説明

血糖値上昇抑制等組成物、血糖値上昇抑制等食品、および二糖類水解酵素活性阻害組成物

【課題】 保存性が良好で、使用時のハンドリング性が高い、血糖値上昇抑制等組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物は、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて粉末状に構成されたことを特徴としている。また、この血糖値上昇抑制等組成物は、DNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.7±0.1%含まれていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値上昇抑制等組成物、血糖値上昇抑制等食品、および二糖類水解酵素活性阻害組成物に関するものである。詳しくは、桑葉抽出物を用いて構成された血糖値上昇抑制等組成物、血糖値上昇抑制等食品、および二糖類水解酵素活性阻害組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本人の日常生活は、全体として身体活動量が低下する傾向にある一方、食事によるエネルギ摂取量は相対的に過剰傾向を示し、健康に及ぼす影響が懸念されている。また、食生活が豊かになるに従って感染症などの急性疾患は減少したが、慢性疾患である糖尿病、高血圧症、動脈硬化症、がん等のいわゆる生活習慣病の受療率は急激に増加している。
【0003】
上記の通り、慢性疾患の一つである糖尿病患者は増加傾向にあり、我国における糖尿病の実態を把握するために、厚生労働省は、平成14年11月、国民栄養調査と併せて糖尿病実態調査を実施した。その結果、糖尿病が強く疑われる人は740万人で、糖尿病の可能性を否定できない予備軍880万人を合わせると、1620万人が糖尿病のリスクを負っていると推計されている。
【0004】
このような糖尿病患者および糖尿病予備軍(以下「糖尿病患者等」ともいう。)の増加に対しては、その発症予防、特に一次予防の重要性が指摘され、このような糖尿病患者等は、日本人の食生活を含めた生活行動が変わらなければ、今後さらに増加すると予測されている。すなわち、糖尿病の発症は、生活習慣とりわけ食習慣に起因することから、日常の食生活において糖尿病の発症を予防することが重要である。そのためには、糖尿病予防効果を有する食品の開発が望まれる。
【0005】
糖尿病の発症には、血糖値の上昇や耐糖能低下などが共通に認められることから、このような現象を抑制あるいは防止することが不可欠である。しかしながら、食品成分(組成物)の中にこれらを効果的に改善する作用を備えたものは多くない。
【0006】
また、糖尿病患者に対しては、一般に抗糖尿病剤に分類される医薬品が治療に用いられている。
例えば、消化管粘膜に存在する二糖類分解酵素(α−グルコシダーゼ)の作用を阻害し、ブドウ糖の生成を抑制することにより血糖値の上昇を抑制するα−グルコシダーゼ阻害剤が、糖尿病患者の治療に使用されている。また、近年では、インスリン抵抗性改善薬も用いられている。しかしながら、これらの抗糖尿病剤には、作用効果、副作用、安全性等の観点から種々の問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−179587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来から、糖尿病予防効果を有する食品の開発が望まれてはいたが、食品成分中に血糖値の上昇や耐糖能低下などを抑制あるいは防止する作用を備えたものは多くないという問題があった。また、合成系の抗糖尿病剤についても、作用効果、副作用、安全性等の観点から種々の問題があった。
【0009】
また、桑葉含有物質が二糖類水解酵素に対して阻害作用をもっていることはすでに知られていたが、どの二糖類水解酵素に対して強い阻害効果を示すかは明らかにされていなかった。また、桑葉含有物質を水溶液として使用したり、ショ糖に混ぜ合わせたりすることも従来から行われていたが、このような使用方法では、保存性が悪く、使用時のハンドリング性も好ましくなかった。
【0010】
そこで、本発明者は、二糖類水解酵素を阻害する1−デオキシノジリマイシンおよびその誘導体を有する桑葉に着目し、桑葉含有物質がどの二糖類水解酵素に強い阻害効果を示すかを明らかにすると共に、上記従来技術の問題を解決すべく、保存性が良好で、使用時のハンドリング性が高い、血糖値上昇抑制等組成物および二糖類水解酵素活性阻害組成物(本発明)を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、桑葉抽出物を用いて構成された血糖値上昇抑制等組成物(二糖類水解酵素への阻害効果により、血糖値の上昇を抑制し、インスリン分泌刺激を低減させ得る組成物)を提供することを課題とする。また、本発明は、桑葉抽出物を用いて構成された血糖値上昇抑制等食品を提供することを課題とする。さらに、本発明は、桑葉抽出物を用いて構成された二糖類水解酵素活性阻害組成物(二糖類水解酵素活性を阻害する組成物)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物は、上記課題を解決するためになされたものであって、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて粉末状に構成されたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、粉末状であるため、保存が容易であって、食品等に添加する際のハンドリング性も高い血糖値上昇抑制等組成物を得ることができる。また、このような構成にかかる血糖値上昇抑制等組成物は、デキストリンの影響による甘みを有するため、桑葉抽出物の香味等を緩和して、食品(例えば、水羊羹等のデザート)に対して効果的に添加することができる。
【0014】
また、本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物においては、DNJ(1−デオキシノジリマイシン)(二糖類水解酵素への阻害効果により、血糖値の上昇を抑制し、インスリン分泌刺激を低減させ得る組成物たるDNJ)が0.7±0.1%含まれている構成が好ましい。なぜならば、血糖値上昇抑制作用を効果的に発現させるためには、ある範囲内の濃度のものをデザート等へ加える必要があるからである。
【0015】
本発明にかかる血糖値上昇抑制等食品は、上記課題を解決するためになされたものであって、上述したいずれかの血糖値上昇抑制等組成物と糖質との混合比率が以下の関係を有することを特徴としている。
血糖値上昇抑制等組成物:糖質=1:5〜20
【0016】
上記のような混合比率としているのは、血糖値上昇抑制効果を目的に合わせて強く発現させたり、弱く発現させたりするためには、血糖値上昇抑制等組成物と糖質との比率を変える必要があるからである。
【0017】
また、本発明にかかる血糖値上昇抑制等食品は、水羊羹、大福餅、ケーキ、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子のいずれかであることが好ましい。さらに、本発明にかかる血糖値上昇抑制等食品は、清涼飲料、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュースのいずれかであることが好ましい。
【0018】
本発明にかかる二糖類水解酵素活性阻害組成物は、上記課題を解決するためになされたものであって、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて粉末状に構成されたことを特徴としている。また、本発明にかかる二糖類水解酵素活性阻害組成物においては、DNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.7±0.1%含まれている構成が好ましい。
