説明

血糖値を調節するためのアスパルテートを使用するための調製物

本発明は、哺乳類において血糖値を調節し、インスリン感受性を増強するため、アスパルテートの含有量が高い特異的なタンパク質及び/又はペプチド画分に関する。多量のアスパルテーと相当物は、グルタメート相当物が比較的欠如している場合に特に、体皮細胞からのグルコースの取込みを増加させ、食事によるグルコースの摂取に対する肝臓の反応を改善する。結果として、高血糖症、特に食後及び手術後の高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を罹患している人の血糖値に好ましい効果を有する。本発明は、グルコースを含む食事の摂取と同時、又は、数分から一時間前に与えられるアスパルテート相当物に富んだ栄養補助食品と同様、アスパルテート相当物で強化した完全食品に関する。栄養学的又は薬学的組成物は、アスパルテート含有量の高いタンパク質を少なくとも1つ含み、好ましくは大豆若しくは乳製品由来であり、別のタンパク質及び/又は遊離アスパルテート相当物由来のアスパルテート相当物でさらに強化される。タンパク質画分は、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比を0.41:1と5:1の間であるグルタメート相当物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類における血糖値を調節するため及びインスリン感受性を増強するために、高アスパルテート(aspartate;アスパラギン酸塩)含有量を有する特異的なタンパク質、及び/又はペプチド画分の使用のための調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
高血糖症は、血中のグルコース値が、血中の通常の濃度である約3.9〜6.1mMol/l(100ml当たり70〜110mg)と比較して増加している体の代謝状態のことである。飢餓時、又は多量のグルコースの摂取後は、通常の値はこの範囲をはずれがちになるが、哺乳類の体は、グルコースのホメオスタシスを維持するいくつかのメカニズムを有する。
【0003】
グルコース源を摂取した後に異常に高い血糖値を有する患者は、「食後高血糖応答」(high post-grandial glucose responses)、又は「グルコース不耐性」(glucose intolerant)であると定義される。正常に機能しないグルコース耐性は、断食後に増加したグルコース値を招き、正常に機能しないグルコースの代謝としばしば関連付けられる。重要な例としては、いわゆるメタボリック症候群、若しくはX症候群、肥満、並びにI型、II 型及び妊娠性糖尿病のようないくつかのタイプの糖尿病を罹患していると診断されている人々において見い出される。高度の感情的ストレス状態にある人々、並びに重篤なトラウマ、手術を経験した、また、例えば、病院において、集中治療室(ICU)に受け入れられている人達のように急性疾患を罹患している患者においては、おそらくコルチゾールのようなストレスホルモンの作用のため、彼らの血糖値を6.1mMol/l未満の値にコントロールする能力が正常に機能していないことが示されている。これらのグループ以外に、例えばプロピオン酸血症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、オキソ酸コエンザイムAチオラーゼ欠損症、若しくは他のチオラーゼの作用の欠如を罹患している人々のように代謝における遺伝的異常のいくつかのタイプを有する人々、及び幼児のように代謝システムが発育不全である人々は、食後高血糖の期間をしばしば経験する。
【0004】
食後高血糖応答が、長期間にわたったとき、又は飢餓後の増加したグルコース値と関連付けられるときには、健康及び体の機能に複数の悪影響を与えうるものである。そのような悪影響の例としては、微小血管、及び大血管レベルの双方における心血管障害、正常に機能しない視力の問題、腎臓障害、神経障害及び認識機能障害のような神経学的障害、酵母により起こされるような感染に対する感受性増加、代謝障害、並びに多尿症と過度の口渇感及び空腹感のような急性効果を挙げることができる。
【0005】
インスリンは、体の機能において、及び特に体のグルコースの代謝において、重要な役割を果たす。グルカゴンと反対に、インスリンは、骨格筋、及び脂肪組織における、並びに肝臓、膵臓、及び心筋における細胞のような体皮細胞によるグルコースの取込みを増加させ、肝臓における糖新生を減少させる。インスリンは、飲食後、特にグルコース又はタンパク質の供給源を含む食事の後に膵臓より放出される。インスリンの放出は、膵臓が重篤な損傷を受けているときに、例えばI型糖尿病、又は膵炎の間に、正常に機能しなくなる。このことは、しばらく後に、特に食後の減少したインスリン放出が、インスリンの感受性の減少と組み合わせて起こったときに、重篤な健康問題をもたらすであろう。その場合に放出されたインスリンは、細胞からの、特に筋肉細胞のような体内の体皮細胞による、グルコースの吸収の増加をもたらすものではない。これは、「インスリン抵抗性」(insulin resistance)とも呼ばれる。
【0006】
糖尿病以外にも、多数の肥満の人々、及びメタボリック症候群を罹患している人々のように、インスリン抵抗性を有する患者のグループが多い。また、重篤なトラウマ、又は手術の後、及びガンやAIDSのようないくつかの病気の重篤な段階において、正味のインスリン抵抗性が、しばしば観察される。インスリン抵抗性は、特に長期にわたっては、重篤な健康問題をもたらし、かかる患者における疾病率、死亡危険率を増加させる。
【0007】
高血糖症における高い全身性(systemic)のグルコース値にもかかわらず、いくつかの細胞組織は依然として、細胞内グルコースの低い値に患わされる。細胞内のエネルギーホメオスタシスを維持するために、脂質又はタンパク質は、エネルギー源として使われる状況下にある。不十分な量の脂質又はタンパク質が摂取される場合、或いは脂質の生体内蓄積が適切に代謝されていない状況において、除脂肪体重(lean body mass)の異化作用が起こる。エネルギー低栄養の間、特に除脂肪体重の喪失が進んだ場合、重症合併症が起こりうる。したがって、重篤な病気を経験している患者、非常に肥満している人々、及び/又は特に栄養不良の糖尿病患者におけるようなエネルギー低栄養の人々において、インスリン感受性を増強する栄養製品についての必要性が存在する。
【0008】
新生児、及び特に早産児は、代謝システムの発育不全をしばしば罹患し、直ちに新たな栄養計画に適応する必要がある。始めの数日か数週間、新生児の体内において、例えば、酵素発現と、例えば肝臓、膵臓、腸、及び腎臓などの臓器能力と、消化管内容物とに関して、劇的な変化が起こる。栄養実践が、新生児の代謝能力に適応していない場合、異常に高い、若しくは低い血糖値などの障害、及び疾患か観察されうる。
【0009】
西欧諸国では、肥満と糖尿病の患者数は、最近10年間で相当数に上っており、子供たちでさえこれらの疾患や障害にかかりやすくなってきている。
【0010】
血漿中のグルコース値が低くなりすぎるのを防ぎ、しかし同時に食後高血糖応答を減少させ、及び/又はインスリン抵抗性を減少させる栄養製品を見い出す試みが先行技術文献に多く記載されている。
【0011】
栄養製品は、その摂取後に高血糖応答を減少させるように開発されてきた。例えば、食後血糖応答は、ゆっくりと消化される炭水化物源を含むことにより平板化され、消化速度は、繊維を含むことで減速すると主張されている。また、グルコース源は、摂取後血糖値の増加を直接招かないフルクトースのような代替炭水化物を放出する他の材料により置き換えることができる。その例は、国際公開パンフレット第03/105882号に示されている。しかしながら、しばしば、グルコースのユニークな代謝における、及び生理学的な性質とは適切に対応できず、これらの代替炭水化物、特にフルクトースは、特に高濃度で下痢、高尿酸血症のような望ましくない副作用を有し、また一時的に肝臓のエネルギー貯蔵の機能を損ない、炎症反応を起こす疑いがある。
【0012】
当業界における別のアプローチは、インスリンの放出を増強するためにタンパク質組成物を適応させることである。特にアルギニン、またロイシン、グリシン、又はフェニルアラニンによる強化は、この目的のため推奨されている。インスリン抵抗性の問題は、しかしながら、このアプローチで解決されるものではない。さらにより多くのインスリンを放出させることは、既に高度にストレスを受けている膵臓に挑むことになり、とても効果的なアプローチであるとは思えない。加えて、長期間にわたる高インスリン血症の患者は、後年、肥満になったり、インスリン抵抗性を発現する危険性がある。このことは、膵臓の障害、並びにI型糖尿病、膵炎、肝硬変、及び肝炎のように肝臓にいくつかの特異的な障害を有する患者にとって特に重要である。
【0013】
糖尿病のための市販の完全栄養製品の大部分は、カゼインや大豆を基礎としたタンパク質画分を含んでいる。より優れた食後血糖応答は、特に大豆を基礎とした製品によるものである。タンパク質画分が大豆によって主に構成されている製品の不都合な点は、大豆の味があまり好ましくなく、また高血糖症を罹患している人々、特に、除脂肪体重が低く、長期にわたり強力な同化作用を必要とする栄養不良の患者の場合において、例えば必須アミノ酸の量について、全ての要件を満たすために至適とはいえないアミノ酸特性(amino acid profile)を提供することである。
【0014】
米国特許第6,706,697号は、約15重量%のフルクトースと10重量%のイヌリンとを含む飲料を調製するための粉末として処方された糖尿病用及び減量用組成物で、飲料のタンパク質画分が、約44重量%の単離された大豆タンパク質と20重量%の牛乳タンパク質単離物との官能的により受け入れられる組合せであることを特徴とする組成物を開示している。牛乳タンパク質単離物は、新鮮な脱脂乳から単離され、スプレードライされた溶解性カゼインとホエータンパク質として定義され、カゼインとホエータンパク質の組合せは、牛乳に存在する全てのタンパク質の同時単離より得られて、約8重量%のアスパルテート相当物(equivalents)を提供するカゼインとホエーが80:20である混合物を産生する。不都合な点は、米国特許第6,706,697号に提案されている多量のフルクトースの使用は、前述の不要な副作用を招くかもしれないことである。
【0015】
米国特許出願第2004/0043013号は、少なくとも4つの薬剤の1又は2以上のメンバーを含む、代謝分離療法(metabolic uncoupling therapy)のための薬剤の組成を開示している。実施例3〜5は、減量を達成し、高脂血症を治療し、II型糖尿病を阻害することに有用な調製物をそれぞれ開示している。これらの調製物は、大部分クレアチン、ピルビン酸、及びアルギニンのそれぞれと組み合わせたL−アスパラギン酸から成る。これらの調製物は、必須アミノ酸を提供せず、グルコース相当物源を含まない。さらに、米国特許出願第2004/0043013号は、それらと結びついている欠点を有する多量のアミノ酸を摂取することについて教示する。クレアチンは、いくつかの酵素のトランス−硫化経路(trans-sulfuration pathways)の酵素に悪影響を有し、比較的高価なピルビン酸は、液体処方中で容易に分解し、したがって栄養食において使用するには魅力的な材料とはいえず、アルギニンは、インスリン放出を強く刺激するが、膵臓にストレスを与え、インスリン抵抗性を発現させる危険性を増加させるという問題を伴う。
【特許文献1】国際公開パンフレット第03/105882号
【特許文献2】米国特許第6,706,697号
【特許文献3】米国特許出願第2004/0043013号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述の健康問題の重要性、及び先行技術文献に開示されてきた解決策の低い成功率を考慮すると、楽しめる官能的特性により通常の日常生活、飲食の習慣に適応し、膵臓に対する追加的なストレスを防止し、さらには、膵臓の負担を緩和さえし、副作用が無く、且つ、特に食物の摂取後に血糖値を正常化し、インスリンに対する感受性を増強させる、栄養学的調製物、又は食事療法(dietetic regimen)の必要性が存在する。
【0017】
多量のアスパルテート相当物は、特にグルタメート(glutamate;グルタミン酸塩)相当物が比較的欠如している場合、体皮細胞からのグルコースの取込みを増加させ、食事によるグルコースの摂取に対する肝臓の反応を改善させることを見い出した。結果として、食後血糖応答は、哺乳類の体に対するインスリン抵抗性と同様に減少し、それゆえ糖尿病は、効果的に予防され、治療されることができる。
【0018】
本発明により、血液からグルコースを取り込む哺乳類の能力は、グルコースを含む食事と同時、又は摂取の数分前から一時間前までに与えられた、アスパルテート相当物で強化された完全食品又はアスパルテート相当物に富んだ栄養補助食品(supplement)を使用して、有利に高めることができる。いずれの場合も、アスパルテートに富んだ栄養食、若しくは薬学的調製物は、高血糖症、特に食後高血糖応答、及び手術後の高血糖、並びに/又はインスリン抵抗性を罹患している人の血糖値に好ましい効果を有する。実施例7に示されているように、アスパルテートに富んだ食事、及びグルタメートに対してアスパルテートを高い割合で有している食物は、グルコースを含む食物の摂取後の血糖値を素早く平準化する。
【0019】
