説明

血糖値低下効果を有する柿果実粉末組成物

【課題】、新規な血糖値低下効果を有する柿由来の組成物を提供すること。
【解決手段】柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる柿果実粉末組成物は血糖値低下効果を有することを見出したことを基にして、本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値低下効果を有する柿果実粉末組成物に関する。より詳しくは、柿、特に未成熟柿果実を原料として、乾燥、水可溶性成分を除去し、粉末化する工程より得られる血糖値低下効果を有する柿果実粉末組成物、並びに該柿果実粉末組成物を含有する機能食品、糖尿病治療剤又は血糖値低下治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人は欧米人と比較してインスリン分泌量が半分程度であり、肥満を伴わなくても糖尿病になりやすい性質を有している。平成19年度の国民健康・栄養調査によると糖尿病患者は予備軍を含めると2210万人と推定されており、その医療費は平成9年度に1兆円を超え、平成12年度以降は1兆1千億円を超えた状態が続いている(厚生労働省統計より)。
糖尿病患者の増加は国民の健康に関する観点だけでなく国民医療費の観点からも問題となっている。
しかしながら糖尿病は自覚症状がほとんどないため、症状が現れた時点では白内障や糖尿病性腎症など手遅れとなることが多く、日頃の食事の管理や定期的な運動など予防が重要視されている。
糖尿病の予防手段として、積極的な機能性食品の活用は有効であり、食後血糖値の上昇を緩やかにする難消化性多糖類(参照:特許文献1、2)及び糖分解酵素阻害剤が報告されている。
【0003】
これまで開発された糖尿病予防効果を有する機能性食品は、動物実験やヒト介入試験で効果が示されているものの、単回投与試験による血糖値上昇抑制や数週間程度での試験における有効性を示すものが多く、医学的観点からは有効性に疑問が生じる商品が少なくない。
【0004】
一方、最近の柿の研究により、柿由来の組成物が骨粗鬆予防効果、アディポネクチン産出促進効果、コレステロール低下効果等が報告されている(参照:特許文献3〜6)。
【0005】
柿由来の組成物に関する報告の詳細は、以下の通りである。
特許文献3は、「柿果実の画分、それを含む胆汁酸吸着剤、LDL-コレステロール低下剤、及び栄養補助食品、柿果実加工品の製造方法、胆汁酸吸着方法、並びにLDL-コレステロール低下方法」を開示している。
特許文献4は、「柿果皮由来の骨粗鬆症予防組成物」を開示している。
特許文献5は、「安全で且つ経済的で、摂取しやすいアディポネクチン産生促進剤」を開示している。
特許文献6は、「成熟2週間前までの間に摘果された未成熟柿果実を乾燥後、粉砕した未成熟柿果実粉末組成物の製造方法、及び該未成熟柿果実粉末組成物を含有する脂質代謝改善剤、または胆汁酸の排泄促進剤」を開示している。
【0006】
上記いずれの文献は、「血糖値低下効果」について開示又は示唆がない。
【0007】
また、一般的な柿栽培では、1本の樹木に多くの柿を実らせると、果実が小玉化して商品価値が下がることから、成熟果実を大玉化して商品価値を上げるために、柿の成長過程における各段階において、「摘蕾」や「摘果」作業が行われている。
該摘果作業等で取り除かれた大量の未成熟果実は、特に他の用途もなく、廃棄処分されていたので、これらを有効利用することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−255402
【特許文献2】特開2009−254265
【特許文献3】特開2010−195738
【特許文献4】特開2009−191002
【特許文献5】特開2010−83838
【特許文献6】特開2008−63332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解決することを解決すべき課題とした。より詳しくは、新規な血糖値低下効果を有する柿由来の組成物を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、「柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる柿果実粉末組成物は血糖値低下効果を有すること」を見出したことを基にして、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
「1.柿果実から得られた水不溶の縮合型タンニンを有効成分とする血糖値低下効果を有する組成物。
2.柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる柿果実粉末由来の前項1の組成物。
3.前記組成物の糖質が1.0〜15.0重量%及び食物繊維が55.0〜95.0重量%であることを特徴とする前項1又は2の組成物。
4.柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる血糖値低下効果を有する柿果実粉末組成物であって、該粉末組成物の糖質が1.0〜15.0重量%及び食物繊維が55.0〜95.0重量%であることを特徴とする前項2又は3の組成物。
5.前記組成物の割合が以下である前項1〜4のいずれか1に記載の組成物:
(1)食物繊維が80.0〜93.0重量%であり、ここで、該食物繊維中の縮合型タンニンが5.0〜40.0重量%である;