【0019】
本発明にかかる二糖類水解酵素活性阻害組成物は、二糖類水解酵素の阻害効果を有するため、糖尿病、肥満、高脂血症、心臓病といった生活習慣病の予防あるいは治療に寄与する、薬剤や加工食品等を構成することができる。すなわち、この二糖類水解酵素活性阻害組成物は、血糖値上昇抑制等組成物、肥満抑制組成物等になり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、桑葉抽出物を用いて構成された血糖値上昇抑制等組成物(二糖類水解酵素への阻害効果により、血糖値の上昇を抑制し、インスリン分泌刺激を低減させ得る組成物)を得ることができる。また、本発明によれば、桑葉抽出物を用いて構成された血糖値上昇抑制等食品を得ることができる。さらに、本発明によれば、桑葉抽出物を用いて構成された二糖類水解酵素活性阻害組成物(二糖類水解酵素活性を阻害する組成物)を得ることができる。本発明によれば、血糖値の上昇や耐糖能低下などを抑制あるいは防止する組成物(血糖値上昇抑制等組成物、二糖類水解酵素活性阻害組成物)を、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
本実施形態においては、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて血糖値上昇抑制等組成物、および二糖類水解酵素活性阻害組成物を構成し、これらの組成物を用いて血糖値上昇抑制等食品を構成する。すなわち、ハンドリングが容易で利用しやすい「粉末状」に、血糖値上昇抑制等組成物、および二糖類水解酵素活性阻害組成物を構成している。
【0023】
桑葉には、1−デオキシノジリマイシン(以下、「DNJ」という。)をはじめその誘導体がいくつか含まれている。そこで、本実施形態においては、桑葉抽出物をデキストリンに吸着させた粉末状のもの(本発明の「血糖値上昇抑制等組成物」「二糖類水解酵素活性阻害組成物」に相当)(以下、「桑葉抽出物粉末」という。)を構成し、この桑葉抽出物粉末を用いて種々の実験を行った。
【0024】
上述したように、本実施形態にかかる血糖値上昇抑制等組成物等を粉末(桑葉抽出物粉末)としたのは、阻害効果を利用する加工食品への使用を容易にするためである。この桑葉抽出物粉末は、外観は抹茶粉末に類似し、香味はよもぎ臭に類似している。
【0025】
また、本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末100g中には、デキストリン74gを含み、DNJ含量は0.77%である。具体的な桑葉抽出物粉末の組成は、図1に示す通りである。
【0026】
桑葉抽出物粉末の二糖類水解酵素阻害作用を利用した血糖値上昇抑制を目的とした糖質含有加工食品(本発明の「血糖値上昇抑制等食品」に相当)を創製する場合には、糖質と桑葉抽出物粉末との混合比率が非常に重要になると考えられる。そこで、本実施形態においては、桑葉抽出物粉末とショ糖との比率を変えた溶液をラットへ経口投与し、in vitroにおいて観察された阻害効果がin vivoにおいても発現することを実証すると共に、糖尿病予防のためのデザートを創製するレシピ作成を行った。
【0027】
以下、桑葉抽出物粉末を用いた種々の実験について具体的に説明する。
【0028】
<1>ラット小腸粘膜二糖類水解酵素に対する桑葉抽出物粉末の阻害実験
【0029】
小腸粘膜微絨毛膜の調製は、通常固形飼料で飼育したWistar系成体雄ラット(150g〜300g)を用いて行った。ラット小腸粘膜微絨毛膜はKesslerらの方法(Kessler M, Acuto O, Strelli C, Murer H, Muller Mn Smenza G (1978) A modified procedure for the rapid preparation of efficiently transporting vesicles from small intestinal brush border membranes. Biochem Biophys Acta 506 : 136-154)に準じて調製し、二糖類水解酵素活性はグルコースオキシダーゼを用いるDahlqvistらの方法(Dahlqvist A (1964) Method for assay of intestinal disaccharidases. Anal Biochem 7 : 18-25)を一部改変した方法(Oku T, Konishi F, Hosoya N (1982) Mechanism of inhibitory effect of unavailable carbohydrate on intestinal calcium absorption. J Nutr 112 : 410-415)で測定した。また、タンパク質は色素を用いるBradfordの方法(Bradford MM (1976) A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein-dye binding. Anal Biochem 72 : 248-258)に準じて測定した。
【0030】
<2>ラット小腸粘膜二糖類水解酵素に対する桑葉抽出物粉末の阻害効果
上述した<1>の実験結果を以下に示す。
【0031】
(2−1.スクラーゼ活性に対する桑葉抽出物粉末の阻害効果)
図3は、ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末の阻害効果を示したものである。桑葉抽出物粉末0.1gを蒸留水10mLに溶解した水溶液を「桑葉抽出物粉末基準液」とし、これを100倍(グラフL36)、250倍(グラフL35)、500倍(グラフL34)、1000倍(グラフL33)、2000倍(グラフL32)に希釈して、スクラーゼに対する阻害効果を観察した。棒グラフ上の数値は、阻害物質が存在しない場合(グラフL31)のスクラーゼ活性を「0」とした場合の阻害率である。
【0032】
この図3から明らかなように、ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼ活性は147.8μ moles substrate hydrolyzed/mg protein/hr であった(グラフL31参照)。桑葉抽出物粉末が存在しないとき(グラフL31)と比較すると、桑葉抽出物粉末基準液の1000倍希釈液を加えた場合、活性は29%阻害され(グラフL33)、500倍希釈液では40%阻害された(グラフL34)。さらに、100倍希釈にすると、97%が阻害された(グラフL36)。すなわち、小腸粘膜微絨毛膜によるスクロースの消化は、100倍程度希釈した桑葉抽出物粉末基準液を用いるとほぼ完全に阻害されることが明らかとなった。
【0033】
(2−2.マルターゼ活性に対する桑葉抽出物粉末の阻害効果)
図4は、ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末の阻害効果を、スクラーゼの場合(図3参照)と同様に示したものである。具体的には、桑葉抽出物粉末基準液を、100倍(グラフL45)、250倍(グラフL44)、1000倍(グラフL43)、2000倍(グラフL42)に希釈して、マルターゼに対する阻害効果を観察した。棒グラフ上の数値は、阻害物質が存在しない場合(グラフL41)のマルターゼ活性を「0」とした場合の阻害率である。
【0034】