高血糖症、及びインスリン抵抗性に関連する前述の二次的な障害のいくつかに有効である例えば大豆のようなアスパルテートとグルタメートを含む供給源の使用は、当業界に知られているが、この効果は、個々のアミノ酸のせいにされることはなかったし、ましてやそのグルタメートに対するアスパルテートの割合について追求されることはなかった。
【0020】
本発明を使用して、アスパルテートに富んだ、及び/又はアスパルテートが、グルタメートに対するアスパルテートの重量比が高くなるよう選択され、(必須)アミノ酸特性を患者の状況の要求を満たすように適合させ、受け入れられる官能特性を有する、栄養学的組成物が、高血糖症、特に食後高血糖応答、及び手術後の高血糖を患い、並びに/或いはインスリン抵抗性を罹患している患者に与えることができる。
【0021】
米国特許第6,706,697号で教示されているような最大10.4重量%の量のアスパルテート相当物を含む製品を、糖尿病を治療及び予防するための最適な成果を達成するために、さらに濃縮しうることが見い出されている。
【0022】
ゆえに、現時点における知識では、例えば、高アスパルテート含有量の大豆と、他のアスパルテートに富んだタンパク質、ジペプチド、及び/又はアスパラギン酸塩とを組み合わせること、さらにグルコースの取込みを高めること、且つ同時に製品の官能特性及び患者の特性においてのアミノ酸の含有量を至適化することが可能である。また食後血糖応答を制御するための製品を開発するために、大豆以外からタンパク質を選択することができる、高アスパレート含有量、好ましくはグルタメートに対するアスパレートの割合の高さが、選択の基準となる。
【0023】
それゆえ、本発明の目的は、哺乳類において血糖値を調節し、且つ/又はインスリン感受性を増加させる栄養学的な又は薬学的な組成物であって、栄養学的、又は薬学的な組成物が、少なくとも10.8重量%のアスパルテート相当物を含むタンパク質画分を含み、少なくとも一部が、少なくとも12.0重量%、好ましくは12.3重量%のアスパルテート相当物を含むアスパルテート源により提供される組成物を提供することである。タンパク質画分は、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比(asp:glu)が、0.41:1と5:1の間である量のグルタメート相当物をさらに含むことが好ましい。
【0024】
そのような少なくとも12.0重量%を含むアスパルテート源は、インタクトなタンパク質、タンパク質単離物、濃縮物若しくは加水分解物、及び/又は遊離アスパルテート相当物でありうる。アスパルテート源が少なくとも12.0重量%のタンパク質、タンパク質単離物、加水分解物の濃縮物を含んでいるとき、タンパク質画分の5〜100重量%、より好ましくは8〜70重量%、さらにより好ましくは10〜60重量%の量で存在することが好ましい。少なくとも12.0重量%のアスパルテートを含むタンパク質が2つ以上存在するとき、上述の数字は、これらのタンパク質の合計に適用される。アスパルテート源が、遊離アスパルテート相当物から形成されている場合、これらは、好ましくは0.2〜9重量%、好ましくは0.5〜6重量%の量で存在する。
【0025】
それゆえ、本発明の別の目的は、タンパク質画分の重量に対して、少なくとも10.8重量%のアスパルテート相当物を含むタンパク質画分を含む、栄養学的組成物を提供することである。タンパク質画分は、グルタメート相当物をさらに含み、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、0.41:1〜5:1、より好ましくは2:1未満であることが、より好ましい。タンパク質画分は、アスパルテート相当物の一番目と二番目の供給源を含み、前記一番目の供給源が、インタクトなタンパク質、タンパク質単離物、加水分解物であり、二番目の供給源が、一番目の供給源とは、異なることが好ましい。例えば、別のタンパク質、又はタンパク質から誘導された物質、又は遊離アスパルテート相当物でありうる。
【0026】
さらに、本発明の別の目的は、哺乳類における血糖値を調節し、及び/又はインスリン感受性を増強させる栄養学的又は薬学的組成物であって、栄養学的又は薬学的組成物が、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、0.41:1〜5:1、好ましくは0.58〜2.1の間という、高い重量比を有するタンパク質画分を少なくとも含むことを特徴とする組成物を提供することである。
【0027】
アスパルテート相当物を含む栄養学的又は薬学的組成物は、グルコース相当物を含む食事と同時に、又は60分前までに投与されることが好ましい。
【0028】
本発明の更なる目的は、糖尿病、高血糖症、特に食後高血糖応答、手術後の高血糖、及び/又はインスリン感受性の治療及び/又は予防を必要とする哺乳類において血糖値を調節し、及び/又はインスリン感受性を増加させる方法であって、前記哺乳類に本発明の栄養学的又は薬学的組成物を投与することを含む方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
アスパルテート、グルタメート
アミノ酸、アスパラギン酸、アスパラギン、及びグルタミン酸、及びグルタミンは、哺乳類の体が、必要時はこれらのアミノ酸を合成する代謝能力を有するので、哺乳類においては必須アミノ酸ではないと見なされている。生理学的に活性な異性体は、L−体であり、内生のアミノ酸は、ケト類似オキザロ酢酸(keto-analogues oxaloacetate)(アスパルテートのための)と、アルファケトグルタル酸(グルタメートのための)と典型的に平衡している。アスパラギンとグルタミンは、アスパラギナーゼとグルタミナーゼの酵素の影響によりアンモニア基の放出下、それぞれアスパルテートとグルタメートに体内で加水分解されうる。アスパルテートとグルタメートは、神経毒と見なされることもある。
【0030】
アミノ酸含有量の標準的な分析方法を適用している間、アスパラギンとグルタミンは、容易に加水分解され、それが、タンパク質のアミノ酸組成物において、アスパラギンの分離した量が提供されず、その代わりにアスパラギンとアスパルテートの合計量が与えられる理由となっている。同じことは、グルタミンにも適用される。
【0031】
本明細書の目的のためには、「アスパルテート相当物」は、相当物が、経口的若しくは例えばチューブによる食物摂取のように経腸管的に摂取された後、直接的に或いは消化、吸収若しくは肝臓による代謝変換後に、L−アスパルテートを体内で放出することができる成分として定義される。アスパルテート相当物の例としては、合成された若しくは天然原料から抽出された遊離アミノ酸であるL−アスパラギン酸及び/又はL−アスパラギンや、かかる遊離アミノ酸の塩、例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムのような金属イオンとの塩や、他のアミノ酸、カルニチン、タウリンのような他の化合物又はコリン若しくはベタインのような第4アンモニウム化合物との塩や、カルボン酸部分の1つに結合しているアシル部分を含む化合物のようなアミノ酸のエステル化された形態、ピルビン酸のような有機分子から生じるエステル、及びアルキル若しくはアシル基が1級窒素原子に結合している遊離アミノ酸の誘導体を含む、タンパク質又はペプチドが挙げられる。それゆえ、アスパルテート相当物は、R−NH−CH(COR)−[CH−CO−OR、又はR−NH−CH(COR)−[CH−CO−NHRの化学式を有し、式中n=1、Rは、H、(置換された)アルキル基、若しくはアシル基(C−ぺプチジルを含む)であり、Rは、OH、OR、NHR、若しくはN−ぺプチジルであり、Rは、H、(置換された)アルキル基、若しくはアシル基であるあらゆる化合物、同様にアニオン及びカチオン塩、並びに双性イオンを含む。n=2であること以外は、グルタメート相当物についても上記と同様である。ペプチドは、インタクトなタンパク質の加水分解により得られるのが好ましい。ケト類似オキザロ酢酸、及びその誘導体は、技術的(加工における)、及び生じうる安定性の問題のため、栄養製品に含めるにはあまり適切な形態でない。
【0032】
投与量は、L−アスパルテートのグラム数で記載される。代替構成要素の等価用量は、同モル量を使用して、及び代替構成要素の分子量を補正することで計算される。計算において、ペプチドとタンパク質における残基は、アミノ酸鎖における水分子の欠失について補正される。全ての相当物は、完全な、即ち水分子を含む加水分解された形態における合計重量に寄与する。
【0033】
「グルタメート相当物」は、アスパルテート相当物と同様の方法で定義される。これらは、合成された若しくは天然原料から抽出されたL−グルタミン酸、及び/又はL−グルタミン、遊離グルタメート、グルタミンアミノ酸、遊離アミノ酸の塩等を含むタンパク質、又はペプチドを包含する。N−アセチルグルタミン及びN−アセチルグルタメートも適切な形態である。本明細書及び特許請求の範囲においては、用量はL−グルタミンのグラム数で記載され、ペプチド及びタンパク質構成要素の場合には、水分子欠失について補正される。
【0034】
アスパルテート相当物とグルタメート相当物の量は、栄養学的又は薬学的組成物の全量を元に計算される。組成物が異なるポーションからなる場合、異なるポーションにおける相当物の量を加えなければならない。
【0035】
本明細書を通じて、「遊離アスパルテート相当物」、又は「遊離グルタメート相当物」は、アスパルテート、アスパラギン、グルタメート、及びグルタミン、これらの遊離酸、同様にこれらのアニオン形態、並びにアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、置換したアンモニウム塩のような塩、並びに双性イオンを含むものとして理解され、即ち酸は、無差別に酸の名前、又はアニオンの名前、例えばアスパラギン酸、若しくはアスパルテート、及びグルタミン酸、又はグルタメートにそれぞれ言及される。遊離アスパルテート相当物、及び遊離グルタメート相当物もまた、少なくとも1分子のアスパルテート及びグルタメートを含むジペプチドを含む。ジペプチドは、アスパルテート及びグルタメートの供給源としての役目を果たし、使用される濃度の範囲においては、独立した生物学的作用を持つべきではない。
【0036】
しかしながら、特にアスパルテート相当物が遊離の形態、即ちオリゴ若しくはポリペプチドではない形態で含まれている場合は、加工の間の望ましくない副産物を生産することを防止するために、L−アスパラギン、若しくはその誘導体の代わりに、L−アスパラギン酸、若しくはその誘導体が、使用されることが好ましい。L−アスパラギン酸の適切な形態は、ナトリウム、カリウム、亜鉛、及びマグネシウムとの、又はL−リジン及びL−ヒスチジンのようなアミノ酸との塩である。
【0037】
アスパラギン酸塩の量は、9重量%、好ましくは栄養調製物の6重量%未満を超えることは許されず、特に個々のアスパルテートの塩は、タンパク質画分が液体形態で患者に投与される場合には、電解質平衡異常を防ぐため4.8重量%を超えてはならない。例えば、カリウムの量は、典型的には、100ml当たり400未満、好ましくは50〜250、及び最も好ましくは100〜180mgであろう。マグネシウムの量は、典型的には、100ml当たり200mg、好ましくは10〜120、及びより好ましくは、12〜80mgとなろう。好ましい実施形態ではないが、一又は二以上のアスパラギン酸部分を含むジペプチドもまた適当である。この場合も、代替供給源は、サトウキビからの抽出物、特にアスパルテート及びベタインに富んだもの、又はポテトからの抽出物等の、植物抽出物である。少なくとも部分的加水分解によって、アスパルテート画分は、患者にとってより速やかに利用可能となる。
【0038】
前述の障害に有効であることにおける重要性のため、アスパルテート相当物の量は、さらに増加させることができるが、タンパク質画分は、95重量%を超えてはならない。タンパク質画分は、タンパク質の重量に対して、好ましくは少なくとも10.8重量%のアスパルテート、好ましくは、11.0〜70重量%、より好ましくは11.5〜50重量%、さらにより好ましくは11.8〜45重量%、さらにより好ましくは12.0〜40重量%、及び最も好ましくは12.5〜36重量%、特に12.8〜30重量%、さらには特に25重量%未満のアスパルテート相当物を含む。13.0重量%を超え、又はさらに14.0重量%を超えるアスパルテート相当物を含むタンパク質画分が、特に好ましい。
【0039】
本発明によるタンパク質画分は、速やかに消化され、吸収され、それゆえ体内において利用できるアスパルテート画分を含むことが好ましい。このことは、胃を速やかに通過し、ペプシン、トリプシン及びキモトリプシンなどの消化酵素の活性に高い要求をするものではない形態におけるアスパルテート相当物の部分を、少なくとも含むことにより達成される。一実施形態では、少なくとも一部分、好ましくは少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.7重量%、及び最も好ましくは少なくとも1.0重量%、特に少なくとも1.5重量%のアスパルテート相当物が、合成、若しくは単離されたアミノ酸、及び/又はその塩、若しくはエステル、及び/又はアスパルテート相当物を少なくとも1分子を含むジペプチドであることが好ましい。
【0040】
さらに、本発明のタンパク質画分は、タンパク質画分の重量に対して、0.2〜30重量%のグルタメート相当物、好ましくは、2.0〜25.0重量%、より好ましくは4.0〜22.0重量%、さらにより好ましくは5.0〜22.0重量%、及び最も好ましくは8.0〜21.0重量%、特に10.0〜20.5重量%の量で含まれることが好ましい。12.0〜18重量%のグルタメート相当物を含むタンパク質画分が、好ましいこともある。
