前記薬剤は、腎臓ガン、好ましくはヒト腎臓ガンの治療用である。
【0053】
診断的活性を有する構成成分を含む本発明の融合タンパク質は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍の血管系を効果的に標的化する薬剤の調製に有用である。従って、本発明のさらなる側面は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍の同定のための診断用組成物を調製するための本発明の融合タンパク質の使用に関する。
【0054】
好ましくは、前記診断用組成物は、哺乳動物腎臓、好ましくはヒト腎臓における腫瘍の同定用である。
【0055】
本発明の別の側面は、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは誘導体、又は本発明の融合タンパク質と、医薬的に許容可能なキャリア及び/又は希釈剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0056】
本発明のさらなる側面は、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは誘導体、又は本発明の融合タンパク質を含む、診断用組成物に関する。
【0057】
本発明の別の側面は、哺乳動物組織、好ましくはヒト組織における腫瘍の同定方法であって、以下の工程:
(i)リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又はリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体を含む融合タンパク質であって、上記表1に列挙した群から選択される少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するものと、対象となる哺乳動物組織、好ましくは対象となるヒト組織とを、in vivo及び/又はex vivoで、前記タンパク質1〜31の少なくとも1つと前記リガンド及び/又は融合タンパク質との特異的結合が可能な条件下、接触させる工程、及び
(ii)特異的に結合したリガンド及び/又は融合タンパク質を同定する工程、
を含む方法を対象とする。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの組織タンパク質は、1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30(全ての番号は表1に従う)からなる群から選択される。
【0059】
より好ましくは、少なくとも1つの組織タンパク質は、1〜2、4〜13、15〜31からなる群から選択され、対象となる哺乳動物組織は腎臓組織である。
【0060】
さらに、対象となる哺乳動物組織が血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織であることが好ましい。
【0061】
より好ましくは、本発明の方法の前記工程(i)及び/又は(ii)は、ex vivoすなわちin vitroで実施される。
【0062】
最も好ましくは、本発明の方法は、新生血管構造の画像化方法、特に腫瘍細胞、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくは血管腎臓腫瘍のin vivoにおける画像化方法である。
【0063】
本発明はまた、新規腫瘍マーカー、新規腎臓特異的腫瘍マーカー、腎臓腫瘍の血管系の新規及び特異的マーカーとしての有用性を有し、かつ診断及び治療手段として選択的かつ高親和性の抗体を提供するための抗原として使用され得る、多数の新規タンパク質を同定する。
【0064】
(ペリオスチンの4つの新規スプライスバリアント)
ペリオスチンは、骨芽細胞により分泌される骨芽細胞特異的因子−2(OSF−2、PNとも称される)として初めて同定された90 kDaのタンパク質である(Takeshita et al., Biochem J, 294 (Pt 1), 271−8, 1993)。Tai及びその同僚らは、ハイブリドーマ技術によりモノクローナル抗ペリオスチン抗体を作製し、ウエスタンブロッティングにより、副腎、肺、甲状腺、子宮、膣、卵巣、精巣、前立腺、及び消化管におけるヒトペリオスチンタンパク質の発現を検出しており、胃及び結腸直腸では優先的に発現していた一方、小腸及び食道では低レベルであったことが記載されていた(Tai et al., Carcinogenesis, 26, 908−15, 2005)。
【0065】
多数のガンにおいて関連するペリオスチンが観察されている。しかし、ペリオスチンは、従来技術において、腎臓腫瘍とは関連していなかった。
【0066】
ヒトペリオスチンに関して、Takeshita及びその同僚ら(Takeshita, Kikuno et al., Biochem J, 294 (Pt 1), 271−8, 1993)は、5つの選択的にスプライスされた転写物が産生され得、ペリオスチンの全てのスプライシング事象がC末端領域で起こることを報告している。同じグループは、マウスにおいて、6つの異なるカセットの組み合わせにより生じたペリオスチンの4つの潜在的アイソフォームを発見している(Horiuchi, Amizuka et al., J. Bone Miner Res., 14, 1239−49, 1999)。アイソフォームの機能は、未だに解明されていない。Litvin及びその同僚らは、別のマウスペリオスチンアイソフォームを同定し、これをペリオスチン様因子(PLF)と名付けた(Litvin et al., J. Cell Biochem., 92, 1044−61, 2004)。全長PLF cDNA及び予測されるアミノ酸配列の配列分析は、これがHoruichiのマウスペリオスチンアイソフォーム3に最も似ていることを示した(Litvin, Selim et al., J Cell Biochem, 92, 1044−61, 2004)。
【0067】
本発明は、ペリオスチンが、腎臓ガンで過剰発現するタンパク質であることを始めて実証する。従って、血流から容易に接触できる優れた腎臓腫瘍マーカーとしてこれを使用でき、従って、これはリガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的でもある。
【0068】
抗ペリオスチン抗体を用いた免疫組織化学的分析は、さらに、ペリオスチンが、正常腎臓組織と比較して、腎淡明細胞ガン(renal clear cell carcinoma)の腫瘍間質において非常に過剰発現したことを証明した。
【0069】
ペリオスチンのC末端領域のPCR増幅は、少なくとも8個の異なるスプライスバリアントを明らかにした。公的なタンパク質データベース(Expasy及びNCBI)には、ヒトペリオスチンの4つの異なるアイソフォームのみが記載されている(全長型及び3つのスプライスアイソフォームQ5VSY8、Q5VSY7及びQ5VSY6)。全ての公開されたアイソフォームの次に、アイソフォームA、B、D及びEと称する4つの新規アイソフォーム(それぞれ配列番号9、11、13、15を参照されたい)を同定した。対応する分析により、様々な組織におけるアイソフォーム転写物の異なる分布が示された。ペリオスチン転写物は正常成体腎臓cDNAにおいてはごく弱くしか発現していなかった(又は辛うじて検出できる)が、異なる長さのアイソフォームにおいてこれは明細胞ガン試料から増幅可能であったことを発見した。この発見は、腫瘍組織のみにおけるプロテオーム解析でのペリオスチンの同定と適合する。胎児の腎臓はまた、ペリオスチンに対して陽性であったが、アイソフォームの分布は、検査した腫瘍組織の全てにおいて登録されたものとは異なっていた。ペリオスチン転写物の発現はまた、正常成体脳及び肝臓でも見ることができる。しかし、脳及び肝臓cDNAライブラリーにおけるペリオスチンアイソフォームの分布は、腫瘍、胎児及び正常成体試料の間での差を示した。最も小さく検出されたペリオスチン転写物は、腫瘍試料に主に発現されており、少なくとも4つの異なる腎臓及び肝臓腫瘍中に存在していたが、正常試料では検出できず、正常成人脳及び胎児腎臓においては辛うじて検出できるものであった。
【0070】
驚くべきことに、質量分光分析は、アイソフォーム特異的である3つのペプチドEIPVTVYKPIIKK、EIPVTVYRPTLTK及びIITGPEIKを明らかにした。なぜなら、これらが、特定のアイソフォームにしか存在しない2つのエクソンの接合を包含したからである。
【0071】
腫瘍(又はさらには特定の腫瘍タイプ)に特異的に発現している新規ペリオスチンアイソフォームにのみ存在する「接合ペプチド(junction peptides)」に対する/に対して生じるリガンド、好ましくは抗体が、これらの腫瘍の選択的標的化及び破壊のための非常に強力なツールを提供することが予測される。
【0072】
一つの側面において、本発明は、アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体を対象とする。
【0073】
好ましくは、本発明のこの側面は、それぞれ配列番号9、11、13、15から選択されるアミノ酸配列を有するペリオスチンスプライスバリアントタンパク質A、B、D若しくはE、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、前記そのフラグメント又は機能的誘導体のアミノ酸配列が少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも75個のアミノ酸を含み、かつ
a)配列番号9のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位、又は670〜756位及び783〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
b)配列番号11のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜726位及び784〜810位、又は784〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;好ましくは、このスプライスバリアントがアミノ酸配列EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含み;
c)配列番号13のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
d)配列番号15のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号15における421位のアミノ酸バリンを含むアミノ酸配列を有し、配列番号1における671〜697位の欠失を反映するアミノ酸配列を有する、
ものに関する。
【0074】
好ましい実施態様は、上記タンパク質に対して、少なくとも80、好ましくは85、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95又は98%のアミノ酸配列同一性を有する本発明のペリオスチンスプライスバリアント、本発明のフラグメント又は機能的誘導体であって、前記配列が配列番号1、3、5、及び7のいずれか一つの配列でないものに関する。
【0075】
さらに、本発明は、4つの新規スプライスバリアントのいずれか一つの本発明の上記タンパク質、フラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0076】
本発明のタンパク質の機能的誘導体は、任意のアミノ酸配列及び/又は化学的誘導体であって、元のタンパク質への親和性を有する抗体に対して同一の結合親和性を確立するために実質的に十分に接触可能なアミノ酸残基を有するものを包含することが意図される。好ましくは、機能的誘導体は、欠失(N末端又はC末端切断(truncation)を含む)、付加及び/又は置換、より好ましくは保存アミノ酸置換を有するものである。
【0077】
本発明のフラグメント又は機能的誘導体は、元の全長タンパク質の少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、又は少なくとも100個のアミノ酸を有する。
【0078】
ポリペプチド間の配列同一性を測定するために、当業者は、当業者に公知の多数のスタンダードアルゴリズムに戻すことができる。好ましくは、http://www.expasy.org/tools/blast/及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/Blast.cgi?CMD=Web&LAYOUT=TwoWindows&AUTO_FORMAT=Semiauto&ALIGNMENTS=250&ALIGNMENT_VIEW=Pairwise&CDD_SEARCH=on&CLIENT=web&DATABASE=nr&DESCRIPTIONS=500&ENTREZ_QUERY=%28none%29&EXPECT=10&FILTER=L&FORMAT_OBJECT=Alignment&FORMAT_TYPE=HTML&I_THRESH=0.005&MATRIX_NAME=BLOSUM62&NCBI_GI=on&PAGE=Proteins&PROGRAM=blastp&SERVICE=plain&SET_DEFAULTS.x=41&SET_DEFAULTS.y=5&SHOW_OVERVIEW=on&END_OF_HTTPGET=Yes&SHOW_LINKOUT=yes&GET_SEQUENCE=yesのBLASTプログラムを、より好ましくはデフォルトセッティングで用いて、本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント又はタンパク質誘導体のアミノ酸配列同一性を同定する(Windowsは登録商標)。
【0079】
ある例において、本発明はまた、本発明のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードする新規ポリヌクレオチドであって、これらが、ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列(specifically referenced nucleic acid sequence)とハイブリダイズする能力を有することを特徴とする、新規ポリヌクレオチドを提供する。ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列とハイブリダイズする能力を測定するための従来技術で一般的及び/又は標準的なプロトコルの次に、ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列とハイブリダイズする能力を、アライメントツール(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgi?CMD=Web&LAYOUT =TwoWindows&AUTO_FORMAT=Semiauto&PAGE=Nucleotides&NCBI_GI=yes&FILTER=L&HITLIST_SIZE=100&SHOW_OVERVIEW=yes&AUTO_FORMAT=yes&SHOW_LINKOUT=yes)とともに、遺伝子データベース(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db =nucleotide)で見られ得る2つのタンパク質のヌクレオチド配列を比較することにより分析及び測定することが好ましい(Windowsは登録商標)。
【0080】
「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」という用語は、本発明との関連で用いられる場合、遺伝コード中の対立遺伝子変異及びリダンダンシーを含むことが意図される。
【0081】
さらに、本発明は、請求項40乃至93のいずれか一項に記載の新規タンパク質、そのフラグメント及び誘導体、並びにそれらをコードするヌクレオチドを提供する。
【0082】
より詳細には、本発明は、対応する配列番号(割り当てについて表1を参照されたい)に示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体を提供する。
【0083】
さらに、好ましい実施態様において、本発明は、上記タンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体と少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、タンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体に関する。
【0084】
さらに、本発明は、本発明に係る上記のタンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチドであって、ストリンジェントな条件下、完全タンパク質をコードする対応する核酸配列(割り当てについて表1を参照されたい)とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチドを対象とする。
【0085】
また、本発明は、本発明のタンパク質、フラグメント及び機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、並びに本発明の前記タンパク質、フラグメント及び機能的誘導体及び/又はベクターを含む宿主細胞を包含する。
【0086】
最後に大切なことだが、本発明のさらなる側面は、本発明のポリヌクレオチド、ベクター及び/又は宿主細胞を用いた、本発明のタンパク質、フラグメント及び機能的誘導体の組み換え技術による作製方法を対象とする。
【0087】
以下に、本発明の腫瘍標的として、特に血管腎臓腫瘍標的としてのそれらの有用性を実証した標的タンパク質を簡単に記載する。
【0088】
(タンパク質#2)
同定されたペプチドは、2つのタンパク質アイソフォームの1つ又は両方に由来し得る(表1:2):それぞれ、遊離脂肪酸レセプター3(O14843)及び/又は推定上のGタンパク質共役レセプター42(O15529)。
【0089】
Gタンパク質共役レセプター遺伝子スーパーファミリーのファミリーA(ファミリー1としても分類される)のうち、それらの一次配列の比較的近い類似性を考慮すれば、非常に多種多様なリガンドタイプに反応する、〜90のレセプターの系統発生学的に関連するグループが存在する(Bockaert and Pin, Embo J, 18, 1723−9, 1999)。
【0090】
遊離脂肪酸レセプター3は、このレセプターについて公表された3つの研究の全てにおいて、脂肪から検出された(Brown et al., J. Biol. Chem., 278, 11312−9, 2003; Le Poul et al., J. Biol. Chem., 278, 25481−9, 2003; Xiong et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 101, 1045−50, 2004)。今までのところ、GPR41とGPR42とを区別するための抗体は知られていない。
【0091】
腫瘍におけるこれらのタンパク質のどちらかの発現又はさらには過剰発現は未だ報告されていない。
【0092】
(タンパク質#3)
溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(SLC2A1)(=グルコーストランスポータータイプ1、赤血球/脳(GLUT1))(P11166)
【0093】
グルコースの取り込みの増加は、悪性組織で見られる主要な代謝変化の一つである。この取り込みは、グルコーストランスポーター(Glut)タンパク質により媒介され、これは、細胞膜を介したグルコースの輸送に関与する膜タンパク質である。これらのヒトグルコーストランスポーターは、個別の組織分布を有し、様々な条件下、グルコースの処理に貢献する(Pessin and Bell, Annu Rev Physiol, 54, 911−30, 1992)。7つのグルコーストランスポーターからなるファミリーがクローニングされている。これらのうち、Glut1(これは、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(SLC2A1)とも称される)は、赤血球、血液−脳関門、末梢神経の神経周膜、及び胎盤で発現する(Froehner et al., J. Neurocytol., 17, 173−8, 1988; Pardridge et al., J Biol Chem, 265, 18035−40, 1990; Pessin and Bell, Annu. Rev. Physiol., 54, 911−30, 1992; Takata et al., Cell Tissue Res, 267, 407−12, 1992)。Glut1は、従来技術において、多数の腫瘍と関連している。Glut1はまた、腎臓ガンで発現することが免疫組織化学により示されていた(Nagase et al., J Urol, 153, 798−801, 1995; North et al., Clin Neuropathol, 19, 131−7, 2000)。
【0094】
本発明は、Glut1が、血流から容易に接触可能なタンパク質であることを初めて実証し、この腫瘍マーカーが、リガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的であることを示す。
【0095】
(タンパク質#4)
バーシカンコアタンパク質[前駆体](13611)は、巨大な細胞外マトリックスプロテオグリカンであり、様々な組織に存在し、細胞接着及び生存、細胞増殖、細胞移動及び細胞外マトリックス集合に影響を及ぼす(Wight, Curr Opin Cell Biol, 14, 617−23, 2002)。加えて、バーシカンが血管形成及び腫瘍に過剰発現するという証拠が存在する。
【0096】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガン中のバーシカンコアタンパク質の発現を実証し、この腫瘍マーカーが、リガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的であることを示す。
【0097】
(タンパク質#5)
驚くべきことに、ペプチドSDPLKLTVKが、正常腎臓サンプルではなく腫瘍のみで同定された。このペプチドは、スイスプロットデータベースにおいて3つの異なる配列エントリーの一部である:292個のアミノ酸残基を有するCEACAM3(Q6UY47)、293個のアミノ酸残基を有するガン胎児性抗原関連細胞接着分子(遺伝子名:CEACAM21)(Q3KP10)、及び235個のアミノ酸残基を有するR29124_1(O75296)。これらのタンパク質の存在は、DNA配列分析に基づいて仮定されたが、実験的には全く証明されていなかった。これらの配列は、最大で3つのミスマッチで98%を超える同一性を共有する。これらのデータは、この3つの配列が、同一タンパク質に属し、その差が配列決定の誤りに起因するのか、又はその配列が、同一タンパク質の異なるアイソフォームに対応するかのいずれかを示す。
【0098】
配列は、CEACAMファミリーの他のタンパク質、ヒトガン胎児性Ag(CEA)タンパク質ファミリーのサブグループとの顕著な類似性を示す(Beauchemin et al., Exp Cell Res, 252, 243−9, 1999)。
【0099】
多数のCEACAMがタンパク質レベルで研究されている一方、これは、本発明で同定されたタンパク質についてのケースではないようである。タンパク質レベルで実際に研究されているCEACAMとの最も高い類似性は、胆汁糖タンパク質前駆体(CEACAM1)とのものであり、最大でわずか44%である。さらに、CEACAM1配列は、同定されたペプチドを含まない。
【0100】
驚くべきことに、本発明は、ペプチドSDPLKLTVKを同定し、従って、データベースエントリーQ6UY47、Q3KP10、及びO75296において予測される配列を有するタンパク質の存在を証明する。今までのところ、このタンパク質を特異的に認識する利用可能な抗体は存在しない。
【0101】
加えて、本発明は、正常腎臓ではなく、腫瘍において上記ペプチドを同定しており、よって、前記タンパク質を、ヒト腫瘍で過剰発現する新規マーカーとして、より好ましくはヒト腎臓腫瘍マーカーとして、最も好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0102】
(タンパク質#6)
本発明において、ペプチドYLPFVPSRを、タンパク質フィブロモジュリンの一部として同定した(Q8IV47)。フィブロモジュリンは、59 kDaのタンパク質として初めて記載され(Heinegard et al., J Biol Chem, 261, 13866−72, 1986)、コラーゲンI型及びII型と相互作用し(Hedbom and Heinegard, J Biol Chem, 264, 6898−905, 1989)、軟骨のコラーゲン線維上に存在する(Hedlund et al., Matrix Biol., 14, 227−32, 1994)。フィブロモジュリンは、FMヌルマウスが腱において異常なコラーゲン線維を形成するという観察により示されるとおり、コラーゲン線維の形成に重要な役割を果たすと考えられている(Svensson et al., J. Biol. Chem., 274, 9636−47, 1999)。このタンパク質は、多数の腫瘍と関連している。
【0103】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガンにおけるフィブロモジュリンタンパク質の過剰発現を明らかにし、従って、前記タンパク質を、新規ヒト腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0104】
(タンパク質#7)
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント](メラノーマ関連抗原MG50とも示される)(Q92626)は、最初は、cDNAサブトラクションアプローチにより同定され、そこでは、in situプラークハイブリダイゼーションによりメラノーマ発現ライブラリーをスクリーニングした後、サブトラクトされたメラノーマcDNAプローブ(メラノーマ細胞株−肺ガン細胞株)を用いてcDNAクローンを単離した(Hutchins et al., Cancer Res, 51, 1418−25, 1991)。
【0105】
驚くべきことに、本発明は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]が、腎臓の正常組織ではなく腫瘍試料のみで同定されたことを実証し、腫瘍マーカーとして、より好ましくは腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能な腫瘍マーカーとしてのこのタンパク質の使用を示す。
【0106】
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]は、今までのところ、特定のmRNA配列のデモンストレーションから仮定されているに過ぎず、このタンパク質の存在は未だ全く実証されていない。
【0107】
(タンパク質#8)
驚くべきことに、ペプチドMRAPGALLARは、腎臓腫瘍でのみ同定され、推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体](O15354)のタンパク質配列に適合する。
【0108】
オーファンGタンパク質共役レセプターGPR37及び関連遺伝子は、哺乳動物中枢神経系に高度に発現する推定上のGタンパク質共役レセプターのサブファミリーをコードする。
【0109】
Toyota及びその共同研究者らは、GPR37が、急性骨髄性白血病(AML)において、CpG島と称される、プロモーター関連CpGリッチ領域の過剰メチル化(hypermethylation)を示す遺伝子の一つであることを発見した(Toyota et al., Blood, 97, 2823−9, 2001)。このような過剰メチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼ酵素の作用により有糸分裂を介してクローン的に増殖するジーンサイレンシングをもたらし得る。このようなメチル化関連サイレンシングは、新生組織形成における腫瘍抑制遺伝子のサイレンシングにおいて病理学的役割を果たす。
【0110】
驚くべきことに、本発明は、正常腎臓ではなく腫瘍においてGPR37を同定し、腫瘍におけるこのタンパク質の過剰発現を実証し、従って、このタンパク質を、ヒト腫瘍に過剰発現する新規マーカーとして、よい好ましくはヒト腎臓腫瘍マーカーとして、最も好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいては、リガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0111】
(タンパク質#9)
タンパク質sidekick−1[前駆体](Q8TEN9)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて仮定されている(Nagase, T et al., Kazusa DNA Research Institute, direct submission to the NCBI database)が、実験的には全く証明されていなかった。
【0112】
驚くべきことに、このようなタンパク質が存在し(このタンパク質に対して特異的であるペプチドAELTDLKの同定により)、これが腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲に過剰発現することを実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を開いた。
【0113】
(タンパク質#10)
タンパク質アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネルが、常染色体優性神経変性疾患である脊髄小脳失調タイプ6(SCA6)と称される病気で突然変異されることが示された(Toru, S et al., J. Biol. Chem. 275, 10893−8, 2000)。現在まで、正常組織又は腫瘍組織における発現に関するデータは全く入手できない。
【0114】
驚くべきことに、トリプシンペプチドRGALVGAPRの同定により、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0115】
(タンパク質#11)
EMILIN2タンパク質[フラグメント](elastin microfibril interface located タンパク質2、Q8N5L1)は、エラスチン繊維関連糖タンパク質である。EMILIN2タンパク質のmRNA発現は、Colombattiのグループにより示されている(Doliana, R et al., J Biol Chem. 276, 12003−11, 2001)。このタンパク質は、脊髄、末梢白血球、肺、胎盤及び胎児心臓に限定される発現パターンを有する。加えて、このグループは、EMILIN1及びEMILIN2の部分的な共局在化を示すヒト平滑筋肉腫の免疫組織化学を示した。Forrestのグループ(Amma, LL et al., Mol Cell Neurosci. 23, 460−72, 2003)は、ノーザンブロット分析を用いて、EMILIN2タンパク質の心臓、肺及び蝸牛への限定的発現パターンを確認した。
【0116】
驚くべきことに、タンパク質特異的なトリプシンペプチドRGALVGAPRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲での過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0117】
(タンパク質#12)
ダウン症クリティカル領域タンパク質8(悪性メラノーマ関連タンパク質1とも示される)(Q96T75)は6つの異なるスプライスアイソフォームを有する。トリプシンペプチドLFMPRPKは、これら6つのスプライスアイソフォームの5つに対して特異的である(表1を参照されたい)。
【0118】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における、ダウン症クリティカル領域タンパク質8(そのうち全部で6つのアイソフォームが公表されている)の5つのスプライスアイソフォーム、Q96T75、Q6EXA9、Q684H4、Q96T75−2、及びQ96T75−3の1つ又は複数の過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0119】
(タンパク質#13)
推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]タンパク質(Q8IZF5)は、新規ヒトGタンパク質共役レセプターに焦点を当てたラージスケールBLAST研究の過程で同定された(Fredriksson, R et al., FEBS Lett. 531, 407−14, 2002)。
【0120】
驚くべきことに、この発明は、腫瘍において、推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]を同定する。タンパク質特異的トリプシンペプチドNKISYFRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0121】
(タンパク質#14)
タンパク質データベースエントリーアネキシンA4(P09525)及びタンパク質ANXA4[フラグメント](Q6LES2)は、Q6LES2の最初の2つのアミノ酸を除いて、同一のアミノ酸配列を有する。従って、これらの2つのデータベースエントリーにおける差は、配列決定の誤りの結果であるか、又はこのタンパク質に存在する2つのアイソフォームであるかのいずれかであり得る。Zimmermannら(Zimmermann, U et al., Cancer Lett. 209, 111−8, 2004)は、明細胞腎細胞ガンに関する彼等の論文において、正常細胞ではアネキシンA4は核周囲に濃縮するが、腫瘍細胞ではタンパク質が側底膜に局在することを示した。これは、アネキシンIVの細胞内分布が、細胞のその近傍への接着特性と相関することを示唆する。これらの結果は、アネキシンIVが、明細胞腎細胞ガンの形態学的多様性及び広まり(dissemination)に重要な役割を担う可能性があることを示す。
【0122】
驚くべきことに、本発明は、タンパク質特異的トリプシンペプチドISQTYQQQYGRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0123】
(タンパク質#15(4×))
ウロモジュリン様1[前駆体](オルファクトリン(olfactorin)とも示される)(Q5DID0、Q5DID0−2、Q5DID0−3、及びQ5DID0−3)は、嗅覚及び鋤鼻感覚ニューロンにより特異的に発現される新規膜結合タンパク質として同定された(Di Schiavi, E. et al., Eur. J. Neurosci. 21, 3291−300, 2005)。このグループは、flagタグと融合したオルファクトリンでHEK細胞をトランスフェクトし、この融合タンパク質を抗flag抗体で同定した。
【0124】
驚くべきことに、本発明は、タンパク質特異的トリプシンペプチドIVNHNLTEKLLNRの同定により腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。従来技術において、タンパク質オルファクトリンはまた、ウロモジュリン様タンパク質としても知られており、4つの異なるスプライスアイソフォームを有する(表1を参照されたい)。
【0125】
(タンパク質#16)
タンパク質スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体](Q96GP6)は、毛包、皮膚及び鼻上皮、並びに舌及び口腔上皮、骨化中の肋骨、及び胸腺の髄質領域において、胚形成の間、マウスで発現することが実証されている(Hwang, M et al., Gene Expr Patterns. 5, 801−8, 2005)。
【0126】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が、タンパク質特異的トリプシンペプチドGAGPARRRの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0127】
(タンパク質#17)
sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体](Q9UGT4)は、Lubecのグループにより、ヒト皮質神経細胞株HCN−2における2D−PAGE及びMALDIマススペクトロメトリーにより明確に同定された(Lubec, G. et al., J. Chem. Neuroanat. 26, 171−8, 2003)。
【0128】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が、タンパク質特異的トリプシンペプチドVAHQLHQRの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0129】
(タンパク質#18)
腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1(TCTP)は、20年超の間公知である。Bommer及びThieleのレビューにおいて(Int. J. Biochem. Cell Biol. 36, 379−85, 2004)、細胞増殖及びその抗アポトーシス活性に対するTCTPの重要性が強調されている。
【0130】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現は、タンパク質特異的トリプシンペプチドKWVKINNVKの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0131】
(タンパク質#19)
推定上のGタンパク質共役レセプター(Q8TDU0)の存在は、ヒトゲノムにおける配列相同性調査に基づいて推定されたが(Takeda, S et al., FEBS Lett. 520, 97−101, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0132】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドLSVVEAPCRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することを示し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0133】
(タンパク質#20)
仮想タンパク質DKFZp686K0275(Q7Z3A1)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Wiemann, S et al., Molecular Genome Analysis, German Cancer Research Center (DKFZ), direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0134】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドAGQGFGLRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0135】
(タンパク質#21)
膜貫通タンパク質TMEM55A(Q8N4L2)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Strausberg, RL. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 99, 16899−903, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0136】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドKISSVGSALPRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0137】
(タンパク質#22)
仮想タンパク質(Q8WYY4)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Gu, JR. et al., National Laboratory For Oncogenes & Related Genes, Shanghai Cancer Institute, direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0138】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドVLTAMVGKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0139】
(タンパク質#23)
配列類似性を有するファミリー116、メンバーA(Q8IWF6)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Strausberg, RL. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 99, 16899−903, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0140】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドGPAGLGPGSRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0141】
(タンパク質#24)
HRPAP20(ホルモン制御増殖関連タンパク質(hormone−regulated proliferation−associated protein)20 kDa)としても知られるタンパク質UPF0260タンパク質C6orf66(Q9P032)は、安定的に形質移入されたMCF−7(ヒト乳ガン)細胞において、ホルモン刺激の不在下では増加した増殖を有し、血清不在下では増大した生存を有することが実証されている。Karpら(Karp, CM et al., Cancer Res. 64, 1016−25, 2004)は、HRPAP20が、ホルモン依存性腫瘍細胞の増殖及び生存に必要なリンタンパク質であると結論づけている。
【0142】
本発明は、ヒト腫瘍、より好ましくはヒト腫瘍新生血管系構造におけるこのタンパク質の過剰発現を始めて実証し(タンパク質特異的トリプシンペプチドMGALVIRの同定により)、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0143】
(タンパク質#25)
タンパク質CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778(Q6ZS59)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Isogai, T et al., NEDO human cDNA sequencing project, direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0144】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドQFWLGGVARの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0145】
(タンパク質#26及び27)
同定されたペプチド(EAFEAASR)は、2つのタンパク質、仮想タンパク質DKFZp779O1248(Q6AHZ8)及びベータウレイドプロピオナーゼ(Q9UBR1)との区別を可能にしない。RZPDホームページ(http://www.rzpd.de)は、仮想タンパク質DKFZp779O1248をベータウレイドプロピオナーゼにリンクしている。ベータウレイドプロピオナーゼは、そのタンパク質の欠失がピリミジン分解経路の先天異常を導く、タンパク質である(van Kuilenburg, AB et al., Hum Mol Genet. 13, 2793−801, 2004)。ベータウレイドプロピオナーゼ及びガンの関係を公表したデータは存在しない。驚くべきことに、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0146】
(タンパク質#28)
仮想タンパク質DKFZp434F1919(Q9GZU6)及びそのアイソフォームMDS011(Q9GZT6)(2つのタンパク質は、99.6%のアミノ酸配列同一性を有する)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Ota, T et al., Nature Genetics 36, 40-45, 2004)、実験的には全く証明されていなかった。
【0147】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドIDAEIASLKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0148】
(タンパク質#29)
タンパク質EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体](6つのアイソフォーム、表1を参照されたい)の発現は、異なる正常ヒト組織(ノーザンブロット)及び脳(免疫組織化学)で研究されているが(Ortiz, JA et al., J Neurochem. 95, 1585−96, 2005)、腫瘍組織についてのデータは全く利用可能でない。
【0149】
驚くべきことに、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0150】
(タンパク質#30)
UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体](Q5H9T4)の存在は、cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Ottenwaelder, B. et al., The German cDNA Consortium, direct submission to the NCBI database)、実験的には全く証明されていなかった。
【0151】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドKLQAELKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0152】
(タンパク質#31)
本発明において、ペプチドSPILAEVKが、タンパク質カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の一部として同定された(O95259)。このタンパク質には2つのアイソフォームが存在し、この両方にこのペプチドが含まれる(O95259及びO95259−2(hEAG))。
【0153】
Pardo及びその同僚は(Pardo et al., EMBO J., 18, 5540−5547, 1999)、このタンパク質の発現阻害が、細胞増殖の顕著な減少をもたらすことを示した。彼等は、乳房及び脳腫瘍細胞におけるKCNH1の発現を示した。加えて、頸ガンにおいて、発現を免疫組織化学により検出した(Farias et al., Cancer Res., 64, 6996−7001, 2004)。
【0154】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガンにおけるタンパク質カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の過剰発現を明らかにし、よって、前記タンパク質を、新規ヒト腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0155】
より詳細に本発明をさらに例証するために以下の実施例を提供する。これらは、多少なりとも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0156】
明細書及び添付の特許請求の範囲において、実施した実施例以外のもの、又は特記のない限り、成分量を表す全ての数、反応条件、パーセンテージ同一性、アミノ酸数、ヌクレオチド数などは、「約」という用語により、全ての例において修正されるものとして理解されるべきである。さらに、本明細書に記載の全ての数値範囲は、その考えられる部分的範囲の全てを具体的に包含することが理解されるべきである。
【0157】
以下の実施例1は、新生血管構造における本発明で同定されたマーカータンパク質の過剰発現、特に腫瘍、より詳細には腎臓腫瘍におけるそれらの過剰発現を実証する。
【0158】
さらに、以下の実施例2〜10は、本発明の選択した血管系マーカータンパク質(又はそのフラグメント)の組み換え生産、及びこれらの血管系マーカータンパク質に対する抗体を作製するための抗原としてのそれらの利用を実証する。このような抗体(又は同一の選択的親和性を有する他のリガンド)は、これらのマーカータンパク質のさらなる特徴付け及び生物医学的適用に有用である。さらに、いくつかの実施例は、新生血管構造、特に腫瘍における新生血管構造を同定するための、本発明の選択したマーカータンパク質の実用性を証明する。
【0159】
[実施例]
[実施例1]
(序論)
腫瘍を有するヒト腎臓を手術で摘出し、その中をex vivo灌流して、接触可能な構造をビオチン化することに基づいた化学プロテオームアプローチを用いて、ヒトのガンに過剰発現する接触可能で豊富な抗原についての情報を得た。ビオチン化タンパク質をストレプトアビジン樹脂で精製し、質量分光法を用いて同定したところ、637個のタンパク質が明らかとなり、そのうち184個が、腫瘍試料中のみで発見され、223個が正常腎臓部分のみで発見された。この方法論で同定された接触可能な腫瘍関連抗原30個が、抗体系抗ガン治療のための適した標的である。
【0160】
正常臓器及び腫瘍における接触可能な抗原の同定のために使用する具体的な方法は、本発明者らにより最近公表された、ビオチンの反応性エステル誘導体を用いた、腫瘍を有するマウスの末端灌流に基づく(Rybak et al. 2005、上記参照)。この方法では、血流から容易に接触可能な、内皮細胞膜及び他の構造(例えば、細胞外マトリックス構成成分)上の接触可能なタンパク質の効率的なビオチン化が可能となる。ストレプトアビジン樹脂での臓器溶解物からのビオチン化タンパク質の精製と、それに続く質量分析法に基づく比較プロテオーム分析(comparative proteomic analysis)は、数百の接触可能なタンパク質の同定を可能にし、そのうちのいくつかが、臓器及び腫瘍において差次的に発現していることを発見した。
【0161】
上記のビオチン化手順は、腎細胞癌を有する患者から手術で摘出した3つの腎臓のex vivo灌流に適用された(図1及び表2)。この手順は、7〜9分間続けられ、腫瘍部分における血管構造の効率的かつ選択的ラベリングを可能にし(図1C)、他方、血管及び管状構造の両方は、正常腎臓部分においてラベルされた(図1D)。
【0162】
ビオチン化、及び第一級アミン含有溶液(Tris)を用いた過剰量のビオチン化試薬のクエンチング(quenching)後、試料を切除し、SDSの存在下でホモジナイズし、ストレプトアビジン樹脂上にロードし、それによりビオチン化タンパク質を豊富化した。その後のタンパク分解と、それに続くナノHPLCペプチド分離及びMALDI−TOF/TOFによる質量分光分析は、全ての試料において、全部で637個のタンパク質の同定を可能にした。
【0163】
予期されたとおり、正常及び新生試料の両方で観察された豊富なタンパク質には、細胞外マトリックスの構成成分、例えば、コラーゲン、ラミニン、パールカン(perlecan)、ルミカン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、及びテネイシンなどが含まれていた。もっぱら正常腎臓部分で発見されたタンパク質には、腎臓特異的カドヘリン16、複数のトランスポーター、アポリポタンパク質E及びウロモジュリンが含まれていた。多数のタンパク質が、もっぱら腫瘍試料中で発見された。これらのうちのいくつかは、特定の新生物性構造で過剰発現することが以前に報告されていた(例えば、炭酸脱水酵素IX、TEM4、ペルオキダシンホモログ[フラグメント]、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、インテグリンアルファ−1、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ(ectonucleotide pyrophosphatase)/−ホスホジエステラーゼ3)。この分析で同定された腫瘍抗原のごく一部のみが(例えば、ネトリンレセプターDCC、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、神経細胞接着分子1)、今までのところ、「ヒューマンプロテインアトラス」で報告されている:正常組織及びガンにおけるタンパク質発現パターンの特徴付けのためのゲノムワイドイニシアチブ。
【0164】
腫瘍試料におけるタンパク質の検出は、原則的には、優先的な発現パターンだけでなく、ビオチン化試薬への差別的な接触可能性をも反映し得るので、選択したタンパク質候補は、免疫組織化学と、cDNAライブラリーのPCR分析との両方により特徴付けた。ペリオスチンは、この分析において、最も豊富な腫瘍関連抗原であり、特に興味深いマーカーを示し、上皮性卵巣ガン、乳ガン、肺癌の周辺、並びに結腸直腸ガン及びそれらの肝転移中で上方調節されることが発見されている。ヒトにおいて、ペリオスチンの5つの異なるスプライスアイソフォームの存在が報告されているが、3つのアイソフォームの配列しか公表されていない(Swiss−Prot/TrEMBL及びNCBI Protein)。しかし、6つのアイソフォーム配列が、cDNAライブラリーのPCR分析で同定され、これは、正常、胎児、及び腫瘍腎臓において異なる相対存在量を有した(図2及び図4)。正常腎臓及び明細胞ガン試料の免疫組織化学分析は、顕著な血管及び間質の染色パターンを有し、腫瘍におけるペリオスチンの著しい過剰発現を明らかにした(図3)。同様に、バーシカンは、PCR(図2)及び免疫組織化学分析(図3)の両方により、胎児及び腫瘍試料において、より豊富であることが発見された。
【0165】
いくつかの推定上の腫瘍関連抗原は、正常腎臓のcDNAライブラリー中にも存在することが発見され(図2)、これには、フィブリン(fibulin)、腫瘍サプレッサー候補3(tumor suppressor candidate 3)(N33タンパク質)、及び仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]が含まれた(図2)。対照的に、多数の興味深いマーカーが、胎児及び腫瘍試料において実質的により強いPCRバンドを生じ、これには、炭酸脱水酵素IX、TEM−4、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、インテグリンアルファ−1、トロンボスポンジン2、推定上のGタンパク質共役レセプター42、アグリカン、推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、フィブロモジュリン、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、及びタンパク質sidekick−1[前駆体]が含まれた(図2)。
【0166】
この分析で同定された637個のタンパク質のうち、およそ20%が細胞内タンパク質に相当した。より豊富ないくつかの細胞内タンパク質が(例えば、アクチン、チューブリン、ケラチン、ヒストン)、ストレプトアビジン樹脂への粘着性によるか、又はex vivoでの壊死構造のビオチン化の結果として回収可能であったが、いくつかの細胞内タンパク質は、増殖性内皮細胞の表面に接触可能になると報告されている。
【0167】
(材料及び方法)
(患者)
この研究は、Liege大学病院(ベルギー)の倫理委員会による承認で開始された。患者選定で採用された基準は、以下のとおりであった:1)ルーチン超音波及び腹部CTスキャンにより評価されるとおりの、腎淡明細胞ガンと高度に適合する腫瘍の診断;2)腎全摘の治療指標;3)ノーマルコントロールとして用いられるべき腎臓の健康な部分と明確に区別可能な、腫瘍サイズ及び局在化。ビオチンに邪魔されることのない、特異的タンパク質の検出と適合する免疫組織化学的手順を診断的病理組織学的分析に採用した。患者のインフォームドコンセントを得て、HIV並びに肝炎A、B、及びCに対して陰性の血清学を実施した。患者についての詳細な情報は、表S1を参照されたい。
【0168】
(ex vivo血管灌流)
標準的な手順に従って手術を実施し、これには、腎動脈、静脈、及び尿管の結さつ及び切断、並びにそれに続く腎摘出術が含まれる。腎動脈は、灌流工程における即時同定のために、より長い縫合を保持した。腎摘出術の後2分間以内に腎動脈にカニューレを挿入し、腎静脈を開いて(縫合を除去することにより)、灌流液を流出させ、腎動脈を介した灌流を開始した。腎臓は、PBS中1 mg/mLのスルホ−NHS−LC−ビオチン溶液500 mLを用いて7〜9分間最初に灌流し、血液成分を洗浄除去し、接触可能な第一級アミン含有構造をビオチンでラベリングした。その後すぐに、第一級アミンTris−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(Tris)の50 mM溶液を含む450 mLのPBSで第二の灌流工程を8〜9分間実施し、反応していないビオチン化試薬をクエンチ(quench)した。全ての灌流溶液は、10%デキストラン−40を血漿増量剤として含み、40℃に予め温められた。両方の灌流工程は、100〜150 mm Hgの圧力で実施した。成功した灌流は、灌流の初めの数分間に血液が洗浄除去され、それに続いて腎静脈から透明な灌流液が流れ出ることにより示された。灌流後、臓器をPBS中50 mMのTrisで洗浄し、乾燥させ、切除縁のその後の病理学的調査を可能にするために黒インクで擦り、刃を用いて矢状軸(sagittal axis)に沿って半分に切断した(外部内側縁で開始)。成功した灌流は、組織の白っぽい色をもたらした。腫瘍由来及び正常腎臓組織由来(腫瘍による影響を受けない)の試料を切除し(よく灌流された白っぽい部分から)、プロテオーム及び組織化学的分析のためにすぐに急冷凍結(snap−frozen)するか、又は組織化学的分析のためにパラホルムアルデヒドで固定しパラフィン包埋した。ネガティブコントロールとして、腎摘出の後灌流していない臓器を半分に切断し、試料を腫瘍及び正常腎臓組織から上述のとおりに得た。検査した臓器についての詳細な情報は表2を参照されたい。
【0169】
(アビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体を用いた組織切片の組織化学的染色)
パラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋組織試料由来の切片をアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体(Vectastain Elite ABC kit(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA))で、標準的な手順に従って染色した。
【0170】
(プロテオーム分析のためのタンパク質抽出物の調製)
健康な腎臓及びヒトガン患者の明細胞ガン組織由来の試料を組織1 mg当たり40μLの溶解バッファーであって、PBS中、pH 7.4で、2%SDS、50 mMのTris、10 mMのEDTA、CompleteE proteinase inhibitor cocktail(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を含む溶解バッファー中に再懸濁し、Ultra−Turrax T8ディスパーサー(IKA−Werke, Staufen, Germany)を用いて、2分間のフルパワーと2分間のスタンバイを穏やかに冷やして6回のインターバルで適用しホモジナイズした。Vibra−cell(Sonics, New Town, CT, USA)を用いてホモジネートを超音波処理し(30秒間及び1分間のスタンバイを穏やかに冷やしながら6回のインターバルで)、それに続いて99℃で15分間インキュベートし、20分間、15000×gで遠心分離した。上清を全体のタンパク質抽出物として用いた。タンパク質濃度は、BCA Protein Assay Reagent Kit(Pierce)を用いて測定した。
【0171】
(ビオチン化タンパク質の精製)
SA−セファローススラリー(64μL/mg総タンパク質)をバッファーA(PBS中、NP40 1%、SDS 0.1%)で3回洗浄し、ペレット化し、上清を除去した。異なる試料由来の総タンパク質抽出物15ミリグラムをSA−セファロースのペレットと混合した。ビオチン化タンパク質の獲得は、回転式ミキサー中、室温、2時間、進行させた。上清を除去し、樹脂をバッファーAで3回洗浄し、バッファーB(PBS中、NP40 0.1%、NaCl 1 M)で2回洗浄し、50 mMの重炭酸アンモニウムで1回洗浄した。最後に、樹脂を重炭酸アンモニウムの50 mM溶液400μL中に再懸濁し、シークエンシンググレード修飾化ブタトリプシン(sequencing grade modified porcine trypsin)(50 mMの重炭酸アンモニウム中40 ng/μLの原液)(Promega, Madison, WI, USA)20μLを添加した。一定の撹拌下、37℃、一晩、プロテアーゼ消化を実施した。上清を回収し、トリフルオロ酢酸を最終濃度0.1%に添加した。ペプチドを脱塩し、精製して、C18マイクロカラム(ZipTip C18, Millipore, Billerica, MA, USA)で濃縮した。凍結乾燥後、ペプチドを−20℃で保存した。
【0172】
(MALDIターゲットプレートへの自動化オンラインフラクションスポッティングを用いた、ナノキャピラリー−HPLC)
Chromeleonソフトウェア(Dionex, Sunnyvale, CA, USA)により調節される、UltiMate nanoscale LC system及びFAMOS microautosampler(LC Packings, Amsterdam, The Netherlands)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によりトリプシンペプチドを分離した。移動相Aは、水中、2%のアセトニトリル及び0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)からなり、移動相Bは、水中、80%のアセトニトリル及び0.1%のTFAであった。流速は、300 nL/分であり、〜170 barの移動相Aの圧力を導いた。総タンパク質1.5 mgからアフィニティ精製したビオチン化タンパク質の消化に由来する凍結乾燥ペプチドを5μLのバッファーAに溶解し、カラム(内径:75μm、長さ15 cm、C18 PepMap 100、3μm、100Åビーズで充填;LC Packings)にロードした。ペプチドを、グラジエント0〜30%Bで7分間、30〜80%Bで67分間、80〜100%Bで3分間、及び100%Bで5分間溶出した;ついでカラムを100%Aで20分間平衡化し、その後次のサンプルを分析した。溶出フラクションを、水中、3 mg/mLのα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、277 pmol/mLのニューロテンシン(内部標準)、0.1%TFA、及び70%のアセトニトリルの溶液と混合し、オンラインProbotシステム(Dionex)を用いて、192ウェルのMALDIターゲットプレート上に置いた(depose)。MALDI−マトリックス溶液の流量を1.083μL/分に設定した。従って、20秒間に回収された各フラクションには361 nLのMALDI−マトリックス溶液及び100 nLのサンプルが含まれた。ニューロテンシンの最終濃度(end−concentration)は、サンプルウェル当たり100 fmolであった。
【0173】
(MALDI−TOF/TOF質量分析法)
マトリックス支援レーザー脱離イオン化タンデム飛行時間型(Matrix−assisted laser desorption ionization tandem time−of−flight;MALDI−TOF/TOF)質量分析法は、4700 Proteomics Analyzer(Applied Biosystems, Framingham, MA)で実施した。全てのスペクトルは、200 Hzのレーザー周波数で働くNd:YAGレーザーで獲得された。前駆イオンを選択するために、全てのフラクションをMSモードで測定し、その後、MS/MSを実施した。サンプルスポット当たり最大15の前駆体が、衝突誘起解離によるその後のフラグメンテーションのために選択された。前駆体の選択についての基準は、最小S/Nが60であり、ショットトゥーショットプリカーサーマストレランス(shot−to−shot precursor mass tolerance)が120 ppmであった。Global Protein Server Workstation(Applied Biosystems)によりスペクトルを処理及び分析し、これは、内部MASCOT(Matrix Science, UK)ソフトウェアを用いて、コンピュータ内での消化タンパク質のデータベースに対してMS及びMS/MSデータを適合させた。得られたデータは、NCBIホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)からダウンロードしたヒトデータベースに対してスクリーニングした。「missed cleavage」数を2に設定した。MASCOTソフトウェアを用いて実施したタンパク質同定は、最良のペプチドイオンに対して95%の信頼区間(confidential interval)内でコレクトコールであると考えられた。90%と95%との間の信頼区間内の選択されたヒットは、スペクトルのマニュアル検査により確認された。
【0174】
(免疫組織化学的染色)
パラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋組織試料由来の切片は、標準的な手順に従って、免疫ペルオキシダーゼ技術(Vectastain Elite ABC kit (Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA))により染色した。イムノアフィニティ−精製ウサギポリクローナル抗ペリオスチン抗体(Biovendor, Heidelberg, Germany)及びモノクローナル抗バーシカン抗体(クローン12C5;Developmental Studies Hybridoma Bank, University of Iowa, Ames, IA, USA)を1:500の希釈率で使用した。
【0175】
(PCR分析)
明細胞ガン、顆粒細胞ガン、移行細胞ガン由来のcDNAを含むヒト腎臓腫瘍cDNAパネル、正常成体及び胎児腎臓をBioChain(Hayward, CA, USA)から購入した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はHot Start Taq Polymeraseキット(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて実施した。PCR条件は以下のとおりであった:95℃で15分間の変性、それに続いて、94℃で1分間の変性と54℃で1分間のアニーリングと72℃で1分間の伸長とを35サイクル。72℃で10分間伸長させる最終工程を実施した。プライマー配列は、請求に応じて入手可能である。PCR反応の生産物は、2%アガロースゲル電気泳動により分析し、エチジウムブロマイドで染色し、BioDoc−Itイメージングシステム(UVP, Upland, CA, USA)を用いて画像化した。ペリオスチンスプライスアイソフォームの分析のために、バンドをアガロースゲルから切り出し、配列決定した(Big Dye Terminator v1.1 Cycle Sequencing kit; ABI PRISM 310 Genetic Analyzer; Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)。
【0176】
(ペリオスチンの新規スプライスバリアントの同定)
ヒトペリオスチンについて、Takeshita及びその同僚らは、5つの選択的にスプライスされた転写物が生産され得、ペリオスチンの全てのスプライシング事象がC末端領域内で起こることを報告している。いくつかの特定のアイソフォームが腫瘍において選択的に発現し、正常組織では発現しない(よく特徴付けされたフィブロネクチンのED−B含有アイソフォーム及びCドメイン含有ラージテネイシンCアイソフォームの発現パターンと同様)という可能性は、ヒトcDNAライブラリーに対して、選択的にスプライスされたドメインをPCRにより増幅するためのプライマーの設計を導く。ペリオスチンのC末端領域のPCR増幅(図5)は、少なくとも5つの異なるスプライスバリアントを明らかにした。これは、Takeshita及びその同僚らの発見(上記参照)と一致し得るが、彼等は、彼等が発見したアイソフォームの配列を公表していない。現存するデータベースの分析は、3つのアイソフォーム(スイスプロット番号Q15063、Q15063−2及びQ15063−3)の存在、及び4番目の異なるペリオスチンアイソフォームに相当するESTクローン(OTTHUMP 0018271)の存在を明らかにした。しかし、図2に示す増幅バンドの切り取り及びそれらの配列決定により6つの異なるアイソフォームがもたらされたが、そのうち4つは、公知のもののいずれにも相当しなかった。全長ペリオスチン及びアイソフォームQ15063−3に対応するアイソフォームはまた、分析における配列決定により同定された。
【0177】
(ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定)
上記プロテオーム分析は、腫瘍サンプルのみに特異的に存在するアイソフォーム特異的なペプチドを同定できたことに注意しなければならず、これは、それらが特定のアイソフォームのみに存在し、他のものには存在しないエクソンのジャンクション(又はエクソン部分)を包含することを意味する(図5(A)1527.5797 m/zのペプチドを含むHPLCフラクションのMALDI−TOFスペクトルを参照されたい(B及びC))。配列(EIPVTVYKPIIKK)は、MALDI−TOF/TOF実験における衝突誘起解離により決定した。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図4のパネルBにおける薄い青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する2つのエクソンの間のジャンクションを包含する。アイソフォーム特異的ペプチドの別の例は、仮想タンパク質FLJ00154にのみ存在するドメインジャンクションを包含する配列AELTDLKのペプチドにより表され、前記タンパク質は、ヒト腎臓の腫瘍部分でのみ特異的に検出されるンパク質であり、Sidekick様タンパク質1のヒトホモログのマイナー転写物を示す(データは示さず)。そうでなければ他の正常組織に存在することがふさわしいタンパク質の腫瘍特異的アイソフォームの同定は、同一のタンパク質の様々なアイソフォームを識別できるという点において選択的であるアイソフォーム特異的抗体の作製を可能にし、これらの抗体が、腫瘍療法のための潜在的標的を提供するだろう。
【0178】
(結果)
表2.この研究に関与するケースの詳細。特定のサイズ及びステージの腫瘍による影響を受けた、異なる年齢及び性別の5人の患者の腎臓を分析した。3つの臓器は上述のとおりex vivoでビオチン化したが、他の2つの非灌流腎臓試料は、ネガティブコントロールとして回収及び分析した。
【0179】
【表2】
【0180】
表3.正常腎臓、腫瘍部分、又はその両方で同定された、推定上の膜タンパク質及び細胞外マトリックスタンパク質の選択。数字は、腎臓がex vivoでビオチン化され、タンパク質が同定された3人の患者のうち何人かを示す。
【0181】
【表3】
【0182】
(実施例2)
(序論)
腫瘍マーカーとしてのペリオスチンの有用性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学実験で試験した。
【0183】
(材料及び方法)