この図4から明らかなように、ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼ活性は995.5μ moles substrate hydrolyzed/mg protein/hr であった(グラフL41参照)。桑葉抽出物粉末が存在しないとき(グラフL41)と比較すると、桑葉抽出物粉末基準液の1000倍希釈液を加えた場合、活性は36%阻害され、250倍希釈液(グラフL44)では50%阻害された。さらに、100倍希釈にすると、62%が阻害された(グラフL45)。すなわち、小腸粘膜微絨毛膜によるマルターゼの消化は、スクラーゼと同様に、桑葉抽出物粉末基準液の濃度に依存して阻害された。
【0035】
(2−3.各基質に対する二糖類水解酵素のKm、Vmaxおよび阻害物質によるKi)
図5は、桑葉抽出物粉末のスクラーゼに対する阻害機序を明らかにするために、桑葉抽出物粉末基準液を500倍(グラフL54)および1000倍(グラフL53)に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。この図5に示すように、スクロース単独の回帰直線(グラフL51)とスクロースに桑葉抽出物粉末を加えた場合の回帰直線(グラフL53,L54)とは、y軸上で収束した。このことは、桑葉抽出物粉末がスクラーゼに対して拮抗的に作用することを示している。スクラーゼに対するKmは39.8mMで、Vmaxは112.4μ moles substrate hydrolyzed/mg protein/hr であった。また、桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物)に含まれるα−グルコシダーゼ阻害物質であるDNJ濃度を用いて算出した場合のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末のKiは1.2×10−4mMであった。
【0036】
図6は、桑葉抽出物粉末のマルトースに対する阻害機序を明らかにするために、桑葉抽出物粉末基準液を500倍(グラフL64)に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。この図6に示すように、マルトース単独の回帰直線(グラフL61)とマルトースに桑葉抽出物粉末を加えた場合の回帰直線(グラフL64)もy軸上で収束したので、桑葉抽出物粉末は、スクラーゼと同様にマルターゼに対して拮抗的に作用することが明らかとなった。マルターゼに対するKmは3.6mMで、Vmaxは294.1μ
moles substrate hydrolyzed/mg protein/hr であった。また、桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物)に含まれるα−グルコシダーゼ阻害物質であるDNJ濃度を用いて算出した場合のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末のKiは2.4×10−4mMであった。
【0037】
図7は、桑葉抽出物粉末のイソマルトースに対する阻害機序を明らかにするために、桑葉抽出物粉末基準液を500倍(グラフL74)に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。この図7に示すように、イソマルトース単独の回帰直線(グラフL71)とイソマルトースに桑葉抽出物粉末を加えた場合の回帰直線(グラフL74)もy軸上で収束したので、桑葉抽出物粉末は、スクラーゼ、マルターゼと同様に、イソマルターゼに対して拮抗的に作用することが明らかとなった。イソマルターゼに対するKmは3.7mMで、Vmaxは33.0μ moles substrate hydrolyzed/mg protein/hr であった。また、桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物)に含まれるα−グルコシダーゼ阻害物質であるDNJ濃度を用いて算出した場合のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末のKiは1.2×10−4mMであった。
【0038】
図8は、スクロース、マルトース、およびイソマルトースに対するスクラーゼ、マルターゼ、ならびにイソマルターゼのKm、Vmax、および阻害物質によるKiをまとめたものである。この図8に示すように、Kmは、マルトースおよびイソマルトースに対して3.6mM、3.7mMと低く、スクロースが39.8mMと約10倍高かった。Vmaxはマルトースに対して最も高く、スクラーゼ活性の約2.6倍、イソマルターゼ活性の約8.9倍であった。また、Kiは、マルターゼに対して2.4×10−4mMで、スクラーゼやイソマルターゼの約半分であった(スクラーゼおよびマルターゼは1.2×10−4mM)。
【0039】
以上の結果から、桑葉抽出物粉末の二糖類水解酵素に対する阻害効果は、マルターゼやイソマルターゼよりもスクラーゼに対して強いことが明らかとなった。つまり、桑葉抽出物粉末は、スクラーゼに対して強い阻害作用を示すことが明らかとなったので、次いで、スクロース溶液に桑葉抽出物粉末を添加したものをラットに経口投与して、血糖上昇に対する阻害効果を確認するための実験を行った。
【0040】
<3>ラットにおけるin vivoでの桑葉抽出物粉末の血糖値上昇抑制およびインスリン分泌抑制効果実験
【0041】
(3−1.実験動物)
Wistar系成体雄ラット16匹を固形飼料を用いて8日間グループ飼育(1ケージ3匹)した。飼料および水は自由摂取とし、室温は22±2℃、湿度は60±5%で、室内の照明は12時間サイクル(明期8:00〜20:00、暗期20:00〜8:00)とした。
【0042】
ラットを糖負荷試験に繰り返し用いる場合は、少なくとも3日間以上の間隔をあけた。この時の体重は150g〜200gであった。さらに、糖負荷試験に用いる場合は12時間以上絶食させ、水のみを与えた。
【0043】
(3−2.試験溶液の調製)
ラットへ桑葉抽出物粉末をスクロースと同時に経口投与して、血糖値上昇抑制効果を観察するために、試験溶液3種類を以下のように調製した。
(1)スクロース0.6g/mL水溶液(桑葉抽出物粉末無添加:コントロール)
(2)(スクロース0.6g+桑葉抽出物粉末40mg)/mL水溶液
(3)(スクロース0.6g+桑葉抽出物粉末100mg)/mL水溶液
【0044】
すなわち、桑葉抽出物粉末(本発明にかかる「血糖値上昇抑制等組成物」に相当)とスクロース(本発明にかかる「糖質」に相当)との比率が、上記「(2)」の場合が1:15であり、上記「(3)」の場合が1:6である。
【0045】
(3−3.実験プロトコール)
試験溶液(スクロース600mg相当)は、胃ゾンデを用いてラットへ投与した。採血は、尾静脈を穿刺してヘマトクリット管へ採取し、試験物質投与前(空腹時血糖、0分値)と、30分、60分、90分、120分、150分、180分の計7回行った。採血後、11000rpm、室温で5分間、ヘマトクリット遠心機を用いて遠心分離し、得られた血漿をグルコースおよびインスリン濃度測定に用いた。
【0046】
(3−4.血漿グルコースおよび血漿インスリンの測定方法)
血漿グルコースは、グルコースオキシダーゼを用いるKunstらの方法(Kunst A,Draegar B,Ziegenhorn J (1984) Colorimetric methods with glucose oxidase and peroxidase. In : Methods of Enzymatic Analysis ( HU Berbmeyer ed),3rd edn, Vol.VI,p178-185 Verlag Chemie,Weinheim,Germany.)に準じて測定した。血漿10μLを小試験管に採取し、GOD試薬(図2参照)1.5mLを加え、37℃で15分間反応させた後、分光光度計を用いて波長505nmにおける吸光度を測定した。