【0041】
グルタメート相当物(glu)に対するアスパルテート相当物(asp)の比較的高い重量比は、本発明による有益な効果を有する。特に、幼児や乳児のための製品において、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比は、非常に重要である。それゆえ、タンパク質画分のasp:gluの重量比は、0.41:1と5:1の間、好ましくは、0.45:1と4:1の間、より好ましくは0.50:1と3:1の間、特に0.53:1と2:1の間である。他の実施形態では、特に製品が大部分大豆を基礎としたタンパク質からなる場合においては、好ましくは50重量%を超える、より好ましくは60重量%を超える、最も好ましくは70重量%を超える、さらに高いasp:gluの重量比が好まれる。それゆえ、タンパク質画分は、好ましくは、0.58:1と2:1の間、好ましくは0.59:1〜1.8:1、より好ましくは0.60:1〜1.6:1、さらにより好ましくは0.62〜1.4:1の範囲内であって、最も好ましくは0.70:1〜1.2:1の範囲内のグルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比を有することが好ましい。
【0042】
本発明による製品に設定された規準に適応する範囲が大きくなった場合、よりよい結果が得られるのは明らかである。特に、全アミノ酸組成物に対しては明らかであり、アスパレート相当物源を含めることにより、グルコース画分と比較して、消費者は製品からより早く入手することが可能である。
【0043】
タンパク質画分、アミノ酸特性
明細書及び特許請求の範囲を通じて使用されている「タンパク質画分」は、製品における、タンパク質、ペプチド、及びアミノ酸のすべての合計として定義され、タンパク質についてはまた、タンパク質単離物、濃縮物、及び/又は加水分解物として理解される。タンパク質画分は、以下の基準を満たすときに効果的である。
【0044】
アスパルテート相当物とグルタメート相当物の量についての条件に加え、タンパク質画分の消化後に哺乳類の生物に利用可能となるであろう、メチオニン、分枝鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、及びイソロイシン、並びにさらにはリジン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トレオニン、並びにトリプトファンのようなタンパク質画分における必須アミノ酸は同化作用及び体の適切な機能を確実にするための十分な量が提供されるべきである。
【0045】
特に、L−メチオニン、及びL−リジンと、L−ロイシンもまた、その量が重要であることがわかってきた。患者の腫瘍が増殖しているような場合を除き、L−メチオニンの量は、タンパク質画分の好ましくは1.5〜4重量%、及びより好ましくは1.7〜3.3重量%である。タンパク質画分におけるL−メチオニン、及びL−システインの量の合計は、タンパク質画分の、好ましくは、2.7重量%より多く、より好ましくは2.9重量%より多く、及び最も好ましくは3.5〜8重量%である。正味のインスリン抵抗性、及び/又は高血糖症を罹患している患者の腫瘍が増殖もしている場合、タンパク質画分は、L−メチオニンで補われていないことが好ましい。
【0046】
プロピオン酸症を罹患している患者は、食事において、プロピオン酸に異化する、多量のイソロイシン、バリン、メチオニン、及びトレオニンに耐性がない。本発明の製品によって、耐えられる量を増やすことができる。タンパク質画分におけるこれらのアミノ酸の合計量は、それゆえタンパク質画分の、10より多く、好ましくは12〜30、より好ましくは16〜26重量%である。同じ基準は、メチルマロン酸血症を罹患している人々により使用される製品に適用する。
【0047】
L−リジンの量は、タンパク質画分の好ましくは5.5〜15、より好ましくは6.6〜12、及び最も好ましくは7.1〜11重量%である。しかしながら、グルタル酸血症を罹患している人々に投与されるのであれば、リジンの量は、タンパク質画分の7重量%未満、好ましくは5.5〜6.9重量%でなければならない。その場合、トリプトファンのレベルは、タンパク質画分の1.7未満、好ましくは1.3〜1.6重量%でなければならない。
【0048】
投与によるインスリンの多量の放出を防ぐために、タンパク質画分におけるアルギニン、グリシン、及びフェニルアラニンの濃度は比較的低くなくてはならない。
【0049】
アルギニンの量は、タンパク質画分の、好ましくは7.9重量%未満、より好ましくは7.8重量%未満、さらにより好ましくは7.0重量%未満、及び最も好ましくは6.0重量%未満である。製品におけるL−リジンに対するL−アルギニンの比率は、典型的には、0.4:1〜1.43:1、好ましくは0.5:1〜1.40:1であり、特に年少乳児に投与される製品においては、比率は、好ましくは1:1〜1.40:1となろう。L−アルギニンに対するアスパラギン相当物の比率は、最大の効果、及び安定したアミノ酸特性を達成するために、好ましくは1.4より大きく、より好ましくは1.5〜5、最も好ましくは1.6〜3.0である。
【0050】
L−グリシンの量は、タンパク質画分の好ましくは3.5より高く、好ましくは3.6と4.5重量%の間、及びより好ましくは4.2重量%未満である。Asp/Glyの重量比は、好ましくは2.8:1〜100:1の範囲内であり、Asp/Pheの重量比は、2.4:1〜100:1の範囲内である。特に、L−セリンの量は、少なくとも1.5倍、L−グリシンの量を超えなければならない。好ましくは、L−セリン/L−グリシンの比は、2.0:1より大きく、より好ましくは少なくとも2.3:1である。これはL−グリシンと比較して多くのL−セリンを含むタンパク質を加えることで、及び/又は、合成L−セリン、若しくはL−セリンを含むジペプチドを加えることで、達成されることができる。
【0051】
L−フェニルアラニンの量は、タンパク質画分の好ましくは5.6重量%未満、及びより好ましくは5.3重量%未満である。アスパルテーム(aspartame)は、その極端な甘さにより、アスパルテートの不適切な供給源である。
【0052】
本発明による製品のタンパク質画分におけるロイシンの量は、7.7〜13重量%である。イソ吉草酸血症を罹患している人々は、10重量%未満、好ましくは9.0重量%未満のロイシンのレベルが望ましい。年少乳児、早産児のように、発育不全の、及び/又は正常に機能していない代謝機能を有する人々にとって、並びに重篤に肝臓機能が損なわれた人々にとって、ロイシンに対するアスパルテートの重量比は、好ましくは0.85:1〜1.5:1の範囲内、より好ましくは0.88:1〜1.4:1、さらにより好ましくは、0.9:1〜1.1:1、及び最も好ましくは、0.95:1〜1.04:1の範囲内の値である。アスパルテートとロイシンの量を安定して維持するために、ロイシンの一部分をアルファケトイソカプロン酸として含むことが推奨される。この構成要素は、有効性、及び味に関して、アミノ酸、若しくはオルニチン、若しくはベタインのような構成要素に対する優れた対イオンである。
【0053】
代謝障害の治療のための製品の調製物における本発明によるアスパルテート相当物のレベルを満たすタンパク質画分を使用することが特に好ましく、タンパク質画分は、a)7.7〜19重量%のすべての分枝鎖アミノ酸の合計、b)7.7〜9.0重量%のロイシン、及び3.6〜4.5重量%のグリシン、c)16〜26重量%のイソロイシン、メチオニン、バリン、及びトレオニンの合計、並びにd)5.5〜6.9重量%のリジン、及び1.3〜1.6重量%のトリプトファン、のうち1つをさらに含み、数字は、タンパク質画分の重量を基礎としている。
【0054】
L−ヒスチジンの量は、タンパク質の画分の、好ましくは2.3〜4、及びより好ましくは2.5〜3.2重量%である。タンパク質画分におけるアラニンの量は、典型的には、4.8〜8、好ましくは5.1〜7.5、及びより好ましくは5.3〜7.0重量%となろう。
【0055】
グアニジノ基を含む有機分子は、製品に有益に含まれることができる。しかしながら、遊離アルギニン、又はL−アルギニンを含む塩、若しくは小ペプチドのようなその相当物を含まないことが推奨される。その代わりに、少量のグアニジノアセテート、又は3−グアニジノプロピオネートが例えば、一日量2g未満の量で、及び好ましくは一日量0.1〜1gの量で、含まれることができる。液体製品においては、3−グアニジノプロピオネートは、優れた供給源であり、その濃度は、典型的には、0.005〜0.05重量%となろう。それゆえ、トランス−硫化経路のいくつかの酵素に対するクレアチンの潜在的な有害な効果を不防ぐために、クレアチンを含まず、又は、タンパク質画分において、クレアチン/アスパルテート相当物の重量比が0.2:1未満、好ましくはさらに0.1:1未満、より好ましくはさらに0.5:1未満のような、比較的少ない量のみ含むことが好ましい。このことは、製品が、高血圧、勃起不全などの、いくつかの血管障害のような、高血糖症及び/又はインスリン抵抗性のいくつかの二次的な副作用に作用するので重要である。
【0056】
メチオニンの供給源として、合成L−メチオニン、その塩、例えば、アルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、亜鉛との塩、又はクエン酸、若しくはリンゴ酸のような有機酸、又はアスパラギン酸のようなアミノ酸が、使用されることができる。合成L−メチオニンよりも味が良い形態で使用されることが好ましい。適切な形態は、アシル化メチオニン、例えば欧州特許第0758852号、米国特許第1560000号に記述されているようなN−アセチルメチオニン、及び米国特許第5,430,064号に開示されているメチオニン類似体である。少量のメチオニンは、亜鉛メチオニン複合体として適切に加えられる。亜鉛の合計量が一日当たり100mgを超えるのを防ぐために、メチオニン亜鉛の量は、タンパク質画分の1重量%未満でなければならない。
【0057】
実施形態
本発明の一実施形態では、栄養学的又は薬学的調製物は、一番目のアスパルテートに富んだ供給源(aspartate-rich source)のタンパク質画分、例えば、タンパク質、タンパク質濃縮物、単離物、若しくは加水分解物、又は遊離アスパルテート相当物でさえも含み、一番目のアスパルテートに富んだ供給源は、12.0重量%より多く、好ましくは少なくとも12.3重量%のアスパルテート相当物、及び一番目の供給源とは異なるアスパルテートに富んだ二番目の供給源を含む。アスパルテート相当物の二番目の供給源は、好ましくは少なくとも7.8重量%、より好ましくは少なくとも8.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも9.0重量%、より好ましくは少なくとも10.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.5重量%のアスパルテート相当物を含む別のタンパク質でありうる。一番目の供給源としての遊離アスパルテート相当物の選択は、特に、血液において食事からアスパルテートを速やかに吸収することが必要とされている場合において、特に好まれる。一番目のアスパルテートに富んだ供給源として他の好ましい選択は、ラクトアルブミンで強化されたホエーとポテトタンパク質である。
【0058】
調製物は、少なくとも2つのタンパク質を含むことが好ましい。すべてのこれらの栄養学的基準を同時に満たすためには、植物由来のタンパク質と、動物由来の1つのタンパク質とを組み合わせることが最も適当であるように思われる。加えて、このようにして生じたタンパク質源の味は、植物由来のタンパク質のみからなるタンパク質を使用した場合よりもはるかに良い。植物由来のタンパク質と、動物由来のタンパク質の1つを組み合わせたものを使用することは、特に少なくともタンパク質の1つが、部分的に加水分解されているときに、アスパルテート相当物の速やかな利用を可能にする。タンパク質が部分的に加水分解されているときは、特に液体処方の場合に、植物由来のタンパク質が好まれ、一方、動物由来のタンパク質は、タンパク質の溶解度を増加させ、加工の間、特に加熱の間においても安定な液体を得るために、加水分解されないか、わずかしか加水分解されない。加水分解の程度は、ゆえに好ましくは5〜70%、より好ましくは8〜60%、最も好ましくは11〜50%である。植物由来のタンパク質と動物由来のタンパク質との重量比は、好ましくは、4:1と1:4の間、より好ましくは3:1と1:3の間、最も好ましくは2:1と1:2の間である。
【0059】
表1は、本発明によるタンパク質組成物と当業界に知られている個々のタンパク質の間の違いを明確にするいくつかの比較データを提供する。
【0060】
通常の材料のアミノ酸組成(タンパク質画分の重量%)
【0061】
【表1】

# ホエーは、牛乳から脱塩したホエーのバルク
EWP = 卵白タンパク質
乳は、牛乳である
$ アスパルテートレベルは、種のタイプ(例えばSouci, Fachmann and Kraut in Food composition and Nutritional Tables, 6thed, Stutttgart, 2000参照)、及びタンパク質単離方法により異なる
【0062】
表1に開示されている至適なアミノ酸組成が、遺伝的代謝障害を罹患している人々のための製品に適用されたとき、製品に存在する残りのアミノ酸は、その特異的なタイプの患者の特異的な栄養要求に従うことが重要である。例えば、製品が、メープルシロップ尿症を罹患している人々に使用される場合、製品は、少量の分枝鎖アミノ酸を、例えばタンパク質の20重量%未満、例えば、7.7〜19重量%を含まなければならない。
