説明

血糖値の上昇が緩やかな糖質組成物及び飲食品

【課題】摂取後の小腸での消化吸収が遅く、血糖値の上昇が緩慢であり、しかも浸透圧が出来るだけ低い糖質組成物及び飲食品を提供することを課題とする。
【解決手段】デキストリンの非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリンとイソマルチュロースを特定の割合で混合した糖質組成物ではイソマルチュロースによる高分岐デキストリンの消化抑制効果が高くなる、すなわち消化が相乗的に抑制されるという新規な知見を見出し、本発明の完成に至った

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内に分岐構造及び/又は直鎖構造を有する澱粉分解物(デキストリン)の非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリン及びイソマルチュロースを含む、血糖値の上昇が緩やかな糖質組成物、飲食品及び栄養補給剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糖質は私たちのエネルギー源として重要な栄養素である。糖質を摂取すると、消化管内の酵素で消化され小腸で吸収される。その結果、血糖値が上昇する。健常者の場合、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され血糖値を低下させるが、糖尿病患者の場合は必要量のインスリンが生産されない、分泌されない、あるいは分泌されたとしても効き目が低下することが原因で、血糖値の高い状態が続く。糖尿病には、遺伝的にインスリンが生産できないI型と、肥満、運動不足など生活習慣によってインスリン分泌能や効き目が低下したII型があり、糖尿病患者の90%以上がII型である。近年、このII型糖尿病患者が急速に増加し、社会的にも大きな問題になっており、糖尿病の予防にも注目が集まっている。II型糖尿病は、主に食生活を改善することで治療又は発症を予防することができると考えられている。
【0003】
現在、一般的に食品に利用されている澱粉や澱粉分解物などの糖質は消化吸収が早く、摂取後血糖値は急速に上昇する。このような素材は糖尿病患者には不向きで、消化吸収が遅く、血糖値の上昇が緩慢な糖質が求められている(但し、エネルギー係数は炭水化物と同様の4kcal/kgであることが前提)。加えて、栄養補給剤などの糖質に使用される場合、グルコースなどでは浸透圧が高く、浸透圧性の下痢を誘発するため、澱粉を酸または酵素で加水分解して得られるデキストリンなど、浸透圧が出来るだけ低いものが求められている。よって、糖尿病患者にとって、消化を受けにくく、しかも浸透圧が低い糖質の開発は極めて有用である。また、消化を受けにくく、しかも浸透圧が低い糖質は、ダイエット食品、エネルギー補給飲料、及び栄養補助食品などの糖質源としても利用が可能であり、開発する意義はきわめて大きい。
【0004】
これらの要望に答える栄養補給剤の糖質としてイソマルチュロースが知られている。イソマルチュロースはグルコース1分子とフルクトース1分子がα‐1,6結合した二糖類であり、小腸での消化吸収速度が緩やかな糖質で、現在、栄養補給剤に用いる糖質として一部利用されている。しかし、イソマルチュロースの10質量%水溶液の浸透圧はおよそ340mOSMOL/kgと高く、使用が制限される場合があった。
【0005】
また、デキストリンの非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα‐1,6結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52であることを特徴とする高分岐デキストリン(以下、単に高分岐デキストリンともいう)が開示されている(特許文献1)。この高分岐デキストリンは小腸での消化吸収速度が緩やかであり、しかも10質量%水溶液の浸透圧が70〜300mOSMOL/kgと低いため栄養補給剤の糖質として利用され得るが、血糖上昇の指標としてのGI値が必ずしも満足できるものではなかった。
【0006】
また、イソマルチュロースは、ショ糖、グルコース、異性化糖、デキストリン及び分岐デキストリンなどの他の糖質と同時に摂取した場合に、それらの糖質の消化吸収を緩慢にする血糖上昇抑制効果もあることが報告されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2にはイソマルチュロースとデキストリンまたは分岐デキストリンを併用した際の血糖値に関わる効果を実際に評価した例は全く無く、ショ糖あるいはグルコースを用いた例が開示されているのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2009/113652号公報
【特許文献2】特開2007−31445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる事情に基づきなされたものであり、摂取後の小腸での消化吸収が遅く、血糖値の上昇が緩慢であり、しかも浸透圧が出来るだけ低い糖質組成物及び飲食品を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、消化を受けにくく、血糖値の上昇が緩慢であり、しかも浸透圧が出来るだけ低い糖質について鋭意研究を重ねた結果、分子内に分岐構造及び/又は直鎖構造を有する澱粉分解物(デキストリン)の非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリンとイソマルチュロースを特定の割合で混合した糖質組成物ではイソマルチュロースによる高分岐デキストリンの消化抑制効果が高くなる、すなわち消化が相乗的に抑制されるという新規な知見を見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は下記を提供する。
【0010】
1.デキストリンの非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリンと、イソマルチュロースを含む糖質組成物。
2.高分岐デキストリンとイソマルチュロースの組成比(重量比)が1:0.6〜1:2である上記1記載の糖質組成物。
3.非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合したグルコースの割合が、高分岐デキストリン全質量に対して5質量%以上である、上記1または2記載の糖質組成物。