血漿インスリン濃度は、モルモット抗体を使用した測定キットを用い、酵素免疫法で測定した。
【0047】
<4>ラットにおけるin vivoでの桑葉抽出物粉末の血糖値上昇抑制効果
上述した<3>の実験結果を以下に示す。
【0048】
図9は、ラットの血糖値の経時的変化を示したグラフであり、図10は、ラットの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。また、図11は、血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【0049】
血糖値は、桑葉抽出物粉末100mg添加溶液(以下、「100添加溶液」という。)を投与した場合(グラフL93,L103)、60分後にピークに達し、桑葉抽出物粉末無添加溶液(以下、「無添加溶液」という。)を投与した場合(グラフL91,L101)に比べ50%以上低かった。桑葉抽出物粉末40mg添加溶液(以下、「40添加溶液」という。)を投与した場合(グラフL92,L102)の血糖値も60分後にピークに達し、血糖値は100添加溶液を投与した場合に比べてやや高かったが、90分以降もやや高い値を維持した。(図9および図10参照)
【0050】
図9および図10から明らかなように、桑葉抽出物粉末を添加したいずれの場合も、30分および60分後の血糖値は、コントロールである無添加溶液を投与した場合に比べて、有意に低かった。
【0051】
血漿インスリン濃度は、血糖値の変化と異なり、無添加溶液を投与した場合(グラフL111)および40添加溶液を投与した場合(グラフL112)において、投与30分後にピークに達した。100添加溶液を投与した場合(グラフL113)においては、血漿インスリン濃度はほとんど上昇しなかった。40添加溶液を投与した場合、投与30分後に無添加溶液の約50%に達し、90分以降は血糖値に対応して低い血漿インスリン濃度を維持した(図11参照)。
【0052】
図11から明らかなように、40添加溶液および100添加溶液を投与した場合、30分後のインスリン濃度は、無添加溶液を投与した場合に比べて有意に低かった。また、40添加溶液を投与した場合と、100添加溶液を投与した場合とを比較すると、投与30分、150分、および180分後のインスリン濃度は、100添加溶液を投与した場合の方が40添加溶液を投与した場合に比べて有意に低かった。
【0053】
以上の結果から、桑葉抽出物粉末の二糖類水解酵素に対する阻害効果は、経口投与した場合にも濃度依存的に発現し、血糖上昇を抑制することが明らかとなった。すなわち、以上の実験結果から、ラットへ桑葉抽出物粉末溶液をスクロースと共に投与した場合に、血糖上昇抑制効果があることが確認されたため、次いで、スクロース溶液に桑葉抽出物粉末を添加したものをヒトへ摂取させ、血糖上昇に対する抑制効果を観察した。
【0054】
<5>ヒトにおける桑葉抽出物粉末の血糖値上昇抑制およびインスリン分泌抑制ならびに呼気水素ガス排出試験(桑葉抽出物粉末添加スクロース溶液を摂取させた場合の血糖上昇抑制効果等)
【0055】
スクロース摂取による血糖上昇に対する桑葉抽出物粉末の抑制効果を観察するために、試験溶液3種類を以下のように調製した。
(1)スクロース30g/100mL水溶液(桑葉抽出物粉末無添加:コントロール)
(2)(スクロース30g+桑葉抽出物粉末1.2g)/100mL水溶液
(3)(スクロース30g+桑葉抽出物粉末3.0g)/100mL水溶液
【0056】
すなわち、桑葉抽出物粉末(本発明にかかる「血糖値上昇抑制等組成物」に相当)とスクロース(本発明にかかる「糖質」に相当)との量比は、上記「(2)」の場合で1:25であり、上記「(3)」の場合で1:10である。本実施形態においては、これら3種類の試験溶液をヒトへ経口摂取させ、血糖上昇に対する抑制効果を観察した。
【0057】
図12は、ヒトの血糖値の経時的変化を示したグラフであり、図13は、ヒトの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。より具体的には、図12および図13は、桑葉抽出物粉末無添加溶液(以下、「無添加溶液」という。)、桑葉抽出物粉末1.2g添加溶液(以下、「1.2添加溶液」という。)、および桑葉抽出物粉末3.0g添加溶液(以下、「3.0添加溶液」という。)をヒトに摂取させたときの、血糖値およびその変化量の経時的変化を示したグラフである。また、図14は、血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【0058】
3.0添加溶液を摂取した場合(グラフL123,L133)、血糖値の上昇はほぼ完全に抑制され、30分後の血糖値は無添加溶液を摂取した場合(グラフL121,L131)に比べて有意に低かった。1.2添加溶液を摂取した場合(グラフL122,L132)の血糖値は、無添加溶液を摂取した場合と3.0添加溶液を摂取した場合のほぼ中間であったが、投与30分後の血糖値は無添加溶液を摂取した場合と比較すると有意に低かった。1.2添加溶液を摂取した場合と3.0添加溶液を摂取した場合の30分後の血糖値を比較すると、3.0添加溶液を摂取した方が、1.2添加溶液を摂取した場合よりも有意に低かった。(図12および図13参照)
【0059】
上述したように、図14は、上記実験時における血漿インスリン濃度の経時的変化を示したものである。グラフL141は、無添加溶液を摂取した場合を示している。血漿インスリン濃度は、1.2添加溶液を摂取した場合(グラフL142)、および3.0添加溶液を摂取した場合(グラフL143)のいずれの場合も、ごく僅かな上昇を示す程度で、その後はほとんど空腹時レベルを維持した。すなわち、スクロース30g摂取によるインスリン分泌は、桑葉抽出物粉末1.2gまたは桑葉抽出物粉末3.0gの同時摂取によって効果的に抑制された。
【0060】
これらの結果は、スクロースと桑葉抽出物粉末との量比を25:1にして同時にヒトに摂取させた場合、血糖上昇に対する抑制効果を有することを示し、スクロースと桑葉抽出物粉末との量比を10:1にしてヒトに同時に摂取させた場合、より効果的に血糖上昇に対する抑制効果が発揮されることを示している。
【0061】
桑葉抽出物粉末の摂取によってスクロースの消化が阻害されると、スクロースは大腸へ移行して腸内細菌によって発酵分解されることが考えられる。そこで、本実施形態においては、血糖上昇に対する抑制効果を観察すると同時に、呼気を経時的に採取して水素ガス排出動態を観察した。
【0062】
呼気ガス採取は、水溶液摂取時において、連続した6時間に計7回実施した。水溶液摂取前に1回目の呼気を採取し(空腹時呼気ガス濃度、0分値)、その後は水溶液摂取後定められた時間まで、1時間毎に採取した。呼気中の水素ガスおよびメタンガス濃度は、ガスクロマトグラフィ法の手法を用いた呼気水素/メタン分析装置を用いて測定した。
【0063】
無添加溶液を摂取した場合(グラフL151)では、スクロースはほぼ完全に消化・吸収されるので、呼気への水素ガス排出はほとんど観察されなかった。これに対し、1.2添加溶液を摂取した場合(グラフL152)には、呼気水素ガスは摂取4時間後から排出されはじめて5時間後にピークに達し、無添加溶液の場合よりも有意に高かった。3.0添加溶液を摂取した場合(グラフL153)には、呼気水素ガスは摂取2時間後から排出されはじめて3時間後にピークに達し、その後6時間まで高いレベルを維持した。(図15参照)
【0064】