【0063】
いくつかの原料は、本発明によるタンパク質画分において、効果的に使用されることができる。ホエー、大豆、ルピナス、ポテト、肉、肝臓、魚、白豆、ライマメ(lima bean)、レンズマメ(lentil)、キマメ(pigeon pea)や、黄色カナダマメ(yellow Canadian pea)、及びケツルアズキ(black gram)のようないくつかの他のマメ種は、グルタミン相当物に比較して、アスパルテート相当物に比較的富んだタンパク質を比較的高いレベルで含む。すべての哺乳類、特に牛、バッファロー、馬、山羊、羊、及びらくだの乳の特異的なホエー画分は、上記の基準を満たす限り使用されうる。実用的な理由から、及び有益なアミノ酸組成物であるため、牛乳由来のホエー、例えばチーズの製造後に生じるスイートホエーや、酸ホエーは、ほとんどの場合、出発原料として特に適切である。後者は、グリコマクロペプチドが欠如しているため、非常に適当な供給源である。
【0064】
牛乳由来の未加工ホエーは、ベータ−ラクトグロブリン、免疫グロブリン、ラクトフェリン、ウシ血清アルブミン、アルファ−ラクトアルブミン、及び他のいくつかのような多数のタンパク質を含む。これらのタンパク質の合計の20%を超える、及び好ましくは30〜90重量%の間の、及び最も好ましくは33〜70重量%の純粋なアルファ−ラクトアルブミンや、ホエー画分もまた、本発明の目的のために有益に使用されることができる。非常に適当なホエータンパク質は、表2に例示されているように、少なくとも12重量%のアスパルテート相当物の含有量を有し、asp:glu比が少なくとも0.58である、アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエータンパク質である。
【0065】
本発明による製品において使用される牛乳の2つの適当なホエー画分のアミノ酸組成の例
【0066】
【表2】


#a−ホエーは、アルファ−ラクトアルブミンで強化された、牛乳から単離された特異的なホエー画分である。
$LPは、アルファ−ラクトアルブミンで強化された、市販のホエー画分である。
【0067】
ポテトタンパク質は、速やかに利用可能なアスパルテートの非常に適当な形態であり、乾燥製品に含まれているときは、その加水分解が必要でない。しかしながら、液体製品においては、その溶解度を増加させるために加水分解をされなければならない。同様のことは、無脂肪栄養製品における肉製品のように容易に消化されるタンパク質にも適用される。アスパルテート相当物の含有量が、8.5と11重量%の間であり、asp:glu比が0.55と0.9の間である肉、又は肝臓のタンパク質が非常に適当である。
【0068】
本発明による調製物は、肉、乳ホエー、又は肝臓から選択された動物由来のタンパク質と、大豆、ルピナス、エンドウマメ、特にキマメ、豆、特に白豆、ライマメ、レンズマメ、若しくはケツルアズキ、並びにポテト由来の二番目のタンパク質とを含むことが好ましい。タンパク質画分は、大豆加水分解物、若しくは濃縮物、又は乳製品を含むことが特に好ましい。乳製品については、牛、バッファロー、らくだ、馬、山羊、及び羊から単離されたタンパク質のような乳製品を、少なくとも80重量%含むタンパク質画分として理解される。乳の2つの主要なタンパク質構成物質は、ホエー(20重量%)、及びカゼイン(80重量%)である。大豆タンパク質加水分解物、若しくは濃縮物、又は必須アミノ酸特性から外れるような乳製品は、例えば豆タンパク質、ポテトタンパク質、若しくはアルファ−ラクトアルブミンのような少量のアスパルテートに富んだタンパク質を使用して、アスパルテート相当物で強化することができる。そのような二番目のタンパク質の量は、タンパク質画分の、好ましくは70重量%未満、より好ましくは40重量%未満、さらにより好ましくは30重量%未満、及び最も好ましくは20重量%未満である。
【0069】
本発明の要求を満たしているタンパク質画分を含む未加工の材料のいくつかは、血球凝集素(haemaglutinins)、フィチン酸、タンニン、フラボノイド、及びプロテアーゼインヒビター(protease inhibitor)のような非栄養因子に富んでおり、本発明の要求を満たすものである。タンパク質画分におけるこれらの構成要素の量は、非常に低いことが好ましいが、当業界において記述されているように、適当な単離の慣行のみで、又は加熱処理(いわゆるトースティング(toasting))と組み合わせてのいずれかを適用することで達成される。速やかに利用できるアスパルテート源が製品に含まれることを確実にするために、加工されていないタンパク質、又はわずかに加水分解されたタンパク質がアスパルテート相当物として含まれている場合に特に、プロテアーゼインヒビターの量が低いことが重要である。プロテアーゼインヒビターの量は、例えば、残存しているトリプシンインヒビター活性(TIA)として、若しくは当業界に知られた方法を使用し、ボーマンバークインヒビター(Bowman-Birk inhibitors)の濃度として、定量化される。典型的なレベルはタンパク質画分のkg当たり、0.12g未満、好ましくは0.06g未満、より好ましくは0.02g未満、及び最も好ましくは0.007g未満である。特にキモトリプシンのインヒビターのレベルは、タンパク質画分1kg当たり、0.01未満、好ましくは0.004未満である。適切に処理された大豆タンパク質単離物の量は、タンパク質画分1g当たり、1〜6TIAである。
【0070】
記述されているように材料のタンパク質画分のいくつかを混合することにより、完全栄養食のために設定されている本発明による基準を満たすアミノ酸特性を得ることができる。本発明の実施形態では、大豆タンパク質、及び合成アミノ酸、又は特異的なホエータンパク質と、特にアルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエータンパク質と一体となった大豆タンパク質が好まれる。
【0071】
総タンパク質の重要な部分は、味を考慮してインタクトな状態で残されているべきであるが、遊離L−アスパラギン酸、若しくはその塩が製品に含まれていない場合、タンパク質の少なくとも1つが加水分解されていることが好ましい。典型的には、30〜95重量%のタンパク質画分が、好ましくは40〜92、より好ましくは50〜89重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、及び特に少なくとも70重量%のタンパク質画分が、インタクトである。上述のように、例えば、加熱処理及び/又は保存の期間における官能性、及び製品安定性の理由から特に、動物由来のタンパク質よりも植物タンパク質源が、加水分解されることが好ましい。
【0072】
いくつかの実施形態では、大豆タンパク質単離物、又は加水分解物の大きい画分を使用することが好ましい。しかしながら、約10重量%のアスパルテート相当物を提供する、92重量%未満の大豆単離物を、好ましくは90重量%未満の大豆単離物を、及びさらにより好ましくは85重量%未満の大豆タンパク質単離物を使用することが好まれる。タンパク質画分は、速やかに消化される、少なくとも12.0重量%のアスパルテート相当物、若しくは遊離アスパルテート相当物を含む非大豆タンパク質を使用し、その結果アスパルテート相当物が要求されるレベルにまで強化される。
【0073】
本発明の基準を満たすタンパク質の組合せの例は、83重量%の加水分解された大豆タンパク質濃縮物、15重量%の加水分解されたアルファ−ラクトアルブミンで強化したホエータンパク質(Arla社から提供された)、及び0.5重量%のL−メチオニン、及び0.5重量%のL−ヒスチジン、及び1重量%のL−セリンの混合物、或いは、40重量%の大豆、50重量%の肉タンパク質、及び10重量%のポテトタンパク質の混合物、或いは50重量%の加水分解された大豆タンパク質単離物、及び48重量%の牛乳ホエー画分、0.5重量%のN−アセチルメチオニン、0.5重量%のL−ヒスチジン、及び1重量%のセリンの混合物である。
【0074】
乳製品を基礎とした組成物を調製することが好まれる場合、特に高血糖症、インスリン抵抗性、又は子供の肥満、若しくは糖尿病を罹患している、或いは発症する危険性がある幼児の治療においては、乳製品若しくは乳のタンパク質の量は、タンパク質画分の少なくとも50重量%、タンパク質画分の好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、及び最も好ましくは80重量%である。そのような組成物は、本発明による、少なくともasp:gluの基準を満たす組成物を作るために、アスパルテートに富んだ供給源で強化されることができる。
【0075】
多くの構成要素は、消化管における消化の後、アスパルテートの代謝前駆体としての役目を果たすことができるが、これらの構成要素のいくつかが好まれる。いくつかの供給源由来のインタクトなタンパク質は、それらの加水分解物と同様に推奨される。それゆえ、タンパク質画分は、ペプチド、インタクトなタンパク質、及び/又はその加水分解物を含んでいることが好まれる。
【0076】
グルタメート相当物は、アミノ酸の要求を満たすために選択されたタンパク質において豊富に存在する。しかしながら、総タンパク質組成物の前述の要求を満たし、N−アセチルグルタミンの合計量が、グルタメート相当物の量の50重量%を超えないかぎりにおいて、N−アセチルグルタミンを含むことは有用であり、タンパク質画分の重量に対して、グルタメート相当物の量の好ましくは2〜40、及びより好ましくは5〜25重量%の範囲内である。後者の場合、窒素バランスによる、ホメオスタシスの問題を回避することが重要である。しかしながら、このことは、高アンモニア血症の場合においては、重要な役割を果たすものではないので、N−アセチルグルタミンの画分についての制限は、患者が高アンモニア血症と診断されたときには適用しない。
【0077】
タンパク質が全食事において、炭水化物と組み合わせて使用されるとき、好ましくは、提供されるタンパク質の量は、消化可能な炭水化物の量よりも少なくなければならない。完全栄養食として使用されることを意図された製品におけるタンパク質の典型的な量は、10〜30、好ましくは15〜25、及びより好ましくは18〜22エネルギーパーセント、特に約20エネルギーパーセントを含むものであろう。
【0078】
タンパク質画分は、アスパルテート相当物に乏しい供給源であり、本発明の目的のためには、グルタメート相当物を多く含みすぎるので、カゼイン若しくはその加水分解物を含まず、又は少量含むことが好ましいであろう。その量は、40重量%未満、好ましくはタンパク質画分の25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、及び最も好ましくは5重量%未満でなければならない。
【0079】
グルコースのレベルに対して有益な効果を達成するために投与される栄養製品の材料の一日の量を推定するために、本明細書を通じてのタンパク質の重量パーセントは、以下の計算を使用して一日量に換算されることができる。それにより、患者のための総エネルギー供給量を、70kgの体重当たり約2000kcal/日であると仮定した。即ち本発明の典型的な栄養学的組成物は、約20エネルギーパーセントのタンパク質画分を含み、それゆえ一日に患者に投与されるタンパク質画分の合計量は約400kcal、若しくは重量でいえば、約100gのタンパク質画分である。それゆえ、一日量は、一日当たりの100gのタンパク質の摂取を基礎として計算され、例えば12重量%のタンパク質画分という要求されるアスパルテート相当物は、アスパルテートの一日量12gに相当する。必要とあらば、これらの量は、要求量をB/70(Bは体重(キログラム)を表す)で乗ずることで、実際の体重に適用することができる。幼児のための至適な量を計算するには、エネルギー供給を560kcal、及びタンパク質含有量を10エネルギーパーセントと仮定すると、タンパク質摂取量は、56kcal若しくは、14グラムであると導かれ、0.14(1/7)で要求されるアスパルテートの含有量を乗じて得られる。例えば、要求されるアスパルテート含有量12重量%は、一日量12×0.14=1.68gに相当する。必要とあらば、これらの量に、B/2を乗じることで体重に適用できる。2kgは、これらの計算の出発点として用いられる幼児の体重である。
【0080】
炭水化物画分
タンパク質画分は、少なくとも炭水化物画分と組み合わせて使用することが好ましい。食事における炭水化物の画分は、アスパルテート相当物を含むタンパク質画分と比較して、哺乳類の消化管において比較的ゆっくりと消化されなければならない。最良の結果は、血糖インデックス(glycemic index)が70未満、及び好ましくは55未満を示す製品を使用することで得られる。このことは、90未満、好ましくは15と70の間、より好ましくは25と55の間の血糖インデックスを示す炭水化物画分を使用することで、有利に達成される。血糖インデックスは、値を100としたグルコースと比較して、血糖値に対する炭水化物画分の即時の効果を対比するものである。いくつかの炭水化物についての値を含む、血糖インデックスを決定する方法は、当業界において記述がある。
【0081】
消化可能な炭水化物の適当な供給源は、塊茎から、又は大麦、カラスムギ、ポテト、トウモロコシ、小麦、ライ麦、ライ小麦、キビ(millet)、ソルガム、アマランス、米、サトウキビ、砂糖大根、キャッサバ(cassave)、タピオカ、その他のような穀類からの食品グレードの炭水化物抽出物のいずれかである。