4.内部に分岐構造を有するグルコースの割合が、高分岐デキストリン全質量に対して5〜13質量%である、上記1〜3のいずれか一に記載の糖質組成物。
5.上記1〜4のいずれか一に記載の糖質組成物を含む飲食品。
6.飲食品が栄養剤、流動食、食事代替飲料、エネルギー補給飲料、またはゼリー食品である、上記5記載の飲食品。
【発明の効果】
【0011】
本発明により得られる組成物は、摂取後の小腸での消化吸収が遅く、血糖値の上昇が効果的に抑制され、しかも浸透圧が低いため、糖尿病患者向け栄養補給剤、ダイエット食品、エネルギー補給飲料、及び栄養補助食品の糖質源など広範な医療食品及び食品分野への応用が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるDEとは、「〔(直接還元糖(ブドウ糖として表示)の質量)/(固形分の質量)〕×100」の式で表される値で、ウイルシュテッターシューデル法による分析値である。
本発明における「高分岐デキストリン」は、デキストリンの非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52であるデキストリンである。
DEは好ましくは15−30、更に好ましくは15−25である。
【0013】
本発明の糖質組成物の浸透圧は、好ましくは70〜300mOSMOL/kg程度、より好ましくは100〜200mOSMOL/kgである。本発明における浸透圧とは、Brix10%に調整した水溶液を氷点降下法により、浸透圧計測器(VOGEL OM802−D)を用いて測定した値である。
【0014】
詳しくは、非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合したグルコース、すなわち「→6)-Glcp-(1→」の割合が、デキストリン全質量に対して好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、特に好ましくは8〜30質量%である。また、内部の分岐構造を有するグルコース、すなわち「→4,6)-Glcp-(1→」の割合は、デキストリン全質量に対して、好ましくは4〜13質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。
これらの結合の割合は、Hakomoriのメチル化法を改変したCiucanuらの方法(Carbohydr. Res., 1984, 131, 209-217)により、確認できる。
【0015】
本発明に用いる分子内に分岐構造及び/又は直鎖構造を有する澱粉分解物(デキストリン)の非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリンは市販のものを利用することができ、例えば松谷化学工業株式会社から「HBD−20」の商品名で販売されている。
【0016】
本発明に用いるイソマルチュロースは市販のものを利用することができ、例えば三井製糖株式会社から「パラチノース(R)」の商品名で販売されている。
本発明の糖質組成物は前記高分岐デキストリンとイソマルチュロースを配合して調製することが出来る。配合比は、高分岐デキストリン1質量部に対して、イソマルチュロース0.6〜2.0質量部、好ましくは0.8〜2.0質量部、更に好ましくは1.0〜2.0質量部である。0.6質量部未満では消化抑制効果が弱く、また、2.0質量部を越えると消化抑制効果は強くなるが浸透圧が高くなり、栄養補給剤等への利用が制限される。
【0017】
この組成物は単なる粉末の混合物でも良いが、顆粒、錠剤、ペースト、溶液等の用途に応じて種々の剤型とすることができる。
【0018】
また、この組成物は、主に医療食向けの栄養補給剤、介護食品、食事代替飲食品、ダイエット食品およびスポーツ用飲食品などに使用されることが予想されるが、殆ど全ての食品に使用することができる。この食品とは、ヒトの食品、動物園でのエサ及び家畜飼料、ペットフードなどを総称するものであり、従来のDE=20〜48程度の澱粉分解物が使用できる食品の全てが包含される。即ち、コーヒー、紅茶、コーラ、ジュース等の液体及び粉末の飲料類、パン、クッキー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ等のベーカリー類、うどん、ラーメン、蕎麦等の麺類、スパゲッテイ、マカロニ、フェットチーネ等のパスタ類、キャンデー、チョコレート、チューインガム等の菓子類、ドーナッツ、ポテトチップス等の油菓子類、アイスクリーム、シェーク、シャーベット等の冷菓類、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、クリーミィパウダー、コーヒーホワイトナー、乳飲料等の乳製品、プリン、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ゼリー、ムース、ババロア等のチルドデザート類、各種スープ、シチュー、グラタン、カレー等のレトルトパウチないし缶詰類、各種味噌、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、ブイヨン、各種ルー等の調味料類、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、コーンビーフ等の肉加工品及びそれらの冷凍食品、ピラフ、コロッケ、オムレツ、ドリア等の冷凍加工食品、クラブスティック、カマボコ等の水産加工品、乾燥マッシュポテト、ジャム、マーマレード、ピーナッツバター、ピーナッツ等の農産加工品、その他佃煮、餅、米菓、スナック食品、ファーストフードに効果的に使用できる。
【0019】
本発明の組成物は、そのままの形態で上記エネルギー補給剤として使用できるが、好ましくは、医療食向けの栄養補給剤、介護食品、食事代替飲食品、ダイエット食品およびスポーツ用飲食品等に3〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度含有させることが適当である。配合方法としては、食品中の澱粉質又は糖質の全部又は一部を本発明の組成物と置換する方法、新たに追加配合する方法等があるが、これらに限定されない。
また、本発明の組成物を医療食向けの栄養剤、介護食品、食事代替飲食品、ダイエット食品およびスポーツ用飲食品等に使用する場合、他の機能性食品素材、例えば難消化性デキストリンなどと併用すれば、その効果を一層高めることが期待できる。