図16は、図15に示された呼気水素ガス排出濃度曲線の6時間までの累積面積を示したものである。グラフL161は無添加溶液を摂取した場合、グラフL162は1.2添加溶液を摂取した場合、およびグラフL163は3.0添加溶液を摂取した場合を示している。この図16から明らかなように、呼気水素ガス排出量は、桑葉抽出物粉末添加量に濃度依存的に増加し、3.0添加溶液を摂取した場合(L163)は1.2添加溶液を摂取した場合(L162)に比べて、呼気水素ガス排出量が有意に増加することが観察された。
【0065】
図12〜図16に示された結果は、ヒトが桑葉抽出物粉末を糖質食品と一緒に摂取すると血糖上昇が抑制され、インスリン分泌が刺激されないことを示唆している。一方、呼気水素ガス排出量の観察結果からは、桑葉抽出物粉末によって消化を免れたショ糖は大腸に到達して腸内細菌によって発酵分解されることが示された。これらの結果は、桑葉抽出物粉末をブレンドした血糖を上昇させない糖質甘味料創製の可能性を示すものである。
【0066】
<6>ヒトにおける桑葉抽出物粉末の血糖値上昇抑制およびインスリン分泌抑制試験(桑葉抽出物粉末添加デザートを摂取させた場合の血糖上昇抑制効果等)
上述したように、桑葉抽出物粉末を添加したスクロース溶液をヒトに摂取させると、血糖値上昇が抑制されることが明らかとなったので、血糖値上昇を抑制する(いわゆる糖尿病予防の)デザートを作成し、その効果を実証した。桑葉抽出物粉末の阻害効果は、糖質、特にショ糖との量比によって異なるので、デザートを作成する際には、有意な血糖値上昇抑制効果が観察された桑葉抽出物粉末:糖質(ショ糖)の重量比が1:10を基準にした。また、桑葉抽出物粉末においては、マルトースよりもスクロースにおいて阻害効果が顕著に観察された。そこで、作成するデザートは、澱粉よりもショ糖を主成分とし、さらに桑葉抽出物粉末の味、匂い、および色等の影響が少ないと考えられるものを検討した。その結果、「あん」を使用した「水羊羹」と「大福餅」を選択した。
【0067】
(6−1.桑葉抽出物粉末添加デザートの作成)
図23は、各デザート(水羊羹、および大福餅)の材料・分量を示したものである。また、図24は、各デザート(水羊羹、および大福餅)の栄養素成分値を示したものである。以下に各デザートの作成手順を示す。
【0068】
(1)水羊羹:一人当たり75g(スクロース30g、桑葉抽出物粉末3gを含有)
(i)まず、あんを作る。具体的には、小豆を一度ゆでこぼし30分煮た後、砂糖を加えて煮つめ、桑葉抽出物粉末を混ぜ込む。(ii)次に、寒天と水とを合わせて火にかけ、沸騰させる。(iii)次に、(ii)に(i)を加え再び火にかけ、煮つめる。(iv)最後に、可溶化したあん75g(スクロース30g相当)を容器に入れ、冷やし固める。
【0069】
(2)大福餅:一人当たり76g(スクロース30g、桑葉抽出物粉末3gを含有)
(i)まず、あんを作る(上記水羊羹と同様の手順)。(ii)次に、皮を作る。具体的には、白玉粉、砂糖、および水をよく攪拌した後、網でろ過する。沈殿しないようにこのろ過液をかき混ぜ、速やかに電子レンジ(500W)にセットして3分間過熱する。(iii)最後に、皮22g(スクロース4.5g相当)に片栗粉少量を振りかけ、あん54g(スクロース25.5g相当)を包み込む。
【0070】
(6−2.試験物質の調製)
桑葉抽出物粉末を添加したデザートを摂取したときの血糖値の変化を観察するために、各デザートの対照として、桑葉抽出物粉末無添加のものを同様に作成した。作成した試験物質は、以下の2種類(水羊羹、大福餅)4品目である。
(1)桑葉抽出物粉末無添加水羊羹
(2)桑葉抽出物粉末添加水羊羹
(3)桑葉抽出物粉末無添加大福餅
(4)桑葉抽出物粉末添加大福餅
【0071】
(6−3.実験プロトコール)
被験者には前日の夕食を20時までに摂取させ、その後は水およびお茶以外の飲食を禁止した。被験者には、予め調製済みの試験物質を定められた実験スケジュールに従って摂取させ、試験物質は10分以内に摂取するように指示した。試験物質摂取後の口腔内違和感を解消するために、水およびお茶など100〜200mL程度の摂取を認めた。
【0072】
採血は、手指先端を穿刺し、ヘマトクリット管を用いて試験物質投与前(空腹時血糖、0分値)と、投与後30、60、90、120、150、180分の計7回行った。採血後、11000rpm、室温で5分間、ヘマトクリット遠心機を用いて遠心分離し、得られた血漿をグルコースおよびインスリン濃度測定に用いた。
【0073】
血漿グルコースは、先に説明した場合と同様に、グルコースオキシダーゼを用いるKunstらの方法(Kunst A,Draegar B,Ziegenhorn J (1984) Colorimetric methods with glucose oxidase and peroxidase. In : Methods of Enzymatic Analysis ( HU Berbmeyer ed),3rd edn, Vol.VI,p178-185 Verlag Chemie,Weinheim,Germany.)に準じて測定した。血漿インスリン濃度も先に説明した場合と同様に、モルモット抗体を使用した測定キットを用い、酵素免疫法で測定した。
【0074】
(6−4.桑葉抽出物粉末添加デザートを摂取させた場合の血糖値上昇抑制効果)
上述した実験結果を以下に示す。
【0075】
図17は、水羊羹(75g)を摂取したときの血糖値の経時的変化を示したグラフである。また、図18は、水羊羹(75g)を摂取したときの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。さらに、図19は、水羊羹(75g)を摂取したときの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【0076】
これらの図から明らかなように、桑葉抽出物粉末無添加の水羊羹(グラフL171,L181)では、血糖値は水羊羹摂取30分後にピーク(145mg/100mL)に達し、90分後には空腹時レベルに戻った。これに対し、桑葉抽出物粉末添加の水羊羹(グラフL172,L182)を摂取した場合には、血糖値はごく僅かした上昇せず低い濃度を維持した(106mg/100mL)。また、血漿インスリン濃度も血糖値と類似したパターンを示し、桑葉抽出物粉末を添加した場合(グラフL192)には、血漿インスリン濃度は全く上昇しなかった(図19参照)。
以上の結果から、水羊羹の場合には、桑葉抽出物粉末を添加することによって、血糖値の上昇はほぼ完全に抑制されることが明らかとなった。
【0077】
図20は、大福餅(76g)を摂取したときの血糖値の経時的変化を示したグラフである。また、図21は、大福餅(76g)を摂取したときの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。さらに、図22は、大福餅(76g)を摂取したときの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【0078】
これらの図から明らかなように、桑葉抽出物粉末を添加した大福餅を摂取した場合(グラフL202,L212)、血糖値は摂取30分後に僅かに上昇し(桑葉抽出物粉末無添加(グラフL201,L211)135mg/100mLに対して110mg/100mL)、そのレベルを2時間半後まで維持した。また、血漿インスリン濃度は、桑葉抽出物粉末を添加することによって(グラフL222)、ほとんど上昇しなかった(図22参照)。
以上の結果から、大福餅の場合には、桑葉抽出物粉末添加による血糖値上昇抑制効果は水羊羹に比べて弱かったが、インスリン分泌は水羊羹の場合と同様にほぼ完全に抑制されることが明らかとなった。
【0079】
(6−5.桑葉抽出物粉末添加デザートの官能検査)
上述した水羊羹および大福餅について、5点評価法を用いた官能検査を実施し、消費者に受け入れられるか否かを検討した。