(2)水分が1.0〜13.0重量%である;
(3)タンパク質が2.0〜6.0重量%である;
(4)脂質が0.1〜3.0重量%である;
(5)灰分が0.1〜3.0重量%である;
(6)糖質が1.0〜15.0重量%である。
6.前記組成物が糖尿病治療、予防又は改善用組成物である、前項1〜5のいずれか1に記載の組成物。
7.前項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする血糖値低下治療剤。
8.前項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする糖尿病治療剤。
9.前項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする機能性食品。」
【発明の効果】
【0012】
本発明の未成熟柿果実粉末組成物は、優れた血糖値低下効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マウスの血糖値の測定結果(試験期間中の血糖値)
【図2】マウスの血糖値の測定結果(血糖値の変化)
【図3】ヒトでのHbA1cの測定結果
【発明を実施するための形態】
【0014】
(柿果実粉末組成物の製造方法)
本発明の柿果実粉末組成物の製造方法の概要は、以下の通りである。しかしながら、下記で記載する成分割合の柿果実粉末組成物を製造できるのであれば製造方法は特に限定されない。
(1)柿果実を乾燥する工程
(2)一部又は全部の水可溶性成分を上記(1)の乾燥柿果実から除去する工程
(3)上記(2)の一部又は全部の水可溶性成分が除去された乾燥柿果実を粉末化する工 程
さらに、好ましくは、上記(1)の乾燥工程前に、スライス又は短冊状に細断する工程、及び/又は上記(3)の粉末化する工程前に、乾燥工程を含む。
【0015】
(柿果実)
柿果実は、未成熟果でもよく、成熟果でもよいが、タンニン含有量が高い未成熟果が好ましい。また、柿果実は、へたを除いた柿果実の全体をそのまま用いてもよく、具体的には、へたを除いた果肉、果皮、及び種子の何れも用いることができるが、作業効率が良い点で、へたを除いた柿果実の全体をそのまま用いるのが好ましい。
なお、柿果実における成熟柿と未成熟柿との判別については、特に明確な基準はないが、収穫の2週間以上前に摘果されたものを未成熟果実とする。
柿の品種は、特に限定されないが、例えば、蜂屋柿、平核無、四溝、富有、刀根早生柿、次郎、西村早生、愛秋豊、筆柿、太秋、新秋、甲州百日、市田柿、横野、西条柿、花御所、愛宕、紅柿等が挙げられる。
【0016】
(乾燥工程)
乾燥は、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、遠赤外線乾燥を含む公知の果実乾燥方法が利用可能である。
乾燥温度は、糖の褐変による変色を防ぐため、通常約80℃以下とすればよく、好ましくは約70℃以下、より好ましくは約60℃以下が好ましい。
乾燥時間は、約1〜20時間、好ましくは5〜15時間、より好ましくは7〜13時間である。
【0017】
(水可溶性成分の除去工程)
水可溶性成分の除去方法は、乾燥した柿果実から全部又は一部の糖質、可溶性ポリフェノール、水溶性タンニンを除去できれば特に限定されない。好ましくは、流水等により水可溶性成分を洗い流す。
詳しくは、柿果実乾燥物を一定量の水中に浸漬し、さらに必要に応じて撹拌し、又は流水状態にさらすことにより、水可溶性成分を水中に除去することにより得られる。
水の温度は、0〜100℃であり、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜50℃である。
処理時間は、5〜60分間であり、好ましくは15〜60分間である。
水の使用量は、柿果実1質量部に対して10〜2000質量部であり、好ましくは100〜1000質量部である。
【0018】
(粉末化工程)
粉砕は、ミキサー、粉砕機、ボールミル、ハンマーミル、ロールクラッシャー、石臼式、押出・剪定式等の公知の手段で行うことができる。
本発明の柿果実粉末組成物の粒子径は、10〜1000μm、好ましくは50〜500μm、より好ましくは80〜200μmである。
【0019】
(柿果実粉末組成物の成分割合)
本発明の柿果実粉末組成物の成分割合は、食物繊維が55.0〜95.0重量%及び糖質が1.0〜15.0重量%であることを特徴とする。
より詳しい成分割合は、以下の通りである。
食物繊維が80.0〜93.0重量%であり、ここで、該食物繊維中の縮合型タンニンが5.0〜40.0重量%である。
水分が1.0〜13.0重量%である。
タンパク質が2.0〜6.0重量%である。
脂質が0.1〜3.0重量%である。
灰分が0.1〜3.0重量%である。
糖質が1.0〜15.0重量%である。
本発明の柿果実粉末組成物は、従来の柿果実粉末組成物と比較して、食物繊維割合が高く、糖質が低い。
さらに、本発明者らは、本発明の柿果実粉末組成物中には水溶性タンニンがほとんど存在していないことを確認している。
【0020】
(本発明の治療剤)
本発明の柿果実粉末組成物を含む治療剤は、下記実施例2及び3の結果により、血糖値低下効果、糖尿病治療効果、糖尿病予防効果及び糖尿病改善効果を有する。