【0082】
消化可能な炭水化物画分は、二つのタイプの炭水化物、即ち(i)グルコース、及びグルコースそれ自体を含むグルコースポリマー、グルコースオリゴマー、二糖類として理解されるグルコース相当物、並びに(ii)グルコースとは異なる単糖ユニットを主に含む炭水化物、を含む。後者のカテゴリーは、典型的に、ヒトの消化管で消化することが困難である。しかしながら多くの場合、単糖類それ自体、及びいくつかの二糖類を、吸収し、消化することは比較的容易である。
【0083】
アスパルテート相当物は、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、0.037:1〜2:1、より好ましくは、0.045:1〜1.8:1、さらにより好ましくは、0.050:1〜1.5:1、さらにより好ましくは、0.060:1〜1:1に相当する量で投与されることが好ましい。栄養学的又は薬学的調製物の一又は二以上のポーションにおいて、投与される総グルコースだけでなく、アスパルテートに富んだ調製物の投与の後60分以内に人々が摂取する食事に含まれる相当物もまた、グルコース相当物であると理解される。グルコースに対するアスパルテートの割合を計算する目的のためには、グルカンが吸収、若しくは消化されることが容易であれ、困難であれ、αグルカン、グルコースそれ自体、スクロース、及びラクトースにおいて生じるいずれかのグルコースが含まれる。
【0084】
消化できる炭水化物の供給源は、消化酵素によるアプローチが困難な炭水化物になるように処理されることができる。例としては、難消化性デンプンである。炭水化物は、通常の消化酵素による加水分解が困難なベータ1、6−、若しくはアルファ1、1−グリコシド結合によりお互いに結合しているグルコース部分をも含む。このタイプの炭水化物の例は、当業界において、例えば、国際公開第2004/023891号において、加工デンプン、及びプルランについては、国際公開第03/105605号において、記載されている。高アミロペクチンのような高度に分岐した炭水化物の使用は、75重量%を超えるアミロペクチンを含み、好ましくは、軽度に加水分解されている場合のデンプンのように、消化を遅らせ、適当に含められることができる。適当な供給源は、遺伝子工学的に改変され、またポテト、タピオカ、トウモロコシ、キャッサバ、又はソルガム、小麦、ライ麦、ライ小麦、大麦、カラスムギ、若しくはキビなどの穀物のような植物の選択により得られてきた。処方に部分的に含められる他の供給源は、9より多い単糖ユニットを有するポリマーを多量に含むマルトデキストリンである。わずかに加水分解された、インタクトなデンプンを使用することで、適切なグルコース源が得られる。デンプンの加水分解の間に添加物を使用することにより、消化をさらに遅らせることができ、米国特許第6,720,312号に開示されているように、デンプン粒の膜の構造を、インタクトなまま残すものである。
【0085】
約40〜100重量%の炭水化物画分が、グルコース相当物により形成されなければならない。好ましくは、この量は、45〜90であり、より好ましくは、49〜80であり、及び最も好ましくは、52〜75重量%である。有用なグルコース相当物は、例えば9ユニットを超える鎖長を有するグルコースポリマーであり、例えばDEが2〜31のマルトデキストリン、及びいくつかのグルコースシロップに生じるものである。他の有用なグルコースオリゴマーは、グルコース相当物の1〜60重量%の量において含まれるガラクトース、フルクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、フコース、ラムノース、シアル酸、又はヘキスロン酸のような他の単糖類と一緒にグルコースが生じるものである。年少乳児にとって、フコース、ラムノース、シアル酸、及びヘキスロン酸のうちの1つが含まれる、グルコース相当物を含むことが好ましい。適当な材料は、乳、特にヤギの乳から抽出される。例は、欧州特許第0957692号に示されている。後者の使用者の群にとっては、1〜40重量%のグルコース相当物の量が使用されることが好ましい。
【0086】
80重量%を超えるグルコースを含むグルコース多糖は、乾燥製品において含まれるのに特に有用である。例としては、顆粒若しくはデンプン分子の化学的、又は物理的改変により遅延した消化を示すデンプンのタイプである。本発明の目的のため、難消化性デンプンが、Englyst an Cummings, Adv.Exp.Med.Biol.270,205-225(1990)の方法を適用することにより、決定されうる。難消化性デンプンは、非消化性炭水化物(繊維)画分の重量の10〜80、好ましくは15〜60、より好ましくは20〜40%のレベルで存在することが好ましい。
【0087】
適切なグルコース相当物の他の例は、50重量%を超えるグルコースを含み、3〜9の鎖長を有するオリゴ糖である。これらのオリゴ糖の量は、消化可能な炭水化物の重量の50未満、好ましくは40未満、及び最も好ましくは30%未満でなければならない。純粋なグルコースの量は、浸透価と甘味に貢献するために、少なくなければならない。好ましくは、量は、炭水化物画分の10重量%未満であり、より好ましくは1〜8重量%である。
【0088】
グルコース部分を含む二糖類のカテゴリーの、特にスクロースとラクトースにおいて、甘味と製品の浸透圧への貢献のため、消化できる炭水化物画分の5重量%を超えてスクロースを含むことは好ましくない。後者の特性は、ラクトースにも適用されるという事実にもかかわらず、ラクトースに対する明白な不耐性が存在することがなければ、製品においてラクトースを含むことが好まれる。後者は、また大豆、ルピナス、エンドウマメ、ポテト、その他のような植物から由来するタンパク質を5重量%を超えて有するタンパク質画分を含む栄養製品についても適用できる。
【0089】
グルコース以外の単糖類のカテゴリーもまた、非常に浸透価に、そして甘味にもある程度貢献し、腹部の愁訴を起こすことがあるので、少量ではあるが、製品に含められることができる。単糖類の例は、アラビノース、アラビトール、マンノース、リボース、ガラクトース、ラムノース、キシルロース、キシリトール、及びフルクトースである。セドヘプツロースのような7炭素糖類の量は、単糖類の重量の10未満、及び好ましくは5%未満でなければならない。グルコースと異なる全ての単糖類の合計量は、製品におけるグルコース相当物の量よりも少なくなければならず、好ましくは、グルコース相当物の量の0.8倍未満でなければならない。言い換えれば、これらの量は、それゆえ、消化可能な炭水化物画分の1〜40、好ましくは2〜30、及びより好ましくは3〜20重量%となろう。
【0090】
フルクトースが含まれている場合、比較的制限された量において含まれることが好ましい。フルクトースの量は、血漿中濃度を150未満、及び好ましくは120microM未満に維持するために、消化できる炭水化物の0.1〜20重量%の範囲になければならない。このことは、炭水化物画分の重量に対して、0.2〜15重量%、好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは0.4〜5重量%、及び最も好ましくは0.5〜4重量%のフルクトースを含むことにより達成されるのが好ましい。この方法で2g未満、好ましくは1g未満のフルクトースが食事ごとに摂取される。他方では、同時に2gを超える、好ましくは食事当たり10gを超えるグルコースユニットが摂取される。グルコース/フルクトースの重量比は、2:1より大きく、及び好ましくは5:1〜100:1であり、及び最も好ましくは10:1から50:1である。
【0091】
グルコースとフルクトース以外でも、D−ガラクトースもまた、好ましい単糖である。後者が、含まれているとき、その量は、製品における単糖類の重量の1〜20、及び好ましくは2〜10%でなければならない。
【0092】
消化可能な炭水化物は、消化管において起こるように消化酵素にさらされた後80%を超えて加水分解され、実質的に腸で吸収されるであろう炭水化物として定義される。消化可能な炭水化物の合計量は、総栄養学的組成物の10〜70エネルギーパーセント、好ましくは20〜65、より好ましくは30〜60、及び最も好ましくは、34〜55en%である。
【0093】
一日量の栄養におけるタンパク質の量の換算についての前述の計算を使用して、患者への合計エネルギー供給を約2000kcal/日、体重が70kgで、消化可能な炭水化物を好ましくは40en%と仮定した場合、患者に投与される消化可能な炭水化物の合計量は、約800kcal/日、若しくは一日当たりの消化可能な炭水化物は重量で約200gである。当業者にとって、適当な体重についてこれらの数字を換算することにより特定の患者のための一日量を決定することは容易である。
【0094】
炭水化物の消化はまた、ポリフェノール化合物、又は食物繊維などの消化の速度を減ずる構成要素を一緒に含むことで遅くなりうる。製品において起こるであろうタンパク質との、また消化システムにおいて作用する酵素との、相互作用を防止するために、製品においてはポリフェノールを含まないことが好ましい。特にフラボノイド及びタンニンの量は、市販されている大豆、若しくは他の植物のタンパク質画分において存在するイソフラボンの量は特に、一日量当たり200mg未満、好ましくは100mg未満、及びより好ましくは50mg未満にとどまらなければならない。製品1リットル当たり、濃度は、それゆえ100mg未満であり、好ましくは50未満、及びより好ましくは25mg未満のポリフェノールであろう。これを達成するため、ポリフェノール含有量に富んだ植物原料から単離されたタンパク質画分は、例えばエタノールのような有機溶媒により洗浄されることで、典型的に処理されるであろう。
【0095】
炭水化物画分は、食物繊維を含むことが好ましい。食物繊維は、例えば、キサンタンガム、アラビックガム、コンニャクガム、ジェランガム、タラガム、及びグァーガムのようなガム、ペクチン、イヌリン、アルギン酸、カラーギーナン由来の、アニオン多糖類、又は他のポリ若しくはオリゴ多糖類である。
【0096】
脂質画分
存在する場合、脂質画分は、大部分消化可能であり、グルコース相当物と比較したアスパルテート画分の、消化及び吸収率を損なうことは特にない。
【0097】
脂質画分における脂肪酸は、大部分が18炭素原子又はそれ以上の鎖長を有する、いわゆる長鎖脂肪酸である。特に、50重量%を超える、好ましくは60〜90重量%、及びより好ましくは65〜80重量%の脂肪酸がLC脂肪酸であり、即ち18若しくはそれより長い鎖長を有する。トランス配置を有する不飽和脂肪酸の量は、脂肪酸の合計の0.8重量%未満、好ましくは<0.5重量%、及びより好ましくは、0〜0.3重量%である。中鎖トリグリセリドの量は、脂肪酸の合計の0〜20重量%、及び好ましくは0〜10重量%である。アラキドン酸の量は、比較的少なく、脂肪酸の重量の0〜5%、及び好ましくは0〜3%である。このことは、アラキドン酸に対する亜鉛の重量比を、0.5よりも大きく、及び好ましくは0.8よりも大きくするものであろう。製品における脂肪酸の合計量は、脂質画分の抽出により、及びAOAC法992.25を適用して、脂質画分における脂肪酸の決定をすることにより決定されうる。
【0098】
オレイン酸は、脂質画分における重要な構成物質である。量は、脂肪酸の30〜60重量%の範囲内にある。エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)のようなω−3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA’s)の量は、比較的高い。ω−3LC−PUFA’sの合計量は、脂肪酸の0.5〜20重量%、及び好ましくは1〜15重量%である。EPAとDHAの合計は、脂肪酸の、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは、1〜10重量%である。飽和脂肪酸の量は、好ましくは脂肪酸の合計の重量の10重量%未満であるべきである。
【0099】
脂質画分は、食品局(food authorities)によって推奨されるように、所要一日量の0.8〜1.5倍、好ましくは1〜1.2倍の量の、リノレン酸、及びアルファ−リノレン酸のような必須長鎖脂肪酸を含む。脂質画分におけるω−6LC−PUFA’sの量は、比較的少ない。リノレン酸の量は、全脂肪酸の合計の5〜35、好ましくは、6〜25、より好ましくは7〜20重量%でなければならない。
【0100】
重要な程度まで、リン脂質として、脂肪酸を含むことが好ましい。リン脂質の量は、脂質画分の6〜50、好ましくは7〜30、及び最も好ましくは8〜25重量%である。
【0101】
脂肪酸の重要な供給源は、魚油及びオキアミ抽出物のような水産油脂、ぬか油、並びにオリーブ油、及び高オレイン酸ひまわり油、ピーナッツ油、及び菜種油、又はトリサン80(trisun-80)のような高オレイン酸ひまわり油抽出物のような高オレイン酸植物油を含む。
【0102】
大人及び青年用の完全処方における脂質の合計量は、それゆえ、栄養学的組成物の、30を超え、好ましくは32〜60、及び最も好ましくは35〜45エネルギーパーセントである。製品が幼児、特に早産児に使用されることを意図されている場合、脂質は、処方における総エネルギーの30〜42、好ましくは31〜40、より好ましくは31〜39パーセントを提供する。このことは、特に早産児のように発育不全の代謝システムを有する幼児にとって、及びインスリン抵抗性、又は早期の肥満若しくは糖尿病を発症する危険のある幼児にとって、例えば、親戚にこのような障害を持つ者、若しくは疾患の患者がいることが明らかである場合や、不安定な免疫システムを持つ幼児であることが明らかであるような場合に、特に重要である。幼児についての後者の群の例は、T細胞II型の活性に比べて、T細胞I型の活性が低い幼児である。これは、T細胞I型(ガンマインターフェロンのような)に、及びT細胞II型(インターロイキン4若しくは5のような)に特異的なサイトカインの量を測定し、それらの重量を比較することで決定されうる。(IL4+IL5)に対するガンマインターフェロンの重量比の異常(とても低い)値、例えば1未満を示す幼児は、不安定な免疫システムを有すると定義され、アレルギー、又はアトピー反応をもおこすかもしれない。