ペリオスチン(配列番号1)の232〜632位(FAS2〜FAS4)及び496〜632位(FAS4)のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、バイオパニング実験のための抗原として使用した。フラグメントは、pQE12ベクター(Qiagen, Hilden, Germany)を用いてE.coli株TG1に発現させた。タンパク質は、Ni−NTAカラム(Qiagen)を用いて、E.coli溶解物から精製した。ペリオスチンフラグメントに対する一本鎖Fv型(scFv)の抗体を、Silacci et al., Proteomics. 2005 Jun; 5(9):2340−50で報告された手順に従って、ETH−2−Goldファージディスプレイライブラリーから選択した。抗原と結合するscFv抗体を発現するクローンに対するELISAスクリーニング、及び新鮮凍結組織サンプルの切片上での一本鎖Fv調製物を用いた免疫組織化学的染色を、Silacci et al., Proteomics. 2005 June; 5(9):2340−50 and Brack et al., Clin. Cancer Res. 2006 May 15;12(10):3200−8に以前に記載されたとおりに実施した。選択した抗体の親和性成熟は、Brack et al., Clin. Cancer Res. 2006 May 15; 12(10):3200−8に記載とおり実施した。市販のイムノアフィニティ精製ウサギポリクローナル抗ペリオスチン抗体(Biovendor, Heidelberg, Germany)を用いた免疫組織化学的染色は、実施例1に記載のとおり実施した。
【0184】
(結果)
ペリオスチンドメインFAS2〜FAS4又はドメインFAS4をクローニングし発現させた。図6Aには、精製組み換えタンパク質FAS2〜FAS4のSDS−PAGE分析を示す(47 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、FAS2〜FAS4に特異的なscFv抗体及びFAS4に特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図6Bを参照されたい)。FAS2〜4に対する最良のクローンC2をさらに親和性成熟し、より高い親和性を有する抗体を得た(図6CのELISAの結果を参照されたい)。選択した抗ペリオスチン抗体C2を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片で血管及び細胞外マトリックス構造のポジティブ染色が示された(図7Aを参照されたい)。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図7Bを参照されたい)。さらに、ペリオスチンに対する市販の抗体(実施例1を参照されたい)を用いて、異なる患者の腎臓腫瘍におけるペリオスチンの発現を評価した(図8を参照されたい)。試験した8人の患者のうち8人が、腎臓腫瘍において、ポジティブな抗ペリオスチン染色を示した。これらの結果は、ペリオスチンに対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織の新生血管構造において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、ペリオスチンが、全ての患者ではないにしてもほとんどの患者のヒト腎臓腫瘍において高レベルで発現することを示す。
【0185】
(実施例3)
(序論)
バーシカン抗原をさらに研究するために、我々は、異なる患者の腎臓腫瘍切片に対して免疫組織化学的分析を実施した。
【0186】
(材料及び方法)
ヒト腎臓腫瘍のパラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋切片に対する、モノクローナル抗バーシカン抗体(クローン12C5)を用いた免疫組織化学的染色を実施例1に記載のとおりに実施した。
【0187】
(結果)
さらに、バーシカンに対する市販の抗体(実施例1を参照されたい)を用いて、異なる患者の腎臓腫瘍におけるバーシカンの発現を評価した(図9を参照されたい)。試験した8人の患者のうち6人が、腎臓腫瘍においてポジティブな抗バーシカン染色を示し、細胞外マトリックスでさらに拡散しているか、又は腫瘍血管の周りの領域にさらに限定されるかのいずれかであった。これらの結果は、バーシカンが、ほとんどの患者のヒト腎臓腫瘍において高レベルで発現しており、血管から接触可能でありそうなことを示す。
【0188】
(実施例4)
(序論)
CEACAM3抗原を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させて、ファージディスプレイによる抗体選択のための抗原として使用した。
【0189】
(材料及び方法)
CEACAM3(配列番号25)の36〜236位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させて、バイオパニング実験のための抗原として使用した。
【0190】
(結果)
36〜236位のアミノ酸配列に対応するCEACAM3ドメインをクローニングし、発現させた。図10には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(26 kDaのバンド)。これらの結果は、CEACAM3フラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのCEACAM3のさらなる検証のために使用できた。
【0191】
(実施例5)
(序論)
抗原としてのフィブロモジュリンの有用性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントを、ファージディスプレイによる抗体選択のためにクローニングし、発現させた。
【0192】
(材料及び方法)
CEACAM3(配列番号25)の94〜315位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させて、バイオパニング実験のための抗原として使用した。
【0193】
(結果)
94〜315位のアミノ酸配列に対応するフィブロモジュリンフラグメントをクローニングし、発現させた。図11には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(27 kDaのバンド)。この結果は、フィブロモジュリンフラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのフィブロモジュリンのさらなる検証のために使用できた。
【0194】
(実施例6)
(序論)
腫瘍マーカーとして使用するためのペルオキシダシンホモログ[フラグメント]を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学的実験で試験した。
【0195】
(材料及び方法)
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント](配列番号33)の539〜632位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択、ELISAスクリーニング、及び免疫組織化学を実施例2に記載のとおり実施した。
【0196】
(結果)
ペルオキシダシンホモログフラグメントをクローニングし、発現させた。図12Aには、精製組み換えタンパク質フラグメントのSDS−PAGE分析を示す(12 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、組み換えペルオキシダシンホモログフラグメントに特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図12Bを参照されたい)。選択した抗ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]抗体を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片上の主に腫瘍血管周囲でのポジティブ染色が示された(図13Aを参照されたい)。scFvを除いたネガティブコントロールでは、いずれのポジティブ染色も示されなかった(図13Bを参照されたい)。これらの結果は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]に対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織の新生血管構造において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]が、ヒト腫瘍新生血管系において高レベルで発現することを示す。
【0197】
(実施例7)
(序論)
腫瘍マーカーとしてのタンパク質sidekick−1の可能性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISAで試験した。
【0198】
(材料及び方法)
タンパク質sidekick−1(配列番号37)の851〜1052位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択及びELISAスクリーニングを実施例2に記載のとおり実施した。
【0199】
(結果)
タンパク質sidekick−1フラグメントをクローニングし、発現させた。図14Aには、精製組み換えタンパク質フラグメントのSDS−PAGE分析を示す(24 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、組み換えタンパク質sidekick−1フラグメントに特異的なscFv抗体を発現する複数のクローンをもたらした(図14Bを参照されたい)。これらの結果は、タンパク質sidekick−1に対するヒトモノクローナル抗体を、組み換え抗原フラグメントに対して作製できることを実証する。これらの抗体は、実施例2に記載のプロセスと同様に、腫瘍マーカーとしてのタンパク質sidekick−1のさらなる検証のために使用できた。
【0200】
(実施例8)
(序論)
腫瘍マーカーとして使用するためのANXA4タンパク質を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学的実験で試験した。
【0201】
(材料及び方法)
ANXA4タンパク質(配列番号52)の3〜321位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択、ELISAスクリーニング、及び免疫組織化学を実施例2に記載のとおり実施した。
【0202】
(結果)
ほぼ完全なANXA4タンパク質をクローニングし、発現させた。図15Aには、精製組み換えANXA4タンパク質のSDS−PAGE分析を示す(37 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、ANXA4タンパク質に特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図15Bを参照されたい)。ANXA4タンパク質に対する最良のクローンE11を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片上の腫瘍細胞(さらに、腫瘍血管の周囲に位置するこれらの細胞)のポジティブ染色が示された(図16Aを参照されたい)。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図16Bを参照されたい)。これらの結果は、ANXA4タンパク質に対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、この抗原が、ヒト腫瘍(さらに、新生血管系の周囲)において高レベルで発現することを示す。
【0203】
(実施例9)
(序論)
抗原UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100をさらに研究するために、我々は、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させて、ファージディスプレイによる抗体の選択のためにこれを抗原として使用した。
【0204】
(材料及び方法)
UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100(配列番号96)の755〜968位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、バイオパニング実験用の抗原として使用するために、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させた。
【0205】
(結果及び考察)
755〜968位のアミノ酸配列に対応するUPF0378ファミリータンパク質KIAA0100フラグメントをクローニングし、発現させた。図17には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(32 kDaのバンド)。この結果は、UPF0378ファリータンパク質KIAA0100フラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのこの抗原のさらなる検証に使用できた。
【0206】
(実施例10)
(序論)
カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の腫瘍マーカーとしての有用性を評価するために、この膜タンパク質の細胞外ループのアミノ酸配列に対応する合成ペプチドに対してヒトモノクローナル抗体を作製した。これらの抗体を、ELISA、免疫組織化学、FACS、及び免疫細胞化学的実験で試験した。
【0207】
(材料及び方法)
カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1(配列番号98)の2番目の細胞外ループ(316〜349位のアミノ酸配列;図解として図18Aを参照されたい)に対応する合成ペプチドをバイオパニング実験のための抗原として使用した。一本鎖Fv型の抗体(scFv)を、Silacci et al., Proteomics. 2005 Jun; 5(9):2340−50に記載の手順に従って、ビオチン化ペプチドに対してETH−2−Goldファージディスプレイライブラリーから選択した。ELISAスクリーニング、免疫組織化学的染色、及び選択した抗体の親和性成熟は、実施例2に記載のとおり実施した。培養細胞のFACS及び免疫細胞化学的染色は、一次抗体として選択したscFvを、二次抗体としてマウス抗c−myc(クローン9E10)を、三次抗体としてFITC標識抗マウスIgを使用して、標準的な手順に従って実施した。
【0208】
(結果)
ビオチン化カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1ペプチド(上記及び図18Aを参照されたい)に対するファージディスプレイ選択は、コートされたペプチドでのELISAにより試験されたとおり、結合scFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(データは示さず)。これに対する最良のクローンH9をさらに親和性成熟して、より高い親和性を有する抗体を得た(図18BのELISAの結果を参照されたい)。選択した抗カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1抗体H9を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍(図19Aを参照されたい)及びヒト肺腫瘍(図19Cを参照されたい)の組織切片上での腫瘍細胞膜のポジティブ染色が示された。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図19B及び19Dを参照されたい)。HeLa細胞(ヒト頸ガン細胞株)でのさらなる実験は、scFv抗体H9がFACSにおいてこれらの細胞を認識でき(図20を参照されたい)、免疫細胞化学において細胞膜のポジティブ染色を与える(図21を参照されたい)ことを示した。これらの結果は、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対するヒトモノクローナル抗体を作製でき、この抗原が、ヒトガン組織の腫瘍細胞膜上(さらに、新生血管系に極めて接近したそれらの腫瘍細胞)及びヒト腫瘍細胞株の膜上で発現することを実証する。従って、この抗原は、血管腫瘍標的化アプローチのための適した標的であるようだ。
【0209】
以下の表は、本発明で同定した血管腫瘍マーカーのアミノ酸配列のリストである。実施例1で同定した部分アミノ酸配列は、太字で表す。表中の配列番号は、本発明の開示の一部である添付の配列表に対応する。
【0210】
【表4A】
【表4B】
【表4C】
【表4D】
【表4E】
【表4F】
【表4G】
【表4H】
【表4I】
【表4J】
【表4K】
【表4L】
【表4M】
【表4N】
【表4O】
【表4P】
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1A】図1Aは、腎臓血管系における腫瘍マーカーを同定するために実施した、ex vivoでの腎臓灌流手順の略図である。腎摘出後2分間以内に腫瘍を有する腎臓をビオチンの反応性エステル誘導体で灌流し、それにより、血液成分を洗い流し、接触可能なタンパク質をビオチン化する。ビオチン化組織試料を切断し、ビオチン化タンパク質の精製のために別々に処理し、トリプシンペプチドを得て、ナノHPLCにより分離し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化タンデム飛行時間型(MALDI−TOF/TOF)質量分析法により分析する。
【図1B】図1Bには、ex vivo灌流後、半分に切断した、腫瘍を有する腎臓を示す。組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊で優先的にビオチン化される。
【図1C】組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊(neoplastic mass)で優先的にビオチン化される。
【図1D】組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊で優先的にビオチン化される。
【図2】図2には、cDNAライブラリーの半定量的PCR分析による標的検証を示す[明細胞ガン、レーン1;顆粒細胞ガン、レーン2;転移細胞ガン、レーン3;正常胎児腎臓、レーン4;正常成体腎臓、レーン5]。(*)他のタンパク質とは異なり、MASCOTソフトウェアを用いたCEACAM3のアサインメントの信頼性は、最良のペプチドで95%未満であり、MS−MSスペクトルの視覚的検査後であってさえも明確ではない。
【図3】図3には、ペリオスチン(A)及びバーシカン(B)に特異的な抗体を用いた、正常腎臓及び腫瘍切片の免疫組織化学的分析の結果を示す。抗ペリオスチン抗体を用いた染色は、正常腎臓サンプルにおいて低いバックグラウンドの染色を示したが、検査した8つの腫瘍のうち8つで強い過剰発現を明示した。バーシカンは、8つの腫瘍のうち6つで強く過剰発現したが、正常腎臓及び他の正常組織を染色しなかった。染色反応は、一次抗体を除いたネガティブコントロール実験では生じなかった。スケールバー=XXX。
【図4A】図4Aには、選択的スプリライシングが生じているタンパク質のカルボキシ末端領域に限定した、ペリオスチンの様々なアイソフォームのタンパク質配列アライメントを示す。
【図4B】図4Bには、パネルAにおいて示される領域と対応するエクソンの異なる組み合わせのグラフ表示を示す。この研究で同定したアイソフォームを≪A≫〜≪E≫と名づける。薄青の矩形は、我々が同定したアイソフォーム特異的ペプチドEIPVTVYKPIIKKに相当する(図5を参照されたい)。
【図5A】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。(A)質量対電荷比が1527.98であるペプチドを含むHPLCフラクションのMALDI−TOFスペクトル。
【図5B】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。(B)このペプチドの配列(EIPVTVYKPIIKK)は、MALDI−TOF/TOFにより決定した。
【図5C】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。理論的な(C)ペプチドフラグメントイオン及び(D)内部フラグメントイオンの表において、同定したイオンを太字で示す。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図S1、パネルBの薄青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する、2つのエクソン間のジャンクションを包含する。
【図5D】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。理論的な(C)ペプチドフラグメントイオン及び(D)内部フラグメントイオンの表において、同定したイオンを太字で示す。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図S1、パネルBの薄青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する、2つのエクソン間のジャンクションを包含する。
【図6】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、ペリオスチンの精製組み換えフラグメント(47 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)FAS2〜FAS4又はFAS4に対するパニングを2ラウンドした後の、選択したscFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。(C)FAS2〜FAS4に対するクローンC2の親和性成熟を1ラウンドした後の、ELISAスクリーニングの結果のグラフ表示。
【図7】図7には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)ペリオスチンドメインFAS2〜FAS4に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンC2)を用いた染色は、主に腫瘍血管周囲の細胞外構造の強力なポジティブ染色を示した(白矢印は、腫瘍血管周囲のポジティブ染色を指し示す)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった。
【図8】図8には、腎淡明細胞ガンを有する複数の患者における、ペリオスチンの免疫組織化学的検出を示す。免疫組織化学的染色は、8/8検査腫瘍において、ペリオスチンの強い過剰発現を明示した。黒矢印は、ポジティブ染色を有する選択領域を指し示す。スケールバー、100μm。
【図9】図9には、腎淡明細胞ガンを有する複数の患者における、バーシカンの免疫組織化学的検出を示す。免疫組織化学的染色は、6/8検査腫瘍において、バーシカンの強い過剰発現を明示した。染色は、細胞外マトリックスに位置し、腫瘍血管周囲にも位置した。黒矢印は、ポジティブ染色を有する選択領域を指し示す。スケールバー、25μm。
【図10】図10には、CEACAM3の精製組み換えフラグメント(26 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図11】図11には、フィブロモジュリンの精製組み換えフラグメント(27 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図12】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、メラノーマ関連抗原MG50の精製組み換えフラグメント(12 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)メラノーマ関連抗原MG50フラグメントに対するパニングを3ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図13】図13には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)メラノーマ関連抗原MG50ドメインフラグメントに対する選択ヒトモノクローナルscFv抗体(クローンF6)を用いた染色は、主に腫瘍血管周囲の強いポジティブ染色を示した(黒矢印は、腫瘍血管周囲のポジティブ染色のいくつかのスポットを指し示す)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった。
【図14】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、タンパク質sidekick−1の精製組み換えフラグメント(24 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)タンパク質sidekick−1フラグメントに対するパニングを2ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図15】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、ANXA4タンパク質の精製組み換えフラグメント(37 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)組み換えANXA4タンパク質に対するパニングを2ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図16】図16には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)組み換えANXA4タンパク質に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンE11)を用いた染色は、腫瘍血管周囲のものを含む、腫瘍細胞の強いポジティブ染色を示した(白矢印は、ポジティブ染色を有するいくつかのスポットを指し示す;実際に、組織の大部分がポジティブである)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、弱い染色を有するほんのわずかな領域をもたらした。スケールバー、100μm。
【図17】図17には、UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100の精製組み換えフラグメント(27 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図18】(A)カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の略図。ファージディスプレイ選択において抗原として使用されるペプチドは、この膜タンパク質の2番目の細胞外ループに相当する(赤矢印を参照されたい)。(B)カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1ペプチドに対するクローンH9の親和性成熟を1ラウンドした後の、ELISAスクリーニング結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。
【図19】図19には、ヒト腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンH9)を用いた染色は、ヒト腎臓腫瘍(A)及びヒト肺腫瘍(C)の組織切片において、腫瘍細胞膜の強いポジティブ染色を示した(黒矢印は、細胞膜のポジティブ染色を指し示す)。scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、腎臓腫瘍組織(B)及び肺腫瘍組織(D)の両方において、特異的染色を全く生じなかった。
【図20】図20には、HeLa細胞を用いたFACS実験を示す。一次抗体として、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対して選択したscFv(H9)を、二次抗体としてマウス抗c−myc(クローン9E10)を、三次抗体としてFITC標識抗マウスIgを用いた細胞処理は、scFvを除いた以外は同一の手順で処理した細胞と比較して(右パネル)、FACSにおけるシフトを明示し(左パネル)、これは、HeLa細胞に対するscFv(H9)の良好な結合を示す。
【図21】図21には、HeLa細胞を用いた免疫細胞化学的実験を示す。カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンH9)を用いた培養HeLa細胞の染色は、腫瘍細胞膜の強いポジティブ染色を示した(A)(白矢印は、細胞膜のポジティブ染色を指し示す)。scFvを除いた以外は同一の染色手順を用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった(B)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物組織における新生血管構造(neovascular structure)の同定方法であって、前記新生血管構造を、前記組織中の少なくとも1つの特異的タンパク質の検出により同定する、方法に関する。本発明はまた、新血管形成と関連する病気又は状態を同定するための方法、新生血管構造を標的化及び/又は画像化するための方法、並びに新血管形成と関連する病気又は状態を標的化するための方法にも関する。さらに、本発明は、哺乳動物組織、好ましくは哺乳動物腎臓組織、より好ましくは哺乳動物血管腎臓組織(vascular kidney tissue)において腫瘍細胞を同定するための新規及び/又は公知標的タンパク質に対する新規及び/又は公知のリガンド、好ましくは抗体の使用を対象とする。本発明はまた、新規リガンド、好ましくは抗体、前記リガンド又は抗体を含む融合タンパク質、前記リガンド、抗体、又は融合タンパク質を含む医薬及び診断用組成物、診断及び治療方法、並びに新規タンパク質及び対応するポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞にも関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍学の分野において、固形腫瘍の増殖が、支持的な血液供給を獲得できるその能力に依存することは周知である。初期段階で血管新生を予防する抗血管新生は、有望な抗腫瘍アプローチである。最近の治療コンセプトは、確立された腫瘍血管系の標的破壊である。血管標的化は、動物モデルにおいて有効な抗腫瘍ストラテジーであることが既に示されており(Neri, D. and Bicknell, R., Nature reviews. Cancer, vol. 5, 436−446, June 2005)、多数の有望な化合物の臨床試験が開始されている。確立された腫瘍血管系の標的化は、代替的な、場合によっては補助的な、かつ確実な広範囲にわたる治療を提示する。
【0003】
腫瘍における内皮細胞及び周囲の間質は、正常組織におけるものとは異なることが長い間知られていたが、ごく最近になって、分子レベルでこれらの差が特徴付けられ始めた。腫瘍の内皮細胞上又は周囲の間質中に発現するタンパク質は、治療標的として示唆されている(Neri and Bicknell, 2005, 上記参照)。例えば、固形腫瘍において、マウスMHCクラスII抗原に対する高親和性抗体とリシン毒素とを結合させた。この複合体をマウスへと静脈注入し、抗体がリシンを腫瘍内皮へと特異的にデリバリーし、ここで取り込まれて、細胞死が誘発され、その後の血管系の崩壊及び固形腫瘍の根絶が起こった(Burrows, F.J. and Thorpe, P.E., PNAS USA 90, 8996−9000 (1993))。腫瘍血管系上に特異的に発現しているが、正常組織の血管系上には発現していないタンパク質は、抗腫瘍標的として使用できるだけでなく、診断、特に画像化目的でも使用できる。
【0004】
腫瘍血管標的を同定するために、ほとんどの研究はin vitro内皮細胞単離株に基づいており、正常及び腫瘍組織中でこれを模倣すると考えられる培養条件に暴露し、ついで広範囲にわたる分子技術を用いて、差次的に発現した遺伝子を同定した。遺伝子発現における差は明らかではあったが、分子レベルで差次的に発現したタンパク質を同定することは困難であることが判明していた。別の一般的なアプローチは、新規内皮マーカーの同定を導く異なる内皮構造に対する抗体を生じさせることであったが、差次的に発現する遺伝子を同定できなかった。というのも、おそらくこのようなタンパク質は、細胞表面上の豊富な構成成分のうちの微量成分であるからである。
【0005】
別の最近のアプローチにおいて、血管系はまた、血管抗原に対する抗体を用いて、in vivoで標的化されている。別の最近のin vivo標的化アプローチにおいて、本発明者らは、ビオチンの反応性エステル誘導体を用いた、腫瘍を有するマウスの末端灌流(terminal perfusion)に基づき、正常臓器及び腫瘍における接触可能(accessible)な抗原を同定した(Rybak et al., Nat. Methods 2, 291, April 2005)。
【0006】
腫瘍特異的な血管標的は、重要な腫瘍診断情報を提供し、特異的な標的化抗腫瘍化合物も可能にする。腫瘍血管系での特異的な蓄積は、正常組織中、他の位置で抗腫瘍化合物と典型的に関連する中毒性副作用を積極的に減少させ、結果として、中毒物質の濃度の低減を可能にする。さらに、腫瘍血管系−特異的抗腫瘍剤は、動脈流入血中、固形腫瘍へとマイクロインジェクションされ、血管系と結合し、それにより、最小限の毒性流出を提供できる。
【0007】
要約すると、一般的な腫瘍に対する血管標的、特に特異的腫瘍、臓器特異的腫瘍などに対する血管標的は、腫瘍の診断及び治療に対する重要なツールを提供する。
【非特許文献1】Neri, D. and Bicknell, R., Nature reviews. Cancer, vol. 5, 436−446, June 2005
【非特許文献2】Burrows, F.J. and Thorpe, P.E., PNAS USA 90, 8996−9000 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、哺乳動物組織、特に成熟組織における新生血管構造を同定することである。別の目的は、哺乳動物における新血管形成に関連する病気又は状態を同定することである。さらなる目的は、哺乳動物組織、特に成熟組織、とりわけ病気に冒された組織における新生血管構造を標的化及び/又は画像化する方法の提供である。さらに、本発明の目的は、特異的腫瘍標的及びそれらの使用を提供することである。本発明の根底にある別の目的は、腎臓特異的腫瘍標的、特に血管腎臓腫瘍標的の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新生血管構造、特に腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及びアテローム性動脈硬化症などの哺乳動物組織における新血管形成と関連する病気における新生血管構造を同定するための新規ポリペプチド標的を提供する。
【0010】
新生血管系構造は、本明細書で定義するとおり、内皮細胞、細胞外マトリックス、周皮細胞、間質の他の構成成分、及び/又は血管に近接する異常細胞である。このような新生血管系構造は、腫瘍で見られるが、他の血管形成関連疾患、例えば、黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチなどでも見られ得る。
【0011】
これらの新規血管ポリペプチド標的は以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター(putative G−protein coupled receptor)42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(solute carrier family 2, facilitated glucose transporter member 1)、(4)バーシカンコアタンパク質(Versican core protein)[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ(Peroxidasin homolog)[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1(Protein sidekick−1)[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8(Down syndrome critical region protein 8)、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1(tumor protein, translationally controlled 1)、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質(hypothetical protein)DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA(Family with sequence similarity 116, member A)、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2(Cysteine−rich with EGF−like domain protein 2)[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1(potassium voltage−gated channel subfamily H member 1)、