【0020】
(試験例1)(in vitro消化性試験)
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。
高分岐デキストリンと標準的なデキストリンのin vitro消化に対するイソマルチュロースの阻害効果についてin vitro消化性試験にて検証した。
本発明におけるin vitro消化性試験とは、生体内における糖質消化性の模擬試験であり、Englystら(European Journal of Clinical Nutrition、1992、46S33〜S50)の方法に基づいた変法で、糖質(本発明ではデキストリン)が酵素混合溶液(ブタ膵臓アミラーゼおよびラット小腸粘膜酵素)によって分解を受けて放出されるグルコース量を経時的に測定する試験である。
使用するブタ膵臓アミラーゼはRoche社製(19230U/ml)を用いた。また、ラット小腸粘膜酵素はSigma社製のラット小腸アセトンパウダーを以下の通りに調製して用いた。すなわち、ラット小腸アセトンパウダー1.2gを45mM Bis−Tris・Cl Buffer(pH6.6)/0.9mMCaCl2 15mlで懸濁し、ホモジナイズした後、3000rpmで10分遠心分離し、その上清をラット小腸粘膜酵素の粗酵素液とした。粗酵素液の活性は26mMマルトース溶液において1分間に1mmolのマルトースを分解する活性を1Uとして算出した。
【0021】
試験方法は以下の通りである。
デキストリンの非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリン(商品名HBD−20:松谷化学工業社製/DE=20)(非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合したグルコースの割合:8.9%、内部の分岐構造を有するグルコースの割合:5.2%)と、コントロールとして標準的なデキストリン(商品名TK−16:松谷化学工業社製/DE=18)(非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合したグルコースの割合:0.0%、内部の分岐構造を有するグルコースの割合:4.8%)を被検物質として使用し、それぞれ純水に溶解し、2質量%の溶液を調製した。また、イソマルチュロース(商品名パラチノース(R):三井製糖社製)を阻害物質として使用した。
【0022】
それぞれの被検物質に対し、イソマルチュロース非添加系(被検物質のみ)として1本、イソマルチュロース添加系(被検物質+パラチノース(R))として5本の試験管を用意し、反応溶液を調製した。
【0023】
イソマルチュロース非添加系(被検物質のみ)には、2質量%被検物質溶液を150μlと緩衝溶液(45mM Bis−Tris・Cl Buffer(pH6.6)/0.9mMCaCl2)1270μlを入れよく撹拌した。
【0024】
一方、イソマルチュロース添加系(被検物質+パラチノース(R))には、2質量%被検物質溶液を150μlと2質量%イソマルチュロース溶液を75、90、120、150、300μlとなるようにそれぞれ添加し、全体量が1420μlとなるように緩衝溶液を入れよく撹拌した。イソマルチュロース添加系(被検物質+パラチノース(R))でのイソマルチュロース量は、被検物質量の0.5倍、0.6倍、0.8倍、1倍、2倍量となるように添加した。
【0025】
酵素混合溶液は、ブタ膵臓アミラーゼ(384.6U/ml)8μl、ラット小腸粘膜酵素(6.33U/ml)22.4μl、緩衝溶液49.6μlを混合し、80μlを1反応溶液に添加するよう調製した。調製した反応溶液を37℃で10分間予備培養したのち、0.5M過塩素酸25μlに反応溶液95μlと酵素混合溶液5μlをよく混合して反応時間0分サンプルとした。
【0026】
次に、残りの反応溶液に酵素混合溶液75μlを添加し、よく混合して37℃で反応を開始した。反応時間10分、30分、3時間で反応溶液100μlを取り出し、0.5M過塩素酸25μlと混合して反応を停止した。この反応停止液40μlをグルコースCIIテストワコー(和光純薬工業社製)にて各反応時間でのグルコース濃度を定量した。定量したグルコース濃度から以下の計算方法でイソマルチュロース添加時のグルコース生成速度の減少率を算出し、阻害効果の指標とした。
【0027】
イソマルチュロース非添加系でのグルコース濃度(反応時間0分:A mg/dl、各反応時間:B mg/dl)から、反応時間0分から各反応時間までの1時間当たりのグルコース生成速度を算出する。
グルコース生成速度(mg/dl/h)=(B−A)/反応時間(h)… X
【0028】
同様にパラチノース添加系でのグルコース濃度(反応時間0分:C mg/dl、各反応時間:D mg/dl)から、反応時間0分から各反応時間までの1時間当たりのグルコース生成速度を算出する。
グルコース生成速度(mg/dl/h)=(D−C)/反応時間(h)… Y
【0029】
イソマルチュロース非添加系とイソマルチュロース添加系のグルコース生成速度(X、Y)より、イソマルチュロース添加系を基準としたときのイソマルチュロース添加時のグルコース生成速度の減少率を各反応時間で求めた。
グルコース生成速度減少率(%)=(X−Y)/X×100
【0030】
各イソマルチュロース(パラチノース(R))添加量でのグルコース生成速度およびその減少率をそれぞれ表1に示す。実験1は被検物質1質量部に対して、イソマルチュロース0.5、1.0および2.0質量部添加した場合の影響、実験2では0.6および0.8質量部添加した場合の影響を示した。
被検物質1質量部に対して、イソマルチュロース0.6質量部以上添加した時、標準的なデキストリン(TK−16)に比べて高分岐デキストリン(HBD−20)でのグルコース生成速度減少率が高く、高分岐デキストリンの分解反応に対して高い阻害効果、すなわち相乗的な阻害効果を示した。
さらに、被検物質1質量部に対して、イソマルチュロース0.6質量部以上添加した時、イソマルチュロース添加量の増加に従って、標準的なデキストリンと高分岐デキストリンでのグルコース生成速度減少率の差が大きくなり、高分岐デキストリンの分解に対するイソマルチュロースの相乗的な阻害効果が認められた。
【0031】
表1 デキストリンまたは高分岐デキストリンのin vitro消化に及ぼすイソマルチュロースの影響