【0080】
桑葉抽出物粉末は、黄緑色で桑葉特有の香味を感じさせるため、水羊羹1人分としてこの桑葉抽出物粉末を3g添加すると、無添加のものがあずき色であるのに対して、添加したものは濃緑色を呈した。しかしながら、外観の色によって摂食を拒否する者はいなかった。また、香味は桑葉抽出物粉末添加によって草餅のような風味を示し、不快感を示す者はなかった。大福餅は、外側を薄皮で包むために、色調は桑葉抽出物粉末添加と無添加との間にほとんど差異を感じさせなかった。口に入れて咀嚼すると、水羊羹と同様に、僅かに草餅のような香味を感じさせた。
【0081】
桑葉抽出物粉末を添加した水羊羹および大福餅の外観、つや、舌ざわり、歯ごたえ、色彩等は、桑葉抽出物粉末無添加のそれらと遜色なく、多くの被験者に好意的に受け入れられた。
【0082】
以上のことから、桑葉抽出物粉末による血糖値上昇抑制効果を利用した糖尿病等の予防を目的としたデザートは嗜好の面からも受け入れられることが実証され、桑葉抽出物粉末を用いることによって、比較的容易に血糖値上昇抑制を目的とした加工食品の開発が可能となる。
【0083】
<まとめ>
本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)によれば、ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対して最も強い阻害を示し、次がマルターゼおよびイソマルターゼに対する阻害で、いずれも拮抗阻害であることが確認された。
【0084】
また、ラットにおける桑葉抽出物粉末添加スクロース溶液投与時の血糖値上昇は、桑葉抽出物粉末無添加溶液を投与した場合に比べて有意に低いという結果から、桑葉抽出物粉末による抑制効果が確認された。血漿インスリン濃度も桑葉抽出物粉末添加によって有意に低下した。すなわち、桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)の二糖類水解酵素に対する阻害効果はin vivoにおいても発現することが確認された。
【0085】
また、ヒトへ桑葉抽出物粉末1.2gを添加したスクロース溶液、あるいは桑葉抽出物粉末3.0gを添加したスクロース溶液を摂取させた場合、血糖値上昇は桑葉抽出物粉末無添加スクロース溶液を摂取した場合に比べて有意に抑制され、その抑制効果は濃度依存的であった。血漿インスリン濃度も桑葉抽出物粉末添加によって有意に低下した。呼気水素ガス排出量は桑葉抽出物粉末1.2g添加および3.0g添加スクロース溶液摂取で有意に増加した。すなわち、桑葉抽出物粉末によって消化を免れたスクロースはプレバイオティクス効果を発現することが示唆された。
【0086】
さらに、桑葉抽出物粉末添加デザートである水羊羹および大福餅を摂取することによって、血糖値上昇およびインスリン分泌は、いずれのデザートに関しても有意に抑制された。特に、澱粉が少なくショ糖を主成分とした水羊羹において、抑制効果はより顕著であった。また、特にデータは示さなかったが、桑葉抽出物粉末添加デザートを摂取した場合においても、1.2添加溶液や3.0添加溶液を摂取した場合(図15等参照)と同様に、呼気水素ガス排出量は有意に増加した。
【0087】
以上の結果、本実施形態にかかる血糖値上昇抑制等組成物(桑葉抽出物粉末)を用いて構成された加工食品(血糖値上昇抑制等食品)は、血糖コントロールを必要とする糖尿病患者やその他の生活習慣病予防へ向けて血糖値上昇抑制効果を発揮し、さらには腸内細菌改善効果によって健康の維持・増進を図る有効な機能性を備えた食品になると考えられる。
【0088】
本実施形態にかかる血糖値上昇抑制等組成物(二糖類水解酵素活性阻害組成物)によれば、二糖類水解酵素の阻害効果を有することにより、糖尿病、肥満、高脂血症、心臓病といった生活習慣病の予防あるいは治療に寄与する、薬剤や加工食品等を構成することができる。
【0089】
本実施形態にかかる血糖値上昇抑制等組成物は、上記の通り、二糖類水解酵素の阻害効果を有することによって、糖尿病、肥満、高脂血症、心臓病といった生活習慣病の予防あるいは治療に寄与する。したがって、薬剤として利用可能なのは勿論のこと、ショ糖を甘味料として添加する食品(クッキーや菓子類等)等の作成段階で、桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)を適当量(ショ糖使用量によって添加すべき量は変化する)添加することによって、糖尿病等を予防可能な食品(血糖値上昇抑制等食品)を構成することができる。効率よく効果(血糖値上昇抑制等の効果)を引き出すためには、桑葉抽出物粉末と糖質との比率がポイントとなる。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0091】
上記実施形態においては、桑葉抽出物粉末:糖質(ショ糖)の重量比が1:10を基準にしてデザート(血糖値上昇抑制等食品)を作る場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、本発明にかかる桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)を用いて作るデザート(血糖値上昇抑制等食品)中の桑葉抽出物粉末と糖質との重量比は、以下の関係を有すればよい。
血糖値上昇抑制等組成物:糖質=1:5〜20
【0092】
また、上記実施形態においては、桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)中にDNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.77%含まれる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、桑葉抽出物粉末(血糖値上昇抑制等組成物)中に含まれるDNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.7±0.1%の範囲内であってもよい。
【0093】
さらに、上記実施形態においては、デザート(血糖値上昇抑制等食品)として水羊羹と大福餅とを作る場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、本発明にかかるデザート(血糖値上昇抑制等食品)は、ケーキ(シフォンケーキ等の各種ケーキ)、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子等のいずれかであってもよい。また、飲料物たる血糖値上昇抑制等食品としては、清涼飲料、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュース等のいずれかであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物(二糖類水解酵素活性阻害組成物)は、二糖類水解酵素活性を阻害するので、糖質含有食品と一緒に摂取すれば、血糖上昇抑制とインスリン分泌抑制が起こり、糖尿病予防あるいは症状の改善の抑制効果(高血糖の抑制等の効果)が期待できる。
【0095】
糖尿病患者および糖尿病予備軍は、甘いデザート等を好んで食べるが、食事療法ではこれらの食品の摂取が制限される。高血糖の人々のQOL(生活品質)を高めるためには、血糖を上昇させないデザートや菓子類等の開発が必要である。本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物を用いれば、血糖値を上昇させない甘みをもったデザートをはじめとする加工食品の開発が可能となり、糖尿病患者の食事療法にも貢献することができる。
【0096】