からなる群から選択される。
【0012】
上記血管標的のいくつかは公知タンパク質であるが、他のものはこのようなタンパク質をコードし得るヌクレオチド配列の同定からタンパク質であることが仮定されている。(i)上記31個のタンパク質、及び(ii)それらをコードする入手可能なアミノ酸及びヌクレオチド配列の対応するアクセッション番号(スイスプロット)、並びに(iii)さらに以下に列挙する配列に関する配列同定番号(配列番号)のリストを以下の表1に提供する。
【0013】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0014】
上記列挙したタンパク質との関連で[フラグメント]及び[前駆体]という用語は、それぞれのタンパク質のデータベースエントリーにおける実際の名前の一部であり、本発明の範囲を多少なりとも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
さらに、データベースエントリーは、場合によっては、軽微な配列エラーを含むことがあり、修正及び変更を受け得ることが当分野では常識である。加えて、タンパク質は、翻訳後修飾及びディファレンシャルなスプライシングを受け得る。従って、上記31個の血管腫瘍マーカータンパク質のいずれかについての本明細書の言及は、任意の配列フラグメント、スプライスバリアント、翻訳後修飾されたバリアント及び/又はさらなる伸長を含むその配列、並びに上記列挙したタンパク質の他の同義語を意味することが好ましい。本明細書においてより好ましくは、上記血管腫瘍マーカータンパク質への言及は、質量分光分析により同定され得るそのバリアントを包含する。なぜなら、これらは、実施例の最後の表で太字で同定されたペプチド配列を含むからである。
【0016】
上記新規な血管ポリペプチド標的は、外科的に除去した腎臓をビオチン化試薬でex vivo血管灌流することにより同定され、このビオチン化試薬は、血管の接触可能な第一級アミン含有構造をビオチンで標識するものである。腫瘍を有する腎臓及び有さない腎臓の血管系において、多くのビオチン標識アミン構造を単離、特徴付け、及びその後に比較することにより、最終的に、上記血管腫瘍標的の同定が導かれた。同定手順の詳細については、以下の実施例1を参照されたい。
【0017】
上記血管標的は、現在、血管標的特異的リガンドの調製を可能にする。本発明で使用するためのリガンドには、抗体、その抗体フラグメント又は機能的誘導体、並びに抗体様結合分子、ペプチド、有機小分子、アプタマー、及び他の結合分子であって、表1において上記列挙したタンパク質の1つへの結合親和性を有する以下に記載のものが含まれる。
【0018】
これらの血管標的特異的リガンドは、本発明の方法及び使用に有用である。
【0019】
第一の側面において、本発明は、哺乳動物組織における新生血管構造の同定方法であって、前記新生血管構造が、前記組織中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法に関する。好ましくは、哺乳動物組織は、成熟哺乳動物組織であり、より好ましくはヒト成熟組織であり、最も好ましくは腎臓組織である。
【0020】
「成熟組織」という用語は、本明細書で用いられる場合、生まれた哺乳動物から完全に分化した組織、好ましくは成体哺乳動物を意味することが理解され、具体的には、出産前の組織を排除する。
【0021】
本発明の別の側面は、腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、哺乳動物における病気又は状態の同定方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその組織の近接部位中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法を提供する。好ましくは、前記病気は、腫瘍、より好ましくはヒト腫瘍、最も好ましくはヒト腎臓腫瘍である。
【0022】
本発明はまた、哺乳動物組織における新生血管構造の標的化及び/又は画像化方法であって、前記新生血管構造が、前記新生血管構造中の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定されたタンパク質から選択される、方法も包含する。好ましくは、前記哺乳動物組織は、成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である。
【0023】
本発明のさらなる側面は、腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、哺乳動物における病気又は状態の影響を受けた組織の標的化及び/又は画像化方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が上記表1で同定したタンパク質から選択される、方法を対象とする。好ましくは、前記病気は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である。
【0024】
モノクローナル抗体及びそれらの誘導体は、依然として、薬学的生物工学的適用において好ましい結合分子/リガンドであるが、抗体様結合特性を有する他のクラスの結合分子/リガンドは、多くの適用のために、抗体の代替物としてますます使用されている。このような機能的アナログには、アプタマー(Brody EN, Gold L., Aptamers as therapeutic and diagnostic agents. J. Biotechnol. 2000 Mar., 74(1):5−13. Review)、同種抗原を認識するように改変された(例えば、ループの突然変異誘発など)小球タンパク質が含まれる(例えば、アンチカリン(anticalin)、アフィボディ、アンキリンリピートなど[Binz HK, Amstutz P, Pluckthun A; Engineering novel binding proteins from nonimmunoglobulin domains. Nat Biotechnol. 2005 Oct., 23(10):1257−68. Review])。抗体様タンパク質を有する球状タンパク質は、突然変異体の大きなライブラリーに由来し、例えば、大きなファージディスプレイライブラリーからパニングされ、通常の抗体と同様に単離され得る。さらに、抗体様結合タンパク質は、球状タンパク質中の表面暴露残基のコンビナトリアル突然変異誘発により得ることができる。さらに、低分子量合成有機分子は、それらが十分な結合親和性及び抗原に対する特異性、並びに適した薬物速度論的特性を有するならば、血管腫瘍標的剤として使用できる。
【0025】
従って、別の側面において、本発明は、少なくとも1つのリガンド、好ましくは少なくとも1つの抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、表1から選択されるタンパク質への特異的結合特性を有するものを、哺乳動物組織において、新生血管構造を同定するため、好ましくは腫瘍を同定するために使用することに関する。
【0026】
好ましい実施態様において、少なくとも1つのリガンド、好ましくは抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する。
【0027】
上記表1中のタンパク質及び先に直接列挙した好ましいタンパク質は、ヒト腫瘍組織の新生血管系構造において特異的に同定された。
【0028】
従って、より好ましい実施態様において、本発明は、ヒト組織における腫瘍を同定するための本発明に従った使用に関する。
【0029】
表1のタンパク質は、ヒト腎臓腫瘍組織の新生血管系構造において同定された。従って、さらにより好ましい実施態様において、本発明は、哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織において、新生血管構造を同定するため、特に腫瘍を同定するための本発明に従った使用に関する。
【0030】
最も好ましくは、哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織において新生血管系構造を同定するためのタンパク質は、1、2、4〜13、15〜31からなる群から選択される。
【0031】
表1のタンパク質はすべて、ヒト腎臓腫瘍の新生血管系構造において特異的に同定された。これらは、血流から接触可能な腎臓における特異的標的を提示する。従って、最も好ましい実施態様において、本発明は、少なくとも1つのリガンド、好ましくは少なくとも1つの抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、表1から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有するものの、哺乳動物血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織において新生血管構造、特に腫瘍を同定するための使用に関する。
【0032】
本発明に従った上記使用は、in vitro及びin vivoにおける腫瘍の診断方法を提供する。例えば、表1の少なくとも1つの新生血管系腫瘍標的への特異的結合親和性を有する抗体などのリガンドは、前記リガンド、好ましくは抗体とそれらの対応する標的タンパク質との結合が可能な条件下、細胞、組織及び/又は臓器と接触させてよい。リガンド結合、好ましくは抗体結合細胞、組織及び/又は臓器は、ついで、腫瘍又は腫瘍関連細胞、組織、及び/又は臓器として同定される。結合リガンド/抗体の同定は、当分野でルーチンである当業者が利用可能な多くのルーチン技術の任意の技術により実施されてよく、例えば、二次抗体、又はリガンド/抗体と結合したマーカーの同定、例えば、放射性標識及び化学標識などである。リガンド/抗体の接触工程、及び/又はリガンド/抗体結合腫瘍細胞、組織及び/又は臓器の同定は、例えば、放射線画像法などによりin vivoで実施されてよい。しかし、前記接触工程はまた、哺乳動物においてin vivoで実施され、その後、対象となる細胞、組織及び/又は臓器を単離し、in vitro/ex vivoで抗体結合腫瘍細胞を同定してもよい。
【0033】
好ましくは、前記リガンド/抗体を用いて、in vitroのみで腫瘍細胞を同定する。「in vitro」という用語は、本発明の前記リガンド/抗体の使用が、ヒト又は動物の体で実施されない方法に限定されることを示すことが意図されており、従って、Art. 52(4) EPCに違反しない。
【0034】
別の側面において、本発明はまた、リガンド、好ましくは抗体、フラグメント又は機能的誘導体であって、上記表1のタンパク質からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有するものを対象とする。
【0035】
好ましくは、本発明のリガンド、好ましくは抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、以下:
(1)ペリオスチンスプライスバリアントA、B、D、E、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する。
【0036】
「特異的結合親和性」という用語は、本明細書で用いられる場合、リガンド/抗体が、臓器、例えば腎臓などにおける同一環境中、すなわち、アッセイ系、in vitro又はin vivoでの診断又は治療セッティングにおいて、同一条件下、例えば、pH、温度、バッファーなどの同一条件下、顕著な親和性で標的タンパク質と特異的に結合し、顕著な親和性で他のタンパク質とは結合しないことを意味することが理解されるべきである。一般に、結合特異性は、特異的標的分子及び多数の非関連物質を用いた結合アッセイを実施することにより試験される。さらに、機能試験、免疫組織化学、及び他の手順が、特定のリガンド(例えば、抗体)の結合特異性を評価するために使用され得る。
【0037】
特異的結合が可能なリガンド、例えば、抗体又は球状タンパク質などに基づく多くのバイオアッセイ(例えば、ELISA)のために、1マイクロモル以下の解離定数が、特異的結合様式と多くの場合に関連する検出可能な結合シグナルをもたらすために必要とされる。好ましくは、本発明における使用のためのリガンド/抗体は、約5マイクロモル(μM)未満、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約0.1μM以下、最も好ましくは約1 nM以下、又はさらには1 pM以下の解離定数に対応する特異的結合親和性を有する。
【0038】
本発明の抗体及びフラグメントなどのリガンドは、標的抗原が利用可能であれば、ハイブリドーマ技術(Kohler, G. and Milstein, C. Nature 256, 495−497, 1975)、抗体ファージディスプレイ(Winter et al., Annu. Rev. Immunol. 12, 433−455, 1994)、リボソームディスプレイ(Schaffitzel et al., J. Immunol. Methods, 231, 119−135, 1999)、及び反復コロニーフィルタースクリーニング(iterative colony filter screening)(Giovannoni et al., Nucleic Acids Res. 29, E27, 2001)によりルーチン的に利用可能である。抗体を機能的産物へと断片化するための典型的なプロテアーゼは周知である。他の断片化技術は、得られたフラグメントが特異的高親和性を有し、好ましくはマイクロモルからピコモル範囲の解離定数を有する限り、同様に使用可能である。
【0039】
scFv型の抗体フラグメントの血管腫瘍標的化パフォーマンスは、標的への抗体の親和性に極めて依存する(少なくともマイクロモルからピコモルの解離定数)ことが示されている。例えば、フィブロネクチンのEDBドメインに特異的であり、血管形成マーカーである、高親和性抗体フラグメントscFv(L19)は、抗原に対して低い親和性しか有さない親抗体フラグメントscFv(E1)よりも効率的に腫瘍新生血管系を標的化することが示された(Viti F, Tarli L, Giovannoni L, Zardi L, Neri D.; Increased binding affinity and valence of recombinant antibody fragments lead to improved targeting of tumoral angiogenesis. Cancer Res. 1999 Jan 15; 59(2):347−52)。特定の場合において、結合親和力(binding avidity)(例えば、特定の同種二価(homobivalent)抗体型と関連する)は、中程度の単量体結合親和性を補償できる(Nielsen UB, Adams GP, Weiner LM, Marks JD; Targeting of bivalent anti−ErbB2 diabody antibody fragments to tumor cells is independent of the intrinsic antibody affinity. Cancer Res. 2000 Nov. 15, 60(22):6434−40)。
【0040】
標的化適用のための非常に簡便な抗体フラグメントは、一本鎖Fvフラグメントであって、これは、可変重鎖及び可変軽鎖ドメインがポリペプチドリンカーにより一緒になって結合されている。血管標的化適用のための他の抗体フラグメントには、Fabフラグメント、Fab2フラグメント、ミニ抗体(「small immune proteins」とも称される)、タンデムscFv−scFv融合物、並びに適したドメインを有する(例えば、免疫グロブリンのFc部分を有する)scFv融合物が含まれる。特定の抗体型のレビューのために、Holliger P, Hudson PJ.; Engineered antibody fragments and the rise of single domains. Nat Biotechnol. 2005 Sep., 23(9):1126−36. Reviewを参照されたい。
【0041】
本発明で使用するための抗体の「機能的誘導体」という用語は、表1からの対応する抗原に対して実質的に同一の結合親和性を誘導体が有し、好ましくは、マイクロ、ナノ、又はピコモル範囲の解離定数を有する限り、そのアミノ酸配列において、例えば、アミノ酸残基(1つ以上)の付加、置換、及び/又は欠失により化学的に修飾されている任意の抗体又はそのフラグメント、並びに/又は少なくとも1つのその原子及び/若しくは化学官能基(functional chemical group)において、例えば、付加、欠失、転位、酸化、還元などにより化学的に修飾されている任意の抗体又はそのフラグメントを含むことが意図される。本発明で使用するための最も好ましい抗体の誘導体は、以下に詳細に定義する抗体融合タンパク質である。
【0042】
好ましい実施態様において、本発明の抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント及びFab2フラグメント、並びに抗体様結合タンパク質からなる群から選択されるものである。
【0043】
前記リガンド、好ましくは、抗体、フラグメント及び誘導体の次に、本発明のさらなる側面は、本発明のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体を含む融合タンパク質を対象とする。
【0044】
「融合タンパク質」という用語は、本発明との関連で用いられる場合、本発明のリガンド/抗体、フラグメント又は機能的誘導体が、任意のさらなる構成成分、例えば、ポリペプチド、シグナル因子、例えば、インターロイキン、タンパク質、糖成分、ヌクレオチド、生物学的に活性な小分子(small biologically active molecule)、毒素、標識、放射性標識などと、例えば、共有結合及び/又は非共有結合、例えばイオン結合などにより何らかの形で結合している、全ての複合体を包含することが意図される。
【0045】
好ましくは、本発明の融合タンパク質は、抗腫瘍活性を有する構成成分をさらに含む。これは、抗腫瘍化合物の選択性並びに特異性を非常に促進するものであり、従って、それを必要とする患者へ投与されるべきその有効量を低減でき、かつ前記化合物と関連する中毒性副作用を低減できる。
【0046】
無傷(intact)のモノクローナル抗体は、様々な適応症のための広範な治療可能性を有する、確立したクラスの医薬品を示す。抗体の定常部分は、多くの場合、治療可能性に貢献し、グリコシル化は、生物活性に影響を与え得る(Li H, Sethuraman N, Stadheim TA, Zha D, Prinz B, Ballew N, Bobrowicz P, Choi BK, Cook WJ, Cukan M, Houston−Cummings NR, Davidson R, Gong B, Hamilton SR, Hoopes JP, Jiang Y, Kim N, Mansfield R, Nett JH, Rios S, Strawbridge R, Wildt S, Gerngross TU; Optimization of humanized IgGs in glycoengineered Pichia pastoris. Nat Biotechnol. January 2006)。さらに、多数の血管標的抗体誘導体は、薬剤介入が考慮され得る。それらには、放射性核種、光線感作物質、リポソーム、及び薬剤との抗体複合体、並びに凝固促進剤(pro−coagulant agent)、サイトカイン、ケモカイン、毒素、Fc融合物、及び二重特異性抗体を有する抗体系融合タンパク質が含まれる。
【0047】
より好ましくは、本発明の融合タンパク質には、無傷の抗体、そのFc含有抗体フラグメント又はFc機能的誘導体、放射性ヌクレオチド、光線感作物質、リポソーム、薬剤、凝固促進剤、サイトカイン、ケモカイン、毒素、並びに二重特異性抗体からなる群から選択される抗腫瘍活性を有する構成成分が含まれる。
【0048】
抗体誘導体などのリガンドが、病気の診断及び/又は分子画像化に貢献できることが確立されている。in vivoでのリガンド/抗体局在化の巨視的画像化のための最も確立された手段には、放射性標識されたリガンド/抗体の使用(例えば、PET又はSPECT適用のため)、及び赤外フルオロフォアで標識されたリガンド/抗体の使用(例えば、表面の蛍光画像化のため、内視鏡画像化のため、拡散光トモグラフィーのためなど)が含まれる。さらに、リガンド/抗体マイクロバブル複合体(超音波系画像化手順で造影剤として使用されるもの;Joseph S, Olbrich C, Kirsch J, Hasbach M, Briel A, Schirner M.; A real−time in vitro assay for studying functional characteristics of target−specific ultrasound contrast agents. Pharm Res. 2004 Jun., 21(6):920−6)及び/又はMRI画像化を増強するためのリガンド/抗体複合体(Kiessling F, Heilmann M, Lammers T, Ulbrich K, Subr V, Peschke P, Waengler B, Mier W, Schrenk HH, Bock M, Schad L, Semmler W. Synthesis and characterization of HE−24.8: a polymeric contrast agent for magnetic resonance angiography. Bioconjug Chem. 2006 Jan−Feb;17(1):42−51)を用いることもできる。
【0049】
より好ましい別の実施態様において、本発明の融合タンパク質には、診断的活性(diagnosticc activity)を有する、すなわち、in vivo及び/又はex vivoにおいて抗体構成成分の選択的同定を可能にする構成成分が含まれる。
【0050】
好ましくは、診断的活性を有する構成成分は、放射性標識、フルオロフォア、ビオチン、キレートされた金属又は金属化合物、及びマイクロバブルからなる群から選択される。
【0051】
抗腫瘍構成成分を有する本発明の融合タンパク質は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍の血管系を効果的に標的化する薬剤の調製に有用である。従って、本発明のさらなる側面は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるガン治療用薬剤を調製するための本発明の融合タンパク質の使用に関する。
【0052】
好ましくは、前記薬剤は、腎臓ガン、好ましくはヒト腎臓ガンの治療用である。
【0053】
診断的活性を有する構成成分を含む本発明の融合タンパク質は、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍の血管系を効果的に標的化する薬剤の調製に有用である。従って、本発明のさらなる側面は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍の同定のための診断用組成物を調製するための本発明の融合タンパク質の使用に関する。
【0054】
好ましくは、前記診断用組成物は、哺乳動物腎臓、好ましくはヒト腎臓における腫瘍の同定用である。
【0055】
本発明の別の側面は、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは誘導体、又は本発明の融合タンパク質と、医薬的に許容可能なキャリア及び/又は希釈剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0056】
本発明のさらなる側面は、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは誘導体、又は本発明の融合タンパク質を含む、診断用組成物に関する。
【0057】
本発明の別の側面は、哺乳動物組織、好ましくはヒト組織における腫瘍の同定方法であって、以下の工程:
(i)リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又はリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体を含む融合タンパク質であって、上記表1に列挙した群から選択される少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するものと、対象となる哺乳動物組織、好ましくは対象となるヒト組織とを、in vivo及び/又はex vivoで、前記タンパク質1〜31の少なくとも1つと前記リガンド及び/又は融合タンパク質との特異的結合が可能な条件下、接触させる工程、及び
(ii)特異的に結合したリガンド及び/又は融合タンパク質を同定する工程、
を含む方法を対象とする。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの組織タンパク質は、1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30(全ての番号は表1に従う)からなる群から選択される。
【0059】
より好ましくは、少なくとも1つの組織タンパク質は、1〜2、4〜13、15〜31からなる群から選択され、対象となる哺乳動物組織は腎臓組織である。
【0060】
さらに、対象となる哺乳動物組織が血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織であることが好ましい。
【0061】
より好ましくは、本発明の方法の前記工程(i)及び/又は(ii)は、ex vivoすなわちin vitroで実施される。
【0062】
最も好ましくは、本発明の方法は、新生血管構造の画像化方法、特に腫瘍細胞、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくは血管腎臓腫瘍のin vivoにおける画像化方法である。
【0063】
本発明はまた、新規腫瘍マーカー、新規腎臓特異的腫瘍マーカー、腎臓腫瘍の血管系の新規及び特異的マーカーとしての有用性を有し、かつ診断及び治療手段として選択的かつ高親和性の抗体を提供するための抗原として使用され得る、多数の新規タンパク質を同定する。
【0064】
(ペリオスチンの4つの新規スプライスバリアント)
ペリオスチンは、骨芽細胞により分泌される骨芽細胞特異的因子−2(OSF−2、PNとも称される)として初めて同定された90 kDaのタンパク質である(Takeshita et al., Biochem J, 294 (Pt 1), 271−8, 1993)。Tai及びその同僚らは、ハイブリドーマ技術によりモノクローナル抗ペリオスチン抗体を作製し、ウエスタンブロッティングにより、副腎、肺、甲状腺、子宮、膣、卵巣、精巣、前立腺、及び消化管におけるヒトペリオスチンタンパク質の発現を検出しており、胃及び結腸直腸では優先的に発現していた一方、小腸及び食道では低レベルであったことが記載されていた(Tai et al., Carcinogenesis, 26, 908−15, 2005)。
【0065】
多数のガンにおいて関連するペリオスチンが観察されている。しかし、ペリオスチンは、従来技術において、腎臓腫瘍とは関連していなかった。
【0066】
ヒトペリオスチンに関して、Takeshita及びその同僚ら(Takeshita, Kikuno et al., Biochem J, 294 (Pt 1), 271−8, 1993)は、5つの選択的にスプライスされた転写物が産生され得、ペリオスチンの全てのスプライシング事象がC末端領域で起こることを報告している。同じグループは、マウスにおいて、6つの異なるカセットの組み合わせにより生じたペリオスチンの4つの潜在的アイソフォームを発見している(Horiuchi, Amizuka et al., J. Bone Miner Res., 14, 1239−49, 1999)。アイソフォームの機能は、未だに解明されていない。Litvin及びその同僚らは、別のマウスペリオスチンアイソフォームを同定し、これをペリオスチン様因子(PLF)と名付けた(Litvin et al., J. Cell Biochem., 92, 1044−61, 2004)。全長PLF cDNA及び予測されるアミノ酸配列の配列分析は、これがHoruichiのマウスペリオスチンアイソフォーム3に最も似ていることを示した(Litvin, Selim et al., J Cell Biochem, 92, 1044−61, 2004)。
【0067】
本発明は、ペリオスチンが、腎臓ガンで過剰発現するタンパク質であることを始めて実証する。従って、血流から容易に接触できる優れた腎臓腫瘍マーカーとしてこれを使用でき、従って、これはリガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的でもある。
【0068】
抗ペリオスチン抗体を用いた免疫組織化学的分析は、さらに、ペリオスチンが、正常腎臓組織と比較して、腎淡明細胞ガン(renal clear cell carcinoma)の腫瘍間質において非常に過剰発現したことを証明した。
【0069】
ペリオスチンのC末端領域のPCR増幅は、少なくとも8個の異なるスプライスバリアントを明らかにした。公的なタンパク質データベース(Expasy及びNCBI)には、ヒトペリオスチンの4つの異なるアイソフォームのみが記載されている(全長型及び3つのスプライスアイソフォームQ5VSY8、Q5VSY7及びQ5VSY6)。全ての公開されたアイソフォームの次に、アイソフォームA、B、D及びEと称する4つの新規アイソフォーム(それぞれ配列番号9、11、13、15を参照されたい)を同定した。対応する分析により、様々な組織におけるアイソフォーム転写物の異なる分布が示された。ペリオスチン転写物は正常成体腎臓cDNAにおいてはごく弱くしか発現していなかった(又は辛うじて検出できる)が、異なる長さのアイソフォームにおいてこれは明細胞ガン試料から増幅可能であったことを発見した。この発見は、腫瘍組織のみにおけるプロテオーム解析でのペリオスチンの同定と適合する。胎児の腎臓はまた、ペリオスチンに対して陽性であったが、アイソフォームの分布は、検査した腫瘍組織の全てにおいて登録されたものとは異なっていた。ペリオスチン転写物の発現はまた、正常成体脳及び肝臓でも見ることができる。しかし、脳及び肝臓cDNAライブラリーにおけるペリオスチンアイソフォームの分布は、腫瘍、胎児及び正常成体試料の間での差を示した。最も小さく検出されたペリオスチン転写物は、腫瘍試料に主に発現されており、少なくとも4つの異なる腎臓及び肝臓腫瘍中に存在していたが、正常試料では検出できず、正常成人脳及び胎児腎臓においては辛うじて検出できるものであった。
【0070】
驚くべきことに、質量分光分析は、アイソフォーム特異的である3つのペプチドEIPVTVYKPIIKK、EIPVTVYRPTLTK及びIITGPEIKを明らかにした。なぜなら、これらが、特定のアイソフォームにしか存在しない2つのエクソンの接合を包含したからである。
【0071】
腫瘍(又はさらには特定の腫瘍タイプ)に特異的に発現している新規ペリオスチンアイソフォームにのみ存在する「接合ペプチド(junction peptides)」に対する/に対して生じるリガンド、好ましくは抗体が、これらの腫瘍の選択的標的化及び破壊のための非常に強力なツールを提供することが予測される。
【0072】
一つの側面において、本発明は、アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体を対象とする。
【0073】
好ましくは、本発明のこの側面は、それぞれ配列番号9、11、13、15から選択されるアミノ酸配列を有するペリオスチンスプライスバリアントタンパク質A、B、D若しくはE、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、前記そのフラグメント又は機能的誘導体のアミノ酸配列が少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも75個のアミノ酸を含み、かつ
a)配列番号9のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位、又は670〜756位及び783〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
b)配列番号11のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜726位及び784〜810位、又は784〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;好ましくは、このスプライスバリアントがアミノ酸配列EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含み;
c)配列番号13のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
d)配列番号15のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号15における421位のアミノ酸バリンを含むアミノ酸配列を有し、配列番号1における671〜697位の欠失を反映するアミノ酸配列を有する、
ものに関する。
【0074】
好ましい実施態様は、上記タンパク質に対して、少なくとも80、好ましくは85、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95又は98%のアミノ酸配列同一性を有する本発明のペリオスチンスプライスバリアント、本発明のフラグメント又は機能的誘導体であって、前記配列が配列番号1、3、5、及び7のいずれか一つの配列でないものに関する。
【0075】
さらに、本発明は、4つの新規スプライスバリアントのいずれか一つの本発明の上記タンパク質、フラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0076】
本発明のタンパク質の機能的誘導体は、任意のアミノ酸配列及び/又は化学的誘導体であって、元のタンパク質への親和性を有する抗体に対して同一の結合親和性を確立するために実質的に十分に接触可能なアミノ酸残基を有するものを包含することが意図される。好ましくは、機能的誘導体は、欠失(N末端又はC末端切断(truncation)を含む)、付加及び/又は置換、より好ましくは保存アミノ酸置換を有するものである。
【0077】
本発明のフラグメント又は機能的誘導体は、元の全長タンパク質の少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、又は少なくとも100個のアミノ酸を有する。
【0078】
ポリペプチド間の配列同一性を測定するために、当業者は、当業者に公知の多数のスタンダードアルゴリズムに戻すことができる。好ましくは、http://www.expasy.org/tools/blast/及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/Blast.cgi?CMD=Web&LAYOUT=TwoWindows&AUTO_FORMAT=Semiauto&ALIGNMENTS=250&ALIGNMENT_VIEW=Pairwise&CDD_SEARCH=on&CLIENT=web&DATABASE=nr&DESCRIPTIONS=500&ENTREZ_QUERY=%28none%29&EXPECT=10&FILTER=L&FORMAT_OBJECT=Alignment&FORMAT_TYPE=HTML&I_THRESH=0.005&MATRIX_NAME=BLOSUM62&NCBI_GI=on&PAGE=Proteins&PROGRAM=blastp&SERVICE=plain&SET_DEFAULTS.x=41&SET_DEFAULTS.y=5&SHOW_OVERVIEW=on&END_OF_HTTPGET=Yes&SHOW_LINKOUT=yes&GET_SEQUENCE=yesのBLASTプログラムを、より好ましくはデフォルトセッティングで用いて、本発明のタンパク質、タンパク質フラグメント又はタンパク質誘導体のアミノ酸配列同一性を同定する(Windowsは登録商標)。