【0103】
製品
本発明による製品は多様な形態を持つ。液体、バー(bar)若しくは粉末のような乾燥製品、又はプリン、アイスクリーム、若しくはいくつかの形態のスナックのような中間水分を有する製品でありうる。しかしながら、患者の経管栄養、及び経口摂取(sip feeding)のためには、液体形態を使用することが好ましい。製品は、栄養学的に完全又は補助的処方でありうる。製品は、血液からのグルコースの取込みのために体を調整するためにグルコース相当物を含む食事と同時に又はその前に摂取される薬学的調製物でありうる。アスパルテートに富んだ栄養学的又は薬学的調製物は、食事の前に摂取された場合、調製物は、グルコース相当物を含む食事の前長くても60分、好ましくは長くても45分、より好ましくは長くても30分、さらにより好ましくは長くても15分、及び最も好ましくは長くても10分、特に食事前5分前に摂取されることが好ましい。
【0104】
製品は液体の形態であることが好ましい。高浸透圧の製品は、避けられるべきである。即時に使用できる処方の浸透圧は、典型的には500mOsm/l未満であり、好ましくは250〜400mOsm/lである。製品の浸透圧は、当業界に知られている栄養製品についての標準的な方法を使用して測定されることができる。速やかに利用可能なアスパルテート画分を別として、タンパク質画分におけるアスパルテート相当物の残りの部分は、アスパルテートがインタクトなタンパク質として存在する場合に、幾分かより緩やかに消化されることができる。
【0105】
大人及び青年用の液体の完全処方は、典型的には、70kgの体重がある人にとって、一日当たり2000kcal、ゆえに一日当たり28kcal/kg体重を提供するように策定されている。処方の容量は、それゆえそのエネルギー密度に依存する。製品が、 1ml当たり1.0kcalのエネルギー密度を有しているとき、2lが、所要の一日量を実現するために必要とされる。エネルギー密度が1.25kcal/mlであるとき、約1600mlが一日に必要とされる。
【0106】
典型的には、栄養学的組成物は、少なくとも0.95kcal/ml、好ましくは少なくとも1.0kcal/ml、より好ましくは少なくとも1.1kcal/mlのエネルギー密度を有し、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比は、0.046:1〜2:1、好ましくは少なくとも0.050:1、より好ましくは少なくとも0.060:1である。しかしながら、栄養学的組成物が幼児に投与された場合、組成物は、0.8kcal/ml未満、より好ましくは0.7kcal/ml未満、最も好ましくは、0.6kcal/ml未満のエネルギー密度を有する。組成物の投与により、0.037:1〜2:1、好ましくは少なくとも0.040:1、より好ましくは少なくとも0.045:1、及び最も好ましくは少なくとも0.050:1のグルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、達成される。本明細書では、asp:glucoseの重量比は、組成物の投与の60分後以内の食事において与えられるものと同様、組成物に存在するアスパルテート相当物とグルコースの相当物の量を基礎としており、数字は、それぞれタンパク質と炭水化物の合計重量を基礎としている。
【0107】
幼児用には、一日当たり提供されるエネルギー量は、3kgの体重の幼児について約540kcalであり、一日当たり、約180kcal/kg体重である。このエネルギーの量は、体重の増加に伴い、数ヵ月後の月齢においては、一日当たり約60kcal/kg体重の量に、速やかに減少する。製品が、完全栄養食を支持し、低及び高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を予防する栄養補助食品であり、一日当たりに提供されるエネルギーの量は、100〜800、好ましくは180〜600、及びより好ましくは190〜560kcalの範囲である。製品が、現行の食事と組み合わせた栄養学的又は薬学的組成物として使用される場合、提供されるエネルギー量は、一回当たり10〜200kcal、一回当たり好ましくは15〜160kcal、及びより好ましくは20〜140kcalである。このことは、グルコース相当物を含む食事と同時、又はその前に適用される製品の場合においても適用する。
【0108】
幼児用の処方は、乳児、又は誕生から生後24ヶ月の年齢の幼児の完全栄養食を意図し、一日量当たり推奨される一日摂取量の0.8〜1.2倍の量である公式の提言により、6〜12.5en%のタンパク質画分、38〜50en%の消化できる炭水化物、40〜52en%の脂質の画分、並びに全てのミネラル、微量元素及びビタミンを含み、1ミリリットル当たり55〜76kcalのエネルギー密度を有する。
【0109】
栄養学的組成物は、少なくとも2つの別個のポーションを含み、1つのポーションは、タンパク質に富んだ画分及び、比較的炭水化物と脂肪に乏しい画分を含み、別のポーションは比較的多量のグルコース相当物と、重量を基礎として、一番目のポーションに比べより少ないタンパク質とを含み、2つのポーションは、連続的に投与され、タンパク質に富んだ画分を含むポーションは、炭水化物に富んだ画分の投与の60分より前には投与されない。好ましくは、タンパク質に富んだ画分と炭水化物に富んだ画分の投与の間の時間は、45分未満であり、好ましくは30分未満であり、より好ましくは15分未満であり、さらにより好ましくは10分未満であり、最も好ましくは5分未満であり、タンパク質に富んだ画分を含むポーションが、最初に投与される。2つのポーションは共に、本発明の栄養製品の前述の基準を満たす。
【0110】
連続投与の場合、一番目のポーションにおけるタンパク質のレベルは、エネルギーの観点で消化可能な炭水化物の量よりも典型的に多いことが好ましい。典型的には、タンパク質のレベルは、一番目のポーションにおいて40〜80%であり、一番目のポーションにおける炭水化物画分は、一番目のポーションの合計エネルギー含有量に対して、60en%未満であり、好ましくは50en%未満であり、最も好ましくは40en%未満である。液体処方において、この一番目のポーションは、液体を含む一番目のポーションの合計重量を基礎として、8〜10重量%のタンパク質画分と、5〜15重量%、好ましくは6〜12重量%の量の消化可能な炭水化物とを含むであろう。比較的乾燥状態にある一番目のポーションは、スナック又はバーの形態をとることができる。一番目のポーションの乾燥質量の3〜30重量%の量の食物繊維を含むことが好ましい。
【0111】
二番目のポーションは、グルコース源を含む普通の食品のいずれかでありうる。典型的には、この二番目のポーションは、二番目のポーションのエネルギー含有量に対して、10〜32、好ましくは14〜30、及びより好ましくは18〜22en%のタンパク質を含むであろう。炭水化物は、二番目のポーションの25〜70、好ましくは30〜60、より好ましくは34〜56、最も好ましくは38〜54en%に寄与するものである。脂質の画分は、80〜100%が、典型的に20〜130グラムの脂質の量になる、食事の二番目のポーションから由来するものである。
【0112】
タンパク質、炭水化物、及び脂質の製品のエネルギー含有量への寄与は、タンパク質相当物、若しくは消化可能な炭水化物相当物についてグラム当たり4kcalの係数を用い、またリン脂質を含む脂質について1グラム当たり9kcalの係数を用いて、当業界に知られた方法を使用して計算される。
【0113】
組成物は、1800kcalを超えて提供することが好ましい。一日当たり、大人及び青年にとって、より好ましくは1900〜2500kcal/日、好ましくは約2000kcal/日である。処方が、早産児に投与されるために使用される場合、処方は、225より多く、好ましくは300〜1000kcal/日を提供する。
【0114】
ミネラルその他
本発明による栄養学的組成物は、前述のタンパク質、消化可能な炭水化物、及び脂質画分の他の構成要素を選択的に含む。下記にいくつかの構成要素が好ましい材料、及び量を含めて、言及されている。
【0115】
一実施形態では、タンパク質画分におけるアルギニンのレベルが、比較的低い、例えば、タンパク質画分の4.0重量%未満、及び確実に3.0重量%未満である場合に、製品においてL−オルニチン及び/又はL−シトルリンを含むように助言される。アルギニン、加えてオルニチン及びシトルリンの量は、タンパク質画分の少なくとも3.0、特に少なくとも4.0重量%であることが好ましい。L−オルニチンを、又はL−オルニチン/シトルリンの割合が>1、及び好ましくは>5であるときのその相当物を使用することが好ましい。L型異性体が好ましい。推奨される量は、タンパク質の重量に対して、0.3〜5重量%であり、好ましくは0.5〜4重量%である。L−アルギニンに対するL−オルニチン+L−シトルリンの重量比は、0.07:1〜2:1、及び好ましくは0.12:1〜1.2:1の範囲内にある。インタクトなタンパク質及び/又はその加水分解された形態を含む製品中のL−アルギニンに対するL−オルニチンの量は、それゆえ0.11〜1.1の、及び好ましくは0.2〜0.9の範囲内になるであろう。L−オルニチンは、肉や肝臓のような生の材料から抽出物として含まれることができる。適切な形態としては塩であり、特に、例えばアスパラギン酸塩といったアミノ酸のような有機酸の、或いはリンゴ酸、又はクエン酸、又はα−ケトイソカプロン酸(若しくは2−オキソイソカプロン酸)のような有機酸の塩である。
【0116】
追加的にL−オルニチン及び/又はL−シトルリン、又はそれらの相当物を含めることにより、特にメチオニン相当物で補うことを組み合わせて、特に内因性のポリアミンの生合成の速度を確保する。追加的にオルニチン、又はその相当物が処方に含まれることは、高血糖症又はインスリン抵抗性を罹患している人々において腎臓の機能を支えるものである。これらの効果をさらに増強させるために、製品中に炭酸塩(carbonates)、又は重炭酸塩(bicarbonates)を含むことが重要である。適切な形態は、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、及びカルシウムのような金属塩である。炭酸銅(Cupric carbonate)、炭酸カルシウム、並びにナトリウム、マグネシウム、及びカリウムの重炭酸塩の使用が推奨される。処方のpHは、6.3〜7.1の範囲で、及び好ましくは6.4〜6.8の範囲になければならない。対イオンを含む炭酸塩と重炭酸塩の量は、処方の乾燥質量100g当たり、0.8〜10、好ましくは1.0〜6g、及びより好ましくは1.2〜5gの範囲になければならない。
【0117】
インスリン抵抗性、又は血糖値の増加を患い、腎臓の合併症、若しくは膵臓の機能障害が生じている患者において、ビオチンのレベルは、40と4000μg/100mlの間のレベルに増加させられなければならない。マグネシウムは、本発明による液体製品100mlに4〜20mgの濃度で含まれなければならない。
【0118】
本発明のこの実施形態におけるタンパク質のレベルは、組成物において、10から22の間のエネルギーパーセントでなければならない。
【0119】
本発明による栄養製品は、経口で摂取されるとき、ホルモン活性を本質的に示さない。グルカゴン及びステロイド化合物から選択されたホルモン様の化合物は、それゆえ、製品リットル当たり、10mg未満のグルカゴンの量が存在する。ステロイドのレベルは、典型的には0.1ppm未満であり、好ましくは検出されない。
【0120】
タンパク質画分は、セリン:グリシンの重量比は、2.3:1未満を示している場合に、コリン、ベタイン、ジメチルグリシン、及びサルコシンの群から選択される構成要素は、栄養不良状態、及び炎症を罹患している患者において特に、高血糖症の治療において、又は正味のインスリン抵抗性の間に、効果を支持するために含まれなければならない。これらの化合物の一日量は、0.5gより多く、及び好ましくは0.8gより多くなければならない。本発明による液体製品において濃度は、それゆえ0.025重量%より多く、又は好ましくは0.032〜2、より好ましくは0.04〜0.4重量%、及び最も好ましくは0.06〜0.25重量%である。乾燥製品においては、量は、典型的に0.04〜3重量%となろう。有効性は、C反応性タンパク質(c-reactive protein)、若しくはいくつかのサイトカインの血中濃度のような炎症の循環マーカーの測定を通じて確立される。
【0121】
製品は、広範囲のメイラード反応、例えば、製造中、及び特に滅菌中に、褐変(browning)を起こすことがないようにすることが重要である。このことは、液体製品において、還元糖の次にカルノシンのような構成要素が含むことを防ぐことで達成できる。製品におけるカルノシンと比べたL−リジンの重量比は、それゆえ、典型的に5:1よりも大きく、好ましくは10:1よりも大きい。
【0122】