また、本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物によれば、糖質の消化吸収阻害によってエネルギ摂取が制限されるので、肥満防止にも役立つ。肥満が生活習慣病のリスクファクタであることを考えると、血糖値を上昇させない加工食品の開発は、生活習慣病予防にも寄与することが期待でき、今後の高齢化社会における医療費削減に寄与するものと考えられる。
【0097】
現在、特殊な機能を強調した様々な加工食品が開発され、保健機能食品として市販されているが、本発明にかかる血糖値上昇抑制等組成物等を用いれば、副作用等がなく安全性が高い、糖尿病予防食品等の保健機能食品を開発可能であるため、その需要は高まるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末の組成を示したものである
【図2】使用したGOD試薬の組成を示したものである。
【図3】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末のラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する阻害効果を示したものである。
【図4】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末のラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する阻害効果を示したものである。
【図5】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末のスクラーゼに対する阻害機序を示すグラフであって、桑葉抽出物粉末基準液を500倍および1000倍に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。
【図6】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末のマルトースに対する阻害機序を示すグラフであって、桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。
【図7】本実施形態にかかる桑葉抽出物粉末のイソマルトースに対する阻害機序を示すグラフであって、桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したものを用いた場合のLineweaver−Burkプロットを示したものである。
【図8】スクロース、マルトース、およびイソマルトースに対するスクラーゼ、マルターゼ、ならびにイソマルターゼのKm、Vmax、および阻害物質によるKiをまとめたものである。
【図9】ラットの血糖値の経時的変化を示したグラフである。
【図10】ラットの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。
【図11】ラットの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【図12】ヒトの血糖値の経時的変化を示したグラフである。
【図13】ヒトの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。
【図14】ヒトの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【図15】ヒトの呼気水素ガス排出濃度の経時敵変化を示したグラフである。
【図16】図15に示された呼気水素ガス排出濃度曲線の6時間までの累積面積を示したものである。
【図17】水羊羹を摂取したときの血糖値の経時的変化を示したグラフである。
【図18】水羊羹を摂取したときの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。
【図19】水羊羹を摂取したときの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【図20】大福餅を摂取したときの血糖値の経時的変化を示したグラフである。
【図21】大福餅を摂取したときの血糖値変化量の経時的変化を示したグラフである。
【図22】大福餅を摂取したときの血漿インスリン濃度の経時的変化を示したグラフである。
【図23】デザート(水羊羹、および大福餅)の材料・分量を示したものである。
【図24】デザート(水羊羹、および大福餅)の栄養素成分値を示したものである。
【符号の説明】
【0099】
L31…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼ活性を示す棒グラフ
L32…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を2000倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L33…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を1000倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L34…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L35…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を250倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L36…ラット小腸粘膜微絨毛膜のスクラーゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を100倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L41…ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼ活性を示す棒グラフ
L42…ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を2000倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L43…ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を1000倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L44…ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を250倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L45…ラット小腸粘膜微絨毛膜のマルターゼに対する桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を100倍に希釈したもの)の阻害効果を示す棒グラフ
L51…スクロース単独の回帰直線
L53…スクロースに桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を1000倍に希釈したもの)を加えた場合の回帰直線
L54…スクロースに桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したもの)を加えた場合の回帰直線
L61…マルトース単独の回帰直線
L64…マルトースに桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したもの)を加えた場合の回帰直線
L71…イソマルトース単独の回帰直線