【0079】
ある例において、本発明はまた、本発明のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードする新規ポリヌクレオチドであって、これらが、ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列(specifically referenced nucleic acid sequence)とハイブリダイズする能力を有することを特徴とする、新規ポリヌクレオチドを提供する。ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列とハイブリダイズする能力を測定するための従来技術で一般的及び/又は標準的なプロトコルの次に、ストリンジェントな条件下、特異的な参照核酸配列とハイブリダイズする能力を、アライメントツール(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cgi?CMD=Web&LAYOUT =TwoWindows&AUTO_FORMAT=Semiauto&PAGE=Nucleotides&NCBI_GI=yes&FILTER=L&HITLIST_SIZE=100&SHOW_OVERVIEW=yes&AUTO_FORMAT=yes&SHOW_LINKOUT=yes)とともに、遺伝子データベース(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db =nucleotide)で見られ得る2つのタンパク質のヌクレオチド配列を比較することにより分析及び測定することが好ましい(Windowsは登録商標)。
【0080】
「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」という用語は、本発明との関連で用いられる場合、遺伝コード中の対立遺伝子変異及びリダンダンシーを含むことが意図される。
【0081】
さらに、本発明は、請求項40乃至93のいずれか一項に記載の新規タンパク質、そのフラグメント及び誘導体、並びにそれらをコードするヌクレオチドを提供する。
【0082】
より詳細には、本発明は、対応する配列番号(割り当てについて表1を参照されたい)に示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体を提供する。
【0083】
さらに、好ましい実施態様において、本発明は、上記タンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体と少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、タンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体に関する。
【0084】
さらに、本発明は、本発明に係る上記のタンパク質5(3×)、7、9、12(6×)、13、15(4×)、16、19〜23、25、28(2×)、30、31(2×)、そのフラグメント又は機能的誘導体のいずれか一つをコードするポリヌクレオチドであって、ストリンジェントな条件下、完全タンパク質をコードする対応する核酸配列(割り当てについて表1を参照されたい)とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチドを対象とする。
【0085】
また、本発明は、本発明のタンパク質、フラグメント及び機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、並びに本発明の前記タンパク質、フラグメント及び機能的誘導体及び/又はベクターを含む宿主細胞を包含する。
【0086】
最後に大切なことだが、本発明のさらなる側面は、本発明のポリヌクレオチド、ベクター及び/又は宿主細胞を用いた、本発明のタンパク質、フラグメント及び機能的誘導体の組み換え技術による作製方法を対象とする。
【0087】
以下に、本発明の腫瘍標的として、特に血管腎臓腫瘍標的としてのそれらの有用性を実証した標的タンパク質を簡単に記載する。
【0088】
(タンパク質#2)
同定されたペプチドは、2つのタンパク質アイソフォームの1つ又は両方に由来し得る(表1:2):それぞれ、遊離脂肪酸レセプター3(O14843)及び/又は推定上のGタンパク質共役レセプター42(O15529)。
【0089】
Gタンパク質共役レセプター遺伝子スーパーファミリーのファミリーA(ファミリー1としても分類される)のうち、それらの一次配列の比較的近い類似性を考慮すれば、非常に多種多様なリガンドタイプに反応する、〜90のレセプターの系統発生学的に関連するグループが存在する(Bockaert and Pin, Embo J, 18, 1723−9, 1999)。
【0090】
遊離脂肪酸レセプター3は、このレセプターについて公表された3つの研究の全てにおいて、脂肪から検出された(Brown et al., J. Biol. Chem., 278, 11312−9, 2003; Le Poul et al., J. Biol. Chem., 278, 25481−9, 2003; Xiong et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 101, 1045−50, 2004)。今までのところ、GPR41とGPR42とを区別するための抗体は知られていない。
【0091】
腫瘍におけるこれらのタンパク質のどちらかの発現又はさらには過剰発現は未だ報告されていない。
【0092】
(タンパク質#3)
溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(SLC2A1)(=グルコーストランスポータータイプ1、赤血球/脳(GLUT1))(P11166)
【0093】
グルコースの取り込みの増加は、悪性組織で見られる主要な代謝変化の一つである。この取り込みは、グルコーストランスポーター(Glut)タンパク質により媒介され、これは、細胞膜を介したグルコースの輸送に関与する膜タンパク質である。これらのヒトグルコーストランスポーターは、個別の組織分布を有し、様々な条件下、グルコースの処理に貢献する(Pessin and Bell, Annu Rev Physiol, 54, 911−30, 1992)。7つのグルコーストランスポーターからなるファミリーがクローニングされている。これらのうち、Glut1(これは、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1(SLC2A1)とも称される)は、赤血球、血液−脳関門、末梢神経の神経周膜、及び胎盤で発現する(Froehner et al., J. Neurocytol., 17, 173−8, 1988; Pardridge et al., J Biol Chem, 265, 18035−40, 1990; Pessin and Bell, Annu. Rev. Physiol., 54, 911−30, 1992; Takata et al., Cell Tissue Res, 267, 407−12, 1992)。Glut1は、従来技術において、多数の腫瘍と関連している。Glut1はまた、腎臓ガンで発現することが免疫組織化学により示されていた(Nagase et al., J Urol, 153, 798−801, 1995; North et al., Clin Neuropathol, 19, 131−7, 2000)。
【0094】
本発明は、Glut1が、血流から容易に接触可能なタンパク質であることを初めて実証し、この腫瘍マーカーが、リガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的であることを示す。
【0095】
(タンパク質#4)
バーシカンコアタンパク質[前駆体](13611)は、巨大な細胞外マトリックスプロテオグリカンであり、様々な組織に存在し、細胞接着及び生存、細胞増殖、細胞移動及び細胞外マトリックス集合に影響を及ぼす(Wight, Curr Opin Cell Biol, 14, 617−23, 2002)。加えて、バーシカンが血管形成及び腫瘍に過剰発現するという証拠が存在する。
【0096】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガン中のバーシカンコアタンパク質の発現を実証し、この腫瘍マーカーが、リガンド系腫瘍標的化ストラテジーのための有用な標的であることを示す。
【0097】
(タンパク質#5)
驚くべきことに、ペプチドSDPLKLTVKが、正常腎臓サンプルではなく腫瘍のみで同定された。このペプチドは、スイスプロットデータベースにおいて3つの異なる配列エントリーの一部である:292個のアミノ酸残基を有するCEACAM3(Q6UY47)、293個のアミノ酸残基を有するガン胎児性抗原関連細胞接着分子(遺伝子名:CEACAM21)(Q3KP10)、及び235個のアミノ酸残基を有するR29124_1(O75296)。これらのタンパク質の存在は、DNA配列分析に基づいて仮定されたが、実験的には全く証明されていなかった。これらの配列は、最大で3つのミスマッチで98%を超える同一性を共有する。これらのデータは、この3つの配列が、同一タンパク質に属し、その差が配列決定の誤りに起因するのか、又はその配列が、同一タンパク質の異なるアイソフォームに対応するかのいずれかを示す。
【0098】
配列は、CEACAMファミリーの他のタンパク質、ヒトガン胎児性Ag(CEA)タンパク質ファミリーのサブグループとの顕著な類似性を示す(Beauchemin et al., Exp Cell Res, 252, 243−9, 1999)。
【0099】
多数のCEACAMがタンパク質レベルで研究されている一方、これは、本発明で同定されたタンパク質についてのケースではないようである。タンパク質レベルで実際に研究されているCEACAMとの最も高い類似性は、胆汁糖タンパク質前駆体(CEACAM1)とのものであり、最大でわずか44%である。さらに、CEACAM1配列は、同定されたペプチドを含まない。
【0100】
驚くべきことに、本発明は、ペプチドSDPLKLTVKを同定し、従って、データベースエントリーQ6UY47、Q3KP10、及びO75296において予測される配列を有するタンパク質の存在を証明する。今までのところ、このタンパク質を特異的に認識する利用可能な抗体は存在しない。
【0101】
加えて、本発明は、正常腎臓ではなく、腫瘍において上記ペプチドを同定しており、よって、前記タンパク質を、ヒト腫瘍で過剰発現する新規マーカーとして、より好ましくはヒト腎臓腫瘍マーカーとして、最も好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0102】
(タンパク質#6)
本発明において、ペプチドYLPFVPSRを、タンパク質フィブロモジュリンの一部として同定した(Q8IV47)。フィブロモジュリンは、59 kDaのタンパク質として初めて記載され(Heinegard et al., J Biol Chem, 261, 13866−72, 1986)、コラーゲンI型及びII型と相互作用し(Hedbom and Heinegard, J Biol Chem, 264, 6898−905, 1989)、軟骨のコラーゲン線維上に存在する(Hedlund et al., Matrix Biol., 14, 227−32, 1994)。フィブロモジュリンは、FMヌルマウスが腱において異常なコラーゲン線維を形成するという観察により示されるとおり、コラーゲン線維の形成に重要な役割を果たすと考えられている(Svensson et al., J. Biol. Chem., 274, 9636−47, 1999)。このタンパク質は、多数の腫瘍と関連している。
【0103】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガンにおけるフィブロモジュリンタンパク質の過剰発現を明らかにし、従って、前記タンパク質を、新規ヒト腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0104】
(タンパク質#7)
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント](メラノーマ関連抗原MG50とも示される)(Q92626)は、最初は、cDNAサブトラクションアプローチにより同定され、そこでは、in situプラークハイブリダイゼーションによりメラノーマ発現ライブラリーをスクリーニングした後、サブトラクトされたメラノーマcDNAプローブ(メラノーマ細胞株−肺ガン細胞株)を用いてcDNAクローンを単離した(Hutchins et al., Cancer Res, 51, 1418−25, 1991)。
【0105】
驚くべきことに、本発明は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]が、腎臓の正常組織ではなく腫瘍試料のみで同定されたことを実証し、腫瘍マーカーとして、より好ましくは腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能な腫瘍マーカーとしてのこのタンパク質の使用を示す。
【0106】
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]は、今までのところ、特定のmRNA配列のデモンストレーションから仮定されているに過ぎず、このタンパク質の存在は未だ全く実証されていない。
【0107】
(タンパク質#8)
驚くべきことに、ペプチドMRAPGALLARは、腎臓腫瘍でのみ同定され、推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体](O15354)のタンパク質配列に適合する。
【0108】
オーファンGタンパク質共役レセプターGPR37及び関連遺伝子は、哺乳動物中枢神経系に高度に発現する推定上のGタンパク質共役レセプターのサブファミリーをコードする。
【0109】
Toyota及びその共同研究者らは、GPR37が、急性骨髄性白血病(AML)において、CpG島と称される、プロモーター関連CpGリッチ領域の過剰メチル化(hypermethylation)を示す遺伝子の一つであることを発見した(Toyota et al., Blood, 97, 2823−9, 2001)。このような過剰メチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼ酵素の作用により有糸分裂を介してクローン的に増殖するジーンサイレンシングをもたらし得る。このようなメチル化関連サイレンシングは、新生組織形成における腫瘍抑制遺伝子のサイレンシングにおいて病理学的役割を果たす。
【0110】
驚くべきことに、本発明は、正常腎臓ではなく腫瘍においてGPR37を同定し、腫瘍におけるこのタンパク質の過剰発現を実証し、従って、このタンパク質を、ヒト腫瘍に過剰発現する新規マーカーとして、よい好ましくはヒト腎臓腫瘍マーカーとして、最も好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいては、リガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0111】
(タンパク質#9)
タンパク質sidekick−1[前駆体](Q8TEN9)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて仮定されている(Nagase, T et al., Kazusa DNA Research Institute, direct submission to the NCBI database)が、実験的には全く証明されていなかった。
【0112】
驚くべきことに、このようなタンパク質が存在し(このタンパク質に対して特異的であるペプチドAELTDLKの同定により)、これが腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲に過剰発現することを実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を開いた。
【0113】
(タンパク質#10)
タンパク質アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネルが、常染色体優性神経変性疾患である脊髄小脳失調タイプ6(SCA6)と称される病気で突然変異されることが示された(Toru, S et al., J. Biol. Chem. 275, 10893−8, 2000)。現在まで、正常組織又は腫瘍組織における発現に関するデータは全く入手できない。
【0114】
驚くべきことに、トリプシンペプチドRGALVGAPRの同定により、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0115】
(タンパク質#11)
EMILIN2タンパク質[フラグメント](elastin microfibril interface located タンパク質2、Q8N5L1)は、エラスチン繊維関連糖タンパク質である。EMILIN2タンパク質のmRNA発現は、Colombattiのグループにより示されている(Doliana, R et al., J Biol Chem. 276, 12003−11, 2001)。このタンパク質は、脊髄、末梢白血球、肺、胎盤及び胎児心臓に限定される発現パターンを有する。加えて、このグループは、EMILIN1及びEMILIN2の部分的な共局在化を示すヒト平滑筋肉腫の免疫組織化学を示した。Forrestのグループ(Amma, LL et al., Mol Cell Neurosci. 23, 460−72, 2003)は、ノーザンブロット分析を用いて、EMILIN2タンパク質の心臓、肺及び蝸牛への限定的発現パターンを確認した。
【0116】
驚くべきことに、タンパク質特異的なトリプシンペプチドRGALVGAPRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲での過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0117】
(タンパク質#12)
ダウン症クリティカル領域タンパク質8(悪性メラノーマ関連タンパク質1とも示される)(Q96T75)は6つの異なるスプライスアイソフォームを有する。トリプシンペプチドLFMPRPKは、これら6つのスプライスアイソフォームの5つに対して特異的である(表1を参照されたい)。
【0118】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における、ダウン症クリティカル領域タンパク質8(そのうち全部で6つのアイソフォームが公表されている)の5つのスプライスアイソフォーム、Q96T75、Q6EXA9、Q684H4、Q96T75−2、及びQ96T75−3の1つ又は複数の過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0119】
(タンパク質#13)
推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]タンパク質(Q8IZF5)は、新規ヒトGタンパク質共役レセプターに焦点を当てたラージスケールBLAST研究の過程で同定された(Fredriksson, R et al., FEBS Lett. 531, 407−14, 2002)。
【0120】
驚くべきことに、この発明は、腫瘍において、推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]を同定する。タンパク質特異的トリプシンペプチドNKISYFRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0121】
(タンパク質#14)
タンパク質データベースエントリーアネキシンA4(P09525)及びタンパク質ANXA4[フラグメント](Q6LES2)は、Q6LES2の最初の2つのアミノ酸を除いて、同一のアミノ酸配列を有する。従って、これらの2つのデータベースエントリーにおける差は、配列決定の誤りの結果であるか、又はこのタンパク質に存在する2つのアイソフォームであるかのいずれかであり得る。Zimmermannら(Zimmermann, U et al., Cancer Lett. 209, 111−8, 2004)は、明細胞腎細胞ガンに関する彼等の論文において、正常細胞ではアネキシンA4は核周囲に濃縮するが、腫瘍細胞ではタンパク質が側底膜に局在することを示した。これは、アネキシンIVの細胞内分布が、細胞のその近傍への接着特性と相関することを示唆する。これらの結果は、アネキシンIVが、明細胞腎細胞ガンの形態学的多様性及び広まり(dissemination)に重要な役割を担う可能性があることを示す。
【0122】
驚くべきことに、本発明は、タンパク質特異的トリプシンペプチドISQTYQQQYGRの同定により、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0123】
(タンパク質#15(4×))
ウロモジュリン様1[前駆体](オルファクトリン(olfactorin)とも示される)(Q5DID0、Q5DID0−2、Q5DID0−3、及びQ5DID0−3)は、嗅覚及び鋤鼻感覚ニューロンにより特異的に発現される新規膜結合タンパク質として同定された(Di Schiavi, E. et al., Eur. J. Neurosci. 21, 3291−300, 2005)。このグループは、flagタグと融合したオルファクトリンでHEK細胞をトランスフェクトし、この融合タンパク質を抗flag抗体で同定した。
【0124】
驚くべきことに、本発明は、タンパク質特異的トリプシンペプチドIVNHNLTEKLLNRの同定により腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。従来技術において、タンパク質オルファクトリンはまた、ウロモジュリン様タンパク質としても知られており、4つの異なるスプライスアイソフォームを有する(表1を参照されたい)。
【0125】
(タンパク質#16)
タンパク質スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体](Q96GP6)は、毛包、皮膚及び鼻上皮、並びに舌及び口腔上皮、骨化中の肋骨、及び胸腺の髄質領域において、胚形成の間、マウスで発現することが実証されている(Hwang, M et al., Gene Expr Patterns. 5, 801−8, 2005)。
【0126】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が、タンパク質特異的トリプシンペプチドGAGPARRRの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0127】
(タンパク質#17)
sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体](Q9UGT4)は、Lubecのグループにより、ヒト皮質神経細胞株HCN−2における2D−PAGE及びMALDIマススペクトロメトリーにより明確に同定された(Lubec, G. et al., J. Chem. Neuroanat. 26, 171−8, 2003)。
【0128】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現が、タンパク質特異的トリプシンペプチドVAHQLHQRの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0129】
(タンパク質#18)
腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1(TCTP)は、20年超の間公知である。Bommer及びThieleのレビューにおいて(Int. J. Biochem. Cell Biol. 36, 379−85, 2004)、細胞増殖及びその抗アポトーシス活性に対するTCTPの重要性が強調されている。
【0130】
驚くべきことに、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現は、タンパク質特異的トリプシンペプチドKWVKINNVKの同定により実証され、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0131】
(タンパク質#19)
推定上のGタンパク質共役レセプター(Q8TDU0)の存在は、ヒトゲノムにおける配列相同性調査に基づいて推定されたが(Takeda, S et al., FEBS Lett. 520, 97−101, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0132】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドLSVVEAPCRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することを示し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0133】
(タンパク質#20)
仮想タンパク質DKFZp686K0275(Q7Z3A1)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Wiemann, S et al., Molecular Genome Analysis, German Cancer Research Center (DKFZ), direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0134】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドAGQGFGLRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0135】
(タンパク質#21)
膜貫通タンパク質TMEM55A(Q8N4L2)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Strausberg, RL. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 99, 16899−903, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0136】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドKISSVGSALPRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0137】
(タンパク質#22)
仮想タンパク質(Q8WYY4)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Gu, JR. et al., National Laboratory For Oncogenes & Related Genes, Shanghai Cancer Institute, direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0138】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドVLTAMVGKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0139】
(タンパク質#23)
配列類似性を有するファミリー116、メンバーA(Q8IWF6)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Strausberg, RL. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 99, 16899−903, 2002)、実験的には全く証明されていなかった。
【0140】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドGPAGLGPGSRの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0141】
(タンパク質#24)
HRPAP20(ホルモン制御増殖関連タンパク質(hormone−regulated proliferation−associated protein)20 kDa)としても知られるタンパク質UPF0260タンパク質C6orf66(Q9P032)は、安定的に形質移入されたMCF−7(ヒト乳ガン)細胞において、ホルモン刺激の不在下では増加した増殖を有し、血清不在下では増大した生存を有することが実証されている。Karpら(Karp, CM et al., Cancer Res. 64, 1016−25, 2004)は、HRPAP20が、ホルモン依存性腫瘍細胞の増殖及び生存に必要なリンタンパク質であると結論づけている。
【0142】
本発明は、ヒト腫瘍、より好ましくはヒト腫瘍新生血管系構造におけるこのタンパク質の過剰発現を始めて実証し(タンパク質特異的トリプシンペプチドMGALVIRの同定により)、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0143】
(タンパク質#25)
タンパク質CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778(Q6ZS59)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Isogai, T et al., NEDO human cDNA sequencing project, direct submission to the NCBI homepage)、実験的には全く証明されていなかった。
【0144】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドQFWLGGVARの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0145】
(タンパク質#26及び27)
同定されたペプチド(EAFEAASR)は、2つのタンパク質、仮想タンパク質DKFZp779O1248(Q6AHZ8)及びベータウレイドプロピオナーゼ(Q9UBR1)との区別を可能にしない。RZPDホームページ(http://www.rzpd.de)は、仮想タンパク質DKFZp779O1248をベータウレイドプロピオナーゼにリンクしている。ベータウレイドプロピオナーゼは、そのタンパク質の欠失がピリミジン分解経路の先天異常を導く、タンパク質である(van Kuilenburg, AB et al., Hum Mol Genet. 13, 2793−801, 2004)。ベータウレイドプロピオナーゼ及びガンの関係を公表したデータは存在しない。驚くべきことに、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0146】
(タンパク質#28)
仮想タンパク質DKFZp434F1919(Q9GZU6)及びそのアイソフォームMDS011(Q9GZT6)(2つのタンパク質は、99.6%のアミノ酸配列同一性を有する)の存在は、全長cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Ota, T et al., Nature Genetics 36, 40-45, 2004)、実験的には全く証明されていなかった。
【0147】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドIDAEIASLKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0148】
(タンパク質#29)
タンパク質EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体](6つのアイソフォーム、表1を参照されたい)の発現は、異なる正常ヒト組織(ノーザンブロット)及び脳(免疫組織化学)で研究されているが(Ortiz, JA et al., J Neurochem. 95, 1585−96, 2005)、腫瘍組織についてのデータは全く利用可能でない。
【0149】
驚くべきことに、本発明は、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲における過剰発現を実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0150】
(タンパク質#30)
UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体](Q5H9T4)の存在は、cDNAの配列決定に基づいて推定されたが(Ottenwaelder, B. et al., The German cDNA Consortium, direct submission to the NCBI database)、実験的には全く証明されていなかった。
【0151】
驚くべきことに、本発明は、このようなタンパク質が実際に存在することを実証し(このタンパク質に特異的であるペプチドKLQAELKの同定により)、さらにこれが、腫瘍新生血管系構造中及び/又はその周囲で過剰発現することも実証し、従って、血管標的化生物医学的適用を示す。
【0152】
(タンパク質#31)
本発明において、ペプチドSPILAEVKが、タンパク質カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の一部として同定された(O95259)。このタンパク質には2つのアイソフォームが存在し、この両方にこのペプチドが含まれる(O95259及びO95259−2(hEAG))。
【0153】
Pardo及びその同僚は(Pardo et al., EMBO J., 18, 5540−5547, 1999)、このタンパク質の発現阻害が、細胞増殖の顕著な減少をもたらすことを示した。彼等は、乳房及び脳腫瘍細胞におけるKCNH1の発現を示した。加えて、頸ガンにおいて、発現を免疫組織化学により検出した(Farias et al., Cancer Res., 64, 6996−7001, 2004)。
【0154】
驚くべきことに、本発明は、腎臓ガンにおけるタンパク質カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の過剰発現を明らかにし、よって、前記タンパク質を、新規ヒト腎臓腫瘍マーカーとして、より好ましくは血流から容易に接触可能なヒト腎臓腫瘍マーカーとして示し、ひいてはリガンド系腫瘍標的化適用のための標的として有用であることを示す。
【0155】
より詳細に本発明をさらに例証するために以下の実施例を提供する。これらは、多少なりとも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0156】
明細書及び添付の特許請求の範囲において、実施した実施例以外のもの、又は特記のない限り、成分量を表す全ての数、反応条件、パーセンテージ同一性、アミノ酸数、ヌクレオチド数などは、「約」という用語により、全ての例において修正されるものとして理解されるべきである。さらに、本明細書に記載の全ての数値範囲は、その考えられる部分的範囲の全てを具体的に包含することが理解されるべきである。
【0157】
以下の実施例1は、新生血管構造における本発明で同定されたマーカータンパク質の過剰発現、特に腫瘍、より詳細には腎臓腫瘍におけるそれらの過剰発現を実証する。
【0158】
さらに、以下の実施例2〜10は、本発明の選択した血管系マーカータンパク質(又はそのフラグメント)の組み換え生産、及びこれらの血管系マーカータンパク質に対する抗体を作製するための抗原としてのそれらの利用を実証する。このような抗体(又は同一の選択的親和性を有する他のリガンド)は、これらのマーカータンパク質のさらなる特徴付け及び生物医学的適用に有用である。さらに、いくつかの実施例は、新生血管構造、特に腫瘍における新生血管構造を同定するための、本発明の選択したマーカータンパク質の実用性を証明する。
【0159】
[実施例]
[実施例1]
(序論)