加えて、本発明の治療剤は、各種の経口投与形態を有する製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤などが挙げられる。液体製剤としては、乳剤、液剤、シロップ剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の治療剤中の柿果実粉末組成物の含有量は、乾燥質量に換算して、1.0〜95.0質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜65質量%である。
また、本発明の治療剤の1日の使用量は、対象者の症状、体重などによっても異なるが、有効成分である柿果実粉末組成物の乾燥重量に換算した1日使用量が、0.1〜60g、好ましくは1〜50g、より好ましくは5〜40gである。
【0022】
(本発明の機能性食品)
本発明の柿果実粉末組成物を含む機能性食品は、下記実施例2及び3の結果により、血糖値低下効果、糖尿病治療効果、糖尿病予防効果、糖尿病改善効果を有する。
本発明の機能性食品は、食品に通常用いられる賦形剤または添加剤を配合して、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、散剤、粉剤、カプセル剤、水和剤、乳剤、液剤、エキス剤、またはエリキシル剤などの剤型に調製することができる。
【0023】
本発明の機能性食品中の柿果実粉末組成物の含有量は、乾燥質量に換算して、1〜95質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜65質量%である。
また、本発明の機能性食品の1日の使用量は、対象者の症状、体重などによっても異なるが、有効成分である柿果実粉末組成物の乾燥重量に換算した1日使用量が0.1〜60g、好ましくは1〜50g、より好ましくは5〜40gである。
また、本発明の機能性食品は、一般の飲料、食品、調味料の組成物であってもよい。
【0024】
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
(柿果実粉末組成物の製造及び該組成物の成分分析)
本発明の柿果実粉末組成物を以下の方法で製造して、さらに製造した組成物の成分を分析した。詳細は、以下の通りである。
【0026】
(柿果実粉末組成物の製造)
開花後80日以内(収穫の8週間前)に摘果された未成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実1kgを短冊状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。得られた、柿果実乾燥物(約0.15kg)を流水により30分間処理し(約150Lの水道水を利用)、水洗を行った。水洗した柿果実は、脱水機(日本ゼネラル・アプライアンス社製)により脱水し、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、本発明の柿果実粉末組成物を得た。
【0027】
(柿果実粉末組成物の分析)
上記の柿果実粉末組成物中の各成分の分析は、日本食品分析センターに依頼して行った。
また、柿果実粉末組成物2gを用いて80℃、30分間メタノール塩酸溶液(メタノール70%、濃塩酸1%)200ml(100mlX2回)で縮合型タンニンを抽出し、抽出液に対しバニリン塩酸法を行い、カテキンを標準物質として縮合型タンニン量を算出した(なお、縮合型タンニンは、分析上、食物繊維に含まれる)。
【0028】
(柿果実粉末組成物の分析結果)
上記の柿果実粉末組成物中の各成分を分析した結果を下記表1に示す。下記表1から明らかなように、本発明の柿果実粉末組成物は、従来の柿果実粉末組成物と比較して、食物繊維割合が高く、糖質が低いことを確認した。さらに、水溶性タンニン含有量が低いことをも確認した。
【0029】
【表1】

【実施例2】
【0030】
(糖尿病モデルマウスを用いた糖尿病治療効果の確認)
本発明の柿果実粉末組成物の糖尿病治療効果を確認するために、該組成物を糖尿病モデルマウスに摂取させ、さらに該マウスの血糖値を測定した。詳細は、以下の通りである。
【0031】
(本発明の柿果実粉末組成物の摂取方法)
以下の条件により試験を行った。
実験動物:2型糖尿病モデルマウスNSY/Hos系統、オス、7週令(6週令を購入して、1週間予備飼育を行った)。
飼料:AIN-76改変高脂肪高カロリー食にセルロース又は本発明の柿果実粉末組成を添加した(参照:下記表2)。
実験群:体重及び血糖値に基づいて各群7匹ずつにわけた。
試験期間:10週間において、自由摂取を行った。
【0032】
【表2】

【0033】
(マウスの血糖値の測定方法)
血糖値の測定は、7時間絶食後、尾静脈からの血液を用いて簡単測糖Gチェッカー(三光純薬)により測定した。
【0034】
(マウスの血糖値の測定結果)
マウスの血糖値の測定結果を図1及び図2に示す。
柿果実粉末組成物又はセルロースの摂取期間中(試験中)において、本発明の柿果実粉末組成物摂取群の血糖値は低い傾向を示した(参照:図1)。
さらに、実験群の血糖値平均の比較により、本発明の柿果実粉末組成物摂取群で濃度依存的な差が見られた(参照:図2)。より詳しくは、セルロース摂取群では摂取期間中の血糖値が開始時と比較して有意に上昇していたが、本発明の柿果実粉末組成物3%摂取群及び5%摂取群は共に血糖値の上昇は認められなかった。柿果実粉末組成物又はセルロースの摂取期間中(試験中)において、柿果実粉末組成物3%摂取群(P<0.01)及び柿果実粉末組成物5%摂取群(P<0.001)ではセルロースのみの摂取群と比較して濃度依存的な血糖値の差が確認できた。