L74…イソマルトースに桑葉抽出物粉末(桑葉抽出物粉末基準液を500倍に希釈したもの)を加えた場合の回帰直線
L91…無添加溶液を投与した場合のラットの血糖値を示すグラフ
L92…40添加溶液を投与した場合のラットの血糖値を示すグラフ
L93…100添加溶液を投与した場合のラットの血糖値を示すグラフ
L101…無添加溶液を投与した場合のラットの血糖値変化量を示すグラフ
L102…40添加溶液を投与した場合のラットの血糖値変化量を示すグラフ
L103…100添加溶液を投与した場合のラットの血糖値変化量を示すグラフ
L111…無添加溶液を投与した場合のラットの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L112…40添加溶液を投与した場合のラットの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L113…100添加溶液を投与した場合のラットの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L121…無添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値を示すグラフ
L122…1.2添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値を示すグラフ
L123…3.0添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値を示すグラフ
L131…無添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値変化量を示すグラフ
L132…1.2添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値変化量を示すグラフ
L133…3.0添加溶液を摂取した場合のヒトの血糖値変化量を示すグラフ
L141…無添加溶液を摂取した場合のヒトの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L142…1.2添加溶液を摂取した場合のヒトの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L143…3.0添加溶液を摂取した場合のヒトの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L151…無添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出量を示すグラフ
L152…1.2添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出量を示すグラフ
L153…3.0添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出量を示すグラフ
L161…無添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出濃度曲線の累積面積を示す棒グラフ
L162…1.2添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出濃度曲線の累積面積を示す棒グラフ
L163…3.0添加溶液を摂取した場合の水素ガス排出濃度曲線の累積面積を示す棒グラフ
L171…水羊羹(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血糖値を示すグラフ
L172…水羊羹(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血糖値を示すグラフ
L181…水羊羹(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血糖値変化量を示すグラフ
L182…水羊羹(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血糖値変化量を示すグラフ
L191…水羊羹(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L192…水羊羹(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L201…大福餅(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血糖値を示すグラフ
L202…大福餅(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血糖値を示すグラフ
L211…大福餅(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血糖値変化量を示すグラフ
L212…大福餅(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血糖値変化量を示すグラフ
L221…大福餅(桑葉抽出物粉末無添加)を摂取したときの血漿インスリン濃度を示すグラフ
L222…大福餅(桑葉抽出物粉末添加)を摂取したときの血漿インスリン濃度を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて粉末状に構成されたことを特徴とする血糖値上昇抑制等組成物。
【請求項2】
DNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.7±0.1%含まれている請求項1に記載の血糖値上昇抑制等組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載された血糖値上昇抑制等組成物と糖質との混合比率が以下の関係を有することを特徴とする血糖値上昇抑制等食品。
血糖値上昇抑制等組成物:糖質=1:5〜20
【請求項4】
水羊羹、大福餅、ケーキ、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子のいずれかである請求項3に記載の血糖値上昇抑制等食品。
【請求項5】
清涼飲料、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュースのいずれかである請求項3に記載の血糖値上昇抑制等食品。
【請求項6】
桑葉抽出物をデキストリンに吸着させて粉末状に構成されたことを特徴とする二糖類水解酵素活性阻害組成物。
【請求項7】
DNJ(1−デオキシノジリマイシン)が0.7±0.1%含まれている請求項6に記載の二糖類水解酵素活性阻害組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−273797(P2006−273797A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98915(P2005−98915)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年10月15日 日本食物繊維学会第9回学術集会発行の「日本食物繊維学会 第9回学術集会講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年10月21日 特定非営利活動法人日本栄養改善学会発行の「栄養学雑誌第62巻5号特別付録 第51回 日本栄養改善学会学術総会講演集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年2月4日 県立長崎シーボルト大学大学院人間科学研究科発行の「平成16年度 修士論文抄録集」に発表
【出願人】(505225197)長崎県公立大学法人 (31)
【Fターム(参考)】