腫瘍を有するヒト腎臓を手術で摘出し、その中をex vivo灌流して、接触可能な構造をビオチン化することに基づいた化学プロテオームアプローチを用いて、ヒトのガンに過剰発現する接触可能で豊富な抗原についての情報を得た。ビオチン化タンパク質をストレプトアビジン樹脂で精製し、質量分光法を用いて同定したところ、637個のタンパク質が明らかとなり、そのうち184個が、腫瘍試料中のみで発見され、223個が正常腎臓部分のみで発見された。この方法論で同定された接触可能な腫瘍関連抗原30個が、抗体系抗ガン治療のための適した標的である。
【0160】
正常臓器及び腫瘍における接触可能な抗原の同定のために使用する具体的な方法は、本発明者らにより最近公表された、ビオチンの反応性エステル誘導体を用いた、腫瘍を有するマウスの末端灌流に基づく(Rybak et al. 2005、上記参照)。この方法では、血流から容易に接触可能な、内皮細胞膜及び他の構造(例えば、細胞外マトリックス構成成分)上の接触可能なタンパク質の効率的なビオチン化が可能となる。ストレプトアビジン樹脂での臓器溶解物からのビオチン化タンパク質の精製と、それに続く質量分析法に基づく比較プロテオーム分析(comparative proteomic analysis)は、数百の接触可能なタンパク質の同定を可能にし、そのうちのいくつかが、臓器及び腫瘍において差次的に発現していることを発見した。
【0161】
上記のビオチン化手順は、腎細胞癌を有する患者から手術で摘出した3つの腎臓のex vivo灌流に適用された(図1及び表2)。この手順は、7〜9分間続けられ、腫瘍部分における血管構造の効率的かつ選択的ラベリングを可能にし(図1C)、他方、血管及び管状構造の両方は、正常腎臓部分においてラベルされた(図1D)。
【0162】
ビオチン化、及び第一級アミン含有溶液(Tris)を用いた過剰量のビオチン化試薬のクエンチング(quenching)後、試料を切除し、SDSの存在下でホモジナイズし、ストレプトアビジン樹脂上にロードし、それによりビオチン化タンパク質を豊富化した。その後のタンパク分解と、それに続くナノHPLCペプチド分離及びMALDI−TOF/TOFによる質量分光分析は、全ての試料において、全部で637個のタンパク質の同定を可能にした。
【0163】
予期されたとおり、正常及び新生試料の両方で観察された豊富なタンパク質には、細胞外マトリックスの構成成分、例えば、コラーゲン、ラミニン、パールカン(perlecan)、ルミカン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、及びテネイシンなどが含まれていた。もっぱら正常腎臓部分で発見されたタンパク質には、腎臓特異的カドヘリン16、複数のトランスポーター、アポリポタンパク質E及びウロモジュリンが含まれていた。多数のタンパク質が、もっぱら腫瘍試料中で発見された。これらのうちのいくつかは、特定の新生物性構造で過剰発現することが以前に報告されていた(例えば、炭酸脱水酵素IX、TEM4、ペルオキダシンホモログ[フラグメント]、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、インテグリンアルファ−1、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ(ectonucleotide pyrophosphatase)/−ホスホジエステラーゼ3)。この分析で同定された腫瘍抗原のごく一部のみが(例えば、ネトリンレセプターDCC、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、神経細胞接着分子1)、今までのところ、「ヒューマンプロテインアトラス」で報告されている:正常組織及びガンにおけるタンパク質発現パターンの特徴付けのためのゲノムワイドイニシアチブ。
【0164】
腫瘍試料におけるタンパク質の検出は、原則的には、優先的な発現パターンだけでなく、ビオチン化試薬への差別的な接触可能性をも反映し得るので、選択したタンパク質候補は、免疫組織化学と、cDNAライブラリーのPCR分析との両方により特徴付けた。ペリオスチンは、この分析において、最も豊富な腫瘍関連抗原であり、特に興味深いマーカーを示し、上皮性卵巣ガン、乳ガン、肺癌の周辺、並びに結腸直腸ガン及びそれらの肝転移中で上方調節されることが発見されている。ヒトにおいて、ペリオスチンの5つの異なるスプライスアイソフォームの存在が報告されているが、3つのアイソフォームの配列しか公表されていない(Swiss−Prot/TrEMBL及びNCBI Protein)。しかし、6つのアイソフォーム配列が、cDNAライブラリーのPCR分析で同定され、これは、正常、胎児、及び腫瘍腎臓において異なる相対存在量を有した(図2及び図4)。正常腎臓及び明細胞ガン試料の免疫組織化学分析は、顕著な血管及び間質の染色パターンを有し、腫瘍におけるペリオスチンの著しい過剰発現を明らかにした(図3)。同様に、バーシカンは、PCR(図2)及び免疫組織化学分析(図3)の両方により、胎児及び腫瘍試料において、より豊富であることが発見された。
【0165】
いくつかの推定上の腫瘍関連抗原は、正常腎臓のcDNAライブラリー中にも存在することが発見され(図2)、これには、フィブリン(fibulin)、腫瘍サプレッサー候補3(tumor suppressor candidate 3)(N33タンパク質)、及び仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]が含まれた(図2)。対照的に、多数の興味深いマーカーが、胎児及び腫瘍試料において実質的により強いPCRバンドを生じ、これには、炭酸脱水酵素IX、TEM−4、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、インテグリンアルファ−1、トロンボスポンジン2、推定上のGタンパク質共役レセプター42、アグリカン、推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、フィブロモジュリン、溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、及びタンパク質sidekick−1[前駆体]が含まれた(図2)。
【0166】
この分析で同定された637個のタンパク質のうち、およそ20%が細胞内タンパク質に相当した。より豊富ないくつかの細胞内タンパク質が(例えば、アクチン、チューブリン、ケラチン、ヒストン)、ストレプトアビジン樹脂への粘着性によるか、又はex vivoでの壊死構造のビオチン化の結果として回収可能であったが、いくつかの細胞内タンパク質は、増殖性内皮細胞の表面に接触可能になると報告されている。
【0167】
(材料及び方法)
(患者)
この研究は、Liege大学病院(ベルギー)の倫理委員会による承認で開始された。患者選定で採用された基準は、以下のとおりであった:1)ルーチン超音波及び腹部CTスキャンにより評価されるとおりの、腎淡明細胞ガンと高度に適合する腫瘍の診断;2)腎全摘の治療指標;3)ノーマルコントロールとして用いられるべき腎臓の健康な部分と明確に区別可能な、腫瘍サイズ及び局在化。ビオチンに邪魔されることのない、特異的タンパク質の検出と適合する免疫組織化学的手順を診断的病理組織学的分析に採用した。患者のインフォームドコンセントを得て、HIV並びに肝炎A、B、及びCに対して陰性の血清学を実施した。患者についての詳細な情報は、表S1を参照されたい。
【0168】
(ex vivo血管灌流)
標準的な手順に従って手術を実施し、これには、腎動脈、静脈、及び尿管の結さつ及び切断、並びにそれに続く腎摘出術が含まれる。腎動脈は、灌流工程における即時同定のために、より長い縫合を保持した。腎摘出術の後2分間以内に腎動脈にカニューレを挿入し、腎静脈を開いて(縫合を除去することにより)、灌流液を流出させ、腎動脈を介した灌流を開始した。腎臓は、PBS中1 mg/mLのスルホ−NHS−LC−ビオチン溶液500 mLを用いて7〜9分間最初に灌流し、血液成分を洗浄除去し、接触可能な第一級アミン含有構造をビオチンでラベリングした。その後すぐに、第一級アミンTris−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(Tris)の50 mM溶液を含む450 mLのPBSで第二の灌流工程を8〜9分間実施し、反応していないビオチン化試薬をクエンチ(quench)した。全ての灌流溶液は、10%デキストラン−40を血漿増量剤として含み、40℃に予め温められた。両方の灌流工程は、100〜150 mm Hgの圧力で実施した。成功した灌流は、灌流の初めの数分間に血液が洗浄除去され、それに続いて腎静脈から透明な灌流液が流れ出ることにより示された。灌流後、臓器をPBS中50 mMのTrisで洗浄し、乾燥させ、切除縁のその後の病理学的調査を可能にするために黒インクで擦り、刃を用いて矢状軸(sagittal axis)に沿って半分に切断した(外部内側縁で開始)。成功した灌流は、組織の白っぽい色をもたらした。腫瘍由来及び正常腎臓組織由来(腫瘍による影響を受けない)の試料を切除し(よく灌流された白っぽい部分から)、プロテオーム及び組織化学的分析のためにすぐに急冷凍結(snap−frozen)するか、又は組織化学的分析のためにパラホルムアルデヒドで固定しパラフィン包埋した。ネガティブコントロールとして、腎摘出の後灌流していない臓器を半分に切断し、試料を腫瘍及び正常腎臓組織から上述のとおりに得た。検査した臓器についての詳細な情報は表2を参照されたい。
【0169】
(アビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体を用いた組織切片の組織化学的染色)
パラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋組織試料由来の切片をアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体(Vectastain Elite ABC kit(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA))で、標準的な手順に従って染色した。
【0170】
(プロテオーム分析のためのタンパク質抽出物の調製)
健康な腎臓及びヒトガン患者の明細胞ガン組織由来の試料を組織1 mg当たり40μLの溶解バッファーであって、PBS中、pH 7.4で、2%SDS、50 mMのTris、10 mMのEDTA、CompleteE proteinase inhibitor cocktail(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を含む溶解バッファー中に再懸濁し、Ultra−Turrax T8ディスパーサー(IKA−Werke, Staufen, Germany)を用いて、2分間のフルパワーと2分間のスタンバイを穏やかに冷やして6回のインターバルで適用しホモジナイズした。Vibra−cell(Sonics, New Town, CT, USA)を用いてホモジネートを超音波処理し(30秒間及び1分間のスタンバイを穏やかに冷やしながら6回のインターバルで)、それに続いて99℃で15分間インキュベートし、20分間、15000×gで遠心分離した。上清を全体のタンパク質抽出物として用いた。タンパク質濃度は、BCA Protein Assay Reagent Kit(Pierce)を用いて測定した。
【0171】
(ビオチン化タンパク質の精製)
SA−セファローススラリー(64μL/mg総タンパク質)をバッファーA(PBS中、NP40 1%、SDS 0.1%)で3回洗浄し、ペレット化し、上清を除去した。異なる試料由来の総タンパク質抽出物15ミリグラムをSA−セファロースのペレットと混合した。ビオチン化タンパク質の獲得は、回転式ミキサー中、室温、2時間、進行させた。上清を除去し、樹脂をバッファーAで3回洗浄し、バッファーB(PBS中、NP40 0.1%、NaCl 1 M)で2回洗浄し、50 mMの重炭酸アンモニウムで1回洗浄した。最後に、樹脂を重炭酸アンモニウムの50 mM溶液400μL中に再懸濁し、シークエンシンググレード修飾化ブタトリプシン(sequencing grade modified porcine trypsin)(50 mMの重炭酸アンモニウム中40 ng/μLの原液)(Promega, Madison, WI, USA)20μLを添加した。一定の撹拌下、37℃、一晩、プロテアーゼ消化を実施した。上清を回収し、トリフルオロ酢酸を最終濃度0.1%に添加した。ペプチドを脱塩し、精製して、C18マイクロカラム(ZipTip C18, Millipore, Billerica, MA, USA)で濃縮した。凍結乾燥後、ペプチドを−20℃で保存した。
【0172】
(MALDIターゲットプレートへの自動化オンラインフラクションスポッティングを用いた、ナノキャピラリー−HPLC)
Chromeleonソフトウェア(Dionex, Sunnyvale, CA, USA)により調節される、UltiMate nanoscale LC system及びFAMOS microautosampler(LC Packings, Amsterdam, The Netherlands)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によりトリプシンペプチドを分離した。移動相Aは、水中、2%のアセトニトリル及び0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)からなり、移動相Bは、水中、80%のアセトニトリル及び0.1%のTFAであった。流速は、300 nL/分であり、〜170 barの移動相Aの圧力を導いた。総タンパク質1.5 mgからアフィニティ精製したビオチン化タンパク質の消化に由来する凍結乾燥ペプチドを5μLのバッファーAに溶解し、カラム(内径:75μm、長さ15 cm、C18 PepMap 100、3μm、100Åビーズで充填;LC Packings)にロードした。ペプチドを、グラジエント0〜30%Bで7分間、30〜80%Bで67分間、80〜100%Bで3分間、及び100%Bで5分間溶出した;ついでカラムを100%Aで20分間平衡化し、その後次のサンプルを分析した。溶出フラクションを、水中、3 mg/mLのα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、277 pmol/mLのニューロテンシン(内部標準)、0.1%TFA、及び70%のアセトニトリルの溶液と混合し、オンラインProbotシステム(Dionex)を用いて、192ウェルのMALDIターゲットプレート上に置いた(depose)。MALDI−マトリックス溶液の流量を1.083μL/分に設定した。従って、20秒間に回収された各フラクションには361 nLのMALDI−マトリックス溶液及び100 nLのサンプルが含まれた。ニューロテンシンの最終濃度(end−concentration)は、サンプルウェル当たり100 fmolであった。
【0173】
(MALDI−TOF/TOF質量分析法)
マトリックス支援レーザー脱離イオン化タンデム飛行時間型(Matrix−assisted laser desorption ionization tandem time−of−flight;MALDI−TOF/TOF)質量分析法は、4700 Proteomics Analyzer(Applied Biosystems, Framingham, MA)で実施した。全てのスペクトルは、200 Hzのレーザー周波数で働くNd:YAGレーザーで獲得された。前駆イオンを選択するために、全てのフラクションをMSモードで測定し、その後、MS/MSを実施した。サンプルスポット当たり最大15の前駆体が、衝突誘起解離によるその後のフラグメンテーションのために選択された。前駆体の選択についての基準は、最小S/Nが60であり、ショットトゥーショットプリカーサーマストレランス(shot−to−shot precursor mass tolerance)が120 ppmであった。Global Protein Server Workstation(Applied Biosystems)によりスペクトルを処理及び分析し、これは、内部MASCOT(Matrix Science, UK)ソフトウェアを用いて、コンピュータ内での消化タンパク質のデータベースに対してMS及びMS/MSデータを適合させた。得られたデータは、NCBIホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)からダウンロードしたヒトデータベースに対してスクリーニングした。「missed cleavage」数を2に設定した。MASCOTソフトウェアを用いて実施したタンパク質同定は、最良のペプチドイオンに対して95%の信頼区間(confidential interval)内でコレクトコールであると考えられた。90%と95%との間の信頼区間内の選択されたヒットは、スペクトルのマニュアル検査により確認された。
【0174】
(免疫組織化学的染色)
パラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋組織試料由来の切片は、標準的な手順に従って、免疫ペルオキシダーゼ技術(Vectastain Elite ABC kit (Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA))により染色した。イムノアフィニティ−精製ウサギポリクローナル抗ペリオスチン抗体(Biovendor, Heidelberg, Germany)及びモノクローナル抗バーシカン抗体(クローン12C5;Developmental Studies Hybridoma Bank, University of Iowa, Ames, IA, USA)を1:500の希釈率で使用した。
【0175】
(PCR分析)
明細胞ガン、顆粒細胞ガン、移行細胞ガン由来のcDNAを含むヒト腎臓腫瘍cDNAパネル、正常成体及び胎児腎臓をBioChain(Hayward, CA, USA)から購入した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はHot Start Taq Polymeraseキット(Qiagen, Hilden, Germany)を用いて実施した。PCR条件は以下のとおりであった:95℃で15分間の変性、それに続いて、94℃で1分間の変性と54℃で1分間のアニーリングと72℃で1分間の伸長とを35サイクル。72℃で10分間伸長させる最終工程を実施した。プライマー配列は、請求に応じて入手可能である。PCR反応の生産物は、2%アガロースゲル電気泳動により分析し、エチジウムブロマイドで染色し、BioDoc−Itイメージングシステム(UVP, Upland, CA, USA)を用いて画像化した。ペリオスチンスプライスアイソフォームの分析のために、バンドをアガロースゲルから切り出し、配列決定した(Big Dye Terminator v1.1 Cycle Sequencing kit; ABI PRISM 310 Genetic Analyzer; Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)。
【0176】
(ペリオスチンの新規スプライスバリアントの同定)
ヒトペリオスチンについて、Takeshita及びその同僚らは、5つの選択的にスプライスされた転写物が生産され得、ペリオスチンの全てのスプライシング事象がC末端領域内で起こることを報告している。いくつかの特定のアイソフォームが腫瘍において選択的に発現し、正常組織では発現しない(よく特徴付けされたフィブロネクチンのED−B含有アイソフォーム及びCドメイン含有ラージテネイシンCアイソフォームの発現パターンと同様)という可能性は、ヒトcDNAライブラリーに対して、選択的にスプライスされたドメインをPCRにより増幅するためのプライマーの設計を導く。ペリオスチンのC末端領域のPCR増幅(図5)は、少なくとも5つの異なるスプライスバリアントを明らかにした。これは、Takeshita及びその同僚らの発見(上記参照)と一致し得るが、彼等は、彼等が発見したアイソフォームの配列を公表していない。現存するデータベースの分析は、3つのアイソフォーム(スイスプロット番号Q15063、Q15063−2及びQ15063−3)の存在、及び4番目の異なるペリオスチンアイソフォームに相当するESTクローン(OTTHUMP 0018271)の存在を明らかにした。しかし、図2に示す増幅バンドの切り取り及びそれらの配列決定により6つの異なるアイソフォームがもたらされたが、そのうち4つは、公知のもののいずれにも相当しなかった。全長ペリオスチン及びアイソフォームQ15063−3に対応するアイソフォームはまた、分析における配列決定により同定された。
【0177】
(ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定)
上記プロテオーム分析は、腫瘍サンプルのみに特異的に存在するアイソフォーム特異的なペプチドを同定できたことに注意しなければならず、これは、それらが特定のアイソフォームのみに存在し、他のものには存在しないエクソンのジャンクション(又はエクソン部分)を包含することを意味する(図5(A)1527.5797 m/zのペプチドを含むHPLCフラクションのMALDI−TOFスペクトルを参照されたい(B及びC))。配列(EIPVTVYKPIIKK)は、MALDI−TOF/TOF実験における衝突誘起解離により決定した。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図4のパネルBにおける薄い青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する2つのエクソンの間のジャンクションを包含する。アイソフォーム特異的ペプチドの別の例は、仮想タンパク質FLJ00154にのみ存在するドメインジャンクションを包含する配列AELTDLKのペプチドにより表され、前記タンパク質は、ヒト腎臓の腫瘍部分でのみ特異的に検出されるンパク質であり、Sidekick様タンパク質1のヒトホモログのマイナー転写物を示す(データは示さず)。そうでなければ他の正常組織に存在することがふさわしいタンパク質の腫瘍特異的アイソフォームの同定は、同一のタンパク質の様々なアイソフォームを識別できるという点において選択的であるアイソフォーム特異的抗体の作製を可能にし、これらの抗体が、腫瘍療法のための潜在的標的を提供するだろう。
【0178】
(結果)
表2.この研究に関与するケースの詳細。特定のサイズ及びステージの腫瘍による影響を受けた、異なる年齢及び性別の5人の患者の腎臓を分析した。3つの臓器は上述のとおりex vivoでビオチン化したが、他の2つの非灌流腎臓試料は、ネガティブコントロールとして回収及び分析した。
【0179】
【表2】
【0180】
表3.正常腎臓、腫瘍部分、又はその両方で同定された、推定上の膜タンパク質及び細胞外マトリックスタンパク質の選択。数字は、腎臓がex vivoでビオチン化され、タンパク質が同定された3人の患者のうち何人かを示す。
【0181】
【表3】
【0182】
(実施例2)
(序論)
腫瘍マーカーとしてのペリオスチンの有用性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学実験で試験した。
【0183】
(材料及び方法)
ペリオスチン(配列番号1)の232〜632位(FAS2〜FAS4)及び496〜632位(FAS4)のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、バイオパニング実験のための抗原として使用した。フラグメントは、pQE12ベクター(Qiagen, Hilden, Germany)を用いてE.coli株TG1に発現させた。タンパク質は、Ni−NTAカラム(Qiagen)を用いて、E.coli溶解物から精製した。ペリオスチンフラグメントに対する一本鎖Fv型(scFv)の抗体を、Silacci et al., Proteomics. 2005 Jun; 5(9):2340−50で報告された手順に従って、ETH−2−Goldファージディスプレイライブラリーから選択した。抗原と結合するscFv抗体を発現するクローンに対するELISAスクリーニング、及び新鮮凍結組織サンプルの切片上での一本鎖Fv調製物を用いた免疫組織化学的染色を、Silacci et al., Proteomics. 2005 June; 5(9):2340−50 and Brack et al., Clin. Cancer Res. 2006 May 15;12(10):3200−8に以前に記載されたとおりに実施した。選択した抗体の親和性成熟は、Brack et al., Clin. Cancer Res. 2006 May 15; 12(10):3200−8に記載とおり実施した。市販のイムノアフィニティ精製ウサギポリクローナル抗ペリオスチン抗体(Biovendor, Heidelberg, Germany)を用いた免疫組織化学的染色は、実施例1に記載のとおり実施した。
【0184】
(結果)
ペリオスチンドメインFAS2〜FAS4又はドメインFAS4をクローニングし発現させた。図6Aには、精製組み換えタンパク質FAS2〜FAS4のSDS−PAGE分析を示す(47 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、FAS2〜FAS4に特異的なscFv抗体及びFAS4に特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図6Bを参照されたい)。FAS2〜4に対する最良のクローンC2をさらに親和性成熟し、より高い親和性を有する抗体を得た(図6CのELISAの結果を参照されたい)。選択した抗ペリオスチン抗体C2を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片で血管及び細胞外マトリックス構造のポジティブ染色が示された(図7Aを参照されたい)。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図7Bを参照されたい)。さらに、ペリオスチンに対する市販の抗体(実施例1を参照されたい)を用いて、異なる患者の腎臓腫瘍におけるペリオスチンの発現を評価した(図8を参照されたい)。試験した8人の患者のうち8人が、腎臓腫瘍において、ポジティブな抗ペリオスチン染色を示した。これらの結果は、ペリオスチンに対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織の新生血管構造において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、ペリオスチンが、全ての患者ではないにしてもほとんどの患者のヒト腎臓腫瘍において高レベルで発現することを示す。
【0185】
(実施例3)
(序論)
バーシカン抗原をさらに研究するために、我々は、異なる患者の腎臓腫瘍切片に対して免疫組織化学的分析を実施した。
【0186】
(材料及び方法)
ヒト腎臓腫瘍のパラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋切片に対する、モノクローナル抗バーシカン抗体(クローン12C5)を用いた免疫組織化学的染色を実施例1に記載のとおりに実施した。
【0187】
(結果)
さらに、バーシカンに対する市販の抗体(実施例1を参照されたい)を用いて、異なる患者の腎臓腫瘍におけるバーシカンの発現を評価した(図9を参照されたい)。試験した8人の患者のうち6人が、腎臓腫瘍においてポジティブな抗バーシカン染色を示し、細胞外マトリックスでさらに拡散しているか、又は腫瘍血管の周りの領域にさらに限定されるかのいずれかであった。これらの結果は、バーシカンが、ほとんどの患者のヒト腎臓腫瘍において高レベルで発現しており、血管から接触可能でありそうなことを示す。
【0188】
(実施例4)
(序論)
CEACAM3抗原を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させて、ファージディスプレイによる抗体選択のための抗原として使用した。
【0189】
(材料及び方法)
CEACAM3(配列番号25)の36〜236位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させて、バイオパニング実験のための抗原として使用した。
【0190】
(結果)
36〜236位のアミノ酸配列に対応するCEACAM3ドメインをクローニングし、発現させた。図10には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(26 kDaのバンド)。これらの結果は、CEACAM3フラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのCEACAM3のさらなる検証のために使用できた。
【0191】
(実施例5)
(序論)
抗原としてのフィブロモジュリンの有用性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントを、ファージディスプレイによる抗体選択のためにクローニングし、発現させた。
【0192】
(材料及び方法)
CEACAM3(配列番号25)の94〜315位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させて、バイオパニング実験のための抗原として使用した。
【0193】
(結果)
94〜315位のアミノ酸配列に対応するフィブロモジュリンフラグメントをクローニングし、発現させた。図11には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(27 kDaのバンド)。この結果は、フィブロモジュリンフラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのフィブロモジュリンのさらなる検証のために使用できた。
【0194】
(実施例6)
(序論)
腫瘍マーカーとして使用するためのペルオキシダシンホモログ[フラグメント]を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学的実験で試験した。
【0195】
(材料及び方法)
ペルオキシダシンホモログ[フラグメント](配列番号33)の539〜632位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択、ELISAスクリーニング、及び免疫組織化学を実施例2に記載のとおり実施した。
【0196】
(結果)
ペルオキシダシンホモログフラグメントをクローニングし、発現させた。図12Aには、精製組み換えタンパク質フラグメントのSDS−PAGE分析を示す(12 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、組み換えペルオキシダシンホモログフラグメントに特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図12Bを参照されたい)。選択した抗ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]抗体を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片上の主に腫瘍血管周囲でのポジティブ染色が示された(図13Aを参照されたい)。scFvを除いたネガティブコントロールでは、いずれのポジティブ染色も示されなかった(図13Bを参照されたい)。これらの結果は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]に対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織の新生血管構造において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]が、ヒト腫瘍新生血管系において高レベルで発現することを示す。
【0197】
(実施例7)
(序論)
腫瘍マーカーとしてのタンパク質sidekick−1の可能性を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISAで試験した。
【0198】
(材料及び方法)
タンパク質sidekick−1(配列番号37)の851〜1052位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択及びELISAスクリーニングを実施例2に記載のとおり実施した。
【0199】
(結果)
タンパク質sidekick−1フラグメントをクローニングし、発現させた。図14Aには、精製組み換えタンパク質フラグメントのSDS−PAGE分析を示す(24 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、組み換えタンパク質sidekick−1フラグメントに特異的なscFv抗体を発現する複数のクローンをもたらした(図14Bを参照されたい)。これらの結果は、タンパク質sidekick−1に対するヒトモノクローナル抗体を、組み換え抗原フラグメントに対して作製できることを実証する。これらの抗体は、実施例2に記載のプロセスと同様に、腫瘍マーカーとしてのタンパク質sidekick−1のさらなる検証のために使用できた。
【0200】
(実施例8)
(序論)
腫瘍マーカーとして使用するためのANXA4タンパク質を評価するために、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させた。組み換えフラグメントに対するヒトモノクローナル抗体を作製し、ELISA及び免疫組織化学的実験で試験した。
【0201】
(材料及び方法)
ANXA4タンパク質(配列番号52)の3〜321位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントをクローニングし、発現させて、抗体ファージディスプレイ選択、ELISAスクリーニング、及び免疫組織化学を実施例2に記載のとおり実施した。
【0202】
(結果)
ほぼ完全なANXA4タンパク質をクローニングし、発現させた。図15Aには、精製組み換えANXA4タンパク質のSDS−PAGE分析を示す(37 kDaのバンド)。このタンパク質に対するファージディスプレイ選択は、コートされた組み換えタンパク質でのELISAにより示されるとおり、ANXA4タンパク質に特異的なscFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(図15Bを参照されたい)。ANXA4タンパク質に対する最良のクローンE11を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍の組織切片上の腫瘍細胞(さらに、腫瘍血管の周囲に位置するこれらの細胞)のポジティブ染色が示された(図16Aを参照されたい)。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図16Bを参照されたい)。これらの結果は、ANXA4タンパク質に対するヒトモノクローナル抗体を、ヒトガン組織において、この抗原を検出するために作製及び使用できることを実証する。免疫組織化学的結果は、この抗原が、ヒト腫瘍(さらに、新生血管系の周囲)において高レベルで発現することを示す。
【0203】
(実施例9)
(序論)
抗原UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100をさらに研究するために、我々は、このタンパク質の組み換えフラグメントをクローニングし、発現させて、ファージディスプレイによる抗体の選択のためにこれを抗原として使用した。
【0204】
(材料及び方法)
UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100(配列番号96)の755〜968位のアミノ酸配列に対応する組み換えタンパク質フラグメントを、バイオパニング実験用の抗原として使用するために、実施例2に記載のとおり、クローニングし、発現させた。
【0205】
(結果及び考察)
755〜968位のアミノ酸配列に対応するUPF0378ファミリータンパク質KIAA0100フラグメントをクローニングし、発現させた。図17には、精製組み換えタンパク質のSDS−PAGE分析を示す(32 kDaのバンド)。この結果は、UPF0378ファリータンパク質KIAA0100フラグメントが、抗体選択における抗原としてそれらを使用するために調製できることを示す。このような抗体は、実施例2と同様に、血管腫瘍マーカーとしてのこの抗原のさらなる検証に使用できた。
【0206】
(実施例10)
(序論)
カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の腫瘍マーカーとしての有用性を評価するために、この膜タンパク質の細胞外ループのアミノ酸配列に対応する合成ペプチドに対してヒトモノクローナル抗体を作製した。これらの抗体を、ELISA、免疫組織化学、FACS、及び免疫細胞化学的実験で試験した。
【0207】
(材料及び方法)
カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1(配列番号98)の2番目の細胞外ループ(316〜349位のアミノ酸配列;図解として図18Aを参照されたい)に対応する合成ペプチドをバイオパニング実験のための抗原として使用した。一本鎖Fv型の抗体(scFv)を、Silacci et al., Proteomics. 2005 Jun; 5(9):2340−50に記載の手順に従って、ビオチン化ペプチドに対してETH−2−Goldファージディスプレイライブラリーから選択した。ELISAスクリーニング、免疫組織化学的染色、及び選択した抗体の親和性成熟は、実施例2に記載のとおり実施した。培養細胞のFACS及び免疫細胞化学的染色は、一次抗体として選択したscFvを、二次抗体としてマウス抗c−myc(クローン9E10)を、三次抗体としてFITC標識抗マウスIgを使用して、標準的な手順に従って実施した。
【0208】
(結果)
ビオチン化カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1ペプチド(上記及び図18Aを参照されたい)に対するファージディスプレイ選択は、コートされたペプチドでのELISAにより試験されたとおり、結合scFv抗体を発現する多数のクローンをもたらした(データは示さず)。これに対する最良のクローンH9をさらに親和性成熟して、より高い親和性を有する抗体を得た(図18BのELISAの結果を参照されたい)。選択した抗カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1抗体H9を免疫組織化学的分析に使用したところ、ヒト腎臓腫瘍(図19Aを参照されたい)及びヒト肺腫瘍(図19Cを参照されたい)の組織切片上での腫瘍細胞膜のポジティブ染色が示された。同一の組織由来の切片に、scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを行ったネガティブコントロールでは、ポジティブ染色は全く示されなかった(図19B及び19Dを参照されたい)。HeLa細胞(ヒト頸ガン細胞株)でのさらなる実験は、scFv抗体H9がFACSにおいてこれらの細胞を認識でき(図20を参照されたい)、免疫細胞化学において細胞膜のポジティブ染色を与える(図21を参照されたい)ことを示した。これらの結果は、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対するヒトモノクローナル抗体を作製でき、この抗原が、ヒトガン組織の腫瘍細胞膜上(さらに、新生血管系に極めて接近したそれらの腫瘍細胞)及びヒト腫瘍細胞株の膜上で発現することを実証する。従って、この抗原は、血管腫瘍標的化アプローチのための適した標的であるようだ。
【0209】
以下の表は、本発明で同定した血管腫瘍マーカーのアミノ酸配列のリストである。実施例1で同定した部分アミノ酸配列は、太字で表す。表中の配列番号は、本発明の開示の一部である添付の配列表に対応する。
【0210】
【表4A】
【表4B】
【表4C】
【表4D】
【表4E】
【表4F】
【表4G】
【表4H】
【表4I】
【表4J】
【表4K】
【表4L】
【表4M】
【表4N】
【表4O】
【表4P】
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1A】図1Aは、腎臓血管系における腫瘍マーカーを同定するために実施した、ex vivoでの腎臓灌流手順の略図である。腎摘出後2分間以内に腫瘍を有する腎臓をビオチンの反応性エステル誘導体で灌流し、それにより、血液成分を洗い流し、接触可能なタンパク質をビオチン化する。ビオチン化組織試料を切断し、ビオチン化タンパク質の精製のために別々に処理し、トリプシンペプチドを得て、ナノHPLCにより分離し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化タンデム飛行時間型(MALDI−TOF/TOF)質量分析法により分析する。
【図1B】図1Bには、ex vivo灌流後、半分に切断した、腫瘍を有する腎臓を示す。組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊で優先的にビオチン化される。
【図1C】組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊(neoplastic mass)で優先的にビオチン化される。
【図1D】組織切片中のビオチン化構造は、アビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系染色プロトコルを用いて、腫瘍部分(C)及び正常腎臓部分(D)で検出される。血管構造は、腫瘍性の塊で優先的にビオチン化される。
【図2】図2には、cDNAライブラリーの半定量的PCR分析による標的検証を示す[明細胞ガン、レーン1;顆粒細胞ガン、レーン2;転移細胞ガン、レーン3;正常胎児腎臓、レーン4;正常成体腎臓、レーン5]。(*)他のタンパク質とは異なり、MASCOTソフトウェアを用いたCEACAM3のアサインメントの信頼性は、最良のペプチドで95%未満であり、MS−MSスペクトルの視覚的検査後であってさえも明確ではない。
【図3】図3には、ペリオスチン(A)及びバーシカン(B)に特異的な抗体を用いた、正常腎臓及び腫瘍切片の免疫組織化学的分析の結果を示す。抗ペリオスチン抗体を用いた染色は、正常腎臓サンプルにおいて低いバックグラウンドの染色を示したが、検査した8つの腫瘍のうち8つで強い過剰発現を明示した。バーシカンは、8つの腫瘍のうち6つで強く過剰発現したが、正常腎臓及び他の正常組織を染色しなかった。染色反応は、一次抗体を除いたネガティブコントロール実験では生じなかった。スケールバー=XXX。
【図4A】図4Aには、選択的スプリライシングが生じているタンパク質のカルボキシ末端領域に限定した、ペリオスチンの様々なアイソフォームのタンパク質配列アライメントを示す。
【図4B】図4Bには、パネルAにおいて示される領域と対応するエクソンの異なる組み合わせのグラフ表示を示す。この研究で同定したアイソフォームを≪A≫〜≪E≫と名づける。薄青の矩形は、我々が同定したアイソフォーム特異的ペプチドEIPVTVYKPIIKKに相当する(図5を参照されたい)。
【図5A】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。(A)質量対電荷比が1527.98であるペプチドを含むHPLCフラクションのMALDI−TOFスペクトル。
【図5B】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。(B)このペプチドの配列(EIPVTVYKPIIKK)は、MALDI−TOF/TOFにより決定した。
【図5C】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。理論的な(C)ペプチドフラグメントイオン及び(D)内部フラグメントイオンの表において、同定したイオンを太字で示す。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図S1、パネルBの薄青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する、2つのエクソン間のジャンクションを包含する。
【図5D】図5には、ペリオスチンのアイソフォーム特異的ペプチドの同定を示す。理論的な(C)ペプチドフラグメントイオン及び(D)内部フラグメントイオンの表において、同定したイオンを太字で示す。ペプチドEIPVTVYKPIIKK(図S1、パネルBの薄青の矩形)は、アイソフォームQ15063−2及び≪B≫にのみ存在する、2つのエクソン間のジャンクションを包含する。
【図6】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、ペリオスチンの精製組み換えフラグメント(47 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)FAS2〜FAS4又はFAS4に対するパニングを2ラウンドした後の、選択したscFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。(C)FAS2〜FAS4に対するクローンC2の親和性成熟を1ラウンドした後の、ELISAスクリーニングの結果のグラフ表示。
【図7】図7には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)ペリオスチンドメインFAS2〜FAS4に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンC2)を用いた染色は、主に腫瘍血管周囲の細胞外構造の強力なポジティブ染色を示した(白矢印は、腫瘍血管周囲のポジティブ染色を指し示す)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった。
【図8】図8には、腎淡明細胞ガンを有する複数の患者における、ペリオスチンの免疫組織化学的検出を示す。免疫組織化学的染色は、8/8検査腫瘍において、ペリオスチンの強い過剰発現を明示した。黒矢印は、ポジティブ染色を有する選択領域を指し示す。スケールバー、100μm。
【図9】図9には、腎淡明細胞ガンを有する複数の患者における、バーシカンの免疫組織化学的検出を示す。免疫組織化学的染色は、6/8検査腫瘍において、バーシカンの強い過剰発現を明示した。染色は、細胞外マトリックスに位置し、腫瘍血管周囲にも位置した。黒矢印は、ポジティブ染色を有する選択領域を指し示す。スケールバー、25μm。
【図10】図10には、CEACAM3の精製組み換えフラグメント(26 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図11】図11には、フィブロモジュリンの精製組み換えフラグメント(27 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図12】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、メラノーマ関連抗原MG50の精製組み換えフラグメント(12 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)メラノーマ関連抗原MG50フラグメントに対するパニングを3ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図13】図13には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)メラノーマ関連抗原MG50ドメインフラグメントに対する選択ヒトモノクローナルscFv抗体(クローンF6)を用いた染色は、主に腫瘍血管周囲の強いポジティブ染色を示した(黒矢印は、腫瘍血管周囲のポジティブ染色のいくつかのスポットを指し示す)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった。
【図14】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、タンパク質sidekick−1の精製組み換えフラグメント(24 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)タンパク質sidekick−1フラグメントに対するパニングを2ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図15】(A)抗体ファージディスプレイ選択において抗原として使用された、ANXA4タンパク質の精製組み換えフラグメント(37 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析。(B)組み換えANXA4タンパク質に対するパニングを2ラウンドした後の、選択scFvクローンを用いたELISA結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。最良のクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【図16】図16には、ヒト腎臓腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。(A)組み換えANXA4タンパク質に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンE11)を用いた染色は、腫瘍血管周囲のものを含む、腫瘍細胞の強いポジティブ染色を示した(白矢印は、ポジティブ染色を有するいくつかのスポットを指し示す;実際に、組織の大部分がポジティブである)。(B)scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、弱い染色を有するほんのわずかな領域をもたらした。スケールバー、100μm。
【図17】図17には、UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100の精製組み換えフラグメント(27 kDa)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析を示す。
【図18】(A)カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1の略図。ファージディスプレイ選択において抗原として使用されるペプチドは、この膜タンパク質の2番目の細胞外ループに相当する(赤矢印を参照されたい)。(B)カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1ペプチドに対するクローンH9の親和性成熟を1ラウンドした後の、ELISAスクリーニング結果のグラフ表示。ポジティブELISAシグナルは、抗原に対する特定の抗体クローンの結合親和性を示す。
【図19】図19には、ヒト腫瘍の組織切片での免疫組織化学的染色を示す。カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンH9)を用いた染色は、ヒト腎臓腫瘍(A)及びヒト肺腫瘍(C)の組織切片において、腫瘍細胞膜の強いポジティブ染色を示した(黒矢印は、細胞膜のポジティブ染色を指し示す)。scFvを除いた以外は同一の染色プロトコルを用いたネガティブコントロールは、腎臓腫瘍組織(B)及び肺腫瘍組織(D)の両方において、特異的染色を全く生じなかった。
【図20】図20には、HeLa細胞を用いたFACS実験を示す。一次抗体として、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対して選択したscFv(H9)を、二次抗体としてマウス抗c−myc(クローン9E10)を、三次抗体としてFITC標識抗マウスIgを用いた細胞処理は、scFvを除いた以外は同一の手順で処理した細胞と比較して(右パネル)、FACSにおけるシフトを明示し(左パネル)、これは、HeLa細胞に対するscFv(H9)の良好な結合を示す。
【図21】図21には、HeLa細胞を用いた免疫細胞化学的実験を示す。カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1に対する選択したヒトモノクローナルscFv抗体(クローンH9)を用いた培養HeLa細胞の染色は、腫瘍細胞膜の強いポジティブ染色を示した(A)(白矢印は、細胞膜のポジティブ染色を指し示す)。scFvを除いた以外は同一の染色手順を用いたネガティブコントロールは、特異的染色を全く生じなかった(B)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物組織における新生血管構造の同定方法であって、前記新生血管構造が、前記組織中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記哺乳動物組織が成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される哺乳動物における病気又は状態の同定方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
前記病気が、腫瘍、好ましくはヒト腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物組織における新生血管構造の標的化及び/又は画像化方法であって、前記新生血管構造が、前記新生血管構造中の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項6】
前記哺乳動物組織が成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される哺乳動物の病気又は状態の影響を受けた組織の標的化及び/又は画像化方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項8】
前記病気が、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する、少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体の哺乳動物組織における腫瘍を同定するための使用。
【請求項10】
ヒト組織における腫瘍を同定するための、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、タンパク質:
1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30、
からなる群から選択される請求項9中に記載のタンパク質への特異的結合親和性を有する、請求項9又は10記載の使用。
【請求項12】
哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織における腫瘍を同定するための、請求項9乃至11のいずれか一項記載の使用。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、タンパク質:1、2、4〜13、15〜31からなる群から選択される請求項9中に記載のタンパク質への特異的結合親和性を有する、請求項12記載の使用。
【請求項14】
哺乳動物腎臓腫瘍組織、好ましくはヒト血管腎臓組織において新生血管構造を同定するための、請求項9乃至13のいずれか一項記載の使用。
【請求項15】
in vitro又はin vivo、好ましくはin vitroで腫瘍を同定するための、請求項9乃至14のいずれか一項記載の使用。
【請求項16】
以下:
(1)ペリオスチンスプライスバリアントA、B、D、E、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項17】
前記抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、Fab2フラグメント、及び抗体様結合タンパク質からなる群から選択される、請求項16記載の抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項18】
請求項16又は17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体を含む、融合タンパク質。
【請求項19】
抗腫瘍活性を有する構成成分を含む、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記抗腫瘍活性を有する構成成分が、無傷の抗体、そのFc含有抗体フラグメント又はFc機能的誘導体、放射性ヌクレオチド、光線感作物質、リポソーム、薬剤、凝固促進剤、サイトカイン、ケモカイン、毒素、及び二重特異性抗体からなる群から選択される、請求項19記載の融合タンパク質。
【請求項21】
診断的活性を有する、すなわちin vivo及び/又はex vivoでの選択的同定を可能にする構成成分を含む、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記診断的活性を有する構成成分が、放射性標識、フルオロフォア、ビオチン、キレートされた金属又は金属化合物、及びマイクロバブルからなる群から選択される、請求項21記載の融合タンパク質。
【請求項23】
哺乳動物、好ましくはヒトにおけるガンを治療するための薬剤を調製するための、請求項18乃至20のいずれか一項記載の融合タンパク質の使用。
【請求項24】
腎臓ガン、好ましくはヒト腎臓ガンを治療するための、請求項23記載の使用。
【請求項25】
哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍を同定するための診断用組成物を調製するための、請求項18、21、又は22のいずれか一項記載の融合タンパク質の使用。
【請求項26】
哺乳動物腎臓、好ましくはヒト腎臓における腫瘍を同定するための、請求項25記載の使用。
【請求項27】
請求項16若しくは17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又は請求項18乃至20のいずれか一項記載の融合タンパク質、並びに医薬的に許容可能なキャリア若しくは希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
請求項16若しくは17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又は請求項18、21、若しくは22のいずれか一項記載の融合タンパク質を含む、診断用組成物。
【請求項29】
哺乳動物組織、好ましくはヒト組織における腫瘍の同定方法であって、以下の工程:
(i)リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又はリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体を含む融合タンパク質であって、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するものと、対象となる哺乳動物組織、好ましくは対象となるヒト組織とを、in vivo及び/又はex vivoで、前記タンパク質1〜36の少なくとも1つと前記リガンド及び/又は融合タンパク質との特異的結合が可能な条件下、接触させる工程;及び
(ii)特異的に結合したリガンド及び/又は融合タンパク質を同定する工程、
を含む、方法。
【請求項30】
請求項29中に記載の少なくとも1つのタンパク質が、以下:
1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30、
からなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
請求項29中に記載の少なくとも1つのタンパク質が、以下:
1、2、4〜13、15〜31、
からなる群から選択され、かつ前記対象となる哺乳動物組織が腎臓組織である、請求項29又は30記載の方法。
【請求項32】
前記対象となる哺乳動物組織が、血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織である、請求項29乃至31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記工程(i)及び(ii)がex vivoで実施される、請求項29乃至32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくは血管腎臓腫瘍をin vivoで画像化する方法である、請求項29乃至32のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項36】
それぞれ、配列番号9、11、13、15から選択されるアミノ酸配列を有するペリオスチンスプライスバリアントタンパク質A、B、D、若しくはE、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、前記そのフラグメント又は機能的誘導体のアミノ酸配列が、少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも30個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも50個又は少なくとも75個のアミノ酸を含み、かつ
a)配列番号9のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位、又は670〜756位及び783〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
b)配列番号11のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜726位及び784〜810位、又は784〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
c)配列番号13のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
d)配列番号15のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号15における421位のアミノ酸バリンを含むアミノ酸配列を有し、配列番号1における671〜697位の欠失を反映するアミノ酸配列を有する、
ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項37】
アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、請求項36記載のペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項38】
請求項37記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体に対して、少なくとも80、好ましくは85、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95又は98%のアミノ酸配列同一性を有し、その配列が配列番号1、3、5、及び7のいずれか一つの配列でない、請求項35乃至37のいずれか一項記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項39】
請求項35乃至38のいずれか一項記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項40】
配列番号25、27、及び29のいずれか1つで示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(5)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項41】
配列番号25、27、又は29のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項40記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項42】
ストリンジェントな条件下、それぞれ、配列番号26、28、又は30の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号25、27、又は29のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項43】
配列番号33で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(7)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項44】
配列番号33のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項43記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項45】
ストリンジェントな条件下、配列番号34の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号33のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項46】
配列番号37で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(9)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項47】
配列番号37のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項46記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項48】
ストリンジェントな条件下、配列番号38の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号37のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号43、45〜49のものから選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質(12)若しくはそのアイソフォーム、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項50】
配列番号43、45〜49のものから選択されるいずれかのタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項49記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項51】
配列番号43、45〜49のものから選択されるいずれかのタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、配列番号44で示すとおりの核酸配列を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項52】
配列番号50で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(13)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項53】
配列番号50のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項52記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項54】
ストリンジェントな条件下、配列番号51の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号50のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項55】
配列番号56、58〜60のいずれか1つで示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(15)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項56】
配列番号56、58〜60のいずれか1つのタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項55記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項57】
配列番号56、58〜60のいずれか1つのタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号57の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項58】
配列番号56で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(15)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項59】
配列番号56のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項58記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項60】
配列番号56のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号57の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項61】
配列番号61で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(16)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項62】
配列番号61のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項61記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項63】
ストリンジェントな条件下、配列番号62の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号61のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項64】
配列番号67で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(19)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項65】
配列番号67のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項64記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項66】
ストリンジェントな条件下、配列番号68の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号67のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項67】
配列番号69で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(20)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項68】
配列番号69のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項67記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項69】
ストリンジェントな条件下、配列番号70の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号69のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項70】
配列番号71で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(21)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項71】
配列番号71のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項70記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項72】
ストリンジェントな条件下、配列番号72の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号71のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項73】
配列番号73で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(22)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項74】
配列番号73のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項73記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項75】
ストリンジェントな条件下、配列番号74の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号73のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項76】