亜鉛は、高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を罹患している人々にとって、必須ミネラルである。亜鉛の量は、典型的には、1日当たり、14mgを超え、好ましくは18〜40mgを超え、より好ましくは20〜35mgで、及び最も好ましくは22〜30mgである。銅の量は、例えば、銅に対する亜鉛の重量比が7〜16:1であり、及び好ましくは8〜15:1であり、及び最も好ましくは9〜13:1というように、比較的低く維持することが重要である。製品における亜鉛の比較的高い濃度にもかかわらず、L−ヒスチジンに対する亜鉛の重量比は、比較的多量のL−ヒスチジンのため、0.002:1〜0.2:1の範囲であることが好ましい。
【0123】
カルシウムは、100ml当たり、40mgより多く、好ましくは50〜200mg、及びより好ましくは60〜120mgの量で有利に含まれることができる。
【0124】
マグネシウムは、液体製品において、100ml液体製品当たり、20〜60、好ましくは25〜40、及びより好ましくは28〜35mgの量で含まれることができる。マグネシクム三リン酸塩、炭酸塩、及び重炭酸塩が、液体処方における使用のための適当なマグネシウム源である。
【0125】
ナトリウムのレベルは、典型的には、本発明による液体製品100ml当たり、100未満、好ましくは50〜80、及びより好ましくは55〜74である。ナトリウム対カリウムの重量比は、典型的には、0.3〜0.66、好ましくは0.4〜0.64、及びより好ましくは0.45〜0.62となろう。
【0126】
クロム若しくはバナジウムは、本発明による液体製品100ml当たり1〜50μgの量で含まれなければならない。
【0127】
完全食において、ビタミン、ミネラル、及び微量元素のすべては、例えば、食品医薬品局(Food and Drug Administration)により設定された栄養所要量を満たすために十分な量が含まれること、同時に、本明細書において指示されている場合を除いて、長期の、及び頻繁な使用の間に、過剰摂取を防ぐためにこれらの推奨量を超えないことが重要である。
【0128】
本発明による栄養学的組成物において、ビタミンB6を含むことが好ましい。そのレベルは、好ましくは、高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を罹患している人口の大半が、主張されているようにタンパク質組成物に作用するであろうことを確実にするために、推奨される一日量の少なくとも二倍を選択されることが好ましい。
【0129】
合成、若しくは天然の供給源から単離して調製された、ピリドキシン、ピリドキサミン、若しくはピリドキサール、又はこれらの塩、リン酸化、グリコシル化、若しくは他の誘導体は、ビタミンB6の適当な供給源として、及びピリドキシンにおいて特に、使用されることができる。大人の一日量のビタミンB6、又はその供給源としては、3.2〜100、及び好ましくは3.5〜30mg含むことが好まれる。処方におけるビタミンB6の重量は、製品中のアスパルテート相当物、若しくはマグネシウムの重量よりも少ないものとなろう。典型的には、ビタミンB6の量は、製品中のアスパルテート相当物の量の0.01倍よりも少なく、マグネシウムの量の0.1倍よりも少ない。幼児用完全処方のためには、ビタミンB6の量は、100kcal当たり75μgより多く、特に80〜120μg/100kcalであることが好ましい。
【0130】
さらに、比較的高いレベルのパントテン酸、リポ酸、及びビオチンを含むことが推奨される。パントテン酸は、大人一人につき、酸若しくはその塩、又はパンテチン、若しくはパントテノールとして、一日量当たり12〜300、好ましくは14〜100、及び最も好ましくは18〜40mgの量で含まれるべきである。本発明による液体製品100ml当たりの量は、それゆえ0.6〜15、好ましくは0.7〜5、及び最も好ましくは0.9〜2mgである。完全幼児処方のためには、パントテン酸の好ましい量は、480μgより多く、特に500μg〜2.0mgである。リポ酸は、一日当たり、遊離の塩、その塩、若しくはより味の良い誘導体のように当業界で知られる形態で、5〜500、好ましくは10〜300、最も好ましくは20〜200mgの量で含まれることができる。本発明による液体製品100ml当たり、それゆえ、0.25〜25、好ましくは0.5〜15、及び最も好ましくは1〜10mgのリポ酸の量である。ビオチン、若しくはビタミンHは、一日当たり、0.2〜50、好ましくは0.3〜30、及び最も好ましくは0.4〜20mgの量で含まれなければならない。本発明による液体製品100ml当たり10μg〜25mg、好ましくは15μg〜1.5mg、及びより好ましくは20μg〜1mgのビオチンの量である。適当な供給源は、D−ビオチン、又は当業界で知られる生物学的に、若しくは技術的に受け入れられるその塩である。
【0131】
葉酸、その塩若しくはメチル化されたその誘導体は、大人一日当たり300〜3000、好ましくは350〜2000、より好ましくは400〜1500、及び最も好ましくは500〜1200マイクログラムの量で含まれることが好ましい。本発明による液体製品100ml当たり、葉酸の濃度は、それゆえ15、好ましくは17.5〜100、より好ましくは20〜75、及び最も好ましくは25〜60マイクログラムである。幼児用完全処方においては、葉酸の好ましい量は、100kcal当たり18μgより多く、特に100ml当たり19〜40mgである。
【0132】
現時点での栄養製品は、発育不全の代謝システムを罹患している幼児における高血糖症、又はインスリン抵抗性の治療のために投与されることが意図されている場合、リモネンも含むことが好ましい。この化合物は、合成により作られた場合、又は柑橘類のような果物から単離された場合、純粋な(R)−(+)−リモネンとして得ることができる。この単離は水蒸気蒸留により行われることが好ましい。濃度は、製品の乾燥物100g当たり、1〜1000mgの範囲でなければならない。
【0133】
治療
本発明による栄養学的組成物は、必要なときに哺乳類の血糖値を調節し、インスリン感受性を増強するのに適当である。特に、高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を罹患している哺乳類は、グルコース及び/又はインスリンのコントロールに障害を有している。これらの哺乳類は、グルコース及び/又はインスリンのレベルが高すぎ、序論で述べた疾患、特にアテローム性動脈硬化症及び微小血管障害のような循環器疾患、特に一過性脳虚血障害及び脳血管障害等の脳血管障害と、腎臓病、肥満(obesitas)、小児肥満症、視力障害、高血圧、及び組織又は臓器機能の欠失、免疫機能の欠如、特に性欲減退等の生殖器の機能障害、特にトラウマ、手術の後、又はガンのような疾患の重篤な段階における異化作用、感染や四肢の壊疽等の障害、後天性免疫不全症候群、メタボリック症候群、糖尿病、HbAlcの上昇、慢性炎症、慢性閉塞性肺疾患,及び肝臓病からなる群からの二次的な疾患又は障害に関連するものである。
【0134】
製品の効果は、本発明による栄養製品の摂取後の血糖値を測定することで決定されることができる。比較的多量の速やかに利用可能なアスパルテートを含むタンパク質画分の摂取は、グルコース源の摂取後に観察されるように、食後又は術後のグルコースのレベルを減少させるであろう。これは、アスパルテートがグルコース源よりも生物にとってより速やかに利用可能である場合に特にそうである。特に開示されているような炭水化物画分の緩やかな放出システムは、アスパルテートと比較して、食事のグルコースのより緩やかな利用可能性を保証する。この効果を達成する別の方法は、タンパク質、及び消化されやすい炭水化物画分を別々に、連続投与することを通じてであり、タンパク質画分は、炭水化物画分よりも前に投与される。グルコース及びインスリン(t1/2)のクリアランス速度(clearance rate)は、定常状態におけるグルコースとインスリンのレベルに効果と同様、観測されることができる。食事療法の効果は、例えば、高血糖状態が起こる回数と組み合わせた、低血糖状態(血糖値が50mg/100ml未満)の回数から明らかになる。
【0135】
本明細書において特定されたアミノ酸を包含することの効果は、高血糖症若しくはインスリン抵抗性を罹患している人々及び栄養不良の糖尿病患者における除脂肪体重の喪失を測定することで決定されることができる。
【0136】
本明細書において特定されたビタミンを包含することの効果は、高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を罹患している肥満の人々の脂肪分解、インスリン抵抗性、除脂肪体重の割合を測定することで決定されることができる。
【0137】
合併症のリスクは、HbAlc及び/又はC反応性タンパク質の血中濃度の減少を測定することで、観測されることができる。心血管障害のような典型的な合併症の罹患率は一覧にされている。高血糖症及び/又はインスリン抵抗性、及び加えて、腎臓病を罹患している人々においては、血中アンモニア濃度が測定されるべきである。
【0138】
ストレスホルモンの増加した放出により増加したインスリン抵抗性を罹患している人においては、例えばトラウマや重篤な手術を経験した後の血糖値、及び除脂肪体重の変化が、疾病率及び死亡率を含めて測定されるべきである。
【0139】
生物に食事によるタンパク質組成物を適応させるためには、測定の期間を2日又はより長く延ばすことが重要である。その後の効果は、しかしながら患者により即時に、又は長い期間となりうる。
[実施例]
【実施例1】
【0140】
食後高血糖応答及び/又はインスリン抵抗性を罹患している糖尿病患者のための完全液体栄養製品
100ml当たりの液組成物を構成する
エネルギー 1.08kcal/ml
タンパク質 5.5g(=22kcal=20.4en%)
(含有量は以下に示される)
脂質 4.0g(=36kcal=33.3en%)
水産油脂 0.4g
菜種油 1.2
MCT油 0.3
オリーブ油 0.8
亜麻仁油 0.5
リン脂質 0.8
炭水化物 12.5g(=50kcal=46.3en%)
イソマルトースオリゴマー 4g
グルコースオリゴ/ポリマー 6g
ガラクトースオリゴマー 0.5g
マルトース 0.3
ラクトース 1.7g
繊維 1g
加水分解されたグァー由来 0.2g
イヌリン由来 0.7g
ガラクトース由来 0.1g
微量成分
Na 100mg K 150mg
Cl 125mg Ca 80mg
P 72mg Mg 23mg
Fe 1.6mg Zn 3.0mg
Cu 0.25mg Mn 0.33mg
F 0.1μg Mo 15μg
Se 5.7μg Cr 6.7μg
I 13μg
ビタミンA 82μgRE ビタミンD 0.7μg
ビタミンE 1.3μgα−TE ビタミンK 10μg
ビタミンB1 0.2mg ビタミンB2 0.16mg
ナイアシン 1.8mgNE パントテン酸 1.3mg
ビタミンB6 0.6mg 葉酸 40μg
ビオチン 40μg コリン 37mg
ビタミンC 10mg
【0141】
上記液組成物のタンパク質画分は以下のいずれかである。
実施例1a
大豆 5g
L−アスパルテート 0.5g
実施例1b
大豆 4g
アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー(aLW) 1.5g
実施例1c
大豆タンパク質加水分解物 2g
アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー(aLW) 3.5g
実施例1d
加水分解された大豆タンパク質 3.5g
アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー(aLW) 1.9g
L−メチオニン 0.1g
実施例1e
加水分解された大豆タンパク質 2g
ポテトタンパク質加水分解物 3g
L−リジン 0.2g
L−メチオニン 0.2g
L−セリン 0.1g
【実施例2】
【0142】
集中治療室の患者のための完全栄養食
エネルギー密度は、1.25kcal/mlである。
100ml当たりの栄養食を構成する。
タンパク質 7.5g=24en%
カゼイン 3.1g
アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー 3.7g
L−アスパルテート 0.8g
L−オルニチン 0.3g
L−ロイシン 0.2g
L−グルタミン 0.9g
炭水化物 14.5g=46en%
マルトデキストリン 12g
フルクトース 0.3g
ガラクトース 1g
グルコース、及び他の糖類 1.2g
脂質 4.2g=30en%
一価不飽和 2.8g
飽和 0.4g
多価不飽和 1.0g
LC−PUFAにおけるω3/ω6の重量比=1〜10
食物繊維 1.6g
低メトキシル化ペクチン 0.2g
ふすま 0.2g
その他 1.2g
微量成分、1日に摂取する推奨栄養量(RDI)として
Na 134mg ビタミンA
K 263mg ビタミンD
Cl 139mg ビタミンE
Ca 67mg ビタミンK
P 67mg ビタミンB1
Mg 28mg ビタミンB2
Fe 1mg ナイアシン
Zn 1.4mg パントテン酸
Cr 10μg ビタミンB6
F 0.1mg 葉酸
Cu 0.3mg
Se 0.02mg ビオチン
Mo 0.01mg ビタミンC
I 0.02mg
ベタイン 0.4g
アセチル−l−カルニチン 0.02g
myo−イノシトール 0.1g
【実施例3】
【0143】
小児肥満症を予防する幼児用の完全栄養製品
100ml当たりの製品を構成する
タンパク質 1.4g(0.16gのアスパルテート(=11.4重量%)、0.307gのグルタメート、及びasp/gluの重量比0.52を生じる)
アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー 1.12g
加水分解された大豆タンパク質単離物 0.28g
炭水化物 8.9g
ラクトース 5g
マルトデキストリン/グルコースシロップ 3.9g
脂質 3.1g
水産油脂 0.4g
卵レシチン 0.6g
乳脂肪 0.2g
任意に選ばれた油 0.4g
菜種油 0.8g
オリーブ油 0.7g
微量成分
Na 23mg K 66mg
Cl 50mg Ca 45mg
P 23mg Mg 6mg
Fe 0.53mg Zn 0.8mg
Cu 0.09mg Se 1.5μg
I 12μg
ビタミンA 84μgRE ビタミンD 1.4μg
ビタミンE 0.8μgアルファTE ビタミンK 4.9μg
ビタミンB1 0.1mg ビタミンB2 0.1mg
ナイアシン 1.2mgNE パントテン酸 0.8mg
ビタミンB6 0.06mg 葉酸 15μg
ビオチン 3μg ビタミンC 8mg
タウリン 10mg
【実施例4】
【0144】
食事の前に使用される医薬品
10gのバー(bar)の提供
4g すりつぶした肉の乾燥ピューレ
1.7g アルファ−ラクトアルブミンで強化されたホエー
0.3g L−アスパラギン酸
グルコースシロップ、及び製品を凝固させる約1gのガム、及び約0.7gのふすまを含む炭水化物の画分から成る3gのマトリックスと、1gのハーブ、香辛料、ミネラル、及び添加物
【実施例5】
【0145】
食事の前に使用される熱湯で再構成する乾燥スープ
スープは乾燥製品20g当たり、
10g すりつぶした乾燥肉
1g L−アスパラギン酸
0.5g 増粘剤(ガム)
6.5g 乾燥した野菜とハーブ
2g 塩化ナトリウムを含む灰分
を含む。
【実施例6】
【0146】
実施例6a
通常食の前に使用される乾燥製品(例えばバー、ボンボン、又はキャンディ)
砕けやすい製品の形状のスナックは、肉エキス、ポテトタンパク質、卵レシチン、ミネラル、微量元素、ビタミン、及び香辛料を使用して、乾燥物100g当たり、75gのタンパク質、12gの脂質、8gの炭水化物、3gの食物繊維(ふすま)、並びに5gのミネラル、及び微量元素、及びビタミンを提供する。
実施例6b
豆、大豆、魚、ルピナス、肉、肝臓、又はポテト、低メチル化ペクチン、卵レシチン、マルトデキストリン、並びに香辛料、及びミネラルからのタンパク質を使用して製造されたソーセージは、乾燥物100g当たり、60gのタンパク質、20gの脂質、8gの食物繊維、8gの炭水化物、並びに4gのミネラル、微量元素、及び香辛料を含む。
実施例6c
30gのバーは、乾燥物100g当たり、
ポテトタンパク質、ルピナスタンパク質、マルトデキストリン、ふすま、果物、卵レシチン、並びに合成ビタミン、ミネラル、及び微量元素を使用して、35gのタンパク質、40gのタンパク質、5gの食物繊維、10gの脂質、並びに10gのミネラル、微量元素、及びビタミンを、含む。
スナック、ソーセージ、又はバーは、一番目のポーションである。一若しくは二以上の液体、又は乾燥栄養製品でありうる二番目のポーションと組み合わせて、合計15〜22en%のタンパク質、45〜55en%の炭水化物、及び30〜40en%の脂質が投与される。
【実施例7】
【0147】
アスパルテートが豊富なタンパク質画分の血糖値に対する有益な効果
食物の摂取後の血糖値に対するアスパルテートの効果を、8匹のラットの群にアスパルテートが豊富な食餌を投与し、様々な時間に血糖値を測定して調べた。カニューレ(canules)を、食物をコントロールして投与するため胃に、また食物の投与の前後に血液の試料を採取するため心臓に装着した。0時間において、グルコースのみ、又は同量のグルコースと定量のタンパク質画分の注射(bolus dose)がされた。投与量は、体重1キログラム当たり2.5gのタンパク質画分、及び体重1キログラム当たり1gのグルコースであった。ラットの体重は、約300gであった。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1と図2において、血糖応答を、時間ごとにグラフにした。図1は、血糖値がより多くのアスパルテート相当物の投与により、より低いピーク値に達している。血糖濃度の最大値は、2.5gのカゼイン塩(7.8重量%のアスパルテート相当物)、2.5gの大豆(10.8重量%のアスパルテート相当物)、アスパルテート相当物で強化された大豆の順に低くなっている。大豆の加水分解物、及びアルファ−ラクトアルブミンの混合物を含み、さらにメチオニンを添加した栄養学的組成物は、2.5gの大豆(図2参照)により獲得された効果と比較して、血漿からのグルコースの摂取が増強されている。さらに、両方の図とも、アスパルテートで強化された食物は、グルコースを含む食物の摂取後の血糖値の平準化を速く起こすことを示す。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類において、血糖値を調節し、及び/又はインスリン感受性を増強するための栄養学的又は薬学的組成物の製造におけるアスパルテート相当物の使用であって、前記組成物が、少なくとも10.8重量%のアスパルテート相当物を含むタンパク質画分を含み、少なくとも一部分が、少なくとも12.0重量%のアスパルテート相当物を含むアスパルテート源により提供されることを特徴とする、アスパルテート相当物の使用。
【請求項2】
アスパルテート源が、遊離アスパルテート相当物を含み、該遊離アスパルテート相当物がタンパク質画分の0.2〜9重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
アスパルテート源が、タンパク質、又はその加水分解物の単離物、濃縮物であり、タンパク質画分の5〜100重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項4】
タンパク質が、ラクトアルブミンで強化されたホエー、又はポテトタンパク質であることを特徴とする、請求項3記載の使用。
【請求項5】
哺乳類において、血糖値を調節し、及び/又はインスリン感受性を増強するための栄養学的又は薬学的組成物の製造におけるアスパルテート相当物の使用であって、前記組成物が、タンパク質画分の合計重量に対して、12.0〜40重量%のアスパルテート相当物を含むタンパク質画分を含むことを特徴とする、アスパルテート相当物の使用。
【請求項6】
タンパク質画分が、グルタメート相当物をさらに含み、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比(asp:glu)が、0.41:1と5:1の間であることを特徴とする、請求項1〜5いずれか記載の使用。
【請求項7】
asp:gluの重量比が、0.58:1と2:1の間であることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項8】
タンパク質画分が、哺乳類の肉、若しくは肝臓、乳ホエー、及びポテトから選択された動物起源のタンパク質と、大豆、ルピナス、エンドウマメ、及び豆から選択される植物由来のタンパク質とを含むことを特徴とする、請求項1〜7いずれか記載の使用。
【請求項9】
アスパルテート相当物が、グルコース相当物を含む食事と同時に、又は60分前までに投与されることを特徴とする、請求項1〜8いずれか記載の使用。
【請求項10】
栄養学的組成物が、40〜100重量%のグルコース相当物を含む炭水化物画分をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9いずれか記載の使用。
【請求項11】
栄養学的組成物が、少なくとも2つの別個のポーションを含んでいて、一番目のポーションが少なくともタンパク質画分の一部分を含み、前記部分が、少なくとも10.8重量%のアスパルテート相当物を含み、二番目のポーションが少なくとも炭水化物画分の一部分を含み、2つのポーションが連続的に投与され、前記一番目のポーションが、炭水化物を含むポーションと同時に、又は60分前までに投与されることを特徴とする、請求項10記載の使用。
【請求項12】
アスパルテート相当物が、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、0.037:1〜2:1に相当する量で投与され、アスパルテート相当物とグルコース相当物の量が、組成物において存在する量と、組成物若しくはその一番目の部分を投与してから60分以内に投与された、いずれかの食事において存在する量の合計であることを特徴とする、請求項10又は11記載の使用。
【請求項13】
幼児に対する投与については、栄養学的組成物が0.8kcal/ml未満のエネルギー密度を有することを特徴とする、請求項12記載の使用。
【請求項14】
栄養学的組成物が、少なくとも0.95kcal/mlのエネルギー密度を有し、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が0.046:1〜2:1であり、アスパルテート相当物とグルコース相当物の量が、組成物において存在する量と、食事において存在する量の合計であることを特徴とする、請求項12記載の使用。
【請求項15】
高血糖症及び/又はインスリン抵抗性を治療及び/又は予防するための、請求項1〜14いずれか記載の使用。
【請求項16】
哺乳類が、特にアテローム性動脈硬化症及び微小血管障害のような循環器疾患、特に一過性脳虚血障害及び脳血管障害等の脳血管障害、腎臓病、肥満、小児肥満症、視力障害、高血圧、及び組織又は臓器機能の欠失、免疫機能の欠如、特に性欲減退等の生殖器の機能障害、特にトラウマ、手術の後、若しくはガンのような疾患の重篤な段階における異化作用、感染や四肢の壊疽等の障害、後天性免疫不全症候群、糖尿病、HbA1C値の上昇、慢性炎症、慢性閉塞性肺疾患及び肝臓病からなる群から選択される、グルコース不耐性又はインスリン抵抗性から生じる一又は二以上の二次的な疾患又は障害に罹患していることを特徴とする、請求項1〜15いずれか記載の使用。
【請求項17】
アスパルテート相当物の一番目と二番目の供給源を含むタンパク質画分を含み、前記一番目の供給源がタンパク質であり、前記タンパク質画分が、少なくとも10.8重量%のアスパルテート相当物を含み、少なくとも一部分が、少なくとも12.0重量%のアスパルテート相当物を含むアスパルテート源により提供されることを特徴とする、栄養学的又は薬学的組成物。
【請求項18】
アスパルテート源が、タンパク質画分の0.2〜9重量%の量で存在する遊離アスパルテート相当物を含むことを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
アスパルテート源が、タンパク質、又はその加水分解物の単離物、濃縮物であり、タンパク質画分の5〜100重量%の量で存在することを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
タンパク質が、ラクトアルブミンで強化されたホエー、又はポテトタンパク質であることを特徴とする、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
タンパク質画分の合計重量に対し、12.0〜40重量%のアスパルテート相当物を含むタンパク質画分を含む、栄養学的又は薬学的組成物。
【請求項22】
タンパク質画分が、グルタメート相当物をさらに含み、グルタメート相当物に対するアスパルテート相当物の重量比(asp:glu)が0.41:1と5:1の間であることを特徴とする、請求項17〜21いずれか記載の組成物。
【請求項23】
asp:gluの重量比が、0.58:1と2:1の間であることを特徴とする、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
タンパク質画分が、哺乳類の肉、若しくは肝臓、乳ホエー、及びポテトから選択された動物起源のタンパク質と、大豆、ルピナス、エンドウマメ、及び豆から選択される植物由来のタンパク質とを含むことを特徴とする、請求項17〜23いずれか記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、液体形態である請求項17〜24いずれか記載の組成物。
【請求項26】
組成物が、40〜100重量%のグルコース相当物を含む炭水化物画分をさらに含む、請求項17〜25いずれか記載の組成物。
【請求項27】
組成物が、0.8kcal/ml未満のエネルギー密度を有し、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が、0.037:1〜2:1の範囲内であるグルコースの相当物を含む、請求項17〜26いずれか記載の組成物。
【請求項28】
組成物が、少なくとも0.95kcal/mlのエネルギー密度を有し、グルコース相当物に対するアスパルテート相当物の重量比が0.046:1〜2:1であるグルコース相当物を含む、請求項17〜27記載の組成物。

【公表番号】特表2008−506771(P2008−506771A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522447(P2007−522447)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000519
【国際公開番号】WO2006/009437
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505296821)エヌ.ブイ.・ヌートリシア (32)
【Fターム(参考)】