1) mg/dl/h
2) %
【0032】
実施例1 経腸栄養剤の調製
表2の処方に従って試験例1で確認されたHBD−20(浸透圧:140mOSM)とパラチノース(R)を含む経腸栄養剤を調製し、良好な製品を得た。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例2 食事代替飲料の調製
表3の処方に従って試験例1で確認されたHBD−20(浸透圧:140mOSM)とパラチノース(R)を含む食事代替用の飲料を調製し、良好な製品を得た。
【0035】
【表2】

*1 築野食品工業株式会社製
*2 旭化成株式会社製(アビセルCL‐611S)
*3 三菱化学フーズ株式会社製(シュガーエステルP‐1670)
*4 武田薬品工業株式会社製(新バイリッチWS‐7L)
*5 高田香料株式会社製(カスタードバニラエッセンスT‐484)
【0036】
実施例3 エネルギー補給飲料の調製
表4の処方に従って試験例1で確認されたHBD−20(浸透圧:140mOSM)とパラチノース(R)を含むエネルギー補給飲料を調製し、良好な製品を得た。
【0037】
【表3】

* 高田香料株式会社製(グレープフルーツエッセンス#2261)
【0038】
実施例4 ゼリーの調製
表5の処方に従って試験例1で確認されたHBD−20(浸透圧:140mOSM)とパラチノース(R)を含むゼリーを調製し、良好な製品を得た。
【0039】
【表4】


*1 大日本製薬株式会社製(ケルコゲル)
*2 雄山商事株式会社製
*3 高田香料株式会社製(マスカットエッセンス#50631)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストリンの非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10−52である高分岐デキストリンと、イソマルチュロースを含む糖質組成物。
【請求項2】
高分岐デキストリンとイソマルチュロースの組成比(重量比)が1:0.6〜1:2である請求項1記載の糖質組成物。
【請求項3】
非還元末端にグルコース又はイソマルトオリゴ糖がα−1,6グルコシド結合で結合したグルコースの割合が、高分岐デキストリン全質量に対して5質量%以上である、請求項1または2記載の糖質組成物。
【請求項4】
内部に分岐構造を有するグルコースの割合が、高分岐デキストリン全質量に対して4〜13質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖質組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の糖質組成物を含む飲食品。
【請求項6】
飲食品が栄養剤、流動食、食事代替飲料、エネルギー補給飲料、またはゼリー食品である、請求項5記載の飲食品。

【公開番号】特開2013−87106(P2013−87106A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231317(P2011−231317)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000188227)松谷化学工業株式会社 (102)
【Fターム(参考)】