配列番号75で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(23)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項77】
配列番号75のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項76記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項78】
ストリンジェントな条件下、配列番号76の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号75のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項79】
配列番号79で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(25)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項80】
配列番号79のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項79記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項81】
ストリンジェントな条件下、配列番号80の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号79のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項82】
配列番号85で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(28)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項83】
配列番号85のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項82記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項84】
ストリンジェントな条件下、配列番号86の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号85のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項85】
配列番号87で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(28)アイソフォーム、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項86】
配列番号87のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項85記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項87】
ストリンジェントな条件下、配列番号88の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号87のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項88】
配列番号96で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(30)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項89】
配列番号96のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項88記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項90】
ストリンジェントな条件下、配列番号97の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号96のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項91】
配列番号98又は100で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(31)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項92】
配列番号98又は100のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項91記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項93】
配列番号98又は100のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号99の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項94】
請求項1乃至93のいずれか一項記載のタンパク質、そのフラグメント及び機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項95】
請求項1乃至93のいずれか一項記載の組み換えタンパク質、核酸、及び/又はベクターを含む、宿主細胞。
【請求項1】
哺乳動物組織における新生血管構造の同定方法であって、前記新生血管構造が、前記組織中の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記哺乳動物組織が成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される哺乳動物における病気又は状態の同定方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質の検出により同定され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
前記病気が、腫瘍、好ましくはヒト腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物組織における新生血管構造の標的化及び/又は画像化方法であって、前記新生血管構造が、前記新生血管構造中の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項6】
前記哺乳動物組織が成熟哺乳動物組織、より好ましくはヒト成熟組織、最も好ましくは腎臓組織である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
腫瘍、黄斑変性症、関節炎、及び/又はアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される哺乳動物の病気又は状態の影響を受けた組織の標的化及び/又は画像化方法であって、前記病気又は状態が、対象となる哺乳動物組織内及び/又はその近接部位の少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するリガンドにより標的化及び/又は画像化され、前記少なくとも1つのタンパク質が、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される、方法。
【請求項8】
前記病気が、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくはヒト腎臓腫瘍である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する、少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体の哺乳動物組織における腫瘍を同定するための使用。
【請求項10】
ヒト組織における腫瘍を同定するための、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、タンパク質:
1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30、
からなる群から選択される請求項9中に記載のタンパク質への特異的結合親和性を有する、請求項9又は10記載の使用。
【請求項12】
哺乳動物腎臓組織、好ましくはヒト腎臓組織における腫瘍を同定するための、請求項9乃至11のいずれか一項記載の使用。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、タンパク質:1、2、4〜13、15〜31からなる群から選択される請求項9中に記載のタンパク質への特異的結合親和性を有する、請求項12記載の使用。
【請求項14】
哺乳動物腎臓腫瘍組織、好ましくはヒト血管腎臓組織において新生血管構造を同定するための、請求項9乃至13のいずれか一項記載の使用。
【請求項15】
in vitro又はin vivo、好ましくはin vitroで腫瘍を同定するための、請求項9乃至14のいずれか一項記載の使用。
【請求項16】
以下:
(1)ペリオスチンスプライスバリアントA、B、D、E、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、
からなる群から選択されるタンパク質への特異的結合親和性を有する、リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項17】
前記抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、Fab2フラグメント、及び抗体様結合タンパク質からなる群から選択される、請求項16記載の抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項18】
請求項16又は17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント又は機能的誘導体を含む、融合タンパク質。
【請求項19】
抗腫瘍活性を有する構成成分を含む、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記抗腫瘍活性を有する構成成分が、無傷の抗体、そのFc含有抗体フラグメント又はFc機能的誘導体、放射性ヌクレオチド、光線感作物質、リポソーム、薬剤、凝固促進剤、サイトカイン、ケモカイン、毒素、及び二重特異性抗体からなる群から選択される、請求項19記載の融合タンパク質。
【請求項21】
診断的活性を有する、すなわちin vivo及び/又はex vivoでの選択的同定を可能にする構成成分を含む、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記診断的活性を有する構成成分が、放射性標識、フルオロフォア、ビオチン、キレートされた金属又は金属化合物、及びマイクロバブルからなる群から選択される、請求項21記載の融合タンパク質。
【請求項23】
哺乳動物、好ましくはヒトにおけるガンを治療するための薬剤を調製するための、請求項18乃至20のいずれか一項記載の融合タンパク質の使用。
【請求項24】
腎臓ガン、好ましくはヒト腎臓ガンを治療するための、請求項23記載の使用。
【請求項25】
哺乳動物、好ましくはヒトにおける腫瘍を同定するための診断用組成物を調製するための、請求項18、21、又は22のいずれか一項記載の融合タンパク質の使用。
【請求項26】
哺乳動物腎臓、好ましくはヒト腎臓における腫瘍を同定するための、請求項25記載の使用。
【請求項27】
請求項16若しくは17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又は請求項18乃至20のいずれか一項記載の融合タンパク質、並びに医薬的に許容可能なキャリア若しくは希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
請求項16若しくは17記載のリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又は請求項18、21、若しくは22のいずれか一項記載の融合タンパク質を含む、診断用組成物。
【請求項29】
哺乳動物組織、好ましくはヒト組織における腫瘍の同定方法であって、以下の工程:
(i)リガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体、及び/又はリガンド、好ましくは、抗体、そのフラグメント若しくは機能的誘導体を含む融合タンパク質であって、以下:
(1)そのアイソフォーム及び新規スプライスバリアントA、B、D、Eを含む、ペリオスチン[前駆体]、(2)そのアイソフォームを含む、推定上のGタンパク質共役レセプター42、(3)溶質キャリアファミリー2、促進型グルコーストランスポーターメンバー1、(4)バーシカンコアタンパク質[前駆体]、(5)そのアイソフォームを含む、CEACAM3、(6)フィブロモジュリン、(7)ペルオキシダシンホモログ[フラグメント]、(8)推定上のGタンパク質共役レセプター37[前駆体]、(9)タンパク質sidekick−1[前駆体]、(10)アルファ1A−電位依存性カルシウムチャネル、(11)EMILIN2タンパク質[フラグメント]、(12)そのアイソフォームを含む、ダウン症クリティカル領域タンパク質8、(13)推定上のGタンパク質共役レセプター113[前駆体]、(14)そのアイソフォームを含む、ANXA4タンパク質[フラグメント]、(15)そのアイソフォームを含む、ウロモジュリン様1[前駆体]、(16)スカベンジャーレセプタークラスFメンバー2[前駆体]、(17)Sushiドメイン含有タンパク質2[前駆体]、(18)腫瘍タンパク質、翻訳的に制御された腫瘍タンパク質1、(19)推定上のGタンパク質共役レセプターQ8TDU0、(20)仮想タンパク質DKFZp686K0275[フラグメント]、(21)膜貫通タンパク質TMEM55A、(22)仮想タンパク質Q8WYY4、(23)配列類似性を有するファミリー116、メンバーA、(24)UPF0240タンパク質C6orf66、(25)CDNA FLJ45811 fis、クローンNT2RP7014778、(26)仮想タンパク質DKFZp779O1248、(27)ベータ−ウレイドプロピオナーゼ、(28)そのアイソフォームを含む、仮想タンパク質DKFZp434F1919、(29)そのアイソフォームを含む、EGF様ドメインを有するシステインリッチタンパク質2[前駆体]、(30)UPF0378ファミリータンパク質KIAA0100[前駆体]、(31)そのアイソフォームを含む、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーHメンバー1、
からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質への特異的結合親和性を有するものと、対象となる哺乳動物組織、好ましくは対象となるヒト組織とを、in vivo及び/又はex vivoで、前記タンパク質1〜36の少なくとも1つと前記リガンド及び/又は融合タンパク質との特異的結合が可能な条件下、接触させる工程;及び
(ii)特異的に結合したリガンド及び/又は融合タンパク質を同定する工程、
を含む、方法。
【請求項30】
請求項29中に記載の少なくとも1つのタンパク質が、以下:
1A、1B、1D、1E、2、5、7〜13、15〜17、19〜23、25〜30、
からなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
請求項29中に記載の少なくとも1つのタンパク質が、以下:
1、2、4〜13、15〜31、
からなる群から選択され、かつ前記対象となる哺乳動物組織が腎臓組織である、請求項29又は30記載の方法。
【請求項32】
前記対象となる哺乳動物組織が、血管腎臓組織、好ましくはヒト血管腎臓組織である、請求項29乃至31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記工程(i)及び(ii)がex vivoで実施される、請求項29乃至32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、腫瘍、好ましくは腎臓腫瘍、より好ましくは血管腎臓腫瘍をin vivoで画像化する方法である、請求項29乃至32のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項36】
それぞれ、配列番号9、11、13、15から選択されるアミノ酸配列を有するペリオスチンスプライスバリアントタンパク質A、B、D、若しくはE、そのフラグメント又は機能的誘導体であって、前記そのフラグメント又は機能的誘導体のアミノ酸配列が、少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも30個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも50個又は少なくとも75個のアミノ酸を含み、かつ
a)配列番号9のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位、又は670〜756位及び783〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
b)配列番号11のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜726位及び784〜810位、又は784〜810位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
c)配列番号13のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号1における670〜756位の欠失を反映するアミノ酸配列を有し;
d)配列番号15のフラグメント又は機能的誘導体が、配列番号15における421位のアミノ酸バリンを含むアミノ酸配列を有し、配列番号1における671〜697位の欠失を反映するアミノ酸配列を有する、
ペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項37】
アミノ酸EIPVTVYGPEIKを有するペプチドを含む、請求項36記載のペリオスチンスプライスバリアントタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項38】
請求項37記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体に対して、少なくとも80、好ましくは85、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95又は98%のアミノ酸配列同一性を有し、その配列が配列番号1、3、5、及び7のいずれか一つの配列でない、請求項35乃至37のいずれか一項記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項39】
請求項35乃至38のいずれか一項記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項40】
配列番号25、27、及び29のいずれか1つで示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(5)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項41】
配列番号25、27、又は29のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項40記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項42】
ストリンジェントな条件下、それぞれ、配列番号26、28、又は30の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号25、27、又は29のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項43】
配列番号33で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(7)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項44】
配列番号33のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項43記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項45】
ストリンジェントな条件下、配列番号34の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号33のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項46】
配列番号37で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(9)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項47】
配列番号37のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項46記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項48】
ストリンジェントな条件下、配列番号38の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号37のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号43、45〜49のものから選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質(12)若しくはそのアイソフォーム、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項50】
配列番号43、45〜49のものから選択されるいずれかのタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項49記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項51】
配列番号43、45〜49のものから選択されるいずれかのタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、配列番号44で示すとおりの核酸配列を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項52】
配列番号50で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(13)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項53】
配列番号50のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項52記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項54】
ストリンジェントな条件下、配列番号51の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号50のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項55】
配列番号56、58〜60のいずれか1つで示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(15)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項56】
配列番号56、58〜60のいずれか1つのタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項55記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項57】
配列番号56、58〜60のいずれか1つのタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号57の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項58】
配列番号56で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(15)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項59】
配列番号56のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項58記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項60】
配列番号56のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号57の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項61】
配列番号61で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(16)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項62】
配列番号61のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項61記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項63】
ストリンジェントな条件下、配列番号62の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号61のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項64】
配列番号67で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(19)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項65】
配列番号67のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項64記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項66】
ストリンジェントな条件下、配列番号68の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号67のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項67】
配列番号69で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(20)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項68】
配列番号69のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項67記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項69】
ストリンジェントな条件下、配列番号70の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号69のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項70】
配列番号71で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(21)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項71】
配列番号71のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項70記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項72】
ストリンジェントな条件下、配列番号72の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号71のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項73】
配列番号73で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(22)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項74】
配列番号73のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項73記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項75】
ストリンジェントな条件下、配列番号74の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号73のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項76】
配列番号75で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(23)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項77】
配列番号75のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項76記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項78】
ストリンジェントな条件下、配列番号76の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号75のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項79】
配列番号79で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(25)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項80】
配列番号79のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項79記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項81】
ストリンジェントな条件下、配列番号80の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号79のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項82】
配列番号85で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(28)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項83】
配列番号85のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項82記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項84】
ストリンジェントな条件下、配列番号86の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号85のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項85】
配列番号87で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(28)アイソフォーム、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項86】
配列番号87のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項85記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項87】
ストリンジェントな条件下、配列番号88の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号87のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項88】
配列番号96で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(30)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項89】
配列番号96のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項88記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項90】
ストリンジェントな条件下、配列番号97の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、配列番号96のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項91】
配列番号98又は100で示すとおりのアミノ酸配列を有するタンパク質(31)、そのフラグメント又は機能的誘導体。
【請求項92】
配列番号98又は100のタンパク質に対して、少なくとも70、好ましくは80、より好ましくは90、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項91記載のタンパク質、フラグメント又は機能的誘導体。
【請求項93】
配列番号98又は100のタンパク質、そのフラグメント又は機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドであって、好ましくは、ストリンジェントな条件下、配列番号99の核酸配列とハイブリダイズする能力を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項94】
請求項1乃至93のいずれか一項記載のタンパク質、そのフラグメント及び機能的誘導体をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項95】
請求項1乃至93のいずれか一項記載の組み換えタンパク質、核酸、及び/又はベクターを含む、宿主細胞。
【図1C】
【図1D】
【図5C】
【図5D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図16】
【図17】
【図19】
【図21】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図12】
【図14】
【図15】
【図18】
【図20】
【図1D】
【図5C】
【図5D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図16】
【図17】
【図19】
【図21】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図12】
【図14】
【図15】
【図18】
【図20】
【公表番号】特表2009−528820(P2009−528820A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555689(P2008−555689)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001490
【国際公開番号】WO2007/096142
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508255850)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001490
【国際公開番号】WO2007/096142
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508255850)
【Fターム(参考)】
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