以上の結果により、本発明の柿果実粉末組成物は血糖値の上昇を抑える又は血糖値を下げる効果があり、糖尿病の予防、治療及び改善に効果がある。
【実施例3】
【0035】
(ヒトにおける糖尿病治療効果の確認)
ヒトでの試験を行うためにモニターを募集し、試験の内容を十分に理解し、了承の得られた健常者において、試験サンプル(参照:表3)を摂取してもらい、ヘモグロビンA1c(HbA1c)を測定した。詳細は、以下の通りである。
【0036】
(本発明の柿果実粉末組成物の摂取方法)
以下の条件により試験を行った。
健常人40名(25-51歳、男28名、女12名)に対する二重盲検-群間比較試験
試験サンプル:1本23gのクッキー(参照:表3)
試験群:
プラセボ群(男10名、女4名)本発明の柿果実粉末組成物を含有しないクッキーを食 前に1本摂取(1日3本、柿果実粉末組成物として0g/日)
低用量群(男9名、女4名)本発明の柿果実粉末組成物3g含有するクッキーを食前に1 本摂取(1日3本、柿果実粉末組成物として9g/日)
高用量群(男9名、女4名)本発明の柿果実粉末組成物5g含有するクッキーを食前に1 本摂取(1日3本、柿果実粉末組成物として15g/日)
試験期間:12週間
【0037】
【表3】

【0038】
(HbA1cの測定方法)
HbA1cの測定は、早稲田メディカルクリニックに依頼して行った。
【0039】
(ヒトでのHbA1cの測定結果)
ヒトでのHbA1cの測定結果を図3に示す。
試験開始6週間に関し、いずれの群のHbA1c測定値は、試験開始前のHbA1c測定値と差が見られなかった。
しかし、試験開始12週間に関し、高用量摂取群のHbA1c測定値は、試験開始前HbA1cの測定値と比較して、有意な低下が確認された。HbA1cは最近1−2か月の血糖値の指標であることを考慮すると、本発明の柿果実粉末組成物はヒトの血糖値の上昇を抑える又は血糖値を下げる効果があり、糖尿病の予防、治療及び改善に効果がある。
【0040】
(総論)
本発明の柿果実粉末組成物は、上記実施例1〜3により、従来の柿果実粉末組成物とは組成が明らかに異なり、さらに血糖値の上昇を抑える又は血糖値を下げる効果があり、糖尿病の予防、治療及び改善に効果がある。
加えて、本発明者らは、これまでの研究により、変異原性試験、動物を用いた安全性試験により、柿由来の成分の安全性を確認している。
以上により、本発明の柿果実粉末組成物を含む治療剤又は機能性食品は、安全性が十分に確認されている優れた血糖値低下効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、新規な血糖値低下効果を有する柿由来の組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柿果実から得られた水不溶の縮合型タンニンを有効成分とする血糖値低下効果を有する組成物。
【請求項2】
柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる柿果実粉末由来の請求項1の組成物。
【請求項3】
前記組成物の糖質が1.0〜15.0重量%及び食物繊維が55.0〜95.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2の組成物。
【請求項4】
柿果実を原料とし、該柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程より得られる血糖値低下効果を有する柿果実粉末組成物であって、該粉末組成物の糖質が1.0〜15.0重量%及び食物繊維が55.0〜95.0重量%であることを特徴とする請求項2又は3の組成物。
【請求項5】
前記組成物の割合が以下である請求項1〜4のいずれか1に記載の組成物:
(1)食物繊維が80.0〜93.0重量%であり、ここで、該食物繊維中の縮合型タンニンが5.0〜40.0重量%である;
(2)水分が1.0〜13.0重量%である;
(3)タンパク質が2.0〜6.0重量%である;
(4)脂質が0.1〜3.0重量%である;
(5)灰分が0.1〜3.0重量%である;
(6)糖質が1.0〜15.0重量%である。
【請求項6】
前記組成物が糖尿病治療、予防又は改善用組成物である、請求項1〜5のいずれか1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする血糖値低下治療剤。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする糖尿病治療剤。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1に記載の組成物を含有することを特徴とする機能性食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−35803(P2013−35803A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174797(P2011−174797)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(511169999)石川県公立大学法人 (12)
【出願人】(591137628)中野BC株式会社 (12)
【Fターム(参考)】